JP6237162B2 - 磁気抵抗メモリ素子および磁気抵抗メモリ - Google Patents

磁気抵抗メモリ素子および磁気抵抗メモリ Download PDF

Info

Publication number
JP6237162B2
JP6237162B2 JP2013245322A JP2013245322A JP6237162B2 JP 6237162 B2 JP6237162 B2 JP 6237162B2 JP 2013245322 A JP2013245322 A JP 2013245322A JP 2013245322 A JP2013245322 A JP 2013245322A JP 6237162 B2 JP6237162 B2 JP 6237162B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magnetic
thickness
magnetization
tunnel barrier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013245322A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015103755A (ja
Inventor
吉田 親子
親子 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP2013245322A priority Critical patent/JP6237162B2/ja
Publication of JP2015103755A publication Critical patent/JP2015103755A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6237162B2 publication Critical patent/JP6237162B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Mram Or Spin Memory Techniques (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Description

本発明は、磁気トンネル接合(Magnet Tunnel Junction:MTJ)を有する磁気抵抗メモリ素子および磁気抵抗メモリに関する。
近年の電子デバイスにおいては、シリコン(Si)のCMOSロジックに対して低コストで混載が可能な、大容量不揮発性メモリの重要性が高まっている。
磁気抵抗メモリ(Magnetoresistive Random Access Memory: MRAM)は、情報の不揮発性に加えて、情報の高速な書き換えが無制限に行える。このことから、フラッシュメモリなどROM用途のメモリだけでなく、SRAMやDRAMといったRAM用途のメモリを置き換える可能性がある新規不揮発性メモリとして注目されている。
MRAMは、トンネルバリア層の上下に強磁性金属電極を配置し、強磁性金属電極の相対的な磁化の向きによってトンネル抵抗が変化する磁気トンネル接合を利用してメモリ機能を実現する。磁化の方向が固定された強磁性金属電極は磁化固定(ピン)層と呼ばれ、磁化の方向が反転可能な強磁性金属電極は磁化自由(フリー)層と呼ばれる。フリー層の磁化方向に応じて抵抗が異なるので、フリー層の磁化方向に対応して“0”と“1”の2値データを対応させる。このようにフリー層の磁化方向に応じてデータの記憶を行うので、ここでは、フリー層を記憶層と称する。
これまで、磁化自由層の向きは、配線に電流を流すことで誘導される磁場を用いて反転させていた。しかし、近年になり、スピン偏極した電子によるトルク(Spin-Transfer Torque: STT)により磁化自由層の磁化反転が可能であることが分かった(スピン注入磁化反転)。磁場による磁化反転の場合、素子が小さくなるほど反転させるのに大きな磁場が必要となり微細化が難しかった。スピン注入磁化反転の場合は、素子が小さくなるほどスイッチング電流が小さくなることより、書き換えに必要な電流を大幅に減少でき、MRAMの実用化の可能性が一層高まっている。
以下の説明では、磁気トンネル接合を実現する材料として使用されるMgOは酸化マグネシウムを、Coはコバルトを、Feは鉄を、Bはボロン(ホウ素)を、Taはタンタルを、Ruはルテニウムを、Niはニッケルを、を示す。さらに、Ptは白金を、Arはアルゴンを、Pdはパラジウムを、Rhはロジウムを、Nbはニオビウムを、PMA材料は垂直磁気異方性(perpendicular magnetic anisotropy)材料の総称を、示す。
MRAMを高集積化していくと、MTJのサイズが減少してスイッチング電流はMTJの面積に比例して小さくなるため有利であるが、同時にデータ保持特性が減少してしまうという問題が生じる。書換え電流Icを増やすことなく保持特性を向上させる方法の一つに、面内磁化MTJの場合に、記憶層をSAF (Synthetic AntiFerromagneticあるいはFerrimagnetic)構造にすることが提案されている。一般的に、面内磁化の場合には平面形状のアスペクト比を大きくすることで、長辺方向の磁化が安定にする。従って、熱揺らぎパラメータΔをSAF構造の記憶層にすることで60以上にすることはできるが、短辺を小さくしてもMTJの面積を小さくできないため、書換え電流Icを低減できないという問題があった。
磁化の向きを一方向に保つエネルギー(保持特性、熱揺らぎ耐性)は、磁気異方性エネルギーと磁化反転単位体積の積で表わされる。面内磁化MTJの場合には、アスペクトで形状に異方性を持たせる形状磁気異方性を用いたが、垂直MTJの場合には、結晶磁気異方性が大きく、形状の異方性に依存する必要がない。
この垂直磁化MTJにおいても、記憶層をSAF構造にするということが提案されている。例えば、二つの記憶層と一つの磁化固定層からなるMTJにおいて、第1記憶層を反強磁性結合したSAF構造にすることにより、第2記憶層が第1記憶層より先に反転しないようにしている。
また、垂直磁化MTJで、SF(Synthetic ferromagnetic)結合した記憶層が提案されている。
特開2008−010590号公報 特開2008−252036号公報 特開2013−016560号公報
Hayakawa et al., "Current-Induced Magnetization Switching in MgO Barrier Based Magnetic Tunnel Junctions with CoFeB/Ru/CoFeB Synthetic Ferrimagnetic Free Layer", JJAP Express letter, Vol. 45, No. 40, 2006, pp.L1057-L1060 S. Ikeda et al., "A perpendicular-anisotropy CoFeB-MagO magnetic tunnel junction", Nature materials, Vol. 9, pp.721-724, September 2010 M. Pakala et al., "Critical current distribution in spi-transfer-switched magnetic tunnel junctions", Journal of Appl. Phys. 98. 056107 (2005) Y, Saito et al., "Thermal stability parameters in synthetic antiferromagnetic free layers in magnetic tunnel junctions", Journal of Appl. Phys. 97. 10C914(2005) P.J.H. Bloemen et al., "Oscillatory interlayer exchange coupling in Co/Ru multilayers and bilayers", Phys. Rev. B 50, 13505, 1994
上記の提案されている二つの記憶層と一つの磁化固定層からなるMTJにおいては、単純にSAF構造にすることで、熱的安定性が向上するかもしれないが書換え(スイッチング)電流Icも大きくなることがある。
さらに、SF結合した記憶層の場合には、書換え電流Icが増加したり、記憶からの漏れ磁場が非常に大きくなるため、磁化固定層がその影響で固定されないで反転しやすくなるという問題があることが分かった。
以上のように、単純に2つの強磁性層として、垂直磁気異方性を持つ磁性体を用いて、記憶層にSAF構造を形成するだけでは、上記課題を解決できないことが分かった。これは、記憶層のSAF構造によっては、かえってスイッチング電流が大きくなってしまい、熱揺らぎ安定性が低下してしまうためである。
さらに、メモリ素子として高抵抗状態と低抵抗状態を“1”と“0”に対応させて情報を記憶させるには、磁化曲線のヒステリシス特性を示す部分が、外部磁場がゼロである範囲にあることが望ましい。
以上の要望を満たす垂直磁化型磁気抵抗メモリ素子が望まれている。
第1の態様によれば、磁気抵抗メモリは、トンネルバリア層と、トンネルバリア層の一方の側に設けられた磁化固定層と、トンネルバリア層の他方の側に設けられた記憶層と、を有する。記憶層は、第1磁性層と、第1非磁性層と、第2非磁性層と、第2磁性層と、を有する。第1磁性層は、トンネルバリア層に接触し、垂直磁気異方性を有し、CoFeB、CoFe、Fe、Co、FeBまたはCoBのいずれかを材料とするとする。第1非磁性層は、第1磁性層に接触し、Taを材料とし、0.25nm以上で0.35nm以下の膜厚を有する。第2非磁性層は、第1非磁性層に接触し、Ru、RhまたはPdのいずれかを材料とし、0.4nm以上で2.0nm以下の膜厚を有する。第2磁性層は、第2非磁性層に接触し、垂直磁気異方性を有する。第1磁性層と第2磁性層は、反強磁性交換結合により磁気的に結合しており、第1磁性層の飽和磁化と厚さを乗じた値は、第2磁性層の飽和磁化と厚さを乗じた値より大きい。
第2の態様によれば、磁気抵抗メモリは、トンネルバリア層と、トンネルバリア層の一方の側に設けられた磁化固定層と、トンネルバリア層の他方の側に設けられた記憶層と、を有する。記憶層は、第1磁性層と、第1非磁性層と、第2非磁性層と、第2磁性層と、を有する。第1磁性層は、トンネルバリア層に接触し、垂直磁気異方性を有する。第1非磁性層は、第1磁性層に接触し、Taを材料とし、0.1nm以上で0.5nm以下の膜厚を有する。第2非磁性層は、第1非磁性層に接触し、Ru、RhまたはPdのいずれかを材料とし、0.4nm以上で2.0nm以下の膜厚を有する。第2磁性層は、第2非磁性層に接触し、垂直磁気異方性を有する。第1磁性層と第2磁性層は、反強磁性交換結合により磁気的に結合しており、第1磁性層の飽和磁化と厚さを乗じた値は、第2磁性層の飽和磁化と厚さを乗じた値より大きい。第1磁性層は、第1副磁性層と、第2副磁性層と、を有する。第1副磁性層は、トンネルバリア層に接触し、CoFeB、CoFe、Fe、Co、FeBまたはCoBからなる0.3nm以上2.0nm以下の膜厚を有する。第2副磁性層は、第1副磁性層に接触し、10%以上30%以下のTaを含有するCoFeB、CoFe、Fe、Co、FeBまたはCoBからなり、0.2nm以上で0.6nm以下の膜厚を有する。
第3の態様によれば、磁気抵抗メモリは、複数のメモリセルと、各メモリセルの一方の端子に接続される第1配線と、各メモリセルの他方の端子に接続される第2配線と、選択線と、ライトアンプと、センスアンプと、選択線を制御するデコーダ回路と、を有する。ライトアンプは、第1配線および第2配線間に双方向に電流を流すように電圧を印加し、センスアンプは、第1配線および第2配線間の電圧差を検出する。各メモリセルは、第1または第2の態様の垂直磁化型磁気抵抗メモリ素子と、垂直磁化型磁気抵抗メモリ素子に接続された選択トランジスタと、を有する。選択線は、各メモリセルの選択トランジスタのゲートに接続される。
実施形態によれば、書換え電流Ic(スイッチング電流)を大きくせず、熱揺らぎ特性を改善し、磁化曲線のヒステリシス特性を示す部分が、外部磁場がゼロの範囲にある磁気抵抗メモリ素子および磁気抵抗メモリが実現される。
図1は、実施形態の界面垂直磁化型STT−MRAMのメモリセルを示す図である。 図2は、図1の(B)に示したメモリセルのレイアウトで、同一のビット線およびソース線に接続される隣接する2個のメモリセルおよび周辺回路部分のトランジスタの断面構造の例を示す図である。 図3は、MTJの構造を示す図であり、(A)がトップピン型のMTJの構造を、(B)がボトムピン型のMTJの構造を、示す。 図4は、先行技術に記載されたトンネルバリア層および記憶層の構造を示す図であり、(A)がトップピン型のMTJの場合を、(B)がボトムピン型のMTJの場合を、示す。 図5は、先行技術に記載された試料の構造を示す図である。 図6は、先行技術に記載された、実験結果に基づいて作製した良好な特性を示すMTJの構造例を示す図であり、(A)がトップピン型の例を、(B)がボトムピン型の例を示す。 図7は、一般的なMTJの外部磁界による素子抵抗の磁化曲線である。 図8は、図6の(A)に示した磁化固定層(ピン層)および記憶層(フリー層)を有する磁気抵抗メモリのMTJの特性を示す磁化曲線の図である。 図9は、フリー層のSAF構造の強磁性体層の二層を一定にし、−Jexを変化させたときのHoffとHcの変化を示す図である。 図10は、CoPd1.4nm/Ru0.6nm/Ta(t−nm)/CoFeB0.7nm/Mgo構造で、Ta層の膜厚を0.2、0.25、0.3、0.4nmと変化させた場合の磁化曲線を示す。 図11は、−JexとTa層の膜厚の関係を示す図である。 図12は、解析結果に基づいて作製した第1実施形態のMTJの構造を示す図である。 図13は、試作した図12の第1実施形態のMTJの特性の測定結果を示す図であり、(A)がRHヒステリシス曲線を、(B)が複数サンプルのHoffおよびHcの分布を示す図である。 図14は、第2実施形態のMTJのトンネルバリア層およびフリー層の構造を示す図である。 図15は、第2実施形態のMTJの試料の磁化曲線を示す図であり、実線が試料の磁化曲線を、点線が比較例の磁化曲線を示し、(B)は(A)の破線円の部分を拡大した図である。 図16は、第2実施形態のMTJの構造でマイクロマグネティック・シミュレーションを行い、CoFeBTa/CoFeB層を仮定し、Hkを4500Oeと約1.5倍大きくした場合の結果を示す図である。 図17は、解析結果に基づいて作製した第2実施形態のMTJの構造を示す図である。 図18は、試作した図17の第2実施形態のMTJの特性の測定結果を示す図であり、(A)がRHヒステリシス曲線を、(B)が複数サンプルのHoffおよびHcの分布を示す図である。 図19は、第1または第2実施形態の界面垂直磁化型MRAMを、CMOS回路に混載した半導体装置のブロック図である。 図20は、MRAMのブロック図である。
本出願人は、特願2012−271077号で、記憶層をSAF構造にすることで、低スイッチング電流・高保持特性を持つMRAMを開示している。まず、特願2012−271077号に開示した先行技術のMRAM構造について説明する。
図1は、先行技術の界面垂直磁化型のMRAMのメモリセルを示す図であり、(A)が1個のメモリセルの電気的等価回路を、(B)が複数のメモリセルを配置したメモリセルアレイを、示す。
図1の(A)に示すように、メモリセル10は、トランジスタ(nMOSFET)11と、抵抗値が設定される可変抵抗素子12と、を有する。可変抵抗素子12は、界面垂直MTJを含み、記憶データに応じて記憶層(磁化自由層)の磁化方向が設定される。可変抵抗素子12の一端はビット線14に接続され、可変抵抗素子12の他端はトランジスタ11の一方の被制御端子(ドレイン)に接続される。トランジスタ11の制御端子(ゲート)はワード線13に接続され、トランジスタ11の他方の被制御端子(ソース)はソース線15に接続される。
メモリセル10にデータを書き込む場合は、ワード線13に選択電圧(H)を印加してトランジスタ11をオンし、書き込むデータ(HまたはL)に応じて、ビット線14とソース線15の間に極性の異なる電流を流すように電圧を印加する。これにより、書き込むデータに応じて、MTJの磁化自由層の磁化方向が設定され、可変抵抗素子12は、異なる抵抗値を呈する。メモリセル10からデータを読み出す場合は、ワード線13に選択電圧(H)を印加してトランジスタ11をオンし、ビット線14とソース線15の間に、書き込み時より小さい電圧を印加する。これにより、トランジスタ11および可変抵抗素子12を介して、ビット線14とソース線15の間に電流が流れるが、可変抵抗素子12の抵抗値に応じて流れる電流が異なるので、電流量の差に対応して記憶しているデータを検出する。
図1の(A)では、ビット線14とソース線15が直交しているが、書き込みおよび読み出し動作の関係から、ビット線14とソース線15は隣接して平行に配置されることが望ましい。図1の(B)は、ビット線14とソース線15を平行に配置した場合のメモリセルのレイアウトを示す。図1の(B)に示すように、ビット線14とソース線15の組に対してワード線13が直交する方向に配置される。図1の(B)では、同一のビット線14およびソース線15に接続される隣接する2個のメモリセルのトランジスタ11のソースは接続され、その接続ノードがソース線15に接続される。
図2は、図1の(B)に示したメモリセルのレイアウトで、同一のビット線14およびソース線15に接続される隣接する2個のメモリセルおよび周辺回路部分のトランジスタの断面構造の例を示す図である。
図2に示すように、メモリセル部分および周辺回路部分において、基板21の上の層22にトランジスタなどの機能素子が形成される。コンタクト層CTでは、ゲート電極23Aおよび23B、ドレイン電極24Aおよび24B、およびソース電極25が形成される。M1からM5は、それぞれメタル層を示し、V1からVM4はビア層を示す。図示していないが、ゲート電極23Aおよび23Bは、いずれかのメタル層に設けられた、紙面に垂直な方向に伸びるワード線に接続される。また、ソース電極25は、いずれかのメタル層に設けられた、紙面上を横方向に伸びるソース線に接続される。ドレイン電極24Aおよび24Bは、メタル層M1〜M4およびビア層V1〜V4を介して上層に導かれ、下部電極26に接続される。以上の構造は、メモリセル部分および周辺回路部分で同じである。メモリセル部分においては、MTJ30は下部電極26と上部電極28の間に形成され、上部電極28はメタル層M5に配置され、紙面上を横方向に伸びるビット線に接続される。
MTJ30以外の部分は、これまで広く行われている配線レイアウトおよび製造方法を適用して実現されるため説明は省略し、MTJについてのみ説明する。
図3は、MTJ30の構造を示す図であり、(A)がトップピン型のMTJ30の構造を、(B)がボトムピン型のMTJ30の構造を、示す。
図3の(A)に示すように、トップピン型のMTJ30は、下部電極26の上面に接触する記憶(フリー:磁化自由)層40と、記憶層40の上面に接触するトンネルバリア層31と、トンネルバリア層31の上面に接触する磁化固定(ピン)層32と、を有する。上部電極28は、磁化固定層32の上面に接触するように形成される。
また、図3の(B)に示すように、ボトムピン型のMTJ30は、下部電極26の上面に接触する磁化固定層32と、磁化固定層32の上面に接触するトンネルバリア層31と、トンネルバリア層31の上面に接触する記憶層40と、を有する。上部電極28は、記憶層40の上面に接触するように形成される。
上記のように、トップピン型のMTJ30とボトムピン型のMTJ30は、磁化固定(ピン)層32が、トンネルバリア層31の上側に形成されるか、下側に形成されるか、が異なる。言い換えれば、記憶層40が、トンネルバリア層31の上側に形成されるか、下側に形成されるか、が異なる。いずれの場合も、動作原理に差異はない。
図4は、先行技術におけるトンネルバリア層31および記憶層40の構造を示す図であり、(A)がトップピン型のMTJ30の場合を、(B)がボトムピン型のMTJ30の場合を、示す。
図4の(A)に示すように、トップピン型のMTJ30の記憶層40は、トンネルバリア層31の下面に接触する第1記憶磁性層M1と、M1の下面に接触する常磁性(非磁性)層Nと、非磁性層Nの下面に接触する第2記憶磁性層M2と、を有する。したがって、第2記憶磁性層M2の下面には下部電極26が接触する。
先行技術では、非磁性層Nは、第1記憶磁性層M1の下面に接触する第1非磁性層N1と、第1非磁性層N1の下面に接触する第2非磁性層N2と、を有する。したがって、第2非磁性層N2は、第2記憶磁性層M2の上面に接触する。なお、非磁性層Nは、先行技術では第1非磁性層N1および第2非磁性層N2の2層を有するが、1層でも、3層以上でもよく、2層に限定されるものではない。さらに、先行技術では、第1記憶磁性層M1と第2記憶磁性層M2は、後述するように、反強磁性結合している。
図4の(B)に示すように、ボトムピン型のMTJ30の記憶層40は、図4の(A)のトップピン型のMTJ30の記憶層40を、上下逆転した構造を有する。
図4の(A)および(B)に示すように、先行技術の記憶層40は、前述のSAF (Synthetic AntiFerromagneticあるいはFerrimagnetic)構造を有する。垂直磁化膜SAF構造を有する記憶層で、単純に2つの強磁性層として、垂直磁気異方性を持つ磁性体を用いて、記憶層にSAF構造を形成するだけでは、熱揺らぎ安定性が増加する。しかし、スイッチング電流が大きくなってしまい磁化反転が容易ではない可能性があることが判明した。そこで、スイッチング電流を小さくでき、良好な熱揺らぎ安定性が得られる条件を調べたところ、トンネルバリア層に接する第1磁性層M1の磁化と、トンネルバリアから離れた第2磁性層M2の磁化との関係が、記憶層の特性に大きく影響することを見出した。具体的には、第1磁性層M1の磁化が、第2磁性層M2の磁化より大きい構造を用いることにより、スイッチング電流を大きくせず、熱揺らぎ特性を改善することができる。以下、先行技術の実施形態のボトムピン型のMTJ30の記憶層40について説明する。
MTJ30のトンネルバリア層31としては、通常MgOが広く用いられている。高磁気抵抗を得るためにはMgOが(001)配向する必要がある。そのためには、MgOトンネルバリア層31の上下の層、すなわち第1磁性層M1および磁化固定層32は、結晶整合性がよい、Fe、Co、CoFe、CoFeB、CoB、FeBのいずれかで形成することが望ましい。これらの磁性体は、極薄膜の場合において、垂直磁気異方性が発現することが知られている。
一方、M2層に関しては、基本的に、垂直磁気異方性をもつ磁性体であれば、どのような材料で形成してもよい。しかし後述するように、M1層の磁化よりも小さくするために、材料やその膜厚が限定される。
第2非磁性層N2としては、Ru、Rh、Pd等の元素が用いられ、その膜厚は 0.4nm〜2.0nmの範囲である。RKKY交換相互作用により、M1層とM2層の間に反強磁性的交換相互作用が働くような膜厚を用いる。RKKY交換相互作用は、金属層などを介した場合に発現する電子軌道の波動に起因する相関結合である。
また、第1非磁性層N1は、第1強磁性層M1が第2強磁性層M2の影響を受けないで、MgOトンネルバリア層31の界面から結晶化が進むように挿入するもので、Ta、Nb等の元素が用いられ、その膜厚は0.1nm〜0.5nmの範囲である。
第2強磁性層M2をCoPdで、第1強磁性層M1をCoFeBで形成した試料を製作し、その特性を調べた。ここで、M2層のCoPdは、Coを厚さ0.3nm、Pdを厚さ0.7nmの組とし、これをn=1〜3回堆積し、最後のCoを厚さ0.3nmで堆積した。今後、このような層構造[Co0.3nm/Pd0.7nm]n=iCo0.3nmをCoPd(n=i)と表記する。
図5は、試料の構造を示す図である。この試料は、下部金属26および上部金属28を厚さ5mnのTa膜とし、トンネルバリア層31を厚さ0.9mnのMgO膜とし、第1記憶磁性層M1を厚さ0.7nmのCoFeB膜とする。そして、第2記憶磁性層M1を、上記の[Co0.3nm/Pd0.7nm]n=iCo0.3nmの層構造膜とし、第1非磁性層N1を厚さ0.2nmのTa膜とし、第2非磁性層N2を厚さ0.6nmのRu膜とする。この場合、第2非磁性層N2の厚さが0.2nmと薄いので、M1層とM2層の間に反強磁性的交換相互作用が働く。したがって、この試料には、記憶層40のみが設けられ、磁化固定(ピン)層32は設けられていない。図5の試料で、nを1〜3と変化させた時の測定結果から、良好な特性を示すMTJの構造を求めた。
図6は、先行技術に開示された良好な特性を示すMTJの構造例を示す図であり、(A)がトップピン型の例を、(B)がボトムピン型の例を示す。
図6において、Bottom electrodeが下部金属26に、Top electrodeが上部金属28に、MgOがトンネルバリア層31に、それぞれ対応する。図6の(A)において、記憶層がフリー層40に対応し、そこに含まれるCoFeB0.7nmが第1記憶磁性層M1に、CoPd1.1nmが第2記憶磁性層M2に、Ta0.2nmが第1非磁性層N1に、Ru0.6nmが第2非磁性層N2に、対応する。それ以外のCoFeB1.2nm、Ta0.3nm、CoPt4nm、Ru1.0nmおよびCoPt14nmが磁化固定(ピン)層32を形成する。
図6の(B)において、記憶層がフリー層40に対応し、そこに含まれるCoFeB1.2nmが第1記憶磁性層M1に、CoPd1.1(n=2)が第2記憶磁性層M2に、Ta0.3nmが第1非磁性層N1に、Ru0.6nmが第2常磁性層N2に、対応する。それ以外のCoFeB1.0nm、Ta0.3nm、CoPt4nm、RuおよびCoPt14nmが磁化固定(ピン)層32を形成する。
図6に示した記憶層においては、トンネルバリア層に接触する第1磁性層の磁化が、トンネルバリア層に接触しない第2磁性層の磁化より大きい。言い換えれば、第1磁性層の飽和磁化と厚さを乗じた値は、第2磁性層の飽和磁化と厚さを乗じた値より大きい。
以上、特願2012−271077号に開示した先行技術について説明した。なお、上記の説明は、特願2012−271077号に開示した技術の一部であり、特願2012−271077号に開示しているがここでは説明していない技術であっても、本出願に適用可能である。
図6に示したMTJの特性を試験したところ、MRAMに使用する上で、不十分な点が見出された。以下、これについて説明する。
図7は、一般的なMTJの外部磁界による素子抵抗の磁化曲線である。
高抵抗状態と低抵抗状態を“1”、“0”に対応させて情報を記憶させる。例えば、図7において実線で示す磁化曲線は、外部磁場の正側にシフトしている。このずれをオフセット磁場(Hoff)と定義する。この場合、外部磁場がゼロのときには、“0”状態しか存在しないため、“1”状態にスイッチさせることができない。
MTJを利用した磁気抵抗半導体メモリでは、動作時に外部磁場を印加することは行えず、MTJに印加される外部磁場はゼロである。この状態でMTJに電流(電圧)を印加して状態を切り換える(スイッチする)には、外部磁場がゼロの軸に対し“1”と“0”の二つの状態が存在することが求められ、そのためオフセット磁場はゼロに近いことが求められる。
また、オフセット磁場がゼロでなくても、Hoff<Hc(Hc=磁化曲線のヒステリシス部分の幅/2)の場合には、図7の点線の磁化曲線で示すように、外部磁場がゼロの軸に対し“1”、“0”の二つの状態が存在しうる。そのため、Hcが大きくなると、Hoffのマージンが広がることになる。
特許文献3に記載されるように、オフセット磁場をゼロに近づけるには、ピン層をSAF構造にし、SAF構造を形成する二層の強磁性体の膜厚をコントロールする。しかしながら、記憶層(フリー層)がSAF構造のMTJの場合、磁化固定層(ピン層)をSAF構造にし、その膜厚を変化させても、オフセット磁場をゼロ付近にコントロールして作製することは難しかった。
例えば、図8は、図6の(A)に示した磁化固定層(ピン層)および記憶層(フリー層)を有する磁気抵抗メモリのMTJの特性を示す磁化曲線の図である。この場合、Hoffは3000Oeもあった。
以下に説明する実施形態では、Hoffがゼロに近いMTJが開示される。
まず、第1実施形態について説明する。
マイクロマグネティック・シミュレーションにより、記憶層(フリー層)のSAF構造の「交換相互作用の大きさ」(−Jex)を制御することで、オフセット磁場をコントロールできることを発見した。以下、シミュレーションによる検討結果を示す。
図9は、フリー層のSAF構造の強磁性体層の二層(図4のM1とM2)を一定にし、−Jexを変化させたときのHoffとHcの変化を示す図である。この図から、−Jexが減少するとともに、Hoffも単調に減少し、−Jexが約0.18erg/cm2のときに、Hoffがほぼゼロになることがわかる。
さらに、SAF構造の第1非磁性層の膜厚を制御することにより、−Jexの大きさをコントロールできることを発見した。
図10は、CoPd1.4nm/Ru0.6nm/Ta(t−nm)/CoFeB0.7nm/Mgo構造で、Ta層の膜厚を0.2、0.25、0.3、0.4nmと変化させた場合の磁化曲線を示す。なお、図10のシミュレーションは、ピン層を有さない構造を対象に行ったもので、ピン層も含むMTJの場合とは異なるが、特性を予測することが可能である。
図10から、Taの膜厚が厚くなると、磁化曲線の高磁場側のヒステリシスが生じる磁場(Hsf)が小さくなる傾向を示すことが分かる。−JexとHsfは、非特許文献5に記載されるように、次の関係があることが知られている。
−Jex=(Hsf/2)Ms1t1Ms2t2/(Ms2t2−Ms1t1)
この関係から、−JexはHsfに比例し、Hsfは第1非磁性層(Ta)の膜厚に応じて変化するので、−JexとTa層の膜厚の関係を求めることができる。
図11は、−JexとTa層の膜厚の関係を示す図である。
図11から、−JexはTaの膜厚にほぼ比例し、上記のHoffをゼロにする、すなわち−Jexを約0.18erg/cm2にするには、Taの膜厚を約0.3nmにすればよいことが判明した。なお、Taの膜厚が0.25nm〜0.35nmの範囲であれば、外部磁場がゼロでも、磁化曲線は“0”と“1”のに状態を取り得る。
図12は、上記の解析結果に基づいて作製した第1実施形態のMTJの構造を示す図である。
第1実施形態のMTJは、トップピン型であり、記憶層(フリー層)40と、フリー層)40の上に形成されたトンネルバリア層31と、トンネルバリア層31の上に形成された磁化固定層(ピン層)30と、を有する。素子サイズは、約70nmφである。フリー層40は、トンネルバリア層31側から順に、第1磁性層M1、第1非磁性層N1、第2非磁性層N2および第2磁性層M2を有する。第1磁性層M1は、0.7nmの膜厚のCoFeBである。第1非磁性層N1は、0.3nmの膜厚のTaである。第2非磁性層N2は、0.6nmの膜厚のRuである。第2磁性層M2は、1.4nmの膜厚のCoPdである。言い換えれば、フリー層40は、CoPd1.4nm/Ru0.6nm/Ta0.3nm/CoFeB0.7nmである。トンネルバリア層31は、MgO膜である。
ピン層30は、トンネルバリア層31側から順に、CoFeB層51、Ta層52、膜厚6nmのCoPt層53と、Ru層54と、膜厚14nmのCoPt層55と、を有する。
図13は、試作した図12の第1実施形態のMTJの特性の測定結果を示す図であり、(A)がRHヒステリシス曲線を、(B)が複数サンプルのHoffおよびHcの分布を示す図である。
図13の(A)に示すように、Hoffはほぼゼロであり、Hcも図8に比べて大きくなっていることが分かる。また、図13の(B)に示すように、Hoffはゼロを中心として分布し、Hcは600〜1100Oeの範囲に分布していることが分かる。
以上説明したように、第1実施形態のMTJは、Hoffがほぼゼロで、Hcも改善し、磁気抵抗メモリのMTJとして使用するのに適している。
次に、第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、記憶層(フリー層)の第1非磁性層であるTa層の膜厚を0.3nm付近にすることにより、Hoffをゼロに近づけた。これに対して、第2実施形態では、第1磁性層を積層構造とすることにより、Hoffをゼロに近づけ、Hc(磁化曲線のヒステリシス部分の幅/2)を大きくする。Hcを大きくすることにより、Hoffがゼロからずれていても、外部磁場がゼロの状態で、“1”と“0”の間でスイッチするようにする。言い換えれば、Hsを大きくすることによりHoffのマージンを広げ、Hoffのゼロからのによる問題が実用上発生しないようにする。
図14は、第2実施形態のMTJのトンネルバリア層31およびフリー層40の構造を示す図である。トンネルバリア層31は、MgO膜である。フリー層40は、トンネルバリア層31側から順に、第1磁性層M1、第1非磁性層N1、第2非磁性層N2および第2磁性層M2を有する。第1非磁性層N1は、0.2nmの膜厚のTaである。第2非磁性層N2は、0.6nmの膜厚のRuである。第2磁性層M2は、CoPdである。第2実施形態では、第1磁性層M1を、第1副磁性層M11と、第2副磁性層M12と、を有する積層構造とする。第1副磁性層M11は、CoFeB、CoFe、Fe、Co、FeBまたはCoBからなる磁性層であり、膜厚は0.3nmと2.0nmの間、望ましくは0.3nm以上0.9nm以下である。第2副強磁性層は、10%以上30%以下のTaを含有するCoFeB、CoFe、Fe、Co、FeBまたはCoBからなる磁性層であり、膜厚は0.2nmと0.6nmの間、望ましくは0.2nm以上0.4nm以下である。
図14の第2実施形態のMTJで、M2、N2、N1、M12、M11およびMgOを、CoPd1.4nm/Ru0.6nm/Ta0.2nm/CoFeBTa0.4nm/CoFeB0.4nm/MgO構造を試作し、VSMを用いて磁化曲線を測定した。また、比較例として、CoPd1.4nm/Ru0.6nm/Ta0.2nm/CoFeB0.7nm/MgOの参照構造に対しても比較プロットした。
図15は、磁化曲線を示す図であり、実線が図14の第2実施形態のMTJの磁化曲線を、点線が比較例の参照MTJの磁化曲線を示し、(B)は(A)の破線円の部分を拡大した図である。
第1副磁性層M1であるCoFeB層を、2層のCoFeBTa/CoFeBに置き換えることで、図15の(A)に示すように、磁化曲線のHsfが小さく、言い換えると−Jexを小さくできる。
さらに、図15の(B)に示すように、低磁場におけるループの飽和磁化(Ms)がMs’からMsに減少し、ヒステリシスの幅がHc’からHcに増加することが分かった。単磁区の場合には、Hcは、結晶磁気異方性エネルギー(Hk)に比例するので、第2実施形態のMTJでは、Hkが増加し、垂直磁化がより安定して存在するようになる。
ここで、比較例であるCoPd1.4nm/Ru0.6nm/Ta0.2nm/CoFeB0.7nm/MgOの構造で、−Jexが約0.1erg/cm2、CoFeBのHkとして、マイクロマグネティック・シミュレーションを行った。このシミュレーションに基づいて、オフセット磁場Hoffを算出した結果、Hoff=−3500Oeとなった。
図16は、第2実施形態のMTJの構造でマイクロマグネティック・シミュレーションを行い、CoFeBTa/CoFeB層を仮定し、Hkを4500Oeと約1.5倍大きくした場合の結果を示す図である。図16で、破線の直線より上の領域は、Hoff<Hcの領域であり、MTJを界面垂直磁化型MRAMに適用した場合に、外部磁場を印加せずに動作させることができる領域である。図16によれば、Hoffは約600Oe減少しただけであったが、Hcは約1400Oe増大することがわかった。この結果、Hoffは約600Oeであるが、Hoff<Hcを満足できるようになり、外部磁場印加することなく、MTJを動作させることが可能となる。このように、Hoffのマージンが大きくなり、Hoffがゼロでなくても動作が可能となる。
図17は、上記の解析結果に基づいて作製した第2実施形態のMTJの構造を示す図である。
第2実施形態のMTJは、トップピン型であり、記憶層(フリー層)40と、フリー層)40の上に形成されたトンネルバリア層31と、トンネルバリア層31の上に形成された磁化固定層(ピン層)30と、を有する。素子サイズは、約50nmφである。フリー層40は、トンネルバリア層31側から順に、第1副磁性層M11、第2副磁性層M12、第1非磁性層N1、第2非磁性層N2および第2磁性層M2を有する。第1副磁性層M11は、0.4nmの膜厚のCoFeBTaである。第2副磁性層M12は、0.4nmの膜厚のCoFeBである。第1非磁性層N1は、0.2nmの膜厚のTaである。第2非磁性層N2は、0.6nmの膜厚のRuである。第2磁性層M2は、1.4nmの膜厚のCoPdである。言い換えれば、フリー層40は、CoPd1.4nm/Ru0.6nm/Ta0.3nm/CoFeBTa0.4nm/CoFeB0.4nmである。トンネルバリア層31は、MgO膜である。
ピン層30は、トンネルバリア層31側から順に、膜厚1.2nmのCoFeB層51、Ta層52、膜厚7nmのCoPt層53と、Ru層54と、膜厚14nmのCoPt層55と、を有する。
図18は、試作した図17の第2実施形態のMTJの特性の測定結果を示す図であり、(A)がRHヒステリシス曲線を、(B)が複数サンプルのHoffおよびHcの分布を示す図である。
図18の(A)に示すように、Hoffは37Oeで、ほぼゼロであり、Hcは図8の場合と同じであることが分かる。また、図18の(B)に示すように、Hoffは約200Oeを中心として分布し、Hcは150〜500Oeの範囲に分布していることが分かる。
以上説明したように、第2実施形態のMTJは、Hoffがほぼゼロで、Hcも改善し、磁気抵抗メモリのMTJとして使用するのに適している。
第1および第2実施形態のMTJは、図1および図2で説明した形で界面垂直磁化型MRAMに適用される。また、第1および第2実施形態のMTJの製造プロセスは、広く知られている製造プロセスで実現され、特願2012−271077号に開示にも開示されているので、説明を省略する。
図19は、これまで説明したMTJを有する実施形態の界面垂直磁化型MRAMを、CMOS回路に混載した半導体装置のブロック図である。
図19に示すように、半導体装置(チップ)200は、MRAM220と、MRAM220以外のCMOS回路部210と、を有する。CMOS回路部210は、例えば、プロセッサ等のロジック回路部211、アナログ回路部212、電源回路等を有する。
図20は、MRAM220のブロック図である。
図20に示すように、MRAM220は、メモリセルアレイ301、ロウデコーダ302、コラムデコーダ303、選択スイッチ列304、ライトアンプ305、センスアンプ306、データI/O部307および制御部308を有する。ロウデコーダ302、コラムデコーダ303、データI/O部307および制御部308は、CMOS回路部210からのアドレス信号、入出力データおよび制御信号を受け、メモリセルアレイ301にアクセスする。MRAM220の構成および動作については広く知られているので、説明は省略する。
以上、実施形態を説明したが、ここに記載したすべての例や条件は、発明および技術に適用する発明の概念の理解を助ける目的で記載されたものである。特に記載された例や条件は発明の範囲を制限することを意図するものではなく、明細書のそのような例の構成は発明の利点および欠点を示すものではない。発明の実施形態を詳細に記載したが、各種の変更、置き換え、変形が発明の精神および範囲を逸脱することなく行えることが理解されるべきである。
12 可変抵抗素子
26 下部電極
28 上部電極
30 MTJ(磁気トンネル接合)(Magnetic Tunnel Junction)
31 トンネルバリア層
32 磁化固定(ピン)層
40 記憶(フリー)層(磁化自由層)
M1 第1磁性層
M11 第1副磁性層
M12 第2副磁性層
M2 第2磁性層
N1 第1非(常)磁性層
N2 第2非(常)磁性層

Claims (3)

  1. トンネルバリア層と、
    前記トンネルバリア層の一方の側に設けられた磁化固定層と、
    前記トンネルバリア層の他方の側に設けられた記憶層と、を備え、
    前記記憶層は、
    前記トンネルバリア層に接触し、垂直磁気異方性を有し、CoFeB、CoFe、Fe、Co、FeBまたはCoBのいずれかを材料とする第1磁性層と、
    前記第1磁性層に接触し、Taを材料とし、0.25nm以上で0.35nm以下の膜厚を有する第1非磁性層と、
    前記第1非磁性層に接触し、Ru、RhまたはPdのいずれかを材料とし、0.4nm以上で2.0nm以下の膜厚を有する第2非磁性層と、
    前記第2非磁性層に接触し、垂直磁気異方性を有する第2磁性層と、を備え、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層は、反強磁性交換結合により磁気的に結合しており、
    前記第1磁性層の飽和磁化と厚さを乗じた値は、前記第2磁性層の飽和磁化と厚さを乗じた値より大きいことを特徴とする垂直磁化型磁気抵抗メモリ素子。
  2. トンネルバリア層と、
    前記トンネルバリア層の一方の側に設けられた磁化固定層と、
    前記トンネルバリア層の他方の側に設けられた記憶層と、を備え、
    前記記憶層は、
    前記トンネルバリア層に接触し、垂直磁気異方性を有する第1磁性層と、
    前記第1磁性層に接触し、Taを材料とし、0.1nm以上で0.5nm以下の膜厚を有する第1非磁性層と、
    前記第1非磁性層に接触し、Ru、RhまたはPdのいずれかを材料とし、0.4nm以上で2.0nm以下の膜厚を有する第2非磁性層と、
    前記第2非磁性層に接触し、垂直磁気異方性を有する第2磁性層と、を備え、
    前記第1磁性層と前記第2磁性層は、反強磁性交換結合により磁気的に結合しており、
    前記第1磁性層の飽和磁化と厚さを乗じた値は、前記第2磁性層の飽和磁化と厚さを乗じた値より大きく、
    前記第1磁性層は、
    前記トンネルバリア層に接触し、CoFeB、CoFe、Fe、Co、FeBまたはCoBからなる0.3nm以上2.0nm以下の膜厚を有する第1副磁性層と、
    前記第1副磁性層に接触し、10%以上30%以下のTaを含有するCoFeB、CoFe、Fe、Co、FeBまたはCoBからなり、0.2nm以上で0.6nm以下の膜厚を有する第2副磁性層と、を備えることを特徴とする垂直磁化型磁気抵抗メモリ素子。
  3. 複数のメモリセルと、
    各メモリセルの一方の端子に接続される第1配線と、
    各メモリセルの他方の端子に接続される第2配線と、
    選択線と、
    前記第1配線および前記第2配線間に双方向に電流を流すように電圧を印加するライトアンプと、
    前記第1配線および前記第2配線間の電圧差を検出するセンスアンプと、
    前記選択線を制御するデコーダ回路と、を備え、
    各メモリセルは、
    請求項1または2に記載の垂直磁化型磁気抵抗メモリ素子と、
    前記垂直磁化型磁気抵抗メモリ素子に接続された選択トランジスタと、を有し、
    前記選択線は、各メモリセルの前記選択トランジスタのゲートに接続されることを特徴とする磁気抵抗メモリ。
JP2013245322A 2013-11-27 2013-11-27 磁気抵抗メモリ素子および磁気抵抗メモリ Expired - Fee Related JP6237162B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013245322A JP6237162B2 (ja) 2013-11-27 2013-11-27 磁気抵抗メモリ素子および磁気抵抗メモリ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013245322A JP6237162B2 (ja) 2013-11-27 2013-11-27 磁気抵抗メモリ素子および磁気抵抗メモリ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015103755A JP2015103755A (ja) 2015-06-04
JP6237162B2 true JP6237162B2 (ja) 2017-11-29

Family

ID=53379209

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013245322A Expired - Fee Related JP6237162B2 (ja) 2013-11-27 2013-11-27 磁気抵抗メモリ素子および磁気抵抗メモリ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6237162B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11322189B2 (en) 2018-03-16 2022-05-03 Kioxia Corporation Magnetic memory device

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6934673B2 (ja) * 2016-06-08 2021-09-15 国立大学法人東北大学 磁気トンネル接合素子および磁気メモリ
WO2019125363A1 (en) * 2017-12-18 2019-06-27 Intel Corporation Spin orbit coupling based memory with an in-plane fixed magnet and/or an in-plane anti-ferromagnet between out-of-plane free magnets
CN111864057A (zh) * 2019-04-29 2020-10-30 上海磁宇信息科技有限公司 一种磁性随机存取器及磁隧道结存储单元
CN114335329B (zh) * 2022-03-16 2022-06-17 波平方科技(杭州)有限公司 一种具有高抗磁场干扰能力的磁性随机存储器

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4863151B2 (ja) * 2003-06-23 2012-01-25 日本電気株式会社 磁気ランダム・アクセス・メモリとその製造方法
JP4661230B2 (ja) * 2005-01-21 2011-03-30 ソニー株式会社 記憶素子及びメモリ
JP2008252037A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Toshiba Corp 磁気抵抗素子及び磁気メモリ
KR101195041B1 (ko) * 2011-05-12 2012-10-31 고려대학교 산학협력단 자기 공명 세차 현상을 이용한 스핀전달토크 자기 메모리 소자
JP5824907B2 (ja) * 2011-06-24 2015-12-02 富士通株式会社 磁気抵抗素子及び磁気記憶装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11322189B2 (en) 2018-03-16 2022-05-03 Kioxia Corporation Magnetic memory device

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015103755A (ja) 2015-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9978933B2 (en) Storage element and memory
JP4682998B2 (ja) 記憶素子及びメモリ
JP5740878B2 (ja) 記憶素子、メモリ装置
CN102403027B (zh) 存储元件和存储装置
US8436438B2 (en) Memory element and memory device
US10483459B2 (en) Magnetic memory
JP2009094520A (ja) スピントランスファー型mtj−mramセルおよびその形成方法
US8829631B2 (en) Memory element and memory device
US8194443B2 (en) Memory device and memory
JP2007305882A (ja) 記憶素子及びメモリ
JP2008171882A (ja) 記憶素子及びメモリ
JP6237162B2 (ja) 磁気抵抗メモリ素子および磁気抵抗メモリ
JP2012064623A (ja) 記憶素子、メモリ装置
JP2008153527A (ja) 記憶素子及びメモリ
JP2006295001A (ja) 記憶素子及びメモリ
JP2006295000A (ja) 記憶素子及びメモリ
JP5034317B2 (ja) 記憶素子及びメモリ
US8445980B2 (en) Memory element and memory device
JP2012064624A (ja) 記憶素子、メモリ装置
JP2017168656A (ja) 磁気メモリ
JP5803079B2 (ja) 記憶素子、メモリ装置
JP6094194B2 (ja) 磁気抵抗メモリ素子および磁気抵抗メモリ
JP2012059809A (ja) 記憶素子、メモリ装置
JP2012059807A (ja) 記憶素子、メモリ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171003

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171016

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6237162

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees