以下、添付の図面を参照しながら、実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
<第1実施形態>
図1〜14を参照しつつ、本実施形態に係る保護部材付電線モジュール10について説明する。保護部材付電線モジュール10は、固定相手部8に固定される。保護部材付電線モジュール10は、電線9と保護部材1と固定部7とを備える。
図1〜3は、保護部材付電線モジュール10をそれぞれ異なる方向から見た斜視図である。図4,5は、保護部材付電線モジュール10の断面図である。図4,5は、それぞれ図1のII−II平面及びIII−III平面における保護部材付電線モジュール10の断面図である。
固定相手部8は、保護部材付電線モジュール10の固定先の部材である。本実施形態において、固定相手部8は、薄い棒状の部材である。固定相手部8には、貫通孔である孔部81が形成されている。固定相手部8としては、例えば、インストルメントパネルスティ等が考えられる。なお、固定相手部8が、断面が矩形状、円形状又は角丸長方形状の棒状の部材である場合等も考えられる。
<電線>
電線9は、例えば、銅又はアルミニウムなどを主成分とする導体と、その導体の周囲を覆う絶縁被覆と、を有する絶縁電線である。本実施形態において、保護部材付電線モジュール10は、複数の電線9、即ち、電線束を備える。なお、図1〜5では、便宜上、複数の電線9を省略して描いている。
また、複数の電線9は、本線部91と本線部91から分岐する枝線部92とを有する形態に束ねられている。複数の電線9は、後述する固定部7のベルト部71によって束ねられている。
本線部91は、複数の電線9を含む。本線部91は、この保護部材付電線モジュール10を含むワイヤーハーネスの幹線部分であることが考えられる。
また、枝線部92は、1本若しくは2本以上の電線9を含む。枝線部92は、本線部91からこの保護部材付電線モジュール10の周辺の電子部品に配線される部分であることが考えられる。図1〜3が示す例では、枝線部92は、本線部91の側方へ張り出して配線されている。
<固定部>
固定部7は、後述する主保護部2の第一主面21側に電線9を配設した状態で電線9と保護部材1とを固定する。本実施形態における保護部材付電線モジュール10の固定部7は、ベルト部71とベルト係止部72とを備える。また、本実施形態では、固定部7は、車両固定部73をさらに備えている。なお、図1〜3では、便宜上、保護部材付電線モジュール10における一部の固定部7が描かれている。
本実施形態は、固定部7に含まれるベルト部71、ベルト係止部72及び車両固定部73は一体に形成されている場合の事例である。固定部7は、例えば、合成樹脂材料を射出成型等して形成される。
なお、固定部7が、一体に形成されたベルト係止部72及び車両固定部73と、ベルト係止部72及び車両固定部73と別体に形成されたベルト部71と、を備える場合も考えられる。また、一体に形成されたベルト部71及びベルト係止部72と、ベルト部71及びベルト係止部72と別体に形成された車両固定部73と、を備える場合も考えられる。
本実施形態において、ベルト部71は、帯状の部分である。保護部材付電線モジュール10において、ベルト部71は、複数の電線9の周囲を一括して束ねている。
また、本実施形態において、ベルト係止部72は、ベルト部71が電線9に巻き付けられた状態を維持する部分である。例えば、ベルト係止部72が、ベルト部71を挿通可能な孔部と、この孔部内に形成されベルト部71と引っ掛かりベルト部71を環状に固定可能な係止片と、を有する場合が考えられる。この場合、ベルト係止部72の孔部に通されたベルト部71に係止片が引っ掛かってベルト部71を環状に維持する。なお、ベルト部71に、この係止片に係止可能な被係止部が形成されている場合も考えられる。
車両固定部73は、ベルト部71及びベルト係止部72を固定相手部8に固定する部分である。本実施形態において、車両固定部73は、固定相手部8の裏面側で係止可能な第一係止部731と皿ばね状に形成され孔部81の表面側で係止可能な第二係止部732とを有している。なお、車両固定部73が、上記以外の構造の場合も考えられる。例えば、車両固定部73が、固定相手部8に形成された突起部に、嵌めることが可能な環状の部分である場合等が考えられる。
本実施形態において、車両固定部73の第一係止部731は、固定相手部8の孔部81を通り、固定相手部8の裏面側で固定相手部8と係止する。また、車両固定部73の第二係止部732は、固定相手部8の表面側で固定相手部8と係止する。車両固定部73の第一係止部731が固定相手部8の裏面側から、また、第二係止部732が固定相手部8の表面側から固定相手部8を挟むことにより、固定相手部8に固定部7が固定される。
<保護部材>
保護部材1は、主保護部2と補助保護部3とを含む。また、本実施形態において、保護部材1は、主保護部2に固定された副保護部5をさらに含んでいる。
また、本実施形態では、保護部材1は、さらに、主保護部2と補助保護部3とを備える複数の保護部11を含んでいる。なお、複数の保護部11は、複数の保護部11各々を連結する少なくとも1つの連結部6によって連結されている。従って、本実施形態においては、保護部材1は、この連結部6もさらに備えている。
また、本実施形態において、保護部材1は、一対の電線側壁部4をさらに含む。なお、本実施形態では、保護部11が、一対の電線側壁部4を含む。即ち、本実施形態において、複数の保護部11は、それぞれ主保護部2、補助保護部3及び一対の電線側壁部4を備えており、これらの保護部11が連結部6によって連結されている。
また、本実施形態では、保護部材1は、一枚の板状の部材が折り曲げられて形成されている。例えば、保護部材1を形成する板状の部材は、プラダン等の樹脂製の部材であることが考えられる。即ち、保護部材1を形成する板状の部材は、段ボール構造を有し、この段ボールが樹脂製の部材に置き換えられた部材であることが考えられる。この場合、保護部材1を形成する板状の部材は、中空構造を有することが考えられる。なお、保護部材1が、中空構造を有さない板状の部材によって形成されている場合等も考えられる。例えば、保護部材1が、不織布が固められた部材によって形成されている場合等も考えられる。また、保護部材1を構成する板状の部材が、固定相手部8よりも柔らかい部材である場合等も考えられる。
また、保護部材1が、複数の板状の部材の組み合わせによって形成されている場合も考えられる。
以下、図1〜5に加え、さらに、図6〜14を参照しつつ、保護部材1について説明する。なお、図6〜8は、保護部材1における連結部6によって連結された複数の保護部11を、それぞれ異なる方向から見た斜視図である。また、図9〜11は、保護部材1における副保護部5をそれぞれ異なる方向から見た斜視図である。また、図12,13は、それぞれ連結部6によって連結された複数の保護部11及び副保護部5の展開平面図である。また、図14は、連結部6によって連結された複数の保護部11及び副保護部5の展開斜視図であり、副保護部5が複数の保護部11に装着される様子を描いた図である。
本実施形態は、図1〜14に示されるように、保護部材1が、3つの保護部11と各保護部11を連結する2つの連結部6とを含む場合の事例である。
なお、保護部材1が、2つの保護部11と1つの連結部6とを含む場合及び4つ以上の保護部11と3つ以上の連結部6とを含む場合も考えられる。
<保護部材:主保護部>
本実施形態の保護部材1の保護部11に含まれる主保護部2においては、第一主面21側に電線9が配設されると共に第二主面22側に固定相手部8を配設可能である。
また、図1〜5に示されるように、本実施形態では、主保護部2は、板状に形成されている。また、主保護部2単体では、直線状の経路に沿って形成されている。複数の主保護部2は、連結部6によって連結されることにより、曲線状の経路に沿う形態を有する。
本実施形態では、主保護部2は、電線9のうち本線部91の経路に沿って形成される。なお、枝線部92は、主保護部2から張り出して配設された部分を含む。
本実施形態では、3つの保護部11各々の主保護部2の長手方向の寸法がそれぞれ異なる場合が示されている。以下、必要に応じて3つの保護部11を、長手方向における寸法が大きいものからそれぞれ第一保護部111、第二保護部112及び第三保護部113と称する。なお、これらの主保護部2の長手方向の寸法が、同じである場合も考えられる。
また、本実施形態では、主保護部2の短手方向の寸法、即ち、主保護部2の幅は、それぞれ同じである。なお、これら主保護部2の幅が、それぞれ異なっている場合も考えられる。
主保護部2の長手方向の寸法及び短手方向の寸法は、この保護部材1に配設される電線9の経路及び本数等により決められる。例えば、電線9の経路が直線の経路と曲線の経路とから構成される場合、直線の経路の部分の主保護部2の長手方向の寸法は、比較的大きく、曲線の経路の部分の主保護部2の長手方向の寸法は、比較的小さい場合等が考えられる。また、比較的多くの電線9を含む枝線部92が、本線部91から分岐した場合、この枝線部92が分岐するポイントの前後で、主保護部2の短手方向の寸法が異なっている場合等が考えられる。
また、本実施形態において、主保護部2には、一対の貫通孔部23、一対の電線側壁部用孔部24及び一対の副保護部用孔部25が形成されている。
また、本実施形態において、第一保護部111の主保護部2には、電線側壁部4を貫通し主保護部2の外側へ張り出す第一張出部26が形成されている。また、第一保護部111及び第三保護部113の主保護部2には、主保護部2のうち電線側壁部4が形成されている部分から電線9の経路方向に沿って延出して形成された第二張出部27が形成されている。
一対の貫通孔部23は、電線9に巻き付けられるベルト部71を挿通可能な孔である。図4,5に示されるように、貫通孔部23は、例えば、主保護部2の第一主面21側から第二主面22側に貫通する孔である。
一対の貫通孔部23には、固定部7のベルト部71が通される。即ち、固定部7のベルト部71は、一対の貫通孔部23の一方から電線9の周囲を通り一対の貫通孔部23の他方へと通される状態で電線に巻き付けられる。また、固定部7のベルト係止部72は、ベルト部71が電線9に巻き付けられた状態を維持する。これにより、第一主面21側に電線9を配設した状態で電線9と保護部材1とが固定される。即ち、ベルト係止部72により環状に維持されたベルト部71の内側には、電線9の他に、主保護部2における一対の貫通孔部23の間の部分も存在する。
また、本実施形態では、固定部7が車両固定部73を備えている。このため、ベルト部71によって一体にされた電線9と保護部材1とは、固定部7の車両固定部73によって固定相手部8に固定可能である。
一対の電線側壁部用孔部24は、後述する電線側壁部4に形成された突起部44を挿入可能な孔部である。本実施形態において、電線側壁部用孔部24は、例えば、主保護部2の第一主面21側から第二主面22側に貫通する孔である。
電線側壁部用孔部24に、後述する電線側壁部4の突起部44が第一主面21側から挿入されることにより、一対の電線側壁部4が主保護部2から第一主面21側に起立して形成される。
副保護部用孔部25は、後述する副保護部5に形成された挿入片51を挿入可能な部分である。本実施形態において、副保護部用孔部25は、主保護部2の第一主面21側から第二主面22側に貫通する孔である。本実施形態において、副保護部用孔部25は、主保護部2の外縁部側に形成されている。
なお、図6〜8及び図14に示されるように、副保護部用孔部25は、主保護部2の長手方向に沿い、かつ、主保護部2の中心を通る線に対して、両側に形成される場合と片側のみに形成される場合とが考えられる。副保護部用孔部25の位置及び数は、電線9の配線経路、主保護部2の形状及び副保護部5の形状等から適宜決定される。
副保護部用孔部25には、後述する副保護部5の挿入片51が第二主面22側から挿入される。これにより、副保護部5が第二主面22側で主保護部2と固定される。
第一張出部26は、主保護部2のうち電線9の本線部91の経路に沿って形成された部分から本線部91の経路の外側へ張り出して形成された部分である。図1〜8では、主保護部2における本線部91に沿って形成された部分から外側へ垂直に張り出して形成された第一張出部26が示されている。即ち、図1〜8には、主保護部2のうち電線9の本線部91の経路に沿って形成された部分から本線部91の経路の側方へ張り出して形成された第一張出部26が示されている。なお、第一張出部26が、主保護部2における本線部91に沿って形成された部分から外側(側方)へ斜めに張り出して形成されている場合も考えられる。
第二張出部27は、主保護部2のうち電線側壁部4が形成された部分から電線9の本線部91の経路方向に沿って延出して形成された部分である。なお、第二張出部27が、主保護部2のうち電線側壁部4が形成された部分から電線9の本線部91の経路方向に対し斜めに延出して形成されている場合も考えられる。
<保護部材:補助保護部>
補助保護部3は、主保護部2から第二主面22側に起立して形成され第二主面22側で固定相手部8の少なくとも一部を覆うことが可能である。なお、本実施形態では、さらに、補助保護部3は、主保護部2の第二主面22側で間隔を空けて起立して形成された一対の補助保護部3を含んでいる。そして、主保護部2及び一対の補助保護部3が固定相手部8の少なくとも一部を挿入可能な相手側溝部320を形成している。
本実施形態において、補助保護部3は、板状に形成されている。また、補助保護部3は、内側補助保護部31と外側補助保護部32とを含んでいる。本実施形態における保護部材1の保護部11が、一枚の板状の部材が折り曲げられることにより形成されるためである。
本実施形態において、内側補助保護部31は、主保護部2から折り曲げられることによって第二主面22側に起立して形成される部分である。内側補助保護部31は、主保護部2の両側に形成されている。即ち、保護部11には、一対の内側補助保護部31が形成されており、主保護部2が一対の内側補助保護部31の間に存在している。
また、本実施形態において、外側補助保護部32は、内側補助保護部31から外側へ折り返されることにより形成される部分であり、かつ、主保護部2よりも第二主面22側に存在する部分である。例えば、内側補助保護部31の1箇所の縁部と外側補助保護部32の1箇所の縁部とが連なって補助保護部3を形成していることが考えられる。ちなみに、上述の外側とは、内側補助保護部31における主保護部2側(内側)に対しての外側である。この場合、一対の外側補助保護部32の間には、一対の内側補助保護部31及び主保護部2が存在している。
<保護部材:電線側壁部>
一対の電線側壁部4は、主保護部2から第一主面21側で間隔を空けて起立して形成されている。そして、主保護部2及び一対の電線側壁部4は、電線9が挿入される電線側溝部420を形成している。なお、本実施形態において、電線側壁部4には、枝線部用孔部40が形成されている。
本実施形態において、電線側壁部4は、板状に形成されている。また、電線側壁部4は、内側電線側壁部41と外側電線側壁部42と中立部43とを含む。また、電線側壁部4には、突起部44が形成されている。本実施形態において、突起部44は、電線側壁部4の内側電線側壁部41の先端側縁部に形成されている。
外側電線側壁部42は、内側補助保護部31から外側へ折り返されることにより形成される部分であり、かつ、主保護部2よりも第一主面21側に存在する部分である。即ち、本実施形態において、外側電線側壁部42と外側補助保護部32とは、連なって形成されている。本実施形態では、内側補助保護部31から外側へ折り返された板状の部分のうち、主保護部2よりも第二主面22側の部分を外側補助保護部32と称し、主保護部2よりも第一主面21側の部分を外側電線側壁部42と称している。
中立部43は、外側電線側壁部42から内側(主保護部2の中心側)に折り曲げられた部分である。図4,5には、外側電線側壁部42から約90度折り曲げられた中立部43が描かれている。中立部43により、内側補助保護部31よりも内側(主保護部2の中心側)に形成された電線側壁部用孔部24に、内側電線側壁部41に形成された突起部44を挿入することが可能となる。
内側電線側壁部41は、中立部43から主保護部2側に折り曲げられた部分である。図4,5には、中立部43から主保護部2側へ約90度折り曲げられた内側電線側壁部41が描かれている。
本実施形態において、内側電線側壁部41の先端側縁部には、突起部44が形成されている。この突起部44は、主保護部2に形成された一対の電線側壁部用孔部24に挿入可能である。本実施形態においては、突起部44が、一対の電線側壁部用孔部24に挿入されることにより、電線側壁部4及び補助保護部3が、それぞれ主保護部2の第一主面21側及び第二主面22側に起立して形成された状態が維持される。
枝線部用孔部40は、電線側壁部4を貫通する貫通孔である。本実施形態において、枝線部用孔部40は、内側電線側壁部41及び外側電線側壁部42を貫通して形成されている。枝線部用孔部40は、本線部91から分岐した枝線部92が通される分岐用の孔である。
なお、枝線部用孔部40は、電線側壁部4に複数形成されている場合又は1つ形成されている場合が考えられる。また、枝線部用孔部40が形成されている場合、複数の枝線部用孔部40の大きさは、それぞれ異なっている場合或いは同じである場合等が考えられる。
例えば、本実施形態においては、第一保護部111、第二保護部112及び第三保護部113のうち、第一保護部111の電線側壁部4のみに枝線部用孔部40が形成されている。また、第一保護部111の電線側壁部4には、3つの枝線部用孔部40が形成されている。3つの枝線部用孔部40は、一対の電線側壁部4の一方に形成され同じ大きさの2つの枝線部用小孔部401と、一対の電線側壁部4の他方に形成され枝線部用小孔部401よりも大きい枝線部用大孔部402と、を含む。
枝線部用小孔部401からは、例えば、比較的少ない電線9を含む枝線部92が引き出される。また、枝線部用大孔部402からは、例えば、比較的多い電線9を含む枝線部92が引き出される。また、本実施形態のように、主保護部2の一部である第一張出部26が、枝線部用大孔部402を貫通し、電線側壁部4の外側へ引き出されている場合も考えられる。
<保護部材:連結部>
複数の保護部11をそれぞれ連結する連結部6は、曲げ変形可能である。なお、保護部11と連結部6とは、電線9の経路に沿って交互に並んで形成されている。即ち、連結部6は、電線9の経路方向において、連結部6の両側に存在する保護部11を連結する部分である。
本実施形態において、連結部6は、保護部材1のうち保護部材1の周方向において一部を除いて切り離された部分である。
より具体的には、本実施形態において、連結部6は、各保護部11の主保護部2同士を連結している。例えば、連結部6が、第一保護部111の第二保護部112側の縁部の一点と第二保護部112の第一保護部111側の縁部の一点とを連結する。この場合、第一保護部111に対して第二保護部112を、第一保護部111の一対の補助保護部3が対向する方向でもある幅方向及び第一主面21側から第二主面22側へ向かう方向でもある厚み方向に曲げることが可能となる。また、連結部6が、保護部11の主保護部2よりも比較的幅が狭く形成された部分であることも考えられる。
また、周方向における連結部6以外の部分の切り込み方により、保護部材1の曲げ変形時に、第一保護部111と第二保護部112との間及び第二保護部112と第三保護部113との間に隙間を生じさせにくくすることも可能である。詳しくは、後述する。
<保護部材:副保護部>
副保護部5は、主保護部2の第二主面22側で主保護部2の経路に沿って設けられている。副保護部5は、主保護部2と固定されている。
本実施形態において、副保護部5は、中空構造を有する板状の部材である。副保護部5は、一枚の板状の部材を折り曲げて形成されている。本実施形態において、副保護部5は、プラダン等の樹脂製の部材である。しかしながら、副保護部5が、中空構造を有しない板状の部材である場合も考えられる。また、副保護部5が、複数の板状の部材が組み合わされることによって形成されている場合も考えられる。
また、本実施形態において、副保護部5には、挿入片51及び一対のベルト部用孔部52が形成されている。
挿入片51は、保護部11に副保護部5を装着する装着部の一例である。本実施形態において、挿入片51は、主保護部2の第二主面22側から主保護部2に形成された副保護部用孔部25に挿入される部分である。副保護部5の挿入片51は、副保護部5の外縁部に形成され、副保護部5の側方へ突出して形成された部分が折り曲げられることにより形成された部分である。図1〜8に示されるように、本実施形態において、挿入片51は、副保護部5の長手方向に沿う外縁部に形成されている。
図4,5に示されるように、本実施形態において、挿入片51は、副保護部5の側方へ突出して形成された部分が約90度折り曲げられることにより形成される。即ち、挿入片51は、副保護部5の第一主面から起立して形成された部分である。なお、図9〜11では、便宜上、折り曲げられる前の状態の挿入片51が示されている。即ち、副保護部5の側方へ突出して形成された状態の挿入片51が示されている。そして、この状態から折り曲げられることにより、挿入片51が形成される。その後、挿入片51が主保護部2の副保護部用孔部25に第二主面22側から挿入されることにより、副保護部5と主保護部2とが組み合わされる。
また、一対のベルト部用孔部52は、副保護部5の第一主面側から第二主面側へ貫通する貫通孔である。ベルト部用孔部52には、固定部7のベルト部71が通される。固定部7における主保護部2の一対の貫通孔部23に通されたベルト部71が、ベルト部用孔部52にも通されることによって、保護部11と副保護部5とが固定される。即ち、本実施形態においては、副保護部5も固定部7の車両固定部73によって固定相手部8に固定される。また、この場合、ベルト係止部72により環状に維持されたベルト部71の内側には、電線9及び主保護部2における一対の貫通孔部23の間の部分の他に、副保護部5における一対のベルト部用孔部52の間の部分が存在している。
また、本実施形態において、副保護部5は、それぞれ第一保護部111、第二保護部112及び第三保護部113に固定される第一副保護部501、第二副保護部502及び第三副保護部503を含んでいる。なお、挿入片51は、それぞれ第一副保護部501、第二副保護部502及び第三副保護部503に形成されている。また、一対のベルト部用孔部52もそれぞれ第一副保護部501、第二副保護部502及び第三副保護部503に形成されている。
また、本実施形態において、第一副保護部501、第二副保護部502及び第三副保護部503は、それぞれ第一保護部111、第二保護部112及び第三保護部113に含まれる主保護部2の形状に対応して形成されている。
即ち、第一副保護部501には、第一保護部111の主保護部2の第一張出部26に対応した第一張出部56が形成されている。また、第一副保護部501及び第三副保護部503には、第一保護部111及び第三保護部113の第二張出部27に対応した第二張出部57が形成されている。
第一張出部56は、第一張出部26と同様、第一副保護部501のうち電線9の本線部91の経路に沿って形成された部分から本線部91の経路の外側へ張り出して形成された部分である。また、第二張出部57は、第一副保護部501又は第三副保護部503のうち、第一保護部111又は第三保護部113における電線側壁部4が形成された部分に重なる部分から電線9の本線部91の経路方向に沿って延出して形成された部分である。
また、本実施形態においては、図13に示すように、第一副保護部501、第二副保護部502及び第三副保護部503は、曲線経路に沿ってそれぞれが連結されている。より具体的には、第二副保護部502は、第一副保護部501の長手方向に対して斜めに連結されている。同様に、第三副保護部503は、第二副保護部502の長手方向に対して斜めに連結されている。
また、図9〜11に示すように、第一副保護部501、第二副保護部502及び第三副保護部503それぞれの連結箇所には、さらに折り目50が形成されている。この折り目50によって、例えば、第一副保護部501に対して第二副保護部502を、第二副保護部502の厚み方向に曲げることが可能となる。同様に、第二副保護部502に対して第三副保護部503を、第三副保護部503の厚み方向に曲げることが可能となる。
本実施形態においては、副保護部5は、曲線経路に沿って各副保護部5が連結され、さらに、折り目50によって曲線経路に沿って連結された各副保護部5を厚み方向に曲げることが可能となる。従って、副保護部5が、予め、連結部6によって曲がった状態に連結された各保護部11に沿う形状、即ち、電線9の本線部91の配線経路に沿う形状を有することが可能となる。
また、各副保護部5における挿入片51は、保護部11と副保護部5とが固定された状態において、それぞれ主保護部2の副保護部用孔部25に重なる箇所に形成されている。例えば、本実施形態は、第一副保護部501の両側の長手方向に沿う外縁部に形成された挿入片51が、第一副保護部501の長手方向においてそれぞれ異なる位置に設けられている場合の事例であり、また、第二副保護部502及び第三副保護部503の両側の長手方向に沿う外縁部に形成された挿入片51が、第二副保護部502及び第三副保護部503の長手方向においてそれぞれ同じ位置に設けられている場合の事例である。
また、各副保護部5におけるベルト部用孔部52は、保護部11と副保護部5とが固定された状態において、それぞれ主保護部2の貫通孔部23に重なる箇所に形成されている。例えば、本実施形態は、図9〜11に示されるように、第一副保護部501に2つの一対のベルト部用孔部52が形成され、第二副保護部502及び第三副保護部503に1つの一対のベルト部用孔部52が形成されている場合の事例である。
保護部材1が固定部7の車両固定部73によって固定された状態において、副保護部5は、固定相手部8と保護部11との間に介在する。また、予め電線9の本線部91の配線経路に沿う形状を有することが可能なため、副保護部5と固定された状態において、連結部6によって曲げ変形可能に連結された各保護部11は、電線9の本線部91の配線経路に沿って曲げられた形態を維持する。
<保護部材:製造方法>
次に、本実施形態における保護部材1の製造方法について説明する。図12〜14及び上記に示すように、本実施形態においては、一枚の板状の部材(以下、板状部材10X)を折り曲げることによって形成される保護部11及び連結部6と、一枚の板状の部材(以下、板状部材10Y)を折り曲げることによって形成される副保護部5と、が組み合わされることにより保護部材1が得られる。なお、この板状部材10X,10Yは、上述したようにプラダン等の樹脂製の部材であることが考えられる。
<保護部材:製造方法(保護部及び連結部)>
図12に示されるように、本実施形態では、板状部材10Xの長手方向に沿って、第一保護部111、第二保護部112及び第三保護部113が並んで形成されている。第一保護部111、第二保護部112及び第三保護部113の各主保護部2には、それぞれ一対の貫通孔部23、一対の電線側壁部用孔部24及び副保護部用孔部25が形成されている。
また、板状部材10Xの短手方向に沿って、第三保護部113の主保護部2の両側には、内側補助保護部形成領域313X、外側補助保護部形成領域323X、外側電線側壁部形成領域423X、中立部形成領域433X及び内側電線側壁部形成領域413Xが、主保護部2の中心から外縁部に向かう方向において、この順番で形成されている。
また、板状部材10Xの短手方向に沿って、第二保護部112の主保護部2の両側には、内側補助保護部形成領域312X、外側補助保護部形成領域322X、外側電線側壁部形成領域422X、中立部形成領域432X及び内側電線側壁部形成領域412Xが、主保護部2の中心から外縁部に向かう方向において、この順番で形成されている。
また、板状部材10Xの短手方向に沿って、第一保護部111の主保護部2のうち第一張出部26が形成された部分を除く部分の両側には、内側補助保護部形成領域311X、外側補助保護部形成領域321X、外側電線側壁部形成領域421X、中立部形成領域431X及び内側電線側壁部形成領域411Xが、主保護部2の中心から外縁部に向かう方向において、この順番で形成されている。
また、第一保護部111の主保護部2のうち第一張出部26が形成された部分における第一張出部26が形成されていない側には、内側補助保護部形成領域311X、外側補助保護部形成領域321X、外側電線側壁部形成領域421X、中立部形成領域431X及び内側電線側壁部形成領域411Xが、主保護部2の中心から外縁部に向かう方向において、この順番で形成されている。
また、第一保護部111の主保護部2のうち第一張出部26が形成された部分における第一張出部26が形成されている側には、外側補助保護部形成領域321X、外側電線側壁部形成領域421X、中立部形成領域431X及び内側電線側壁部形成領域411Xが、主保護部2の中心から外縁部に向かう方向において、この順番で形成されている。
また、一方の外側電線側壁部形成領域421Xには、枝線部用小孔部401の一部を形成する枝線部用小孔部形成孔4011Xが形成されている。また、一方の内側電線側壁部形成領域411Xの先端側縁部には、枝線部用小孔部401の残りを形成する枝線部用小孔部形成切欠4012Xが形成されている。また、他方の外側電線側壁部形成領域421Xには、枝線部用大孔部402の一部を形成する枝線部用大孔部形成孔4021Xが形成されている。また、他方の内側電線側壁部形成領域411Xの先端側縁部には、枝線部用大孔部402の残りを形成する枝線部用大孔部形成切欠4022Xが形成されている。
また、第一保護部111の主保護部2と第二保護部112の主保護部2とを繋ぐ連結部形成領域612Xの両側において、内側補助保護部形成領域311X、外側補助保護部形成領域321X、外側電線側壁部形成領域421X、中立部形成領域431X及び内側電線側壁部形成領域411Xと、内側補助保護部形成領域312X、外側補助保護部形成領域322X、外側電線側壁部形成領域422X、中立部形成領域432X及び内側電線側壁部形成領域412Xと、は切り離されている。なお、連結部形成領域612Xの両側とは、板状部材10Xの短手方向における両側を意味する。
また、本実施形態において、第一保護部111の主保護部2と第二保護部112の主保護部2とを繋ぐ連結部形成領域612Xの一方側では、一筋の直線状のスリット100Xによって切り離されている。なお、スリット100Xは、幅を有さないスリットである。
そして、第一保護部111の主保護部2と第二保護部112の主保護部2とを繋ぐ連結部形成領域612Xの他方側では、幅を有するスリット101Xのみによって切り離されている。図12に示される例において、この部分のスリット101Xは、幅を有する直線状のスリットとV字状のスリットとを含んでいる。
また、第二保護部112の主保護部2と第三保護部113の主保護部2とを繋ぐ連結部形成領域623Xの一方側では、一筋の直線状のスリット100Xと幅を有するスリット101Xとによって、切り離されている。図12に示される例において、この部分のスリット101Xは、V字状のスリットと逆V字状のスリットとが連なった菱形状に形成されている。
また、第二保護部112の主保護部2と第三保護部113の主保護部2とを繋ぐ連結部形成領域623Xの他方側では、幅を有するスリット101Xのみによって切り離されている。図12に示される例において、この部分のスリット101Xは、幅を有する直線状のスリットとV字状のスリットとを含んでいる。
なお、以下、必要に応じ、図14に示されるように、内側補助保護部形成領域311X〜313Xを含む用語として内側補助保護部形成領域31Xと称する、また、同様に、外側補助保護部形成領域321X〜323Xを含む用語として外側補助保護部形成領域32Xと称する。また、同様に、外側電線側壁部形成領域421X〜423Xを含む用語として外側電線側壁部形成領域42Xと称する。また、同様に、中立部形成領域431X〜433Xを含む用語として中立部形成領域43Xと称する。また、同様に、内側電線側壁部形成領域411X〜411Xを含む用語として内側電線側壁部形成領域41Xと称する。
図12,14に示されるように、板状部材10Xにおいて、各主保護部2と内側補助保護部形成領域31Xとの間には、折り目200が形成されている。また、内側補助保護部形成領域31Xと外側補助保護部形成領域32X及び外側電線側壁部形成領域42Xとの間には、折り目201が形成されている。また、外側補助保護部形成領域32X及び外側電線側壁部形成領域42Xと中立部形成領域43Xとの間には、折り目202が形成されている。また、中立部形成領域431Xと内側電線側壁部形成領域411Xとの間には、折り目203が形成されている。
<保護部材:製造方法(副保護部)>
副保護部5を形成する板状部材10Yは、曲がった経路に沿って形成されている。板状部材10Yには、経路方向に沿って、第一副保護部501、第二副保護部502及び第三副保護部503が形成されている。第一副保護部501、第二副保護部502及び第三副保護部503は、それぞれ第一保護部111、第二保護部112及び第三保護部113に含まれる主保護部2の形状に対応して形成されている。
また、各副保護部5には、ベルト部用孔部52がそれぞれ形成されている。また、第一副保護部501と第二副保護部502との間には、折り目50が形成されている。また、第二副保護部502と第三副保護部503との間にも折り目50が形成されている。これらの折り目50は、各副保護部5の連結箇所において、経路方向に対し直交する方向に延びて形成された折り目である。
各副保護部5の外縁部に形成され、副保護部5の側方へ突出して形成された部分である挿入片形成領域51Yの根元側には、折り目510Yが形成されている。折り目510Yは、各副保護部5の長手方向に沿う折り目である。なお、便宜上、図13,14においては、折り目50及び折り目510Yを点線で示している。
<保護部材:製造方法(保護部材電線モジュール)>
図14に示すように、板状部材10Xにおける主保護部2の第一主面21が上向きの状態において、例えば、主保護部2と内側補助保護部形成領域31Xとの間の折り目200が谷折りされ、内側補助保護部形成領域31Xが主保護部2の第二主面22側へ折られる。これにより、内側補助保護部31が形成される。また、折り目201が谷折りされ、外側補助保護部形成領域32X及び外側電線側壁部形成領域42Xが、内側補助保護部31に沿うように折られる。これにより、外側補助保護部32と外側電線側壁部42とが形成される。また、内側電線側壁部形成領域41Xが、外側電線側壁部42における主保護部2の中心側の面に沿うように、折り目202,203が、谷折りされる。本実施形態においては、外側電線側壁部42と中立部形成領域43Xとが成す角度が約90度となるように折り目202が谷折りされる。また、中立部形成領域43Xと内側電線側壁部形成領域41Xとが成す角度が約90度となるように折り目203が谷折りされ、内側電線側壁部形成領域411Xの先端側縁部の突起部44が、主保護部2の電線側壁部用孔部24に挿入される。これにより、中立部43及び内側電線側壁部41が形成される。また、外側電線側壁部形成領域421Xに形成された枝線部用小孔部形成孔4011Xと内側電線側壁部形成領域411Xに形成された枝線部用小孔部形成切欠4012Xとが、重なる。これにより、枝線部用小孔部401が形成される。また、外側電線側壁部形成領域421Xに形成された枝線部用大孔部形成孔4021Xと内側電線側壁部形成領域411Xに形成された枝線部用大孔部形成切欠4022Xとが、重なる。これにより、枝線部用大孔部402が形成される。その結果、連結部6で連結された複数の保護部11が得られる。
また、板状部材10Yにおいて、挿入片形成領域51Yがこの折り目510Yに沿って折り曲げられる。これにより、挿入片51が形成される。
また、本実施形態において、連結部6で連結された各保護部11の主保護部2と一対の電線側壁部4とが成す電線側溝部420に電線9の本線部91が挿入される。また、連結部6で連結された各保護部11の主保護部2と一対の補助保護部3とが成す相手側溝部320に固定相手部8の少なくとも一部が挿入される。
本実施形態において、電線9の本線部91は、曲がった経路に配線される。そのため、図12,14に示されるような板状部材10Xを折り曲げることによって作られた連結部6によって連結された複数の保護部11においては、上記のスリット101Xを塞ぐように各保護部11が曲げられる。本実施形態においては、幅を有するスリット101Xによって切り離された部分(スリット101Xの両隣の部分)同士が互いに干渉することを抑制できる。
また、曲げられた状態の連結部6によって連結された複数の保護部11の副保護部用孔部25に、挿入片51が挿入されることにより、副保護部5が連結部6によって連結された複数の保護部11に装着される。そして、この状態で、固定部7のベルト部71により、電線9、保護部11及び副保護部5が一体化される。これにより、電線9及び保護部材1を備える保護部材付電線モジュール10が得られる。
また、副保護部5が装着されることにより、保護部11が補強される。また、予め、電線9の本線部91の配線経路に沿う形状を有することが可能な副保護部5により、保護部材1における連結部6によって連結された複数の保護部11が、曲がった形状に維持される。
また、本線部91から分岐する枝線部92は、電線側壁部4に形成された枝線部用孔部40を通り主保護部2の側方へ分岐する。このとき、補助保護部3によって枝線部92が、固定相手部8に接触することが抑制される。
なお、本実施形態において、主保護部2に第一張出部26が形成されているため、枝線部用孔部40付近の枝線部92が固定相手部8に接触することが抑制される。また、主保護部2に第二張出部27が形成されているため、保護部材1の端部における電線9の本線部91と固定相手部8との接触が抑制される。
また、幅を有するスリット101Xの隙間を塞ぐように曲げることにより、保護部材1が曲げられた形状を有する場合に、保護部材1の連結部6を介して隣り合う各保護部11の補助保護部3及び電線側壁部4間の隙間を小さくすることができる。なお、このとき、スリット100Xの幅は、拡大する。
即ち、本実施形態において、スリット100Xは、保護部材1が曲げられる前の状態において、幅を有しないスリットである。そして、スリット100Xは、保護部材1が曲げられた状態においては、幅を有するスリットである。また、スリット101Xは、保護部材1が曲げられる前の状態において、幅を有するスリットである。そして、スリット101Xは、保護部材1が曲げられた状態においては、幅を有しないスリットである。
本実施形態の保護部材付電線モジュール10に含まれる保護部材1は、曲がった経路に電線9の本線部91が配線される場合に対して有効である。なお、板状部材10Xにおけるスリット101Xが形成される部分、その形状及びその幅は、電線9の本線部91の配線経路によって適宜決定されることが考えられる。
<効果>
本実施形態において、保護部材1は、第一主面21側に電線9が配設されると共に第二主面22側に固定相手部8を配設可能な主保護部2と、主保護部2から第二主面22側に起立して形成され第二主面22側で固定相手部8の少なくとも一部を覆うことが可能な補助保護部3と、を含む。この場合、主保護部2が固定対象の電線9と固定相手部8との間に介在し、固定対象の電線9が固定相手部8に接触することを抑制する。また、固定相手部8の少なくとも一部を覆う補助保護部3は、固定相手部8が、固定対象の電線9の付近に配設される他の電線に接触することを抑制する。即ち、保護部材付電線モジュール10に含まれる保護部材1は、固定相手部8付近に配設される他の電線を保護する。その結果、ワイヤーハーネスを構成する部品点数の増大及び組立て作業の煩雑化を抑制できる。
また、本実施形態において、補助保護部3は、主保護部2から第二主面22側に間隔を空けて起立して形成された一対の補助保護部3を含む。そして、主保護部2及び一対の補助保護部3が固定相手部8の少なくとも一部を挿入可能な相手側溝部320を形成している。この場合、固定相手部8における保護部材1に覆われる領域が増大し、固定相手部8が、他の電線に接触することをより抑制できる。
また、本実施形態において、保護部材1は、主保護部2と補助保護部3とを備える複数の保護部11を含む。そして、複数の保護部11が、保護部11各々を連結する少なくとも1つの連結部6によって連結されており、連結部6が、曲げ変形可能である。この場合、保護部材1が連結部6で曲げられることにより、曲がった経路に配線される電線9に対応できる。
また、本実施形態において、連結部6が、保護部材1のうち保護部材1の周方向において一部を除いて切り離された部分である。この場合、保護部材1における切り離された部分の間隔が拡がるように保護部材1を曲げることが可能となる。
また、本実施形態において、保護部材1は、主保護部2から第一主面21側に間隔を空けて起立して形成された一対の電線側壁部4をさらに備える。そして、主保護部2及び一対の電線側壁部4が、電線9が挿入される電線側溝部420を形成している。この場合、電線9を保護部材1に沿わせる作業、即ち、電線9と保護部材1との取り付け作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態において、主保護部2には、電線9に巻き付けられるベルト部71を挿通可能な一対の貫通孔部23が形成されている。また、固定部7は、一対の貫通孔部23の一方から電線9の周囲を通り一対の貫通孔部23の他方へと通される状態で電線9に巻き付けられたベルト部71と、ベルト部71が電線9に巻き付けられた状態を維持するベルト係止部72と、を備える。この場合、電線9と保護部材1とを容易に一体化することができる。
また、本実施形態において、固定部7は、ベルト部71及びベルト係止部72を固定相手部8に固定する車両固定部73をさらに備える。そして、電線9及び保護部材1が固定部7の車両固定部73によって固定相手部8に固定可能である。この場合、電線9と保護部材1とを一体化する固定部7によって、電線9及び保護部材1も固定相手部8へ固定できる。これにより、ワイヤーハーネスを構成する部品点数の増大をより抑制できる。
また、本実施形態において、保護部材付電線モジュール10は、複数の電線9を含み、複数の電線9が、本線部91と本線部91から分岐する枝線部92とを有する形態に束ねられている。そして、主保護部2は、電線9のうち本線部91の経路に沿って形成され、また、枝線部92は、主保護部2から張り出して配設された部分を有する。この場合、保護部材1の補助保護部3により、電線9の枝線部92と固定相手部8との接触を抑制できる。
また、本実施形態において、保護部材付電線モジュール10は、主保護部2の第二主面22側に形成され、主保護部2と固定された副保護部5をさらに含む。この場合、主保護部2の経路規制及び主保護部2の補強が可能となる。
<第2実施形態>
次に、図15〜17を参照しつつ、第2実施形態に係る保護部材付電線モジュール10Aについて説明する。本実施形態に係る保護部材付電線モジュール10Aの保護部材1Aは、保護部材付電線モジュール10の保護部材1が有する連結部6と異なる構造の連結部6Aを有する。
図15〜17は、それぞれ保護部材付電線モジュール10Aの斜視図、平面図及び側面図である。なお、図15〜17において、図1〜14に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、保護部材付電線モジュール10Aにおける保護部材付電線モジュール10と異なる点について説明する。
本実施形態では、保護部11同士を連結する連結部6Aは、主保護部2の幅よりも狭く形成された部分である。なお、主保護部2の幅とは、主保護部2の一対の電線側壁部4が対向する方向における寸法でもある。
また、連結部6Aは、蛇腹状に形成されている。例えば、図17に示されるように、連結部6Aが、主保護部2の幅よりも狭く形成され、主保護部2の第一主面21が上を向いた状態で、電線9の経路方向に沿って谷折りと山折りとが交互に繰り返された蛇腹状に形成されている場合が考えられる。なお、連結部6Aが、主保護部2と同じ幅に形成されて、蛇腹状に形成されている場合も考えられる。
また、本実施形態において、連結部6Aは、主保護部2の厚みと同じ厚みで形成されている。しかしながら、連結部6Aが、主保護部2よりも薄い厚みである場合も考えられる。また、連結部6Aが、主保護部2よりも厚く形成されている場合も考えられる。
本実施形態において、蛇腹状の連結部6Aは、伸縮可能である。このため、連結部6Aにおける曲げ方向の内側の部分が収縮し、曲げ方向の外側の部分が伸張することによって、各保護部11を曲がった経路に沿って連結することが可能となる。また、連結部6A全体が伸張することにより、保護部材1Aの全長を変えることも可能である。
また、図15〜17に示されるように、本実施形態の保護部材1Aは、副保護部5を備えていない。しかしながら、保護部材1Aが副保護部5を備えている場合も考えられる。
<第3実施形態>
次に、図18を参照しつつ、第3実施形態に係る保護部材付電線モジュール10Bについて説明する。本実施形態に係る保護部材付電線モジュール10Bの保護部材1Bは、1つの補助保護部3と1つの電線側壁部4とを備える。
図18は、保護部材付電線モジュール10Bの斜視図である。図18には、保護部材付電線モジュール10Bの他に、固定相手部8の異なる形状の固定相手部8B及び電線9に対する他の電線9Bも描かれている。なお、図18において、図1〜17に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。以下、保護部材付電線モジュール10Bにおける保護部材付電線モジュール10,10Aと異なる点について説明する。
本実施形態において、保護部材1Bは、主保護部2と、主保護部2の第一主面21側に起立して形成された1つの電線側壁部4と、主保護部2の第二主面22側に起立して形成された1つの補助保護部3と、を有する。なお、保護部材1Bが、主保護部2と1つの電線側壁部4と1つの補助保護部3とを含み、連結部6,6Aによって連結された複数の保護部11を備える場合も考えられる。
また、本実施形態において、補助保護部3により一部が覆われる固定相手部8Bは、平板状に形成された部材である。図18に示されるように、本実施形態では、固定相手部8Bの外縁部の一部が、補助保護部3により覆われている。なお、固定相手部8Bとしては、例えば、車体を構成するドアパネル等が考えられる。
本実施形態において、平板状の固定相手部8Bの側方に配設される他の電線9Bが、固定相手部8Bに接触することが抑制される。他の電線9Bと固定相手部8Bの縁部との間に、保護部材1Bの補助保護部3が介在するためである。
従って、本実施形態においても、保護部材付電線モジュール10Bに含まれる保護部材1Bは、固定相手部8B付近に配設される他の電線9Bを保護する。その結果、ワイヤーハーネスを構成する部品点数の増大及び組立て作業の煩雑化を抑制できる。
<応用例>
固定部7が、電線9と保護部材1とに一括して巻かれるテープ又はバンドであってもよい。
また、本実施形態の外側補助保護部32に相当する部分が、内側補助保護部31から内側に折り返されて保護部材1が形成される場合も考えられる。
また、連結部6が、保護部11同士を繋ぐテープである場合も考えられる。
また、保護部材1の第二保護部112及び第三保護部113にも、枝線部用孔部40が形成されている場合も考えられる。
なお、本発明に係る保護部材付電線モジュールは、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された各実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは各実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。