以下、本発明の実施の形態における振動子付ホルダを用いた振動発生器について説明する。
振動発生器は、マグネットを保持する振動子が筐体に対して変位可能に、筐体に支持されている構造を有している。振動子の近くには、コイルが配置されている。振動子は、筐体に対する位置及び姿勢のうち少なくとも一方を変化させるための磁場を発生させる。振動発生器は、コイルの励磁に応じて振動子を往復運動させることで振動力を発生する、いわゆるリニアタイプのものである。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける振動発生器1を示す斜視図である。図2は、振動発生器1を示す平面図である。図3は、図2のA−A線断面図である。
図1においては、振動発生器1の部品レイアウトが容易に理解できるように、フレーム20を二点鎖線で示し、振動発生器1の内部の部材を実線で示している。図2においては、振動発生器1の部品レイアウトが容易に理解できるように、本来フレーム20の上面によって隠れているホルダ50などが、部分的に実線で表示されている。図2において、他の部材と区別できるように、基板10は二点鎖線で、コイル40は一点鎖線で、それぞれ示されている。
以下の説明において、振動発生器1について、図1で示される座標のX軸方向を左右方向(原点から見てX軸で正となる方向が右方向)、Y軸方向を前後方向(原点から見てY軸で正となる方向が後方向)、Z軸方向(図2のXY平面に垂直な方向)を上下方向(原点から見てZ軸で正となる方向が上方向)ということがある。
[振動発生器1の全体構造]
図1に示されるように、振動発生器1は、大まかに、基板10と、フレーム20と、底板30と、コイル40と、ホルダ50とを有している。ホルダ50は、本実施の形態において、4つの取付部51(51a,51b,51c,51d)と、4つのアーム部53(53a,53b,53c,53d)と、2つの振動子保持部(以下、単に保持部ということがある。)55(55a,55b)とを有している。保持部55には、マグネット60と、ヨーク70と、ウエイト81とで構成された振動子80が保持されている。
振動発生器1は、全体として、上下の寸法が比較的小さい薄型の略直方体形状に形成されている。振動発生器1は、例えば、左右方向、前後方向のそれぞれの外形寸法が10ミリメートル〜20ミリメートル程度しかない、小型のものである。振動発生器1は、前後左右の側面及び上面がフレーム20により構成され、底板30により底面が覆われた、箱形の筐体を有している。
本実施の形態において、フレーム20及びヨーク70は、例えば鉄などの軟磁性体である。
基板10は、フレキシブルプリント基板(FPC)であって、底板30上に、コイル40と底板30との間に挟まれるようにして配置されている。換言すると、基板10は、底板30の表面の一部分を覆うように配置されている。基板10には、コイル40に接続される端子や、基板10に電源等を接続するための端子などが設けられている。基板10のうち電源等を接続するための端子が設けられている部分は、例えば、筐体(フレーム20、底板30)の外部に引き出されている。
底板30は、本実施の形態において、平板形状を有している。底板30は、フレーム20の底面側の部位にはめ込まれて、フレーム20に固定されている。底板30は、例えば非磁性ステンレス鋼などの非磁性材料を用いて構成されている。金属材料であるフレーム20及び底板30によって振動発生器1が囲まれているので、振動発生器1がより取り扱いやすくなり、振動発生器1の耐久性も上昇する。底板30は、樹脂製であってもよい。
底板30には、平面視でその四隅のそれぞれに配置された、ポール21(21a,21b,21c,21d)が設けられている。4つのポール21のそれぞれは、円柱形状を有するピンである。各ポール21は、その長手方向が、上下方向となるように、すなわち振動子80の運動方向に対して略垂直となる方向となるように配置されている。各ポール21は、例えば鉄などの金属製であるが、これに限られるものではなく、例えば樹脂を用いて成形されたものであってもよい。
フレーム20は、全体として、底面部が開口する直方体形状を有している。フレーム20は、例えば鉄板を絞り加工することにより形成されている。平面視で、フレーム20の角部(各側面間の部位)は、R面状部分を挟んで繋がっている。図3に示されるように、フレーム20は、底板30の上方から底板30の上面を覆うように配置され、底板30に取り付けられている。
コイル40は、例えば導線を巻回してなる、全体として楕円形で平板状の空芯コイルである。すなわち、コイル40は、巻回軸方向の寸法が、巻回軸方向に直交する方向の寸法よりも小さい薄型コイルである。なお、コイル40は、金属箔を巻回したものをスライスしてなるものであったり、シートコイルを積層したものであったりしてもよい。また、コイル40は、平面視で、円形や、四角形形状などの多角形形状を有していてもよい。
図3に示されるように、コイル40は、巻回軸方向が上下方向となるようにして、底板30の上面に配置されている。図2に示されるように、コイル40は、平面視で、振動発生器1の中央部に、振動子80に対して面対向に配置されている。コイル40と底板30とは、絶縁されている。コイル40の2つの巻回端部は、共に基板10の上面側に設けられた端子に接続されている。
振動子80は、マグネット60と、ヨーク70と、ウエイト81とを有している。図3に示されるように、マグネット60は、水平面に平行な板形状を有している。図2に示されるように、ウエイト81は、マグネット60の側部を囲むように形成されている。ヨーク70は、マグネット60及びウエイト81の上面に取り付けられている。ヨーク70には孔部が形成されており、その孔部にウエイト81に設けられている突起がはまり込むようにして、ヨーク70に対してウエイト81及びマグネット60が位置決めされる。
ホルダ50は、ヨーク70と共にインサート成形により一体成形されている。ウエイト81は、ヨーク70に溶接されており、マグネット60は、磁気吸引力によりヨーク70に吸着することでヨーク70に固定されている。すなわち、ホルダ50と振動子80とは、一体成形されている。本実施の形態において、ホルダ50は、弾性体(樹脂の一例)を用いて一体成形されている。弾性体としては、例えば、熱に強いフッ素系やシリコン系のゴムを用いることができる。このようなゴムを用いてホルダ50を形成することにより、振動発生器1の耐熱性を向上させることができる。弾性体はこれに限られず、種々のものを用いることができる。なお、ホルダ50が、マグネット60、ヨーク70、及びウエイト81と共に、インサート成形により一体成形されていてもよい。
図4は、ホルダ50を示す平面図である。
図4において、振動子80のうち、マグネット60及びウエイト81の図示は省略されている。
図4に示されるように、ホルダ50は、振動子80を保持した状態の振動子付ホルダとして、振動発生器1の筐体に取り付けられる。すなわち、ホルダ50は、ポール21にはまり込むようにして、フレーム20に取り付けられている。ホルダ50は、振動子80の運動方向が左右方向となるように構成されている。
具体的には、取付部51は、各ポール21に対応する位置に配置されている。各取付部51には、穴部52(52a,52b,52c,52d)が設けられている。穴部52は、例えば、円筒形状を有している。
図2に示されるように、取付部51は、穴部52にポール21がはまり込むようにして、底板30に取り付けられる。取付部51の外周面の一部は、ホルダ50が底板30に取り付けられている状態でフレーム20の内周面に沿い、内周面に接触するように形成されている。これにより、取付部51は、フレーム20や底板30に対する位置や姿勢が変わらないように、確実に保持される。
なお、ホルダ50は、一対の保持部55a,55bを有している。保持部55aは、振動子80の左側端部を保持し、保持部55bは、振動子80の右側端部を保持する。保持部55a,55bには、それぞれ、2つのアーム部53を介して、2つの取付部51が接続されている。アーム部53と取付部51とは、各保持部55a,55bの上方と下方とに1組ずつ配置されている。
図4に示されるように、各アーム部53は、前後方向が長手方向となるように形成されている。すなわち、アーム部53a,53bは、振動子80の右側端部を保持する保持部55bと取付部51a,51bのそれぞれとの間に設けられている。他方、アーム部53c,53dは、振動子80の左側端部を保持する保持部55aと取付部51c,51dのそれぞれとの間に設けられている。各アーム部53は、振動子80側の部分において、保持部55a,55bに接続されている。
ここで、図3に示されるように、ヨーク70の左右両側端部のそれぞれには、下方に突出する突出部72a,72bが設けられている。突出部72a,72bは、それぞれ、ヨーク70の左右両側部が略90度下方に折り曲げられて形成されている。ホルダ50及び振動子80は、突出部72a,72bが保持部55a,55b部分に確実にはまり込んだ状態で成形される。突出部72a,72bは、その折り曲げられている境界部分を除き略全体が、保持部55a,55b部分に埋まるように構成されている。換言すると、保持部55a,55bは、突出部72a,72bの略全体を包むように形成されている。なお、ヨーク70は、接着などの方法で、予め成形されたホルダ50に固定されるようにしてもよい。
図5は、ホルダ50の底板30への取付について説明する斜視図である。
本実施の形態において、自然状態(例えばホルダ50が底板30に取り付けられていない状態)のホルダ50では、取付部51aと取付部51bとの間の距離が、ポール21aとポール21bとの中心軸間の距離よりも小さくなっている。また、自然状態において、取付部51cと取付部51dとの間の距離は、ポール21cとポール21dとの中心軸間の距離よりも小さくなっている。そのため、図5において矢印で示されるように、ホルダ50がフレーム20に取り付けられるときには、各アーム部53は、自然状態よりも、長手方向に若干伸ばされる。すなわち、ホルダ50がフレーム20に取り付けられた状態で、各アーム部53は、自然状態から弾性変形して伸長した状態となっている。伸長される量は、例えば、取付部51間の間隔が、自然状態の約1.2倍から1.5倍となる程度であるが、これに限られるものではない。なお、取付部51aと取付部51d、取付部51bと取付部51cのそれぞれの距離も、対応するポール21の中心軸間の距離より小さくなるように構成されていてもよい。
このように、振動子80付のホルダ50は、各アーム部53が自然状態から伸長した状態でフレーム20に取り付けられているので、4つのアーム部53の復元力により、ホルダ50に張力がかかっている。このとき、復元力のベクトルはそれぞれ異なるため、振動発生器1はアーム部53で引っ張られていることで安定し、遊びのない状態となっている。これにより、振動子80に磁気吸引力が作用したとき、振動子80が変位するのに伴って振動発生器1で振動を速やかに発生させることができ、振動発生の応答性が高くなる。
なお、保持部55a,55bには突出部72a,72bが埋まるようにして配置されており、この部分に各アーム部53が接続されている。このようにヨーク70の端部を折り曲げてその周りが弾性体で固定されているので、フレーム20への取り付け時にアーム部53を引っ張っても、振動子80の上下の位置が変化しない。これにより、振動子80とコイル40との接触が発生しにくくなり、確実に動作可能な状態を維持しつつ、振動子80とコイル40とのギャップを小さくし、振動発生器1の上下方向の寸法を小さくすることができる。また、振動子80とコイル40とのギャップを小さくできるので、振動子80とコイル40との間に作用する力を大きくすることができ、大きな振動量を得ることができる。
図6は、ホルダ50の部分拡大平面図である。
図6においては、ホルダ50のうち、取付部51a、アーム部53a、及び保持部55b部分が示されている。アーム部53aに関して以下に説明する構成は、他のアーム部53b,53c,53dにおいても同様である。
図6に示されるように、本実施の形態において、アーム部53aは、外側(振動子80から離れている側)の第1アーム56aと、内側(振動子80に近い側)の第2アーム57aとの2つの部分を有している。第1アーム56aと第2アーム57aとは、保持部55bに近づくにつれて互いに近づき、平面視でV字状をなすように配置されている。
第1アーム56aと第2アーム57aとは、共に、下方側で交差しつつ保持部55bに接続されている。また、第1アーム56aと第2アーム57aとは、上方側では互いに左右に離れた位置で取付部51aに接続されている。これにより、平面視で、アーム部53aの中央部には、略三角形状の穴部54aが形成されている。
第1アーム56aと第2アーム57aとの各々は、R曲面を介して他の部位に接続されている。例えば、第1アーム56aと第2アーム57aとは、互いにフィレット58iを介して接続されている。第1アーム56aは、フィレット58jを介して取付部51aに接続されている。第2アーム57aは、フィレット58kを介して取付部51aに接続されている。このようにR曲面を介して部材同士が接続されていることにより、アーム部53aが変形したときの隅部等への応力集中が緩和される。
また、第1アーム56aと第2アーム57aとのそれぞれは、湾曲面59を有する。すなわち、第1アーム56aと第2アーム57aとのそれぞれは、平面視で湾曲した形状を有する。第1アーム56aに形成されている湾曲面59は、フィレット58iとフィレット58jとをなめらかに接続する。また、第2アーム57aに形成されている湾曲面59は、フィレット58kとフィレット58iとをなめらかに接続する。本実施の形態においては、アーム部53aが変形したときに変形する、穴部54aの内周面部分の曲率が緩やかに変化する。したがって、アーム部53aが変形したときの隅部等への応力集中が緩和される。なお、第1アーム56aと第2アーム57aとの一方が湾曲した形状を有していてもよい。
図7は、ホルダ50の一変型例に係るアーム部153aを示す部分拡大平面図である。
図7に示されている部位は、図6に示されている部位に対応する。
図7に示されるように、アーム部153aは、それぞれ全体が緩やかに湾曲する第1アーム156aと第2アーム157aとを備えており、それにより、穴部154aが形成されている。
第1アーム156aと、第2アーム157aとは、それぞれ、保持部55bに近づくにつれて両者間の距離が近づく程度が大きくなるように、湾曲している。換言すると、第1アーム156aと第2アーム157aとは、平面視でアーム部53aが膨らんで見えるような方向に湾曲している。このように構成されていても、応力集中の緩和効果が得られる。
図6に示されるように、平面視で、第1アーム56aの保持部55bに対する角度と、第2アーム57aの保持部55bに対する角度とは、互いに略等しくなるように構成されている。これにより、アーム部53aの変形時に、第1アーム56aと第2アーム57aとの間での応力の偏りが発生しにくくなる。なお、両者の角度は完全に同じでなくてもよく、振動発生器1のレイアウトなどに関する種々の制約の中で、可能な程度で近い角度にすればよい。
平面視で、第1アーム156aと第2アーム157aとのなす角度(図6に角度αで示す)は、例えば30度程度にするのがよい。角度が小さすぎると、応力集中の緩和効果が得られにくい。他方、角度が大きすぎると、振動子80が左右に動くときに、左右のアーム部53で発生する復元力の差が大きくなり、振動発生器1の動作が不安定になる可能性がある。
平面視で、第1アーム156aの幅w1と第2アーム157aの幅w2とは、ほぼ同じになるように構成されている。これにより、第1アーム56aと第2アーム57aとの間での応力の偏りが発生しにくくなる。なお、第1アーム56aの保持部55bに対する角度と第2アーム57aの保持部55bに対する角度とが異なる場合や、第1アーム156aと第2アーム157aとが湾曲している場合などには、それが応力集中に関係する程度に応じて、幅w1,w2やその比率等を調整することができる。
以上説明したように、本実施の形態では、各アーム部53に、保持部55に近づくにつれて互いに近づき平面視でV字状をなすように、第1アーム56と第2アーム57との2つに分岐された部分が設けられている。したがって、アーム部53の変形時においてアーム部53で発生する応力の集中を緩和することができ、最大応力を小さくすることができる。したがって、振動発生器1を長期間にわたって用いてもホルダ50の損傷が発生しにくく、振動発生器1を長寿命化することができる。
本実施の形態に係る構造における応力の発生について、シミュレーションを行って確認した。
図8は、アーム部53の変形時に発生する応力のシミュレーション結果について説明する図である。
図8において、上段は従来の構造の一例についてのシミュレーション結果が示されており、下段に本実施の形態に係る構造についてのシミュレーション結果が示されている。両者のシミュレーションにおいて、素材や、振動子部分の移動量など、アーム部の形状以外の条件は同じである。図において、濃度が高い(黒色の)部位の方が、応力が大きいことを示している。
上段においては、アーム部853にスリット854が形成されている例が示されている。このとき、応力は、矢印A1で示されるように、取付部851との接合部位近傍と、保持部855との接合部位近傍とに集中して発生することがわかる。このときの最大応力は、取付部851との接合部位近傍に発生し、2.3MPaであった。
他方、下段においては、応力は、矢印A2で示されるように、第2アーム57の長手方向中央部寄りの部分が最も大きくなるが、比較的広範囲にわたって発生しており、最大値は上段の例よりも小さい。最大応力は、2.11MPaであった。
また、本実施の形態に係る形状のアーム部53を有するホルダ50を採用した振動発生器1において、実際の寿命試験を行った。その結果、従来品であるスリット854を設けた構造(2本並行ばね構造)での断続駆動時間が約250hであったのに対して、本実施の形態に係るアーム部53の構造(V字ばね構造)では、断続駆動時間が500h以上になった。
[変型例の説明]
ホルダは、上述のように保持部同士が分かれている1対の構造を有するものに限られない。例えば、ホルダは、その全体が1つの部材となるように構成されていてもよい。
図9は、本実施の形態の一変型例に係る振動発生器1のホルダ250を示す平面図である。
図9に示されるように、ホルダ250は、弾性体部分が1つの部材として繋がっているものである。すなわち、ホルダ250において、保持部255は、中央部に配置された振動子280の周囲を囲むように形成されている。各アーム部53は、保持部255に接続されている。
このような構造を有するホルダ250であっても、上述と同様に、各アーム部53が、保持部255に近づくにつれて互いに近づき平面視でV字状をなす2つの部位を有していることにより、上述と同様の効果を得ることができる。
[その他]
上述の各実施の形態やその変型例における特徴点を、適宜組み合わせて振動発生器を構成してもよい。例えば、フレキシブルプリント基板に代えて、ガラスエポキシ基板などの両面基板が用いられていてもよい。この場合、両面基板を筐体の一部とすることができる。このように両面基板を用いる場合、振動発生器の製造コストを低減できる。
フレームは鉄に限られず、他の素材を用いて構成されていてもよい。例えば、ホルダとは別体に構成された樹脂製であってもよい。フレームは、上面又は底面が設けられておらず、平面視でホルダの周囲を囲むようなものであってもよい。
回路基板は設けられていなくてもよい。底板は、フレームの底部の全面を覆わず、フレームの底部の一部のみに配置されていてもよい。コイルは複数であってもよいし、マグネットも複数設けられていてもよい。振動発生器が動作可能となるように、適宜コイルの位置や磁極の配置等を設定することができる。
取付部の数やアーム部の数は、それぞれ2つ以上であればよい。ホルダは、一体成形されたものではなく、複数の部材を組み付けて構成されたものであってもよい。
振動子付ホルダの構成は、上述のものに限られるものではない。例えば、マグネットはヨークに接着されて取り付けられていてもよい。また、振動子の全部品が、一体に形成されていてもよい。
ホルダは、フレームに取り付けられていてもよい。
ホルダは、単色成形されるものに限られない。例えば、取付部及び保持部と、アーム部とを、互いに異なる素材を用いて、2色成形により一体成形したものであってもよい。
ホルダへの振動子の取付構造すなわちホルダへのマグネット及びヨークの取付構造は、インサート成形に限られるものではない。例えば、ホルダの成形とは別の工程において、一体成形されたホルダに、互いに溶接などにより接合されたマグネット及びヨークを組み込み、接着などを行った構造を有していてもよい。
ウエイトは、マグネットの中央部などに配置されていてもよい。マグネットのうち、振動子が移動するための力の発生にそれほど影響がない部分にウエイトを配置すればよい。これにより、振動子を小型化しつつ、大きな振動力を発生できる振動発生器を構成することができる。ウエイトは、設けられていなくてもよい。
コイルが、振動を利用する機器のメイン基板などに取り付けられており、そのコイル実装済みのメイン基板に、ホルダが取り付けられた筐体を取り付けることで、振動子が駆動可能な振動発生器が構成されていてもよい。換言すると、他の機器の基板上に搭載されているコイルを用いて、振動発生器が構成されていてもよい。
上記のようなホルダの構成は、上記のような振動発生器用のホルダに限られず、広く適用可能である。すなわち、ホルダは、フレームに支持される部分に対して、マグネットが設けられた可動子(上述の実施の形態において振動子となる部分)がアーム部を介して変位可能となるように、構成される。このようなホルダは、磁気を利用して駆動されるアクチュエータや、可動子を適宜所定の向きに変位させたりして用いる装置など、他の様々な装置において利用することができるものである。このような振動発生器とは異なる装置においても、ホルダを上記のように構成することで、上述と同様の効果を得ることができる。例えば、ホルダのヨーク部分に突起部を設けることにより、可動子とフレームとが接触しうる部位を限定でき、装置を適正に動作可能にすることができる。
振動発生器は、上記で例示したような小型のものに限られない。基本的構成を同一とする大型な振動発生器を構成してもよく、その場合であっても、上述と同様の効果を得られる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。