JP6233765B2 - キメラ被毛微生物 - Google Patents

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Description

本発明はキメラファイバーを細胞表面に発現する微生物及びその作製方法等に関する。
本発明者が以前にバイオフィルターから単離したAcinetobacter sp. Tol 5(アシネトバクター属細菌Tol 5株)は、細胞自己凝集性が高く、また、疎水性の各種プラスチック担体から親水性のガラス、金属表面まで、様々な材料表面に対して高い付着性を示す非病原性のグラム陰性細菌である。他の微生物では報告例のないこのような付着特性をもたらす因子として、細菌細胞表層に存在する新規のバクテリオナノファイバーを発見し、さらにナノファイバーを構成する新しい蛋白質を同定した。この蛋白質は三量体オートトランスポーターアドヘシン(TAA)ファミリーに属しており、本発明者がAtaAと名付けた(非特許文献1)。TAAは種々のグラム陰性病原性細菌が宿主の細胞やコラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンといった細胞外マトリックスに特異的に接着し、宿主に感染するために有する病原性因子として知られている(非特許文献2)。TAAファミリーに属する蛋白質はホモ三量体を形成し、アミノ末端からカルボキシル末端に向かって、シグナルペプチド−ヘッド−ネック−ストーク−メンブレンアンカーという共通の基本構造をとる。メンブレンアンカードメインはトランスロケータードメインともいい、外膜にベータバレルを形成し、ペリプラズムでシグナルペプチドが切断された後のヘッド−ネック−ストークから成るパッセンジャードメインを細胞外に輸送、ファイバーとして細胞表層に提示させる機能を有する。パッセンジャードメインのヘッド側がファイバーの先端になり、成熟蛋白質のアミノ末端側にあたる。しかしTAAには、シングルペプチド鎖のアミノ酸残基数が300ほどの小さなものから3000を超える大きなものまで存在し、アミノ酸配列、特にパッセンジャードメインを構成するドメインやモチーフの種類と並びは多様である。本発明者が見つけたAtaAのペプチド鎖は3630アミノ酸から成り、TAAの中でも最大級である。長いストークに複数の長い繰返し配列がモザイク状に並ぶユニークな一次構造をしている。この繰返し配列は、何種類ものモチーフが反復、混在して形成されている。ヘッドもファイバーの先端以外にストークの途中、メンブレンアンカー寄りにもう一つ繰り返す(図1)。そして、AtaAのみが様々な表面に対し非特異的で高い接着性を示す。また、TAAの研究は病原性細菌に集中しており、Tol 5のような非病原性細菌についてのTAAの研究例は皆無である。以上の研究成果に基づき、本発明者は、AtaAをコードする遺伝子を導入することによって標的微生物に非特異的付着性及び/又は凝集性を付与又は増強する方法を報告した(特許文献1)。尚、特許文献1ではAtaA及びそれをコードする遺伝子(ataA遺伝子)をそれぞれAadA及びaadA遺伝子と呼称していた。
国際公開第2009/104281号パンフレット
Ishikawa, M.; Nakatani, H.; Hori, K., AtaA, a new member of the trimeric autotransporter adhesins from Acinetobacter sp. Tol 5 mediating high adhesiveness to various abiotic surfaces. PLoS One 2012, 7, (11), e48830. Linke, D.; Riess, T.; Autenrieth, I. B.; Lupas, A.; Kempf, V. A., Trimeric autotransporter adhesins: variable structure, common function. Trends Microbiol. 2006, 14, (6), 264-270.
上掲の特許文献1では、AtaAを利用すれば大腸菌の付着性も増強できることを示した。大腸菌は汎用性が高く、産業上、極めて重要である。AtaAを利用すれば大腸菌の有用性を高めることができる。しかしながら、本発明者が確認したところ、大腸菌にAtaAを導入したときの効果は改善の余地があるものであった。そこで本発明は、AtaAを利用して大腸菌に非特異的付着性を付与又は増強する際の効果を向上させること、即ち、非特異的付着性が一層高められた大腸菌を得るための手段を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく検討を重ねる中で、本発明者はAtaAのドメイン構造、特に菌の種類によって局在する蛋白質の異なる外膜と直接相互作用し、トランスロケーターとしての機能も兼ねているメンブレンアンカードメインに着目し、AtaAのこのドメインを大腸菌TAAのメンブレンアンカードメインで置換したキメラAtaAを発現させるという戦略を立てた。この戦略の有効性を調べたところ、AtaAをそのまま発現させた場合に比較して格段に高い付着性が得られることが判明した。
以下の発明は、主として上記の成果に基づく。
[1]アシネトバクター属微生物の三量体オートトランスポーターアドヘシンのシグナルペプチドからパッセンジャードメインまでをコードするDNAと、大腸菌の三量体オートトランスポーターアドヘシンのメンブレンアンカードメインをコードする領域を含むDNAとを、アシネトバクター属微生物由来パッセンジャードメインのカルボキシ末端側近傍コイルドコイルをコードする領域内と大腸菌由来メンブレンアンカーからその上流にまたがるコイルドコイルをコードする領域内で連結した構造を有するキメラDNAを、標的大腸菌に導入するステップを含む、標的大腸菌に対して非特異的付着性を付与又は増強する方法。
[2]アシネトバクター属微生物の三量体オートトランスポーターアドヘシンが、アシネトバクターsp. Tol5株のAtaAである、[1]に記載の方法。
[3]前記シグナルペプチドからパッセンジャードメインまでをコードするDNAが、以下の(a)〜(c)のいずれかのDNAである、[2]に記載の方法:
(a)配列番号6で表される塩基配列からなるDNA、
(b)配列番号6で表される塩基配列からなるDNAと70%以上の相同性を有する塩基配列からなり、微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を有する蛋白質をコードするDNA、
(c)配列番号6で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を有する蛋白質をコードするDNA。
[4]前記メンブレンアンカードメインをコードするDNAが、以下の(A)〜(C)のいずれかのDNAである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法:
(A)配列番号7で表される塩基配列からなるDNA、
(B)配列番号7で表される塩基配列からなるDNAと70%以上の相同性を有する塩基配列からなり、外膜でベータバレルを形成し、パッセンジャードメインを分泌する活性を有する蛋白質をコードするDNA、
(C)配列番号7で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、外膜でベータバレルを形成し、パッセンジャードメインを分泌する活性を有する蛋白質をコードするDNA。
[5]前記メンブレンアンカードメインをコードする領域を含むDNAが、以下の(A)〜(C)のいずれかのDNAである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法:
(A)メンブレンアンカー上流のコイルドコイルをコードする領域である配列番号8で表される塩基配列またはその部分配列が、前記メンブレンアンカードメインをコードするDNAの5’側にリンカーとしてつながっているDNA、
(B)配列番号8で表される塩基配列からなるDNAと70%以上の相同性を有する塩基配列からなり、リンカーとして三量体オートトランスポーターアドヘシンのパッセンジャードメインとメンブレンアンカードメインを微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を保持しながらつなぐことができるペプチドをコードする塩基配列が、前記メンブレンアンカードメインをコードするDNAの5’側にリンカーとしてつながっているDNA、
(C)配列番号8で表される塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、リンカーとして三量体オートトランスポーターアドヘシンのパッセンジャードメインとメンブレンアンカードメインを微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を保持しながらつなぐことができるペプチドをコードする塩基配列が、前記メンブレンアンカードメインをコードするDNAの5’側にリンカーとしてつながっているDNA。
[6]前記キメラDNAが、以下の(A)〜(C)のいずれかのDNAである、[1]に記載の方法:
(A)配列番号9で表される塩基配列からなるDNA、
(B)配列番号9で表される塩基配列からなるDNAと70%以上の相同性を有する塩基配列からなり、微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を有する蛋白質をコードするDNA、
(c)配列番号9で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を有する蛋白質をコードするDNA。
[7]前記キメラDNAが、メンブレンアンカードメインをコードする領域の下流に以下の(i)〜(iii)のいずれかのDNAも含む、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の方法:
(i)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号3で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列からなるDNA、
(iii)配列番号3で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
[8]前記標的大腸菌が、三量体オートトランスポーターアドヘシン欠損株である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9][1]〜[8]のいずれかの方法によって得られた、非特異的付着性が付与又は増強された大腸菌。
AtaAの一次構造模式図(ドメイン・モチーフ構成図)。 AtaAのパッセンジャードメインとEib(大腸菌TAA)のメンブレンアンカードメイン(パッセンジャードメイン)とのキメラ蛋白質の作製。プライマー(i)(配列番号12)、(ii)(配列番号13)、(iii)(配列番号14)、(iv)(配列番号15)、(v)(配列番号16)、(vi)(配列番号17)を使用した。 キメラ蛋白質のAtaAとEibAの接続部位の構造。 各形質転換体(キメラ被毛大腸菌)の付着性の比較。 キメラ被毛微生物のフローサイトメトリー解析。 キメラ被毛微生物の共焦点レーザー顕微鏡解析。
本発明では、オートトランスポーターアドヘシンの一種である三量体オートトランスポーターアドヘシン(TAA)を利用して標的大腸菌に非特異的付着性を付与又は増強する。オートトランスポーターアドヘシンとは、グラム陰性細菌の持つ接着性ナノファイバーとして報告されている蛋白質であり、宿主の組織や細胞表層分子、細胞外マトリックスと特異的に相互作用することが知られている。オートトランスポーターアドヘシンは、付着、浸入、細胞毒性、血清耐性、細胞間伝播といった機能を持つと言われている。オートトランスポーターアドヘシンは、N末端シグナルペプチド、内部パッセンジャードメイン、C末端トランスロケータードメインという共通の領域編成を持っている。その中でもC末端トランスロケータードメインはこの属を定義するドメインである。オートトランスポーターアドヘシンの分泌はシグナルペプチドによって開始され、Secシステムによる内膜の通過から始まる。続いて、トランスロケータードメインが外膜へ挿入され、βバレル構造を形成する。最終的にパッセンジャードメインはバレルで形成されたトンネル内を通過し菌体表面へその姿を現す。オートトランスポーターアドヘシンは、単量体オートトランスポーターアドヘシンと三量体オートトランスポーターアドヘシンに分類される(Shane E.Cotter,Neeraj K.Surana and Joseph W.St GemeIII 2005.Trimeric autotransporters:a distinct subfamily of Autotransporter proteins.TRENDS in Microbiology.13:199-205)。単量体オートトランスポーターアドヘシンのトランスロケータードメインは、12の膜貫通逆平行βシートからなるβバレル構造を、一つのサブユニットから形成していると考えられている。しかし三量体オートトランスポーターアドヘシンのトランスロケータードメインは、外膜中で三量体を形成しており、4つのβシートを持つサブユニットがオリゴマー化し三つのサブユニットから12ストランドのβバレル構造を形成していることが知られている。さらに、事実上全ての単量体オートトランスポーターアドヘシンのパッセンジャードメインはトランスロケータードメインと非共有結合でバクテリア表面につながれるか、細胞外に放出されるのに対し、全ての三量体オートトランスポーターアドヘシン蛋白質ではパッセンジャードメインはトランスロケータードメインと共有結合でつながれたままであると考えられている。よって三量体オートトランスポーターアドヘシンでは、トランスロケータードメインは、パッセンジャードメインを細胞外膜につなぎとめるメンブレンアンカードメインでもある。また、シグナルペプチドを切り取られた後に細胞外に出るパッセンジャードメインは、成熟蛋白質のアミノ末端であるファイバー先端から、ヘッドドメイン―ネックドメイン―ストークドメインと各種ドメイン構造が連なったファイバーを構成する。さらにストークドメインは、コイルドコイルを基本に、Trpリング、GIN、DALL、FGG、HANSなどのモチーフ構造を複数含むが、その種類と数、アミノ酸配列はTAAによって実にさまざまであり、この蛋白質ファミリーを多様なものとしている。通常、ネックドメインも複数回繰り返して出現する。また稀ではあるが三量体オートトランスポーターアドヘシンによっては、ヘッドドメインも複数回出現する。
三量体オートトランスポーターアドヘシンは、TAA(トリメリックオートトランスポーターアドヘシン)と略称され、共通オリゴマー構造のコイルドコイルをつくる新しいクラスとしてOcaファミリー(Oligomeric Coiled-coil Adhesin Family)とも呼ばれている(Andreas Roggenkamp,Nikolaus Ackermann,Christoph A.Jacobi,Konrad Truelzsch,Harald Hoffmann,and Jurgen Heesemann 2003.Molecular analysis of transport and oligomerization of the Yersinia enterocolitica adhesin YadA.J Bacteriol.185:3735-3744)。
標的大腸菌に対して非特異的付着性を付与又は増強するため、本発明では、アシネトバクター属微生物のTAAのシグナルペプチドからパッセンジャードメインまでをコードするDNA(以下、「シグナル−パッセンジャーDNA」と呼ぶ)と、大腸菌のTAAのメンブレンアンカードメインをコードするDNA(以下、「メンブレンアンカーDAN」と呼ぶ)が連結されてなるキメラDNAを標的大腸菌に導入する。
シグナル−パッセンジャーDNAとしては、好ましくは、アシネトバクター sp.Tol5株から単離・同定されたataA遺伝子の該当部分が用いられる。アシネトバクター sp.Tol5株は、排ガス処理リアクターから分離されたトルエン分解能を有する株であり、受託番号FERM P-17188として、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター(NITE IPOD)(日本国茨城県つくば市東1−1−1つくばセンター中央第6)に寄託されている。
ataA遺伝子は配列番号1で表される塩基配列からなり、配列番号2で表される蛋白質AtaAをコードする。ataA遺伝子において、シグナル配列からパッセンジャードメインまでをコードする領域は1位〜10671位である。そこで、シグナル−パッセンジャーDNAとして、1位〜10671位のDNA(配列番号6)を用いることができる。シグナル−パッセンジャーDNAとして、配列番号6の塩基配列からなるDNAと機能的に同等のDNAを用いることにしてもよい。ここでの機能的に同等のDNAとしては、配列番号6で表される塩基配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性(又は同一性)を有する塩基配列からなり、微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を有する蛋白質をコードするDNAが挙げられる。あるいは、配列番号6で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を有する蛋白質をコードするDNAが挙げられる。
ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。
塩基配列における変異は、パッセンジャードメインを構成する各ドメイン(ヘッドドメイン、ネックドメイン、ストークドメイン)の構造を維持するものであることが好ましい。非特異的付着性に支障のない限り、パッセンジャードメインの一部が欠損することになってもよい。但し、ストークドメインに含まれる各モチーフ構造を維持するものであることが好ましい。尚、配列番号1で表される塩基配列において、シグナルペプチドは1〜177位の塩基(切断箇所は174位の塩基の直後)に相当し、ヘッドドメインは322〜888位及び8989〜9450位の塩基に相当し、ストークドメインは946〜8988位及び9508〜10671位の塩基に相当する。また、本発明では大腸菌TAAと置換されることになるメンブレンアンカードメインは10672〜10890位の塩基に相当する。
尚、アシネトバクター sp.Tol5株のataA遺伝子やそのパッセンジャードメインをコードする領域などは、E.coli DH5α遺伝子導入株から取得することができる。E.coli DH5α遺伝子導入株には、プロモーター/リボソーム結合部位(1〜106位)、ataA遺伝子(107〜10999位)及びTol5-omlT遺伝子(11064〜11858位)を含むオペロン(ataA-omlTオペロン)が導入されている。E.coli DH5α遺伝子導入株は、「DH5α-XLTOPO::aadA-ompA」として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に受託番号NITE BP-490(受託日2008年(平成20年)2月19日)として寄託されている。
シグナル−パッセンジャーDNAに対して、大腸菌の三量体オートトランスポーターアドヘシンのメンブレンアンカードメインをコードするDNA(即ちメンブレンアンカーDNA)が連結されることにより、本発明に使用するキメラDNAが得られる。メンブレンアンカーDNAとして、良好な機能の発揮のために、標的大腸菌と同一又は近縁の大腸菌に由来するものを用いるとよい。ここでの大腸菌の例として、E. coli ECOR9株を挙げることができる。また、メンブレンアンカーDNAの一例は、E. coli ECOR9株のTAAであるEibAのメンブレンアンカー領域(916位〜1179位)をコードするDNA(配列番号7)である。メンブレンアンカーDNAとして、配列番号7の塩基配列からなるDNAと機能的に同等のDNAを用いることにしてもよい。ここでの機能的に同等のDNAとしては、配列番号7で表される塩基配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性(又は同一性)を有する塩基配列からなり、外膜でベータバレルを形成し、パッセンジャードメインを分泌する活性を有する蛋白質をコードするDNAが挙げられる。あるいは、配列番号7で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、外膜でベータバレルを形成し、パッセンジャードメインを分泌する活性を有する蛋白質をコードするDNAが挙げられる。尚、ストリンジェントな条件はパッセンジャーDNAの場合に準ずる。また、塩基配列における変異は、メンブレンアンカードメインのドメイン構造を維持するものであることが好ましいが、細胞膜への結合に支障のない限り、メンブレンアンカードメインの一部が欠損することになってもよい(但し、膜貫通コイルドコイルドメインをコードする領域は含んでいることが好ましい)。
シグナル−パッセンジャーDNAとメンブレンアンカーDNAの連結は常法に従えばよく、例えばリガーゼを利用した方法を採用すればよい。連結部位は、シグナル−パッセンジャー側は、パッセンジャードメインのコイルドコイルをコードする領域(ataA遺伝子の10534位〜10671位)内(境界を含む)、メンブレンアンカー側はその上流からメンブレンアンカーの始まりにかけてまたがるコイルドコイルをコードする領域(eibA遺伝子の834位〜960位)内であり、したがってメンブレンアンカーDNAの上流域をリンカーとして含んでもよい。リンカーの一例を配列番号8に示す。それぞれ領域内で切断しコイルドコイル同士を連結する。
一態様のキメラDNAは、メンブレンアンカードメインをコードする領域の下流に配列番号3で表される塩基配列からなるDNAも含む。このようなキメラDNAを用いることにより、非特異的付着性を同等またはそれ以上に付与できることを期待できる。配列番号3で表される塩基配列からなるDNAは、例えば、上記メンブレンアンカードメインの3'側末端に連結される。配列番号3で表される塩基配列からなるDNAと機能的に同等の遺伝子を用いることにしてもよい。配列番号3で表される塩基配列からなるDNAと機能的に同等のDNAとしては、配列番号3で表される塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の相同性を有する塩基配列からなるDNAが挙げられる。あるいは、配列番号3で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが挙げられる。尚、配列番号3で表される塩基配列は、Tol5株のAtaA遺伝子のすぐ下流に見出された配列であり、グラム陰性細菌が有する外膜蛋白質ompA遺伝子やBamE遺伝子、omlA遺伝子などと相同性を示す蛋白質のORFをコードする。当該ORFであるTol5-OmlT(特許文献1ではTol5-OmpAと呼称されていた)は795bpの遺伝子(配列番号3)でコードされる264アミノ酸(配列番号4)からなる。
標的大腸菌には、様々な大腸菌を用いることができる。標的大腸菌の例として、E. coli DH10B株、DH1株、JM109株、K12株、BL21(DE3)株を挙げることができる。形質転換能を有するものであれば野生株、変異株のいずれでもよい。また、三量体オートトランスポーターアドヘシン欠損株を標的大腸菌としてもよい。
一態様では、標的大腸菌として、医薬品原料、バイオ燃料、化成品、汎用化学品、モノマー、有用酵素の生産、酵素反応、バイオマスの分解等に利用される外来遺伝子が組み込まれた大腸菌を用いる。この態様によれば、非特異的付着性が付与又は増強された、産業上有用な大腸菌が提供される。本発明の方法によって非特異的付着性を付与又は増強した後に、医薬品原料、バイオ燃料、化成品、汎用化学品、モノマー、有用酵素の生産、酵素反応、バイオマスの分解等に利用される外来遺伝子を導入することによっても同様の大腸菌を得ることができる。
キメラDNAを標的大腸菌に導入して形質転換することにより、非特異的付着性が付与又は増強された大腸菌が得られる。典型的には、キメラDNAを適当なベクターに連結し、該ベクターで標的大腸菌を形質転換することにより、非特異的付着性が付与又は増強された大腸菌を得ることができる。宿主大腸菌に該DNAを多コピーにて導入したり、構成的に発現するプロモーター支配下に該DNAを連結したり、又は誘導酵素系プロモーター支配下に該DNAを連結したりして、非特異的付着性が付与又は増強された大腸菌を得ることができる。
具体的には、まず、キメラDNAをベクター中に連結し、組換えベクターを得る。上記ベクターには、宿主細胞で自律的に増殖し得るファージ、コスミド、プラスミド等が使用される。これらの組換えベクターは例えば、大腸菌とアシネトバクター属細菌の両方で使用可能なように設計したシャトルベクター等も使用可能である。
プラスミドとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えば、pET21a(+)、pET32a(+)、pET39b(+)、pET40b(+)、pET43.1a(+)、pET44a(+)、pKK223-3、pGEX4T、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19等)、大腸菌-アシネトバクター間シャトルベクタープラスミドpARP3などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(λgt11、λZAP等)が挙げられる。また、クローニング、シークエンス確認用にpCR4-TOPO(登録商標)などの市販のクローニング用ベクターを用いてもよい。
ベクターにDNAを挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。例えば、目的のDNAは、通常知られている方法により合成することができ、ベクターに組み込むため、適当な制限酵素の切断部位を両末端に含むように、プライマーを用いてPCR法により増幅してもよい。PCR反応の条件は、当業者が適宜決定することができる。
その他、組換えベクターには、プロモーター及びキメラDNAに加えて、必要に応じてエンハンサーなどのシスエレメント、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)などが連結されていてもよい。選択マーカーの例としては、カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコールなどの薬剤耐性マーカー、ロイシン、ヒスチジン、リジン、メチオニン、アルギニン、トリプトファン、ウラシルなどの栄養要求性マーカーが挙げられるがこれに限定されない。
プロモーターは、特に制限されず、宿主大腸菌に応じて当業者が適宜選択すればよい。例えば、T7プロモーター、lacプロモーター、trpプロモーター、λ−PLプロモーターなどが使用できる。配列番号5で表される塩基配列からなるプロモーター、及びそれと機能的に同等のプロモーター、例えば、配列番号5で表される塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の相同性を有する塩基配列からなるプロモーターも好適に用いられる。
DNA断片とベクター断片とを連結させるには公知のDNAリガーゼを用いるとよい。そして、DNA断片とベクター断片とをアニーリングさせた後連結させ、組換えベクターを作成する。好ましくは市販のライゲーションキット、例えば、ライゲーションhigh(東洋紡株式会社製)を用いて、規定の条件にてライゲーション反応を行うことにより組換えベクターを得ることができる。
クローニング、連結反応、PCR等を含む組換えDNA技術は、例えば、Sambrook,J et al.,Molecular Cloning 2nd ed.,9.47-9.58,Cold Spring Harbor Lab.press(1989)及びShort Protocols In Molecular Biology,Third Edition,A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.に記載されるものを利用することができる。
得られたベクターを、必要であればボイル法、アルカリSDS法、磁性ビーズ法及びそれらの原理を使用した市販されているキット等により精製し、さらに例えばエタノール沈殿法、ポリエチレングリコール沈殿法などの濃縮手段により濃縮することができる。
標的大腸菌への組換えベクターの導入方法は、特に限定されないが、例えばカルシウムイオンを用いるヒートショック法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法等が挙げられる。
目的のDNAを含む形質転換大腸菌は、その組換えベクターが有するマーカー遺伝子により、例えば、アンピシリン、カナマイシンなどの抗生物質を含むLB培地寒天プレート上でコロニーを形成することにより選抜することができるが、クローニングされた宿主微生物が組換えベクターにより形質転換されたものかどうかを確認するため、一部を用いて、PCR法によるインサートの増幅確認、又はシーケンサーを用いたダイデオキシ法による配列解析をしてもよい。自律複製可能なプラスミドを導入する形式の他に、染色体の遺伝子と相同な領域をベクター内に配置し、相同組換えを起こさせて目的遺伝子を導入させる染色体組み込み型の導入方法を使用してもよい。
得られた形質転換大腸菌を培地で培養する方法は、標的大腸菌の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。大腸菌が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換大腸菌の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。具体的には、M9培地、M9G培地、BS培地、LB培地、Nutrient Broth培地、肉エキス培地、SOB培地、SOC培地等が挙げられる。
炭素源としては資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコースなどの糖類、グリセリンなどのポリオール類、メタノール、エタノールなどのアルコール類、又はピルビン酸、コハク酸、クエン酸若しくは乳酸等の有機酸類の他、脂肪酸類や油脂などを使用することができる。また、窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えば、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ抽出物、メチルアミンなどのアルキルアミン類、又はアンモニア若しくはその塩などを使用することができる。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミン、消泡剤なども必要に応じて使用してもよい。また、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドなどのタンパク質発現誘導剤を必要に応じて培地に添加してもよい。
培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、好ましくは0〜40℃、より好ましくは10〜37℃、特に好ましくは15〜37℃で行う。培養期間中、培地のpHは宿主の発育が可能で、オートトランスポーターアドヘシンの活性が損なわれない範囲で適宜変更することができるが、好ましくはpH4〜8程度の範囲である。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
上記のようにして、非特異的付着性が付与又は増強された大腸菌を得ることができる。得られた大腸菌の非特異的付着性については、クリスタルバイオレット染色による付着試験(CV付着試験)を用いて評価することができる。具体的な手順の例としては、菌体培養液を遠心分離にかけ、培養上清を除き、炭素源も窒素源も含まない無機塩培地または塩溶液を菌体ペレットに加え、超音波処理により菌体懸濁液を得、菌体懸濁液の濁度OD660を一定(0.5付近)になるように培地または塩溶液で調整し、96穴のポリスチレン製プレートの各ウェルに懸濁液を200μlずつ添加し、微生物の至適温度で2時間インキュベートし、ウェル中の懸濁液をピペットで全て除き、200μlの無機塩培地または塩溶液でウェルを2回洗浄後、風乾し、1%のクリスタルバイオレット水溶液をウェルに加え、室温で15分間インキュベートし、ピペットでクリスタルバイオレットを除き、200μlの無機塩培地でウェルを3回洗浄後、70%エタノール水溶液で染色された付着菌体からクリスタルバイオレットを溶出させ、吸光度A590を測定する。微生物懸濁液をプレートに添加後に2時間インキュベートする代わりに、プレートごと重力加速度500gで5分間遠心分離にかけてもよい。こうすることで、付着を促進させ、測定時間を短縮することができる。以降の手順は上と同様である。そして、吸光度A590が0.7以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上の微生物は、非特異的付着性を有する微生物と評価することができる。適当な容器の内壁に微生物細胞を非増殖条件下で付着させ、付着した細胞を適当な染色剤を用いて染色し、染色剤または染色細胞数を定量することにより付着細胞量を定量するという原理に基づけば、上記の方法を改変した手法により付着試験を行ってもよい。例えばプレートの材質や容量、ウェルの数、染色剤や洗浄液の種類と量、染色時間と温度、懸濁細胞濃度、染色剤や染色細胞数の定量に使用する装置(吸光光度計、プレートリーダー、顕微鏡など)などは、適宜選択可能である。染色剤にはサフラニンや蛍光色素などを用いることも可能である。また、付着性は、キメラDNAを導入していない野生株(ネガティブコントロール)との比較により評価することができる。
AtaAを利用して大腸菌に非特異的付着性を付与又は増強する際の効果を向上させることを目指して研究を進める中、AtaAのドメイン構造に着目し、以下の検討を行った。
1.方法
(1)AtaAのパッセンジャードメインとEib(大腸菌TAA)のメンブレンアンカー(トランスロケータードメイン)とのキメラ蛋白質の作製(図2)
オーバーラップPCR法を組み合わせることによりAtaAオペロン(ataA-omlT)上のataA遺伝子の膜アンカードメインのコード領域を、大腸菌ECOR9株由来のTAAであるEibAの膜アンカードメインのコード領域と置換した。最初のPCRはpARP3::ataAおよびECOR9染色体DNAを鋳型とし、図2中に示したプライマーセット((i)(ii)及び(iii)(iv))を用いて目的遺伝子領域を増幅した。次のPCRでは、最初のPCRで増幅した断片とプライマーセット(iii)(ii)を用いることでataA-eib断片を増幅した。また、pARP3::ataA-omlTを鋳型とした別のPCRでataA-eib断片とオーバーラップPCRするためのomlT遺伝子断片をプライマーセット(v)(vi)を用いて増幅した。最後のPCRではataA-eib断片とomlT断片およびプライマーセット(iii)(vi)を用いることで、ataA-eib-omlT断片を増幅した。増幅断片をpETベクターにいったんクローニングし、pET::ataA-eib-omlTを作製した。その後、pARP3ベクターに移し替えpAtaA-eib-omlT(配列番号10の配列からなるAtaA-eib-omlT遺伝子を保持する)を得た。さらにPCRによりomlT(配列番号3の配列からなり、配列番号4のアミノ酸配列をコードする)を除きpAtaA-eibを得た。尚、pAtaA-eibが保持するataA-eibA遺伝子の配列を配列番号9に、それがコードするアミノ酸配列を配列番号11にそれぞれ示す。
(2)キメラ蛋白質のAtaAとEibAの接続部位の構造(図3)
連結部位は、シグナル−パッセンジャー側は、パッセンジャードメインのコイルドコイルをコードする領域(ataA遺伝子の10534位〜10671位)内(境界を含む)、メンブレンアンカー側はその上流からメンブレンアンカーの始まりの部分にかけてまたがるコイルドコイルをコードする領域(eibA遺伝子の834位〜960位)内で、それぞれ領域内で切断しコイルドコイル同士を連結した。具体的にはataA遺伝子を10534位の前で切断し、またeibA遺伝子を915位の後ろで切断し連結した。
(3)キメラ遺伝子コンストラクトの導入
pARP3上にクローニングされたキメラ遺伝子により、大腸菌DH10B株、JM109株、及びBL21株を形質転換した。
2.結果
フローサイトメトリー又は共焦点レーザー顕微鏡解析により、キメラAtaAファイバーが大腸菌の細胞表面に提示されていることを確認した(図5〜6)。AtaAファイバーを発現させた場合(pAtaA)よりも、キメラAtaAを発現させた場合(AtaA-eib)の方が格段に高い付着性を示した(図4)。キメラAtaA遺伝子の導入は、宿主として用いる大腸菌株によってその効果は異なるものの(図5、6)、大腸菌に付着性を付与する手段として有効であることが確認された。
本発明によれば、高い付着性を示す大腸菌が得られる。有用物質(医薬品、化学品、バイオエタノールなどの燃料、酵素)の生産、有害物質の分解・除去、実験ツール等、様々な用途に大腸菌が用いられている。高い付着性を示す大腸菌は固定化に適したものであり、バイオプロセスにおける操作性や生産効率を向上させる。本発明は汎用性が高く、産業上の利用価値が高い大腸菌の有用性を更に高めるものといえる。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
配列番号12〜17:人工配列の説明:プライマー
配列番号9:人工配列の説明:ataA-eibA
配列番号10:人工配列の説明:AtaA-eib-omlT
配列番号11:人工配列の説明:ataA-eibA
配列番号20:人工配列の説明:断片配列

Claims (6)

  1. アシネトバクター属微生物の三量体オートトランスポーターアドヘシンのシグナルペプチドからパッセンジャードメインまでをコードするDNAと、大腸菌の三量体オートトランスポーターアドヘシンのメンブレンアンカードメインをコードする領域を含むDNAとを、アシネトバクター属微生物由来パッセンジャードメインのカルボキシ末端側近傍コイルドコイルをコードする領域内と大腸菌由来メンブレンアンカーからその上流にまたがるコイルドコイルをコードする領域内で連結した構造を有するキメラDNAを、標的大腸菌に導入するステップを含む、標的大腸菌に対して非特異的付着性を付与又は増強する方法であって、
    アシネトバクター属微生物の三量体オートトランスポーターアドヘシンが、アシネトバクターsp. Tol5株のAtaAであり、
    前記シグナルペプチドからパッセンジャードメインまでをコードするDNAが、以下の(a)〜(c)、即ち、
    (a)配列番号6で表される塩基配列からなるDNA、
    (b)配列番号6で表される塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有する塩基配列からなり、微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を有する蛋白質をコードするDNA、
    (c)配列番号6で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を有する蛋白質をコードするDNA、のいずれかのDNAであり、
    前記メンブレンアンカードメインをコードするDNAが、以下の(A)〜(C)、即ち、
    (A)配列番号7で表される塩基配列からなるDNA、
    (B)配列番号7で表される塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有する塩基配列からなり、外膜でベータバレルを形成し、パッセンジャードメインを分泌する活性を有する蛋白質をコードするDNA、
    (C)配列番号7で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、外膜でベータバレルを形成し、パッセンジャードメインを分泌する活性を有する蛋白質をコードするDNA、のいずれかのDNAである、方法
  2. 前記メンブレンアンカードメインをコードする領域を含むDNAが、以下の(A)〜(C)のいずれかのDNAである、請求項1に記載の方法:
    (A)メンブレンアンカー上流のコイルドコイルをコードする領域である配列番号8で表される塩基配列またはその部分配列(但し、メンブレンアンカー上流のコイルドコイルをコードするもの)が、前記メンブレンアンカードメインをコードするDNAの5’側にリンカーとしてつながっているDNA、
    (B)配列番号8で表される塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有する塩基配列からなり、リンカーとして三量体オートトランスポーターアドヘシンのパッセンジャードメインとメンブレンアンカードメインを微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を保持しながらつなぐことができるペプチドをコードする塩基配列が、前記メンブレンアンカードメインをコードするDNAの5’側にリンカーとしてつながっているDNA、
    (C)配列番号8で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、リンカーとして三量体オートトランスポーターアドヘシンのパッセンジャードメインとメンブレンアンカードメインを微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を保持しながらつなぐことができるペプチドをコードする塩基配列が、前記メンブレンアンカードメインをコードするDNAの5’側にリンカーとしてつながっているDNA。
  3. 前記キメラDNAが、以下の(A)〜(C)のいずれかのDNAである、請求項1に記載の方法:
    (A)配列番号9で表される塩基配列からなるDNA、
    (B)配列番号9で表される塩基配列からなるDNAと90%以上の相同性を有する塩基配列からなり、微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を有する蛋白質をコードするDNA、
    (c)配列番号9で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、微生物に対して非特異的付着性を付与又は増強する活性を有する蛋白質をコードするDNA。
  4. 前記キメラDNAが、メンブレンアンカードメインをコードする領域の下流に以下の(i)〜(iii)のいずれかのDNAも含む、請求項1又は2に記載の方法:
    (i)配列番号3で表される塩基配列からなるDNA、
    (ii)配列番号3で表される塩基配列と90%以上の相同性を有する塩基配列からなるDNA、
    (iii)配列番号3で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA。
  5. 前記標的大腸菌が、三量体オートトランスポーターアドヘシン欠損株である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 請求項1〜のいずれかの方法によって得られた、非特異的付着性が付与又は増強された大腸菌。
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