JP6239998B2 - 本木製品の製造方法 - Google Patents

本木製品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6239998B2
JP6239998B2 JP2014033838A JP2014033838A JP6239998B2 JP 6239998 B2 JP6239998 B2 JP 6239998B2 JP 2014033838 A JP2014033838 A JP 2014033838A JP 2014033838 A JP2014033838 A JP 2014033838A JP 6239998 B2 JP6239998 B2 JP 6239998B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molded product
plate
veneer
protruding plate
insert molded
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014033838A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015157431A (ja
Inventor
浩司 津田
浩司 津田
加藤 裕一
裕一 加藤
遵 藤澤
遵 藤澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Kojima Industries Corp
Original Assignee
Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Kojima Industries Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd, Kojima Industries Corp filed Critical Kawai Musical Instrument Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2014033838A priority Critical patent/JP6239998B2/ja
Publication of JP2015157431A publication Critical patent/JP2015157431A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6239998B2 publication Critical patent/JP6239998B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Chemical And Physical Treatments For Wood And The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

本発明は、本木製品の製造方法に係り、特に、突板の裏面側に合成樹脂製の基材層が形成されてなり、全体として三次元形状を呈すると共に、かかる突板の表面が立体的で優れた意匠性を有する本木製品を有利に製造することの出来る方法に関するものである。
従来から、自動車等においては、車内の高級感を演出するために、例えば、アームレストベースやクラスター、コンソールボックス等の内装品の意匠パネルとして、本物の木材を使用した、所謂本木製品が利用されている。そして、このような本木製品は、一般に、木材の入手性や経済性の他、製品形状や物性等の観点から、表面が意匠面とされた、薄い木材(突板)の裏側に、合成樹脂製の基材を一体的に積層してなる積層構造の形態において、製造されている。
例えば、特開平11−309745号公報(特許文献1)等においては、上述のような積層構造を有すると共に、意匠面の少なくとも一部が三次元的曲面にて構成された本木製品が、通常、芯材(基材)に対応した形状を呈する成形キャビティを備えた成形用金型を用い、この成形用金型の成形キャビティ内に、比較的板厚の薄い木板(突板)を、意匠面の三次元的曲面に対応するように、三次元的に湾曲せしめて配置した後、成形キャビティ内に樹脂材料を射出充填して、かかる木板(突板)の裏側に芯材(基材)を一体的に積層形成することにより、製造されている。
一方、そのような本物の木材に対して、その表面の意匠性を高めるための加工の一つとして、所謂浮造り加工が知られている。これは、例えば、特開平5−77210号公報(特許文献2)や特開2008−55719号公報(特許文献3)等に明らかにされているように、天然の木質材料が、夏目(早材又は春材とも称される)部と冬目(晩材又は秋材とも称される)部とから構成されていることを利用したものである。即ち、夏目部は、春から秋までの時期に成長する部分であり、成長が早いため、組織が粗であり、比較的柔らかい部分であること、そして冬目部は、秋から冬が過ぎるまでの時期に成長する部分であって、成長が遅いため、組織は緻密で、比較的硬い部分であることから、浮造り加工は、そのような夏目部と冬目部のうち、夏目部の表面をブラッシング処理等により選択的に除去して、所定の深さの凹部を形成することで、木材の表面に凹凸模様の立体的で優れた意匠を創出するようにするものである。そして、このような浮造り加工を施した木材は、寺社の天井板や床材等において、広く使用されているのである。
ところで、かかる浮造り加工は、一般に、所望の立体感を得るために、比較的板厚の厚い平板形状の木材(突板)の表面に対して行なわれるものであるところから、三次元形状を呈する本木製品として、突板の表面に浮造り加工を施して、立体的で優れた意匠面を有する本木製品を製造するに際して、そのような板厚の厚い突板を用いると、容易に三次元形状に賦形することが出来ず、そのため、かかる突板の裏側に基材を射出成形する際に、成形用金型の成形キャビティ内において、突板を三次元的に湾曲せしめて配置することが困難であるという問題を生じる。
そこで、そのような問題の解消を図るべく、突板を比較的薄い板厚とすること、即ち成形キャビティ内にて三次元形状に湾曲せしめて配置し、かかる形状を保持することが出来る程度の板厚とすることが考えられる。しかしながら、基材を射出成形操作により積層形成する際においては、成形キャビティ内に射出される溶融樹脂材料の射出圧が高圧であるところから、突板が、そのような高圧の溶融樹脂材料とキャビティ面との間で挟圧され、板厚方向において圧縮されるため、突板の板厚が更に薄くなってしまうこととなる。その結果、そのように比較的板厚の薄い突板を用いた場合にあっては、浮造り加工を施して充分な立体感を得るための板厚を確保することが出来なくなってしまうという新たな問題を生じるようになり、最悪の場合、夏目部の除去処理を行なった際に、かかる処理部分において、樹脂基材が露出してしまう問題が惹起される恐れがある。また、そのような圧縮により夏目部が硬くなってしまうことで、浮造り加工において、夏目部と冬目部との硬さの差を利用して、夏目部を選択的に除去することが出来なくなり、以て浮造り加工を行なうこと自体が、困難になるという問題も内在している。
特開平11−309745号公報 特開平5−77210号公報 特開2008−55719号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、全体として三次元形状を呈し、突板の裏面側に合成樹脂製の基材層が射出成形操作により積層形成されてなると共に、かかる突板の表面を、浮造り加工によって立体的で優れた意匠面とすることが出来る本木製品の製造方法を提供することを、その解決課題とするものである。
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、意匠面を与える木質の突板の表面に浮造り加工が施されている一方、かかる突板の裏面側に、合成樹脂製の基材層が射出成形操作により積層形成されてなる本木製品を製造する方法であって、(a)前記基材層を成形し得る成形型の成形キャビティ内に、前記突板を収容すると共に、該突板の表面を該成形キャビティのキャビティ面に対向させた状態下において、該突板の裏面側に、合成樹脂の射出成形操作にて、前記基材層を積層形成して、インサート成形品を形成する工程と、(b)該インサート成形品を加湿処理して、該インサート成形品を構成する前記突板を膨潤せしめる工程と、(c)かかる加湿処理にて膨潤せしめられた該インサート成形品の突板を乾燥する工程と、(d)該インサート成形品の乾燥された突板の表面に対して浮造り加工を施して、凹凸のある意匠面を形成する工程と、を含む本木製品の製造方法を、その要旨とするものである。
なお、本発明にあっては、前記インサート成形品に対する加湿処理を、該インサート成形品を構成する前記突板の表面側から行なうことが、好適に採用される。
また、本発明に従う本木製品の製造方法の望ましい態様の一つによれば、前記インサート成形品に対する加湿処理が、希塩酸を用いて実施されると共に、前記浮造り加工が、焼き浮造り加工によって行なわれることとなる。
さらに、本発明の望ましい態様の他の一つによれば、好ましくは、前記浮造り加工が施された突板の表面側に、更に、透明な合成樹脂からなるクリア層が、塗装操作により積層形成されることとなる。
このように、本発明に従う本木製品の製造方法にあっては、突板の裏面側に合成樹脂製の基材層が積層形成されてなるインサート成形品を、射出成形操作にて得ることにより、かかる突板が射出成形圧力により薄肉化されていても、その得られたインサート成形品を加湿処理して、インサート成形品を構成する突板が膨潤せしめられるようになっているところから、浮造り加工にて充分な立体感を現出し得る板厚を効果的に確保することが可能となり、これによって、かかる突板の表面に対して浮造り加工を施して、凹凸のある立体的で優れた意匠面を有効に形成することが出来ることとなるのである。即ち、浮造り加工によって所定深さの凹部を形成するのに必要な板厚が有利に確保されることとなるのであり、これによって、夏目部の除去処理により、基材層が露出したり、透けて見えてしまう等という問題も、効果的に解消され得るのである。
しかも、そのようなインサート成形品に対する加湿処理によって、突板が膨潤せしめられることにより、基材層の射出成形操作によって圧縮されて、硬くなってしまった突板の夏目部が柔らかくなるようになるため、かかる夏目部の除去処理(浮造り加工)をより容易に行なうことが出来るという利点も生じることとなる。
さらに、本発明に従う本木製品の製造方法にあっては、浮造り加工の実施に先立って、加湿処理にて膨潤せしめられた突板が乾燥させられて、その乾燥状態の突板の表面に対して浮造り加工が施されるものであるところから、加工後の突板の表面状態を効果的に改善することが出来ることとなり、これにより、突板の表面の荒れや損傷等を有利に防止乃至抑制することが可能となる。
なお、本発明に従う本木製品の製造方法にあっては、基材層を成形し得る成形型の成形キャビティ内に、突板を収容すると共に、かかる突板の表面を成形キャビティのキャビティ面に対向させた状態下において、突板の裏面側に、射出成形操作にて、基材層を積層形成するようになっているところから、全体として三次元形状を呈する本木製品を有利に製造することが出来る利点がある。
本発明手法に従って製造された本木製品の一例を示す断面説明図であって、(a)は、かかる本木製品全体を示すものであって、(b)は、その一部を拡大して示すものである。 図1に示された本木製品の一部を構成する突板シートを示す縦断面説明図である。 本発明手法に従って、図1に示された本木製品を製造するに際して、射出成形品を形成する際の一工程例を示す断面説明図であって、型開きされている射出成形用金型の一方の型の成形キャビティ内に、突板シートを収容配置した状態を示している。 図3に引き続いて実施される工程例を示す断面説明図であって、突板シートが収容配置された成形キャビティ内に、溶融樹脂材料を射出して、充填せしめた状態を示している。 図4におけるA部拡大説明図である。 図4に引き続いて実施される工程例を示す断面説明図であって、成形キャビティ内に射出、充填した溶融樹脂材料を固化せしめた後、射出成形品を型開きされた射出成形用金型から取り出した状態を示している。 図6におけるB部拡大説明図である。 図6に引き続いて実施される工程例を示す一部切欠き説明図であって、射出成形品に対して加湿処理している状態を示している。 図8におけるC部拡大説明図である。 図8に引き続いて実施される工程例を示す一部切欠き説明図であって、射出成形品の突板に対して浮造り加工が施されている状態を示している。 図10におけるD部拡大説明図である。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1の(a)には、本発明手法に従って製造される本木製品の一例として、自動車用内装部品として用いられる本木製品10が、縦断面形態において概略的に示されている。この本木製品10は、周縁部位が所定高さで立ち上がるように湾曲せしめられることで、全体として浅底箱形の三次元形状を呈している。具体的には、図1の(b)に明らかにされているように、かかる本木製品10は、突板12の裏面側[図1の(b)における下側]に、補強層14と接合層16とが積層形成された突板シート18を有している。また、突板シート18の裏面[図1の(b)における下側の面]には、基材層20が、射出成形により積層形成されており、一方、その表面[図1の(b)における上側の面:意匠面22]には、透明な合成樹脂からなるクリア層24が塗装操作により所定厚さで積層形成されている。換言すれば、ここでは、本木製品10が、基材層20の上に、接合層16と補強層14と突板12とクリア層24とが、その順番で積層形成された積層構造体にて構成されている。なお、以下においては、便宜上、突板12の意匠面22側となる本木製品10の図1の(b)での上側(の面)を表面側(表面)と言い、その反対側(の面)を裏面側(裏面)と言うこととする。また、図1及び後述する図2乃至図11においては、本実施形態の本木製品10の構造の理解を容易とするために、突板12を始めとした各層の厚さが、クリア層24や基材層20の厚さと比較して、実際とは異なる誇張された大きさで示されていることが理解されるべきである。
ここで、本木製品10における突板12の表面には、図1の(b)に示される如く、浮造り加工によって、凹凸のある意匠面22が形成されている。即ち、突板12は、組織が粗であり、比較的柔らかい部分である夏目部26と、組織は緻密で、比較的硬い部分である冬目部28[図1(b)における突板12中の斜線部分]とから構成されており、かかる夏目部26に、凹部30が形成されており、これによって、突板12の意匠面22に凹凸模様の立体的で優れた意匠が創出されているのである。
そして、本発明にあっては、かくの如き構造を有する本木製品10を、以下のような手順に従って製造するようにしたのである。
すなわち、先ず、図2に示されるような構造を有する突板シート18が準備される。この突板シート18の準備に際しては、平板状の突板12が、所定の木材から切り出す等して、用意される。なお、この突板12を所定の木材から切り出す際には、表面(意匠面22)に、板目や柾目、杢目等の所望の木目(夏目部26及び冬目部28)が現れるようにされる。そして、所定の木材から切り出された突板12には、必要に応じて、公知の乾燥工程が施される。また、突板12の板厚(t1)は、三次元形状に成形可能な突板シート18の柔軟性を確保すると共に、浮造り加工によって所望の深さの凹部30を形成可能な板厚を確保するため、好ましくは、0.5mm〜1.0mm程度とされる。
かかる突板12は、リアルな木質感を与えるために設けられるものであって、例えば、オバンコール、ブビンガ、バーズアイメープル、カーリーメープル、ホワイトアッシュ、サペリマホガニー、タモ、スギ、ヒノキ、チェリー、チーク等の木目の美しい様々な天然木からなっている。なお、そのような突板12の表面に対して浮造り加工が施されることとなるところから、それらの天然木の中でも、比較的木目が明確に現れる材料、換言すれば、夏目部26と冬目部28とのコントラストがはっきりしている材料を用いることが好ましく、例えば、スギのように夏目、冬目の硬度差が大きい材料が好適に用いられる。
また、その一方で、補強層14を構成する、突板12と略同じ大きさの矩形平板形態を呈するアルミニウムの薄板を、例えばプレス成形等により、所定のブランク等から切り出して、準備する。なお、この補強層14としては、突板シート18に所望の剛性を付与し得る程度の剛性を有すると共に、基材層20の射出成形時等の圧力や熱によって損傷しないものであり、且つ、後述するように、突板シート18を、射出成形用金型(36)の成形キャビティ(42)内に三次元形状で収容配置する際の妨げとなるものでなければ、その材質が、何等限定されるものではなく、例えば、鉄や銅等の他の金属薄板や、ポリプロピレンやABS樹脂等の硬質の樹脂シート、或いは不織布、更にはガラス繊維やカーボン繊維等の繊維シート等が、アルミニウムの薄板に代えて、何れも採用可能である。
さらに、突板12とは別に、接合層16を構成する、突板12と略同じ大きさの矩形平板状の木板を、所定の木材から切り出す等して、準備する。なお、木板を所定の木材から切り出す際には、木目の向き等が制限されることはないものの、かかる木材として、突板12を切り出す木材よりも木目の粗いもの、例えば、クラロウォールナットやマンガシロノ等が選択され得る。そして、所定の木材から切り出された木板には、必要に応じて、公知の乾燥工程が施される。
次いで、木材と金属とを強固に接着可能な公知の接着剤を用いて、突板12の裏面に接着剤層32を形成した後、先に準備されたアルミニウム薄板を、かかる接着剤層32を介して、突板12の裏面全体を覆うように接着する。これにより、突板12の裏面に補強層14を積層形成して、突板12の剛性を高める。
その後、接着剤層32を構成する接着剤と同様な接着剤を用いて、補強層14の裏面に接着剤層34を形成した後、先に準備された木板を、かかる接着剤層34を介して、補強層14の裏面全体を覆うように接着する。これにより、突板12の裏面に、補強層14を介して、接合層16を積層形成する。これによって、突板シート18を得るのである。
本発明手法においては、基材層20を構成する樹脂材料として、常に、金属材料との接合性乃至は密着性に優れたものが選択されるわけではない。そこで、ここでは、基材層20に対する接合性乃至は密着性に優れた接合層16が、補強層14の裏面に積層形成されているのである。
次に、図3乃至図7に示されるように、公知の構造を有する射出成形用金型36を用いて、目的とする基材層20の射出成形操作を行なって、射出成形品(インサート成形品)(54)が形成されることとなる。なお、ここで、射出成形用金型36は、固定型38と可動型40とを備え、それらを型合せすることにより、成形キャビティ42が形成されるようになっている。
かかる射出成形操作においては、図3に示されるように、可動型40のキャビティ形成凹所44内に、先に準備された突板シート18が収容せしめられる。このとき、突板12は、その表面を、可動型40のキャビティ形成凹所44の内面(キャビティ面)に対向させた状態で、配置される。即ち、突板シート18の全体が、可動型40のキャビティ形成凹所44の内側形状に対応した三次元形状とされた状態で、成形キャビティ42内に収容位置せしめられることとなるのである。なお、図示はしないが、本実施形態において用いられる射出成形用金型36には、突板シート18を所定の形状に保持出来る機構が備え付けられている。
そして、図4に示されるように、射出成形用金型36を型締めすると共に、図示しない射出成形機のノズル46から、基材層20の形成材料である不透明なABS樹脂からなる溶融樹脂材料48を射出して、スプルー50とサブスプルー52とを通じて、溶融樹脂材料48を、成形キャビティ42内に、充填する。
なお、基材層20の形成材料としては、汎用的なABS樹脂の他、自動車用内装部品の形成材料として一般に用いられる、例えば、ポリカーボネート/ABS樹脂や、ガラス繊維を含むABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ノリル樹脂等の熱可塑性樹脂が、適宜に用いられ得る。
このとき、図5に示されるように、成形キャビティ42内に、高い射出圧で充填される溶融樹脂材料48と、可動型40のキャビティ形成凹所44の内面との間で、突板シート18が挟圧されて、突板12が、キャビティ形成凹所44の内面に、溶融樹脂材料48の射出圧に基づく大きな力で押し付けられるようになる(図5における白抜き矢印参照)。なお、ここでは、溶融樹脂材料48の充填前の突板シート18の状態が、二点鎖線にて示されている。
その後、かかる成形キャビティ42内に充填された溶融樹脂材料48を冷却、固化せしめて、基材層20が形成される。このとき、接合層16の基材層20との対向面に、微小な穴部や微細な凹溝等の凹部が多く存在しているところから、溶融樹脂材料48が、それらの凹部内に入り込み、或いは繊維の内部に浸透することで、アンカー効果が発揮され、以て、接合層16と基材層20との密着性が、効果的に高められる。かくして、図6に示されるように、突板12の裏面側に、補強層14及び接合層16を介して、合成樹脂製の基材層20が形成されてなる射出成形品54が、インサート成形品として射出成形用金型36より取り出されるのである。
ところで、上述したように、射出成形操作にて基材層20を形成した場合において、成形キャビティ42内に射出される溶融樹脂材料48の射出圧が高圧であるところから、突板12が、そのような高圧の溶融樹脂材料48とキャビティ形成凹所44の内面(キャビティ面)との間で挟圧され、板厚方向において圧縮されて、突板12の板厚が薄くなってしまうこととなる。即ち、図7に示されるように、基材層20の形成後、射出成形用金型36から取り出した射出成形品54の突板12の板厚(t2)は、図7中に二点鎖線にて示される基材層20形成前の状態(板厚:t1)より、Δt(mm)だけ減少してしまっているのである。
そこで、本発明手法においては、上記のようにして得られた射出成形品54に対して、加湿処理が施される。この加湿処理に用いられる加湿装置56は、ここでは、図8に示されるように、射出成形品54を搬送するためのコンベア58と、搬送方向に複数個配設されたノズル60とを備えている。射出成形品54は、コンベア58上に、突板12を上方に向けた状態で載置されて、順次移送される(図8の白抜き矢印参照)。そして、ノズル60から水蒸気(スチーム)62を吹き出して、射出成形品54の突板12に向かって水蒸気62が吹き付けられるようになっている。このようにして、突板12に吸水(吸湿)させ、突板12を膨潤させることで、基材層20の形成時に圧縮されて、減少してしまった突板12の板厚が、効果的に増加(復元)せしめられるのである。
なお、かくの如き加湿処理において、目的とする板厚の増加(復元)効果を得るためには、例えば、加湿処理中乃至は処理直後の突板12の含水率を制御することが、有効である。この含水率が低過ぎると、板厚の増加効果が充分に得られず、また、含水率が高過ぎても、それに見合った板厚の増加効果を得ることは出来ず、加湿処理工程において無駄が生じると共に、その後の乾燥に時間が掛かるといった不具合を生じることとなる。なお、加湿処理直後の突板12の含水率は、一般に、18%〜30%程度である。
また、本実施形態のような加湿装置56を用いる場合にあっては、上記した範囲内において含水率を制御するために、水蒸気(スチーム)62の温度や加湿処理時間が適宜に設定されることになる。ここで、水蒸気62の温度が低過ぎると、突板12が膨潤し難くなるために、突板12を膨潤させるために長い時間が掛かってしまったり、所望の厚さにまで板厚を増加させることが困難になる。逆に、水蒸気62の温度が高過ぎても、突板12の膨潤がそれに比例して有利に進む訳ではなく、エネルギ効率が悪くなってしまう。更に、突板12乃至射出成形品54の温度が過度に上昇することで、製品のそりや損傷の原因にもなってしまう。このため、水蒸気62の温度としては、好ましくは、40℃〜60℃の範囲である。
さらに、加湿処理時間について、かかる加湿処理時間が短か過ぎると、突板12を充分に膨潤させることが出来ず、所望の厚さにまで板厚を増加させることが困難になる。逆に、加湿処理時間が長過ぎると、サイクルタイムが延びて生産効率が低下したり、突板12が必要以上に吸水して、その後の乾燥に時間が掛かる、等といった不具合を生じる。従って、加湿処理時間としては、一般に、5分〜20分程度が採用されることとなる。
そして、図9に示されるように、上述の如き加湿処理によって、突板12が膨潤せしめられることにより、突板12の板厚がΔt’(mm)増加せしめられ、これによって、加湿処理後の突板12の板厚は、t3(mm)となる。なお、ここでは、加湿処理前の突板12の状態(板厚:t2)が、二点鎖線にて示されている。また、後述する浮造り加工によって、凹凸のある意匠面22を有利に形成するために、加湿処理後の突板12の板厚(t3)は、少なくとも、0.5mm程度以上とされることが望ましい。
次いで、加湿処理にて膨潤せしめられた射出成形品54の突板12には、乾燥が施される。ここでは、かかる突板12の乾燥は、温度及び湿度がコントロールされた乾燥室内に、加湿処理後の射出成形品54を放置しておくことによって、行なわれる。このようにして、突板12を乾燥させることで、加湿処理(吸湿、吸水)によって低下してしまった突板12の硬度等の特性を有利に改善することが出来るのである。即ち、このような乾燥によって、突板12に含まれている余分な水分を排出して、突板の膨潤状態を解消するのである。
なお、この乾燥操作においても、目的とする突板12の特性改善効果を得るために、かかる突板12の、乾燥後の含水率を制御することが、有効である。かかる含水率が未だに高いままだと、特性の改善効果が充分に得られず、突板12の硬度が低いために、その後の浮造り加工によって突板の表面(意匠面22)が荒れてしまったり、クリア層24との密着性が低下したり、塗装ムラが生じてしまう、等の不具合を生じる。また、含水率を必要以上に低くしようとしても、それに見合った特性の改善効果を得ることは出来ず、乾燥に要する時間、コストが無駄に掛かってしまうだけである。なお、よく知られているように、木材を、ある一定の温度及び湿度に調節された環境に放置すると、ある含水率に達した時点で、木材の吸湿と放湿が同じスピードになり、見かけ上、木材が吸放湿を行なわなくなる。このような含水率を平衡含水率といい、この状態を気乾状態という。一般的に、木材を大気中に放置した際の気乾状態での含水率は15%前後である。ここで、乾燥後の突板12の含水率は、好ましくは、そのような気乾状態を含む、5%〜15%の範囲である。
そして、本実施形態のように、乾燥室内に射出成形品54を放置して、突板12の乾燥を行なう場合にあっては、突板12の含水率が所望の値となるように、乾燥室内の温度や湿度、放置時間を、適宜コントロールする必要がある。ここで、乾燥室内の温度が、低過ぎると、乾燥が進み難く、高過ぎると、突板12の一部(特に表面)の乾燥が急激に進んで、均一な乾燥が困難となったり、突板12乃至射出成形品54の温度が過度に上昇することで、製品のそりや損傷の原因にもなってしまう等の不具合があるところから、好ましくは、60℃〜80℃の範囲とされる。
また、乾燥室内の湿度は、低過ぎると、突板12のひび割れ等といった問題を生じ、高過ぎると、突板12の乾燥が進み難いという不具合があるところから、好ましくは、5%〜20%の範囲とされる。更に、放置時間は、サイクルタイムを出来るだけ短縮すると共に、突板12全体を均一に乾燥するために、好ましくは、30分〜1時間の範囲とされる。なお、このようにして突板12(射出成形品54)を乾燥せしめたとしても、一旦、加湿処理によって増加した突板12の板厚(t3)が、再び減少してしまうことは、ほとんどない。
続いて、射出成形品54の乾燥された突板12の表面に対して浮造り加工を施す。ここでは、図10に示されるような浮造り加工装置64を用い、コンベア66上を搬送される射出成形品54の突板12の表面に、回転する細い金属製のワイヤーブラシ68を接触させることで、突板12表面の夏目部26を掻き取るようにする。即ち、図11に示されるように、突板12を構成する夏目部26と冬目部28(図11中、突板12における斜線部分)のうち、比較的柔らかい夏目部26の表面を、ブラッシング処理により除去して、かかる夏目部26に、所定深さ(d)の凹部30を形成するのである。なお、図11においては、浮造り加工前の突板12の表面が二点鎖線にて示されている。ここで、凹凸のある、立体的で優れた意匠面22を得るために、凹部30の深さ(d)は、好ましくは0.3mm〜0.5mm程度とされる。これにより、射出成形品54の突板12の表面に、凹凸のある意匠面22が効果的に形成されるのである。
そして、上述の如くして浮造り加工が施された突板12の意匠面22の上には、クリア層24が塗装操作により積層形成される。ここで、かかる塗装操作は、突板12の意匠面22に対して、塗装ガンによりアクリル樹脂系塗料を吹き付ける、所謂吹付塗装により行なう。これによって、かかる意匠面22上に、透明なアクリル樹脂からなるクリア層24を所定厚さで積層形成し、先述した図1に示されるような、立体感を有する意匠性に優れた本木製品10が作製され得るのである。
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、射出成形操作により基材層20が積層形成されることで、圧縮され、薄肉化せしめられた突板12を、加湿処理して、膨潤せしめることにより、その板厚を増加せしめるようにしたところから、浮造り加工にて、所定深さの凹部30を形成するのに必要な板厚が有利に確保されることとなるのであり、これによって、凹凸のある立体的で優れた意匠面22を有効に形成することが出来ることとなるのである。また、夏目部26の除去処理により、基材層20が露出したり、透けて見えてしまう等という問題も、効果的に解消され得ることとなる。
しかも、そのような射出成形品54に対する加湿処理によって、突板12を膨潤せしめることにより、基材層20の射出成形操作によって圧縮されて、硬くなってしまった突板12の夏目部26を柔らかくすることが出来るため、かかる夏目部26の除去処理(浮造り加工)をより容易に行なうことが出来るという利点も生じる。
また、本実施形態においては、加湿処理が、射出成形品54を構成する突板12の表面側から行なわれるようになっているところから、突板12を効果的に加湿処理して、有利に膨潤せしめることが可能となると共に、突板12の裏面側に形成された合成樹脂製の基材層20の膨潤(吸湿)を抑制することが可能となり、かかる基材層20の寸法変化や特性の劣化等を有利に回避することも出来るのである。
そして、本実施形態においては、浮造り加工の実施に先立って、加湿処理にて膨潤せしめられた突板12が乾燥させられて、その乾燥状態の突板12の表面に対して浮造り加工が施されることとなる。このため、突板12の表面の状態が効果的に改善せしめられることにより、突板12の意匠面22の荒れやケバ立ち、損傷等を有利に防止乃至抑制することが可能となる。更に、突板12の意匠面22の状態が改善されることにより、その後のクリア層24の塗装操作が容易になるという利点もある。
なお、本実施形態にあっては、基材層20の形成によって突板12が薄肉化されることを考慮して、突板12の板厚を、予め厚くしておく必要がないため、突板12(突板シート18)の柔軟性を確保することが出来、以て、全体として三次元形状を呈する本木製品10を有利に製造することが出来るようになっている。
また、本実施形態においては、クリア層24が、突板12の意匠面22上に、塗装操作により直接に積層形成されている。これによって、浮造り加工によって形成された意匠面22の凹凸を潰すことなく、換言すれば凹部30を埋めることなく、クリア層24を形成することが可能となる。そのため、立体感を損うことなく、意匠面22を保護することが出来ると共に、意匠面22に対して、より深みのある意匠性を付与することが可能となる。なお、クリア層24の形成材料としては、透明な合成樹脂であればよく、アクリル樹脂に限らず、ポリカーボネート樹脂等を用いることも出来る。他にも、かかるクリア層24を形成するための塗料としては、ポリウレタン樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、アミノアルキッド樹脂系塗料等のクリア塗料が例示され得、それらの塗料からなる樹脂膜にてクリア層24が形成されていてもよい。また、本発明において、クリア層24は必須のものではなく、省略することも可能である。
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、突板シート18を、射出成形用金型36(可動型40)のキャビティ形成凹所44の内側形状に対応した形状に予め賦形した後、キャビティ形成凹所44(成形キャビティ42)内に収容せしめるようにしてもよい。そうすることで、突板シート18(突板12)の表面がキャビティ形成凹所44の内面に密接せしめられ、以て、基材層20を形成する溶融樹脂材料48の成形キャビティ42内への射出充填時(図4参照)に、溶融樹脂材料48が突板シート18(突板12)の表面上に回り込むようなことが、有利に防止され得る。
また、加湿処理は、射出成形品54を構成する突板12を膨潤せしめることの出来る、公知の種々の手法によって実施することが可能であり、例えば、温度や湿度がコントロールされた部屋(槽)内に射出成形品54を放置しておく等の手法によっても実施可能である。なお、かかる加湿処理を減圧又は加圧状態下において実施してもよい。しかしながら、このような加湿処理は、基材層20を構成する合成樹脂の吸湿を抑制し、かかる基材層20の寸法変化等を抑制するために、射出成形品54を構成する突板12の表面側から行なうことが、望ましい。
さらに、そのようにして、射出成形品54を構成する突板12の表面側から加湿処理を行なう場合、水蒸気を吹き付けるといった、上述の態様に何等限定されるものではなく、例えば、水等の液体を噴霧する、液体を滴下する、液体に浸漬する、又は液体を保持させた媒体と接触させる、等といった各種の態様において実施することが可能である。
また、浮造り加工手法としては、公知の各種の手法が採用可能であり、例えば、ブラスト処理等により夏目部26を除去する手法や、突板12の表面を炭化させた後に夏目部26の除去処理を行なう、所謂焼き浮造り加工と言われる手法等が、適宜、採用され得る。なお、これらの手法を組み合わせて行なうことも出来る。
更にまた、加湿処理を、水ではなく希塩酸を用いて実施すると共に、浮造り加工を、焼き浮造り加工によって行なうことも出来る。従来から、焼き浮造り加工に際し、突板12の表面に希塩酸を塗布することで、形成される凹凸を有利に大きくすることが出来ると共に、焼き工程における焼きムラが少なくなることが知られており、それによって、木目(夏目26及び冬目28)のコントラストが美しい意匠面22を有利に形成することが、可能となる。そこで、加湿処理を希塩酸を用いて実施することで、希塩酸中の水分により、突板12を膨潤せしめることが出来ると共に、希塩酸の塗布処理を加湿処理と同時に行なうことが出来るため、突板12の表面に希塩酸を塗布する工程を省略することが出来るのである。なお、この場合においては、希塩酸による基材層20への悪影響を防止するため、加湿処理を突板12の表面側から行なうことが、より望ましい。
また、突板12の意匠面22へのクリア層24の形成方法も、例示された塗装ガンによる吹付塗装に、何等限定されるものではなく、その他、ロールコーターやフローコーターによる塗装方法、ワイピングによる塗装等も、適宜に採用可能である。
なお、かかる補強層14は、上述せる如き材料の中でも、高い伝熱性を有する金属薄板にて構成されていることが、より望ましい。その場合、基材層20の射出成形において、溶融樹脂の熱が射出成形用金型36と補強層14の両方に奪われるようになり、それによって、熱影響による突板12の意匠面22の変色等の不具合の発生が、効果的に防止され得るようになる。なお、補強層14は、本発明において必須のものではなく、省略可能である。
また、接合層16は、補強層14よりも、合成樹脂製の基材層20に対する接合性乃至は密着性が高いものであれば、その材質が、特に限定されるものではない。それ故、補強層14が金属薄板からなる場合には、接合層16として、例えば、木綿からなる天然織布、或いはガラス繊維やカーボン繊維等を編織した繊維シート、更には各種の不織布等が、木板に代えて採用可能である。また、補強層14が各種の織布や不織布等にて構成される場合、若しくは補強層14が設けられない場合には、接合層16を省略することもできる。勿論、接合層16を公知の接着剤にて構成しても良い。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
先ず、スギの天然木を0.8mmの厚さ(板厚:t1)でスライスして、長さ×幅が100mm×150mmの平板材を得た。この平板材を、突板として、準備した。また、それとは別に、マンガシロノを0.2mmの厚さでスライスして、準備された突板と同じ大きさを有するものの、それよりは木目の粗い平板材を得た。そして、その平板材を、接合層を構成する木板として、準備した。更に、突板や木板と同じ大きさを有すると共に、厚さが0.5mmとされたアルミニウム薄板を作製し、そのアルミニウム薄板を、補強層を構成する金属板として、準備した。
そして、準備された突板の裏面に対して、準備されたアルミニウム薄板を、市販の接着剤によりそれぞれ接着した後、アルミニウム薄板の突板側とは反対側の面に対して、準備された木板を、市販の接着剤によりそれぞれ接着した。これにより、突板の裏面に、アルミニウム薄板からなる補強層と、木目の粗い木板からなる接合層とが積層形成されてなる積層シート(突板シート)を得た。
そして、図3乃至図7に示されるように、そのような積層シートをインサート品としたインサート射出成形を公知の手法により実施して、積層シートの接合層の裏面に、ABS樹脂からなる基材層を積層形成した。その後、射出成形用金型から取り出された基材層が形成された積層シートの突板の厚さを測定した。基材層形成直後の突板の厚さ(t2)は0.3mmであった。
次いで、図8に示される如き構造を有する加湿装置を用いて、60℃のスチームを10分間吹き付けることで加湿処理を行なった。かかる加湿処理直後の突板の板厚(t3)は0.9mmであった。なお、その時点における突板の含水率は25%であった。
さらに、加湿処理したインサート成形品を温度60℃、湿度10%の条件の乾燥室内に、1時間放置することにより突板の乾燥を行なった、かかる乾燥後の突板の板厚は0.8mm、含水率は6%であった。
そして、インサート成形品の乾燥された突板の表面に対して浮造り加工を施した。即ち、図10に示される如き装置を用い、真鍮製のワイヤーブラシにより突板の表面を研磨して夏目部の除去を行なった。ここで、形成された凹部の深さ(d)は0.5mmであった。
このようにして作製された本木製品は、全体として三次元形状を呈すると共に、凹凸のある意匠面を有し、充分な立体感を備えており、基材層が透けて見えるといった問題も、何等生じてはいないものであった。
なお、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
10 本木製品 12 突板
18 突板シート 20 基材層
22 意匠面 24 クリア層
26 夏目部 28 冬目部
30 凹部 36 射出成形用金型
42 成形キャビティ 44 成形キャビティ形成凹所
48 溶融樹脂材料 54 射出成形品
56 加湿装置 62 水蒸気
68 ワイヤーブラシ

Claims (4)

  1. 意匠面を与える木質の突板の表面に浮造り加工が施されている一方、かかる突板の裏面側に、合成樹脂製の基材層が射出成形操作により積層形成されてなる本木製品を製造する方法であって、
    前記基材層を成形し得る成形型の成形キャビティ内に、前記突板を収容すると共に、該突板の表面を該成形キャビティのキャビティ面に対向させた状態下において、該突板の裏面側に、合成樹脂の射出成形操作にて、前記基材層を積層形成して、インサート成形品を形成する工程と、
    該インサート成形品を加湿処理して、該インサート成形品を構成する前記突板を膨潤せしめる工程と、
    かかる加湿処理にて膨潤せしめられた該インサート成形品の突板を乾燥する工程と、
    該インサート成形品の乾燥された突板の表面に対して浮造り加工を施して、凹凸のある意匠面を形成する工程と、
    を含む本木製品の製造方法。
  2. 前記インサート成形品に対する加湿処理を、該インサート成形品を構成する前記突板の表面側から行なう請求項1に記載の本木製品の製造方法。
  3. 前記インサート成形品に対する加湿処理を、希塩酸を用いて実施すると共に、前記浮造り加工を、焼き浮造り加工によって行なう請求項2に記載の本木製品の製造方法。
  4. 前記浮造り加工が施された突板の表面側に、更に、透明な合成樹脂からなるクリア層を塗装操作により積層形成せしめる請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の本木製品の製造方法。
JP2014033838A 2014-02-25 2014-02-25 本木製品の製造方法 Active JP6239998B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014033838A JP6239998B2 (ja) 2014-02-25 2014-02-25 本木製品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014033838A JP6239998B2 (ja) 2014-02-25 2014-02-25 本木製品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015157431A JP2015157431A (ja) 2015-09-03
JP6239998B2 true JP6239998B2 (ja) 2017-11-29

Family

ID=54181864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014033838A Active JP6239998B2 (ja) 2014-02-25 2014-02-25 本木製品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6239998B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017052186A (ja) * 2015-09-10 2017-03-16 パナソニックIpマネジメント株式会社 木質板状建材の製造方法
JP7001361B2 (ja) 2017-04-19 2022-01-19 株式会社東海理化電機製作所 突板シート及びその製造方法
JP6935773B2 (ja) 2018-03-13 2021-09-15 トヨタ車体株式会社 成形品及び成形品の製造方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5024409A (ja) * 1973-07-02 1975-03-15
JPS5922964Y2 (ja) * 1975-06-10 1984-07-09 モチヅキ ナカタロウ 加湿切削式のスライサ−
JPS5225005A (en) * 1975-08-15 1977-02-24 Shinji Inoue Method of developing natural grain for plywood
JPH02165902A (ja) * 1988-12-21 1990-06-26 Tokiwa Mokuzai Kogyo Kk 木材の細胞変形回復法
JPH11983A (ja) * 1997-06-12 1999-01-06 Toyoda Gosei Co Ltd 化粧成形品及びその製造方法
JP2003154503A (ja) * 2001-11-22 2003-05-27 Noda Corp 化粧板およびその製造方法
JP4783710B2 (ja) * 2006-10-19 2011-09-28 永大産業株式会社 浮造り床材
JP5553984B2 (ja) * 2008-10-14 2014-07-23 小島プレス工業株式会社 木質化粧板の製造方法及び木質化粧板
JP2010173113A (ja) * 2009-01-27 2010-08-12 Panasonic Electric Works Co Ltd 木材の模様形成方法および模様が付与された木材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015157431A (ja) 2015-09-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6239998B2 (ja) 本木製品の製造方法
CN102941612B (zh) 一种制造重组竹木装饰材的方法
CN107199667A (zh) 零发泡聚氨酯复合材料的注射加工方法
JP3185929U (ja) インモールド・デコレーション体
CN109049938A (zh) 一种实木饰面压漆板及制造方法
KR101302396B1 (ko) 자동차 내장재의 제조 방법
JP2010094827A (ja) 木質化粧板の製造方法及び木質化粧板
CN101712193B (zh) 模内装饰方法
US10875280B2 (en) Wooden decorative panel and method for manufacturing same, insert molding using wooden decorative panel, and method for manufacturing insert molding
CN106553255A (zh) 木门制作雕刻工艺
JP5725595B2 (ja) 圧密木材複合成形品の成形方法
JP2019217698A (ja) 木質化粧板及びその製造方法
JP2010173112A (ja) 木材の模様形成方法および模様が付与された木材
KR101302395B1 (ko) 탄성이 개질 된 무늬목층을 갖는 자동차 내장재
US11241846B2 (en) Simulated figure panels
JP2011079260A (ja) 木質化粧板
JPH0966536A (ja) 木材表面を有する成形品の製造方法
KR101259985B1 (ko) 천연목재를 이용한 성형제품 및 제조방법
JP2002316306A (ja) 木質化粧成形品の製造方法
WO2015072929A1 (en) Method for making "one-off" models/moulds
CN108127950A (zh) 一种基于3d打印的鞋面加工方法
JP2014189008A (ja) 金属化粧材及びその製造方法
CN101392594B (zh) 二层实木浮雕复合地板的制作方法
JP2009203418A (ja) 本革表皮材の成形方法
US20160136939A1 (en) Method in which a vehicle interior trim part with a decor layer comprising paper layers is produced

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171024

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6239998

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350