JP6233069B2 - 異方性導電フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、異方性導電フィルム及びその製造方法に関する。
ICチップなどの電子部品の実装に異方性導電フィルムは広く使用されており、近年では、高実装密度への適用の観点から、導通信頼性や絶縁性の向上、実装導電粒子捕捉率の向上、製造コストの低減等を目的に、異方性導電接続用の導電粒子を単層で絶縁性接着層に配列させた2層構造の異方性導電フィルムが提案されている(特許文献1)。
この2層構造の異方性導電フィルムは、転写層に単層且つ細密充填で導電粒子を配列させた後、転写層を2軸延伸処理することにより、導電粒子が所定間隔で均等に配列された転写層を形成した後、その転写層上の導電粒子を熱硬化性樹脂と重合開始剤とを含有する絶縁性樹脂層に転写し、更に転写した導電粒子上に、熱硬化性樹脂を含有するが重合開始剤を含有しない別の絶縁性樹脂層をラミネートすることにより製造されている(特許文献1)。
特許第4789738号明細書
しかしながら、特許文献1の2層構造の異方性導電フィルムは、重合開始剤を含有していない絶縁性樹脂層を使用しているために、単層で所定間隔で均等に導電粒子を配列させたにもかかわらず、異方性導電接続の際の加熱により、重合開始剤を含有していない絶縁性樹脂層に比較的大きな樹脂流れが生じ易く、その流れに沿って導電粒子も流れ易くなるため、実装導電粒子捕捉率の低下、ショートの発生、絶縁性の低下等の問題が生じていた。また、接着強度を更に向上させることも要望されていた。
本発明の目的は、以上の従来の技術の問題点を解決することであり、単層で配列された導電粒子を有する多層構造の異方性導電フィルムにおいて、良好な導通信頼性、良好な絶縁性、及び良好な実装導電粒子捕捉率を実現することである。
本発明者らは、光重合性樹脂層に、導電粒子を特定の割合で埋めるように単層で配列させた後に、紫外線を照射することにより導電粒子を固定化もしくは仮固定化し、更に固定化もしくは仮固定化された導電粒子上に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層を積層することにより得た異方性導電フィルムが、上述の本発明の目的を達成できる構成であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、第1接続層とその片面に形成された第2接続層とを有する異方性導電フィルムであって、
第1接続層が、光重合樹脂層であり、
第2接続層が、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層であり、
第1接続層の第2接続層側表面に、異方性導電接続用の導電粒子が単層で配列されており、且つ第1接続層に対する導電粒子の埋入率が1%以上20%以下である
ことを特徴とする異方性導電フィルムを提供する。ここで、埋入率は、導電粒子が第1接続層に埋まっている程度を意味しており、導電粒子の粒子径Laに対し、導電粒子の第1接続層中に埋まっている深さLbの割合(埋入率)として定義することができ、「埋入率(%)=(Lb/La)×100」の式で求めることができる。
なお、第2接続層は、加熱により重合反応を開始する熱重合開始剤を使用した熱重合性樹脂層であることが好ましいが、光により重合反応を開始する光重合開始剤を使用した光重合性樹脂層であってもよい。熱重合開始剤と光重合開始剤とを併用した熱・光重合性樹脂層であってもよい。ここで、第2接続層は、製造上、熱重合開始剤を使用した熱重合性樹脂層に限定される場合がある。
本発明の異方性導電フィルムは、第1接続層の他面に、応力緩和などの接合体の反り防止を目的に、第2の接続層と略同様の構成の第3接続層を有していてもよい。即ち、第1接続層の他面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第3接続層を有していてもよい。
なお、第3接続層は、加熱により重合反応を開始する熱重合開始剤を使用した熱重合性樹脂層であることが好ましいが、光により重合反応を開始する光重合開始剤を使用した光重合性樹脂層であってもよい。熱重合開始剤と光重合開始剤とを併用した熱・光重合性樹脂層であってもよい。ここで、第3接続層は、製造上、熱重合開始剤を使用した熱重合性樹脂層に限定される場合がある。
また、本発明は、上述の異方性導電フィルムの製造方法であって、第1接続層を一段階の光重合反応で形成する以下の工程(A)〜(C)、又は第1接続層を二段階の光重合反応で形成する後述する工程(AA)〜(DD)を有する製造方法を提供する。
(第1接続層を一段階の光重合反応で形成する場合)
工程(A)
光重合性樹脂層に、導電粒子を第1接続層に対する導電粒子の埋入率が1%以上20%以下となるように単層で配列させる工程;
工程(B)
導電粒子が配列した光重合性樹脂層に対して紫外線を照射することにより光重合反応させ、表面に導電粒子が固定化された第1接続層を形成する工程;及び
工程(C)
第1接続層の導電粒子側表面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層を形成する工程。
(第1接続層を二段階の光重合反応で形成する場合)
工程(AA)
光重合性樹脂層に、導電粒子を第1接続層に対する導電粒子の埋入率が1%以上20%以下となるように単層で配列させる工程;
工程(BB)
導電粒子が配列した光重合性樹脂層に対して紫外線を照射することにより光ラジカル重合反応させ、表面に導電粒子が仮固定化された仮第1接続層を形成する工程;
工程(CC)
仮第1接続層の導電粒子側表面に、熱カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層を形成する工程;及び
工程(DD)
第2接続層と反対側から仮第1接続層に紫外線を照射することにより光重合反応させ、仮第1接続層を本硬化させて第1接続層を形成する工程。
工程(CC)で第2接続層の形成の際に使用する開始剤として熱重合開始剤に限定しているのは、異方性導電フィルムとしての製品ライフ、接続および接続構造体の安定性に悪影響が生じないようにするためである。つまり、第1接続層に紫外線を二段階に分けて照射する場合には、その工程上の制約から第2接続層は熱重合硬化性のものに限定せざるを得ない場合がある。なお、二段階照射を連続的に行う場合は、一段階と略同様の工程で形成することができるので、同等の作用効果が期待できる。
また、本発明は、第1接続層の他面に、第2接続層と同様の構成の第3接続層を有している異方性導電フィルムの製造方法であって、以上の工程(A)〜(C)に加えて工程(C)の後で、以下の工程(Z)を有する製造方法、または、以上の工程(AA)〜(DD)に加えて工程(DD)の後で、以下の工程(Z)を有する製造方法を提供する。
工程(Z)
第1接続層の導電粒子側の反対面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第3接続層を形成する工程。
更に、本発明は、第1接続層の他面に、第2接続層と略同様の構成の第3接続層を有している異方性導電フィルムの製造方法であって、以上の工程(A)〜(C)に加えて、工程(A)に先だって以下の工程(a)を有する製造方法、または以上の工程(AA)〜(DD)に加えて、工程(AA)に先だって以下の工程(a)を有する製造方法を提供する。
工程(a)
光重合性樹脂層の片面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第3接続層を形成する工程。
なお、この工程(a)を有する製造方法の工程(A)又は工程(AA)においては、光重合性樹脂層の他面に導電粒子を、第1接続層に対する導電粒子の埋入率が1%以上20%以下となるように単層で配列させればよい。
このような工程で第3接続層を設ける場合には、上述した理由から重合開始剤は熱反応によるものに限定されることが好ましい。しかしながら、第1接続層を設けた後に製品ライフや接続に悪影響を及ぼさない方法により、光重合開始剤を含む第2および第3接続層を設ければ、光重合開始剤を含んだ本発明の主旨に沿う異方性導電フィルムを作成することは、特に制限はされない。
なお、本発明の第2接続層又は第3接続層のどちらかがタック層として機能する態様も本発明に包含される。
加えて、本発明は、上述の異方性導電フィルムで第1電子部品を第2電子部品に異方性導電接続した接続構造体を提供する。
本発明の異方性導電フィルムは、光重合樹脂層からなる第1接続層と、その片面に形成された、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層とを有しており、更に、第1接続層の第2接続層側表面には、異方性導電接続用の導電粒子の第1接続層に対する導電粒子の埋入率が1%以上20%以下となるように単層で配列されている。このため、導電粒子を第1接続層にしっかりと固定化でき、また、第1接続層の樹脂量も大きく減ずることがないので、タック性と接着強度とを向上させることができる。反射的に、異方性導電フィルムの貼り付け性が安定的に向上し、異方性導電接続の生産性も向上する。しかも、第1接続層における導電粒子の下方(裏側)の光ラジカル重合性樹脂層は、導電粒子の存在のために紫外線が十分に照射されないので、相対的に硬化率が低くなり、良好な押し込み性を示し、結果的に、良好な導通信頼性、絶縁性、実装導電粒子捕捉率を実現することができる。
なお、異方性導電接続が熱を利用する場合は、通常の異方性導電フィルムの接続方法と同様の方法になる。光によるものの場合は、接続ツールによる押し込みを、反応が終了するまでに行えばよい。この場合においても、接続ツール等は樹脂流動や粒子の押し込みを促進するため加熱されている場合が多い。また熱と光を併用する場合も、上記と同様に行えばよい。
図1は、本発明の異方性導電フィルムの断面図である。 図2は、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(A)の説明図である。 図3Aは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(B)の説明図である。 図3Bは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(B)の説明図である。 図4Aは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(C)の説明図である。 図4Bは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(C)の説明図である。 図5は、本発明の異方性導電フィルムの断面図である。 図6は、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(AA)の説明図である。 図7Aは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(BB)の説明図である。 図7Bは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(BB)の説明図である。 図8Aは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(CC)の説明図である。 図8Bは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(CC)の説明図である。 図9Aは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(DD)の説明図である。 図9Bは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(DD)の説明図である。
<<異方性導電フィルム>>
以下、本発明の異方性導電フィルムの好ましい一例を詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の異方性導電フィルム1は、光重合性樹脂層を光重合させた光重合樹脂層からなる第1接続層2の片面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層3が形成された構造を有している。そして、第1接続層2の第2接続層3側の表面2aには、異方性導電接続のために導電粒子4が単層で配列、好ましくは均等に配列されている。ここで均等とは、導電粒子が平面方向に配列されている状態を意味する。この規則性は一定の間隔で設けられてもよい。
<第1接続層2>
本発明の異方性導電フィルム1を構成する第1接続層2は、光カチオン、アニオン又はラジカル重合性樹脂層等の光重合性樹脂層を光重合させた光重合樹脂層であるから、導電粒子を固定化できる。また、重合しているので、異方性導電接続時に加熱されても樹脂が流れ難くなるので、ショートの発生を大きく抑制でき、従って導通信頼性と絶縁性とを向上させ、且つ実装粒子捕捉率も向上させることができる。特に好ましい第1接続層2は、アクリレート化合物と光ラジカル重合開始剤とを含む光ラジカル重合性樹脂層を光ラジカル重合させた光ラジカル重合樹脂層である。以下、第1接続層2が光ラジカル重合樹脂層である場合について説明する。
(アクリレート化合物)
アクリレート単位となるアクリレート化合物としては、従来公知の光ラジカル重合性アクリレートを使用することができる。例えば、単官能(メタ)アクリレート(ここで、(メタ)アクリレートにはアクリレートとメタクリレートとが包含される)、二官能以上の多官能(メタ)アクリレートを使用することができる。本発明においては、接着剤を熱硬化性とするために、アクリル系モノマーの少なくとも一部に多官能(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
第1接続層2におけるアクリレート化合物の含有量は、少なすぎると第2接続層3との粘度差を付けにくくなる傾向があり、多すぎると硬化収縮が大きく作業性が低下する傾向があるので、好ましくは2〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤の中から適宜選択して使用することができる。例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤、リン系光重合開始剤等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の使用量は、アクリレート化合物100質量部に対し、少なすぎると光ラジカル重合が十分に進行せず、多すぎると剛性低下の原因となるので、好ましくは0.1〜25質量部、より好ましくは0.5〜15質量部である。
(導電粒子)
導電粒子としては、従来公知の異方性導電フィルムに用いられているものの中から適宜選択して使用することができる。例えばニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウムなどの金属粒子、金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。2種以上を併用することもできる。
導電粒子の平均粒径としては、小さすぎると配線の高さのばらつきを吸収できず抵抗が高くなる傾向があり、大きすぎてもショートの原因となる傾向があるので、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜6μmである。
このような導電粒子の第1接続層2中の粒子量は、少なすぎると実装導電粒子捕捉数が低下して異方性導電接続が難しくなり、多すぎるとショートすることが懸念されるので、好ましくは1平方mm当たり50〜50000個、より好ましくは200〜30000個である。
第1接続層2には、必要に応じて、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などの膜形成樹脂を併用することができる。第2接続層3および第3接続層5にも、同様に併用してもよい。
第1接続層2の層厚は、薄すぎると実装導電粒子捕捉率が低下する傾向があり、厚すぎると導通抵抗が高くなる傾向があるので、好ましくは1.0〜6.0μm、より好ましくは2.0〜5.0μmである。
第1接続層2には、更に、エポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有させることもできる。この場合、後述するように、第2接続層3もエポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有する熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層とすることが好ましい。これにより、層間剥離強度を向上させることができる。エポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤については、第2接続層3で説明する。
第1接続層2においては、図1に示すように、導電粒子4が、第1接続層2に埋まっている。埋まっている程度を、導電粒子の粒子径Laに対し、導電粒子の第1接続層中に埋まっている深さLbの割合(埋入率)として定義すると、埋入率は、「埋入率(%)=(Lb/La)×100」の式で求めることができる。本発明では、「良好な実装導電粒子捕捉性を実現するために導電粒子を意図した位置に固定できるようにする」という課題と、「第1接続層2と被接着体との間の接着強度を向上させるために導電粒子の下方に存在する樹脂量を確保して良好なタック性を実現する」という課題とをバランス良く解決するために、第1接続層2に対する導電粒子の埋入率を、その下限が1%以上、好ましくは1%より大きく、上限が20%以下、好ましくは20%未満となるように調整する。
なお、第1接続層2に対する導電粒子4の埋入率の調整は、例えば、剥離材を表面に備えたゴムロールにより繰り返して押圧することにより行うことができる。具体的には、埋入率を小さくする場合には、繰り返し回数を少なくすればよく、大きくする場合には、繰り返し回数を多くすればよい。
また、光重合性樹脂層に紫外線を照射して第1接続層2を形成する場合、導電粒子が配置されていない側の面と導電粒子が配置されている側の面のいずれから照射してもよいが、導電粒子が配置されている側から照射した場合には、第1接続層2において、導電粒子4と第1接続層2の最外表面2bとの間に位置する領域の第1接続層部分2Xの硬化率を、互いに隣接する導電粒子4間に位置する領域の第1接続層部分2Yの硬化率よりも低くすることができる。これにより、異方性導電接続の熱圧着の際に、第1接続層部分2Xが排除され易くなり、導通信頼性が向上する。ここで、硬化率はビニル基の減少比率と定義される数値であり、第1接続層部分2Xの硬化率は好ましくは40〜80%であり、第1接続層部分2Yの硬化率は好ましくは70〜100%である。
ここで、導電粒子が配置されていない面から照射した場合は、第1接続層部分2Xと2Yに硬化率の差が、実質的になくなる。これは、ACFの製品品質の上では好ましい。ACF製造工程において、導電粒子の固定化が促進し、安定な品質を確保できるためである。製品として一般的な長尺化をする際、巻き始めと巻き終わりで、配列した導電粒子にかかる圧力を略同一にすることができ、配列の乱れを防止できるためである。
なお、第1接続層2の形成の際の光ラジカル重合は、一段階(即ち、一回の光照射)で行ってもよいが、二段階(即ち、二回の光照射)で行ってもよい。この場合、二段階目の光照射は、第1接続層2の片面に第2接続層3が形成された後に、酸素含有雰囲気(大気中)下で第1接続層2の他面側から行うことが好ましい。これにより、ラジカル重合反応が酸素阻害され、未硬化成分の表面濃度が高まり、タック性を向上させることができるという効果を期待できる。また、硬化を二段階で行うことで重合反応も複雑化するため、樹脂や粒子の流動性の精緻な制御が可能となることも期待できる。
このような二段階の光ラジカル重合における第1接続層部分2Xの第一段階における硬化率は好ましくは10〜50%であり、第二段階における硬化率は好ましくは40〜80%であり、第1接続層2Yの第一段階における硬化率は好ましくは30〜90%であり、第二段階における硬化率は好ましくは70〜100%である。
また、第1接続層2の形成の際の光ラジカル重合反応が二段階で行われる場合、ラジカル重合開始剤として1種類だけ使用することもできるが、ラジカル反応を開始する波長帯域が異なる2種類の光ラジカル重合開始剤を使用することがタック性向上のために好ましい。例えば、LED光源からの波長365nmの光でラジカル反応を開始するイルガキュア(IRGACURE)369(BASFジャパン(株))と、高圧水銀ランプ光源からの光でラジカル反応を開始するイルガキュア(IRGACURE)2959(BASFジャパン(株))とを併用することが好ましい。このように2種類の異なる硬化剤を使用することで樹脂の結合が複雑化するため、接続時の樹脂の熱流動の挙動をより精緻に制御することが可能になる。これは異方性導電接続の押し込み時に、粒子は厚み方向にかかる力は受け易くなるが、面方向への流動は抑制されるため本発明の効果がより発現しやすくなるからである。
また、第1接続層2のレオメーターで測定した際の最低溶融粘度は、第2接続層3の最低溶融粘度よりも高いこと、具体的には[第1接続層2の最低溶融粘度(mPa・s)]/[第2接続層3の最低溶融粘度(mPa・s)]の数値が、好ましくは1〜1000、より好ましくは4〜400である。なお、それぞれの好ましい最低溶融粘度は、前者については100〜100000mPa・s、より好ましくは500〜50000mPa・sである。後者については好ましくは0.1〜10000mPa・s、より好ましくは0.5〜1000mPa・sである。
第1接続層2の形成は、光ラジカル重合性アクリレートと光ラジカル重合開始剤とを含有する光ラジカル重合性樹脂層に、フィルム転写法、金型転写法、インクジェット法、静電付着法等の手法により導電粒子を付着させ、紫外線を導電粒子側、その反対側、もしくは両側から照射することにより行うことができる。特に、紫外線を導電粒子側からのみ照射することが、第1接続層部分2Xの硬化率を相対的に低く抑制することができる点から好ましい。
<第2接続層3>
第2接続層3は、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層、好ましくはエポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有する熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層、又はアクリレート化合物と熱又は光ラジカル重合開始剤とを含有する熱又は光ラジカル重合性樹脂層からなる。ここで、第2接続層3を熱重合性樹脂層から形成することは、第1接続層2を形成する際の紫外線照射により第2接続層3の2重合反応が生じないため、生産の簡便性および品質安定性の上では望ましい。
第2接続層3が、熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層である場合、更に、アクリレート化合物と熱又は光ラジカル重合開始剤とを含有することができる。これにより第1接続層2と層間剥離強度を向上させることができる。
(エポキシ化合物)
第2接続層3がエポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有する熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層である場合、エポキシ化合物としては、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物もしくは樹脂が好ましく挙げられる。これらは液状であっても、固体状であってもよい。
(熱カチオン重合開始剤)
熱カチオン重合開始剤としては、エポキシ化合物の熱カチオン重合開始剤として公知のものを採用することができ、例えば、熱により、カチオン重合性化合物をカチオン重合させ得る酸を発生するものであり、公知のヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、フェロセン類等を用いることができ、温度に対して良好な潜在性を示す芳香族スルホニウム塩を好ましく使用することができる。
熱カチオン重合開始剤の配合量は、少なすぎても硬化不良となる傾向があり、多すぎても製品ライフが低下する傾向があるので、エポキシ化合物100質量部に対し、好ましくは2〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部である。
(熱アニオン重合開始剤)
熱アニオン重合開始剤としては、エポキシ化合物の熱アニオン重合開始剤として公知のものを採用することができ、例えば、熱により、アニオン重合性化合物をアニオン重合させ得る塩基を発生するものであり、公知の脂肪族アミン系化合物、芳香族アミン系化合物、二級又は三級アミン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリメルカプタン系化合物、三フッ化ホウ素−アミン錯体、ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジッド等を用いることができ、温度に対して良好な潜在性を示すカプセル化イミダゾール系化合物を好ましく使用することができる。
熱アニオン重合開始剤の配合量は、少なすぎても硬化不良となる傾向があり、多すぎても製品ライフが低下する傾向があるので、エポキシ化合物100質量部に対し、好ましくは2〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部である。
(光カチオン重合開始剤及び光アニオン重合開始剤)
エポキシ化合物用の光カチオン重合開始剤又は光アニオン重合開始剤としては、公知のものを適宜使用することができる。
(アクリレート化合物)
第2接続層3がアクリレート化合物と熱又は光ラジカル重合開始剤とを含有する熱又は光ラジカル重合性樹脂層である場合、アクリレート化合物としては、第1接続層2に関して説明したものの中から適宜選択して使用することができる。
(熱ラジカル重合開始剤)
また、熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物やアゾ系化合物等が挙げられるが、気泡の原因となる窒素を発生しない有機過酸化物を好ましく使用することができる。
熱ラジカル重合開始剤の使用量は、少なすぎると硬化不良となり、多すぎると製品ライフの低下となるので、アクリレート化合物100質量部に対し、好ましくは2〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部である。
(光ラジカル重合開始剤)
アクリレート化合物用の光ラジカル重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤を使用することができる。
光ラジカル重合開始剤の使用量は、少なすぎると硬化不良となり、多すぎると製品ライフの低下となるので、アクリレート化合物100質量部に対し、好ましくは2〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部である。
(第3接続層5)
以上、図1の2層構造の異方性導電フィルムについて説明したが、図5に示すように、第1接続層2の他面に第3接続層5が形成されていてもよい。これにより、層全体の流動性をより精緻に制御することが可能となるという効果が得られる。ここで、第3接続層5としては、前述した第2接続層3と同じ構成としてもよい。即ち、第3接続層5は、第2接続層3と同様に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなるものである。このような第3接続層5は、第1接続層の片面に第2接続層を形成した後に、第1接続層の他面に形成してもよく、第2接続層の形成前に、第1接続層もしくはその前駆体である光重合性樹脂層の他面(第2接続層が形成されない面)に予め第3接続層を形成しておいてもよい。
<<異方性導電フィルムの製造方法>>
本発明の異方性導電フィルムの製造方法には、一段階の光重合反応を行う製造方法と、二段階の光重合反応を行う製造方法が挙げられる。
<一段階の光重合反応を行う製造方法>
図1(図4B)の異方性導電フィルムを一段階で光重合させて製造する一例を説明する。この製造例は、以下の工程(A)〜(C)を有する。
(工程(A))
図2に示すように、必要に応じて剥離フィルム30上に形成した、光重合性樹脂層31に、導電粒子4を、埋入率が1%以上20%以下となるように単層で配列させる。導電粒子4の配列の手法としては、特に制限はなく、特許第4789738号の実施例1の無延伸ポリプロピレンフィルムに2軸延伸操作を利用する方法や、特開2010−33793号公報の金型を使用する方法等を採用することができる。なお、配列の程度としては、接続対象のサイズ、導通信頼性、絶縁性、実装導電粒子捕捉率等を考慮し、2次元的に互いに1〜100μm程度離隔して配列されることが好ましい。
埋入率の調整は、ゴムロールなどの弾性体を繰り返し押圧することにより行うことができる。
(工程(B))
次に、図3Aに示すように、導電粒子4が配列した光重合性樹脂層31に対して、紫外線(UV)を照射することにより光重合反応させ、表面に導電粒子4が固定化された第1接続層2を形成する。この場合、紫外線(UV)を導電粒子側から照射してもよく、反対側から照射してもよいが、導電粒子側から紫外線(UV)を照射した場合には、図3Bに示すように、導電粒子4と第1接続層2の最外表面との間に位置する領域の第1接続層部分2Xの硬化率を、互いに隣接する導電粒子4間に位置する領域の第1接続層部分2Yの硬化率よりも低くすることができる。このようにすることで、粒子の裏側の硬化性は確実に低くなり接合時の押し込みを容易にし、且つ粒子の流動を防ぐ効果も同時に備えることができる。
(工程(C))
次に、図4Aに示すように、第1接続層2の導電粒子4側表面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層3を形成する。具体的な一例として、剥離フィルム40に常法により形成された第2接続層3を、第1接続層2の導電粒子4側表面に載せ、過大な熱重合が生じない程度に熱圧着する。そして剥離フィルム30と40とを取り除くことにより図4Bの異方性導電フィルムを得ることができる。
なお、図5の異方性導電フィルム100は、工程(C)の後で、以下の工程(Z)を実施することにより得ることができる。
(工程(Z))
第1接続層の導電粒子側の反対面に、好ましくは第2接続層と同様に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第3接続層を形成する。これにより図5の異方性導電フィルムを得ることができる。
また、図5の異方性導電フィルム100は、工程(Z)を行うことなく、工程(A)に先だって、以下の工程(a)を実施することでも得ることができる。
(工程(a))
光重合性樹脂層の片面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第3接続層を形成する工程。この工程(a)に引き続き、工程(A)、(B)及び(C)を実施することにより図5の異方性導電フィルム100を得ることができる。但し、工程(A)において、光重合性樹脂層の他面に導電粒子を、埋入率が1%以上20%以下となるように単層で配列させる。
(二段階の光重合反応を行う製造方法)
次に、図1(図4B)の異方性導電フィルムを二段階で光重合させて製造する一例を説明する。この製造例は、以下の工程(AA)〜(DD)を有する。
(工程(AA))
図6に示すように、必要に応じて剥離フィルム30上に形成した、光重合性樹脂層31に、導電粒子4を埋入率が1%以上20%以下となるように単層で配列させる。導電粒子4の配列の手法としては、特に制限はなく、特許第4789738号の実施例1の無延伸ポリプロピレンフィルムに2軸延伸操作を利用する方法や、特開2010−33793号公報の金型を使用する方法等を採用することができる。なお、配列の程度としては、接続対象のサイズ、導通信頼性、絶縁性、実装導電粒子捕捉率等を考慮し、2次元的に互いに1〜100μm程度離隔して配列されることが好ましい。
(工程(BB))
次に、図7Aに示すように、導電粒子4が配列した光重合性樹脂層31に対して、紫外線(UV)を照射することにより光重合反応させ、表面に導電粒子4が仮固定化された仮第1接続層20を形成する。この場合、紫外線(UV)を導電粒子側から照射してもよく、反対側から照射してもよいが、導電粒子側から紫外線(UV)を照射した場合には、図7Bに示すように、導電粒子4と仮第1接続層20の最外表面との間に位置する領域の仮第1接続層部分2Xの硬化率を、互いに隣接する導電粒子4間に位置する領域の仮第1接続層部分2Yの硬化率よりも低くすることができる。
(工程(CC))
次に、図8Aに示すように、仮第1接続層20の導電粒子4側表面に、熱カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層3を形成する。具体的な一例として、剥離フィルム40に常法により形成された第2接続層3を、第1接続層2の導電粒子4側表面に載せ、過大な熱重合が生じない程度に熱圧着する。そして剥離フィルム30と40とを取り除くことにより図8Bの仮異方性導電フィルム50を得ることができる。
(工程(DD))
次に、図9Aに示すように、第2接続層3と反対側から仮第1接続層20に紫外線を照射することにより光重合反応させ、仮第1接続層20を本硬化させて第1接続層2を形成する。これにより、図9Bの異方性導電フィルム1を得ることができる。この工程における紫外線の照射は、仮第1接続層に対し垂直方向から行うことが好ましい。また、第1接続層部分2Xと2Yの硬化率差が消失しないようにするには、マスクを介して照射したり、照射部位により照射光量に差を設けることが好ましい。
なお、2段階で光重合させた場合、図5の異方性導電フィルム100は、工程(DD)の後で、以下の工程(Z)を実施することにより得ることができる。
(工程(Z))
第1接続層の導電粒子側の反対面に、好ましくは第2接続層と同様に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第3接続層を形成する。これにより図5の異方性導電フィルムを得ることができる。
また、図5の異方性導電フィルム100は、工程(Z)を行うことなく、工程(AA)に先だって、以下の工程(a)を実施することでも得ることができる。
(工程(a))
この工程は、光ラジカル重合性樹脂層の片面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第3接続層を形成する工程である。この工程(a)に引き続き、工程(AA)〜(DD)を実施することにより図5の異方性導電フィルム100を得ることができる。但し、工程(AA)において、光重合性樹脂層の他面に導電粒子を埋入率が1%以上20%以下となるように単層で配列させる。この場合、第2接続層の形成の際に使用する重合開始剤としては、熱重合開始剤を適用することが好ましい。光重合開始剤の場合は、工程上、異方性導電フィルムとしての製品ライフ、接続および接続構造体の安定性に悪影響を及ぼすことが懸念される。
<<接続構造体>>
このようにして得られた異方性導電フィルムは、ICチップ、ICモジュールなどの第1電子部品と、フレキシブル基板、ガラス基板などの第2電子部品とを異方性導電接続する際に好ましく適用することができる。このようにして得られる接続構造体も本発明の一部である。なお、異方性導電フィルムの第1接続層側をフレキシブル基板等の第2電子部品側に配し、第2接続層側をICチップなどの第1電子部品側に配することが、導通信頼性を高める点から好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1〜5、比較例1〜2
特許第4789738号の実施例1の操作に準じて導電粒子の配列を行うとともに、表1に示す配合(質量部)に従って第1接続層と第2接続層とが積層された2層構造の異方性導電フィルムを作成した。
(第1接続層)
具体的には、まず、アクリレート化合物及び光ラジカル重合開始剤等を酢酸エチル又はトルエンにて固形分が50質量%となるように混合液を調製した。この混合液を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、乾燥厚が5μmとなるように塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥することにより、第1接続層の前駆層である光ラジカル重合性樹脂層を形成した。
次に、得られた光ラジカル重合性樹脂層に対し、平均粒子径4μmの導電粒子(Ni/Auメッキ樹脂粒子、AUL704、積水化学工業(株))を、互いに4μm離隔して、ゴムロールによる繰り返しの押圧回数を調整することにより、第1接続層に対する導電粒子の埋入率が表1に示すパーセンテージとなるように単層で配列させた。更に、この導電粒子側から光ラジカル重合性樹脂層に対し、波長365nm、積算光量4000mJ/cmの紫外線を照射することにより、表面に導電粒子が固定された第1接続層を形成した。
(第2接続層)
熱硬化性樹脂及び潜在性硬化剤等を酢酸エチル又はトルエンにて固形分が50質量%となるように混合液を調製した。この混合液を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、乾燥厚が12μmとなるように塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥することにより、第2接続層を形成した。
(異方性導電フィルム)
このようにして得られた第1接続層と第2接続層とを、導電粒子が内側となるようにラミネートすることにより異方性導電フィルムを得た。
(接続構造サンプル体)
得られた異方性導電フィルムを用いて、0.5×1.8×20.0mmの大きさのICチップ(バンプサイズ30×85μm:バンプ高さ15μm、バンプピッチ50μm)を、0.5×50×30mmの大きさのコーニング社製のガラス配線基板(1737F)に180℃、80MPa、5秒という条件で実装して接続構造サンプル体を得た。
(試験評価)
得られた接続構造サンプル体について、以下に説明するように、異方性導電フィルムの第1接続層側の「タック力」、「接着強度(ダイシェア)」、「実装導電粒子捕捉率」、「導通信頼性」及び「絶縁性」を試験評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、「絶縁性」の評価の場合には、0.5×1.5×13mmの大きさのICチップ(金メッキバンプサイズ25×140μm:バンプ高さ15μm、バンプ間スペース7.5μm)を、0.5×50×30mmの大きさのコーニング社製のガラス配線基板(1737F)に180℃、80MPa、5秒という条件で実装して得た接続構造サンプル体を使用した。
「タック力」
異方性導電フィルムの第1接続層のタック力を、JIS Z0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準拠したタック試験機(TACII、(株)レスカ)を用い、22℃の雰囲気下において、プローブ直径5mm(ステンレス製鏡面、円柱状)、押し付け荷重196kgf、押し付け速度30mm/min、剥離速度5mm/minの測定条件で、プローブを異方性導電フィルムの第1接続層側に押し付けて測定した。測定チャートのピーク強度をタック力(kPa)とした。
「接着強度(ダイシェア)」
作製した各接続構造サンプル体について、ダイシェア測定機(品名:Dage2400、デイジ社製)を用いてダイシェア強度の測定を行った。実用上、600N以上が好ましい。
「実装導電粒子捕捉率」
“加熱・加圧前の接続構造サンプル体のバンプ上に存在する理論粒子量”に対する“加熱・加圧後(実際の実装後)の接続構造サンプル体のバンプ上で実際に捕捉されている粒子量”の割合を以下の数式に従って求めた。
Figure 0006233069
「導通信頼性」
接続構造サンプル体を85℃、85%RHの高温高湿環境下に500時間放置した後の導通抵抗を、デジタルマルチメーター(アジレント・テクノロジー(株))を用いて測定した。実用上、4Ω以下であることが望ましい。
「絶縁性(ショートの発生率)」
7.5μmスペースの櫛歯TEGパターンのショート発生率を求めた。実用上、100ppm以下であることが望ましい。
Figure 0006233069
表1から分かるように、実施例1〜5の異方性導電フィルムについては、タック力、接続強度、実装導電粒子捕捉率、導通信頼性、絶縁性の各評価項目についてはいずれも実用上好ましい結果を示した。
それに対し、比較例1の異方性導電フィルムについては、第1接続層に対する導電粒子の埋入率が20%を超えていたので、実施例の異方性導電フィルムに比べ、タック力と接着強度が劣っていた。また、ショート発生率については約2.5倍も増加していた。比較例2の異方性導電フィルムについては、第1接続層に対する導電粒子の埋入率が1%を下回っていたので、実施例の異方性導電フィルムに比べ、実装導電粒子捕捉率が低下し、また、絶縁性の評価指標であるショート発生率については約7.5倍も増加していた。
実施例6
第1接続層形成の際、紫外線を積算光量2000mJ/cmで照射すること以外、実施例1と同様に異方性導電フィルムを作成した。この異方性導電フィルムの第1接続層側から、更に波長365nmの紫外線を積算光量2000mJ/cmで照射することにより、第1接続層の両面から紫外線が照射された実施例6の異方性導電フィルムを得た。この異方性導電フィルムを用いて、実施例1の異方性導電フィルムと同様に接続構造サンプル体を作成し、評価したところ、ほぼ同等の実用上問題ない結果が得られたが、実装導電粒子捕捉率については更に改善される傾向にあった。
本発明の異方性導電フィルムは、光重合性樹脂層からなる第1接続層と、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層とからなる第2接続層とが積層された2層構造を有しており、更に、第1接続層の第2接続層側表面には、異方性導電接続用の導電粒子が、第1接続層に対する埋入率が1%以上20%以下となるように単層で配列されている。このため、第1接続層が良好なタック性と接続強度とを示し、良好な導通信頼性、絶縁性、実装導電粒子捕捉率を示す。よって、ICチップなどの電子部品の配線基板への異方性導電接続に有用である。このような電子部品の配線は狭小化が進んでおり、本発明はこのような技術的進歩に貢献する場合において、特にその効果を発現することになる。
1、100 異方性導電フィルム
2、 第1接続層
2X、2Y 第1接続層部分
3 第2接続層
4 導電粒子
5 第3接続層
30、40 剥離フィルム
20 仮第1接続層
31 光重合性樹脂層
50 仮異方性導電フィルム
La 導電粒子の粒子径
Lb 導電粒子の第1接続層に埋まっている深さ

Claims (16)

  1. 第1接続層とその片面に形成された第2接続層とを有する異方性導電フィルムであって、
    第1接続層が、光重合樹脂層であり、
    第2接続層が、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層であり、
    第1接続層の第2接続層側表面に、異方性導電接続用の導電粒子が単層で配列されており、且つ第1接続層に対する導電粒子の埋入率が1%以上20%以下である
    ことを特徴とする異方性導電フィルム。
  2. 第1接続層が、アクリレート化合物と光ラジカル重合開始剤とを含む光ラジカル重合性樹脂層を光ラジカル重合させた光ラジカル重合樹脂層である請求項1記載の異方性導電フィルム。
  3. 第1接続層が、更に、エポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有している請求項2記載の異方性導電フィルム。
  4. 第2接続層が、エポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有する熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層、又はアクリレート化合物と熱又は光ラジカル重合開始剤とを含有する熱又は光ラジカル重合性樹脂層である請求項1〜3のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  5. 第2接続層が、エポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有する熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層であり、更にアクリレート化合物と熱又は光ラジカル重合開始剤とを含有する請求項4記載の異方性導電フィルム。
  6. 第1接続層において、導電粒子と第1接続層の最外表面との間に位置する領域の第1接続層の硬化率が、互いに隣接する導電粒子間に位置する領域の第1接続層の硬化率よりも低い請求項1〜5のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  7. 第1接続層の最低溶融粘度が、第2接続層の最低溶融粘度よりも高い請求項1〜6のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  8. 請求項1記載の異方性導電フィルムの製造方法であって、以下の工程(A)〜(C):
    工程(A)
    光重合性樹脂層に、導電粒子を第1接続層に対する導電粒子の埋入率が1%以上20%以下となるように単層で配列させる工程;
    工程(B)
    導電粒子が配列した光重合性樹脂層に対して紫外線を照射することにより光重合反応させ、表面に導電粒子が固定化された第1接続層を形成する工程;及び
    工程(C)
    第1接続層の導電粒子側表面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層を形成する工程
    を有する製造方法。
  9. 工程(B)の紫外線照射を、光重合性樹脂層の導電粒子が配列した側から行う請求項8記載の製造方法。
  10. 請求項1記載の異方性導電フィルムの製造方法であって、以下の工程(AA)〜(DD):
    工程(AA)
    光重合性樹脂層に、導電粒子を第1接続層に対する導電粒子の埋入率が1%以上20%以下となるように単層で配列させる工程;
    工程(BB)
    導電粒子が配列した光重合性樹脂層に対して紫外線を照射することにより光重合反応させ、表面に導電粒子が仮固定化された仮第1接続層を形成する工程;
    工程(CC)
    仮第1接続層の導電粒子側表面に、熱カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層を形成する工程;及び
    工程(DD)
    第2接続層と反対側から仮第1接続層に紫外線を照射することにより光重合反応させ、仮第1接続層を本硬化させて第1接続層を形成する工程
    を有する製造方法。
  11. 工程(BB)の紫外線照射を、光重合性樹脂層の導電粒子が配列した側から行う請求項10記載の製造方法。
  12. 請求項8記載の製造方法において、工程(C)の後で、以下の工程(Z)
    工程(Z)
    第1接続層の導電粒子側の反対面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第3接続層を形成する工程
    を有する製造方法。
  13. 請求項8記載の製造方法において、工程(A)に先だって、以下の工程(a)
    工程(a)
    光重合性樹脂層の片面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第3接続層を形成する工程
    を有し、工程(A)において、光重合性樹脂層の他面に導電粒子を1%以上20%以下の埋入率で単層で配列させる製造方法。
  14. 請求項10記載の製造方法において、工程(DD)の後で、以下の工程(Z)
    工程(Z)
    第1接続層の導電粒子側の反対面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第3接続層を形成する工程
    を有する製造方法。
  15. 請求項10記載の製造方法において、工程(AA)に先だって、以下の工程(a)
    工程(a)
    光重合性樹脂層の片面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第3接続層を形成する工程
    を有し、工程(AA)において、光重合性樹脂層の他面に導電粒子を1%以上20%以下の埋入率で単層で配列させる製造方法。
  16. 請求項1〜7のいずれかに記載の異方性導電フィルムで第1電子部品を第2電子部品に異方性導電接続した接続構造体。
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