JP6239239B2 - 配管システムおよびポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、配管と継手との接続技術に関する。
流体機械では、各要素部品に流体を供給するために、機械の外部に小配管を設ける場合がある。例えば、ポンプにおいて、バランスディスクおよびバランスシートを使用して、ポンプの運転によって発生するスラスト力を相殺する場合には、バランス室から吸込ケーシングへ導く小配管(いわゆるバランス配管)が必要になる。あるいは、ポンプにおいて、軸封部に圧力水を供給してシールを行う場合には、圧力水を供給するための小配管(いわゆるシーリング配管)が必要になる。かかる小配管では、通常、機械側の複数の配管接続口にそれぞれ接続された複数の配管を、継手を介して接続することによって、所望の流体経路が実現される。
特開2000−234596号公報
しかしながら、流体機械や配管には、加工公差が生じるため、配管の接続作業に問題が生じ得る。例えば、機械側の2つの配管接続口が所定の位置から加工公差分だけずれて形成されている場合には、継手によって接続された2つの配管の一方を機械側の配管接続口の一方に接続した際に、他方の配管と、他方の機械側の接続口との間に位置ずれが生じ、他方の配管と他方の配管接続口との位置合わせが困難になることがある。特に、多段ポンプでは、段数が多くなるほど、1部品当たりの加工公差が集積されるため、かかる問題が生じやすい。また、小型化が求められる流体機械においては、接続される配管が極めて短くなることもあり、このような場合には、配管の偏角の修正代が極めて小さくなるので、配管の接続口と配管との位置合わせが一層困難になる。かかる問題は、継手によって3つ以上の配管を接続する場合にも共通する。また、ポンプに限らず、送風機、圧縮機などの種々の流体機械に共通する。
かかる問題に対して、金属製や樹脂製のフレキシブル配管を採用することが可能である。しかし、金属製のフレキシブル配管は、高価である。しかも、金属製のフレキシブル配管は、最小曲げ半径が決まっていることから、汎用性に乏しく、さらに、配管の長さが短い場合には、所望の曲げ量が得られず、引き回しが困難である。また、樹脂製のフレキシブル配管は、寒冷地での使用において、凍結によって接続部が抜けてしまうなど、耐候性に改善の余地がある。しかも、樹脂製のフレキシブル配管は、変形しやすく、所望の強度が得られない場合がある。
さらに、配管の接続では、一般的な課題として、優れたシール性が求められる。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の第1の形態は、配管システムとして提供される。この配管システムは、第1の配管と、第1の配管と異なる第2の配管と、第1の挿入口が形成された第1の接続部であ
って、第1の配管が非ネジ方式で第1の挿入口に挿入されて第1の配管と接続される第1の接続部と、第2の挿入口が形成された第2の接続部であって、第2の配管が第2の挿入口に挿入されて第2の配管と接続される第2の接続部と、を有する継手とを備える。第1の接続部における第1の挿入口を形成する第1の内面と、第1の配管と、の間には、第1の挿入口が開口する方向である第1の方向と直交する第1の仮想直交面上の少なくとも1つの方向に第1の配管が変位可能な大きさの第1の隙間が形成される。配管システムは、さらに、第1の貫通穴が形成され、該第1の貫通穴に第1の配管が挿入されて該第1の配管の外周に嵌合される第1のシール部であって、第1の接続部における第1の方向を向いた面と第1の挿入口の周囲で当接し、第1の隙間をシールする第1のシール部を備える。
かかる配管システムによれば、第2の配管と、第2の配管が接続される機器側の接続口とを接続した後に、第1の隙間内で第1の配管を第1の仮想直交面上の少なくとも1つの方向に移動させることによって、第1の配管と、第1の配管が接続される機器側の接続口との位置ずれを修正できる。その結果、配管の位置合わせを容易に行える。しかも、第1の配管と第1の接続部とは、非ネジ方式で接続されるので、シール部によって高いシール性を確保できる。
本発明の第2の形態として、第1の形態の配管システムは、さらに、第1のシール部の少なくとも一部分を継手との間に挟んだ状態で継手に固定され、第1のシール部を継手の方向に押圧する第1の押圧部材を備えていてもよい。かかる形態によれば、簡単な構成によって、継手と第1の押圧部材との間に挟んだ状態で第1のシール部を継手に固定できるとともに、第1のシール部を継手の方向に押圧して、シールを確実に確保できる。
本発明の第3の形態として、第1または第2の形態において、第1の隙間は、第1の仮想直交面上の任意の方向に第1の配管が変位可能な大きさに形成されていてもよい。かかる形態によれば、第1の仮想直交面上のあらゆる方向に第1の配管を移動させることができるので、配管の位置合わせが一層容易になる。
本発明の第4の形態として、第1ないし第3のいずれかの形態の配管システムは、さらに、第1のシール部材と第1の配管とを固定する第1の固定部を備えていてもよい。かかる形態によれば、配管内を流れる流体の圧力が高い場合であっても、当該圧力によって第1の配管が継手から抜けることがない。
本発明の第5の形態として、第1ないし第4のいずれかの形態において、第2の接続部は、第2の配管が、非ネジ方式で第2の挿入口に挿入されていてもよい。第2の接続部における第2の挿入口を形成する第2の内面と、第2の配管と、の間の第2の隙間が、該第2の隙間内において第2の配管の外周に設けられたシール部材によってシールされていてもよい。かかる形態によれば、シール部材によってシールが確保された状態で、第2の配管を、第2の挿入口が開口する方向に移動させることができるので、位置合わせが容易になる。また、第2の隙間が形成されていることによって、第2の挿入口が開口する方向に対する第2の配管の傾きを微調整することができ、配管の位置合わせが容易になる。
本発明の第6の形態として、第1ないし第4のいずれかの形態において、第2の接続部における第2の挿入口を形成する第2の内面と、第2の配管と、の間には、第2の挿入口が開口する方向である第2の方向と直交する第2の仮想直交面に沿った少なくとも1つの方向に第2の配管が変位可能な大きさの第2の隙間が形成されていてもよい。配管システムは、さらに、第2の貫通穴が形成され、該第2の貫通穴に第2の配管が挿入されて該第2の配管の外周に嵌合される第2のシール部であって、第2の接続部における第2の方向を向いた面と第2の挿入口の周囲で当接し、第2の隙間をシールする第2のシール部を備えていてもよい。かかる形態によれば、第2の接続部についても、第1の接続部と同様の
効果を奏するので、配管の位置合わせが一層容易になる。
本発明の第7の形態は、第1ないし第6のいずれかの形態の配管システムを備えたポンプとして提供される。かかるポンプによれば、第1ないし第6の形態と同様の効果を奏する。
本発明の実施例としてのポンプの概略構成を示す説明図である。 第1実施例としての配管システムの概略構成を示す断面図である。 第1実施例としての配管システムの組み立て手順を示す説明図である。 比較例としての配管システムの概略構成を示す断面図である。 比較例としての配管システムの組み立て手順を示す説明図である。 第2実施例としての配管システムの概略構成を示す断面図である。 第3実施例としての配管システムの概略構成を示す断面図である。 第4実施例としての配管システムの概略構成を示す断面図である。
A.実施例:
図1は、本発明の一実施例としてのポンプ20の概略構成を示す。ポンプ20は、本実施例では、水を送水するための多段渦巻ポンプである。ポンプ20は、モータ30によって回転駆動される主軸21と、主軸21に固定された複数の羽根車(図示省略)が収容される複数の中間ケーシング22と、吸込ケーシング23と、吐出ケーシング24と、バランス室25とを備えている。バランス室25は、ポンプ20の運転によって羽根車に生じる、吐出側から吸込側に向かう方向のスラスト力を相殺するために設けられる。バランス室25は、配管システム40を介して、吸込ケーシング23に接続されている。かかるスラスト力を相殺する構成については、公知であるため、説明を省略する。また、ポンプ20の2つの軸封部(図示省略)は、配管システム110を介して、中間ケーシング22に接続されている。中間ケーシング22から配管システム110に流入する圧力水は、分岐した2つの配管から、それぞれの軸封部に供給され、それによって、軸封部のシールが行われる。
配管システム40は、第1の配管50と、第2の配管60と、これらを接続するための継手70とを備えている。本実施例では、第1の配管50および第2の配管60は、いずれも、円形断面を有しており、直線状に延びて形成されている。第2の配管60は、第1の配管50と比べて、非常に短く形成されている。
図2は、配管システム40の詳細を示す。図示するように、第1の配管50の一端には、テーパネジ部51が形成されている。第1の配管50の他端には、外周表面が滑らかな円形に加工された加工部52が形成されている。第2の配管60の一端には、テーパネジ部61が形成されている。第2の配管60の他端の外周表面には、シール部材としてのOリング65を配置するための環状溝63が周方向に沿って形成されている。
継手70は、第1の接続部71と第2の接続部72とを備えている。第1の接続部71には、配管を挿入するための第1の挿入口73が形成されている。第1の挿入口73は、本実施例では、XYZ直交座標系のX軸方向に向けて開口している。第1の挿入口73は、本実施例では、楕円形状に形成されている。ただし、第1の挿入口73の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、真円形状であってもよいし、矩形形状であってもよい。この第1の挿入口73が開口する方向を第1の方向D1とも呼ぶ。第1の接続部71における第1の挿入口73を形成する内面を内面74とも呼ぶ。第2の接続部72には、配管を挿入するための第2の挿入口75が形成されている。第2の挿入口75は、本実施例
では、Y軸方向に向けて開口している。第2の挿入口75は、本実施例では、円形状に形成されている。この第2の挿入口75が開口する方向を第2の方向D2とも呼ぶ。第2の接続部72における第2の挿入口75を形成する内面を内面76とも呼ぶ。
第1の配管50の一端側は、テーパネジ部51が吸込ケーシング23の接続口23aに挿入されることによって、ネジ方式で吸込ケーシング23に接続されている。第1の配管50の他端側は、加工部52が第1の接続部71の第1の挿入口73に挿入されている。第1の挿入口73は、加工部52の外径よりも大きく形成されている。これによって、内面74と加工部52との間には、第1の隙間77が形成されている。本実施例では、第1の隙間77は、加工部52を第1の挿入口73と同心に配置した状態において、第1の方向D1(X軸方向)と直交する仮想直交面(YZ面)上の任意の径方向に形成される。第1の隙間77のうちの、Y軸方向の隙間を隙間77yとも呼び、Z軸方向の隙間を隙間77zとも呼ぶ。本実施例では、Y軸は、第1の挿入口73の楕円形形状の短軸に一致し、Z軸は、長軸に一致する。このため、隙間77zは、隙間77yよりも大きく形成されている。ただし、第1の隙間77の各方向の大きさは、加工公差の生じやすい方向に応じて任意に設定可能である。
図2に示すように、配管システム40は、さらに、第1のシール部80と、第1の押圧部90と、固定部95とを備えている。第1のシール部80は、第1の部材81と、第2の部材82と、シール部材としてのOリング85,86とを備える。第1の部材81および第2の部材82は、外径が異なる2つの円筒を組み合わせた形状を有しており、その内部には、第1の方向D1に貫通する第1の貫通穴83が形成されている。第1の貫通穴83には加工部52が挿入されている。
第1の部材81よりも継手70側に位置する第2の部材82の第1の挿入口73側の端面には、溝部87が形成されている。第2の部材82は、溝部87に配置されたOリング85を介して、第1の挿入口73の周囲において、第1の接続部71における第1の方向D1を向いた面79と当接している。これによって、第1の隙間77がYZ平面上の任意の方向においてシールされる。また、第1の貫通穴83を形成する第2の部材82の内面には、溝部88が形成されており、溝部88に、Oリング86が配置されることによって、第2の部材82と加工部52の外周面とが嵌合し、第1の隙間77がX軸方向においてシールされる。
本実施例では、第1の部材81は、第1の接続部71の内部に配置される。YZ平面状において、第1のシール部80と第1の接続部71との間には、第1の隙間77と同じ大きさか、それよりも大きな隙間89が形成されている。この隙間89は、後述するように、加工部52および第1のシール部80を第1の隙間77の範囲内でYZ平面上の任意の方向に移動させる場合に、第1のシール部80と第1の接続部71とが当接して、それによって当該移動が妨げられることがないようにするために形成されている。
溝部88は、X軸方向における第2の部材82の端部に形成されている。このように第1の部材81と第2の部材82とを別体で構成し、第2の部材82の端部に溝部88を形成することによって、溝部88の加工が容易になる。ただし、第1の部材81と第2の部材82とは、一体的に形成されていてもよい。
第1の押圧部90は、第1のシール部80の少なくとも一部分を継手70との間に挟んだ状態で、ボルト92を締め付けることによって、継手70に固定される。本実施例では、第1の押圧部90は、継手70の第1の接続部71側を覆うカバー状に形成されている。第1の押圧部90の中央には、加工部52および第1のシール部80が貫通する貫通穴91が形成されている。第1の押圧部90の貫通穴91の周囲の部位は、第1のシール部
80の第1の部材81に当接し、第1のシール部80を継手70の側に押圧する。かかる構成によれば、簡単な構成によって、第1のシール部80を継手70に固定できるとともに、Oリング85によるシールを確実に確保できる。
固定部95は、第1のシール部80(より具体的には、第1の部材81)と加工部52とを固定する。本実施例では、固定部95は、セットビスである。第1のシール部80は、第1の押圧部90によって継手70に固定されているので、第1のシール部80と加工部52とが固定されることによって、加工部52と継手70との固定関係が強固になる。このため、かかる構成によれば、配管システム40内を流れる流体の圧力が高い場合であっても、当該圧力によって第1の配管50が継手70から抜けることがない。なお、配管システム40内を流れる流体の圧力が低い場合には、固定部95は、省略可能である。逆に、固定部95を設ける場合には、第1の押圧部90の機能を固定部95に兼用させることによって、第1の押圧部90を省略することも可能である。
上述した構成によって、第1の配管50は、第1の隙間77が形成され、かつ、第1の隙間77がシールされた状態で、第1の接続部71に非ネジ方式で接続される。
第2の配管60の一端側は、テーパネジ部61が吐出ケーシング24の接続口24aに挿入されることによって、ネジ方式で吐出ケーシング24に接続されている。第2の配管60の他端側は、第2の接続部72の第2の挿入口75に非ネジ方式で挿入されている。第2の挿入口75を形成する第2の接続部72の内面76の内径は、第2の配管60の外径よりも大きく形成されている。これによって、内面76と、第2の配管60との間には、第2の隙間78が形成されている。この第2の隙間78は、第2の隙間78内において第2の配管60の外周に設けられたOリング65によってシールされる。かかる構成によって、第2の配管60は、第2の隙間78が形成され、かつ、第2の隙間78がシールされた状態で、第2の接続部72に非ネジ方式で接続される。
図3は、配管システム40の組み立て手順の一例を示す。配管システム40の組み立てに際しては、まず、図3(a)に示すように、吐出ケーシング24に第2の配管60を接続する。次に、第2の配管60の環状溝63にOリング65を装着する。次に、第1のシール部80にOリング85,86を装着し、継手70に、この第1のシール部80および第1の押圧部90を取り付ける。この時点においては、ボルト92は、第1のシール部80がYZ平面の任意の方向に自由に移動できる程度に締め付けられ、第1の押圧部90は、仮留めされた状態である。次に、第1の配管50を、第1のシール部80の第1の貫通穴83および第1の接続部71の第1の挿入口73に挿入する。このとき、第1の配管50は、最終的な接続位置よりも継手70側に深く挿入される。
次に、図3(b)に示すように、吐出ケーシング24に接続された第2の配管60を、第1の配管50が挿入された継手70の第2の挿入口75に挿入して接続する。次に、第1の配管50を吸込ケーシング23の方向(X軸方向)に引き出すとともに、第1の隙間77の範囲内で、第1の配管50をYZ平面上の任意の方向に移動させて、テーパネジ部51と接続口23aとの位置を合わせる。かかる説明から明らかなように、加工部52の長さは、第1の配管50を引き出す長さを考慮して、設定すればよい。第1のシール部80は、加工部52に嵌合されているから、第1の配管50をYZ平面上の方向に移動させた場合、第1の配管50と第1のシール部80とは、共に移動する。次に、図3(c)に示すように、第1の配管50のテーパネジ部51を吸込ケーシング23に接続する。そして、継手70に無理な力が作用していないことを確認した後に、ボルト92を本締めして、第1のシール部80と継手70とを固定するとともに、固定部95を取り付けて、第1の配管50と第1のシール部80とを固定する。こうして配管システム40の組み立てが完了する。
上述した継手70の効果を一層明らかにするために、比較例としての配管システム140について説明する。図4は、配管システム140が組み立てられた状態を示す。図4において、上述の配管システム40と同一構成の構成要素に対しては、図2と同一の符号を付して、説明を省略する。以下、配管システム140について、配管システム40と異なる点についてのみ説明する。図示するように、第1の配管150の他端には、平行ネジ部154が形成されている。第2の配管160の他端には、テーパネジ部164が形成されている。第1の配管150は、ネジ方式で継手170の第1の接続部171に接続される。第2の配管160は、ネジ方式で継手170の第2の接続部172に接続される。平行ネジ部154には、ロックナット180が挿入され、ロックナット180のテーパ部181には、Oリング185が設けられている。ロックナット180が、継手170側に締め付けられることによって、継手170と平行ネジ部154との隙間は、Oリング185によってシールされる。
図5は、配管システム140の組み立て手順を示す。配管システム140の組み立てに際しては、まず、第1の配管150の平行ネジ部154に、ロックナット180とOリング185とを取り付け、平行ネジ部154を第1の接続部171にネジ方式で接続する。このとき、第1の配管150は、最終的な接続位置よりも継手170側に深く挿入される。次に、図5(a)に示すように、第2の配管160のテーパネジ部61と吐出ケーシング24とをネジ方式で接続するとともに、第1の配管150および継手170を回して、テーパネジ部164と継手170の第2の接続部172とをネジ方式で接続する。このとき、第2の配管160は、テーパネジ部51および接続口23aのY軸方向の位置が、極力整合する位置となるまで継手170にねじ込まれる。なお、この方法では、テーパネジ部51および接続口23aのY軸方向の位置合わせは、テーパネジ部164のネジピッチ単位でしか行うことができない。
次に、図5(b)に示すように、第1の配管150を第1の接続部171から引き抜く方向に回して、吸込ケーシング23と第1の配管50のテーパネジ部51とを接続する。そして、図5(c)に示すように、ロックナット180を継手170側に締め付けて、Oリング185によってシールを行う。こうして配管システム140の組み立てが完了する。
かかる配管システム140では、Y軸方向におけるテーパネジ部51と接続口23aとの位置合わせを高精度に行うことができない。しかも、Z軸方向については、テーパネジ部51と接続口23aとの位置合わせを一切行うことができない。このため、テーパネジ部51と吸込ケーシング23とを接続できない状況が発生し得る。また、仮に接続できたとしても、偏芯や偏角が生じた状態でテーパネジ部51を接続口23aにねじ込むことによって、吸込ケーシング23やテーパネジ部51のネジ構造が潰れるおそれがある。さらに、平行ネジ部154、すなわち、ネジ構造の周囲にOリング185が配置されるため、十分なシール性が得られないおそれがある。
一方、本実施例の配管システム40によれば、第2の配管60と、吐出ケーシング24の接続口24aとを接続した後に、第1の配管50および第1のシール部80を第1の隙間77の範囲内でYZ平面上の任意の方向に移動させて、第1の配管50と、吸込ケーシング23の接続口23aとの位置合わせを好適に行うことができる。つまり、配管システム140では実現できない、Y軸方向の位置合わせの微調整、および、Z軸方向の位置合わせが可能になる。しかも、第1の配管50と第1の接続部71とは、非ネジ方式で接続されるので、第1のシール部80によって、高いシール性を確保できる。しかも、第1の隙間77の大きさの設定次第で、位置合わせの自由度を高めることができ、汎用性に優れる。また、第2の配管60の長さが短くても、位置合わせの調節の自由度が低下しない。
さらに、金属製の配管を使用することができ、十分な強度および耐候性を得ることができる。
継手70の第2の接続部72においてOリング65によってシールが確保された状態で、第2の配管60を第2の方向D2(Y軸方向)に移動させることも可能であり、それによって、位置合わせの自由度を一層高めることができる。しかも、配管システム40によれば、第2の配管60と第2の接続部72の内面76との間に第2の隙間78が形成されていることから、第2の挿入口75と第2の配管60とが同心の状態から、第2の配管60の傾きを微調整することができ、それによって、位置合わせの自由度を一層高めることができる。
B.第2実施例:
図6は、本発明の第2実施例としての配管システム240の概略構成を示す。図6において、第1実施例の配管システム40と同一構成の構成要素に対しては、図2と同一の符号を付して、説明を省略する。以下、配管システム240について、配管システム40と異なる点についてのみ説明する。継手270の第1の接続部71の第1の隙間77をシールする第1のシール部280aは、第1の部材281aと、第2の部材282aと、Oリング285a,286aとを備える。第2の部材282aおよびOリング285a,286aの構成は、第1実施例の第2の部材82およびOリング85,86と同一である。第1の部材281aは、第2の部材282aと同一の外径を有している。この例では、第1実施例の固定部95は、使用されていない。
第2の配管260は、テーパネジ部61を除き、全体に亘って、外周表面が滑らかな円形に加工されている。第2の接続部272は、第1の接続部71と同一の構成を有しており、第2の挿入口275の内面276と、第2の配管260との間には、第2の隙間278が形成されている。また、第2のシール部280bは、第1のシール部280aと同一の構成を有し、第1の部材281bと、第2の部材282bと、Oリング285b,286bとを備える。つまり、配管システム240は、第1の配管50に加えて、第2の配管260についても、YZ平面上の平面上で任意の方向に移動可能に構成されている。かかる構成によれば、位置合わせを一層容易に行うことができる。なお、第2実施例において、第1のシール部280aまたは第2のシール部280bの少なくとも一方を、第1実施例の第1のシール部80と同様の形状とし、固定部95を用いてもよい。
C.第3実施例:
図7は、本発明の第3実施例としての配管システム340の概略構成を示す。図7において、第1実施例の配管システム40と同一構成の構成要素に対しては、図2と同一の符号を付して、説明を省略する。以下、配管システム340について、配管システム40と異なる点についてのみ説明する。配管システム340は、第1実施例の第1のシール部80に代えて、第1のシール部380を備えている。第1のシール部380は、第1の部材386と、第2の部材382とを備えている。第2の部材382の継手70側は、第1実施例と同様に、Oリング385を介して、第1の接続部71に当接する。第2の部材382の吸込ケーシング23側(継手70と反対側)には、吸込ケーシング23に向かって次第に開口が大きくなるテーパ部387が形成されている。このテーパ部387は、加工部52の周囲に環状に形成されている。
テーパ部387には、継手70に向かって外径が小さくなるテーパ状のリング状部材である第1の部材386が挿入されている。第1の部材386は、弾性を有しており、シール可能に加工部52の外周と嵌合している。第1の部材386は、例えば、テーパ状のゴム部材とすることができる。当該ゴム部材と同様の機能を得るために、第1の部材386をテーパコレットとし、テーパ部387とテーパコレットとの間にOリングを入れる構成
としてもよい。これらの構成によれば、第1の部材386によって、第1の隙間77を好適にシールできる。しかも、第1の部材386と加工部52との間に作用する摩擦力によって、第1の部材386と加工部52とを固定できる。つまり、第1の部材386は、第1実施例における固定部95の機能を兼ねることもできる。
D.第4実施例:
図8は、本発明の第4実施例としての配管システム440の概略構成を示す。図8において、第1実施例および第2実施例の配管システム40,240と同一構成の構成要素に対しては、図2または図6と同一の符号を付して、説明を省略する。以下、配管システム440について、配管システム40,240と異なる点についてのみ説明する。図示するように、配管システム440では、第2の配管460は、第1の配管50と鏡像対称の形状を有しており、テーパネジ部461と加工部462とを備えている。配管システム440の継手470は、第1の挿入口73が開口する方向である第1の方向D1と、第2の挿入口475が開口する方向である第2の方向D2とが、いずれもX軸方向に設定されている。第2の接続部472は、第1の接続部71と鏡像対称の形状を有している。また、第2のシール部480は、第1のシール部280aと鏡像対称の形状を有しており、第1の部材481、第2の部材482および第2の押圧部490を備えている。第2の接続部472の内面476と加工部462との間には、第1の接続部71の第1の隙間77と同様の第2の隙間478が形成されている。
第1の配管50および第2の配管460は、継手470を介して、吸込ケーシング23の接続口23aと、吐出ケーシング424の接続口424aとを一直線状に繋いでいる。かかる構成によれば、同一方向に配置された接続口23aと接続口424aとに偏芯が生じた場合であっても、当該偏芯を吸収できる。
E.変形例:
E−1.変形例1:
上述した実施例としての配管システムは、継手によって3以上の配管を接続するものであってもよく、例えば、配管システム110(図1参照)に適用してもよい。また、上述した実施例としての配管システムは、ポンプ20に限らず、送風機、圧縮機などの種々の流体機器に適用してもよい
E−2.変形例2:
第1実施例において、第1の隙間77は、第1の挿入口73が開口する方向である第1の方向D1と直交するYZ面上の少なくとも1つの方向に第1の配管50が変位可能な大きさで形成されていてもよい。例えば、第1の挿入口73の形状が、Y軸方向が短辺となり、Z軸方向が長辺となる矩形形状に形成され、短辺が第1の配管50の外径と略等しく形成されていてもよい。あるいは、第1の挿入口73の形状は、当該矩形形状の両端が半円状に形成された長穴形状であってもよい。かかる場合、第1の配管50は、Z軸方向のみに変位可能となる。第2ないし第4実施例についても同様である。
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
20…ポンプ
21…主軸
22…中間ケーシング
23…吸込ケーシング
23a,24a,424a…接続口
23…吸込ケーシング
24,424…吐出ケーシング
25…バランス室
30…モータ
40,240,340,440…配管システム
50…第1の配管
51…テーパネジ部
52…加工部
60,260,460…第2の配管
61,461…テーパネジ部
63…環状溝
65…Oリング
70,270,470…継手
71…第1の接続部
72,272,472…第2の接続部
73…第1の挿入口
74,76,276,476…内面
75,275,475…第2の挿入口
77(77y,77z)…第1の隙間
78,278,478…第2の隙間
79…面
80,280a,380…第1のシール部
81,281a,281b,481…第1の部材
82,282a,282b,382…第2の部材
83…第1の貫通穴
85,86,285a,285b,385…Oリング
87,88…溝部
89…隙間
90…第1の押圧部
91…貫通穴
92…ボルト
95…固定部
110…配管システム
280b,480…第2のシール部
386…第1の部材
387…テーパ部
462…加工部
490…第2の押圧部
D1…第1の方向
D2…第2の方向

Claims (6)

  1. 配管システムであって、
    第1の配管と、
    前記第1の配管と異なる、前記第1の配管に直交する第2の配管と、
    第1の挿入口が形成された第1の接続部であって、前記第1の配管が非ネジ方式で前記第1の挿入口に挿入されて前記第1の配管と接続される第1の接続部と、第2の挿入口が形成された第2の接続部であって、前記第2の配管が前記第2の挿入口に挿入されて前記第2の配管と接続される第2の接続部と、を有する継手と
    を備え、
    前記第1の接続部における前記第1の挿入口を形成する第1の内面と、前記第1の配管と、の間には、前記第1の挿入口が開口する方向である第1の方向と直交する第1の仮想直交面上の少なくとも1つの方向に前記第1の配管が変位可能な大きさの第1の隙間が形成され、
    前記配管システムは、さらに、第1の貫通穴が形成され、該第1の貫通穴に前記第1の配管が挿入されて該第1の配管の外周に嵌合され、前記第1の配管の外周に当接するシール部材を有する第1のシール部であって、前記第1の接続部における前記第1の方向を向いた面と前記第1の挿入口の周囲で当接し、前記第1の隙間をシールする第1のシール部を備え、
    前記第2の接続部では、前記第2の挿入口が前記第1の方向と直交する方向に開口し、前記第2の配管が、前記非ネジ方式で前記第2の挿入口に挿入され、
    前記第2の接続部における前記第2の挿入口を形成する第2の内面と、前記第2の配管と、の間の第2の隙間が、該第2の隙間内において前記第2の配管の外周に設けられたシール部材によってシールされ、前記第2の配管は、前記第2の接続部に対して長手方向に変位可能であり、
    前記第1の配管は、前記第2の配管長よりも大きい配管長を有し、
    前記第1の配管は、前記継手と反対側の端部に第1のテーパネジ部が形成され、前記第2の配管は、前記継手と反対側の端部に第2のテーパネジ部が形成されている、
    配管システム。
  2. 請求項1に記載の配管システムであって、
    前記第1のシール部は、第1の部材と、第2の部材と、前記シール部材としてのOリングとを有する、配管システム。
  3. 請求項2に記載の配管システムであって、
    前記第1の部材と前記第2の部材とは一体に形成されている、配管システム。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の配管システムであって、
    前記第1の隙間は、前記第1の仮想直交面上の任意の方向に前記第1の配管が変位可能な大きさに形成された、配管システム。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の配管システムであって、
    さらに、前記第1のシール部材と前記第1の配管とを固定する第1の固定部を備えた、配管システム。
  6. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の配管システムを備えたポンプ。
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