本発明の好適な実施形態に係るインクジェットプリンタ101(以下、プリンタ101)の概略構成について説明する。本実施形態におけるプリンタ101は、記録媒体である用紙Pにモノクロ画像を記録するモノクロ記録、及び用紙Pにカラー画像を記録するカラー記録を実行することが可能なプリンタである。
図1に示すように、プリンタ101は、直方体形状の筐体11を有する。筐体11の天板上部には、排紙部15が設けられている。筐体11の内部空間には、4つのインクジェットヘッド(以下、ヘッド1)、プラテン9、給紙トレイ10、搬送機構30、制御装置100等が収容されている。筐体11の内部空間には、給紙トレイ10から排紙部15に向けて、図1に示す矢印に沿って、用紙Pが搬送される搬送経路が形成されている。また、また、筐体11内には、ヘッド1と所定の位置関係で、4つのカートリッジ(不図示)が配置されている。4つのカートリッジは、それぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックのインクを収容する。また、カートリッジは、ヘッド1にチューブ(不図示)及びポンプ19(図4参照)を介して接続されている。このポンプ19は、ヘッド1にインクを強制的に送るとき(すなわち、パージ時や液体の初期導入時)に駆動される。これ以外は停止状態にあり、ポンプ19はヘッド1へのインク供給を妨げない。
4つのヘッド1は、主走査方向に長尺な略同一構造を有したラインヘッドであり、副走査方向に沿って互いに隣接配置されている。各ヘッド1の下面は、多数の吐出口8(図2参照)が開口した吐出面2である。4つのヘッド1のうち、搬送方向に関して最も上流に配置されたヘッドはブラック用のヘッド1a(モノクロ吐出部)であり、当該ヘッド1aの吐出口8からはブラック(K)のインクが吐出される。残り3つのヘッドはカラー用のヘッド1b(カラー吐出部)であり、これらヘッド1aの吐出口8からは黒色以外のカラー色(すなわち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y))のインクが吐出される。ここで、副走査方向とは搬送機構30による用紙Pの搬送方向に平行な方向であり、且つ、図1において水平方向に平行な方向である。また、主走査方向とは、図1において水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。本実施形態においては、ヘッド1が記録部に相当する。
次いで、図2及び図3を参照し、ヘッド1の具体的な構成について説明する。ヘッド1は、図2に示すように、互いに離隔しつつ主走査方向に千鳥状に配列された、6つのヘッドユニット3を含む。6つのヘッドユニット3は、互いに同じ構成であり、図3に示すように、それぞれ、流路部材20、流路部材20の上面20yに固定されたアクチュエータユニット24、ドライバIC25(図4参照)、及びリザーバユニット(不図示)を含んでいる。リザーバユニットには、インクを一時的に貯留するリザーバを含む共通の液体流路が形成されており、カートリッジからインクが供給される。
流路部材20は、略同一サイズの矩形状の金属プレート20a,20b,20c,20d,20e,20f,20g,20h,20iを互いに接着した積層体である。流路部材20には、各吐出口8に至る流路が形成されている。当該流路は、流路部材20に形成された全ての吐出口8に共通の共通流路21と、吐出口8毎に設けられた個別流路22とを含む。個別流路22は、共通流路21の出口からアパーチャ22a及び圧力室22bを介して吐出口8に至る流路である。圧力室22bは流路部材20の上面20yに開口し、吐出口8は流路部材20の下面20xに開口している。下面20xが、吐出面2に相当する。
アクチュエータユニット24は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる3枚の圧電シートから構成されている。各圧電シートは、いずれも複数の圧力室22bに跨るサイズを有した連続平板である。最上層の圧電シート上における圧力室22bに対向する位置のそれぞれには、個別電極が形成されている。最上層の圧電シートとその下側の圧電シートとの間にはシート全面にわたって共通電極が介在している。
共通電極は、すべての圧力室22bに対応する領域において等しくグランド電圧に保持されている。個別電極は、ドライバIC25とそれぞれ接続されており、ドライバIC25から複数の個別電極に対して所定の駆動電圧とグランド電圧とからなる駆動パルス信号が独立してそれぞれ印加されるようになっている。このように、アクチュエータユニット24において、個別電極と圧力室22bとで挟まれた部分が、個別のアクチュエータとして働く。また、圧力室22bの数と同数の複数のアクチュエータがアクチュエータユニット24に構成されている。
ドライバIC25は、制御装置100から、駆動信号と、互いに波形が異なる複数の吐出波形信号とを受信する。駆動信号は、複数の吐出波形信号のうちの何れかを指示する信号である。ドライバIC25は、制御装置100から駆動信号を順次受け取って、複数の吐出波形信号のうちの駆動信号が示すものを駆動パルス信号として、吐出周期毎にアクチュエータユニット24の個別電極に供給する。個別電極に対してドライバIC25から駆動パルス信号を入力されると、これに対応する圧電シートが変形して圧力室22b内のインクに圧力(吐出エネルギー)が付与され、駆動パルス信号の波形に応じた量のインク滴が吐出口8それぞれから吐出される。
図1に戻って、プラテン9は、平板状の部材であり、ヘッド1と鉛直方向に対向している。プラテン9の上面とヘッド1の吐出面2との間には、画像記録(画像形成)に適した所定の間隙が形成されている。
給紙トレイ10は、上面が開口した箱であり、筐体11に対して着脱可能である。給紙トレイ10は、複数の用紙Pを収容可能である。
搬送機構30は、ピックアップローラ31、ニップローラ対32〜36、及びガイド37a,37b,37c,37dを含む。ピックアップローラ31は、制御装置100による制御の下、給紙モータ(不図示)の駆動により回転し、給紙トレイ10内で最も上方にある用紙Pを送り出す。ニップローラ対32〜36は、搬送経路に沿って、搬送方向上流側からこの順で配置されている。各ニップローラ対32〜36のうちの一方のローラは、制御装置100による制御の下、搬送モータ(不図示)の駆動により回転する駆動ローラである。他方のローラは、上記駆動ローラの回転に伴って回転する従動ローラである。
制御装置100は、プリンタ各部の動作を制御して、プリンタ101全体の動作を司る。制御装置100は、外部端末装置18(プリンタ101と接続されたPC等)から供給された記録指令(画像データを含む)に基づいて、画像記録動作を行う。制御装置100による制御の下、ピックアップローラ31の回転によって給紙トレイ6から送り出された用紙Pは、ニップローラ対32〜36に挟持されつつ、搬送経路に沿って搬送される。用紙Pがプラテン9の上面に支持されつつ、4つのヘッド1の真下を通過する際に、制御装置100の制御により、ヘッド1の吐出口8から用紙Pの表面に向けてインクが吐出される。このとき、モノクロ記録の際には、ブラック用のヘッド1aの吐出口8のみからインクが吐出されて、用紙Pにモノクロ画像が記録される。一方、カラー記録の際には、4つの各ヘッド1の吐出口8から各色のインクが吐出されて、用紙Pにカラー画像が記録される。画像が記録された用紙Pは、筐体11上部に形成された開口から排紙部15に排出される。
また、制御装置100は、ヘッド1のインク吐出特性を良好にするためのメンテナンス動作を行う。本実施形態において、メンテナンス動作は、ヘッド1の一部又は全アクチュエータを駆動することにより、一部又は全部の吐出口8からインクを吐出して、吐出口8内の乾燥したインクを強制的に排出させる、いわゆるフラッシング(予備吐出)である。本実施形態において、ヘッド1のアクチュエータユニット24(アクチュエータ)がメンテナンス部に相当する。また、メンテナンス動作は、第1メンテナンス動作、第2メンテナンス動作、及び第3メンテナンス動作を含む。
第1メンテナンス動作及び第2メンテナンス動作は、画像記録動作に先立って行われるメンテナンス動作であり、画像記録動作中における、用紙Pへのインクの高い着弾精度を実現することを目的とする。つまり、画像記録動作中において、駆動パルス信号がアクチュエータ(個別電極)に印加された際に、そのアクチュエータに対応する吐出口8から駆動パルス信号が指示する吐出量のインクが吐出され、且つ駆動パルス信号が指示する形態(サイズや形状)の画像ドットを用紙Pに記録させることを目的とする。
第1メンテナンス動作はモノクロ記録に先立って行うメンテナンス動作であり、第2メンテナンス動作はカラー記録に先立って行うメンテナンス動作である。ここで、上述したように、画像記録動作がモノクロ記録である場合には、4つのヘッド1のうち、ブラック用のヘッド1aの吐出口8のみからインクが吐出され、他の3つのカラー用のヘッド1bからはインクが吐出されない。このように、モノクロ記録の際において、3つのカラー用のヘッド1bについては、インクの高い着弾精度は要求されないため、そのインク吐出特性は、ブラック用のヘッド1aのインク吐出特性と同程度にする必要はない。
そこで、本実施形態においては、このモノクロ記録に先立って行う第1メンテナンス動作については、ブラック用のヘッド1aのアクチュエータのみ駆動することで、当該ヘッド1aの吐出口8からインクを強制的に排出させる一方、3つのカラー用のヘッド1bの吐出口8からはインクを排出させない。これにより、第1メンテナンス動作のときには、カラー色のインクが消費されない。これに対して、カラー記録に先立って行う第2メンテナンス動作については、全てのヘッド1のアクチュエータを駆動することで、全てのヘッド1の吐出口8からインクを排出させる。これにより、カラー記録に際して、インクの高い着弾精度を実現することができるので、高品質なカラー画像を記録媒体に記録することができる。
第3メンテナンス動作は、画像記録動作中において、連続してインクの吐出が行われない吐出口8からインクを強制的に排出させる動作である。この第3メンテナンス動作は、後述する予備吐出データ作成回路73により作成された予備吐出データに基づいて行われる。
次に、制御装置100について、図4を参照しつつ詳細に説明する。制御装置100は、メイン基板40とエンジン基板50とを含む。
メイン基板40は、ネットワークインターフェース41、CPU(Central Processing Unit)42、ROM(Read Only Memory)43、RAM(Random Access Memory)44、画像データメモリ45、DMAコントローラ46、RIPCPU47、判別回路48、RIPデータ送信インターフェース49、及び量子化処理ASIC(Application Specific Integrated Circuit))55を含む。
ネットワークインターフェース41は、LAN等を介して、外部端末装置18に接続されている。CPU42は、プリンタ101の動作全般を制御するためのCPUである。ROM43にはCPU42やRIPCPU47が実行する各種プログラムが記憶される。RAM44はCPU42及びRIPCPU47の作業領域として使用される。画像データメモリ45には、ネットワークインターフェース41を介して外部端末装置18から受信した画像データが記憶される。本実施形態において、画像データは、ページ記述言語(page description language)で表現された1以上のページデータを含む。また、制御装置100は、ページ記述言語の種類が互いに異なる複数種類の画像データについて処理することが可能にされている。以下、説明の便宜上、画像データメモリ45に記憶される画像データは、複数のページデータを含むものとして説明する。
画像データのページデータは、各種のコマンドを含むデータである。本実施形態において、ページデータは、RGBの表色系で階調値が表現された1以上の画像オブジェクトと、各画像オブジェクトの位置を指定するための位置指定コマンドと、ページデータに係る画像を用紙Pにモノクロ画像で記録するかカラー記録で記録するかを指定するための色指定コマンドとを含む。ここで、ページデータに含まれる全ての画像オブジェクトに係る画像が、実際に用紙Pに記録されるとは限らない。例えば、ページデータに複数の画像オブジェクトが含まれるときにおいて、これらの画像オブジェクトが互いに重なり合う位置に配置される場合には、何れか一つの画像オブジェクトに係る画像のみが用紙Pに記録されることになる。また、用紙Pの画像記録領域は、例えば、用紙Pに余白を設けて画像を記録する記録モードと、用紙Pに余白を設けずに画像を記録する記録モードとでは、その範囲が異なる。従って、記録モードによっては、画像オブジェクトに係る画像が用紙Pの画像記録領域外に配置されて用紙Pに記録されない場合がある。
DMAコントローラ46は、CPU42の代わりに、各種データの転送処理を行う。例えば、DMAコントローラ46は、CPU42からの指示に従って、画像データメモリ45に記憶された画像データをRIPCPU47に転送し、且つ、RIPCPU47により生成されたRIPデータを、RIPデータ送信インターフェース49を介して、量子化処理ASIC55に出力する。また、DMAコントローラ46は、CPU42からの指示に従って、画像データメモリ45に記憶された画像データを判別回路48に出力する。
RIPCPU47は、CPU42からの指示に従って、画像データメモリ45から受信した画像データの種類を判定する。そして、RIPCPU47は、その画像データの種類の判定結果を判別回路48に出力する。また、RIPCPU47は、CPU42からの指示に従って、画像データメモリ45から受信した画像データに対して公知のRIP(Raster Image Processing)処理を行うことで、用紙Pの画像記録領域に対応して画素がマトリクス状に配置された変換データを生成する。この変換データは、用紙Pの画像記録領域に対応して主走査方向及び副走査方向に関してマトリクス状に配置された画素それぞれについて、0〜255の256階調で示されたRGB各色の階調値を含んでいる。具体的には、RIPCPU47は、ページデータに含まれる位置指定コマンドに基づき、用紙Pの画像記録領域内に配置される画像オブジェクトの画像に係る変換データを生成する。即ち、この変換データには、用紙Pの画像記録領域外に配置される画像オブジェクトの画像に係るデータは含まれない。次に、RIPCPU47は、各ページデータに含まれる色指定コマンドに基づいて、変換データに色変換処理を施して、RGB各色をCMYK各色に変換したRIPデータを生成する。
判別回路48は、その内部の回路構成を動的に再構成可能な回路であり、例えば、DRP(Dynamically Reconfigurable Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。ここで、上述したように、画像記録動作に先立って行うヘッド1のメンテナンス動作において、当該画像記録動作がモノクロ記録の場合とカラー記録の場合とでは、その動作内容が異なる。従って、画像記録動作を行う前に、当該画像記録動作がモノクロ記録であるかカラー記録であるかを予め判別しておく必要がある。ここで、ヘッド1の駆動に係る記録データ(後述する)に基づき、画像記録動作がモノクロ記録であるかカラー記録であるかを判別することも考えられるが、この場合、画像データから記録データが生成されるまで上記判別することができないため、画像記録動作に先立って行うヘッド1のメンテナンス動作の開始時期が遅くなる。
そこで、本実施形態においては、CPU42は、DMAコントローラ46を制御して、画像データメモリ45に記憶されている画像データを判別回路48に対しても出力する。なお、DMAコントローラ46による、画像データの判別回路48への出力と画像データのRIPCPU47への転送は同時になされる。そして、この判別回路48が、画像記録動作がモノクロ記録及びカラー記録の何れであるかを画像データに基づいて判別する。これにより、画像記録動作に先立って行うヘッド1のメンテナンス動作の開始時期を早くすることができる。なお、判別回路48は画像データを受信すると、上記判別のための各種処理を開始する回路である。このため、CPU42は、DMAコントローラ46を介して画像データメモリ45に記憶されている画像データを出力することで、上記判別が行われるように判別回路48を制御することが可能となる。判別回路48については後で詳細に説明する。
量子化処理ASIC55は、RIPデータ送信インターフェース49から受信したRIPデータを、ヘッド1の駆動に係る低階調の記録データに変換する誤差拡散処理を行う。例えば、ヘッド1が2階調の画像記録が可能であれば2値に量子化し、4階調の画像記録が可能であれば4値に量子化する。また、量子化処理ASIC55は、誤差拡散処理により生成された記録データを記録処理ASIC60に出力する。本実施形態においては、RIPCPU47、及び量子化処理ASIC55が記録データ作成部に相当する。
エンジン基板50は、記録処理ASIC60(Application Specific Integrated Circuit)を含む。記録処理ASIC60は、量子化処理ASIC55から受信した記録データに基づいて、用紙Pに画像が記録されるように、4つのヘッド1、及び搬送機構30を制御するものであり、吐出制御回路70、及び機構系駆動制御回路79を含む。機構系駆動制御回路79は、CPU42からの制御信号に基づいて、搬送機構30、及びポンプ19を制御する回路である。
吐出制御回路70は、各ヘッド1のインクの吐出制御を行う回路であり、受信回路71、ドットカウント回路72、予備吐出データ作成回路73、ヘッド制御回路74、及び並替回路75を含む。受信回路71は、量子化処理ASIC55から出力された記録データを受信して、ドットカウント回路72、及び並替回路75それぞれに出力する。並替回路75では、受信回路71から受け取った記録データ(ラスタデータ)をヘッド1の吐出口の配列に合わせたデータに並べ替えて、この並び替えた記録データを予備吐出データ作成回路73、及びヘッド制御回路74それぞれに出力する。ドットカウント回路72は、受信した記録データのページデータの各画素の階調値をCMYK各色毎にカウントする。そして、そのCMYK各色毎の階調値のカウント結果をCPU42に出力する。
予備吐出データ作成回路73は、CPU42からの予備吐出データ作成指示に従って、並替回路75から受信した記録データに基づいて、予備吐出データを作成して、ヘッド制御回路74に出力する。具体的には、予備吐出データ作成回路73は、記録データに基づいて吐出口8から連続してインクが吐出されない時間である休止時間を吐出口8毎に検出する。そして、休止時間が、所定時間を超えている場合には、当該休止時間の間に吐出口8からインクが強制的に吐出されるように、当該吐出(フラッシング)に係る予備吐出データを作成する。
なお、予備吐出データ作成回路73がCPU42から受ける予備吐出データ作成指示には、モノクロ記録に係る第1作成指示と、カラー記録に係る第2作成指示及び第3作成指示とがある。予備吐出データ作成回路73は、第1作成指示を受けたときには、画像記録動作中において、ブラック用のヘッド1aの吐出口8のみからインクを排出させる予備吐出データを作成する。これに対して、予備吐出データ作成回路73は、第2作成指示及び第3作成指示を受けたときには、画像記録動作中において、全てのヘッド1の吐出口8からインクを排出させる予備吐出データを作成する。また、予備吐出データ作成回路73は、第3作成指示を受けたときは、第2作成指示を受けたときと比べて、画像記録動作中においてカラー用の各ヘッド1bの吐出口8から排出させるインクの量が多くなるように予備吐出データを作成する。例えば、画像記録動作中における吐出口8からのインクの排出回数が多くなる、又は一回当たりに排出されるインクの量が多くなるように予備吐出データを作成する。ここで、予備吐出データにより画像記録動作中に行われるインクの排出は用紙P上に対して行われてもよいし、搬送機構30により搬送される用紙P間において、インク受け(不図示)などに対して行われてもよい。つまり、本発明の「記録媒体に画像を記録しているとき」とは、用紙Pに画像を実際に記録しているときだけではなく、複数の用紙Pに対して画像を記録している期間に行われるときも含むものである。
ヘッド制御回路74は、各ヘッド1のアクチュエータユニット24の駆動を制御するものであり、ドライバIC25に出力する駆動信号に係る駆動データを記憶する駆動データ記憶回路76と、当該駆動データに基づき駆動信号をドライバIC25に出力する駆動回路77とを含む。なお、駆動データ記憶回路76は、並替回路75から受信した記録データと、予備吐出データ作成回路73から受信した予備吐出データとを合成したデータを駆動データとして記憶する。これにより、画像記録動作中において、記録データに基づいて各ヘッド1の吐出口8からインクを吐出することが可能になるとともに、予備吐出データに基づいて各ヘッド1の吐出口8からインクを強制的に排出することが可能となる。
次に、判別回路48について図5を参照しつつ詳細に説明する。判別回路48は、ページデータ出力回路81、解析回路82、再構成情報記憶回路83、再構成制御回路84、判別結果出力回路85、閾値記憶回路86、及び閾値修正回路87を含む。ページデータ出力回路81は、DMAコントローラ46により画像データメモリ45から出力された画像データを受信し、受信した画像データのページデータを1つずつ順に解析回路82に出力する。
解析回路82は、ページデータ出力回路81により出力されたページデータに含まれる色指定コマンド及び画像オブジェクトを解析して、その解析結果を判別結果出力回路85に出力する。この解析回路82は、画像データの種類(ページデータのページ記述言語の種類)に応じて、動的にその回路構成を再構成可能な回路である。
解析回路82は、コマンド判別回路91、色指定コマンド解析回路92、及び画像オブジェクト解析回路93を含む。コマンド判別回路91は、ページデータに含まれるコマンドを1つずつ順に、当該コマンドの種類を判別する。そして、コマンド判別回路91は、コマンドの種類が色指定コマンドであると判別した場合には、当該色指定コマンドを色指定コマンド解析回路92に出力する。また、コマンド判別回路91は、コマンドの種類が画像オブジェクトであると判別した場合には、当該画像オブジェクトを画像オブジェクト解析回路93に出力する。コマンド判別回路91は、コマンドの種類が当該ページデータのデータ末を示すデータ末コマンドであると判別した場合には、ページデータ出力回路81に次のページデータを出力するよう要求する。
色指定コマンド解析回路92は、コマンド判別回路91から出力された色指定コマンドが、ページデータに係る画像を用紙Pにモノクロ画像で記録することを指定するもの(以下、モノクロ指定)であるか、用紙Pにカラー画像で記録することを指定するもの(以下、カラー指定)であるかを解析する。そして、色指定コマンド解析回路92は、その解析結果を判別結果出力回路85に出力する。
画像オブジェクト解析回路93は、コマンド判別回路91から出力された画像オブジェクトのRGB各色の階調値と、閾値記憶回路86に記憶された閾値とを比較することで、当該画像オブジェクトに係る画像がモノクロ画像であるかカラー画像であるかを解析する。ここで、画像オブジェクトに係る画像の各RGBの階調値の互いの差が小さいほど、当該画像オブジェクトに係る画像がモノクロ画像である可能性が高い。即ち、当該画像オブジェクトに係る画像は、用紙P上において、ヘッド1bから吐出されるブラックのインクのみで表現される可能性が高い。そこで、本実施形態においては、画像オブジェクトの画像の各RGBの階調値の互いの差が閾値記憶回路86に記憶された閾値以下の場合には当該画像オブジェクトの画像がモノクロ画像であると解析する。一方で、画像オブジェクトの画像の各RGBの階調値のなかに、互いの差が閾値記憶回路86に記憶された閾値よりも大きいものを含む場合にはカラー画像であると解析する。なお、閾値記憶回路86に記憶されている閾値は、CPU42から閾値修正指示を受けた閾値修正回路87により修正される。
再構成情報記憶回路83は、画像データの各種類に応じた複数種類の解析回路82の回路構成に係る情報を記憶する。再構成制御回路84は、RIPCPU47から受信した画像データの種類の判定結果に基づいて、再構成情報記憶回路83から、当該画像データの種類に応じた解析回路82の回路構成に係る情報を読み出して、当該情報に基づき、解析回路82を動的に再構成する。
判別結果出力回路85は、解析回路82から出力された解析結果に基づき、画像記録動作がモノクロ記録であるかカラー記録であるか判別する回路である。判別結果出力回路85は、まず、色指定コマンド解析回路92から受信した解析結果、及び画像オブジェクト解析回路93から受信した解析結果に基づき、ページデータ出力回路81から出力されたページデータに係る画像がモノクロ画像であるかカラー画像であるかを解析する。
具体的には、判別結果出力回路85は、色指定コマンド解析回路92から受信した解析結果が、色指定コマンドがモノクロ指定を示すものであるときには、当該ページデータに係る画像がモノクロ画像であると解析する。ここで、ページデータに含まれる色指定コマンドがカラー指定を示すものである場合でも、ページデータに含まれる全ての画像オブジェクトの画像がモノクロ画像である場合には、当該ページデータに係る画像はモノクロ画像となる。そこで、色指定コマンドがカラー指定を示すものであるときには、画像オブジェクト解析回路93から受信した解析結果に基づき、ページデータに係る画像がモノクロ画像であるかカラー画像であるかを解析する。詳細には、判別結果出力回路85は、ページデータに含まれる全ての画像オブジェクトに係る画像がモノクロ画像である場合には、当該ページデータに係る画像がモノクロ画像であると解析し、ページデータに含まれる少なくとも1つの画像オブジェクトに係る画像がカラー画像である場合には、当該ページデータに係る画像がカラー画像であると解析する。
そして、判別結果出力回路85は、画像データに含まれる全てのページデータに係る画像がモノクロ画像であると解析したときには画像記録動作はモノクロ記録であると判別する一方、画像データに含まれる少なくとも1つのページデータに係る画像がカラー画像であると解析したときには画像記録動作はカラー記録であると判別する。判別結果出力回路85は、その判別結果をCPU42に出力する。
以下、判別回路48の処理動作の一例について、図6を参照しつつ説明する。まず、再構成制御回路84が、RIPCPU47から画像データの種類の判定結果を受信すると(A1)、当該画像データの種類に応じた解析回路82の回路構成に係る情報を再構成情報記憶回路83から読み出して、当該情報に基づき、解析回路82を再構成する(A2)。次に、ページデータ出力回路81が、DMAコントローラ46により画像データメモリ45から出力された画像データを受信し(A3)、受信した画像データに含まれる1つのページデータを解析回路82に出力する(A4)。
次に、解析回路82のコマンド判別回路91が、受信したページデータに含まれる1つのコマンドの種類を判別する(A5)。コマンド判別回路91が、コマンドの種類が色指定コマンドであると判別した場合(A6:YES)には、当該色指定コマンドを色指定コマンド解析回路92に出力する。そして、色指定コマンド解析回路92が、当該色指定コマンドを解析して、その解析結果を判別結果出力回路85に出力する(A7)。
判別結果出力回路85は、色指定コマンド解析回路92から受信した解析結果が、色指定コマンドがカラー指定を示すものであるとき(A8:NO)には、ステップA5の処理に戻り、コマンド判別回路91が次のコマンドを判別する。一方、解析結果が、色指定コマンドがモノクロ指定を示すものであるとき(A8:YES)には、判別結果出力回路85は、ページデータに係る画像がモノクロ画像であると解析する(A9)。その後、画像データメモリ45から受信した画像データに含まれるページデータのうち、解析回路82により解析が行われていないページデータがある場合(A10:NO)には、コマンド判別回路91が、ページデータ出力回路81に対して次のページデータを出力するように要求して、ステップA4の処理に戻る。一方、画像データに含まれる全てのページデータの解析が解析回路82により行われた場合(A10:YES)には、判別結果出力回路85は、画像データに含まれる全てのページデータに係る画像がモノクロ画像であると判断して、画像記録動作はモノクロ記録であると判別して(A11)、その判別結果をCPU42に出力する(A12)。
ステップA5の処理において、コマンド判別回路91が、コマンドの種類が画像オブジェクトであると判別した場合(A6:NO,且つA13:YES)には、当該画像オブジェクトを画像オブジェクト解析回路93に出力する。そして、画像オブジェクト解析回路93が、画像オブジェクトに係る画像がモノクロ画像であるかカラー画像であるかを解析して、その解析結果を判別結果出力回路85に出力する(A14)。判別結果出力回路85は、画像オブジェクト解析回路93から受信した解析結果が、画像オブジェクトに係る画像がモノクロ画像であることを示すとき(A15:NO)には、ステップA5の処理に戻り、コマンド判別回路91が次のコマンドを判別する。一方、解析結果が、画像オブジェクトに係る画像がカラー画像であることを示すとき(A15:YES)には、判別結果出力回路85は、ページデータに係る画像がカラー画像であると解析し(A16)、画像記録動作はカラー記録であると判別して(A17)、その判別結果をCPU42に出力する(A12)。
ステップA5の処理において、コマンド判別回路91が、コマンドの種類がデータ末コマンドであると判別した場合(A6:NO,A13:NO,且つA18:YES)には、判別結果出力回路85は、ページデータに含まれる全ての画像オブジェクトの画像がモノクロ画像であったと判断して、上述のステップA9の処理に移る。
また、ステップA5の処理において、コマンド判別回路91が、コマンドの種類が色指定コマンド、画像オブジェクト、及びデータ末コマンド以外の他のコマンドであると判別した場合(A6:NO,A13:NO,且つA18:NO)には、ステップA5の処理に戻り、コマンド判別回路91が次のコマンドを判別する。以上、判別回路48の処理動作について説明した。
以上のように、判別回路48は、位置指定コマンドを参照せずに、画像記録動作がモノクロ記録であるかカラー記録であるかを判別するので、回路構成を簡易化することができるとともに、その判別をより早期に行うことができる。また、判別回路48は、画像データに含まれる或るページデータに係る画像がカラー画像であると解析したときには、解析が行われていないページデータがある場合でも、画像記録動作がカラー記録であると判別するので、より早期に判別結果をCPU42に出力することができる。ここで、上述したように、画像データのページデータに含まれる全ての画像オブジェクトに係る画像が、実際に用紙Pに記録されるとは限らない。加えて、画像オブジェクト解析回路93による画像オブジェクトの解析に用いられる、閾値記憶回路86に記憶されている閾値が適切ではない場合がある。さらには、判別回路48の構成に対して複雑なデータ構成からなるページデータを判別する場合は、画像記録動作についてモノクロ記録であるものをカラー記録と誤判断したり、カラー記録であるものをモノクロ記録と誤判断したりする可能性がある。
判別回路48の判別結果が誤っている場合には、画像記録動作に先立って行われるメンテナンス動作が誤った処理内容で行われることになる。画像記録動作がモノクロ記録であるにも関わらず、判別回路48がカラー記録であると判別された場合、第2メンテナンス動作が行われることになるため、カラー用のヘッド1の吐出口8から不必要なインクが排出されることになる。また、画像記録動作がカラー記録であるにも関わらず、判別回路48がモノクロ記録であると判別した場合、第1メンテナンス動作が行われることになるため、カラー用のヘッド1の吐出口8のインク吐出特性が良好ではない状態で画像記録動作が行われることになる。
そこで、本実施形態において、CPU42は、画像記録動作がモノクロ記録であるかカラー記録であるかを量子化処理ASIC55により生成された記録データに基づき判別する。具体的には、CPU42は、ドットカウント回路72から受信したカウント結果において、CMYの全ての階調値が0である場合にはモノクロ記録であると判断し、CMYの何れかの階調値が1以上である場合にはカラー記録であると判別する。そして、この記録データに基づく判別結果と、判別回路48の判別結果が一致しない場合には、CPU42は閾値記憶回路86に記憶されている閾値を修正するよう閾値修正回路87に閾値修正指示を出力する。具体的には、画像記録動作がモノクロ記録であるにも関わらず判別回路48がカラー記録であると判別している場合には閾値が小さくなり、画像記録動作がカラー記録であるにも関わらず判別回路48がモノクロ記録であると判別していた場合には閾値が大きくなるように、CPU42は閾値修正回路87に閾値修正指示を出力する。これにより、これ以降における、判別回路48による判別精度を良くすることができる。
また、画像記録動作がカラー記録であるにも関わらず判別回路48がモノクロ記録であると判別した場合、カラー用のヘッド1の吐出口8のインク吐出特性が良好ではない状態で画像記録動作が行われることになるため、用紙Pに記録される画像の品質が劣化する虞がある。そこで、本実施形態においては、CPU42が画像記録動作がカラー記録であると判別したときにおいて、当該判別と判別回路48の判別結果とが一致する場合には、第2作成指示を予備吐出データ作成回路73に出力し、当該判別と判別回路48の判別結果とが一致しない場合には、第3作成指示を予備吐出データ作成回路73に出力する。これにより、CPU42が画像記録動作がカラー記録であると判別したときにおいて、当該判別と判別回路48の判別結果とが一致しない場合には、画像記録動作中にカラー用のヘッド1bから排出されるインクの量が多くなるため、カラー用のヘッド1bのインク吐出特性を良好な状態にすることができる。その結果、用紙Pに記録される画像の品質が劣化することを抑制することができる。
次に、CPU42の処理動作の一例について、図7を参照しつつ説明する。まず、CPU42は、外部端末装置18から記録指令を受信すると(B1)、画像データメモリ45に記憶された画像データが、RIPCPU47及び判別回路48に転送されるようDMAコントローラ46を制御する(B2)。これにより、RIPCPU47及び量子化処理ASIC55により画像データに基づく記録データが作成されるとともに、判別回路48により画像記録動作がモノクロ記録であるかカラー記録であるかが判別されることになる。
次に、CPU42は、判別回路48から判別結果を受信すると(B3:YES)、当該判別結果が画像記録動作がモノクロ記録であることを示す場合(B4:YES)には、第1メンテナンス動作が行われるように、ヘッド制御回路74を介して、ヘッド1aのアクチュエータユニット24を制御する(B5)。これにより、ヘッド1aの吐出口8からのみインクが排出されることになる。このステップB5の処理が終了すると、ステップB7の処理に移る。一方。判別回路48から受信した判別結果が、画像記録動作がカラー記録であることを示す場合(B4:NO)には、第2メンテナンス動作が行われるように、ヘッド制御回路74を介して、全てのヘッド1のアクチュエータユニット24を制御する(B6)。これにより、全てのヘッド1の吐出口8からインクが排出されることになる。このステップB6の処理が終了すると、ステップB7の処理に移る。
ステップB7の処理では、CPU42はドットカウント回路72からカウント結果を受信したか否かを判断する。カウント結果を受信したと判断した場合(B7:YES)には、CPU42は当該カウント結果に基づき、画像記録動作がモノクロ記録であるかカラー記録であるかを判別する(B8)。そして、画像記録動作がモノクロ記録であると判別した場合(B9:YES)には、CPU42は、当該判別結果と、判別回路48から受信した判別結果とが一致するか否かを判断する(B10)。判別結果が一致すると判断した場合(B10:YES)には、ステップB12の処理に移る。一方で、判別結果が一致しないと判断した場合(B10:NO)には、CPU42は、閾値記憶回路86に記憶されている閾値が小さくなるように閾値修正回路87に閾値修正指示を出力し(B11)、ステップB12の処理に移る。ステップB12の処理では、CPU42は、予備吐出データ作成回路73に第1作成指示を出力する。このステップB12の処理が終了すると、ステップB17の処理に移る。
ステップB8の処理で画像記録動作がカラー記録であると判別した場合(B9:NO)には、CPU42は、当該判別結果と、判別回路48から受信した判別結果とが一致するか否かを判断する(B13)。判別結果が一致すると判断した場合(B13:YES)には、CPU42は、予備吐出データ作成回路73に第2作成指示を出力して(B14)、ステップB17の処理に移る。一方、判別結果が一致しないと判断した場合(B13:NO)には、CPU42は、閾値記憶回路86に記憶されている閾値が大きくなるように閾値修正回路87に閾値修正指示を出力し(B15)、予備吐出データ作成回路73に第3作成指示を出力して(B16)。このステップB17の処理に移る。
ステップB17の処理では、CPU42は、機構系駆動制御回路79を介して搬送機構30を制御するとともに、ヘッド制御回路74を介してヘッド1を制御することで、駆動データ記憶回路76に記憶された駆動データに係る画像を用紙Pに記録する(画像記録動作及び第3メンテナンス動作)。以上、CPU42の処理動作の一例について説明した。
以上、本実施形態によると、記録データを作成するRIPCPU47や量子化処理ASIC55とは異なる判別回路48が、画像記録動作がモノクロ記録及びカラー記録の何れであるかを判別するので、その判別結果が早期に分かる。この結果、画像記録動作に先立って行われるヘッド1のメンテナンス動作の開始時期を早くすることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態では、記録装置はインクジェットプリンタであるが、レーザプリンタであってもよい、レーザプリンタは、表面が正帯電性の感光層によって覆われた感光ドラムの表面を、CMYK各色に対応した4つの露光部によって露光させて、記録データに基づき用紙に記録すべき画像に対応した静電潜像を形成させる。そして、感光ドラムの表面に形成された静電潜像にCMYK各色のトナーを供給することでトナー像を形成した後、感光ドラムに用紙を接触させて当該トナー像を転写させる。その後、定着部により用紙Pに転写されたトナー像を加熱定着させることで用紙に画像を記録する記録装置である。このレーザプリンタの場合、露光部や定着部が記録部に相当する。また、画像記録動作に先立って行われる記録部のメンテナンス動作は、露光部の清掃や定着部の加熱準備等が含まれ、モノクロ記録に先立って行われる第1メンテナンス動作と、カラー記録に先立って行われる第2メンテナンス動作とでは、その動作内容が異なる。例えば、第1メンテナンス動作ではKに対応する1つの露光部のみを清掃し、第2メンテナンス動作ではCMYK各色に対応した4つの露光部全てを清掃する。
また、上述の実施形態では、ページデータに含まれる画像オブジェクトはRGBの表色系で階調値が表現されていたが、特にこれに限定されるものではなく、CMYKの表色系で階調値が表現されていてもよい。この場合、画像オブジェクトに係る画像の各CMYの階調値が0に近いほど、当該画像オブジェクトに係る画像がモノクロ画像である可能性が高い。そこで、この場合には、画像オブジェクトの画像の各CMYの階調値が閾値記憶回路86に記憶された閾値以下の場合には当該画像オブジェクトの画像がモノクロ画像であると解析する。一方で、画像オブジェクトの画像の各CMYの階調値のなかに、閾値記憶回路86に記憶された閾値よりも大きいものを含む場合にはカラー画像であると解析する。
また、上述の実施形態においては、第1メンテナンス動作のときには、3つのカラー用のヘッド1bの吐出口8からはインクを排出させないように構成されていたが、第1メンテナンス動作のときにも排出されるように構成されていてもよい。この場合においても、第1メンテナンス動作のときに3つのカラー用のヘッド1bの吐出口8から排出されるインクの量を、第2メンテナンス動作のときに排出されるインクの量よりも少なくすることが好ましい。
また、上述の実施形態では、ヘッド1のメンテナンスはフラッシングであったが、ヘッド1をメンテナンスするものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポンプ19を駆動してヘッド1から強制的にインクを排出するパージであってもよい。この場合、ポンプ19がメンテナンス部に相当する。
また、上述の実施形態では、画像記録動作がカラー記録であり、且つ判別回路48の判別結果がモノクロ記録であった場合に、第3メンテナンス動作において吐出口8から排出されるインクの量が多くなるように構成されているが、第3メンテナンス動作において吐出口8から排出されるインクの量を多くする代わりに次回の第2メンテナンス動作において吐出口8から排出されるインクの量を多くしてもよい。
また、上述の実施形態においては、解析回路82の回路構成が再構成させる再構成制御回路84は判別回路48が有していたが、判別回路48に再構成制御回路84を設けず、当該再構成制御回路84の機能がRIPCPU47により実現されるように構成されていてもよい。即ち、RIPCPU47の制御により解析回路82の回路構成が再構成されてもよい。また、解析回路82は、動的に再構成する構成ではなく、設定レジスタなどにより動作モードが変更できるような構成であってもよい。
また、判別回路48は、ページデータに含まれる全ての画像オブジェクトについて、当該画像オブジェクトに係る画像がモノクロ画像であるかカラー画像であるかを常に解析するように構成されていてもよく、また、画像データに含まれる全てのページデータについて、当該ページデータに係る画像がモノクロ画像であるかカラー画像であるかを常に解析するように構成されていてもよい。この場合、判別回路48の判別精度を高くすることができる。
また、上述の実施形態においては、各ヘッド1から1色のインクを吐出させることで、4つのヘッド1から4色のインクを吐出するように構成されているが、各ヘッド1(ヘッドユニット3)それぞれから4色のインクを吐出するように構成されていてもよい。
本発明はライン式のインクジェットプリンタのみならず、静止している用紙Pに対してヘッド1を移動させることで、用紙Pに画像を記録するシリアル式のインクジェットプリンタにも適用可能である。また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機などにも適用可能である。