ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)私有車両の構成:
(2)携帯端末の構成:
(3)サーバ(経路探索システムの構成)の構成:
(4)私有車両とサーバとが実行する処理:
(5)携帯端末とサーバとが実行する処理:
(6)他の実施形態:
(1)私有車両の構成:
図1は、経路案内システムの構成を示すブロック図である。経路案内システムは、サーバ10と携帯端末110と私有車両210とを含む。サーバ10は、携帯端末110が案内する案内経路を探索するコンピュータであり、本発明の一実施形態にかかる経路探索システムに相当する。
まず、私有車両210の構成について説明する。私有車両210には、ナビゲーション装置220と通信部240とGPS受信部241とが備えられている。私有車両210とは、自家用自動車であり、携帯端末110の使用者が居住する自宅または自宅周辺の保管場所(車庫、駐車場等)に保管される車両である。なお、本明細書において使用者とは、携帯端末110の使用者を意味する。また、私有車両210は、携帯端末110の使用者が乗車可能な自動車である。
ナビゲーション装置220は、図示しないディスプレイに私有車両210の周辺の地図を表示させ、当該地図上に私有車両210の現在位置を表示させるナビゲーションプログラムを実行するコンピュータを含む。GPS受信部241は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して私有車両210の現在位置を算出するための信号をナビゲーション装置220に出力する。ナビゲーション装置220は、ジャイロセンサや車速センサ等から出力された信号に基づいて私有車両210の現在位置を特定してもよい。さらに、ナビゲーション装置220は、公知のマップマッチングによって私有車両210の現在位置を特定してもよい。通信部240は、サーバ10と通信するための回路によって構成される。
ナビゲーション装置220は、ナビゲーション装置220の電源がONである状態、すなわち私有車両210のアクセサリーポジション(ACC)がONである状態において、所定の送信時間周期ごとに、私有車両210が移動中であることを示す状態フラグと、私有車両210の現在位置と、乗物識別コードとを示す通知情報をサーバ10に送信する。また、ナビゲーション装置220は、ナビゲーション装置220の電源をOFFにする直前に実行する停止準備処理において、私有車両210が停止中であることを示す状態フラグと、私有車両210の現在位置と、乗物識別コードとを示す通知情報をサーバ10に送信する。乗物識別コードは、ナビゲーション装置220の個体に固有の識別符号であり、予めナビゲーション装置220のROMに登録されている。サーバ10は、通知情報に基づいて、私有車両210が移動中であるか停止中であるかを判定できるとともに、私有車両210の現在位置を取得できる。
(2)携帯端末の構成:
携帯端末110は、CPUとRAMとROM等を備える制御部120と記録媒体130と通信部140とGPS受信部141とUI(ユーザ・インタフェイス)部142とを備えており、当該記録媒体130やROMに記憶されたプログラムを制御部120が実行する。制御部120は、このプログラムの一つとして経路案内プログラム121を実行する。GPS受信部141は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して携帯端末110の現在位置を算出するための信号を制御部120に出力する。なお、携帯端末110の現在位置は、当該携帯端末110の使用者が存在している地点と同視できる。通信部140は、サーバ10と通信するための回路によって構成される。制御部120は、通信部140を介してサーバ10と通信を行う。UI部142は、使用者にUI画像を表示させる表示部と、使用者からの操作を受け付ける操作部とを有し、例えばタッチパネルディスプレイを含んでもよい。
記録媒体130は、地図情報130aを記録する。地図情報130aには、自動車道路網と徒歩道路網と公共交通網(バス路線網、鉄道路線網、航空路線網等)を特定するデータや、目的地点として設定され得る施設を示す施設データ等が含まれている。各交通網を特定するデータは、2個のノード間を接続するリンクを特定するリンクデータと、前記ノードを示すノードデータと、携帯端末110の使用者が居住する自宅の位置を特定するデータ等を含む。リンクは各交通網に対応する移動手段が通行可能な通路の区間を意味し、ノードは当該区間の始点または終点を意味する。リンクデータには、リンク上のノード以外の位置に設定された形状補間点の位置を示す形状補間点データと、リンクの区間長を示す区間長データとが含まれる。なお、単一のノードに対して2種類以上の移動手段で通行可能なリンクが共通して接続している場合があり、このようなノードは移動手段の変更(乗換)が可能な地点(駅、バス停、空港等)を意味する。また、自動車道路網と徒歩道路網とにおいて多くのリンクが共通するが、自動車専用道路に対応するリンクは自動車道路網のみに含まれ、車道に併設されていない歩道に対応するリンクは徒歩道路網のみに含まれる。携帯端末110は、UI部142にて使用者が行った操作に基づいて自宅の位置を取得し、当該自宅の位置を特定するデータを記録媒体130に記録する。なお、自宅の位置として私有車両210の保管場所の位置を特定するデータを記録媒体130に記録するされてもよい。
経路案内プログラム121は、経路探索要求部121aと経路案内部121bとを含む。
経路探索要求部121aの機能により制御部120は、UI部142にて使用者が行った操作に基づいて出発地点と目的地点とを取得する。制御部120は、UI部142にて表示している地図上にて使用者が指定した出発地点や目的地点を取得してもよいし、使用者が入力した文字列を検索キーとして検索された出発地点や目的地点を取得してもよいし、UI部142にて選択された施設に対応する出発地点や目的地点を取得してもよい。なお、本実施形態において、制御部120は、携帯端末110の現在位置を出発地点として取得することとする。経路探索要求部121aの機能により制御部120は、UI部142にて使用者の自宅を目的地点として設定するための操作を受け付け、当該操作が受け付けられた場合、使用者の自宅を目的地点として取得する。
経路探索要求部121aの機能により制御部120は、出発地点と目的地点とを取得すると、出発地点と目的地点と使用者識別コードとを示す経路探索要求をサーバ10に送信する。使用者識別コードとは、携帯端末110の使用者に固有の識別符号であり、予めユーザ登録処理において使用者が指定したユーザID等が使用者識別コードとして記録媒体130に登録されている。経路探索要求部121aの機能により制御部120は、自宅が目的地点として指定された場合、出発地点と目的地点と使用者識別コードとのほかに、目的地点が自宅である旨と、携帯端末110の移動軌跡とを示す経路探索要求をサーバ10に送信する。携帯端末110の移動軌跡とは、過去(例えば過去24時間)における携帯端末110の現在位置の軌跡である。
経路案内部121bの機能により制御部120は、出発地点から目的地点までの案内経路を案内する。制御部120は、サーバ10から経路探索要求に応答して送信された経路情報を受信すると、当該経路情報が示す案内経路を取得する。案内経路とは、経路探索要求が示す出発地点から目的地点までを接続する経路であり、出発地点から目的地点までを接続する一連のリンクで構成される。案内経路は、単一の交通網から選択されたリンクのみで構成される場合もあるし、複数の交通網から選択されたリンクで構成される場合もある。後者の場合、案内経路上のいずれかのノードで移動手段の変更が行われることを意味する。制御部120は、UI部142に地図を表示させ、当該地図上に案内経路を表示させることにより、案内経路を案内する。
(3)サーバ(経路探索システムの構成)の構成:
サーバ10は、CPUとRAMとROM等を備える制御部20と記録媒体30と通信部40とを備えており、当該記録媒体130やROMに記憶されたプログラムを制御部20が実行する。制御部20は、このプログラムの一つとして経路探索プログラム21を実行する。
記録媒体30は、携帯端末110の地図情報130aと同様の地図情報30aを記録する。ただし、サーバ10の地図情報30aには、案内経路の探索に必要なデータとして、バスや鉄道や航空機等の公共交通機関の時刻表や料金表を示すデータが含まれている。また、記録媒体30は、乗物位置DB(データベース)30bを記録する。乗物位置DB30bは、ナビゲーション装置220が送信した通知情報であって、私有車両210が移動中または停止中であることを示す状態フラグと、私有車両210の現在位置と、ナビゲーション装置220の乗物識別コードとを示す通知情報を蓄積したデータベースである。
さらに、記録媒体30は、使用者DB(データベース)30cを記録する。使用者DB30cは、携帯端末110の使用者(使用者識別コード)ごとに、当該使用者が乗車できる私有車両210の乗物識別コードを対応付けて記録したデータベースである。例えば、ある使用者の同居家族が合計2台の私有車両210を所有しており、当該使用者が当該2台の私有車両210のいずれにも乗車できる場合、当該使用者の使用者識別コードに当該2台の乗物識別コードが対応付けられる。携帯端末110は、ユーザ登録処理において使用者識別コードとしてのユーザIDの指定を使用者から受け付けるとともに、使用者が乗車可能な私有車両210に搭載されたナビゲーション装置220の製造番号を乗物識別コードとして受け付ける。そして、携帯端末110は、ユーザ登録処理において受け付けた使用者識別コードと乗物識別コードとの対応関係を示す登録情報をサーバ10に送信し、当該サーバ10は当該登録情報を使用者DB30cに記録する。単一の私有車両210を複数人で共用する場合、使用者DB30cにおいて、単一の乗物識別コードに対して複数の使用者識別コードが対応付けられる。携帯端末110の単一の使用者が複数の私有車両210に乗車できる場合、使用者DB30cにおいて、単一の使用者識別コードに対して複数の乗物識別コードが対応付けられる。
通信部40は、携帯端末110および私有車両210と通信するための回路によって構成される。制御部20は、通信部40を介して、携帯端末110から経路探索要求を受信するとともに、当該経路探索要求に応答して経路情報を携帯端末110に送信する。また、制御部20は、通信部40を介して、私有車両210から通知情報を受信する。
経路探索プログラム21は、乗物位置取得部21aと判定部21bと経路探索部21cとを含む。
乗物位置取得部21aは、私有の乗物としての私有車両210が存在する位置である乗物位置を取得する機能を制御部20に実行させるモジュールである。乗物位置取得部21aの機能により制御部20は、私有車両210が移動中または停止中であることを示す状態フラグと、私有車両210の現在位置と、ナビゲーション装置220の乗物識別コードとを示す通知情報を乗物位置DB(データベース)30bに蓄積する。制御部20は、所定の上限蓄積数を上限として通知情報を乗物識別コードごとに乗物位置DB30bに蓄積する。
制御部20は、ある乗物識別コードについて最新の通知情報を蓄積することにより当該乗物識別コードに対応する通知情報の数が上限蓄積数よりも大きくなる場合、最も旧い通知情報を破棄した上で最新の通知情報を乗物位置DB30bに蓄積する。上述したように、通知情報は移動中である場合に所定の送信時間周期で送信されるため、私有車両210が移動中である場合、現在よりも所定期間以前の時刻から現在までの期間(以下、直近期間)に送信された通知情報が乗物位置DB30bに蓄積されることとなる。一方、私有車両210が停止中である場合、私有車両210が停止した停止時刻よりも所定期間以前の時刻から当該停止時刻までの期間(以下、停止直前期間)において送信された通知情報が乗物位置DB30bに蓄積されることとなる。なお、所定期間の上限値(例えば30分)は、通知情報の送信時間周期に上限蓄積数を乗算した期間と一致する。
乗物位置取得部21aの機能により制御部20は、携帯端末110から経路探索要求を受信した場合に、当該経路探索要求が示す使用者識別コードに対応する乗物識別コードを使用者DB30cから取得する。そして、制御部20は、経路探索要求が示す使用者識別コードに対応する乗物識別コードに対応する私有車両210の最新の現在位置である乗物位置を乗物位置DB30bから取得する。乗物位置DB30bにおいて、単一の乗物識別コードにつき上限蓄積数以下の通知情報が記録されているが、制御部20は、これらのうち最新の通知情報が示す私有車両210の現在位置を乗物位置として取得する。また、制御部20は、乗物位置DB30bから乗物位置とともに、移動中または停止中であることを示す状態フラグを取得する。
判定部21bは、使用者の自宅が目的地点として設定された場合、乗物位置が自宅に存在するか否かを判定する機能を制御部20に実行させるモジュールである。まず、経路探索要求が受信されると、判定部21bの機能により制御部20は、使用者の自宅が目的地点として指定されたか否かを判定する。具体的に、制御部20は、経路探索要求に自宅が目的地点として指定された旨の情報が含まれる場合に、自宅が目的地点として指定されたと判定する。そして、制御部20は、経路探索要求が示す目的地点としての使用者の自宅の位置と、当該使用者が乗車可能な私有車両210の乗物位置との間の距離が所定距離以下である場合に、乗物位置が自宅に存在すると判定する。所定距離は、記録媒体30に記録されている。また、所定距離は、自宅から私有車両210を保管する場所までの距離として妥当な距離の上限値であり、所定期間(例えば10分)以内に歩行できる距離の上限値であってもよい。
経路探索部21cは、乗物位置が自宅に存在しない場合、乗物位置を経由し、かつ、乗物位置から私有車両210を使用して自宅に向かう案内経路を探索する機能を制御部20に実行させるモジュールである。本実施形態において、制御部20は、各交通網を構成するリンクごとにリンクコストを設定し、当該リンクコストを経路全体について合計したトータルコストが小さくなるように案内経路を探索する。具体的に、制御部20は、リンクの通行に要する旅行時間が大きいほどリンクコストを大きく設定する。なお、本実施形態において、制御部20は、タクシーを使用した案内経路を探索しないこととする。
制御部20は、リンクの区間長を自動車および徒歩の標準速度で除算することにより自動車道路網および徒歩道路網を構成するリンクの旅行時間を取得する。標準速度は、自動車または徒歩でリンクを通行する場合の平均的な車速であり、自動車についての標準速度はリンクにおける制限車速や渋滞度に応じて設定されてもよい。制御部20は、地図情報130aにおける時刻表を示すデータを参照することにより、公共交通網を構成するリンクの旅行時間を取得する。また、制御部20は、公共交通網を構成するリンクの始点にて乗換(異なる移動手段間の乗換、または、同一の移動手段間の乗換)が必要な場合、地図情報130aにおける時刻表を示すデータを参照することにより、当該乗換に必要な乗り換え時間をリンクの旅行時間に合計する。
なお、制御部20は、マルチモーダルのいかなる公知の経路探索手法によって案内経路を探索してもよく、使用者によって指定された出発時刻や到着時刻を満足する案内経路を探索してもよいし、使用者によって指定された優先項目(例えば乗換回数や所要時間や料金等)を優先して小さくする案内経路を探索してもよい。
図2A〜2Cは、乗物位置Pが自宅Hに存在しない様子を示す模式図である。図2Aの例では、自宅Hとは異なる駅Aの駐車場に、私有車両210の位置である乗物位置Pが存在している。また、携帯端末110を携帯している使用者は駅Cに存在している。図2Aでは、使用者が施設E,F,Gに行くために、自宅Hから私有車両210を使用して駅A(駅Aの駐車場)に向かい、駅Aから鉄道に乗車して順に駅B,駅Cに行った様子を表すこととする。このような状況で、自宅Hを目的地点とする経路探索要求を受信した場合、制御部20は、乗物位置Pを経由し、かつ、乗物位置Pから私有車両210を使用して自宅Hに向かう案内経路を探索する。
具体的に、経路探索部21cの機能により制御部20は、出発地点から乗物位置Pまでの第1経路R1と、乗物位置Pから自宅Hまでの第2経路R2とで構成される案内経路Rを探索する。経路探索部21cの機能により制御部20は、私有車両210を含む自家用自動車を使用することなく、出発地点としての駅C(携帯端末110の現在位置)から乗物位置Pまでを接続した第1経路R1を探索する。具体的に、制御部20は、出発地点から乗物位置Pまでを自動車道路網以外の交通網(徒歩交通網、公共交通網)から選択されたリンクで接続した第1経路R1を探索する。さらに、経路探索部21cの機能により制御部20は、乗物位置Pから自宅Hまでを自動車道路網のみから選択されたリンクで接続した第2経路R2を探索する。なお、第2経路R2は、乗物位置Pから私有車両210を使用して自宅Hに向かう経路を意味する。そして、制御部20は、第1経路R1と第2経路R2とで構成される経路を案内経路Rとして探索する。図2Aにおいて、駅Cから鉄道を利用して駅B,Aに行く第1経路R1と、駅Aから自宅Hまで私有車両210を使用する第2経路R2とで構成される案内経路R(太い矢印)が探索されている。
一方、経路探索部21cの機能により制御部20は、乗物位置Pが自宅Hに存在する場合、私有車両210を含む自家用自動車を使用することなく、出発地点から自宅Hまでを接続した案内経路Rを探索する。すなわち、制御部20は、乗物位置Pを経由地点として設定しないとともに、出発地点から自宅Hまでを自動車道路網を除くすべての交通網(徒歩交通網、公共交通網)のなかから選択されたリンクで接続した案内経路Rを探索する。なお、徒歩交通網のリンクのリンクコストが最も大きくなり易いため、基本的に、徒歩で通行する経路の長さが小さくなるように、案内経路Rが探索されることとなる。図2Bにおいて、私有車両210(実線)が自宅Hに存在しており、出発地点としての駅Cから自宅Hまでの距離が最も小さくなる駅Dへと鉄道で行き、さらに駅Dから徒歩で自宅Hに向かう案内経路Rが探索されている。
また、経路探索部21cの機能により制御部20は、乗物位置Pが自宅Hに存在せず、かつ、私有車両210が停止している場合、乗物位置Pを経由し、かつ、乗物位置Pから私有車両210を使用して自宅Hに向かう経路を探索する。すなわち、経路探索部21cの機能により制御部20は、乗物位置Pが自宅Hに存在しない場合であっても、私有車両210が移動している場合には、乗物位置Pが自宅Hに存在する場合と同様に、私有車両210を含む自家用自動車を使用することなく、出発地点から自宅Hへと向かう最適な案内経路Rを探索する。図2Bに示すように、私有車両210(破線)が自宅Hに存在していないが、移動中である場合、出発地点としての駅Cから自宅Hまでの距離が最も小さくなる駅Dへと鉄道で行き、さらに駅Dから徒歩で自宅Hに向かう案内経路Rが探索される。なお、制御部20は、乗物位置DB30bに記録されている私有車両210の最新の状態フラグに基づいて、私有車両210が移動中であるか停止中であるかを判定する。ここで、携帯端末110の使用者が私有車両210を使用するとは、携帯端末110の使用者が私有車両210に乗車することを意味し、必ずしも携帯端末110の使用者が私有車両210を運転することを意味しない。
さらに、経路探索部21cの機能により制御部20は、乗物位置Pが自宅Hに存在せず、かつ、使用者が最後に私有車両210を使用していた場合、乗物位置Pを経由し、かつ、乗物位置Pから私有車両210を使用して自宅Hに向かう経路を探索する。すなわち、経路探索部21cの機能により制御部20は、乗物位置Pが自宅Hに存在せず、かつ、私有車両210が停止している場合であっても、使用者が最後に私有車両210を使用していなかった場合には、乗物位置Pが自宅Hに存在する場合と同様に、私有車両210を含む自家用自動車を使用することなく、出発地点から自宅Hへと向かう最適な案内経路Rを探索する。
本実施形態において、制御部20は、乗物位置Pが自宅Hに存在せず、かつ、私有車両210が停止している場合、私有車両210が停止する直前において、経路探索要求を送信した携帯端末110が私有車両210に追従して移動していたか否かを判定する。そして、私有車両210が停止する直前において、経路探索要求を送信した携帯端末110が私有車両210に追従して移動していた場合、制御部20は、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が最後に私有車両210を使用していたと判定する。
具体的に、制御部20は、私有車両210が停止した停止時刻の直前の停止直前期間における私有車両210の現在位置の軌跡を、乗物位置DB30bに蓄積されている通知情報に基づいて取得する。そして、制御部20は、停止直前期間における私有車両210の現在位置の軌跡と、経路探索要求を送信した携帯端末110の移動軌跡(過去24時間)の一部との幾何学的な類似度が所定基準以上である場合に、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が私有車両210を最後に使用していたと判定する。幾何学的な類似度は、軌跡間の距離が小さいほど大きくなる指標であってもよいし、軌跡の方向の差が小さいほど大きくなる指標であってもよい。さらに、制御部20は、携帯端末110の移動軌跡のうち停止直前期間に対応する部分を抽出し、当該停止直前期間に対応する部分と、停止直前期間における私有車両210の現在位置の軌跡との幾何学的な類似度が所定基準以上である場合に、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が私有車両210を最後に使用していたと判定してもよい。
さらに、経路探索部21cの機能により制御部20は、乗物位置Pが自宅Hに存在せず、かつ、使用者が私有車両210を使用している場合、使用者が存在している地点から私有車両210を使用して自宅Hに向かう経路を探索する。具体的に、経路探索部21cの機能により制御部20は、乗物位置Pが自宅Hに存在せず、かつ、使用者が私有車両210を使用している場合、出発地点としての携帯端末110の現在位置から自宅Hまでを自動車道路網のみから選択されたリンクで接続した経路を案内経路Rとして探索する。
本実施形態において、制御部20は、乗物位置Pが自宅Hに存在しない場合、経路探索要求を送信した携帯端末110が私有車両210に追従して移動しているか否かを判定する。そして、経路探索要求を送信した携帯端末110が私有車両210に追従して移動している場合、制御部20は、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が私有車両210を使用していると判定する。
具体的に、制御部20は、現在の直前の直近期間における私有車両210の現在位置の軌跡を、乗物位置DB30bに蓄積されている通知情報に基づいて取得する。さらに、制御部20は、直近期間における私有車両210の現在位置の軌跡と、経路探索要求を送信した携帯端末110の移動軌跡(過去24時間)の一部との幾何学的な類似度が所定基準以上である場合に、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が私有車両210を使用している判定する。ここでも、制御部20は、直近期間における私有車両210の現在位置の軌跡と、携帯端末110の移動軌跡のうち直近期間に対応する部分との幾何学的な類似度が所定基準以上である場合に、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が私有車両210を使用していると判定してもよい。
以上説明した本実施形態において、使用者の自宅Hが目的地点として設定され、かつ、私有車両210が自宅Hに存在しない場合に、私有車両210が存在する乗物位置Pを経由する案内経路R(図2A)が探索される。これにより、自宅Hに存在しない私有車両210を使用して自宅Hに向かう案内経路Rを探索でき、私有車両210を有効に使用する案内経路Rを探索できる。一方、私有車両210がすでに自宅Hに存在する場合には、私有車両210を使用して自宅Hに戻ることができないため、私有車両210を使用することなく自宅Hに向かう案内経路Rを探索すればよい。
ここで、私有車両210が停止していることは、私有車両210が誰にも使用されていないことを意味する。従って、私有車両210が停止している場合に、乗物位置Pから私有車両210を使用して自宅Hに向かう案内経路Rを探索することにより、使用されていない私有車両210を有効に使用して自宅Hに向かう案内経路Rを探索できる。一方、私有車両210が移動している場合、私有車両210が他者によって使用されている可能性がある。私有車両210が移動している場合に、私有車両210を使用した案内経路Rを探索しないようにすることにより、実際には使用できない私有車両210を使用した案内経路Rを探索することを防止できる。
私有車両210を複数人で共用する場合であっても、使用者が最後に私有車両210を自宅H以外の位置に移動させていた場合、現在も使用者が私有車両210を使用できると見なすことができる。従って、使用者が最後に私有車両210を使用していた場合、乗物位置Pから私有車両210を使用して自宅Hに向かう案内経路Rを探索することにより、使用者によって使用できる私有車両210を使用した案内経路Rを探索できる。
また、本実施形態において、乗物位置Pが自宅Hに存在せず、かつ、使用者が私有車両210を使用している場合、使用者が存在している地点から私有車両210を使用して自宅Hに向かう案内経路Rを探索している。これにより、現在、使用者が私有車両210を使用している場合には、使用者が存在している地点からそのまま私有車両210を使用して自宅Hに向かう案内経路Rを探索できる。
(4)私有車両とサーバとが実行する処理:
図3は、私有車両210とサーバ10とが実行する処理のフローチャートである。私有車両210のナビゲーション装置220は、私有車両210のアクセサリーポジション(ACC)がONである状態において通知処理を実行する。まず、ナビゲーション装置220は、私有車両210が移動中であることを示す状態フラグと、私有車両210の現在位置と、ナビゲーション装置220の乗物識別コードとを示す通知情報をサーバ10に送信する(ステップS100)。次に、ナビゲーション装置220は、私有車両210のアクセサリーポジションがONからOFFに切り替わったか否かを判定する(ステップS110)。
私有車両210のアクセサリーポジションがONからOFFに切り替わったと判定しなかった場合(ステップS110:N)、ナビゲーション装置220は、ステップS100に戻る。このとき、ナビゲーション装置220は、所定の送信時間周期を経過したタイミングでステップS100に戻る。これにより、ナビゲーション装置220は、私有車両210のアクセサリーポジションがONである状態において、送信時間周期ごとに通知情報をサーバ10に送信できる。
一方、私有車両210のアクセサリーポジションがONからOFFに切り替わったと判定した場合(ステップS110:Y)、ナビゲーション装置220は、私有車両210が停止中であることを示す状態フラグと、私有車両210の現在位置と、ナビゲーション装置220の乗物識別コードとを示す通知情報をサーバ10に送信する(ステップS120)。
サーバ10は、通知処理におけるステップS100またはステップS120において送信された通知情報を受信するごとに蓄積処理を実行する。通知情報を受信すると、サーバ10は、通知情報を乗物位置DB30bに蓄積する(ステップS200)。最新の通知情報を記録することにより、当該通知情報と同一の乗物識別コードが対応付けられた通知情報の数が所定の上限蓄積数よりも大きくなる場合、制御部20は、最も旧い通知情報を破棄した上で最新の通知情報を乗物位置DB30bに蓄積する。
以上の処理によって、私有車両210の最新の現在位置である乗物位置Pを乗物位置DB30bに記録することができる。また、乗物位置DB30bにおいて、私有車両210ごとに上限蓄積数を上限として通知情報を蓄積するため、私有車両210が移動中である場合には現在の直前の直近期間における私有車両210の現在位置の軌跡を乗物位置DB30bから取得できる。一方、私有車両210が停止中である場合には当該私有車両210の停止時刻の直前の停止直前期間における私有車両210の現在位置の軌跡を乗物位置DB30bから取得できる。
(5)携帯端末とサーバとが実行する処理:
図4は、携帯端末110とサーバ10とが実行する処理のフローチャートである。携帯端末110は、UI部142において経路探索を実行させる操作が受け付けられた場合に、経路探索要求処理を実行する。経路探索実行させる操作が受け付けられると、経路探索要求部121aの機能により携帯端末110の制御部120は、出発地点と目的地点とを示す経路探索要求をサーバ10に送信する(ステップS300)。具体的に、制御部120は、出発地点と目的地点と携帯端末110の使用者識別コードとを示す経路探索要求をサーバ10に送信する。特に、自宅Hが目的地点として指定された場合、制御部120は、出発地点と目的地点と使用者識別コードとのほかに、目的地点が自宅Hである旨と、携帯端末110の移動軌跡(例えば過去24時間)とを示す経路探索要求をサーバ10に送信する。なお、本実施形態では、出発地点として携帯端末110の現在位置が設定されたこととする。
サーバ10は、経路探索要求を携帯端末110から受信した場合に、経路探索処理を実行する。まず、判定部21bの機能によりサーバ10の制御部20は、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者の自宅Hが目的地点として指定されたか否かを判定する(ステップS400)。具体的に、制御部20は、経路探索要求に自宅Hが目的地点として指定された旨の情報が含まれる場合に、自宅Hが目的地点として指定されたと判定する。
自宅Hが目的地点として指定されたと判定した場合(ステップS400:Y)、判定部21bの機能により制御部20は、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者に対応するすべての私有車両210について蓄積されている通知情報を乗物位置DB30bから取得する(ステップS410)。すなわち、制御部20は、経路探索要求を送信した携帯端末110が示す使用者識別コードに対応するすべての乗物識別コードを使用者DB30cから取得し、当該乗物識別コードが対応付けられている通知情報を乗物位置DB30bから取得する。私有車両210が移動中である場合には現在の直前の直近期間における通知情報が取得でき、私有車両210が停止中である場合には当該私有車両210の停止時刻の直前の停止直前期間における通知情報が取得できることとなる。
次に、判定部21bの機能により制御部20は、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者に対応する私有車両210のうち、1台を処理対象の私有車両210として選択する(ステップS420)。そして、判定部21bの機能により制御部20は、選択した私有車両210の乗物位置Pが自宅Hに存在するか否かを判定する(ステップS430)。ここではまず、乗物位置取得部21aの機能により制御部20が、選択した私有車両210に対応する通知情報のうち最新の通知情報が示す当該私有車両210の現在位置を乗物位置Pとして取得する。そして、判定部21bの機能により制御部20は、経路探索要求が示す目的地点としての自宅Hの位置と乗物位置Pとの間の距離が所定距離以下である場合に、乗物位置Pが自宅Hに存在すると判定する。
乗物位置Pが自宅Hに存在すると判定しなかった場合(ステップS430:N)、経路探索部21cの機能により制御部20は、選択した私有車両210が停止しているか否かを判定する(ステップS440)。具体的に、制御部20は、乗物位置DB30bに記録されている私有車両210の最新の状態フラグに基づいて、私有車両210が移動中であるか停止中であるかを判定する。
選択した私有車両210が停止していると判定した場合(ステップS440:Y)、経路探索部21cの機能により制御部20は、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が、選択した私有車両210を最後に使用していたか否かを判定する(ステップS450)。具体的に、制御部20は、選択した私有車両210が停止した直前の停止直前期間における当該私有車両210の現在位置の軌跡と、携帯端末110の移動軌跡の一部との幾何学的な類似度が所定基準以上である場合に、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が私有車両210を最後に使用していたと判定する。
経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が、選択した私有車両210を最後に使用していたと判定した場合(ステップS450:Y)、経路探索部21cの機能により制御部20は、乗物位置Pを経由し、かつ、乗物位置Pから私有車両210を使用して自宅Hに向かう案内経路Rを探索する(ステップS460)。具体的に、制御部20は、出発地点から乗物位置Pまでの第1経路R1と、乗物位置Pから自宅Hまでの第2経路R2とで構成される案内経路Rを探索する(図2A)。制御部20は、出発地点から乗物位置Pまでを自動車道路網以外の交通網(徒歩交通網、公共交通網)から選択されたリンクで接続した第1経路R1を探索する。さらに、経路探索部21cの機能により制御部20は、乗物位置Pから自宅Hまでを自動車道路網のみから選択されたリンクで接続した第2経路R2を探索する。以上のようにして案内経路Rが探索できると、経路探索部21cの機能により制御部20は、案内経路Rを示す経路情報を携帯端末110に送信する(ステップS465)。
一方、選択した私有車両210が停止していると判定しなかった場合(ステップS440:N)、経路探索部21cの機能により制御部20は、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が、私有車両210を使用しているか否かを判定する(ステップS470)。具体的に、制御部20は、現在の直前の直近期間における私有車両210の現在位置の軌跡と、携帯端末110の移動軌跡のうち直近期間に対応する部分との幾何学的な類似度が所定基準以上である場合に、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が私有車両210を使用していると判定する。
経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が、私有車両210を使用していると判定した場合(ステップS470:Y)、経路探索部21cの機能により制御部20は、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が存在している地点から私有車両210を使用して自宅Hに向かう経路を探索する(ステップS480)。具体的に、制御部20は、出発地点としての携帯端末110の現在位置から自宅Hまでを自動車道路網のみから選択されたリンクで接続した経路を案内経路Rとして探索する(図2C)。以上のようにして案内経路Rが探索できると、経路探索部21cの機能により制御部20は、案内経路Rを示す経路情報を携帯端末110に送信する(ステップS465)。
ここで、選択した私有車両210の乗物位置Pが自宅Hに存在すると判定した場合(ステップS430:Y)、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が、選択した停止中の私有車両210を最後に使用していたと判定されなかった場合(ステップS450:N)、および、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が、選択した移動中の私有車両210を使用していると判定されなかった場合(ステップS470:N)、判定部21bの機能により制御部20は、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が乗車可能なすべての私有車両210を、処理対象として選択したか否かを判定する(ステップS485)。
経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が乗車可能なすべての私有車両210を、処理対象として選択したと判定しなかった場合(ステップS485:N)、制御部20は、ステップS420に戻り、次の私有車両210を処理対象として選択する。一方、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が乗車可能なすべての私有車両210を、処理対象として選択したと判定した場合(ステップS485:Y)、経路探索部21cの機能により制御部20は、私有車両210を含む自家用自動車を使用することなく、出発地点から自宅Hまでを接続した案内経路Rを探索する(ステップS490)。すなわち、制御部20は、乗物位置Pを経由地点として設定しないとともに、出発地点から自宅Hまでを自動車道路網を除くすべての交通網(徒歩交通網、公共交通網)のなかから選択されたリンクで接続した案内経路Rを探索する(図2B)。以上のようにして案内経路Rが探索できると、経路探索部21cの機能により制御部20は、案内経路Rを示す経路情報を携帯端末110に送信する(ステップS465)。
また、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者の自宅Hが目的地点として指定されたと判定されなかった場合においても(ステップS400:N)、経路探索部21cの機能により制御部20は、私有車両210を含む自家用自動車を使用することなく、出発地点から自宅Hまでを接続した案内経路Rを探索する(ステップS490)。そして、経路探索部21cの機能により制御部20は、案内経路Rを示す経路情報を携帯端末110に送信する(ステップS465)。
ここで、ステップS460またはステップS480にて案内経路Rが探索されることなく、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が乗車可能なすべての私有車両210を、処理対象として選択したと判定されることは(ステップS485:Y)、いずれの私有車両210も使用できるか否かが不明であることを意味する。同様に、携帯端末110の使用者の自宅Hが目的地点として指定されなかったことも(ステップS400:N)、いずれの私有車両210も使用できるか否かが不明であることを意味する。
本実施形態では、私有車両210が使用できるか否かが不明である場合、私有車両210を含む自家用自動車を使用しない案内経路Rを探索することにより、実際には使用できない私有車両210を使用した案内経路Rを防止できる。ただし、私有車両210が使用できるか否かが不明である場合にも、自動車道路網のリンクも選択できるように案内経路Rを探索してもよい。例えば、使用者の設定に応じて、自動車道路網のリンクも選択できるように案内経路Rを探索してもよい。また、自動車道路網のリンクも選択できるように案内経路Rを複数探索しておき、使用者が私有車両210を使用できる場合には、私有車両210の使用した案内経路Rを選択できる構成を採用してもよい。
以上のようにして、案内経路Rを示す経路情報が携帯端末110に送信されると、当該経路情報を受信した携帯端末110は経路案内処理を実行する。経路案内部121bの機能により携帯端末110の制御部120は、UI部142に地図を表示させ、当該地図上に経路情報が示す案内経路Rを表示させる(ステップS500)。
(6)他の実施形態:
前記実施形態において、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が、私有車両210を使用していると判定した場合(ステップS470:Y)、携帯端末110の現在位置から自宅Hまでの全区間を私有車両210で通行可能な案内経路Rを探索することとした。これにより、私有車両210が自宅Hの保管場所に戻すことが可能な案内経路Rを案内できる。しかしながら、制御部20は、少なくとも携帯端末110の現在位置から私有車両210を使用し、その後、他の移動手段に乗り換えて自宅Hに向かう案内経路Rを探索してもよい。この場合、必ずしも私有車両210が自宅Hの保管場所に戻るとは限らないが、少なくとも現在使用している私有車両210を有効に使用する案内経路Rを探索できる。
また、前記実施形態において、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が、選択した私有車両210を最後に使用していたと判定した場合(ステップS450:Y)、乗物位置Pから自宅Hまでを自動車道路網のみから選択されたリンクで接続した第2経路R2を探索した。しかしながら、制御部20は、少なくとも携帯端末110の乗物位置Pから私有車両210を使用し、その後、他の移動手段に乗り換えて自宅Hに向かう案内経路Rを探索してもよい。この場合も、必ずしも私有車両210が自宅Hの保管場所に戻るとは限らないが、少なくとも乗物位置Pから使用可能な私有車両210を有効に使用する案内経路Rを探索できる。
経路探索部21cの機能により制御部20は、乗物位置Pが自宅Hに存在しない場合、乗物位置Pを経由し、かつ、乗物位置Pから私有車両210を使用して自宅に向かうべきことを案内するための案内経路Rを探索すればよく、案内経路Rは必ずしも乗物位置Pから自宅Hまでの第2経路R2を含んでいなくてもよい。例えば、制御部20は、出発地点から乗物位置Pまでの第1経路R1と、乗物位置P以降は私有車両210を使用して自宅に向かうべきことを案内するメッセージとを示す経路情報を携帯端末110に送信してもよい。この場合、ナビゲーション装置220が乗物位置Pから自宅Hまでの第2経路R2を案内してもよく、サーバ10が第2経路R2を示す情報や第2経路R2を探索するための情報をナビゲーション装置220に送信してもよい。
前記実施形態では、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が、選択した私有車両210を最後に使用していたと判定した場合に限り、乗物位置Pから私有車両210を使用して自宅に向かう案内経路Rを探索した。しかしながら、制御部20は、選択した私有車両210を最後に他者が使用していたとしても、乗物位置Pから私有車両210を使用して自宅に向かう案内経路Rを探索してもよい。すなわち、図4の経路探索処理において、ステップS440がYであれば、ステップS460を実行してもよい。
また、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が当該私有車両210を最後に使用したか否かの判定を前記実施形態と異なる手法によって実現してもよい。例えば、ナビゲーション装置220と携帯端末110とが近距離通信が可能な構成とし、ナビゲーション装置220が近距離通信を行っている携帯端末110の使用者識別コードを含む通知情報をサーバ10に送信してもよい。この構成により、ナビゲーション装置220に乗車している携帯端末110の使用者をサーバ10が特定することができ、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が当該私有車両210を最後に使用したか否かを正確に判定できる。同様に、経路探索要求を送信した携帯端末110の使用者が当該私有車両210を最後に使用しているか否かも正確に判定できる。
前記実施形態では、私有車両210として自家用自動車を例示したが、私有車両210は二輪車(自動二輪車、自転車)であってもよいし、自家用の航空機や船舶であってもよい。私有車両210に搭載されたナビゲーション装置220が通知情報を送信する処理を実行しなくてもよく、私有車両210のECU(Electronic Control Unit)が通知情報を送信する処理を実行してもよい。また、携帯端末110は、可搬性のあるコンピュータであればよく、いわゆるスマートフォンであってもよいし、携帯電話であってもよいし、ポータブルナビゲーション端末であってもよい。
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。乗物位置取得手段は、私有の乗物が存在する乗物位置を取得すればよく、私有の乗物または当該乗物に備えられた端末から通信を介して乗物位置を示す情報を取得してもよい。乗物位置を示す情報は、私有の乗物または当該乗物に備えられた端末が自発的に経路探索システムに送信してもよいし、経路探索システムからの求めに応じて私有の乗物または当該乗物に備えられた端末が経路探索システムに送信してもよい。ここで、私有の乗物とは、使用者が乗車した場合に当該使用者の意思に応じて任意の経路を通行できる乗物であり、おもに使用者が自ら運転できる乗物である。また、私有の乗物とは、自宅の居住者(使用者を含む)のいずれかが乗車(運転または同乗)できる乗物であり、基本的に自宅または自宅周辺の駐車場等が保管場所(車庫)となっている乗物である。さらに、私有の乗物とは、使用者が使用し得る乗物として予め経路探索システムに登録されている乗物である。
判定手段は、使用者の自宅が目的地点として設定された場合、乗物位置が自宅に存在するか否かを判定すればよく、予め経路探索システムに登録されている自宅の位置と乗物位置とに基づいて乗物位置が自宅に存在するか否かを判定してもよい。例えば、判定手段は、自宅の位置と乗物位置とが所定距離以内である場合に、乗物位置が自宅に存在すると判定してもよい。所定距離は、例えば自宅から乗物を保管する場所までの距離として妥当な距離の上限値であってもよく、所定期間以内に歩行できる距離の上限値であってもよい。また、判定手段は、必ずしも乗物位置に基づいて、乗物位置が自宅に存在するか否かを判定しなくてもよい。例えば、判定手段は、使用の乗物が自宅の充電装置に接続されている場合に乗物位置が自宅に存在すると見なしてもよいし、使用の乗物が自宅に設けられた近距離通信(無線LAN等)のアクセスポイントにアクセスしている場合に乗物位置が自宅に存在すると見なしてもよい。
経路探索手段は、乗物位置を経由し、かつ、乗物位置から私有の乗物を使用して自宅に向かう経路を探索すればよく、出発地点から乗物位置までの第1経路と、乗物位置から自宅までの第2経路とを含む経路を探索すればよい。経路探索手段は、私有の乗物が通行可能な道路区間を乗物位置から自宅まで接続することにより第2経路を探索すればよい。また、経路探索手段は、乗物位置を経由して自宅に向かう経路候補を複数探索しておき、当該複数の経路候補のうち、第2経路が私有の乗物が通行可能な道路区間によって構成された経路候補を探索する経路として絞り込んでもよい。
また、経路探索手段は、乗物位置が自宅に存在せず、かつ、私有の乗物が停止している場合、乗物位置を経由し、かつ、乗物位置から私有の乗物を使用して自宅に向かう経路を探索してもよい。ここで、私有の乗物が停止していることは、私有の乗物が誰にも使用されていないことを意味する。従って、使用されていない私有の乗物を有効に使用して自宅に向かう経路を探索できる。一方、私有の乗物が移動している場合、私有の乗物が他者によって使用されている可能性がある。私有の乗物が移動している場合に、私有の乗物を使用した経路を探索しないようにすることにより、実際には使用できない私有の乗物を使用した経路を探索することを防止できる。私有の乗物が停止していることとは、私有の乗物の内燃機関が停止していることであってもよいし、私有の乗物の電源がOFFとなっていることであってもよいし、私有の乗物の車速が閾値未満であることであってもよい。
さらに、経路探索手段は、乗物位置が自宅に存在せず、かつ、使用者が最後に私有の乗物を使用していた場合、乗物位置を経由し、かつ、乗物位置から私有の乗物を使用して自宅に向かう経路を探索してもよい。私有の乗物を複数人で共用する場合であっても、使用者が最後に私有の乗物を自宅以外の位置に移動させていた場合、現在も使用者が私有の乗物を使用できると見なすことができる。従って、私有の乗物が使用者によって使用できる場合に、私有の乗物を使用した経路を探索できる。私有の乗物を使用していたとは、使用者が乗物に乗車していたことを意味し、乗物の移動に追従して使用者が移動していたことであってもよい。
さらに、経路探索手段は、乗物位置が自宅に存在せず、かつ、使用者が私有の乗物を使用している場合、使用者が存在している地点から私有の乗物を使用して自宅に向かう経路を探索してもよい。現在、使用者が私有の乗物を使用している場合には、使用者が存在している地点からそのまま私有の乗物を使用して自宅に向かう経路を探索できる。
さらに、本発明のように、私有の乗物の状態を考慮して自宅までの経路を探索する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーションシステム、走行履歴情報の管理システムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。