以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の各実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[第一の実施形態]
まず、図1及び図2を用いて、第一の実施形態に係る電動工具の基本構造について説明を行う。ここで、図1は、第一の実施形態に係る電動工具を背面、左側面及び平面から見た場合の外観斜視図である。また、図2は、第一の実施形態に係る電動工具の外観平面図である。なお、第一の実施形態に係る電動工具10は、手持ち式の電動丸鋸として構成される場合を例示したものである。また、本明細書で定義した方向については、上記図面の名称にて表した通りであるが、この方向は電動工具10を操作する操作者から見た方向と合致するように定義したものである。
第一の実施形態に係る電動工具10は、被加工材に載置される定盤11と、この定盤11に傾動自在に設けられる本体部21と、本体部21が備えるモータ等の駆動手段からの駆動力によって回動自在とされる丸鋸刃と、を備えて構成されている。
定盤11は、本体部21をその上方に設置する部材であり、上面から見たときに、概略矩形状をして構成されている。また、その下面は、被加工材に安定して載置できるように平滑な面にて形成されており、定盤11の下面を被加工材上で滑らせながら電動工具10を操作することにより、安定した切込み動作ができるようになっている。
本体部21は、丸鋸刃の駆動源となる不図示のモータを収納するハウジング22と、丸鋸刃の上部を覆うカバー部23と、電動工具10を操作するためにハウジング22の上部に設けられて操作者からの把持を受ける把持部としてのハンドル24とを備えている。なお、ハウジング22の内部には、丸鋸刃の駆動源となる不図示のモータと、このモータの回転駆動力を丸鋸刃に伝達するための回転駆動力伝達手段としての複数の歯車群が収納されている。
また、丸鋸刃の下半分は安全カバー25によって覆われている。この安全カバー25は、被加工材を切込む際、被加工材に押されることで丸鋸刃を覆ったカバー部23の内部に回動しながら収納されるように構成されており、切込み動作を阻害しないようにしながらも、操作者に対する安全性の確保を実現している。
一方、ハンドル24には、丸鋸刃の回転を駆動するためのスイッチレバー26が設けられており、操作者がこのスイッチレバー26を押し込むことでモータが駆動され、その回転駆動力が丸鋸刃に伝達されることで切込み加工を実施できるようになっている。
また、ハンドル24には、外部電源からモータに電力を供給するための電源コード27を、把持部としてのハンドル24を介してハウジング22内に誘導設置するコードホルダ31が設置されている。
ここで、第一の実施形態に係るコードホルダ31は、ハンドル24に対して突出して設けられるとともに、突出方向を変更可能とする突出方向可変機構(24a,32)を有して構成されている。また、第一の実施形態に係るコードホルダ31は、突出方向可変機構(24a,32)によって変更可能とされるコードホルダ31の突出方向の可動範囲限界位置において、コードホルダ31の位置保持を可能とする位置保持機構(28,32c)を有して構成されている。つまり、第一の実施形態に係る電動工具10は、図3中の分図(a)に示すような操作者による電動工具10の操作方向に対する反操作方向側、すなわち、ハンドル24の長手方向に沿って後方側に向けて電源コード27を誘導する方向と、図3中の分図(b)に示すような操作者による電動工具10の操作方向に対する略直交方向側、すなわち、ハンドル24の長手方向に対して直行し、かつ、(右利きの)操作者の左側に向けて電源コード27を誘導する方向とに、コードホルダ31が稼働するように構成されている。また、図3で示した2つの方向をコードホルダ31が向いたときに、当該2つの位置でコードホルダ31の位置が保持されるように構成されている。そこで、次に、図4〜図10を参照図面に加えることで、第一の実施形態が備える突出方向可変機構(24a,32)と位置保持機構(28,32c)の具体的な構成を説明する。
なお、図4は、第一の実施形態に係るコードホルダの要部を示す図であり、分図(a)が背面視を、分図(b)が右側面視を示している。また、図5は図4中のA−A断面を、図6は図4中のB−B断面を、図7は図4中のC−C断面を、図8は図4中のD−D断面を、図9は図6中の符号E矢視を示す図である。さらに、図10は、第一の実施形態に係るコードホルダの動作を説明するための図であり、分図(a)が操作者による電動工具の操作方向に対する反操作方向側にコードホルダが突出した状態を示しており、分図(b)が操作者による電動工具の操作方向に対する略直交方向側にコードホルダが突出した状態を示している。
図5〜図8に示されるように、第一の実施形態に係るコードホルダ31は、外周形状が略円柱形状をしたコードホルダケース32に固定設置されている。このコードホルダケース32は、側面と上面に開口32a,32bを有しており、側面側の開口32aに対してコードホルダ31が固定設置できるように構成されている(特に、図5参照)。コードホルダ31は、電源コード27を導通させるために円筒形状で形成されているので、コードホルダ31を介してコードホルダケース32内に誘導される電源コード27は、コードホルダケース32に形成された上面側の開口32bを通じて、ハンドル24内に誘導されて、ハウジング22内に設置された不図示のモータに接続されることとなる。
上述したコードホルダケース32の側面外周は、把持部としてのハンドル24内に形成されたリブ壁24aによってその一部が取り囲まれている。したがって、リブ壁24aは、コードホルダケース32を回動可能な状態で収納支持することができるように構成されている。すなわち、コードホルダ31に接続してハンドル24内で回動可能に収納支持されるコードホルダケース32と、このコードホルダケース32を収納支持するようにハンドル24内に形成されたリブ壁24aとによって、第一の実施形態に係る突出方向可変機構(24a,32)が形成されている。
さらに、第一の実施形態に係るコードホルダケース32には、図6にて示すように、外周の2箇所の位置に被係止部としての半円状の凹部32cが形成されている。一方、リブ壁24aにおいて前記凹部32cと対向する位置には、凹部32cに対して係止可能な係止部材としての板バネ28が1つ設置されている。凹部32cと板バネ28は、図9にて詳細に示されるように、板バネ28が有する凸形状部が凹部32cに嵌まり込むことで、板バネ28が有する弾性力と凸形状の作用によって、板バネ28に対する凹部32cの位置、すなわち、リブ壁24a内におけるコードホルダケース32の固定保持位置が規定されることとなっている。
そして、コードホルダケース32に接続するコードホルダ31や電源コード27に対して板バネ28の弾性力を超える外力が加わると、凹部32cに対する板バネ28の凸形状部の嵌まり込みが解除されるので、コードホルダケース32はリブ壁24a内で回動可能となり、これまで板バネ28の凸形状部が嵌まり込んでいた凹部32cとは別の凹部32cに嵌まり込むまで、回動することが可能となる。
なお、コードホルダケース32に形成された2箇所の凹部32cは、図6で示すように、円筒形状で形成されたコードホルダケース32の外周に対して90°の角度間隔を有して設けられている。したがって、第一の実施形態では、図10で示すように、操作者による電動工具10の操作方向に対する反操作方向側にコードホルダ31が突出した分図(a)の状態と、操作者による電動工具10の操作方向に対する略直交方向側にコードホルダ31が突出した分図(b)の状態との2つの状態を実現可能となっている。すなわち、コードホルダケース32に形成される凹部32cと、リブ壁24aに固定設置されるとともに凹部32cに係止可能な板バネ28とによって、第一の実施形態に係る位置保持機構(28,32c)が形成されている。
以上説明したように、第一の実施形態によれば、図10中の分図(a)に示すようなハンドル24の長手方向に沿って後方側に向けて電源コード27を誘導する方向と、図10中の分図(b)に示すようなハンドル24の長手方向に対して直行し、かつ、(右利きの)操作者の左側に向けて電源コード27を誘導する方向とに、コードホルダ31を稼働することが可能となっている。また、図10で示した2つの方向をコードホルダ31が向いたときに、当該2つの位置でコードホルダ31の位置が好適に保持される効果も得られるようになっている。すなわち、第一の実施形態が備える突出方向可変機構(24a,32)と位置保持機構(28,32c)の作用によって、作業者の操作性を阻害することなく電源コード27の突出方向が変更可能であり、しかも、回動後の位置を安定して保持することのできるコードホルダ31を備えた電動工具10を提供することが可能となっている。
なお、突出方向可変機構(24a,32)によるコードホルダ31の突出方向可変可能範囲は、凹部32cの形成位置を変更することで容易に変更可能である。また、位置保持機構(28,32c)によるコードホルダ31の位置保持力は、板バネ28の弾性力の変更や、凹部32cや板バネ28の凸形状部の形状変更等によって容易に変更可能である。したがって、電動工具10の仕様条件に応じて任意に設定が可能であり、第一の実施形態に係る構成は、あらゆる電動工具に対して適用可能である。
以上、第一の実施形態に係る電動工具10について説明したが、本発明の技術的範囲は上記第一の実施形態に記載の範囲には限定されない。上記第一の実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した第一の実施形態では、コードホルダケース32の外周の2箇所の位置に被係止部としての半円状の凹部32cが形成される一方、リブ壁24aに対して係止部材としての板バネ28が1つ設置されていた。しかしながら、被係止部としての凹部32cの形成位置と、係止部材としての板バネ28の設置位置については、任意に変更可能である。すなわち、図11で示すように、凸形状部を有する板バネ28をコードホルダケース32の外周に設置するとともに、この板バネ28の凸形状部が嵌まり込む凹部32cをリブ壁24aに対して形成する構成を採用することも可能である。かかる構成であっても、上述した第一の実施形態と同様の作用効果を得ることのできる電動工具10を実現できる。
また、上述した第一の実施形態に係るコードホルダケース32は、1つの樹脂部材として形成されたものであったが、例えば、図12に示すように、上下に2分割できる分割体の組み合わせとしてコードホルダケース32を構成することも可能である。なお、分割体の結合には、ビス29などの締結手段を採用することができる。コードホルダケース32を分割体とすることで、コードホルダ31や電源コード27の取付作業が容易となるので、製造コストの削減効果が期待できる。
また、コードホルダケース32の組み立て作業の容易化のための構成として、例えば、図13に示すように、コードホルダケース32の下方側にU字形上の切欠部32dを形成し、この切欠部32dの下方側からコードホルダ31を嵌め込むように製造することで、組立作業が容易化し、製造コストの削減効果を得ることができる。
[第二の実施形態]
次に、図14〜図19を用いて、第二の実施形態に係る電動工具10の要部構成を説明する。ここで、図14は、第二の実施形態に係るコードホルダの要部を示す図であり、分図(a)が左側面視を、分図(b)が背面視を示している。また、図15は、左側面側のハウジング22の半割体を取り外した状態を示す図であり、図16は、図15に対応する位置での縦断面を示す図である。さらに、図17は図14中のF−F断面を、図18は図14中のG−G断面を示す図である。またさらに、図19は、第二の実施形態に係るコードホルダの動作を説明するための図である。なお、上述した第一の実施形態の場合と同一又は類似する部材については、同一符号を付すことで説明を省略する場合がある。
第二の実施形態に係るコードホルダケース132は、上述した第一の実施形態に係るコードホルダケース32と同様に、コードホルダ31に接続してハンドル24内で回動可能に収納支持される部材であるが、このコードホルダケース132は、突出方向可変機構の一部として機能する円柱形状部132aの他に、特徴的な形状を有している。すなわち、図15及び図16において詳細に示されるように、第二の実施形態に係るコードホルダケース132は、外周形状が円柱状をした円柱形状部132aを有するとともに、その上方には、コイルバネ101が巻き回されて設置された中径円柱状部132bが形成され、また、円柱形状部132aの下方には、外周形状が異形状をした異形状部132cが形成され、さらに、異形状部132cの下方には、操作者からの操作を受ける操作ボタン部132dが形成されている。
一方、電動工具10を操作するためにハウジング22の上部に設けられて操作者からの把持を受ける把持部としてのハンドル24については、その内部にコードホルダケース132を収納支持するための複数のリブ壁(124a,124c)が形成されている。ただし、第二の実施形態に係るリブ壁(124a,124c)については、それぞれ異なる作用を発揮するものである。
すなわち、コードホルダケース132の円柱形状部132aに対応する位置に形成されたリブ壁は、円柱形状部132aに沿って形成されることでコードホルダケース132の回動動作を案内する回動案内リブ壁124aとして機能するものであり、図17に示すように、円柱形状部132aの一部を覆うように形成されることで、コードホルダケース132の安定した回動動作が実現することに寄与している。
また、コードホルダケース132の異形状部132cに対応する位置に形成されたリブ壁は、異形状部132cに沿って形成されることでコードホルダケース132の回動動作を規制する回動規制リブ壁124cとして機能するものであり、図18に示すように、第二の実施形態では、矩形形状をした異形状部132cの外周4箇所に沿って当接することで、コードホルダケース132が回動するのを確実に防止する機能を発揮している。
さらに、第二の実施形態に係るコードホルダケース132は、ハンドル24の内部で上下方向に移動できるようになっている。そして、常には、中径円柱状部132bに対応する位置に設置されたコイルバネ101からの弾性力によって、ハンドル24内部の下方側に位置するように構成されている。このとき、回動規制リブ壁124cが矩形形状をした異形状部132cの外周4箇所に沿って当接しているので、コードホルダケース132は回動動作を規制された状態となっている。
しかし、操作者が操作ボタン部132dを上方に向けて押し上げる等することで、コイルバネ101の弾性力に抗した上向きの外力がコードホルダケース132に加わると、コードホルダケース132はハンドル24内で上方に向けて移動することとなる。このとき、コードホルダケース132の異形状部132cと回動規制リブ壁124cは、それまでの当接状態が解除されてしまうので、コードホルダケース132は回動動作可能な状態となる。第二の実施形態の場合、異形状部132cは矩形形状をしているので、コードホルダケース132を90°回動させた上で操作ボタン部132dの上方への押し込みを解除すると、異形状部132cと回動規制リブ壁124cとの当接状態が再現され、コードホルダケース132が回動動作を規制された状態が再度実現することとなる。
以上説明したように、第二の実施形態に係る電動工具10は、コードホルダ31に接続してハンドル24内で回動可能に収納支持されるコードホルダケース132の円柱形状部132aと、このコードホルダケース132の円柱形状部132aを収納支持するように把持部内に形成された回動案内リブ壁124aと、によって構成される突出方向可変機構(124a,132(132a))を有している。また、第二の実施形態に係る電動工具10は、外周形状が異形状をしたコードホルダケース132の異形状部132cと、異形状部132cに沿って形成されることでコードホルダケース132の回動動作を規制する回動規制リブ壁124cとを有するとともに、コードホルダケース132を押圧する押圧部材としてのコイルバネ101と、コードホルダケース132をハンドル24内で軸方向に移動可能とする回動案内リブ壁124aとを有している。そして、これら異形状部132c、回動規制リブ壁124c及びコイルバネ101によって、第二の実施形態に係る位置保持機構(101,124a,124c,132c)が構成されている。
したがって、常には、コイルバネ101がコードホルダケース132を押圧することで、コードホルダケース132の異形状部132cが回動規制リブ壁124cの位置で保持されてコードホルダケース132の回動動作が規制され、コードホルダケース132に対してコイルバネ101に抗する外力が働いたときには、コードホルダケース132が軸方向に移動することで、回動規制リブ壁132cによるコードホルダケース132の回動動作の規制が解除されて回動案内リブ壁132cによるコードホルダケース132の回動動作の案内が行われることとなる。すなわち、第二の実施形態によれば、第二の実施形態が備える突出方向可変機構(124a,132(132a))と位置保持機構(101,124a,124c,132c)の作用によって、作業者の操作性を阻害することなく電源コード27の突出方向が変更可能であり、しかも、回動後の位置を安定して保持することのできるコードホルダ31を備えた電動工具10を提供することが可能となっている。
なお、第二の実施形態では、ハンドル24におけるコードホルダケース132の設置部開口が極力狭くなるように、電源コード27の突出方向変更時のコードホルダ31の移動軌跡に沿った開口形状102が採用されている(図19参照)。かかる構成によって、外部からのハンドル24内への塵芥等の侵入を好適に防止することが可能となっている。
また、コードホルダケース132の上方への移動動作は、操作ボタン部132dを用いることなく実施することが可能であり、例えば、コードホルダ31を上方に向けて持ち上げる等してもよい。したがって、第二の実施形態に係る操作ボタン部132dについては、省略することもできる。操作ボタン部132dを省略した場合は、図20に示すように、コードホルダ132の形状を簡略化できるので、構造をよりシンプルなものにすることができる。
さらに、第二の実施形態に係る異形状部132cは矩形形状にて構成されていたが、当該形状は任意に変更可能である。異形状部132cの形状に任意の多角形状を選択することで、その多角形状に応じたコードホルダ31の可動範囲限界位置を変更することが可能である。
以上、第二の実施形態に係る電動工具10について説明したが、本発明の技術的範囲は上記第二の実施形態に記載の範囲には限定されない。上記第二の実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した第二の実施形態では、操作ボタン部132dを上方へ押し込むことでコードホルダ31の突出方向を変更させる操作方法を主に考慮した構成が採用されていたが、例えば、図21に示すように、コードホルダケース132の形状を大きく変更し、ハンドル24からの突出部を大きく取ることで、コードホルダケース132自体を操作し、コードホルダ31の突出方向を変更させる操作方法を採用することも可能である。図21で例示するコードホルダケース132の場合、大きく取った突出部の箇所にも電源コード27のコード押え27aを設置することができ、コード押え27aをコードホルダケース132に対して複数箇所設置することができるので、電源コード27が安定化することとなり好ましい。
[第三の実施形態]
次に、図22〜図27を用いて、第三の実施形態に係る電動工具10の要部構成を説明する。ここで、図22は、第三の実施形態に係るコードホルダの要部を示す図であり、分図(a)が背面視を、分図(b)が右側面視を示している。また、図23は図22中のH−H断面を、図24は図22中のJ−J断面を、図25は図22中のK−K断面を示す図である。さらに、図26及び図27は、第三の実施形態に係るコードホルダの動作を説明するための図であり、図26が図22中のK−K断面に対応した図であり、図27が外観を示した図である。なお、図26及び図27において、分図(a)では操作者による電動工具の操作方向に対する反操作方向側にコードホルダが突出した状態が示してあり、分図(b)では操作者による電動工具の操作方向に対する略直交方向側にコードホルダが突出した状態が示してある。また、上述した第一及び第二の実施形態の場合と同一又は類似する部材については、同一符号を付すことで説明を省略する場合がある。
第三の実施形態に係るコードホルダケース232は、上述した第一の実施形態に係るコードホルダケース32と同様に、コードホルダ31に接続してハンドル24内で回動可能に収納支持される部材であり、突出方向可変機構(224a,232)については、同様の構成を有している。すなわち、第三の実施形態に係るコードホルダ31は、外周形状が略円柱形状をしたコードホルダケース232に固定設置されている。このコードホルダケース232は、側面と上面に開口232a,232bを有しており、側面側の開口232aに対してコードホルダ31が固定設置できるように構成されている(特に、図23参照)。コードホルダ31は、電源コード27を導通させるために円筒形状で形成されているので、コードホルダ31を介してコードホルダケース232内に誘導される電源コード27は、コードホルダケース232に形成された上面側の開口232bを通じて、ハンドル24内に誘導されて、ハウジング22内に設置された不図示のモータに接続されることとなる。
上述したコードホルダケース232の側面外周は、把持部としてのハンドル24内に形成されたリブ壁224aによってその一部が取り囲まれている。したがって、リブ壁224aは、コードホルダケース232を回動可能な状態で収納支持することができるように構成されている。すなわち、コードホルダ31に接続してハンドル24内で回動可能に収納支持されるコードホルダケース232と、このコードホルダケース232を収納支持するようにハンドル24内に形成されたリブ壁224aとによって、第三の実施形態に係る突出方向可変機構(224a,232)が形成されている。
一方、第三の実施形態に係るコードホルダケース232については、上述した第一及び第二の実施形態の場合とは異なる形態の位置保持機構(201,202,232b)が備わっている。この第三の実施形態に係る位置保持機構(201,202,232b)の具体的な構成を図23を用いて説明すると、コードホルダケース232には、弾性力を発揮する弾性部材としてのコイルバネ201と、剛性を有する軸形状をしたロックレバー202とが、コードホルダケース232の内部に設置されている。また、コードホルダ31は、コードホルダケース232に対して軸(前後)方向に押引自在に設置されており、前記のコイルバネ201とロックレバー202が、コードホルダケース232とコードホルダ31の間に位置するように設置されている。つまり、コイルバネ201の弾性力は、コードホルダケース232の前方側の内壁面と、ロックレバー202とに加わるように構成されており、その弾性力は、常に、ロックレバー202を介してコードホルダ31に加わり、コードホルダ31をコードホルダケース232の後方側に向けて押し出す力として働くように作用している。
また、第三の実施形態に係るロックレバー202は、図23に示す通常状態において、コードホルダケース232から突出するだけの長さを有して構成されている。したがって、ロックレバー202は、常には、コイルバネ201の弾性力によってコードホルダケース32から突出する位置にあるとともに(図23及び図25の状態参照)、コードホルダ31をコードホルダケース232に対して押し込んだとき、すなわち、図22の分図(b)中に示す符号αの矢印の方向に向けた外力がコードホルダ31に加わったときには、ロックレバー202が、コイルバネ201の弾性力に抗した力をコードホルダ31から受けることでコードホルダケース232内に引き込まれた位置となるように構成されているのである。
さらに、コードホルダケース232に対して突出・引込み自在なロックレバー202の突出位置に対応するハンドル24の内壁面の位置には、ロックレバー202を収納保持することができるように収納凹部232bが形成されている。この収納凹部232bについては、図25にて示すように、第三の実施形態においては2箇所の位置に設けられており、具体的には、操作者による電動工具の操作方向に対する反操作方向側(すなわち、後方側)の位置と、操作者による電動工具の操作方向に対する略直交方向側(すなわち、左側面側)の位置とに設けられている。
したがって、第三の実施形態に係る位置保持機構(201,202,232b)は、コードホルダケース232に対して突出・引込み自在なロックレバー202と、ロックレバー202を収納保持するようにハンドル24内に形成された収納凹部232bと、を有して構成されており、常には、コイルバネ201の弾性力を受けることでロックレバー202がコードホルダケース232から突出し、ロックレバー202が収納凹部232bに嵌り込むことで、コードホルダケース232に対するコードホルダ31の安定した位置固定が実現することとなる(例えば、図26中の分図(a)参照)。
この状態から、コードホルダ31をコードホルダケース232に対して押し込むと、ロックレバー202がコイルバネ201の弾性力に抗した力をコードホルダ31から受けることで、コードホルダケース232内に引き込まれた位置となり、ロックレバー202が収納凹部232bに嵌り込んだ状態が解除されることとなる。このようなロックレバー202の解除状態を維持しながらコードホルダ31を水平方向に移動させると(例えば、図26中の分図(a)の状態から分図(b)の状態に向けて移動させると)、コードホルダ31はいかなる部材からも拘束を受けていない状態であるため、第三の実施形態に係る突出方向可変機構(224a,232)の作用によってスムーズに移動できることとなる。
さらに、コードホルダ31が、操作者による電動工具の操作方向に対する略直交方向側(すなわち、左側面側)の位置まで移動すると(例えば、図26中の分図(b)参照)、ロックレバー202は、先程とは異なる収納凹部232bに嵌り込むことになるので、再度、コードホルダケース232に対するコードホルダ31の安定した位置固定が実現することとなる(例えば、図26中の分図(b)参照)。
以上説明した第三の実施形態に係る突出方向可変機構(224a,232)と位置保持機構(201,202,232b)によって、図27に示すようなコードホルダ31の突出方向変更動作がスムーズに実現するとともに、コードホルダ31の突出方向の可動範囲限界位置においてコードホルダ31の位置保持が確実に実行されることとなる。
以上、第三の実施形態に係る電動工具10について説明したが、本発明の技術的範囲は上記第三の実施形態に記載の範囲には限定されない。上記第三の実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した第三の実施形態では、把持部としてのハンドル24の内壁面に形成された2箇所の収納凹部232bは、図25等で示すように、90°の角度間隔を有して設けられていた。しかしながら、収納凹部232bの形成間隔や形成個数等は、任意に変更可能である。収納凹部232bの形成条件を任意に変更することで、コードホルダ31の突出方向や固定箇所等の条件を任意に設定することが可能となる。
また、上述した第三の実施形態では、位置保持機構(201,202,232b)を構成するコイルバネ201をコードホルダケース232の内部に設置する構成としたが、例えば、図28に示すように、コードホルダケース232やハンドル24の外部に設けることも可能である。図28で例示する形態の場合、コイルバネ201は、一端側がコードホルダ31に固定されるとともに、他端側がハンドル24の外周面に沿うように構成されている。したがって、ハンドル24に対してコードホルダ31を移動させると、ハンドル24の外周形状の作用によって、移動中にコードホルダ31がコイルバネ201から受ける弾性力が変化することとなる。つまり、図28で例示する形態は、本発明に係る突出方向可変機構と位置保持機構とを同時に備える構成であるということができる。なお、コイルバネ201は、蛇腹状の弾性体に置き換えることも可能である。
また、上述した第三の実施形態では、位置保持機構(201,202,232b)を構成するロックレバー202と収納凹部232bがコードホルダケース232の内部に設置する構成とされていたが、これらの部材は、例えば、図29にて示すように、コードホルダケース232やハンドル24の外部に設けることも可能である。
[第四の実施形態]
次に、図30及び図31を用いて、第四の実施形態に係る電動工具10の要部構成を説明する。ここで、図30は、第四の実施形態に係る電動工具10の要部を示す縦断面側面図であり、図31は、第四の実施形態に係る電動工具10の要部を示す横断面平面図である。なお、図31において、分図(a)では操作者による電動工具の操作方向に対する反操作方向側にコードホルダが突出した状態が示してあり、分図(b)では操作者による電動工具の操作方向に対する略直交方向側にコードホルダが突出した状態が示してある。また、上述した第一乃至第三の実施形態の場合と同一又は類似する部材については、同一符号を付すことで説明を省略する場合がある。
図30及び図31に示されるように、第四の実施形態に係るコードホルダ31は、外周形状が略円柱形状をしたコードホルダケース432に固定設置されている。このコードホルダケース432は、側面と上面に開口32a,32bを有しており、側面側の開口32aに対してコードホルダ31が固定設置できるように構成されている(特に、図30参照)。コードホルダ31は、電源コード27を導通させるために円筒形状で形成されているので、コードホルダ31を介してコードホルダケース432内に誘導される電源コード27は、コードホルダケース432に形成された上面側の開口32bを通じて、ハンドル24内に誘導されて、ハウジング22内に設置された不図示のモータに接続されることとなる。
上述したコードホルダケース432の側面外周は、把持部としてのハンドル24内に形成されたリブ壁424aによってその一部が取り囲まれている。したがって、リブ壁424aは、コードホルダケース432を回動可能な状態で収納支持することができるように構成されている。すなわち、コードホルダ31に接続してハンドル24内で回動可能に収納支持されるコードホルダケース432と、このコードホルダケース432を収納支持するようにハンドル24内に形成されたリブ壁424aとによって、第四の実施形態に係る突出方向可変機構(424a,432)が形成されている。
さらに、第四の実施形態に係るリブ壁424aには、図31にて示すように、内周の2箇所の位置に被係止部としての半円状の凹部432cが形成されている。一方、コードホルダケース432において前記凹部432cと対向する位置には、凹部432cに対して係止可能な係止部材としてのピン形状部401が1つ設置されている。第四の実施形態に係るピン形状部401は、コードホルダケース432内に設置される部材であり、コードホルダケース432の内部側にバネ401aを介して取付けられることでピンプランジャとして構成されるものである。したがって、ピン形状部401は、バネ401aによる弾性力の作用によって、常にはコードホルダケース432の外方側に突出しているとともに、ピン形状部401の外方側端部、つまりコードホルダケース432から突出した先端部に対して外力が加わると、コードホルダケース432の内部側に引き込まれる動作を行うこととなる。よって、凹部432cとピン形状部401は、図31にて詳細に示されるように、ピン形状部401の外方側端部が凹部432cに嵌まり込むことで、ピン形状部401に及ぼされるバネ401aの弾性力の作用によって、ピン形状部401に対する凹部432cの位置、すなわち、リブ壁424a内におけるコードホルダケース432の固定保持位置が規定されることとなっている。
そして、コードホルダケース432に接続するコードホルダ31や電源コード27に対してバネ401aの弾性力を超える外力が加わると、凹部432cに対するピン形状部401の外方側端部の嵌まり込みが解除されるので、コードホルダケース432はリブ壁424a内で回動可能となり、これまでピン形状部401の外方側端部が嵌まり込んでいた凹部432cとは別の凹部432cにピン形状部401が嵌まり込むまで、回動することが可能となる。
なお、コードホルダケース432に形成された2箇所の凹部432cは、図31で示すように、円筒形状で形成されたコードホルダケース432の外周に対して90°の角度間隔を有して設けられている。したがって、第四の実施形態では、図31で示すように、操作者による電動工具10の操作方向に対する反操作方向側にコードホルダ31が突出した分図(a)の状態と、操作者による電動工具10の操作方向に対する略直交方向側にコードホルダ31が突出した分図(b)の状態との2つの状態を実現可能となっている。すなわち、コードホルダケース432の内部にピンプランジャの構成部材として設置されるピン形状部401及びバネ401aと、リブ壁424aに形成される凹部432cとによって、第四の実施形態に係る位置保持機構(401,401a,432c)が形成されている。
以上説明したように、第四の実施形態によれば、図31中の分図(a)に示すようなハンドル24の長手方向に沿って後方側に向けて電源コード27を誘導する方向と、図31中の分図(b)に示すようなハンドル24の長手方向に対して直行し、かつ、(右利きの)操作者の左側に向けて電源コード27を誘導する方向とに、コードホルダ31を稼働することが可能となっている。また、図31で示した2つの方向をコードホルダ31が向いたときに、当該2つの位置でコードホルダ31の位置が好適に保持される効果も得られるようになっている。すなわち、第四の実施形態が備える突出方向可変機構(424a,432)と位置保持機構(401,401a,432c)の作用によって、作業者の操作性を阻害することなく電源コード27の突出方向が変更可能であり、しかも、回動後の位置を安定して保持することのできるコードホルダ31を備えた電動工具10を提供することが可能となっている。
なお、突出方向可変機構(424a,432)によるコードホルダ31の突出方向可変可能範囲は、凹部432cの形成位置を変更することで容易に変更可能である。また、位置保持機構(401,401a,432c)によるコードホルダ31の位置保持力は、バネ401aの弾性力の変更や、凹部432cやピン形状部401の外方側端部の形状変更等によって容易に変更可能である。したがって、電動工具10の仕様条件に応じて任意に設定が可能であり、第四の実施形態に係る構成は、あらゆる電動工具に対して適用可能である。
また、第四の実施形態では、ピン形状部401とバネ401aによって構成されるピンプランジャを、コードホルダケース432の内部に形成したので、コードホルダ31に関係する部材のアッセンブリ化が可能となっている。かかる特徴点は、二つ割りのハウジング分割体を結合することでハウジング22を組み立てる際に、コードアッセンブリのみをハウジング内部にセットすれば良いことから、量産化の際に高い生産性を発揮できるという優れた効果を発揮する。
さらに、第四の実施形態では、位置保持機構(401,401a,432c)を構成するピン形状部401及びバネ401aをコードホルダケース432の内部に収納設置することができたことから、ハンドル24内部に設置する部材数を極小化することができている。したがって、第四の実施形態によれば、ハンドル24のサイズをコンパクト化することが可能である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲は上記各実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、さらに多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、ハウジング22には操作者からの把持を受ける把持部24が設けられており、ハウジング22に設けられる当該把持部24に対して、コードホルダ31が突出して設置されていた。しかしながら、本発明のコードホルダ31については、把持部24のみならず、ハウジング22のいずれの場所に設置されても、上述した各実施形態と同様の作用効果を発揮することができる。
また、上述した各実施形態では、コードホルダ31が突出するコードホルダケース232の開口部の形状(開口形状102)については、外部からの塵芥等の侵入を防ぐ観点の改良以外は特に作用を発揮する構成を設けていなかった。しかしながら、例えば、図32に示すように、コードホルダ31の突出方向の可動範囲限界位置においてコードホルダ31の外形形状の沿った開口面積とし、それ以外のコードホルダ31の回動経路の途中に当たる部位については開口面積を狭くし、さらに、コードホルダ31自体を弾性のある部材で構成することで、本発明に係る突出方向可変機構と位置保持機構とを同時に備える形態を実現することができる。
また、コードホルダ31自体を弾性のある部材で構成しなくとも、例えば、図33で示すように、コードホルダ31の外形形状を工夫することで、本発明に係る突出方向可変機構と位置保持機構とを同時に備える形態を実現することができる。すなわち、コードホルダ31の突出方向の可動範囲限界位置においては開口部501を円形形状とし、それ以外のコードホルダ31の回動経路の途中に当たる部位については、前記円形形状の直径より小さい幅で形成される直線経路とし、さらに、コードホルダ31の外形形状の一部に前記円形形状の開口部501に沿うような円周形状を形成するとともに、コードホルダ31の外形形状のうちの円周形状以外の部位を前記直線経路を通過可能な幅で形成された二面幅形状とする。かかる構成の採用によって、コードホルダ31を回転させるだけで、開口部501に対するコードホルダ31の突出方向の可変と位置保持とを実現することが可能となる。
また、例えば、図34で示すように、コードホルダケースの開口部601の形状については長孔形状とし、コードホルダ31の回動経路の途中に当たる部位に対して弾性力によって開口部601の経路形状を可変可能なストッパ部材302を設置することで、本発明に係る突出方向可変機構と位置保持機構とを同時に備える形態を実現することができる。
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。