[第1の実施形態]
第1の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る投影装置は、マイクロミラー表示素子を用いたDigital Light Processing(DLP)(登録商標)方式を用いている。本実施形態に係る投影装置としてのプロジェクタ1の構成の概略を図1に示す。プロジェクタ1は、入出力コネクタ部11と、入出力インターフェース(I/F)12と、画像変換部13と、投影処理部14と、マイクロミラー素子15と、光源部16と、ミラー18と、投影レンズ20と、CPU25と、メインメモリ26と、プログラムメモリ27と、操作部28と、姿勢センサ29と、音声処理部30と、スピーカ32と、投影調整部40と、撮像部52と、レンズ調整部54と、位置姿勢調整部56と、電動脚部58と、システムバスSBとを有する。
入出力コネクタ部11には、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子や、D−sub15タイプのRGB入力端子といった端子が設けられており、アナログ画像信号が入力される。入力された画像信号は、入出力I/F12及びシステムバスSBを介して画像変換部13に入力される。入力された各種規格のアナログ画像信号は、デジタル画像信号に変換される。なお、入出力コネクタ部11には、例えばHDMI(登録商標)端子等も設けられ、アナログ画像信号のみならずデジタル画像信号も入力され得るようにしてもよい。また、入出力コネクタ部11には、アナログ又はデジタル信号による音声信号が入力される。入力された音声信号は、入出力I/F12及びシステムバスSBを介して音声処理部30に入力される。また、入出力コネクタ部11には、例えば後述の第2の実施形態で映像装置(投影制御装置)に接続される際に用いられる、例えばRS232C端子やUSB端子も設けられている。
画像変換部13は、スケーラとも称される。画像変換部13は、入力された画像データについて、解像度数、階調数等を調整する変換を行い、投影に適した所定のフォーマットの画像データを生成する。画像変換部13は、変換した画像データを投影処理部14へ送信する。必要に応じて画像変換部13は、On Screen Display(OSD)用の各種動作状態を示すシンボルを重畳した画像データを、加工画像データとして投影処理部14に送信する。また、画像変換部13は、必要に応じて投影画像の幾何学変換を行い、投影状態に応じてスクリーン等の被投影体に適切な形状で画像が投影されるようにする。
光源部16は、赤(R)、緑(G)、青(B)の原色光を含む複数色の光を射出する。ここで、光源部16は、複数色の色を時分割で順次射出するように構成されている。光源部16から射出された光は、ミラー18で全反射し、マイクロミラー素子15に入射する。
マイクロミラー素子15は、アレイ状に配列された複数の微小ミラーを有する。各微小ミラーは、高速でオン/オフ動作して、光源部16から照射された光を投影レンズ20の方向に反射させたり、投影レンズ20の方向からそらしたりする。マイクロミラー素子15には、微小ミラーが例えばWXGA(Wide eXtended Graphic Array)(横1280画素×縦800画素)分だけ並べられている。各微小ミラーにおける反射によって、マイクロミラー素子15は、例えばWXGA解像度の画像を形成する。このように、マイクロミラー素子15は空間的光変調素子として機能する。
投影処理部14は、画像変換部13から送信された画像データに応じて、その画像データが表す画像を表示させるため、マイクロミラー素子15を駆動する。すなわち、投影処理部14は、マイクロミラー素子15の各微小ミラーをオン/オフ動作させる。ここで投影処理部14は、マイクロミラー素子15を高速に時分割駆動する。単位時間の分割数は、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば60[フレーム/秒]と、色成分の分割数と、表示階調数とを乗算して得られる数である。また、投影処理部14は、マイクロミラー素子15の動作と同期させて光源部16の動作も制御する。すなわち、投影処理部14は、各フレームを時分割して、フレーム毎に全色成分の光を順次射出するように光源部16の動作を制御する。
投影レンズ20は、マイクロミラー素子15から導かれた光を、例えば図示しないスクリーン等の被投影体に投影する光に調整する。したがって、マイクロミラー素子15による反射光で形成された光像は、投影レンズ20を介して、スクリーン等の被投影体に投影され表示される。投影レンズ20は、ズーム機構を有しており、投影される画像の大きさを変更する機能を有する。また、投影レンズ20は、投影画像の合焦状態を調整するためのピント(フォーカス)調整機構を有する。このように、投影処理部14、マイクロミラー素子15、光源部16及び投影レンズ20等は、画像を投影する投影部として機能する。
音声処理部30は、PCM音源等の音源回路を備える。入出力コネクタ部11から入力されたアナログ音声データに基づいて、又は投影動作時に与えられたデジタル音声データをアナログ化した信号に基づいて、音声処理部30は、スピーカ32を駆動して拡声放音させる。また、音声処理部30は、必要に応じてビープ音等を発生させる。スピーカ32は、音声処理部30から入力された信号に基づいて音声を射出する一般的なスピーカである。
CPU25は、画像変換部13、投影処理部14、音声処理部30、並びに後述の投影調整部40、レンズ調整部54、及び位置姿勢調整部56の動作を制御する。このCPU25は、メインメモリ26及びプログラムメモリ27と接続されている。メインメモリ26は、例えばSRAMで構成される。メインメモリ26は、CPU25のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ27は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリで構成される。プログラムメモリ27は、CPU25が実行する動作プログラムや各種定型データ等を記憶する。また、CPU25は、操作部28と接続されている。操作部28は、プロジェクタ1の本体に設けられるキー操作部と、プロジェクタ1専用の図示しないリモートコントローラからの赤外光を受光する赤外線受光部とを含む。操作部28は、ユーザが本体のキー操作部又はリモートコントローラで操作したキーに基づくキー操作信号をCPU25に出力する。CPU25は、メインメモリ26及びプログラムメモリ27に記憶されたプログラムやデータを用いて、操作部28からのユーザの指示に応じてプロジェクタ1の各部の動作を制御する。
姿勢センサ29は、例えば3軸の加速度センサ、方位を検出する方位センサを有する。加速度センサは、重力方向に対するプロジェクタ1の姿勢角すなわち、ピッチ、及びロールの各角度を検出する。ヨー角については、方位センサで検出される基準方位に対する相対方位として、検出される。姿勢センサ29は、検出結果を投影調整部40に出力する。
撮像部52は、プロジェクタ1による投影像を撮像することができる。撮像部52は、投影調整部40の指示の下、撮像を行い、撮像データを投影調整部40に出力する。レンズ調整部54は、投影調整部40の指示の下、投影レンズ20のズーム機構を駆動させる。レンズ調整部54によって、ズーム機構が駆動される結果、投影画像の大きさが変化する。また、レンズ調整部54は、投影調整部40の指示の下、投影レンズ20の合焦レンズを駆動させる。
電動脚部58は、位置姿勢調整機構として、プロジェクタ1の位置及び姿勢を変更する。すなわち、電動脚部58は、脚の長さを変更させることで、プロジェクタ1の水平度を調整することができる。また、電動脚部58は、プロジェクタ1の位置を変化させずに首ふり動作によって投影方向を上下左右に調整することができる。また、電動脚部58は、例えば車輪を有していて、プロジェクタ1が設置された例えば机上において、プロジェクタの位置を前後左右に平行移動させることができる。位置姿勢調整部56は、投影調整部40の指示の下、電動脚部58を駆動させる。
投影調整部40は、プロジェクタ1の位置及び姿勢、投影レンズの倍率、画像の幾何学変換等を用いて、スクリーン等の被投影体に適切に画像を投影するための調整を行う。投影調整部40は、チャート生成部41と、調整値算出部42と、補正パラメータ決定部43とを有する。チャート生成部41は、調整用チャートの投影に係る制御を行う。チャート生成部41は、プログラムメモリ27に記憶されている調整用チャートを読み込み、この調整用チャートのデータを投影処理部14に送信し、調整用チャートを投影させる。調整値算出部42は、例えば撮像部52によって撮像された撮像画像に基づいて、プロジェクタ1の各部の駆動量等の調整値を算出する。この調整値には、例えば、投影レンズ20の合焦用レンズ及びズーム用レンズの駆動量、並びに、電動脚部の脚長さの変更量、上下左右方向の首ふり量及び平行移動の移動量が含まれる。調整値算出部42は、算出した調整値をレンズ調整部54や、位置姿勢調整部56に出力する。補正パラメータ決定部43は、投影画像の幾何学変換量の算出を行う。補正パラメータ決定部43は、調整用チャートを含む投影する画像に施す幾何学変換に係る補正パラメータを決定する。補正パラメータ決定部43は、決定した補正パラメータをチャート生成部41に出力する。チャート生成部41は、補正パラメータ決定部43から取得した補正パラメータに基づいて、調整用チャートの幾何学変換を行う。また、補正パラメータ決定部43は、決定した補正パラメータを画像変換部13に出力する。画像変換部13は、調整用チャート以外の画像を表示させる際に、補正パラメータ決定部43から取得した補正パラメータに基づいて、当該画像に幾何学変換を施す。
本実施形態に係るプロジェクタ1の動作を説明する。まず、プロジェクタ1の投影動作を説明する。この投影動作は、CPU25の制御の下、投影処理部14が実行するものである。光源部16の動作は、投影処理部14により制御される。投影処理部14は、光源部16内の各色を発する半導体レーザやLEDのオン又はオフや、それら光源と蛍光体との組み合わせなどを変化させることで、例えば赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)の3色の光を、光源部16から順次射出させる。投影処理部14は、光源部16からマイクロミラー素子15に順次、赤色光、緑色光、及び青色光を入射させる。
マイクロミラー素子15は、各色の光について微小ミラー毎(画素毎)に、画像データに基づく階調が高い程入射した光を投影レンズ20に導く時間を長くし、階調が低い程入射した光を投影レンズ20に導く時間を短くする。すなわち、投影処理部14は、階調が高い画素に対応する微小ミラーが長時間オン状態となるように、階調が低い画素に対応する微小ミラーが長時間オフ状態となるように、マイクロミラー素子15を制御する。このようにすることで、投影レンズ20から射出される光について、微小ミラー毎(画素毎)に各色の階調を表現できる。
フレーム毎に、微小ミラーがオンになっている時間で表現された階調を各色について組み合わせることでカラー画像が表現される。以上のようにして、投影レンズ20からは、画像が表現された投影光が射出される。この投影光が、例えばスクリーンに投影されることで、スクリーン等にはカラー画像が表示される。
なお、上記説明では、赤色光、緑色光、青色光の3色を用いるプロジェクタの例を示したが、マゼンタやイエロー等の補色や、白色光等を組み合わせて画像を形成するように、これら色の光を射出できるようにプロジェクタが構成されてもよい。
次に、本実施形態に係る投影状態調整について説明する。この投影状態調整は、例えばスクリーンといった被投影体に、例えばできるだけ大きく、歪みのない長方形状に、映像を投影するための調整である。この投影状態調整は、例えばプロジェクタ1が設置される際に行われる。
本実施形態では、投影状態調整に調整用チャートが用いられる。まず、調整用チャートについて説明する。調整用チャートの一例を図2に示す。この図に示されるように、調整用チャート100は、投影領域の最も外側を示す外枠110を含む。外枠110は、上辺線111と、下辺線112と、左辺線113と、右辺線114とを含む。また、調整用チャート100は、外枠110に内接する菱形120を含む。この菱形120は、辺121,122,123,124を含む。辺121及び辺122は上頂点126で交わり、上頂点126は上辺線111中央に位置している。辺123及び辺124は下頂点127で交わり、下頂点127は下辺線112中央に位置している。辺121及び辺123は左頂点128で交わり、左頂点128は左辺線113中央に位置している。辺122及び辺124は右頂点129で交わり、右頂点129は右辺線114中央に位置している。さらに、調整用チャート100は、外枠110の重心に交点を有する十字マーク130を含む。十字マーク130は、水平線131と垂直線132とを含む。
このような調整用チャート100によれば、次のようにして、プロジェクタ1による投影領域とスクリーン等の被投影体との位置関係が得られる。すなわち、例えば図3(a)に示されるように、破線で示されたスクリーン200に対して、調整用チャート100が投影されているものとする。このとき、スクリーン200とその後ろの壁とが離れているとき、図3(b)に示されるように、調整用チャート100は、スクリーン200に投影されている部分しか見えない。したがって、例えば図3(c)に示されるように、調整用チャート100が外枠110のみしかない場合や、図3(d)に示されるように、調整用チャートが外枠110と外枠110の対角線140のみしかない場合には、上辺線111等のスクリーン200に投影されていない各辺がどの位置にあるのか不明になる。
一方で、本実施形態に係る調整用チャート100によれば、図3(b)に示されるように、辺121及び辺122によって形成される間隔151によって、上辺線111の位置が推定され得る。同様に、辺122及び辺124によって形成される間隔152によって、右辺線114の位置が推定され得る。同様に、辺123及び辺124によって形成される間隔153によって、下辺線112の位置が推定され得る。このように、上辺線111、下辺線112、左辺線113及び右辺線114に接する菱形120によって、上辺線111、下辺線112、左辺線113及び右辺線114がスクリーン200上に投影されていなくても、それら辺の位置が推定され得る。したがって、本実施形態に係る調整用チャート100によれば、スクリーン200に対する投影位置の調整が、素早く、容易に行われ得る。
また、菱形120のみによってもプロジェクタ1の傾き等による調整用チャート100の傾きは検出され得るが、十字マーク130も設けられていることにより、調整用チャート100の傾きがさらに容易に検出され得るので、十字マーク130も設けられることが好ましい。
図3には、簡単のためスクリーン200の真正面から投影されている場合を例として、調整用チャート100が示されている。これに対して、例えばスクリーン200の中心よりも下側にプロジェクタ1が設置される場合、投影レンズ20を介して光が投影される投影領域は台形に歪む。一般に、投影領域が台形等に歪んでいるときに、これを補正するため、幾何学変換を用いた補正が行われることがある。すなわち、例えば図4(a)に示されるように、スクリーン200に対して投影可能な投影領域162が台形に歪んでいるとき、図4(b)に示されるように、画像が長方形の補正後画像領域164に投影されるように、投影画像の幾何学変換が行われることがある。このとき、図4(b)において斜線で示された、領域166には、黒表示がなされる。すなわち、幾何学変換が行われるとき、プロジェクタ1によって投影できる領域の一部の領域のみが使われることになる。その結果、投影画像の輝度は、プロジェクタ1によって投影できる領域の全ての領域が使われる場合よりも相対的に減少する。また、この場合、投影される画像の解像度も減少する。
そこで、幾何学変換によってスクリーン200に合わせて画像が投影される場合、投影領域162はスクリーン200に外接するように、すなわち、投影領域162がスクリーン200よりも大きく、かつ投影領域162ができるだけ小さくなるように、プロジェクタ1の位置及び姿勢が調整されることが好ましい。このような幾何学変換が行われる場合においても、本実施形態に係る調整用チャート100は効を奏する。すなわち、本実施形態に係る調整用チャート100が用いられれば、外枠110がスクリーン200の外側に位置していても検出され得るので、投影領域がスクリーン200に外接するようにプロジェクタ1の位置及び姿勢が調整され得る。その結果、幾何学変換が用いられる場合も、可能な限りの高輝度及び高解像度が得られる。
本実施形態に係る投影状態調整処理の一例を表すフローチャートを図5に示す。プロジェクタ1は、プログラムメモリ27に、例えば図2に示されるような調整用チャートを複数有している。ユーザは、投影状態調整において、調整用チャートを1つ選択する。ステップS101において、投影調整部40は、調整用チャートが選択されたか否かを判定する。調整用チャートが選択されていないと判定されたとき、処理はステップS101を繰り返し、待機する。一方、調整用チャートが選択されたと判定されたとき、処理はステップS102に進む。なお、調整用チャートは、1つしか用意されていなくてもよく、その場合、ステップS101の処理は行われなくてもよい。
ステップS102において、投影調整部40は、プログラムメモリ27から調整用チャートのデータを読み込み、調整用チャートを投影させる。すなわち、投影調整部40は、調整用チャートの画像情報を投影処理部14に出力し、投影処理部14にこの調整用チャートを投影させるように指令する。ステップS103において、投影調整部40は、自動調整機能がオンであるか否かを判定する。オンであると判定されたとき、処理はステップS104に進む。
ステップS104において、投影調整部40は、スクリーンまでの距離を測定する。距離測定方法は、超音波や赤外線を用いるもの等、公知のどのような技術が用いられてもよい。ステップS105において、投影調整部40は、ステップS104でフォーカスの調整を行う。なお、フォーカスの調整は、投影された調整用チャートのコントラストに基づいて行われてもよい。この場合、ステップS104の距離測定が行われずに、後述の撮像が繰り返し行われることになる。
ステップS106において、投影調整部40は、撮像部52をスタンバイ状態にさせる。ステップS107において、投影調整部40は、撮像部52に撮像を行わせ、スクリーン及び調整用チャートが投影された現在の投影の状態を撮像した撮像画像を取得する。ステップS108において、投影調整部40は、撮像画像に基づいて、プロジェクタ1から見たスクリーンの形状を認識する。投影調整部40は、例えば、撮像画像におけるスクリーンに相当するエッジを検出することで、スクリーンの形状を認識できる。
ステップS109において、投影調整部40は、撮像画像に基づいて、スクリーンのアスペクト比を推定する。すなわち、ステップS108において認識されたスクリーンの形状に基づいて、例えばスクリーンの幅とスクリーンの高さとの比を算出する。プロジェクタ1がスクリーンの正面に位置せず、斜めに位置している場合、撮像画像においてスクリーンの形状は例えば台形になる。このような場合、スクリーンの中央における幅及び高さや、幅の平均値及び高さの平均値等の幅及び高さを表す代表値に基づいてアスペクト比が算出されてもよい。また、撮像画像における台形形状に基づいて、実際のスクリーンの形状が逆算されることで、アスペクト比が算出されてもよい。
本実施形態に係るプロジェクタ1は、アスペクト比維持設定と、フィッティング優先設定とを用意している。アスペクト比維持設定では、投影する画像のアスペクト比が維持される。投影画像のアスペクト比とスクリーンのアスペクト比が不一致である場合、スクリーンには、画像が投影されない余白領域が設けられることになる。一方、フィッティング優先設定では、投影画像のアスペクト比がスクリーンのアスペクト比に応じて調整され、スクリーン全体に画像が投影される。この際、投影画像は、スクリーンのアスペクト比に応じて幾何学変換によって調整されるので、画像は縦長又は横長に歪む。また、後述する通り、プロジェクタ1が投影する領域の一部を用いない(黒画像にする)よう幾何学変換するために、大きく投影することになるので、その分だけ投影画像の輝度が下がる。
ステップS110において、投影調整部40は、アスペクト比維持設定であるか否かを判定する。アスペクト比維持設定であると判定されたとき、処理はステップS111に進む。ステップS111において、投影調整部40は、スクリーンが投影画像より横長であるか否かを判定する。横長であると判定されたとき、処理はステップS112に進む。ステップS112において、投影調整部40は、横長アスペクト比維持処理を行う。横長アスペクト比維持処理について、図6に示すフローチャート及び図7を参照して説明する。図7において、破線はスクリーン200を示し、実線は投影された調整用チャート100を示す。
ステップS201において、投影調整部40は、撮像画像に基づいて、プロジェクタ1の位置及び姿勢の調整量を算出する。この調整量は、以下に説明する調整に必要な量である。
ステップS202において、投影調整部40は、ステップS201で算出された調整量に基づいて、位置姿勢調整部56にローテーション調整を行わせる。すなわち、プロジェクタ1を支える脚の長さを調整し、プロジェクタ1の水平度を調整する(画角の基準角度の調整(ローリング調整)を行う)。この調整によって、当初、図7(a)に示されるような状態にあったスクリーン200と投影された調整用チャート100との関係は、図7(b)に示されるような状態になる。すなわち、調整用チャート100の十字マーク130の水平線131が水平となるように調整される。このローテーション調整の調整量は、十字マーク130の水平線131とスクリーン200の上下の辺とが成す角度に基づいて算出されてもよいし、スクリーンは、上辺及び下辺が水平に設置されているものとして、姿勢センサ29の出力に基づいて算出されてもよい。
ステップS203において、投影調整部40は、ステップS201で算出された調整量に基づいて、位置姿勢調整部56に左右方向への首ふりを行わせる。すなわち、電動脚部58の回転軸を回転させて、プロジェクタ1を左右方向に回転させる(ヨーイング調整を行う)。この調整によって、図7(b)に示されるような状態にあったスクリーン200と投影された調整用チャート100との関係は、図7(c)に示されるような状態になる。すなわち、調整用チャート100の外枠110の上辺線111と下辺線112とが水平になり、十字マーク130の垂直線132が水平線131に対して垂直になる。
ステップS204において、投影調整部40は、ステップS201で算出された調整量に基づいて、位置姿勢調整部56に左右方向へ平行移動を行わせる。すなわち、電動脚部58の車輪を駆動させて、プロジェクタ1を左右方向に平行移動させる。この調整によって、図7(c)に示されるような状態にあったスクリーン200と投影された調整用チャート100との関係は、図7(d)に示されるような状態になる。すなわち、調整用チャート100の十字マーク130の垂直線132がスクリーン200の左右方向の中心に位置するようになる。
ステップS205において、投影調整部40は、ステップS201で算出された調整量に基づいて、位置姿勢調整部56に上下方向への首ふりを行わせる。すなわち、電動脚部58の回転軸を回転させて、プロジェクタ1を上下方向に回転させる(ピッチング(チルト)調整を行う)。この調整によって、図7(d)に示されるような状態にあったスクリーン200と投影された調整用チャート100との関係は、図7(e)に示されるような状態になる。すなわち、調整用チャート100の十字マーク130の水平線131がスクリーン200の上下方向の中心付近に位置するようになる。より正確には、図7(e)に示されるように、上辺線111が下辺線112よりも長い状態、すなわち、プロジェクタ1がスクリーン200を下から上に仰ぎ見る状態の場合、水平線131がスクリーン200の上下方向の中心よりも上側に位置する。
ステップS206において、投影調整部40は、ステップS201で算出された調整量に基づいて、レンズ調整部54にズーム機構の調整を行わせる。この調整によって、図7(e)に示されるような状態にあったスクリーン200と投影された調整用チャート100との関係は、図7(f)に示されるような状態になる。すなわち、調整用チャート100の外枠110の上辺線111がスクリーン200の上辺に一致し、下辺線112がスクリーン200の下辺に一致する。以上のように、投影レンズ20のズーム機構によって、投影画像の大きさを変化させることができ、電動脚部58によって、プロジェクタ1の位置及び姿勢を調整することができる。
ステップS207において、投影調整部40は、ステップS201で算出された調整量に基づいて、チャート生成部41に幾何学変換による補正を行わせる。この補正によって、図7(f)に示されるような状態にあったスクリーン200と投影された調整用チャート100との関係は、図7(g)に示されるような状態になる。すなわち、調整用チャート100の外枠110の左辺線113と右辺線114とスクリーン200の左右の辺と平行になる。ここで、図7(g)の斜線を付して示される領域には、黒で塗りつぶした画像が投影されることになる。すなわち、プロジェクタ1が投影できる領域の一部が用いられて長方形の投影領域が得られることになる。補正パラメータ決定部43は、この際用いた補正パラメータを画像変換部13に出力する。画像変換部13は、画像変換において、入力された補正パラメータを用いた幾何学変換を行う。その後、横長アスペクト比維持処理は終了し、処理は投影状態調整処理に戻る。
このように、横長アスペクト比維持処理によれば、投影画像の上下の辺がスクリーン200の上下の辺に一致し、スクリーン200の左右に余白ができるように、投影状態が調整される。横長アスペクト比維持処理によれば、投影画像がスクリーン200に最適に投影されるように、プロジェクタ1の各部が調整される。
なお、本実施形態では、撮像画像がステップS107において1回だけ得られ、この撮像画像に基づいて、ステップS201で全ての調整量が1度に算出される場合を説明した。このように1枚の撮像画像から全調整量が算出されると、撮像回数が減り、処理が単純化される。しかしながらこれに限らず、ステップS202乃至ステップS207の各ステップの後に撮像を行い、ステップ毎に調整量が算出されてもよい。この場合、撮影処理の回数は増すが、調整量の算出において行われる演算量は小さくなる。
また、本実施形態では、ステップS207において幾何学変換が行われ、図7(f)の投影状態から図7(g)の投影状態への調整が行われている。これに対して、電動脚部58によって、プロジェクタ1の前側と後側の高さが個別に調整できるときには、幾何学変換によらず、プロジェクタ1の前側と後側の高さが個別に変更されて、台形を補正するようにしてもよい。また、ステップS202乃至ステップS206における処理では、電動脚部58によりプロジェクタ1の位置及び姿勢が調整されている。電動脚部58がこれらの位置及び姿勢の調整のうち一部又は全部を行えないとき、その調整を幾何学変換によって補ってもよい。例えば、ステップS204の車輪による平行移動が行えないとき、この分の調整を幾何学変換によって行ってもよい。また、この際、左右方向の首ふりにより投影位置を左右にずらして、その際に生じる投影歪みを幾何学変換によって調整してもよい。すなわち、調整方法は種々の組み合わせが考えられるが、所定の方法で選択されるように設定され得る。また、図6を参照して説明した調整手順は一例であり、順序は適宜変更され得る。例えば、鉛直度を合わせてから水平度を合わせるようにしてもよい。
図5に戻って、投影状態調整処理について説明を続ける。ステップS112の横長アスペクト比維持処理の後、処理はステップS117に進む。ステップS111の判定において、スクリーンが投影画像より横長でないと判定されたとき、すなわち、スクリーンが投影画像より縦長であると判定されたとき、処理はステップS113に進む。
ステップS113において、投影調整部40は、縦長アスペクト比維持処理を行う。縦長アスペクト比維持処理が行われるとき、スクリーン200のアスペクト比と投影画像のアスペクト比とが異なり、スクリーン200が縦長である。そこで、縦長アスペクト比維持処理では、図8に示されるように、調整用チャートの外枠110の左右の辺とスクリーン200の左右の辺とが一致し、スクリーン200の上下に余白が設けられるように、プロジェクタ1の各部が調整される。調整の基本的な手順は、図6を参照して説明した横長アスペクト比維持処理と同様である。縦長アスペクト比維持処理の後、処理はステップS117に進む。
ステップS110の判定において、アスペクト比維持設定でないと判定されたとき、すなわち、フィッティング優先設定であると判定されたとき、処理はステップS114に進む。ステップS114において、投影調整部40は、スクリーンが投影画像より横長であるか否かを判定する。横長であると判定されたとき、処理はステップS115に進む。
ステップS115において、投影調整部40は、横長フィッティング優先処理を行う。横長フィッティング優先処理では、図9(a)に示されるように、調整用チャート100の左右の辺が、スクリーン200の左右の辺と一致するようにプロジェクタ1の各部が調整される。さらに、横長フィッティング優先処理では、この状態から図9(b)に示されるように、スクリーン200に合わせて、幾何学補正がなされる。すなわち、投影画像が上下方向に圧縮される。その結果、投影画像のアスペクト比は、スクリーンに合わせて、横長に調整される。このように、横長フィッティング優先処理によれば、スクリーン200の全面が、投影面として利用される。
なお、図9(b)の斜線を付して示される領域は、黒で塗りつぶした画像が投影されることになる。すなわち、プロジェクタ1が投影できる領域の一部しか使われていないことになる。このようなフィッティング優先設定の場合は、アスペクト比維持設定の場合よりズーム倍率が大きく、画像が大きく投影されることになるので、画像の輝度は、相対的に低下することに留意する。横長フィッティング優先処理の後、処理はステップS117に進む。
ステップS114の判定において、スクリーンが投影画像より横長でないと判定されたとき、すなわち、スクリーンが投影画像より縦長であると判定されたとき、処理はステップS116に進む。ステップS116において、投影調整部40は、縦長フィッティング優先処理を行う。縦長フィッティング優先処理では、図10(a)に示されるように、調整用チャート100の上下の辺が、スクリーン200の上下の辺と一致するようにプロジェクタ1の各部が調整される。さらに、縦長フィッティング優先処理では、この状態から図10(b)に示されるように、スクリーン200に合わせて、幾何学補正がなされる。すなわち、投影画像が左右方向に圧縮される。その結果、投影画像のアスペクト比は、スクリーンに合わせて、縦長に調整される。このように、縦長フィッティング優先処理によれば、スクリーン200の全面が、投影面として利用される。
なお、図10(b)の斜線を付して示される領域は、黒で塗りつぶした画像が投影されることになる。すなわち、プロジェクタ1が投影できる領域の一部しか使われていないことになる。縦長フィッティング優先設定の場合も、アスペクト比維持設定の場合よりズーム倍率が大きく、画像が大きく投影されることになるので、画像の輝度は、相対的に低下することに留意する。縦長フィッティング優先処理の後、処理はステップS117に進む。
ステップS117において、投影調整部40は、撮像部52をオフ状態にする。その後処理はステップS121に進む。ステップS104乃至ステップS117の処理によれば、ユーザが操作を行わなくても、プロジェクタ1は、自動的に最適な投影状態を実現させることができる。
一方、ステップS103において、自動調整機能がオンでないと判定されたとき、処理はステップS118に進む。処理がステップS118に進むとき、ユーザの手動による投影状態の調整が行われる。すなわち、ステップS104乃至ステップS117で行われる調整が、ユーザによる手動で行われる。調整方法は、上述と同様であり、ユーザの目視による合焦調整や、例えば図7を参照して説明したようなプロジェクタ1の位置及び姿勢並びにズームの調整が行われる。
ステップS118において、投影調整部40は、ユーザの手動による調整が終了した旨の指示が入力されたか否かを判定する。調整が終了していないとき、処理はステップS118を繰り返し、待機する。一方、調整の終了が入力されたと判定されたとき、処理はステップS119に進む。
ステップS119において、投影調整部40は、幾何学補正が要求されているか否かを判定する。幾何学補正が要求されていないとき、処理はステップS121に進む。一方、幾何学補正が要求されているとき、処理はステップS120に進む。ステップS120において、投影調整部40は、幾何学補正処理を行う。幾何学補正処理では、撮像部52が投影状態の撮像を行い、補正パラメータ決定部43が撮像画像に基づいて幾何学補正量を算出し、幾何学補正を行う。その後、処理はステップS121に進む。
ステップS121において、投影調整部40は、調整用チャートの投影を終了する。その後、投影状態調整処理は終了する。
本実施形態によれば、最適な投影状態が得られるようにプロジェクタ1の位置及び姿勢が調整され得る。この際、図2に示されるような調整用チャートが用いられることで、1回の撮像によって、プロジェクタ1の各部の調整量が算出され得る。
なお、調整用チャートは、図2に示されるようなものに限らない。例えば図11の各図に示されるようなものでもよい。これら図において、外枠は、破線で示されている。これら図に示されるように、破線で示された外枠の各辺は、実線で示された線との少なくとも1つの交点が存在する。この交点を第1の点と称することにする。図2、図11(a),(b),(c),(d),(g),(h)では、第1の点は各辺に1点ずつ設けられている。また、図11(e)では、第1の点は、上辺及び下辺にはそれぞれ3つ、左辺及び右辺にはそれぞれ1つ設けられている。また、図11(f)では、第1の点は、上辺及び下辺にはそれぞれ2つ、左辺及び右辺にはそれぞれ1つ設けられている。
第1の点からは、この第1の点を一端とする少なくとも2本の線が設けられている。図2、図11(a),(b),(c),(d),(f),(g),(h)では、各々の第1の点について、第1の点を一端とする線が2本ずつ設けられている。図11(e)では、各々の第1の点について、第1の点を一端とする線が3本ずつ設けられている。これらの線を第1の線と称することにする。
図2、図11(a),(d),(e),(f),(g),(h)では、第1の線は直線である。図11(b),(c)では、第1の線は曲線である。図2、図11(h)では、第1の線は菱形を形成する。図11(b),(c)では、第1の線は曲線である。図11(c)では、第1の線は、楕円(の一部となる弧)を形成する。
第1の線によれば、外枠がスクリーンに投影されていなくても、外枠の位置が明らかになる(容易に推定される)。なお、調整用チャートに外枠がさらに設けられることで、スクリーンに外郭が投影されたときに、容易に外郭が認識され得るようになる。また、一点鎖線で示された十字線など、水平及び垂直の線によって、投影画像の水平及び垂直が明らかになる。この水平及び垂直を示す線は、十字形状に限らず図11(h)のように、例えば長方形や正方形でもよい。
図11に示されるような特徴を有する調整用チャートによれば、本実施形態による効果と同様の効果が得られる。図2及び図11に示した調整用チャートは一例であり、調整用チャートが、各々の前記第1の点について前記第1の点を一端とする少なくとも2本の第1の線を含んでいるとき、同様の効果が得られる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、複数のプロジェクタ310が用いられる。例えば、図12に示されるように、複数のプロジェクタ310が、スクリーン200上の同一領域に画像を投影する。このように、複数のプロジェクタ310が同一領域に画像を投影することで、1台のプロジェクタでは得られない高い投影輝度が得られる。このような投影方法はスタック投影とも呼ばれる。
また、例えば図13に示されるように、スクリーン200上の異なる領域に、プロジェクタ310がそれぞれ画像を投影し、複数のプロジェクタ310によって、1つの画像を形成する。このように、複数のプロジェクタ310で1つの画像を形成することで、1台のプロジェクタでは得られない、大きな画像を高輝度・高解像度で得ることができる。このような投影方法は、タイリング投影とも呼ばれる。
このように、複数のプロジェクタ310を含む投影システム300の構成例の概略を図14に示す。図14では、プロジェクタ310が2台の場合を例に挙げて示しているが、プロジェクタ310は、何台であってもよく、以下で説明する内容は同様に適用され得る。図14に示されるように、投影システム300は、第1のプロジェクタ311と第2のプロジェクタ312とを含む。また、投影システム300は、映像装置320(投影制御装置)を含む。そして、投影システム300には、映像出力装置350から画像信号(映像信号)が入力される。映像出力装置350は、スクリーン200に投影する画像を出力する装置であり、画像信号を出力する装置であれば、どのようなものでもよい。映像出力装置350として、例えばPCやビデオプレイヤー等が用いられ得る。映像出力装置350は、映像信号を映像装置320に出力する。
映像装置320は、映像分配部322と、第1のチャート生成部324と、第2のチャート生成部325と、第1の幾何学補正部326と、第2の幾何学補正部327とを有する。映像分配部322は、映像出力装置350から出力された画像信号を取得し、プロジェクタ310の数、すなわち、この例では2つの画像信号に分配する。分配された画像信号の一方は第1の幾何学補正部326に入力され、他方は第2の幾何学補正部327に入力される。
第1のチャート生成部324及び第2のチャート生成部325は、第1の実施形態で用いられている例えば図2や図11に示されたものと同様の調整用チャートを出力する。調整用チャートに係る情報は、映像装置320が有する記憶部332に記憶されている。第1のチャート生成部324から出力される第1の調整用チャートと、第2のチャート生成部325から出力される第2の調整用チャートとは、例えば同一の形状をしており色が異なる。第1のチャート生成部324から出力された第1の調整用チャートは、第1の幾何学補正部326に入力され、第2のチャート生成部325から出力された第2の調整用チャートは、第2の幾何学補正部327に入力される。
第1の幾何学補正部326及び第2の幾何学補正部327は、第1の実施形態における補正パラメータ決定部43や画像変換部13が行うのと同様の、スクリーン200に投影される画像が適切な長方形となるような、投影画像の幾何学補正を行う。映像装置320と第1のプロジェクタ311及び第2のプロジェクタ312とは、例えばRGB/HDMI等の映像端子によって接続されている。第1の幾何学補正部326で幾何学補正された画像信号は第1のプロジェクタ311に送信され、第2の幾何学補正部327で幾何学補正された画像信号は第2のプロジェクタ312に送信される。
また、映像装置320と、第1のプロジェクタ311及び第2のプロジェクタ312とは、例えばRS232CやUSBといった通信ケーブルで接続されており、映像装置320は、第1のプロジェクタ311及び第2のプロジェクタ312に制御信号を送信する。このため、映像装置320は、第1のプロジェクタ311に制御信号を送信する第1のプロジェクタ制御部328と、第2のプロジェクタ312に制御信号を送信する第2のプロジェクタ制御部329とを有する。また、映像装置320は、映像装置320の各部を制御する制御部334を有する。制御部334は、第1の実施形態に係る調整値算出部42や補正パラメータ決定部43と同様の機能も発揮する。
また、第1の実施形態でも述べたように、自動で調整が行われるようにする場合は、第1のプロジェクタ311及び第2のプロジェクタ312の撮像部で撮像された撮像画像を通信ケーブルで取得するようにして、その情報を第1の幾何学補正部326及び第2の幾何学補正部327に渡して適切な幾何学補正が行われるようになっている。
映像装置320と第1のプロジェクタ311及び第2のプロジェクタ312との電源のON/OFF等は、同調するように設定されてもよい。すなわち、映像装置320の電源がONにされたとき、第1のプロジェクタ311及び第2のプロジェクタ312の電源が同時にONになるように設定され得る。同様に、第1のプロジェクタ311及び第2のプロジェクタ312の映像の切り換え等も、映像装置320によって共通に行われ得る。このように、映像装置320が複数のプロジェクタの制御を同時に行うことによって、ユーザは投影システム300の全体を操作しやすくなる。また、複数のプロジェクタが天井等に設置される場合、操作は赤外線を用いたリモコン等で行われる。一方で、複数のプロジェクタに同時にリモコンから射出された赤外線等が到達するとは限らない。したがって、このような場合にも、映像装置320が複数のプロジェクタの制御を同時に行うことは、効を奏する。
第1のプロジェクタ311と第2のプロジェクタ312とは、第1の実施形態に係るプロジェクタ1と同様のプロジェクタであり、入力された画像信号に基づいて、画像を例えばスクリーン200といった被投影体に投影する。なお、本実施形態では、第1の実施形態における投影調整部40の機能が映像装置320によって担われている。
本実施形態に係る投影状態調整処理について説明する。本実施形態に係る投影状態調整処理も、第1の実施形態に係る投影状態調整処理と同様に行われる。ただし、本実施形態では、プロジェクタ310が2台あるので、2台のプロジェクタの位置及び姿勢の調整が行われる。本実施形態に係るプロジェクタの位置及び姿勢の調整と、複数のプロジェクタの投影画像の重ね合わせに係るスタック投影調整処理について、図15に示されるフローチャート及び図16に示される模式図を参照して説明する。
ステップS301において、映像装置320は、スクリーン200と第1のプロジェクタ311及び第2のプロジェクタ312の投影画像とを撮像した撮像画像に基づいて、第1のプロジェクタ311及び第2のプロジェクタ312の位置及び姿勢の調整量を算出する。ここで、スクリーン200と第1のプロジェクタ311及び第2のプロジェクタ312の投影画像との位置関係は、例えば図16(a)のようになっているものとする。ここで、図16(a)において、スクリーン200は破線で表わされ、第1のプロジェクタ311によって投影された第1の調整用チャート101は実線で表わされ、第2のプロジェクタ312によって投影された第2の調整用チャート102は2点破線で表わされている。以下、図16(b)乃至(f)についても同様である。第1の調整用チャート101と第2の調整用チャート102とは、例えば色が異なっており、識別され得る。
ステップS302において、映像装置320は、ステップS301で算出された調整量に基づいて、第1のプロジェクタ311の位置姿勢調整部56にローテーション調整を行わせる。ステップS303において、映像装置320は、ステップS301で算出された調整量に基づいて、第1のプロジェクタ311の位置姿勢調整部56に左右方向への首ふりを行わせる。ステップS304において、映像装置320は、ステップS301で算出された調整量に基づいて、第1のプロジェクタ311の位置姿勢調整部56に左右方向へ平行移動を行わせる。
ステップS305において、映像装置320は、ステップS301で算出された調整量に基づいて、第2のプロジェクタ312の位置姿勢調整部56にローテーション調整を行わせる。ステップS306において、映像装置320は、ステップS301で算出された調整量に基づいて、第2のプロジェクタ312の位置姿勢調整部56に左右方向への首ふりを行わせる。ステップS307において、映像装置320は、ステップS301で算出された調整量に基づいて、第2のプロジェクタ312の位置姿勢調整部56に左右方向へ平行移動を行わせる。
ステップS302乃至ステップS307の調整によって、当初、図16(a)に示されるような状態にあったスクリーン200と投影された第1の調整用チャート101と第2の調整用チャート102との関係は、図16(b)に示されるような状態になる。すなわち、第1の調整用チャート101及び第2の調整用チャート102の十字マークの水平線が水平となり、外枠の上辺線と下辺線とが水平になり、十字マークの垂直線が垂直になり、十字マークの垂直線がスクリーン200の左右方向の中心に位置するようになる。
ステップS308において、映像装置320は、第2のプロジェクタ312による投影を終了させる。その結果、図16(b)に示されるような状態にあったスクリーン200と投影された調整用チャートとの関係は、図16(c)に示されるような状態になる。すなわち、第1の調整用チャート101のみが投影される状態となる。
ステップS309において、映像装置320は、ステップS301で算出された調整量に基づいて、第1のプロジェクタ311の位置姿勢調整部56に上下方向への首ふりを行わせる。ステップS310において、映像装置320は、ステップS301で算出された調整量に基づいて、第1のプロジェクタ311のレンズ調整部54にズームの調整を行わせる。
ステップS309及びステップ310の調整によって、図16(c)に示されるような状態にあったスクリーン200と投影された第1の調整用チャート101との関係は、図16(d)に示されるような状態になる。すなわち、第1の調整用チャート101の十字マークの水平線がスクリーン200の上下方向の中心に位置するようになり、第1の調整用チャート101の外枠の上辺線がスクリーン200の上辺に一致し、下辺線がスクリーン200の下辺に一致する。
ステップS311において、映像装置320は、第2のプロジェクタ312による投影を再び開始させる。その結果、図16(d)に示されるような状態にあったスクリーン200と投影された調整用チャートとの関係は、図16(e)に示されるような状態になる。
ステップS312において、映像装置320は、ステップS301で算出された調整量に基づいて、第2のプロジェクタ312の位置姿勢調整部56に上下方向への首ふりを行わせる。ステップS313において、映像装置320は、ステップS301で算出された調整量に基づいて、第2のプロジェクタ312のレンズ調整部54にズームの調整を行わせる。
ステップS312及びステップ313の調整によって、図16(e)に示されるような状態にあったスクリーン200と投影された調整用チャートとの関係は、図16(f)に示されるような状態になる。すなわち、第2の調整用チャート102の十字マークの水平線がスクリーン200の上下方向の中心に位置するようになり、第2の調整用チャート102の外枠の上辺線がスクリーン200の上辺に一致し、下辺線がスクリーン200の下辺に一致する。その結果、第1の調整用チャート101と第2の調整用チャート102とは重なり合う。
ステップS314において、映像装置320は、ステップS301で算出された調整量に基づいて、幾何学補正部に幾何学補正を行わせる。この補正によって、第1のプロジェクタ311と第2のプロジェクタ312とによるスクリーン200に対する投影は、適切に調整されることになる。その後、スタック投影調整処理は終了し、処理は投影状態調整処理に戻る。
このように、スタック投影調整処理によれば、第1の実施形態と同様に、第1のプロジェクタ311と第2のプロジェクタ312とによるスクリーン200に対する投影は適切に調整され、かつ、第1のプロジェクタ311と第2のプロジェクタ312とによるスクリーン200に対する投影は正確に重畳されることになる。
このように、本実施形態によれば、スタック投影においても第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、図13に示したようなタイリング投影においても同様に動作し、同様の効果が得られる。
なお、図15では、ステップS311において、第2のプロジェクタ312による投影を再び開始させるとしたが、このとき、第1のプロジェクタ311による投影を終了させるようにしてもよい。
また、ステップS302乃至ステップS304の調整時に、第2のプロジェクタ312による投影をさせないようにしておいてもよい。
[第3の実施形態]
第3の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。本実施形態では、幾何学変換によって、投影状態を調整する場合を考える。本実施形態では、ユーザが例えば十字キー等を用いて幾何学補正量を調整する。本実施形態に係るプロジェクタ1の構成は、図1を参照して説明した第1の実施形態と同様である。ただし、位置姿勢調整部56及び電動脚部58は含まれていなくてもよい。
本実施形態に係る投影画像及び操作方法の一例を、図17を参照して説明する。図17において、破線はスクリーン200を表し、実線は本実施形態に係る調整用チャート500を表す。投影状態の調整前において、スクリーン200と調整用チャート500との位置関係が例えば図17(a)のようになっていたとする。ここで、図17(a)に示される調整用チャート500の外郭がプロジェクタ1による投影可能領域である。
初めに、投影領域の左上角の調整が行われる。このとき、図17(b)に示されるように、調整用チャート500には、左上角の調整を行うことを表す第1の補正位置ガイドマーク511と、左上角の位置を示す第1の補正位置マーク512とが含まれる。ここで、第1の補正位置マーク512が、左上角の調整を行うことを表す第1の補正位置ガイドマークを兼ねることも考えられるが、第1の補正位置マーク512の投影位置がスクリーン200の外側になるとき、ユーザに第1の補正位置マーク512の存在が認識され得ない場合もあり得る。そこで、本実施形態に係る調整用チャート500は、調整用チャート500の中心付近に左上角の調整を行うことを表す第1の補正位置ガイドマーク511を含むようにしている。
投影領域の左上角の調整において、ユーザは例えば十字キーを操作する。この操作に応じて、チャート生成部41は、投影される調整用チャートの幾何学変換を行い、左上角の位置を移動させる。このようにして、投影される調整用チャート500は、例えば図17(c)に示されるように調整される。このとき、調整用チャート500が投影されている画像領域は、プロジェクタ1の投影可能領域である図17(a)に示された調整用チャート500の外郭よりも小さい(内側になる)。すなわち、画像領域は、投影可能領域内の一部のみとなっており、画像領域外であり投影可能領域内である領域は、画像の投影に利用されていない(黒画像を投影させる)。このことは以下同様である。
次に、投影領域の右上角の調整が行われる。このとき、図17(d)に示されるように、調整用チャート500には、右上角の調整を行うことを表す第2の補正位置ガイドマーク521と、右上角の位置を示す第2の補正位置マーク522とが含まれる。投影領域の右上角の調整において、ユーザは例えば十字キーを操作する。この操作に応じて、チャート生成部41は、投影される調整用チャートの幾何学変換を行い、右上角の位置を移動させる。このようにして、投影される調整用チャート500は、例えば図17(e)に示されるように調整される。
次に、投影領域の左下角の調整が行われる。このとき、図17(f)に示されるように、調整用チャート500には、左下角の調整を行うことを表す第3の補正位置ガイドマーク531と、左下角の位置を示す第3の補正位置マーク532とが含まれる。投影領域の左下角の調整において、ユーザは例えば十字キーを操作する。この操作に応じて、チャート生成部41は、投影される調整用チャートの幾何学変換を行い、左下角の位置を移動させる。このようにして、投影される調整用チャート500は、例えば図17(g)に示されるように調整される。
次に、投影領域の右下角の調整が行われる。このとき、図17(h)に示されるように、調整用チャート500には、右下角の調整を行うことを表す第4の補正位置ガイドマーク541と、右下角の位置を示す第4の補正位置マーク542とが含まれる。投影領域の右下角の調整において、ユーザは例えば十字キーを操作する。この操作に応じて、チャート生成部41は、投影される調整用チャートの幾何学変換を行い、右下角の位置を移動させる。このようにして、投影される調整用チャート500は、例えば図17(i)に示されるように調整される。
このように、本実施形態によれば、第1の補正位置ガイドマーク511、第2の補正位置ガイドマーク521、第3の補正位置ガイドマーク531、及び第4の補正位置ガイドマーク541が、調整用チャート500の中心付近に表示されるので、これらガイドマークがスクリーンの外に投影される恐れは少ない。したがって、これらガイドマークをユーザは常に視認することができる。その結果、ユーザは、現在どの角の補正を行っているのかを容易に認識することができる。
なお、補正位置ガイドマーク及び補正位置マークは、どのようなマークでもよく、例えば図18(a)及び(b)に示されるような補正位置ガイドマーク551や、補正位置マーク552でもよい。
[第4の実施形態]
第4の実施形態について説明する。ここでは、第3の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第3の実施形態では、ユーザが十字キー等を用いて手動で画像領域を調整する例を示した。これに対して本実施形態では、調整をプロジェクタ1の投影調整部40が画像領域の調整を行う。
本実施形態に係る調整用チャートの一例を図19に示す。この図に示されるように、本実施形態に係る調整用チャート600は、画像の対角線を表すクロスライン610を含む。クロスライン610のうち、右上角と左下角とを結ぶ対角線を第1のクロスライン611と称し、左上角と右下角とを結ぶ対角線を第2のクロスライン612と称することにする。このクロスライン610を利用すれば、画像領域の4つの頂点を、スクリーンの対角線上に位置させるために適した補正方法が得られる。図20及び図21を参照して説明する。
図20(a)に補正前のスクリーン200の位置と、調整用チャート600との関係を示す。実線は投影された調整用チャート600を示し、破線はスクリーン200を示す。図21においても同じである。図20(a)に示されるように、補正前においては、調整用チャート600のクロスライン610はスクリーン200の対角線と一致しない。そこで、投影調整部40は、クロスライン610とスクリーン200の対角線とを一致させるような幾何学補正を行う。なお、幾何学補正前の調整用チャート600の外郭は、投影可能領域と一致している。
ここで、例えば図20(a)の右上角に注目する。調整用チャート600の右上の位置を変換するにあたり、右上角を調整用チャート600の内側に、すなわち、左側又は下側に移動させることを考える。ここで、右上角を左側に移動させるか下側に移動させるかは、第1のクロスライン611がスクリーン200の上辺と交差しているか右辺と交差しているかに基づいて決定され得る。すなわち、図20(a)に示されるように、第1のクロスライン611がスクリーン200の上辺と交差しているとき、右上角を下側に移動させると、クロスライン610とスクリーン200の対角線とを一致させることができる。クロスライン610とスクリーン200の対角線とを一致させるように幾何学変換した後のスクリーン200の位置と調整用チャート600との関係を図20(b)に示す。図20(b)において、一点鎖線は、補正前の調整用チャート600の外郭、すなわち投影可能領域を表す。
同様に、図20(a)の右下角に注目する。調整用チャート600の右下の位置を変換するにあたり、右下角を左側に移動させるか上側に移動させるかは、第2のクロスライン612が、スクリーン200の下辺と交差しているか右辺と交差しているかに基づいて決定され得る。すなわち、図20(a)に示されるように、第2のクロスライン612がスクリーン200の下辺と交差しているとき、右下角を上側に移動させると、図20(b)に示されるようにクロスライン610とスクリーン200の対角線とを一致させることができる。
一方で、右上角に注目して、図21(a)に示されるように、第1のクロスライン611がスクリーン200の右辺と交差しているとき、右上角を左側に移動させると、図21(b)に示されるように、クロスライン610とスクリーン200の対角線とを一致させることができる。また、右下角に注目して、第2のクロスライン612がスクリーン200の右辺と交差しているとき、右下角を左側に移動させると、図21(b)に示されるように、クロスライン610とスクリーン200の対角線とを一致させることができる。
同様に、左上角に注目して、クロスライン610とスクリーン200の対角線とを一致させるには、第2のクロスライン612がスクリーン200の上辺と交差しているとき、左上角は下側に移動させればよく、第2のクロスライン612がスクリーン200の左辺と交差しているとき、左上角は右側に移動させればよい。また、左下角に注目して、クロスライン610とスクリーン200の対角線とを一致させるには、第1のクロスライン611がスクリーン200の下辺と交差しているとき、左下角は上側に移動させればよく、第1のクロスライン611がスクリーン200の左辺と交差しているとき、左下角は右側に移動させればよい。
以上のようにして、クロスライン610とスクリーン200の対角線とが一致するような幾何学補正がされ得る。クロスライン610とスクリーン200の対角線とが一致したら、投影領域の4つの角を、それぞれクロスライン610上を内側方向に移動するようにすることで、スクリーン200の4つの角に投影領域の4つの角が合わせられ得る。
以上を利用して、本実施形態に係る投影調整部40は幾何学補正を行う。本実施形態に係る幾何学補正処理を図22のフローチャートを参照して説明する。ステップS401において、投影調整部40は、調整用チャート600を投影させる。ステップS402において、投影調整部40は、撮像部52に投影状態を撮像させ、撮像画像を取得する。
ステップS403において、投影調整部40は、撮像画像に基づいて、クロスライン610とスクリーン200の各辺との交点を検出する。ステップS404において、投影調整部40は、画像領域の4つの角のそれぞれについて、図20及び図21を参照して説明した方法で、幾何学補正における移動方向を決定する。ここで、クロスライン610とスクリーン200の対角線とが一致しているとき、当該角は移動させないとの決定を行う。
ステップS405において、投影調整部40は、4つ全ての角についてクロスライン610とスクリーン200の対角線とが一致しているか否かを判定する。全てが一致していると判定されたとき、処理はステップS407に進む。一方、一致していない角があると判定されたとき、処理はステップS406に進む。ステップS406において、投影調整部40は、幾何学補正によって、投影領域の4つの角をそれぞれについて、ステップS404で決定した方向に所定量移動させる幾何学変換を行う。その後、処理はステップS402に戻る。
ステップS407において、投影調整部40は、スクリーン200の角と一致していない画像領域の4つの角それぞれについて、クロスライン610に沿って内側に所定量移動させる幾何学変換を行う。すなわち、画像領域の4つの角は、それぞれを徐々に内側に移動される。ステップS408において、投影調整部40は、撮像部52に投影状態を撮像させ、撮像画像を取得する。ステップS409において、投影調整部40は、画像領域の4つの角のそれぞれについてスクリーン200の角と一致しているか否かを判定する。画像領域の4つの角全てがスクリーン200の角と一致しているとき、幾何学補正処理は終了する。一方、4つの角の何れかが一致していないとき、処理はステップS407に戻る。
以上の幾何学補正処理によれば、投影調整部40によって画像領域とスクリーン200とが一致するように幾何学補正がなされる。本実施形態によれば、調整用チャート600の外郭がスクリーン200の外側にあり、スクリーン200に投影されていない状態でも、調整用チャート600の角の位置が特定され、幾何学変換の調整が効率よく行われ得る。
なお、上記の実施形態においては、投影調整部40が幾何学補正の補正量を決定しているが、第3の実施形態と同様に、ユーザの操作に応じて幾何学補正がなされるようにしてもよい。
その場合、ユーザは、クロスライン610とスクリーン200の外郭の辺との交わり方に応じて、最初に各角を移動させる方向を決めることができる。対角線が一致した後は、操作が割り当てられた適切なキー操作により、各角を、クロスライン610上を内側方向に移動させることで、スクリーン200の各角に投影領域の対応する角を容易に合わせることができる。
したがって、幾何学変換の調整のための操作の回数を減らし、幾何学変換の調整のための時間を短縮することができる。
この際、投影調整部40は、本実施形態に係る幾何学補正処理と同様にして得られた画像領域の4つの角の最初に移動させるべき方向を例えば図23のように表示することができる。すなわち、例えば図23のように、左上角について調整を行っているとき、左上角を右方向に移動させればよいことを示す矢印記号702が表示され得る。
そのようにすれば、ユーザは、まずどの方向に角を移動させればよいか(移動させることができるか)を知ることができ、幾何学変換の調整のための操作の回数を減らし、幾何学変換の調整のための時間を短縮することができる。
[第5の実施形態]
第5の実施形態について説明する。上述の第1乃至第4の実施形態は、組み合わせて用いられ得る。例えば、第1の実施形態を利用して、プロジェクタ1の位置及び姿勢を調整して投影状態が適切に調整されるとともに、例えばプロジェクタ1の位置及び姿勢では調整できない(調整範囲を超えている)投影画像の歪みが第3の実施形態又は第4の実施形態を利用して幾何学補正によって調整され得る。このとき、調整用チャートは、第1の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて形成される。すなわち、例えば図24に示されるように、第1の実施形態に係る外枠110と菱形120と十字マーク130とを有する調整用チャート100に、第3の実施形態に係る第1の補正位置ガイドマーク511と第1の補正位置マーク512とが設けられる。プロジェクタ1の位置及び姿勢の調整においては、図2に示した第1の実施形態に係る調整用チャート100が用いられ、その後、幾何学補正を行う際には、第1の実施形態に係る調整用チャート100は用いられずに、第3の実施形態に係る調整用チャートが用いられてもよい。
また、調整用チャートは、第1の実施形態と第4の実施形態とを組み合わせて形成されてもよい。すなわち、例えば図25に示されるように、第1の実施形態に係る調整用チャート100に、第4の実施形態に係るクロスライン610が設けられていてもよい。
また、第3の実施形態及び第4の実施形態は、第2の実施形態のように複数台のプロジェクタの位置合わせにも当然に用いられ得る。また、上述の第1の実施形態と第3の実施形態との組み合わせや、第1の実施形態と第4の実施形態との組み合わせや、第1の実施形態と第3の実施形態と第4の実施形態との組み合わせも、第2の実施形態のように複数台のプロジェクタの位置合わせに用いられ得る。
以上各組み合わせによれば、各実施形態に係る効果が得られる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
画像を被投影体に投影する投影装置であって、
投影可能領域を示す調整用チャートであって、前記調整用チャートの一部しか前記被投影体に投影されていなくても、前記一部に基づいて前記投影可能領域の外郭が特定される前記調整用チャートを投影する投影制御部
を具備する投影装置。
[2]
前記外郭は矩形であり、
前記矩形の各々の辺のうち頂点を除く各々の線分を外郭線分としたときに、
前記調整用チャートは、
各々の前記外郭線分上に少なくとも1つずつ設けられた第1の点と、
各々の前記第1の点について、前記第1の点を一端とする少なくとも2本の第1の線と、
を含む、
[1]に記載の投影装置。
[3]
前記第1の点は、各々の前記外郭線分に1点ずつ設けられており、
前記第1の線は、隣接する前記外郭線分に設けられた前記第1の点を結ぶ線である、
[2]に記載の投影装置
[4]
前記第1の線は直線である、[2]又は[3]に記載の投影装置。
[5]
前記第1の線は、菱形の一部を形成する、[3]に記載の投影装置。
[6]
前記第1の線は曲線である、[2]又は[3]に記載の投影装置。
[7]
前記第1の線は、楕円の一部を形成する、[3]に記載の投影装置。
[8]
前記調整用チャートは、さらに前記外郭を示す第2の線を含む、[1]乃至[7]のうち何れか一に記載の投影装置。
[9]
前記調整用チャートは、さらに前記投影可能領域の水平方向を表す直線と垂直方向を表す直線とを含む、[1]乃至[8]のうち何れか一に記載の投影装置。
[10]
前記調整用チャートが投影された前記被投影体を撮像し、撮像画像を取得する撮像部と、
前記投影可能領域を変更する投影領域変更部と、
前記投影領域変更部を駆動させて前記被投影体と前記投影可能領域との位置関係を調整するための前記投影領域変更部の駆動量に係る調整値を、前記撮像画像に基づいて算出する調整値算出部と、
をさらに具備する[1]乃至[9]のうち何れか一に記載の投影装置。
[11]
前記投影領域変更部は、前記投影可能領域の大きさを光学的に調整するズーム機構を含む、[10]に記載の投影装置。
[12]
前記投影領域変更部は、投影方向を変更するために前記撮影装置の位置又は姿勢を変更する位置姿勢調整機構を含む、[10]又は[11]に記載の投影装置。
[13]
前記画像に幾何学変換を施す画像変換部をさらに具備する、[1]乃至[12]のうち何れか一に記載の投影装置。
[14]
被投影体に向けて画像を投影する複数の投影装置を制御する投影制御装置であって、
投影可能領域を示す調整用チャートであって、前記調整用チャートの一部しか前記被投影体に投影されていなくても、前記一部に基づいて前記投影可能領域の外郭が特定される前記調整用チャートを、複数の前記投影装置毎に投影させる投影制御部
を具備する投影制御装置。
[15]
前記投影制御部は、複数ある前記投影装置毎に、前記調整用チャートの色が異なるように投影させる、[14]に記載の投影制御装置。
[16]
[14]又は[15]に記載の投影制御装置と、
前記投影制御装置により制御される複数の投影装置と、
を具備する投影システム。
[17]
前記投影制御装置は、複数の前記投影装置による投影領域が互いに重なるように投影させる、[16]に記載の投影システム。
[18]
前記投影制御装置は、複数の前記投影装置による投影領域の少なくとも一部が互いに異なるように整列させて、複数の前記投影装置によって1つの画像を形成するように投影させる、[16]に記載の投影システム。
[19]
画像を被投影体に投影する投影装置における、前記被投影体への投影領域を調整する投影状態調整方法であって、
前記投影装置の前記被投影体に対する水平度又は鉛直度を調整して、前記投影領域の画角の基準角度を調整する工程と、
前記投影装置の向きを水平方向又は鉛直方向に回転させて、前記投影領域の上辺と下辺とを前記被投影体に対して水平にする又は左辺と右辺とを前記被投影体に対して鉛直にする工程と、
前記投影装置を水平方向又は垂直方向に移動させて、前記被投影体と前記投影領域との水平方向又は垂直方向の位置を調整する工程と、
前記投影装置の向きを鉛直方向又は水平方向に回転させて、前記被投影体と前記投影領域との鉛直方向又は水平方向の位置を調整する工程と、
前記投影装置の光学系を調整して、前記投影領域の大きさを変更する工程と、
を具備する投影状態調整方法。
[20]
前記投影領域を幾何学補正によって変形させる工程、
をさらに具備する[19]に記載の投影状態調整方法。