JP6238375B2 - 分析物定量のための中性子コード化質量タグ - Google Patents

分析物定量のための中性子コード化質量タグ Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
[001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる2012年10月25日出願の米国特許出願第13/660677号に基づく優先権の利益を主張する。
連邦政府の後援による研究又は開発に関する陳述
[002]本発明は、米国国立衛生研究所より付与されたGM080148下での政府助成を含めて行われた。政府は、本発明に関して一定の権利を有する。
[001]プロテオーム定量は、ますます、現代生物学及びトランスレーショナル医療の不可欠な構成要素になりつつある。標的指向的であろうと網羅的であろうと、質量(MS)分析法に安定同位体を組み込むことは、タンパク質存在量の測定値を求める重要な手法である。ペプチド中に安定同位体を導入するには、多くのアプローチ、SILAC、同重体タグ化(TMT/iTRAQ)、iCATなどが存在する。しかし、従来のほとんどのアプローチにおいて、これらの方法は、重い同位体を組み込んで、質量を少なくとも1Daだけ増加させる。例えば、定量のゴールドスタンダードであるSILACは、典型的には、重いペプチドと軽いペプチドとの同位体クラスターの重なりを制限するために、4Daの間隔を利用する。この要件は、SILACの定量能力をトリプレックス(triplex)までに制約する。この理由は、次の2つ:(1)高め得るアミノ酸の質量が約+12Daまでであること、及び(2)多様な同位体クラスターが導入されるにつれて質量スペクトルの複雑性が増大することである。
[002]同重体タグ化は、MSスキャンにおける定量情報を隠すことによって、質量スペクトルの複雑性が増加する問題に対処し、それによって、従来のSILAC法によって得られるものに比べて高レベルのマルチプレックス化を可能にする。Mc Alisterらは、例えば、同重体タグ化剤中の13Cを15Nに置き換えることに起因する比較的小さな同位体シフトを分解する技術を介して、6プレックス〜8プレックスのTMT同重体試薬を使用する方法のスループットを拡大するための方法を最近報告している[Mc Alisterら、Analytical Chemistry,accepted manuscript、DOI:10.1021/ac301572t参照]。同重体タグ化を使用する利用しやすいマルチプレックス化度の増大にもかかわらず、これらの方法は、プロテオミクスに応用するための定量分析でのそれらの使用に影響を及ぼす特定の制約に敏感であることが実証されている。第1に、同重体法は、MS/MSアイソレーションウィンドウにおけるプリカーサー干渉による深刻なダイナミックレンジの圧縮及び定量真度の低下に苦しむ。同重体法におけるプリカーサー干渉は、例えば、該技術の定量真度を有意に低下させることが実証されている。第2に、定量データは、さらなるMS分析のために選択されるペプチドに関してのみ得ることができ、したがって、反復分析が必要な場合、1つの実行から次の実行でMSのために選択されるペプチドに高い変動(約60%)が存在するにつれて、このことは深刻な問題になる。第3に、現在の同重体タグ化法は、解離に関して衝突活性化と適合性があるにすぎず、そのため、この技術の総合的汎用性が制約される。
[003]前述より、プロテオーム解析のための質量分析技術に対する必要性が現に存在することは明らかであろう。例えば、タンパク質を含むサンプルの高スループット分析に必要な高いマルチプレックス化度を達成する能力のある最新の質量分析技術が必要とされている。さらに、定量真度に影響を及ぼすことのあるプリカーサー干渉の問題に敏感でなく、かつ電子捕獲解離法及び電子移動解離法をはじめとするある範囲の解離技術と適合性のある最新の質量分析技術が必要とされている。
[003]本発明は、極めて高度のマルチプレックス化及び正確な定量に到達する、分析物の定量のための独特な基盤を与える質量分析法、組成物、及びシステムであって、プロテオミクスへの応用のためのある範囲の定量分析に特に適した質量分析法、組成物、及びシステムを提供する。本発明の方法及びシステムの実施形態は、非常に小さな分子質量差によって特徴付けられる同位体コード化剤を、多数のサンプル中の分析物の相対又は絶対定量を提供するための大きな分解能を備える質量分析法と組み合わせる。例えば、一部の実施形態において、本発明の定量方法は、アイソトポローグ(isotopologue)である多数の(例えば、2〜10の範囲、一部の実施形態では20を超える)同位体コード化剤、例えば、高分解能質量分析法を使用して真度高く分解され得る質量差を有するアミノ酸、タグ化剤及び/又は合成タンパク質及びペプチドに由来する同位体標識を導入することによって、高度のマルチプレックス化に到達する。本明細書に記載の方法、組成物及びシステムは、高レベルのスループットを達成するのに必要なマルチプレックス化と適合性のある高められた定量真度を可能にする。
[004]一態様において、本発明は、複数のサンプル中の分析物の存在量を決定するための方法を提供し、該方法は、(a)少なくとも第1細胞培養液及び第2細胞培養液を含む複数の細胞培養液を用意するステップ、(b)細胞培養液の各々に、異なる同位体標識アミノ酸を提供するステップであって、細胞培養液の各々の同位体標識アミノ酸が同一アミノ酸のアイソトポローグである、ステップ、(c)細胞培養液の各々の細胞を増殖させ、それによって、各細胞培養液により生成されるタンパク質中に異なる同位体標識を導入するステップ、(d)細胞培養液の各々についてのサンプルを生成するステップであって、各サンプルは異なる同位体標識分析物によって特徴付けられ、サンプルは、少なくとも、第1同位体標識分析物を有する第1細胞培養液についての第1サンプル及び第2同位体標識分析物を有する第2細胞培養液についての第2サンプルを含み、各サンプルの同位体標識分析物はアイソトポローグであり、第1同位体標識分析物と第2同位体標識分析物との分子質量差が300mDa以下である、ステップ、(e)各サンプルについての同位体標識分析物を、100000以上の分解能を備える質量分析技術を用いて分析し、それによって、各サンプルの同位体標識分析物についての独立の識別可能な質量分析シグナルを生成するステップ、及び、(f)各サンプルの同位体標識分析物についての質量分析シグナルを比較し、それによって複数のサンプル中の分析物の存在量を決定するステップを含む。
[005]一態様において、本発明は、複数のサンプル中の分析物の存在量を決定するための方法を提供し、該方法は、(a)少なくとも第1サンプル及び第2サンプルを含む複数のサンプルであって、各々分析物を有するサンプルを用意するステップ、(b)各サンプルに異なる同位体タグ化試薬を提供するステップであって、サンプルの各々の同位体タグ化試薬がアイソトポローグであり、同位体タグ化試薬が、レポーター基及びマスバランス基を有する同重体タグではない、ステップ、(c)各サンプルの分析物と同位体タグ化試薬とを化学的に反応させ、それによって、第1サンプルについての第1同位体標識分析物及び第2サンプルについての第2同位体標識分析物を含む、各サンプルについての異なる同位体標識分析物を生成するステップであって、各サンプルの同位体標識分析物がアイソトポローグであり、第1同位体標識分析物と第2同位体標識分析物との分子質量差が300mDa以下である、ステップ、(d)各サンプルについての同位体標識分析物を、100000以上の分解能を備える質量分析技術を用いて分析し、それによって、各サンプルの同位体標識分析物についての独立の識別可能な質量分析シグナルを生成するステップ、及び(e)各サンプルの同位体標識分析物についての質量分析シグナルを比較し、それによって複数のサンプル中の分析物の存在量を決定するステップを含む。
[006]一態様において、本発明は、複数のサンプル中の分析物の存在量を決定するための方法を提供し、該方法は、(a)少なくとも第1サンプル及び第2サンプルを含む複数のサンプルであって、各々分析物を有するサンプルを用意するステップ、(b)各サンプルに異なる同位体タグ化試薬を提供するステップであって、サンプルの各々の同位体タグ化試薬がアイソトポローグである、ステップ、(c)各サンプルの分析物と同位体タグ化試薬とを化学的に反応させ、それによって、第1サンプルについての第1同位体標識分析物及び第2サンプルについての第2同位体標識分析物を含む、各サンプルについての異なる同位体標識分析物を生成するステップであって、各サンプルの同位体標識分析物がアイソトポローグであり、第1同位体標識分析物と第2同位体標識分析物の分子質量差が300mDa以下である、ステップ、(d)各サンプルについての同位体標識分析物を、100000以上の分解能を備える質量分析技術を用いて分析し、それによって、各サンプルの同位体標識分析物についての独立の識別可能な質量分析シグナルを生成するステップ、及び(e)各サンプルの同位体標識分析物についての質量分析シグナルを比較し、それによって複数のサンプル中の分析物の存在量を決定するステップ(ここで、各サンプルについての同位体標識分析物を、質量分析技術を用いて分析するステップは、同重体タグ化法を使用せず、例えば、質量分析技術を使用して各サンプルについての同位体標識分析物を分析するステップは、レポーターイオン又はレポーターイオンに対応する質量分析データを生成しない。)を含む。
[007]本発明の一部の方法において、サンプルの同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質は、TMT又はiTRAQ質量タグなどの同重体質量タグを含まない。例えば、一部の実施形態において、サンプルの同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質は、レポーター基を有さない及び/又はマスバランス基を有さないような従来の同重体質量タグの官能基の少なくとも一部を有さない。しかし、本発明の同位体タグ化試薬は、例えば、化学反応を介して分析物への同位体標識の組み込みを可能にするために、タンパク質又はペプチドに反応性のある基などの反応性基を概して含むことに留意されたい。
[008]本発明の一部の方法において、各サンプルについての同位体標識分析物を分析するステップは、一段階質量分析技術、分析物から直接的に生成されるプロダクトイオン(例えば、エレクトロスプレーイオン化及びMALDI技術から直接的に生成されるイオン)のフラグメント化及び検出を含む技術を用いて実施される。例えば、一部の実施形態において、各サンプルについての同位体標識分析物を、質量分析技術を用いて分析するステップは、(i)各サンプルについての同位体標識分析物の各々からイオンを生成するサブステップ、(ii)各サンプルについての異なる同位体標識を有するプロダクトイオンを生成するようにイオンをフラグメント化するサブステップ、及び(iii)各サンプルについてのプロダクトイオンを検出するサブステップを含む。例えば、一部の実施形態において、プロダクトイオンは、同位体標識を有するペプチドフラグメントイオンであり、ここで、プロダクトイオンは、任意選択で、プロダクトイオンのさらなる質量選別又はフラグメント化なしで検出される。特定の実施形態において、各サンプルについての同位体標識分析物を分析するステップは、MS多段階質量分析法(ここでxは2以上である)を用いて実施されることはなく、例えば、各サンプルについての同位体標識分析物を分析するステップは、タンデム質量分析法を用いて実施されることはない。別法として、本発明は、各サンプルについての同位体標識分析物を分析するステップが、タンデム質量分析技術などのMS多段階質量分析法(xは2以上である。)を用いて実施される、方法を含む。
[009]本発明の方法は、反応技術、合成技術及び代謝技術などの、同位体標識分析物を生成するために分析物中に同位体標識を導入するための広範な範囲のアプローチと適合性がある。例えば、反応技術において、1種又は複数の同位体タグ化試薬は、サンプルに、同位体タグ化試薬の少なくとも一部が分析物と反応して同位体標識分析物を生成するような条件(例えば、タグ化試薬の濃度、温度、pH、イオン強度、溶媒組成など)下で提供される。例えば、合成技術において、同位体標識ペプチド標準品などの1種又は複数の同位体標識標準品は、例えば、同位体コード化アミノ酸の化学反応を介して合成され、次いで分析下のサンプルに添加される。例えば、代謝技術において、同位体標識アミノ酸又はペプチドなどの同位体コード化化合物は、同位体標識アミノ酸又はペプチドが、細胞により生成されるペプチド及び修飾ペプチド中に組み込まれる条件下で細胞培養液に提供される。
[010]例えば、一実施形態において、異なる同位体標識アミノ酸を細胞培養液の各々に提供するステップは、同位体標識アミノ酸を含む細胞培養液の各々に、増殖培地を提供するサブステップを含む。例えば、一実施形態において、各細胞培養液により生成されるタンパク質中に異なる同位体標識を導入することは、細胞培養液の細胞中への同位体標識アミノ酸の代謝的取り込みを介して達成される。例えば、一実施形態において、細胞培養液の各々についてのサンプルを生成するステップは、細胞培養液の各々の細胞を溶解するサブステップを含む。例えば、一実施形態において、細胞培養液の各々についてのサンプルを生成するステップは、細胞培養液の各々のタンパク質を抽出するサブステップを含む。例えば、一実施形態において、細胞培養液の各々についてのサンプルを生成するステップは、細胞培養液の各々のタンパク質を消化するサブステップを含む。例えば、一実施形態において、サンプルは、トリプシン又はエンドプロテアーゼLysCを使用して消化される。
[011]本発明の方法の重要な態様は、100000以上の分解能を備える質量分析技術を用いて分解できる質量差を有する一連の同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の使用である。小さな分子質量差(例えば、300mDa以下)を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部の使用は、高いマルチプレックス化能力に到達するための一部の実施形態において有益である。例えば、一部の実施形態において、各サンプルについての同位体標識分析物を分析するステップは、同位体標識分析物の質量/電荷比、及び/又は分子質量の差を分解するサブステップを含む。例えば、一部の実施形態において、第1同位体標識分析物と第2同位体標識分析物との分子質量差は100mDa以下であり、任意選択で、一部の適用に関して、第1同位体標識分析物と第2同位体標識分析物との分子質量差は50mDa以下であり、任意選択で、一部の適用に関して、第1同位体標識分析物と第2同位体標識分析物との分子質量差は10mDa以上である。例えば、一部の実施形態において、第1同位体標識分析物と第2同位体標識分析物との分子質量差は100mDa〜1mDaの範囲にわたって選択され、任意選択で、一部の適用に関して、第1同位体標識分析物と第2同位体標識分析物との分子質量差は50mDa〜1mDaの範囲にわたって選択され、任意選択で、一部の適用に関して、第1同位体標識分析物と第2同位体標識分析物との分子質量差は10mDa〜1mDaの範囲にわたって選択される。例えば、一部の実施形態において、同位体標識分析物の各々は、同位体標識分析物の他のものの分子質量から100mDa〜1mDaの範囲内の分子質量を有し、任意選択で、一部の適用に関して、同位体標識分析物の各々は、同位体標識分析物の他のものの分子質量から50mDa〜1mDaの範囲内の分子質量を有し、任意選択で、一部の適用に関して、同位体標識分析物の各々は、同位体標識分析物の他のものの分子質量から10mDa〜1mDaの範囲内の分子質量を有する。例えば、一部の実施形態において、同位体標識分析物の各々の分子質量は10000mDa〜10mDaの範囲内に存在し、任意選択で、一部の適用に関して、同位体標識分析物の各々の分子質量は1000mDa〜10mDaの範囲内に存在し、任意選択で、一部の適用に関して、同位体標識分析物の各々の分子質量は100mDa〜10mDaの範囲内に存在する。
[012]本発明の異なる同位体コード化化合物は、異なる適用のために、広範な範囲にわたって選択された多数の重い安定同位体を有し得る。本明細書において、同位体コード化化合物とは、同位体標識として機能する1つ又は複数の重い安定同位体を有する化合物を指す。同位体コード化化合物としては、ある範囲のタグ化試薬、標準品、及び/又は標識分析物、例えば、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、同位体標識標準品、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質が挙げられる。同位体コード化化合物としては、アイソトポローグである1つ又は複数の重い安定同位体を有する化合物、例えば、質量分析法を使用して、測定される質量/電荷比に基づいて真度高く識別できるアイソトポローグが挙げられる。
[013]例えば、一実施形態において、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20からなる群から選択される個数の重い安定同位体を有する。例えば、一実施形態において、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質は、1以上の個数の重い安定同位体、任意選択で一部の適用に関して4以上の個数の重い安定同位体、及び任意選択で一部の適用に関して10以上の個数の重い安定同位体、及び任意選択で一部の適用に関して15以上の個数の重い安定同位体を有する。
[014]例えば、一部の実施形態において、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質は、少なくとも1個の15N同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の13C同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の18O同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の34S同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;並びに少なくとも1個のH同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質からなる群から選択される。
[015]例えば、一部の実施形態において、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質は、少なくとも2個の13C同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の13C同位体及び少なくとも1個の15N同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の13C同位体及び少なくとも1個のH同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の13C同位体及び少なくとも1個の18O同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の13C同位体及び34S同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも2個の15N同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の15N同位体及び少なくとも1個のH同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の15N同位体及び少なくとも1個の18O同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の15N同位体及び少なくとも1個の34S同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも2個のH同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個のH同位体及び少なくとも1個の18O同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個のH同位体及び少なくとも1個の34S同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも2個の18O同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の18O同位体及び少なくとも1個の34S同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の13C同位体、少なくとも1個の15N同位体及び少なくとも1個のH同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の13C同位体、少なくとも1個の15N同位体及び少なくとも1個の18O同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;少なくとも1個の13C同位体、少なくとも1個の15N同位体及び少なくとも1個の34S同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;並びに少なくとも1個の18O同位体、少なくとも1個の15N同位体及び少なくとも1個の34S同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質からなる群から選択される。
[016]例えば、一実施形態において、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質は、1、2、3又は4個の15N同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11個の13C同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;1又は2個の18O同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;1個の34S同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質;並びに1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のH同位体を有する同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質からなる群から選択される。
[017]本発明の方法は、同位体標識アミノ酸などの同位体コード化アミノ酸を使用する定量アプローチを含む。例えば、一実施形態において、同位体標識アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸のアイソトポローグである。例えば、一実施形態において、同位体標識アミノ酸は、セリン、ロイシン、チロシン、リシン、メチオニン、又はアルギニンのアイソトポローグである。例えば、一実施形態において、アイソトポローグは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20からなる群から選択される個数の重い安定同位体を有する。例えば、一実施形態において、各サンプルの同位体標識アミノ酸は、そのコード化元素式(coded element formula)に関して、
123−i 13 4−j 141−n 15 161−o 18(i≦3,j≦4,n≦1,o≦1);
126−i 13 7−j 144−n 15 161−o 18(i≦6,j≦7,n≦4,o≦1);
124−i 13 3−j 142−n 15 162−o 18(i≦4,j≦3,n≦2,o≦2);
124−i 13 3−j 141−n 15 162−o 18(i≦4,j≦3,n≦1,o≦2);
123−i 13 3−j 141−n 15 161−o 18 321−p 34(i≦3,j≦3,n≦1,o≦1,p≦1);
125−i 13 5−j 141−n 15 162−o 18(i≦5,j≦5,n≦1,o≦2);
125−i 13 5−j 142−n 15 162−o 18(i≦5,j≦5,n≦2,o≦2);
122−i 13 2−j 141−n 15 161−o 18(i≦2,j≦2,n≦1,o≦1);
126−i 13 5−j 143−n 15 161−o 18(i≦6,j≦5,n≦3,o≦1);
126−i 13 10−j 141−n 15 161−o 18(i≦6,j≦10,n≦1,o≦1);
126−i 13 10−j 141−n 15 161−o 18(i≦6,j≦10,n≦1,o≦1);
126−i 13 9−j 142−n 15 161−o 18(i≦6,j≦9,n≦2,o≦1);
125−i 13 8−j 141−n 15 161−o 18 321−p 34(i≦5,j≦8,n≦1,o≦1,p≦1);
129−i 13 8−j 141−n 15 161−o 18(i≦9,j≦8,n≦1,o≦1);
125−i 13 7−j 141−n 15 161−o 18(i≦5,j≦7,n≦1,o≦1);
123−i 13 3−j 141−n 15 161−o 18(i≦3,j≦3,n≦1,o≦1);
124−i 13 5−j 141−n 15 161−o 18(i≦4,j≦5,n≦1,o≦1);
1211−i 13 8−j 142−n 15 161−o 18(i≦11,j≦8,n≦2,o≦1);
129−i 13 7−j 141−n 15 161−o 18(i≦9,j≦7,n≦1,o≦1);及び
125−i 13 8−j 141−n 15 161−o 18(i≦5,j≦8,n≦1,o≦1)
[式中、i、j、n、o及びpは、各々独立に整数又は0である。]
からなる群から選択される同位体組成を有する。
[018]例えば、一実施形態において、同位体標識アミノ酸は、式:
Figure 0006238375

[式中、N及びNが両方とも15Nであるか;N及びNの一方が15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの1つが13Cであるか;N及びNの一方が15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか;Oが18Oであるか;C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであるか;C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか;H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHである。]
を有する。
[019]例えば、一実施形態において、同位体標識アミノ酸は、式:
Figure 0006238375

[式中、N及びNが両方とも15Nであり、かつOが18Oであるか;N及びNが両方とも15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの2つが13Cであるか;N及びNが両方とも15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか;N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつOが18Oであるか;N及びNが両方とも15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか;N及びNの1つが15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの3つが13Cであるか;N及びNの1つが15Nであり、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであり、かつOが18Oであるか;N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか;C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつOが18Oであるか;N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか;C、C、C、C、C及びCの4つが13Cであるか;C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであり、かつOが18Oであるか;N及びNの1つが15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの3つがHであるか;C、C、C、C、C及びCの3つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか;H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであり、かつOが18Oであるか;C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか;C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの3つがHであるか;H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの4つがHである。]
を有する。
[020]例えば、一実施形態において、同位体標識アミノ酸は、式:
Figure 0006238375

[式中、N、N、N及びNの2つが15Nであるか;N、N、N及びNの1つが15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの1つが13Cであるか;N、N、N及びNの1つが15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか;Oが18Oであるか;C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであるか;C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか;H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHである。]
を有する。
[021]例えば、一実施形態において、同位体標識アミノ酸は、式:
Figure 0006238375

[式中、N、N、N及びNの4つが15Nであるか;N、N、N及びNの3つが15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの1つが13Cであるか;N、N、N及びNの3つが15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか;N、N、N及びNの2つが15Nであり、かつOが18Oであるか;N、N、N及びNの2つが15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの2つが13Cであるか;N、N、N及びNの2つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか;N、N、N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつOが18Oであるか;N、N、N及びNの2つが15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか;N、N、N及びNの1つが15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの3つが13Cであるか;N、N、N及びNの1つが15Nであり、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであり、かつOが18Oであるか;N、N、N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか;C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつOが18Oであるか;N、N、N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか;C、C、C、C、C及びCの4つが13Cであるか;C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであり、かつOが18Oであるか;N、N、N及びNの1つが15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの3つがHであるか;C、C、C、C、C及びCの3つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか;H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであり、かつOが18Oであるか;C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか;C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの3つがHであるか;H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの4つがHである。]
を有する。
[022]本発明の方法は、同位体標識タグ化試薬などの同位体コード化タグ化剤、及び分析物の同位体標識官能基、例えば同位体標識ペプチド基などの同位体コード化標識を使用する定量アプローチを含む。例えば、一実施形態において、同位体タグ化試薬は、タンパク質又はペプチドのアミン基又はカルボン酸基と反応する1つ又は複数の官能基などのアミン反応性基又はカルボン酸反応性基を含む。例えば、一実施形態において、同位体タグ化試薬は、ペプチド同位体タグ又は修飾ペプチド同位体タグのアイソトポローグである。例えば、一実施形態において、同位体タグ化試薬は、ペプチド標識試薬のアイソトポローグである。例えば、一実施形態において、各サンプルのペプチド同位体タグ又は修飾ペプチド同位体タグのアイソトポローグは、そのコード化元素式に関して、
129−i 13 7−j 35Cl1−m 37Cl 141−n 15 161−o 18(i≦9,j≦7,m≦1,n≦1,o≦1);
125−i 13 1−j 145−n 15 161−o 18(i≦5,j≦1,n≦5,o≦1);
125−i 13 6−j 142−n 15(i≦5,j≦6,n≦2);
123−i 13 2−j 145−n 15(i≦3,j≦2,n≦5);
124−i 13 7−j 143−n 15(i≦4,j≦7,n≦3);
124−i 13 6−j 144−n 15(i≦4,j≦6,n≦4);
129−i 13 7−j 79Br1−l 81Br 141−n 15 161−o 18(i≦9,j≦7,l≦1,n≦1,o≦1);
124−i 13 2−j 143−n 15 161−o 18(i≦4,j≦2,n≦3,o≦1);
124−i 13 2−j 142−n 15 162−o 18(i≦4,j≦2,n≦2,o≦2);
125−i 13 4−j 142−n 15 162−o 18(i≦5,j≦4,n≦2,o≦2);
1214−i 13 14−j 143−n 15 164−o 18(i≦14,j≦14,n≦3,o≦4);
129−i 13 11−j 141−n 15 161−o 18(i≦9,j≦11,n≦1,o≦1);
1210−i 13 10−j 141−n 15 162−o 18(i≦10,j≦10,n≦1,o≦2);
1210−i 13 9−j 143−n 15 163−o 18(i≦10,j≦9,n≦3,o≦3);
127−i 13 7−j 141−n 15 161−o 18(i≦7,j≦7,n≦1,o≦1);
1211−i 13 12−j 141−n 15 161−o 18 321−p 34(i≦11,j≦12,n≦1,o≦1,p≦1);
1212−i 13 17−j 141−n 15 161−o 18(i≦12,j≦17,n≦1,o≦1);
129−i 13 9−j 142−n 15 161−o 18(i≦9,j≦9,n≦2,o≦1);
1214−i 13 14−j 143−n 15 164−o 18(i≦14,j≦14,n≦3,o≦4);
1214−i 13 14−j 143−n 15 164−o 18(i≦14,j≦14,n≦3,o≦4);
1212−i 13 13−j 142−n 15 163−o 18(i≦12,j≦13,n≦2,o≦3);
1216−i 13 23−j 142−n 15 164−o 18(i≦16,j≦23,n≦2,o≦4);
1212−i 13 15−j 142−n 15 163−o 18(i≦12,j≦15,n≦2,o≦3);
1214−i 13 19−j 142−n 15 164−o 18(i≦14,j≦19,n≦2,o≦4);
1211−i 13 13−j 142−n 15 162−o 18(i≦11,j≦13,n≦2,o≦2);
128−i 13 7−j 142−n 15 162−o 18(i≦8,j≦7,n≦2,o≦2);
1218−i 13 21−j 144−n 15 165−o 18(i≦18,j≦21,n≦4,o≦5);及び
1218−i 13 21−j 144−n 15 165−o 18(i≦18,j≦21,n≦4,o≦5)
[これらの式中、i、j、l、m、n、o及びpは、各々独立に整数又は0である。]
からなる群から選択される同位体組成を有する。
[023]例えば、一実施形態において、同位体標識分析物は独立にペプチド標識を含む。例えば、一実施形態において、各同位体標識分析物のペプチド標識は、そのコード化元素式に関して、
1214−i 13 12−j 148−n 15 161−o 18(i≦14,j≦12,n≦8,o≦1);
1227−i 13 27−j 148−n 15 164−o 18(i≦27,j≦27,n≦8,o≦4);
1217−i 13 10−j 146−n 15 161−o 18(i≦17,j≦10,n≦6,o≦1);
129−i 13 10−j 146−n 15 161−o 18(i≦9,j≦10,n≦6,o≦1);
1230−i 13 31−j 1412−n 15 164−o 18(i≦30,j≦31,n≦12,o≦4);
1231−i 13 35−j 148−n 15 166−o 18(i≦31,j≦35,n≦8,o≦6);
1215−i 13 12−j 148−n 15 161−o 18(i≦15,j≦12,n≦8,o≦1);
1212−i 13 8−j 149−n 15 161−o 18(i≦12,j≦8,n≦9,o≦1);
1211−i 13 6−j 148−n 15 161−o 18(i≦11,j≦6,n≦8,o≦1);
1231−i 13 35−j 148−n 15 164−o 18(i≦31,j≦35,n≦8,o≦4);
1212−i 13 20−j 142−n 15 162−o 18(i≦12,j≦20,n≦2,o≦2);
127−i 13 13−j 142−n 15 161−o 18(i≦7,j≦13,n≦2,o≦1);及び
1218−i 13 25−j 143−n 15 163−o 18(i≦18,j≦25,n≦3,o≦3)
[これらの式中、i、j、n及びoは、各々独立に整数又は0である。]
からなる群から選択される同位体組成を有する。
[024]例えば、一実施形態において、該方法の同位体タグ化試薬は、小分子同位体タグのアイソトポローグである。例えば、一実施形態において、各サンプルの小分子同位体タグのアイソトポローグは、そのコード化元素式に関して、
129−i 13 14−j 141−n 15(i≦9,j≦14,n≦1);
123−i 13 9−j 28Si1−q 30Si(i≦3,j≦9,q≦1);
1211−i 13 7−j 141−n 15 321−p 34(i≦11,j≦7,n≦1,p≦1);
1212−i 13 16−j 146−n 15 162−o 18 321−p 34(i≦12,j≦16,n≦6,o≦2,p≦1);
126−i 13 15−j 28Si1−q 30Si(i≦6,j≦15,q≦1);
122−i 13 3−j 162−o 18(i≦2,j≦3,o≦2);
123−i 13 161−o 18(i≦3,o≦1);
124−i 13 5−j 162−o 18(i≦4,j≦5,o≦2);
121−i 13 2−j 142−n 15(i≦1,j≦2,n≦2);
126−i 13 4−j 142−n 15 162−o 18(i≦6,j≦4,n≦2,o≦2);
122−i 13 161−o 18(i≦2,o≦1);
127−i 13 6−j 142−n 15 163−o 18(i≦7,j≦6,n≦2,o≦3);
127−i 13 7−j 143−n 15 161−o 18(i≦7,j≦7,n≦3,o≦1);
126−i 13 3−j 144−n 15 164−o 18(i≦6,j≦3,n≦4,o≦4);
126−i 13 1−j 162−o 18(i≦6,j≦1,o≦2);
1215−i 13 11−j 162−o 18(i≦15,j≦11,o≦2);
126−i 13 8−j 162−o 18(i≦6,j≦8,o≦2);
1212−i 13 12−j 143−n 15 162−o 18 321−p 34(i≦12,j≦12,n≦3,o≦2,p≦1);
1218−i 13 23−j 142−n 15 161−o 18(i≦18,j≦23,n≦2,o≦1);
125−i 13 4−j 143−n 15(i≦5,j≦4,n≦3);
126−i 13 8−j 162−o 18(i≦6,j≦8,o≦2);
126−i 13 7−j 143−n 15(i≦6,j≦7,n≦3);
126−i 13 11−j 142−n 15 161−o 18(i≦6,j≦11,n≦2,o≦1);
1211−i 13 11−j 143−n 15 161−o 18(i≦11,j≦11,n≦3,o≦1);
126−i 13 2−j 143−n 15 163−o 18(i≦6,j≦2,n≦3,o≦3);
129−i 13 10−j 142−n 15 321−p 34(i≦9,j≦10,n≦2,p≦1);
1211−i 13 7−j 141−n 15 161−o 18(i≦11,j≦7,n≦1,o≦1);
124−i 13 161−o 18(i≦4,o≦1);
127−i 13 4−j 142−n 15 162−o 18 321−p 34(i≦7,j≦4,n≦2,o≦2,p≦1);
127−i 13 4−j 141−n 15 164−o 18(i≦7,j≦4,n≦1,o≦4);
128−i 13 14−j 141−n 15 163−o 18(i≦8,j≦14,n≦1,o≦3);
1214−i 13 14−j 141−n 15 164−o 18(i≦14,j≦14,n≦1,o≦4);
129−i 13 12−j 142−n 15(i≦9,j≦12,n≦2);
1212−i 13 12−j 143−n 15 162−o 18 321−p 34(i≦12,j≦12,n≦3,o≦2,p≦1);
1212−i 13 12−j 141−n 15 162−o 18 321−p 34(i≦12,j≦12,n≦1,o≦2,p≦1);
126−i 13 4−j 141−n 15 162−o 18(i≦6,j≦4,n≦1,o≦2);
126−i 13 4−j 144−n 15 161−o 18(i≦6,j≦4,n≦4,o≦1);
1220−i 13 15−j 142−n 15 161−o 18(i≦20,j≦15,n≦2,o≦1);
126−i 13 12−j 142−n 15(i≦6,j≦12,n≦2);
125−i 13 13−j 141−n 15 161−o 18(i≦5,j≦13,n≦1,o≦1);
126−i 13 4−j 141−n 15 162−o 18(i≦6,j≦4,n≦1,o≦2);及び
128−i 13 18−j 141−n 15(i≦8,j≦18,n≦1)
[これらの式中、i、j、n、o、p及びqは、各々独立に整数又は0である。]
からなる群から選択される同位体組成を有する。
[025]本発明の方法で有用な同位体コード化化合物、例えば、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質は、広範な範囲の安定同位体の組合せを含み得る。例えば、一実施形態において、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも1個の12C同位体及び少なくとも1個の15N同位体を含み、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも1個の13C同位体及び少なくとも1個の14N同位体を含む。例えば、一実施形態において、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも1個の12C同位体及び少なくとも1個のH同位体を含み、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも1個の13C同位体及び少なくとも1個のH同位体を含む。例えば、一実施形態において、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも1個の14N同位体及び少なくとも1個のH同位体を含み、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも1個の15N同位体及び少なくとも1個のH同位体を含む。例えば、一実施形態において、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも1個の16O同位体を含み、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも1個の18O同位体を含む。例えば、一実施形態において、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも2個の13C、H又は15N同位体及び少なくとも1個の16O同位体を含み、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも1個の18O同位体及び少なくとも2個の12C、H又は14N同位体を含む。例えば、一実施形態において、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも2個の13C、H又は15N同位体を含み、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質の少なくとも一部は、少なくとも1個の34S同位体及び少なくとも2個の12C、H又は14N同位体を含む。
[026]例えば、一実施形態において、同位体標識分析物は、各々独立に、異なる同位体標識を有するタンパク質分析物又は修飾タンパク質分析物である。例えば、一実施形態において、同位体標識分析物は、各々独立に、異なる同位体標識を有するペプチド分析物又は修飾ペプチド分析物である。例えば、一実施形態において、同位体標識分析物は、例えばタンパク質及びペプチド分析物に向けた応用のために、50Da〜250kDaの範囲から選択される、任意選択で400Da〜250kDaの範囲から選択される分子質量を有する。例えば、一実施形態において、同位体標識分析物は、相互の差が1〜300mDaの分子質量を有する。
[027]本発明の方法は、例えば、マルチプレックス化に関してより大きな度合に到達することを介する、同重体及びSILAC型定量アプローチに関する改善を提供する。一部の実施形態でマルチプレックス化を高めることは、質量分析技術を使用して質量/電荷比に基づいて識別可能なアイソトポローグである多数の同位体コード化分析物、試薬、タグ化剤、標識、標準品、アミノ酸などに対する該方法の適合性に少なくとも部分的には由来する。一実施形態において、本発明は、複数のサンプル、例えばインビボ又はインビトロ条件での差異に対応する複数のサンプル中の分析物の相対又は絶対存在量を分析するマルチプレックス法を提供する。例えば、一実施形態において、該方法は、少なくとも2つのサンプル、任意選択で一部の適用に関して少なくとも4つのサンプル、任意選択で一部の適用に関して少なくとも8つのサンプル、任意選択で一部の適用に関して少なくとも20のサンプル中の分析物の相対又は絶対存在量を分析するための方法である。例えば、一実施形態において、複数の細胞培養液を用意するステップは、2〜20の細胞培養液を用意するサブステップを含み、ここで、細胞培養液の各々についてのサンプルを生成するステップは、2〜100のサンプルを生成するサブステップを含む。例えば、一実施形態において、各サンプルについての同位体標識分析物を、100000以上の分解能を備える質量分析技術を用いて分析するステップは、同位体標識分析物に対応する独立の識別可能な質量分析シグナルの2〜150を生成する。
[028]本発明の方法は、有用な分解能を備える広範な範囲の質量分析技術、例えば、タンパク質及びペプチドを含むサンプルなどの複数のサンプル中の分析物の存在量を調べるように設計された技術と適合性がある。例えば、一実施形態において、本発明の方法は、各サンプルについての同位体標識分析物又は同位体標識標準品を、100000以上の分解能を備える質量分析技術を用いて分析するステップの前に、異なる同位体標識分析物によって特徴付けられるサンプルを組み合わせ、それによって各サンプルが、類似のサンプル調製、精製、イオン化、フラグメント化、及び/又は検出条件にさらされることを保証するステップをさらに含む。例えば、一実施形態において、複数のサンプルについての異なる同位体標識分析物又は同位体標識標準品は、例えば精製ステップ及び複数のサンプルの組合せの質量分析ステップを介して同時に分析される。例えば、一実施形態において、各サンプルについての同位体標識分析物を分析するステップは、同位体標識分析物の各々についての1種又は複数のプロダクトイオンを生成するサブステップ、及びプロダクトイオンの少なくとも一部についての質量/電荷比を、100000以上の分解能を備える質量分析技術を用いて測定するサブステップを含む。例えば、一実施形態において、各サンプルについての同位体標識分析物又は同位体標識標準品を分析するステップは、四重極イオントラップ、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴イオントラップ、線形四重極イオントラップ、orbitrapイオントラップ、四重極型質量分析計、又は飛行時間型質量分析計を用いて実施される。
[029]例えば、一実施形態において、同位体標識分析物又は同位体標識標準品を分析するステップは、同位体標識分析物又は同位体標識標準品から例えばエレクトロスプレーイオン化及びMALDI技術を使用してイオンを生成するサブステップを含む。例えば、一実施形態において、同位体標識分析物又は同位体標識標準品を分析するステップは、同位体標識分析物又は同位体標識標準品から生成されたイオンを、例えば衝突誘起解離(CID)、表面誘起解離(SID)、レーザー誘起解離(LID)、電子捕獲解離(ECD)、電子移動解離(ETD)からなる群から選択される1種又は複数の技術を用いてフラグメント化するサブステップを含む。
[030]例えば、一実施形態において、本発明の方法は、各サンプルについての同位体標識タンパク質又はペプチド分析物を、例えば液相クロマトグラフィー(例えば、HPLC)、気相クロマトグラフィー、及び/又はキャピラリー電気泳動を介して分析するステップの前に、サンプルのタンパク質又はペプチドを精製するステップをさらに含む。例えば、一実施形態において、本発明の方法は、各サンプルについての同位体標識タンパク質若しくはペプチド分析物を分析するステップの前に、サンプルのタンパク質又はペプチドを分別するステップをさらに含む。
[031]本発明の方法は、生物学的材料及び生物学的材料に由来するサンプル、例えば生体液、細胞抽出物、細胞溶解液、組織抽出物などを含む種々のサンプルを分析するのに有用である。本発明の方法は、インビボの生物学的材料に由来するサンプルを分析するのに有用である。本発明の方法は、マイクロアレイサンプルなどのプロテオーム解析のためのサンプル、及びインビトロアッセイに由来するサンプルを分析するのに有用である。例えば、一実施形態において、分析物は、タンパク質、ペプチド、修飾タンパク質、又は修飾ペプチドである。本発明の方法は、分析用サンプルを、ガスクロマトグラフィー−質量分析法、液体クロマトグラフィー−質量分析法、及び電気泳動−質量分析法を介して分析するのに有用である。
[032]別の態様において、本発明は、サンプル中の分析物の存在量を決定するための方法を提供し、該方法は、(a)分析物を有するサンプルを用意するステップであって、分析物がペプチド又はタンパク質である、ステップ、(b)サンプルに同位体標識標準品を提供するステップであって、分析物及び同位体標識標準品がアイソトポローグであり、分析物と同位体標識標準品との分子質量差が300mDa以下である、ステップ、(c)サンプル中の分析物及び同位体標識標準品を、100000以上の分解能を備える質量分析技術を用いて分析し、それによって、サンプルの分析物及び同位体標識標準品についての独立の識別可能な質量分析シグナルを生成するステップ、及び(e)サンプルの分析物及び同位体標識標準品についての質量分析シグナルを比較し、それによってサンプル中の分析物の存在量を決定するステップを含む。本明細書において、「同位体標識標準品」は、絶対又は相対定量を可能にするためにサンプルに提供される同位体コード化化合物、例えば、サンプルに既知量(例えば、既知濃度を有する)で提供される同位体コード化ペプチド若しくはタンパク質を指す。例えば、一実施形態において、同位体標識標準品は、本発明の説明中で示されるものなどの1種又は複数の同位体標識アミノ酸を用いて合成される同位体コード化タンパク質若しくはペプチドである。一実施形態において、この態様の方法は、(a)複数のサンプルを用意するステップであって、各サンプルが分析物を有するステップ、(b)サンプルの各々に同位体標識標準品を提供するステップ、(c)サンプルの各々における分析物及び同位体標識標準品を、100000以上の分解能を備える質量分析技術を用いて分析し、それによって、各サンプルの分析物及び同位体標識標準品についての独立の識別可能な質量分析シグナルを生成するステップ、及び(e)各サンプルの分析物及び同位体標識標準品についての質量分析シグナルを比較し、それによって複数のサンプル中の分析物の存在量を決定するステップをさらに含む。
[033]本発明は、また、本明細書に記載の同位体コード化化合物、例えば、精製された状態で提供される本明細書に記載の同位体標識アミノ酸、同位体標識標準品、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質のいずれかを含む物質の組成物を提供する。例えば、一実施形態において、本発明は、また、本明細書に記載の同位体コード化化合物、例えば、同位体強化組成物として提供される本明細書に記載の同位体標識アミノ酸、同位体標識標準品、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質のいずれかを含む物質の組成物を提供する。
[034]いずれか特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書中で開示されるデバイス及び方法に関連する根底をなす原理の確信又は理解に関する本明細書中での考察もあり得る。任意の機構的説明又は仮説の最終的妥当性とは無関係に、本発明の実施形態は、効果をもたらし、かつ有用であることを認識されたい。
図1(Figure 1)は、分解能の計算方法を示す。図1A:1つの定義によれば、分解能は、m/Δm=500/1=500である。図1B:別の定義によれば、同一のピークペアに関する分解能は、m/m1/2=500/0.481=1.040である。図1C:別の定義によれば、m/z500及び501の2つのピークは、分解能が500であればかろうじて区別される。 図2(Figure 2)は、選択されたリシン標識ペプチドペアに関する、種々の分解能設定での質量分析結果を示す。Orbitrap MSシステムの典型的な操作分解能(30000)で、2種のNeuCode標識ペプチドは識別できず、1つの種として現れる。240000の分解能で分析すると、ペアはベースラインで分解される。その最高分解能(480000)でシステムを操作すると、複雑な混合物中で検出されるほとんどすべてのペプチド種でベースラインでの分解がもたらされた。 図3(Figure 3)は、アミノ酸リシンの異なる位置に9つの重い同位体(15N、13C、H及び18Oから選択される。)を組み込むことによって生成される41種の異なるアイソトポローグを示すプロットである。アイソトポローグは、わずか41.4mDaの質量間隔範囲を有する。X軸は各アイソトポローグの番号を表し、y軸は通常のLys残基からの質量差(Da)である。 図4(Figure 4)は、SILAC及び同重体タグ化法の概要を示す。SILACでは、次の3つの同位体クラスターが生成される:「軽い」(“light”)(付加Da=0)、「中間」(“medium”)(付加Da=4)、及び「重い」(“heavy”)(付加Da=8)。これらのシグナルはMS1分析中に識別され、各々についてのイオンクロマトグラムが全溶出プロファイルにわたって抽出され、その結果、定量データがペプチド毎に約50回のスキャンにわたって平均化される。同重体タグ化では、すべてのプレックスが同一質量を有し、その結果、1つの同位体クラスターピークのみがMS1中に生成される。MS2中での衝突活性化解離(CAD)によるフラグメント化中に、タグは開裂し、レポーターイオンのシグナルが検出される。これらのレポーターイオンのシグナルは、相対存在量を決定するために積分され得る。 図5〜7(Figure 5〜7)は、NeuCode標識ペプチドのMS/MSスキャンを示す。図5に示すような低分解能では、定量情報ははっきりせず、ピークは単一ピークとして現れる。しかし、高分解能(図6)では、これらのピークは多重ピークとして示され、さらなるデータを提供する(図7)これらのデータは存在量を反映し、定量に使用することができる。 図5〜7(Figure 5〜7)は、NeuCode標識ペプチドのMS/MSスキャンを示す。図5に示すような低分解能では、定量情報ははっきりせず、ピークは単一ピークとして現れる。しかし、高分解能(図6)では、これらのピークは多重ピークとして示され、さらなるデータを提供する(図7)これらのデータは存在量を反映し、定量に使用することができる。 図5〜7(Figure 5〜7)は、NeuCode標識ペプチドのMS/MSスキャンを示す。図5に示すような低分解能では、定量情報ははっきりせず、ピークは単一ピークとして現れる。しかし、高分解能(図6)では、これらのピークは多重ピークとして示され、さらなるデータを提供する(図7)これらのデータは存在量を反映し、定量に使用することができる。 図8(Figure 8)は、R=480000又は960000において識別できる最小質量間隔を描いた理論計算を示す。図8A:10〜10の質量分解能に関してm/z1200において分解され得る最小m/z(Th)間隔。図8B:種々の質量分解能(10〜10)において分解される(FWOM)ペプチドの割合。 図9(Figure 9)は、13C、H、15N、18O原子の種々の組合せを利用してその質量を2Daだけ増加させる場合のリシンの可能なアイソトポローグを示す。アイソトポローグにより間隔があく質量範囲は、重い同位体の数及びタグ分子の全体的組成に依存する。Lys+2Daの場合、18.5mDaの質量範囲を達成できる。 図10(Figure 10)は、36mDaだけ相違する2種のLysアイソトポローグを用いるNeuCode SILAC法を使用する予備的データを示す。図10A:トリプシン酵母ペプチドの60分のnLC−MS/MS分析後のベースピーククロマトグラム。図10B:30Kで収集されたMSスキャン(#12590)、及び827にm/zを有する選択されたプリカーサーの挿入図。また、図10Bには、引き続く高分解能MSスキャン(480K)で記録されるシグナルが示され、挿入図はSILACペアが典型的な分解能で隠されることを示す。図10C:中性子コード化SILACペアのCAD及びイオントラップm/z分析後のMS/MSスペクトル。 図11(Figure 11)は、NeuCodeは、伝統的SILACと相応した定量データを提供することを示す。図11A:水平な断続線は、真比率(灰色=1:1、黒色=5:1)を示し、箱髭図は、中央値(細長い帯)、第25〜第75百分位数(4分位範囲、箱)、4分位範囲の1.5倍(髭)、及び外れ値(白丸)の境界を確定する。これらのデータから、NeuCode SILAC(図ではOMNE SILACとして示される。)は、伝統的SILACから区別できない定量の真度及び精度を提供すると結論付けられた。図11B:NeuCode SILAC及び伝統的SILACの双方に関してプリカーサー強度の関数としての、PSMが定量情報を生成した時間比率。双方の方法とも、プリカーサー強度が低下するにつれて、より低頻度で(本質的には同じ比率)で定量データをもたらすが、NeuCode SILACは、105.5(任意単位)未満のプリカーサー強度を有する1824のPSMを生成し、伝統的SILACは、その同じ範囲でわずか522を検出した。NeuCode SILACは、高度に類似した定量の真度及び精度を維持しながら、伝統的SILACに比べて増大したサンプリング深さを可能にする。 図12(Figure 12)は、すべての同定(1%FDR)に関するNeuCode SILAC(図中、OMNE SILACと名付けられた)及び伝統的SILACの双方についての同定e−値(≒有意性)の関数としての質量誤差(ppm)の分布をプロットしたものである。NeuCode標識化は、伝統的SILACに比較して質量の真度に有意な影響を及ぼさない。 図13(Figure 13)は、SILACで最も一般的に使用される6種のアミノ酸についての、中性子コード化アイソトポローグの数及びそれらの質量範囲を示す。 図14(Figure 14)は、+8Daリシンのアイソトポローグを使用するトリプレックス及びクアッドプレックスNeuCode SILAC戦略を示す。480Kの分解能では、約18mDa離して間隔があいたリシンを所持する示差的にNeuCodeで標識されたペプチドはトリプレックス定量法を提供する(赤色及び赤色/青色アイソトポローグ)。より高い分解能(すなわち960K)では、アイソトポローグは、相互により近い間隔(約12mDa)を置くことができ、そのため、今やクアッドプレックス定量を実施することができる(青色及び赤色/青色アイソトポローグ)。 図15(Figure 15)は、可能なアイソトポローグ、質量範囲、並びに+4Da、+8Da及び+12Daのリシンアイソトポローグについてのプレックス化能力を要約したものである。これらの3種の標識の組合せは、高度にプレックス化された定量能力をもたらす可能性がある。 図16(Figure 16)は、4、8又は12個の余分な中性子が13C、H、15N、18O原子の種々の組合せを用いて付加される場合の、アミノ酸リシンに関する理論的アイソトポローグの質量及び同位体組成をプロットしたものである。 図17(Figure 17)は、デュプレックスLysアイソトポローグ(1315Lys(+8.0142Da)又は(+8.0502Da))を使用して極めて高いマルチプレックス化能力を達成するために、NeuCode SILAC戦略を従来のマルチ−Da SILAC戦略と結合するための予備的結果を示す。一旦標識されると、デュプレックスNeuCode SILAC及びmTRAQを含むペプチドは、1:1:1:1:1:1(左)又は10:10:5:5:1:1(右)の比で混合された(6プレックス)。 図18(Figure 18)は、8個までの13C及び15N原子、並びに4個までの18O原子を含む(H原子を含まない)化学タグの種々のアイソトポローグを示す。 図19(Figure 19)は、480Kの分解能で本明細書に記載の9プレックスタグを用いて達成される理論スペクトルを示す。パネルCは定量データを示し、高分解能分析でのみ明らかにされる。 図20(Figure 20)は、図18のアイソトポローグの組合せを提供するのに十分なC、N及びO原子を含むことのできる化合物を示す。 図21(Figure 21)は、NeuCode化学タグとして使用できる別の化合物を示す。 図22(Figure 22)は、27mDaだけ質量を異にする同位体標識Lueの2つのバージョンを使用するNeuCode戦略を図解したものである。1つのアイソトポローグは6個の13C原子及び1個の15N原子を有し、もう1つのアイソトポローグは7個のH原子を含む。2種の酵母培養液を、それぞれこれらのロイシンアイソトポローグの1つを含むロイシン欠損培地中で増殖させた。各培養液からのタンパク質を消化し、一緒に混合し、生じたペプチド(AAAVRDL*SE)を、Orbitrap MSシステムを使用する高分解能質量分析法で分析した。アイソトポローグ種間のピーク高さを比較することによってタンパク質の相対存在量を測定した。 図23(Figure 23)は、ペプチド上の第1級アミンのカルバミル化による標識化を示す。図23A:尿素は、熱に曝露されるとペプチドの第1級アミンをカルバミル化する。尿素でカルバミル化されるペプチド(13C又は15で標識化される)は、付加される各カルバミル基につき単一の13C又は15Nのいずれかでカルバミル化されている。これらのカルバミルタグは、カルバミル化部位につき6.3mDaだけ相違する。図23B:ペプチドLEQNPEESQDIKを、標識された尿素のそれぞれを使用してカルバミル化した。ペプチドのN末端とリシン鎖上の第1級アミンとの双方を、カルバミル化し、それによって、12.6mDa離れたペプチドを生成させた。この差異は、電荷(z)=2を有するペプチドに関して6.6のm/z差として観察された。 図24(Figure 24)は、分子中に組み込むことのできる重い安定同位体を有する一般的な元素を示す表である。第3列は各同位体の整数質量を示し、第4列は精密質量を示す。第5列は同位体の存在比を示す。 図25(Figure 25)は、同位体タグ化試薬として使用できる一般的なアミノ酸に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図25(Figure 25)は、同位体タグ化試薬として使用できる一般的なアミノ酸に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図25(Figure 25)は、同位体タグ化試薬として使用できる一般的なアミノ酸に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図26(Figure 26)は、ペプチドと反応するか、ペプチドの合成中にペプチドに結合される同位体タグ化試薬として使用できるペプチド標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図26(Figure 26)は、ペプチドと反応するか、ペプチドの合成中にペプチドに結合される同位体タグ化試薬として使用できるペプチド標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図26(Figure 26)は、ペプチドと反応するか、ペプチドの合成中にペプチドに結合される同位体タグ化試薬として使用できるペプチド標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図26(Figure 26)は、ペプチドと反応するか、ペプチドの合成中にペプチドに結合される同位体タグ化試薬として使用できるペプチド標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図27(Figure 27)は、同位体タグ化試薬として使用できるさらなるペプチド標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図27(Figure 27)は、同位体タグ化試薬として使用できるさらなるペプチド標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図28(Figure 28)は、同位体タグ化試薬として使用できる小分子標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図28(Figure 28)は、同位体タグ化試薬として使用できる小分子標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図28(Figure 28)は、同位体タグ化試薬として使用できる小分子標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図28(Figure 28)は、同位体タグ化試薬として使用できる小分子標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図28(Figure 28)は、同位体タグ化試薬として使用できる小分子標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図28(Figure 28)は、同位体タグ化試薬として使用できる小分子標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図28(Figure 28)は、同位体タグ化試薬として使用できる小分子標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図28(Figure 28)は、同位体タグ化試薬として使用できる小分子標識に関する構造、化学式、及びコード化元素式を示す。 図29(Figure 29)は、NeuCode SILAC及びSILACが、マウス由来C2C12筋芽細胞の筋原分化中のタンパク質変化を定量することに関して強い相関関係(m=0.82、R=0.78)を示すことを示すプロットである。 図30(Figure 30)は、遺伝子オントロジー強化SILAC及びNeuCodeを示す。筋芽細胞から筋管への分化中に下方制御(−)又は上方制御される、統計的に有意な遺伝子オントロジーの生物学的プロセスの用語である(p値、ベンジャミニ・ホッシュバーグ補正を伴うフィッシャー直接検定)。
発明の詳細な説明
[063]概して、本明細書中で使用される用語及び句は、標準的教科書、定期刊行参考文献、及び当業者にとって公知の背景を参照することによって見出し得る、当技術分野で認識されている意味を有する。以下の定義は、本発明の文脈中でのそれらの具体的用途を明確にするために提供される。
[064]一実施形態において、本発明の組成物又は化合物、例えば、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、同位体標識標準品、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質をはじめとする同位体コード化化合物は単離又は精製される。一実施形態において、単離又は精製される化合物は、当技術分野で理解されているように、少なくとも部分的に単離又は精製される。一実施形態において、本発明の組成物又は化合物は、90%、任意選択で一部の適用に関して95%、任意選択で一部の適用に関して99%、任意選択で一部の適用に関して99.9%、任意選択で一部の適用に関して99.99%、及び任意選択で一部の適用に関して99.999%純粋な化学的純度を有する。一部の実施形態において、単離又は精製された本発明の化合物、例えば、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、同位体標識標準品、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質をはじめとする同位体コード化化合物は、同位体強化組成物である。
[065]本明細書に開示の分子の多くは、1つ又は複数のイオン化可能な基を含む。イオン化可能な基としては、プロトンを除去できる基(例えば、−COOH)又はプロトンを付加できる基(例えばアミン)、及び第4級化できる基(例えばアミン)が挙げられる。このような分子のすべての可能なイオン形態及びその塩は、本明細書中の開示に個別的に包含されると解釈される。本明細書中の化合物の塩に関して、当業者は、広範な種類の利用可能な対イオンの中から、所与の応用のために本発明の塩を調製するのに適しているものを選択することができる。具体的応用において、塩を調製するための所与のアニオン又はカチオンの選択は、その塩の溶解性の増加又は減少をもたらすことがある。
[066]本発明の化合物は1つ又は複数のキラル中心を含み得る。したがって、本発明は、ラセミ混合物、ジアステレオマー、エナンチオマー、互変異性体、及び1種又は複数の立体異性体が強化された混合物を包含すると解釈される。説明され特許を請求される本発明の範囲は、ラセミ形態の化合物並びに個々のエナンチオマー及びその非ラセミ混合物を包含する。
[067]本明細書において、用語「基」は、化学化合物の官能基を指し得る。本発明の化合物の基は、該化合物の一部である原子又は原子の集合を指す。本発明の基は、化合物の他の原子に1つ又は複数の共有結合を介して結合され得る。基は、それらの原子価状態に関して特徴付けることもできる。本発明は、一価、二価、三価などの原子価状態として特徴付けられる基を含む。
[068]本明細書において、用語「プリカーサーイオン」は、質量分析のイオン化段階中、例えば、MS/MS分析のMSイオン化段階中に生成されるイオンを指す。
[069]本明細書において、用語「プロダクトイオン」及び「二次イオン」は、本発明の説明中で互換的に使用され、質量分析中のイオン化及び/又はフラグメント化過程中に生成されるイオンを指す。本明細書において、用語「二次プロダクトイオン」は、後に続くフラグメント化の産物であるイオンを指す。
[070]本明細書において、用語「分析すること」は、分析物の特性を決定する過程を指す。分析することによって、例えば、質量、質量/電荷比、濃度、絶対存在量、相対存在量、又は原子若しくは置換基組成など、分析物の物理的特性を決定することができる。プロテオーム解析の文脈において、用語「分析すること」は、サンプル中のタンパク質又はペプチドの組成(例えば配列)及び/又は存在量を決定することを指し得る。
[071]本明細書において、用語「分析物」は、分析の対象である化合物、化合物の混合物、又はその他の組成物を指す。分析物としては、これらに限定されないが、タンパク質、修飾タンパク質、ペプチド、修飾ペプチド、小分子、医薬化合物、オリゴヌクレオチド、糖、ポリマー、代謝物、脂質、及びこれらの混合物が挙げられる。「同位体標識分析物」は、例えば、同位体標識分析物のアイソトポローグを、質量分析法を介して質量/電荷比に基づいて区別し、かつ独立的、定量的に分析することを可能にする方式で1つ又は複数の重い安定同位体などの1つ又は複数の同位体標識で標識された分析物を指す。例えば、「同位体標識分析物」としては、水素、炭素、酸素、窒素、硫黄、塩素、臭素、及びケイ素の1つ又は複数の重い安定同位体、例えば、13C、15N、D、17O、18O、34S、37Cl、81Br、29Si及び30Siを有する分析物が挙げられる。
[072]本明細書において、用語「イオン源」は、例えば質量分析中に、サンプルからイオンを生成させるデバイス構成要素を指す。本発明の方法で有用なイオン源の例としては、これらに限定されないが、エレクトロスプレーイオン化源及びマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)源が挙げられる。
[073]本明細書において、用語「質量分析法」(MS)は、分析物の元素組成、質量/電荷比、絶対存在量及び/又は相対存在量を決定するための分析技術を指す。質量分析技術は、タンパク質、ペプチド及びその他の化学化合物など、分析物の組成及び/又は存在量を解明するのに有用である。質量分析法は、分析物をイオン化して帯電種又はそのフラグメントを生成すること、帯電種又はそのフラグメント、例えばプロダクトイオンのフラグメント化、及び帯電種又はそのフラグメントの質量/電荷比の測定を含む過程を包含し、質量/電荷比に基づくさらなる単離過程、さらなるフラグメント化過程、電荷移動過程などを任意選択で包含する。分析物の質量分析を実施することによって、例えば質量/電荷比を含み、かつ分析物及び/又は分析物のフラグメントに関する質量分析データ及び対応する強度データが生成される。分析物イオン及び分析物イオンのフラグメントに対応する質量分析データは、概して、分析物イオン及び/又は分析物イオンのフラグメントの質量/電荷比を意味する質量/電荷(m/z)単位の関数としての強度として提供される。質量分析法は、概して、異なる分析物に対応する強度を、異なる質量/電荷比によって分解することを可能にする。タンデム質量分析法(MS/MS又はMS)では、複数配列での質量分析法が実施される。例えば、タンパク質とペプチドとの混合物を含むサンプルをイオン化し、生じるプリカーサーイオンをそれらの質量/電荷比により分離することができる。次いで、選択されたプリカーサーイオンをフラグメント化し、フラグメントの質量/電荷比によりさらに分析することができる。
[074]本明細書において、用語「干渉」は、注目の種又は分析物の検出と干渉する、分析において検出される種を指す。干渉とは、注目のタンパク質又はペプチドフラグメントの正確な検出又は定量と干渉する、注目のタンパク質又はタンパク質フラグメントではないタンパク質又はタンパク質フラグメントを検出することを指し得る。干渉は、干渉シグナルの量と分析物シグナルの量との比率のような干渉比として量化することができる。質量スペクトルの解析において、干渉は、注目の分析物でない種の検出に対応する干渉ピークとして現れることがある。
[075]本明細書において、「アイソレーション」又は「アイソレーションウィンドウ」は、選択的に分離され、フラグメント化、操作、又は単離されるプリカーサーイオンなどのイオンの範囲を指す。
[076]本明細書において、用語「種」は、特定の分子、化合物、イオン、アニオン、原子、電子、又はプロトンを指す。種としては、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質が挙げられる。
[077]本明細書において、用語「シグナル/ノイズ比」は、シグナルがノイズ又は望ましくないシグナルによってどれほど多く乱されるかを量化する尺度を指す。それは、また、シグナル出力とシグナルを乱すノイズ出力との比率を指す。1:1より大きな比率は、ノイズに比べて大きなシグナルを示し、一部の応用のために望ましい。
[078]本明細書において、用語「質量/電荷比」は、種の質量と種の帯電状態との比率を指す。用語「m/z単位」は、質量/電荷比の尺度を指す。トムソン単位(Thと略記される)は、m/z単位の例であり、イオンの質量(ダルトン)とイオンの電荷(元素の電荷に関して)との比率の絶対値として定義される。
[079]本明細書において、用語「イオン光学」は、帯電粒子の輸送及び取扱いを、例えば電場及び/又は磁場の印加によって援助するデバイス構成要素を指す。電場又は磁場は、静的、交番的でよく、或いは静的及び交番的要素の双方を含み得る。イオン光学デバイスの構成要素としては、これらに限定されないが、イオンを偏向するイオン偏向器、イオンを焦点に集めるイオンレンズ、及びイオンを特定の空間又は軌道に制限する多重極(四重極など)が挙げられる。イオン光学としては、静及び交番電場及び/又は磁場の双方を有する多重ロッドを含む多重極RFデバイス構成要素が挙げられる。
[080]本明細書において、用語「質量分析計」は、サンプルからイオンを生成し、質量/電荷比によりイオンを分離し、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質に由来するプロダクトイオンなどのイオンを検出するデバイスを指す。質量分析計は、一段階及び多段階質量分析計を包含する。多段階質量分析計としては、質量で分離されたイオンをフラグメント化し、プロダクトイオンを質量によって一度分離するタンデム質量分析計が挙げられる。
[081]本明細書において、用語「疾患状態」は、患者に対して疼痛、機能障害、窮迫、社会問題、及び/又は死亡を引き起こすことのある状態を指す。本明細書に記載の方法及びシステムは、疾患状態を診断するのに有用である可能性がある。
[082]用語「ペプチド」及び「ポリペプチド」は、本発明の説明中で同義的に使用され、アミド結合(又はペプチド結合)によって相互に化学的に結合されたアミノ酸残基から構成されるクラスの化合物を指す。ペプチド及びポリペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸残基又は修飾アミノ酸残基を含むポリマー性化合物である。修飾は、天然に生じるか、化学合成により生成される修飾など非天然で生じることがある。ペプチド中のアミノ酸に対する修飾としては、これらに限定されないが、リン酸化、グリコシル化、脂質化、プレニル化、スルホン化、ヒドロキシル化、アセチル化、メチル化、メチオニン酸化、アルキル化、アシル化、カルバミル化、ヨウ素化、及び補因子の付加が挙げられる。ペプチドは、タンパク質を包含し、タンパク質の分解により(例えば、タンパク分解消化により)生成される組成物をさらに包含する。ペプチド及びポリペプチドは、タンパク質の実質的に完全な消化により、又は部分消化により生成することができる。ポリペプチドは、例えば、2〜100個のアミノ酸単位、任意選択で一部の実施形態において2〜50個のアミノ酸単位、任意選択で一部の実施形態において2〜20個のアミノ酸単位、及び任意選択で一部の実施形態において2〜10個のアミノ酸単位を含むポリペプチドを包含する。
[083]「タンパク質」は、1つ又は複数のポリペプチド鎖及び/又は修飾ポリペプチド鎖を含むクラスの化合物を指す。タンパク質は、翻訳後修飾又は翻訳時修飾などの自然に起こる過程によって修飾され得る。翻訳後修飾又は翻訳時修飾の例としては、これらに限定されないが、リン酸化、グリコシル化、脂質化、プレニル化、スルホン化、ヒドロキシル化、アセチル化、メチル化、メチオニン酸化、補因子の付加、タンパク質分解、及びタンパク質の巨大分子複合体への構築が挙げられる。タンパク質の修飾は、また、化学合成により生成される天然に存在しない誘導体、類似体及び機能模倣体を包含し得る。典型的な誘導体としては、アルキル化、アシル化、カルバミル化、ヨウ素化、又はタンパク質を誘導体化する任意の修飾などの化学修飾が挙げられる。
[084]本明細書において、用語「コントローラー」は、当技術分野で周知であるように、デバイス又はシステムを制御するようにプログラムされ得るデバイス構成要素を指す。コントローラーは、例えば、質量分析計システムを制御して本明細書に記載の方法を実施するようにプログラムされ得る。本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかを実施するように構成されたコントローラーを有する質量分析計を含む。
[085]本明細書において、用語「分別された」又は「分別する」は、当技術分野で周知のような、サンプルの物理的分離を指す。サンプルは、質量、長さ、又は別の化合物に対する親和性などの物理的特性により、数ある中でも当技術分野で周知のようなクロマトグラフ技術を使用して分別され得る。分別は、当技術分野で周知のように、注目のサンプルを1つ又は複数の物理的特性によって分別するように作用する分離段階で行うことができる。分離段階は、数ある技術の中でも、液体及びガスクロマトグラフ技術を採用することができる。分離段階としては、これらに限定されないが、液体クロマトグラフィー分離システム、ガスクロマトグラフィー分離システム、アフィニティークロマトグラフィー分離システム、及びキャピラリー電気泳動分離システムが挙げられる。
[086]化学における定量分析は、サンプル中に存在する1つ、いくつか又はすべての特定物質の絶対又は相対存在量を決定することである。生物学的サンプルの場合、質量分析法により実施される定量分析は、ペプチド及びタンパク質の相対存在量を決定することができる。定量過程は、典型的には、タンパク質及びペプチド分析物の同位体標識化、並びに質量分析法による分析を含む。
[087]「フラグメント」は、分子、例えばペプチドの一部を指す。フラグメントは、1つ又は複数の電荷で帯電されたイオンであり得る。フラグメントは、親分子における結合開裂、例えば、親ペプチドにおけるポリペプチド結合の部位特異的開裂に由来し得る。フラグメントは、また、複数の開裂事象又はステップから生成され得る。フラグメントは、親ペプチドのカルボキシ末端、アミノ末端、又は両末端欠損ペプチドであり得る。フラグメントは、ポリペプチド結合、C−C結合、C−N結合、C−O結合の開裂、又はこれらの過程の組合せで生成される産物を指し得る。フラグメントは、アミノ酸の1つ又は複数の側鎖を除去する過程、又は修飾を除去する過程、或いはこれらの過程の任意の組合せによって形成される産物を指し得る。本発明において有用なフラグメントとしては、準安定状態下で形成される、又は種々の方法、例えば、これらに限定されないが、衝突誘起解離(CID)、表面誘起解離(SID)、レーザー誘起解離(LID)、電子捕獲解離(ECD)、電子移動解離(ETD)、又はこれらの方法の任意の組合せ、又はタンデム質量分析法の技術分野で公知の任意の等価な方法によるプリカーサーへのエネルギーの導入に由来するフラグメントが挙げられる。本発明において有用なフラグメントとしては、これらに限定されないが、x型フラグメント、y型フラグメント、z型フラグメント,a型フラグメント、b型フラグメント、c型フラグメント、内部イオン(又は内部開裂イオン)、インモニウムイオン、又はサテライトイオン(satellite ion)も挙げられる。分析物、例えば同位体標識分析物、同位体標識標準品、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質に由来するフラグメントの型は、しばしば、親の配列、フラグメント化の方法、親プリカーサーイオンの帯電状態、親プリカーサーイオンに導入されるエネルギー量、及び親プリカーサーイオン中へのエネルギーの送達方法に依存する。フラグメントの特性、例えば、分子質量は、フラグメント化質量スペクトルの解析によって特徴付けることができる。
[088]タグ化試薬の「アミン反応性基」は、ペプチド、タンパク質又はその他の分子のアミン基と反応し、それによってタグ化試薬とペプチド、タンパク質又はその他の分子との間に結合を形成することのできる任意の官能基であり得る。
[089]「アミノ酸」は、アミノ基(NH)、カルボン酸基(COOH)、及びいずれかの種々の側鎖基を含む有機化合物を指す。アミノ酸は、基本式NHCHRCOOH(Rは側鎖基である。)によって特徴付けることができる。天然アミノ酸は、自然界で生じるアミノ酸、例えば、イソロイシン、アラニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、及びヒスチジン、並びにオルニチン及びセレノシステインである。
[090]本明細書において、「同位体標識化」は、1つ又は複数の同位体標識、例えば、1つ又は複数の重い安定同位体を有する化合物(例えば、同位体標識アミノ酸、同位体標識標準品、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質)を指す。「同位体標識」は、同位体標識アミノ酸、同位体標識標準品、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質などの化合物に、その化合物が、質量分析法を用いて分析された場合に、他の化合物から生成されるシグナルと識別できるシグナル、例えば質量/電荷比に基づいて他のアイソトポローグと識別できるシグナルを生成するように導入された1つ又は複数の重い安定同位体を指す。「重い同位体」は、1つ又は複数の大きな質量、又は重い同位体(例えば、13C、15N、D、17O、18O、33S、34S、37Cl、81Br、29Si及び30Siなどの安定で重い同位体)を有する化合物又はそのフラグメント/部分を指す。
[091]一実施形態において、同位体強化組成物は、特定の同位体組成を有する本発明の化合物を含み、ここで、該化合物は、天然に存在するサンプル中の同一の同位体組成を有する同一化合物の存在量に比べて、少なくとも10倍を超える、一部の実施形態では少なくとも100倍を超える、一部の実施形態では少なくとも1000倍を超える、一部の実施形態では少なくとも10000倍を超える存在量で存在する。別の実施形態において、同位体強化組成物は、実質的に強化された特定の同位体組成を有する本発明の化合物に関する純度、例えば90%以上、一部の実施形態では95%以上、一部の実施形態では99%以上、一部の実施形態では99.9%以上、一部の実施形態では99.99%以上、及び一部の実施形態では99.999%以上の純度を有する。別の実施形態において、同位体強化組成物は、特定の同位体組成を有する本発明の化合物に関して、例えば、当技術分野で公知の同位体精製方法を用いて精製されたサンプルである。
[092]「質量分析計の分解能」(“mass spectrometer resolving power”(しばしば“resolution”といわれる。))は、質量スペクトル中でm/zピークがどれほど十分に引き離されるか(すなわち分解されるか)の量的尺度である。分解能を計算するための種々の慣行が存在する。IUPACの定義は、
分解能(R):
Figure 0006238375

である。
[093]図1Aは、Harris,Quantitative Chemical Analysisに由来する。この図及び上記の等式は、分解能(R)の計算方法を示し、ここで、mは、ピークに対応する質量であり、Δmは、ピークと最近接隣接ピークとの間の間隔である。分解能に関して利用されるもう1つの定義は、
分解能(R):
Figure 0006238375

である。
[094]この定義で(図1B参照)、mは、ピーク(m)に対応する質量であり、m1/2は、ピークの半値幅(m1/2=FWHM)を指す変数である。第2の定義で、分解能が500であれば、m/z500及び501の2つのピークはかろうじて区別できる(図1C)。分解能を計算するこの方法は、該方法が、ピークを比較するための隣接ピークが側に存在するかどうかにかかわらず、ピーク幅を評価するためのメトリックを提供するので特に有用である。本文書中に含まれる計算のために、本発明者らは分解能のこの計算方法を使用する。
[095]本明細書において、化合物の「コード化元素式」は、例えば、本発明の方法中の質量分析法により分析できるアイソトポローグを形成するために、重い安定同位体で同位体標識されるのに適している化合物の構成元素、及び各元素の原子数を指す。化合物のコード化元素式は、化合物の一部の原子が、同位体標識されて本発明の方法で使用するためのアイソトポローグを形成するのに適していない可能性があるという事実のため、化合物の化学式に比べて、同じ又は少ない種類の元素、並びに各元素に関して同じ又は少ない数の原子を含む。例えば、水などの溶媒のH原子と容易に交換可能である化合物のH原子は、このような交換過程が、同位体標識分析物及び/又は標準品の同位体サインを弱めることがあるので、本発明の方法で同位体標識されるのに適していない可能性がある。同様に、化合物が、同位体標識分析物、同位体タグ化試薬、同位体標識アミノ酸、及び/又は同位体標識ペプチド若しくはタンパク質などの同位体標識種中に最終的に存在しない脱離基又は反応性基を含む場合、脱離基又は反応性基内の原子は、やはり、本発明で同位体標識されるのに適しておらず、したがってコード化元素式に含まれない。このような反応性基及び/又は脱離基の特定の元素は、例えば、タグと分析物との間の化学反応で交換されるか、そうでなければ除去又は失われる可能性があり、そのため、同位体標識の組み込みをもたらさない。例えば、一実施形態において、リシンの化学式はC14であり、リシンのコード化元素式はCOである。一実施形態において、溶媒のH原子を容易に交換可能であるH原子は、化合物のコード化元素式中に含まれない。例えば、一実施形態において、−OH、−SH、−NH−及び−NH基の少なくとも一部、任意選択ですべてのH原子は、化合物の化学式の一部ではあるが、化合物のコード化元素式の一部ではない。さらなる実施形態において、−OH基の少なくとも一部、任意選択ですべてのO原子は、化合物のコード化元素式の一部ではない。一実施形態において、化合物、特にアミノ酸中のすべての炭素原子は、化合物のコード化元素式の一部である。一実施形態において、化合物、特にアミノ酸中のすべての窒素原子は、化合物のコード化元素式の一部である。
プロテオーム定量の簡単な説明:
[097]現在、網羅的プロテオーム定量のために2つの主な方法が存在する。第1は、極めてポピュラーであり、ほぼ10年の間使用されてきたSILAC(細胞培養液中のアミノ酸を用いる安定同位体標識化)である。SILACでは、アミノ酸中に13C原子が組み込まれ、その結果、これらのアミノ酸(重いアミノ酸と呼ばれる。)は、通常のアミノ酸に比べて3〜6Da重い。次いで、一方の培養液は重いアミノ酸を含み、他方の培養液は通常のアミノ酸を含む、別々の培養液中で細胞を増殖させる。
[098]培養液中で合成される新たなタンパク質は、重いアミノ酸又は通常のアミノ酸を取り込み、次いで、細胞は、摂動で処理され、タンパク質が組み合わされる。酵素消化の後、生成されたペプチドは、同一配列を有するが、重いアミノ酸中の13C原子のため、わずかに相違する質量を有する。MSで分析すると、同一ペプチドに関して2つの分離したピーク、軽いピーク及び重いピークが観察される。これらのピークは、通常、ほぼ3〜8Daで分離される。しかし、同位体分布の重なりを最小にするには標識ペプチド間で少なくとも3Daの分離が必要とされるので、SILACを用いてマルチプレックス化する(4つ以上のサンプルを同時に比較する)ことは極めて困難であった。10Daの最大範囲で、プレックス化はおおよそ3サンプルに限定される。
[099]マルチプレックス化(>3)するための能力の欠如のため、研究者は、同重体タグ化(TMT又はiTRAQ市販製品)についてますます興味を持つようになった。同重体タグ化は、分析対象ペプチドへのタグの付加を含む。同重体タグは、3つの構成要素:(1)分析物に結合するための反応性基、(2)バランス基、及び(3)イオン化可能なレポーター基、を有するように設計される。バランス及びレポーター基は、ほぼ6〜8個の異なるタグを備えて同一質量を有するような安定同位体分布で設計される。サンプルが質量分析計中に溶出する場合、タグを付されたサンプルはすべて同一質量を有し、そのためただ1つのピークが得られる。このピーク中の標的が単離され、レポーター基が開裂される。各レポーター基は、次のレポーター基からほぼ1Da引き離された質量を有し、その結果、MS/MSを使用して6〜8の分析物が識別可能になる。しかし、同重体タグ化には2つの真の問題が存在する。第1に、標的は、広いウィンドウ、ほぼ2〜3m/zで単離され、その結果、干渉が同時単離され、次いでMS/MS中に同時フラグメント化され、同一m/z値でレポーターピークを生成し、より小さなダイナミックレンジ及び定量真度につながる。第2の問題は、定量データを得るには、MS/MSスキャンを取得しなければならないことである。このことは、1つの実験でのMS/MSに関して単離されて得られるものと次の実験との間の重なりが低いことがあるので、多数の反復実験で問題となる。
[0100]TMT同重体タグの開発者は、TMT試薬において12Cを13Cと、同時に15Nを14Nと交換することによって、NとCとの間の中性子結合差のエネルギー特性により6mDaの質量差を有する新たな試薬を獲得できることを示す研究を最近発表した。このわずかな質量差は、高分解能質量分析計を使用してそれらを識別可能にする。このアプローチにより、彼らはTMT試薬を6プレックスから8プレックス系に拡張した。
本発明のタグ化システムの簡単な説明:
[0102]本発明は、「中性子コード化質量タグ化」又は「NeuCode」と一般に呼ばれるMSプロテオーム定量のための新たな方法及び特注タグ化試薬を開示する。この方法は、本明細書中で「オフセット質量中性子コード化」又は「OMNE」とも呼ばれる。この方法において、N及びCなどの重い同位体間の中性子質量差を、アミノ酸及び新規な試薬タグと連結して、従来のSILAC及び同重体タグ化の双方に多くの点で優れているMS1ベースの定量方法を創り出す可能性がある。このアイデアは、1つは6個の13C及び2個の15Nを、もう1つは8個の重水素(H)を含む、2種の+8Da重いリシンアミノ酸を使用して最初に検証された。
[0103]図2に、選択されたリシン標識ペプチドペアについての、種々の分解能設定での結果を図示する。Orbitrap MSシステムの典型的な操作分解能(30000)では、2種のNeuCode標識ペプチドは識別できず、1つの種として現れる。しかし、240000で分析すると、ペアはベースラインで分解され、各分析物の相対存在量を決定することができる。
[0104]これらの中性子タグは、SILACに類似の細胞培養中に使用される、アミノ酸次いで修飾アミノ酸中に組み込まれ得る。このようなタグ化システムを使用することは、SILACに付随するスペクトルの複雑性の問題を軽減し、高められたマルチプレックス化を可能にする。9個の異なる重い同位体(15N、13C、H又は18O原子)のアミノ酸リシン中への組み込みについての最初の計算は、わずか41.4mDaの質量幅を有する41種の異なるアイソトポローグの構築が可能であることを示した(図3)。
[0105]さらに、このタグ化システムは、新規なタグ化試薬と共に使用することができ、SILACに関連する方法に限定されない。このことは、組織培養と適合性のない組織及びその他の体液の分析を可能にする。NHSエステル技術は、プロテオーム解析のためにペプチド上にタグを連結するために広範に使用される化学である。市販の同重体タグ化法(iTRAQ及びTMT)はいずれも、このアプローチを使用する。したがって、本発明のタグ化システムは、合成するのが簡単で、やはりNHSエステル連結化学を使用する、ペプチドに結合することのできるジペプチド様タグ又はその他のタグを利用することができる。しかし、同重体タグと異なり、本発明のタグ化システムは、レポーター基、リンカー及び帯電部位を組み込む特別な設計を必要としない。代わりに、本発明のタグは、ペプチドに結合されたままで留まり、かつ高分解能条件下で調べた場合にのみ定量的測定を提供するように設計される。このタグの最初のバージョンは、ケイ素で試験され、現在のMS分解能で5プレックスの分析を可能にすることが示された。質量分析システムの分解能は、数年以内に2倍になるのも無理ではないと予想され、これは、このタグがその時9プレックスの分析を可能にすることを意味する。
[0106]したがって、細胞培養を伴うこのタグ化システムを使用することは、SILACに付随するスペクトルの複雑性の問題も改善しながら、従来のSILAC法に比較して大きなマルチプレックス化を可能にする。新規な試薬タグを用いるこのタグ化システムを使用すると、同時単離又はMS/MSを実行する必要性のため、干渉によって引き起こされる問題なしに、同重体タグ化法に比較して類似のマルチプレックス化を可能にする。
[実施例]
実施例1(SILAC及び同重体タグ化法の背景、並びに中性子コード化質量タグ化の概要):
[0108]タンパク質の同定技術は急速に成熟し、結果として、質量分析法を使用して細胞中に存在する数千のタンパク質の目録を構築することは、今や比較的簡単である。しかし、これらの分子の存在量が種々の状況下でどのように変化するかを知ることは簡単でない。安定な同位体を組み込むことは、MSベースの多くのタンパク質定量戦略の中心要素である。現在、これを達成するには2つの主なアプローチが存在する。第1は、細胞増殖中に、タンパク質中に重い安定同位体(すなわち、13C、18O、15N、H)を代謝的に導入することである。SILACでは、通常のアミノ酸に比べて典型的には4又は8Da重い安定同位体を組み込んだアミノ酸が、合成されるすべてのタンパク質が重いアミノ酸を取り込むように細胞培養培地中に含まれる。重い及び軽い培地上で増殖された細胞の組合せは、各ペプチドがその軽い対応アミノ酸と+4Daだけ相違する重いアミノ酸を含むことを除けば、同一のプロテオームをもたらす。この技術を使用して、重い及び軽いペプチドをMS分析することによって、プロテオームを同時に比較することができる。
[0109]同重体タグ化は、この問題に対する洗練された解決策であり、8種までのプロテオームの相対定量を同時に可能にする。さらに、代謝による標識化アプローチと異なり、それは、哺乳動物の組織及び生体液と適合性がある。その潜在能力にもかかわらず、同重体タグ化は、主としてプリカーサー干渉の問題のため、大規模研究に対して広範には採用されなかった。SILACでは、存在量の測定値は高分解能サーベイ質量スペクトル(MS1)から得られるので、この問題は存在しない。数百の共溶出ペプチドを有する極めて複雑なサンプルの場合でさえ、高分解能の質量分析計は、隣接ピークから離れること0.01Th未満の標的を容易に識別することができる。同重体タグは、3つの構成要素:(1)分析物に結合するための反応性基、(2)バランス基、及び(3)イオン化可能なレポーター基、を有するように設計される。バランス基及びレポーター基は、それらが6〜8つの異なるタグを備え同一総質量を有するように、安定同位体を含めて設計される。この方式で、6〜8つのサンプルが共分析される。タグを付けたサンプルが質量分析計中に溶出すると、サンプルはすべて同一質量を有し、そのためただ1つのピークが生じる。MS/MSを実施すると、タグの付いたペプチドはフラグメント化され、レポーター基の開裂が生じ、検出される。各レポーター基は次のレポーター基からほぼ1Da離れた質量を有し、その結果、6〜8つの分析物がMS/MS分析で識別可能になる。このことから、6〜8種の条件のそれぞれでの分析物の存在量を決定することができる。
MS1対MS2の定量品質:
[0111]SILACは、タンパク質を定量するのに最も広範に使用されるマルチプレックス化戦略である。MS1スキャンから定量データを取得することによって、SILACは、主に3つの理由で、同重体標識化アプローチに優る高められた定量性能を提供することができる。第1に、MSでの存在量の測定は、ペプチド毎にいくつかのデータ点を平均化することを可能にする。他方、同重体タグ化では、1回のMS/MSスキャンからすべての情報を引き出すのが典型的である。MS対MSベースの定量の第2の利点は、ペプチドを同定したら、そのペプチドに関する定量情報を各反復でのMSデータのみから抽出することができることである。しかし、同重体タグ化は、MSスキャンの収集及び各反復分析での同定の双方を必要とする。スペクトル同定における実行毎の約50〜75%の重なりを伴い、この条件(caveat)は、多数の実験にわたって同定されるペプチド/タンパク質の下位集合に対する統計的に有意な検定を制約する。MSを中心にした定量の第3の利点は、有意に改善される定量真度である。具体的には、同重体タグ化は、プリカーサー干渉−不純物の同時単離というよく知られた問題に苦しむ。SILACでは、存在量の測定値は高分解能のMSスキャンから取得されるので、この問題は存在せず、数百の共溶出するペプチドを有する極めて複雑なサンプルの場合でさえ、高分解能の質量分析計は、隣接ピークから離れること0.01m/z未満の標的を容易に区別できる。同重体タグ化アプローチにおいて、標的ペプチドは、はるかに低い分解能(典型的には1〜3m/z)で単離され、次いで解離され、レポータータグを生成する。したがって、レポーター領域の定量シグナルは、アイソレーションウィンドウ中のあらゆる種から編集される。多数の種の同時単離は通常のことであり、高度に分別されたサンプルでさえも例外ではない。
マルチプレックス化:
[0113]これらの基本的制約が存在しても、2つの本質的利点−組織への適合性及び高マルチプレックス化能力は、同重体タグ化の広範な使用を推進する。同重体タグ化は、代謝的よりもむしろ化学的な標識化戦略であるので、8つまでの哺乳動物組織サンプルを容易に比較することができる。生物学的体液及び組織を分析する能力は、プロテオミクスのトランスレーショナル医療への応用にとって極めて重要である。ヒト組織の見て分かる直接分析を超えて、疾患、例えば、がん、糖尿病、多発性硬化症などの無数の哺乳動物モデルが存在し、そこでのプロテオームの特徴付けは、組織に適合した技術を必要とする。細胞培養からより複雑な動物ベースの疾患モデルに向かって前進する定量的プロテオミクスは、増大した反復分析及び典型的にはいくつかの生物学的状態を必要とする。マウスにおけるカロリー制限(CR)及びデアセチラーゼSirt3の効果を調べる単純な実験では、4種の条件−wt(対照)、Sirt3のノックアウト、wt CR、及びSirt3のノックアウトCRが存在する。統計的有意性を検定するため、各条件の少なくとも3尾の動物を、少なくとも12のサンプルについて分析しなければならない。かつ、この実験は、1つの組織、1つの年齢、及び1つの血統の分析を考慮するだけである。したがって、拡大したマルチプレックス化プロテオミクス比較を高い定量真度及び再現性で達成する能力は、現代生物学及び医療に大きな影響を及ぼす。
MS2での定量に付随する真度の問題は、容認できるほどには解決されない:
[0115]MS2アプローチは、マルチプレックス化能力を既に達成してはいるが、データの品質及び定量の重なり(再現性、前記参照)は、いまだ改善を必要としている。これらの欠点を克服するための努力がなされてきた。例えば、気相でのプリカーサー精製のためのイオン/イオン反応が、MS3ベースの戦略に加えて探索されてきた。モデル系での定量真度の改善(ほぼ−20%の真度の偏り、すなわち10:1の真値が8:1として検出される)にもかかわらず、デューティサイクル、感度、及び双方のアプローチの利用可能性が問題である。MS3及びQuantMode取得法はいずれも、デューティサイクルを短縮し、結果として典型的なショットガン分析に比較して約50〜70%の同定をもたらす。いずれの方法の感度も、制限されたサンプリング深さ(デューティサイクル)によって、及び低下したレポーターイオン強度(精製損失)によって同様に制限される。最後に、いずれも、イオントラップの存在を必要とし、QuantModeはETD能力を必要とする。これらの精製アプローチを用いた経験は、上述のデューティサイクル、感度、及び適合性の問題に対する簡単な改善策が存在しないことを示す。これらの問題は、多数の反復分析にわたるMSベースの定量の非再現性と合わさって(上記参照)、マルチプレックス化されたMSを中心にしたアプローチを開発することが、定量的プロテオミクスを前進させること、特にトランスレーショナル医療へのその応用にとっての鍵であることを強く示唆している。
MS1のマルチプレックス化−前進路:
[0117]残念ながら、MSベースの技術を用いるマルチプレックス化分析を達成することは、困難であった。SILACは、二元又は三元比較を行う手段を提供し、これらの実験を組み合わせることによって、より高次の比較を得ることができるが、このような測定値を得ることは面倒であり、ほんの一握りの熟練した実験室によって報告されるだけである。SILACは、同位体分布の重なりを最小化するには、標識ペプチド間で少なくとも4Daの分離が必要とされるので、実際にはトリプレックス比較に限定される。プリカーサーの電荷が3以上であると、この間隔は大きく圧縮される。
[0118]SILACでは、多数の同位体クラスターが、典型的には4Da離れて、定量されるさらなる各プレックスに関して3プレックスまで生成される(図4参照)。これらのシグナルはMS1での分析中に区別され、それぞれについてのイオンクロマトグラムが全溶出プロファイルにわたって抽出され、その結果、定量データがペプチド毎に約50回のスキャンにわたって平均化される。同重体タグ化では、すべてのプレックスが同一質量を有し、その結果、1つの同位体クラスターピークのみがMS1中に生成される。MS2中に、タグは開裂し、レポーターイオンのシグナルが検出される。これらのシグナルを積算して、相対存在量を決定することができる。しかし、このアプローチはしばしば1回のスキャンから定量データを引き出し、MS2事象が必要とされる。
[0119]SILACのためにLys中に重い同位体を導入する能力は、その組成(6個のC原子及び2個のN原子)によって限定される。そのため、最も広く市販されている重いバージョンは+8Daである。SILACのプレックス化を増大させるための一握りの試みが報告されているが、それらの試みは、少なからぬ計算、及び各ペプチド内でのArgの存在を必要とする。これらの制約はそれらの広範な採用を妨げている。SILACプレックス化の第2の問題はスペクトルの複雑性の増加である。具体的には、各ペプチドに関して、すべてのSILACチャネルがm/zピークのさらなる集合をもたらす。1つを超えるこれらのピークのMS/MSサンプリングは冗長な同定をもたらし、結果として、MS/MSバンド幅を消費し、結果として、より小さな存在量のm/zピークがサンプリングされないことがしばしばである。全体的に見て、このような増大した複雑性はプロテオームのカバー範囲を縮小する。
同重体中性子コード化質量タグ化:
[0121]TMT同重体タグの開発者は、TMT試薬中の12Cを13Cと、同時に15Nを14Nと交換することによって、6mDaの質量差を有する新たな試薬を獲得できることを最近発見した。質量変化は、NとCとの間の中性子結合のエネルギー特性の不一致に由来し、m/z130で50000の質量分解能で識別することができる。このアプローチを実施することによって、TMT試薬を6プレックス系から8プレックス系に拡大することができる。この新たなTMT同重体の概念はなお、MSベースの定量に依拠しており、上述の問題をすべて解決するわけではない。本発明は、この中性子でコード化する概念を進めて、ウルトラプレックス化(45プレックスまで)されたMSベースの、SILAC及び同重体タグ化の双方の最良の態様を組み合わせた定量技術を開発する。
中性子コード化タグ化と伝統的な同重体タグ化との間の相違:
[0123]伝統的な同重体タグ化は、ペプチドへの化学タグの導入に依拠する。化学タグは、3つの特定の構成要素:反応性基、バランス基、及びレポーター基を有するように設計される。MS1分析中に、同重体タグで標識された分析物は、単一のm/zピークとして現れ、たとえどれほど分解能が高くとも、MS1分析から定量情報は得られない。定量データは、衝突活性化によるプリカーサーイオンのフラグメント化の際に引き出されるにすぎない。この過程中に、帯電したレポーター基がバランス基から放出され、規定された質量の検出可能なm/zピークを生成する。同重体タグは現在、8チャネルまでの量化を提供する。レポーターイオンは、各チャネル間で1Daだけ質量を異にする。例えば、m/z126、127、及び128。したがって、定量データは、最初に衝突活性化を実施することによって、及びMS/MSでプロダクトイオンを監視することによって測定できるだけである。
[0124]このアプローチの制約は、数が多い。第1に、MS1スキャンからデータは得られないので、所与のプリカーサーに関してMS/MS事象が入手できない場合はいかなる種類の定量データも記録されない。第2に、MS/MSアイソレーションウィンドウ内(通常、約1〜3m/z)のすべてのプリカーサーが衝突に曝され、レポータータグを生成する。このことは、定量シグナルが、アイソレーションウィンドウ内のすべてのプリカーサーを巻き込んだものであることを意味する。この欠点は、定量真度を激しく制約する。第3に、同重体タグ化は、1種の解離−衝突活性化と適合性があるにすぎない。同重体タグ化の鍵は、レポーター基がバランス基から開裂され、検出されることである。市販製品の場合、これは衝突活性化に対して最適化されているが、光子を使用する解離に加えて、電子捕獲解離、及び電子移動解離を含む多くの種類の解離が利用可能である。
[0125]中性子でコード化する本発明の戦略は、定量目的のために、分析物中に極めて微妙な質量差を埋め込む。これらの差は非常に小さい(<50mDa)ため、通常のMS分解能では区別できない。しかし、高分解能条件(>100000)下での分析は、接近して間隔があいたこれらのピークを分離することができ、定量情報を明らかにする。中性子コード化は、特注のアミノ酸アイソトポローグ上で細胞を増殖することによって、又はペプチド上に化学タグを配置することによって導入することができる。後者の事例の場合、化学試薬は、伝統的な同重体タグ、すなわちレポーター基及びバランス基の特徴を有さない。代わりに、タグは、各分析物上に中性子のフィンガープリントを埋めこむための単なる送達媒体である。次いで、このフィンガープリントは、サンプルを高分解能の条件下、典型的にはMS1スキャンで分析した場合に、検出されるだけである。
[0126]図5〜7は、中性子でコード化された標識ペプチドのMS/MSスキャンを示す。図5に示すような低分解能で、定量情報ははっきりせず、ピークは単一ピークとして現れる。しかし、高分解能(図6)で、これらのピークは複数ピークとして現れ、付加的データを提供する(図7)。これらのデータは、存在量を反映し、定量に使用できる可能性がある。
[0127]伝統的な同重体タグ化とのもう1つの主な相違は、本発明の中性子コード化サインが解離後にペプチドと共に留まることである。解離は、任意のフラグメント化法によって完遂できる。中性子コード化タグ、アミノ酸、又は化学タグを含む、ペプチド骨格の開裂に由来するプロダクトイオンは、高分解能条件下(>100000)で分析すると検出される。伝統的な同重体タグ化と異なり、これらのシグナルは、すべてのプリカーサーに関して同一質量(レポーターフラグメントの質量)で現れず、それらは、ペプチドの骨格フラグメントに加えて、中性子タグを含むすべてのフラグメントで現れる。このことは、定量情報を、MS/MSスペクトルから高分解能下でスキャンする場合にのみ、ペプチドがフラグメント化するm/zピークで集めることもできることを意味する。したがって、中性子コード化に関しては伝統的な同重体タグの干渉の問題が排除される。
NeuCodeの概観:
[0129]同重体タグ化のプレックス化能力を拡大するために活用されてきた中性子コード化質量差を利用して、MS定量法−従来のSILAC及び同重体タグ化の双方に優る定量法を創り出すことができる。
[0130]NeuCodeの実行可能性を判定するために、105067の同定されたタンデム質量スペクトルのライブラリーを調べ、ペプチドプリカーサーの99.4%が、1200以下のm/z値を有すると判定された。次に、分解可能な最小差(1%値幅、FWOM、すなわち、ピーク面積のわずか1%の重なり)を、1200Thのプリカーサーに関して、10〜10の範囲の分解能の関数として計算した(図8A)。現在市販のOrbitrapは480000の分解能があり、11.1mThのような狭い間隔があいたプリカーサーの分離を可能にする。この値は、Orbitrapの報告された960000の最高分解能でその半分(5.6mTh)まで低下する。平均的なプリカーサーははるかに小さいm/z(約750)を有し、480000及び960000においてそれぞれ7.0mTh及び3.5mThで分解され得る。これらの計算を指針として使用して、ペプチドライブラリーを使用して、12、18及び36mDaの間隔で標識された場合に定量できる(すなわち、FWOMで分離される)ペプチドームの比率をモデル化した(図8B)。この図は、ショットガン実験で典型的に観察されるプリカーサー、m、z、及びm/zの多様性を考慮している。これらのデータは、18mDa離して間隔があいている場合に、480000の分解能では、同定された(すなわち分解された)ペプチドの>85%を定量できることを実証している。960000の分解能では、12mDaの間隔で、>90%のカバー範囲が達成された。
[0131]これらのデータは、現在市販のOrbitrapの480000の分解能で、NeuCodeタグ化戦略を使用する検出及び同定を、標識されたピーク間に約18mDaの間隔を有するほとんどすべてのペプチドームについて達成できることを裏付けている。Orbitrapの報告された960000の最高分解能で、類似のカバー範囲を、わずか12mDaのピーク間隔で達成できる可能性がある。次に、生体系中に見出される一般的な元素、すなわち、C、H、N及びOを使用して、どんな間隔範囲及び隙間の大きさを達成できるかを判断した。図9は、13C、H、15N、18Oの種々の組合せでの組み込みによる+2Daのオフセットを含むアミノ酸リシンのすべての理論的アイソトポローグを示す。控えめな2Daの質量差だけで、18.5mDaの質量間隔範囲(本明細書中でオフセット質量と呼ばれる)で広がる7つのアイソトポローグを創り出すことができ、デュプレックス又はトリプレックスタグ化(すなわち、約9〜18mDaの間隔)を提供する。より安定な同位体、+8Daの組み込みは、50mDaを超えるオフセット質量範囲を達成することができる。前記の理論計算と共に、十分なオフセット質量を導入して、現在利用可能な質量分解能を用いてNeuCode戦略の実行を可能にし得ることが結論付けられた。
マルチプレックス化SILAC(NeuCode SILAC)のための中性子コード化アミノ酸:
[0133]原理:
NeuCode標識化戦略を組み込んだアミノ酸の合成は、ゴールドスタンダードのタンパク質定量技術−SILACのマルチプレックス化能力を大きく(4〜10X)拡大するSILAC試薬をもたらす。この付加されたプレックス化能力は、従来のSILAC戦略に比較して、MSスペクトルの複雑性を増加することも、ペプチド同定率を低下させることもない。
[0134]仮説:
従来のマルチ−Da同位体間隔の使用は、SILACを二元及び三元比較に限定する。高マルチプレックス化実験は、タイムコース実験の測定を可能にし、生物学的反復データの収集を可能にし、かつトランスクリプトーム及びプロテオームデータの直接的比較を可能にする。それぞれほぼ10mDaで相違するリシンの種々のアイソトポローグを組み込むことによって、合わせた場合に定量に関して12チャネルをもたらす一組のアミノ酸が創り出される。これらのアミノ酸は、SILACに比較して大きく高められたレベルのマルチプレックス化及び性能を達成する。
[0135]予備データ:
アミノ酸の同重体アイソトポローグが、SILACのハイパープレックス化を可能にするとの仮説を検証するために、2種の+8Da重いリシンアミノ酸(一方は6個の13C原子及び2個の15N原子、他方は8個のH原子を含む)を購入した。これらの2種のアイソトポローグは、36mDaだけ質量を異にし、現在のOrbitrapシステムの市販の分解能(480K)で容易に区別される。2種の酵母培養液(BY4741 Lys1Δ)を、「軽い」リシン(+0Da)、「重い1」1315Lys(+8.0142Da)又は「重い2」(+8.0502Da)が添加された規定の合成完全欠損培地中で増殖させた。Lysの完全な組み込みを確実にするために、細胞を少なくとも10倍加を目指して繁殖させ、次いで、対数増殖中期に3000×gで3分間の遠心により収穫した。細胞ペレットを5mLの溶解緩衝液に再懸濁し、タンパク質をガラスビーズ粉砕により抽出した。溶解された酵母細胞からのタンパク質を、還元し、アルキル化し、エンドプロテアーゼLysCで消化した。次に、3種の伝統的なSILACサンプルを、「軽い」(+0Da)及び「重い1」(+8Da)標識ペプチドを1:1及び1:5の質量比で組み合わせることによって既知の混合比で調製した。NeuCode SILACの比率は、「重い1」(+8.0142Da)及び「重い2」(+8.0502Da)標識ペプチドを使用することを除いて全く同様に調製された。
[0136]各方法(すなわち、NeuCode SILAC及び伝統的SILAC)からのサンプルを、キャピラリーnLCカラムに独立に負荷し、イオントラップOrbitrapハイブリッドMS中に60分にわたってグラジエントで溶出させた。伝統的SILACの場合には、MS分析を、MS/MS分析(イオントラップCAD)に対して選択された上位10の最も強いプリカーサーで30000の分解能で実施した。NeuCode SILAC分析の場合には、最初の30000の分解能での全スキャンに続いて、さらなるMSスキャンを直ちに480000の分解能で実施した。高分解能スキャンは、NeuCode SILACペアを区別し、埋め込まれた定量データを効果的に解読した。その分析からのスペクトルの例を図10に示す。パネルAは、MSスキャン(R=30K)を示し、パネルBは、選択されたm/z827のプリカーサーの同位体クラスターを示す。ここでは、典型的な30Kの分解能及び高分解能定量スキャン(480K)下で生成されるシグナルがプロットされている。わずか36mDa離れて間隔があいている双方の「重い」リシンアイソトポローグが観察された。これらのNeuCode SILACパートナーの極めて近接したm/z間隔は、双方のアイソトポローグが同時単離され、フラグメント化され、かつ一緒に質量分析されるので、MS/MSスキャンにとって理想的である。実際、MS/MS分析は、典型的には、低い分解能(すなわち、<7500)で実行されるので、NeuCode SILACのMS/MSスペクトルは、標識されていない非マルチプレックス化サンプルのスペクトルと本質的に同一である。図10のパネルCは、パネルBに示される単離されたプリカーサーのイオントラップMS/MSを示す。これらの低分解能で、コード化された存在量情報は、隠され、スペクトルのマッチングはあたかもマルチプレックス化が実施されていないかのように実行される。高分解能でのスキャンは完結するのに約1.6秒を要するが、システムがその時間中にイオントラップMS/MS分析(上位10)を実施し、その結果、オーバーヘッドに対する効果が極めてわずかしか誘導されないことに留意されたい(NeuCode SILAC対伝統的SILACで、それぞれ16852対18973のMS/MSスペクトルが得られる)。NeuCode SILAC実験は、かなり独特なペプチドスペクトルの符合(PSM)、2935対2401をもたらした。これは、伝統的SILACにおいて、それぞれの独特なペプチドプリカーサーは、4Daだけ分離された2つの別個のm/z値で現れるためである。これは、最も豊富なペプチドパートナーが両方とも選択されるため、ペプチド同定においておびただしい量の冗長が存在することを意味する。結果は、限定されたサンプリング深さである。NeuCode SILACは、各プリカーサーに関してすべての定量情報が単一のm/zピーク内でコード化され、その結果、パートナーピークに関する冗長なMS/MSスキャンが取得されないことから、この問題を排除する(図10Bの挿入図)。
NeuCode SILACに関する定量の真度及び精度:
[0138]次に、NeuCode SILAC(OMNE SILACとも呼ばれる。)で生成される定量データの品質を、伝統的SILACと比較して評価した。図11Aは、双方の方法に関する定量メトリックを表現している:水平断続線は、真の比率(灰色=1:1、黒色=5:1)を示し、箱髭図は、中央値(細長い帯)、第25〜第75百分位数(4分位範囲、箱)、4分位範囲の1.5倍(髭)、及び外れ値(白丸)の境界を確定する。これらのデータから、NeuCode SILACは、伝統的SILACと区別できない定量の真度及び精度を提供すると結論付けられた。NeuCode SILACで記録された2935のPSMのうち、80%(2572)が定量可能であった。伝統的SILACの場合、2401の全PSMの88%である2120のPSMが定量データをもたらした。NeuCode SILACがなぜ定量可能率の低下を有するのか驚きであった。PSMは、双方のパートナーが2:1を超えるS/N比で検出された場合にのみ量化されたことに留意されたい。NeuCode SILACは、より大きなサンプリング深さ、及びそれ故S/Nのより小さいプリカーサーに対するより多くの同定を可能にするので、2つの方法間にペプチドを量化できる頻度の基本的な相違は存在しない可能性があると思われた。この仮説を検証するため、PSMが定量情報を生成した時間比率を、NeuCode SILAC及び伝統的SILACの双方についてプリカーサー強度の関数としてプロットした(図11B)。双方の方法とも、プリカーサー強度が減少するにつれてより少ない頻度で(本質的には同一割合で)定量データをもたらすが、105.5(任意単位)未満のプリカーサー強度を有するNeuCode SILACは、1824のPSMをもたらし、伝統的SILACはその同じ範囲で522のPSMを検出しただけであった。NeuCode SILACは、高度に類似した定量真度及び精度を維持しながら、伝統的SILACに比較して増大したサンプリング深さを可能にする。
[0139]予備的に、NeuCode SILACデータによるすべての同定は、低分解能(30K、図10B)に設定して収集されたMSスキャンを使用してもたらされた。それらのピークは36mDaだけ質量を異にする各ペプチドの2つの非分解バージョンを含むので、質量真度の任意の重要な低下が生じるかどうかは疑問であった。これを検証するために、質量誤差(ppm)の分布を、すべての同定に関してNeuCode SILAC及び伝統的SILACの双方についての同定のe−値(≒有意性)の関数としてプロットした(1%FDR、図12)。NeuCode SILACに関する質量真度の極めて微妙な低下、3.5対2.5ppmが、類似の精度で存在する。質量誤差のこの微妙な増加は、ほとんどのデータベース検索が、±7〜±25ppmのプリカーサー質量誤差の許容差を課しているので、問題ではないと結論付けられた。また、アイソトポローグが分解される高分解能MSスキャンに由来する質量値の使用は、この微妙な誤差を全体的に見て完全に排除できる可能性があることが注目された。
[0140]サンプル調製:
パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)菌株BY4741 Lys1Δを、軽いリシン(+0Da)、重い1315リシン(+8.0142Da、Cambridge Isotopes)、又は重いDリシン(+8.0502Da、Cambridge Isotopes)が添加された規定の合成完全(SC、Sunrise Science)欠損培地中で増殖させた。完全なリシン組み込みを確実にするため、少なくとも10倍加を目指して細胞を増殖させた。対数増殖中期に到達後、3000×gで3分間遠心して細胞を収穫し、冷却ddHOで3回洗浄した。細胞ペレットを5mLの溶解緩衝液(50mM Tris、pH8、8M尿素、75mM塩化ナトリウム、100mM酪酸ナトリウム、1mMオルトバナジン酸ナトリウム、プロテアーゼ、及びホスファターゼ阻害剤錠剤)に再懸濁し、全タンパク質をガラスビーズ粉砕(Retsch)で抜き出した。溶解液のタンパク質濃度をBCA(Pierce)で測定した。
[0141]溶解された酵母細胞からのタンパク質を、5mMジチオトレイトール(dithiothiotriol)を添加し、外界温度で30分間インキュベートすることによって還元した。遊離チオールを、15mMヨードアセトアミドを添加し、暗所にて外界温度で30分間インキュベートし、続いて5mMジチオトレイトールで反応を止めることによってアルキル化した。尿素濃度を、50mM tris(pH8.0)で4Mまで希釈した。タンパク分解消化は、LysC(Wako)を1:50の酵素/タンパク質比で添加し、外界温度で16時間インキュベートすることによって実施した。TFAを添加して消化反応を止め、tC18sep−pak(Waters)を用いて脱塩した。
[0142]SILACの既知の比率は、「軽い」(=+0Da)及び「重い」(=+8Da)標識ペプチドを1:1、1:5及び1:10の質量比で混合することによって調製した。NeuCodeの比率は、軽い=+8.0142Da及び重い=+8.0502Daであることを除いて全く同様に調製した。
[0143]6プレックスサンプルは、各NeuCode SILAC酵母ペプチドを、2時間後にヒドロキシルアミンを添加して標識化反応を止めたこと以外は製造業者のプロトコールに従って、3つのmTRAQタグ(AB SCIEX)で標識することによって調製した。これらのペプチドを10:10:5:5:1:1の質量比で混合した。
[0144]LC−MS/MS:
NeuCode SILAC対SILACの比較のため、各サンプルを、移動相A(0.2%ギ酸/水)中の5μmのMagic C18(Michrome)粒子を充填した75μmキャピラリーに独立に負荷した。ペプチドを、移動相B(0.2%ギ酸/アセトニトリル)を用いて60分にわたってグラジエントで溶出した。溶出したペプチドを、Orbitrap elite質量分析計(Thermo Scientific)により分析した。サーベイスキャンを、分解能が30000のOrbitrapにより実施して、イオントラップCADタンデム質量分析法の上位10に依存したデータのためにサンプリングするためのプリカーサーを同定した。NeuCode SILAC分析は、サーベイスキャンの直後の480000の分解能でのさらなる定量的スキャンを含んだ。プレビュー方式を可能にし、MS2のためのサンプリングから、未知電荷を有する又は電荷=+1のプリカーサーを除外した。MS1及びMS2の標的イオンの累積値を、それぞれ1×10及び4×10に設定した。動的排除を、選択されたプリカーサーの−0.55m/z及び+2.55m/zに関して30秒に設定した。MS1のための6プレックスサンプルを、次の変更を除いて前記の通り分析した。サンプルを、90分にわたるグラジエントで溶出した。タンデム質量分析法を、HCD細胞中でのHCDフラグメント化によって、続いて分解能が15000のorbitrap中で検出することによって実施した。最終的に、MS2のための標的イオンの累積値を5×10に設定した。
[0145]データ解析:
MSの生ファイルを、検索可能なテキストファイルに変換し、オープンソース質量分析検索アルゴリズム(OMSSA)を使用して、標的−デコイデータベース(サッカロミセス属ゲノムデータベース(酵母)、www.yeastgenome.org;UniProt(マウス)、www.uniprot.org)と対照して検索した。すべてのサンプルに関して、メチオニンの酸化及びシステインのカルバミドメチル化を、それぞれ可変及び固定修飾として検索した。SILACサンプルは、非修飾リシン及び+8.014199固定修飾で独立に検索し、後に、偽発見率のフィルタリング中に組み合わせた。NeuCode SILACサンプルは、1315及びアイソトポローグからの平均質量移動(+8.0322)に相当する単一固定修飾で検索した。プリカーサーの質量許容誤差を100ppmと規定し、フラグメントイオンの質量許容誤差を0.5Daに設定した。プリカーサーの比較的広いこの質量許容誤差を使用してアイソトポローグ間で観察される質量差を計算した。検索結果を、E−値に基づいて1%FDRまでフィルタリングした。6プレックスサンプルを、次の変更を除いて上記のように検索した。mTRAQの軽い(l)、中間(m)、及び重い(h)バージョンを、独立に検索した。ペプチドN末端の固定修飾:+140.0953(l)、+144.1024(m)、又は+148.104(h);リシンの固定修飾:+148.1275(l)、+152.1346(m)、又は+156.1362(h);チロシンの可変修飾:+140.0953、+144.1024、又は+148.104。フラグメントイオンの質量許容誤差を、0.1Daまで縮小した。3つの独立検索を、FDRフィルタリング中に組み合わせた。ペプチドを、タンパク質中に群化し、前に記載の規則に従って1%FDRまでフィルタリングした。
[0146]定量:
データベース検索に続いて、まず、ペプチドスペクトル符合のFDRでフィルタリングされたリストを利用して、データ集合に付随するプリカーサー質量の組織的誤差を計算した。この誤差に関して「軽い」及び「重い」プリカーサー質量を調整した後、アルゴリズムは、すべての高分解能MS1スキャンを、独特なペプチド配列を同定するすべてのPSMの30秒以内に検査した。それぞれのMS1スキャンにおいて、「軽い」及び「重い」ピークは、同位体クラスターの最初の4つの同位体に関して単離された。S/Nが3を超える少なくとも2つのピークが所定の許容差(NeuCodeでは±5ppm、SILACでは±10ppm)内で見出されれば、SILACペアが創り出されている。ノイズレベル未満の任意のピークは、「軽い」又は「重い」チャネルを適切に見逃すためのノイズを基準にした強度に単に寄与する。注入時間によって強度を脱正規化することによって決定されるような、可能なピーク合体を示すピークは、定量から除外される。「軽い」及び「重い」チャネルに関する強度は、それらの溶出プロファイルの全域で合計される。定量比率を1:1に向けて圧縮するペプチド溶出プロファイルの縁上のノイズでキャップされたピークを排除するために、最大強度の1/2e未満の強度を有するピークを放棄した。ペプチドは、定量に適格であるために、少なくとも3つの比率を提供するペア(すなわち、少なくとも3つのMS1スキャンにわたって定量される。)を有する必要があった。タンパク質の定量は、対応するすべてのペプチドの比率を平均化することによって完遂された。得られるタンパク質比率を0近辺で変化するメディアン倍率変化(median fold change)に対して正規化して、不均等混合を計算した。このアルゴリズムを利用して、伝統的SILAC及びNeuCode SILACの双方のデータ集合を量化した。
実施例2(マルチプレックス化されたタンパク質定量のための中性子コード化サイン):
[0148]タンパク質定量に中性子コード化タグ化システムを適用することは、C、N、O、S、Cl、Br、Si及びH原子における中性子結合の種々のエネルギーによって誘導される微妙な質量差を活用することを含む。例えば、6mDaの質量差は、分析物分子中の13Cを12C原子で同時的に交換しながら、14Nを15Nと交換することによって誘導することができる。この過程を種々の組合せで行うことは、分析物分子の文脈内で、通常のMS分析条件下(質量分解能<30000)で分析した場合に識別できない多数の化学的に同一のアイソトポローグを生成し、すなわち1つのm/zピークをもたらす。しかし、高分解能(分解能>100000)での分析は、その存在量を抜き出し、種々の条件にわたって分析物の量を決定するのに使用できる明瞭なm/zピークを示す。この技術は、SILAC及び同重体タグ化の双方の落とし穴を回避しながら、極めて高レベルのマルチプレックス化(45プレックス系、ウルトラプレックス化など)を可能にする。このようなタグ化システムの応用としては、ヒトの健康にとって顕著に重要である骨格筋ミトコンドリアのプロテオーム(1098種のタンパク質)の分析が挙げられる。例えば、本発明のタグ化システムを使用して、ミトコンドリアタンパク質、及び世界的に首位を占める栄養障害である細胞の鉄欠乏に応答したリンタンパク質レベルの変性を精密に監視することができる。
マルチプレックス化されたSILACのための中性子コード化アミノ酸:
[0150]リシン及びアルギニンの中性子コード化同位体バージョンは、11プレックスまでのSILAC定量を可能にする。しかし、これらの高マルチプレックス化SILAC試薬は、伝統的な3プレックスSILACに比べて、少ないスペクトルの複雑性を提供する。これは、それぞれほぼ6mDaだけ相違する各アミノ酸の種々のアイソトポローグを組み込むことによって完遂され、組み合わされると、定量に関して11のチャネルをもたらす5プレックス及び6プレックスのArg/Lysアミノ酸の集合を創り出す。これらのアミノ酸は、現在のゴールドスタンダードであるタンパク質定量技術、SILACに対して先例のないレベルのマルチプレックス化及び性能を付与する。
複雑な生体系におけるNeuCode SILACの性能:
[0152]複雑な生体系におけるNeuCodeの性能を伝統的SILACに対照して評価するために、NeuCode及びSILAC標識を各々使用して、マウスの筋芽細胞及びそれらの筋管への筋原性分化中のタンパク質を定量した。マウス由来C2C12筋芽細胞の分化は、骨格筋細胞の発達に関して広範に研究されたモデル系である。NeuCodeは、タンパク質の相対存在量を比較評価しながら(m=0.82、R=0.78;図29)、伝統的SILACに比べてx%多いタンパク質を定量する(1458対1031)。電子伝達鎖及び筋肉系プロセスなどのGO用語の強化によって明らかなように、いずれの方法も、進行中の筋原性分化を支持するタンパク質変化を測定する(図30)。
実施例3(中性子コード化アミノ酸):
[0154]上記データは、NeuCodeタグ化戦略の実行可能性を実証し、SILACによって提供されるプレックス化能力を倍加する。増大されたプレックス化のために、SILACアミノ酸の特注のアイソトポローグが合成される。最も得策な戦略を決定するため、SILACに使用される6種のアミノ酸(Ser、Leu、Tyr、Lys、Met、及びArg)のそれぞれに関するNeuCodeアイソトポローグの質量範囲及び数を計算した。これら6種のアミノ酸は、単独で、3004のアイソトポローグをもたらすように操作することができる(図13)。平均で、これらのアイソトポローグは、26〜63mDaの範囲にわたって1.07mDa離れて間隔があいている。このことは、プレックス化能力を、現在達成可能な質量分解能に対して精密に符合するアイソトポローグのオフセット質量間隔によって最大化できることを意味する。Argは、最も広いオフセット質量範囲(62.8mDa)、及びそれ故、最高レベルのマルチプレックス化のための潜在能力を提供する。
[0155]しかし、伝統的SILAC実験は、Lysを単独で、又はArgと組み合わせて利用する。特注のアミノ酸の合成は、費用がかさむことがあるので、最初にLysのみの特注アイソトポローグを作り上げた。SILACのためにLysのみを使用する場合、最良の結果はエンドプロテアーゼLysCを用いて達成される。この酵素は、ペプチドをLysで切断し、すべての生成ペプチドが標識を含むことを確実にする。エンドプロテアーゼLysCは、急速に、プロテオミクスに好ましいプロテアーゼになりつつあり、しばしばトリプシンの代わりに使用される。LysCは、平均して、トリプシンに比べてわずかに大きなペプチドのみを生成する(11対13残基、酵母)。これに加えて、LysCは、極めて多量(8Mまで)の変性剤、例えば尿素のもとでタンパク分解活性を維持するので、しばしば好ましい。
NeuCodeリシンアイソトポローグの開発:
[0157]図14は、未標識Lysに比べて+8Da重い39種のLysアイソトポローグの同位体組成及び分子量を示す。38.5mDaのオフセット質量範囲を達成することができる(全部で10Daの重い同位体を付加することは、図13に示される最大オフセットを生成する)。2種の+8アイソトポローグのみが市販されている(13 15及び13 15、図14の赤色/青色で縞を付けたバー)。これら2つのアイソトポローグは、全オフセット質量範囲(36.0mDa)に接近して広がり、この実験のために、トリプレックス又はクアッドプレックスのNeuCode SILAC戦略において2つの最も極端なタグ(すなわち、最も軽い及び最も重い)として使用される。+8DaのLysアイソトポローグ、13 15の合成は、「重い」及び「軽い」ものから精密に18.0mDaの「中間」タグを創り出す(赤色バー、図14)。この間隔は、480Kの分解能(Orbitrapシステムの現在市販の能力)、及び本明細書に示した予備データのために使用される分解能と適合性がある。Orbitrapシステムでの分解能960Kの広範な商業的実施が、近い将来に現れると予想される。それらのシステム、及びFT−ICR−MSシステムにおいて、クアッドプレックスNeuCode SILAC法は、2つのさらなる+8Lysアイソトポローグ(13 15及び13 15)の合成によって実施できる。これらの2つの特注アイソトポローグは、市販の「重い」及び「軽い」+8DaのLys残基と組み合わさって、約12mDaの間隔で等しく間隔が開いている(青色バー、図14)。MS分解能の480Kから960Kへの倍加、及びこれらの特注アイソトポローグの使用は、定型的条件下(すなわち、分解能<100K)で分析した場合に未標識サンプルのスペクトルの複雑性を提供するクアッドプレックスNeuCode SILAC法を可能にする。
11プレックスNeuCode SILACへの経路:
[0159]上で考察したように、NeuCode SILACは、SILAC実験のスペクトルの複雑性を低下させ、さらに、それはマルチプレックス化能力を大きく増大させる(クアッドプレックスまで)。前述のNeuCode SILAC戦略を従来のマルチ−Da SILAC戦略と連結することは、より高次のMS1ベースのマルチプレックス化さえ可能にすると判断された。このことは、種々のオフセット質量(例えば、+4、+8、+12Da)において、前述のNeuCodeアイソトポローグを生成することによって直接的に完遂することができる。図15は、Lysの質量が、重い安定同位体の組み込みによって4、8及び12Daだけ増加する場合に、利用可能なアイソトポローグの数を示す。これらのアイソトポローグが、6、12又は18mDaの規定のオフセット質量の間隔で広がる質量範囲を分割することによって、それぞれが提供するプレックスの数を計算することができる(図15)。これら3種のLys基、すなわち+4、+8及び+12Daを組み合わせることによって、8プレックス(18mDaの間隔)又は11プレックス(12mDaの間隔)のNeuCode SILACを生じさせることができる。13C、H、15N、18O原子の種々の組合せを利用して、4、8又は12個の余分な中性子を付加した場合のアミノ酸リシンに関するアイソトポローグの質量及び同位体組成を図16に示す。
[0160]特注のクアッドプレックスLysアイソトポローグを12プレックスの実験に変換するために、NeuCode SILACペプチドを、市販のmTRAQタグを使用して化学的に標識する。mTRAQは、すべての第1級アミン(すなわち、Lys及びN末端)上に+0、+4及び+8Daのタグを付与する。この戦略において、同一配列を有するペプチドは、3つのMS同位体クラスターの中に配置され、それぞれのクラスターは、高分解能MSスキャンによってのみ明らかにされる4プレックスの定量情報を含む。mTRAQは、3つの明瞭な同位体クラスターを生じさせる正味質量差を与えることに留意されたい。この化学的標識化は、前記の特注Lysアイソトポローグを利用できる場合に達成される結果を模擬するのに役立つ。図17は、デュプレックスLysアイソトポローグ(1315Lys(+8.0142Da)又は(+8.0502Da))を用いるこの戦略を使用した予備的結果を示す。一旦、標識されたら、デュプレックスNeuCode SILAC及びmTRAQを含むペプチドを、1:1:1:1:1:1(図17、左)又は10:10:5:5:1:1(図17、右)の比で混合(6プレックス)し、上述と同じnLC−MS/MS法で分析した。
[0161]図14は、+4、+8及び+12Daのオフセット質量のアミノ酸リシンのすべての理論アイソトポローグの質量のプロットを示す。それぞれ、それぞれ26.8、38.5及び35.6mDaの間隔で広がる18、39及び35の特有なアイソトポローグを有する。現在の装置は、これらのアイソトポローグのそれぞれを区別するのに十分な分解能を有さず、結果として、92プレックスのSILACの能力は、現在の市販装置で実行できない。しかし、現在の技術を用いて、約10〜20mDa離れて間隔があいているアイソトポローグを分解することが可能である。図8に示されるように、ペプチドのほぼ40%は、480Kの分解能(現在市販のOrbitrapの最大分解能)において10mDaの間隔で定量可能である。20mDaでは、ほぼ90%がこの分解能で定量可能である。960Kの分解能(最近公開され、Orbitrapのために商業的開発中)であれば、10mDa間隔で観察されるペプチドの約90%が定量されるであろう。約10〜12mDaの間隔を使用して、3、5及び4つのアイソトポローグを、+4、+8及び+12Daのオフセット質量群から選択した。組み合わせると、これらの残基は、現在のFT−MS装置と適合性のある12プレックスまでのSILACを提供する。
[0162]アイソトポローグの質量差は、13C、15N、18Oのみの使用によってコード化することができる。図18は、8個までの13C及び15N原子並びに4個までの18O原子(H原子なし)を含む化学タグ中に導入することのできる異なるアイソトポローグを示す。図18中の強調されたアイソトポローグは、0〜8個の13C原子及び0〜8個の15N原子(18O原子又はH原子なし)を使用するアイソトポローグのみを示す。本発明の一実施形態において、合成タグは、重水素(H)はクロマトグラフのピーク移動を誘発し、13C及び15Nだけを使用することにより回避されるので、理想的には、13C及び15Nだけを使用する。この実施形態において、18Oは、13C及び15N原子のように大きな質量差を提供しないため、好ましくは使用されない。6mDaの間隔では、13C及び15Nのみを使用する9プレックス化定量を提供する能力のある化学試薬をもたらすことができる。この方法では、2つの元素しか変える必要がないため、合成戦略も簡素化される。
[0163]図19は、図18に強調して示したアイソトポローグ(重いC及び及びN原子のみ)が、ペプチドを標識するのに使用される場合(ペプチド上に2つのタグを想定)に何をもたらすかの理論的模擬実験を示す。480Kの分解能を使用して、これらのタグの各々を識別し、9プレックスの定量データ(強調されたマウス)を得ることができた。
[0164]図20は、図18のアイソトポローグの組合せを提供するのに十分なC、N及びO原子を含むことのできる可能な化合物の構造を示す。
[0165]広範な数のアイソトポローグを提供するために同様にコード化され得る代わりの化学タグを図21に示す。
さらなる実験パラメーター:
[0167]サンプリング:
より高次のマルチプレックス化の開発は、アイソトポローグで標識されたペプチドのMSクラスターの数を増加させることを必要とする。MS1クラスターの数は、スペクトルの複雑性を高め、おそらくはデューティサイクルを短縮する。動的排除のための装置の制御選択肢を利用して、どのピークが同一のペプチド種に由来するかを同定し、次いで、MSのサンプリングに由来するその他のピークを排除しながら、これらの最も豊富なもののみをサンプリングすることができる。このことは、同一種を異なる形態でサンプリングすることを防止する。同定を最大にするため切り詰められた質量範囲を分析することを利用することもできる。
[0168]AGC標的:
各ペプチドプリカーサーに関して、定量スキャン中に分析されるイオンが多いほど、NeuCodeペアが合体する可能性が高い。このことは、全イオン数がより少ないペプチドプリカーサー中に広がっている分別されたサンプルにとってより問題である。定量のAGC標的を減らすことは合体の可能性を低下させるが、より小さなシグナル、しかしより少ないノイズをもたらす。したがって、感度を規定するシグナル/ノイズ比が変化することはないであろう。
[0169]フラグメント化:
現在の戦略は、イオントラップCADフラグメント化及びMS分析を採用するが、イオントラップHCD及びETDの使用も同様に可能である。これらのスキャン機能に関するデューティサイクルは、CADに類似しているが、LysC消化に由来するより高度に帯電したペプチド産物に関しておそらくはより良好なフラグメント化を示す。
[0170]分解能試験:
上記実験に基づいて、7つのNeuCode SILACペアをR=480Kで分解することができ、9つはR=960Kで分解できる。1:1の比で混合された7つ又は9つのNeuCode SILACペアで標識されたペプチドの80%超が、FWOMにおいて完全な一連の分解可能なペアを有すると予想される。
[0171]スキャン速度:
集められるMS1及びMS2スペクトルの数に対する影響は、480K又は960Kの分解能でのさらなる定量スキャンをスキャン配列中に組み込む場合に評価することができる。イオントラップMS2スペクトル及び定量スキャンは同時的に集めることができるので、さらなる定量スキャンに由来する影響はおそらくはほとんどない。
[0172]ペプチドの同定数:
NeuCode SILACでの7−又は11プレックス実験に関してなされるペプチドスペクトルの同定数は、SILACでのトリプレックス実験に類似している。なされる同定数は、おそらくは、存在するMS1クラスターの数と間接的に相関している。したがって、前記の実験は、SILACでのトリプレックスに最も類似しており、それ自体と比較されるべきである。
[0173]ダイナミックレンジ/真度/精度:
NeuCode SILACペア及びSILACペアを1:1、1:2、1:5及び1:10の比で混合することは、NeuCode SILAC及びSILACに関する中央値(真度)及び標準偏差(精度)がこれらの比のそれぞれに関して類似していることを実証している。
インフォーマティクスのツール:
[0175]インフォーマティクスのツールは、集められたスペクトルを高度にマルチプレックス化されたMS中心のペプチド定量に移し変える。このことは、リシンの2つのバージョン:「軽い」(13 15、+8.0142Da)及び「重い」(D、+8.0502Da)を採用するデュプレックス実験を使用して例示される。最初に、データベース検索は、低分解能MS/MSスペクトルを、所与の実験に関する「平均的」リシン組成のペプチドに符合させる(すなわち、リシン上の固定修飾は、採用されるすべての異なるリシンバージョン間の平均質量差、この場合、+8.0322Daに等しい)。ペプチドスペクトルの符合に関するこのリストは、次いで、特有のペプチド配列を同定するすべてのPSMの特定の保持時間ウィンドウ内でのすべての高分解能MS1スキャンを介して繰り返すアルゴリズムに向けられる。それぞれのMS1スキャンにおいて、同定をもたらすピークが単離される。その「軽い」又は「重い」としての個性は、この時点で未知のままなので、そのパートナーピークは、適切な質量差を用いて検索され、同定ピークの低い及び高い側の双方に関して、配列情報及び帯電状態の情報を用いて計算される。ピークが、その質量が許容差(0.002Da)内に包含され、かつその強度が同定ピークに関するノイズレベルを超えることが見出されれば、パートナーピーク及びペアが形成されていると考えられる。そのようなピークが見出されなければ、ノイズピークは、比率を推定するためのペアを提供するための同定ピークに対するパートナーとして置き換えられる。一旦、「軽い」及び「重い」プロファイルを集めるのに適切な範囲内のすべてのMS1スキャンからペアが抽出されたら、これらのプロファイルを、「軽い」及び「重い」ピークの頂点が整列するように移動する。この再配置は、アミノ酸の特定の同位体標識バージョン、最も著しくは比率の正確な推定を妨害する重水素を含むバージョンによって誘発される保持におけるクロマトグラフの移動を補正する。整列されたプロファイルに関して、その強度がプロファイルの最大の1/e未満に降下するペアは放棄され、残りのペアのメディアン比が報告される。ペプチドは、定量のために適格であるペアを提供する少なくとも3つの比率を有することが必要とされる。
実施例4(45プレックスまでのプロテオーム比較のための中性子コード化化学試薬の合成):
[0177]最大のマルチプレックス化能力(すなわちウルトラプレックス化)を達成するために、及び生物学的組織及び体液分析との適合性を確実にするため、前例のない45プレックスの分析を可能にする一組の中性子コード化試薬を合成する。これらの試薬は、十分に研究されたNHSエステル反応性基を採用し、タグをペプチドの遊離アミン上に配置する。ペプチドプリカーサーの15N及び13C含有量を変えることは、それぞれ約6mDa離れて間隔があいた9つの変異体を提供する。ウルトラプレックス化は、9種のアイソトポローグを、やはりタグ上で13C/18Oの+0、+4、+8、+12及び+16Daの同位体と連結することによって達成される。このウルトラプレックス化方式では、MSスペクトル中に5つの同位体クラスターピークを観察する。高分解能分析は、これら5つのクラスターの各々の下で9つの明瞭な同位体ピークを示す。
[0178]実験計画:
+8Da重い2種のリシンアミノ酸、一方は6個の13C原子と2個の15N原子を、他方は8個のHを含む。これら2種のアイソトポローグは、計算によれば36mDaだけ質量を異にし、現在のOrbitrapシステムの市販の分解能(480K)で容易に区別される。2種の酵母培養液を、これらのリシン同位体のいずれかを含むリシン欠損培地中で増殖させた。次いで、本発明者らは、各培養液からのタンパク質を消化させ、それらを一緒に混合し、ペプチドをOrbitrap MSシステムを使用する高分解能質量分析法で分析した。
[0179]リシンの選択:
どのアミノ酸及びそれらの種々のアイソトポローグが、NeuCode SILACが提供できる可能性のあるプレックス化の最大数を決定するかが考慮された。典型的なSILAC実験は、リシンを単独で又はアルギニンと組み合わせて利用する。エンドプロテアーゼLysCは、急速に、プロテオミクスに好ましいプロテアーゼになりつつあり、しばしば、トリプシンの代わりに使用される。LysCは、トリプシンに比べて、概してわずかに大きいペプチドだけを産生する(11対13残基、酵母)。そのうえ、このLysCは、極めて多量(8Mまで)の尿素などの変性剤のもとでもタンパク分解活性を維持するので、しばしば好ましい。LysCの強力な性能のため、合成にはLysのアイソトポローグが選択された。原理は簡単であり、LysCは、しばしば、ショットガンプロテオミクスのために好ましい酵素であり、その使用は、Lysのみからなるアイソトポローグを可能にし、実験を簡単にする。すなわち、特注合成のための努力を、1種のアミノ酸、Lysだけに集中させ、産生された各ペプチドが中性子コード化Lys残基を含むことを保証するLysC酵素を用いて試験することによって、優れたプロテオミクス深度及び性能をなお達成することができる。
[0180]図14は、アミノ酸リシンのすべての理論的アイソトポローグの質量の、+4、+8及び+12Daのオフセット質量でのプロットを示す。それぞれ、それぞれ26.8、38.5及び35.6mDaの間隔で広がる18、39及び35の独特なアイソトポローグを有する。現在の装置は、これらのアイソトポローグのそれぞれを区別するのに十分な分解能を有さず、そのため、92プレックスのSILACの能力は現在のところ市販装置で実行できない。しかし、現在の市販技術を用いて、約10〜20mDa離れて間隔があいたアイソトポローグを分解することができる、図8は、ペプチドの約40%が、480Kの分解能(現在市販のOrbitrapの最大分解能)において10mDaの間隔で定量可能であることを示す。20mDaでは、ほぼ90%がこの分解能で定量可能である。960Kの分解能であれば、10mDaの間隔で観察されるペプチドの約90%を定量するであろう。約10〜12mDaの間隔を使用して、3、5及び4種のアイソトポローグが、+4、+8及び+12Daのオフセット質量群から選択された。組み合わせると、これらの残基は、現在のFT−MS装置と適合性のある12プレックスまでのSILACを提供する。
NeuCode SILAC:
[0182]11プレックスまでのSILAC定量を可能にする、リシン及びアルギニンの中性子コード化同位体バージョンが生成される。しかし、これらの高度マルチプレックス型SILAC試薬は、伝統的な3プレックスSILACに比べて、複雑性の少ないスペクトルを提供する。各アミノ酸のそれぞれ6mDaだけ相違する種々のアイソトポローグが組み込まれ、組み合わされた場合に、定量のための11チャネルをもたらす一組の5プレックス及び6プレックスのArg/Lysアミノ酸を創り出す。これらのアミノ酸は、SILACに比較して増大したレベルのマルチプレックス化及び性能を与える。
NeuCode ULTRA:
[0184]最大のマルチプレックス化能力(すなわちウルトラプレックス化)を達成するために、及び生物学的組織及び体液の分析との適合性を確保するために、先例のない45プレックスの分析を可能にする一組の中性子コード化試薬を合成する。これらの試薬は、十分に研究されたNHSエステル反応性基を採用し、ペプチドの遊離アミン上にタグを配置する。ペプチドプリカーサーの15N及び13C含有量を変えることによって、それぞれ約6mDa離れて間隔があいた9種の変異体が得られる。ウルトラプレックス化は、9種のアイソトポローグを、13C/18Oの+0、+4、+8、+12及び+16Daの同位体とやはりタグ上で連結することによって達成される。このウルトラプレックス化方式では、MSスペクトル中に5つの同位体クラスターピークを観察する。高分解能分析は、これら5つのクラスターの各々の下で9つの明瞭な同位体ピークを示す。
中性子コード化を用いる定量的プロテオミクス−O質量中性子コード化:
[0186]中性子コード化は、1)アミノ酸及び2)新規の試薬タグ中に組み込んで、従来のSILAC及び同重体タグ化の双方より多くの点で優れたMS1ベースの定量方法を創り出すことができる。2種の+8Da重いリシンアミノ酸、一方は6個の13Cと2個の15N、もう1つは8個の重水素(H)を含む。2種の酵母培養液を、これらのリシン同位体のいずれかを含むリシン欠損培地中で増殖させた。各培養液からのタンパク質を、消化し、一緒に混合し、orbitrap MSシステムを使用する高分解能質量分析法によって分析した。
[0187]これらのリシンで標識されたペプチドを分離するのに必要とされる分解能は、ペプチド質量の増加と共に増加する。Orbitrap分析計で達成可能な分解能は、m/z値の平方根の関数として低下する。したがって、現在の最高水準のMS装置が、ペプチドプリカーサーの高いm/z値及び複数帯電状態において、中性子で誘導される微妙な質量差を識別する能力があることは、直ちに明白でなかった。前記のTMT研究は、約100m/zで帯電状態が+1だけの非常に小さなタグの分解能を必要とすることに留意されたい。中性子コード化質量タグ化が役に立つためには、この差異が、はるかに大きな質量及び高帯電状態で分解されることができなければならない。高められた各帯電状態では、m/zの間隔が2分の1に縮小され、それ故、それらを分離するにはより高い分解能が必要である。
[0188]図2は、選択されたリシン標識ペプチドペアについての、種々の分解能設定での結果を示す。orbitrap MSシステムの典型的な操作分解能(30000)で、2種のNeuCode標識ペプチドは区別がつかず、1つの種として現れることに留意されたい。しかし、240000の分解能で分析すると、ペアはベースラインで分解され、各分析物の相対存在量を決定することができる。その最高分解能(480000)でのシステムの操作は、複雑な混合物中で検出されるほぼすべてのペプチド種のベースラインでの分解をもたらした。
NeuCodeのためのSILACアミノ酸:
[0190]このアプローチを使用し、中性子タグを、細胞培養液中に導入されるアミノ酸中に組み込むことができる。m/zピークが質量分析中に間隔があるように3〜6Daだけ相違する同位体を使用することを除いて、類似の方法がSILACで行われる。大きな間隔のある現在のSILACに付随する重大な制約が存在する。この制約は、質量スペクトルが、ダブレット又はトリプレットパートナーのすべてを伴ってあまりにも複雑になるため、2プレックス又は3プレックスしか行うことができないことである。NeuCode技術は、通常の分解能において異なるチャネルが重なり、スペクトルの複雑化の問題が解消されることを可能にする。
[0191]アミノ酸リシン中の異なる位置に9つの重い同位体(異なる15N、13C、H及び18O原子)を組み込むことができる。これを行うことにより、41.4mDaだけ間隔のある質量を有する41種の異なるアイソトポローグが構築される。図3は、それらの質量差を示すプロットである。X軸は各アイソトポローグの番号であり、y軸は通常のLys残基からの質量差(Da)である。これらのアイソトポローグは、質量分析計の分解能が許す限り多く選択して、合成し、細胞培養液中に組み込むことができる。現在の技術は少なくとも4〜6プレックス系を可能にし、次いで、分解能の倍加はその数を2倍にできることが想定される。この実験ではLysが例示されるが、任意のアミノ酸についてこれを行うことができる。
NeuCodeのための化学試薬:
[0193]このタグ化システムは、新規なタグ化試薬と共に使用することができ、SILACが関連する方法に限定されるものではない。これは、組織培養と適合性のない組織及びその他の体液の分析を可能にする。NHSエステル技術は、市販の同重体タグ化法(iTRAQ及びTMT)の双方を含むプロテオーム解析のためにペプチド上にタグを連結するために広範に使用される化学である。図20及び21は、合成が簡単で、またNHSエステル連結化学を使用する、中性子コード化と適合性のある潜在的タグを示す。しかし、同重体タグと異なり、本発明のタグ化システムは、レポーター基、リンカー及び帯電部位を組み込む特殊な設計を必要としない。その代わりに、本発明のタグは、ペプチドに結合されて留まるように、かつ高分解能条件下で試験された場合だけ定量的測定を提供するように設計される。
NeuCodeの利点:
[0195]この方法は、今日、プロテオーム定量のための2つの最も普及している方法であるSILAC及び同重体タグ化と比較して、かなりの利点を有する。
[0196]1.SILAC:
SILACは、分析中に、ペプチドペアがほぼ3〜8Daで分離されたダブレットとして現れるように、細胞培養液中に、通常は3〜6Daの質量差を有する重いアミノ酸を導入する。NeuCodeは、SILACのためのアミノ酸中で使用することができるが、(1)伝統的SILACに比較して大きなサンプリング深さのための能力を提供し、かつ(2)はるかに大きなマルチプレックス化(すなわち、2〜3に対して4〜6個のサンプルの比較)を可能にする。
[0197]2.同重体タグ化:
同重体タグ化は、マルチプレックス化を提供するが、2つの重大な欠点を有する:(1)それは、ダイナミックレンジ及び定量真度を低下させるタグ化分析物の重なりに由来する干渉に苦労し、かつ(2)それは、定量を達成するためにMS/MS事象の収集を必要とする。NeuCodeはMS1ベースの方法であり、それ故、干渉はもはや問題ではなく、MS/MSスキャンを達成する必要はもはやない。しかし、NeuCodeはなお、同重体タグ化におけると同様のマルチプレックス化を提供する能力を有する。
実施例5(リシン以外のアミノ酸を用いるNeuCodeの実証):
[0199]また、アミノ酸ロイシンを含むNeuCodeを使用してデータを収集した。同位体標識Lueの2種のバージョン、第1のアイソトポローグは6個の13C原子及び1個の15N原子を有し、第2のアイソトポローグは7個のH原子を有する。これらは、27mDaだけ質量を異にする。図22に示されるように、2種の酵母培養物を、それぞれこれらのロイシンアイソトポローグの一方を含むロイシン欠損培地中で増殖させた。各培養液からのタンパク質を、消化し、一緒に混合し、得られたペプチドをOrbitrap MSシステムを使用する高分解能質量分析法により分析した。ロイシン残基を有する得られるペプチドは高分解能で分解された。アイソトポローグ種間のピーク高さをLysで標識された前記例の通りに比較することによって、タンパク質の相対存在量を測定した。
実施例6(NeuCodeのための化学試薬):
[0201]アミン反応性アイソトポローグタグを使用して、ペプチド以外の分析物上にNeuCodede標識化戦略を組み込むことができる。この種の化学的アプローチは、細胞培養中に標識を導入する必要がなく、したがってすべての種類のサンプルと適合性がある。例えば、尿素は、熱に曝露されると、ペプチドの第1級アミンをカルバミル化する。ペプチドは、13C又は15のいずれかで標識された尿素アイソトポローグでカルバミル化された。ペプチドの第1級アミンは、付加される各カルバミル基につき単一の13C又は15Nのいずれかでカルバミル化され、それによって、カルバミル化部位毎に6.3mDaだけ相違するペプチドをもたらした。
[0202]図23は、尿素のこれらの各アイソトポローグを用いてカルバミル化されたペプチドLEQNPEESQDIKを示す。ペプチドのN末端及びリシン側鎖の第1級アミンの双方がカルバミル化され、12.6mDa離れたペプチドをもたらした。標識されたこれらのペプチドは、これらのNeuCodeアイソトポローグで標識されたサンプル間の相対存在量の測定を可能にする480Kの分解能を用いて分解された。
実施例7(中性子コード化に有用な元素及び組成):
[0204]すべての元素が中性子コード化に適しているわけではない。図24は、分子中に組み込むことのできる重い安定同位体を有する一般的な元素を示す表を示す。第3列は各同位体の整数質量を示し、第4列は精密質量を示す。精密質量と整数質量との間の差異は、大部分、各元素に関する中性子結合の変動するエネルギーのために生じる。第5列は同位体存在比を示す。下記表1は、この方法のために最も望ましい元素のリストを示す。元素は、1つの同位体を他の同位体と、例えば12Cを13C(付加中性子1個)と交換する場合に、コード化される付加的中性子の数、及びそれが導入する質量欠損(後者の場合では3.3mDa)によって群分けされている。A群は、1個の中性子及び正の質量欠損を付加する望ましい元素である。B群は、2個の中性子を付加し、正の質量欠損を伴う。C群は、1個の中性子を付加するが、負の質量欠損を導入し、D群は、2個の中性子を付加し、負の質量欠損を導入する。この群分けシステムを使用して、中性子コード化のためのタグ化システム内に埋め込むことのできる、いくつかの可能な中性子コード化タグ化アイソトポローグ組成を計算した。これらの計算では、A群から36個までの原子、B群から8個までの原子、C群から12個までの原子、及びD群から16個までの原子の使用を考慮した。これらの元素の可能なすべての組合せを、36個までの付加的中性子を付加する場合、すなわち、表1中の種々の群からの元素を使用することによって36個の中性子を付加する場合について調べた。
表1:
中性子コード化に有用な同位体ペアのリスト。同位体は、付加される中性子の数、及び導入される質量欠損が正であるか負であるかに基づいて、4つの群のうちの1つに分類される。
Figure 0006238375
[0206]これらの計算の要約を、1つの重い原子(1個の中性子)から36個の余分な中性子を含むタグに対して可能な組合せの数を報告する表2に示す。例えば、4個の付加的中性子が含まれる場合、付加的中性子の合計が4になる、A、B、C及びD群の元素の14通りの組合せが存在する。それぞれの群の間でのこれらの元素の変動が、最大37mDaの質量範囲にわたる多数のアイソトポローグをもたらす。表3は、4つの群からの元素を使用して4個の付加的中性子の付加を達成する種々の組成、及び達成される最大質量欠損(これは、各群内の最大質量欠損を有する元素を用いて計算される。)を示す。ここで、最大の正の質量欠損を達成するアイソトポローグ式は、A群中の元素から全部で4個の中性子を抜き出していることが分かる。最大の負の質量欠損を伴うアイソトポローグは、C群から全部で4個の中性子を抜き出している。この方法は、質量範囲及びアイソトポローグ間隔を最大化しつつ、タグの大きさ及び元素組成に対する高度な適応性を備える、中性子コード化のためのアイソトポローグを創り出すことを可能にする。
表2:
特定数の付加中性子(左列)を前提とした、アイソトポローグを含むことのできるA、B、C及びD群の組合せの数の要約。付加される中性子が多いほど、多くの組合せが可能である(中央列)。右列は、これらの組合せの最大質量範囲を示す。
Figure 0006238375
表3:
4個の付加的中性子がコード化される場合に可能な、A、B、C及びD群の14通りの組合せを説明する表。右列は、これらの各組合せによりコード化される最大質量オフセットを示す。全体で37mDaの質量差を達成することができる。
Figure 0006238375
実施例8(化学アイソトポローグの数学的表現):
[0210]化学アイソトポローグを生成するために、化合物において重い安定同位体で同位体標識される元素としては、これらに限定されないが、C、H、N、O、S、Br、Cl及びSiが挙げられる。したがって、一実施形態において、化合物に関して可能な種々のアイソトポローグは下記式で定義される。
(1)12A−i 13 B−j 14C−n 15 16D−o 18 32E−p 34 79BrF−l 81Br 35ClG−m 37Cl 28SiH−q 30Si
[式中、
Aは、コード化元素式中の炭素(C)原子の総数であり、
Bは、コード化元素式中の水素(H)原子の総数であり、
Cは、コード化元素式中の窒素(N)原子の総数であり、
Dは、コード化元素式中の酸素(O)原子の総数であり、
Eは、コード化元素式中の硫黄(S)原子の総数であり、
Fは、コード化元素式中の臭素(Br)原子の総数であり、
Gは、コード化元素式中の塩素(Cl)原子の総数であり、
Hは、コード化元素式中のケイ素(Si)原子の総数であり、
i、j、n、o、p、l、m、qは各元素の重い同位体の数を表し、かつ≧0である整数である。]
[0211]各元素の重い同位体の数は、コード化元素式中のその元素の全原子数以下である。各元素に関する軽い同位体の数は、コード化元素式における原子の総数−(マイナス)その元素に関する重い同位体の数である。例えば、炭素原子の総数はAであり、13Cの総数はiであり、したがって、12C原子の数はA−(マイナス)iである。
[0212]同位体標識化によって付加される中性子の数(X)は次式によって記述される:
(2)X=i+j+n+2(o)+2(p)+2(l)+2(m)+2(q)
13C、H及び15Nの付加は各々1個の中性子付加をもたらし、18O、34S、81Br、37Cl及び30Siの付加は各々2個の中性子付加をもたらす。
[0213]例として、リシンは化学式:C14を有する。しかし、リシン中の一部の原子(例えば、溶媒と交換できるH原子)は中性子コード化に適合性がないので、コード化元素式は、化学式に比べて5つ少ないH原子及び1つ少ないO原子を含む。リシンの場合、コード化元素式:Cは、質量分析のためのアイソトポローグを形成するための重い安定同位体での同位体標識化と適合性のある原子の数を示す。リシンに関するコード化元素式を使用して、式(1)は式:
(3)126−i 13 9−j 142−n 15 161−o 18
[式中、i≦6、j≦9、n≦2、o≦1、及びi、j、n及びoは≧0である。]
に修正される。
式(2)は、リシンに関して、同様に、
(4)X=i+j+n+2(o)
と修正される。
[0214]図9は、2個の中性子(X=2)を付加したリシンのすべての可能なアイソトポローグを示し、式(3)を使用してこれらの該当物のそれぞれを記述することができる。例えば、最初の行からの該当物「13 15 18」は、2つの重い原子だけを組み込んでおり、その双方が15Nである。このシナリオでは、X=2かつn=2であり、その結果、i、j及びoは=0である。これらの数を式(3)に代入すると、次の化学式:
12 13 14 15 16 18
になる。リシンに関するコード化元素式及び式(1)を使用して、リシンのすべての可能なアイソトポローグを決定することができる。
実施例9(同位体標識アミノ酸の利用):
[0216]分析物を、合成するか、同位体標識分析物を形成するために同位体タグ化試薬と反応させる。複数のサンプル中の分析物の相対存在量を決定するために、各サンプル中の分析物に、アイソトポローグである種々の同位体タグ化試薬を提供する。
[0217]一実施形態において、同位体タグ化試薬は、同位体標識アミノ酸である。同位体標識アミノ酸を分析物と、同位体標識アミノ酸が分析物に共有結合で結合するように反応させる。別法として、分析物がペプチドである場合、該ペプチドは、同位体標識アミノ酸がペプチド自体の骨格中に組み込まれるように合成される。
[0218]図25は、同位体タグ化試薬として使用できる20種の一般的なアミノ酸に関する構造を示す。図25の第3列(「組成」と名付けられている。)は各化合物の化学式を示し、第4列はコード化元素式を示す。各化合物に関するコード化元素式を使用して、前記式(1)は、その化合物に関するすべての可能なアイソトポローグを記述する各化合物に関する式を付与するように修正される。
[0219]表4aは、各アミノ酸に関して可能な種々のアイソトポローグを記述する、各アミノ酸に関する修正式を示す。各修正式に関する重い同位体のそれぞれの最大数が第3列に示される。例えば、リシンは、表4a及び図25中で項目12として示され、表4aに示されたリシンに関する修正式は、前に示した式(3):
(3)126−i 13 9−j 142−n 15 161−o 18
と同じである。
[0220]リシンのアイソトポローグが各サンプル中の分析物に提供され、アイソトポローグは、質量分析中に、それらの分子質量の小さな差異に基づいて検出される。次いで、各サンプル中の分析物の相対定量が、検出されたアイソトポローグの相対量を比較することによって決定される。サンプルの1つがリシン標準品(すなわち、既知量で存在するリシンアイソトポローグ)を含む場合に、各サンプル中の分析物の絶対定量が達成される。
表4a:
下記式のすべてに関して、i≧0、j≧0、l≧0、m≧0、n≧0、o≧0、p≧0、及びq≧0である。
Figure 0006238375
[0222]本明細書末尾の表4bは、ここで提供される明細書の一部であり、参照により本明細書に組み入れられる。表4bは、本発明の実施形態で有用である20種のアミノ酸のアイソトポローグをもたらすコード化元素の可能な組合せを示す。
実施例10(同位体ペプチド標識の利用):
[0224]他の実施形態において、同位体タグ化試薬は、アミノ酸以外の化合物である。該同位体タグ化試薬は、分析物に共有結合で結合できる、又は特に分析物がペプチドである場合に分析物の合成中に分析物中に組み込むことのできる任意の化合物である。
[0225]図26は、同位体で標識すること、及びペプチドと反応すること、又はペプチドの合成中にペプチドに結合することのできる28種のペプチド標識の構造を示す。図26中の第3列は各化合物の化学式を示し、第4列はコード化元素式を示す。各化合物に関するコード化元素式を使用して、式(1)を、その化合物に関するすべての可能なアイソトポローグを記述する、各化合物に関する式を付与するように修正することができる。
[0226]図27は、同位体で標識すること、及びペプチドと反応することのできる13種のさらなるペプチド標識に関する構造を示す。これらのペプチド標識のそれぞれは、ペプチド標識がペプチド分析物と反応するとペプチド標識を脱離する脱離基(構造中で「LG」と表示される)を含む。したがって、脱離基は、同位体標識ペプチドの一部ではない。脱離基は、ペプチド標識がペプチドの官能基、例えば、アミン反応性基又はカルボキシル反応性基と反応することを可能にする任意の官能基である。図27中の第3列は各化合物の化学式(いずれの脱離基(LG)も含まない。)を示し、第4列はコード化元素式を示す。各化合物に関するコード化元素式を使用して、前記式(1)を、その化合物に関するすべての可能なアイソトポローグを記述する、各化合物に関する式を付与するように修正することができる。図27中の化合物の番号付けは、図26で終了した番号付けに継続して番号29から始まる。
[0227]表5は、図26及び27のペプチド標識に関する修正式を示し、ここで、該修正式は、各ペプチド標識に関する可能な種々のアイソトポローグを記述する。各修正式に関する重い同位体のそれぞれの最大数は第4列に示される。例えば、図26の化合物1は表5中で項目1として示され、この化合物に関する修正式は、
(4)129−i 13 7−j 35Cl1−m 37Cl 141−n 15 161−o 18
である。同様に、図27の化合物29は、表5中で項目29として示され、修正式:
(5)1214−i 13 12−j 148−n 15 161−o 18
を有する。これらの化合物の可能なアイソトポローグは、付与されるそれらのそれぞれの修正式に包含される。
[0228]特定のタンパク質標識に関するアイソトポローグを各サンプル中の分析物に提供し、質量分析中に、アイソトポローグを、それらの分子質量の小さな差異に基づいて検出する。次いで、各サンプル中の分析物の相対定量が、検出されたアイソトポローグの相対量を比較することによって決定される。絶対定量は、サンプルの1つに標準品(すなわち、既知量で存在する特定のアイソトポローグ)を組み込むことによって行われる。
表5:
下記式のすべてに関して、i≧0、j≧0、l≧0、m≧0、n≧0、o≧0、p≧0、及びq≧0である。
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実施例11(小分子同位体標識の利用):
[0231]他の実施形態において、分析物はペプチド以外の小分子である。この例において、同位体タグ化試薬は、小分子分析物に共有結合で結合できる、又は分析物の合成中に分析物中に組み込むことのできる任意の化合物である。
[0232]図28は、同位体で標識すること及び小分子に結合することのできる42種の小分子標識の構造を示す。これらの小分子標識は、標識が分析物と反応した場合に小分子標識を脱離する1つ又は複数の原子、或いは脱離基(構造中で「LG」と表示される)を含む。したがって、これらの原子又は脱離基は、同位体標識分析物の一部ではない。脱離基は、ペプチド標識がペプチドの官能基、例えばアミン反応性基又はカルボキシル反応性基と反応することを可能にする任意の官能基である。図28の第3列は各化合物(いずれの脱離基(LG)も含まない。)の化学式を示し、第4列はコード化元素式を示す。各化合物に関するコード化元素式を使用して、前記式(1)を、その化合物に関するすべての可能なアイソトポローグを記述する各化合物に関する式を付与するように修正することができる。
[0233]表6aは、図28の小分子標識に関する修正式を示し、ここで、該修正式は、各標識に関する可能な種々のアイソトポローグを記述する。各修正式に関する重い同位体のそれぞれの最大数を第4列に示す。例えば、図28の化合物2は、同位体標識分析物の部分を形成しない脱離基を含み、表6a中で項目2として示され、この化合物に関する修正式は、
(6)123−i 13 9−j 28Si1−q 30Si
である。この化合物の可能なアイソトポローグは、付与されたそれらのそれぞれの修正式に包含される。
[0234]特定の小分子標識に関するアイソトポローグを各サンプル中の分析物に提供し、質量分析中に、アイソトポローグを、それらの分子質量の小さな差異に基づいて検出する。次いで、各サンプル中の分析物の相対定量が、検出されたアイソトポローグの相対量を比較することによって決定される。絶対定量は、サンプルの1つに標準品(すなわち、既知量で存在する特定のアイソトポローグ)を組み込むことによって行われる。
表6a:
下記式のすべてに関して、i≧0、j≧0、l≧0、m≧0、n≧0、o≧0、p≧0、及びq≧0である。
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[0236]本明細書末尾の表6bは、ここで提供される明細書の一部であり、参照により本明細書に組み入れられる。表6bは、本発明の実施形態で有用である42種の小分子標識のアイソトポローグをもたらすコード化元素の可能な組合せを示す。
参考文献
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参照による組み入れ及び変形形態に関する言明
[0237]本出願中のすべての参考文献、例えば、発行若しくは付与特許又は等価体形態を含む特許文書;特許出願公開;及び非特許論文若しくはその他の原資料は、参照により、その全体が、あたかも参照により個別的に組み入れられるように、各参考文献が本出願中の開示と少なくとも部分的に相反することのない程度まで本明細書に組み入れられる(例えば、部分的に相反する参考文献は、該参考文献の部分的に相反する部分を除いて、参照により組み入れられる)。
[0238]本明細書中で採用された用語及び表現は、限定ではなく説明のための用語として使用され、かつこのような用語及び表現の使用に際して、示されかつ説明された特徴又はその一部の任意の等価形態を排除する意図はなく、種々の修正形態が、特許請求される本発明の範囲内で可能であることが認識される。したがって、本発明を、好ましい実施形態、典型的な実施形態、及び任意選択の特徴によって具体的に開示してきたが、開示された本明細書中の概念の修正形態及び変形形態は、当業者にとって常態であり得ること、及びこのような修正形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲に包含されると考えられることを理解されたい。本明細書中で提供された特定の実施形態は、本発明の有用な実施形態の例であり、本発明を、本発明の説明中で示したデバイス、デバイスの構成要素、方法のステップの多数の変形形態を用いて実施できることは、当業者にとって明らかであろう。当業者にとって明らかであるように、本発明の方法に関して有用な方法及びデバイスは、多数の任意選択の組成及び処理要素及びステップを含み得る。
[0239]本明細書中で置換基の群を開示する場合、その群及びすべての下位群のすべての個々のメンバー、例えば、群メンバーの任意の異性体、エナンチオマー、及びジアステレオマーが、個別的に開示されていると理解される。本明細書中で、マーカッシュ群又はその他の群分けを使用する場合、その群のすべての個々のメンバー、並びにその群の可能なすべての組合せ及び下位組合せは、その開示中に個々に包含されると解釈される。本明細書中で、化合物が、該化合物の特定の異性体、エナンチオマー又はジアステレオマーを例えば式又は化学名で特定しないように説明されている場合、その説明は、個々に又は任意の組合せで説明される化合物の各異性体及びエナンチオマーを包含すると解釈される。さらに、特に断らない限り、本明細書に開示の化合物のすべての同位体変異体は、その開示に包含されると解釈される。例えば、開示された分子中の任意の1つ又は複数の水素を重水素又は三重水素で置き換え得ることが理解されるであろう。分子の同位体変異体は、分子に関するアッセイにおける、並びに分子又はその使用に関連した化学的及び生物学的研究における標準品として概して有用である。このような同位体変異体の作製方法は当技術分野で公知である。当業者は、同一化合物を種々に命名することがあることが知られているので、化合物の具体的名称は例示であると解釈される。
[0240]本明細書中で開示される分子の多くは、1つ又は複数のイオン化可能な基[プロトンを除去(例えば−COOH)又は付加(例えばアミン)できるか、或いは第4級化(例えばアミン)できる基]を含む。このような分子のすべての可能なイオン形態及びその塩は、本明細書の開示中に個々に包含されると解釈される。本明細書の化合物の塩に関して、当業者は、広範な種類の利用可能な対イオンの中から、本発明の塩を所与の応用のために調製するのに適したものを選択することができる。具体的応用において、所与のアニオン又はカチオンを選択して塩を調製することによって、その塩の溶解度を増加又は低下させることができる。
[0241]特に断らない限り、本明細書中で説明又は例示される成分のすべての処方又は組合せを使用して本発明を実施することができる。
[0242]本明細書中で、範囲、例えば、温度範囲、時間範囲、又は組成若しくは濃度範囲が示される場合にはいつでも、すべての中間範囲及び下位範囲、並びに示された範囲に包含されるすべての個々の値は、その開示中に包含されると解釈される。本明細書の説明中に包含される任意の下位範囲、又は範囲若しくは下位範囲中の個々の値を、本発明の請求範囲から除外できることも理解されるであろう。
[0243]本明細書中で言及されるすべての特許及び刊行物は、本発明が属する当業者の技術レベルを暗示する。本明細書中で引用される参考文献は、それらの発行又は出願日現在の到達水準を示すために、参照によりその全体が本明細書に組み入れられ、この情報は、必要であれば、従来技術中に存在する特定の実施形態を除外するために本明細書中に採用され得ると解釈される。例えば、物質の組成が特許請求される場合、出願人の発明に先立って当技術分野で公知の及び入手可能な化合物、例えば、実施を可能にする開示が本明細書中で引用される参考文献中で提供されている化合物は、本発明の物質クレームの組成物に包含されるとは解釈されないことを理解されたい。
[0244]本明細書において、「含む(comprising)」は、「包含する(including)」、「含む(containing)」又は「〜によって特徴付けられる(characterized by)」と同義であり、かつ包括的又は非制限的であり、付加的、非列挙の要素又は方法のステップを排除しない。本明細書において、「〜からなる(consisting of)」は、請求要素中で指定されていない任意の要素、ステップ、又は成分を排除する。本明細書において、「本質的には〜からなる(consisting essentially of)」は、請求項の基本的で新規な特徴に実質的影響を及ぼさない材料又はステップを排除しない。本明細書中のそれぞれの例では、用語「含む」、「本質的には〜からなる」及び「〜からなる」のいずれかを、他の2つの用語のどれかで置き換えることができる。明細書中で例示的に説明される本発明は、適切には、本明細書中で具体的に開示されていない任意の要素若しくは要素群、制約若しくは制約群の不在下で実施することができる。
[0245]本明細書及び添付の特許請求の範囲中で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に規定しない限り、複数への言及を包含することに留意しなければならない。したがって、例えば、「細胞(a cell)」への言及は、複数のこのような細胞、及び当業者にとって公知のその等価物、等々を包含する。さらに、用語「a」(又は「an」)、「1つ又は複数」、及び「少なくとも1つ」は、本明細書中で互換的に使用することができる。また、用語「含む(comprising)」、「包含する(including)」、及び「有する(having)」は、互換的に使用できることが留意される。表現「請求項XX〜YYのいずれか一項に記載の」(ここで、XX及びYYは請求項の番号を指す。)は、多数の従属請求項を択一形態で提供すると解釈され、一部の実施形態では、表現「請求項XX〜YYのいずれか一項に記載のような」と互換可能である。
[0246]当業者は、具体的に例示されたもの以外の出発原料、生物学的材料、試薬、合成方法、精製方法、分析方法、アッセイ方法、及び生物学的方法を、本発明の実施において、過度な実験に頼ることなしに採用できることを認識するであろう。任意のこのような材料及び方法の当技術分野で公知のすべての機能的等価形態は、本発明に包含されると解釈される。採用された用語及び表現は、限定ではなく説明のための用語として使用され、このような用語及び表現の使用において、示され説明された特徴又はその一部の任意の等価形態を排除する意図はないが、種々の修正形態が、特許請求される本発明の範囲内で可能であることが認識される。したがって、本発明を、好ましい実施形態及び任意選択の特徴により具体的に開示してきたが、開示された本発明の概念の修正形態及び変形形態は、当業者にとって常態であり得ること、及びこのような修正形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲に包含されると考えられることを理解されたい。
表4b:
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表6b:
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Claims (16)

  1. 複数のサンプル中の分析物の存在量を決定するための方法であって、
    (a)少なくとも第1細胞培養液及び第2細胞培養液を含む複数の細胞培養液を用意するステップ、
    (b)前記細胞培養液の各々に、異なる同位体標識アミノ酸を提供するステップであって、前記細胞培養液の各々の前記同位体標識アミノ酸が同一アミノ酸のアイソトポローグである、ステップ、
    (c)前記細胞培養液の各々の細胞を増殖させ、それによって、各細胞培養液により生成されるタンパク質中に異なる同位体標識を導入するステップ、
    (d)前記細胞培養液の各々についてのサンプルを生成するステップであって、各サンプルは異なる同位体標識分析物によって特徴付けられ、前記サンプルは、少なくとも、第1同位体標識分析物を有する前記第1細胞培養液についての第1サンプル及び第2同位体標識分析物を有する前記第2細胞培養液についての第2サンプルを含み、各サンプルの前記同位体標識分析物はアイソトポローグであり、かつ前記第1同位体標識分析物と前記第2同位体標識分析物との分子質量差が300mDa以下である、ステップ、
    (e)各サンプルについての前記同位体標識分析物を、100000以上の分解能を備える質量分析技術を用いて分析し、それによって、各サンプルの同位体標識分析物についての独立の識別可能な質量分析シグナルを生成するステップ、及び
    (f)各サンプルの同位体標識分析物についての前記質量分析シグナルを比較し、それによって前記複数のサンプル中の分析物の存在量を決定するステップ
    を含む方法。
  2. 前記異なる同位体標識アミノ酸を前記細胞培養液の各々に提供する前記ステップは、同位体標識アミノ酸を含む前記細胞培養液の各々に増殖培地を提供するサブステップを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 各細胞培養液により生成されるタンパク質中に異なる同位体標識を導入する前記ステップは、前記細胞培養液の細胞中への同位体標識アミノ酸の代謝的取り込みを介して達成される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記細胞培養液の各々についてのサンプルを生成する前記ステップは、前記細胞培養液の各々の前記細胞を溶解するサブステップを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記細胞培養液の各々についてのサンプルを生成する前記ステップは、前記細胞培養液の各々のタンパク質を抽出するサブステップを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記細胞培養液の各々についてのサンプルを生成する前記ステップは、前記細胞培養液の各々のタンパク質を消化するサブステップを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記サンプルは、トリプシン又はエンドプロテアーゼLysCを用いて消化される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記同位体標識アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸のアイソトポローグである、請求項1に記載の方法。
  9. 前記同位体標識アミノ酸は、セリン、ロイシン、チロシン、リシン、メチオニン、又はアルギニンのアイソトポローグである、請求項1に記載の方法。
  10. 前記アイソトポローグは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20からなる群から選択される個数の重い安定同位体を有する、請求項9に記載の方法。
  11. 各サンプルの前記同位体標識アミノ酸は、そのコード化元素式に関して、
    123−i 13 4−j 141−n 15 161−o 18(i≦3,j≦4,n≦1,o≦1);
    126−i 13 7−j 144−n 15 161−o 18(i≦6,j≦7,n≦4,o≦1);
    124−i 13 3−j 142−n 15 162−o 18(i≦4,j≦3,n≦2,o≦2);
    124−i 13 3−j 141−n 15 162−o 18(i≦4,j≦3,n≦1,o≦2);
    123−i 13 3−j 141−n 15 161−o 18 321−p 34(i≦3,j≦3,n≦1,o≦1,p≦1);
    125−i 13 5−j 141−n 15 162−o 18(i≦5,j≦5,n≦1,o≦2);
    125−i 13 5−j 142−n 15 162−o 18(i≦5,j≦5,n≦2,o≦2);
    122−i 13 2−j 141−n 15 161−o 18(i≦2,j≦2,n≦1,o≦1);
    126−i 13 5−j 143−n 15 161−o 18(i≦6,j≦5,n≦3,o≦1);
    126−i 13 10−j 141−n 15 161−o 18(i≦6,j≦10,n≦1,o≦1);
    126−i 13 10−j 141−n 15 161−o 18(i≦6,j≦10,n≦1,o≦1);
    126−i 13 9−j 142−n 15 161−o 18(i≦6,j≦9,n≦2,o≦1);
    125−i 13 8−j 141−n 15 161−o 18 321−p 34(i≦5,j≦8,n≦1,o≦1,p≦1);
    129−i 13 8−j 141−n 15 161−o 18(i≦9,j≦8,n≦1,o≦1);
    125−i 13 7−j 141−n 15 161−o 18(i≦5,j≦7,n≦1,o≦1);
    123−i 13 3−j 141−n 15 161−o 18(i≦3,j≦3,n≦1,o≦1);
    124−i 13 5−j 141−n 15 161−o 18(i≦4,j≦5,n≦1,o≦1);
    1211−i 13 8−j 142−n 15 161−o 18(i≦11,j≦8,n≦2,o≦1);
    129−i 13 7−j 141−n 15 161−o 18(i≦9,j≦7,n≦1,o≦1);及び
    125−i 13 8−j 141−n 15 161−o 18(i≦5,j≦8,n≦1,o≦1)
    [これらの式中、i、j、n、o、及びpは、各々独立に整数又は0である。]
    からなる群から選択される同位体組成を有する、請求項1に記載の方法。
  12. 前記同位体標識アミノ酸は、式:
    Figure 0006238375

    [式中、
    N及びNが両方とも15Nであるか、
    N及びNの一方が15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの1つが13Cであるか、
    N及びNの一方が15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか、
    Oが18Oであるか、
    C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであるか、
    C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか、
    H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHである。]
    を有する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記同位体標識アミノ酸は、式:
    Figure 0006238375

    [式中、
    N及びNが両方とも15Nであり、かつOが18Oであるか、
    N及びNが両方とも15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの2つが13Cであるか、
    N及びNが両方とも15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか、
    N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつOが18Oであるか、
    N及びNが両方とも15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか、
    N及びNの1つが15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの3つが13Cであるか、
    N及びNの1つが15Nであり、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであり、かつOが18Oであるか、
    N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか、
    C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつOが18Oであるか、
    N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか、
    C、C、C、C、C及びCの4つが13Cであるか、
    C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであり、かつOが18Oであるか、
    N及びNの1つが15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの3つがHであるか、
    C、C、C、C、C及びCの3つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか、
    H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであり、かつOが18Oであるか、
    C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか、
    C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの3つがHであるか、
    H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの4つがHである。]
    を有する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記同位体標識アミノ酸は、式:
    Figure 0006238375

    [式中、
    N、N、N及びNの2つが15Nであるか、
    N、N、N及びNの1つが15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの1つが13Cであるか、
    N、N、N及びNの1つが15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか、
    Oが18Oであるか、
    C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであるか、
    C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか、
    H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHである。]
    を有する、請求項1に記載の方法。
  15. 前記同位体標識アミノ酸は、式:
    Figure 0006238375

    [式中、
    N、N、N及びNの4つが15Nであるか、
    N、N、N及びNの3つが15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの1つが13Cであるか、
    N、N、N及びNの3つが15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか、
    N、N、N及びNの2つが15Nであり、かつOが18Oであるか、
    N、N、N及びNの2つが15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの2つが13Cであるか、
    N、N、N及びNの2つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか、
    N、N、N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつOが18Oであるか、
    N、N、N及びNの2つが15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか、
    N、N、N及びNの1つが15Nであり、かつC、C、C、C、C及びCの3つが13Cであるか、
    N、N、N及びNの1つが15Nであり、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであり、かつOが18Oであるか、
    N、N、N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか、
    C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつOが18Oであるか、
    N、N、N及びNの1つが15Nであり、C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか、
    C、C、C、C、C及びCの4つが13Cであるか、
    C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであり、かつOが18Oであるか、
    N、N、N及びNの1つが15Nであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの3つがHであるか、
    C、C、C、C、C及びCの3つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの1つがHであるか、
    H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであり、かつOが18Oであるか、
    C、C、C、C、C及びCの2つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの2つがHであるか、
    C、C、C、C、C及びCの1つが13Cであり、かつH、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの3つがHであるか、
    H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H、H及びHの4つがHである。]
    を有する、請求項1に記載の方法。
  16. 前記分析物はタンパク質、ペプチド、修飾タンパク質、又は修飾ペプチドである、請求項1に記載の方法。
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