JP6230936B2 - 紙葉類処理装置 - Google Patents

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ここに開示する技術は、紙葉類処理装置に関する。
例えば特許文献1には、紙幣入出金機において、筐体内で紙幣を搬送する搬送路でジャムが発生し、装置を停止したときに、搬送路上に残された紙幣の位置と、その記番号とを表示部に表示することによって、ジャムからの復旧時に、オペレータが搬送路上の紙幣を取り忘れてしまうことを防止することが記載されている。
また、特許文献2には、入出金口から取り込んだ紙幣の記番号を読み取った後に、複数の収納部に振り分けて収納することで、各収納部に収納している紙幣の記番号を管理するよう構成された紙幣入出金機が記載されている。この紙幣入出金機はまた、ジャムが発生したときには、搬送路に残った紙幣の記番号を再度読み取ると共に、読み取った記番号と、収納部に収納している紙幣として管理している記番号とを照合することによって、複数の収納部のそれぞれにおいて収納されている紙幣の現物と、紙幣の管理情報とを一致させるようにしている。
特開2012−141863号公報 特開2013−114378号公報
ところで、前述した特許文献には、紙幣を搬送しているときのジャムをエラー対象として、そのときの処理について記載されている。ジャムが発生したことは、センサによって検知することが可能であり、ジャムの発生時期と、センサによってジャムを検知する時期とは、実質的に同じ時期である。そのため、ジャムが発生したときに、装置において処理をしている最中であった紙幣を特定することは容易である。
これに対し、筐体内において、紙幣を搬送する経路から、紙幣が落下すること等(ここでいう経路は、ローラ、ガイド、ベルト等によって紙幣を搬送する搬送路に限らず、例えば集積した紙幣を掴んで移動させるような構成も含む)は、例えば遮光式の検知センサによって検知することが可能であるが、紙幣が実際に落下した時には、センサの死角になって紙幣を検知することができず、その後、ふとしたはずみで、落下検知センサが落下した紙幣を検知する場合がある。紙幣が落下したときには、オペレータが、筐体を開けて、落下した紙幣を取り除くことになるが、前述の通り、センサが検知した時期と、紙幣が実際に落下した時期とは必ずしも一致しないため、当該紙幣が落下をした時期を、正確に特定することができないという問題がある。そのため、紙幣の落下を検知したときには、その落下を検知した当日に行った全ての処理をキャンセルして、もう一度、全て処理し直したり、または、それよりも以前に行った処理についてもキャンセルして、もう一度、処理し直したりする必要がある。これは、処理の効率化を著しく阻害する。
より具体的な例としては、取込口を通じて筐体内に取り込んだ紙幣を所定枚数、集積して、結束し、束にした上で、筐体外に投出するよう構成された処理装置では、集積した紙幣を搬送している途中等において、一部の紙幣が落下してしまう虞がある。落下検知センサが紙幣の落下を検知できなかったとすれば、処理が継続されるため、所定枚数に満たない束が作成されることになる。また、前述したように、落下検知センサが検知信号を出力することによって、処理を中止しても、センサの検知時点で紙幣が落下したのか、又は、それよりも以前に既に、紙幣は落下していたのかを判断することができない。落下検知センサが検知信号を出力したときに、筐体内に落下していた紙幣が含まれるべき束を特定することは、実質的に不可能である。
このように、エラーが実際に発生した時期と、エラーを検知した時期とがずれてしまう可能性があるときに、そのエラーに係る紙幣が、いつの処理に係る紙幣であるかを特定することができるような方策が望まれる。また、こうした問題は、紙幣を処理する紙幣処理装置に限らず、小切手や商品券等を含む紙葉類を処理する紙葉類処理装置においても同じである。
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エラー発生時に筐体から取り除いた紙葉類に関連する処理の時期を特定可能にすることにある。
ここに開示する技術は、紙葉類処理装置に係り、この紙葉類処理装置は、紙葉類が一枚ずつ取り込まれる取込口が設けられた筐体と、前記紙葉類に設けられた記番号を読み取るよう構成された識別部と、前記識別部が読み取った記番号を記憶するよう構成された記憶部と、前記取込口から取り込まれた紙葉類について、前記識別部が記番号を順次、読み取ると共に、前記紙葉類に関する所定の処理を行うよう構成された処理部と、前記処理部が行う処理を中止すべきエラーを検知する検知部と、前記検知部が前記エラーを検知して前記処理を中止した後、ユーザが前記筐体から取り除いた紙葉類の記番号と、前記記憶部が記憶している記番号との照合を行うと共に、前記取り除いた紙葉類に関連する処理を行った時期を特定するよう構成された復旧部と、を備えている。
この構成によると、検知部がエラーを検知して処理部による処理を中止した後、ユーザは、筐体から紙葉類を取り除く。筐体から取り除く紙葉類には、エラーの要因となった紙葉類が含まれる。尚、筐体から取り除く紙葉類は、エラー要因の紙葉類だけでなく、筐体内に設けた搬送経路に残った紙葉類、及び、筐体内の所定の集積部において集積されている紙葉類等が含まれる場合がある。「筐体内の所定の集積部」には、集積部に集積している紙葉類を取り出し可能な開口が筐体の外部に向かって開放していて、その集積している紙葉類を筐体の外部から直接に取り出し可能な構成の集積部も含まれる。
ユーザが筐体から紙葉類を取り除いた後、復旧部は、取り除いた紙葉類の記番号と、記憶部に記録している記番号との照合を行う。記憶部に記憶している記番号は、処理の最中に読み取った記番号である。このため、この照合によって、筐体から取り除いた紙葉類に対する処理を行った時期を特定することが可能になる。これは、エラーを検知した時期と、そのエラー要因が実際に発生した時期とがずれる可能性があるときに、エラー要因が関連する処理を正確に特定して、適切な復旧を可能にする。
ここに開示する紙葉類処理装置はまた、紙葉類が一枚ずつ取り込まれる取込口が設けられた筐体と、前記紙葉類に設けられた記番号を読み取るよう構成された識別部と、前記識別部が読み取った記番号を記憶するよう構成された記憶部と、所定枚数の前記紙葉類を集積しかつ、結束するよう構成された集積結束部と、前記取込口から取り込まれた紙葉類について、前記識別部が記番号を順次、読み取った後、前記集積結束部が、前記紙葉類の束を作成する結束処理を行うよう構成された処理部と、前記処理部が行う処理を中止すべきエラーを検知する検知部と、前記検知部が前記エラーを検知して前記処理を中止した後、ユーザが前記筐体から取り除いた紙葉類の記番号と、前記記憶部が記憶している記番号との照合を行うことによって、前記取り除いた紙葉類に関連する前記束を特定するよう構成された復旧部と、を備えている。
この構成によると、紙葉類処理装置は、取込口から取り込んだ紙葉類の一枚一枚について、記番号を読み取ると共に、所定枚数の紙葉類を含む束を、順次作成する結束処理を行う。読み取った記番号は、記憶部が記憶する。
そうして、検知部がエラーを検知して結束処理を中止したときに、復旧部は、ユーザが筐体から取り除いた紙葉類の記番号と、記憶部が記憶している記番号との照合を行う。これにより、取り除いた紙葉類に関連する束を特定することが可能になる。ここで、「取り除いた紙葉類に関連する束」には、既に結束が完了をしている束、及び、これから結束をしようとするときに検知部がエラーを検知することによって、結束は未完了であるものの、取り除いた紙葉類が関連する束の両方が含まれる。この構成も、前記構成と同様に、エラーを検知した時期と、そのエラー要因が実際に発生した時期とがずれる可能性があるときに、筐体から取り出した紙葉類(この紙葉類は、エラー要因となった紙葉類を含む)が関連する束を正確に特定することにより、適切な復旧が可能になる。
前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類の記番号を、前記識別部が読み取ることによって取得するよう構成されている、としてもよい。
取り除いた紙葉類を、例えば取込口を通じて一枚ずつ取り込むと共に、識別部が各紙葉類の記番号を、再度読み取るようにしてもよい。紙葉類の記番号を、紙葉類処理装置が自動的に読み取ることが可能であるため、特に、取り除いた紙葉類の数が多いときに、ユーザの負担が軽減する。
前記復旧部は、前記ユーザに対して、前記取り除いた紙葉類を、前記取込口を通じて前記筐体内に取り込むよう促すと共に、前記ユーザのキャンセル操作に応じて、前記識別部による記番号の読み取りを中止するよう構成されている、としてもよい。
エラーを検知して処理を中止したときに、ユーザに対して、取り除いた紙葉類を、取込口を通じて筐体内に取り込むよう促すことにより、紙葉類の記番号を、紙葉類処理装置が自動的に読み取ることが可能になる。
一方で、例えば検知部の誤検知により、実際はエラーが生じていないにも拘わらず、処理を中止する場合が起こり得る。この場合、筐体から取り除く紙葉類が存在しないことが起こり得る。筐体から取り除く紙葉類が存在しないことで、識別部による記番号の再読み取りを行うことができないことになるが、復旧部を、ユーザのキャンセル操作に応じて、識別部による記番号の読み取りを中止するよう構成することで、エラーの復旧を、スムースに終了することが可能になる。
尚、ユーザのキャンセル操作は、前述のようにエラーの復旧を終了するために行うのではなく、後述するように、記番号をユーザが手入力するために、識別部による記番号の再読み取りをキャンセルするために行うとしてもよい。
前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類の記番号を、前記ユーザが手入力することによって取得するよう構成されている、としてもよい。
こうすることで、ユーザは、筐体から取り除いた紙葉類を見ながら、記番号を入力することができ、識別部による記番号の読み取り精度が低くなりがちな紙葉類(例えば汚れ等のある紙葉類)についても、紙葉類処理装置の復旧部は、正確な記番号を取得することが可能になる。
前記復旧部は、前記識別部が記番号を読み取ることができなかった紙葉類について、前記ユーザに対し記番号の手入力を要求すると共に、要求された紙葉類の一部又は全部について、記番号の手入力をキャンセルする操作を受付可能に構成されている、としてもよい。
識別部が記番号を読み取ることができなかった紙葉類について、ユーザに対し記番号の手入力を要求することにより、紙葉類処理装置の復旧部は、正確な記番号を取得することが可能になる。その一方で、ユーザは、要求された紙葉類の一部又は全部について、記番号の手入力をキャンセルする操作が可能であるため、必要に応じて、記番号の手入力をキャンセルすることによって、エラーの復旧をスムースに完了することが可能になる。
前記復旧部は、取得した記番号と、前記記憶部が記憶している記番号との照合を、所定のルールに従った曖昧照合により行うと共に、当該曖昧照合によって複数の記番号を抽出したときには、前記ユーザに対し、複数の記番号を選択可能に提示するよう構成されている、としてもよい。
こうすることで、エラーを検出して処理を中止した後に、復旧部が、識別部による読み取り、又は、ユーザの手入力によって取得した記番号と、記憶部が記憶している記番号とを照合したときに、該当する紙葉類が抽出される確率が高まる。これは特に、エラーの検知前に識別部が記番号を読み取るとき(つまり、紙葉類処理装置の処理中に記番号を読み取るとき)の読み取り精度、及び/又は、エラーの検知後に識別部が記番号を読み取るときの読み取り精度が低いとき、またユーザが記番号を入力するときに誤入力があったときでも、筐体から取り出した紙葉類に関連する束を特定できる可能性を高める。
ここで、「ユーザに対し、複数の記番号を選択可能に提示する」は、例えば表示部に複数の記番号を表示すると共に、いずれかの記番号を選択する操作ボタン等を、その表示部に表示する、としてもよい。但し、そのような構成に限定されるものではない。
前記集積結束部が作成した前記束には、当該束を特定可能な識別記号が付されている、としてもよい。識別記号は、例えば紙葉類を結束するためのテープに印字してもよい。識別記号は、束を特定可能であればどのようなものであってもよい。例えば束を作成する毎に付す連続番号としてもよいし、束を作成した日時としてもよい(例えば2014年1月1日12時ちょうど(00分00秒)であれば、20140101120000)。また、連続番号と日時との組み合わせであってもよい。
前記記憶部は、各紙葉類の記番号と、当該紙葉類が含まれる束の情報とを対応づけて記憶しており、前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類の記番号が含まれる束を特定するよう構成されている、としてもよい。
こうすることで復旧部は、取得した紙葉類(つまり、筐体から取り除いた紙葉類)の記番号と、記憶部に記憶している記番号とを照合することにより、その筐体から取り除いた紙葉類が含まれる束を特定することが可能になる。
前記処理部は、前記結束処理と共に、前記取込口から取り込まれた紙葉類の計数処理を行い、前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類を含む束を特定したときに、当該束について確定していた計数結果を未確定に変更すること、及び、確定のままで変更しないこと、を選択可能に、ユーザに提示するよう構成されている、としてもよい。
筐体から取り除いた紙葉類を含む束を特定したときに、その束には、本来含まれるべき紙葉類が含まれていないため、当該束について確定していた計数結果と、束の現物とは一致しない。そのため、当該束について確定していた計数結果を未確定に変更する(これは、計数結果をキャンセルすることと等価である)ことにより、計数結果と、束の現物との不一致が解消される。また、場合によっては、確定していた計数結果を、確定のままで変更しないことを許容することで、エラーの復旧をスムースに完了することが可能になる。
尚、ここでいう「提示」も、前述したように、表示部に表示することによって提示する、としてもよいが、表示に限定されるものではない。
前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類の記番号が含まれる束を特定した後で、当該束と前記取り除いた紙葉類とからなる束を再度作成するときには、前記識別部が新たに読み取った紙葉類の記番号と、前記記憶部が記憶している、当該束に含まれる紙葉類の記番号とを照合するよう構成されている、としてもよい。
取り除いた紙葉類の記番号が含まれる束を特定した後で、当該束と取り除いた紙葉類とからなる束を再度作成することによって、本来作成されるべきであった紙葉類の束を作成することが可能になる。
また、束を作成するときに、識別部が新たに読み取った紙葉類の記番号と、記憶部が記憶している、当該束に含まれる紙葉類の記番号とを照合することによって、束をもう一度作成するときに、当該束に含まれない紙葉類(例えば、取り除いた紙葉類ではない、別の紙葉類)が、誤って束に紛れ込んでしまうことを未然に回避することが可能になる。
前記検知部は、前記筐体内に設けた搬送経路から紙葉類が落下していることを検知するよう構成されている、としてもよい。
ここで、「紙葉類が落下していることを検知する」センサは、例えば透過光の遮光の有無を検出する遮光式の検知センサとしてもよい。こうした遮光式の検知センサを適宜配置することによって、紙葉類が落下したときには、当該紙葉類が透過光を遮光することにより、落下を検知することが可能になる。しかしながら、紙葉類が落下しても、遮光式の検知センサの死角になって、その落下した紙葉類が遮光をしないときには、落下を検知することができないという不都合がある。また、紙葉類が落下をして処理を中止した後に、落下した紙葉類を取り忘れ、しかも、その紙葉類が遮光式の検知センサの死角になったときも、紙葉類が落下していることを検知することができなくなる。
その一方で、ふとしたはずみで、落下していた紙葉類の位置や向きが変わって、透過光を遮光することにより、紙葉類の落下を検知することも起こり得る。つまり、紙葉類が落下していることを検知する遮光式の検知センサは、紙葉類が実際に落下した時点と、検知センサが検知をする時点とがずれる場合がある。そのため、前述したように、エラーを検知した後、筐体から取り除いた紙葉類の記番号に基づいて、当該紙葉類に関連する束を特定することによって、当該紙葉類を処理した時期を特定することが可能になり、エラー復旧を正確にかつ、速やかに完了することが可能になる。
前記復旧部は、前記検知部が検知信号を出力した時に行っていた処理に係る取引をキャンセルするか、取引を継続するかを選択可能に、前記ユーザに提示するよう構成されている、としてもよい。
検知部がエラーを検知して処理を中止したときには、当該処理は一旦キャンセルした上で、当該処理をもう一度最初からやり直すことが望ましい。一方で、前述したように、検知部の誤検知によって処理を中止したときには、当該処理を、もう一度最初からやり直す必要はない。
そこで、検知部がエラーを検知して処理を中止したときに、当該処理に係る取引をキャンセルするか、取引を継続するかを選択可能に、前記ユーザに提示することによって、ユーザの利便性が高まる。尚、ここでいう「提示」も、前述したように、表示部に表示することによって提示する、としてもよいが、表示に限定されるものではない。
前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類の記番号が、前記検知部が検知信号を出力した時に作成中であった束に含まれるか否かを判定すると共に、含まれるときには、前記筐体内で落下していた紙葉類は当該束に含まれると特定する一方、含まれないときには、前記検知信号を出力する以前に作成をした束の記憶データにさかのぼって照合するよう構成されている、としてもよい。
前述したように、紙葉類の落下の検知は、落下した時期と、検知した時期とのずれが生じる可能性があるものの、落下したときに検知することの方が多い。従って、検知部が検知信号を出力して処理を中止したときに、筐体から取り除いた紙葉類は、その検知部が検知信号を出力した時に作成中であった束に含まれる可能性が最も高い。そこで、復旧部は、取り除いた紙葉類の記番号が、前記検知部が検知信号を出力した時に作成中であった束に含まれるか否かを判定する。そうして、含まれるときには、筐体内で落下していた紙葉類は当該束に含まれると特定する一方、含まれないときに、検知信号を出力する以前に作成をした束の記憶データにさかのぼって照合する。こうすることで、紙葉類が含まれる束を、速やかに特定することが可能になる。
前記復旧部は、前記エラーを検知した当日に作成した束の記憶データまでさかのぼるよう構成されている、としてもよい。
また、前記復旧部は、前記エラーを検知した日前の所定日以降に作成した束の記憶データまでさかのぼるよう構成されている、としてもよい。
前記記憶部は、前記筐体の外に設けられたデータベースを含み、前記復旧部は、前記データベースの記憶データを参照可能に構成されている、としてもよい。
紙葉類処理装置の外に設けたデータベースを利用することによって、記憶容量の制限が実質的になくなり、紙葉類が含まれる束を、確実に特定することが可能になる。
以上説明したように、前記の紙葉類処理装置によると、エラー発生時に筐体から取り除いた紙葉類に関連する処理の時期を特定することができる。
紙幣処理装置の外観図である。 紙幣処理装置の概略構成図である。 結束スタッカ及び結束部の概略構成図である。 テープ輪作成部の斜視図である。 テープ把持部の上部を斜め下方から見た斜視図である。 紙幣処理装置の概略構成を示すブロック図である。 第2搬送部が紙幣を結束スタッカから抜き出した状態の図である。 第2搬送部が紙幣をテープ輪の側方まで搬送した状態の図である。 テープ把持部がテープの先端部を把持した状態の図である。 テープ把持部が小テープ輪及び大テープ輪を作成した状態の図である。 紙幣の厚み方向を向いて見たときの、紙幣が大テープ輪へ搬送されて、紙幣にテープが巻き付けられるまでの各部の動作説明図であって、(A)は、紙幣が大テープ輪へ搬送される直前の状態、(B)は、紙幣が大テープ輪へ搬送された状態、(C)は、紙幣にテープが巻き付けられた状態を示す。 クランプ部が紙幣を押圧したときのガイド部の状態の図である。 テープの接合、切断及び押印の説明図である。 紙幣の落下を検知したときに行う復旧手順のフローチャートである。 復旧時に表示される画面の一例である。 復旧時に表示される画面の一例である。 復旧時に表示される画面の一例である。 復旧時に表示される画面の一例である。 リジェクトが繰り返される例を説明する図である。 リジェクト要因を記憶するリジェクト管理部の記憶内容の遷移を説明する図である。
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〈紙幣処理装置の概略構成〉
図1は、紙幣処理装置100の外観図を示し、図2は、紙幣処理装置100の概略構成図を示す。
紙幣処理装置100は、例えば銀行のテラーカウンタに設置され、オペレータによって使用される。紙幣処理装置100は、バラ状態の紙幣を取り込み、所定の種類の紙幣を集積し、該紙幣を所定の結束枚数で結束して投出する。
紙幣処理装置100は、紙幣が載置され、該紙幣を取り込むホッパ部2と、紙幣を識別する識別部3と、結束対象の紙幣を集積する結束スタッカ4と、結束対象でない紙幣を集積する非結束スタッカ5と、リジェクト紙幣を集積するリジェクトスタッカ6と、ホッパ部2から取り込まれた紙幣を、識別部3、結束スタッカ4、非結束スタッカ5及びリジェクトスタッカ6に搬送する第1搬送部7と、結束スタッカ4に集積された紙幣を所定の位置まで搬送する第2搬送部8と、第2搬送部8により搬送された紙幣を結束する結束部9と、結束された紙幣(以下、「結束紙幣」という)を搬送する第3搬送部10と、結束紙幣を投出する投出部11と、識別部3、結束スタッカ4、非結束スタッカ5、リジェクトスタッカ6、第1搬送部7、第2搬送部8、結束部9及び第3搬送部10を収容する箱状の筐体12とを備えている。
筐体12は、上面121と、下面122と4つの側面とを有している。筐体12は、卓上型である。つまり、筐体12の下面122には、キャスタ等が設けられておらず、卓上に設置される構造となっている。
筐体12の4つの側面のうちの1つの側面である第1側面123には、ホッパ部2及び投出部11が設けられている。4つの側面のうちの1つの側面である第2側面124には、詳しくは後述する結束スタッカ4の第1取出口47及び非結束スタッカ5の第2取出口53が設けられている。第1側面123と第2側面124とは、隣接している。
筐体12の内部は、紙幣の識別及び分類に関する処理を行う第1処理部126と、結束対象の紙幣の結束に関する処理を行う第2処理部127とに別れている。第2処理部127は、第1処理部126の上方に設けられている。第1処理部126には、ホッパ部2、識別部3、非結束スタッカ5及びリジェクトスタッカ6が含まれる。第2処理部127には、結束スタッカ4、第2搬送部8、結束部9及び第3搬送部10が含まれる。第1搬送部7の大部分は、第1処理部126に含まれている。
結束スタッカ4は、第1結束スタッカ4Aと第2結束スタッカ4Bとの2つのスタッカを含んでいる。第1結束スタッカ4Aと第2結束スタッカ4Bはともに、結束対象の紙幣を集積する。結束対象の紙幣として集積する紙幣は、適宜設定することができる。結束対象の紙幣は、所定の種類の紙幣である。所定の種類は、金種、正券か損券か、紙幣の表裏、紙幣の向き、新券か旧券かなどによって特定される。ここでは、結束対象の紙幣は、所定の金種(例えば、100元)であって且つ正券の紙幣である。ここで、識別部3によって正常な紙幣として識別された紙幣を「正常紙幣」と、識別部3で正常な紙幣として識別されなかった紙幣を「異常紙幣」と、斜行や重送等により搬送状態が異常な紙幣を「搬送異常紙幣」と称する。例えば、正常な紙幣か否かを判断する条件の1つとしては、記番号が識別可能であるか否かが挙げられる。ただし、それとは異なる条件をもって正常な紙幣か否かを判断してもよいし、それに別の条件を加えて正常な紙幣か否かを判断してもよい。また、正常紙幣であっても搬送先(結束スタッカ、非結束スタッカ等)が指定されていない種類の紙幣を「指定外紙幣」と称する。また、正常紙幣のうち、汚れや破れ等が比較的少ない状態の紙幣を「正券」と、正常紙幣のうち、汚れや破れ等が比較的多い状態の紙幣を「損券」と称する。結束スタッカ4は、集積部の一例である。
第1及び第2結束スタッカ4A,4Bは、第2処理部127内において実質的に上下方向に並んで配置されている。第1結束スタッカ4Aは、第2結束スタッカ4Bの上方に位置している。第1結束スタッカ4Aと第2結束スタッカ4Bとは、同様の構成をしている。2つのスタッカを区別しないときには、単に「結束スタッカ4」と称する。結束スタッカ4の詳細な構成については後述する。
非結束スタッカ5は、第1及び第2非結束スタッカ5A,5Bの2つのスタッカを含んでいる。第1及び第2非結束スタッカ5A,5Bは、第1処理部126内において実質的に水平方向に並んで配置されている。第2非結束スタッカ5Bの方が第1非結束スタッカ5Aよりもホッパ部2に近い位置に配置されている。2つのスタッカを区別しないときには、単に「非結束スタッカ5」と称する。非結束スタッカ5に集積する紙幣は適宜設定することができる。ここでは、第1非結束スタッカ5Aは、前記所定の金種であって且つ損券を集積する。第2非結束スタッカ5Bは、前記所定の金種以外の金種の紙幣を集積する。
リジェクトスタッカ6は、リジェクト紙幣を集積する。リジェクトスタッカ6は、第1及び第2非結束スタッカ5A,5Bよりもホッパ部2に近接している。リジェクトスタッカ6は、第1及び第2非結束スタッカ5A,5Bよりも少し上方に位置している。リジェクトスタッカ6に集積する紙幣は適宜設定することができる。ここでは、リジェクトスタッカ6は、「指定外紙幣」、「異常紙幣」及び「搬送異常紙幣」をリジェクト紙幣として集積する。
ホッパ部2は、第1側面123のうち第1処理部126に対応する部分に設けられ、投出部11は、第1側面123のうち第2処理部127に対応する部分に設けられている。
ホッパ部2は、紙幣が載置される載置台21と、載置台21上に載置された紙幣を案内する2つのガイド部22,22と、取込ローラ23と、紙幣を取り込む取込口24と、載置台21上の紙幣を検知する紙幣センサ25とを有している。本実施形態では、紙幣が短手方向に取り込まれていくように、紙幣がホッパ部2に載置される。
取込口24は、図1に示すように、載置台21と第1側面123とが交わる隅部に形成されている。載置台21は、取込口24に近づくに従って下方に位置するように傾斜している。これにより、載置台21上の紙幣は、自然と取込口24の方へ向かうようになっている。載置台21上に載置された紙幣は、取込口24から筐体12内へ取り込まれる。
また、紙幣センサ25は、取込口24の近傍に設けられている。紙幣センサ25は、光を送信する送信部と光を受信する受信部とを有し、送信部から出射されて受信部に到達する光が遮断されることによって紙幣を検知する。尚、後述する第1紙幣センサ45、第2紙幣センサ46、集積センサ52、集積センサ62、通過センサ74、第1テープセンサ9210及び第2テープセンサ9211も同様の構成をしている。紙幣センサ25は、載置台21上に載置された紙幣により光が遮断されるように配置されている。つまり、紙幣センサ25は、光が遮断されることによって、載置台21上に紙幣が載置されていることを検知することができる。
ガイド部22,22は、その間隔を調整可能に構成されている。つまり、ガイド部22,22の間隔は、載置台21上に載置された紙幣に合わせて調整される。
取込ローラ23は、キッカローラ23aと、フィードローラ23bと、ゲートローラ23cとを有している。キッカローラ23aは、部分的に載置台21から露出しており、載置台21上の紙幣のうち一番下の紙幣と接触している。キッカローラ23aは、載置台21上に載置された紙幣のうち一番下の紙幣を取込口24へ送り込む。こうして、紙幣が1枚ずつ取込口24から取り込まれていく。取込口24から送り込まれた紙幣は、フィードローラ23bとゲートローラ23cとで1枚ずつに分離されて、筐体12内へ取り込まれる。取り込まれた紙幣は、第1搬送部7へ送られる。
投出部11は、結束紙幣が投出される投出口111を有している。投出部11においては、投出口111を介して、結束紙幣が紙幣の短手方向に投出される。
第1搬送部7は、搬送ベルト等で構成されている。第1搬送部7は、主搬送路71と、主搬送路71から分岐する第1〜第4分岐路72a〜72dと、主搬送路71からの分岐箇所に設けられた振り分け機構73と、紙幣の通過を検知する複数の通過センサ74とを有している。第1搬送部7は、紙幣をその短手方向に搬送していく。第1搬送部7は、搬送部の一例である。
主搬送路71は、取込ローラ23から第1結束スタッカ4Aまで延びている。第1分岐路72aは、主搬送路71の最も上流側に位置しており、第1分岐路72aから下流側に向かって、第2分岐路72b、第3分岐路72c、第4分岐路72dがこの順で位置している。第1〜第4分岐路72a〜72dのそれぞれを区別しないときには、単に分岐路72と称する。第1分岐路72aは、リジェクトスタッカ6まで延びている。第2分岐路72bは、第2非結束スタッカ5Bまで延びている。第3分岐路72cは、第1非結束スタッカ5Aまで延びている。第4分岐路72dは、第2結束スタッカ4Bまで延びている。
振り分け機構73は、ソレノイド(図示省略)によって駆動される。振り分け機構73は、主搬送路71を搬送中の紙幣を分岐路72へ分岐させるか否かを振り分ける。各振り分け機構73の上流側には、通過センサ74が設けられている。通過センサ74は、紙幣センサ25と同様の構成をしている。つまり、通過センサ74の受信部における光の受信が中断され、その後に光の受信が再開されたことをもって、紙幣の通過を検知することができる。振り分け機構73は、紙幣を分岐路72へ導く際には、その直上流の通過センサ74が紙幣の通過を検知したことをもって作動する。
識別部3は、主搬送路71のうち第1分岐路72aよりも上流側に設けられている。識別部3は、搬送される紙幣の一枚一枚について、その金種、真偽及び正損を識別するように構成されている。識別部3は、詳細な図示は省略するが、紙幣処理装置100内においてユニット化されており、この識別部3には、紙幣処理装置100全体の制御を行う制御部120とは別の制御基板を有している。この制御基板には、紙幣の識別に必要な情報を含むと共に、識別部3が識別を行う際に参照する識別用テンプレート33が含まれている(図6参照)。また、識別部3は、ラインセンサ31及び磁気センサ32を有し、紙幣の特徴を取得する。識別部3は、紙幣の特徴が、識別用テンプレート33に含まれる各種紙幣の特徴と一致するかを判定し、金種、真偽、及び正損を識別する。
識別部3は、紙幣の特徴を取得するためのセンサであれば、ラインセンサ及び磁気センサに限られず、赤外線センサ及び紫外線センサ等のセンサを有していてもよい。ラインセンサ31は、紙幣に印字されている記番号を光学的に読み取る機能も有している。識別部3は、ラインセンサ31が読み取った記番号を認識する機能も有している。尚、識別部3とは別に、記番号認識部を設けてもよい。また、識別部3におけるセンサ以外の機能を、後で述べる制御部120が行ってもよい。
結束部9は、集積された紙幣を結束する。詳しくは後述するが、結束部9は、テープ輪Lを作成し、該テープ輪Lの中へ紙幣が搬送された後にテープを引き戻し、紙幣をテープで結束する。
第2搬送部8は、結束スタッカ4に集積された紙幣を把持して、該紙幣をテープ輪Lの中へ搬送する。第2搬送部8は、紙幣を把持する把持ユニット81と、把持ユニット81を水平方向であって且つ紙幣の短手方向(以下、「第1水平方向」という)へ移動させる第1水平移動機構と、把持ユニット81を水平方向であって且つ紙幣の長手方向(以下、「第2水平方向」という)へ移動させる第2水平移動機構と、把持ユニット81を上下方向へ移動させる上下移動機構とを有している。第2搬送部8は、紙葉類搬送部の一例である。
把持ユニット81は、上アーム部81aと、上アーム部81aと相対向する下アーム部81bと、上アーム部81aを上下方向へ移動させる把持機構とを有している。図11等に示すように、上アーム部81aは、互いに平行に延びる3本の指部と、3本の指部を連結する連結部とを有している。同様に、下アーム部81bは、互いに平行に延びる3本の指部と、3本の指部を連結する連結部とを有している。把持機構は、上アーム部81aを上下方向に移動可能に支持すると共に、モータ及び駆動ベルトによって上アーム部81aを上下に移動させる。これにより、上アーム部81aと下アーム部81bとで紙幣を把持することができる。
第1水平移動機構は、把持ユニット81を第1水平方向に移動可能に支持しており、モータ及び駆動ベルトによって把持ユニット81を第1水平方向に移動させる。
上下移動機構は、第1水平移動機構を上下方向に移動可能に支持しており、モータ及び駆動ベルトによって第1水平移動機構を上下方向に移動させる。
第2水平移動機構は、上下移動機構を第2水平方向に移動可能に支持しており、モータ及び駆動ベルトによって上下移動機構を第2水平方向に移動させる。
このように、把持ユニット81は、第1水平移動機構、第2水平移動機構及び上下移動機構によって直交する3軸に沿った方向に移動可能に構成されている。
第3搬送部10は、結束紙幣を投出部11まで搬送する。第3搬送部10は、上把持部101と、下把持部102と、上把持部101及び下把持部102を第1水平方向へ移動させる水平移動機構とを有している。水平移動機構は、上把持部101を第1水平方向へ移動させる際に上把持部101を上下方向にも移動させる。詳しくは、第3搬送部10は、結束部9の側方を第1水平方向へ通過するように構成されている。第3搬送部10は、結束部9に対して投出部11と反対側に位置するときには、上把持部101は下把持部102から上方へ十分に離間している。上把持部101は、この位置から結束部9の結束紙幣へ近づくにつれて下方へ移動し、結束紙幣に到達したときには上把持部101と下把持部102とで結束紙幣を把持した状態となる。上把持部101及び下把持部102は、結束紙幣を把持した状態で結束紙幣を投出部11近傍まで搬送する。上把持部101は、投出部11の近傍において、投出部11へ近づくにつれて上方へ移動する。その結果、上把持部101と下把持部102とで把持された結束紙幣は、投出部11において上把持部101及び下把持部102による把持が解除され、投出部11へ投出される。
筐体12の第2側面124には、図1に示すように、紙幣処理装置100への情報を入力する操作部であり且つ紙幣処理装置100の情報を表示する表示部であるタッチパネル17が設けられている。タッチパネル17は、紙幣処理装置100を操作するオペレータに対するヒューマンインターフェース部分である。
〈結束スタッカ4の詳細構成〉
図3に、結束スタッカ4及び結束部9の概略構成図を示す。
結束スタッカ4は、紙幣Bを積み重ねて集積する。結束スタッカ4は、図1〜3に示すように、紙幣Bを集積する容器40と、容器40内に配置され、紙幣Bが載置されるステージ41と、搬送されてきた紙幣Bを容器40へ搬入する羽根車42と、後述する第1取出口47を開閉する扉43と、容器40の天井を規定する天板44と、容器40内の紙幣Bを検知する第1紙幣センサ45と、容器40内の所定高さの紙幣Bを検知する第2紙幣センサ46とを有している。
容器40は、紙幣Bの搬送方向における前側の前壁部40aが搬送方向において前後に移動可能に構成されている。前壁部40aの位置は、結束対象に設定された紙幣Bの短手方向寸法に応じて調整される。具体的には、容器40内に搬入される紙幣Bが前壁部40aに当たって、そのまま容器40の底に落下していき、最終的に紙幣Bが前壁部40aに当接した状態で集積される位置に前壁部40aが配置される。また、前壁部40aは、上下に開閉するように構成されている。前壁部40aは、集積された紙幣Bを第2搬送部8により搬送する際に開いた状態となる。
ステージ41は、上下に移動可能に構成されている。例えば、ステージ41は、紙幣Bの集積量に応じて上下に移動する。
容器40は、筐体12の第2側面124に開口している。つまり、第2側面124には、図1に示すように、結束スタッカ4に集積された紙幣Bを筐体12の外部に取り出すための第1取出口47が設けられている。
扉43は、結束スタッカ4ごとに個別に設けられている。扉43は、第1取出口47を開放する開状態と第1取出口47を閉鎖する閉状態との間で所定の回転軸回りに回動自在に構成され、手動で開閉される。扉43は、外部から内部を目視可能な材料で構成されている。例えば、扉43は、透明又は半透明な材料(例えば、ガラスや樹脂)で構成されている。
羽根車42は、可撓性を有する複数の羽を有しており、容器40内に落下する紙幣Bの、搬送方向後側の端部を叩いて、紙幣Bの落下を促進させる役割を有している。紙幣Bが容器40内に連続的に搬入される場合であっても、後の紙幣Bが先の紙幣Bの後端部に入り込むことを防止し、紙幣Bを1枚ずつ順に上方に積み重ねていくことができる。
第1紙幣センサ45は、1つの結束スタッカ4につき複数設けられている。本実施形態では、容器40内において紙幣Bの搬送方向における異なる位置に2つの第1紙幣センサ45,45が設けられている。第1紙幣センサ45は、紙幣センサ25と同様の構成をしている。各第1紙幣センサ45は、容器40内の紙幣Bの集積方向に光を送信するように配置されている。つまり、第1紙幣センサ45は、光が遮断されることによって、容器40内に紙幣Bが存在することを検知することができる。また、搬送方向の異なる位置に2つの第1紙幣センサ45,45を設けることによって、容器40内において搬送方向における紙幣Bの位置にばらつきがあったとしても、何れかの第1紙幣センサ45により紙幣Bの存在を検知することができる。尚、第1紙幣センサ45は、紙幣Bの搬送方向及び紙幣Bの厚み方向の両方に直交する方向(図2における紙面奥行き方向)における異なる位置に複数設けられていてもよい。
第2紙幣センサ46は、容器40内において所定の高さに位置する紙幣Bを検知するように構成されている。第2紙幣センサ46は、紙幣センサ25と同様の構成をしている。第2紙幣センサ46は、前記所定の高さよりも高い位置に紙幣Bが存在するときには、送信部から受信部に向かう光が該紙幣Bにより遮断される一方、紙幣Bが前記所定の高さよりも高い位置に存在しないときには、送信部からの光が受信部に到達するように配置されている。
〈結束部9の詳細構成〉
結束部9は、図3に示すように、テープTを供給するテープ供給部91と、テープTでテープ輪Lを作成するテープ輪作成部92と、紙幣Bを前記テープTで結束するときに該紙幣Bを集積方向に押圧するクランプ部94と、テープTを紙幣Bに巻き付けた状態でテープT同士を接合するヒータ95と、テープTを紙幣Bに巻き付けられていない位置で切断するカッタ96と、テープTに印刷する印刷部97と、テープTに押印する押印部98と、を有している。
テープ供給部91は、テープTがリールに巻き付けられたテープリール911と、テープリール911から引き出されるテープTを搬送するテープ搬送部912とを有している。テープ搬送部912は、テープTを所定の搬送経路に沿って搬送する。テープ搬送部912は、ガイド(図示省略)と複数のローラ対とを有している。
テープ輪作成部92は、テープTでテープ輪Lを作成し、集積された紙幣Bが該テープ輪Lの中に配置された後に該テープTを引き戻して該テープTを該紙幣Bに巻き付ける。テープ輪作成部92は、テープTの送り出し及び引き戻しを行う送り出しローラ対920と、テープTの先端部を把持するテープ把持部921と、テープTでテープ輪Lを作成する際にテープ輪Lの形状を規定するガイド部925と、テープTの先端を検知する第1テープセンサ9210と、大テープ輪L2が作成されたことを検知する第2テープセンサ9211とを有している。テープ輪作成部92は、テープ把持部921によりテープTで小テープ輪L1を作成した後、送り出しローラ対920によりテープTを送り出すことによって該小テープ輪L1を大きくして大テープ輪L2を作成する。その際、ガイド部925は、テープTを案内して、大テープ輪L2の形を規定し、第2テープセンサ9211は、大テープ輪L2の形成を検知する。
送り出しローラ対920は、テープ送りモータ9212(図6参照)により駆動され、テープ輪Lを作成する際にテープTを送り出す。送り出しローラ対920は、テープ搬送部912の下流端部に位置し、テープ搬送部912の一部も構成する。送り出しローラ対920は、送り出し部の一例である。尚、テープ搬送部912のローラ対も、テープ送りモータ9212によりベルト及びギア等を介して駆動される。
また、テープリール911には、テープTの巻き戻し方向にテープリール911を回転させるテープリールモータ9111(図6参照)が設けられており、紙幣Bがテープ輪Tの中へ配置された後に、テープTを紙幣Bに巻き付ける際には、このテープリールモータ9111とテープ送りモータ9212とがテープTを巻き戻す方向に回転する。テープ送りモータ9212及びテープリールモータ9111は共に、ステッピングモータにより構成されている。
第1テープセンサ9210は、テープTの搬送路中であって、送り出しローラ対920とテープ把持部921との間に設けられている。第1テープセンサ9210は、紙幣センサ25と同様の構成をしている。第1テープセンサ9210は、光が遮断されることによってテープTを検知する。例えば、送り出しローラ対920がテープTを引き戻し、第1テープセンサ9210において光が遮断された状態から光が受信される状態となったことをもってテープTの先端を検知することができる。
テープ把持部921は、送り出しローラ対920から送り出されるテープTを受け取ることが可能な位置に配置されている。テープ把持部921は、図9、10に示すように、ベース部922と、可動部923との間にテープTを把持可能に構成され且つ、テープTを把持した状態で回転可能に構成されている。テープ把持部921は、送り出しローラ対920から送り出されたテープTの先端部を把持した状態で回転することによってテープ輪Lを作成する。
ガイド部925は、大テープ輪L2を作成するときに、該大テープ輪L2の外周面に接触して該大テープ輪L2の形状を規定する。ガイド部925は、大テープ輪L2を略長方形状、詳しくは、角部が湾曲した長方形状に規定する。
図4に、テープ輪作成部92の斜視図を示す。ガイド部925は、大テープ輪L2の下側から大テープ輪L2の外周面に接触する下ガイド部926と、水平方向から大テープ輪L2の外周面に接触する第1側方ガイド部927及び第2側方ガイド部928と、長方形の4つの角部に対応する4つの第1〜第4コーナーガイド部929a〜929dとを有している。
下ガイド部926は、テープTの幅方向の位置を規制する一対の側壁926a,926aと底壁926b(図9、10及び12参照)とを有し、溝状に形成されている。底壁926bの幅は、テープ幅よりも広い。図13に示すように、底壁926bには、テープTの摺動性を向上させる複数のローラ926c,926c,…が設けられている。底壁926bには、後述する押印部98のスタンプ981が貫通する貫通孔926dが設けられている。底壁926bの長手方向両端部には、第1コーナーガイド部929a及び第2コーナーガイド部929bが設けられている。第1コーナーガイド部929aは、下ガイド部926と第1側方ガイド部927とで形成される角部に位置するテープTを湾曲させる。第2コーナーガイド部929bは、下ガイド部926と第2側方ガイド部928とで形成される角部に位置するテープTを湾曲させる。第1コーナーガイド部929a及び第2コーナーガイド部929bはそれぞれ、2枚の板で構成されている(図4も参照)。2枚の板はそれぞれ、凹状に湾曲する端縁を有し、互いに対向する状態で底壁926bに立設されている。
下ガイド部926は、移動機構が設けられており、移動機構によって上下に移動可能に構成されている。この移動機構は、後述する下クランプ部943,944の移動機構と共通である。
第1側方ガイド部927は、下ガイド部926の長手方向の結束スタッカ4側の端部において上下方向に延びている。第1側方ガイド部927は、側壁927aと底壁927bとを有し、溝状に形成されている。側壁927aは、テープTの幅方向の位置を規制する。底壁927bの幅は、テープ幅よりも広い。底壁927bには、第1コーナーガイド部929aが通過する2本のスリットが形成されている。
第2側方ガイド部928は、下ガイド部926の長手方向の投出部11側の端部において上下方向に延びている。第2側方ガイド部928は、略平板状に形成され、第1側方ガイド部927の側壁927aに相当する部分が設けられていない。第2側方ガイド部928は、支持部によって上下に移動可能に支持されると共に、リンクを介して下ガイド部926に連結されている。これにより、第2側方ガイド部928は、下ガイド部926の上昇に連動して上昇し、下ガイド部926の下降に連動して下降する。尚、第2側方ガイド部928の移動量は、リンクにより増幅されている。第2側方ガイド部928は、結束紙幣Bを搬送するときに、該結束紙幣Bの搬送を阻害しないように上方へ退避するように構成されている。
また、第1コーナーガイド部929a及び第2コーナーガイド部929bの上方であって、テープ把持部921と略同じ高さには、第3コーナーガイド部929c及び第4コーナーガイド部929dが設けられている。第3コーナーガイド部929cは、第1側方ガイド部927に隣接して設けられている。第3コーナーガイド部929cは、詳細な図示は省略するが、2枚の板を有している。2枚の板は、凹状に湾曲する端縁を有し、互いに対向する状態で底壁927bに立設されている。第4コーナーガイド部929dは、第2側方ガイド部928に隣接して設けられている。第4コーナーガイド部929dは、凹状に湾曲した湾曲面を有するブロックで形成されている。以下、第1〜第4コーナーガイド部929a〜929dを特に区別しないときには、単にコーナーガイド部929と称する場合がある。
第2テープセンサ9211は、紙幣センサ25と同様の構成をし、光が遮断されることによってテープTを検知する。第2テープセンサ9211の受信部は、図4に示すように、第4コーナーガイド部929dに取り付けられている。第2テープセンサ9211の送信部は、該送信部からの光が第4コーナーガイド部929dに案内されているテープTによって遮断される位置に配置されている。つまり、第2テープセンサ9211は、送信部が光を送信しても受信部が光を受信しないことをもって、第4コーナーガイド部929dがテープTを案内していること、即ち、テープ輪Lが所定の大きさになったことを検知する。
クランプ部94は、紙幣Bを前記テープTで結束するときに該紙幣Bを集積方向に押圧する。クランプ部94は、紙幣Bのうち、テープTで結束される結束予定部分の近傍部分を押圧する。クランプ部94は、図4,5に示すように、テープ輪Lの中へ搬送された紙幣Bの上方に設けられた一対の上クランプ部941,942と、該紙幣Bの下方に設けられた一対の下クランプ部943,944と、一方の上クランプ部942及び下クランプ部943,944を上下に移動させる移動機構とを有している。
上クランプ部941,942は、テープ幅方向において、テープTの両側に設けられている。第2搬送部8から遠い方の上クランプ部941は、固定されており、上下に移動不能である。一方、第2搬送部8に近い方の上クランプ部942は、上下に移動可能に構成されている。両者を区別する場合には、前者を固定上クランプ部941と称し、後者を可動上クランプ部942と称する。
固定上クランプ部941は、第1及び第2当接部941a,941bを有している。第1及び第2当接部941a,941bは、紙幣Bの短手方向に並んでいる。第1当接部941aと第2当接部941bとは、同じ高さに位置している。尚、第1当接部941aと第2当接部941bとの間には、テープ把持部921のベース部922が配置されている。ベース部922は、第1及び第2当接部941a,941bよりも低い位置に位置している。
一方、可動上クランプ部942は、第1〜第3当接部942a〜942cを有している。第1〜第3当接部942a〜942cは、紙幣Bの短手方向に並んでいる。第3当接部942cは、該短手方向において第1当接部942aと第2当接部942bとの間に位置している。第1当接部942aと第2当接部942bとは、同じ高さに位置している。第3当接部942cは、第1当接部942a及び第2当接部942bよりも低い位置に位置している。可動上クランプ部942は、第1当接部942a及び第2当接部942bが固定上クランプ部941の第1当接部941a及び第2当接部941bと同じ高さになるクランプ位置と、第3当接部942cが固定上クランプ部941の第1当接部941a及び第2当接部941bよりも高くなる退避位置との間で上下に移動する。尚、可動上クランプ部942がクランプ位置に位置するときには、第3当接部942cは、テープ把持部921のベース部922と略同じ高さに位置している。
下クランプ部943,944は、テープ幅方向において、テープTの両側に設けられている。第2搬送部8から遠い方の下クランプ部943と第2搬送部8に近い方の下クランプ部944とは、同じ構成をしている。下クランプ部943は、第1及び第2当接部943a,943bを有している。第1及び第2当接部943a,943bは、紙幣Bの短手方向に並んでいる。第1当接部943aと第2当接部943bとは、同じ高さに位置している。第1及び第2当接部943a,943bはそれぞれ、固定上クランプ部941の第1及び第2当接部941a,941bと対向している。下クランプ部944は、第1及び第2当接部944a,944bを有している。第1及び第2当接部944a,944bは、紙幣Bの短手方向に並んでいる。第1当接部944aと第2当接部944bとは、同じ高さに位置し且つ、下クランプ部943の第1当接部943aと第2当接部943bとも同じ高さに位置している。第1及び第2当接部944a,944bはそれぞれ、可動上クランプ部942の第1及び第2当接部942a,942bと対向している。
下クランプ部943,944は、上下に移動可能に構成されている。本実施形態では、下クランプ部943,944は、ガイド部925の下ガイド部926に取り付けられており、下ガイド部926と一体的に上下に移動する。つまり、下クランプ部943,944を上下に移動させる移動機構は、下ガイド部926の移動機構と共通である。
ヒータ95は、テープTを紙幣Bに巻き付けた状態でテープT同士を接合する。ヒータ95は、テープT同士を熱溶着する。ヒータ95は、接合部の一例である。
カッタ96は、テープTを紙幣Bに巻き付けられていない部分、即ち、テープTのうち紙幣Bを結束して余った部分を切断する。カッタ96の先端は、鋸歯状の切断刃が設けられている。カッタ96は、図4に示すように、両側端縁において外方に突出するガイド片96aを有している。カッタ96は、切断部の一例である。
ヒータ95及びカッタ96は、ユニット化されて、テープ輪Lの中へ配置される紙幣Bに対して押印部98とは反対側、具体的には、紙幣Bの集積方向において押印部98とは反対側、即ち、テープ把持部921の上方に配置されている。
より詳しくは、ヒータ95及びカッタ96は、第1及び第2テープ押え991,992と共にユニット化されている。第1及び第2テープ押え991,992は、第1水平方向に並んで配設されている。第1及び第2テープ押え991,992はそれぞれ、平板状の部材であり、下端面がテープ幅方向に延びている。ヒータ95及びカッタ96は、第1及び第2テープ押え991,992の間に配設されている。
ヒータ95、カッタ96、第1テープ押え991及び第2テープ押さえ992は、上下方向に移動可能に構成されている。テープTの接合及び切断時に、ヒータ95、カッタ96、第1テープ押え991及び第2テープ押さえ992は、テープ把持部921へ向かって下降する。図13に示すように、第1テープ押え991は、ベース部922に設けられた第1凹溝922cに嵌まり、第1凹溝922cの底面との間でテープTを挟持するように構成されている。第2テープ押え992は、可動部923との間でテープTを挟持するように構成されている。ヒータ95は、ベース部922に設けられた第1凹溝922cと第2凹溝922dとの間の部分でテープTを接合する。カッタ96は、ベース部922の第2凹溝922d内に進入してテープTを切断する。
印刷部97は、図3に示すように、テープ搬送部912に設けられている。印刷部97は、テープ搬送部912により搬送されるテープTに印字を行う印刷ヘッドを有している。印刷部97は、例えば、結束される紙幣Bに関連する情報(例えば、金種、日時、連続番号等)をテープTに印字する。テープTに印字される情報は、結束された紙幣の束を特定する識別記号として用いることができる。印刷部97の印字位置は、印字が押印部98による押印と重ならないように、押印部98による押印予定部分に対してテープ幅方向にずれている。
押印部98は、前記クランプ部94で紙幣Bを圧縮し且つ該紙幣BにテープTを巻き付けた状態で該テープTに押印する。押印部98は、例えば、結束される紙幣Bに関連する印(例えば、金融機関印、正券又は損券等の紙幣の種類を表す印等)をテープTに押印する。押印部98は、図4に示すように、テープ輪Lの中へ配置される紙幣Bに対してヒータ95及びカッタ96とは反対側、具体的には、紙幣Bの集積方向においてヒータ95及びカッタ96とは反対側に配置されている。押印部98は、スタンプ981と、スタンプ981を上下方向に移動させる移動機構982とを有している。移動機構982がスタンプ981を上方へ移動させることによって、スタンプ981は、紙幣Bに巻き付けられたテープTに紙幣Bの集積方向から押印する。押印部98は、下ガイド部926と一体的に設けられており、下ガイド部926が上下方向に移動するときに下ガイド部926と一体的に上下方向に移動する。スタンプ981は、下ガイド部926の短手方向、即ち、テープTの幅方向において、下ガイド部926の一対の側壁926a,926aの間に配置されている。スタンプ981は、移動機構982によって、下ガイド部926の底壁926bの貫通孔926dの下方に配置された待避位置(図3の実線参照)と、底壁926bよりも上方へ突出した突出位置(図3の仮想線参照)とに切り換わる。下ガイド部926が上方に位置した状態で、スタンプ981は、移動機構982により上方へ移動させられることによって、貫通孔926dを貫通して、底壁926bよりも上方へ突出した状態となり、テープTに押印する(図13も参照)。
スタンプ981は、紙幣処理装置100の電源がオンでかつ、計数処理及び/又は結束処理を行っている最中は、待避位置に位置づけられる。これにより、ガイド部925がテープTをガイドするときに、テープTに押印してしまうことが回避される。一方、紙幣処理装置100が、計数処理及び/又は結束処理を行っていないスタンバイ状態(特に、ガイド部925がテープTをガイドしていない状態)にあるときには、スタンプ981を、待避位置に位置づけるようにしてもよいし、突出位置に位置づけるようにしてもよい。さらに、紙幣処理装置100がスタンバイ状態にあるときに、スタンプ981を待避位置に位置づけるようにした場合、例えばタッチパネル17を操作することによって、スタンプ981を突出位置に移動させたり、また、筐体12を開けて内部を開放したときに、そのことを検知して、スタンプ981を突出位置に移動させたりしてもよい。スタンプ981を突出位置に位置させれば、筐体12を開けて内部を開放したときに、スタンプ981を視認することが可能になる。これは、スタンプ981のメンテナンス性を高め、例えばスタンプ981にインクを補充したり、又は、スタンプ981を交換したりすることを容易に行うことができる。
スタンプ981はまた、紙幣処理装置100の電源がオフの状態では、押印部98のメンテナンス性を考慮して、底壁926bよりも上方へ突出した突出位置に位置づけてもよい。
結束部9の付近にはまた、紙幣の落下を検知する落下検知センサ99が配設されている。結束部9の付近では、詳細は後述するが、紙幣の束を第2搬送部8の把持ユニット81によって把持して搬送したり、その把持ユニット81が、把持している紙幣の束を持ち替えたりする動作を行う。このため、結束部9の付近では、束又は束に含まれる一部の紙幣が落下してしまう可能性がある。落下検知センサ99が紙幣の落下を検知したときに、紙幣処理装置100の処理を停止するように構成されている。
落下検知センサ99は、紙幣センサ25等と同様の構成をしており、落下した紙幣が光を遮断することによって、結束部9の付近で紙幣が落下したことを検出する。図2の例では、落下検知センサ99として、それぞれ、送信部及び受信部からなる5組の落下検知センサ99a〜99eを含んでおり、各落下検知センサ99a〜99eは、光の送信方向が互いに異なるように、配設されている。これにより、落下検知センサ99の死角をできるだけ無くすようにしている。
〈紙幣処理装置のシステム構成〉
図6に、紙幣処理装置100の概略構成を示すブロック図を示す。
紙幣処理装置100は、例えば周知のマイクロコンピュータをベースとした制御部120を備えている。制御部120は、各種の情報を記憶する記憶部1201を有している。制御部120には、前述したホッパ部2、識別部3、結束スタッカ4、非結束スタッカ5、リジェクトスタッカ6、第1搬送部7、第2搬送部8、結束部9、第3搬送部10及びタッチパネル17が、信号の送受信可能に接続されている。また、制御部120には、紙幣センサ25、第1紙幣センサ45、第2紙幣センサ46、非結束スタッカ5の紙幣の有無を検知する集積センサ52、リジェクトスタッカ6の紙幣の有無を検知する集積センサ62、通過センサ74、第1テープセンサ9210及び第2テープセンサ9211、落下検知センサ99が接続され、それらの検出信号が入力されるように構成されている。制御部120は、タッチパネル17からの入力信号及び各種センサからの検知信号等に基づいて制御信号を生成し、ホッパ部2等へ該制御信号を出力する。ホッパ部2等は、その制御信号に従って動作する。例えば、結束スタッカ4を例に挙げると、容器40の前壁部40a、ステージ41及び羽根車42が制御部120により制御される。
制御部120には、データベース1202が接続されている。データベース1202は、当該紙幣処理装置100に備えられかつ、入金処理(つまり、取引)に係る計数結果、及び、各紙幣について読み取った記番号の情報を少なくとも記憶する。記番号の情報は、その紙幣が含まれる束を特定する情報と対応づけて記憶される。束を特定する情報とは、前述したように、紙幣の束を結束するテープTに印字される情報である。データベース1202は、この紙幣処理装置100が過去に行った処理の情報も記憶するように構成されており、データベース1202は記憶部を構成する。尚、データベース1202の記憶容量に応じて、データベース1202が記憶をする範囲(例えば、過去半年分の取引内容を記憶する等)が決定される。また、紙幣処理装置100は、通信部1203を介して、上位装置1000に接続されるようになっており、上位装置1000もまた、入金処理に係る計数結果、各紙幣について読み取った記番号の情報、及び、束の情報を記憶する。上位装置1000は、紙幣処理装置100のデータベース1202よりも記憶容量が大きく、より多くの情報(つまり、より遠い過去に処理をした情報)についても記憶することが可能である。上位装置1000は、紙幣処理装置100の筐体12の外に設けられたデータベースに相当する。
〈紙幣処理装置の動作説明〉
以下、紙幣処理装置100の入金処理について説明する。入金処理においては、バラ状態の紙幣が分類され、所定のスタッカに集積され、さらには、所定の紙幣については結束される。以下では、結束対象の所定の一種類の正券紙幣を第1及び第2結束スタッカ4A,4Bに所定枚数ずつ交互に集積し、該所定枚数集積した紙幣を順次、結束部9により結束する同一種類結束処理について説明する。
紙幣処理装置100は、テラーカウンタ上であって、オペレータがテラーカウンタを挟んで顧客と正対したときにオペレータの少し左側(顧客の右側)に設置される。このとき、紙幣処理装置100は、筐体12の第1側面123が顧客の方を向くように設置される。この状態においては、筐体12の第2側面124は、オペレータの方を向いている。ただし、紙幣処理装置100はオペレータの少し左側に位置するので、顧客も第2側面124を視認することができる。
まず、オペレータは顧客から入金すべきバラ状態の紙幣を受け取り、該紙幣をホッパ部2へ載置する。このとき、バラ状態の紙幣に複数種類の紙幣が混在していたとしても、それらを分類することなく、ホッパ部2へ載置する。オペレータは、紙幣の寸法に合わせて、ガイド部22を調整する。続いて、オペレータは、タッチパネル17を操作して、紙幣の取込を開始する。尚、紙幣センサ25がホッパ部2への紙幣の載置を検知すると、紙幣処理装置100が自動的に紙幣の取込を開始するようにしてもよい。
ホッパ部2に載置された紙幣は、取込ローラ23が作動することにより1枚ずつ取込口24から、筐体12内へ取り込まれていく。取り込まれた紙幣は、第1搬送部7により搬送され、識別部3を通過する。識別部3は、通過する紙幣の紙幣種別を取得し、その紙幣種別を制御部120へ通知する。識別部3はまた、各紙幣の記番号を読み取って認識する。認識した記番号の情報は、データベース1202に記憶される。
制御部120は、紙幣の種類に応じて、紙幣に対応する搬送先を決定する。具体的には、紙幣が結束対象の所定金種の紙幣であって且つ正券紙幣であるときには、制御部120は、搬送先を結束スタッカ4(4A及び4Bの何れか一方)とする。紙幣が結束対象の所定金種の紙幣であって且つ損券紙幣であるときには、制御部120は、搬送先を第1非結束スタッカ5Aとする。紙幣が所定金種以外の金種の紙幣であるときには、制御部120は、搬送先を第2非結束スタッカ5Bとする。紙幣がその他の紙幣であるときには、制御部120は、搬送先をリジェクトスタッカ6とする。
制御部120は、紙幣が搬送先となるスタッカに搬送されるように第1搬送部7を制御する。具体的には、制御部120は、搬送先となるスタッカへ繋がる分岐路72に対応する振り分け機構73を該紙幣が主搬送路71から該分岐路72へ導かれるように制御する。制御部120は、該分岐路72の直前の通過センサ74が紙幣を検知したときに、該振り分け機構73を切り替える。そうして、紙幣をスタッカ内に搬入する。
結束スタッカ4に搬送される紙幣は、2つの結束スタッカ4のうち一方の結束スタッカ4へ搬送される。一方の結束スタッカ4に集積された紙幣の枚数が所定の結束枚数(例えば、100枚)に達すると、それ以降の紙幣は、他方の結束スタッカ4へ搬送される。ここでは、紙幣がまず第1結束スタッカ4Aへ搬送されるものとする。各第1結束スタッカ4Aにおいては、紙幣が搬送されてくると、羽根車42の回転によって、紙幣が1枚ずつ上方に重ねられていく。このとき、ステージ41上の最も上の紙幣が第2紙幣センサ46により検知されると、ステージ41は、所定量だけ下降し、第2紙幣センサ46が紙幣を検知していない状態となる。その後、紙幣がさらに積み重ねられ、第2紙幣センサ46が紙幣を検知するようになると、再びステージ41が所定量だけ下降する。この処理を繰り返すことにより、結束スタッカ4内に落下する紙幣の落下距離を一定の範囲に保つことができるので、自然落下する紙幣の落下位置及び落下したときの姿勢を一定にすることができる。
第1結束スタッカ4Aに集積された紙幣が結束枚数に達すると、制御部120は、第2搬送部8を制御し、把持ユニット81により第1結束スタッカ4A内の紙幣を把持し、該紙幣を結束部9へ搬送する。その後、制御部120は、結束部9を制御して、紙幣をテープTで結束する。
尚、第1結束スタッカ4Aに集積された紙幣が結束枚数に達すると、それ以降の紙幣は第2結束スタッカ4Bに集積される。その後、第2結束スタッカ4Bに集積された紙幣が結束枚数に達したときには、それ以降の紙幣は再び第1結束スタッカ4Aに集積されるようになる。このときまでには、第1結束スタッカ4A内の紙幣の搬出が完了しているので、第1結束スタッカ4A内は空の状態になっている。このように、2つの結束スタッカ4を設けることによって、紙幣の集積を連続して行いつつ、結束処理を行うことができる。
続いて、制御部120は、第3搬送部10を制御して、結束紙幣を投出口111から投出する。
所定金種の紙幣であって且つ損券紙幣は、第1非結束スタッカ5Aへ搬送され、第1非結束スタッカ5Aに集積される。同様に、所定金種以外の金種の紙幣は、第2非結束スタッカ5Bへ搬送され、第2非結束スタッカ5Bに集積される。リジェクト紙幣も、リジェクトスタッカ6へ搬送され、リジェクトスタッカ6に集積される。
以上の処理が、ホッパ部2に載置された紙幣が無くなるまで続けられる。ホッパ部2の紙幣の有無は、紙幣センサ25によって検知される。
ホッパ部2に載置された紙幣の処理が完了すると、リジェクト紙幣の取込及び識別を再度行う。つまり、オペレータは、リジェクト紙幣をリジェクトスタッカ6から抜き出して、ホッパ部2へ載置し、再び取込を行う。リジェクト紙幣は、何らかの理由で正常な紙幣として識別されなかった紙幣であるので、再び取込及び識別を試みる。それでも尚、リジェクト紙幣として識別される紙幣は、再びリジェクトスタッカ6に集積される。オペレータは、再び集積された紙幣を顧客に返却する。
尚、第1及び第2非結束スタッカ5A,5Bに集積された紙幣については、再度の取込を行わない。
こうして、ホッパ部2に載置された紙幣の処理とリジェクト紙幣の再処理が完了すると、同一種類結束処理が完了し、顧客から渡された入金すべき紙幣の計数及び分別が終了する。タッチパネル17には、計数された金額が表示される。オペレータは、顧客からその金額の承認を得るか、又は、その金額と顧客が記載した入金伝票に記載された金額との一致を確認すると、タッチパネル17により入金額の確定操作を行う。確定操作が行われると、取引が完了することになり、確定した入金額が上位装置1000へ通知され、入金処理が完了する。上位装置1000は、入金額の他にも、上述したように、当該紙幣処理装置100において結束処理等をした各紙幣の記番号の情報を、当該紙幣が含まれる束の情報と関連づけて記憶する。同様に、紙幣処理装置100のデータベース1202も、結束処理等をした各紙幣の記番号の情報を、当該紙幣が含まれる束の情報と関連づけて記憶する。ここで、処理の最中にデータベース1202に記憶される情報は、仮確定状態であり、取引の完了時に、記憶されている情報が、仮確定から確定に変更される。
入金処理の完了後は、オペレータは、投出部11に投出されている結束紙幣、結束スタッカ4に集積されている紙幣及び非結束スタッカ5に集積されている紙幣を取り出して所定の収納場所に収納する。
以上の処理により、複数種類の紙幣が混在し且つバラ状態であった紙幣は、所定金種の正券紙幣と、所定金種の損券紙幣と、所定金種以外の金種の紙幣と、リジェクト紙幣とに分類され、所定金種の正券紙幣については結束枚数ごとに結束された状態となる。
〈スタッカの残置運用及びバッチ設定〉
ここで、前記の例では、入金処理の完了後に、結束スタッカ4及び非結束スタッカ5に集積されている紙幣をオペレータが取り出すようにしている。つまり、1つの取引毎に、取り扱った紙幣を区別する運用としているが、これとは異なり、例えば複数の取引にまたがって、所定の結束枚数まで紙幣を集積し、結束を行うような運用も考えられる。
この紙幣処理装置100は、取引の完了時に、結束スタッカ4及び非結束スタッカ5に集積されている紙幣を取り出すような運用と、取引の完了時に、結束スタッカ4及び非結束スタッカ5に集積されている紙幣を取り出さずに、次回以降の取引において、紙幣の集積をそのまま継続する運用(つまり、残置運用)とを切り換え可能に構成されている。こうした残置運用は、結束スタッカ4のみで行う、非結束スタッカ5のみで行う、及び、結束スタッカ4及び非結束スタッカ5の双方で行うことが可能に構成され、その運用設定は、タッチパネル17による操作で行う。
また、この紙幣処理装置100では、結束スタッカ4及び/又は非結束スタッカ5において集積する枚数を、予め設定した枚数(例えば100枚)に制限するバッチ設定が可能に構成されている。バッチ設定は、結束スタッカ4のみで行う、非結束スタッカ5のみで行う、及び、結束スタッカ4及び非結束スタッカ5の双方で行う、ことが可能である。結束スタッカ4においてバッチ設定を行うときには、設定した枚数の紙幣が、結束スタッカ4に集積されたときに、その集積した紙幣を結束部9において結束するか、又は、紙幣処理装置100の動作を一時的に停止して、オペレータが、第1取出口47を通じて、集積した紙幣を取り出すことが可能である。また、非結束スタッカ5においてバッチ設定を行うときには、設定した枚数の紙幣が、非結束スタッカ5に集積されたときに、紙幣処理装置100の動作を一時的に停止して、オペレータが、第2取出口53を通じて、集積した紙幣を取り出すことが可能である。バッチ設定を行わないときには、結束スタッカ4及び/又は非結束スタッカ5には、それらのスタッカ容量(つまり、最大容量)に到達するまで紙幣が集積され、スタッカ容量に到達した時点で、紙幣処理装置100の動作が一時的に停止するか、又は、結束部9において紙幣の結束が行われる。バッチ設定もまた、タッチパネル17による操作で行う。
前述した残置運用、及び、バッチ設定は、それぞれ独立して設定が可能である。残置運用については、「結束スタッカ4のみ残置運用する」、「非結束スタッカ5のみ残置運用する」、「結束スタッカ4及び非結束スタッカ5の双方で残置運用する」及び「結束スタッカ4及び非結束スタッカ5のいずれも残置運用しない」の4通りが可能であり、バッチ設定については、「結束スタッカ4のみバッチ設定する」、「非結束スタッカ5のみバッチ設定する」、「結束スタッカ4及び非結束スタッカ5の双方でバッチ設定する」及び「結束スタッカ4及び非結束スタッカ5のいずれもバッチ設定しない」の4通りが可能である。従って、残置運用及びバッチ設定に関しては、4×4=16通りの運用設定が可能である。例えば、結束スタッカ4のみ残置運用がありかつ、結束スタッカ4及び非結束スタッカ5の双方でバッチ設定する場合は、結束スタッカ4については、1つの取引中に所定枚数に到達した時点、又は複数の取引にまたがって紙幣を集積して所定枚数に到達した時点で、紙幣処理装置100が停止、又は、結束が行われる一方、非結束スタッカ5については、1つの取引中に所定枚数に到達したときのみ、紙幣処理装置100が停止することになる。
また例えば、結束スタッカ4及び非結束スタッカ5の双方で残置運用がありかつ、結束スタッカ4のみでバッチ設定する場合は、結束スタッカ4については、1つの取引中に所定枚数に到達した時点、又は複数の取引にまたがって紙幣を集積して所定枚数に到達した時点で、紙幣処理装置100が停止、又は、結束が行われる一方、非結束スタッカ5については、1つの取引中にスタッカ容量に到達した時点、又は複数の取引にまたがって紙幣を集積してスタッカ容量に到達した時点で、紙幣処理装置100が停止することになる。
このような残置運用及びバッチ設定の組み合わせを可能にすることで、紙幣処理装置100の利便性が高まる。
紙幣処理装置100はまた、図1に示すように、非結束スタッカ5の第2取出口53には、結束スタッカ4の第1取出口47とは異なり、扉43が設けられておらず、処理の最中にオペレータは、非結束スタッカ5に集積している紙幣に触れることが可能である。そのため、前述したバッチ設定時には所定枚数に、また、バッチ設定を行っていないときにはスタッカ容量に到達する前に、オペレータが、誤って紙幣を非結束スタッカ5から抜き出してしまうことも起こり得る。
この紙幣処理装置100では、前述したように、非結束スタッカ5には、紙幣の有無を検知する集積センサ52が設けられており、制御部120は、処理の最中であって、バッチ設定時の所定枚数に到達する前、及び、バッチ設定なしの時のスタッカ容量に到達する前に、集積していた紙幣が、非結束スタッカ5から抜き取られたことを、集積センサ52によって検知したときには、処理を中止すると共に、タッチパネル17及び/又は上位装置1000に、抜き取った紙幣を元の非結束スタッカ5に戻すことをオペレータに促すメッセージを表示する。メッセージの表示と共に、警告音を発するようにしてもよい。尚、前述したように、残置運用が設定されているときには、取引が終了した後に非結束スタッカ5から紙幣を抜き取ったときにも、オペレータに対して警告を行うようにすればよい。この場合は、紙幣処理装置100の処理が中止することにはならない。
こうして、紙幣処理装置100の処理を中止することによって、オペレータは、誤って紙幣を抜き取ったことに気づき、非結束スタッカ5に紙幣を戻すことになる。非結束スタッカ5に紙幣を戻したことは、集積センサ52によって検知可能であるため、制御部120は、集積センサ52の検知結果を受けて、自動的に、処理を再開してもよい。また、集積センサ52の検知結果に加えて、オペレータがタッチパネル17等で、処理を再開する操作を行ったときに、制御部120は処理を再開するようにしてもよい。
尚、オペレータが、何らかの理由により意図的に紙幣を抜き取ることを考慮して、タッチパネル17等に、抜き取った紙幣を元の非結束スタッカ5に戻すことを促すメッセージを表示すると共に、紙幣を戻さずに、処理を再開可能とする操作ボタンを、タッチパネル17等に表示するようにしてもよい。こうすることで、オペレータは、紙幣を戻して処理を継続するか、紙幣を戻さずに処理を継続するか、を選択することが可能になる。
〈集積後の処理の詳細説明〉
以下に、紙幣が結束スタッカ4に集積されてから投出部11へ投出されるまでの処理を詳細に説明する。
−集積部から結束部までの紙幣の搬送−
結束スタッカ4において紙幣Bの集積が完了すると、第2搬送部8は、紙幣Bを結束スタッカ4から結束部9へ搬送する。図7に、第2搬送部8が紙幣Bを結束スタッカ4から抜き出した状態の図を示す。図8に、第2搬送部8が紙幣Bをテープ輪Lの側方まで搬送した状態の図を示す。
詳しくは、紙幣Bの集積が完了すると、第2搬送部8は、紙幣Bの集積が完了した結束スタッカ4まで移動し、結束スタッカ4内の紙幣Bを把持し、図7に示すように結束スタッカ4から抜き出す。ここでは、第1結束スタッカ4Aにおいて紙幣Bの集積が完了したとする。そして、第2搬送部8の把持ユニット81は、第1結束スタッカ4A内の紙幣Bを把持する。第2搬送部8は、把持した紙幣Bを第1水平方向へ第1結束スタッカ4Aから抜き出す。このとき、第2搬送部8は、紙幣Bを所定の第1位置(図7に示す位置)まで第1水平方向へ移動させる。この第1位置は、後述する紙幣Bを大テープ輪L2の中へ搬送する際の第1水平方向についての位置と一致している。
続いて、第2搬送部8は、図8に示すように、紙幣Bを所定の第2位置まで上下方向へ移動させる。この第2位置は、紙幣Bを大テープ輪L2の中へ搬送する位置である。第2位置においては、紙幣Bの長手方向を向いて見たときに、紙幣Bは大テープ輪L2の中央付近に位置している。
−テープ輪の作成−
制御部120は、第2搬送部8が紙幣Bを結束スタッカ4から第2位置まで搬送する間にテープ輪Lを作成する。図9に、テープ把持部921がテープTの先端部を把持した状態の図を示す。図10は、テープ把持部921が小テープ輪L1を作成した状態の図を示す。
まず、送り出しローラ対920は、第1テープセンサ9210がテープTの先端を検知するまでテープTを引き戻す。テープTの先端が検知されると、送り出しローラ対920がテープTを送り出す。このとき、テープ把持部921は、可動部923とベース部922との間に隙間を空けた状態で且つその隙間に送り出しローラ対920から送り出されたテープTが入り込む姿勢で待機している。テープTの先端部が可動部923とベース部922との間に入り込むと、図9に示すように、可動部923とベース部922とでテープTの先端部を把持する。可動部923は、ベース部922と共にテープTの先端部を把持した状態でロックされる。テープTの先端部は、略水平な状態でテープ把持部921に把持されている。
次に、テープ把持部921は、図9に一点鎖線の矢印で示すように、テープTの先端部を把持した状態で回転を始める。このとき、送り出しローラ対920によるテープTの送り出しは継続している。テープ把持部921は、テープTの先端を下方へ移動させるように、即ち、図9において反時計回りに回転する。
テープ把持部921が略一回転すると、図10に示すように、テープ輪Lが作成される。こうして、テープ把持部921が略一回転することにより作成されるテープ輪Lを「小テープ輪L1」と称する。テープ把持部921が把持するテープTの先端部は、小テープ輪L1の上部に位置しており、小テープ輪L1は、テープ把持部921の下方に作成される。また、小テープ輪L1は、送り出しローラ対920よりも低い位置に作成されている。
小テープ輪L1が形成されると、テープ把持部921の回転が停止する一方で、送り出しローラ対920によるテープTの送り出しは継続される。その結果、小テープ輪L1は、図10に一点鎖線の矢印で示すように、徐々に大きくなっていく。ここで、テープ把持部921が把持するテープTの先端部は、小テープ輪L1の上部に位置し、送り出しローラ対920からのテープTは小テープ輪L1の上部から供給されるので、小テープ輪L1は、下方へ膨らんでいく。テープ把持部921の下方にはガイド部925が配置されているので、テープ輪Lはやがてガイド部925と接触し、ガイド部925によりテープ輪Lの形状が規定される。最終的に送り出しローラ対920からのテープTの送り出し量が所定量に達したときには、図10に一点鎖線で示すように、ガイド部925により略長方形状に形成されたテープ輪Lが作成される。このテープ輪Lを「大テープ輪L2」と称する。大テープ輪L2は、下ガイド部926、第1側方ガイド部927及び第2側方ガイド部928に接触し、略長方形状に形成されている。それに加えて、大テープ輪L2は、第1〜第4コーナーガイド部929a〜929dに接触しており、これにより、角部が湾曲した長方形状に形成されている。
尚、制御部120は、送り出しローラ対920からのテープTの送り出し量が前記所定量になったときに第2テープセンサ9211がテープTを検知していることをもって、大テープ輪L2が作成されたことを検知する。制御部120は、テープTの送り出し量を、第1テープセンサ9210がテープTの先端を検出してからの送り出しローラ対920のステッピングモータの駆動量に基づいて求める。送り出しローラ対920からのテープTの送り出し量が前記所定量になったにもかかわらず、第2テープセンサ9211がテープTを検知していないときには、テープ輪Lの一部が内側へ撓んで、テープ輪Lがガイド部925に沿った適切な形状(即ち、大テープ輪L2)になっていない可能性がある。そこで、制御部120は、送り出しローラ対920からのテープTの送り出し量が前記所定量になったときに第2テープセンサ9211がテープTを検知していないときには、テープTを所定の引き戻し量だけ引き戻した後、再びテープTを、全送り出し量が前記所定量になるまで送り出す。そして、制御部120は、第2テープセンサ9211がテープTを検知するか否かを確認する。第2テープセンサ9211がテープTを検知していない場合には、制御部120は、前述のテープTの引き戻し及び送り出し並びにテープ検知の確認を繰り返す。
第2テープセンサ9211は、第4コーナーガイド部929dに案内されるテープTを検知するように構成されている。つまり、第2テープセンサ9211は、大テープ輪L2の中へ紙幣Bが搬送された場合に該紙幣Bよりも上方の所定の位置におけるテープTの有無を検知する。テープ輪Lの一部が内側に撓むとすれば、テープTの自重によりテープ輪Lの上部が撓む可能性が高い。つまり、第2テープセンサ9211を前述の位置に配置することによって、テープ輪Lの撓みを精度良く検知することができる。
この大テープ輪L2の作成は、図7,8に示すように、第2搬送部8が紙幣Bを結束スタッカ4から結束部9まで搬送する処理と並行して行われる。通常は(即ち、大テープ輪L2が一度のテープTの送り出しで作成された場合には)、紙幣Bが第2位置へ搬送されたときには大テープ輪L2の作成が完了している。
−テープの巻き付け−
図11に、紙幣Bの厚み方向を向いて見たときの、紙幣Bが大テープ輪L2へ搬送されて、紙幣BにテープTが巻き付けられるまで各部の動作説明図を示す。図11において、(A)は、紙幣Bが大テープ輪L2へ搬送される直前の状態であり、(B)は、紙幣Bが大テープ輪L2へ搬送された状態であり、(C)は、紙幣BにテープTが巻き付けられた状態である。図12に、クランプ部94が紙幣Bを押圧したときのガイド部925の状態を示す。
第2搬送部8は、前述の如く、図7、8に示すように、紙幣Bを前記第2位置まで搬送した後(図11(A)参照)、該紙幣Bを第2水平方向へ移動させ、大テープ輪L2の中へ進入させる。第2搬送部8は、図11(B)に示すように、紙幣Bを第2水平方向の所定の第3位置まで移動させる。この第3位置は、図例では、第2水平方向においてテープTが紙幣Bの長手方向略中央に一致する位置である。
紙幣Bが第3位置まで搬送されると共に、把持ユニット81が、紙幣の結束予定部分(後の処理でテープTが巻き付けられる部分)以外の部分を把持し直した後に、クランプ部94が紙幣Bを集積方向へ、即ち、上下方向へ両側から押圧する。詳しくは、クランプ部94の下クランプ部943,944が上方へ移動する。このとき、可動上クランプ部942は、クランプ位置に位置している。最終的に、下クランプ部943,944は紙幣Bを上クランプ部941,942へ押し付ける。上クランプ部941,942及び下クランプ部943,944は、紙幣Bの長手方向において、紙幣Bの結束予定部分の両側を上下方向から挟持する。こうして、紙幣Bは、上クランプ部941,942と下クランプ部943,944とで上下方向から圧縮される。上昇する下クランプ部943,944は、上クランプ部941,942及び下クランプ部943,944が紙幣Bを所定の厚みまで圧縮する位置で停止する。
また、下クランプ部943,944は、下ガイド部926と一体的に構成されているので、下ガイド部926も下クランプ部943,944の上昇に伴って上方へ移動する。このとき、テープリールモータ9111及びテープ送りモータ9212を戻し方向に駆動することにより、下ガイド部926の上昇に連動して、テープTを引き戻す。その結果、図12に示すように、下ガイド部926の上昇に伴って、テープ輪Lが小さくなる。それに加えて、第2側方ガイド部928も、下ガイド部926の上昇に連動して上昇する。これにより、テープ輪Lが変形できるスペースを確保することができる。つまり、下ガイド部926の上昇が、テープ輪Lが小さくなる速度に対して速すぎる場合には、テープ輪Lがガイド部925からはみ出すように変形する。このとき、第2側方ガイド部928は、テープ輪Lの側方から退避しているので、テープ輪Lは、もともと第2側方ガイド部928が位置していたスペースの方へ膨らむことができる。これにより、テープTが折れ曲がることを防止することができる。
ここで、可動上クランプ部942の第1当接部942aと第2当接部942bとの間には、第3当接部942cが設けられ、第3当接部942cは、第1及び第2当接部942a,942bよりも低い位置に位置している。また、固定上クランプ部941の第1当接部941aと第2当接部941bとの間には、テープ把持部921のベース部922が配置され、ベース部922は、第1及び第2当接部941a,941bよりも低い位置に位置している。一方、下クランプ部943,944においては、第1当接部943aと第2当接部943bとの間、及び、第1当接部944aと第2当接部944bとの間には下方に窪んだスペースが形成されている。そのため、クランプ部94により押圧された紙幣Bは、短手方向の略中央部が下方に凹んだ形状となっている。
下ガイド部926の上昇は、下クランプ部943,944の上昇と共に停止する。一方、テープリールモータ9111及びテープ送りモータ9212によるテープTの引き戻しは、下ガイド部926の上昇が停止した後も継続される。最終的に、図11(C)に示すように、テープTが紙幣Bに巻き付けられる。ここで、前述の如く、テープTは、紙幣Bに巻き付けられる直前まで下ガイド部926により幅方向の位置が規制されている。そのため、テープTは、紙幣の結束予定部分に正確に巻き付けられる。
−テープの接合、切断及び押印−
続いて、ヒータ95がテープT同士を接合すると共に、カッタ96がテープTを切断する。それに加えて、押印部98がテープTに押印する。図13に、テープTの接合、切断及び押印の説明図を示す。
テープTの紙幣Bへの巻き付けが完了すると、ヒータ95とカッタ96とは一緒に下降する。このとき、第1及び第2テープ押え991,992も、ヒータ95及びカッタ96と共に下降する。
それによって、図13に示すように、先ず第1テープ押え991がベース部922の第1凹溝922cに嵌まり、第1凹溝922cの底壁との間でテープTを挟持する。それと共に、第2テープ押え992が、可動部923との間でテープTを挟持する。このとき、ヒータ95による溶着とカッタ96による切断は行われていない。
続いて、図示は省略するが、ヒータ95は、テープTの先端部と一周したテープTとが重なり合った部分とをテープ把持部921のベース部922と共に挟み込む。詳しくは、ヒータ95は、ベース部922のうち第1凹溝922cと第2凹溝922dとの間の部分でテープTを挟持する。テープTの片面には、熱により溶けると共に、冷却することにより固まる糊が塗布されており、ヒータ95は、テープTを挟持しつつ加熱することで、重なり合ったテープT同士を溶着させる。
ヒータ95による熱溶着と並行して、カッタ96は、テープTを切断する。カッタ96は、テープTのうち、ヒータ95による溶着部分よりも上流側、即ち、溶着部分よりも送り出しローラ対920側の部分(以下、「余剰部分」という)を切断する。こうして、紙幣Bに巻き付けられたテープT同士が接合され、テープTの余剰部分が切断される。
ヒータ95が、テープTを所定時間だけ挟持して、重なり合ったテープT同士を熱溶着した後、ヒータ95はテープTから離れるが、テープTを押さえる第1及び第2テープ押え991,992は、ヒータ95がテープTから離れた後も、テープTの押さえを継続する。こうしてテープTの熱溶着後、所定の冷却時間だけ、テープTを押さえてテープTの溶着部分に負荷が加わらないようにすることで、溶けた糊が確実に固まり、テープTを確実に溶着することが可能になる。
ここで、熱溶着後に要求される冷却時間は、ヒータ95による加熱温度、テープTの周囲温度、テープの種類等によって異なる。そのため、条件に拘わらず、テープTが確実に溶着するように、冷却時間を予め十分に長くすることが考えられる。しかしながら、冷却時間を長くすることは、結束処理に要する時間が長くなってしまうという不都合がある。一方、冷却時間が短いと、テープTの溶着が不十分になってテープTが剥がれてしまう虞がある。
そこで、この紙幣処理装置100は、冷却時間を変更することが可能に構成されている。こうすることで、冷却時間を、紙幣処理装置100の使用状況に応じて最適化し、テープTの溶着を確実に行いつつも、冷却時間を可能な限り短くすることが可能になる。また、紙幣処理装置100にセットされるテープTの種類に応じて、冷却時間を最適化することも可能になる。
冷却時間の設定は、オペレータが任意の時間に設定してもよい。また、紙幣処理装置100が、冷却時間を自動的に最適化するようにしてもよい。例えば、ヒータ95の加熱温度に応じて、その加熱温度と、テープTの糊が凝固する温度との温度差に基づいて、予め設定された関数に従って冷却時間を自動的に設定するようにしてもよい(温度差が大きいほど、冷却時間は長くなる)。また、筐体12内の温度、特にヒータ95が配設箇所付近の温度を検知し、その温度に応じて冷却時間を設定してもよい。さらに、テープTの種類に応じて、冷却時間を設定してもよい。紙幣処理装置100において使用することが可能なテープTの種類が複数存在するときに、各種類のテープTに対応して冷却時間を予め設定しておいてもよい。その上で、紙幣処理装置100にセットされたテープTの種類に応じて、対応する冷却時間を設定してもよい。
さらに、前述した様々な要因を複数組み合わせて、冷却時間を自動的に設定してもよい。
また、紙幣処理装置100が、自動的に設定した冷却時間を、オペレータが適宜補正することが可能にしてもよいし、逆に、オペレータが任意で設定した冷却時間を、紙幣処理装置100が、自動的に補正するようにしてもよい。
冷却時間の設定は、紙幣処理装置100を設置するイニシャル時に設定し、それ以降は変更しない、としてもよいし、例えば定期的に(季節毎に)、冷却時間を変更してもよい。
押印部98は、ヒータ95による溶着及びカッタ96による切断と並行して、テープTに押印を行う。押印部98は、下ガイド部926と共に上昇しており、テープTの溶着及び切断時には紙幣Bの直下に位置している。送り出しローラ対920によりテープTを引き戻してテープTを紙幣Bに巻き付けた後、押印部98は、スタンプ981を上昇させる。スタンプ981は、紙幣Bに巻き付けられたテープTに当接し、該テープTに押印する。
ここで、押印部98は、テープTの幅方向位置を規制する下ガイド部926と一体的に構成されているので、スタンプ981は、テープTに対して位置決めされている。詳しくは、下ガイド部926の底壁926bの貫通孔926dを貫通し、側壁926a,926aの間においてテープTに押印する。紙幣Bの下面に巻き付けられたテープTは、側壁926a,926aによりテープ幅方向の位置が規制されているので、スタンプ981が、側壁926a,926aの間を通って上昇した先にはテープTが位置している。こうして、スタンプ981は、テープTからはみ出すことなく押印する。
また、テープTの長手方向において、スタンプ981が押印する部分に印刷部97により印字された文字又は符号が位置していたとしても、スタンプ981が押印する部分と印刷部97が印字する部分とはテープ幅方向にずれているため、スタンプ981による印字と印刷部97による印字とが重なり合うことはない。
−紙幣の排出−
テープTにより結束された結束紙幣Bは、第2搬送部8及び第3搬送部10により投出部11まで搬送される。つまり、詳細な図示は省略するが、テープTの接合、切断及び押印が完了すると、把持ユニット81が結束紙幣Bを把持する。続いて、下クランプ部943,944が下降して、クランプ部94による押圧が解除される。それに加えて、可動上クランプ部942が上昇する。その後、第2搬送部8は、結束紙幣Bを第2水平方向へ、紙幣を大テープ輪L2へ搬送したときとは反対側へ所定量だけ搬送する。
次に、把持ユニット81は、結束紙幣Bの把持を解除する。代わりに、第3搬送部10が結束紙幣Bを把持する。そうして、第3搬送部10が、結束紙幣Bを第1水平方向へ投出部11に向かって搬送する。最終的に、結束紙幣Bは、第3搬送部10により投出部11へ押し出される。
投出部11へ押し出された結束紙幣は、投出部11を介して筐体12の外部へ投出される。
〈エラー発生時の再計数の要否判断〉
前述したように、入金処理では、ホッパ部2に載置された紙幣の内、結束対象の所定金種の紙幣でかつ、正券紙幣は、結束される。その結束処理の途中でエラーが発生し、紙幣処理装置100の処理が中止したときに、筐体12内に存在している紙幣については少なくとも、再計数が必要になる。ここでいう筐体12内に存在している紙幣とは、筐体12内の搬送路上に存在している紙幣(排出可能な紙幣についてはリジェクトスタッカ6に排出され、例えばジャム紙幣等の排出不可能な紙幣は、オペレータが筐体12を開けて手で取り除く)、及び、結束スタッカ4及び非結束スタッカ5に集積されている紙幣を含む。
一方、結束が終了して、投出部11を介して筐体12の外に投出された紙幣であって、その計数結果がデータベース1202に、仮確定として記憶された紙幣は、結束処理が完了した紙幣として再計数の対象とはならない(尚、取引は完了していないため、この紙幣の計数結果は、仮確定の状態である)。ここで、結束が終了して、筐体12の外に投出されるタイミングと、計数結果がデータベース1202に、仮確定として記憶されるタイミングとは、必ずしも一致しておらず、計数結果がデータベース1202に記憶されるタイミングが、筐体12の外に束が投出されるタイミングよりも遅れる場合がある。そのため、筐体12の外に束が投出される前後のタイミングでエラーが発生したときに、筐体12の外に投出された束が、再計数の対象であるのか、又は、再計数の対象でないのかが、オペレータが判断することができない場合がある。
そこで、この紙幣処理装置100では、エラーが発生したときに、再計数が必要な束を特定することが可能な情報を、タッチパネル17及び/又は上位装置1000に表示する。具体的には、再計数が必要な束を特定する情報として、テープTに印字されている、金種、日時、連続番号等の識別記号をタッチパネル17等に表示する。オペレータは、エラー発生により処理が停止した時点で投出されている束に印字されている識別記号と、タッチパネル17等に表示されている情報とを照合することによって、再計数が必要な束を特定することが可能になる。尚、再計数が必要な束が存在しないときには、その旨をタッチパネル17等に表示すればよい。
尚、再計数が必要な束の識別記号を表示する代わりに、再計数が不要な束の識別記号をタッチパネル17等に表示するようにしてもよい。これによっても、オペレータは、再計数が必要な束を特定することが可能になる。
この構成によれば、紙幣処理装置100によって処理をしている最中にエラーが発生したときに、再計数が必要な束を確実に特定することができ、再計数が必要な紙幣について再計数をしないこと、及び、再計数が不要な紙幣について再計数をしてしまうこと、がそれぞれ防止可能となり、違算の発生を未然に回避することが可能になる。
〈落下検知センサにより落下を検知したときの復旧処理〉
前述の通り、結束部9の付近では、紙幣が落下してしまう可能性があり、結束部9の付近には紙幣の落下を検知する落下検知センサ99が配設されている。落下検知センサ99が紙幣の落下を検知したときには、紙幣処理装置100は停止する。オペレータは紙幣処理装置100の筐体12を開けて、落下している紙幣を取り除く。これにより、違算の発生を未然に回避する。
ところが、落下検知センサ99は、紙幣が落下をしても死角になる場合があり、その場合、紙幣が落下をした時点では、その落下が検知されず、その後、ふとしたはずみで、落下検知センサ99が、落下した紙幣を検出する場合がある。
また、落下検知センサ99が紙幣の落下を検知したため、オペレータが筐体12から落下している紙幣を取り除いたものの、一部の紙幣が、落下検知センサ99の死角となって残ったままになり、その後、ふとしたはずみで、落下検知センサ99が、残された紙幣を検出する場合もある。
これらの場合、紙幣が実際に落下をした時点と、落下検知センサ99が落下を検知した時点とのずれが生じ、落下した紙幣は、いつ落下をしていたかを特定することができないという不都合がある。
そこで、この紙幣処理装置100では、紙幣の落下を検知したときには、その落下紙幣がいつ処理されたのか、より具体的には、その落下紙幣が含まれるべき束(関連する束)を特定する。
図14は、落下検知センサ99による落下を検知した後の、復旧処理の手順に係るフローチャートである。先ず、スタート後のステップS1では、取引が開始(計数及び結束処理が開始)される。前述したように、ホッパ部2に載置された紙幣が筐体12内に取り込まれ、識別部3が識別をすると共に、記番号を取得する。結束対象の所定金種であって正券紙幣については、結束スタッカ4に搬送されると共に、所定枚数毎に結束処理が行われる。
ステップS2では、落下検知センサ99が紙幣の落下を検知したとする。続くステップS3では、紙幣処理装置100が停止し、復旧処理が行われる。つまり、オペレータが、筐体12を開けて、落下している紙幣を取り除く。紙幣処理装置100のタッチパネル17(及び/又は上位装置1000)には、例えば図15に示すような、再計数処理を促す画面が表示される。オペレータは、筐体12から取り除いた紙幣を、ホッパ部2に載置し、タッチパネル17等において、処理を開始するための操作を行う。筐体12から取り除いた紙幣には、筐体12内で落下していた紙幣の他にも、結束途中の紙幣や、搬送路上の紙幣であって、リジェクトスタッカ6に集積された紙幣、さらには、前述したように、結束して投出されたものの再計数が必要な束に含まれている紙幣等が含まれる。
再計数を開始すると、ステップS4において、ホッパ部2に載置された紙幣が、再び筐体12内に取り込まれて、再計数が行われる。これにより、各紙幣の記番号が再び取得される。再計数を開始することによって、落下検知センサ99が紙幣の落下を検知して紙幣処理装置100が停止をしたときに行っていた処理(つまり、取引)はキャンセルされ、再計数によって当該処理がもう一度行われることになる。
一方、図15に示す画面には、キャンセルボタンが設けられている。キャンセルボタンを選択操作したときには、再計数を行うことなく、エラー復旧処理が終了する。これは、筐体12内に落下した紙幣が存在しないにも拘わらず、落下検知センサ99が誤検知をして、紙幣処理装置100がエラー停止をしたときに、オペレータが選択をするボタンである。オペレータが、図15に示す画面においてキャンセルボタンを押したときには、落下検知センサ99が紙幣の落下を検知して紙幣処理装置100が停止をしたときに行っていた処理はキャンセルされない。紙幣が落下しておらず、処理をもう一度行う必要がないためである。
このように、この紙幣処理装置100では、落下検知センサ99が紙幣の落下を検知したときに行っていた処理に係る取引をキャンセルするか、又は、取引を継続するかを、選択可能にオペレータに提示するよう構成されている。この構成は、落下検知センサ99の誤検知を考慮しており、不要な復旧作業を省略し得る点で、ユーザの利便性が高まる。
ステップS4における再計数時に、全ての紙幣について識別部3が記番号を読み取って、再計数が正常に終了したときには、フローはステップS5に移行する。一方、ステップS4における再計数時に、識別部3が記番号の読み取ることができない紙幣が発生したときには、当該紙幣はリジェクトスタッカ6に搬送される。記番号の読み取りができない紙幣が発生したときには、オペレータに、当該紙幣の記番号を手入力するよう促す画面が、タッチパネル17等に表示される。図16は、記番号の手入力画面の例示である。この例では、リジェクトスタッカ6に搬送された枚数分だけ、記番号の入力欄が設けられている。複数枚の紙幣の記番号をまとめて入力するのではなく、紙幣一枚ずつ記番号を入力するようにしてもよい。オペレータは、手元にある紙幣の記番号を見て、画面上の各欄に記番号を入力する。オペレータは、記番号の入力が完了した後、完了ボタンを押すことになる。
完了ボタンを押すことによって、タッチパネル17には、例えば図17に示すような、「確定」と「キャンセル」とを選択可能な画面が表示される。オペレータが「確定」を選択したときには、手入力した記番号が確定し、再計数に係る紙幣全ての記番号が、識別部3により、又は、手入力により取得されることになる。フローは、ステップS5に移行する。記番号の手入力を可能にすることで、紙幣処理装置100は、記番号の認識ができない紙幣の、正確な記番号を取得することができる。
一方、オペレータが「キャンセル」を選択したときには、図16に示す画面において手入力した記番号の一部又は全部の入力をキャンセルすることが可能になる。タッチパネル17等には、例えば図18に示す画面が表示される。この例では手入力をした記番号が表示されると共に、記番号毎にチェックボックスが設けられており、入力をキャンセルする記番号については、チェックを外すよう構成されている。オペレータが当該画面において、必要に応じてチェックを外した後、完了ボタンを押せば、図17に示す画面に戻ることになる。
尚、図16に示す記番号の手入力画面において、一部又は全部の欄を空欄のままで、完了操作を行うようにしてもよい。これは、オペレータが、一部又は全部の紙幣について、記番号の手入力を行わないことになる。このように、図16又は図18に示す画面において、必要に応じて、記番号手入力をキャンセル可能にすることで、エラーの復旧をスムースに完了することが可能になる。
ステップS5では、ステップS4の再計数で取得した紙幣の内、結束対象の所定金種であって正券紙幣の記番号が、エラー停止時に処理中であった(つまり、結束部9の付近において結束途中であった)紙幣の中に含まれているか否かを、データベース1202を参照することによって、判断する。ここでは、データベース1202に記憶されている、仮確定前の情報を参照する。落下検知センサ99による紙幣の検知は、紙幣が落下したときに行われる可能性が最も高いためである。ステップS5の判定がYESのときには、ステップS6に移行して、落下した紙幣は、エラー停止時に結束途中であった紙幣の中に含まれると特定する。この場合、エラー停止時に行っていた結束処理を中止し、再計数を促す。
ここで、ステップS6では、再取得した紙幣の記番号と、データベース1202に記憶されている、結束途中の紙幣の記番号とを照合し、再取得した紙幣の記番号が、過不足無く、データベース1202に記憶されている記番号と一致するか否かを判定してもよい。こうすることで、エラー発生時に作成途中であった束と同一の束を作成することが可能になる。また、再計数を行う際に、筐体12から取り除いた紙幣以外の紙幣を、誤ってホッパ部2に載置してしまったときでも、そのことを検出することが可能になる。これは違算の発生を未然に回避する。
一方、ステップS5の判定がNOのとき、つまり、再取得した紙幣の中に、エラー発生時に作成途中であった束に含まれない紙幣が存在しているときには、ステップS7に移行する。これは、落下していた紙幣は、過去に行った処理の途中で、落下をしていた可能性がある。そこでステップS7では、データベース1202又は上位装置1000に記憶されている過去の処理データを参照して、再取得した紙幣の記番号が存在するかを検索する。過去の処理データには、データベース1202に記憶されている仮確定のデータも含まれる。ここで、検索を行う範囲は、これまでに当該紙幣処理装置100が処理を行った全範囲としてもよいが、例えば、落下検知センサ99が検知をした当日に処理をした範囲に限定してもよいし、過去1週間や、過去1ヶ月の範囲といった、所定日以降の範囲に限定してもよい。検索範囲は、予め設定により決めておいてもよいし、検索を行うときに、オペレータが検索範囲を指定するようにしてもよい。
続くステップS8において、データベース1202又は上位装置1000に記憶されている過去の処理データの中に、再取得した紙幣の記番号が存在するか否かを判定する。存在しているとき(つまり、YESのとき)にはステップS9に移行する。一方、存在していないとき(つまり、NOのとき)には、ステップS12に移行する。ステップS12では、ステップS7における検索の範囲外であり、当該紙幣の処理を行った時期を特定することができないため、管理外紙幣として別途管理をし、エラーの復旧を終了する。
ステップS9では、落下していた紙幣を処理した時期、つまり、落下していた紙幣を含む束を作成した過去の取引を特定することができる。そのときに作成された束には、実際には、当該紙幣が含まれていないことになる。そこで、ステップS10において、データベース1202及び/又は上位装置1000に記憶されている、当該束に係る計数結果を削除するか否かを問い合わせる画面を、タッチパネル17等に表示する(図示省略)。オペレータが計数結果を削除することを選択したときには、ステップS11に移行して、データベース1202及び/又は上位装置1000に記憶されている当該計数結果を削除する(又は、確定していた計数結果を、未確定に変更してもよい。未確定に変更することはキャンセルと等価である)。データベース1202及び上位装置1000には、作成した束と、その束に含まれる紙幣の記番号とが対応づけて記憶されているため、ステップS11で削除する計数結果は、1つの束単位で削除することが可能である。つまり、データベース1202等に記憶されている、確定した計数結果から削除する計数結果を最小限の範囲にすることが可能である。ステップS11で計数結果を削除することによってエラー復旧が完了する。一方、オペレータが計数結果を削除しないことを選択したときには、ステップS11に移行することなく、そのまま、エラーの復旧を終了する。
ここで、ステップS7における検索の際には、所定のルールに従った曖昧照合を行うようにしてもよい。この曖昧照合は、データベース1202等から記番号が抽出される確率を高め、それによって、落下していた紙幣が取り扱われた取引を、特定し易くする。曖昧照合は、例えば記番号における所定の桁をマスクして照合する、としてもよい。また、記番号の前方一致、後方一致、又は部分一致により照合をする、としてもよい。また、紙幣の記番号を認識するときに、全桁を認識すること以外に、所定桁数以上の認識を許容した上で、照合を行ってもよい。記番号の認識を曖昧にすることもまた、曖昧照合に含まれる。曖昧照合の結果、複数の記番号(つまり、複数の取引)が抽出されたときには、それら複数の記番号をタッチパネル17等に表示して、オペレータが所望の記番号を選択可能にしてもよい。
以上説明したように、この紙幣処理装置100では、落下検知センサ99が紙幣の落下を検知したときには、落下していた紙幣を含む、筐体12から取り除いた紙幣について記番号を再取得すると共に、その再取得した記番号と、データベース1202等に記憶している記番号とを照合することにより、取り除いた紙幣に関連する束、つまり、当該紙幣が含まれるべき束を特定することが可能になる。落下検知センサ99が紙幣の落下を検知するタイミングと、紙幣が実際に落下したタイミングとがずれる場合があるが、落下していた紙幣が関連する束を正確に特定することができるため、適切な復旧が可能になる。
尚、こうした復旧手順は、落下検知センサ99が紙幣の落下を検知したときの復旧に限らず、その他のエラーが発生した際の復旧時にも、適用が可能である。
〈リジェクト要因の管理〉
前述したように、入金取引に係る処理では、ホッパ部2に載置された紙幣が筐体12内に取り込まれて、紙幣の識別等が行われる。その際に、斜行や連鎖といった搬送異常によってリジェクトされる紙幣や、正損判定が異常である等の、搬送異常ではなく紙幣そのものの要因によってリジェクトされる紙幣が発生する場合がある。リジェクトされる紙幣は、リジェクトスタッカ6に搬送され、リジェクト紙幣の取込及び識別が再度行われる。前述した例では、リジェクト紙幣の取込及び識別を再度行い、それでも尚、リジェクト紙幣と識別された紙幣については、さらなる取込及び識別を行わずに、顧客に返却するとしている。しかしながら、紙幣処理装置100の運用としては、リジェクト紙幣が発生する毎に、取込及び識別を、何回でも繰り返すことも可能である。
各種のリジェクト要因のうち、搬送異常は、紙幣そのものに原因があるのではなく、その搬送状態に原因があるため、搬送状態を変えることによって、リジェクト紙幣と識別されなくなる可能性がある。これに対し、正損判定異常や偽券等のリジェクト要因は、紙幣そのものに原因があるため、取込及び識別を何度行っても、リジェクト紙幣と識別される可能性が高い。こうした紙幣について、取込及び識別を繰り返すことは無駄な作業であるが、オペレータは、リジェクト紙幣が発生したときに、そのリジェクト要因を認識することができないため、リジェクト紙幣の取込及び識別を繰り返してしまうことにもなる。
そこで、この紙幣処理装置100では、各紙幣の記番号を読み取っていることを利用して、リジェクト紙幣については、その記番号とリジェクト要因とを対応づけてデータベース1202に記憶すると共に、そのリジェクト判定回数をカウントするようにしている。この機能について、図19、20を参照しながら説明する。
図19は、紙幣処理装置100に取り込まれた紙幣がリジェクト紙幣であると識別され、複数回の取込及び識別が行われる例を示している。ここでは、記番号1、2、3の3枚の紙幣が紙幣処理装置100に取り込まれると共に、それぞれがリジェクト紙幣であると識別される。具体的に、1回目の取込時には、記番号1の紙幣は、斜行であるとしてリジェクト紙幣と識別され(つまり、搬送異常紙幣)、記番号2の紙幣は、それを集積するスタッカが満杯であるため、リジェクト紙幣と識別され(つまり、指定外紙幣)、記番号3の紙幣は、正損判定異常であるとしてリジェクト紙幣と識別される(つまり、異常紙幣)。
制御部120は、紙幣の記番号と、そのリジェクト要因とを対応づけて、データベース1202のリジェクト管理部(データベース1202における、予め定められた記憶領域)に記憶する。リジェクト管理部には、図20に示すように、記番号1の紙幣について、リジェクト要因としての「斜行」が対応づけられ、記番号2の紙幣について、「スタッカフル」が対応づけられ、記番号3の紙幣について、「正損判定異常」が対応づけられて記憶される。また、各リジェクト要因についてカウンタが設けられ、1回目の取込が終了した時点では、各カウンタは1となっている。
次に、2回目の取込時には、図19に示すように、記番号1の紙幣は、斜行であるとしてリジェクト紙幣と識別され、記番号2の紙幣は、スタッカフルであるとしてリジェクト紙幣と識別される。制御部120は、2回目の取込が終了した時点で、図20に示すように、データベース1202のリジェクト管理部に、記番号1の紙幣について、斜行のカウンタを+1にして、2とし、記番号2の紙幣について、スタッカフルのカウンタを+1にして、2とする。
次に、3回目の取込時には、図19に示すように、記番号1の紙幣は、連鎖であるとしてリジェクト紙幣と識別される。つまり、記番号1の紙幣については、リジェクト紙幣と識別される点は同じであるものの、そのリジェクト要因が異なる。また、記番号3の紙幣は、斜行であるとしてリジェクト紙幣と識別される。記番号3の紙幣についても、リジェクト紙幣と識別される点は同じであるものの、リジェクト要因が異なる。制御部120は、3回目の取込が終了した時点で、図20に示すように、データベース1202のリジェクト管理部に、記番号1の紙幣について、連鎖のリジェクト要因を新たに対応づけて記憶し、そのカウンタを1とし、記番号3の紙幣について、斜行のリジェクト要因を新たに対応づけて記憶し、そのカウンタを1とする。このように、同じ記番号の紙幣であっても、リジェクト要因が異なるときには、別の要因であるとして、個別にカウントを行う。
次に、4回目の取込時には、図19に示すように、記番号1の紙幣は、再び斜行であるとしてリジェクト紙幣と識別される。制御部120は、4回目の取込が終了した時点で、図20に示すように、データベース1202のリジェクト管理部に、記番号1の紙幣について、斜行のリジェクト要因のカウンタを+1にし、カウンタを3にする。
紙幣処理装置100は、リジェクト管理部のカウンタに基づいて、そのカウンタが予め設定した回数に到達したときには、タッチパネル17に、紙幣の記番号とそのリジェクト要因とを表示するようにしてもよい。図20の例で、予め設定した回数を3としたときには、記番号1の紙幣が、斜行によるリジェクトを繰り返していることを、タッチパネル17及び/又は上位装置1000に表示する。こうすることでオペレータは、リジェクト要因が搬送異常に係り、搬送の状態によっては、リジェクト紙幣とならない可能性があることを認識することができる。オペレータは、当該紙幣を取り込むときの姿勢を変える等して、リジェクト紙幣とならないようにする対策をとるが可能になる。
一方、リジェクト要因が搬送異常ではなく、例えば偽券等であることがタッチパネル17に表示されたときには、オペレータは、当該紙幣の取込を繰り返しても、リジェクト紙幣と判断される可能性が高いことを認識可能になる。そのためオペレータは、再度の取込を取りやめる等の対応をとることが可能になる。
リジェクト要因が紙幣そのものに起因しており、紙幣の取込を繰り返しても、リジェクト紙幣となる可能性が高いとオペレータが判断したときに、当該紙幣についてリジェクト紙幣となる可能性が高いことを、データベース1202に別途登録する(つまり、オペレータが手入力によって登録する)ようにしてもよい。こうして別途登録された紙幣が再度取り込まれたときには、リジェクト管理部のカウンタが所定回数とならずとも、タッチパネル17等に、その旨を表示するようにすればよい。こうすることで、リジェクト紙幣の取込を繰り返してしまうことが未然に回避される。
さらに、データベース1202のリジェクト管理部は、所定容量となるように定めておき、そこに記憶する情報量を制限してもよい。この場合、記憶容量を超えるときには、古い情報を削除しながら、新しい情報を、随時記憶するようにすればよい。
また、リジェクト管理部の情報は、1つの取引内において有効とし、新たな取引のときには、リセットするようにしてもよいし、リジェクト管理部の情報を保持しておき、異なる取引においても有効としてもよい。また、リジェクト管理部の情報を、1つの取引内においてのみ有効とするか、又は、複数の取引にまたがって有効とするかを、オペレータが選択可能にしてもよい。
また、前述したように、データベース1202に別途登録するリジェクト紙幣の情報は、
複数の取引にまたがって有効とすることが望ましいが、その登録のタイミングは、いつでも可能にしてもよい。ある記番号の紙幣について、あるリジェクト要因のカウンタが所定回数となって、その旨が、タッチパネル17等に表示されたタイミングで、当該記番号の紙幣をデータベース1202に登録可能とするだけでなく、取引が終了した後に、リジェクト管理部のデータを参照した上で、データベース1202への登録を、後から行うようにしてもよい。
〈損券の未然回収機能〉
紙幣処理装置100の利用環境下によっては、同じ紙幣が繰り返し、紙幣処理装置100で処理されることも起こり得る(例えば、限定された範囲で、紙幣を繰り返し使用するような環境下)。その場合、紙幣が何度も紙幣処理装置100内を通過することから、紙幣が傷みやすくなる。紙幣が傷んだときには、識別部3において損券と判断されなくても、ジャムの発生等のトラブルが生じる虞がある。この紙幣処理装置100は、前述の通り、処理時に取り込んだ紙幣の記番号を読み取ると共に、計数結果と共に、記番号をデータベース1202又は上位装置1000に記憶している。そこで、データベース1202等に記憶している記番号に基づいて、同じ紙幣が繰り返し、当該紙幣処理装置100を通過している(処理している)ことが判断可能である。この紙幣処理装置100では、取り込んだ紙幣の記番号を読み取ったときに、データベース1202等に記憶している、過去の処理の記番号と照合をし、同じ記番号があったときには、当該紙幣の処理回数をカウントアップするように構成されている。こうすることで、同じ紙幣が、紙幣処理装置100に処理された回数を把握することができる。
また、処理回数の上限を予め設定しておき、所定回数以上の処理が行われたと判断したときには、当該紙幣は、識別部3において正券と判定されたときでも、損券と実質的に同一であるとして、損券として集積する、又は、リジェクト紙幣として集積するようにしてもよい。その場合、タッチパネル17等に、その旨を表示することで、オペレータの注意を喚起するようにしてもよい。また、予め設定する前記処理回数の上限は、同じ紙幣が所定の期間内に処理される処理回数の上限として、設定するようにしてもよい。
こうして、損券となる前に紙幣の状態を把握して、損券となりそうな紙幣を区別することで、紙幣処理装置100のトラブル(例えばジャムの発生等)を回避することが可能になる。
尚、ここに開示する技術は、紙幣処理装置に限らず、小切手や商品券等の紙葉類を処理する紙葉類処理装置に広く適用することが可能である。
12 筐体
100 紙幣処理装置
120 制御部(復旧部)
1000 上位装置(記憶部)
1202 データベース(記憶部)
3 識別部
4 結束スタッカ(集積結束部)
9 結束部(処理部、集積結束部)
99 落下検知センサ
B 紙幣(紙葉類)

Claims (17)

  1. 紙葉類が一枚ずつ取り込まれる取込口が設けられた筐体と、
    前記紙葉類に設けられた記番号を読み取るよう構成された識別部と、
    前記識別部が読み取った記番号を記憶するよう構成された記憶部と、
    前記取込口から取り込まれた紙葉類について、前記識別部が記番号を順次、読み取ると共に、前記紙葉類に関する所定の処理を行うよう構成された処理部と、
    前記処理部が行う処理を中止すべきエラーを検知する検知部と、
    前記検知部が前記エラーを検知して前記処理を中止した後、ユーザが前記筐体から取り除いた紙葉類の記番号と、前記記憶部が記憶している記番号との照合を行うと共に、前記取り除いた紙葉類に関連する処理を行った時期を特定するよう構成された復旧部と、を備えている紙葉類処理装置。
  2. 紙葉類が一枚ずつ取り込まれる取込口が設けられた筐体と、
    前記紙葉類に設けられた記番号を読み取るよう構成された識別部と、
    前記識別部が読み取った記番号を記憶するよう構成された記憶部と、
    所定枚数の前記紙葉類を集積しかつ、結束するよう構成された集積結束部と、
    前記取込口から取り込まれた紙葉類について、前記識別部が記番号を順次、読み取った後、前記集積結束部が、前記紙葉類の束を作成する結束処理を行うよう構成された処理部と、
    前記処理部が行う前記結束処理を中止すべきエラーを検知する検知部と、
    前記検知部が前記エラーを検知して前記結束処理を中止した後、ユーザが前記筐体から取り除いた紙葉類の記番号と、前記記憶部が記憶している記番号との照合を行うことによって、前記取り除いた紙葉類に関連する前記束を特定するよう構成された復旧部と、を備えている紙葉類処理装置。
  3. 前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類の記番号を、前記識別部が読み取ることによって取得するよう構成されている請求項2に記載の紙葉類処理装置。
  4. 前記復旧部は、前記ユーザに対して、前記取り除いた紙葉類を、前記取込口を通じて前記筐体内に取り込むよう促すと共に、前記ユーザのキャンセル操作に応じて、前記識別部による記番号の読み取りを中止するよう構成されている請求項3に記載の紙葉類処理装置。
  5. 前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類の記番号を、前記ユーザが手入力することによって取得するよう構成されている請求項3又は4に記載の紙葉類処理装置。
  6. 前記復旧部は、前記識別部が記番号を読み取ることができなかった紙葉類について、前記ユーザに対し記番号の手入力を要求すると共に、要求された紙葉類の一部又は全部について、記番号の手入力をキャンセルする操作を受付可能に構成されている請求項5に記載の紙葉類処理装置。
  7. 前記復旧部は、取得した記番号と、前記記憶部が記憶している記番号との照合を、所定のルールに従った曖昧照合により行うと共に、当該曖昧照合によって複数の記番号を抽出したときには、前記ユーザに対し、複数の記番号を選択可能に提示するよう構成されている請求項2〜6のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
  8. 前記集積結束部が作成した前記束には、当該束を特定可能な識別記号が付されている請求項2〜7のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
  9. 前記記憶部は、各紙葉類の記番号と、当該紙葉類が含まれる束の情報とを対応づけて記憶しており、
    前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類の記番号が含まれる束を特定するよう構成されている請求項2〜8のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
  10. 前記処理部は、前記結束処理と共に、前記取込口から取り込まれた紙葉類の計数処理を行い、
    前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類を含む束を特定したときに、当該束について確定していた計数結果を未確定に変更すること、及び、確定のままで変更しないこと、を選択可能に、ユーザに提示するよう構成されている請求項9に記載の紙葉類処理装置。
  11. 前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類の記番号が含まれる束を特定した後で、当該束と前記取り除いた紙葉類とからなる束を再度作成するときには、前記識別部が新たに読み取った紙葉類の記番号と、前記記憶部が記憶している、当該束に含まれる紙葉類の記番号とを照合するよう構成されている請求項9又は10に記載の紙葉類処理装置。
  12. 前記検知部は、前記筐体内に設けた搬送経路から紙葉類が落下したことを検知するよう構成されている請求項2〜11のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
  13. 前記復旧部は、前記検知部が検知信号を出力した時に行っていた処理に係る取引をキャンセルするか、取引を継続するかを選択可能に、前記ユーザに提示するよう構成されている請求項12に記載の紙葉類処理装置。
  14. 前記復旧部は、前記取り除いた紙葉類の記番号が、前記検知部が検知信号を出力した時に作成中であった束に含まれるか否かを判定すると共に、含まれるときには、前記筐体内で落下していた紙葉類は当該束に含まれると特定する一方、含まれないときには、前記検知信号を出力する以前に作成をした束の記憶データにさかのぼって照合するよう構成されている請求項12又は13に記載の紙葉類処理装置。
  15. 前記復旧部は、前記エラーを検知した当日に作成した束の記憶データまでさかのぼるよう構成されている請求項14に記載の紙葉類処理装置。
  16. 前記復旧部は、前記エラーを検知した日前の所定日以降に作成した束の記憶データまでさかのぼるよう構成されている請求項14に記載の紙葉類処理装置。
  17. 前記記憶部は、前記筐体の外に設けられたデータベースを含み、
    前記復旧部は、前記データベースの記憶データを参照可能に構成されている請求項14〜16のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
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