JP6244959B2 - 円すいころ軸受 - Google Patents
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Description
さらに、前記転動体案内方式である円すいころ軸受の場合、円すいころ103及びポケット105はテーパ形状であり、また、保持器104の柱部108が円すいころ103の軸線よりも径方向外側にあるため、大きな軸方向の隙間が円すいころ103とポケット105との間に形成されていると、保持器104は軸方向一方側へ大きく位置ずれすることができ、これにより、円すいころ103の外周面103aとポケット105との間に、大きな周方向及び径方向の隙間も形成されてしまう。
また、前記軌道輪案内方式である円すいころ軸受の場合には、大きな軸方向の隙間が円すいころ103とポケット105との間に形成され、保持器104が軸方向他方側へ大きく位置ずれすると、外輪軌道面102cと保持器104の外周面との間に、大きな径方向の隙間も形成されてしまう。
なお、円すいころの大端面と第1位置決め部とが接触したときに、大鍔部の内側面と第2位置決め部との軸方向の隙間を、円すいころとポケットとの間に形成される軸方向の隙間よりも小さくすることにより、第2位置決め部が大鍔部の内側面に接触する前に、円すいころ(小端面及び外周面)がポケットに接触するのを防いでいる。
この場合、柱部から径方向内側に延在している突起片が、内輪の大鍔部の内側面に接触することにより、保持器の軸方向他方側への移動が制限される。
この場合、保持器は、外輪軌道面又は円すいころの外周面に接触することで、径方向についての位置決めがされる。
図1は、本発明の円すいころ軸受の実施の一形態を示す縦断面図である。この円すいころ軸受7は、内輪11と、外輪12と、複数の円すいころ13と、これら円すいころ13を保持する環状の保持器14とを備えている。内輪11は、軸受鋼や機械構造用鋼等を用いて形成された環状の部材であり、軸方向一方側(図1では左側)が小径であり軸方向他方側(図1では右側)が大径である内輪軌道面21を有している。また、内輪11は、軸方向両側に環状の小鍔部22及び小鍔部22よりも外径の大きい環状の大鍔部23を有している。外輪12は、軸受鋼や機械構造用鋼等を用いて形成された環状の部材である。外輪12は、内輪11の外周側に同心状に設けられており、内輪軌道面21に対向する外輪軌道面26を有している。
先ず、径方向の位置決めに関して説明する。図2において、保持器14が有している各柱部18は、その周方向両側の側面に、円すいころ13の外周面33の一部と接触可能である接触面36を有している。接触面36は、外周面33の内、円すいころ13の中心線C0よりも径方向外側の領域と接触する。更に、接触面36は、保持器14の径方向に対して傾斜した面であり、径方向外側から内側に向かって斜めに接触する。
前記のとおり(図1と図2参照)、保持器14の小径円環部16と大径円環部17との間であってかつ周方向で隣り合う柱部18の間が、一つの円すいころ13を取り囲んで収容するポケット15とされている。このポケット15の内周面は、小径円環部16の軸方向他方側に向かう(臨む)側面16aと、周方向で隣り合う一対の柱部18それぞれの周方向に向かう(臨む)側面18aと、大径円環部17の軸方向一方側に向かう(臨む)側面17aとの四面によって構成されている。
このように、保持器14が軸方向一方側へ移動しても、この保持器14は、ポケット15の内周面の内の、円すいころ13の大端面31側に、この大端面31に接触することで当該保持器14の軸方向一方側への移動を制限する「第1位置決め部」として、大径円環部17のポケット側面17aを有している。
このように、保持器14が軸方向他方側へ移動しても、この保持器14は、その径方向内側に、大鍔部23の内側面24に接触することで当該保持器14の軸方向他方側への移動を制限する「第2位置決め部」として、突起片19(接触面19a)を有している。
そして、ポケット側面17aが円すいころ13の大端面31に接触した状態(つまり、隙間δ1=0)で、前記隙間δ2は、円すいころ13の小端面32と小径円環部16の側面(ポケット側面)16aとの隙間δ3(図1参照)よりも十分に小さく設定されている。より厳密に説明すると、ポケット側面17aが円すいころ13の大端面31に接触したときに、大鍔部23の内側面24と突起片19(接触面19a)との軸方向の隙間(前記δ2で示す隙間の軸方向成分)を、円すいころ13の小端面32とポケット側面16aとの間に形成される軸方向の隙間(前記δ3で示す隙間の軸方向成分)よりも小さく設定している。これにより、接触面19aが内側面24に接触する前に小端面32とポケット側面16aとが接触するのを防いでいる。
更に、ポケット側面17aが円すいころ13の大端面31に接触したときに、大鍔部23の内側面24と突起片19(接触面19a)との軸方向の隙間(前記δ2で示す隙間の軸方向成分)を、円すいころ13の外周面(転送面)33と保持器14の柱部18の側面18aとの間に形成される隙間の軸方向成分よりも小さく設定している。これにより、接触面19aが内側面24に接触する前に円すいころ13の外周面33と柱部18の側面18aとが接触するのを防いでいる。
なお、ここでいう「軸方向」とは、軸受本体(内輪11、外輪12)の軸線に平行な方向であり、「軸方向成分」は前記軸線に平行な方向の寸法成分をいう。
更に、軸方向についての位置決め部となる大径円環部17のポケット側面17a、及び突起片19の接触面19aは、金型により成型されることから、寸法精度を高くすることができる。また、これら面17a,19aは、滑らかな面とすることができるため、二次加工(仕上げ加工)が不要である。
このように隙間δ1,δ2を小さく設定することができるため、保持器14の軸方向の移動が制限される。したがって、本実施形態のような転動体案内方式の円すいころ軸受7の場合、テーパになっている円すいころ13の外周面33と柱部18の側面18aとの間に形成されている周方向及び径方向の隙間の変化も小さくなる。この結果、回転中の保持器14の位置は安定する。つまり、保持器14は安定して回転することができ、保持器14の振動発生を抑制することが可能となる。
図5は、他の形態に係る円すいころ軸受7の縦断面図である。この図5に示す円すいころ軸受と、図1に示す円すいころ軸受とを比べると、保持器14の径方向の位置決めを行うための構成が異なるが、その他については同じである。なお、図5では、説明のために外輪12を正規位置よりも径方向外側に記載しており、また、外輪12を二点鎖線により示している。
このため、図1に示す円すいころ軸受7の場合と同様に、保持器14の軸方向の移動が制限される。したがって、本実施形態のような軌道輪案内方式の円すいころ軸受7の場合、テーパになっている外輪軌道面26と保持器14の外周面14c(外周接触面37)との間に形成されている径方向の隙間の変化も小さくなる。この結果、回転中の保持器14の位置は安定する。つまり、保持器14は安定して回転することができ、保持器14の振動発生を抑制することが可能となる。なお、図5に示す保持器14についても、その全体を射出成形により成型することができる。
図7は、更に他の形態に係る円すいころ軸受7の縦断面図である。なお、この図7では、円すいころ13を二点鎖線(仮想線)で示している。この図7に示す円すいころ軸受7と、図1に示す円すいころ軸受7とを比べると、保持器14の軸方向の位置決めを行うための構成が異なるが、その他については同じである。また、図7に示す保持器14は、冷間圧延鋼板・鋼帯(SPCC)等の薄肉の炭素鋼からなる。又はステンレス鋼や銅合金等の金属製であってもよい。
更に説明すると、保持器14は、大径円環部17と同じ部材から形成されかつこの大径円環部17から軸方向他方側へ突出している板片40を有している。そして、この保持器14(板片40を含む大径円環部17)は金属製であることから、板片40は塑性変形が可能である。また、板片40は、柱部18と同じ周方向ピッチで設けられており(図8参照)、しかも、柱部18の軸方向の延長線に沿って板片40は設けられている(図7参照)。そこで、前記中継部41は、図7に示すように、この板片40の基部40aを(180度)軸方向一方側へ折り返して形成した部分からなり、また、前記延在部42は、この中継部41の先部41a(板片40の先部)を径方向内側へ折り曲げて形成した部分からなる。
この結果、回転中の保持器14の位置は安定する。つまり、保持器14は安定して回転することができ、保持器14の振動発生を抑制することが可能となる。
更に、図1及び図5に示す保持器14の場合においても、突起片19を全ての柱部18に設けなくてもよく、間欠的であってもよい。
前記各実施形態において、円すいころ13の大端面31は研磨等による仕上げ加工面であるが、小端面32は鍛造加工面のままであることから寸法精度が低く、円すいころ13全体における軸方向についての寸法公差は、例えば0.3mm程度と大きくなっている。したがって、この円すいころ13を収容する保持器14のポケット15の軸方向寸法については、円すいころ13の前記寸法公差を考慮して設定する必要があり、ポケット15と円すいころ13との間に形成される軸方向の隙間全体は、前記寸法公差よりも大きく設定されている。
しかし、本発明の前記各実施形態によれば、例えば、突起片19の接触面19a(図3参照)が大鍔部23の内側面24に接触した状態(つまり、隙間δ2=0)で、円すいころ13の前記寸法公差と関係なく(この寸法公差の影響を受けないで)隙間δ1を小さく設定することができる。つまり、接触面19a(42a)とポケット側面17aとを(向きは異なるが)共通する面上に形成することも可能である。このため、保持器14の軸方向の移動が制限され、転動体案内の円すいころ軸受7の場合、テーパになっている円すいころ13の外周面33と柱部18の側面18aとの隙間の変化も小さくなる。なお、軌道輪案内の円すいころ軸受7の場合、テーパになっている外輪軌道面26と保持器14の外周面14cとの隙間の変化も小さくなる。この結果、回転中の保持器14の位置は安定する。つまり、保持器14は安定して回転することができ、保持器14の振動発生を抑制することが可能となる。
しかし、前記各実施形態の保持器14によれば、突起片19及び延在部42が、内輪軌道面21と大鍔部23の内側面24との境界の領域を径方向外側から部分的に覆っているため、前記のような潤滑油の飛散を抑制することができる。これにより、円すいころ13の大端面31と大鍔部23の内側面24との間における油膜切れによる焼き付きを抑制することが可能となる。
13:円すいころ 14:保持器 15:ポケット
16:小径円環部 17:大径円環部 17a:ポケット側面(第1位置決め部)
18:柱部 19:突起片(第2位置決め部) 19a:接触面
21:内輪軌道面 23:大鍔部 24:内側面
26:外輪軌道面 31:大端面 36:接触面(径方向位置決め部)
37:外周接触面(径方向位置決め部) 40:板片
41:中継部 42:延在部
Claims (4)
- 軸方向一方側が小径であり軸方向他方側が大径である内輪軌道面を有する内輪と、この内輪の外周側に同心状に設けられ前記内輪軌道面に対向する外輪軌道面を有する外輪と、前記内輪軌道面と前記外輪軌道面との間に介在している複数の円すいころと、前記円すいころを収容するポケットが周方向に沿って複数形成されている環状の保持器と、を備え、
前記内輪は、前記円すいころの大端面と接触する内側面を有している大鍔部を備え、
前記保持器は、前記円すいころの前記大端面に接触することで当該保持器の軸方向一方側への移動を制限する第1位置決め部と、前記大鍔部の前記内側面に接触することで当該保持器の軸方向他方側への移動を制限する第2位置決め部と、を有し、
前記円すいころの前記大端面と前記第1位置決め部とが接触したときに、前記大鍔部の前記内側面と前記第2位置決め部との軸方向の隙間が、前記円すいころと前記ポケットとの間に形成される軸方向の隙間よりも小さいことを特徴とする円すいころ軸受。 - 前記保持器は、軸方向に離れて設けられている小径円環部及び大径円環部と、これら小径円環部と大径円環部とを繋ぐ複数の柱部と、を有し、周方向で隣り合う柱部の間が前記ポケットとされており、
前記第2位置決め部は、前記柱部から径方向内側に延在し前記大鍔部の前記内側面に接触する突起片からなる請求項1に記載の円すいころ軸受。 - 前記保持器は、軸方向に離れて設けられている小径円環部及び大径円環部と、これら小径円環部と大径円環部とを繋ぐ複数の柱部と、を有し、周方向で隣り合う柱部の間が前記ポケットとされており、
前記第2位置決め部は、前記大径円環部と一体であり当該大径円環部の径方向内側に位置する中継部と、当該中継部から径方向内側に延在して前記大鍔部の前記内側面に接触する延在部と、を有しており、
前記中継部は、前記大径円環部から軸方向他方側へ突出する金属製の板片の基部を軸方向一方側へ折り返して形成した部分からなり、
前記延在部は、前記中継部の先部を径方向内側へ折り曲げて形成した部分からなる請求項1に記載の円すいころ軸受。 - 前記保持器は、前記外輪軌道面又は前記円すいころの外周面に接触することで当該保持器の径方向への移動を制限する径方向置決め部を更に有している請求項1〜3のいずれか一項に記載の円すいころ軸受。
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