ベルト方式の定着装置において、定着ベルトの内側には、例えばハロゲンヒーター等の熱源体が設けられ、熱源体から放射される輻射熱により定着ベルトが加熱される。また、定着ベルトおよび加圧ローラーの軸方向の長さは、定着ベルトと加圧ローラとの間のニップ部を通過する用紙の最大幅よりも長く設定され、熱源体の軸方向の長さもこれらとほぼ同等の長さに設定されている。
このように定着ベルト、加圧ローラーおよび熱源体の軸方向の長さは用紙の最大幅よりも長く設定されているので、定着ベルトと加圧ローラーとの間のニップ部には、用紙が通過する通紙領域と、用紙が通過しない非通紙領域が設定されている。
また、多くの画像形成装置は、複数サイズの用紙に対して印刷を行う機能を備えている。例えば、画像形成装置が、148mmの幅寸法を有するA5用紙、182mmの幅寸法を有するB5用紙、および210mmの幅寸法を有するA4用紙に対して印刷を行う機能を備えている場合、定着装置におけるニップ部に設定された通紙領域および非通紙領域は次のように細分化される。すなわち、この場合、定着装置におけるニップ部には、A5用紙、B5用紙およびA4用紙が通過する共通通紙領域と、A5用紙、B5用紙およびA4用紙がいずれも通過しない共通非通紙領域と、A4用紙は通過するが、B5用紙およびA5用紙は通過しない第1の選択領域と、A4用紙およびB5用紙は通過するがA5用紙は通過しない第2の選択領域とに細分化される。
このような画像形成装置において印刷動作を長時間連続して行う場合、熱源体により定着ベルトが長時間連続して加熱される。この場合、ニップ部において用紙が通過する領域においては、ニップ部を通過する用紙に熱が吸収されるが、ニップ部において用紙が通過しない領域においては、用紙に熱が吸収されることがない。このため、用紙が通過しない領域において定着ベルトが過昇温な状態となることがある。具体的には、A4用紙の印刷動作を長時間連続して行う場合には、共通非通紙領域において定着ベルトが過昇温な状態となることがある。また、B5用紙の印刷動作を長時間連続して行う場合には、共通非通紙領域および第1の選択領域において定着ベルトが過昇温な状態となることがある。また、A5用紙の印刷動作を長時間連続して行う場合、共通非通紙領域、第1の選択領域および第2の選択領域において定着ベルトが過昇温な状態となることがある。
このような、長時間連続印刷時に用紙が通過しない領域における定着ベルトの過昇温を防止するためには、長時間連続印刷時に用紙が通過しない領域に対応する熱源体の部分をカバーで覆い、熱源体から定着ベルトへ伝わる熱を制限することが考えられる。しかしながら、これには次のような問題がある。
すなわち、長時間連続印刷を行う用紙のサイズによって、ニップ部において用紙が通過しない領域が変化する結果、定着ベルトにおいて過昇温な状態となる部分が変化する。具体的には、A4用紙の印刷動作を長時間連続して行う場合には、定着ベルトにおいて過昇温な状態となる部分には、第1の選択領域に対応する部分も第2の選択領域に対応する部分も含まれていない。また、B5用紙の印刷動作を長時間連続して行う場合には、定着ベルトにおいて過昇温な状態となる部分には、第1の選択領域に対応する部分は含まれているが、第2の選択領域に対応する部分が含まれていない。また、A5用紙の印刷動作を長時間連続して行う場合には、定着ベルトにおいて過昇温な状態となる部分には、第1の選択領域および第2の選択領域が含まれている。このため、一定の形状を有する1つのカバーで熱源体を覆う構成では、画像形成装置が印刷を行うことが可能なサイズの異なるすべての用紙につき、定着ベルトの過昇温を防ぐことは困難である。
なお、用紙サイズを考慮せず、長時間連続印刷時にニップ部において用紙が通過しない可能性のあるすべての領域に対応する熱源体の部分を固定のカバーで常時覆うことは望ましくない。すなわち、共通非通紙領域、第1の選択領域および第2の選択領域のすべてに対応する熱源体の部分を固定のカバーで常時覆う構成は採用し難い。この場合には、ニップ部においてA4用紙またはB5用紙が通過する領域に対応する熱源体の部分がカバーで常時覆われることとなるため、A4用紙またはB5用紙に対する印刷時に、A4用紙またはB5用紙へのトナー像の定着に要する熱量が不足し、画像の品質が低下するおそれがある。
一方、B5用紙の印刷動作を長時間連続して行う場合に、熱源体において第1の選択領域に対応する部分をカバーで覆うこととした場合には、さらに次のような問題がある。すなわち、熱源体において第1の選択領域に対応する部分を、単なる無孔の金属板からなるカバーで覆うこととすると、熱源体から放射される輻射熱が当該カバーの内面に多量に反射し、熱源体において第1の選択領域に対応する部分の表面温度が過大となって熱源体の当該部分の表面限界温度を超えるおそれがある。また、A5用紙の印刷動作を長時間連続して行う場合に、熱源体において第1の選択領域および第2の選択領域に対応する部分をカバーで覆うこととした場合も同様に、熱源体において第1の選択領域および第2の選択領域に対応する部分の表面温度が過大となって熱源体の当該部分の表面限界温度を超えるおそれがある。
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、記録媒体がニップ部を通過しない領域が記録媒体のサイズに応じて変化する場合でも、当該変化する領域における定着ベルトの過昇温を防止することができる定着装置および画像形成装置を提供することにある。
また、本発明の第2の課題は、記録媒体がニップ部を通過しない領域が記録媒体のサイズに応じて変化する場合でも、当該変化する領域における定着ベルトの過昇温を防止することができると共に、当該変化する領域における熱源体の表面温度が過大となるのを防止することができる定着装置および画像形成装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、記録媒体に像を定着させる定着装置であって、第1の回転軸周りを回転可能に設けられた無端状の定着ベルトと、前記第1の回転軸と平行な第2の回転軸周りを回転可能に設けられ、前記定着ベルトを押圧する加圧ローラーと、前記定着ベルトと前記加圧ローラーとの間に形成され、第1の幅寸法を有する第1の記録媒体および前記第1の幅寸法よりも小さい第2の幅寸法を有する第2の記録媒体が通過する共通通過領域、前記第1の記録媒体および前記第2の記録媒体のいずれも通過しない共通非通過領域、および前記第1の記録媒体は通過するが前記第2の記録媒体は通過しない選択領域が設定されたニップ部と、前記定着ベルトの内側に設けられ、前記第1の回転軸と略平行に伸長する長尺な形状を有し、前記定着ベルトの回転軌道の一部に形成された加熱領域に輻射熱を放射して前記定着ベルトを加熱する熱源体と、前記定着ベルトと前記熱源体との間に設けられ、前記熱源体において前記共通非通過領域に対応する部分を覆うカバー部材と、前記定着ベルトと前記熱源体との間において、前記第1の回転軸と一致しまたは前記第1の回転軸と平行な第3の回転軸周りにおける開放位置から遮蔽位置までの間を回動可能に設けられ、前記開放位置にあるときには前記熱源体において前記選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分を開放し、前記遮蔽位置にあるときには前記熱源体において前記選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分を遮蔽するシャッター部材とを備えていることを特徴とする。
本発明の定着装置において、第1の記録媒体の印刷動作時には、第1の記録媒体が選択領域を通過する。第1の記録媒体の印刷動作開始時には、シャッター部材が開放位置へ回動し、熱源体において選択領域に対応しかつ加熱領域に対向する部分を開放する。これにより、選択領域において、定着に必要な熱量が熱源体から定着ベルトへ伝わるので、第1の記録媒体に印刷する画像の品質低下が防止される。一方、第2の記録媒体の印刷動作時には、第2の記録媒体は選択領域を通過しない。第2の記録媒体の印刷動作開始時には、シャッター部材が遮蔽位置へ回動し、熱源体において選択領域に対応しかつ加熱領域に対向する部分を遮蔽する。これにより、選択領域において熱源体から定着ベルトへ伝わる熱量が制限される。したがって、選択領域における定着ベルトの過昇温を防止することができる。
また、上述した本発明の定着装置において、前記シャッター部材には、当該シャッター部材が前記遮蔽位置で前記熱源体を遮蔽している間における前記熱源体の表面温度を調整するための複数の貫通孔が形成されていることが望ましい。
このように、シャッター部材に貫通孔を形成することにより、シャッター部材が遮蔽位置にあり、熱源体において選択領域に対応しかつ加熱領域に対向する部分を遮蔽している間に、定着ベルトにおいて選択領域に対応する部分が過昇温の状態となることを防止しつつ、熱源体において選択領域に対応する部分の表面温度がその限界温度を超えることを防止することができる。
また、上述した本発明の定着装置において、前記シャッター部材において前記貫通孔の大きさまたは個数は、当該シャッター部材が前記遮蔽位置で前記熱源体を遮蔽している間において、前記熱源体の表面温度が前記熱源体の表面限界温度以下を維持するように設定されていることが望ましい。
これにより、定着ベルトにおいて選択領域に対応する部分が過昇温の状態となることを防止する効果と、熱源体におけて選択領域に対応する部分の表面温度がその限界温度を超えることを防止する効果とを容易に両立させることができると共に、これら双方の効果を高めることができる。
また、上述した本発明の定着装置において、前記シャッター部材は、前記熱源体のそれぞれ端側において前記選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分を遮蔽する一対の遮蔽板と、前記第3の回転軸に沿って伸長し、一端側が前記一対の遮蔽板のうちの一方に接続され、他端側が前記一対の遮蔽板のうちの他方に接続された接続ロッド部とを備え、前記接続ロッド部の伸長方向における中間部分は前記定着ベルトの内周面において前記共通通過領域に対応する部分に接触していることが望ましい。
これにより、熱源体のそれぞれの端側における選択領域を開放、遮蔽する一対の遮蔽板を同時に回動させる構造を容易に実現することができる。また、接続ロッド部の中間部分を定着ベルトの内周面に接触させることにより、熱源体からシャッター部材に伝わった熱を定着ベルトにおいて共通通過領域に対応する部分に伝えることができ、定着ベルトにおいて共通通過領域に対応する部分へ加わる熱量を増やすことができる。
また、上述した本発明の定着装置において、前記ニップ部において、前記共通通過領域は、前記第1の記録媒体、前記第2の記録媒体、および前記第2の幅寸法よりも小さい第3の幅寸法を有する第3の記録媒体が通過する領域であり、前記共通非通過領域は、前記第1の記録媒体、前記第2の記録媒体および第3の記録媒体のいずれも通過しない領域であり、前記選択領域は、前記第1の記録媒体は通過するが前記第2の記録媒体および前記第3の記録媒体はいずれも通過しない第1の選択領域と、前記第1の記録媒体および前記第2の記録媒体は通過するが前記第3の記録媒体は通過しない第2の選択領域とを含んでおり、前記シャッター部材は、前記第3の回転軸周りにおける前記開放位置から部分遮蔽位置を経て前記遮蔽位置までの間を回動可能に設けられ、前記開放位置にあるときには前記熱源体において前記第1の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分および前記熱源体において前記第2の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分を開放し、前記部分遮蔽位置にあるときには前記熱源体において前記第1の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分を遮蔽するが前記熱源体において前記第2の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分を開放し、前記遮蔽位置にあるときには前記熱源体において前記第1の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分および前記熱源体において前記第2の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分を遮蔽する構成としてもよい。
本発明の定着装置において、第1の記録媒体の印刷動作時には、第1の記録媒体が第1の選択領域および第2の選択領域を通過する。第1の記録媒体の印刷動作開始時には、シャッター部材が開放位置へ回動し、熱源体において第1の選択領域に対応しかつ加熱領域に対向する部分および熱源体において第2の選択領域に対応しかつ加熱領域に対向する部分を開放する。これにより、第1の選択領域および第2の選択領域において、定着に必要な熱量が熱源体から定着ベルトへ伝わるので、第1の記録媒体に印刷する画像の品質低下が防止される。
一方、第2の記録媒体の印刷動作時には、第2の記録媒体は第1の選択領域を通過しないが、第2の選択領域を通過する。第2の記録媒体の印刷動作開始時には、シャッター部材が部分遮蔽位置へ回動し、熱源体において第1の選択領域に対応しかつ加熱領域に対向する部分を遮蔽する一方、熱源体において第2の選択領域に対応しかつ加熱領域に対向する部分を開放する。これにより、第1の選択領域においては熱源体から定着ベルトへ伝わる熱量が制限される。したがって、第1の選択領域における定着ベルトの過昇温を防止することができる。また、第2の選択領域においては、定着に必要な熱量が熱源体から定着ベルトへ伝わるので、第2の記録媒体に印刷する画像の品質低下が防止される。
他方、第3の記録媒体の印刷動作時には、第3の記録媒体は第1の選択領域も第2の選択領域も通過しない。第3の記録媒体の印刷動作開始時には、シャッター部材が遮蔽位置へ回動し、熱源体において第1の選択領域に対応しかつ加熱領域に対向する部分、および熱源体において第2の選択領域に対応しかつ加熱領域に対向する部分を遮蔽する。これにより、第1の選択領域および第2の選択領域において熱源体から定着ベルトへ伝わる熱量が制限される。したがって、第1の選択領域および第2の選択領域における定着ベルトの過昇温を防止することができる。
さらに、本発明のこの構成においては、前記シャッター部材は、前記熱源体のそれぞれ端側において、前記第1の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分を遮蔽する第1の遮蔽片と、前記第1の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分および第2の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分を遮蔽する第2の遮蔽片とを、前記第3の回転軸を中心とした周方向に並設することにより形成された一対の遮蔽板と、前記第3の回転軸に沿って伸長し、一端側が前記一対の遮蔽板のうちの一方に接続され、他端側が前記一対の遮蔽板のうちの他方に接続された接続ロッド部とを備え、前記接続ロッド部の伸長方向における中間部分は前記定着ベルトの内周面に接触していることが望ましい。
このような構成において、第2の記録媒体の印刷動作時には、第1の遮蔽片により、熱源体において第1の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分が遮蔽される。これにより、この部分に対応する定着ベルトの過昇温を防止することができる。また、第3の記録媒体の印刷動作時には、第2の遮蔽片により、熱源体において第1の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分、および第2の選択領域に対応しかつ前記加熱領域に対向する部分が遮蔽される。これにより、これらの部分に対応する定着ベルトの過昇温を防止することができる。
また、第1の遮蔽片および第2の遮蔽片が第3の回転軸を中心とした周方向に並設されているので、シャッター部材を部分遮断位置と遮断位置との間で回動させることにより、第1の遮蔽片による遮蔽と第2の遮蔽片による遮蔽とを容易に切り換えることができる。
また、一対の遮蔽板を接続ロッド部で接続することにより、一対の遮蔽板を同時に回動させる構造を容易に実現することができる。また、接続ロッド部の中間部分を定着ベルトの内周面に接触させることにより、熱源体からシャッター部材に伝わった熱を定着ベルトにおいて共通通過領域に対応する部分に伝えることができ、定着ベルトにおいて共通通過領域に対応する部分へ加わる熱量を増やすことができる。
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、上述した本発明の定着装置を備えている。
本発明の画像形成装置によれば、定着装置において、第1の記録媒体の印刷動作時には、シャッター部材を開放位置へ回動させることにより、定着に必要な熱量を熱源体から定着ベルトへ伝えることができ、第1の記録媒体に印刷する画像の品質低下を防止することができる。一方、第2の記録媒体の印刷動作時には、シャッター部材を遮蔽位置へ回動させることにより、選択領域において熱源体から定着ベルトへ伝わる熱量を制限することができ、選択領域における定着ベルトの過昇温を防止することができる。
本発明によれば、記録媒体がニップ部を通過しない領域が記録媒体のサイズに応じて変化する場合でも、当該変化する領域における定着ベルトの過昇温を防止する。さらに、本発明によれば、当該変化する領域における定着ベルトの過昇温を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照しながら説明する。
(画像形成装置)
図1は本発明の実施形態による画像形成装置を示している。図1において、本発明の実施形態による画像形成装置1は電子写真方式の画像形成装置であり、例えばプリンターである。画像形成装置1は略箱型の筐体2を備え、筐体2の下部には給紙カセット3が設けられている。給紙カセット3には記録媒体としての用紙が収容される。また、筐体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。さらに、筐体2の上部にはトナーコンテナ5を収容する収容部が設けられ、筐体2にはこの収容部を開閉する蓋部6が設けられている。
筐体2内には、給紙カセット3に収容された用紙を排紙トレイ4に向けて搬送する搬送経路7が形成されている。搬送経路7の上流側には給紙ローラー8が設けられ、その下流側には搬送ローラー9が設けられている。搬送ローラー9の下流側には画像形成部10が設けられている。画像形成部10は、感光体ドラム11、帯電器12、現像器13、転写ローラー14およびクリーニング装置15を有している。また、画像形成部10の上方には露光器16が設けられている。また、搬送経路7において、画像形成部10の下流側には、本発明の実施形態による定着装置21が設けられている。定着装置21は、後述するように、定着ベルト25、加圧ローラー32、および定着ベルト25を加熱する熱源体としてのハロゲンヒーター28等を備えている。また、定着装置21の下流側には搬送ローラー18が設けられ、搬送ローラー18の下流側であって排紙トレイ4の近傍には排紙ローラー19が設けられている。
また、図示しないが、画像形成装置1には、半導体記憶素子を有し、例えばパーソナルコンピュータ等の外部装置から受け取った画像データを一時的に記憶する記憶部と、演算処理装置を有し、露光器16、画像形成部10、定着装置21等を制御する制御部と、画像形成装置1を稼働させるための電力の供給を制御する電源回路とが設けられている。
このような構成を有する画像形成装置1の印刷動作は次の通りである。すなわち、用紙に印刷すべき画像のデータが画像形成装置1に入力されると、帯電器12により感光体ドラム11の表面が帯電され、画像データに対応したレーザー光Lが露光器16から感光体ドラム11へ照射され、感光体ドラム11の表面に静電潜像が形成される。さらに、現像器13により静電潜像に対応したトナー像が感光体ドラム11の表面に形成される。一方、給紙カセット3に収容された用紙が給紙ローラー8および搬送ローラー9により搬送され、感光体ドラム11と転写ローラー14との間を通過する。このとき、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像が用紙の表面に転写される。トナー像が転写された後、感光体ドラム11の表面に残留したトナーはクリーニング装置15により回収される。続いて、トナー像が転写された用紙は、定着装置21の定着ベルト25と加圧ローラー32との間を通過する。このとき、ハロゲンヒーター28により加熱された定着ベルト25の熱により、トナー像が溶融して用紙に定着される。トナー像が定着された用紙は、搬送ローラー18および排紙ローラー19により搬送され、排紙トレイ4に排出される。
(定着装置)
図2は図1中の矢示II−II方向から見た定着装置21を示している。図3は定着装置21に設けられた定着ベルトユニット23を、定着ベルト25を取り外した状態で示している。図4は図3に示す定着ベルトユニット23から、さらにシャッター部材51を取り外した状態を示している。図5は図2中の矢示V−V方向から見た定着ベルトユニット23および加圧ローラー32の断面を示している。図6は図3中の定着ベルユニットの一方の端側を示している。
図2において、定着装置21は、その外枠を構成する、例えば金属板により形成されたフレーム部22を備えており、フレーム部22の内側には、定着ベルトユニット23と加圧ローラー32とが取り付けられている。定着ベルトユニット23には、図3に示すように、ステー24、定着ベルト25、一対の取付部材26、一対の規制リング27、ハロゲンヒーター28、ニップ形成部材29、一対のカバー部材41、シャッター部材51等が設けられている。
定着ベルトユニット23には、図3に示すように、用紙の搬送方向に対して直交する方向に伸長する回転軸A−Aが設定されている。ステー24は、回転軸A−Aに平行な方向(軸方向)に伸長する長尺な棒状または筒状の部材であり、定着ベルトユニット23の骨格を構成する。
定着ベルト25はステー24の周囲に設けられている。定着ベルト25は無端状のベルトであり、軸方向に長い筒状に形成されている。また、定着ベルト25は薄肉であり、可撓性を有している。定着ベルト25は、基材層を離型層で被覆することにより形成されている。基材層は、例えばステンレス鋼等の金属またはポリイミド等の樹脂等により形成され、離型層は、例えばペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などの樹脂により形成されている。定着ベルト25は回転軸A−Aの周りを回転することができる。なお、定着ベルト25の基材層および離型層からなる構造については図示を省略している。
取付部材26は、ステー24をフレーム部22の内側に不動に固定し、定着ベルト25をフレーム部22に対して回転可能に支持し、また、ハロゲンヒーター28およびニップ形成部材29等をフレーム部22に不動に固定する部材である。取付部材26は定着ベルト25の両端側にそれぞれ設けられている。例えば、各取付部材26にはステー24の端部を固定するためのステー取付孔(図示せず)が形成されている。ステー24は、その各端部に形成された係合部を取付部材26の当該ステー取付孔に係合することにより、取付部材26に固定されている。
また、各取付部材26には、図6に示すように、その軸方向中央に向いた面から軸方向中央に向けて突出する円弧状の突条部26Aが形成されている。定着ベルト25の各端部は、突条部26Aの外周側に装着されている。定着ベルト25は、図3に示すように、その両端部が一対の取付部材26に狭持されることにより、その軸方向の移動が規制されている。一方、定着ベルト25の各端部は取付部材26の突条部26Aの外周面上を移動することができる。これにより、定着ベルト25は回転軸A−Aを中心に回転することができる。
また、各取付部材26には、図5に示すように、シャッター部材51を支持する支持ロッド57を通すための円弧状の長穴59が形成されている。
規制リング27は、図3に示すように、定着ベルト25の両端側にそれぞれ設けられている。規制リング27は、図6に示すように、環状の部材であり、定着ベルト25の端部と取付部材26との間に位置し、取付部材26の突条部26Aに回転可能に取り付けられている。規制リング27は、定着ベルト25の回転時の蛇行を抑制して定着ベルト25の回転を安定させる機能を有している。
ハロゲンヒーター28は、輻射熱を放射して定着ベルト25を加熱する熱源体であり、図3に示すように、定着ベルト25の内側に設けられている。ハロゲンヒーター28は、図4に示すように、回転軸A−Aと略平行に伸長する長尺な形状を有し、定着ベルト25の軸方向における長さとほぼ同じ長さを有している。また、ハロゲンヒーター28は、図6に示すように、輻射熱を放射するバルブ部28Aと、バルブ部28Aの両端側にそれぞれ設けられた封止部28Bとを備えている。ハロゲンヒーター28はその両端部が取付部材26にそれぞれ固定されている。
また、ハロゲンヒーター28は、図5に示すように、定着ベルト25の内側において、ステー24と定着ベルト25との間に位置し、また、回転軸A−Aよりも上方に位置している。この結果、ハロゲンヒーター28は、回転軸A−Aを中心とした定着ベルト25の回転軌道のうち、その上部の領域に最も接近している。それゆえ、ハロゲンヒーター28はこの領域を通過する定着ベルト25の各部分を主に加熱する。なお、印刷動作中、定着ベルト25は回転軸A−Aの周りを回転し続けるので、定着ベルト25はその全周に亘ってハロゲンヒーター28により加熱されることとなる。以下、定着ベルト25の回転軌道のうち、ハロゲンヒーター28が加熱する領域を「加熱領域」という。なお、後述するように、図11(2)中のハッチングを付した領域Rが加熱領域である。
ニップ形成部材29は、図5に示すように、定着ベルト25の内側に設けられ、ステー24の下方であって、加圧ローラー32と対向する位置に配置されている。ニップ形成部材29は、図4に示すように、軸方向に伸長する長尺な部材であり、定着ベルト25の軸方向長さとほぼ同じ長さを有している。また、ニップ形成部材29は、液晶ポリマー(LCP)等の耐熱性樹脂により形成され、ステー24または各取付部材26に固定されている。ニップ形成部材29は、定着ベルト25を間に挟んで加圧ローラー32と互いに押し合い、定着ベルト25と加圧ローラー32との間にニップ部31を形成する。
定着ベルトユニット23には、以上説明した部品ないし部材に加え、ハロゲンヒーター28から放射される輻射熱を加熱領域Rに向けて反射する反射部材等が設けられているが、これについては図示および説明を省略する。また、定着ベルトユニット23には、図3に示すように、ハロゲンヒーター28の両端側を覆う一対のカバー部材41、およびカバー部材41よりも軸方向内側において定着ベルト25とハロゲンヒーター28との間を遮蔽するシャッター部材51が設けられているが、これらについては後述する。
一方、定着装置21において、加圧ローラー32は、図2に示すように、定着ベルト25の下方において定着ベルト25と隣接している。加圧ローラー32は、軸方向に長尺な円柱状のローラであり、図5に示すように、芯材33と、その周囲に設けられた弾性層34と、弾性層34の外周面を被覆する離型層(図示せず)とを備えている。また、加圧ローラー32の両端部はフレーム部22に回転可能に取り付けられている。加圧ローラー32は、図2に示すように、動力伝達機構35を介してモーター(図示せず)に接続されており、モーターの駆動により、回転軸A−Aと平行な回転軸B−B周りを回転する。加圧ローラー32の外周面は、定着ベルト25を介してニップ形成部材29に押し付けられており、これにより、加圧ローラー32と定着ベルト25との間には、用紙を加圧しつつ通過させるニップ部31が形成されている。また、加圧ローラー32の外周面が定着ベルト25を介してニップ形成部材29に押し付けられているため、モーターの駆動により加圧ローラー32が回転すると、定着ベルト25が回転する。
ここで、定着ベルト25および加圧ローラー32との間に形成されたニップ部31には、図3に示すように、複数の異なるサイズを有する用紙についてそれぞれ通紙領域と非通紙領域が設定されている。通紙領域とはニップ部31を用紙が通過する領域であり、非通紙領域とはニップ部31を用紙が通過しない領域である。例えば、本実施形態による画像形成装置1は、複数の異なるサイズを有する用紙、具体的には、A4サイズの用紙(A4用紙)、B5サイズの用紙(B5用紙)、およびA5サイズの用紙(A5用紙)に対し、画像を印刷することができる。定着動作時には、いずれの用紙も、定着装置21においてニップ部31の中央を通過する。また、定着ベルト25および加圧ローラー32のそれぞれの軸方向の長さは、上記複数のサイズの用紙のうち、最大の幅寸法を有するA4用紙の幅寸法(210mm)よりも長く設定されている。したがって、ニップ部31の軸方向の長さも、最大の幅寸法を有するA4用紙の幅寸法よりも長い。なお、これらに合わせ、ハロゲンヒーター28の軸方向の長さも、最大の幅寸法を有するA4用紙の幅寸法よりも長く設定されている。
A4用紙、B5用紙およびA5用紙の通紙領域はいずれもニップ部31の軸方向中央部分に位置する。A4用紙の通紙領域はA4用紙の幅寸法(210mm)に対応し、B5用紙の通紙領域はB5用紙の幅寸法(182mm)に対応し、A5用紙の通紙領域はA5用紙の幅寸法(148mm)に対応する。したがって、A4用紙の通紙領域が最も大きく、B5用紙の通紙領域はA4用紙の通紙領域よりも小さく、A5用紙の通紙領域はB5用紙の通紙領域よりも小さい。また、A4用紙、B5用紙およびA5用紙の非通紙領域はいずれもニップ部31の軸方向の一方の端側および他方の端側にそれぞれ位置する。具体的には、A4用紙の非通紙領域はニップ部31においてA4用紙の通紙領域の軸方向外側に位置する。B5用紙の非通紙領域はニップ部31においてB5用紙の通紙領域の軸方向外側に位置する。A5用紙の非通紙領域はニップ部31においてA5用紙の通紙領域の軸方向外側に位置する。A4用紙の非通紙領域が最も小さく、B5用紙の非通紙領域はA4用紙の非通紙領域よりも大きく、A5用紙の非通紙領域はB5用紙の非通紙領域よりも大きい。
ニップ部31の中央部分には、A4用紙、B5用紙およびA5用紙の通紙領域がそれぞれ重なり合う領域が形成されている。この領域を共通通紙領域Z1という。共通通紙領域Z1は、ニップ部31において、A4用紙、B5用紙およびA5用紙のいずれもが通過する領域である。また、ニップ部31の各端側には、A4用紙、B5用紙およびA5用紙の非通紙領域がそれぞれ重なり合う領域が形成されている。この領域を共通非通紙領域Z2という。共通非通紙領域Z2は、ニップ部31において、A4用紙、B5用紙およびA5用紙のいずれも通過しない領域である。また、共通通紙領域Z1と共通非通紙領域Z2との間には、A4用紙の通紙領域とB5用紙の非通紙領域とA5用紙の非通紙領域とがそれぞれ重なり合う領域が形成されている。この領域を外側選択領域Z3という。外側選択領域Z3は、A4用紙は通過するが、B5用紙およびA5用紙は通過しない領域である。また、共通通紙領域Z1と共通非通紙領域Z2との間において外側選択領域Z3の軸方向内側には、A4用紙の通紙領域とB5用紙の通紙領域とA5用紙の非通紙領域とが重なり合う領域が形成されている。この領域を内側選択領域Z4という。内側選択領域Z4は、A4用紙およびB5用紙は通過するが、A5用紙は通過しない領域である。なお、外側選択領域Z3が第1の選択領域の具体例であり、内側選択領域Z4が第2の選択領域の具体例である。
また、定着装置21のフレーム部22には、図2に示すように、複数の温度センサー36、37が設けられている。各温度センサ36、37は例えばサーミスタを備えている。温度センサ36、37は定着装置21の正常稼働時にハロゲンヒーター28を制御して定着ベルト25の温度制御を行うための温度検知手段である。また、定着装置21のフレーム部22にはサーモスタット38が設けられている。サーモスタット38は、例えばハロゲンヒーター28の熱暴走等により定着ベルト25の温度が異常な高温となるおそれがあるときに、ハロゲンヒーター28を強制的に消灯させ、事故や定着装置21の損傷を未然に防ぐための温度検知手段である。
(カバー部材)
図7はカバー部材41を示している。定着ベルトユニット23には、一対のカバー部材41が設けられ、これら一対のカバー部材41は、図3に示すように、ハロゲンヒーター28の両端側をそれぞれ覆っている。具体的には、カバー部材41は、定着ベルト25の内側に配置され、ハロゲンヒーター28の端側において共通非通紙領域Z2に対応する部分の外周側を覆っている。この結果、共通非通紙領域Z2において、定着ベルト25(加熱領域R)とハロゲンヒーター28との間にはカバー部材41が介在している。
カバー部材41は、図7に示すように、例えばステンレス鋼等の金属板を、略コ字状に折り曲げることにより形成され、上側の上板部41Aおよびその両側の横板部41Bを備えている。図5に示すように、上板部41Aはハロゲンヒーター28において共通非通紙領域Z2に対応する部分を上方から覆い、各横板部41Bはハロゲンヒーター28において共通非通紙領域Z2に対応する部分を側方から覆っている。また、カバー部材41は、例えばビス42を用いて、ステー24に固定されている。
また、カバー部材41の上板部41Aには、ハロゲンヒーター28の表面温度を調整するための複数の貫通孔43が形成されている。図7に示すカバー部材41においては、各貫通孔43の形状は軸方向に伸長するスリット状であり、貫通孔43は上板部41Aに5つ形成されているが、これは一例にすぎない。貫通孔43の形状、大きさおよび個数は、定着動作時に、ハロゲンヒーター28において共通非通紙領域Z2に対応する部分の表面温度がハロゲンヒーター28の当該部分の表面限界温度以下を維持するように設定する。
ここで、図7に示すカバー部材41において頂点P1、P2、P3およびP4に囲まれた部分が上板部41Aの範囲である。このような範囲を有する上板部41Aの表面において、貫通孔43が形成されていない部分を被覆面といい、上板部41Aの表面全体の面積に対する被覆面の割合を、カバー部材41の被覆率という。カバー部材41の被覆率は、定着動作時に、ハロゲンヒーター28において共通非通紙領域Z2に対応する部分の表面温度がハロゲンヒーター28の当該部分の表面限界温度以下を維持するように設定する。カバー部材41の被覆率は、このような条件を充たすように、各貫通孔43の形状もしくは大きさ、または貫通孔43の個数を調整することにより設定する。なお、ハロゲンヒーター28の表面限界温度は、ハロゲンヒーターの種類や個々の製品ごとに異なるが、一例をあげれば、バルブ部28Aについては800度、封止部28Bについては350度である。また、ハロゲンヒーター28において共通非通紙領域Z2に対応する部分の表面温度は、ハロゲンヒーター28の稼働状態や稼働環境、例えば、画像形成装置1における単位時間当たりの印刷枚数、または画像形成装置1の消費電力等に応じて異なるので、カバー部材41の被覆率は、このようなハロゲンヒーター28の稼働状態や稼働環境をも考慮に入れて設定する。
(シャッター部材)
図8はシャッター部材51を示している。図9はシャッター部材51の遮蔽板52を示している。図10はシャッター部材51の遮蔽板52に形成される貫通孔のいくつかの態様を示している。図11はシャッター部材51の動作を示している。シャッター部材51は、図3に示すように、定着ベルト25の内側において、ハロゲンヒーター28と定着ベルト25との間に配置されている。シャッター部材51は、ハロゲンヒーター28の端側において、外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分、および内側選択領域Z4に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分を遮蔽する部材である。後述するように、シャッター部材51は、開放位置から部分遮蔽位置を経て遮蔽位置までの間を、回転軸A−Aと同一の回転軸を中心に回動することができ、これにより、ハロゲンヒーター28において、外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分、および内側選択領域Z4に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分のそれぞれの開放、遮蔽を切り換えることができる。
シャッター部材51は、図8に示すように、一対の遮蔽板52および接続ロッド部56を備えている。各遮蔽板52は、ハロゲンヒーター28において、外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分、および内側選択領域Z4に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分を遮蔽する板状の部材である。各遮蔽板52は、例えばステンレス鋼等の金属板を遮蔽板52の回動軌道に沿うように湾曲させることにより形成されている。
接続ロッド部56は、一対の遮蔽板52を互いに接続する棒状の部材であり、例えばステンレス鋼等の金属材料により形成されている。接続ロッド部56の一端側は一方の遮蔽板52に接続され、接続ロッド部56の他端側は他方の遮蔽板52に接続されている。また、接続ロッド部56の中間部は、各遮蔽板52よりも径方向外側に張り出し、定着ベルト25の内周面に接触している。接続ロッド部56が接触している部分は、定着ベルト25において共通通紙領域Z1に対応する部分である。接続ロッド部56を定着ベルト25において共通通紙領域Z1に対応する部分に接触させることにより、ハロゲンヒーター28からシャッター部材51へ伝わった熱を定着ベルト25において共通通紙領域Z1に対応する部分に伝えることができる。これにより、定着ベルト25において共通通紙領域Z1に対応する部分の熱量を増やすことができる。なお、接続ロッド部56は定着ベルト25の回転を妨げない程度の強さで定着ベルト25の内周面に接触している。一対の遮蔽板52を接続ロッド部56で互いに接続することにより、一対の遮蔽板52を同時に回動させる構成を容易に実現することができる。
また、各遮蔽板52は、図9に示すように、第1の遮蔽片53および第2の遮蔽片54を備えている。具体的には、各遮蔽板52は、第1の遮蔽板53と第2の遮蔽板54とを結合して一体化することにより形成されている。第1の遮蔽片53は、ハロゲンヒーター28において外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分を遮蔽する部分である。第2の遮蔽片54は、ハロゲンヒーター28において、外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分、および内側選択領域Z4に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分を遮蔽する部分である。第1の遮蔽片53および第2の遮蔽片54はシャッター部材51の回転軸(回転軸A−A)を中心とした周方向に並設されている。このように第1の遮蔽片53および第2の遮蔽片54を周方向に並設することにより、シャッター部材51の回動により、第1の遮蔽片53によるハロゲンヒーター28の遮蔽と第2の遮蔽片54によるハロゲンヒーター28の遮蔽とを容易に切り換えることができる。
また、各遮蔽板52において、第1の遮蔽片53および第2の遮蔽片54には、ハロゲンヒーター28の表面温度を調整するための複数の貫通孔55が形成されている。図9に示す第1の遮蔽片53および第2の遮蔽片54においては、各貫通孔55の形状は軸方向に伸長するスリット状であり、貫通孔55は第1の遮蔽片53には2つ形成され、第2の遮蔽片54には3つ形成されているが、これは一例にすぎない。第1の遮蔽片53に形成された貫通孔55の形状、大きさおよび個数は、第1の遮蔽片53により、ハロゲンヒーター28において外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分を遮蔽している間に、ハロゲンヒーター28の当該部分の表面温度が、ハロゲンヒーター28の当該部分の表面限界温度以下を維持するように設定する。また、第2の遮蔽片54に形成された貫通孔55の形状、大きさおよび個数は、第2の遮蔽片54により、ハロゲンヒーター28において外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分および内側選択領域Z4に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分を遮蔽している間に、ハロゲンヒーター28の当該部分の表面温度が、ハロゲンヒーター28の当該部分の表面限界温度以下を維持するように設定する。
ここで、図9に示す遮蔽板52において頂点Q1、Q2、Q3およびQ4に囲まれた部分が第1の遮蔽片53の範囲である。このような範囲を有する第1の遮蔽片53の表面において、貫通孔55が形成されていない部分を遮蔽面といい、第1の遮蔽片53の表面全体の面積に対する当該遮蔽面の割合を、第1の遮蔽片53の遮蔽率という。第1の遮蔽片53の遮蔽率は、第1の遮蔽片53により、ハロゲンヒーター28において外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分を遮蔽している間に、ハロゲンヒーター28の当該部分の表面温度が、ハロゲンヒーター28の当該部分の表面限界温度以下を維持するように設定する。第1の遮蔽片53の遮蔽率は、このような条件を充たすように、第1の遮蔽片53に形成する各貫通孔55の形状もしくは大きさ、または貫通孔55の個数を調整することにより設定する。また、ハロゲンヒーター28において外側選択領域Z3に対応する部分の表面温度は、ハロゲンヒーター28の稼働状態や稼働環境、例えば、画像形成装置1における単位時間当たりの印刷枚数、または画像形成装置1の消費電力等に応じて異なるので、第1の遮蔽片53の遮蔽率は、このようなハロゲンヒーター28の稼働状態や稼働環境をも考慮に入れて設定する。
また、図9に示す遮蔽板52において頂点Q4、Q5、Q6およびQ7に囲まれた部分が第2の遮蔽片54の範囲である。このような範囲を有する第2の遮蔽片54の表面において、貫通孔55が形成されていない部分を遮蔽面といい、第2の遮蔽片54の表面全体の面積に対する当該遮蔽面の割合を、第2の遮蔽片54の遮蔽率という。第2の遮蔽片54の遮蔽率は、第2の遮蔽片54により、ハロゲンヒーター28において外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分および内側選択領域Z4に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分を遮蔽している間に、ハロゲンヒーター28において当該部分の表面温度がハロゲンヒーター28の当該部分の表面限界温度以下を維持するように設定する。第2の遮蔽片54の遮蔽率の設定方法の詳細は、第1の遮蔽片53の遮蔽率の設定方法と同じである。また、第2の遮蔽片54の遮蔽率の設定は、第1の遮蔽片53の遮蔽率の設定と独立して行うことができ、第2の遮蔽片54の遮蔽率を第1の遮蔽片53の遮蔽率と同一にすることもでき、異ならせることもできる。
ここで、第1の遮蔽片53および第2の遮蔽片54に形成する貫通孔の態様を、図9に示す第1の態様に加えて、いくつか例示する。すなわち、図10(1)に示す遮蔽板72に形成された第2の態様の貫通孔75は、周方向に長いスリット状であり、各貫通孔75の大きさは小さいが、貫通孔75の個数が多い。このため、これらの貫通孔75によれば、図9に示す第1の態様と同等の遮蔽率を実現することができる。また、図10(2)に示す遮蔽板82に形成された第3の態様の貫通孔85は、斜め方向に長いスリット状であり、貫通孔85の個数は多いが、各貫通孔85の大きさが小さい。このため、これらの貫通孔85によれば、図9に示す第1の態様よりも高い遮蔽率を実現することができる。また、図10(3)に示す遮蔽板92に形成された第4の態様の貫通孔95は、円形であり、貫通孔95の個数は少なく、各貫通孔95の大きさも小さい。このため、これらの貫通孔95によれば、図9に示す第1の態様よりも高い遮蔽率を実現することができる。
また、シャッター部材51は、定着ベルトユニット23において回転軸A−Aと同一の回転軸を中心に回動可能に支持されている。すなわち、図8に示すように、シャッター部材51の両端側には支持ロッド57の一端側が接続され、図5に示すように、各支持ロッド57の他端側は、取付部材26に形成された長穴59と、フレーム部22に形成された長穴59と対応する形状を有する長穴(図示せず)とを通過し、図2に示すように、フレーム部22の両端側の外部に設けられた回動機構58に支持されている。回動機構58は、例えばモーターを備え、上記制御部からの制御信号に従って当該モーターを駆動させることにより、各支持ロッド57を回動させる。これにより、各支持ロッド57は、その回動軌道に沿うように円弧状に形成された長穴59等の内部を移動する。各支持ロッド57は定着ベルト25の端部の開口している部分からその内側に進入し、定着ベルト25の内側に配置されたシャッター部材51に接続されているので、各支持ロッド57の移動に伴い、シャッター部材51が回動する。
シャッター部材51は、開放位置から部分遮蔽位置を経て遮蔽位置までの間を移動する。
図11(1)は、図6に示す定着ベルトユニット23の端側を図6において上方から見た状態を示しており、図11(2)は図11(1)中の矢示S1−S1方向から見た当該定着ベルトユニット23の端側を模式的に示す端面図である。図11(3)ないし(6)についても同様である。図11(1)および(2)はシャッター部材51が開放位置にある状態を示している。図11(1)および(2)に示すように、開放位置は、各遮蔽板52が、外側選択領域Z3および内側選択領域Z4の双方において、定着ベルト25(加熱領域R)とハロゲンヒーター28との間から外れている位置である。シャッター部材51が開放位置にあるとき、ハロゲンヒーター28において外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分、およびハロゲンヒーター28において内側選択領域Z4に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分の双方が開放される。
A4用紙に画像を印刷する際(A4用紙上に形成されたトナー像を当該用紙に定着させる際)、シャッター部材51は開放位置へ回動する。これにより、ハロゲンヒーター28においてA4用紙の通紙領域に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分が遮蔽板52により遮蔽されることが防止される。これにより、A4用紙にトナー像を定着させるのに必要な熱量を定着ベルト25に伝えることができ、A4用紙に形成される画像の良好な品質を維持することができる。また、ハロゲンヒーター28においてA4用紙の非通紙領域に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分はカバー部材43により被覆されているので、例えばA4用紙に対する印刷が長時間連続して行われた場合でも、A4用紙の非通紙領域において定着ベルト25が過昇温な状態となることを防止することができる。また、カバー部材41に形成された貫通孔43により、ハロゲンヒーター28において、A4用紙の非通紙領域に対応する部分の表面温度を、ハロゲンヒーター28の当該部分の限界表面温度以下に維持することができる。
また、図11(3)および(4)は、シャッター部材51が部分遮蔽位置にある状態を示している。図11(3)および(4)に示すように、部分遮蔽位置は、各遮蔽板52が、外側選択領域Z3において定着ベルト25(加熱領域R)とハロゲンヒーター28との間に介在するが、内側選択領域Z4において定着ベルト25(加熱領域R)とハロゲンヒーター28との間から外れている位置である。シャッター部材51が部分遮蔽位置にあるとき、各遮蔽板52の第1の遮蔽片53により、ハロゲンヒーター28において外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分が遮蔽される。一方、シャッター部材51が部分遮蔽位置にあるとき、ハロゲンヒーター28において内側選択領域Z4に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分は、第1の遮蔽片53によっても第2の遮蔽片54によっても遮蔽されず、それゆえ、この部分は開放される。
B5用紙に画像を印刷する際(B5用紙上に形成されたトナー像を当該用紙に定着させる際)、シャッター部材51は部分遮蔽位置へ回動する。これにより、ハロゲンヒーター28においてB5用紙の非通紙領域に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分が第1の遮蔽片53およびカバー部材43により遮蔽または被覆されるので、例えばB5用紙に対する印刷が長時間連続して行われた場合でも、B5用紙の非通紙領域において定着ベルト25が過昇温な状態となることを防止することができる。また、第1の遮蔽片53に形成された貫通孔55、およびカバー部材41に形成された貫通孔43により、ハロゲンヒーター28において、B5用紙の非通紙領域に対応する部分の表面温度を、ハロゲンヒーター28の当該部分の限界表面温度以下に維持することができる。また、シャッター部材51が部分遮蔽位置へ回動することにより、ハロゲンヒーター28においてB5用紙の通紙領域に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分が第1の遮蔽片53または第2の遮蔽片54により遮蔽されることが防止される。これにより、B4用紙にトナー像を定着させるのに必要な熱量を定着ベルト25に伝えることができ、B4用紙に形成される画像の良好な品質を維持することができる。
また、図11(5)および(6)は、シャッター部材51が遮蔽位置にある状態を示している。図11(5)および(6)に示すように、遮蔽位置は、各遮蔽板52が、外側選択領域Z3および内側選択領域Z4において定着ベルト25(加熱領域R)とハロゲンヒーター28との間に介在する位置である。シャッター部材51が遮蔽位置にあるとき、各遮蔽板52の第2の遮蔽片54により、ハロゲンヒーター28において、外側選択領域Z3に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分および内側選択領域Z4に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分が遮蔽される。
A5用紙に画像を印刷する際(A5用紙上に形成されたトナー像を当該用紙に定着させる際)、シャッター部材51は遮蔽位置へ回動する。これにより、ハロゲンヒーター28においてA5用紙の非通紙領域に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分が第2の遮蔽片54およびカバー部材43により遮蔽または被覆されるので、例えばA5用紙に対する印刷が長時間連続して行われた場合でも、A5用紙の非通紙領域において定着ベルト25が過昇温な状態となることを防止することができる。また、第2の遮蔽片54に形成された貫通孔55、およびカバー部材41に形成された貫通孔43により、ハロゲンヒーター28において、A5用紙の非通紙領域に対応する部分の表面温度を、ハロゲンヒーター28の当該部分の限界表面温度以下に維持することができる。
本実施形態において、シャッター部材51は、開放位置から一方向(図11(2)中の反時計回り方向)に例えば45度回動すると、部分遮蔽位置に到達し、部分遮蔽位置から一方向に例えば45度回動すると、遮蔽位置に到達する。また、シャッター部材51は、遮蔽位置から他方向(図11(5)中の時計回り方向)に例えば45度回動すると、部分遮蔽位置に到達し、部分遮蔽位置から他方向に例えば45度回動すると、開放位置に到達する。上記制御部は、印刷(定着)を行う用紙のサイズに応じ、回動機構58のモーターを制御し、シャッター部材51が開放位置、部分遮蔽位置および遮蔽位置のいずれかの位置となるように、シャッタ部材51を一方向または他方向に45度または90度回動させる。
以上、説明した通り、本発明の実施形態による定着装置21においては、定着ベルト25の内側に、回転軸A−Aと同一の回動軸周りを回動するシャッター部材51を設け、トナー像の定着を行う用紙のサイズに応じてシャッター部材51を回動させ、ハロゲンヒーター28において、定着を行う当該用紙の非通紙領域に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分をカバー部材41と共に遮蔽または被覆する。したがって、非通紙領域が用紙のサイズに応じて変化する場合でも、当該変化する非通紙領域における定着ベルトの過昇温を防止することができる。
また、本発明の実施形態による定着装置21においては、シャッター部材51の各遮蔽板52に貫通孔55を形成したことにより、各遮蔽板52によってハロゲンヒーター28において非通紙領域に対応しかつ加熱領域Rに対向する部分を遮蔽している間に、ハロゲンヒーター28の当該部分の表面温度が、ハロゲンヒーター28の当該部分の表面限界温度を超えて上昇することを防止することができる。
ここで、図12は、A5用紙に対する印刷を長時間連続して行ったときの定着ベルト25の軸方向中央からの距離(横軸)と定着ベルト25の温度(縦軸)との関係を示している。図12において、実線の特性線はシャッター部材(第2の遮蔽片)の遮蔽率が0%の場合における定着ベルト25の軸方向中央からの距離と温度との関係を示している。遮蔽率0%とは、シャッター部材による遮蔽を行わないことを意味する。この実線の特性線を見るとわかる通り、遮蔽率0%の場合には、A5用紙の非通紙領域における定着ベルト25の温度が、A5用紙の通紙領域における温度と比較して大きく上昇している。
また、図12において、二点鎖線の特性線はシャッター部材(第2の遮蔽片)の遮蔽率が50%の場合における定着ベルト25の軸方向中央からの距離と温度との関係を示している。遮蔽率50%は、第2の遮蔽片の貫通孔の形状、大きさおよび個数により設定されている。この二点鎖線の特性線と実線の特性線とを比較するとわかる通り、遮蔽率50%のシャッター部材を設けることで、シャッター部材を設けない場合(遮蔽率0%の場合)よりも、A5用紙の非通紙領域における定着ベルト25の温度の上昇が抑制されている。
また、図12において、点線の特性線はシャッター部材の遮蔽率が100%の場合における定着ベルト25の軸方向中央からの距離と温度との関係を示している。遮蔽率100%とは、貫通孔が全く形成されていない無孔のシャッター部材(無効の第2の遮蔽片)を設けたことを意味する。この点線の特性線と二点鎖線の特性線とを比較するとわかる通り、無孔のシャッター部材を設けることで、遮蔽率50%のカバー部材を設けた場合よりも、A5用紙の非通紙領域における定着ベルト25の温度の上昇が一層抑制されている。このように、図12から、遮蔽率の高いシャッター部材を設けるほど、A5用紙の非通紙領域における定着ベルト25の温度上昇の抑制効果を高めることができることがわかる。かかる効果は、B4用紙やA4用紙の場合にも奏されると考えられる。
一方、図13は、定着ベルト25の回転速度が20PPM(1分間当たりの印刷枚数)であり、電力消費量が800Wである場合において、シャッター部材の遮蔽率(横軸)とハロゲンヒーター28のバルブ部28Aの端部の表面温度(縦軸)との関係、およびシャッター部材の遮蔽率(横軸)とハロゲンヒーター28のバルブ部28Aの中央部の表面温度(縦軸)との関係を示している。図13において、破線はハロゲンヒーター28のバルブ部28Aの表面限界温度を示している。図13を見るとわかる通り、シャッター部材の遮蔽率が100%の場合(無孔のシャッター部材を設けた場合)には、バルブ部28Aの端部の表面温度がその限界温度を超えている。このように、図13から、遮蔽率が高く、100%に近いシャッター部材を設けるとハロゲンヒーター28のバルブ部28Aの端部の表面温度がその限界温度を超える場合があることがわかる。
図12および図13を合わせて検討すると、シャッター部材51(第1の遮蔽片53および第2の遮蔽片54のそれぞれ)の遮蔽率は、定着ベルト25の過昇温を防止するためには高く設定した方がよいが、ハロゲンヒーター28のバルブ部28Aの端部の表面温度をその限界温度以下に維持するためには100%未満、例えば約70%以下に設定することがよいと考えられる。したがって、シャッター部材51の第1の遮蔽片53および第2の遮蔽片54のそれぞれに形成する貫通孔55の形状、大きさ、および個数を調整し、シャッター部材51の遮蔽率が例えば30%以上70%以下となるように設定することにより、各用紙の非通紙領域(外側選択領域Z3および内側選択領域Z4の部分)における定着ベルト25の過昇温を防止することと、ハロゲンヒーター28における非通紙領域(外側選択領域Z3および内側選択領域Z4の部分)に対応する部分の表面温度をその限界温度以下に維持することとを同時に実現することができる。これにより、定着ベルト25の劣化ないし消耗を抑制することができると共に、ハロゲンヒーター28の故障を防止することができる。
なお、上述した実施形態では、画像形成装置1がA4用紙、B4用紙、A5用紙に対して印刷を行う場合を例にあげて説明したが、用紙サイズはこれらに限定されない。A3用紙のような大きなサイズの用紙や、はがきサイズのような小さなサイズの用紙に対して印刷を行う場合でも、本発明を適用することができる。いずれの場合も、各用紙のサイズに対応してニップ部に設定される複数の通紙領域および複数の非通紙領域に基づいて複数の選択領域を設定し、それぞれの選択領域を遮蔽するための遮蔽片を備えたシャッター部材を形成する。
また、上述した実施形態では、画像形成装置1がそれぞれサイズの異なる3種類の用紙に対して印刷を行う場合を例にあげたが、用紙の種類の個数については限定されない。上述したように、画像形成装置1が印刷を行う用紙の種類が3種類の場合には、ニップ部31に設定される2つの選択領域のうちの一方を遮蔽する遮蔽片と、これらの選択領域のうちの双方を遮蔽する遮蔽する遮蔽片とを有する遮蔽板を形成する。また、画像形成装置1が印刷を行う用紙の種類が2種類の場合には、ニップ部31に設定される1つの選択領域を遮蔽する1つの遮蔽片を有する遮蔽板を形成する。画像形成装置1が印刷を行う用紙の種類が4種類の場合には、ニップ部31に設定される3つの選択領域のうちの1つを遮蔽する遮蔽片と、これらの選択領域のうちの2つを遮蔽する遮蔽片と、これらの選択領域のうちの全部を遮蔽する遮蔽片を有する遮蔽板を形成する。
また、上述した実施形態では、第1の遮蔽片53および第2の遮蔽片54に形成する貫通孔55のいくつかの態様を図10に示して説明したが、貫通孔55の態様はこれらに限定されない。例えば、第1の遮蔽片53または第2の遮蔽片54の端部に凹状の切り欠きを設け、第1の遮蔽片53または第2の遮蔽片54を貫通する空間を形成した場合、その切り欠きも貫通孔の一態様に含まれる。
また、上述した実施形態では、シャッター部材51を、定着ベルト25の回転軸A−Aと同一の回動軸周りを回動させる場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。シャッター部材51が回動するスペースを広く確保できる場合などには、シャッター部材51を、定着ベルト25の回転軸A−Aとは異なる回動軸周りを回動させてもよい。
また、上述した実施形態では、熱源体としてハロゲンヒーター28を例にあげたが、熱源体はこれに限らず、例えばセラミックヒーター等の他の熱源体でもよい。
また、上述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例にあげたが、本発明はこれに限らず、複写機、ファクシミリ、複合機等にも適用することができる。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う定着装置および画像形成装置もまた本発明の技術思想に含まれる。