JP6233647B2 - エレベータ用動吸振器 - Google Patents

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Description

本発明は、エレベータ用の動吸振器に関し、特に、エレベータの昇降路内で生じる主ロープや釣合ロープの横振れ対策として使用する動吸振器に関する。
従来から、強風や地震などの影響で建物が横揺れすると、その建物に設置されたエレベータの昇降路内で主ロープや釣合ロープ等が建物の揺れ方向(水平方向)へ横振れすることが知られている。その際、横振れが生じたロープの固有振動数が建物の固有振動数に近づくと、共振によりロープの振れ幅は一段と大きくなる。そうなれば、昇降路内にある種々の機器や設備にロープが接触したり絡まったりするおそれが高まり、場合によっては、接触時の衝撃等によりこれらを破損する可能性もある。
このようなロープの振動対策の一例として、横振れが生じたロープの振動エネルギーを吸収する動吸振装置をエレベータのかご上方近傍等の所定位置に設けてロープの振動を抑制する技術が下記特許文献1に開示されている。この動吸振装置は、ロープに対して常時非接触状態で対向配置された複数の永久磁石と、各永久磁石が固定された一又は複数の可動剛体と、この可動剛体に連結されたダンパー、ばね等から成る減衰要素と、から構成されるエネルギー吸収手段を備えている。かかる動吸振装置は、エネルギー吸収手段がロープに対する永久磁石の吸引力に対し減衰要素の減衰力を作用させることでロープの振動エネルギーを吸収し、ロープの振動抑制を図るというものである。
ところで、ロープの横振れの主な要因となる「建物の横揺れ」は、上記のとおり、強風や地震などによって引き起こされるものであるが、そのような自然現象に起因する以上、その建物に将来的に生じる揺れの方向やその発生のタイミング等を事前に正確に予測することは、実質上不可能に近い。これは、ロープの振れ方向、また、ロープの振れ幅の程度等についても同様のことが言える。
しかしながら、上記の動吸振装置において、ロープが永久磁石に対し正対方向へ振れる場合と非正対方向へ振れる場合とでは、ロープに働く永久磁石の吸引力の強さに差異が生じる。その結果、ロープの振動エネルギー吸収能にアンバランスが生じるため、水平方向における任意の方向について所望の振動抑制効果が一様に得られるとは言い難い。
特開2007−309411号公報
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものであり、ロープの横振れに対し、任意の水平方向においてロープの振動を一様に抑制できるエレベータ用動吸振器を提供することを目的とする。
本発明は、建物に設置されたエレベータにおいて、駆動シーブに巻き掛けられてかご及び釣合錘を吊り下げる複数の主ロープに横振れが生じたときの振動エネルギーを吸収するエレベータ用動吸振器であって、前記複数の主ロープの両端部のうち少なくとも一方の端部より上方位置において該各主ロープを一体的に束ねた状態に保持する主ロープ保持部材と、前記主ロープ保持部材を包囲し、該主ロープ保持部材に対して水平方向へ相対的に変位自在に支持された吸振質量体と、前記主ロープ保持部材と前記吸振質量体とに連結され、該吸振質量体が水平方向における任意の一方向へ変位したとき、該一方向とは逆方向へ復元力を作用させる、少なくとも3以上の弾性体と、を備えることを特徴とする。
本発明のエレベータ用動吸振器では、前記主ロープに横振れが生じていないときにおける前記主ロープ保持部材の重心位置と前記吸振質量体の重心位置とが、鉛直方向において同軸上に配置されていることを特徴に加えてもよい。
本発明のエレベータ用動吸振器では、前記吸振質量体が、前記かごの上側に設けられ、当該吸振質量体に連結された上端部を下端部よりも水平方向へ大きく変位させながら揺動する複数の支持アームを有する支持手段によって支持されていることを特徴に加えてもよい。
本発明のエレベータ用動吸振器では、前記支持手段が、前記かごの上側に固定されたベース部材を備え、前記複数の支持アームの各々は、下端部が前記ベース部材に揺動自在に連結されていることを特徴に加えてもよい。
本発明のエレベータ用動吸振器では、前記支持手段が、前記かごの上側に揺動自在に連結されたベース部材を備え、前記複数の支持アームの各々は、下端部が前記ベース部材に固定されていることを特徴に加えてもよい。
本発明のエレベータ用動吸振器では、前記吸振質量体が振動するときの該吸振質量体の固有振動数を、前記建物に横揺れが生じたときの該建物の固有振動数と一致させたことを特徴に加えてもよい。
本発明のエレベータ用動吸振器では、前記吸振質量体が、環状部材から成り、前記弾性体の各々が、前記環状部材の周方向に等間隔をあけて放射状に配置されていることを特徴に加えてもよい。
本発明のエレベータ用動吸振器では、前記弾性体が、引張コイルばねであることを特徴に加えてもよい。
また、本発明は、建物に設置されたエレベータにおいて、駆動シーブに巻き掛けられてかご及び釣合錘を吊り下げる複数の主ロープの重量アンバランスを補償する複数の釣合ロープに横振れが生じたときの振動エネルギーを吸収するエレベータ用動吸振器であって、前記複数の釣合ロープの両端部のうち少なくとも一方の端部より下方位置において該各釣合ロープを一体的に束ねた状態に保持する釣合ロープ保持部材と、前記釣合ロープ保持部材を包囲し、該釣合ロープ保持部材に対して水平方向へ相対的に変位自在に支持された吸振質量体と、前記釣合ロープ保持部材と前記吸振質量体とに連結され、該吸振質量体が水平方向における任意の一方向へ変位したとき、該一方向とは逆方向へ復元力を作用させる、少なくとも3以上の弾性体と、を備えることを特徴とする。
本発明のエレベータ用動吸振器によれば、横振れが生じた主ロープの振動エネルギーを弾性体の弾性エネルギーに変換し、これをさらに吸振質量体の振動エネルギーへ転換することにより主ロープの振動エネルギーを吸収する。これにより、主ロープの横振れを抑制することができる。吸振質量体は任意の水平方向への振動が許容されているため、任意の水平方向における主ロープの横振れを一様に抑制することが可能である。また、主ロープ保持部材、吸振質量体及び弾性体から構成された「ばね・質点系」の振動吸収機構という至って簡易な構成を採用しているため、既存のエレベータへの後付け等にも低コストで容易に対応することが可能であり、メンテナンス等の作業も簡単である。特に、吸振質量体の固有振動数は、その質量と弾性体(ばね)各々のばね定数を振動数調整のパラメータとして定めることができ、設定調整が比較的簡易である。
主ロープに横振れが生じていないときにおける主ロープ保持部材の重心位置と吸振質量体の重心位置とが、鉛直方向において同軸上に配置されている本発明のエレベータ用動吸振器によれば、横振れが生じた主ロープの振動エネルギーをより円滑に吸振質量体へ伝達することができる。これにより、吸振質量体に優れた振動応答性を発揮させることができる。
吸振質量体が、かごの上側に設けられ、当該吸振質量体に連結された上端部を下端部よりも水平方向へ大きく変位させながら揺動する複数の支持アームを有する支持手段によって支持された本発明のエレベータ用動吸振器によれば、吸振質量体を主ロープ保持部材と水平方向に対向する位置まで持ち上げつつ倒立振り子状に揺動するように支持することができる。そのような「倒立振り子構造」を採用することで、吸振質量体の固有振動数の設定に際し、各支持アームの長さに関する設計上の制約を大幅に緩和することができる。これにより、動吸振器の装置構成の小型化及び省スペース化を実現することができる。このような効果は、支持手段が、かごの上側に固定されたベース部材を備え、複数の支持アームの各々の下端部がベース部材に揺動自在に連結された本発明のエレベータ用動吸振器でも、もしくは、支持手段が、かごの上側に揺動自在に連結されたベース部材を備え、複数の支持アームの各々の下端部が前記ベース部材に固定された本発明のエレベータ用動吸振器でも同様に得ることが可能である。
吸振質量体の固有振動数を建物の固有振動数と一致させた本発明のエレベータ用動吸振器によれば、主ロープと建物が最も共振しやすい状況下において、自動的に振動エネルギー吸収能が最大限に発揮される機能設定を実現できる。
吸振質量体が環状部材から成り、弾性体の各々が当該環状部材の周方向に等間隔をあけて放射状に配置された本発明のエレベータ用動吸振器によれば、水平方向のスペースに制限が多い昇降路内における動吸振器の設置スペースと、主ロープ保持部材に対する吸振質量体の相対変位を許容する方向の任意性を同時に確保することができる。
弾性体が、引張コイルばねである本発明のエレベータ用動吸振器によれば、両端部がフック形状であることを利用して主ロープ保持部材と吸振質量体とを連結することができるので、組立や部品交換等の作業が容易である。また、伸縮方向が主ロープの振れ方向と一致しないばねは、自身の伸縮方向を主ロープの振れ幅に応じて変化させながら弾性変形するため、このような伸縮方向の変化がなければ吸振質量体の振動を妨げる余分な力が働いてしまうのを避けることができる。これにより、動吸振器の振動エネルギー吸収能が最大限発揮される。
また、本発明のエレベータ用動吸振器によれば、横振れが生じた釣合ロープの振動エネルギーを弾性体の弾性エネルギーに変換し、これをさらに吸振質量体の振動エネルギーへ転換することにより釣合ロープの振動エネルギーを吸収する。これにより、釣合ロープの横振れを抑制することができる。吸振質量体は任意の水平方向への振動が許容されているため、任意の水平方向における主ロープの横振れを一様に抑制することが可能である。また、釣合ロープ保持部材、吸振質量体及び弾性体から構成された「ばね・質点系」の振動吸収機構という至って簡易な構成を採用しているため、既存のエレベータへの後付け等にも低コストで容易に対応することが可能であり、メンテナンス等の作業も簡単である。特に、吸振質量体の固有振動数は、その質量と弾性体(ばね)各々のばね定数を振動数調整のパラメータとして定めることができ、設定調整が比較的簡易である。
本実施形態に係るエレベータ用動吸振器が設けられたエレベータを示す概略構成図である。 本実施形態に係るエレベータ用動吸振器の(a)平面図、及び(b)A−A線部分側断面図である。 本実施形態に係るエレベータ用動吸振器の動作を示す説明図である。 他の実施形態に係るエレベータ用動吸振器が設けられたエレベータを示す概略構成図である。 他の実施形態に係るエレベータ用動吸振器の(a)B−B線部分側断面図、及び(b)C−C線平面断面図である。 本発明の実施形態に係るエレベータ用動吸振器の(a)第一の変形例、及び(b)第二の変形例を示す平面図である。 本発明の更に他の実施形態に係るエレベータ用動吸振器の(a)縦断面図、及び(b)その変形例を示す縦断面図である。
以下、本発明に係るエレベータ用動吸振器(以下、単に「動吸振器」と示す)の実施形態について図面を用いて説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の動吸振器10は、不図示の建物に設置されたエレベータ100の主ロープR1に適用される。主ロープR1は、その両端部に連結されたかご101及び釣合錘102を互いに逆方向へ昇降移動させるための動力伝達部材である。本実施形態において、主ロープR1は、機械室に設置された巻上機103に軸支された駆動シーブ104及びそらせシーブ105に巻き掛けられた金属製のワイヤロープから構成され、かご101及び釣合錘102をつるべ式に吊り下げている。かご101及び釣合錘102は、駆動シーブ104を巻上機103の支軸回りに回転させたとき当該駆動シーブ104と主ロープR1との間に生じる摩擦力によって、昇降路内を互いに逆方向へ昇降移動させられる。
本実施形態の動吸振器10は、かかるエレベータ100において、主ロープR1に横振れが生じたときの振動エネルギーを吸収するためのものである。ここでいう「横振れ」とは、主ロープR1が、鉛直線と平行に緊張した状態を基準位置として、任意の水平方向へ周期的に変位する振動のことをいう。本実施形態の動吸振器10は、図2に示すように、複数の主ロープR1の両端部のうち少なくとも一方の端部より上方位置に設けられた主ロープ保持部材1と、この主ロープ保持部材1を包囲する吸振質量体2と、主ロープ保持部材1と吸振質量体2とに連結された8個のばね3(弾性体)と、を備えた倒立振り子構造型の振動吸収機構から構成されている。
主ロープ保持部材1は、その取付位置において複数の主ロープR1を一体的に束ねた状態に保持するための構成部材である。主ロープ保持部材1を設けることで、複数の主ロープR1に生じた横振れを一の振動系として取り扱うことが可能となる。本実施形態の主ロープ保持部材1は、円柱状の本体11に主ロープR1を挿通するための貫通孔12が複数設けられたブロック材から構成されている。各貫通孔12に挿通された主ロープR1の外面を、例えば、ボルト等の締結部材(図示省略)の締結力によって押圧することにより、本体11と主ロープR1とが強固に固定されている。
また、本実施形態の主ロープ保持部材1では、各貫通孔12の重心位置が本体11の軸心上となるよう各貫通孔12が配置されている。すなわち、図2に示すように、5本の主ロープR1に対し、各貫通孔12が正五角形の各頂点の位置に配置されており、且つ、この正五角形の重心位置が本体11の軸心上に配置されている。このように重心位置が本体11の軸心上となるよう各貫通孔12を配置すれば、主ロープR1への取付け時における主ロープ保持部材1の安定性が向上する。なお、貫通孔12の数は主ロープR1の本数に応じて適宜変更可能であり、例えば、主ロープR1が4本の場合には、本体11の軸心上で対角線が交差する四角形の各頂点に貫通孔12を配置したような形態で実施しても構わない。
主ロープ保持部材1の主ロープR1に対する固定手段については上述したものに限定されないが、たとえ各主ロープR1に横振れが生じたとしても、その振動エネルギーによって各主ロープR1との間に相対的な位置ずれが生じない程度の固定強度が十分に確保されている必要がある。このような固定強度が確保される限り、主ロープ保持部材1の形状、大きさ、材質、及びその質量等は不問である。
吸振質量体2は、主ロープ保持部材1に対して水平方向へ相対的に変位自在に支持された振動子である。吸振質量体2は、後述するばね3を介して主ロープ保持部材1と連結されており、主ロープ保持部材1及びばね3を通じて伝達される主ロープR1の振動エネルギーによって水平方向へ振動させられる。こうして、主ロープR1の振動エネルギーが吸振質量体2の振動エネルギーへと転換される。本実施形態において吸振質量体2は、かご101の上側に設けられた支持手段4によって、主ロープ保持部材1と水平方向に対向する位置まで持ち上げられつつ、倒立振り子状に揺動(振動)するように支持されている。
図2に示すように、吸振質量体2を支持する支持手段4は、かご101の上側に固定されたベース部材41と、下端部がこのベース部材41に自在継手42を介して揺動自在に連結されるとともに、上端部が吸振質量体2に連結された複数の支持アーム43と、を備えている。支持アーム43は剛性の高い部材で構成されており、吸振質量体2が水平方向へ変位するとき、その動きに連動して各支持アーム43が自在継手42を支点として揺動する。本実施形態では、各主ロープR1の一端部が、かご101を固定したカーフレーム106の上面の下側に設けられた公知の縦振動抑制機構107に連結されており、このカーフレーム106の上面の上側にはベース部材41が固定されている。また、このベース部材41と各支持アーム43とを連結する自在継手42として、支持アーム43の下端部に設けられた球状のヘッド部44が、ベース部材41側の連結部45に収容されて成るボールジョイントが採用されている。つまり、自在継手42を構成するボールジョイントは、支持アーム43の下端部にあるヘッド部44がボールスタッドを構成し、ベース部材41側の連結部45がハウジングを構成している。
本実施形態の吸振質量体2は、主ロープ保持部材1を取り囲む円形の環状部材21から構成されており、この環状部材21の周方向に一定の間隔で複数の支持アーム43が連結されている。また、環状部材21の内周面(及び外周面)と、主ロープ保持部材1の外周面とは、平面視において同心円を成すように配置されている。これにより、水平方向のスペースに制限が多い昇降路内における動吸振器10の設置スペースと、主ロープ保持部材1に対する吸振質量体2の相対変位を許容する方向の任意性を同時に確保することができる。
また、本実施形態の吸振質量体2は、上記のベース部材41と同様に、自在継手42を介して各支持アーム43と連結されている。即ち、支持アーム43の上端部に設けられた球状のヘッド部44から成るボールスタッドと、環状部材21の下面にその周方向に沿って等ピッチで設けられ、各ヘッド部44を収容する連結部23から成るハウジングと、から構成されるボールジョイントを介して一体的に連結されている。これにより、吸振質量体2が揺動する際に鉛直方向への変位が抑制され、吸振質量体2の振動を略水平方向への振動に変換することができる。
なお、吸振質量体2の形状については上述したものに限定されないが、静止時(即ち、主ロープR1に横振れが生じていないとき)における吸振質量体2の重心位置が、主ロープ保持部材1の重心位置と鉛直方向において同軸上に配置されることが望ましい。これにより、主ロープR1の振動エネルギーをより円滑に吸振質量体2へ伝達することができ、優れた振動応答性を発揮させることができる。
ばね3は、弾性変形性を有するエネルギー伝達部材であり、吸振質量体2が水平方向における任意の一方向へ変位したとき、当該一方向とは逆方向へ復元力を作用させるように配設されている。各主ロープR1に生じた加振力が主ロープ保持部材1を通じてばね3に加わることで当該ばね3が弾性変形する一方、自身の復元力を吸振質量体2に対し作用させることで吸振質量体2を励振させる。こうして、各主ロープR1に横振れが生じたときの振動エネルギーが弾性エネルギーに変換され、さらにその弾性エネルギーが吸振質量体2へ伝達される。
本実施形態では、ばね3として「引張コイルばね」が用いられており、8個のばね3の各々が、吸振質量体2を構成する環状部材21の周方向に等間隔をあけて放射状に配置されている。また、これらのばね3は、それぞれ自由長さからその長さ方向に沿って所定長だけ引っ張られた状態で主ロープ保持部材1と吸振質量体2とに連結されている。つまり、各ばね3は、静止時(即ち、主ロープR1に横振れが生じていないとき)においても、ある一定の弾性エネルギーを蓄えた状態で連結されており、主ロープ保持部材1と吸振質量体2は、ばね3各々の復元力がこれらに及ぼす力がつり合っているとき、互いの重心位置が鉛直方向において同軸上に位置するように配設されている。弾性体を構成するばね3として「引張コイルばね」を用いれば、両端部がフック形状であることを利用して主ロープ保持部材1と吸振質量体2とを連結することができるので、組立や部品交換等の作業が容易である。
また、ばね3として「引張コイルばね」を用いることで、吸振質量体2の振動を妨げる余分な力が働かないようにすることができるという利点もある。図2(a)を参照しながら説明すると、例えば、8個あるばね3のうち任意の2個の伸縮方向が主ロープR1の振れ方向と一致するとき、他の6個の伸縮方向は主ロープR1の振れ方向とは一致しない。しかし、ばね3と主ロープ保持部材1及び吸振質量体2とは、ばね3両端側のフック部分を介して連結されているので、これらの連結部の各々は自在継手に近い柔軟性を持っている。これにより、当該他の6個のばね3それぞれは、自身の伸縮方向を主ロープR1の振れ幅に応じて変化させながら弾性変形することになる。このような伸縮方向の変化がなければ吸振質量体2の振動を妨げる余分な力が働いてしまうところであるが、そういう弊害を避けることができる。これは、伸縮方向が主ロープR1の振れ方向と一致するばね3が存在しない場合でも同じことが言える。このような利点が得られることにより、動吸振器10の振動エネルギー吸収能が最大限発揮される。
なお、ばね3の数については特に限定されないが、吸振質量体2に対する任意の水平方向への励振力を得るためには、少なくとも3以上であることが望ましい。また、吸振質量体2へ作用する励振力の大きさが任意の水平方向において概ね均等化される限り、ばね3の配置についても特に限定されない。ばね3の数及びその配置については、主ロープ保持部材1と吸振質量体2それぞれの形状に付随して変化するこれらの重心位置や対向空間22(図2(a))の形態等に応じて適宜設計を変更することが可能である。
本実施形態の動吸振器10は、吸振質量体2が揺動(振動)するときの当該吸振質量体2の固有振動数を、エレベータ100が設置された建物に横揺れが生じたときの当該建物の固有振動数と一致させている。これにより、主ロープR1が最も共振しやすい状況下において、自動的に動吸振器10の振動エネルギー吸収能が最大限に発揮される機能設定が実現される。主ロープR1が最も共振しやすい状況下とは、例えば、主ロープR1の長さが建物の高さに最も近い値となるような状況が挙げられる。具体的には、かご101が建物の最下階付近に停止している状況が想定される。その場合、かご101側の各主ロープR1の固有振動数が建物の固有振動数に近づき、共振するからである。なお、本実施形態で吸振対象としていない釣合錘102側の各主ロープR1については、かご101が最上階付近に停止している状況で固有振動数が建物の固有振動数に近づき、共振する。
本実施形態の動吸振器10において、吸振質量体2の固有振動数は、その吸振質量体2の「質量M」と、ばね3の「ばね定数k」とを振動数調整のパラメータとすることで任意に設定変更することが可能である。上記のように、支持手段4によって倒立振り子状に支持されつつ主ロープ保持部材1と複数のばね3を介して連結された吸振質量体2の振動を、単純な「ばね・質点系」の水平方向への振動として近似的に取り扱っても特に差し支えはないと考えられるからである。これにより、吸振質量体2の固有振動数の設定に際し、支持手段4を構成する各支持アーム43の長さに関する設計上の制約が緩和され、動吸振器10の小型化及び省スペース化を実現することができる。但し、動吸振器10に所望の振動エネルギー吸収能を発揮させるためには、少なくとも各主ロープR1の端部より約1〜2m程度の上方位置に主ロープ保持部材1及び吸振質量体2を配置する必要があるものと考えられる。
なお、上記の「質量M」及び「ばね定数k」は、各主ロープR1に生じる振動に対し、動吸振器10としての実効的機能を発揮し得る適正範囲の値に設定しておく必要がある。例えば、「ばね定数k」に対し「質量M」が極端に大きいと、ばね3に更なる弾性変形が生じても、その復元力が吸振質量体2の慣性質量に抗して吸振質量体2を励振させるに至らない。一方、「ばね定数k」に対し「質量M」が極端に小さいと、吸振質量体2の慣性質量不足によりばね3に更なる弾性変形が生じず、吸振質量体2への適当なエネルギー伝達が行われない。かつ、これらの値は、主ロープR1の振動エネルギーを十分に吸収し得るものでなければならない。本実施形態の動吸振器10において、「質量M」及び「ばね定数k」は、想定される主ロープR1の振動エネルギーの大きさを考慮しつつ、主ロープR1の数およびその質量、並びに、エレベータ100が設置される建物の高さ等に応じて適宜設定される。また、本実施形態のように、複数のばね3が用いられる場合においては、それらの「合成ばね定数kt」を考慮して個別の「ばね定数k」を決定する。
次に、本実施形態の動吸振器10の動作について説明する。エレベータ100が設置された建物に横揺れが発生すると、昇降路上方の機械室に設置された巻上機103も建物と共に横揺れする。その際、横揺れする建物の振動エネルギーが、巻上機103に軸支された駆動シーブ104(及びそらせシーブ105)を通じて各主ロープR1へ伝達され、各主ロープR1にも横振れが生じる。
本実施形態の動吸振器10は、各主ロープR1の端部側に取り付けられており、横振れが生じた各主ロープR1の振動エネルギーは、主ロープ保持部材1、各ばね3を通じて、最終的に吸振質量体2まで伝達される。その際、各主ロープR1の振動エネルギーがばね3において弾性エネルギーに変換されることで、均衡状態にあったばね3各々の弾性エネルギー蓄積量にアンバランスが生じる。そして、支持手段4によって倒立振り子状に支持された吸振質量体2は、主として、各主ロープR1の振動エネルギーを自身の弾性エネルギーの一部として蓄積した一又は複数のばね3によって励振され、主ロープ保持部材1に対して水平方向へ相対的に変位しながら揺動(振動)させられる。こうして、横振れが生じた各主ロープR1の振動エネルギーが吸振質量体2の振動エネルギーへと転換されることにより、各主ロープR1の振動エネルギーが動吸振器10に吸収される。
ここで、本実施形態の動吸振器10において、主ロープ保持部材1は各主ロープR1に固定されているため、常に各主ロープR1と同じ周期で振動するが、吸振質量体2は上記アンバランスに伴って更なる弾性変形が生じたばね3各々の復元力によって励振させられるため、基本的には、各主ロープR1(及び主ロープ保持部材1)とは異なる周期で振動する。また、仮に同周期振動となることがあっても、各主ロープR1と吸振質量体2は互いに異なる位相で振動することになる。このとき、揺動する吸振質量体2がばね3を引っ張る力が各主ロープR1の振れ方向とは逆向きの力として作用し、各主ロープR1の振動が抑制されるのである。
なお、本実施形態の動吸振器10は、吸振質量体2の固有振動数をエレベータ100が設置された建物の固有振動数と一致させることにより、各主ロープR1と建物が最も共振しやすい状況下において、自動的に動吸振器10の振動エネルギー吸収能が最大限に発揮される機能設定を実現している。これについて以下に詳細に説明する。
かご101が建物の最下階付近に待機しているときに建物に横揺れが生じるという状況になった場合、かご101側の各主ロープR1の長さと建物の高さとが比較的近い値となっているため、各主ロープR1は、建物の固有振動数に近い振動数で水平方向へ振動することとなる。建物の横揺れの規模や推移を見定め、主ロープR1の振動の成長が看過できない等と判断すると管制運転へ移行し、かご101を特定の避難階まで移動させたりすることになる。
各主ロープR1に生じた当該振動の振動エネルギーは、上記のように吸振質量体2の振動エネルギーへと転換されるため、吸振質量体2は各主ロープR1の振動エネルギーを自身の弾性エネルギーの一部として蓄積した一又は複数のばね3によって励振され、主ロープ保持部材1に対して水平方向へ相対的に変位しながら揺動(振動)させられる。このとき、吸振質量体2は、建物の固有振動数と同じ振動数で振動するため、吸振質量体2の振動数と各主ロープR1の振動数は近い値となるが、各主ロープR1の振動と吸振質量体2の振動は略逆位相の関係となる。そのため、各主ロープR1に加わる振れ方向への加振力の大部分が、吸振質量体2がばね3を引っ張る力(即ち、各主ロープR1の振れ方向とは逆向きの力)の作用によって打ち消される。
かかる状況における動吸振器10の見かけ上の挙動を図3に示す。図3(a),(b)に示すように、吸振質量体2は、主ロープ保持部材1に対し水平方向へ相対的に変位しながら往復揺動(振動)を繰り返す。これに対し、各主ロープR1の水平方向への振動は、吸振質量体2がばね3を引っ張る力によって相殺され、微振動と呼べる程度にまで抑えられる。これはつまり、各主ロープR1に生じた横振れの振動エネルギーのほとんどが、そのまま吸振質量体2の振動エネルギーへと転換されるということを意味する。こうして、各主ロープR1に対する動吸振器10の制振機能が最大限に発揮され、各主ロープR1の振動エネルギーのほとんどが動吸振器10によって吸収されるのである。
しかも、本実施形態の動吸振器10は、上述のとおり、支持手段4によって倒立振り子状に支持された吸振質量体2について、任意の水平方向への振動を許容するように構成されている。したがって、エレベータ100が設置された建物に生じる横揺れが如何なる方向であっても、その振動エネルギー吸収能に大きなムラが生じることはなく、任意の水平方向における主ロープR1の横振れを一様に抑制することが可能である。
このように、本実施形態の動吸振器10によれば、主ロープR1の横振れを抑制することで、建物に横揺れが生じた際にエレベータ100が管制運転へ移行する条件を緩和したり、エレベータ100の運転再開までの復旧時間や避難階での待機時間を短縮したりすることができる。また、当該動吸振器10は、主ロープ保持部材1、支持手段4で支持された吸振質量体2、及び複数のばね3から構成される「倒立振り子構造」という至って簡易な構成が採用されている。このため、既存のエレベータ100への後付け等にも低コストで容易に対応することが可能であり、メンテナンス等の作業も簡単である。特に、吸振質量体2の固有振動数は、その質量とばね3各々のばね定数を振動数調整のパラメータとして定めることができ、設定調整が比較的簡易である。
また、本実施形態の動吸振器10は、いわゆるパッシブ(受動)型であるため、電力はもちろん制御や作動させるためのトリガ等を必要とせず、吸振の目的となる現象(すなわち、主ロープR1の横振れ)が起これば、それに応じて自然に作動するという利点も有する。したがって、例えば、停電等の状況下であっても、所望する吸振機能を確実に発揮させることが可能であり、また、発生のタイミングの予測が極めて困難な主ロープR1の横振れを確実に抑制することを可能とする。しかも、パッシブ型の動吸振器10は、故障し難いため、据付性にも優れている。
さらに、本実施形態の動吸振器10では、「倒立振り子構造」を採用したことで、吸振質量体2の固有振動数の設定に際し、支持手段4を構成する各支持アーム43の長さに関する設計上の制約が大幅に緩和される。これにより、動吸振器10の小型化及び省スペース化を実現することが可能となり、設置スペースに多大な制約があるエレベータ100に最適な装置構成が提供される。
以上、本実施形態の動吸振器10について説明したが、本発明に係る動吸振器は、その他の形態で実施することもできる。なお、以下に示す他の実施形態及びその変形例において、上記動吸振器10と実質的に共通する構成に関する詳細な説明は適宜省略する。
例えば、図4及び図5に示すように、エレベータ200が、釣合ロープR2を備えたものである場合、動吸振器20を釣合ロープR2に適用してもよい。釣合ロープR2は、かご101と釣合錘102の位置関係によって生じる主ロープR1の重量アンバランスを補償するための補償部材である。このエレベータ200において、釣合ロープR2は、主ロープR1と同様に金属製のワイヤロープから構成され、各ワイヤロープの一端側がかご101に、他端側が釣合錘102にそれぞれ連結された状態で懸下されている。また、釣合ロープR2は、昇降路の下方に設けられ、不図示のガイドレールに沿って昇降自在に配設された動滑車201に掛けられており、この動滑車201の自重により一定以上の張力が維持されている。
他の実施形態に係る動吸振器20は、エレベータ200において、釣合ロープR2に横振れが生じたときの振動エネルギーを吸収するためのものである。動吸振器20は、複数の釣合ロープR2の両端部のうち少なくとも一方の端部より下方位置に設けられた釣合ロープ保持部材5と、この釣合ロープ保持部材5を包囲する吸振質量体2と、釣合ロープ保持部材5と吸振質量体2とに連結された8個のばね3(弾性体)と、を備えた、いわゆる「ばね・質点系」の振動吸収機構から構成されている。
動吸振器20の各構成のうち、釣合ロープ保持部材5は、かご101よりも下方に固定される点、及び、束ねる対象が複数の釣合ロープR2である点を除き、基本的には上記の主ロープ保持部材1と同じ構成である。また、ばね3についても、釣合ロープ保持部材5と吸振質量体2とに連結される点を除き、上記動吸振器10におけるものと同様の構成である。吸振質量体2については、任意の水平方向へ変位自在に設けられた振動子である点では上記動吸振器10におけるものと共通しているが、これを支持する構成が異なっている。具体的には、吸振質量体2を倒立振り子状に支持する支持手段4に替えて、以下に示す支持手段6を採用している。
図5に示すように、吸振質量体2を支持する支持手段6は、かご101を固定したカーフレーム106の底部106bに不図示の固定部材(例えば、ボルトとナット等)によって固定された箱型の支持フレーム61と、この支持フレーム61の底部に位置する支持板61b上に載置されつつ吸振質量体2の下面に設けられた収容部(上記の実施形態では、吸振質量体2の連結部23に相当)に転動自在に収容された複数の球体62と、を備えている。支持フレーム61の支持板61bは、釣合ロープ保持部材5よりも下方に配置されており、その中央部には各釣合ロープR2が水平方向への変位をある程度許容された状態で配される貫通孔63が形成されている。支持手段6によれば、支持フレーム61の支持板61b上において各球体62を任意の水平方向へ転動させることにより、これらの球体62と共に吸振質量体2を釣合ロープ保持部材5に対して水平方向へ相対的に変位させながら振動させることができる。
かかる動吸振器20においても、上記動吸振器10と同様に所望の振動エネルギー吸収能を発揮させるためには、少なくとも各釣合ロープR2の端部より約1〜2m程度の下方位置に釣合ロープ保持部材5及び吸振質量体2を配置する必要があるものと考えられる。また、吸振質量体2が釣合ロープ保持部材5に対して水平方向へ相対的に変位しながら振動するときの当該吸振質量体2の固有振動数を、エレベータ200が設置された建物に横揺れが生じたときの当該建物の固有振動数と一致させておくことが望ましい。
なお、動吸振器20における吸振質量体2の固有振動数は、その吸振質量体2の「質量M」と、ばね3の「ばね定数k」とを振動数調整のパラメータとして設定変更することが可能である。上記のように支持手段6で支持された吸振質量体2の振動は、支持板61bと各球体62との摩擦力の影響が小さく、単純な「ばね・質点系」の水平方向への振動として近似的に取り扱っても特に差し支えはないと考えられるからである。
動吸振器20の作動時のメカニズムについては、上記の動吸振器10と同様である。また、動吸振器20は、吸振質量体2の固有振動数と、エレベータ200が設置された建物の固有振動数とを一致させておくことで、各釣合ロープR2と当該建物が最も共振しやすい状況下において、自動的にその振動エネルギー吸収能が最大限に発揮されるように機能させることができる。各釣合ロープR2と建物が最も共振しやすい状況下とは、例えば、かご101が建物の最上階付近で待機している状況が挙げられる。かかる状況下において建物に横揺れが生じた場合、かご101側の各釣合ロープR2の長さと建物の高さとが比較的近い値となっているため、各釣合ロープR2は、建物の固有振動数に近い振動数で水平方向へ振動することとなるためである。
かかる動吸振器20においても、任意の水平方向における釣合ロープR2の横振れを一様に抑制することが可能であると同時に、パッシブ(受動)型であるという点も上記の動吸振器10と共通している。したがって、上記の動吸振器10と同様の作用、機能を奏するとともに、動吸振器10によるものと同様の効果を得ることができる。
また、上記の説明では、本発明の各実施形態に係る動吸振器10,20が、かご101側に設けられた形態を例示したが、図1及び図4に示すように、動吸振器10,20は、釣合錘102側の主ロープR1および釣合ロープR2に設置して用いることもできる。その場合、各動吸振器10,20の振動エネルギー吸収能が最大限に発揮される状況は、かご101側に設置されているときとは逆の状況になる。すなわち、動吸振器10を釣合錘102側に設置したとき、その振動エネルギー吸収能が最大限に発揮されるのは、かご101が建物の最上階付近で待機しているときである。同様に、動吸振器20を釣合錘102側に設置したとき、その振動エネルギー吸収能が最大限に発揮されるのは、かご101が建物の最下階付近で待機しているときである。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
例えば、吸振質量体2の形状は、上述した円環状(円筒状)のほか、図6(a)に示すような、角部が丸みを帯びた四角環などの多角環状に形成されていてもよい。但し、本発明の動吸振器を設置する際に、重心位置の位置決めが容易であるという観点から、吸振質量体2は正多角環状とするのが好ましい。なお、図示を省略するが、吸振質量体2は必ずしも一体的に形成された部材である必要はなく、複数に分割された部品を一体的に組み上げるように構成してもよい。吸振質量体2を分割組立型とすれば、動吸振器10,20を既存のエレベータ100,200へ後付けする場合、かご101や釣合錘102の周辺設備を部分的に分解したりする必要がなく設置作業が簡便である。
また、図6(b)に示すように、動吸振器20において、吸振質量体2を構成する環状部材21の外周面に緩衝部材7が設けられていてもよい。緩衝部材7としては、緩衝性能と変形後の復元力に優れた弾性変形材料(例えば、ゴム、発泡性もしくは多孔質性の高分子ポリマー等)が挙げられる。これにより、想定を大きく上回る横揺れが建物に生じた際に吸振質量体2が支持フレーム61の側壁61sに衝突するような事態になったとしても、その衝撃を緩和することができる。さらに、同様の緩衝部材7を、支持板61bに形成された貫通孔63の外周部に沿って配設すればより望ましい。これにより、仮に、各釣合ロープR2が貫通孔63に接触したとしても、釣合ロープR2が受けるダメージを軽減できるため、釣合ロープR2が切断されるような事態を回避することができる。
また、動吸振器10及びその変形例(図6(a))に係る各実施形態において、吸振質量体2と、これを支持する支持手段4の各支持アーム43とは、何れも自在継手42を介して連結されているが、これらは自在継手42を介することなく固定されていてもよい。かかる場合であっても、吸振質量体2が倒立振り子のように周期的な揺動(振動)を繰り返すことに変わりはないからである。
さらに、ベース部材41(及び吸振質量体2)と各支持アーム43とを連結する自在継手42は必ずしも、上記のような一体埋込み型のボールジョイントである必要はなく、各支持アーム43の揺動方向を制限しない限り、他の連結機構を採用することができる。例えば、ツェッパ型の等速ジョイントなどを用いてもよい。
あるいは、本発明に係る動吸振器において、吸振質量体2を支持する支持手段は、当該吸振質量体2を主ロープ保持部材1に対して任意の水平方向へ相対的に変位自在に支持できる限り、種々の変形例への変更も可能である。例えば、上記の支持手段4において、ベース部材41は、かご101の上側に固定されたものであったが、当該ベース部材41がかご101の上側に揺動自在に連結された形態であってもよい。その場合、各支持アーム43の上端部および下端部の何れもが、吸振質量体2及びベース部材41に固定されていても構わない。
具体的には、図7(a)に示す動吸振器10aのように、支持手段4が、ベース部材41の下面とカーフレーム106の上面の上側との間に形成された空間Sに設けられた複数の支持ばね46を備え、吸振質量体2とベース部材41とが複数の支持アーム43を介して一体的に連結固定された高剛性の構造体が、各支持ばね46によって弾性的に支持された構成であってもよい。なお、この動吸振器10aでは、支持ばね46として「圧縮コイルばね」を用いているが、当該動吸振器10aの作動時における前記構造体の揺動が担保されるだけの空間Sを保持できる限り、例えば、「板ばね」等の任意の弾性支持部材を適用することも可能である。
また、図7(b)に示す動吸振器10bのように、支持手段4が、カーフレーム106の上面の上側に設けられた半球状の支持ジョイント47を備え、吸振質量体2とベース部材41とが複数の支持アーム43を介して一体的に連結固定された高剛性の構造体が、支持ジョイント47を支点として揺動自在に支持された構成であってもよい。動吸振器10bにおいて、ベース部材41の下面には支持ジョイント47の一部を収容する不図示のハウジングが形成されており、上記の自在継手42と同様、前記構造体の揺動方向を何ら制限することなく、当該構造体を揺動自在に支持することができる。なお、この動吸振器10bにおいても、上記動吸振器10aと同様、その作動時における前記構造体の揺動が担保されるだけの空間Sが、ベース部材41の下面とカーフレーム106の上面の上側との間に設けられていることが必要である。
要するに、本発明に係る動吸振器では、支持手段4が、吸振質量体2に連結された上端部を下端部よりも水平方向へ大きく変位させながら揺動する複数の支持アーム43を有するような形態であれば、吸振質量体2を主ロープ保持部材と水平方向に対向する位置まで持ち上げつつ、その吸振質量体2を倒立振り子状に揺動させるように支持することができるため、パッシブ(受動)型の動吸振器として所望の吸振機能を発揮させることができるのである。したがって、図示を省略するが、例えば、支持アーム43の各々の下端部を、ベース部材41を介さずに直接支持ばね46に連結させた形態の支持手段を採用することも可能である。
このほか、本発明において弾性体は、上記のばね3のような引張コイルばねに限定されず、例えば、圧縮コイルばね等の他の弾性体を用いてもよい。弾性体として圧縮コイルばねを用いる場合、その復元力の方向が上記の引張コイルばねとは逆向きになるものの、装置全体における各圧縮コイルばねの復元力の合力が吸振質量体2の変位方向に対し逆方向へ作用する限り、本発明の動吸振器への適用が可能である。
これに加え、吸振質量体2を任意の水平方向へ変位自在に支持できる限り、上記動吸振器20を主ロープR1側に設けてもよいし、これとは逆に、上記動吸振器10を釣合ロープR2側に設けてもよい。但し、動吸振器10を釣合ロープR2側に設ける場合、ベース部材41を、釣合ロープ保持部材5よりも下方位置において、カーフレーム106の底部106bに固定された支持フレーム61に設置する必要がある。そのため、他の実施形態に比べて、装置の小型化及び省スペース化という本発明の利点が相対的に少なくなる。
1 主ロープ保持部材
2 吸振質量体
3 ばね(弾性体)
4 支持手段
5 釣合ロープ保持部材
6 支持手段
10 動吸振器
20 動吸振器
21 環状部材
41 ベース部材
42 自在継手
43 支持アーム
100 エレベータ
101 かご
102 釣合錘
104 駆動シーブ
200 エレベータ
R1 主ロープ
R2 釣合ロープ

Claims (9)

  1. 建物に設置されたエレベータにおいて、駆動シーブに巻き掛けられてかご及び釣合錘を吊り下げる複数の主ロープに横振れが生じたときの振動エネルギーを吸収するエレベータ用動吸振器であって、
    前記複数の主ロープの両端部のうち少なくとも一方の端部より上方位置において該各主ロープを一体的に束ねた状態に保持する主ロープ保持部材と、
    前記主ロープ保持部材を包囲し、該主ロープ保持部材に対して水平方向へ相対的に変位自在に支持された吸振質量体と、
    前記主ロープ保持部材と前記吸振質量体とに連結され、該吸振質量体が水平方向における任意の一方向へ変位したとき、該一方向とは逆方向へ復元力を作用させる、少なくとも3以上の弾性体と、
    を備え
    前記吸振質量体は、前記複数の主ロープに横振れが生じると揺動し、該揺動する吸振質量体が前記弾性体を引っ張る力が各主ロープの振れ方向とは逆向きの力として作用することを特徴とするエレベータ用動吸振器。
  2. 前記主ロープに横振れが生じていないときにおける前記主ロープ保持部材の重心位置と前記吸振質量体の重心位置とが、鉛直方向において同軸上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用動吸振器。
  3. 前記吸振質量体が、
    前記かごの上側に設けられ、該吸振質量体に連結された上端部を下端部よりも水平方向へ大きく変位させながら揺動する複数の支持アームを有する支持手段によって支持されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータ用動吸振器。
  4. 前記支持手段が、
    前記かごの上側に固定されたベース部材を備え、
    前記複数の支持アームの各々は、下端部が前記ベース部材に揺動自在に連結されていることを特徴とする請求項3に記載のエレベータ用動吸振器。
  5. 前記支持手段が、
    前記かごの上側に揺動自在に連結されたベース部材を備え、
    前記複数の支持アームの各々は、下端部が前記ベース部材に固定されていることを特徴とする請求項3に記載のエレベータ用動吸振器。
  6. 前記吸振質量体が振動するときの該吸振質量体の固有振動数を、前記建物に横揺れが生じたときの該建物の固有振動数と一致させたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一つに記載のエレベータ用動吸振器。
  7. 前記吸振質量体が、環状部材から成り、
    前記弾性体の各々が、前記環状部材の周方向に等間隔をあけて放射状に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一つに記載のエレベータ用動吸振器。
  8. 前記弾性体が、引張コイルばねであることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一つに記載のエレベータ用動吸振器。
  9. 建物に設置されたエレベータにおいて、駆動シーブに巻き掛けられてかご及び釣合錘を吊り下げる複数の主ロープの重量アンバランスを補償する複数の釣合ロープに横振れが生じたときの振動エネルギーを吸収するエレベータ用動吸振器であって、
    前記複数の釣合ロープの両端部のうち少なくとも一方の端部より下方位置において該各釣合ロープを一体的に束ねた状態に保持する釣合ロープ保持部材と、
    前記釣合ロープ保持部材を包囲し、該釣合ロープ保持部材に対して水平方向へ相対的に変位自在に支持された吸振質量体と、
    前記釣合ロープ保持部材と前記吸振質量体とに連結され、該吸振質量体が水平方向における任意の一方向へ変位したとき、該一方向とは逆方向へ復元力を作用させる、少なくとも3以上の弾性体と、
    を備え
    前記吸振質量体は、前記複数の釣合ロープに横振れが生じると揺動し、該揺動する吸振質量体が前記弾性体を引っ張る力が各釣合ロープの振れ方向とは逆向きの力として作用することを特徴とするエレベータ用動吸振器。
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