(実施形態1)
以下では、本実施形態の凹凸検査装置10を図1ないし図5を用いて説明する。なお、図1ないし図5において同じ部材に対しては、同じ番号を付して重複する説明を省略している。
本実施形態の凹凸検査装置10は、図1(a)に示すように、被検査物TOをライン状に撮影するラインセンサカメラ1を備えている。凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1が撮影する被検査物TOのライン状の検査面10aと一致したライン状の光を照射する照明装置2を備えている。照明装置2は、ライン状の光を検査面10aに対し所定の俯角δで照射する。凹凸検査装置10は、検査面10aにおけるラインセンサカメラ1のライン状の長手方向と垂直な方向に沿ってラインセンサカメラ1と被検査物TOとを相対的に移動させる移動装置3を備えている。凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1が撮影した被検査物TOの検査面10aにおける凹凸10b(図1(b)を参照)の陰影を画像処理し凹凸10bを検知する凹凸検知部4を備えている。照明装置2は、照明装置2が照射するライン状の光がラインセンサカメラ1のライン状の長手方向から照射する平行光線BPである。
これにより、本実施形態の凹凸検査装置10は、より小型化することが可能となる。
以下、より具体的な本実施形態の凹凸検査装置10の構成について説明する。
本実施形態の凹凸検査装置10は、たとえば、フローリング材など長尺の板状の建材を被検査物TOとして、被検査物TOの表面にある突起や窪みなどの凹凸10bを検知可能なものである。すなわち、本実施形態の凹凸検査装置10は、フローリング材の外観検査などに利用することができる。
本実施形態の凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1を備えている。ラインセンサカメラ1は、被検査物TOのライン状の検査面10aを撮影可能なものである。ラインセンサカメラ1は、外部の凹凸検知部4に撮影した画像10aaのデータを出力可能に構成している。ラインセンサカメラ1は、図示していないが、複数個の受光素子がライン状に一列に並んだCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)を内蔵している。本実施形態の凹凸検査装置10では、複数個の受光素子がライン状に一列に並んだ方向が、ラインセンサカメラ1のライン状の長手方向となる。ラインセンサカメラ1は、レンズ1aを介して、上記CCDイメージセンサにより長尺の被検査物TOの短手方向に沿って被検査物TOのライン状の検査面10aを撮影可能としている。凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1のライン状の検査面10aの撮影と同期して被検査物TOを移動させる移動装置3を備えている。移動装置3は、たとえば、一対の搬送ローラ31,31と、搬送ローラ31の回転に伴って被検査物TOを搬送可能に移動する搬送ベルト32とを備えた構成とすることができる。本実施形態の凹凸検査装置10では、移動装置3は、搬送ローラ31の回転速度を制御して搬送ローラ31を回動可能な駆動モータ(図示していない)を備えている。
移動装置3は、ラインセンサカメラ1が撮影するライン状の検査面10aと垂直な方向(図1の白抜きの矢印を参照)に沿って、被検査物TOを所定の移動速度で搬送可能に構成している。凹凸検査装置10は、移動装置3が所定の距離だけ被検査物TOを移動させるごとに、ラインセンサカメラ1が被検査物TOを撮影する。凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1のライン状の検査面10aの撮影と、移動装置3による被検査物TOの移動とを同期させることにより、長尺の被検査物TO全域の画像10aaを得ることが可能となる。凹凸検査装置10は、被検査物TOの表面にある凹凸10bを検知する凹凸検知部4を備えている。凹凸検知部4は、ラインセンサカメラ1が撮影した検査面10aに基づく画像10aaのデータを画像処理する。
本実施形態の凹凸検査装置10では、被検査物TOの検査面10aを撮影できるように、板状の被検査物TOの表面に対して法線方向にラインセンサカメラ1を配置している。凹凸検査装置10は、図示していない支持体がラインセンサカメラ1を支持している。支持体は、被検査物TOの検査面10aに対して、検査面10aの法線方向にラインセンサカメラ1を移動できるように構成している。すなわち、支持体は、ラインセンサカメラ1と被検査物TOとの距離を調整することができるように、ラインセンサカメラ1を支持している。図1(a)に示す凹凸検査装置10では、ラインセンサカメラ1が板状の被検査物TOの上面側(図1の紙面の上側)から下向きに撮影するように配置している。
本実施形態の凹凸検査装置10は、被検査物TOの検査面10aに対して、平行光線BPを所定の俯角δで照射する照明装置2を備えている。照明装置2は、ラインセンサカメラ1が撮影するライン状の検査面10aを平行光線BPで照射可能としている。照明装置2は、図2に示すように、光源として、レーザ発振器21たるレーザダイオードを備えている。レーザダイオードは、たとえば、発光層にAlInGaPなどの半導体材料を用いたレーザダイオードを利用することができる。照明装置2は、レーザ発振器21から放射される光を平行光線に変換するコリメータレンズ22を備えている。コリメータレンズ22は、凹レンズ22aと、両凸レンズ22bとを備えている。また、照明装置2は、コリメータレンズ22からの平行光線を扇状のライン光に変換するロッドレンズ23と、ロッドレンズ23からの扇状のライン光をライン状の平行光線BPに変換するシリンドリカルレンズ24とを備えている。本実施形態の凹凸検査装置10では、照明装置2は、シリンドリカルレンズ24を対物レンズとして用いている。
照明装置2は、ラインセンサカメラ1が撮影する被検査物TOのライン状の検査面10aと一致するように、ラインセンサカメラ1のライン状の長手方向から平行光線BPを照射する。本実施形態の凹凸検査装置10では、正面視において、ラインセンサカメラ1のライン状の長手方向であって、移動装置3と重ならないように照明装置2を配置している(図3を参照)。凹凸検査装置10は、図示していない保持部が、照明装置2を保持している。凹凸検査装置10は、被検査物TOの検査面10aに対し所定の俯角δを維持するように、保持部が照明装置2の角度を調整して照明装置2を保持している。
本実施形態の凹凸検査装置10は、照明装置2が被検査物TOの検査面10aに対し所定の俯角δでライン状の光を照射する。凹凸検査装置10は、照明装置2からのライン状の平行光線BPを、ラインセンサカメラ1の視野と一致させている。本実施形態の凹凸検査装置10は、平行光線BPを水平な被検査物TOの検査面10aに照射できるように、水平方向から所定の俯角δだけ鉛直方向の下方向に向けて照明装置2を配設している。凹凸検査装置10は、照明装置2が被検査物TOの検査面10aに対して所定の俯角δで平行光線BPを照射し、ラインセンサカメラ1が被検査物TOの表面を法線方向から撮影している。被検査物TOでは、照明装置2が被検査物TOの検査面10aに対して所定の俯角δで平行光線BPを照射しているので、たとえば、凹凸10bとして窪みがある場合、窪みの照明装置2側において照明装置2からの平行光線BPが届かず影になる傾向にある。
また、被検査物TOでは、照明装置2が被検査物TOの検査面10aに対して所定の俯角δで平行光線BPを照射しているので、窪みの照明装置2と反対側の面において平行光線BPが反射する反射光の光量が多くなる傾向にある。したがって、凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1と照明装置2とを用いて、被検査物TOの凹凸10bにより反射光の光量が大きく異なる画像10aaを取得することが可能となる。凹凸検査装置10では、ラインセンサカメラ1が撮影した画像10aaのデータを凹凸検知部4の画像データ記憶装置41に転送する。画像データ記憶装置41は、画像10aaのデータを記憶する。凹凸検査装置10は、画像処理装置42が画像データ記憶装置41に記憶された画像10aaのデータに対しパターンマッチング処理を行うことにより、反射光の光量が大きく異なる部位を検出する。凹凸検査装置10は、反射光の光量が大きく異なる部位を検出することにより、被検査物TOの検査面10aにおける凹凸10bを検知することができる。
凹凸検知部4は、たとえば、画像データ記憶装置41に記憶されたライン毎の撮影信号に基づいて、画像処理装置42が検査する画像10aaを生成する。凹凸検査装置10は、検査する画像10aaの全画素について、各画素の出力値と予め閾値データ記憶装置43に記憶しておいた第1閾値とを比較して、第1閾値よりも出力値が低い画素の集まりを低光出力領域とする。凹凸検査装置10は、検査する画像10aaの全画素について、各画素の出力値と予め閾値データ記憶装置43に記憶しておいた第2閾値とを比較して、第2閾値よりも出力値が高い画素の集まりを高光出力領域とする。なお、第2閾値は、第1閾値よりも所定値だけ値を大きく設定している。凹凸検査装置10は、検査する画像10aaの全画素について、低光出力領域や高光出力領域以外の領域を正常部として抽出する。次に、本実施形態の凹凸検査装置10は、各高光出力領域と各低光出力領域とのうち、高光出力領域と低光出力領域とが連続して存在する領域を凹凸10bとして検知することができる。
凹凸検査装置10は、検知した凹凸10bの平面視の寸法を、予め閾値データ記憶装置43に記憶させている被検査物TOの良否判定の基準値となる凹凸10bの寸法と照合することにより、凹凸10bの検査判定を行うことができる。凹凸検査装置10は、凹凸10bの検査判定の結果、たとえば、凹凸10bの寸法が上記基準値よりも大きく被検査物TOたるフローリング材が傷物の不良品であると判定すれば、不良品のフローリング材を検査済みのフローリング材から分別すればよい。
以下、本実施形態の凹凸検査装置10と、比較のための凹凸検査装置50とを比べて説明する。
本実施形態の凹凸検査装置10では、照明装置2がライン状の平行光線BPをラインセンサカメラ1のライン状の検査面10a全体に照射して、移動装置3により移動する被検査物TOの全面を撮影する。凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1が撮影する被検査物TOのライン状の検査面10aと一致したライン状の光を照明装置2が照射している。言い換えれば、凹凸検査装置10は、照明装置2から照射する平行光線BPがライン状をしており、ライン状の平行光線BPがラインセンサカメラ1の視野がなす面と一致している。
ところで、凹凸検査装置10では、被検査物TOの移動中における搬送ベルト32の振動などにより、搬送ベルト32上の被検査物TOが上下に変動する場合がある(図3および図5を参照)。凹凸検査装置10は、被検査物TOが所定の基準となる基準面H21に対して、法線方向の上側の上側面H22まで変動する場合がある。凹凸検査装置10は、被検査物TOが基準面H21に対して、法線方向の下側の下側面H23まで変動する場合がある。凹凸検査装置10は、被検査物TOの移動中に、被検査物TOが上側面H22や下側面H23まで上下に変動しても、ラインセンサカメラ1のライン状の検査面10aを撮影できるように、照明装置2からライン状の平行光線BPを照射する必要がある。
図3に示す凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1が撮影可能なライン状の視野の大きさ(以下、視野幅ともいう)をWとし、水平に配置した被検査物TOの法線方向に沿った上下方向の変動幅を2dとし、照明装置2が被検査物TOを照射するのに必要なライン状の平行光線BPのライン長をW1とする場合、ライン長W1は次式(1)で表すことができる。
凹凸検査装置10は、照明装置2が照射する平行光線BPのライン幅をt1とし、ラインセンサカメラ1の画素分解能をrとすると、ライン幅t1がラインセンサカメラ1のライン状の長手方向と垂直な方向における画素分解能rより大きいことが好ましい(図4を参照)。
なお、照明装置2が照射する平行光線BPのライン幅t1とは、平行光線BPのライン状の長手方向と垂直な方向の大きさをいう。画素分解能rは、ラインセンサカメラ1における受光素子の数と、ラインセンサカメラ1が撮影するライン状の長手方向の大きさ(以下、視野幅Wともいう)とで決定することができる。凹凸検査装置10は、n個の受光素子を備えたn画素のラインセンサカメラ1で視野幅Wを撮影し、正方格子状の画像10aaを取得しようとする場合、ライン幅t1は次式(2)に示す通りとなる。なお、正方格子状の画像10aaとは、ラインセンサカメラ1のライン状の長手方向とライン状の長手方向に垂直な方向との画素分解能が略同一である画像をいう。
本実施形態の凹凸検査装置10では、たとえば、視野幅Wを300mmとし、被検査物TOの上下の変動幅2dを6mmとし、平行光線BPの俯角δを3度とし、ラインセンサカメラ1の画素数を2000画素として構成することができる。本実施形態の凹凸検査装置10は、上述の寸法の場合、式(1)および式(2)により、凹凸検査装置10に要求される平行光線BPのライン長W1とライン幅t1とは、ライン長W1が21.7mmで、ライン幅t1が0.15mmとなる。そのため、本実施形態の凹凸検査装置10では、被検査物TO上にできる光芒の面積をS1(図示していない)とすると、面積S1が(W1/sinδ)×t1=77.7mm2となる。
次に、本実施形態の凹凸検査装置10と比較する凹凸検査装置50を、図6ないし図9を用いて説明する。
図6に示す凹凸検査装置50は、ラインセンサカメラ1が撮影する被検査物TOのライン状の検査面10a全体を照射する照明装置52を備えている。凹凸検査装置50は、ラインセンサカメラ1のライン状の長手方向と垂直な方向から被検査物TOにライン状の平行光線BPを照射する。凹凸検査装置50は、照明装置52が被検査物TOにおける検査面10aを照射するのに必要な平行光線BPのライン長をW2とすると、平行光線BPのライン長W2を視野幅W以上とする必要がある(図7を参照)。すなわち、本実施形態と比較のために示す凹凸検査装置50では、照明装置52が被検査物TOを照射するのに必要な平行光線BPのライン長W2と、ラインセンサカメラ1が撮影する視野幅Wとの関係を次式(3)で表すことができる。
凹凸検査装置50では、本実施形態の凹凸検査装置10と同様に、被検査物TOの移動中における搬送ベルト32の振動などにより、搬送ベルト32上の被検査物TOが上下に変動する場合がある(図8および図9を参照)。凹凸検査装置50は、被検査物TOが所定の基準となる基準面H51に対して、法線方向の上側の上側面H52まで変動する場合がある。凹凸検査装置50は、被検査物TOが基準面H51に対して、法線方向の下側の下側面H53まで変動する場合がある。凹凸検査装置50は、照明装置52が被検査物TOの長手方向に沿って、水平な検査面10aに対して斜めから所定の俯角θで平行光線BPを照射している。凹凸検査装置50では、図9に示すように、被検査物TOの上下の変動に伴い被検査物TOにおいて、ラインセンサカメラ1が撮影する被検査物TOのライン状の検査面10aと、照明装置52が照射するライン状の平行光線BPとが一致しなくなる虞れがある。そのため、凹凸検査装置50は、ラインセンサカメラ1のライン状の長手方向と垂直な方向が被検査物TOの上下の変動幅2dを超えるような大きさの平行光線BPを照射する必要がある。凹凸検査装置50は、照明装置52がラインセンサカメラ1のライン状の長手方向と垂直な方向に光を照射する平行光線BPのライン幅をt2(図8を参照)とすると、ライン幅t2と被検査物TOの上下方向の変動幅2dとの関係は、次式(4)で表すことができる。
凹凸検査装置50では、上述の凹凸検査装置10と同じ、視野幅Wを300mm、変動幅2dを6mm、俯角θを3度、画素数を2000画素として構成する場合、式(3)および式(4)より、ライン長W2に300mm、ライン幅t2に6mmが必要となる。そのため、凹凸検査装置50は、被検査物TO上にできる光芒の面積をS2(図示していない)とすると、面積S2がW2×t2/sinδ=34.393mm2となる。
したがって、凹凸検査装置50では、本実施形態の凹凸検査装置10と同じ光出力を得るために、凹凸検査装置10の照明装置2に対し、照明装置52から443倍の光出力を出力させる必要がある。本実施形態の凹凸検査装置10が、たとえば、照明装置2の光源に出力10mWのレーザ発振器21を用いる場合、凹凸検査装置50は、検査面10aにおいて照明装置2と同じ光出力を得ようとすると、照明装置52に5W級の大出力のレーザ発振器が必要となる。ここでは、凹凸検査装置50は、レンズ等の光学素子の光損失が本実施形態の凹凸検査装置10と同じと仮定している。しかしながら、凹凸検査装置50は、大出力のレーザ発振器を用いる場合、発光点が大きくなるため実際には光損失がより大きくなり、照明装置52のレーザ発振器に必要な出力もさらに大きくなる傾向にある。また、凹凸検査装置50では、レーザ発振器が大出力になるとレーザ発振器自体の発熱により、レーザ発振器が焼損する虞もある。凹凸検査装置50は、レーザ発振器が焼損することを抑制するため、レーザ発振器を冷却するペルチェ素子などを利用した冷却装置(図示していない)が必要となる場合もある。凹凸検査装置50は、照明装置52のレーザ発振器に冷却装置を設けると、照明装置52の構造が複雑となる。凹凸検査装置50は、照明装置52のレーザ発振器に冷却装置を設けると、照明装置52を小型化することが難しくなる傾向にある。また、大出力のレーザ発振器は、低出力のレーザ発振器と比較して、寿命が短い傾向にある。そのため、凹凸検査装置50は、照明装置52に大出力のレーザ発振器を用いると、凹凸検査装置50の保守点検の頻度を高める必要もある。さらに、凹凸検査装置50では、大出力のレーザ発振器を使用する場合、出力が大きい分だけ取扱が難しくなる傾向もある。
凹凸検査装置50では、本実施形態の凹凸検査装置10の照明装置2と同様に、ライン状の平行光線BPを生成するため、対物レンズとなるシリンドリカルレンズ(図示していない)を備えた構成とすることができる。凹凸検査装置50では、シリンドリカルレンズを、ラインセンサカメラ1の視野幅W以上の大きさとする必要がある。シリンドリカルレンズは、シリンドリカルレンズを大きくするほど材料費が高くなる。シリンドリカルレンズは、シリンドリカルレンズを大きくするほどレンズ加工に高い精度が必要となる傾向にある。そのため、シリンドリカルレンズは、均一な光学特性を確保したまま大きなシリンドリカルレンズを作ることが難しい傾向にある。また、シリンドリカルレンズは、大径のレンズとするほど収差も大きくなり、非球面化が必要となる。シリンドリカルレンズは、シリンドリカルレンズの大きさが大きくなるにつれ、レンズの製造コストが等比級数的に上昇する傾向にある。そのため、凹凸検査装置50では、被検査物TOの大きさに合わせて、視野幅Wを大きくしようとすると、照明装置52の製造コストが高くなる傾向にある。
これに対して、本実施形態の凹凸検査装置10は、照明装置2から照射するライン状の光の長手方向と、ラインセンサカメラ1のライン状の視野とを同一の方向としている。言い換えれば、本実施形態の凹凸検査装置10は、照明装置2が、ラインセンサカメラ1が撮影する被検査物TOのライン状の検査面10aと一致したライン状の光を、ラインセンサカメラ1のライン状の長手方向から照射する。本実施形態の凹凸検査装置10は、平行光線BPのライン長W1自体が短くても、照明装置2がライン状の平行光線BPを検査面10aに対し浅い俯角δで照射することにより、被検査物TOの検査面10a上で長く延びてラインセンサカメラ1の視野幅Wに対応することが可能となる(図3を参照)。また、凹凸検査装置10は、ライン長W1を視野幅Wよりも大きくすることにより、被検査物TOが上下に変動しても被検査物TOの変動幅2dに対応することが可能となる。したがって、本実施形態の凹凸検査装置10は、凹凸検査装置50における平行光線BPのライン幅t2と比較して、照明装置2から照射する平行光線BPのライン幅t1をより狭くすることが可能となる。これによって、本実施形態の凹凸検査装置10は、凹凸検査装置50と比較して、より小さい出力のレーザ発振器21を用いて同等の照度を得ることが可能となる。本実施形態の凹凸検査装置10は、凹凸検査装置50と比較して、低出力のレーザ発振器21を用いることにより、小型化や低コスト化を図ることも可能となる。
本実施形態の凹凸検査装置10は、照明装置2からのライン状の光がラインセンサカメラ1が撮影する被検査物TOのライン状の検査面10aと一致している。本実施形態の凹凸検査装置10は、平行光線BPのライン幅t1が、凹凸検査装置50の照明装置52から照射される平行光線BPのライン幅t2と比較して狭くてよく、照明装置2の出力も低くすることが可能となる。また、本実施形態の凹凸検査装置10は、照明装置2が照射する平行光線BPをラインセンサカメラ1のライン状の長手方向から所定の俯角δで照射している。本実施形態の凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1のライン状の長手方向から所定の俯角δで平行光線BPを照射することにより、ライン状の平行光線BPが被検査物TOの検査面10aに対して長く伸びて照射する。本実施形態の凹凸検査装置10は、平行光線BPのライン長W1を、凹凸検査装置50の照明装置52から照射された平行光線BPのライン長W2と比較して短くできるため、照明装置2の対物レンズを構成するシリンドリカルレンズ24を小さくすることが可能となる。
ところで、本実施形態の凹凸検査装置10では、たとえば、木材や意匠を印刷した板材などを被検査物TOとして凹凸10bの検知に用いる場合もある。凹凸検査装置10は、検査面10aに模様を有する被検査物TOを検査の対象とする場合、被検査物TOの検査面10aの模様が凹凸10bの検査に影響することを抑えることが好ましい。本実施形態の凹凸検査装置10は、被検査物TOの検査面10aの凹凸10bによって生じる反射光を主として検知できれば、凹凸10bの検知を比較的に精度よく行うことが可能となる。
そのため、本実施形態の凹凸検査装置10では、ラインセンサカメラ1と照明装置2とは、ラインセンサカメラ1の光軸A1と、照明装置2が照射する平行光線BPとのなす角が85度以上、且つ90度未満で配置することが、より好ましい。
凹凸検査装置10では、照明装置2から平行光線BPを照射すると、被検査物TOの検査面10aで、正反射成分、乱反射成分や表面散乱の反射成分の反射光となる。凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1の光軸A1と、照明装置2からの平行光線BPとのなす角が90度に近くなればなるほど、ラインセンサカメラ1に入射する反射光のうち、被検査物TOの検査面10aで表面散乱した反射成分が正反射成分や乱反射成分よりも優勢となる傾向にある。なお、被検査物TOの検査面10aでの表面散乱は、被検査物TOの検査面10aに入射する光が散乱することにより、角度によらず光出力が同じランバート反射となっている。凹凸検査装置10では、表面散乱する反射成分は、反射成分の強度が被検査物TOの色による影響を受けにくい傾向にある。言い換えれば、凹凸検査装置10は、表面散乱する反射成分の光を検出することで、波長ごとの反射率差を生じさせる被検査物TOの色の影響を抑制することが可能となる。したがって、凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1の光軸A1と平行光線BPとのなく角度を特定の範囲とすることにより、模様を有する被検査物TOを検査する場合であっても、被検査物TOの凹凸10bを精度よく検知することが可能となる。
以下、図10および図11では、平行光線BPを被検査物TOの検査面10aに照射した場合の反射について、より詳細に説明する。
本実施形態の凹凸検査装置10では、照明装置2から照射された平行光線BPが被検査物TOの検査面10aに当たり光の透過、吸収や反射が生ずる。本実施形態の凹凸検査装置10において、被検査物TOの検査面10aに当たった光は、正反射成分の光L1と、乱反射成分の光L2と、表面散乱成分の光L3との3つの反射成分に大きく分けられる(図10および図11を参照)。
ここで、正反射成分の光L1は、被検査物TOの検査面10aにより、検査面10aの法線方向に対し、入射光と反対方向であって、検査面10aの法線方向と入射光がなす角(入射角)と同じ角度だけずれた角(反射角)度で反射される。正反射成分の光L1は、被検査物TOの色に影響されず、照明装置2からの光の波長分布を維持する傾向にある。また、乱反射成分の光L2は、被検査物TOの内部に一度入り込んで再び外部に放出されたものである。乱反射成分の光L2は、反射角の方向を軸として、cos分布の強度となる傾向にある。乱反射成分の光L2は、被検査物TOの色により照明装置2からの光と異なる波長分布に変化する場合がある。表面散乱成分の光L3は、被検査物TOの内部に入らず、被検査物TOの検査面10aから全方向に均一な強度で散乱する。表面散乱成分の光L3は、ランバート反射成分を構成している。表面散乱成分の光L3は、被検査物TOの色に影響されず照明装置2からの光の波長分布を維持する傾向にある。
本実施形態の凹凸検査装置10では、照明装置2からの平行光線BPの俯角δが小さいと、ラインセンサカメラ1の光軸A1と照明装置2の平行光線BPとのなす角は90度に近くなる。凹凸検査装置10では、図10に示すように、3種類の反射成分の光のうち正反射成分の光L1および乱反射成分の光L2の反射方向はラインセンサカメラ1の光軸A1の方向とは異なる。凹凸検査装置10は、正反射成分の光L1および乱反射成分の光L2の反射方向と、ラインセンサカメラ1の光軸A1の方向とが異なるので、正反射成分の光L1および乱反射成分の光L2がラインセンサカメラ1に入射することが少ない。そのため、凹凸検査装置10は、主として、表面散乱成分の光L3がラインセンサカメラ1に入射することになる。
凹凸検査装置10では、照明装置2の平行光線BPを浅い俯角δで照射することにより、被検査物TOの色の影響を受けがたい表面散乱成分の光L3を主として検出することが可能となる。凹凸検査装置10は、表面散乱成分の光L3を主として検出することで、撮影される画像10aaの光出力値の変化が被検査物TOの表面の模様に影響されることを抑制することができる。凹凸検査装置10は、画像10aaの光出力値の変化が、被検査物TOの表面の模様に影響されることを抑制することにより、被検査物TOの検査面10aの凹凸10bによる光出力値の変化を顕在化させることが可能となる。その結果、凹凸検査装置10は、凹凸10bを、より精度よく検知することが可能となる。ただし、乱反射成分の光L2は、被検査物TOの検査面10aが粗面であるほど反射角方向から離れた方向まで拡がって放出されてしまう傾向にある。そのため、凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1における光軸A1と平行光線BPとのなす角を、より90度に近づけることが好ましい。凹凸検査装置10では、たとえば、被検査物TOの検査面10aが木目模様を有する粗面の木材を検査する場合、俯角δを5度以内とすることが、より好ましい。
本実施形態の凹凸検査装置10では、俯角δを5度以内として、ラインセンサカメラ1の光軸A1と、照明装置2の平行光線BPとのなす角度とを、85度以上、且つ90度未満のほぼ直交する構成としている。本実施形態の凹凸検査装置10では、照明装置2が照射する平行光線BPとのなす角が85度以上、且つ90度未満となるように照明装置2を配置していることにより、被検査物TOに染みこんで被検査物TOの色を帯びた状態になる「乱反射光」がラインセンサカメラ1に届きにくくなる。本実施形態の凹凸検査装置10では、被検査物TOの色を帯びることなく被検査物TOの検査面10aで散乱した「表面散乱光」を主に撮影することができる。本実施形態の凹凸検査装置10は、被検査物TOの検査面10aに模様がある場合でも模様の影響を抑制して、検査面10aの凹凸10bに伴う光出力値の変化を顕在化させた画像10aaを取得することができる。そのため、本実施形態の凹凸検査装置10は、検査性能を飛躍的に向上させることが可能となる。
次に、本実施形態の凹凸検査装置10において、照明装置2が照射するライン状の光の波長によって、被検査物TOの検査面10aの模様の影響を、より抑制することが可能となることを説明する。
本実施形態の凹凸検査装置10は、たとえば、可視光のうち、600nmから700nmの長波長の赤色系の光を照明装置2から照射する凹凸検査装置10を図10に示している。また、本実施形態の凹凸検査装置10は、たとえば、可視光のうち、400nmから450nmの短波長の青色系の光を照明装置2から照射する凹凸検査装置10を図11に示している。図10および図11は、本実施形態の凹凸検査装置10において、照明装置2から照射する赤色系の光と、照明装置2から照射する青色系の光との反射特性の違いを示している。
正反射成分の光L1は、被検査物TOの色や照明装置2から照射する光の色には依存せず、被検査物TOの平滑性に依存して光出力の強度が決まる傾向にある。ところで、本実施形態の凹凸検査装置10において、照明装置2が赤色系の光を照射する場合、赤色の光は、木材などの被検査物TOに吸収されやすい特性がある。そのため、照明装置2が赤色系の光を照射する凹凸検査装置10では、乱反射成分の光L2が多く表面散乱成分の光L3が相対的に少なくなる傾向を示す。これに対し本実施形態の凹凸検査装置10において、照明装置2が青色系の光を照射する場合、青色系の光は、赤色系の光と比較して、木材などの被検査物TOに吸収されにくい。照明装置2が青色系の光を照射する凹凸検査装置10では、乱反射成分の光L2が少なく表面散乱成分の光L3が相対的に多くなる傾向を示す(図10および図11を参照)。
凹凸検査装置10は、照明装置2が平行光線BPの光源としてピーク波長が450nm以下の光を照射することで、色の変動が激しい模様の意匠が印刷された被検査物TOを検査する場合であっても、被検査物TOの検査面10aの模様の影響を、より抑制することが可能となることを説明する。
以下、本実施形態の凹凸検査装置10の各構成について、より詳細に説明する。
ラインセンサカメラ1は、受光素子を横一列に並ばせ一次元的な画像10aaの撮影を行うことが可能な固体撮像装置により構成することができる。受光素子は、たとえば、シリコン半導体を用いたものが挙げられる。ラインセンサカメラ1は、たとえば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)などを用いたものが挙げられる。ラインセンサカメラ1は、被検査物TOの移動方向と垂直な方向に沿って設置している。ラインセンサカメラ1は、被検査物TOのライン状の検査面10aを、移動装置3の移動速度に同期して、所定の時間間隔で連続して撮影することができる。ラインセンサカメラ1は、撮影した1ライン分の画像信号を凹凸検知部4に出力する。本実施形態の凹凸検査装置10は、検査面10aにおけるラインセンサカメラ1のライン状の長手方向と垂直な方向に沿ってラインセンサカメラ1と被検査物TOとを相対的に移動させればよい。したがって、ラインセンサカメラ1は、被検査物TOの長手方向に移動できるように移動装置3と協働するものでもよい。また、凹凸検査装置10は、検査面10aにおけるラインセンサカメラ1のライン状の長手方向と垂直な方向に沿って、ラインセンサカメラ1と被検査物TOとを相対的に移動するものだけに限られない。凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1のライン状の長手方向と垂直な方向に沿って、ラインセンサカメラ1と被検査物TOとを相対的に移動することに加え、ライン状の長手方向に移動可能なものであってもよい。
ラインセンサカメラ1は、受光素子を縦横に並ばせ二次元的な画像10aaの撮影を行うエリアセンサカメラ(図示していない)と比較して、比較的に大きな視野を確保することを容易に行うことが可能となる。また、ラインセンサカメラ1は、被検査物TOに曲面がある場合でも、エリアセンサカメラと比較して、凹凸10bを検知する精度を高めることが容易となる。さらに、ラインセンサカメラ1は、エリアセンサカメラと比較して、高分解能および高解像度な画像10aaを得ることが比較的簡単に行うことができる。
したがって、本実施形態の凹凸検査装置10では、被検査物TOとして、板状の物体の凹凸10bを検査するものだけに限られない。本実施形態の凹凸検査装置10では、被検査物TOとして、円柱状の物体の凹凸10bを検査することも可能となる。
照明装置2は、ラインセンサカメラ1が撮影する被検査物TOのライン状の検査面10aと一致したライン状の光を検査面10aに対し所定の俯角δで照射可能なものである。また、照明装置2は、ラインセンサカメラ1のライン状の長手方向から平行光線BPを照射するものである。照明装置2は、たとえば、被検査物TOの検査面10aの法線方向に沿って直線状に配置されたレーザ発振器21と、コリメータレンズ22と、ロッドレンズ23と、シリンドリカルレンズ24とを好適に備えた構成することができる。照明装置2では、レーザ発振器21から放射されるレーザ光を、コリメータレンズ22によって平行光線に変換する。照明装置2は、コリメータレンズ22によって平行光線に変換したレーザ光をロッドレンズ23に入射する。照明装置2は、ロッドレンズ23によって、コリメータレンズ22からの平行光線を扇状のライン光に変換する。照明装置2は、ロッドレンズ23によって扇状に変換したライン光を、ロッドレンズ23と所定の距離を隔てて設けられたシリンドリカルレンズ24に入射する。照明装置2は、シリンドリカルレンズ24により、ライン状の平行光線BPに変換する。照明装置2は、ライン状に変換した平行光線BPを、被検査物TOの検査面10aに照射することができる。照明装置2は、対物レンズとなるシリンドリカルレンズ24から照射した平行光線BPを直接被検査物TOに照射するものだけに限られない。照明装置2は、適宜のミラーを介して、ライン状の検査面10aに照射してもよい。
なお、凹凸検査装置10では、ラインセンサカメラ1が撮影するライン状の検査面10aの両端において、被検査物TOが大きくなると照明装置2からの距離が大きく異なる場合もある。凹凸検査装置10は、照明装置2の光源として、拡散光を照射する発光ダイオードや蛍光灯を用いた場合、照明装置2からの距離が遠くなるほど光が拡散し光出力が低下する傾向にある。したがって、本実施形態の凹凸検査装置10は、照明装置2からの距離が遠くとも光の拡散が少ない平行光線BPを照射する光源として、レーザ発振器21を用いることが、より好ましい。本実施形態の凹凸検査装置10は、光源としてレーザ発振器21を備えた照明装置2を用いることにより、検査面10aの両端側でも同等の光出力を得ることが容易となる。
移動装置3は、検査面10aにおけるラインセンサカメラ1と被検査物TOとを相対的に移動可能なものである。移動装置3は、たとえば、一対の搬送ローラ31,31と、搬送ローラ31の回転に伴って被検査物TOを搬送可能に移動する搬送ベルト32とを備えた構成とすることができる。移動装置3は、搬送ローラ31を回転可能な駆動モータを備えた構成としている。移動装置3は、搬送ベルト32の代わりに、複数個の搬送ローラ31を備えたものでもよい。移動装置3は、被検査物TOに応じて種々のものを利用することができ、たとえば、単軸駆動ロボットにより構成するものでもよい。移動装置3は、ラインセンサカメラ1と被検査物TOとを相対的に移動可能であればよく、ラインセンサカメラ1を支持する支持体を移動するものなど種々の構造のものを用いることができる。
凹凸検知部4は、ラインセンサカメラ1から入力された画像10aaを画像処理して凹凸10bを判別可能なものである。凹凸検知部4は、たとえば、ラインセンサカメラ1から入力された画像信号を記憶するための画像データ記憶装置41を備えた構成とすることができる。凹凸検知部4は、画像データ記憶装置41に記憶された画像信号から被検査物TOの検査面10aの検査する画像10aaを生成し、凹凸10bを検知する画像処理装置42を備えた構成とすることができる。凹凸検知部4は、画像10aaにおける凹凸10bを識別するための閾値が記憶された閾値データ記憶装置43を備えた構成とすることができる。画像データ記憶装置41は、被検査物TOの検査面10aの全体もしくは一部の画像を記憶できればよい。画像データ記憶装置41は、たとえば、揮発性のSRAM(Static Random Access Memory)により構成することができる。閾値データ記憶装置43は、凹凸10bの判定に用いる閾値を記憶することが可能なものである。閾値データ記憶装置43は、たとえば、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの不揮発性のメモリにより構成することができる。
(実施形態2)
本実施形態の凹凸検査装置10は、実施形態1の照明装置2の光源に赤色のレーザ光を発光するレーザ発振器21を用いる代わりに、赤外線のレーザ光を発光するレーザ発振器21を備えた点が主として相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して適宜に説明を省略している。
本実施形態の凹凸検査装置10では、照明装置2は、平行光線BPの光源として赤外線のレーザ光を発光するレーザ発振器21を備えている。
実施形態1の凹凸検査装置10では、天然木などを被検査物TOとする場合、照明装置2から照射される光の反射率が被検査物TOの場所により大きく変化する場合がある。
これに対し本実施形態の凹凸検査装置10では、天然木などを被検査物TOとする場合でも、赤外線の反射率は、被検査物TOの場所によらず一様に近い特徴を持つ。そのため、本実施形態の凹凸検査装置10では、天然木などの素材において、照明装置2の光源として赤外線のレーザ光を発光するレーザ発振器21を用いることで、被検査物TOの表面における模様の影響を低減し、被検査物TOの表面の凹凸10bによる陰影をより鮮明に撮影することが可能となる。
本実施形態の凹凸検査装置10では、天然の木材を被検査物TOとして、被検査物TOの凹凸10bを検査することができる。被検査物TOは、天然の木材の場合、天然の木材全体に濃淡があるものの総じて色調が赤っぽい色をしている傾向にある。被検査物TOが天然の木材である場合、被検査物TOの色の違いは、可視光域の短波長側における反射率の差が主因となる。これに対し、赤外線の反射率は、被検査物TOの材種や部位による差が小さい傾向にある。本実施形態の凹凸検査装置10は、可視光域の短波長側の反射率が小さい反射特性を持つ物体を被検査物TOとする場合、赤外線レーザを照明装置2の光源として用いることで、被検査物TOの検査面10aにある模様の影響を軽減することが可能となる。
本実施形態の凹凸検査装置10は、検査面10aが高光沢を有する被検査物TOの場合、正反射成分の光L1および乱反射成分の光L2が表面散乱成分の光L3と比較して、相対的に多くなる。本実施形態の凹凸検査装置10は、被検査物TOの検査面10aが高光沢を有する場合、表面散乱成分の光L3が正反射成分の光L1および乱反射成分の光L2と比較して、相対的に少なくなるため、撮影輝度が暗くなる傾向にある。ラインセンサカメラ1は、一般に、シリコン半導体のCCDを用いる場合、赤から赤外域のセンサ感度が高い傾向にある。本実施形態の凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1の感度ピークに合致する赤外線レーザを照明装置2の光源として用いることで、被検査物TOの表面の凹凸10bを、より精度よく検知することが可能となる。
(実施形態3)
本実施形態の凹凸検査装置10は、実施形態2の照明装置2の光源に赤外線のレーザ光を発光するレーザ発振器21を用いる代わりに、ピーク波長が450nm以下のレーザ光を発光するレーザ発振器21を備えた点が主として相違する。なお、実施形態2と同様の構成要素については、同一の符号を付して適宜に説明を省略している。
本実施形態の凹凸検査装置10は、たとえば、照明装置2は、平行光線BPの光源としてピーク波長が450nm以下のレーザ光を発光するレーザ発振器21を備えている。
凹凸検査装置10では、人工的に彩色されている塗装品など赤色でも赤外線の光でも反射率の変化が大きい被検査物TOを検査する場合、表面散乱を起こしやすい短波長の光を光源に使用することが好ましい。本実施形態の凹凸検査装置10では、被検査物TOの検査面10aにおいて表面散乱を起こしやすい短波長の光として、ピーク波長が450nm以下のレーザ光を発光するレーザ発振器21を光源に使用している。
本実施形態の凹凸検査装置10は、ピーク波長が450nm以下のレーザ光を発光するレーザ発振器21を使用することで、被検査物TOの表面における反射率の変化の影響を低減して、被検査物TOの表面の凹凸10bを、より精度よく検知することが可能となる。
(実施形態4)
本実施形態の凹凸検査装置10は、図1の実施形態1のようにラインセンサカメラ1と照明装置2との組を1組だけ備えたものの代わりに、ラインセンサカメラ1と照明装置2との組を一対備え、互いに異なる角度にした点が主として相違する。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して適宜に説明を省略している。
本実施形態の凹凸検査装置10は、たとえば、図12に示すように、ラインセンサカメラ1と照明装置2との組を少なくとも一対備えている。凹凸検査装置10は、ラインセンサカメラ1と照明装置2との組の一対は、移動装置3によりラインセンサカメラ1と被検査物TOとを相対的に移動させる移動方向に対して、ライン状の検査面10aを互いに異なる角度にしている。
凹凸検査装置10では、種々の形状や大きさの凹凸10bを、精度よく検知できることが好ましい。ところで、ラインセンサカメラ1と照明装置2との組を1組だけ備えた図13(a)に示す凹凸検査装置10は、照明装置2から照射する平行光線BPと長手方向が直交する凹凸10b(図13(b)を参照)を検知する場合、凹凸10bを精度よく検知できる。しかしながら、図13(a)に示す凹凸検査装置10では、照明装置2から照射する平行光線BPと長手方向が平行な凹凸10b(図13(c)を参照)を検知することが難しい傾向にある。そのため、凹凸検査装置10では、同じ大きさの凹凸10bであっても、図13(b)の凹凸10bと比較して、図13(c)の凹凸10bを検知する精度が低下する場合がある。
本実施形態の凹凸検査装置10では、ラインセンサカメラ1と照明装置2との組それぞれは、移動装置3によりラインセンサカメラ1と被検査物TOとを相対的に移動させる移動方向に対して異なる角度に配置することで、凹凸10bの検知漏れを抑制可能となる。
本実施形態の凹凸検査装置10では、たとえば、照明装置2が照射する平行光線BPのライン長W1を、ラインセンサカメラ1の視野幅Wの大きさの数十分の一にすることができる。本実施形態の凹凸検査装置10は、被検査物TOの移動方向に対してラインセンサカメラ1を斜めに配置することで、ラインセンサカメラ1の視野幅Wが大きくなる場合でも、比較的簡単に視野幅Wに対応する平行光線BPを照射する照明装置2を設けることができる。なお、本実施形態の凹凸検査装置10は、実施形態1の照明装置2を用いるだけに限られず、実施形態2の照明装置2や実施形態3の照明装置2を適宜に組み合わせて構成することもできる。