JP6231461B2 - 試料固定装置 - Google Patents
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Description
試料固定装置は、例えば、モリブデン等の金属で作製された台座に、シリコン等の半導体材料により形成された微小試料搭載部を有する試料固定装置を接着により一体化した構造を有する(例えば、特許文献1参照)。微小試料は、微小試料搭載部に固定された状態で電子顕微鏡等により分析される。
近年、微小試料の分析を自動化することが検討されている。微小試料の分析の自動化は、試料固定装置を電気的に導通可能とし、微小試料が微小試料搭載部に搭載されたことを電気的に検出することにより可能となる。
この発明の第2の態様によると、試料固定装置は、導電性材料で作製された台座と、半導体材料である母材の表面が絶縁層で被覆され、試料搭載部を有する微小試料台と、台座と微小試料台とを固定する導電性接着剤とを備え、微小試料台の母材と台座とが電気的に導通しており、微小試料台は、絶縁層が形成された一側面が台座の一面に接触し、少なくとも一側面と対向する他側面の一部が導電性接着剤で被覆されており、この状態で微小試料台の母材と台座とが電気的に導通している。
この発明の第3の態様によると、試料固定装置は、導電性材料で作製された台座と、半導体材料である母材の表面が絶縁層で被覆され、試料搭載部を有する微小試料台と、台座と微小試料台とを固定する導電性接着剤とを備え、微小試料台の母材と台座とが電気的に導通しており、導電性接着剤は、微小試料台の母材の一面および台座の一面を覆って設けられ、導電性接着剤の微小試料台を覆う部分における外周部の内縁部の領域に、絶縁層の除去部分が設けられている。
以下、この発明の試料固定装置の実施形態1を、図面を参照して説明する。
図1はこの発明の試料固定装置の拡大斜視図であり、図2(a)は、図1に図示された微小試料台の斜視図であり、図2(b)は、図1に図示された台座の斜視図である。
試料固定装置100は、台座20と微小試料台30とを備えている。台座20と微小試料台30とは、銀ペーストのような導電性接着剤41により電気的に導通可能に固着されている。
台座20は、中心線CLに対して、線対称な形状を有しており、左右のガード部22は、同一の形状に形成されている。
試料固定部32a〜32eは、それぞれ、幅(左右方向の長さ)が異なる大きさに形成されている。このため、微小試料71のサイズに応じて固定する試料固定部32a〜32bを選択することが可能となっている。各試料固定部32a〜32eは、下部固定部f1上に、下部固定部f1より左右方向の幅が狭く、厚さが薄い上部固定部f2が形成された構造を有する。微小試料71を上部固定部f2上に固定し、微小試料71にFIB(Focused Ion Beam)を照射して、分析可能な薄片となるように加工することがある。このとき、FIBは試料に対して斜め上方から照射されるため、下部固定部f1が上部固定部f2よりも大きくても、FIBは下部固定部f1に照射されない。
微小試料台30は、導電性被膜51を、台座20の微小試料台固定部21の上面(微小試料台搭載面)21aに接触させた状態で、微小試料台固定部21に載置される。この状態で、微小試料台30は、導電性接着剤41により、台座20に固着される。台座20に固着した後、導電性接着剤41は、乾燥して硬化される。
微小試料台30の厚さは、台座20より大きいので、微小試料台30の底面31aに形成された導電性被膜51は、台座20の厚さ方向の一方の側面20aより突き出す。
図3(a)は、微小試料台30が、厚さ方向において、台座20の一方の側面20a側に大きく突き出して配置された構造を例示する。この構造では、導電性接着剤41は、台座20の一方の側面20a、台座20の側面20aから突き出した導電性被膜51の部分および微小試料台30の厚さ方向の一方の側面31bに連続して設けられている。このため、微小試料台30の側面31bに自然酸化膜が形成されていても、微小試料台30は導電性被膜51を介して台座20と電気的に導通している。
図3(b)に図示された構造は、両面に導電性接着剤41を塗布する工程が必要となるため、図3(a)に図示された構造よりも工数は増加するが、電気的な導通に関しては、図3(a)の構造よりも高信頼性を得ることができる。
図3(c)に図示された構造では、導電性被膜51が、直接、台座20に接触する面積は、底面31aに形成された導電性被膜51の厚さ分のみである。しかし、底面31aに形成された導電性接着剤41の全面が導電性被膜51に接触するので、微小試料台30と台座20との電気的な導通を良好にすることができる。また、図3(c)の構造では、微小試料台30の厚さを、台座20の厚さより大きくする必要が無いので、微小試料台30および台座20の設計上の自由度を大きくすることが可能となる。
上述した実施形態では、導電性被膜51は、微小試料台30の底面31aのみに設けられた構造として例示した。しかし、導電性被膜51は、図4(a)に図示されるように、微小試料台30の底面31aおよび側面31cに設けてもよい。図4(a)に図示された微小試料台30は台座20との固着構造として、図3(a)および図3(c)に図示された例を適用するのに適する。
図4(a)、4(b)に図示された微小試料台30は、いずれも、導電性被膜51が接触する導電性接着剤41の面積が図3(a)〜(c)に図示される構造よりも大きいので、台座20と微小試料台30との接続の信頼性をより向上することができる。
試料固定装置100は、微小試料台30に微小試料71を固定する装置、例えば、イオンビーム照射装置内に収容される。図5は、試料固定装置100がイオンビーム照射装置内に収容された状態を示している。
微小試料71は、マイクロプローブ72に固着された状態で、試料固定装置100を構成する微小試料台30の試料固定部32a〜32eのいずれかに固定される。図示の例では、微小試料71は試料固定部32aに固定される場合とされている。微小試料71を、マイクロプローブ72の先端部に固着するには、マイクロプローブ72の先端部を微小試料に押し当てた状態で、例えば、カーボン等の接合材料(図示せず)を放出し、イオンビームを照射することにより行う。後述するように、マイクロプローブ72は、微小試料71を分析する際に微小試料71から分離されるので、微小試料71は、試料固定部32aに固着する必要がある。微小試料71を試料固定部32aに固着する場合も、CVD法によりカーボン等の接合材料(図示せず)を成膜する方法によることができる。
また、マイクロプローブ72に固定された微小試料71が、微小試料台30に接触したことを検出した後、微小試料71にFIBを照射して微小試料71を分析に適するように薄片化する工程を自動的に行うようにすることも可能である。
(1)金属材料等の導電性材料で形成された台座20と、半導体材料である母材の表面が自然酸化膜により被覆された微小試料台30とを、母材の表面に導電性接着剤41を接触させて電気的に導通するように構成した。このため、微小試料台30に微小試料71が接触したことを電気的に検出して、試料固定装置100に微小試料71を固定する作業の自動化を図ることが可能となった。
本発明の試料固定装置の実施形態2について説明する。
図6は、実施形態1とは異なる構造の微小試料台の斜視図であり、図7(a)、図7(b)は、それぞれ、図6に図示された微小試料台において、母材の表面を表出した状態を示す斜視図である。なお、以下では、実施形態2において、実施形態1と同一の部材には、同一の参照符号を付し、適宜、その説明を省略する。
図6に図示された微小試料台30Aは、基部31の底面31aに導電性被膜51は形成されておらず、この底面31aには、自然酸化膜(図示せず)が形成されている。しかし、微小試料台30Aの厚さ方向の側面31bに、複数(実施形態では2つ)の突起部33が形成されている。
突起部33は、ほぼ半円筒形状を有し、微小試料台30Aの基部31の上下方向の高さ全体に亘り延在している。
突起部33の欠落部位33aには、自然酸化膜は形成されていないので、直ちに導電性接着剤41で覆えば、自然酸化膜の形成を防止することができる。
図8に図示されるように、突起部33が除去され欠落部位33aに母材が表出された微小試料台30Aは、その底面31aが台座20の上面21aに接触するように試料台固定部21に搭載されて、導電性接着剤41により台座20に固着される。導電性接着剤41は、突起部33の欠落部位33aおよびその周囲の微小試料台30Aの側面31bと、台座20の側面20aの一部を覆っている。
従って、母材が表出した部分である突起部33の欠落部位33aは、導電性接着剤41を介して台座20と電気的に導通する。欠落部位33aには自然酸化膜は形成されていないので、導通の信頼性を向上することができる。
また、実施形態2では、微小試料台30Aを台座20に固定して試料固定装置100を作製する際に、突起部33を除去して、欠落部位33aに母材を表出させればよく、微小試料台30Aを作製した後、微小試料台30Aに固定するまでの時間的な制約はない。従って、微小試料台30を作製した後、自然酸化膜が形成される前に導電性被膜51を形成しなければならない実施形態1の微小試料台30に対し、生産工程の時間的な自由度を大きくすることができる。
図10は、本発明の試料固定装置の実施形態3を示す外観斜視図であり、図11は、図10に図示された微小試料台の拡大斜視図である。なお、実施形態3において、実施形態1と同一の部材には、同一の照符号を付し、適宜、その説明を省略する。
実施形態3は、微小試料台30Bの母材の表出を、レーザーを照射することにより形成したことを特徴とする。
図11に図示されるように、微小試料台30を形成した後、微小試料台30の厚さ方向の側面31bにレーザー77を照射して、母材に表出部位33bが形成された微小試料台30Bを作製する。図11に図示された例では、微小試料台30Bの側面31bの長手方向(左右方向)の両端の各端部に、表出部位33bが形成されているが、図12に図示されるように、長手方向に延在された1つの表出部位33bを形成するようにしてもよい。また、表出部位33bを、高さ方向(長手方向と直交する上下方向)に延在される形状としたり、長手方向に延在される部分と高さ方向に延在される部分を有する構造にしたりしてもよく、その形状、位置、数は任意に設定することができる。
図13(a)は、微小試料台30Bの底面31aにスパッタにより表出部位33bが形成された構造を示す。
図13(b)は、微小試料台30Bの厚さ方向の一方の側面31bのみにスパッタによる表出部位33bが形成された構造を示す。
図13(c)は、微小試料台30Bの底面31aおよび厚さ方向の一方の側面31bにスパッタによる表出部位33bが形成された構造を示す。
図13(d)は、微小試料台30Bの底面31aおよび厚さ方向の両側面31b、31cにスパッタによる表出部位33bが形成された構造を示す。
図13(a)〜(d)に図示された微小試料台30Bは、いずれも、図9(a)〜(c)に図示された構造の試料固定装置100とすることができる。
また、実施形態3では、実施形態2と同様に、微小試料台30Bを台座20に固定して試料固定装置100を作製する際に、スパッタにより表出部位33bを形成して母材を表出させればよい。従って、微小試料台30を作製した後、自然酸化膜が形成される前に導電性被膜51を形成しなければならない実施形態1の微小試料台30に対し、生産工程の時間的な自由度を大きくすることができる。
図14は、本発明の実施形態4としての試料固定装置の外観斜視図であり、図15は、図14に図示された試料固定装置の製造方法を説明するための斜視図である。
図14に図示される試料固定装置100では、微小試料台30Cの母材は、導電性接着剤41の外周部42の一部の内縁部42aに形成されている。
実施形態4の試料固定装置100の製造方法を説明する。
微小試料台30を台座20の微小試料台固定部21の上面21aに載置して、導電性接着剤41により、微小試料台30を台座20に固定する。微小試料台30には、全面に自然酸化膜が形成されていてもよい。導電性接着剤41を乾燥、硬化した後、レーザー78を、導電性接着剤41の表面から微小試料台30の側面31bに亘って連続して照射する。レーザー78の照射により、微小試料台30のレーザー78が照射された部分の自然酸化膜が除去され、母材が表出する。
図16(b)における点線は、レーザー78を照射する前の導電性接着剤41の外形を示す。
レーザー78が照射されると、導電性接着剤41の周縁部が飛散する。また、レーザー78が照射された部分の自然酸化膜Mは、除去され、この部分の母材が表出する。母材の表出部分は、導電性接着剤41の飛散した部分により被覆される。つまり、見掛け上、導電性接着剤41の外周部42が外方に張り出した状態となり、母材の表出部分が、導電性接着剤41により被覆される。このような作用により、微小試料台30と導電性接着剤41とが電気的に導通可能に接続される。
実施形態2、3では、自然酸化膜を除去して母材を露出した後、自然酸化膜が再形成される前に、微小試料台30A、30Bを台座20に固定しなければならないという制約があった。しかし、実施形態4では、自然酸化膜Mが形成された微小試料台30を台座20に固定した後、レーザー78を照射することにより、導電性接着剤41の外周部42の内縁部42aの自然酸化膜Mを除去し、かつ、導電性接着剤41により覆うことができる。このため、微小試料台30Cの作製と、この微小試料台30Cを用いて試料固定装置100を作製する工程との時間的な制約が一切なく、作業工程の管理の自由度を一層大きくすることができる。
20a、20b 側面
21 微小試料台固定部
21a 上面(微小試料台搭載面)
22 ガード部
30、30A〜30C 微小試料台
31 基部
31a 底面
31b、31c 側面
32a〜32e 試料固定部(試料搭載部)
33 突起部
33a 欠落部位
33b 表出部位
41 導電性接着剤
42 外周部
42a 内縁部
51 導電性被膜
71 微小試料
72 マイクロプローブ
73 電流計
74 配線
77、78 レーザー
100 試料固定装置
f1 下部固定部
f2 上部固定部
M 酸化膜(絶縁層)
Claims (7)
- 導電性材料で作製された台座と、
半導体材料である母材の表面が絶縁層で被覆され、試料搭載部を有する微小試料台と、
前記台座と前記微小試料台とを固定する導電性接着剤とを備え、
前記微小試料台の母材と前記台座とが電気的に導通しており、
前記微小試料台の少なくとも一部の領域には、前記母材の表面を露出させる露出処理が
施されており、この領域により前記微小試料台の前記母材と前記台座とが電気的に導通し
ている試料固定装置。 - 請求項1に記載の試料固定装置において、
前記微小試料台にはあらかじめ欠落用部位が形成されていて、前記露出処理は、前記欠落用部位の少なくとも一部の除去により前記母材が露出する処理である試料固定装置。 - 請求項1に記載の試料固定装置において、
前記露出処理は、前記微小試料台の少なくとも一部の前記絶縁層を除去する処理である
試料固定装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の試料固定装置において、
前記導電性接着剤は、少なくとも前記微小試料台の前記母材の表面および前記母材の表
面の周縁部、および前記台座の一部を覆っている試料固定装置。 - 導電性材料で作製された台座と、
半導体材料である母材の表面が絶縁層で被覆され、試料搭載部を有する微小試料台と、
前記台座と前記微小試料台とを固定する導電性接着剤とを備え、
前記微小試料台の母材と前記台座とが電気的に導通しており、
前記微小試料台は、前記絶縁層が形成された一側面が前記台座の一面に接触し、少なくとも前記一側面と対向する他側面の一部が前記導電性接着剤で被覆されており、この状態
で前記微小試料台の母材と前記台座とが電気的に導通している試料固定装置。 - 導電性材料で作製された台座と、
半導体材料である母材の表面が絶縁層で被覆され、試料搭載部を有する微小試料台と、
前記台座と前記微小試料台とを固定する導電性接着剤とを備え、
前記微小試料台の母材と前記台座とが電気的に導通しており、
前記導電性接着剤は、前記微小試料台の前記母材の一面および前記台座の一面を覆って設けられ、
前記導電性接着剤の前記微小試料台を覆う部分における外周部の内縁部の領域に、前記絶縁層の除去部分が設けられている試料固定装置。 - 請求項6に記載の試料固定装置において、
前記絶縁層の前記除去部分は、前記導電性接着剤が前記微小試料台および前記台座に設
けられた状態で除去され、
前記導電性接着剤の前記絶縁層の前記除去部分を覆う部分は、前記絶縁層の前記除去部分の形成後に、前記導電性接着剤の外周部が外周側に張り出して形成されたものである試料固定装置。
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