JP6239396B2 - Soi複合基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、SOI(Silicon On Insulator)複合基板の製造方法に関するものである。
シリコン以外の基板の表面にシリコン薄膜を形成したSOI複合基板が備えるシリコン薄膜の表面の研磨には、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)が用いられる。近年、半導体部品の高集積化やその特性の向上のため、膜厚精度に対する要求が厳しくなってきており、研磨技術の向上が求められている。
SOI複合基板には、SOQ(Silicon on Quartz)複合基板、SOS(Silicon on Sapphire)複合基板等、半導体層として利用されるシリコンに対し物性の異なる材料と組み合わせることによって機能を高めた基板がある。SOQ複合基板は、石英の高い透明性を活かしてオプトエレクトロニクス用途への利用が期待される。SOS複合基板は、サファイアの高い絶縁性及び熱伝導性を活かして高周波用途への利用が期待される。これらの複合基板は、支持基板となる石英ガラス基板やサファイア基板と、接合されたシリコン薄膜との間で、熱膨張率や耐熱性といった熱的性質が異なっているため、製造上の難しさを引き起こしている。
SOI複合基板の作製方法としては、貼り合わせ方式が挙げられる。貼り合わせ方式の一つとして、スマートカット法が挙げられる。スマートカット法では、熱酸化等により表面に酸化膜が形成されたシリコン基板に水素イオンを注入し、注入後のシリコン基板を支持基板に貼り合わせ、接合強度を上げるための熱処理を行った後、さらに熱を加えて熱剥離を行う。高温で熱処理を行うことにより、注入した水素イオンが基板内部で微小気泡層を形成し、その気泡層が膨張することによって剥離が行われる。しかし、このような高温での熱処理が必須であるスマートカット法は、熱膨張率差のある基板への適用が難しい。
一方、スマートカット法のような高温での熱処理を行わない貼り合わせ方式として、SiGen法が挙げられる。SiGen法では、熱酸化等により表面に酸化膜が形成されたシリコン基板に水素イオンを注入し、注入後のシリコン基板を支持基板に貼り合わせ、接合強度を上げるための熱処理を行った後、機械的に剥離を行う。この方法では、貼り合わせ面をプラズマ等で活性化することによって予め貼り合わせ基板の結合力を上げておくため、その後の熱処理を低温で行うことができる。そのため、高温での熱処理による基板内部での気泡層の凝集や膨張の作用を必要としない。
上述した2つの貼り合わせ方式では、注入した水素イオンより生じる欠陥層から剥離を行う。しかし、支持基板に転写された剥離直後のシリコン薄膜には、この欠陥層の一部(ダメージ層)が残っているため、その除去が必要となる。また、このようなシリコン薄膜の表面を平坦化、平滑化するために、研磨が実施される。
表面を平坦化する方法として、例えば特許文献1では、犠牲酸化により膜厚を調整し、その後アルゴン雰囲気又は水素を含むアルゴン雰囲気で高温アニールを行っている。この方法では、研磨工程を無くすか、研磨による除去量を減らすことによって、面内の膜厚均一性の悪化を防いでいる。しかし、この方法は高温での酸化やアニールが必要である。また、単結晶シリコン薄膜をこれとは物性の異なる基板に形成したような複合基板の場合には、熱膨張率の差や基板自体の耐熱温度等の観点から、この方法を適用することが困難な場合が多い。熱膨張率の差は単結晶シリコン薄膜に対する熱応力を生むため、欠陥層が多く残った状態で高温に晒すと、欠陥層が起点となってシリコン薄膜にクラックやクラックに近い欠陥を引き起こすからである。また、支持基板として耐熱性に劣る物質を用いた場合には、基板の軟化点や使用温度の上限を超えることにより変形を起こすため、複合基板の平坦性という性能を満足できない。
特許第4526818号
シリコン薄膜の研磨は、表面基準で行う。図12及び13を参照して、従来の研磨方法を説明する。図12に示すような研磨装置100を用いる場合、回転する研磨ヘッド110の先端に、シリコン薄膜が転写された被研磨基板101を被研磨面(シリコン薄膜側の面)を下向きに取り付ける。図13に示すように、研磨ヘッド110内にはバッキングプレート111が収められている。被研磨基板101の裏面(被研磨面とは反対側の面)はメンブレンフィルム112と呼ばれる膜を介して押圧され、この押圧力により被研磨基板101の被研磨面がプラテン103上に配置された研磨布102へ押し付けられる。研磨ヘッド110には、被研磨基板101が先端から飛び出さないようにリテーナーリングと呼ばれる飛び出し防止のためのガイドリング113が設置されている。このガイドリング113内に被研磨基板101を収め、研磨ヘッド110を回転させながら、被研磨基板101を回転している研磨布102へ押し当てつつ、スラリー104と呼ばれる研磨剤入りの溶液を用いて研磨を行う。このガイドリング113には、強度や耐摩耗性等の観点から、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂やガラスエポキシ樹脂等が使用される。研磨ヘッド110には、ガイドリング113の押圧力を調整するためのガイドリング加圧機構118が設けられており、被研磨基板101の飛び出しを防止している。研磨ヘッド110とバッキングプレート111の間には、被研磨基板101を加圧するためのバッキングプレート加圧機構117が設けられている。
シリコンとは物性の異なる支持基板にシリコン薄膜を接合した複合基板が備えるシリコン薄膜の表面に対してCMP研磨を行った場合、シリコン薄膜の面内膜厚の偏肉、特に図14に示すように複合基板の中央部と外周部とにおいて膜厚に差異が生じていた。
特に、同じガイドリングを繰り返し用いて研磨を行った場合、仕上がった複合基板の面内膜厚分布は、同一ガイドリングのバッチ毎に変化するばかりでなく、別個のガイドリング間において挙動が異なるという傾向があり、その対応に苦慮していた。
例えば、図15は、2つのガイドリングA、Bをそれぞれ繰り返し用いてSOQ複合基板を複数バッチ研磨した後の膜厚変動幅を示したものである。ここで膜厚変動幅とは、研磨後における研磨面内のシリコン薄膜厚の最大値と最小値との差である。各ガイドリングの外径と内径の差の半分である幅は22mm、材質はPEEK樹脂である。ガイドリングを繰り返し用いた場合、ガイドリングAのように膜厚変動幅が10nm前後で安定している場合もあれば、ガイドリングBのように最初のバッチから膜厚変動幅が大きく不安定なものもある。この様な挙動のため、 ガイドリング自体を早めに交換する必要がある場合もあり、安定的な製造が困難となっていた。
また、ガイドリングには寸法精度と強度が要求され、ガラスエポキシ等のガラス繊維や充填材で強化された樹脂が使用されることも多い。しかし、ガイドリングを繰り返し使用するうちに徐々に摩耗し、充填されたガラス繊維や充填材が脱落したり、被研磨基板に接触したりするようになる。図16にガラスエポキシ樹脂で作製したガイドリングの断面の拡大図を示す。この樹脂に充填されたガラス繊維等の充填材は硬度が高いため、研磨中のシリコン薄膜面にダメージを与えてシリコン薄膜に欠陥を生じさせる等、シリコン薄膜の膜質を損ねてしまう問題があった。
一方、PEEK樹脂は充填材を含まないうえに、耐薬品性、曲げ強度、曲げ剛性に優れているため、ガイドリングとしての使用に適している。その反面、材料が非常に高価であり、薄板を作製する際の加工にも手間がかかるため、コストが高くなるという欠点を有していた。
また、複合基板が平面ではなく、微妙な反りが存在する場合がある。特にサファイアのように硬度が高く、結晶インゴットからの切り出し後の支持基板自体に反りが残っている場合も多い。この反りの方向や反りの大きさが一定でない場合、反りの状態に応じて基板の中央部分と外周部分とで研磨量が異なるため、薄膜の膜厚が不均一になる一因となっていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、基板の厚さや形状がばらつく場合であっても、シリコン薄膜の膜厚を均一にでき、かつ、膜質を向上させることができるSOI複合基板の製造方法を提供する。
上記課題を解決するため、本発明の一つの態様においては、シリコン薄膜を、シリコンとは異種材料である支持基板上に備える貼り合わせ基板の外周部を囲むように配置されたガイドリングによって前記貼り合わせ基板の外周部を保持しながら、前記支持基板側の表面を押圧して、前記シリコン薄膜側の表面を研磨布に押し付けて前記貼り合わせ基板のうちシリコン薄膜側の表面を研磨する工程を少なくとも含み、前記ガイドリングの外径と内径の差の半分である幅が34mm以上であるSOI複合基板の製造方法を提供する。本発明の別の態様においては、上面に研磨布及び該研磨布で研磨される被研磨基板を設置可能なプラテンと、周囲に前記プラテンに向けて突出する突出部を有する円板状の研磨ヘッドと、前記研磨ヘッドの内部に収納されたバッキングプレートと、前記研磨ヘッドの突出部に連結され、前記被研磨基板の外周部を囲むことができ、外径と内径の差の半分である幅が34mm以上であるガイドリングと、前記研磨ヘッドの突出部と前記ガイドリングに周囲を挟まれ、前記プラテンに平行で前記被研磨基板の上面を覆うことができるメンブレンフィルムとを備え、前記バッキングプレートと前記メンブレンフィルムとの間に形成された空気層の圧力により前記被研磨基板を前記研磨布に押し付けつつ、前記研磨ヘッドを前記プラテンに対して相対的に回転させて前記被研磨基板を研磨できる研磨装置を提供する。
本発明のSOI複合基板の製造方法によれば、基板の厚さや形状がばらつく場合であっても、シリコン薄膜の膜厚を均一にでき、かつ、膜質を向上させることができる。
従来技術により研磨された貼り合わせ基板のシリコン薄膜の膜厚差とガイドリング外周部から基板までの距離の関係を示すグラフである。 従来のバッキングプレートから空気を供給した際の、メンブレンフィルムの基板側で計測した押圧力を示したグラフである。 本発明における研磨中の研磨ヘッド、バッキングプレート、メンブレンフィルム、被研磨基板の位置関係を表した模式図である。 本発明におけるメンブレンフィルムの基板側で計測した押圧力を示したグラフである。 本発明におけるメンブレンフィルムの固定方法を表した模式図である。 基板の変形や厚さによる基板外周部の研磨のされ方を示した模式図[(A)は被研磨基板11の中央部が研磨布19側に突出するように反った場合、(B)は被研磨基板11の外周部が研磨布19側に突出するように反った場合、(C)は被研磨基板11の厚さがガイドリング16よりも厚い場合、(D)は被研磨基板11の厚さがガイドリング16よりも薄い場合]である。 突出パラメータについて、被研磨基板の厚さt、基板の反り幅b、ガイドリングの厚さpを表した模式図である。 (t−p−b)の値と、研磨後の基板の膜厚変動Δdとの関係を示したグラフである。 実施例1の研磨後におけるSOQ基板のシリコン薄膜の膜厚分布を示したグラフである。 比較例1の研磨後におけるSOQ基板のシリコン薄膜の膜厚分布を示したグラフである。 (A)は、研磨後におけるSOQ基板のシリコン薄膜の膜厚分布を、(B)は、研磨後におけるSOQ基板のシリコン薄膜の膜厚差とガイドリング外周部から基板までの距離の関係を、それぞれ示すグラフである。 従来の研磨装置を表した模式図である。 従来の研磨ヘッドを表した模式図である。 従来の研磨方法による基板面内の膜厚分布を示すグラフである。 ガイドリングを繰り返し使用した際の膜厚変動幅の推移を示すグラフである。 ガラスエポキシ樹脂で作製したガイドリングの断面の拡大図である。 研磨中の研磨布とガイドリング、貼り合わせ基板(被研磨基板)との関係を表した模式図である。 従来の研磨方法における研磨中の研磨ヘッド、バッキングプレート、メンブレンフィルム、被研磨基板の位置関係を表した模式図である。
研磨の対象となる貼り合わせ基板は、ドナー基板と、ドナー基板とは異種材料である支持基板とから形成される。本発明で用いるドナー基板としては、単結晶シリコン基板等が挙げられ、例えば、チョクラルスキー法により育成された一般に市販されているものであり、その導電型や比抵抗率等の電気特性値や結晶方位や結晶径は、本発明の方法で製造されるSOI複合基板が供されるデバイスの設計値やプロセス又は製造されるデバイスの表示面積等に依存して適宜選択されてよい。
また、ドナー基板として、シリコン基板の他、表面に酸化膜を形成したシリコン基板を用いてもよい。
酸化膜の厚さは、好ましくは50〜500nmである。これはあまり薄いと、酸化膜厚の制御が難しく、またあまり厚いと時間がかかりすぎるためである。
本発明で用いる支持基板としては、好ましくは、石英ガラス、サファイア、炭化ケイ素、ホウ珪酸ガラス又は結晶化ガラスのいずれかの材料からなるものを挙げることができる。なお、支持基板は、使用する前に予めRCA洗浄等の洗浄をしておくことが好ましい。
基板の直径は使用される製造装置によって変わるが、6〜12インチから選択され、ドナー基板と支持基板の直径を同じにして通常貼り合わせが行われる。
以下、本発明に係るSOI複合基板の製造方法について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、シリコン薄膜を、シリコンとは異種材料である支持基板上に備える貼り合わせ基板を提供する。すなわち、シリコン基板の表面から水素イオンを注入し、シリコン基板のイオン注入された表面と、支持基板の表面とを貼り合わせ、熱処理を施した後、イオン注入層に沿ってシリコン薄膜を剥離して支持基板上に転写し、貼り合わせ基板を得る。
具体的には、支持基板と、ドナー基板としてシリコン基板とを用意する。次に、シリコン基板の表面から水素イオンを注入して内部に水素イオン注入層を形成させる。その後、シリコン基板のイオン注入された表面と、支持基板の表面とを貼り合わせて、貼り合わせ基板を得る。
シリコン基板の表面から水素イオンを注入して水素イオン注入層を形成する際、例えば、シリコン基板の温度を250〜400℃とし、その表面から所望の深さに水素イオン注入できるような注入エネルギーで、所定の線量の水素イオンを注入する。このときの条件として、例えば注入エネルギーは50〜100keV、注入線量は2×1016〜1×1017/cmとすることができる。
水素イオン注入されたシリコン基板の表面から水素イオン注入層までの深さは、支持基板上に設ける薄膜の所望の厚さに依存するが、好ましくは300〜500nm、さらに好ましくは400nm程度である。
ここで、貼り合わせる前に、シリコン基板の表面と支持基板の表面のうちいずれか一方又は両方の表面に表面活性化処理を施してもよい。この表面活性化処理を施すことにより、後の機械的剥離等に十分耐え得るレベルの接合強度を得ることができる。
表面活性化処理として、プラズマ、UV、オゾン等の処理が挙げられる。
次に、貼り合わせ基板に、例えば温度が200〜400℃の熱処理を施す。その熱処理時間は、熱処理温度と材料に応じて決められ、好ましくは1〜24時間の範囲から選択される。このように、貼り合わせ基板を熱処理することによって、ドナー基板と支持基板の貼り合わせの強度を高めることができ、次の剥離時の力に耐えることができる。逆にこの熱処理が不十分であると、剥離時に薄膜が転写されずに貼り合わせ界面で基板が分離したり、部分的に転写されることによって力が均等にかからずに基板の破損を招いたりする。
次に、熱処理後の貼り合わせ基板におけるシリコン基板の一部からなるシリコン薄膜を水素イオン注入層に沿って剥離して支持基板上に転写する。
剥離を行う方法としては、水素イオン注入層に衝撃を与えて機械的剥離を行う方法、熱処理後の貼り合わせ基板を加熱して熱的剥離を行う方法が挙げられる。
熱的剥離を行う場合、上記熱処理後の貼り合わせ基板を加熱すると同時に、支持基板側から可視光等を照射してもよい。光源としては、半導体製造で使われるハロゲンランプによるランプ加熱やキセノンランプによるフラッシュランプ加熱等を用いることができる。
熱的剥離によって剥離転写を行う場合、剥離転写後の貼り合わせ基板に、例えば温度が300〜500℃のさらなる熱処理を施してもよい。このように、さらなる熱処理を施すことによって、ドナー基板と支持基板の貼り合わせの強度をさらに高めることができる。
次に、剥離転写後の貼り合わせ基板のうち支持基板側の表面を、アルカリ溶液を用いてアルカリ洗浄してもよい。アルカリ洗浄によってダメージ層を取り除くことができるため、効果的な洗浄を行うことができる。
次に、洗浄後の貼り合わせ基板のうちシリコン薄膜側の表面を研磨する。具体的には、貼り合わせ基板の外周部を覆うように配置されたガイドリングによって貼り合わせ基板の外周部を保持しながら、支持基板側の表面を押圧して、シリコン薄膜側の表面を研磨布に押し付けることによって行われる。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った。すなわち、本発明者らは、貼り合わせ基板が備えるシリコン薄膜の膜厚変動幅が大きくなる原因が、(1)ガイドリングの外周部付近における研磨布の変形、(2)基板を押圧するメンブレンフィルムに加わるエア圧力分布の不均一、(3)基板の厚さや形状の不揃いであることを見出した。
[(1)ガイドリングの外周部付近における研磨布の変形について]
研磨中の研磨布とガイドリング、貼り合わせ基板(被研磨基板)との関係を表した模式図を図17に示す。研磨布102は通常2層以上の構造となっており、図17では、表層102aの下に柔軟性のある内層102bを示す。ガイドリング113は研磨ヘッドに固定された状態で研磨布102に押し当てられるが、このとき研磨布102に対するガイドリング113の進行方向Eの外周部で研磨布102に変形が生じる。こうして変形した研磨布102が、不安定な形状のままガイドリング113の内周すなわち被研磨基板101の外周付近に到達した際に、被研磨基板101に対する接触圧の差異が生じる。これが、基板外周部の押圧力と、基板中央部の押圧力とが異なる圧力となり、その圧力差がシリコン膜の研磨量の差となる。この研磨布の変形は、研磨布の使用時間、雰囲気温度、研磨ヘッドの押圧力等によって異なるため、膜厚変動幅自体が安定しない原因となっている。
本発明者らは鋭意検討を行い、ガイドリングの外周部において変形した研磨布の形状が十分安定してから安定した研磨布を被研磨基板に到達させることが有効であることを突き止めた。研磨された貼り合わせ基板のシリコン薄膜の膜厚差とガイドリング外周部から基板までの距離の関係を、例えば図1に示す。図1に例示するように、ガイドリング外周部で変形した研磨布の形状が安定するためには、ガイドリング外周部から45mm以上離れた位置に基板外周部を配置すればよい。したがって、ガイドリングの外径と内径の差の半分である幅は、ガイドリングと被研磨基板との隙間(例えば1mm)を考慮して、34mm以上、好ましくは39mm以上、より好ましくは44mm以上とすればよい。好ましい上限値は特に限定されないが、あまり広くすると装置の大型化や消耗品の費用の増大等コスト面での問題が発生するため、90mm程度である。これによって、基板内の膜厚変動幅を低減することができる。
本発明においては、上述した[(1)ガイドリングの外周部付近における研磨布の変形]について考慮すれば、シリコン薄膜の膜厚変動幅を改善することができるが、以下に記載する(2)基板を押圧するメンブレンフィルムに加わるエア圧力分布の不均一、及び/又は(3)基板の厚さや形状の不揃いについて考慮しても、シリコン薄膜の膜厚変動幅を改善することができる。
[(2)基板を押圧するメンブレンフィルムに加わるエア圧力分布の不均一]
従来の研磨方法における研磨中の研磨ヘッド、バッキングプレート、メンブレンフィルム、被研磨基板の位置関係を図18に示す。被研磨基板101への押圧力は、研磨ヘッド110内に収められたバッキングプレート111に設けられた空気導入口からバッキングプレート111とメンブレンフィルム112との間に空気を供給し、その空気層の圧力をメンブレンフィルム112を介して基板101に伝達することにより作用させている。導入された空気は、バッキングプレート111とメンブレンフィルム112との間隙114を流れ、研磨ヘッド110とバッキングプレート111の外周との隙間115を通って排出される。
図2は、バッキングプレートから空気を供給した際の、メンブレンフィルムの基板側で計測した押圧力を示したグラフである。図2より、バッキングプレートの面内において押圧力は安定しているが、バッキングプレートの外周部と研磨ヘッドとの隙間の空気が排出される部分において押圧力が低下している。このことから、従来法では、バッキングプレートの幅が被研磨基板の幅よりも狭いため、被研磨基板の外周部付近の押圧力が低下し、基板外周部の研磨量の低下を引き起こしていたことが判明した。
そこで、本発明者らは鋭意検討を行い、図3に示すようにバッキングプレート13の表面(表面積又は径)を被研磨基板11の表面(表面積又は径)よりも大きくすることを見出した。すなわち、本発明においては、好ましくは、研磨する工程における支持基板側表面の押圧は、支持基板側の表面に配置されたメンブレンフィルム12と、メンブレンフィルム12の支持基板側の表面とは反対側の表面の上方に配置されたバッキングプレート13との間に形成された空気層14の圧力による押圧であり、好ましくは、バッキングプレート13の表面が支持基板の表面よりも大きく、バッキングプレート13がメンブレンフィルム12を介して支持基板の表面を覆うように配置される。このような構成であれば、空気が排出される部分15が被研磨基板11の外側に配置されるため、被研磨基板全面に対する押圧力を均一化することができる(図4)。
さらに、本発明者らは、シリコン薄膜へのダメージを低減するようなガイドリングの材質について鋭意検討を行った。ガラスエポキシのように充填材を用いている材質では、シリコン薄膜へのダメージが懸念されるため、充填材を含まない樹脂を検討した。検討項目は、100MPa以上の曲げ強度と酸、アルカリに対する耐薬品性である。研磨に使用するスラリーがアルカリ性を示すため、アルカリに対する耐薬品性が特に重要となる。検討した樹脂の特性を表1に示す。
表1より、曲げ強度、耐薬品性、コストを総合的に考慮して、PPS(ポリフェニレンサルファイド)が最も優れていることを見出した。すなわち、本発明においては、好ましくは、ガイドリングの材質が、充填材を含まない樹脂である。また、本発明においては、好ましくは、充填材を含まない樹脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂である。
なお、メンブレンフィルムは、特に限定されず、一般的に使用できるものであればよく、例えば、PFAやPETからなる硬質プラスチックフィルム等が挙げられ、基板との接触面には、基板への傷防止のため、好ましくはポリウレタンからなる発泡シートが更に貼られている。また、ガイドリングとメンブレンフィルは、メンブレンフィルムに均一な張力を与える点において好ましくは、図5に示すように、メンブレンフィルム12を研磨ヘッド17及びガイドリング16に接着剤及び/または両面粘着シート18a、18bを介して直接固定される。
[(3)基板の厚さや形状の不揃い]
一般に、基板の研磨量は基板のガイドリングからの突出量に影響される。しかし、例えばサファイアのように硬い材質を支持基板として用いた場合、この基板を結晶から切り出す際に、基板中央部が凹凸する「反り」が生じやすいため、基板の反り量や厚さが不揃いになることが多い。基板の厚さや反り量が不揃いになると、基板の中央部と外周部とでガイドリングからの突出量が異なってばらつくため、研磨後の膜厚変動がばらつく原因となる。
図6(A)に示すように、被研磨基板11の中央部が研磨布19側に突出する反り(正の反り)を有する場合、被研磨基板11にはほぼ均等に圧力が加わるため、被研磨基板11が変形しないとすると、被研磨基板11の中央部は研磨布19によく接触する。一方、研磨布19側とは反対方向に反っている被研磨基板11の外周部はガイドリング16との段差により研磨布19に接触しにくくなるため、研磨されづらくなる(図6(A)の破線部分A)。
図6(B)に示すように、被研磨基板11の中央部が研磨布19とは反対側に突出する反り(負の反り)を有する、すなわち、被研磨基板11の外周部が研磨布19側に突出するように反った場合、図6(A)とは対照的に被研磨基板11の外周部は中央部よりも研磨布19に強く押し付けられるため、研磨されやすくなる(図6(B)の破線部分B)。
図6(C)に示すように、被研磨基板11の厚さがガイドリング16よりも厚い場合、被研磨基板11の外周部は中央部よりも研磨布19に強く押し付けられるため、研磨されやすくなる(図6(C)の破線部分C)。
図6(D)に示すように、被研磨基板11の厚さがガイドリング16よりも薄い場合、被研磨基板11の外周部は中央部よりも研磨布19に接触しにくくなるため、研磨されづらくなる(図6(D)の破線部分D)。
図6(A)〜(D)で示したように、基板11の外周部の研磨具合は、基板11の外周部の研磨中の突出量により決まる。しかしながら、図7に示すように、基板11の外周部の突出量を直接求めようとしても、実際の状態で測定することは難しい。そこで、本発明者らは、鋭意検討を行い、基板11の中央部の突出長さ、すなわち、BOW値(図7中の符号b)と、基板11の厚さtとガイドリング16の厚さpの差(図7中のt−p)とを用いることを見出した。これらの値は基板の形状とガイドリングの厚さを測定することにより簡単に求めることができる。
図7に示すように、被研磨基板11の厚さをt、基板の反り方向を考慮した基板の反り幅、すなわち、メンブレンフィルムから研磨布19方向を正としたときに、基板11の外周部を基準とした基板11の中央部の突出長さをb、メンブレンフィルムに対するガイドリング16の突出量(厚さ)をpとするとき、(t−p−b)の値が予め設定した値になるようにガイドリング16の突出量pを決定する。bについては、支持基板の形状を測定して得られるBOW値を使用することができる。本発明においては、好ましくは、貼り合わせ基板の研磨前の厚さをt、貼り合わせ基板の中心軸において厚さ方向の研磨布側へ突出する正の反り量をb、ガイドリングの高さをpとすると、t−p−bが、5〜45μmとなるようにpが選択される。すなわち、下式(1):
x≦t−p−b≦y ・・・(1)
(式中、tは前記貼り合わせ基板の研磨前の厚さであり、bは前記支持基板側表面が、前記支持基板側表面の中心において、前記支持基板側表面の外周を含む前記メンブレンフィルムと平行な面から前記研磨布側に突出する長さであり、pは前記ガイドリングの前記メンブレンフィルムから前記貼り合わせ基板の厚さ方向への突出長さであり、xは5μmであり、yは45μmである。)
を満たすようにpが決定される。これにより、研磨の不均一が相殺され、均一な膜厚分布を得ることができる。
上述したような好ましい(t−p−b)の値は、図8に示すように、研磨前の被研磨基板の厚さをt、基板の反り方向を考慮した基板の反り幅をb、メンブレンフィルムに対するガイドリングの突出量(厚さ)をpとして、(t−p−b)の値と、研磨後の基板の膜厚変動Δdとの関係から求めることができる。図8によれば、(t−p−b)の値を5μm以上45μm以下とすることにより、膜厚変動の絶対値|Δd|を5nm以内に収めることができる。また、(t−p−b)の値を10μm以上40μm以下とすることにより、膜厚変動の絶対値|Δd|を4nm以内に収めることができる。
基板内の膜厚変動は、基板中央部の膜厚をd、基板外周部の膜厚をdとして、Δd=d−dと定義してもよい。この場合、適切な(t−p−b)の値は、予め複数の貼り合わせ基板を準備し、Δdと(t−p−b)との関係を計測して、Δdの絶対値が好ましくは5nm以内に収まる(t−p−b)の範囲を求めればよい。上記式(1)において、より好ましくは、xが10μmであり、yが40μmである。このような値であれば、反りによる研磨の不均一が相殺され、均一な膜厚分布を得ることができる。
以上のような工程により、SOI複合基板を製造することができる。
以上説明したように、本発明のSOI複合基板の製造方法によれば、基板の厚さや形状がばらつく場合であっても、シリコン薄膜の膜厚を均一にでき、かつ、膜質を向上させることができる。また、PEEK樹脂のような高価な材料を用いなくてもよいため、コストダウンが可能となる。
次に、本発明に係るSOI複合基板の製造方法で用いる研磨装置について説明する。
本発明で用いる研磨装置は、上面に研磨布及び該研磨布で研磨される被研磨基板を設置可能なプラテンと、周囲に前記プラテンに向けて突出する突出部を有する円板状の研磨ヘッドと、前記研磨ヘッドの内部に収納されたバッキングプレートと、前記研磨ヘッドの突出部に連結され、前記被研磨基板の周囲を囲むことができ、外径と内径の半分の差である幅が34mm以上であるガイドリングと、前記研磨ヘッドの突出部と前記ガイドリングに周囲を挟まれ、前記プラテンに平行で前記被研磨基板の上面を覆うことができるメンブレンフィルムとを備え、前記バッキングプレートと前記メンブレンフィルムとの間に形成された空気層の圧力により前記被研磨基板を前記研磨布に押し付けつつ、前記研磨ヘッドを前記プラテンに対して相対的に回転させて前記被研磨基板を研磨できる。
研磨装置の具体例の一つを図3に示す。研磨ヘッド17内にはバッキングプレート13が収められている。研磨ヘッド17は、バッキングプレート13を覆うように設けられている。研磨ヘッド17の先端に、被研磨基板11を配置することができ、被研磨面(シリコン薄膜側の面)を下向きに取り付ける。また、研磨ヘッド17には、被研磨基板11がヘッドの先端から飛び出さないようにリテーナーリングと呼ばれる飛び出し防止のためのガイドリング16が設けられている。このガイドリング16は、被研磨基板11の外周部を覆うように配置されている。被研磨基板11の裏面側(支持基板側)の表面には、メンブレンフィルム12が配置されている。メンブレンフィルム12の周囲は、研磨ヘッド17とガイドリング16との間に挟み込まれて固定されている。バッキングプレート13の表面は支持基板の表面よりも大きく、バッキングプレート13がメンブレンフィルム12を介して支持基板の表面を覆うように配置される。メンブレンフィルム12と、メンブレンフィルム12の支持基板側表面とは反対側の表面の上方に配置されたバッキングプレート13との間には、空気層14が形成されている。この空気層14の圧力により支持基板側の表面が押圧される。この押圧力により被研磨面が、プラテン20上に配置された研磨布19へ押し付けられる。
メンブレンフィルム12の周囲は、研磨ヘッド17及びガイドリング16に接着剤又は両面粘着シート18を介して固定されてよい。このような構成であれば、交換作業が煩雑になる場合があるが、部材の構造が単純化されるため加工精度が得やすくなり、挟み込まれたメンブレンフィルムの張力が均一になる。
被研磨基板の研磨前の厚さをt、被研磨基板の中心軸おける厚さ方向へ突出する正の反り量をb、ガイドリングの高さをpとすると、(t−p−b)は、好ましくは5〜45μmとなるようにpが選択される。これにより、研磨の不均一が相殺され、均一な膜厚分布を得ることができる。
研磨条件については、研磨装置やスラリーの種類、濃度、研磨布によって変わるが、プラテン回転数は15〜45rpm、ヘッド回転数は30〜90rpmの範囲から膜厚分布をみながら選択され、必要に応じてヘッドの揺動運動を組み合わせる。異常点が重ならないようにするため、プラテンの回転数とヘッドの回転数の比が割り切れないような値になるように設定される。
以下、実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ドナー基板として表面を酸化した直径150mm、厚さ625μmの単結晶シリコン基板を準備した。この単結晶シリコン基板に対して、所定の深さへ水素イオン注入を行った。次に、支持基板として表面が平滑な直径150mm、厚さ625μmの石英基板を準備した。ドナー基板と支持基板の両方の表面をプラズマで活性化処理を施した後、処理面同士を貼り合わせて貼り合わせ基板を得た。この貼り合わせ基板に、300℃、12時間の熱処理を施して基板同士の結合力を上げた。その後、基板の両側の裏面へ引張り力を加えながら貼り合わせ基板の貼り合わせ部の端部に薄い刃を挿入して機械的な剥離を行い、支持基板(石英基板)に単結晶シリコン薄膜を転写させた。剥離後の支持基板(石英基板)の表面を、過酸化水素水とアンモニア水からなるエッチング液(SC−1溶液)を用いて洗浄することによりダメージ層を除去し、所定の厚さの単結晶シリコン薄膜を有した貼り合わせ基板(SOQ基板)を作製した。
このSOQ基板を、外径245mm、内径152mm、幅46.5mmのPPS製ガイドリングを備えた研磨装置を用いて研磨した。ガイドリングの厚さは600μm(実際には樹脂のリング部が500μm、接着層が100μm、その合計が600μm)とし、基板の厚さよりも25μm薄いものとした。ガイドリングは、研磨ヘッドにメンブレンフィルムとともに両面粘着シートで固定した。研磨ヘッド内のバッキングプレートの直径は198mmとし、研磨するSOQ基板よりも十分大きいものとした。研磨前のSOS基板の厚さをt、反り方向を考慮した基板の反り幅をb、メンブレンフィルムに対するガイドリングの突出量をpとした場合、(t−p−b)の値は19μmであった(t=632μm、p=600μm、b=13μm)。
研磨後におけるSOQ基板のシリコン薄膜の膜厚分布を図9に示す。図9より、基板の中央部から外周部に向かって均一な膜厚となっており、膜厚変動幅は6nmと良好であった。また、シリコン薄膜の面内の欠陥数をKLA社製のモデル2132欠陥検査装置を用いて計測したところ、検知された欠陥数は52であった。
(実施例2)
ドナー基板として表面を酸化した直径150mm、厚さ625μmの単結晶シリコン基板を準備した。この単結晶シリコン基板に対して、所定の深さへ水素イオン注入を行った。次に、支持基板として表面が平滑な直径150mm、厚さ580μmのサファイア基板を準備した。サファイア基板の反り量は、−4.3μmであり、比較的小さいものを使用した。ドナー基板と支持基板の両方の表面をプラズマで活性化処理を施した後、処理面同士を貼り合わせて貼り合わせ基板を得た。この貼り合わせ基板に、250℃、24時間の熱処理を施し基板同士の結合力を上げた。その後、貼り合わせ基板の貼り合わせ部の端部に薄い刃を挿入した状態で貼り合わせ基板を200℃に加熱し、サファイア基板側から強い光を照射した。ここでは光源としてキセノンフラッシュランプによるランプ加熱を用いた。これにより、水素イオンを注入した周辺のシリコン層を急速に加熱して熱膨張させ、ドナー基板と支持基板との熱膨張率の差異により剥離を行い、支持基板(サファイア基板)に単結晶シリコン薄膜を転写させた。剥離後、300〜500℃の範囲で段階的に温度を上げ熱処理を施して接合力をさらに高めた。その後、支持基板(サファイア基板)の表面を、過酸化水素水とアンモニア水からなるエッチング液(SC−1溶液)を用いて洗浄することによりダメージ層を除去し、所定の厚さの単結晶シリコン薄膜を有した貼り合わせ基板(SOS基板)を作製した。
このSOS基板を、外径300mm、内径152mm、幅74mmのPPS製ガイドリングを備えた研磨装置を用いて研磨した。ガイドリングは、研磨ヘッドにメンブレンフィルムとともに両面粘着シートで固定した。両面粘着シートの厚さを含めたガイドリングの厚さは570μm(実際には樹脂のリング部が470μm、接着層が100μm、その合計が570μm)とした。研磨ヘッド内のバッキングプレートの直径は198mmとし、研磨するSOS基板よりも十分大きいものとした。研磨前のSOS基板の厚さをt、反り方向を考慮した基板の反り幅をb、メンブレンフィルムに対するガイドリングの突出量をpとした場合、(t−p−b)の値は20.3μmであった(t=586μm、p=570μm、b=−4.3μm)。
研磨後におけるSOS基板のシリコン薄膜の膜厚分布は、基板の中央部から外周部に向かって均一な膜厚となっており、膜厚変動幅は2.5nmと良好であった。
(比較例1)
実施例1と同様の方法でSOQ基板を作製した。このSOQ基板を、外径195mm、内径152mm、幅21.5mmのPEEK製ガイドリングを備えた研磨装置を用いて研磨した。研磨ヘッド内のバッキングプレートの直径は148mmとし、研磨するSOQ基板よりも若干小さいものとした。
研磨後におけるSOQ基板のシリコン薄膜の膜厚分布を図10に示す。図10より、基板の中央部から外周部に向かって膜厚が厚くなっており、外周部の研磨が不十分な結果となった。膜厚変動幅は18nmであった。
(実施例3)
実施例1と同様の方法でSOQ基板を作製した。このSOQ基板を、外径245mm、内径152mm、幅46.5mmのガラスエポキシ製ガイドリングを備えた研磨装置を用いて研磨した。
研磨後におけるSOQ基板のシリコン薄膜の面内の欠陥数をKLA社製のモデル2132欠陥検査装置を用いて計測したところ、検知された欠陥数は287であった。
(実施例4〜5)
支持基板として、厚さ及び反り量の異なるサファイア基板を4枚用意した。各支持基板の表面は平滑で、直径は150mmである。各支持基板を用いて、実施例2と同様の方法で、厚さ及び反り量の異なる4枚のSOS基板を作製した。このSOS基板を、外径245mm、内径152mm、幅46.5mmのPPS製ガイドリングを備えた研磨装置を用いて研磨した。接着剤として両面テープを用い、ガイドリングを、研磨ヘッドにメンブレンフィルムとともに固定した。研磨ヘッド内のバッキングプレートの直径は198mmとし、研磨するSOS基板よりも十分大きいものとした。
研磨前のSOS基板の厚さをt、反り方向を考慮した基板の反り幅をb、メンブレンフィルムに対するガイドリングの突出量をpとして、(t−p−b)の値と、研磨後の基板の膜厚変動Δdとの関係を求めた。その結果を図8に示す。図8より、膜厚変動の絶対値|Δd|を5nm以内に収めるためには、(t−p−b)の値を5μm以上45μm以下とすることが示された。また、膜厚変動の絶対値|Δd|を4nm以内に収めるためには、(t−p−b)の値を10μm以上40μm以下とすることが示された。
次に、新たに3枚のサファイア基板を準備し、実施例2と同様の方法で、3枚のSOS基板を作製した。研磨前の各SOS基板の厚さt、反り幅bを計測した。これらのうち2枚のSOS基板については、(t−p−b)の値が予め設定した5μm以上45μm以下に収まるように、ガイドリングの厚さを選定し、上記と同様に研磨を行った(実施例4−1、実施例4−2)。また、残りの1枚については、(t−p−b)の値が予め設定した上記範囲から外れるように、ガイドリングの厚さを選定し、上記と同様に研磨を行った(実施例5)。各(t−p−b)の値と、研磨後の膜厚変動Δdとの関係を表2に示す。
表2より、実施例4−1、実施例4−2では、膜厚変動の絶対値|Δd|が5nm以内に収まっており、実施例5では、|Δd|が5nmより大きくなっていることが確認された。
(比較例2)
実施例1と同様の方法でSOQ基板を作製した。このSOQ基板を、外径195mm、内径152mm、幅21.5mmのPPS製ガイドリングを備えた研磨装置を用いて研磨した。ガイドリングの厚さは600μmとし、基板の厚さよりも25μm薄いものとした。ガイドリングは、研磨ヘッドにメンブレンフィルムとともに両面粘着シートで固定した。研磨ヘッド内のバッキングプレートの直径は148mmとし、研磨するSOQ基板よりも若干小さいものとした。研磨前のSOS基板の厚さをt、反り方向を考慮した基板の反り幅をb、メンブレンフィルムに対するガイドリングの突出量をpとした場合、(t−p−b)の値は10μmであった(t=625μm、p=600μm、b=15μm)。
研磨後におけるSOI複合基板のシリコン薄膜の膜厚変動幅を測定した。その結果を図11に示す。図11(A)は、研磨後におけるSOQ基板のシリコン薄膜の膜厚分布を、図11(B)は、研磨後におけるSOQ基板のシリコン薄膜の膜厚差とガイドリング外周部から基板までの距離の関係を、それぞれ示している。図11(B)には比較例1の結果も一緒に示している。測定結果より、ガイドリング外周部からの距離が35mm以上のとき、膜厚変動幅が10nm以下となり、ガイドリング外周部からの距離が40mm以上のとき、膜厚変動幅が5nm以下となり、ガイドリング外周部からの距離が45mm以上のとき、膜厚変動幅がほぼ0となった。
このことから、ガイドリングの外径と内径の差である幅は、ガイドリングとSOI複合基板との隙間を1mmとした場合、34mm以上、好ましくは39mm以上、より好ましくは44mm以上とすればよいことが示された。
11 被研磨基板
12 メンブレンフィルム
13 バッキングプレート
14 空気層
15 空気が排出される部分
16 ガイドリング
17 研磨ヘッド
18、18a、18b 接着剤又は両面粘着シート
19 研磨布
19a 表層
19b 内層
20 プラテン
100 研磨装置
101 被研磨基板
102 研磨布
102a 表層
102b 内層
103 プラテン
104 スラリー
110 研磨ヘッド
111 バッキングプレート
112 メンブレンフィルム
113 ガイドリング
113a 突起
114 間隙
115 隙間
117 バッキングプレート加圧機構
118 ガイドリング加圧機構
A、B、C、D 破線部分
E 進行方向

Claims (10)

  1. シリコン薄膜を、シリコンとは異種材料である支持基板上に備える貼り合わせ基板の外周部を囲むように配置されたガイドリングによって前記貼り合わせ基板の外周部を保持しながら、前記支持基板側の表面を押圧して、前記シリコン薄膜側の表面を研磨布に押し付けて前記貼り合わせ基板のうちシリコン薄膜側の表面を研磨する工程を少なくとも含み、
    前記ガイドリングの外径と内径の差の半分である幅が34mm以上であり、
    前記貼り合わせ基板の研磨前の厚さをt、前記貼り合わせ基板の中心軸において前記貼り合わせ基板の厚さ方向の前記研磨布側へ突出する正の反り量をb、前記ガイドリングの厚さをpとすると、t−p−bが、5〜45μmとなるようにpが選択される、
    SOI複合基板の製造方法。
  2. 前記研磨する工程における前記支持基板側表面の押圧が、前記支持基板側の表面に配置されたメンブレンフィルムと、前記メンブレンフィルムの前記支持基板側の表面とは反対側の表面の上方に配置されたバッキングプレートとの間に形成された空気層の圧力による押圧である請求項1に記載のSOI複合基板の製造方法。
  3. 前記バッキングプレートの表面が前記支持基板の表面よりも大きく、前記バッキングプレートが前記メンブレンフィルムを介して前記支持基板の表面を覆うように配置される請求項2に記載のSOI複合基板の製造方法。
  4. 前記バッキングプレートを収納し、周囲の突出部が前記ガイドリングに連結される円板状の研磨ヘッドと、前記ガイドリングとの間に、前記メンブレンフィルムの周囲が挟み込まれて固定される請求項2又は3に記載のSOI複合基板の製造方法。
  5. 前記ガイドリングの材質が、充填材を含まない樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載のSOI複合基板の製造方法。
  6. 前記樹脂が、ポリフェニレンサルファイド樹脂である請求項5に記載のSOI複合基板の製造方法。
  7. 前記t−p−bが、10〜40μmである請求項1に記載のSOI複合基板の製造方法。
  8. 前記支持基板が、石英ガラス、サファイア、炭化ケイ素、ホウ珪酸ガラス又は結晶化ガラスである請求項1〜7のいずれかに記載のSOI複合基板の製造方法。
  9. 上面に研磨布及び該研磨布で研磨される被研磨基板を設置可能なプラテンであって、前記被研磨基板が、シリコン薄膜を、シリコンとは異種材料である支持基板上に備える貼り合わせ基板である、プラテンと、
    周囲に前記プラテンに向けて突出する突出部を有する円板状の研磨ヘッドと、
    前記研磨ヘッドの内部に収納されたバッキングプレートと、
    前記研磨ヘッドの突出部に連結され、前記貼り合わせ基板の外周部を囲むことができ、外径と内径の差の半分である幅が34mm以上であるガイドリングと、
    前記研磨ヘッドの突出部と前記ガイドリングに周囲を挟まれ、前記プラテンに平行で前記貼り合わせ基板の上面を覆うことができるメンブレンフィルムと
    を備え、
    前記バッキングプレートと前記メンブレンフィルムとの間に形成された空気層の圧力により前記貼り合わせ基板を前記研磨布に押し付けつつ、前記研磨ヘッドを前記プラテンに対して相対的に回転させて前記貼り合わせ基板を研磨できる研磨装置であって、
    前記貼り合わせ基板の研磨前の厚さをt、前記貼り合わせ基板の中心軸おいて前記厚さ方向の前記研磨布側へ突出する正の反り量をb、前記ガイドリングの厚さをpとすると、t−p−bが、5〜45μmとなるようにpが選択される研磨装置。
  10. 前記バッキングプレートの表面が前記貼り合わせ基板の表面よりも大きく、前記バッキングプレートが前記メンブレンフィルムを介して前記貼り合わせ基板の表面を覆うように配置される請求項9に記載の研磨装置。
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