JP6428325B2 - 異方性導電フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、異方性導電フィルム及びその製造方法に関する。
ICチップなどの電子部品の実装に異方性導電フィルムは広く使用されており、近年では、高実装密度への適用の観点から、導通信頼性や絶縁性の向上、実装導電粒子捕捉率の向上、製造コストの低減等を目的に、異方性導電接続用の導電粒子を単層で絶縁性接着層に配列させた2層構造の異方性導電フィルムが提案されている(特許文献1)。
この2層構造の異方性導電フィルムは、転写層に単層且つ細密充填で導電粒子を配列させた後、転写層を2軸延伸処理することにより、導電粒子が所定間隔で均等に配列された転写層を形成した後、その転写層上の導電粒子を熱硬化性樹脂と重合開始剤とを含有する絶縁性樹脂層に転写し、更に転写した導電粒子上に、熱硬化性樹脂を含有するが重合開始剤を含有しない別の絶縁性樹脂層をラミネートすることにより製造されている(特許文献1)。
特許第4789738号明細書
しかしながら、特許文献1では、その2層構造の異方性導電フィルムを異方性導電接続に適用した場合に、ICチップや配線基板等の被接続体に対し良好な導通信頼性や絶縁性を確保することについては考慮しているものの、導電粒子の配列を乱さずに基板に貼り付けるということについては十分な検討が成されているとは言い難いものであった。例えば、異方性導電フィルムの密着性を改善するために、特許文献1の開示範囲内でその接着成分を変更すると、異方性導電フィルムを基板への機械的な貼り付け操作の際に、導電粒子の配列に乱れが生じる場合があり、所期の異方性導電接続特性が得られないという問題があった。
本発明の目的は、以上の従来の技術の問題点を解決することであり、単層で配列された導電粒子を有する多層構造の異方性導電フィルムにおいて、導通信頼性及び絶縁性を損なうことなく、且つ導電粒子の配列を乱すことなく、良好な貼り付け性を実現することである。
本発明者らは、片面に微細凹凸が設けられた光重合性樹脂層の他面に導電粒子を単層で配列させた後に、紫外線を照射することにより導電粒子を固定化もしくは仮固定化し、更に固定化もしくは仮固定化された導電粒子上に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層を積層することにより得た異方性導電フィルムが、上述の本発明の目的を達成できる構成であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、第1接続層とその片面に形成された第2接続層とを有する異方性導電フィルムであって、
第1接続層が、光重合樹脂層であり、
第2接続層が、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層であり、
第1接続層の第2接続層側表面に、異方性導電接続用の導電粒子が単層で配列されており、
第1接続層の第2接続層反対側表面に微細凹凸が設けられている
ことを特徴とする異方性導電フィルムを提供する。
なお、第2接続層は、加熱により重合反応を開始する熱重合開始剤を使用した熱重合性樹脂層であることが好ましいが、光により重合反応を開始する光重合開始剤を使用した光重合性樹脂層であってもよい。熱重合開始剤と光重合開始剤とを併用した熱・光重合性樹脂層であってもよい。ここで、第2接続層は、製造上、熱重合開始剤を使用した熱重合性樹脂層に限定される場合がある。
また、本発明は、上述の異方性導電フィルムの製造方法であって、第1接続層を一段階の光重合反応で形成する以下の工程(A)〜(D)、又は第1接続層を二段階の光重合反応で形成する後述する工程(AA)〜(EE)を有する製造方法を提供する。
(第1接続層を一段階の光重合反応で形成する場合)
工程(A)
微細凹凸が形成された原盤を用いて、片面に微細凹凸が設けられた光重合性樹脂層を形成する工程;
工程(B)
片面に微細凹凸が設けられた光重合性樹脂層の他面に導電粒子を単層で配列させる工程;
工程(C)
導電粒子が配列した光重合性樹脂層に対して紫外線を照射することにより光ラジカル重合反応させ、片面に微細凹凸が設けられ、他面に導電粒子が固定化された第1接続層を形成する工程;及び
工程(D)
導電粒子が固定化された第1接続層の他面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層を形成する工程。
(第1接続層を二段階の光重合反応で形成する場合)
工程(AA)
微細凹凸が形成された原盤を用いて、片面に微細凹凸が設けられた光重合性樹脂層を形成する工程;
工程(BB)
片面に微細凹凸が設けられた光重合性樹脂層の他面に導電粒子を単層で配列させる工程;
工程(CC)
導電粒子が配列した光重合性樹脂層に対して紫外線を照射することにより光重合反応させ、片面に微細凹凸が設けられ、他面に導電粒子が仮固定化された仮第1接続層を形成する工程;
工程(DD)
仮第1接続層の導電粒子側表面に、熱カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層を形成する工程;及び
工程(EE)
第2接続層と反対側から仮第1接続層に紫外線を照射することにより光重合反応させ、仮第1接続層を本硬化させて第1接続層を形成する工程。
工程(DD)で第2接続層の形成の際に使用する開始剤として熱重合開始剤に限定しているのは、異方性導電フィルムとしての製品ライフ、接続および接続構造体の安定性に悪影響が生じないようにするためである。つまり、第1接続層を二段階に分けて照射させる場合には、その工程上の制約から第2接続層は熱重合開始剤に限定せざるを得ない場合がある。なお、二段階照射を連続的に行う場合は、一段階と略同様の工程で形成することができるので、同等の作用効果が期待できる。
なお、本発明の第2接続層がタック層として機能する態様も本発明に包含される。
加えて、本発明は、上述の異方性導電フィルムで第1電子部品を第2電子部品に異方性導電接続した接続構造体を提供する。
本発明の異方性導電フィルムは、光重合樹脂層からなる第1接続層と、その他面に形成された熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層とを有しており、更に、第1接続層の第2接続層側表面には、異方性導電接続用の導電粒子が単層で配列されている。このため、導電粒子を第1接続層にしっかりと固定化できる。反射的に、良好な導通信頼性と良好な実装導電粒子捕捉率とを実現することができる。しかも、第1接続層の第2接続層反対面には微細凹凸が設けられている。このため、貼り付け性の改善のために第1接続層を柔らかい材質に代えることなく、従来の材料を使用しても良好な貼り付け性を実現でき、リペア性も改善できる。換言すれば、異方性導電フィルムにおいて、導電粒子の固定化とフィルムの貼り付け性とを両立できる。
なお、この接合が熱によるものの場合は、通常の異方性導電フィルムの接続方法と同様の方法になる。光によるものの場合は、接続ツールによる押し込みを、反応が終了するまでに行えばよい。この場合においても、接続ツール等は樹脂流動や粒子の押し込みを促進するため加熱されている場合が多い。また熱と光を併用する場合も、上記と同様に行えばよい。
図1は、本発明の異方性導電フィルムの断面図である。 図2は、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(A)の説明図である。 図3は、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(B)の説明図である。 図4Aは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(C)の説明図である。 図4Bは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(C)の説明図である。 図5Aは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(D)の説明図である。 図5Bは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(D)の説明図である。 図6は、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(AA)の説明図である。 図7は、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(BB)の説明図である。 図8Aは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(CC)の説明図である。 図8Bは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(CC)の説明図である。 図9Aは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(DD)の説明図である。 図9Bは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(DD)の説明図である。 図10Aは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(EE)の説明図である。 図10Bは、本発明の異方性導電フィルムの製造工程(EE)の説明図である。
<<異方性導電フィルム>>
以下、本発明の異方性導電フィルムの好ましい一例を詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の異方性導電フィルム1は、片面2bに微細凹凸2cが設けられた光重合性樹脂層を光重合させた光重合樹脂層からなる第1接続層2の他面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層3が形成された構造を有している。そして、第1接続層2の第2接続層3側の表面2aには、異方性導電接続のために導電粒子4が単層で配列、好ましくは均等に配列されている。ここで均等とは、導電粒子が平面方向に配列されている状態を意味する。この規則性は一定の間隔で設けられてもよい。
<第1接続層2>
本発明の異方性導電フィルム1を構成する第1接続層2は、片面に微細凹凸が設けられた光重合性樹脂層を光重合させた光重合樹脂層であるから、導電粒子を固定化できる。また、重合しているので、異方性導電接続時に加熱されても樹脂が流れ難くなるので、ショートの発生を大きく抑制でき、従って導通信頼性を向上させ、実装導電粒子捕捉率も向上させることができる。しかも、片面に微細凹凸が設けられているため、導電粒子の配列を乱すことなく、良好な貼り付け性を実現することができる。また、導電粒子が光照射で光重合した第1接続層に保持されているので、フィルム自体に腰があり、その結果、リペア性も改善できる。なお、微細凹凸は第1接続層2の表面積を増大させるので、第1接続層2に未重合成分が存在した場合には、その染み出しによる表面タック性の向上を期待することができる。
このような第1接続層2の好ましい態様としては、片面に微細凹凸が設けられた、アクリレート化合物と光ラジカル重合開始剤とを含む光ラジカル重合性樹脂層を光ラジカル重合させた光ラジカル重合樹脂層である。以下、第1接続層2が光ラジカル重合樹脂層である場合について説明する。
なお、光重合性樹脂層の片面に微細凹凸を設ける手法としては、例えば、微細凹凸が形成された金属製若しくはガラス製のロール状若しくは平板状の原盤に、光重合性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射により半硬化させることや、光ラジカル重合性樹脂フィルムを押し当て、紫外線照射により半硬化させること等が挙げられる。その他に、特開2011−2853号公報、WO2007/040159号公報、WO2008/096872号公報、特開2012−086515号公報、特許第4535199号明細書等に開示の手法により光重合性樹脂層の片面に微細凹凸を設けることができる。これらの手法は微細構造が最も精緻な場合であり、これよりも構造を大きくするにあたり、種々の公知手法を用いて凹凸用の原盤を得て、使用する態様も本発明には含まれるものである。
微細凹凸2cは、製造時の品質検査の簡易性の観点から、好ましくは平面方向に規則的パターンで形成されている。このような規則的パターンの例としては、六角格子、斜方格子、正方格子、矩形格子、平行体格子等を挙げることができる。
微細凹凸2cの凹部の底部から凸部の頂点までの平均距離(凹凸深さ)は、貼り付け性とリペア性との両立という観点から、導電粒子4の平均粒子径の好ましくは1/50〜10倍、より好ましくは1/20〜3倍である。また、微細凹凸2cのピッチ(凹凸の一サイクル幅)は、貼り付け性とリペア性との両立という観点から、導電粒子4の平均粒子径の好ましくは1/50〜10倍、より好ましくは1/20〜3倍である。
なお、微細凹凸2cの凹凸の底部から凸部の頂点までの平均距離や凹凸ピッチの測定は、電子顕微鏡や光学顕微鏡を用いて測定することができる。
また、本発明では、微細凹凸2cの高さを揃えることが好ましい。これは、微細凹凸2cの高さを揃えることにより、微細凹凸2cの凸部の接触点が増加して第1接続層2の摩擦係数が増大するので、異方性導電フィルムの使用時の位置ズレを防止しやすくなるためである。微細凹凸の高さが揃っている程度は、異方性導電フィルムを切断し、その断面を走査電子顕微鏡で観察することで評価できる。具体的には、切断した異方性導電フィルムの第2接続層側の表面を基準面とし、所定数(例えば、10領域選択し各領域について凸部200個)の凸部について、基準面から凸部先端までの距離を測定して平均値(高さ平均値)を求め、高さ平均値と各凸部の距離とを対比することで評価することができる。具体的には、基準面から各凸部の先端までの距離が、高さ平均値の90%〜110%であることが好ましい。
(アクリレート化合物)
アクリレート単位となるアクリレート化合物としては、従来公知の光ラジカル重合性アクリレートを使用することができる。例えば、単官能(メタ)アクリレート(ここで、(メタ)アクリレートにはアクリレートとメタクリレートとが包含される)、二官能以上の多官能(メタ)アクリレートを使用することができる。本発明においては、接着剤を熱硬化性とするために、アクリル系モノマーの少なくとも一部に多官能(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
第1接続層2におけるアクリレート化合物の含有量は、少なすぎると第2接続層3との粘度差を付けにくくなる傾向があり、多すぎると硬化収縮が大きく作業性が低下する傾向があるので、好ましくは2〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤の中から適宜選択して使用することができる。例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンジルケタール系光重合開始剤、リン系光重合開始剤等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の使用量は、アクリレート化合物100質量部に対し、少なすぎると光ラジカル重合が十分に進行せず、多すぎると剛性低下の原因となるので、好ましくは0.1〜25質量部、より好ましくは0.5〜15質量部である。
(導電粒子)
導電粒子としては、従来公知の異方性導電フィルムに用いられているものの中から適宜選択して使用することができる。例えばニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウムなどの金属粒子、金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。2種以上を併用することもできる。
導電粒子の平均粒径としては、小さすぎると配線の高さのばらつきを吸収できず抵抗が高くなる傾向があり、大きすぎてもショートの原因となる傾向があるので、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜15μmである。
このような導電粒子の第1接続層2中の粒子量は、少なすぎると実装導電粒子捕捉数が低下して異方性導電接続が難しくなり、多すぎるとショートすることが懸念されるので、好ましくは1平方mm当たり50〜50000個、より好ましくは200〜30000個である。
第1接続層2には、必要に応じて、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などの膜形成樹脂を併用することができる。第2接続層3にも同様に併用してもよい。
第1接続層2の層厚は、薄すぎると実装導電粒子捕捉率が低下する傾向があり、厚すぎると導通抵抗が高くなる傾向があるので、好ましくは1.0〜6.0μm、より好ましくは2.0〜5.0μmである。
第1接続層2には、更に、エポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有させることもできる。この場合、後述するように、第2接続層3もエポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有する熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層とすることが好ましい。これにより、層間剥離強度を向上させることができる。エポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤については、第2接続層3で説明する。
第1接続層2においては、図1に示すように、導電粒子4が、第2接続層3に食い込んでいる(換言すれば、導電粒子4が第1接続層2の表面に露出している)ことが好ましい。導電粒子がすべて第1接続層2に埋没していると、抵抗導通が高くなることが懸念されるからである。食い込みの程度は、小さすぎると実装導電粒子捕捉率が少なくなる傾向があり、大きすぎると導通抵抗が高くなる傾向があるので、好ましくは導電粒子の平均粒子径の10〜90%、より好ましくは20〜80%である。
また、光重合性樹脂層に紫外線を照射して第1接続層2を形成する場合、微細凹凸2cが形成されている面と導電粒子が配置されている側の面のいずれから照射してもよいが、導電粒子が配置されている側から照射した場合には、第1接続層2において、導電粒子4と第1接続層2の最外表面2bとの間に位置する第1接続層の領域2Xの硬化率を、互いに隣接する導電粒子4間に位置する第1接続層の領域2Yの硬化率よりも低くすることができる。これにより、異方性導電接続の熱圧着の際に、第1接続層の領域2Xが排除され易くなり、導通信頼性が向上する。ここで、硬化率はビニル基の減少比率と定義される数値であり、第1接続層の領域2Xの硬化率は好ましくは40〜80%であり、第1接続層の領域2Yの硬化率は好ましくは70〜100%である。
ここで、導電粒子が配置されていない面から照射した場合は、第1接続層の領域2Xと2Yの硬化率の差が、実質的になくなる。これは、ACFの製品品質の上では好ましい。ACF製造工程において、導電粒子の固定化が促進し、安定な品質を確保できるためである。製品として一般的な長尺化をする際、巻き始めと巻き終わりで、配列した導電粒子にかかる圧力を略同一にすることができ、配列の乱れを防止できるためである。
なお、第1接続層2の形成の際の光ラジカル重合は、一段階(即ち、一回の光照射)で行ってもよいが、二段階(即ち、二回の光照射)で行ってもよい。この場合、二段階目の光照射は、第1接続層2の導電粒子4が配置されている他面に第2接続層3が形成された後に、酸素含有雰囲気(大気中)下で第1接続層2の微細凹凸形成面から行うことが好ましい。これにより、ラジカル重合反応が酸素阻害され、未硬化成分の表面濃度が高まり、タック性を向上させることができるという効果を期待できる。また、硬化を二段階で行うことで重合反応も複雑化するため、樹脂や粒子の流動性の精緻な制御が可能となることも期待できる。
このような二段階の光ラジカル重合における第1接続層の領域2Xの第一段階における硬化率は好ましくは10〜50%であり、第二段階における硬化率は好ましくは40〜80%であり、第1接続層の領域2Yの第一段階における硬化率は好ましくは30〜90%であり、第二段階における硬化率は好ましくは70〜100%である。
また、第1接続層2の形成の際の光ラジカル重合反応が二段階で行われる場合、ラジカル重合開始剤として1種類だけ使用することもできるが、ラジカル反応を開始する波長帯域が異なる2種類の光ラジカル重合開始剤を使用することがタック性向上のために好ましい。例えば、LED光源からの波長365nmの光でラジカル反応を開始する光ラジカル重合開始剤(例えば、IRGACURE369、BASFジャパン(株))と、高圧水銀ランプ光源からの光でラジカル反応を開始する光ラジカル重合開始剤(例えば、IRGACURE2959、BASFジャパン(株))とを併用することが好ましい。このように2種類の異なる光ラジカル重合開始剤を使用することで樹脂の結合が複雑化するため、接続時の樹脂の熱流動の挙動をより精緻に制御することが可能になる。これは異方性導電接続の押し込み時に、粒子は厚み方向にかかる力は受け易くなるが、面方向への流動は抑制されるため本発明の効果がより発現しやすくなるからである。
また、第1接続層2のレオメーターで測定した際の最低溶融粘度は、第2接続層3の最低溶融粘度よりも高いこと、具体的には[第1接続層2の最低溶融粘度(mPa・s)]/[第2接続層3の最低溶融粘度(mPa・s)]の数値が、好ましくは1〜1000、より好ましくは4〜400である。なお、それぞれの好ましい最低溶融粘度は、前者については100〜100000mPa・s、より好ましくは500〜50000mPa・sである。後者については好ましくは0.1〜10000mPa・s、より好ましくは0.5〜1000mPa・sである。
第1接続層2の形成は、微細凹凸が形成された原盤を用いて、光ラジカル重合性樹脂層に微細凹凸を形成した後、微細凹凸面の反対側の面に、フィルム転写法、金型転写法、インクジェット法、静電付着法等の手法により導電粒子を付着させ、紫外線を導電粒子側、その反対側、もしくは両側から照射することにより行うことができる。特に、紫外線を導電粒子側からのみ照射することが、第1接続層の領域2Xの硬化率を相対的に低く抑制することができる点から好ましい。
<第2接続層3>
第2接続層3は、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層、好ましくはエポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有する熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層、又はアクリレート化合物と熱又は光ラジカル重合開始剤とを含有する熱又は光ラジカル重合性樹脂層からなる。ここで、第2接続層3を熱重合性樹脂層から形成することは、第1接続層2を形成する際の紫外線照射により第2接続層3の2重合反応が生じないため、生産の簡便性および品質安定性の上では望ましい。
第2接続層3が、熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層である場合、更に、アクリレート化合物と熱又は光ラジカル重合開始剤とを含有することができる。これにより第1接続層2と層間剥離強度を向上させることができる。
(エポキシ化合物)
第2接続層3がエポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有する熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層である場合、エポキシ化合物としては、分子内に2つ以上のエポキシ基を有する化合物もしくは樹脂が好ましく挙げられる。これらは液状であっても、固体状であってもよい。
(熱カチオン重合開始剤)
熱カチオン重合開始剤としては、エポキシ化合物の熱カチオン重合開始剤として公知のものを採用することができ、例えば、熱により、カチオン重合性化合物をカチオン重合させ得る酸を発生するものであり、公知のヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、フェロセン類等を用いることができ、温度に対して良好な潜在性を示す芳香族スルホニウム塩を好ましく使用することができる。
熱カチオン重合開始剤の配合量は、少なすぎても硬化不良となる傾向があり、多すぎても製品ライフが低下する傾向があるので、エポキシ化合物100質量部に対し、好ましくは2〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部である。
(熱アニオン重合開始剤)
熱アニオン重合開始剤としては、エポキシ化合物の熱アニオン重合開始剤として公知のものを採用することができ、例えば、熱により、アニオン重合性化合物をアニオン重合させ得る塩基を発生するものであり、公知の脂肪族アミン系化合物、芳香族アミン系化合物、二級又は三級アミン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリメルカプタン系化合物、三フッ化ホウ素−アミン錯体、ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジッド等を用いることができ、温度に対して良好な潜在性を示すカプセル化イミダゾール系化合物を好ましく使用することができる。
熱アニオン重合開始剤の配合量は、少なすぎても硬化不良となる傾向があり、多すぎても製品ライフが低下する傾向があるので、エポキシ化合物100質量部に対し、好ましくは2〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部である。
(光カチオン重合開始剤及び光アニオン重合開始剤)
エポキシ化合物用の光カチオン重合開始剤又は光アニオン重合開始剤としては、公知のものを適宜使用することができる。
(アクリレート化合物)
第2接続層3がアクリレート化合物と熱又は光ラジカル重合開始剤とを含有する熱又は光ラジカル重合性樹脂層である場合、アクリレート化合物としては、第1接続層2に関して説明したものの中から適宜選択して使用することができる。
(熱ラジカル重合開始剤)
また、熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物やアゾ系化合物等が挙げられるが、気泡の原因となる窒素を発生しない有機過酸化物を好ましく使用することができる。
熱ラジカル重合開始剤の使用量は、少なすぎると硬化不良となり、多すぎると製品ライフの低下となるので、アクリレート化合物100質量部に対し、好ましくは2〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部である。
(光ラジカル重合開始剤)
アクリレート化合物用の光ラジカル重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤を使用することができる。
光ラジカル重合開始剤の使用量は、少なすぎると硬化不良となり、多すぎると製品ライフの低下となるので、アクリレート化合物100質量部に対し、好ましくは2〜60質量部、より好ましくは5〜40質量部である。
<<異方性導電フィルムの製造方法>>
本発明の異方性導電フィルムの製造方法には、一段階の光重合反応を行う製造方法と、二段階の光重合反応を行う製造方法が挙げられる。
<一段階の光重合反応を行う製造方法>
図1(図5B)の異方性導電フィルムを一段階で光重合させて製造する一例を説明する。この製造例は、以下の工程(A)〜(D)を有する。
(工程(A))
まず、微細凹凸が形成された原盤(図示せず)を用いて、図2に示すように、片面に微細凹凸2cを有する光重合性樹脂層31を形成する。この形成は、公知の手法を用いて行うことができる。また、光重合性樹脂層31は、原盤から引き剥がし、必要に応じて剥離フィルムに支持させて次工程に供してよいが、原盤に光重合性樹脂層31を支持させたまま、次工程に供することが、後続する工程で微細凹凸が損なわれ難い点で好ましい。
(工程(B))
図3に示すように、片面に微細凹凸2cを有する光重合性樹脂層31に、導電粒子4を単層で配列させる。導電粒子4の配列の手法としては、特に制限はなく、特許第4789738号の実施例1の無延伸ポリプロピレンフィルムに2軸延伸操作を利用する方法や、特開2010−33793号公報の金型を使用する方法等を採用することができる。なお、配列の程度としては、接続対象のサイズ、導通信頼性、絶縁性、実装導電粒子捕捉率等を考慮し、2次元的に互いに1〜100μm程度離隔して配列されることが好ましい。
(工程(C))
次に、図4Aに示すように、導電粒子4が配列されている光重合性樹脂層31に対して、紫外線を照射して光重合反応させ、表面に導電粒子4が固定化された第1接続層2を形成する。この場合、紫外線(UV)を導電粒子側から照射しても微細凹凸側から照射してもよいが、導電粒子側から紫外線(UV)を照射した場合には、図4Bに示すように、導電粒子4と第1接続層2の最外表面との間に位置する第1接続層の領域2Xの硬化率を、互いに隣接する導電粒子4間に位置する第1接続層の領域2Yの硬化率よりも低くすることができる。このようにすることで、粒子の裏側の硬化性は確実に低くなり接合時の押し込みを容易にし、且つ粒子の流動を防ぐ効果も同時に備えることができる。
(工程(D))
次に、図5Aに示すように、第1接続層2の導電粒子4側表面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層3を形成する。具体的な一例として、剥離フィルム40に常法により形成された第2接続層3を、第1接続層2の導電粒子4側表面に載せ、過大な熱重合が生じない程度に熱圧着する。そして剥離フィルム40と原盤とを取り除くことにより図5Bの異方性導電フィルム1を得ることができる。
<二段階の光重合反応を行う製造方法>
次に、図1(図5B)の異方性導電フィルムを二段階で光重合させて製造する一例を説明する。この製造例は、以下の工程(AA)〜(EE)を有する。
(工程(AA))
まず、微細凹凸が形成された原盤(図示せず)を用いて、図6に示すように、片面に微細凹凸2cを有する光重合性樹脂層31を形成する。この形成は、公知の手法を用いて行うことができる。また、光重合性樹脂層31は、原盤から引き剥がし、必要に応じて剥離フィルムに支持させて次工程に供してよいが、原盤に光重合性樹脂層31を支持させたまま、次工程に供することが、後続する工程で微細凹凸が損なわれ難い点で好ましい。
(工程(BB))
図7に示すように、片面に微細凹凸2cを有する光重合性樹脂層31に、導電粒子4を単層で配列させる。導電粒子4の配列の手法としては、特に制限はなく、特許第4789738号の実施例1の無延伸ポリプロピレンフィルムに2軸延伸操作を利用する方法や、特開2010−33793号公報の金型を使用する方法等を採用することができる。なお、配列の程度としては、接続対象のサイズ、導通信頼性、絶縁性、実装導電粒子捕捉率等を考慮し、2次元的に互いに1〜100μm程度離隔して配列されることが好ましい。
(工程(CC))
次に、図8Aに示すように、導電粒子4が配列した光重合性樹脂層31に対して、紫外線を照射して光重合反応させ、表面に導電粒子4が仮固定化された仮第1接続層20を形成する。この場合、紫外線(UV)を導電粒子側から照射しても微細凹凸側から照射してもよいが、導電粒子側から紫外線(UV)を照射した場合には、図8Bに示すように、導電粒子4と仮第1接続層20の最外表面との間に位置する仮第1接続層の領域2Xの硬化率を、互いに隣接する導電粒子4間に位置する仮第1接続層の領域2Yの硬化率よりも低くすることができる。このようにすることで、粒子の裏側の硬化性は確実に低くなり接合時の押し込みを容易にし、且つ粒子の流動を防ぐ効果も同時に備えることができる。
(工程(DD))
次に、図9Aに示すように、仮第1接続層20の導電粒子4側表面に、熱カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層3を形成する。具体的な一例として、剥離フィルム40に常法により形成された第2接続層3を、第1接続層2の導電粒子4側表面に載せ、過大な熱重合が生じない程度に熱圧着する。そして剥離フィルム40と原盤とを取り除くことにより図9Bの異方性導電フィルム50を得ることができる。
(工程(EE))
次に、図10Aに示すように、第2接続層3と反対側から仮第1接続層20に紫外線を照射することにより光重合反応させ、仮第1接続層20を本硬化させて第1接続層2を形成する。これにより、図10Bの異方性導電フィルム1を得ることができる。この工程における紫外線の照射は、仮第1接続層に対し垂直方向から行うことが好ましい。また、第1接続層の領域2Xと2Yの硬化率差が消失しないようにする場合には、マスクを介して照射したり、照射部位により照射光量に差を設けることが好ましい。
<<接続構造体>>
このようにして得られた異方性導電フィルムは、ICチップ、ICモジュールなどの第1電子部品と、フレキシブル基板、ガラス基板などの第2電子部品とを異方性導電接続する際に好ましく適用することができる。このようにして得られる接続構造体も本発明の一部である。なお、異方性導電フィルムの第1接続層側をフレキシブル基板等の第2電子部品側に配し、第2接続層側をICチップなどの第1電子部品側に配することが、導通信頼性を高める点から好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1〜6、比較例1
日本特許第4789738号の実施例1の操作に準じて導電粒子の配列を行うとともに、表1に示す配合(質量部)に従って第1接続層と第2接続層とが積層された2層構造の異方性導電フィルムを作成した。
(第1接続層)
具体的には、まず、アクリレート化合物及び光ラジカル重合開始剤等を酢酸エチル又はトルエンにて固形分が50質量%となるように混合液を調製した。この混合液を、表1に示す微細凹凸構造占有面積並びに微細凹凸平均深さを第1接続層に付与することができるアルミニウム平板状の原盤に、乾燥厚が3μmとなるように塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥することにより、第1接続層の前駆層である光ラジカル重合性樹脂層を形成した。
次に、原盤に支持されているままの光ラジカル重合性樹脂層の露出面に対し、平均粒子径4μmの導電粒子(Ni/Auメッキ樹脂粒子、AUL704、積水化学工業(株))を、互いに4μm離隔して単層で配列させた。更に、この導電粒子側から光ラジカル重合性樹脂層に対し、波長365nm、積算光量4000mJ/cmの紫外線を照射することにより、表面に導電粒子が固定された第1接続層を形成した。
(第2接続層)
熱硬化性樹脂及び潜在性硬化剤等を酢酸エチル又はトルエンにて固形分が50質量%となるように混合液を調製した。この混合液を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、乾燥厚が12μmとなるように塗布し、80℃のオーブン中で5分間乾燥することにより、第2接続層を形成した。
(異方性導電フィルム)
このようにして得られた第1接続層と第2接続層とを、導電粒子が内側となるようにラミネートすることにより異方性導電フィルムを得た。
(接続構造サンプル体)
得られた異方性導電フィルムを用いて、0.5×1.8×20.0mmの大きさのICチップ(バンプサイズ30×85μm:バンプ高さ15μm、バンプピッチ50μm)を、0.5×50×30mmの大きさのコーニング社製のガラス配線基板(1737F)に180℃、80MPa、5秒という条件で実装して接続構造サンプル体を得た。
(試験評価)
得られた接続構造サンプル体について、以下に説明するように、異方性導電フィルムの「微細凹凸構造面積占有率」、「微細凹凸平均深さ」、「第1接続層の微細凹凸面のタック力」、「バンプ平面内における平均導電粒子間距離(μm)」、「導通信頼性」及び「絶縁性」を試験評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、「絶縁性」の評価の場合には、0.5×1.5×13mmの大きさのICチップ(金メッキバンプサイズ25×140μm:バンプ高さ15μm、バンプ間スペース7.5μm)を、0.5×50×30mmの大きさのコーニング社製のガラス配線基板(1737F)に180℃、80MPa、5秒という条件で実装して得た接続構造サンプル体を使用した。
「微細凹凸構造面積占有率」
第1接続層の微細凹凸構造面積占有率(凸部若しくは凹部のいずれかが占有する面積の割合)を、電子顕微鏡画像を画像解析することにより計測した。
「微細凹凸平均深さ」
第1接続層の微細凹凸の平均凹凸深さ(凹部底部と凸部頂部との間の平均距離)を、電子顕微鏡画像を画像解析することにより計測した。
「第1接続層の微細凹凸面のタック力」
第1接続層の微細凹凸面のタック力を、JIS Z0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準拠したタック試験機(TACII、(株)レスカ)を用い、22℃の雰囲気下において、プローブ直径5mm(ステンレス製鏡面、円柱状)、押し付け荷重196kgf、押し付け速度30mm/min、剥離速度5mm/minの測定条件で、プローブを異方性導電フィルムの第1接続層に押し付けて測定した。タック力が3kPaより大きくなると、貼り付け性に優れていると判断できる。
「バンプ平面内における平均導電粒子間距離(μm)」
接続構造体サンプル体のバンプ平面内の100個の導電粒子について、導電粒子の相互間距離を光学顕微鏡を用いて測定し、測定結果の算術平均を求め、平均導電粒子間距離とした。
「導通信頼性」
接続構造サンプル体を85℃、85%RHの高温高湿環境下に500時間放置した後の導通抵抗を、デジタルマルチメーター(アジレント・テクノロジー(株))を用いて測定した。実用上、4Ω以下であることが望ましい。
「絶縁性(ショート発生率)」
7.5μmスペースの櫛歯TEGパターンのショート発生率を求めた。実用上100ppm以下であれば、絶縁性が良好と判断できる。
Figure 0006428325
表1から、実施例1〜6の異方性導電フィルムについては、第1接続層表面に微細凹凸が設けられていたので、仮貼り性とリペア性とに優れた「第1接続層の微細凹凸面のタック力」を示し、「バンプ平面内における平均導電粒子間距離(μm)」のデータから異方性導電接続時に導電粒子がズレにくく、「導通信頼性」及び「絶縁性」にも優れていることがわかる。
また、前述したとおり、実施例1〜6の異方性導電フィルムは、その第1接続層表面に微細凹凸を有する。このため、タック性が向上していた。このタック性の向上の要因は、接着面との接触面積の増大により面方向への移動に際しての摩擦抵抗の上昇や、第1接続層内部に包含されている未硬化の樹脂成分の表面へのしみ出し等にあると考えられる。タック性の向上の効果は、平面でのズレの抑制である。これらは、凹凸を持った光重合硬化物(即ち第1接続層)であるため、上記のように平面方向でのズレを抑制でき、且つ硬化物を含んでいるため腰があるため貼り付け性も良好になる。
それに対し、比較例1の異方性導電フィルムは、第1接続層表面に微細凹凸が設けられていなかったので、捕捉された導電粒子の粒子間距離が比較的大きくなり、絶縁性が低下したことがわかる。このことから、導電粒子の裏面に相当する第1接続層表面に微細凹凸構造が存在することで、異方性接続の際に、導電粒子の近傍(特に、異方性接続される方向、即ち導電粒子が押し込まれる先)で微小なランダムな樹脂流動が発生し、平面方向での導電粒子の移動が抑制されたことが強く推認される。このことは、ショートの発生率が比較的低いことからも裏付けられる。
実施例7
第1接続層形成の際、紫外線を積算光量2000mJ/cmで照射すること以外、実施例1と同様に異方性導電フィルムを作成した。この異方性導電フィルムの第1接続層側から、更に波長365nmの紫外線を積算光量2000mJ/cmで照射することにより、第1接続層の両面から紫外線が照射された実施例7の異方性導電フィルムを得た。この異方性導電フィルムを用いて、実施例1の異方性導電フィルムと同様に接続構造サンプル体を作成し、評価したところ、ほぼ同等の実用上問題ない結果が得られたが、導通信頼性について更に改善される傾向があった。
本発明の異方性導電フィルムは、光ラジカル重合樹脂層からなる第1接続層と、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層とが積層された2層構造を有しており、更に、第1接続層の第2接続層側表面には、異方性導電接続用の導電粒子が単層で配列されている。しかも第1接続層の表面には微細凹凸が設けられている。このため、導通信頼性や絶縁性を損なうことなく、良好な仮貼り性とリペア性とを実現している。よって、ICチップなどの電子部品の配線基板への異方性導電接続に有用である。このような電子部品の配線は狭小化が進んでおり、本発明はこのような技術的進歩に貢献する場合において、特にその効果を発現することになる。
1 異方性導電フィルム
2 第1接続層
2c 微細凹凸
2X、2Y (仮)第1接続層の領域
3 第2接続層
4 導電粒子
40 剥離フィルム
20 仮第1接続層
31 光重合性樹脂層
50 仮異方性導電フィルム

Claims (14)

  1. 第1接続層とその片面に形成された第2接続層とを有する異方性導電フィルムであって、
    第1接続層が、光重合樹脂層であり、
    第2接続層が、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層であり、
    第1接続層の第2接続層側表面に、異方性導電接続用の導電粒子が単層で配列されており、
    第1接続層の第2接続層反対側表面に微細凹凸が設けられている
    ことを特徴とする異方性導電フィルム。
  2. 第1接続層とその片面に形成された第2接続層とを有する異方性導電フィルムであって、
    第1接続層が、光重合樹脂層であり、
    第2接続層が、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層であり、
    第1接続層の第2接続層側表面に、異方性導電接続用の導電粒子が単層で一定の間隔で設けられており、
    第1接続層の第2接続層反対側表面に微細凹凸が設けられている
    ことを特徴とする異方性導電フィルム。
  3. 該微細凹凸が規則的パターンで設けられている請求項1または2記載の異方性導電フィルム。
  4. 該微細凹凸の凹部の底部から凸部の頂点までの平均距離が、導電粒子の平均粒子径の1/50〜10倍である請求項1〜3のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  5. 該微細凹凸パターンのピッチが、導電粒子の平均粒子径の1/50〜10倍である請求項1〜のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  6. 第1接続層が、アクリレート化合物と光ラジカル重合開始剤とを含む光ラジカル重合性樹脂層を光ラジカル重合させた光ラジカル重合樹脂層である請求項1〜のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  7. 第1接続層が、更に、エポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有している請求項1〜のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  8. 第2接続層が、エポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有する熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層、又はアクリレート化合物と熱又は光ラジカル重合開始剤とを含有する熱又は光ラジカル重合性樹脂層である請求項1〜のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  9. 第2接続層が、エポキシ化合物と熱又は光カチオン若しくはアニオン重合開始剤とを含有する熱又は光カチオン若しくはアニオン重合性樹脂層である場合、更にアクリレート化合物と熱又は光ラジカル重合開始剤とを含有する請求項記載の異方性導電フィルム。
  10. 請求項1記載の異方性導電フィルムの製造方法であって、以下の工程(A)〜(D):
    工程(A)
    微細凹凸が形成された原盤を用いて、片面に微細凹凸が設けられた光重合性樹脂層を形成する工程;
    工程(B)
    片面に微細凹凸が設けられた光重合性樹脂層の他面に導電粒子を単層で配列させる工程;
    工程(C)
    導電粒子が配列した光重合性樹脂層に対して紫外線を照射することにより光ラジカル重合反応させ、片面に微細凹凸が設けられ、他面に導電粒子が固定化された第1接続層を形成する工程;及び
    工程(D)
    導電粒子が固定化された第1接続層の他面に、熱又は光カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層を形成する工程
    を有する製造方法。
  11. 工程(B)の紫外線照射を、光重合性樹脂層の導電粒子が配列した側から行う請求項10記載の製造方法。
  12. 請求項1記載の異方性導電フィルムの製造方法であって、以下の工程(AA)〜(EE):
    工程(AA)
    微細凹凸が形成された原盤を用いて、片面に微細凹凸が設けられた光重合性樹脂層を形成する工程;
    工程(BB)
    片面に微細凹凸が設けられた光重合性樹脂層の他面に導電粒子を単層で配列させる工程;
    工程(CC)
    導電粒子が配列した光重合性樹脂層に対して紫外線を照射することにより光重合反応させ、片面に微細凹凸が設けられ、他面に導電粒子が仮固定化された仮第1接続層を形成する工程;
    工程(DD)
    仮第1接続層の導電粒子側表面に、熱カチオン、アニオン若しくはラジカル重合性樹脂層からなる第2接続層を形成する工程;及び
    工程(EE)
    第2接続層と反対側から仮第1接続層に紫外線を照射することにより光重合反応させ、仮第1接続層を本硬化させて第1接続層を形成する工程
    を有する製造方法。
  13. 工程(CC)の紫外線照射を、光重合性樹脂層の導電粒子が配列した側から行う請求項12記載の製造方法。
  14. 請求項1〜のいずれかに記載の異方性導電フィルムで第1電子部品を第2電子部品に異方性導電接続した接続構造体。
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