JP6238357B2 - 鞍乗り型車両の動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、遊星ギヤ機構と、該遊星ギヤ機構の変速段を切り換える変速クラッチとを含む機械式変速機を備える鞍乗り型車両の動力伝達装置に関する。
このような動力伝達装置は、たとえば特許文献1で既に知られている。
特開2012−180916号公報
ところが、特許文献1で開示されたものでは、遊星ギヤ機構および変速クラッチが、動力源からの動力を機械式変速機側に入力する伝動軸と同軸上に配置される構成であるため、伝動軸の軸線に沿う方向で機械式変速機が大型化してしまう。特に、このような動力伝達装置を鞍乗り型車両に搭載する場合には、伝動軸の軸線に沿う方向の大型化が動力伝達装置全体の車幅方向への拡大に繋がる可能性があり、車両のバンク角に影響する可能性もあるため、充分なバンク角が得られるようにすべく伝動軸の軸線に沿う方向で機械式変速機を小型化することが望まれる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、伝動軸の軸線に沿う方向で機械式変速機をコンパクト化して充分なバンク角が得られるようにした鞍乗り型車両の動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、遊星ギヤ機構と、該遊星ギヤ機構の変速段を切り換える変速クラッチとを含む機械式変速機を備える鞍乗り型車両の動力伝達装置において、動力源からの動力を前記機械式変速機側に入力する伝動軸に前記変速クラッチが配設され、前記伝動軸に対して車両前後方向に間隔をあけて配置されるとともに前記伝動軸と平行な軸線を有する中間軸が、前記機械式変速機を収容する伝動ケースに回転自在に支承され、前記遊星ギヤ機構が、前記伝動軸の軸線方向で前記変速クラッチと隣接するようにして前記中間軸に配置され、その遊星ギヤ機構を構成する構成要素の1つに、前記変速クラッチの出力部材が連動、連結されることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記変速クラッチのクラッチインナが前記伝動軸に相対回転不能に連結され、前記変速クラッチの前記出力部材であるクラッチアウタが前記伝動軸に相対回転可能に支持され、前記遊星ギヤ機構は、前記伝動軸からの動力が伝達されるリングギヤと、該リングギヤに噛合する複数の遊星ギヤと、それらの遊星ギヤを回転自在に支持して後輪の車軸に連動、連結される遊星キャリアと、複数の前記遊星ギヤに噛合するサンギヤとを備え、前記クラッチアウタの動力を前記サンギヤに伝達する動力伝達ギヤが前記サンギヤに相対回転不能に連結されて前記中間軸と同軸に配置されることを第2の特徴とする。
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記リングギヤが備えるリング部の外周に、前記伝動軸に設けられるギヤに噛合する外側歯部が形成され、前記遊星ギヤに噛合する内側歯部が前記リング部の内周に形成されることを第3の特徴とする。
本発明は、第2または第3の特徴の構成に加えて、前記リングギヤおよび前記動力伝達ギヤが前記中間軸の軸方向に並んで配置され、前記中間軸の軸線方向から見て前記リングギヤおよび前記動力伝達ギヤに一部が重なるようにして前記変速クラッチの一部が前記中間軸の軸線方向で前記リングギヤおよび前記動力伝達ギヤ間に配置されることを第4の特徴とする。
本発明は、第2〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記車軸に従動ギヤが設けられ、前記遊星キャリアからの動力を前記車軸側に伝達するようにして前記従動ギヤに噛合する出力ギヤが、前記中間軸の軸線に直交する方向から見て前記変速クラッチの一部に重なるようにしつつ前記中間軸の軸線方向で前記リングギヤおよび前記動力伝達ギヤ間に配置されて前記中間軸に相対回転自在に支持されることを第5の特徴とする。
本発明は、第1〜第5の特徴の構成のいずれかに加えて、前記遊星ギヤ機構および前記動力伝達ギヤの少なくとも一方の中央部に、前記中間軸の両端部および前記伝動ケース間に設けられる一対の中間軸用軸受の少なくとも一方の少なくとも一部を収容する第1の凹部が設けられることを第6の特徴とする。
本発明は、第2〜第6の特徴の構成のいずれかに加えて、前記伝動ケースからの前記車軸の突出部に、前記後輪のホイールのハブが固定され、前記ハブおよびリム間に前記伝動ケース側に開放した第2の凹部を形成するようにして前記リムおよび前記ハブ間が複数のスポークで連結され、前記伝動軸の前記後輪側の端部および前記伝動ケース間に介装される伝動軸用軸受の少なくとも一部が、前記ハブおよび前記リムの前記伝動ケース側端部間を結ぶ仮想直線よりも前記後輪の車幅方向中心側で第2の凹部内に収容されることを第7の特徴とする。
本発明は、第2〜第7の特徴の構成のいずれかに加えて、前記伝動ケースが、前記動力源および前記伝動軸間に設けられるベルト式無段変速機を収容するとともに前記後輪側の側面に収容凹部が形成されるベルト式無段変速機収容部と、該ベルト式無段変速機収容部との間に前記機械式変速機を収容する機械式変速機収容室を形成するようにして前記収容凹部を覆って前記ベルト式無段変速機収容部に締結されるカバー部材とで構成され、底部を有して椀状に形成される前記クラッチアウタが、その開放端を前記ベルト式無段変速機収容部側に向けて配置され、前記クラッチアウタの前記底部の外面側に支持される回り止め部材と協働して前記クラッチアウタの回転方向を規制するワンウエイクラッチを構成する規制部材が、前記回り止め部材を係合させることを可能として前記カバー部材側から前記ベルト式無段変速機収容部に取付けられ、前記回り止め部材および前記規制部材が、前記カバー部材および前記ベルト式無段変速機収容部の締結面よりも前記カバー部材側に配置されることを第8の特徴とする。
本発明は、第2〜第8の特徴の構成のいずれかに加えて、前記動力源および前記伝動軸間に所定回転数以上で接続状態となる発進クラッチが設けられ、前記クラッチアウタおよび前記伝動軸間に、前記伝動軸側から前記車軸側に伝達される動力よりも前記車軸側から前記伝動軸側に伝達される動力が大きく、かつ前記伝動軸の回転数が前記所定回転数以上であるときだけ前記クラッチアウタから前記伝動軸に動力を伝達する回転数感応式のワンウエイクラッチが設けられることを第9の特徴とする。
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、前記クラッチアウタに支持される回り止め部材と協働して前記クラッチアウタの回転方向を規制するワンウエイクラッチを構成する規制部材が、前記伝動ケースに弾性支持部材を介して支持されることを第10の特徴とする。
さらに本発明は、第10の特徴の構成に加えて、前記弾性支持部材が、該弾性支持部材の弾性部を前記伝動ケースに直接接触させた非締結構造で前記伝動ケースに支持されることを第11の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば、変速クラッチが、動力源からの動力を機械式変速機側に入力する伝動軸に配設されるのに対して、遊星ギヤ機構が、伝動軸に対して車両前後方向に間隔をあけて配置されるとともに伝動軸と平行な軸線を有する中間軸、伝動軸の軸線方向で変速クラッチと隣接するようにして配置され、遊星ギヤ機構を構成する構成要素の1つに変速クラッチの出力部材が連動、連結されるので、変速クラッチおよび遊星ギヤ機構が車両前後方向にずれて配置され、遊星ギヤ機構および変速クラッチが伝動軸と同軸上に配置される構成のものに比べて伝動軸の軸線に沿う方向で機械式変速機をコンパクト化することができ、鞍乗り型車両にこの動力伝達装置を搭載することで車両のバンク角を確保し易くなり、鞍乗り型車両に好適な動力伝達装置とすることができる。
また本発明の第2の特徴によれば、変速クラッチの出力部材であるクラッチアウタが伝動軸に相対回転可能に支持され、遊星ギヤ機構のサンギヤにクラッチアウタの動力を伝達する動力伝達ギヤがサンギヤに相対回転不能に連結されて中間軸と同軸に配置されるので、変速クラッチおよび遊星ギヤ機構が車両前後方向にずれて配置される構成であっても、後輪の車軸に連動、連結される遊星キャリアからの出力を、変速クラッチの断・接状態に応じたサンギヤの回転数変化によって変化させることができ、機械式変速機の変速段の切換えを容易に行うことができる。また伝動軸および遊星ギヤ機構のリングギヤ間のギヤ比と、動力伝達ギヤおよびクラッチアウタ間のギヤ比とを調整することで遊星キャリアからの出力(変速比)を容易に変更することができる。
本発明の第3の特徴によれば、リングギヤが備えるリング部の外周および内周にそれぞれ形成される外側歯部および内側歯部で動力伝達を行なうようにしたので、遊星ギヤ機構ひいては機械式変速機の軸方向コンパクト化を図ることができる。
本発明の第4の特徴によれば、変速クラッチの一部が、中間軸の軸方向に並ぶリングギヤおよび動力伝達ギヤに、中間軸の軸線方向から見て重なるようにしつつリングギヤおよび動力伝達ギヤ間に配置されるので、中間軸の軸線に沿う方向でリングギヤ、変速クラッチおよび動力伝達ギヤをコンパクトに配置し、中間軸の軸線に沿う方向で機械式変速機をコンパクト化して車両のバンク角をより充分に確保することができるとともに、伝動軸および中間軸の軸間隔もコンパクト化を図ることができる。
本発明の第5の特徴によれば、遊星キャリアからの動力を車軸側に伝達する出力ギヤが、中間軸の軸線に直交する方向から見て変速クラッチの一部に重なるようにしつつ中間軸の軸線方向でリングギヤおよび動力伝達ギヤ間に配置されるので、中間軸の軸線に沿う方向でリングギヤ、出力ギヤ、変速クラッチおよび動力伝達ギヤをよりコンパクトに配置し、中間軸の軸線に沿う方向で機械式変速機をよりコンパクト化することができる。
本発明の第6の特徴によれば、遊星ギヤ機構および動力伝達ギヤの少なくとも一方の中央部に第1の凹部が設けられ、中間軸の両端部および伝動ケース間に設けられる一対の中間軸用軸受の少なくとも一方の少なくとも一部が第1の凹部に収容されるので、少なくとも一方の中間軸用軸受の周囲のスペースに遊星ギヤ機構および動力伝達ギヤの少なくとも一方の少なくとも一部を配置することを可能とし、機械式変変速機を中間軸の軸線方向でよりコンパクト化するとともに軽量化することができる。
本発明の第7の特徴によれば、伝動ケースからの車軸の突出部に後輪のホイールのハブが固定され、伝動ケース側に開放してホイールに形成される第2の凹部内に、伝動軸の後輪側の端部および伝動ケース間に介装される伝動軸用軸受の少なくとも一部が、ハブおよびリムの伝動ケース側端部間を結ぶ仮想直線よりも後輪の車幅方向中心側に配置されるようにして収容されるので、伝動軸を後輪側により近づけて配置することができ、車幅方向外側に動力伝達装置が大型化することを避けて、バンク角を容易に確保することができる。
本発明の第8の特徴によれば、伝動ケースが、ベルト式無段変速機を収容するベルト式無段変速機収容部と、ベルト式無段変速機収容部との間に機械式変速機を収容する機械式変速機収容室を形成してベルト式無段変速機収容部に締結されるカバー部材とで構成され、クラッチアウタに支持される回り止め部材と、クラッチアウタの回転方向を規制するワンウエイクラッチを回り止め部材と協働して構成する規制部材とが、カバー部材およびベルト式無段変速機収容部の締結面よりもカバー部材側に配置されるので、ベルト式無段変速機収容部からカバー部材を外した状態では、回り止め部材および規制部材が締結面よりも外側に配置されることになり、組立が容易となる。しかも底部を有する椀状の前記クラッチアウタが、その開放端をベルト式無段変速機収容部側に向けて配置され、そのクラッチアウタの底部の外面側に回り止め部材が支持されるので、ワンウエイクラッチの組み付け時に回り止め部材や規制部材を目視しながら組み付け作業を行うことができ、組立性がさらに向上する。
本発明の第9の特徴によれば、動力源および伝動軸間に所定回転数以上で接続状態となる発進クラッチが設けられ、クラッチアウタおよび伝動軸間に設けられる回転数感応式のワンウエイクラッチは、伝動軸側から車軸側に伝達される動力よりも車軸側から伝動軸側に伝達される動力が大きく、しかも伝動軸の回転数が前記所定回転数以上であるときだけクラッチアウタから伝動軸に動力を伝達するものであるので、車両減速時に発進クラッチが遮断状態となる前に変速クラッチが遮断状態となったときにもエンジンブレーキを効かせることができる。すなわちクラッチアウタおよび伝動軸間に回転数感応式のワンウエイクラッチが設けられていない場合は、車両減速によって車軸側から遊星ギヤ機構を介して伝動軸側に動力が伝達される際に、変速クラッチが接続状態にあるうちは伝動軸から発進クラッチを介して動力源側に動力が伝わってエンジンブレーキ状態が得られるものの、発進クラッチが遮断状態となる前に変速クラッチが遮断状態となると、変速クラッチが遮断状態となった時点でサンギヤの増速が許容されることになり、遊星キャリアからの動力がサンギヤの増速で吸収されてしまい、エンジンブレーキが充分に効かず、発進クラッチが遮断状態となるまでの間、空走感が生じてしまうのであるが、クラッチアウタおよび伝動軸間に設けられる回転数感応式のワンウエイクラッチが、発進クラッチの遮断前に変速クラッチが遮断してもクラッチアウタから伝動軸に動力を伝達することでエンジンブレーキが効くようになる。しかも押し歩きのような低速で後輪を回転させた場合に回転数感応式のワンウエイクラッチはクラッチアウタの空転を許容するので、車両の取り回しが容易となる。
本発明の第10の特徴によれば、クラッチアウタの回転方向を規制するワンウエイクラッチを、クラッチアウタに支持される回り止め部材と協働して構成する規制部材が、伝動ケースに弾性支持部材を介して支持されるので、規制部材に回り止め部材が接触、係合する際に生じる振動や騒音が伝動ケース側に伝達されるのを抑制することができ、伝動ケースの振動や伝動ケースから生じる騒音の低減を図ることができる。
さらに本発明の第11の特徴によれば、弾性支持部材が、締結されることなく伝動ケースに支持され、弾性支持部材の弾性部が前記伝動ケースに直接接触するので、締結構造ではボルト等の剛性部材を介して振動や騒音が伝動ケース側に伝達されるのに対して、そのような剛性部材を介しての伝達を回避して一層効果的な振動、騒音対策とすることができる。
第1の実施の形態のパワーユニットの一部切欠き横断平面図である。 図1の要部拡大図である。 図2の3−3線矢視図である。 図2の4−4線断面図である。 図2の5−5線断面図である。 発進クラッチおよび変速クラッチの接続および遮断回転数を対比して示す図である。 第2の実施の形態の図2に対応した断面図である。 図7の8−8線断面図である。 第3の実施の形態の図2に対応した断面図である。 第4の実施の形態の図2に対応した断面図である。 第5の実施の形態の図2に対応した断面図である。 図11の12矢示部拡大図である。 図11の13−13線矢視図である。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照しながら説明する。
本発明の第1の実施の形態について図1〜図6を参照しながら説明すると、先ず図1において、このパワーユニットPは、鞍乗り型車両たとえば自動二輪車に搭載されるものであり、動力源である空冷式のエンジンEと、該エンジンEからの動力を後輪WRに伝達する動力伝達装置Tとから成る。この動力伝達装置Tは、エンジンEのクランクケース11で回転自在に支承されるクランクシャフト12の回転動力をその回転速度無段階に変速するようにして伝達するベルト式無段変速機13と、伝動軸14および前記ベルト式無段変速機13間に介設される遠心式の発進クラッチ15と、前記伝動軸14および前記後輪WRの車軸16間に設けられる機械式変速機17Aとを備え、機械式変速機17Aは、遊星ギヤ機構18と、該遊星ギヤ機構18の変速段を切り換える遠心式の変速クラッチ19とを含む。
前記動力伝達装置Tは、前記クランクケース11に連設されて後方に延びるとともに前記後輪WRの左側に配置される伝動ケース20Aに収容されるものであり、該伝動ケース20Aは、前記ベルト式無段変速機13および前記発進クラッチ15を収容するベルト式無段変速機収容室21を形成するベルト式無段変速機収容部23Aと、該ベルト式無段変速機収容部23Aとの間に前記機械式変速機17Aを収容する機械式変速機収容室22を形成するようにして前記ベルト式無段変速機収容部23Aに締結される右側カバー部材24Aとで構成される。
図2および図3を併せて参照して、前記ベルト式無段変速機収容部23Aは、前記クランクケース11に一体に連なって後方に延びるケース主体25Aと、該ケース主体25Aを左側から覆うようにして前記ケース主体25Aに結合される左側カバー部材26Aとから成る。前記ベルト式無段変速機収容部23Aの前記後輪WR側の側面すなわち前記ケース主体25Aの後部の前記後輪WR側の側面には収容凹部27が形成され、前記右側カバー部材24Aは、前記収容凹部27の開口端を囲むように前記ケース主体25Aに形成される締結面28に、前記収容凹部27を覆うようにして締結される。
前記ベルト式無段変速機13は、前記伝動ケース20Aの前記ベルト式無段変速機収容室21内に突入する前記クランクシャフト12の一端部に設けられる駆動プーリ30と、前記クランクシャフト12と平行な軸線を有する前記伝動軸14に相対回転可能に支持される従動プーリ31とに、無端状のVベルト32が巻き掛けられて成る。
前記駆動プーリ30は、前記クランクシャフト12に固定される固定プーリ半体33と、該固定プーリ半体33に対して近接・離間が可能な可動プーリ半体34とを備え、可動プーリ半体34は、クランクシャフト12に固定されたランププレート35および可動プーリ半体34間に配置されるウエイトローラ36に作用する遠心力によって軸方向に駆動される。
前記従動プーリ31は、前記伝動軸14を同軸に囲繞しつつ該伝動軸14に相対回転可能に支承される円筒状の内筒39に固定される固定プーリ半体37と、前記内筒39に対する軸方向相対移動および相対回動を可能として前記内筒39を同軸に囲繞する外筒40に固定されることで前記固定プーリ半体37に対する近接・離反を可能とした可動プーリ半体38とで構成され、固定プーリ半体37および可動プーリ半体38間にVベルト32が巻き掛けられる。また可動プーリ半体37および固定プーリ半体38間の相対回転位相差に応じて両プーリ半体37,38間に軸方向の分力を作用せしめるトルクカム機構41が、前記内筒39および前記外筒40間に設けられ、可動プーリ半体38はコイルスプリング42によって固定プーリ半体37側に向けて弾発付勢される。
図4を併せて参照して、前記発進クラッチ15は、エンジン回転数が予め定められた発進回転数以上となるのに応じて接続状態となるようにして前記伝動軸14の一端部および前記内筒39間に設けられるものであり、前記伝動軸14の一端部に固定される椀状のクラッチアウタ43と、前記内筒39に固定されるクラッチインナ44と、該クラッチインナ44の複数箇所に軸47を介して軸支される遠心ウエイト45と、各遠心ウエイト45および前記クラッチインナ44間に設けられるクラッチばね46とを備えてリーディング型に構成されるものであり、クラッチインナ44が矢印で示す方向に回転するのに応じて各遠心ウエイト45…に作用する遠心力が各クラッチばね46のばね付勢力を上回ったときに遠心ウエイト45が開き、遠心ウエイト45の先端がクラッチアウタ43の内周に接触して摩擦係合することで、内筒39すなわち固定プーリ半体37とクラッチアウタ43すなわち伝動軸14とが結合され、接続状態となる。このようなリーディング型の発進クラッチ15は、遠心ウエイト45がクラッチアウタ43に噛み込む方向に作動するのでクラッチの滑りが小さい。
前記発進クラッチ15の前記クラッチアウタ43が軸方向一端部に固定される前記伝動軸14は、前記ベルト式無段変速機収容部23Aにおける前記ケース主体25Aに設けられる円筒状の第1軸受ハウジング49を回転自在に貫通し、右側カバー部材24Aに一体に設けられる有底円筒状の第2軸受ハウジング50で前記伝動軸14の他端部が回転自在に支承される。
第1軸受ハウジング49および前記伝動軸14間には、前記ベルト式無段変速機収容室21側から順に、環状のシール部材51と、第1の伝動軸用軸受である第1の伝動軸用ボールベアリング52とが介装され、前記右側カバー部材24Aの第2軸受ハウジング50と、前記伝動軸14の前記後輪WR側の端部すなわち他端部との間には、第2の伝動軸用軸受である第2の伝動軸用ボールベアリング53が介装される。
前記伝動ケース20Aには、前記伝動軸14に対して車両前後方向に間隔をあけて配置される中間軸54Aが回転自在に支承されており、この実施の形態では、前記中間軸54Aは、前記伝動軸14に対して車両前後方向の後方かつ下方に配置される。
前記ケース主体25Aには、前記中間軸54Aの一端部を回転自在に支承する有底円筒状の第3軸受ハウジング55が一体に設けられ、右側カバー部材24Aには、前記中間軸54Aの他端部を回転自在に支承する有底円筒状の第4軸受ハウジング56が一体に設けられる。前記中間軸54Aの一端部および第3軸受ハウジング55間には第1の中間軸用軸受である第1の中間軸用ボールベアリング57が介装され、前記中間軸54Aの他端部および第4軸受ハウジング56間には第2の中間軸用軸受である第2の中間軸用ボールベアリング58が介装される。
前記後輪WRの車軸16は、前記伝動軸14および前記中間軸54Aと平行な軸線を有して前記中間軸54Aの車両前後方向の後方かつ上方に配置され、前記ケース主体25Aには、前記後輪WRの一端部を回転自在に支承する有底円筒状の第5軸受ハウジング59が一体に設けられ、前記右側カバー部材24Aには、前記車軸16の中間部を回転自在に貫通せしめる円筒状の第6軸受ハウジング60が一体に設けられる。
第5軸受ハウジング59および前記車軸16の一端部間には、第1の車軸用ボールベアリング61が介装され、第6軸受ハウジング60および前記車軸16間には、前記機械式変速機収容室22側から順に、環状のシール部材62と、第2の車軸用ボールベアリング63とが介装される。
前記変速クラッチ19は、前記エンジンEからの動力を前記ベルト式無段変速機13および前記発進クラッチ15を介して前記機械式変速機17A側に入力する前記伝動軸14に配設され、前記遊星ギヤ機構18は、前記伝動軸14の軸線方向で前記変速クラッチ19と隣接するようにして前記中間軸54Aに配置されており、前記変速クラッチ19の出力部材であるクラッチアウタ80が、前記遊星ギヤ機構18を構成する構成要素の1つであるサンギヤ68に連動、連結される。
前記遊星ギヤ機構18は、前記伝動軸14からの動力が伝達されるリングギヤ65と、該リングギヤ65に噛合する複数の遊星ギヤ66と、それらの遊星ギヤ66を回転自在に支持して後輪WRの車軸16に連動、連結される遊星キャリア67と、前記中間軸54Aに相対回転自在に支承されて複数の前記遊星ギヤ66に噛合するサンギヤ68とを備え、前記変速クラッチ19におけるクラッチアウタ80の動力を前記サンギヤ68に伝達する第1の動力伝達ギヤ69Aが前記サンギヤ68に相対回転不能に連結されて前記中間軸54Aと同軸に配置され、該中間軸54Aに相対回転自在に支承される。
前記中間軸54Aと同軸のリング部72を有する前記リングギヤ65は、第1の中間軸用ボールベアリング57の内輪に隣接した位置で前記中間軸54Aを囲繞して該中間軸54Aに相対回転自在に支承される円筒状のボス部材70に固着されており、前記リング部72の外周に前記伝動軸14に一体に設けられるギヤ75Aに噛合する外側歯部73が形成され、前記リング部72の内周に前記遊星ギヤ66に噛合する内側歯部74が形成される。
前記リングギヤ65が固着される前記ボス部材70と、第2の中間軸用ボールベアリング58の内輪との間には、前記中間軸54Aを囲繞する伝動筒軸76が、該中間軸54Aに相対回転自在に支承されるようにして配置されており、前記サンギヤ68は前記伝動筒軸76の一端部に固着される。また前記伝動筒軸76には、該伝動筒軸76を囲繞する出力ギヤ77が相対回転自在に支承されており、前記遊星キャリア67は、前記遊星ギヤ66…を軸方向で前記リングギヤ65との間に挟む位置に配置されて前記出力ギヤ77に固定され、前記出力ギヤ77に噛合する従動ギヤ78が前記車軸16に設けられる。
図5を併せて参照して、前記変速クラッチ19は、前記遊星ギヤ機構18の前記リングギヤ65に噛合するようにして前記伝動軸14に一体に設けられた前記ギヤ75Aを、第1の伝動軸用ボールベアリング52との間に挟む位置に配置されており、前記伝動軸14に相対回転不能に連結されるクラッチインナ79と、前記伝動軸14に相対回転可能に支持されるクラッチアウタ80と、前記クラッチインナ79の複数箇所に軸48を介して軸支される遠心ウエイト81と、各遠心ウエイト81および前記クラッチインナ79間に設けられるクラッチばね82とを備え、トレーリング型に構成される。
この変速クラッチ19では、前記伝動軸14とともに矢印で示す方向に回転する前記クラッチインナ79の回転に応じて各遠心ウエイト81に作用する遠心力が各クラッチばね82のばね付勢力を上回ったときに遠心ウエイト81がクラッチアウタ80の内周に摩擦係合することで、接続状態となってクラッチアウタ80が前記伝動軸14とともに回転する。しかもこのような変速クラッチ19は、遠心ウエイト81が軸48に近い側からクラッチアウタ80に接触するものであり、遠心ウエイト81がなめるようにクラッチアウタ80に接触するので、リーディング型に比べて滑りが生じ易い。
この変速クラッチ19が遮断状態から接続状態となる接続回転数は、図6で示すように前記発進クラッチ15が遮断状態から接続状態となる接続回転数よりも高く、また前記発進クラッチ19が接続状態から遮断状態となる遮断回転数も前記発進クラッチ15が接続状態から遮断状態となる遮断回転数よりも高い。
前記変速クラッチ19の前記クラッチアウタ80は、底部80aを有して椀状に形成されており、その開放端を前記ベルト式無段変速機収容部23A側に向けて配置される。このクラッチアウタ80における底部80aの内周は、前記伝動軸14にニードルベアリング83を介して相対回転自在に支承される円筒状の筒体84に固定されており、この筒体84の外周の一部に形成される第2の動力伝達ギヤ85に噛合する第1の動力伝達ギヤ69Aが、前記中間軸54Aに相対回転自在に支承される前記伝動筒軸76の他端部に相対回転不能に連結される。すなわち前記変速クラッチ19における前記クラッチアウタ80の動力を前記サンギヤ68に伝達する第1の動力伝達ギヤ69Aが前記サンギヤ68に相対回転不能に連結されて前記中間軸54Aと同軸に配置されることになる。
前記リングギヤ65および第1の動力伝達ギヤ69Aは、前記中間軸54Aの軸方向に並んで配置されており、前記中間軸54Aの軸線方向から見て前記リングギヤ65および第1の動力伝達ギヤ69Aに一部が重なるようにして前記変速クラッチ19の一部が前記中間軸54Aの軸線方向で前記リングギヤ65および第1の動力伝達ギヤ69A間に配置される。
しかも前記遊星キャリア67からの動力を前記車軸16側に伝達するようにして前記車軸16の前記従動ギヤ78に噛合する出力ギヤ77が、前記中間軸54Aの軸線に直交する方向から見て前記変速クラッチ19の一部に重なるようにしつつ前記中間軸54Aの軸線方向で前記リングギヤ65および第1の動力伝達ギヤ69A間に配置される。
また前記遊星ギヤ機構18および第1の動力伝達ギヤ69Aの少なくとも一方の中央部に、前記中間軸54Aの両端部および前記伝動ケース20A間に設けられる第1および第2の中間軸用ボールベアリング57,58の少なくとも一方の少なくとも一部を収容する第1の凹部が設けられるものであり、この実施の形態では、前記遊星ギヤ機構18におけるリングギヤ65の中央部に第1の中間軸用ボールベアリング57の一部を収容する第1の凹部86が形成され、第1の動力伝達ギヤ69Aの中央部に第2の中間軸用ボールベアリング58の一部を収容する第1の凹部87Aが形成される。
前記伝動ケース20Aからの前記車軸16の突出部すなわち前記車軸16の他端部には、前記後輪WRのホイール88のハブ89が固定される。前記ホイール88は、前記ハブ89と、タイヤ93が装着されるリム90との間に複数のスポーク91が設けられて成るものであるが、前記スポーク91が、前記リム90および前記ハブ89間に前記伝動ケース20A側に開放した第2の凹部92を形成するように形成される。
しかも前記伝動軸14の前記後輪WR側の端部および前記伝動ケース20A間に介装される第2の伝動軸用ボールベアリング53の少なくとも一部、この実施の形態では、第2の伝動軸用ボールベアリング53の一部が、前記ハブ89および前記リム90の前記伝動ケース20A側端部間を結ぶ仮想直線Lよりも前記後輪WRの車幅方向中心側で第2の凹部92内に収容される。
図3に注目して、前記変速クラッチ19における前記クラッチアウタ80の回転方向は、ワンウエイクラッチ94で規制されるものであり、このワンウエイクラッチ94は、前記クラッチアウタ80における前記底部80aの外面側に支持される複数の回り止め部材95と、それらの回り止め部材95を係合させることを可能として前記右側カバー部材24A側から前記伝動ケース20Aの前記ベルト式無段変速機収容部23Aに取付けられる規制部材96とを備える。
前記規制部材96は、外側方に延びる一対の取付け腕部96a,96aを有してリング状に形成されており、前記ベルト式無段変速機収容部23Aの締結面28との間に円筒状のカラー97を介在させた前記取付け腕部96a,96aが、ボルト98によって前記締結面28に前記右側カバー部材24A側から取付けられる。
この規制部材96の内周にはゴム等の弾性材料から成るリング部96bが一体に形成されており、このリング部96bの内周には、複数個たとえば12個の係止凹部99がたとえば30度ずつの角度を相互間にあけて周方向等間隔に形成されるとともに、前記クラッチアウタ80の矢印101で示す回転方向に沿う前方に向かうにつれて前記クラッチアウタ80の半径方向内方位置にあるように形成して前記各係止凹部99間に配置される傾斜面100とが形成される。
一方、前記変速クラッチ19の前記クラッチアウタ80における底部80aの外面には、複数個たとえば4個の枢軸102が周方向に等間隔をあけて植設されており、それらの枢軸102に、くびれを有する軽量部95aと、くびれのない重量部95bとが前記枢軸102の両側に位置するように形成された前記回り止め部材95が回動自在に支承される。しかも前記枢軸102は、前記規制部材96の内周の係止凹部99,99に前記底部80aの軸対称位置にある一対の回り止め部材95,95が係合しているときに他の一対の回り止め部材95,95が前記係止凹部99,99に係合することがないようにして前記底部80aに配設されており、この実施の形態では、前記底部80aの軸対称位置にある一対の枢軸102,102と、他の一対の枢軸102,102との間の角度は75度である。
前記回り止め部材95は、軽量部95aの先端が前記底部80aの半径方向外方を向くようにばね付勢されており、クラッチアウタ80が回転したときには重量部95bに前記底部80aの半径方向外方に向けての遠心力が作用し、回り止め部材95は前記底部80aに植設されたストッパピン106に当接して、その回動位置を保持する。
このようなワンウエイクラッチ94では、前記クラッチアウタ80に前記矢印101とは逆方向の矢印107で示す方向に回転させる力が作用したときには、前記底部80aの軸対称位置にある一対の回り止め部材95,95が規制部材96の係止凹部99,99に係合してクラッチアウタ80の回転を規制する。また前記クラッチアウタ80に前記矢印101で示す方向に回転させる力が作用したときには、前記回り止め部材95と前記規制部材96との係合が解除され、前記クラッチアウタ80が前記矢印101で示す方向に回転することになる。
このような動力伝達装置Tでは、エンジンEの回転速度が発進回転数以上となるのに応じて発進クラッチ15が接続状態となり、伝動軸14から機械式変速機17Aに回転動力が入力され、変速クラッチ19のクラッチインナ79が回転し始めるともに、伝動軸14に設けられたギヤ75Aに噛合したリングギヤ65が回転し始める。この場合、伝動軸14の回転数が変速クラッチ19を接続させる回転速度に達するまでは変速クラッチ19は遮断状態である。前記リングギヤ65の回転によって、サンギヤ68には、遊星ギヤ66…を介して前記リングギヤ65とは反対方向に回転する側の力が作用することになる。このサンギヤ68は伝動筒軸76、第1の動力伝達ギヤ69A、第2の動力伝達ギヤ85および前記筒体84を介して変速クラッチ19のクラッチアウタ80に連動、連結されており、前記サンギヤ68から前記変速クラッチ19の前記クラッチアウタ80には、前記伝動軸14の回転方向と逆方向に回転させる力が作用することになり、該クラッチアウタ80の回転がワンウエイクラッチ94によって規制されるので、前記サンギヤ68も静止状態に保持される。したがって各遊星ギヤ66が、静止したサンギヤ68のまわりを遊星キャリア67とともに回転することになり、伝動軸14の回転数よりも減速された回転数で回転する遊星キャリア67から出力ギヤ77および従動ギヤ78を介して後輪WRの車軸16に回転動力が伝達される。すなわち機械式変速機17Aの変速段は「LOW」である。
伝動軸14の回転速度がさらに増大して変速クラッチ19が接続すると、ワンウエイクラッチ94による規制が解除されて変速クラッチ19のクラッチアウタ80が伝動軸14とともに回転し、遊星ギヤ機構18では、サンギヤ68がリングギヤ65と同方向に回転することになり、遊星ギヤ機構18での各ギヤの回転差がなくなって機械式変速機17Aの変速段が「HIGH」となる。しかもこのような機械式変速機17Aでの変速段切換は、ベルト式無段変速機13での変速比が低い状態で生じるものである。
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、エンジンEからの動力をベルト式無段変速機13および発進クラッチ15を介して機械式変速機17A側に入力する伝動軸14に変速クラッチ19が配設され、伝動軸14に対して車両前後方向に間隔をあけて配置されるとともに前記伝動軸14と平行な軸線を有する中間軸54Aが伝動ケース20Aに回転自在に支承され、前記伝動軸14の軸線方向で前記変速クラッチ19と隣接するようにして前記中間軸54Aに配置される遊星ギヤ機構18を構成する構成要素の1つであるサンギヤ68に前記変速クラッチ19の出力部材であるクラッチアウタ80が連動、連結されるので、変速クラッチ19および遊星ギヤ機構18が車両前後方向にずれて配置され、遊星ギヤ機構18および変速クラッチ19が伝動軸14と同軸上に配置される構成のものに比べて伝動軸14の軸線に沿う方向で機械式変速機17Aをコンパクト化することができ、自動二輪車のような鞍乗り型車両にこの動力伝達装置Tを搭載することで車両のバンク角を確保し易くなり、鞍乗り型車両に好適な動力伝達装置Tとすることができる。
また前記変速クラッチ19のクラッチインナ79が前記伝動軸14に相対回転不能に連結され、前記変速クラッチ19の前記クラッチアウタ80が前記伝動軸14に相対回転可能に支持され、前記遊星ギヤ機構18は、前記伝動軸14からの動力が伝達されるリングギヤ65と、該リングギヤ65に噛合する複数の遊星ギヤ66と、それらの遊星ギヤ66を回転自在に支持して後輪WRの車軸16に連動、連結される遊星キャリア67と、前記中間軸54Aに相対回転自在に支承されて複数の前記遊星ギヤ66に噛合するサンギヤ68とを備え、前記クラッチアウタ80の動力を前記サンギヤ68に伝達する第1の動力伝達ギヤ69Aが前記サンギヤ68に相対回転不能に連結されて前記中間軸54Aと同軸に配置されるので、変速クラッチ19および遊星ギヤ機構18が車両前後方向にずれて配置される構成であっても、後輪WRの車軸16に連動、連結される遊星キャリア67からの出力を、変速クラッチ19の断・接状態に応じたサンギヤ68の回転速度変化によって変化させることができ、機械式変速機17Aの変速段の切換えを容易に行うことができる。また伝動軸14および遊星ギヤ機構18のリングギヤ65間のギヤ比と、第1の動力伝達ギヤ69Aおよびクラッチアウタ80間のギヤ比とを調整することで遊星キャリア67からの出力(変速比)を容易に変更することができる。
また前記リングギヤ65が備えるリング部72の外周に、前記伝動軸14に設けられるギヤ75Aに噛合する外側歯部73が形成され、前記遊星ギヤ66…に噛合する内側歯部74が前記リング部72の内周に形成されるので、リングギヤ65が備えるリング部72の外周および内周にそれぞれ形成される外側歯部73および内側歯部74で動力伝達が行なわれることになり、遊星ギヤ機構18ひいては機械式変速機17Aの軸方向コンパクト化を図ることができる。
また前記リングギヤ65および第1の動力伝達ギヤ69Aが前記中間軸54Aの軸方向に並んで配置され、前記中間軸54Aの軸線方向から見て前記リングギヤ65および第1の動力伝達ギヤ69Aに一部が重なるようにして前記変速クラッチ19の一部が前記中間軸54Aの軸線方向で前記リングギヤ65および第1の動力伝達ギヤ69A間に配置されるので、中間軸54Aの軸線に沿う方向でリングギヤ65、変速クラッチ19および第1の動力伝達ギヤ69Aをコンパクトに配置し、中間軸54Aの軸線に沿う方向で機械式変速機17Aをコンパクト化して車両のバンク角をより充分に確保することができるとともに、伝動軸14および中間軸54Aの軸間隔もコンパクト化を図ることができる。
また後輪WRの前記車軸16に従動ギヤ78が設けられ、前記遊星キャリア67からの動力を前記車軸16側に伝達するようにして前記従動ギヤ78に噛合する出力ギヤ77が、前記中間軸54Aの軸線に直交する方向から見て前記変速クラッチ19の一部に重なるようにしつつ前記中間軸54Aの軸線方向で前記リングギヤ65および第1の動力伝達ギヤ69A間に配置されるので、中間軸54Aの軸線に沿う方向でリングギヤ65、出力ギヤ77、変速クラッチ19および第1の動力伝達ギヤ69Aをよりコンパクトに配置し、中間軸54Aの軸線に沿う方向で機械式変速機17Aをよりコンパクト化することができる。
また前記遊星ギヤ機構18および第1の動力伝達ギヤ69Aの少なくとも一方の中央部に、前記中間軸54Aの両端部および前記伝動ケース20A間に設けられる第1および第2の中間軸用ボールベアリング57,58の少なくとも一方の一部を収容する第1の凹部が設けられるものであり、この実施の形態では、前記遊星ギヤ機構18におけるリングギヤ65の端板部71の中央部に第1の中間軸用ボールベアリング57の一部を収容する第1の凹部86が形成され、第1の動力伝達ギヤ69Aの中央部に第2の中間軸用ボールベアリング58の一部を収容する第1の凹部87Aが形成されるので、第1および第2の中間軸用ボールベアリング57,58の周囲のスペースに遊星ギヤ機構18および第1の動力伝達ギヤ69Aの一部を配置することを可能とし、機械式変速機17Aを中間軸54Aの軸線方向でよりコンパクト化するとともに軽量化することができる。
また前記伝動ケース20Aからの前記車軸16の突出部に、前記後輪WRのホイール88のハブ89が固定され、前記ハブ89およびリム90間に前記伝動ケース20A側に開放した第2の凹部92を形成するようにして前記リム90および前記ハブ89間が複数のスポーク91で連結され、前記伝動軸14の前記後輪WR側の端部および前記伝動ケース20A間に介装される第2の伝動軸用ボールベアリング53の少なくとも一部(この実施の形態では一部)が、前記ハブ89および前記リム90の前記伝動ケース20A側端部間を結ぶ仮想直線Lよりも前記後輪WRの車幅方向中心側で第2の凹部92内に収容されるので、伝動軸14を後輪WR側により近づけて配置することができ、車幅方向外側に動力伝達装置Tが大型化することを避けてバンク角を容易に確保することができる。
さらに前記伝動ケース20Aが、前記エンジンEおよび前記伝動軸14間に設けられるベルト式無段変速機13を収容するとともに前記後輪WR側の側面に収容凹部27が形成されるベルト式無段変速機収容部23Aと、該ベルト式無段変速機収容部23Aとの間に前記機械式変速機17Aを収容する機械式変速機収容室22を形成するようにして前記収容凹部27を覆って前記ベルト式無段変速機収容部23Aに締結される右側カバー部材24Aとで構成され、変速クラッチ94において底部80aを有して椀状に形成されるクラッチアウタ80に支持される回り止め部材95と協働して前記クラッチアウタ80の回転方向を規制するワンウエイクラッチ94を構成する規制部材96が、前記回り止め部材95を係合させることを可能として右側カバー部材24A側から前記ベルト式無段変速機収容部23Aに取付けられ、前記回り止め部材95および前記規制部材96が、前記右側カバー部材24Aおよび前記ベルト式無段変速機収容部23Aの締結面28よりも前記右側カバー部材24A側に配置されるので、ベルト式無段変速機収容部23Aから右側カバー部材24Aを外した状態では、回り止め部材95および規制部材96が締結面28よりも外側に配置されることになり、組立が容易となる。しかも開放端を前記ベルト式無段変速機収容部23A側に向けて配置されるクラッチアウタ80の前記底部80aの外面側に回り止め部材95が支持されるので、ワンウエイクラッチ94の組み付け時に回り止め部材95や規制部材96を目視しながら組み付け作業を行うことができ、組立性がさらに向上する。
本発明の第2の実施の形態について図7および図8を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分については詳細な説明を省略し、対応する符号を付して図示するのみとする。
先ず図7において、伝動ケース20Bは、前記ベルト式無段変速機13および前記発進クラッチ15を収容するベルト式無段変速機収容室21を形成するベルト式無段変速機収容部23Aと、該ベルト式無段変速機収容部23Aに締結される右側カバー部材24Bとで構成され、ベルト式無段変速機収容部23Aおよび右側カバー部材24B間に、機械式変速機17Bが収容される。
前記右側カバー部材24Bおよび伝動軸14間に介装される伝動軸用ボールベアリング53の少なくとも一部、この実施の形態では伝動軸用ボールベアリング53の全部は、後輪WRのホイール88におけるハブ89およびリム90の前記伝動ケース20B側端部間を結ぶ仮想直線Lよりも前記後輪WRの車幅方向中心側で、前記ホイール88の第2の凹部92内に収容される。
前記機械式変速機17Bが備える変速クラッチ19の前記クラッチインナ79は、前記伝動軸14に固定される円筒状のボス部材109に固着されており、前記変速クラッチ19の前記クラッチアウタ80が有する底部80aは、前記ボス部材109を同軸に囲繞する大径円筒部110aと、前記伝動軸14との間にニードルベアリング108が介装される小径円筒部110bとを一体に有する段付き円筒体110に固着されており、中間軸54Aに相対回転自在に支承される伝動筒体76に固着される第1の動力伝達ギヤ69Bに噛合する第2の動力伝達ギヤ111も前記段付き円筒体110に固定される。また前記変速クラッチ19における前記クラッチアウタ80の回転方向は、ワンウエイクラッチ94で規制される。
第1の動力伝達ギヤ69Bの中央部には、第2の中間軸用ボールベアリング58の全部を収容する第1の凹部87Bが形成される。
前記伝動軸14に相対回転自在に支承される前記段付き円筒体110における大径円筒部110aと、前記伝動軸14に固定されるボス部材109との間には、回転数感応式のワンウエイクラッチ112が設けられる。
図8において、回転数感応式のワンウエイクラッチ112は、前記段付き円筒体110の大径円筒部110a内に同軸に配置されて前記ボス部材109の外周にスプライン嵌合によって固定される内輪113と、該内輪113の周方向複数箇所に設けられる凹部114に収容される短円柱状の錐体115と、前記凹部114に周方向で隣接した位置で前記内輪113の外周に設けられるカム面116に当接するクラッチローラ117と、該クラッチローラ117を前記錐体115に当接させる方向に付勢するアコーディオンばね118とを備え、前記大径円筒部110aおよび前記ボス部材109間のスペースに前記錐体115…および前記クラッチローラ117…を保持するようにして前記内輪113に取付けられる保持器119に設けられるばね受け部119aおよび前記クラッチローラ117間に前記アコーディオンばね118が設けられ、そのアコーディオンばね118から付勢される前記錐体115を受ける錐体作動面119bが前記保持器119に設けられる。
このような回転数感応式のワンウエイクラッチ112では、伝動軸14の回転数が発進クラッチ15の接続状態となる所定回転数以上で図8の時計方向に回転すると、前記錐体115が遠心力によって錐体作動面119bに沿って外方に移動し、アコーディオンばね118のばね力に抗して前記クラッチローラ117を押圧し、前記クラッチローラ117が前記カム面116および前記大径円筒部110a間に挟圧される。この状態で前記伝動軸14側から前記車軸16側に伝達される動力よりも前記車軸16側から前記伝動軸14側に伝達される動力が大きいときには、前記クラッチアウタ30から伝動軸14に動力を伝達するが、それとは逆に、前記車軸16側から前記伝動軸14側に伝達される動力よりも前記伝動軸14側から前記車軸16側に伝達される動力が大きいときには、クラッチローラ117が空転自在となり、回転は伝達されない。
この第2の実施の形態によれば、変速クラッチ19および遊星ギヤ機構18が車両前後方向にずれて配置され、遊星ギヤ機構18および変速クラッチ19が伝動軸14と同軸上に配置される構成のものに比べて伝動軸14の軸線に沿う方向で機械式変速機17Bをコンパクト化することができ、自動二輪車のような鞍乗り型車両にこの動力伝達装置を搭載することで車両のバンク角を確保し易くなり、鞍乗り型車両に好適な動力伝達装置とすることができる。
また右側カバー部材24Bおよび伝動軸14間に介装される伝動軸用ボールベアリング53の全部が、後輪WRのホイール88におけるハブ89およびリム90の前記伝動ケース20B側端部間を結ぶ仮想直線Lよりも前記後輪WRの車幅方向中心側で、前記ホイール88の第2の凹部92内に収容されるので、機械式変速機17Bを中間軸54Aの軸線方向でよりコンパクト化することができる。
また第1の動力伝達ギヤ69Bの中央部に第2の中間軸用ボールベアリング58の全部を収容する第1の凹部87Bが形成されるので、第2の中間軸用ボールベアリング58の周囲のスペースに第1の動力伝達ギヤ69Bの一部を配置することを可能とし、機械式変速機17Bを中間軸54Aの軸線方向でよりコンパクト化することができる。
さらに変速クラッチ19のクラッチアウタ80および前記伝動軸14間に、前記伝動軸14側から前記車軸16側に伝達される動力よりも前記車軸16側から前記伝動軸14側に伝達される動力が大きく、かつ前記伝動軸14の回転数が発進クラッチ15が接続状態となる所定回転数以上であるときだけ前記クラッチアウタ80から前記伝動軸14に動力を伝達する回転数感応式のワンウエイクラッチ112が設けられるので、車両減速時に発進クラッチ15が遮断状態となる前に変速クラッチ19が遮断状態となったときにもエンジンブレーキを効かせることができる。すなわちクラッチアウタ80および伝動軸14間に回転数感応式のワンウエイクラッチが設けられていない場合は、車両減速によって車軸16側から遊星ギヤ機構18を介して伝動軸14側に動力が伝達される際に、変速クラッチ19が接続状態にあるうちは伝動軸14から発進クラッチ15を介してエンジンE側に動力が伝わってエンジンブレーキ状態が得られるものの、発進クラッチ15が遮断状態となる前に変速クラッチ19が遮断状態となると、変速クラッチ19が遮断状態となった時点でサンギヤ68の増速が許容されることになり、遊星キャリア67からの動力がサンギヤ68の増速で吸収されてしまい、エンジンブレーキ充分に効かず、発進クラッチ15が遮断状態となるまでの間、空走感が生じてしまうのであるが、クラッチアウタ80および伝動軸14間に設けられる回転数感応式のワンウエイクラッチ112が、発進クラッチ15の遮断前に変速クラッチ19が遮断してもクラッチアウタ80から伝動軸14に動力を伝達することでエンジンブレーキが効くようになる。しかも押し歩きのような低速で後輪WRを回転させた場合に回転数感応式のワンウエイクラッチ112はクラッチアウタ80の空転を許容するので、車両の取り回しが容易となる。
本発明の第3の実施の形態について図9を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
伝動ケース20Cは、前記ベルト式無段変速機13および前記発進クラッチ15を収容するベルト式無段変速機収容室21を形成するベルト式無段変速機収容部23Aと、該ベルト式無段変速機収容部23Aに締結される右側カバー部材24Cとで構成され、ベルト式無段変速機収容部23Aおよび右側カバー部材24C間に、機械式変速機17Cが収容される。
機械式変速機17Cが備える変速クラッチ19は、該変速クラッチ19が備える椀状のクラッチアウタ80の開放端を後輪WRと反対側に開放して伝動軸14に配置される。また前記変速クラッチ19における前記クラッチアウタ80の回転方向を規制するワンウエイクラッチ94の規制部材96は、ベルト式無段変速機収容部23Aの締結面28よりも奥でベルト式無段変速機収容部23Aに締結される。
伝動ケース20Cには、前記伝動軸14に対して車両前後方向に間隔をあけて配置される中間軸54Bが回転自在に支承されており、この中間軸54Bに固着される第1の動力伝達ギヤ69Cに噛合する第2の動力伝達ギヤ85が、前記伝動軸14にニードルベアリング83を介して回転自在に支承される筒体84に設けられ、前記変速クラッチ19の前記クラッチアウタ80が前記筒体84に固定される。
遊星ギヤ機構18は、前記中間軸54Bに配置されており、そのリングギヤ65は、第2の動力伝達ギヤ84および第2の伝動軸用53間で前記伝動軸14に固着されたギヤ75Bに噛合して前記中間軸54Bに相対回転自在に支承され、サンギヤ68は前記中間軸54Bに固定され、遊星キャリア67は、前記中間軸54Bにニードルベアリング120を介して相対回転自在に支承される出力ギヤ77に固定される。
この第3の実施の形態によっても、変速クラッチ19および遊星ギヤ機構18が車両前後方向にずれて配置され、遊星ギヤ機構18および変速クラッチ19が伝動軸14と同軸上に配置される構成のものに比べて伝動軸14の軸線に沿う方向で機械式変速機17Cをコンパクト化することができ、自動二輪車のような鞍乗り型車両にこの動力伝達装置を搭載することで車両のバンク角を確保し易くなり、鞍乗り型車両に好適な動力伝達装置とすることができる。
本発明の第4の実施の形態として、図10で示すように、機械式変速機17Dが備える変速クラッチ19が、該変速クラッチ19が備える椀状のクラッチアウタ80の開放端を後輪WR側に開放して伝動軸14に配置されるようにしてもよい。
本発明の第5の実施の形態について図11〜図13を参照しながら説明するが、上記第1の実施の形態に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
先ず図11において、伝動ケース20Dは、前記ベルト式無段変速機13および前記発進クラッチ15を収容するベルト式無段変速機収容室21を形成するベルト式無段変速機収容部23Bと、該ベルト式無段変速機収容部23Bに締結される右側カバー部材24Dとで構成され、前記ベルト式無段変速機収容部23Bは、ケース主体25Bと、該ケース主体25Bを左側から覆うようにして前記ケース主体25Bに結合される左側カバー部材26Bとから成る。
前記ベルト式無段変速機収容部23Bおよび前記右側カバー部材24D間に前記機械式変速機17Aが収容される。この機械式変速機17Aが備える前記変速クラッチ19における前記クラッチアウタ80の回転方向を規制するワンウエイクラッチ94は、前記クラッチアウタ80の前記底部80aの外面側に支持される複数の回り止め部材95と、それらの回り止め部材95を係合させることを可能とした規制部材96とを有しており、前記規制部材96は、前記伝動ケース20Dに弾性支持部材121を介して支持される。
図12を併せて参照して、前記弾性支持部材121は、円筒状のノックピン122の外周にゴム等が焼き付けられて形成される弾性部123が設けられて成るものであり、前記規制部材96における一対の取付け腕部96aをそれぞれ貫通した前記弾性支持部材121の両端部が、前記伝動ケース20Dにおける前記ケース主体25Bに設けられた有底の嵌合孔124ならびに前記右側カバー部材24Dに設けられた有底の嵌合孔125に嵌合され、前記ケース主体25Bおよび前記右側カバー部材24Dの合わせ面間に前記弾性支持部材121が挟持される。すなわち前記弾性支持部材121は、該弾性支持部材121の弾性部123を前記伝動ケース20Dに直接接触させた非締結構造で前記伝動ケース20Dに支持されることになる。
しかも前記ケース主体25Bおよび前記右側カバー部材24Dの合わせ面においての前記ケース主体25Bおよび前記右側カバー部材24D一方(この実施の形態では右側カバー部材24D)には、前記規制部材96の一部を収容する収容凹部126が形成されており、この収容凹部126は、前記規制部材96の表裏両面と、前記ケース主体25Bおよび前記右側カバー部材24D間に隙間127,128がそれぞれ生じるように形成される。
前記伝動ケース20Dには、前記伝動軸14に対して車両前後方向に間隔をあけて配置される円筒状の中間軸54Cが回転自在に支承されており、この中間軸54Cに第1の動力伝達ギヤ69Aが固着されるとともに遊星ギヤ機構18が同軸に配置されており、その遊星ギヤ機構18における遊星キャリア67は、前記中間軸54Cにニードルベアリング120を介して相対回転自在に支承される出力ギヤ77に固定される。
図13において、第1の動力伝達ギヤ69Aは、矢印129で示す方向に回転するものであり、機械式変速機収容室22内のオイルの一部が第1の動力伝達ギヤ69Aではね上げられる。前記伝動ケース20Dにおけるケース主体25Bの上部には、第1の動力伝達ギヤ69Aではね上げられたオイルを受けるオイル受け部130が上方に開放したU字状の断面形状をなすようにして一体に形成されており、このオイル受け部130に一端を開口したオイル通路131が前記ケース主体25Bに形成され、このオイル通路131の他端部は、前記中間軸54C内にオイルを導くようにして該中間軸54Cの一端に臨むようにして第3軸受ハウジング55の閉塞端中央部に開口される。
また前記中間軸54Cならびに該中間軸54Cを囲繞する伝動筒軸76には、前記中間軸54C内に導かれたオイルを、前記遊星ギヤ18および前記出力ギヤ77側に導くオイル孔132,133が設けられる。しかも前記オイル通路131からのオイルは、前記伝動筒軸76内を経て、前記中間軸54Cの他端部および右側カバー部材24D間に介装されている中間軸用ボールベアリング58側まで導かれる。
この第5の実施の形態によれば、前記変速クラッチ19における前記クラッチアウタ80に支持される回り止め部材95と協働して前記クラッチアウタ80の回転方向を規制するワンウエイクラッチ94を構成する規制部材96が、前記伝動ケース20Dに弾性支持部材121を介して支持されるので、規制部材96に回り止め部材95が接触、係合する際に生じる振動や騒音が伝動ケース20D側に伝達されるのを抑制することができ、伝動ケース20Dの振動や伝動ケース20Dから生じる騒音の低減を図ることができる。
また前記弾性支持部材121が、該弾性支持部材121の弾性部123を前記伝動ケース20Dに直接接触させた非締結構造で前記伝動ケース20Dに支持されるので、締結構造ではボルト等の剛性部材を介して振動や騒音が伝動ケース20D側に伝達されるのに対して、そのような剛性部材を介しての伝達を回避して一層効果的な振動、騒音対策とすることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
13・・・ベルト式無段変速機
14・・・伝動軸
15・・・発進クラッチ
17A,17B,17C,17D・・・機械式変速機
18・・・遊星ギヤ機構
19・・・変速クラッチ
20A,20b,20C,20D・・・伝動ケース
22・・・機械式変速機収容室
23A,23B・・・ベルト式無段変速機収容部
24A・・・カバー部材である右側カバー部材
27・・・収容凹部
28・・・締結面
53・・・伝動軸用軸受である伝動軸用ボールベアリング
54A,54B,54C・・・中間軸
57,58・・・中間軸用軸受である中間軸用ボールベアリング
65・・・リングギヤ
66・・・遊星ギヤ
67・・・遊星キャリア
68・・・遊星ギヤ機構を構成する構成要素の1つであるサンギヤ
69A,69B,69C・・・動力伝達ギヤ
72・・・リング部
73・・・外側歯部
74・・・内側歯部
75A,75B・・・ギヤ
77・・・出力ギヤ
78・・・従動ギヤ
79・・・クラッチインナ
80・・・出力部材であるクラッチアウタ
80a・・・底部
86,87A,87B・・・第1の凹部
88・・・ホイール
89・・・ハブ
90・・・リム
91・・・スポーク
92・・・第2の凹部
94・・・ワンウエイクラッチ
95・・・回り止め部材
96・・・規制部材
112・・・回転数感応式のワンウエイクラッチ
121・・・弾性支持部材
123・・・弾性部
E・・・動力源であるエンジン
L・・・仮想直線
WR・・・後輪

Claims (11)

  1. 遊星ギヤ機構(18)と、該遊星ギヤ機構(18)の変速段を切り換える変速クラッチ(19)とを含む機械式変速機(17A,17B,17C,17D)を備える鞍乗り型車両の動力伝達装置において、
    動力源(E)からの動力を前記機械式変速機(17A〜17D)側に入力する伝動軸(14)に前記変速クラッチ(19)が配設され、前記伝動軸(14)に対して車両前後方向に間隔をあけて配置されるとともに前記伝動軸(14)と平行な軸線を有する中間軸(54A,54B,54C)が、前記機械式変速機(17A〜17D)を収容する伝動ケース(20A,20B,20C,20D)に回転自在に支承され、前記遊星ギヤ機構(18)が、前記伝動軸(14)の軸線方向で前記変速クラッチ(19)と隣接するようにして前記中間軸(54A,54B,54C)に配置され、その遊星ギヤ機構(18)を構成する構成要素の1つ(68)に、前記変速クラッチ(19)の出力部材(80)が連動、連結されることを特徴とする鞍乗り型車両の動力伝達装置。
  2. 前記変速クラッチ(19)のクラッチインナ(79)が前記伝動軸(14)に相対回転不能に連結され、前記変速クラッチ(19)の前記出力部材であるクラッチアウタ(80)が前記伝動軸(14)に相対回転可能に支持され、前記遊星ギヤ機構(18)は、前記伝動軸(14)からの動力が伝達されるリングギヤ(65)と、該リングギヤ(65)に噛合する複数の遊星ギヤ(66)と、それらの遊星ギヤ(66)を回転自在に支持して後輪(WR)の車軸(16)に連動、連結される遊星キャリア(67)と、複数の前記遊星ギヤ(66)に噛合するサンギヤ(68)とを備え、前記クラッチアウタ(80)の動力を前記サンギヤ(68)に伝達する動力伝達ギヤ(69A,69B,69C)が前記サンギヤ(68)に相対回転不能に連結されて前記中間軸(54A,54B,54C)と同軸に配置されることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両の動力伝達装置。
  3. 前記リングギヤ(65)が備えるリング部(72)の外周に、前記伝動軸(14)に設けられるギヤ(75A,75B)に噛合する外側歯部(73)が形成され、前記遊星ギヤ(66)に噛合する内側歯部(74)が前記リング部(72)の内周に形成されることを特徴とする請求項2記載の鞍乗り型車両の動力伝達装置。
  4. 前記リングギヤ(65)および前記動力伝達ギヤ(69A,69B,69C)が前記中間軸(54A,54B,54C)の軸方向に並んで配置され、前記中間軸(54A〜54C)の軸線方向から見て前記リングギヤ(65)および前記動力伝達ギヤ(69A〜69C)に一部が重なるようにして前記変速クラッチ(19)の一部が前記中間軸(54A〜54C)の軸線方向で前記リングギヤ(65)および前記動力伝達ギヤ(69A〜69C)間に配置されることを特徴とする請求項2または3記載の鞍乗り型車両の動力伝達装置。
  5. 前記車軸(16)に従動ギヤ(78)が設けられ、前記遊星キャリア(67)からの動力を前記車軸(16)側に伝達するようにして前記従動ギヤ(78)に噛合する出力ギヤ(77)が、前記中間軸(54A,54B,54C)の軸線に直交する方向から見て前記変速クラッチ(19)の一部に重なるようにしつつ前記中間軸(54A〜54C)の軸線方向で前記リングギヤ(65)および前記動力伝達ギヤ(69A,69B,69C)間に配置されて前記中間軸(54A〜54C)に相対回転自在に支持されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両の動力伝達装置。
  6. 前記遊星ギヤ機構(18)および前記動力伝達ギヤ(69A,69B)の少なくとも一方の中央部に、前記中間軸(54A)の両端部および前記伝動ケース(20A,20B)間に設けられる一対の中間軸用軸受(57,58)の少なくとも一方の少なくとも一部を収容する第1の凹部(86,87A,87B)が設けられることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両の動力伝達装置。
  7. 前記伝動ケース(20A,20B,20D)からの前記車軸(16)の突出部に、前記後輪(WR)のホイール(88)のハブ(89)が固定され、前記ハブ(89)およびリム(90)間に前記伝動ケース(20A,20B,20D)側に開放した第2の凹部(92)を形成するようにして前記リム(90)および前記ハブ(89)間が複数のスポーク(91)で連結され、前記伝動軸(14)の前記後輪(WR)側の端部および前記伝動ケース(20A,20B)間に介装される伝動軸用軸受(53)の少なくとも一部が、前記ハブ(89)および前記リム(90)の前記伝動ケース(20A,20B,20D)側端部間を結ぶ仮想直線(L)よりも前記後輪(WR)の車幅方向中心側で第2の凹部(92)内に収容されることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の鞍乗り型車両の動力伝達装置。
  8. 前記伝動ケース(20A)が、前記動力源(E)および前記伝動軸(14)間に設けられるベルト式無段変速機(13)を収容するとともに前記後輪(WR)側の側面に収容凹部(27)が形成されるベルト式無段変速機収容部(23A)と、該ベルト式無段変速機収容部(23A)との間に前記機械式変速機(17A,17B)を収容する機械式変速機収容室(22)を形成するようにして前記収容凹部(27)を覆って前記ベルト式無段変速機収容部(23A)に締結されるカバー部材(24A)とで構成され、底部(80a)を有して椀状に形成される前記クラッチアウタ(80)が、その開放端を前記ベルト式無段変速機収容部(23A)側に向けて配置され、前記クラッチアウタ(80)の前記底部(80a)の外面側に支持される回り止め部材(95)と協働して前記クラッチアウタ(80)の回転方向を規制するワンウエイクラッチ(94)を構成する規制部材(96)が、前記回り止め部材(95)を係合させることを可能として前記カバー部材(24)側から前記ベルト式無段変速機収容部(23A)に取付けられ、前記回り止め部材(95)および前記規制部材(96)が、前記カバー部材(24A)および前記ベルト式無段変速機収容部(23A)の締結面(28)よりも前記カバー部材(24A)側に配置されることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両の動力伝達装置。
  9. 前記動力源(E)および前記伝動軸(14)間に所定回転数以上で接続状態となる発進クラッチ(15)が設けられ、前記クラッチアウタ(80)および前記伝動軸(14)間に、前記伝動軸(14)側から前記車軸(16)側に伝達される動力よりも前記車軸(16)側から前記伝動軸(14)側に伝達される動力が大きく、かつ前記伝動軸(14)の回転数が前記所定回転数以上であるときだけ前記クラッチアウタ(80)から前記伝動軸(14)に動力を伝達する回転数感応式のワンウエイクラッチ(112)が設けられることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両の動力伝達装置。
  10. 前記クラッチアウタ(80)に支持される回り止め部材(95)と協働して前記クラッチアウタ(80)の回転方向を規制するワンウエイクラッチ(94)を構成する規制部材(96)が、前記伝動ケース(20D)に弾性支持部材(121)を介して支持されることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両の動力伝達装置。
  11. 前記弾性支持部材(121)が、該弾性支持部材(121)の弾性部(123)を前記伝動ケース(20D)に直接接触させた非締結構造で前記伝動ケース(20D)に支持されることを特徴とする請求項10に記載の鞍乗り型車両の動力伝達装置。
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