以下に添付図面を参照して、本発明にかかる特定有価証券入金機および特定有価証券入金方法の好適な実施例を説明する。ここで、本発明において特定有価証券(以下、単に有価証券と称する)とは手形、小切手等の一般の有価証券を意味する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
図1−1は、本実施例にかかる特定有価証券入金機1および該特定有価証券入金機1が接続される現金処理機200の外観構成例を示す斜視図である。また、図1−2は、本実施例にかかる特定有価証券入金機1の概略構成を説明する図である。図1−1および図1−2に示すようにこの特定有価証券入金機1は、有価証券挿入口11と繰り出しローラ12とホッパ13とを備える取り込み部10と、搬送路20と、読み取り・認識部30と、一時保留部40と、エンドーサ50と、複数のスタッカ60と、収納ローラ61と、主制御部70と、格納部80と、修正部90と、入金処理用データ生成部100と、収納・排出選択部110と、リジェクト・排出部120と、排出ローラ121と、定形外収納部130と、表示部140と、操作部150と、通信部160と、データ処理部170とを備えている。
取り込み部10には、有価証券挿入口11から挿入された1枚または複数の有価証券がホッパ13にセットされ、セットされた有価証券が繰り出しローラ12により1枚ずつ繰り出されて特定有価証券入金機1内に取り込まれる。特定有価証券入金機1内に取り込まれた有価証券は、該特定有価証券入金機1内を搬送路20により1枚ずつ搬送される。ここで、この特定有価証券入金機1が処理対象とする有価証券は、たとえば法人小切手のような通常の定型小切手、個人小切手やキャリアエンベロップ入り小切手などの特殊小切手、約束手形や為替手形などのような定型手形、補箋付き手形やキャリアエンベロップ入り手形やキャリアエンベロップ入り補箋付き手形やキャリアエンベロップ入り付箋付き手形などのような特殊手形などが挙げられる。
読み取り・認識部30は、イメージスキャナなどの光学的文字読み取り手段を有し、入金処理対象となる有価証券の表面に記載された情報のイメージ画像を読み込んで装置内に取り込むための入力部として機能する。たとえば図2に示すように小切手180のイメージ画像を光学的に読み込んで読み取りデータとしてイメージ画像データを生成する。そして、読み取り・認識部30は、読み込んだイメージ画像データを格納部80に出力する。ここで読み取り・認識部30は、帳票の表面と裏面の両面に情報が記載されている場合には、両面のイメージ画像を読み込んで格納部80に出力する。
また、読み取り・認識部30は、例えばOCR(Optical Character Reader)などのような文字認識手段を有し、読み込んだ有価証券のイメージ画像データから文字を識別し文書に変換して認識する認識手段として機能する。読み取り・認識部30は、読み取りデータであるイメージ画像データからOCRにより文字認識し、認識データを生成し、該認識データを格納部80に出力する。また、添票を有するひとまとまりの複数の手形を処理する場合には、該添票は手形と同様に特定有価証券入金機1内に取り込まれ、読み取り・認識部30において読み取りデータとしてイメージ画像データが生成されるが、認識データの生成は行われない。上述では、説明の便宜上読み取り・認識部30に文字認識手段を有している場合を説明したが、通常は光学的文字読み取り機能と文字認識機能とをそれぞれ別個の機能部として備えた構成とされる。
一時保留部40は、読み取り・認識部30において認識データを生成した有価証券をスタッカ60収納するまで、またはリジェクト・排出部120に返却もしくは排出するまで一時的に保留する保留部である。たとえば、処理対象の有価証券が添票を有するひとまとまりの複数の手形である場合には、添票も他の手形と同様にスタッカ60収納するまで、またはリジェクト・排出部120に返却もしくは排出するまで一時的に保留する。ここで、返却とは、入金処理が正常に行えない場合に、該当する有価証券を機外に戻すことである。また、排出とは、入金処理が正常に行える場合において定形外の特殊形状の有価証券や所望の有価証券を機外に戻すことである。
この一時保留部40には、読み取り・認識部30においてイメージ画像データを生成した時点で先に一時保留部40に有価証券を保留し、その後に認識データの生成を行うことができる。これにより、大量の有価証券を取り込み、認識データの生成に時間を要する場合であっても、イメージ画像データを生成した時点で次の有価証券を取り込んで連続した処理が可能となり、効率的に入金処理を行うことができる。また、一時保留部40に有価証券を保留しておくことにより、生成した認識データの確認、修正を一括して行うことができる。
ここで、有価証券を一時的に保留する一時保留部40について説明する。図3に一時保留部40の一構成例を説明する断面図を示す。ここでは、一時保留部40をカセット構造とした場合の例を示している。このカセット301は箱形に形成され、一側面の上方位置に有価証券Pを長手方向として出入り可能とする横長スリット状の有価証券出入口302が開口されている。また、この構成例では2本のテープTA、TB(以下、2本のテープを総称してテープTと呼ぶ場合がある)を使用し、該テープTAとテープTBとの間に有価証券Pを長手方向に挟んで収納するように構成した場合を示している。テープTには、たとえば一軸延伸テープが用いられる。また、テープTの表面は、シリコン等のコーティングが施されて粘着物付着によるジャミングの発生が防止されていることが好ましい。
図3に示すように有価証券出入口302の内部直近位置には、テープTA、TBが経由するローラ303A、303Bが上下に対向して設けられている。また、この上側に設けられたローラ303Aの奥側および下側に設けられたローラ303Bの下方側には、たとえば図4に示すようにテープ用のガイドフランジが設けられたリール状を呈する第1の巻取りローラ304Aおよび第1の巻取りローラ304Bがそれぞれ第1の巻取り軸305A、第1の巻取り軸305Bにテンション付加用トルクリミッタ306A、テンション付加用トルクリミッタ306Bを介して取付けられている。また、第1の巻取りローラ304Aおよび第1の巻取りローラ304Bの近傍には、アイドラ309A、309Bが配置されている。
上記第1の巻取りローラ304A、304Bの間の略中央位置には、有価証券幅と同等またはそれ以上の長さの軸長を有する第2の巻取りローラ307が第2の巻取り軸308に支持されている。図5は、第2の巻取りローラ307への有価証券Pの収納を説明するための要部斜視図である。この第2の巻取りローラ307に巻かれたテープTA、TBは、前記のローラ303A、303B、アイドラ309A、309Bを経由して第1の巻取りローラ304A、304Bにそれぞれ導かれる。
なお、図5においてはテープTAおよびテープTBのテープ幅が有価証券幅の略1/3程度に示されているが、このテープ幅は特に限定されるものではなく、有価証券を確実にテープTAおよびテープTBにより挟み込んで収納および繰り出しができる幅であれば適宜設定可能である。なお、有価証券に印紙等が貼付されることを考慮した場合には、テープTAおよびテープTBのテープ幅は、印紙等が貼付される部分をテープTAおよびテープTBで覆うことができる幅とすることが好ましい。テープTAおよびテープTBのテープ幅をこのような幅とすることにより、印紙等の剥がれ等を防止して有価証券の収納および繰り出しを行うことができる。
図3および図5に示すように第2の巻取りローラ307の外周には、有価証券Pの有無を検知するためのセンサS1が第2の巻取りローラ307の外周面から所定の距離を隔てて配置されている。これにより、1枚の有価証券Pが第2の巻取りローラ307に巻付いていてもこれを検知することができるようになっている。
そのほかカセット301内には、図3に示すようにローラ303A、303Bと第2の巻取りローラ307との間にテープTを挟んで設けられた一対の有価証券検知用センサS2、ローラ303Aとアイドラ309Aとの間にテープTを挟んで設けられたテープTの両終端検知用センサS3が配置されている。
また、カセット301の有価証券出入口302の外部には、有価証券出入口302への有価証券Pの繰込みまたは取出しのための搬送装置310が配設されている。この搬送装置310は、たとえば上下一対のベルトまたはローラ列により構成することができる。
このように構成された一時保留部40内に有価証券を納入する場合は、図3に示すように図示しない駆動系により第2の巻取り軸308を同図において時計方向(矢印方向)に回動させる。これにより第2の巻取りローラ307は時計方向(矢印方向)に回動し、テープTが該第2の巻取りローラ307に巻き取られる。このとき第2の巻取り軸308の回転速度はテープTA、TBの巻取り速度V1 が搬送装置310の搬送速度V2 より大きくなるように設定され、有価証券Pを引き込むよう作用することにより、帳票のジャムが防止される。
また、第2の巻取りローラ307によりテープTA、TBを巻取る際、第1の巻取りローラ304A、304BはテープTの引張り作用により反時計方向に回転しようとするが、第1の巻取りローラ軸305A、305Bが反時計方向には回転しないのでテープTA、TBにテンションが発生する。そして、このテンションが所定以上になるとトルクリミッタ306A、306Bに所定以上のトルクがかかり、第1の巻取りローラ304A、304Bが反時計方向(矢印方向)に回転するようになる。その結果、テープTA、TBには常にトルクリミッタの設定トルクに応じたテンションが付与されることになる。
このようにして、収納すべき有価証券Pの収納が終了すると駆動系が停止される。また、このとき、収納された有価証券Pの枚数は有価証券検知用センサS2 によってカウントされる。そして、有価証券Pの収納指令がある毎に上記作用を繰り返して有価証券Pを収納していくが、有価証券Pの収納が進んで所定量を収納すると、テープTの終端がセンサS3 により検知され、それ以上の受収を停止する。これによりテープTの破損等を防止して、確実に帳票を収納することができる。
有価証券Pを排出する場合は、図示しない駆動系により図6に示すように第2の巻取り軸308が同図において反時計方向(矢印方向)に回動し、第2の巻取りローラ307を反時計方向(矢印方向)に回転させてテープTA、TBを巻戻していく。また、このとき、第1の巻取り軸305A、305BにはこのテープTA、TBが巻き戻される速度よりも速い巻き取り速度の動力が駆動系から与えられる。これにより、テープTA、TBの巻戻される速度よりも速い速度で第1の巻取りローラ304A、304BがテープTA、TBを巻取ろうとするので、テープTA、TBはたるむことがなくテープTA、TBにテンションが生じる。そして、そのテンションが所定以上になるとトルクリミッタ306A、306Bに所定以上のトルクがかかり、滑りを生じることになる。その結果、テープTA、TBには常にトルクリミッタ306A、306Bの設定トルクに応じたテンションが付与されることになる。
このようにして、テープTA、TBが第2の巻取りローラ307から巻戻されていくのにつれてテープTA、TB間の有価証券Pは有価証券出入口302から投出され、搬送装置310へ受け渡される。そして、排出されるべき枚数の有価証券Pが有価証券検知用センサS2 で検知されると駆動系が停止され、有価証券の一時保留部からの排出が終了する。そして、有価証券Pの排出指令がある毎に上記動作を繰り返して有価証券Pを排出していくが、有価証券Pがすべて排出されてしまうと、センサS1 が「有価証券未収納状態」を検出して、第2の巻取りローラ307に収納されている有価証券が無くなったことを制御装置側へ知らせる。この有価証券の排出時にはテープTの速度V1 と搬送装置310の搬送速度V2 の関係はV1 <V2 とされ、V2 の方が所定量だけ大きくされており、帳票のジャムを防止しながら有価証券Pを引き抜くように作用する。
上記のようなテープを用いた一時保留部40を用いることにより、有価証券の収納処理と、収納した有価証券の排出処理とを1つの機構で行うことができ、低コストかを図ることができる。また、有価証券を2本のテープに挟んだ状態で収納し、排出するため、複数の有価証券を1度に排出してしまうことを防止することができる。
図1の説明に戻って、エンドーサ50は、一時保留部40の直近の搬送路20に設けられる。エンドーサ50は、一時保留部40から排出される有価証券であって、後述するように認識データが承認されてスタッカ60に収納される有価証券、または認識データが承認されてリジェクト・排出部120に排出される有価証券に管理通番や日付等を印刷する。この管理通番は、後述する承認データである入金処理用データと有価証券とを対応付けて付与される管理番号であり、この管理通番を用いることにより、有価証券から該当する入金処理用データを特定することができ、また、入金処理用データから該当する有価証券を特定することができる。
スタッカ60は、一時保留部40に一時的に保留し、認識データが承認された有価証券を収納する収納手段である。有価証券は一時保留部40から搬送路20により搬送され、搬送路20のスタッカ60側の終端に設けられた収納ローラ61によりスタッカ60に収納される。この特定有価証券入金機1においてはスタッカ60として、スタッカ60A、スタッカ60B、スタッカ60Cの3つのスタッカを備えている。このように複数のスタッカ60A、60B、60Cを備えることにより、スタッカ毎に予め設定された所定の有価証券が仕分け収納される。なお、ここでは、3つのスタッカ60A、60B、60Cを備える場合について説明しているが、スタッカ60の数はこれに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
主制御部70は、格納部80に格納された各種プログラムに従って特定有価証券入金機1全体の処理動作を制御する。格納部80は、読み取りデータである有価証券のイメージ画像データと、有価証券の認識データと、入金処理用データと、後述するデータ処理部170において所定の処理を施されたデータ類を格納するデータ格納手段である。また、格納部80は、装置全体の処理に用いられる各種プログラム等を格納している。この特定有価証券入金機1においては、格納部80に入金処理用データが格納され、有価証券のスタッカ60への収納、またはリジェクト・排出部120への排出が終了することにより、特定有価証券入金機1における有価証券の入金処理が終了する。
ところで、小切手用のデータと手形用のデータでは、データの取り扱い方が異なる。そこで、格納部80は、たとえば小切手に関するデータを格納する小切手データファイルと、手形に関するデータを格納する手形データファイルとを有し、小切手のデータと手形のデータとを個別に管理して格納している。すなわち、格納部80は、小切手のイメージ画像データと認識データと入金処理用データとデータ処理部170において所定の処理を施されたデータ、リスト類を専用の小切手データファイルに格納している。また、格納部80は、手形のイメージ画像データと認識データと入金処理用データとデータ処理部170において所定の処理を施されたデータ、リスト類を専用の手形データファイルに格納している。これにより、入金処理用データが生成された後の処理が異なる小切手のデータと手形のデータとを確実に個別管理して、小切手の入金処理用データと手形の入金処理用データとを個別に利用することができ、後処理をスムース且つ確実に行うことができる。なお、格納部80の容量が少ない場合には、イメージ画像データは格納せずに、認識データと入金処理用データのみを格納するようにしても良い。
また、特に手形の入金処理用データは、データ処理部170において所定の形式で集計され、出票可能な状態、または外部機器へ送信可能な状態に、たとえばリストにまとめられて格納される。このような形態で保持される手形の入金処理用データは、添票、手形の現品が回収、持ち出しされ、たとえば集中センター等に搬送される際の出力データリストなどとして利用することができる。
図7に手形を集中センターや他の機関等に持ち出す際に出力される持ち出しリストの一例を示す。図7に示した持ち出しリストには、該リストの出力日、担当者、担当番号、特定有価証券入金機1の配置されている店番号および店名、有価証券の種類と処理枚数と金額を集計した集計表、およびその明細表が印刷されている。また、明細表は、有価証券入金機1においてデータ読み込み、認識、および格納した各手形の詳細な情報が記載されている。たとえば、図7に示した明細表には、通番、手形/小切手番号、金融機関、店番、口座番号、金額、帳票種類、スタッカ、持出日時、業務区分などの情報が記載されている。
ここで、通番は、処理の際に印字される管理通番である。手形/小切手番号は、手形の左上に印字されている番号であり、各手形/小切手に固有の番号である。金融機関は、手形/小切手により支払いがなされる金融機関の金融機関番号である。店番号は、手形/小切手により支払いがなされる金融機関の店毎に設定されている番号である。口座番号は、手形/小切手により支払いがなされる口座の番号、すなわち手形/小切手に記載された額面金額分が引き落とされる口座の番号である。金額は、手形/小切手により支払いがなされる金額である。上記の金融機関、店番号、口座番号、金額により、支払いがなされる口座と金額が特定される。スタッカは、手形/小切手が収納されている、または収納されていた(持出分)スタッカの番号情報である。持出日時は、有価証券入金機1から手形/小切手が持ち出された日時である。業務区分は、有価証券入金機1から取り出されてセンターへ持ち出される持ち出す業務(行為)がなされたか否か、つまり、有価証券入金機1内に手形/小切手があるか否かを示している。なお、図7に示した明細表には手形のみの情報が記載されているが、小切手データやその他のデータも含まれることもある。
また、格納部80が小切手データファイルに格納し、現金処理機200に送信する入金処理用データには、たとえば、特定有価証券入金機1における処理を担当した担当者の固有番号である担当者番号、入金処理を行う小切手の枚数や金額(小切手が自店のものであるか、または他店のものであるかの情報を含む)、小切手が特定有価証券入金機1内に収納されているか、特定有価証券入金機1外に管理されているかの情報、などの情報が含まれる。
手形の入金処理用データをこのようにして保持しておくことにより、手形に関する後処理において迅速な処理が可能となる。
修正部90は、読み取り・認識部30が認識して格納部80に格納した有価証券の認識データを確認・修正する修正手段である。認識データの確認・修正を行う場合には、該当する有価証券のイメージ画像データと認識データとを表示部140に表示させ、これらを目視で比較することで認識データの正当性の確認を行い、認識の間違いがある場合には操作部150を用いて認識データの修正を行う。
また、処理対象の有価証券が添票を含む一取引分の複数の手形である場合には、修正部90は、添票のデータと、添票を含む一取引分の複数の手形のデータを照合する。たとえば手形枚数と総金額とを照合する。
入金処理用データ生成部100は、認識データの正当性を示す承認指示に基づいて承認して入金処理用データを生成する入金処理用データ生成手段である。ここで、承認指示はたとえば後述するように「OCR結果確認」の画面において「確認完了」のボタンの選択によりなされる指示が挙げられる。収納・排出選択部110は、機内に取り込んだ有価証券を収納手段に収納する収納モードまたは機内に取り込んだ有価証券をリジェクト・排出部120に外部排出する排出モードをたとえば入力ボタンなどの操作部150での入力による情報に基づいて選択する選択手段である。
リジェクト・排出部120には、入金処理が正常に行えない場合に該当する有価証券が返却され、また、入金処理が正常に行える場合において定形外の特殊形状の有価証券や所望の有価証券が排出される。有価証券は搬送路20によりリジェクト・排出部120に搬送されるが、搬送路20のリジェクト・排出部120側の終端には排出ローラ121が設けられており、該排出ローラ121によりリジェクト・排出部120に投出される。
定形外収納部130には、リジェクト・排出部120に排出され、入金処理が正常に終了した定形外の特殊形状の有価証券が収納される。この特定有価証券入金機1においては、リジェクト・排出部120に排出された定形外の有価証券を作業者が定形外収納部130に投入する構成とされているが、搬送路20を定形外収納部130に接続して該定形外収納部130に収納する有価証券を自動搬送して収納する構成とすることも可能である。
表示部140は、特定有価証券入金機1の処理における操作画面や、読み取りデータ、認識データ、承認データなどのデータ類などを表示する。操作部150は、特定有価証券入金機1の操作において作業者が各種情報等を入力する入力手段であり、該操作部150としてキーボードを備えるが、この他にも表示部140に備えられたタッチパネル機能など用いることができる。通信部160は、外部機器との間の指示情報、データ情報などの各種情報の送受信を行う。
データ処理部170は、上述したような各種データの管理、外部出力用データの生成、リストの作成等の処理を行う。たとえば上述したような手形の入金処理用データの持ち出しリストなどもデータ処理部170において作成される。また、外部出力用データとしては個々の外部出力用データを集計した外部出力用集計データなども含まれる。これらの外部出力用データやリスト等は、たとえば手形現品を持ち出し先センター等に搬送する際に出票して手形現品に添付することにより、手形現品の管理用リストや確認用リストとして用いることができる。これにより、持ち出し業務のための専用の情報リスト等を作成する手間を省略することができる。また、手形現品を持ち出し先センター等に搬送する際に、外部出力用データをそのままたとえば持ち出し先センターなどの外部機器に送出することにより、該外部機器において出票して手形現品の管理用リストや確認用リストとして用いることができる。これにより、持ち出し業務のための専用の情報リストを作成する手間を省略することができ、作業時間の短縮を図ることができる。また、外部出力用データを外部機器において電子データとして保持し、該データの加工やデータ管理に用いることも可能である。
また、現金処理機200は、結束された100枚単位毎の束紙幣を処理する束紙幣処理部210および1枚ずつのバラ紙幣を処理するバラ紙幣処理部220で成る紙幣処理機230と、50枚単位に包装された包装硬貨を出金処理する包装硬貨出金機240と、バラ硬貨を処理するバラ硬貨処理機250とを備えて構成されている。束紙幣処理部210には、束紙幣を出金するための束紙幣出金口211、束紙幣を機外へ放出さるための機外放出口212が設けられている。また、バラ紙幣処理部220にはバラ紙幣を入金するための入金口221、バラ紙幣を出金するための出金口222が設けられ、紙幣処理機230
の上部には出金口232を有する新券出金機231が設置されている。
包装硬貨出金機240の上部には伝票や通帳等の印字を行うプリンタ241が設けられ、包装硬貨を出金する包装硬貨出金口242が設けられている。また、バラ硬貨処理機250の上部にはバラ硬貨を受入れる硬貨入金口251が設けられると共に、オペレータに案内やデータ等を表示する表示部252、IDカードを挿入して処理するカードリーダ253が設けられている。バラ硬貨処理機250の前面には、バラ硬貨を返却するための返却口255が設けられている。更に、包装硬貨出金機240およびバラ硬貨処理機250の上部には、作業者が操作する操作部としてのキーボード254が設けられている。
また、現金処理機200には、図8の機能ブロック図に示すように指示情報処理部261と、現金計数部262と、入金データ生成部263と、照合部264と、通信部265と、格納部266と、主制御部267とを備えている。指示情報処理部261は、特定有価証券入金機1に対して有価証券入金処理用データの転送指示情報と有価証券入金処理用データの格納指示情報と、有価証券入金処理用データの確認指示情報とを生成して特定有価証券入金機1に送信する。現金計数部262は、自機に投入された現金の現金計数を行って現金処理データを生成する。入金データ生成部263は、現金処理データと有価証券入金処理用データとを合算して入金データを生成する。照合部264は、入金データと入金伝票に記載された入金総額データとの照合を行う。通信部265は、特定有価証券入金機1との間でデータおよび情報の送受信を行う。格納部266は、入金伝票に記載された現金と有価証券との入金総額データおよび現金処理データと特定有価証券入金機1から転送された有価証券入金処理用データ並びに装置全体の処理に用いられる各種プログラム等を格納するデータ格納手段である。主制御部267は、格納部に格納された各種プログラムに従って現金処理機200全体の処理動作を制御する。
このように構成された現金処理機200は、自機に投入された現金の計数を行って該現金の入金データである現金処理データを生成するとともに、特定有価証券入金機1から有価証券入金処理用データを受け取り、現金処理データと有価証券入金処理用データとを用いて現金と有価証券とを合算した入金処理を行う。また、現金処理データと有価証券入金処理用データとを合算する入金処理だけではなく、有価証券入金処理用データのみでの入金処理も行うことができる。
つぎに、以上のように構成された本実施例にかかる特定有価証券入金機1の動作について、小切手、手形の入金処理を行う場合について説明する。まず、小切手として定型小切手の入金処理について説明する。図9は特定有価証券入金機1の処理手順を示すフローチャートである。また、図10〜図13は特定有価証券入金機1で入金処理中の表示部140の表示画面を示した図である。
まず、作業者は、特定有価証券入金機1の電源を投入する。電源を投入すると、表示部140にはたとえば図10に示すような「メインメニュー」の画面が表示される。作業者は、操作部150のキーボードを用いて表示画面の「1.小切手入金」のボタンを選択する。「1.小切手入金」のボタンを選択すると、表示部140の画面には図11に示すような「モード選択」の画面が表示される。
つぎに、作業者は、入金処理対象である有価証券として複数の定型小切手を有価証券挿入口11から挿入してホッパ13にセットする。そして、作業者は、操作部150のキーボードを用いて、図11に示す「モード選択」の画面において、「1.連続スキャン(収納)」のボタンを選択する。ここで、「1.連続スキャン(収納)」とは有価証券を連続的に機内に取り込み、データの読み込み、認識を行い、最後に有価証券をスタッカ60に収納するモードである。この「1.連続スキャン(収納)」モードを選択することにより、1枚ずつの入金処理ではなく、複数枚の定型小切手の入金処理を連続して行うことができ、効率的に入金処理を行うことができる。また、「2.1枚スキャン(外部排出)」とは有価証券を1枚のみ機内に取り込み、データの読み込み、認識を行い、有価証券をリジェクト・排出部120に収納するモードである。この「2.1枚スキャン(外部排出)」モードを選択することにより、利用頻度の低い特殊小切手である個人小切手についてもイメージ画像データの読み込み、認識を行ってこの特定有価証券入金機1において入金処理を行うことができ、効率的に入金処理を行うことができる。ここでは、上述したように小切手の入金処理を連続して行うので、まず、「1.連続スキャン(収納)」のボタンを選択すると、繰り出しローラ12が動作してホッパ13にセットした定型小切手を1枚ずつ特定有価証券入金機1に取り込み始める(ステップS101)。
特定有価証券入金機1内に取り込まれた定型小切手は、搬送路20に沿って搬送され、読み取り・認識部30であるイメージスキャナに搬送される。定型小切手が読み取り・認識部30に搬送されると、読み取り・認識部30(イメージスキャナ)は定型小切手の表面に記載された情報のイメージ画像データの読み込みを開始し、読み込んだイメージ画像データを格納部80に出力する。格納部80では、読み込んだイメージ画像データを格納する。ここで、格納部80は、読み込んだ小切手のイメージ画像データを、小切手に関するデータを格納する小切手データファイルに個別に管理して格納している。これにより、入金処理用データが生成された後の処理が異なる小切手のデータと手形のデータとを確実に個別管理して、小切手の入金処理用データと手形の入金処理用データとを個別に利用することができ、後処理をスムース且つ確実に行うことができる。
つぎに、格納部80に定型小切手のイメージ画像データが格納されると、読み取り・認識部30は格納部80に格納されたイメージ画像データからOCRにより文字を識別して認識データを生成し、該認識データを格納部80に出力する。格納部80ではこの認識データを格納する(ステップS102)。ここで、格納部80は、読み込んだ小切手の認識データを、小切手に関するデータを格納する小切手データファイルに個別に管理して格納している。これにより、入金処理用データが生成された後の処理が異なる小切手のデータと手形のデータとを確実に個別管理して、小切手の入金処理用データと手形の入金処理用データとを個別に利用することができ、後処理をスムース且つ確実に行うことができる。
そして、認識データの格納が終了した定型小切手は一時保留部40に搬送され、収納、保留される(ステップS103)。また、定型小切手を一時保留部40に収納すると同時に、ホッパ13にセットされた次の定型小切手の機内への取り込みを行い、全ての定型小切手を機内に取り込んで一時保留部40に保留するまで上記のステップS101〜ステップS103を繰り返す。なお、図9および上記の説明においては、説明の便宜上ステップS101〜ステップS103をステップ毎に分けて模式的に説明しているが、実際にはステップS101〜ステップS103は連続的に処理がなされる。
ホッパ13にセットされた定型小切手が全て機内に取り込まれた後に、図11に示す「モード選択」の画面において「3.OCR結果確認」のボタンを選択する。「3.OCR結果確認」のボタンを選択すると、図12に示すように「OCR結果確認」の画面のイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2とに、一時保留部40に保留している定型小切手のイメージ画像データと認識データとを表示する。
係員は、この画面において認識データの正当性の確認・修正を行う。認識データの確認は、図12に示すように「OCR結果確認」の画面でイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2との表示を目視で比較することで行う。認識データの正当性を確認した結果、認識データの間違いが認められた場合または認識されていない項目がある場合には、認識データ欄120−2の修正したい項目を選択して修正データを入力する。修正部90は、この入力に基づいて認識データの修正を行う。その後、認識データの承認指示である「確認完了」のボタンを選択し、「登録」のボタンを選択する。入金処理用データ生成部100ではこの認識データの正当性を示す承認指示に基づいて、修正された認識データを承認し、該承認された認識データは小切手入金処理用データとして生成される。これにより、入金する有価証券の明細が確定する(ステップS104)。なお、「確認完了」のボタンと「登録」のボタンとを1つのボタンとして設けても良い。そして、「確認完了」のボタンを選択して明細が確定すると、図13に示すような連動入金モードとローカル入金モードとの選択を指示する「収納処理選択」の画面が表示される。ここでは連動入金モードを選択するので、画面の指示に従って現金処理機200に移動して操作を続ける。また、「収納処理選択」の画面において連続入金モードを選択するための「連続入金」という選択ボタンを設けても良い。
なお、連動入金モードとは、特定有価証券入金機1において特定有価証券入金処理用データの生成の後、現金処理機200において該特定有価証券入金処理用データと現金処理データと合算入金し、さらに該特定有価証券入金処理用データの格納および特定有価証券の収納を行うモードである。すなわち、連動入金モードは、特定有価証券入金機1における特定有価証券の取り込みから現金処理機200における現金処理データとの合算入金、さらに特定有価証券入金処理用データの格納および特定有価証券の収納を連続処理で行うモードである。また、連動入金モードにおいては、現金処理データと有価証券入金処理用データとを合算する入金処理だけではなく、有価証券入金処理用データのみでの入金処理も連続処理で行うことができる。
一方、ローカル入金モードとは、特定有価証券入金機1において特定有価証券入金処理用データの生成の後、現金処理機200において該特定有価証券入金処理用データと現金処理データと合算入金を行わずに該特定有価証券入金処理用データの格納および特定有価証券の収納を行って特定有価証券入金機1における処理を一旦終了し、その後に現金処理機200において合算入金を行う入金モードである。すなわち、ローカル入金モードは、第1のステップで特定有価証券入金機1内での入金処理のみを終了させ、任意の時間の経過後に第2のステップとして現金処理機200における現金処理データと合算入金を行うモードである。したがって、連動入金モードとローカル入金モードとは、特定有価証券入金処理用データの格納のタイミングが異なる。
また、イメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2との表示を比較して認識データの正当性を確認した結果、認識データの正当性が確認された場合、すなわちOCRによる認識が正常に行われている場合には、認識データの修正は行わずに認識データの承認指示である「確認完了」のボタンを選択し、「登録」のボタンを選択する。入金処理用データ生成部100ではこの承認指示に基づいて、OCRにより認識された認識データを承認し、該承認された認識データから小切手入金処理用データが生成される。これにより、入金する有価証券の明細が確定する(ステップS104)。なお、「確認完了」のボタンと「登録」のボタンとを1つのボタンとして設けても良い。そして、「確認完了」のボタンを選択して明細が確定すると、上記の場合と同様に図13に示すような「収納処理選択」の画面が表示される。ここでは連動入金モードを選択するので、画面の指示に従って現金処理機200に移動して操作を続ける。
連動入金モードにより処理を続行する場合には、つぎに現金処理機200側の処理に移る。係員は現金処理機200側に移動し、カードリーダ253にIDカードを挿入して認証を得た後(ステップS201)、入金伝票に記載された現金と有価証券との入金総額データをキーボード254を用いて入力する。これにより、入金伝票に記載された現金と有価証券との入金総額データが現金処理機200に取り込まれる(ステップS202)。現金処理機200では、入金伝票の入金総額データが入力されると、指示情報処理部261において小切手入金処理用データの転送指示情報を生成し、通信部265を介して該転送指示情報を特定有価証券入金機1に送信する(ステップS203)。また、係員は現金処理機200に入金する現金を投入し、現金処理機200では現金計数部262において現金計数を行って現金処理データを生成する(ステップS204)。
特定有価証券入金機1側の処理に戻ると、特定有価証券入金機1では小切手入金処理用データの転送指示情報を受信し、該転送指示情報に従って小切手入金処理用データを現金処理機200に転送してデータ計上を行う(ステップS105)。ここで、この特定有価証券入金機1においては、小切手入金処理用データの転送指示情報の受信が連動入金モードの選択処理とされており、該転送指示情報が受信されると特定有価証券入金機1は入金モード選択部170において連動入金モードを選択して処理を継続する。
現金処理機200では、特定有価証券入金機1から転送された小切手入金処理用データを受信すると、入金データ生成部263において現金処理データと小切手入金処理用データとを合算して入金データを生成し、照合部264において該入金データと入金伝票の入金総額データとの照合を行い、一致するか否かを判断する(ステップS205)。ここで、入金データと入金伝票の入金総額データとが一致する場合は(ステップS205肯定)、指示情報処理部261において小切手入金処理用データの格納指示情報を生成して通信部265を介して特定有価証券入金機1に送信する(ステップS206)。
特定有価証券入金機1では、現金処理機200から送信された小切手入金処理用データの格納指示情報を受信して、該格納指示情報に従って小切手入金処理用データを格納部80に格納し(ステップS106)、さらに一時保留部40に保留した定型小切手にエンドーサ50で管理通番、日付等を印字して指定された所定のスタッカ60に収納する(ステップS107)。ここで、格納部80は、小切手入金処理用データを、小切手に関するデータを格納する小切手データファイルに個別に管理して格納している。これにより、入金処理用データが生成された後の処理が異なる小切手のデータと手形のデータとを確実に個別管理して、小切手の入金処理用データと手形の入金処理用データとを個別に利用することができ、後処理をスムース且つ確実に行うことができる。
以上のように、格納部80への小切手入金処理用データの格納、および一時保留部40に保留した定型小切手のスタッカ60への収納が終了することにより、特定有価証券入金機1における定型小切手の入金処理が終了する。
また、現金処理機200では、入金データを格納部266に格納することにより現金処理機200における現金と定型小切手との合算入金処理が終了する(ステップS207)。このように、特定有価証券入金機1から小切手入金処理用データを現金処理機200に送出することで、特定有価証券入金機1において小切手の現品を管理するとともに、現金処理機200において速やかに且つ確実に小切手の入金処理を行うことができる。なお、格納部266に格納された入金データは、たとえば図示しない勘定系形端末に送信される。
ここで、定型小切手を収納するスタッカ60においては、複数のスタッカ60のそれぞれを個別の小切手収納用に指定することができる。たとえば銀行においてこの特定有価証券入金機1により定型小切手の入金処理を行う場合には、スタッカ60Aを交換課行きの小切手収納用スタッカ、スタッカ60Bを集中課行きの小切手収納スタッカ、スタッカ60Cを自店保留の小切手収納用スタッカ、と3種類に分けて指定することができる。ここで、交換課行きの小切手収納用スタッカ(スタッカ60A)は、通常の小切手を収納するスタッカである。また、集中課行きの小切手収納用スタッカ(スタッカ60B)は、先日付小切手を収納するスタッカポケットである。そして、自店保留の小切手収納用スタッカ(スタッカ60C)は、上記の交換課行きの小切手収納用スタッカ(スタッカ60A)および集中課行きの小切手収納用スタッカ(スタッカ60B)に収納しない全ての小切手を収納するスタッカである。このように、複数のスタッカ60のそれぞれを個別の小切手収納用に指定することにより、入金処理した小切手を自動分類して収納することが可能である。これにより、係員の手作業による小切手の分類処理が不要となり、係員の行う作業を低減することができる。また、特定有価証券入金機1内において入金処理とともに分類処理がなされるため、効率良く小切手の入金処理と分類処理を行うことが可能である。なお、図示していないが、上記のスタッカ60の指定は表示部140や操作部150を利用して行うことができる。
また、この特定有価証券入金機1においては、取り込み部10にセットした順番で定型小切手をスタッカ60に収納することができる。取り込み部10においてはセットされた定型小切手を、上部に位置する定型小切手から順に特定有価証券入金機1内に取り込み、一時保留部40では、特定有価証券入金機1に取り込まれた順番で定型小切手を収納して一時保留し、収納した順番と逆の順番で定型小切手を排出する。そして、スタッカ60では、一時保留部40から排出された順番で定型小切手を収納する。このような処理形態を取ることにより、特定有価証券入金機1においては、取り込み部10にセットした順番で定型小切手をスタッカ60に収納することができる。また、このような処理形態を取ることにより、特定有価証券入金機1においては、取り込み部10にセットした際の表裏方向で定型小切手をスタッカ60に収納することができる。取り込み部10においては、セットされた表裏方向で定型小切手を特定有価証券入金機1内取り込み、一時保留部40では、特定有価証券入金機1に取り込み時とは逆の表裏方向で定型小切手を収納して一時保留し、収納した表裏方向で定型小切手を排出する。そして、スタッカ60では、一時保留部40からの排出時とは逆の表裏方向で定型小切手を収納する。したがって、この特定有価証券入金機1おいてはスタッカ60に収納された定型小切手の順番および表裏方向が、取り込み部10にセットした際と同一とされるため、順番の修正や表裏方向の修正といった後処理が不要である。
なお、取り込み部10において定型小切手を上部から取り込むか下部から取り込むかという取り込み順序や一時保留部40での収納順序、排出順序などは上記の組み合わせに限定されるものではない。したがって、スタッカ60に収納された定型小切手の順番および表裏方向が取り込み部10にセットした際と同一とされる組み合わせであれば適宜変更可能である。以上のような、特定有価証券入金機1の特徴は、定型小切手の入金処理に限定されるものではなく、手形等の他の有価証券を処理する場合も同様である。
一方ステップS205に戻って、照合の結果、入金データと入金伝票の入金総額データとが一致しない場合について図14を用いて説明する。照合の結果、入金データと入金伝票の入金総額データとが一致しない場合は(ステップS205否定)、指示情報処理部261が小切手入金処理用データの確認指示情報を生成して通信部265を介して特定有価証券入金機1に送信する(ステップS208)。特定有価証券入金機1では小切手入金処理用データの確認指示情報を受信すると、表示部140に図12の画面を表示し、係員に小切手入金処理用データの確認を要求する。係員は、ステップS104の場合と同様にして小切手入金処理用データが正しいか否か確認を行い(ステップS108)、小切手入金処理用データの修正が必要であるか否かを判断する(ステップS109)。
ここで、確認の結果、小切手入金処理用データが正しい場合は(ステップS109肯定)、小切手の枚数自体が足りない等の原因が考えられ、現状では入金伝票の入金総額データとの整合は取れないため、図12の画面において「排出」のボタンを選択して一時保留部40に保留した定型小切手をリジェクト・排出部120に返却し(ステップS110)、一連の入金処理が終了する。一方、確認の結果、小切手入金処理用データが正しくない場合は(ステップS109否定)、係員は、ステップS104の場合と同様にして小切手入金処理用データの修正を行い、修正した小切手入金処理用データを生成する(ステップS111)。そして、修正した小切手入金処理用データを現金処理機200に再度、転送する(ステップS112)。
現金処理機200は、修正した小切手入金処理用データを受信すると、入金データ生成部263において現金処理データと修正した小切手入金処理用データとを合算して入金データを再度生成し、照合部264において該入金データと入金伝票の入金総額データとの照合を行い、一致するか否かを判断する(ステップS209)。ここで、入金データと入金伝票の入金総額データとが一致する場合は(ステップS209肯定)、ステップS206に戻り処理が進む。一方、入金データと入金伝票の入金総額データとが一致しない場合は(ステップS209否定)、現金処理機200は、指示情報処理部261において定型小切手の返却指示情報を生成し、通信部265を介して特定有価証券入金機1に送信する。特定有価証券入金機1は、返却指示を受信すると、一時保留部40に保留した定型小切手をリジェクト・排出部120に返却し(ステップS113)、一連の入金処理が終了する。
上述したように、特定有価証券入金機1によれば、定型小切手の入金処理を行うとともに、入金処理した定型小切手を自動分類して収納し、管理することが可能である。したがって、ミスのない確実な入金処理が可能であり、作業者の手作業による定型小切手の分類処理が不要となり、作業者の行う作業を低減するとともに効率良く小切手の入金処理と分類収納処理を行うことが可能である。また、特定有価証券入金機1において小切手データファイルに個別に格納、管理している小切手入金処理用データを現金処理機200に送出することで、特定有価証券入金機1において小切手の現品を管理するとともに、現金処理機200において速やかに且つ確実に小切手の入金処理を行うことができる。したがって、効率良く且つ確実に入金処理と現品処理とを同時に行うことができる。
つぎに、定型の手形である約束手形の入金処理について説明する。図15は特定有価証券入金機1の処理手順を示すフローチャートである。まず、作業者は、特定有価証券入金機1の電源を投入する。電源を投入すると、表示部140にはたとえば図10に示すような「メインメニュー」の画面が表示される。作業者は、操作部150のキーボードを用いて表示画面の「手形回付」のボタンを選択する。「手形回付」のボタンを選択すると、表示部140の画面には図11に示すような「モード選択」の画面が表示される。
つぎに、作業者は、入金処理対象である有価証券として添票が作成されて一取引分とされた複数の約束手形を有価証券挿入口11から挿入してホッパ13にセットする。このとき、添票を一番上にしてセットする。そして、作業者は、操作部150のキーボードを用いて、図11に示す「モード選択」の画面において、「1.連続スキャン(収納)」のボタンを選択する。この「1.連続スキャン(収納)」モードを選択することにより、添票を含む一取引分の複数枚の約束手形の入金処理を連続して行い、収納することができ、効率的に入金処理を行うことができる。「1.連続スキャン(収納)」のボタンを選択すると、繰り出しローラ12が動作してホッパ13にセットした添票を特定有価証券入金機1内に取り込み始める(ステップS301)。
特定有価証券入金機1内に取り込まれた添票は、搬送路20に沿って搬送され、読み取り・認識部30であるイメージスキャナに搬送される。約束手形が読み取り・認識部30に搬送されると、読み取り・認識部30(イメージスキャナ)は添票に記載された情報のイメージ画像データの読み込みを開始し、読み込んだイメージ画像データを格納部80に出力する。格納部80では、読み込んだイメージ画像データを格納する(ステップS302)。ここで、格納部80は、読み込んだ添票のイメージ画像データを、手形に関するデータを格納する手形データファイルに個別に管理して格納している。これにより、入金処理用データが生成された後の処理が異なる小切手のデータと手形のデータとを確実に個別管理して、小切手の入金処理用データと手形の入金処理用データとを個別に利用することができ、後処理をスムース且つ確実に行うことができる。
つぎに、格納部80に添票のイメージ画像データが格納されると、添票は一時保留部40に搬送され、収納、保留される(ステップS303)。また、添票を一時保留部40に収納する動作とともに、ホッパ13にセットされた約束手形の機内への取り込みを行い(ステップS304)、読み取り・認識部30(イメージスキャナ)は約束手形に記載された情報のイメージ画像データの読み込みを開始し、読み込んだイメージ画像データを格納部80に出力する。格納部80では、読み込んだイメージ画像データを格納する(ステップS305)。格納部80は、読み込んだ約束手形のイメージ画像データを、手形に関するデータを格納する手形データファイルに個別に管理して格納している。これにより、入金処理用データが生成された後の処理が異なる小切手のデータと手形のデータとを確実に個別管理して、小切手の入金処理用データと手形の入金処理用データとを個別に利用することができ、後処理をスムース且つ確実に行うことができる。
つぎに、格納部80に約束手形のイメージ画像データが格納されると、読み取り・認識部30は格納部80に格納されたイメージ画像データからOCRにより文字を識別して認識データを生成し、該認識データを格納部80に出力する。格納部80ではこの認識データを格納する(ステップS306)。格納部80は、読み込んだ約束手形の認識データを、手形に関するデータを格納する手形データファイルに個別に管理して格納している。これにより、入金処理用データが生成された後の処理が異なる小切手のデータと手形のデータとを確実に個別管理して、小切手の入金処理用データと手形の入金処理用データとを個別に利用することができ、後処理をスムース且つ確実に行うことができる。
そして、認識データの格納が終了した約束手形は一時保留部40に搬送され、収納、保留される(ステップS307)。また、約束手形を一時保留部40に収納すると同時に、ホッパ13にセットされた次の約束手形の機内への取り込みを行い、全ての約束手形を機内に取り込んで一時保留部40に保留するまで上記のステップS304〜ステップS307を繰り返す。なお、図15および上記の説明においては、説明の便宜上ステップS301〜ステップS307をステップ毎に分けて模式的に説明しているが、実際にはステップS301〜ステップS307は連続的に処理がなされている。
ホッパ13にセットされた約束手形が全て機内に取り込まれた後に、図11に示す「モード選択」の画面において「3.OCR結果確認」のボタンを選択する。「3.OCR結果確認」のボタンを選択すると、図10に示すように「OCR結果確認」の画面のイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2欄とに、一時保留部40に保留している約束手形のイメージ画像データと認識データとを表示する(ステップS308)。
作業者は、この画面において認識データの正当性の確認・修正を行う。認識データの確認は、図12に示すような「OCR結果確認」の画面でイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2との表示を比較することで行う。図12は小切手を処理する場合の画面であるが手形を処理する場合も同様の画面を使用する。認識データの正当性を確認した結果、認識データの間違いが認められた場合または認識されていない項目がある場合には、認識データ欄120−2の修正したい項目を選択して修正データを入力する。修正部90は、この入力に基づいて認識データの修正を行う(ステップS309)。そして、全ての約束手形の認識データの確認、修正の終了後、添票と約束手形データの総計との照合が行われる(ステップS310)。照合の結果、一取引分としての認識データの正当性が確認されない場合(ステップS310否定)は、ステップS309に戻り認識データの修正を行う。各約束手形の認識データが正しいにもかかわらず照合の結果が正しくない場合は、図11に示すような「モード選択」の画面に戻り、「返却」のボタンを選択することにより、添票を含めた約束手形の全てをリジェクト・排出部120に返却して(ステップS311)、処理が終了する。図11は小切手を処理する場合の画面であるが手形を処理する場合も同様の画面を使用する。
認識データの修正の後、再度照合を行い、一取引分としての認識データの正当性が確認された場合は(ステップS310肯定)、認識データの承認指示である「確認完了」のボタンを選択し、「登録」のボタンを選択する。入金処理用データ生成部100ではこの承認指示に基づいて、修正された一取引分としての認識データを承認し、該承認された認識データは入金処理用データとして生成される(ステップS312)。なお、「確認完了」のボタンと「登録」のボタンとを1つのボタンとして設けても良い。
また、最初の照合の結果、一取引分としての認識データの正当性が確認された場合は(ステップS310肯定)、認識データの承認指示である「確認完了」のボタンを選択し、「登録」のボタンを選択する。入金処理用データ生成部100ではこの承認指示に基づいて、一取引分の認識データを承認し、該承認された認識データは入金処理用データとして生成される(ステップS312)。なお、「確認完了」のボタンと「登録」のボタンとを1つのボタンとして設けても良い。
そして、「確認完了」のボタンを選択して明細が確定すると、図13に示すような連動入金モードとローカル入金モードとの選択を指示する「収納処理選択」の画面が表示される。手形の場合は、ローカル入金モードしか選択できないので、「1.ローカル入金」のボタンを選択してIDとパスワードを入力することで、入金処理用データが作業者のIDとパスワードと関連付けられて格納部80に格納され(ステップS313)、さらに一時保留部40に保留した添票および約束手形にエンドーサ50で管理通番、日付等が印字されて指定された所定のスタッカ60に収納される(ステップS314)。ここで、格納部80は、読み込んだ約束手形の入金処理用データを、手形に関するデータを格納する手形データファイルに個別に管理して格納している。これにより、入金処理用データが生成された後の処理が異なる小切手のデータと手形のデータとを確実に個別管理して、小切手の入金処理用データと手形の入金処理用データとを個別に利用することができ、後処理をスムース且つ確実に行うことができる。また、添票および約束手形は、ホッパ13にセットされた順番および表裏方向でスタッカ60に収納される。
また、格納部80に格納された約束手形の入金処理用データは、データ処理部170により、外部出力用データの生成がなされ、たとえば図7に示したようなリストの作成等の処理が行われる。以上のように、格納部80への入金処理用データの格納、および一時保留部40に保留した添票および約束手形のスタッカ60への収納が終了することにより、特定有価証券入金機1における一取引分の約束手形の入金処理が終了する。
上述したように、特定有価証券入金機1によれば、一取引分の約束手形の入金処理を行うとともに、入金処理した約束手形を添票とともに所定のスタッカ60に自動分類して収納し、管理することが可能である。したがって、ミスのない確実な入金処理が可能であり、作業者の手作業による分類処理が不要となり、作業者の行う作業を低減するとともに効率良く約束手形の入金処理と分類収納処理を行うことが可能である。
そして、これらの外部出力用データやリスト等は、たとえば約束手形の現品を持ち出し先センター等に搬送する際に出票して手形現品に添付することにより、手形現品の管理用リストや確認用リストとして用いることが可能である。また、手形現品を持ち出し先センター等に搬送する際に、外部出力用データをそのままたとえば持ち出し先センターなどの外部機器に送出することにより、該外部機器において出票して手形現品の管理用リストや確認用リストとして用いることも可能である。このような処理を行うことにより、約束手形の持ち出し業務のための専用の情報リスト等を作成する手間を省略することができ、作業時間の短縮を図ることが可能であり、効率的な処理が可能となる。また、外部出力用データを外部機器において電子データとして保持し、該データの加工やデータ管理に用いることも可能である。
上述したように、本実施例によれば、特定有価証券を特定有価証券入金機1内に取り込み、該特定有価証券に記載されたデータを読み取って読み取りデータを生成して特定有価証券の種類毎に管理して格納部80に格納し、読み取りデータを認識して認識データを生成して特定有価証券の種類毎に管理して格納部80に格納し、認識データの正当性を承認して入金処理データを生成したのち該入金処理データを特定有価証券の種類毎に管理して格納部80に格納し、外部出力用データを生成して特定有価証券の種類毎に管理して格納部80に格納し、現金処理機200および他の外部機器とデータの送受信を行い、特定有価証券を収納するように構成したので、特定有価証券を特定有価証券入金機1内に取り込んで入金処理を行うとともに、入金処理を行った特定有価証券を収納し、管理することが可能である。これにより、手入力による入金処理が不要であるためミスのない確実な入金処理が可能であり、また手作業による特定有価証券の分類処理が不要となり、作業者の行う作業を低減することができる。また、特定有価証券入金機1内において入金処理とともに特定有価証券の分類処理がなされるため、効率良く特定有価証券の入金処理と分類処理を同時に行うことが可能であるという効果を奏する。
さらに、本実施例によれば、現品が交換所へ持ち出されるという極めて似た現品処理が行われつつも現金処理機での勘定に入る小切手の現品と、現金処理機での勘定に入らない勘定外の手形という異なる性質の2つの特定有価証券についても、現品を同一機器で管理し、且つそのデータを小切手と手形とで個別に管理し、さらに後処理に対応することができるという効果を奏する。また、特定有価証券入金機から小切手の入金処理用データを現金処理機に送出することで、特定有価証券入金機において小切手の現品を管理するとともに、現金処理機において速やかに且つ確実に小切手の入金処理ができるという効果を奏する。そして、小切手と同様に交換所に持ち出されるという現品処理を行うにもかかわらず所定の期日までは勘定処理がなされない手形については現金処理機と連動して入金処理を行わないが、手形現品を持ち出し先センター等に搬送する際に、外部出力用データを出票して手形現品に添付することにより、手形現品の管理用リストや確認用リストとして用いることができ、持ち出し業務のための専用の情報リストを作成する手間を省略することができ、作業時間の短縮を図ることができるという効果を奏する。さらに、外部出力用データを外部機器において電子データとして保持し、該データの加工やデータ管理に用いることもできるという効果を奏する。