JP6244768B2 - 光送信器及び光送信器の起動方法 - Google Patents

光送信器及び光送信器の起動方法 Download PDF

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本発明は、光送信器及び光送信器の起動方法に関する。
光トランシーバは光信号を送信する光送信部と光信号を受信する光受信部とを備える。光送信部は、例えば、独立した一つの光送信器を構成することができる。そのような光送信部(光送信器)では、光送信信号の波長や発光パワーを適切に制御するために、光送信に用いるレーザダイオードの温度を所定の範囲内に制御している。具体的には、レーザダイオードの起動前に、レーザダイオードと熱的に結合された熱電素子に電流を流し、ペルチェ効果によりレーザダイオードの温度制御を行っている。
上述した熱電素子に流れる電流をはじめとして、光トランシーバの起動時には一時的に大電流(いわゆる突入電流)が流れる場合がある。このような突入電流を抑制するため、例えば特許文献1では、レーザダイオードの温度と周囲温度との差に応じて熱電素子に流れる電流を制限している。
特開2003−273447号公報 特開2006−54316号公報 特開2008−312046号公報
昨今、通信ネットワークの高速化・大容量化のために、光トランシーバの小型化及び低消費電力化が市場から要求されている。そのため、光送信部(光送信器)についても従来よりも高密度に実装された製品が開発されている。高密度化を実現するためには、各構成要素を小さくして相互の距離を縮めることが好ましい。それによって、例えば、レーザダイオードを駆動する駆動回路は通常は温度制御を必要としないが、レーザダイオードだけでなく駆動回路も熱電素子と近接して熱的に強く結合された構成となる場合がある。しかしながら、駆動回路が熱電素子と熱的に結合されることにより、駆動回路の発熱の影響が温度制御におよぶこととなり、起動時に熱電素子に流れる電流(突入電流)が更に増大するという問題がある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、高密度化された内部構成においても突入電流を低減できる光送信器及び光送信器の起動方法を提供することを目的とする。
本発明に係る光送信器は、その一側面として、発光素子と、発光素子を駆動する駆動回路と、発光素子及び駆動回路と熱的に結合された熱電素子と、発光素子の温度を検出する第1の温度検出器と、を有する光送信モジュールと、熱電素子を制御して第1の温度検出器によって検出される温度を目標温度に近づけるTEC制御部と、TEC制御部、駆動回路、及び発光素子を制御する演算処理部と、光送信モジュールの周囲温度を検出する第2の温度検出器と、を備え、演算処理部は、第2の温度検出器より周囲温度の情報を受け取り、TEC制御部、駆動回路、及び発光素子を起動する際に、周囲温度が目標温度より高い場合には、TEC制御部を起動した後に駆動回路を起動し、周囲温度が目標温度より低い場合には、駆動回路を起動した後にTEC制御部を起動する。
本発明によれば、高密度化された内部構成においても突入電流を低減できる光送信器及び光送信器の起動方法を提供することができる。
第1実施形態に係る光トランシーバの構成を示すブロック図である。 図1に示す光トランシーバの光送信部(光送信器)の構成を示すブロック図である。 図1に示す光トランシーバにおける起動処理を説明するためのフローチャートである。 比較例に係るTEC電流の変化を示すタイミングチャートである。 比較例に係るTEC電流の変化を示すタイミングチャートである。 第1実施形態に係るTEC電流の変化を示すタイミングチャートである。 第2実施形態に係る光トランシーバの構成を示すブロック図である。 第2実施形態に係る光トランシーバにおける温度差と起動時間差との関係を示す図である。 第2実施形態に係る光トランシーバの起動処理を説明するためのフローチャートである。 第3実施形態に係る光トランシーバの起動処理を説明するためのフローチャートである。 第3実施形態に係る光トランシーバにおける目標値とTEC電流との関係を示す図である。 第3実施形態に係る光トランシーバにおけるTEC電流の変化を示すタイミングチャートである。 第4実施形態に係る光トランシーバの集積光送信モジュールの構成を示すブロック図である。 第4実施形態に係る光トランシーバにおけるTEC電流の変化を示すタイミングチャートである。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明に係る光送信器は、その一側面として、発光素子と、発光素子を駆動する駆動回路と、発光素子及び駆動回路と熱的に結合された熱電素子と、発光素子の温度を検出する第1の温度検出器と、を有する光送信モジュールと、熱電素子を制御して第1の温度検出器によって検出される温度を目標温度に近づけるTEC制御部と、TEC制御部、駆動回路、及び発光素子を制御する演算処理部と、光送信モジュールの周囲温度を検出する第2の温度検出器と、を備え、演算処理部は、第2の温度検出器より周囲温度の情報を受け取り、TEC制御部、駆動回路、及び発光素子を起動する際に、周囲温度が目標温度より高い場合には、TEC制御部を起動した後に駆動回路を起動し、周囲温度が目標温度より低い場合には、駆動回路を起動した後にTEC制御部を起動する。
この光送信器では、第2の温度検出器が検出した温度によって構成要素の起動順序を替える。すなわち、第2の温度検出器が検出した光送信モジュールの周囲温度が所定の目標温度よりも高く、熱電素子によって発光素子(レーザダイオード)を冷却する必要がある場合には、TEC制御部を駆動回路よりも先に起動し、また、第2の温度検出器が検出した光送信モジュールの周囲温度が所定の目標温度よりも低く、熱電素子によって発光素子(レーザダイオード)を加熱する必要がある場合には、駆動回路をTEC制御部よりも先に起動する。このことにより、光送信モジュールの周囲温度が所定の目標温度よりも高い(発光素子を冷却する必要がある)場合には、駆動回路が起動する前に、冷却のための電流が熱電素子に流れることとなり、駆動回路の発熱に影響されて熱電素子に流れる突入電流が増大することを抑制できる。一方、光送信モジュールの周囲温度が所定の目標温度よりも低い(発光素子を加熱する必要がある)場合には、先行して駆動された駆動回路の発熱を利用することによって、熱電素子に流れる突入電流を低減できる。以上より、本発明によれば、全体として突入電流を低減することができる。
また、演算処理部は、TEC制御部の起動と、駆動回路の起動との時間差を、周囲温度と、目標温度との差の単調増加関数に基づいて決定してもよい。この場合、TEC制御部及び駆動回路の起動時間差を、周囲温度と目標温度との差に応じた適切なものとできる。このことにより、比較的簡易な関係式によってTEC制御部と駆動回路の起動時間を決めることができ、省電力モードから運用モードへ遷移するための時間が所定の規格値を越えないようにすることができる。
また、演算処理部は、目標温度として第1の目標値が設定され、周囲温度が第1の目標値よりも高い場合には、第1の目標値に替えて、第1の目標値よりも低い第2の目標値を目標温度として設定してTEC制御部を起動し、発光素子の温度が第1の目標値以下になった際に、第2の目標値に替えて第1の目標値を目標温度として再設定して駆動回路を起動してもよい。本来の目標温度である第1の目標値よりも低い温度である第2の目標値を一時的に目標温度として設定することにより、熱電素子による冷却時間を短縮できる。すなわち、省電力モードから運用モードに遷移するまでの遷移時間を短縮できる。
また、光送信器は、記憶部をさらに備え、記憶部は、周囲温度が目標温度より高い場合及び低い場合のそれぞれについて、TEC制御部及び駆動回路を起動するタイミングを決定する情報を記憶しており、演算処理部は、記憶部に記憶された情報に基づいて、TEC制御部及び駆動回路を起動するタイミングを決定してもよい。記憶部がTEC制御部等を起動するタイミングを決定する情報を記憶していることにより、演算処理回路は、起動するタイミングを簡易に決定できる。
また、本発明に係る光送信器の起動方法は、その一側面として、発光素子と、該発光素子を駆動する駆動回路と、該発光素子及び該駆動回路と熱的に結合された熱電素子と、を有する光送信モジュールと、熱電素子を制御するTEC制御部と、を備える光送信器の起動方法であって、光送信モジュールの周囲温度が熱電素子の目標温度よりも低い時に、駆動回路をTEC制御部よりも早く起動し、該周囲温度が該目標温度よりも高い時に、TEC制御部を駆動回路よりも早く起動する。また、TEC制御部の起動と、駆動回路の起動との時間差を、周囲温度と目標温度との差の単調増加関数に基づいて決定してもよい。また、TEC制御部の起動と、駆動回路の起動との時間差を、周囲温度と目標温度との差の単調増加関数に基づいて決定してもよい。また、目標温度として第1の目標値が設定され、周囲温度が第1の目標値よりも高い場合には、第1の目標値に替えて、第1の目標値よりも低い第2の目標値を目標温度として設定してTEC制御部を起動し、発光素子の温度が第1の目標値以下になった際に、第2の目標値に替えて第1の目標値を目標温度として再設定して駆動回路を起動してもよい。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態にかかる光送信器及び光送信器の起動方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る光トランシーバの構成を示す図である。光トランシーバ1は、例えば1300nm帯の4波長を使用して2芯双方向で光信号を送受信する100ギガビット光トランシーバであり、外部装置(上位レイヤ)に対して活線挿抜可能なモジュールとなっている。このような光トランシーバに係る外径、端子配置、電気的特性、及び光学的特性に関する規格は、例えば、MSA(Multi-Source Agreement)規格のCFP(100G Form-factorPluggable)2またはCFP4等によって規定されつつある。
光トランシーバ1は、集積光送信モジュール11(光送信モジュール)と、演算処理回路(MCU)12(演算処理部)と、熱電素子制御回路(TEC制御回路)13(TEC制御部)と、周囲温度検出器14(第2の温度検出器)と、LDバイアス電流回路15と、電圧生成回路17(内部電圧生成部)と、通信制御回路18(通信制御部)と、信号処理回路(CDR)19,22と、集積光受信モジュール21(光受信器)とを備えている。
集積光送信モジュール11は、互いに独立した4つの25Gbps電気信号をそれぞれ波長の異なる4つの光信号に変換した後に、各光信号を合波して波長多重信号として100Gbps光信号を出力する。集積光送信モジュール11に入力される電気信号は、信号処理IC40において10本の10Gbps電気信号から4本の25Gbps電気信号に変換された後に、CDR(Clock Data Recovery)19においてクロックデータリカバリが行われたものである。
集積光受信モジュール21は、1つの波長多重信号として100Gbps光信号を受信して、それを4波長に分波し、各波長毎に25Gbps電気信号に変換して出力する。集積光受信モジュール21が出力した4つの25Gbps電気信号は、CDR22に入力されてCDR22においてクロックデータリカバリが行われた後に、信号処理IC40により10本の10Gbps電気信号に変換され出力される。
上記構成要素のうち、集積光送信モジュール11、MCU12、TEC制御回路13、周囲温度検出器14、及びLDバイアス電流回路15により光送信部(光送信器)10が構成されている。光送信部10の詳細な構成について、図2を参照して説明する。図2は、図1に示す光トランシーバの光送信部(光送信器)の構成を示すブロック図である。
集積光送信モジュール11は、互いに発振波長の異なる4個のLD51(発光素子)と、LDドライバ回路52(駆動回路)と、光合波器53と、熱電素子(TEC)54と、素子温度検出器55(第1の温度検出器)と、を有している。4個のLD51、LDドライバ回路52、光合波器53、熱電素子54、および素子温度検出器55は1つのパッケージ内に集積化された集積TOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)である。
LD(Laser Diode)51は、例えば、分布帰還型レーザダイオード、フェブリベロ―型レーザダイオード又は面発光型レーザダイオード等である。LD51にはLDバイアス電流回路15が接続されている。LD51は、LDバイアス電流回路15からバイアス電流を与えられることによって発光し、LDバイアス電流回路15がバイアス電流を遮断すると発光が停止する。LDバイアス電流回路15は、MCU12から入力されるLDバイアス電流回路イネーブル信号に応じてバイアス電流を制御する。なお、図2では、説明を容易にするためTEC54上に各LD51が積層されるように記載しているが、実際には、全てのLD51がTEC54上に実装されている。よって、全てのLD51がTEC54と熱的に結合している。
LDドライバ回路52は、MCU12から入力されるLDドライバ回路イネーブル信号に応じて、LD51の出力光を変調するための駆動信号を出力する。LDドライバ回路52は、互いに発振波長の異なる4個のLD51を並列に駆動する4個の駆動回路を内蔵した4ch Driver ICであり、各駆動回路はそれぞれ異なるLD51に接続されている。そのため、LDドライバ回路52が出力した4本の駆動信号は、それぞれ異なる4個のLD51に入力される。それぞれ異なるLD51に入力される4本の駆動信号は、LDドライバ回路イネーブル信号によって、例えば、LDドライバ回路イネーブル信号がHighレベルのときには出力され、LDドライバ回路イネーブル信号がLowレベルのときには遮断される、というように制御される。LDドライバ回路52は、LDドライバ回路イネーブル信号によって駆動信号を遮断するときに、駆動信号を出力するときよりも自身の消費する電源電流が抑制されることが好ましい。なお、LDドライバ回路52は、小型化及び製造容易性の観点から、TEC54上に実装されている。よって、LDドライバ回路52は、TEC54と熱的に結合している。LDドライバ回路52は、高速データレートである25GbpsでLD51を駆動させるため、例えば数Wの電力を消費する。
光合波器53は、4個のLD51から出力された出力光を合波し、一つの波長多重信号として100Gbps光信号を出力する。なお、光合波器53は、光学的特性の温度依存性が比較的大きく特性温度を一定に保つ必要がある場合には、TEC54上に実装されることが好ましいが、実装されていなくてもよい。光合波器53は、例えば光学薄膜を利用した光学フィルター等を組み合わせたものやアレイ導波路型回折格子(AWG: Arrayed Waveguide Grating)によって構成される。
TEC(ThermoElectric Cooler)54は、ペルチェ効果を利用してLD51の冷却又は加熱を行う小型デバイスである。TEC54によってTEC上面の温度を所望の目標値T0に保つことで、LD51の発振波長を所望の値とすることができる。TEC54は、例えば、TEC下面(放熱面)の温度をT4とした時に、T4>T0(目標値)とするときには冷却を行い、T4<T0とするときには加熱を行う。加熱の場合と冷却の場合とで、TECに印加する電圧とTECに流す電流の向きとは反対になる。そのため、制御にはHブリッジ回路等を備えた専用の制御回路が必要となる。TEC54は、温度差T4−T0が大きくなるほど大きな電力を必要とし、LD51の温度を数10℃冷却又は加熱するために例えば数Wの電力を消費する。
TEC54上面の温度は、TEC54に実装された素子温度検出器55により検出される。素子温度検出器55は例えばサーミスタである。サーミスタは温度の変化によって抵抗値が変化するため、例えば、抵抗値の変化を抵抗分圧回路によって電圧の変化として検出することで基準温度に対する温度変化を算出して、温度を推定することができる。素子温度検出器55は、温度検出信号(例えば、前述の電圧値)をTEC制御回路13およびMCU12に入力する。MCU12は、内部のDA変換器によって一定の周期(例えば数10mS〜数100mS間隔)で温度検出信号をディジタル値として取り込む。なお、上述したようにTEC54上にはLD51が実装されているため、素子温度検出器55が検出するTEC54上面の温度をLD温度として、以下説明する。
MCU(Micro Controller Unit)12は、イネーブル信号を入力することによりTEC制御回路13及びLDドライバ回路52を起動する。また、MCU12は、イネーブル信号の入力によりLDバイアス電流回路15を起動し、LD51を作動させる。各々のイネーブル信号は、第1の目的は信号を受ける各々の回路の出力を可能とするか不可(遮断)とするかの制御にあるが、各々の回路は出力を不可(遮断)とする際に回路自身の消費電流が低減されることが好ましい。
このようなMCU12による各構成の制御は、通信制御回路18を介して接続された外部装置30(図1参照)からの指示信号に基づいて行われる。なお、MCU12に接続された通信制御回路18は、通信バスを介して外部装置30と接続されている。
MCU12は、外部装置30からの指示信号に基づいて省電力モードと運用モードとを相互に切り替えることで集積光送信モジュール11を制御する。ここで、省電力モードとは、TEC制御回路13、LDドライバ回路52、及びLD51(すなわちLDバイアス電流回路15)を停止させたモードである。すなわち、光トランシーバ1の電源投入時(起動時)等に、マイクロコンピュータを含む制御回路の一部を起動し、内部状態の監視、及び、ホストである外部装置30との通信の確立等の限られた機能のみを作動させた状態が省電力モードである。なお、変形例として、省電力モードのときに、集積光受信モジュール21、信号処理回路19,22、電圧生成回路17等を停止させても良い。
また、運用モードとは、TEC制御回路13、LDドライバ回路52、及びLD51(すなわちLDバイアス電流回路15)を起動したモードである。すなわち、外部装置30からの指示信号に基づいて、集積光送信モジュール11、集積光受信モジュール21、及びそれらの制御に係る回路を起動して光信号の送受信が可能になった状態が運用モードである。なお、外部装置30からの指示信号に基づいて省電力モードと運用モードとを相互に往来する場合もあるため、省電力モードには、電源投入時のみならず一度運用モードとなった後に遷移する場合も含まれる。また、各回路の「起動」には、電源投入時だけでなく、省電力モードから運用モードへ遷移する際の動作も含まれる。MCU12による省電力モードから運用モードへの切替え時の処理については後述する。
TEC制御回路13は、TEC54を制御してLD温度を、MCU12からの指示信号に基づいて設定された目標値T0に近づける。具体的には、TEC制御回路13は、TEC54に接続されており、MCU12から入力されるTEC制御回路イネーブル信号に応じて起動し、TEC54を作動させる。TEC制御回路13によるLD温度の制御は、ATC(Automatic Temperature Contorol)と称されるフィードバック制御によって行われる。すなわち、素子温度検出器55からのLD温度検出信号によってTEC上面の温度(LD温度)を検出し、それが目標値T0と一致するように専用の駆動回路にてTEC54に必要な電圧および電流を与えて加熱または冷却を行わせる。
周囲温度検出器14は、光トランシーバ1内における集積光送信モジュール11の周囲温度T1を検出する。MCU12は周囲温度検出器14から入力された温度検出信号を一定の周期(例えば数10mS〜数100mS間隔)でディジタル値として取り込む。
次に、省電力モードから運用モードへの切り替え処理について、光トランシーバ1の起動時における処理を例に、図3を参照して説明する。図3は、図1に示す光トランシーバにおける起動処理を説明するためのフローチャートである。
まず、MCU12により電圧生成回路17が起動される(S1)。電圧生成回路17は、外部電源から、集積光送信モジュール11及びLDバイアス電流回路15が必要とする少なくとも1つの内部電源を生成するものである。MCU12は、内部電圧を集積光送信モジュール11若しくはLDバイアス電流回路15に供給するか、又は、供給を停止するかを、専用信号線あるいはシリアル通信バス等を介して電圧生成回路17に指示する。
つづいて、MCU12により、TEC制御回路13にLD温度の目標値T0が設定される(S2)。目標値T0は、MCU12が所定のメモリ(図示せず)から目標値T0を読み込み、TEC制御回路13に設定することができる。また、目標値T0は、TEC制御回路13に予め記憶され、MCU12からの設定指示信号に基づいて設定されるものであってもよい。なお、MCU12による目標値T0の設定は、例えば専用の信号線を介して電圧値によって与えても良いし、シリアル通信バス等を介してディジタル値にて与えても良い。
つづいて、周囲温度検出器14により、光トランシーバ1内における集積光送信モジュール11の周囲温度T1が検出される(S3)。具体的には、MCU12は周囲温度検出器14内のレジスタに格納された周囲温度T1のディジタル値をシリアル通信バスを介して読み込む(受け取る)ことができる。また、専用の信号線を介して周囲温度検出信号(電圧値)をDA変換によって取り込んで所定の演算によって周囲温度T1を推定しても良い。その場合、周囲温度T1は所定の周期でMCU12に入力されるようにできる。
つづいて、MCU12により、周囲温度T1と目標値T0とが比較される(S4)。具体的には、MCU12により、集積光送信モジュール11の周囲温度T1がLD温度の目標値T0よりも高いか否かが判断される。当該判断の結果に応じて、TEC制御回路13、LDドライバ回路52、及びLDバイアス電流回路15を起動する順序が決定する。
S4において、集積光送信モジュール11の周囲温度T1がLD温度の目標値T0よりも高い場合、すなわち、TEC54の上面を冷却してLD温度を下げる場合には、MCU12によって、まずTEC制御回路13が起動させられる(S5)。TEC制御回路13の起動により、省電力モードから運用モードへの切替えが開始される。TEC制御回路13が起動することにより、LD温度は目標値T0に向かって下降する。LD温度は、素子温度検出器55によって検出され、一定の周期でMCU12に入力される(S6)。
そして、MCU12によりLD温度の検出結果が目標値T0と同程度となっているか否かが判断される(S7)。LD温度の検出結果が目標値T0と同程度となっている場合には、MCU12によりLDドライバ回路52が起動させられる(S8)。なお、LD温度の検出結果が目標値T0と同程度となるまでは、上述したS6及びS7の処理が繰り返される。なお、LD温度が安定して目標値T0になっているか否かはTEC制御回路13が判定しても良く、判定した結果をMCU12に通知する構成をとることもできる。
LDドライバ回路52が起動させられ、TEC54に流れるTEC電流が定常状態となった後に、MCU12によりLDバイアス電流回路15が起動させられる(S9)。LDバイアス電流回路が起動することにより、LD51が発光して光信号の送信が始まり、光トランシーバ1は運用モードへの遷移を完了する。すなわち、このような処理においては、TEC制御回路13が起動するまでが省電力モードであり、その後、LDバイアス電流回路15が起動するまでが省電力モードから運用モードへの遷移期間であり、LDバイアス電流回路15が起動した後が運用モードである。
一方、S4において、集積光送信モジュール11の周囲温度T1がLD温度の目標値T0と同じか又は低い場合、すなわち、TECの上面を加熱してLD温度を上げる場合には、MCU12によって、まずLDドライバ回路52が起動させられる(S10)。LDドライバ回路52の起動により、省電力モードから運用モードへの切替えが開始される。
そして、LDドライバ回路52の起動後、所定のタイミングで、MCU12によって、TEC制御回路13が起動させられる(S11)。TEC制御回路13が起動することにより、LD温度は目標値T0に向かって上昇する。LD温度は、素子温度検出器55によって検出され、一定の周期でMCU12に入力される(S12)。
つづいて、MCU12によりLD温度の検出結果が目標値T0と同程度となっているか否かが判断される(S13)。LD温度の検出結果が目標値T0と同程度となっている場合には、MCU12によりLDバイアス電流回路15が起動させられる(S9)。LDバイアス電流回路が起動することにより、LD51が発光して光信号の送信が始まり、光トランシーバ1は運用モードへの遷移を完了する。LD温度の検出結果が目標値T0と同程度となるまでは、上述したS12及びS13の処理が繰り返される。以上が、省電力モードから運用モードへの切り替え処理である。なお、LD温度が安定して目標値T0になっているか否かはTEC制御回路13が判定しても良く、判定した結果をMCU12に通知する構成をとることもできる。
以上、本実施形態に係る光送信部10では、集積光送信モジュール11の動作状態を省電力モードから運用モードに遷移させる際に、周囲温度検出器14により検出された、光トランシーバ1内における集積光送信モジュール11の周囲温度T1によって、TEC制御回路13及びLDドライバ回路52を起動する順序を替えている。
具体的には、周囲温度T1がLD温度の目標値T0よりも高く、TEC54の上面を冷却してLD温度を下げる必要がある場合には、TEC制御回路13をLDドライバ回路52よりも先に起動し、LD温度がある程度まで下がるか、T0に近づいてからLDドライバ回路52を起動する。
光トランシーバ1がCFP2やCFP4といった小型のものである場合には、本実施形態のようにTEC54上に、LD51及びLDドライバ回路52が実装され、これらが熱的に結合される。そのため、LDドライバ回路52が起動した場合には、LDドライバ回路52が作動することにより発生する発熱の影響がTEC54に及ぶこととなり、LD温度を下げるために流れるTEC電流は増大することとなる。
この点、上述したように、LD温度を下げる必要がある場合にTEC制御回路13をLDドライバ回路52よりも先に起動することにより、LDドライバ回路52の発熱に影響されてTEC電流のピーク値(突入電流)が増大することを抑制できる。すなわち、LDドライバ回路52を起動させると熱が発生し、その熱を吸収して集積光送信モジュール11の外部へ逃がすために一時的にTEC電流は増えるが、TEC電流のピークよりも遅れて流れるためにピーク値の増大には寄与しない。
また、周囲温度T1がLD温度の目標値T0以下であり、TEC54の上面を加熱してLD温度を上げる必要がある場合には、LDドライバ回路52をTEC制御回路13よりも先に起動している。
TEC54の上面を加熱してLD温度を上げる必要がある場合にLDドライバ回路52をTEC制御回路13よりも先に起動することにより、LDドライバ回路52の発熱をTEC54の上面の加熱のために利用することができるため、本来その分に相当した加熱に必要なTEC電流(突入電流)を低減することができる。以上より、周囲温度T1によって、TEC制御回路13及びLDドライバ回路52を起動する順序を替えることにより、突入電流を低減することができる。
ここで、TEC電流のピーク値(突入電流)の低減について、比較例と本実施形態とを比較して説明する。図4及び図5は、比較例に係るTEC電流の変化を示すタイミングチャートである。図6は、第1実施形態に係るTEC電流の変化を示すタイミングチャートである。図4及び図5に示した比較例では、周囲温度T1と目標値T0との高低によりTEC制御回路13及びLDドライバ回路52を起動する順序を替えることは行っていない。なお、図4〜図6では、TECの上面を冷却してLD温度を下げる場合、及び、TECの上面を加熱してLD温度を上げる場合のTEC電流の変化を示しており、TEC制御回路を起動させるタイミングにおいて、それぞれの図面間で必要となる冷却温度は同一であり、また、加熱温度も同一である。
図4は、TEC制御回路とLDドライバ回路とを同時に起動した場合の比較例である。図4において、Icool0はTEC54の上面を冷却してLD温度を下げる場合(以下「冷却時」と記載する場合がある)のTEC電流ピーク値を、Iheat0はTEC54の上面を加熱してLD温度を上げる場合(以下、「加熱時」と記載する場合がある)のTEC電流ピーク値を、それぞれ示している。また、tcool0は冷却時においてTEC電流が定常状態となるまでの時間を、theat0は加熱時においてTEC電流が定常状態となるまでの時間を、それぞれ示している。なお、TEC電流は加熱の場合と冷却の場合とで向きが変わるために、片方を正とすれば他方は負となる。図4〜図6では、説明の便宜上、それぞれの絶対値を重ねて描いている。
図4に示されるように、TEC制御回路とLDドライバ回路とを同時に起動した場合においては、加熱時におけるTEC電流ピーク値は比較的小さくなるものの、冷却時におけるTEC電流ピーク値が大きくなってしまう。これは、TEC制御回路と同時にLDドライバ回路が起動することにより、LDドライバ回路で発生する発熱量の影響がTECに及ぶことを原因としている。以上より、TEC制御回路とLDドライバ回路とを同時に起動した場合においては、冷却時におけるTEC電流ピーク値が大きくなり、突入電流を十分に抑制することができない。
図5は、TEC制御回路を起動して所定時間経過した後にLDドライバ回路を起動した場合の比較例である。図5において、Icool1は冷却時のTEC電流ピーク値を、Iheat1は加熱時のTEC電流ピーク値を、それぞれ示している。また、tcool1は冷却時においてTEC電流が定常状態となるまでの時間を、theat1は加熱時においてTEC電流が定常状態となるまでの時間を、それぞれ示している。
図5に示されるように、TEC制御回路を起動して所定時間経過した後にLDドライバ回路を起動した場合においては、冷却時におけるTEC電流ピーク値は比較的小さくなるものの、加熱時におけるTEC電流ピーク値が大きくなってしまう。以上より、TEC制御回路を起動して所定時間経過した後にLDドライバ回路を起動した場合においては、加熱時におけるTEC電流ピーク値が大きくなるため、突入電流を十分に抑制することができない。
すなわち、図4及び図5に示した比較例のように、周囲温度T1と目標値T0との高低に応じてTEC制御回路及びLDドライバ回路を起動する順序を替えることを行わずにTEC制御回路及びLDドライバ回路を起動した場合には、突入電流を十分に抑制することができない。
この点、図6に示される本実施形態のように、周囲温度T1がLD温度の目標値T0よりも高い場合には、TEC制御回路13を起動してからΔt=t1経過した後にLDドライバ回路52を起動するとともに、周囲温度T1がLD温度の目標値T0以下の場合には、LDドライバ回路52を起動してからΔt=t2経過した後にTEC制御回路13を起動することにより、冷却時及び加熱時のいずれの場合においてもTEC電流ピーク値が小さくなる。すなわち、突入電流を十分に抑制することができる。なお、図6において、Icool2は冷却時のTEC電流ピーク値を、Iheat2は加熱時のTEC電流ピーク値を、それぞれ示している。また、tcool2は冷却時においてTEC電流が定常状態となるまでの時間を、theat2は加熱時においてTEC電流が定常状態となるまでの時間を、それぞれ示している。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の光トランシーバを、図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態に係る光トランシーバの構成を示す図である。第2実施形態に係る光トランシーバ1Aは、基本的な構成は第1実施形態に係る光トランシーバ1と同様である。但し、光トランシーバ1Aの光送信部10Aは、メモリ16(記憶部)を有している点で、第1実施形態に係る光トランシーバ1と異なっている。以下、異なる構成であるメモリ16を中心に説明する。
メモリ16は、MCU12によるTEC制御回路13及びLDドライバ回路52へのイネーブル信号の入力タイミングに関する情報を記憶する記憶装置である。具体的には、メモリ16は、周囲温度T1及び目標値T0の差である温度差T1−T0から、TEC制御回路13の起動時間(TEC制御回路イネーブル信号の入力タイミング)及びLDドライバ回路52の起動時間(LDドライバ回路イネーブル信号の入力タイミング)の差である起動時間差Δtを導出するための情報であるパラメータαを記憶している。
このようなパラメータαは、例えば、図8(a)に示されるような、温度差T1−T0の単調増加一次関数のパラメータ(比例定数)である。この場合、メモリ16には、起動時間差Δt=α(T1−T0)となるようなパラメータαが記憶されている。温度差T1−T0=0を境に符号が変わることは、温度差T1−T0=0を境にTEC制御回路13及びLDドライバ回路52の起動順序が入れ替わることを示している。すなわち、起動時間差Δtが正の値であるときには、TEC制御回路13を起動してから起動時間差Δtだけ経過した後にLDドライバ回路52を起動することを示しており、また、起動時間差Δtが負の値であるときには、LDドライバ回路52を起動してから起動時間差Δtの絶対値に相当する分だけ経過した後にTEC制御回路13を起動することを示している。
MCU12は、メモリ16に記憶されたパラメータαに係る上述した単調増加一次関数に基づいて、起動時間差Δtを決定する。これにより、温度差T1−T0に応じた適切な起動時間差Δtを導出することができる。そのため、比較的簡易な関係式によってTEC制御部と駆動回路の起動時間を決めることができる。例えば温度差T1−T0が小さい場合に起動時間差Δtを大きくしてしまうといったことがなく、省電力モードから運用モードへ遷移するための時間が所定の規格値を越えないようにすることができる。また、メモり16がパラメータαを記憶していることにより、MCU12は簡易に起動時間差Δtを決定できる。
ここで、省電力モードから運用モードに切替えるまでの時間は、要求規格値により定まっている場合がある。このような要求規格値を考慮すると、上述した起動開始時間差Δtには下限及び上限が必要となる。
そのため、図8(b)に示されるような増加一次関数により起動時間差Δtを導出することが考えられる。当該単調増加一次関数では、起動時間差Δtの絶対値が、要求規格値に定められたモード切替えに要する最大時間を超えないように定義されている。具体的には、温度差T1−T0がγよりも大きい場合は全て、起動時間差Δt=α*γとして、それ以上、起動時間差が大きくならないように定義されている。また、温度差T1−T0がβよりも小さい場合は全て、起動時間差Δt=α*βとして、それ以上、起動時間差が小さく(起動時間差の絶対値がα*βの絶対値よりも大きく)ならないように定義されている。なお、温度差T1−T0がβより大きくγ以下の場合には、要求規格値を考慮しない場合と同様に、起動時間差Δt=α(T1−T0)である。このような場合においては、メモリ16に記憶される情報は、α、β、γの三種類となる。
なお、メモリ16に記憶される情報は、上述した例のような一次関数の情報でなくてもよく、ルックアップテーブルなどであってもよい。
次に、起動時間差Δtを考慮した、省電力モードから運用モードへの切り替え処理について、図9を参照して説明する。図9は、第2実施形態に係る光トランシーバの起動処理を説明するためのフローチャートである。図9に示す例では、周囲温度T1がLD温度の目標値T0以下の場合、すなわち、TECの上面を加熱してLD温度を上げる必要がある場合の処理を示している。S21〜S23の処理は、上述したS1〜S3と同様であるため説明を省略する。
メモリ16には、起動時間差Δt=α(T1−T0)となるようなパラメータαが記憶されていたとする。なお当該一次関数は単調増加関数であり、パラメータαは正の数である。また、起動時間差Δtは、TEC制御回路13の起動時間及びLDドライバ回路52の起動時間の差である。
S23において検出された周囲温度T1及びLD温度の目標値T0に基づいて、MCU12により、起動時間差Δt=α(T1−T0)が算出される(S24)。いま、周囲温度T1がLD温度の目標値T0以下であるため、温度差T1−T0は負の数となる。よって、起動時間差Δtは負の数となる。上述したように、起動時間差Δtは、TEC制御回路13の起動時間及びLDドライバ回路52の起動時間の差であるため、当該差が負の数であるということは、LDドライバ回路52を起動してから、起動時間差Δtの絶対値に相当する分だけ経過した後にTEC制御回路13を起動すればよいと決まる。
そのため、MCU12により、例えば適当なオフセット時間をt0として、TEC制御回路13の起動時間をtime=t0とし、LDドライバ回路52の起動時間をtime=t0+Δtとして、各々算出し、各時間にて回路を起動する(S25)。これによって加熱の場合にはΔtが負となるため、LDドライバ回路52が先に起動し、冷却の場合にはΔtは正となるため、TEC制御回路13が先に起動する。その後のS26〜S28の処理は、上述したS12〜S13及びS9の処理と同様であるため説明を省略する。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の光トランシーバについて説明する。第3実施形態に係る光トランシーバは、基本的な構成は第1実施形態に係る光トランシーバ1、又は第2実施形態に係る光トランシーバ1Aと同様である。但し、第3実施形態に係る光トランシーバでは、MCU12によるTEC制御回路13へのLD温度の目標値設定が、第1実施形態に係る光トランシーバ1、及び、第2実施形態に係る光トランシーバ1Aと異なる。具体的な処理について、図10を参照して説明する。図10は、第3実施形態に係る光トランシーバの起動処理を説明するためのフローチャートである。
図10におけるS31〜S34の処理は、上述したS1〜S4と同様であるため説明を省略する。LD温度の目標値として目標値T0(第1の目標値)が設定された状態において、集積光送信モジュール11の周囲温度T1がLD温度の目標値T0よりも高い場合には、MCU12により、目標値T0に替えて目標値T0よりも低い暫定目標温度である目標値T2(第2の目標値)が設定される(S35)。
ここで、目標値T2は、上述したように目標値T0よりも低い温度であるとともに、図11に示される最低温度T3よりも高い温度である。最低温度T3とは、目標値をT0とした状態でTEC制御回路13とLDドライバ回路52とを起動した場合にTEC54に流れる電流をTEC電流Iaとすると、TEC制御回路13のみを起動してTEC電流Iaと同じ大きさのTEC電流Ibが流れる場合の目標値である。
つづいて、MCU12によって、まずTEC制御回路13が起動させられる(S36)。TEC制御回路13が起動することにより、LD温度は目標値T2に向かって下降する。LD温度は、素子温度検出器55によって検出され、一定の周期でMCU12に入力される(S37)。
そして、MCU12によりLD温度の検出結果が目標値T2と同程度となっているか否かが判断される(S38)。LD温度の検出結果が目標値T2と同程度となっている場合には、MCU12によりLDドライバ回路52が起動させられるとともに(S39)、TEC制御回路13にLD温度の目標値T0が再設定される(S40)。なお、LD温度の検出結果が目標値T2と同程度となるまでは、上述したS37及びS38の処理が繰り返される。なお、LD温度が安定して目標値T2になっているか否かはTEC制御回路13が判定しても良く、判定した結果をMCU12に通知する構成としても良い。また、実際の判定は、測定誤差や細かい変動に対する許容値εを設けて、T2−ε≦LD温度≦T2+εを満たすか否かによって行っても良い。
つづいて、素子温度検出器55によってLD温度が検出され、一定の周期でMCU12に入力される(S41)。そして、MCU12によりLD温度の検出結果が目標値T0と同程度となっているか否かが判断される(S42)。LD温度の検出結果が目標値T0と同程度となっている場合には、MCU12によりLDバイアス電流回路15が起動させられる(S43)。なお、LD温度の検出結果が目標値T0と同程度となるまでは、上述したS41及びS42の処理が繰り返される。また、LD温度が安定して目標値T0になっているか否かはTEC制御回路13が判定しても良く、判定した結果をMCU12に通知する構成としても良い。S44〜S47及びS43の処理は、上述したS10〜S13及びS9の処理と同様であるため説明を省略する。
このように、本来の目標温度である目標値T0よりも低い温度である目標値T2を一次的に目標温度として設定することにより、図12に示されるように、目標値をT0とした場合にTEC電流が定常状態となるまでに要する時間(tcool2)と比較して、TEC電流が定常状態となるまでに要する時間(tcool3)を短くすることができる。すなわち、TEC54による冷却時間を短縮し、運用モードに遷移するまでの遷移時間を短縮できる。なお、運用モードに遷移するまでの遷移時間が長い場合には、遷移時間が省電力モードから運用モードへの遷移時間として定まった要求規格値を超えてしまうことによって、TEC電流が定常状態となる前に運用モードとなりLD51の発振波長が所望の値とならないことが問題となるが、運用モードに遷移するまでの遷移時間を短縮することにより、このような事態を回避することができる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の光トランシーバを、図13を参照して説明する。図13は、第4実施形態に係る光トランシーバの集積光送信モジュールの構成を示す図である。第4実施形態に係る光トランシーバ1Bは、基本的な構成は第1実施形態に係る光トランシーバ1と同様である。但し、光トランシーバ1Bの光送信部10Bは、LDドライバ回路として、互いに発振波長が異なる4個のLDを駆動するための4個の駆動回路を集積化した4ch Driver ICではなく、それぞれ1波長分の駆動回路を内蔵したDriver ICであるLDドライバ回路52a,52b,52c,52dを備えている。
LDドライバ回路52a,52b,52c,52dは、それぞれ異なるLD51に接続されている。そのため、LDドライバ回路52a,52b,52c,52dが出力した4本の駆動信号は、それぞれ異なるLD51に入力される。
このような光トランシーバ1Bでは、図14に示されるように、周囲温度T1がLD温度の目標値T0よりも高くTEC54の上面を冷却してLD温度を下げる必要がある場合において、各LDドライバ回路52a,52b,52c,52dを時間差で1つずつ起動することができる。この場合のTEC電流ピーク値(Icool4)は、LDドライバ回路として、互いに発振波長の異なる4個のLDを並行に駆動する4個の駆動回路を集積化した4ch Driver ICを用いた場合のTEC電流ピーク値(Icool2)と同程度とできる。また、TEC電流が定常状態となるまでに要する時間(tcool4)も、LDドライバ回路として4個の駆動回路を集積化した4ch Driver ICを用いた場合にTEC電流が定常状態となるまでに要する時間(tcool2)と同程度とできる。
また、周囲温度T1がLD温度の目標値T0以下であり、TEC54の上面を加熱してLD温度を上げる必要がある場合においても、各LDドライバ回路52a,52b,52c,52dを起動する時間差を調整したり、または、LDドライバ回路の数を増減させたりといった設計変更を行いながら、LDドライバ回路としてそれら4個の駆動回路を集積化した4ch Driver ICを用いた場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、同様の効果を得ながら、設計の自由度が向上する。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。即ち、本実施形態では、集積光送信モジュールは、4つの25Gbps電気信号をそれぞれ光信号に変換した後に波長多重を行った場合を例として説明したが、チャンネル数及びデータレートの組み合わせはこれに限定されず、例えば、10波長の10Gbps電気信号を光信号に変換するものであってもよい。
また、光トランシーバを、CFP2又はCFP4に適用した場合を例にとって説明したが、その他の光トランシーバに適用してもよい。また、LD及びLDドライバ回路はTEC上に実装されているとして説明したが、必ずしもLD及びLDドライバ回路がTEC上に実装されていなくてもよく、例えば、LD及びLDドライバ回路とTECとが間接的に接続され相互に熱的に作用する構成であってもよい。
また、上記実施形態では、MCUは、周囲温度がLD温度の目標値と同一である場合、及び、周囲温度がLD温度の目標値より低い場合を区別せずに、集積光送信モジュールの周囲温度がLD温度の目標値以下である場合として共通の制御を行う例を説明したが、周囲温度がLD温度の目標値と同一である場合には、周囲温度がLD温度の目標値より低い場合とは別に、簡易な制御を行うこととしてもよい。
1,1A,1B…光トランシーバ、10,10A,10B…光送信部、11…集積光送信モジュール(光送信モジュール)、12…MCU(演算処理部)、13TEC制御回路(TEC制御部)、14…周囲温度検出器(第2の温度検出器)、15…LDバイアス電流回路、16…メモリ(記憶部)、17…電圧生成回路(内部電圧生成部)、18…通信制御回路(通信制御部)、21…集積光受信モジュール(光受信器)、30…外部装置、51…LD(発光素子)、52,52a,52b,52c,52d…LDドライバ回路(駆動回路)、53…光合波器、54…TEC(熱電素子)、55…素子温度検出器(第1の温度検出器)。

Claims (7)

  1. 発光素子と、該発光素子を駆動する駆動回路と、該発光素子及び該駆動回路を加熱又は冷却する熱電素子と、該発光素子の温度を検出する第1の温度検出器と、を有する光送信モジュールと、
    前記熱電素子を制御して前記第1の温度検出器によって検出される温度を目標温度に近づけるTEC制御部と、
    前記TEC制御部、前記駆動回路、及び前記発光素子を制御する演算処理部と、
    前記光送信モジュールの周囲温度を検出する第2の温度検出器と、を備え、
    前記演算処理部は、
    前記第2の温度検出器より前記周囲温度の情報を受け取り、
    前記TEC制御部、前記駆動回路、及び前記発光素子を起動する際に、
    前記周囲温度が前記目標温度より高い場合には、前記TEC制御部を起動して前記熱電素子による冷却を開始した後に前記駆動回路を起動して前記駆動回路を発熱させて、さらに前記発光素子を起動し
    前記周囲温度が前記目標温度より低い場合には、前記駆動回路を起動して前記駆動回路を発熱させた後に前記TEC制御部を起動して前記熱電素子による加熱を開始して、さらに前記発光素子を起動する、光送信器。
  2. 前記演算処理部は、
    前記TEC制御部の起動と、前記駆動回路の起動との時間差を、前記周囲温度と前記目標温度との差の単調増加関数に基づいて決定する、請求項1に記載の光送信器。
  3. 前記演算処理部は、
    前記目標温度として第1の目標値が設定され、前記周囲温度が前記第1の目標値よりも高い場合には、前記第1の目標値に替えて、前記第1の目標値よりも低い第2の目標値を前記目標温度として設定して前記TEC制御部を起動し、
    前記発光素子の温度が前記第1の目標値以下になった際に、前記第2の目標値に替えて前記第1の目標値を前記目標温度として再設定して前記駆動回路を起動する、請求項1又は2に記載の光送信器。
  4. 前記光送信器は、記憶部をさらに備え、
    前記記憶部は、前記周囲温度が前記目標温度より高い場合及び低い場合のそれぞれについて、前記TEC制御部及び前記駆動回路を起動するタイミングを決定する情報を記憶しており、
    前記演算処理部は、前記記憶部に記憶された情報に基づいて、前記TEC制御部及び前記駆動回路を起動するタイミングを決定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光送信器。
  5. 発光素子と、該発光素子を駆動する駆動回路と、該発光素子及び該駆動回路を加熱又は冷却する熱電素子と、を有する光送信モジュールと、
    前記熱電素子を制御するTEC制御部と、を備える光送信器の起動方法であって、
    前記光送信モジュールの周囲温度が前記熱電素子の目標温度よりも低い時に、前記駆動回路を起動して前記駆動回路を発熱させた後に前記TEC制御部を起動して前記熱電素子による加熱を開始して、さらに前記発光素子を起動し、該周囲温度が該目標温度よりも高い時に、前記TEC制御部を起動して前記熱電素子による冷却を開始した後に前記駆動回路を起動して前記駆動回路を発熱させて、さらに前記発光素子を起動する、
    前記光送信器の起動方法。
  6. 前記TEC制御部の起動と、前記駆動回路の起動との時間差を、前記周囲温度と前記目標温度との差の単調増加関数に基づいて決定する、請求項5に記載の起動方法。
  7. 前記目標温度として第1の目標値が設定され、前記周囲温度が前記第1の目標値よりも高い場合には、前記第1の目標値に替えて、前記第1の目標値よりも低い第2の目標値を前記目標温度として設定して前記TEC制御部を起動し、
    前記発光素子の温度が前記第1の目標値以下になった際に、前記第2の目標値に替えて前記第1の目標値を前記目標温度として再設定して前記駆動回路を起動する、請求項5又は6に記載の起動方法。
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