JP6245282B2 - 自動変速機のパーキング制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、自動変速機のパーキング制御装置に関する。
従来より、自動変速機の出力シャフト(動力伝達軸)に連結された駐車ロックホイール及び出力シャフトがロックされるロック位置において駐車ロックホイールと係合する駐車ロック爪からなるパーキングロック手段と、上記ロック位置と該ロックが解除される解除位置とに駐車ロック爪を切り換えるための作動部材(パーキングロッド)と、駐車ロック爪が上記ロック位置から上記解除位置へシフトするように作動部材を移動させるためのアクチュエータ構造体(パーキング駆動手段)と、を備えた自動変速機が知られている。特許文献1には、上記パーキングロック手段を、駐車ロック爪が上記ロック位置にあるロック状態又は駐車ロック爪が上記解除位置にある非ロック状態に拘束するために、作動部材の移動を規制する拘束部材(規制手段)を備えた電子作動式拘束装置と、パーキングロック手段が上記ロック状態にあるか又は上記非ロック状態あるかを検出する位置センサと、をさらに備えた自動変速機が開示されている。
ところで、通常、パーキングロック手段は、動力伝達軸の回転をロックしたロック状態又は該ロックが解除された非ロック状態に維持されており、上記ロック状態と上記非ロック状態との間で状態が切り換えられる頻度は少ない。そのため、特許文献1に記載のような自動変速機では、パーキングロック手段が、上記ロック状態又は上記非ロック状態のときに、電子作動式拘束装置を停止させて、パーキングロッドの作動を規制する一方、パーキングロック手段が、上記ロック状態から上記非ロック状態又は上記非ロック状態から上記ロック状態へと切り換えるときに、電子作動式拘束装置を駆動させて、拘束部材によるパーキングロッドに対する規制を解除するようにすると、電子作動式拘束装置を作動させる時間を短縮させることができ、これにより、電子作動式拘束装置の作動に必要なエネルギーを節約できるという効果が期待される。
ここで、上記特許文献1に記載の自動変速機では、規制手段が、パーキングロッドに形成された溝に嵌まり込むことで、パーキングロッドの動きを規制しているため、規制手段によるパーキングロッドに対する規制を解除する際には、溝から規制手段に摩擦等の抵抗力が働く。そのため、上記規制を解除する際には、電子作動式拘束装置を比較的大きな駆動力で駆動する必要がある。そして、規制を解除した後は、駆動力を低下させたとしても、規制手段によるパーキングロッドに対する規制が解除された状態を維持することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の自動変速機のように、位置センサが上記ロック状態及び非ロック状態のみしか検出しない構成では、上記駆動力を低下させるタイミングを適切に定めることができないため、電子作動式拘束装置を比較的大きな駆動力で駆動させた後、パーキングロック手段のロック状態又は非ロック状態が検出されるまで、電子作動式拘束装置を比較的大きな駆動力で作動させ続けることになる。そのため、該比較的大きな駆動力を維持するためのエネルギーが必要となり、パーキングロック手段のロック状態と非ロック状態との切り換えの際に消費されるエネルギーが増大してしまう。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パーキングロック手段のロック状態と非ロック状態との間で状態を切り換える際に消費されるエネルギーを抑えることにある。
上記課題を解決するために、本発明は、自動変速機のパーキング制御装置を対象として、上記自動変速機の動力伝達軸の回転をロックするためのパーキングロック手段と、軸方向に移動して、上記パーキングロック手段を、上記動力伝達軸の回転をロックしたロック状態及び該ロックを解除した非ロック状態に切り換えるパーキングロッドと、上記パーキングロッドを、その軸方向に移動させるためのパーキング駆動手段と、上記パーキングロック手段の上記ロック状態及び上記非ロック状態において、上記パーキングロッドの軸方向の移動を規制するための規制手段と、上記規制手段が上記パーキングロッドの軸方向の移動を規制した規制状態を解除するための規制解除手段と、上記パーキングロック手段の上記ロック状態、上記非ロック状態及び上記ロック状態と上記非ロック状態との間の中間状態を検出するためのロック検出手段と、上記パーキング駆動手段及び上記規制解除手段の作動制御を行う制御手段と、を備え、上記制御手段は、上記パーキングロック手段の上記ロック状態と上記非ロック状態との間で状態を切り換えるときには、上記規制解除手段を、予め設定された基準駆動力で駆動させる高駆動力状態にして、上記規制手段を、上記パーキングロッドに対する規制を解除した規制解除状態にした後、上記パーキング駆動手段によって、上記パーキングロッドをその軸方向に移動させ、該移動中に、上記ロック検出手段によって上記中間状態が検出されたときには、上記規制解除手段を、上記基準駆動力よりも低い所定駆動力で駆動させる低駆動力状態にして、上記規制手段を上記規制解除状態に維持させるように構成されている、ものとした。
この構成によると、自動変速機のパーキング制御装置には、パーキングロック手段のロック状態、非ロック状態及びロック状態と非ロックとの間の中間状態を検出するためのロック検出手段が設けられ、制御手段は、該ロック検出手段によって上記中間状態が検出されている間は、規制解除手段を、予め設定された基準駆動力よりも低い所定駆動力で駆動させた低駆動力状態にして、規制手段によるパーキングロッドに対する規制を解除させるため、パーキングロック手段のロック状態と非ロック状態との間で状態を切り換える際に消費されるエネルギーを低減させることができる。
具体的には、パーキングロック手段のロック状態と非ロック状態との間で状態を切り換える際に、制御手段は、先ず、規制解除手段を駆動して、規制手段を、パーキングロックに対する規制を解除した規制解除状態にする。このとき、制御手段は、規制手段がパーキングロックを規制した規制状態が確実に解除されるように、規制解除手段を、予め設定された、比較的大きな駆動力である基準駆動力で駆動させた高駆動力状態にする。規制解除手段を高駆動力状態にして、規制手段を上記規制解除状態にした後、制御手段は、パーキング駆動手段によって、パーキングロッドをその軸方向に移動させる。
その後、制御手段は、パーキングロッドの移動中に、ロック検出手段によって上記中間状態が検出されたときには、規制解除手段の駆動力を低減させたとしても、規制手段が上記規制状態になることはないと判断して、規制解除手段を、上記基準駆動力よりも低い所定駆動力で駆動させた低駆動力状態にする。該所定駆動力を、規制手段を上記規制解除状態にできる程度に、規制解除手段を駆動させる駆動力に設定しておけば、上記低駆動力状態では、上記高駆動力状態よりも低いエネルギーで、規制手段を上記規制解除状態に維持することができる。そして、ロック検出手段によって上記中間状態が検出されている間、規制解除手段を上記低駆動力状態にすることによって、上記高駆動力状態で規制手段を上記規制解除状態に維持する場合と比較して、規制手段を上記規制解除状態に維持するためのエネルギーが節約される。これにより、パーキングロック手段のロック状態と非ロック状態との間で状態を切り換える際に消費されるエネルギーを抑えることができる。
上記自動変速機のパーキング制御装置の一実施形態において、上記制御手段は、上記規制解除手段を上記低駆動力状態にして、上記規制手段を上記規制解除状態に維持させるようにした後、上記パーキングロッドが、その軸方向に移動している際に、上記ロック検出手段によって、上記ロック状態又は上記非ロック状態が検出されたときには、上記規制解除手段を停止させるように構成されている、ことが望ましい。
この構成によると、ロック検出手段によって、ロック状態又は非ロック状態が検出されたときに、規制解除手段が停止されるため、パーキングロッドがパーキングロック手段をロック状態又は非ロック状態にする位置まで移動してから、規制解除手段を停止させて、規制手段を上記規制状態にすることができる。これにより、適切にパーキングロッドの軸方向の移動を規制することができる。
上記自動変速機のパーキング制御装置において、上記規制解除手段は、供給電力の大きさによって駆動力が制御されるソレノイドである、ことが望ましい。
すなわち、規制解除手段が供給電力の大きさによって駆動力が制御されるソレノイドであれば、例えば、油圧によって駆動力を制御するものと比較して、容易に駆動力を制御することができる。
上記自動変速機のパーキング制御装置において、上記ロック検出手段は、上記パーキングロッドの所定部位の、上記パーキングロッドの軸方向の位置から、上記パーキングロッドの軸方向の位置を検出して、検出された上記パーキングロッドの軸方向の位置から、上記ロック状態、上記非ロック状態及び上記中間状態を検出するように構成されており、上記中間状態は、上記パーキングロック手段の上記ロック状態と上記非ロック状態との間で状態を切り換えるために、上記パーキングロッドが、その軸方向に移動している際に、上記所定部位が上記パーキングロッドの軸方向における所定範囲に位置している状態である、ことが望ましい。
この構成によると、パーキングロッドがその軸方向に移動している際の、パーキングロッドの所定部位の、パーキングロッドの軸方向の位置から、ロック状態、非ロック状態及び上記中間状態を検出するため、パーキングロッドが、パーキングロック手段をロック状態又は非ロック状態にする位置まで移動したことを検出してから、規制手段を上記規制状態にすることができ、より適切にパーキングロッドの軸方向の移動を規制することができる。
また、パーキングロッドが、その軸方向に移動している際に、所定部位がパーキングロッドの軸方向における所定範囲に位置している状態を中間状態として検出するため、規制解除手段を高駆動力状態から低駆動力状態にすることができる。
以上説明したように、本発明に係る自動変速機のパーキング制御装置によると、制御手段は、パーキングロック手段のロック状態と非ロック状態との間で状態を切り換えるときには、規制解除手段を、予め設定された基準駆動力で駆動させる高駆動力状態にして、規制手段を、パーキングロッドに対する規制を解除した規制解除状態にした後、パーキング駆動手段によって、パーキングロッドをその軸方向に移動させ、該移動中に、ロック検出手段によって、ロック状態と非ロック状態との間の上記中間状態が検出されたときには、規制解除手段を、上記基準駆動力よりも低い所定駆動力で駆動させる低駆動力状態にして、規制手段を上記規制解除状態に維持させるように構成されているため、ロック検出手段によって上記中間状態が検出されている間、規制解除手段を上記低駆動力状態にすることによって、上記高駆動力状態で規制手段を上記規制解除状態に維持する場合と比較して、規制手段を上記規制解除状態に維持するためのエネルギーを節約することができる。これにより、パーキングロック手段のロック状態と非ロック状態との間で状態を切り換える際に消費されるエネルギーを抑えることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るパーキング制御装置により制御される自動変速機20が搭載された車両1の前側部分の概略図である。この車両1は、フロントエンジンフロントドライブ式(FF式)の車両であって、車両前側にエンジン10が横置きされており、エンジン10の車両左側には自動変速機20が配置されている。エンジン10からの出力は、自動変速機20を介して駆動輪61に伝達され、これにより、車両1が走行するようになっている。尚、車両1は、車両後側の駆動輪(図示省略)を駆動するフロントエンジンリアドライブ式(FR式)の車両であってもよい。
車両1における車室内には、シフトレバー50が配置されている。シフトレバー50は、自動変速機20のシフトレンジを選択するものであり、該シフトレンジとしては、「P」(パーキングレンジ)、「R」(後退レンジ)、「N」(ニュートラルレンジ)、「D」(ドライブレンジ)等があり、車両1のドライバがシフトレバー50を操作して所望のシフトレンジを選択する。尚、以下の説明において、パーキングレンジを「Pレンジ」、パーキングレンジ以外のシフトレンジを「NotPレンジ」という。
自動変速機20は、シフトバイワイヤ方式の自動変速機である。シフトレバー50の操作によって選択されたシフトレンジは、後述するシフトレンジ検出手段としてのセレクターセンサ101(図5参照)によって検出されるようになっており、セレクターセンサ101の検出結果に基づく電気信号が、制御手段としてのコントロールユニット100に入力される。そして、上記電気信号に基づくコントロールユニット100からの出力信号によって、自動変速機20のシフトレンジが切り換えられる。
また、自動変速機20は、Pレンジが選択されている際に、動力伝達軸23(図2及び図3参照)の動作(回転)を規制(ロック)するためのパーキング装置21(図2及び図3参照)を有している。動力伝達軸23は、エンジン2等の動力源からの動力を伝達するためのものである。動力伝達軸23は、上記動力源と直接連結されていてもよく、トルクコンバータ等を介して間接的に連結されていてもよい。
次に、図2〜図4を参照しながら自動変速機20におけるパーキング装置21の構成について説明する。
自動変速機20のパーキング装置21は、自動変速機20の変速機ケース(図示省略)の内部に配設されている。パーキング装置21には、動力伝達軸23に取り付けられたパーキングギヤ24と、Pレンジにおいて、パーキングギヤ24と係合して動力伝達軸23の回転をロックするパーキングポール25と、軸方向に移動して、パーキングポール25とパーキングギヤ23との係合状態(以下、ロック状態という)及び非係合状態(以下、非ロック状態という)を切り換えるためのパーキングロッド26と、パーキングロッド26を、その軸方向に移動させるためのアクチュエータ27(パーキング駆動手段)と、ロック状態及び非ロック状態において、パーキングロッド26の軸方向の移動を規制するためのストッパ35(規制手段)と、ストッパ35がパーキングロッド26の軸方向の移動を規制した規制状態を解除するためのソレノイド40(規制解除手段)と、パーキングロッド26の位置を検出するロッド位置センサ105と、を備えている。尚、以下の説明において、パーキングロッド26の軸方向における、パーキングポール25側(図2及び図3では左側)をロック側、反パーキングポール25側(図2及び図3では右側)を非ロック側という。
パーキングポール25は、図2及び図3に示すように、ロック側の端部が上記変速機ケースにピン28で回動可能に支持され、非ロック側の端部にはパーキングロッド26(詳しくは、後述のパーキングカム29)に押圧されるポール押圧部25aが形成されている。ピン28によって支持された支持部とポール押圧部25aとの間には、パーキングギヤ24と係合する凸部25bが形成されている。また、パーキングポール25には、パーキングギヤ24とポール25bとの係合が解除される方向(図2及び図3では反時計回り方向)にポール押圧部25aを付勢する2本のパーキングポール付勢スプリング25c,25dが取り付けられている。パーキングポール付勢スプリング25c,25dは、本実施形態では、捻りコイルスプリングであり、パーキングポール付勢スプリング25cは、ロック側の端部がポール押圧部25aに当接しかつ非ロック側の端部が上記変速機ケースに当接している。一方、パーキングポール付勢スプリング25dは、ロック側の端部がポール押圧部25aに当接子かつ非ロック側の端部が後述するブラケット30に当接している。
パーキングポール25は、図2に示すように、パーキングロッド26がロック側に移動したときには、ポール押圧部25aがパーキングロッド26に押圧されて、パーキングポール付勢25c,25dの付勢力に抗して、ピン28周りにパーキングギヤ24に凸部25bが係合する方向(図2で時計回り方向)に回動する一方、図3に示すように、パーキングロッド26が非ロック側に移動したときには、パーキングポール付勢スプリング25c,25dの付勢力によって、ピン28周りにパーキングギヤ24とポール25bとの係合が解除される方向に回動する。本実施形態では、パーキングギヤ24とパーキングポール25とは、動力伝達軸23の回転をロックするパーキングロック手段を構成する。
パーキングロッド26は、図2及び図3に示すように、アクチュエータ27に配設されたピストンロッド26aと、ロック状態において、パーキングポール25を押圧するためのプッシュロッド26bとによって構成されている。
プッシュロッド26bは、ブラケット30に支持された状態で配設されており、プッシュロッド26bのロック側の端部には、ロック状態において、パーキングポール25の凸部25bがパーキングギヤ24と係合する方向にポール押圧部25aを押圧するパーキングカム29が設けられている。パーキングカム29は、円柱体と円錐台とを組み合わせた形状をなしており、円柱体のロック側の面に、ロック側に向かって縮径するように円錐台が取り付けられている。パーキングカム29は、パーキングポール25を非ロック状態からロック状態に回動させる際に、パーキングポール25をパーキングギヤ24側に案内する役割を有している。すなわち、パーキングロッド26がロック側に移動したときには、パーキングポール25は、パーキングカム29の縮径部分に案内されて、ピン28周りに回動する。また、ブラケット30には、パーキングカム29の移動を案内するガイド51が設けられている。
プッシュロッド26bの非ロック側の端部は、プッシュロッド26bの長手方向、すなわち、パーキングロッド26の軸方向と略直角になるように湾曲しており、該湾曲した部分にピストンロッド26aのロック側の端部が接続されている。ピストンロッド26aには、後述のシリンダ31aに嵌挿されたピストン26cが形成されている。
また、ピストンロッド26aの非ロック側の端部には、ストッパ35と係合する第1及び第2係合溝36,37が形成されている。第1係合溝36は、パーキングポール25がロック状態であるときに、ストッパ35が係合する溝である一方、第2係合溝37は、第1係合溝36よりもロック側に位置していて、ピストンロッド26aが非ロック側に移動して、パーキングポール25が非ロック状態であるときに、ストッパ35が係合する溝である。第1及び第2係合溝36,37の溝幅は、パーキングロッド26の軸方向における、ストッパ35の厚みよりも大きい。尚、第1及び第2係合溝36,37は、ピストンロッド26aの周方向全周に亘って形成されていてもよく、周方向の一部であって、ストッパ35が係合する部分のみに形成されていてもよい。
アクチュエータ27は、本実施形態では、油圧式のアクチュエータである。アクチュエータ27は、シリンダ31aを有する円筒ケース31及び該シリンダ31aの両側の開口を封止する封止部材32によって形成されたハウジングを有している。ピストンロッド26aは、ロック側の封止部材32を貫通して、シリンダ31a内を通って、非ロック側の封止部材32を貫通するように延びている。上述したように、シリンダ31aにはピストン26cが嵌挿されており、該ピストン26cは、シリンダ31aを二室に区画している。区画された室のうち、ピストン26cよりも非ロック側の室には、パーキングポール25がロック状態となるように、パーキングロッド26(詳しくは、ピストン26c)を、その軸方向の一側に、すなわち、ロック側に付勢するロッド付勢スプリング34が配置されている一方、ピストン26cよりもロック側の室には、パーキングポール25が非ロック状態となるように、ロッド付勢スプリング34の付勢力に抗して、パーキングロッド26を、その軸方向の他側、すなわち、非ロック側に移動させる移動力を発生させるために、オイルが供給される油圧室33が形成されている。尚、ロッド付勢スプリング34は、本実施形態では、圧縮コイルスプリングであって、ロック側の端部はピストン26cに当接する一方、非ロック側の端部は封止部材32に当接している。
上述したように、ロッド付勢スプリング34はパーキングロッド26をロック側に付勢している。つまり、油圧室33にオイルが供給されておらず、ピストン26cに、油圧室33内の圧力に基づく移動力が作用していない状態では、パーキングロッド26はロック側へ移動する。一方、油圧室33にオイルが供給され、油圧室33内の圧力が、ロッド付勢スプリング34の付勢力よりも大きい移動力を発生させるような圧力になっている状態では、パーキングロッド26がロッド付勢スプリング34の付勢力に抗して非ロック側へ移動する。
上記油圧室33は、油圧室33内にオイルポンプ11からのオイルを供給するための油路12と接続されている。オイルポンプ11は、本実施形態では、上記変速機ケース内に配設されて、自動変速機20の摩擦締結要素へ供給する油圧を生成するオイルポンプであり、エンジン10により駆動される。油路12には、油圧室33にオイルを供給又は油圧室33からオイルを排出(ドレン)するアクチュエータ制御弁13が設けられている。オイルポンプ11から供給されるオイルは、アクチュエータ制御弁13によって油圧が調整された後、油圧室33に供給される。すなわち、圧力室33の油圧はアクチュエータ制御弁13によって制御される。尚、アクチュエータ制御弁13は、例えばリニアソレノイドバルブなどである。
ストッパ35は、図4に示すように、細長い板状の部材に係合爪35aが形成されたものである。ストッパ35は、一端側が自動変速機20の上記変速機ケースにピン38で回動可能に支持されている。ストッパ35には、パーキングロッド26の軸方向の移動を規制する方向(図4で時計回り方向。以下、規制方向という)にストッパ35を付勢するためのストッパ付勢スプリング39が取り付けてあり、ストッパ付勢スプリング39の付勢力によって、ストッパ35が、ピン38周りに規制方向に回動することで、係合爪35aがパーキングロッド26の第1又は第2係合溝36,37と係合する。ストッパ付勢スプリング39は、本実施形態では、圧縮コイルスプリングであって、一端側がストッパ35に当接する一方、他端側が上記変速機ケースに当接している。
ストッパ35は、係合爪35aがパーキングロッド26に設けられた第1又は第2係合溝36,37と係合し、第1又は第2係合溝36,37の側面と当接することで、パーキングロッド26の軸方向の移動を規制する。すなわち、油圧室33内の圧力に基づく移動力又はロッド付勢スプリング34の付勢力によって、パーキングロッド26が非ロック側又はロック側に移動しようとしても、ストッパ35(詳しくは、ストッパ35の係合爪35a)が第1又は第2係合溝36,37の側面と当接することで、パーキングロッド26が移動しないように規制される。
ソレノイド40は、電力によって駆動されるプッシュ型のソレノイドであり、内部に駆動用のコイル(図示せず)等が配置されたソレノイド本体40aと、該コイル等によって駆動される可動体40bとを備えている。
ソレノイド40は、駆動時には、可動体40bを押し出して、ストッパ35をストッパ付勢スプリング39の付勢力に抗してピン38周りに規制を解除する方向(図4で反時計回り方向。以下、規制解除方向という)に回動させて、図4に仮想線で示す規制解除状態にする。一方、ソレノイド40は、停止時には、ストッパ付勢スプリング39の付勢力によって、可動体40bがソレノイド本体40aに押し込まれることで、ストッパ35をピン38周りに規制方向に回動させて、図4に実線で示す上記規制状態にする。
ソレノイド40は、供給される電力の大きさによって、可動体40bを押し出す押出力が変化するように構成されており、供給される電力が大きい程、該押出力が大きくなるようになっている。尚、ソレノイド40を駆動させる電力は、車両1に搭載されたバッテリ(図示省略)から供給される。
ロッド位置センサ105は、パーキングロッド26の非ロック側の端部の位置に配設されている。ロッド位置センサ105は、本実施形態では磁気タイプの位置センサであって、略C字状をなした磁気センサ105aと、磁気センサ105aにおけるC字の内側をスライド可能なスライダ105bとで構成されている。スライダ105bには、係合部105cが設けられており、この係合部105cがパーキングロッド26の非ロック側の端部と係合することで、スライダ105bとパーキングロッド26とが一体結合される。これにより、スライダ105bは、パーキングロッド26の軸方向の移動に合わせて、磁気センサ105aにおけるC字の内側をスライドする。スライダ105bには、所定の磁気パターンが着磁されており、この磁気パターンを磁気センサ105aで検出して、スライダ105bの位置を検出することで、パーキングロッド26の位置が検出される。詳しくは後述するが、本実施形態では、スライダ105bの位置から検出された、パーキングロッド26の軸方向の位置から、パーキングポール25のロック状態、非ロック状態及びロック状態と非ロック状態との間の中間状態を検出するようになっている。本実施形態では、スライダ105bと一体結合された、パーキングロッド26の非ロック側の端部が所定部位に相当する。尚、所定の磁気パターンは、スライダ105bではなく、パーキングロッド26の非ロック側の端部に着磁させるようにしてもよい。
次に、図5を参照しながら、車両1の制御系について説明する。
図5に、車両1の制御系の構成を示すブロック図を示す。車両1は、車両1のドライバがシフトレバー50を操作して選択したシフトレンジを検出するセレクターセンサ101と、車両1の乗員によるブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキ操作センサ102と、車両1の車速を検出する車速センサ103と、車両1の乗員によるアクセルペダルの踏み込み量(乗員の操作によるアクセル開度)を検出するアクセル開度センサ104と、上述したロッド位置センサ105と、それらのセンサの検出結果からエンジン10の作動制御や、自動変速機20のアクチュエータ制御弁13及びソレノイド40の作動制御等を行うコントロールユニット100と、が設けられている。
コントロールユニット100は、周知のマイクロコンピュータをベースとするコントローラであって、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラム及びデータを格納するメモリと、電気信号の入出力をする入出力(I/O)バスと、を備えている。コントロールユニット100には、セレクターセンサ101、ブレーキ操作センサ102、車速センサ103、アクセル開度センサ104、ロッド位置センサ105等からの各種情報の信号が入力されるようになっている。
コントロールユニット100は、上記バッテリに蓄えられた電力をソレノイド40に供給して、ソレノイド40を駆動させる。コントロールユニット100には、ソレノイド40に供給する電力を制御するための制御回路が設けられており、上記バッテリに蓄えられた電力は、該制御回路によって調整されてから、ソレノイド40に供給される。
コントロールユニット100は、ロッド位置センサ105によって検出されたパーキングロッド26の軸方向の位置から、パーキングポール25のロック状態、非ロック状態及びロック状態と非ロック状態との間の中間状態を判定する。
具体的には、コントロールユニット100は、パーキングロッド26の非ロック側の端部の位置、詳しくは、スライダ105bの磁気センサ105a内における位置から、パーキングロッド26の軸方向の位置を検出し、検出されたパーキングロッド26の位置に基づいて、ロック状態、非ロック状態及び上記中間状態を判定する。すなわち、コントロールユニット100は、磁気センサ105a内におけるスライダ105bの位置から、ロック状態、非ロック状態及び上記中間状態を判定している。
図6は、磁気センサ105a内におけるスライダ105bの位置と、該スライダ105bの位置からコントロールユニット100で判断されるパーキングポール25の状態との関係を表したものである。尚、図6では、パーキングロッド26の図示を省略している。
図6に示すように、磁気センサ105aには、コントロールユニット100が、ロック状態と判断する範囲、非ロック状態と判断する範囲及び上記中間状態と判断する範囲が、予め設定されている。具体的には、コントローラユニット100は、磁気センサ105aのロック側の端部近傍をロック状態と判断する範囲、磁気センサ105aの非ロック側の端部近傍を非ロック状態と判断する範囲、ロック状態と判断する範囲の非ロック側端及び非ロック状態と判断する範囲のロック側端の間の範囲を上記中間状態と判断する範囲として、設定している。コントローラユニット100は、スライダ105bが、磁気センサ105a内のどの範囲に位置しているかによって、ロック状態、非ロック状態及び上記中間状態を判定する。
例えば、図6に示すように、パーキングポール25のロック状態と非ロック状態との間で状態を切り換えるために、パーキングロッド26が軸方向へ移動して、パーキングロッド26の非ロック側の端部と一体結合されたスライダ105bが、上記中間状態と判断する範囲に位置したときには、コントロールユニット100は、パーキングポール25がロック状態から非ロック状態又は非ロック状態からロック状態へと切り換えられる途中の状態、すなわち、ロック状態と非ロック状態との間の中間状態であると判断する。また、図2に示すように、スライダ105bが、磁気センサ105cのロック側の端部近傍、つまり、ロック状態と判断する領域に位置しているときには、コントロールユニット100は、パーキングポール25が、パーキングロッド26のパーキングカム29に押圧されて、ロック状態であると判断する一方、図3に示すように、スライダ105bが、磁気センサ105aの非ロック側の端部近傍に位置しているときには、コントロールユニット100は、パーキングポール25が、パーキングカム29の押圧から解放されて、非ロック状態であると判断する。以上のことから、ロッド位置センサ105は、ロック状態、非ロック状態及びロック状態と非ロック状態との間の中間状態を検出するためのロック検出手段を構成する。尚、磁気センサ105a内における各範囲は、スライダ105bがロック状態と判断する範囲に位置したときには、ストッパ35の係合爪35aが第1係合溝36に確実に係合できる一方、スライダ105bが非ロック状態と判断する範囲に位置したときには、ストッパ35の係合爪35aが第2係合溝37に確実に係合できるように、第1及び第2係合溝36,37の溝幅や、ストッパ35の、パーキングロッド26の軸方向における厚みなどを考慮して設定される。
コントロールユニット100は、アクチュエータ制御弁13及びソレノイド40の作動制御を行うことで、自動変速機20のPレンジとNotPレンジとの切り換えを行う。
具体的には、シフトレバー50が、PレンジからNotPレンジに、又は、NotPレンジからPレンジに切り換えられたことが、セレクターセンサ101によって検出されたときには、コントロールユニット100は、上記バッテリの電力をソレノイド40に供給して、ソレノイド40を駆動させる。ソレノイド40が駆動されることで、可動体40bがストッパ35を押すため、ストッパ35は、規制解除方向に回動して、パーキングロッド26に対する規制を解除した規制解除状態になる。パーキングロッド26に対する規制が解除された後、コントロールユニット100は、パーキングロッド26を、その軸方向に移動させるために、アクチュエータ制御弁13を制御して、油圧室33にオイルを供給して油圧室33内の圧力を増大、又は油圧室33内からオイルを排出して油圧室33内の圧力を減少させる。この間、コントロールユニット100は、ソレノイド40を駆動させ続け、ストッパ35を上記規制解除状態に維持する。
そして、コントロールユニット100は、ロッド位置センサ105によって、ロック状態又は非ロック状態が検出されたときに、ソレノイド40を停止させ、ストッパ35を規制方向に回動させて、パーキングロッド26の第1又は第2係合溝36,37と係合爪35aとを係合させる。
ソレノイド40を停止させた後、コントローラユニット100は、油圧室33からオイルを全て排出するか、又は、油圧室33内の圧力を、ロッド付勢スプリング34の付勢力よりも大きい移動力を発生させる圧力に増大させるように、油圧室33にオイルを供給する。これにより、パーキングロッド26はロック側又は非ロック側に移動しようとするが、第1又は第2係合溝36,37の側面とストッパ35が当接することで、パーキングロッド26の軸方向の移動が規制される。
ここで、上述したように、パーキングポール25のロック状態又は非ロック状態において、ストッパ35は、図2及び図3に示すように、第1又は第2係合溝36,37の側面(図2では第1係合溝36の側面、図3では第2係合溝37の側面)と当接することで、パーキングロッド26の軸方向の移動を規制する。この状態では、ストッパ35には、パーキングロッド26を介して、油圧室33内の圧力に基づく移動力又はロッド付勢スプリング34の付勢力が作用している。
油圧室33内の圧力に基づく移動力又はロッド付勢スプリング34の付勢力が作用した状態では、ストッパ35と第1又は第2係合溝36,37との係合を解除して、ストッパ35を上記規制解除状態にする際に、ストッパ35に摩擦等の抵抗力が発生する。そのため、コントロールユニット100は、ストッパ35を上記規制解除状態にする際に、ソレノイド40を、予め設定された、比較的大きな電力である基準電力(基準駆動力)で駆動させて、上記抵抗力よりも大きな上記押出力を発生させるようにしている。これにより、ストッパ35を確実に上記規制解除状態にすることができる。
また、上述したように、コントロールユニット100は、ストッパ35と第1又は第2係合溝36,37との係合を解除した後、パーキングロッド26を移動させるために、アクチュエータ制御弁13を制御して、油圧室33内の圧力を増大、又は油圧室33内の圧力を減少させる間、ソレノイド40を駆動させ続け、ストッパ35を上記規制解除状態に維持する。
このとき、ストッパ35と第1又は第2係合溝36,37との係合を解除した後では、ストッパ35には、油圧室33内の圧力に基づく移動力又はロッド付勢スプリング34の付勢力が作用しないため、ソレノイド40に、ストッパ付勢スプリング39の付勢力よりも大きい上記押出力を発生させることさえできれば、ソレノイド40を上記基準電力より低い電力で駆動させたとしても、ストッパ35を上記規制解除状態に維持することができる。
そこで、本実施形態では、セレクターセンサ105が、PレンジからNotPレンジへの切換要求又はNotPレンジからPレンジへの切換要求を検出して、パーキングポール25のロック状態と非ロック状態との間で状態を切り換えるときには、ソレノイド40を、上記基準電力で駆動させた高駆動力状態にして、ストッパ35によるパーキングロッド26に対する規制を解除させた後、アクチュエータ27によってパーキングロッド26を移動させ、該移動中に、ロッド位置センサ105によって、ロック状態と非ロック状態との間の中間状態が検出されたときには、ソレノイド40を、上記基準電力よりも低い所定電力(所定駆動力)で駆動させた低駆動力状態にして、ストッパ35を上記規制解除状態に維持するようにしている。これにより、パーキングパール25のロック状態と非ロック状態との間で状態を切り換える際に消費される電力を低減させることができる。
具体的に、図7のグラフを参照しながら、PレンジからNotPレンジへの切換要求があった場合に、ソレノイド40に供給される電力の変化について説明する。図7において、縦軸はソレノイド40を流れる電流の大きさを表す一方、横軸は時間を表している。コントロールユニット100の制御回路からソレノイド40に印加される電圧は、略一定であるため、ソレノイド40に流れる電流の変化は、そのままソレノイド40に供給される電力の変化を表す。
先ず、図7における〜t0の期間である初期状態では、シフトレンジはPレンジに選択されて、パーキングポール25はロック状態となっており、油圧室33からはオイルが全て排出されているとする。この初期状態では、ストッパ35と第1係合溝36における非ロック側の側面とが当接し(図2の状態)、ストッパ35には、パーキングロッド26を介してロッド付勢スプリング34からの付勢力が作用している。
上記初期状態から、時間t0において、車両1のドライバがシフトレバー50を操作してシフトレンジをPレンジからNotPレンジへ切り換え、セレクターセンサ101によって、PレンジからNotPレンジへの切換要求があったことが検出されたとする。この検出結果を受けて、コントロールユニット100は、ソレノイド40を、上記基準電力で駆動した高駆動力状態にする。これにより、ストッパ35は、摩擦等の抵抗力に抗して、上記規制解除状態になるように回動する。ストッパ35が上記規制解除状態になった後、コントロールユニット100は、油圧室33にオイルを供給して、油圧室33内の圧力を増大させる。これにより、パーキングロッド26がロッド付勢スプリング34付勢力に抗して非ロック側に移動する。パーキングロッド26が移動を開始した後も、コントロールユニット100は、ロッド位置センサ105が上記中間状態を検出するまで、ソレノイド40を上記高駆動力状態して、ストッパ35を上記規制解除状態に維持させる(図7における時間t0〜t1の期間)。
そして、時間t1において、ロッド位置センサ105が上記中間状態を検出したとき、コントロールユニット100は、ソレノイド40への供給電力を上記基準電力よりも低い所定電力に低下させ、ソレノイド40を低駆動力状態にする。上記所定電力は、ソレノイド40がストッパ付勢スプリング39の付勢力よりも大きい上記押出力を発生させる程度の電力に設定されているため、ソレノイド40が上記低駆動力状態であっても、ストッパ35の上記規制解除状態が維持される。コントロールユニット100は、ロッド位置センサ105が上記中間状態を検出している間は、ソレノイド40を上記低駆動力状態にして、ストッパ35を上記規制解除状態に維持させる(図7における時間t1〜t2の期間)。
ソレノイド40に供給する電力を上記所定電力に低下させた後、時間t2において、ロッド位置センサ105によって、非ロック状態が検出されたとき、コントロールユニット100は、ソレノイド40への電力の供給を停止させて、ソレノイド40を停止させる。これにより、ストッパ35が、ストッパ付勢スプリング39の付勢力によって規制方向に回動し、ストッパ35の係止爪35aと第2係合溝37とが係合する。
一方、NotPレンジからPレンジへの切換要求があった場合でも、コントロールユニット100は、油圧室33内の圧力を、増大はなく減少させること以外は、上述と同様にソレノイド40を作動制御する。
次に、図8及び図9を参照しながら、シフトレンジが切り換えられる際の、コントロールユニット100による処理動作について説明する。
図8は、シフトレンジがPレンジからNotPレンジに切り換えられる際の、コントロールユニット100による処理動作を示すフローチャートである。
最初のステップS101において、シフトレンジがPレンジであるか否か、すなわち、パーキングポール25がロック状態であるか否かについて判定する。判定は、ロッド位置センサ105によって、ロック状態が検出されたか否かに基づいて行う。つまり、ロッド位置センサ105によってロック状態が検出されたときには、Pレンジであると判定する一方、ロッド位置センサ105によって非ロック状態が検出されたときには、Pレンジではなく、NotPレンジであると判定する。シフトレンジがPレンジであるYESのときには、ステップS102へと進む一方、シフトレンジがNotPレンジであるNOのときには、リターンする。
上記ステップS102では、PレンジからNotPレンジへの切換要求があるか否か、すなわち、パーキンポール25のロック状態から非ロック状態への切換要求があるか否かを判定する。該切換要求があるか否かは、セレクターセンサ101の検出結果に基づいて判定する。NotPレンジへの切換要求があるYESのときには、ステップS103へ進む。一方、NotPレンジへの切換要求がないNOのときには、リターンする。
上記ステップS103では、ソレノイド40を、上記基準電力で駆動した高駆動力状態にする。これにより、ストッパ35が、摩擦等の抵抗力に抗して、第1係合溝36との係合を解除するようにピン38回りに回動して、ストッパ35が上記規制解除状態になる。ソレノイド40は、後述のステップS105において上記中間状態が検出されるまで、上記高駆動力状態で駆動され続ける。
次のステップS104では、アクチュエータ制御弁13を制御して、油圧室33にオイルを供給し、油圧室33内の圧力を増大させる。これにより、パーキングロッド26が非ロック側へと移動する。
次のステップS105では、上記中間状態であるか否かについて判定する。上記中間状態か否かは、ロッド位置センサ105によって上記中間状態が検出されたか否かに基づいて判定する。判定の結果、上記中間状態であるYESのときには、ステップS106に進む一方、上記中間状態でないNOのときには、再びステップS105で判定を受ける。
上記ステップS106では、ソレノイド40への供給電力を低下させても、ストッパ35の上記規制解除状態が維持されると判断して、ソレノイド40への供給電力を、上記基準電力よりも低い所定電力に低下させ、ソレノイド40を低駆動力状態にする。ソレノイド40は、次のステップS107においてNotPレンジへの切り換えが完了するまで、上記低駆動力状態で駆動され続ける。
上記ステップS107では、NotPレンジへの切り換えが完了したか否かについて判定する。判定は、ロッド位置センサ105によって非ロック状態が検出されたか否かに基づいて行う。すなわち、非ロック状態が検出されれば、NotPレンジへの切り換えが完了したと判定する。NotPレンジへの切り換えが完了したYESのときには、ステップS108に進む一方、NotPレンジへの切り換えが完了していないNOのときには、再びS107で判定を受ける。
上記ステップS108では、ソレノイド40の駆動を停止させる。これにより、ストッパ35は、ストッパ付勢スプリング39の付勢力によって、ピン38周りに規制方向に回動し、第2係合溝37と係合する。これにより、ストッパ35が上記規制状態となり、パーキングロッド26の軸方向の移動が再び規制される。そして、ステップS108の後は、リターンする。
一方、図9は、シフトレンジがNotPレンジからPレンジに切り換えられる際の、コントロールユニット100による処理動作を示すフローチャートである。尚、図9に示すフローチャートでは、シフトレンジがNotPレンジであるときに、油圧室33内の圧力が、ロッド付勢スプリング34の付勢力に抗してパーキングロッド26を、その軸方向の非ロック側に移動させる程度の移動力を発揮させるような圧力にするように制御されている場合のコントロールユニット100による処理動作を想定している。
最初のステップS201において、シフトレンジがNotPレンジであるか否か、すなわち、パーキングポール25が非ロック状態であるか否かについて判定する。判定は、ロッド位置センサ105によって、非ロック状態が検出されたか否かに基づいて行う。シフトレンジがNotPレンジであるYESのときには、ステップS202へと進む一方、シフトレンジがPレンジであるNOのときには、リターンする。
上記ステップS202では、NotPレンジからPレンジへの切換要求があるか否か、すなわち、パーキングポール25の非ロック状態からロック状態への切換要求があるか否かについて判定する。該切換要求があるか否かは、セレクターセンサ101の検出結果に基づいて判定する。Pレンジへの切換要求があるYESのときには、ステップS203へ進む。一方、Pレンジへの切換要求がないNOのときには、リターンする。
上記ステップS203では、ソレノイド40を、上記基準電力で駆動した高駆動力状態にする。これにより、ストッパ35が、摩擦等の抵抗力に抗して、第2係合溝37との係合を解除するようにピン38回りに回動して、ストッパ35によるパーキングロッド26に対する規制が解除される。ソレノイド40は、後述のステップS105において上記中間状態が検出されるまで、上記高駆動力状態で駆動され続ける。
次のステップS204では、アクチュエータ制御弁13を制御して、油圧室33からオイルを排出し、油圧室33内の圧力を減少させる。これにより、パーキングロッド26は、ロッド付勢スプリング34の付勢力によってロック側へと移動する。
次のステップS205では、上記中間状態であるか否かについて判定する。上記中間状態か否かは、ロッド位置センサ105によって上記中間状態が検出されたか否かに基づいて判定する。判定の結果、上記中間状態であるYESのときには、ステップS206に進む一方、上記中間状態でないNOのときには、再びステップS205で判定を受ける。
上記ステップS206では、ソレノイド40への供給電力を、上記基準電力よりも低い所定電力に低下させ、ソレノイド40を低駆動力状態にする。ソレノイド40は、次のステップS207においてNotPレンジへの切り換えが完了するまで、上記低駆動力状態で駆動され続ける。
次のステップS207では、Pレンジへの切り換えが完了したか否かについて判定する。判定は、ロッド位置センサ105によってロック状態が検出されたか否かに基づいて判定する。すなわち、ロック状態が検出された場合は、Pレンジへの切り換えが完了したと判定する。Pレンジへの切り換えが完了したYESのときには、ステップS208に進む一方、Pレンジへの切り換えが完了していないNOのときには、再びステップS207で判定を受ける。
上記ステップS208では、ソレノイド40の駆動を停止させる。これにより、ストッパ35は、ストッパ付勢スプリング39の付勢力によって、ピン38周りに規制方向に回動し、第1係合溝36と係合する。これにより、ストッパ35が上記規制状態となり、パーキングロッド26の軸方向の移動が再び規制される。そして、ステップS208の後は、リターンする。
尚、シフトレンジがNotPレンジであるときに、油圧室33へのオイルの供給を停止させるような制御を実行している場合は、ステップS204の工程が不要であるため、ステップS204を省略することができる。
したがって、本実施形態では、パーキングポール25のロック状態、非ロック状態及びロック状態と非ロックとの間の中間状態を検出するためのロッド位置センサ105が設けられており、コントロールユニット100は、パーキングポール25のロック状態と非ロック状態との間で状態を切り換えるときには、ソレノイド40を、予め設定された基準電力で駆動させる高駆動力状態にして、ストッパ35を、パーキングロッド26に対する規制を解除した規制解除状態にした後、アクチュエータ27によって、パーキングロッド26をその軸方向に移動させ、該移動中に、ロッド位置センサ105によって上記中間状態が検出されたときには、ソレノイド40を、上記基準電力よりも低い所定電力で駆動させる低駆動力状態にして、ストッパ35を上記規制解除状態に維持させるため、パーキングロッド26が移動している間は、ソレノイド40への供給電力が低減される。この結果、パーキングポール25のロック状態と非ロック状態との間で状態を切り換える際に消費されるエネルギーを抑えることができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上述の実施形態では、シフトレンジをシフトレバー50によって切り換えるように構成されていたが、これに限らず、各シフトレンジに対応したボタンが配置されており、該ボタンによって、シフトレンジを選択する構成であってもよい。また、Pレンジのみをボタンにして、その他のシフトレンジをシフトレバーで選択する構成にしてもよい。
また、上述の実施形態では、ストッパ35とソレノイド40とを別体で設けていたが、これに限らず、ストッパ35とソレノイド40とを一体にしてもよい。すなわち、例えば、ソレノイド40の可動部40bが、パーキングロッド26の第1及び第2係合溝36,37と係合して、パーキングロッド26の軸方向の移動を規制するようにしてもよい。この場合は、可動部40bが規制手段に相当し、ソレノイド本体40bが規制解除手段に相当する。
さらに、上述の実施形態では、規制解除手段として、電力によって駆動するソレノイド40を用いていたが、これに限らず、例えば、油圧によって駆動するものを用いてもよい。この場合、規制解除手段は、ストッパ35と第1又は第2係合溝36,37との係合を解除する際に、基準油圧で駆動され、ロッド位置センサ105によって中間状態が検出されたときには、基準油圧よりも低い所定油圧で駆動される。
また、上述の実施形態では、パーキング装置21は自動変速機20の内部に配置されていたが、これに限らず、パーキング装置21が自動変速機20の外部に配置されていてもよい。
さらに、上述の実施形態では、オイルポンプ11は、エンジン10によって駆動するオイルポンプであったが、これに限らず、例えば電動式のオイルポンプのように、エンジンと独立して駆動可能なオイルポンプであってもよい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、パーキングロッドに対する規制手段を有する自動変速機のパーキング制御装置に有用である。
1 車両
20 自動変速機
23 動力伝達軸
24 パーキングギヤ(パーキングロック手段)
25 パーキングポール(パーキングロック手段)
26 パーキングロッド
27 アクチュエータ(パーキング駆動手段)
35 ストッパ(規制手段)
40 ソレノイド(規制解除手段)
100 コントロールユニット(制御手段)
105 ロッド位置センサ(ロック検出手段)
20 自動変速機
23 動力伝達軸
24 パーキングギヤ(パーキングロック手段)
25 パーキングポール(パーキングロック手段)
26 パーキングロッド
27 アクチュエータ(パーキング駆動手段)
35 ストッパ(規制手段)
40 ソレノイド(規制解除手段)
100 コントロールユニット(制御手段)
105 ロッド位置センサ(ロック検出手段)
Claims (4)
- 自動変速機のパーキング制御装置であって、
上記自動変速機の動力伝達軸の回転をロックするためのパーキングロック手段と、
軸方向に移動して、上記パーキングロック手段を、上記動力伝達軸の回転をロックしたロック状態及び該ロックを解除した非ロック状態に切り換えるパーキングロッドと、
上記パーキングロッドを、その軸方向に移動させるためのパーキング駆動手段と、
上記パーキングロック手段の上記ロック状態及び上記非ロック状態において、上記パーキングロッドの軸方向の移動を規制するための規制手段と、
上記規制手段が上記パーキングロッドの軸方向の移動を規制した規制状態を解除するための規制解除手段と、
上記パーキングロック手段の上記ロック状態、上記非ロック状態及び上記ロック状態と上記非ロック状態との間の中間状態を検出するためのロック検出手段と、
上記パーキング駆動手段及び上記規制解除手段の作動制御を行う制御手段と、を備え、
上記制御手段は、上記パーキングロック手段の上記ロック状態と上記非ロック状態との間で状態を切り換えるときには、上記規制解除手段を、予め設定された基準駆動力で駆動させる高駆動力状態にして、上記規制手段を、上記パーキングロッドに対する規制を解除した規制解除状態にした後、上記パーキング駆動手段によって、上記パーキングロッドをその軸方向に移動させ、該移動中に、上記ロック検出手段によって上記中間状態が検出されたときには、上記規制解除手段を、上記基準駆動力よりも低い所定駆動力で駆動させる低駆動力状態にして、上記規制手段を上記規制解除状態に維持させるように構成されている
ことを特徴とする自動変速機のパーキング制御装置。 - 請求項1に記載の自動変速機のパーキング制御装置において、
上記制御手段は、上記規制解除手段を上記低駆動力状態にして、上記規制手段を上記規制解除状態に維持させるようにした後、上記パーキングロッドが、その軸方向に移動している際に、上記ロック検出手段によって、上記ロック状態又は上記非ロック状態が検出されたときには、上記規制解除手段を停止させるように構成されている
ことを特徴とする自動変速機のパーキング制御装置。 - 請求項1又は2に記載の自動変速機のパーキング制御装置において、
上記規制解除手段は、供給電力の大きさによって駆動力が制御されるソレノイドである
ことを特徴とする自動変速機のパーキング制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動変速機のパーキング制御装置において、
上記ロック検出手段は、上記パーキングロッドの所定部位の、上記パーキングロッドの軸方向の位置から、上記パーキングロッドの軸方向の位置を検出して、検出された上記パーキングロッドの軸方向の位置から、上記ロック状態、上記非ロック状態及び上記中間状態を検出するように構成されており、
上記中間状態は、上記パーキングロック手段の上記ロック状態と上記非ロック状態との間で状態を切り換えるために、上記パーキングロッドが、その軸方向に移動している際に、上記所定部位が上記パーキングロッドの軸方向における所定範囲に位置している状態である
ことを特徴とする自動変速機のパーキング制御装置。
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