JP6229028B1 - 光導波路素子及び波長フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】フォトニック結晶を利用し、入力された光を異なるモードに変換して反射できる光導波路素子を提供する。【解決手段】モード変換部を含む光導波路コア30と、光導波路コアを包含するクラッド20とを備える。モード変換部には、第1仮想線分と重なる位置に配列して周期的に形成された複数の空孔51を含む第1空孔群61、及び第2仮想線分と重なる位置に配列して、第1空孔群と同一周期で形成された複数の空孔52を含む第2空孔群62を含むフォトニック結晶が形成されている。フォトニック結晶は、波長λに対し、第1空孔群及び第2空孔群の周期をΛ、p(pはp≧0の整数)次モードに対する等価屈折率をnp、q(qはq≧0かつq≠pの整数)次モードに対する等価屈折率nqとして、2π/Λ=2π(np+nq)/λを満たす。【選択図】図1
Description
この発明は、フォトニック結晶によって特定の波長の光を反射する光導波路素子及びこれを備える波長フィルタに関する。
近年、小型化や量産性に有利な光デバイスの開発に当たり、Si(シリコン)を導波路の材料として用いるSi導波路が注目を集めている。
Si導波路では、実質的に光の伝送路となる光導波路コアを、Siを材料として形成する。そして、Siよりも屈折率の低い例えばシリカ等を材料としたクラッドで、光導波路コアの周囲を覆う。このような構成により、光導波路コアとクラッドとの屈折率差が極めて大きくなるため、光導波路コア内に光を強く閉じ込めることができる。その結果、曲げ半径を例えば1μm程度まで小さくした、小型の曲線導波路を実現することができる。そのため、電子回路と同程度の大きさの光回路を作成することが可能であり、光デバイス全体の小型化に有利である。
また、Si導波路では、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の半導体装置の製造過程を流用することが可能である。そのため、チップ上に電子機能回路と光機能回路とを一括形成する光電融合(シリコンフォトニクス)の実現が期待されている。
ところで、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplex)方式を利用した受動型光加入者ネットワーク(PON:Passive Optical Network)では、加入者側装置(ONU:Optical Network Unit)毎に異なる受信波長が割り当てられる。局側装置(OLT:Optical Line Terminal)は、各ONUへの下り光信号を、送り先の受信波長に対応した送信波長でそれぞれ生成し、これらを多重して送信する。各ONUは、複数の波長で多重された下り光信号から、自身に割り当てられた受信波長の光信号を選択的に受信する。ONUでは、各々の受信波長の下り光信号を選択的に受信するために、波長フィルタが使用される。そして、波長フィルタを、上述したSi導波路によって構成する技術が実現されている。
Si導波路を用いる波長フィルタとしては、例えば、マッハツェンダー干渉器を用いたものやアレイ導波路グレーティングを用いたものがある。また、Si導波路を用いる波長フィルタとして、リング共振器(例えば特許文献1〜3等)や、グレーティング型(例えば特許文献4等)又は方向性結合器型(例えば特許文献5等)の波長フィルタがある。これらの波長フィルタは、電極を設け、電圧を印可することによって、出力波長を可変にできるという利点がある。さらに、グレーティングと同様に、光を回折させることによって、特定の波長を逆方向に反射させる素子として、フォトニック結晶と呼ばれる構造がある。
フォトニック結晶は高い回折効率を有するため、波長フィルタとして利用した場合、高効率に波長分離できることが期待される。しかしながら、従来のフォトニック結晶は、基本モード間の逆方向への回折を行う構造であり、機能が限られている。そして、入力された光を異なるモードに変換して反射するフォトニック結晶については知られていなかった。
そこで、この発明の目的は、フォトニック結晶を利用した光導波路素子であって、入力された光を異なるモードに変換して反射できる光導波路素子、及びこれを利用した波長フィルタを提供することにある。
上述した目的を達成するために、この発明による光導波路素子は、第1仮想線分、及び第1仮想線分と平行な第2仮想線分に沿い、かつ第1仮想線分及び前記第2仮想線分と重なる位置に設けられた光導波路コアと、光導波路コアを包含するクラッドとを備える。光導波路コアは、モード変換部を含む。モード変換部には、第1仮想線分と重なる位置に配列して周期的に形成された複数の空孔を含む第1空孔群、及び第2仮想線分と重なる位置に配列して、第1空孔群と同一周期で形成された複数の空孔を含む第2空孔群を含むフォトニック結晶が形成されている。フォトニック結晶は、特定の波長λに対し、第1空孔群及び第2空孔群の周期をΛ、p(pはp≧0の整数)次モードに対する等価屈折率をnp、q(qはq≧0かつq≠pの整数)次モードに対する等価屈折率をnqとして、2π/Λ=2π(np+nq)/λを満たす。
また、この発明による波長フィルタは、上述の光導波路素子と、結合部を含む出力導波路コアとを備える。光導波路コアは、モード変換部と直列に接続され、p次モード及びq次モードの光を伝播させる多モード導波路部をさらに含む。クラッドは、光導波路コア及び出力導波路コアを包含する。多モード導波路部と結合部とが、互いに離間しかつ並んで配置された結合領域が設定されている。結合領域では、多モード導波路部を伝播するq次モードの光と、結合部を伝播するr(rはr≧0の整数)次モードの光とが結合される。
この発明の光導波路素子では、モード変換部に、2列の空孔群(第1空孔群及び第2空孔群)を含むフォトニック結晶を形成することによって、特定の波長の基本モードの光を、1次モードに変換して反射することができる。
また、この発明の波長フィルタでは、上述した光導波路素子を用いることによって、特定の波長とその他の波長とを分離し、経路を切り替えて取り出すことができる。そして、フォトニック結晶を利用することによって、高い回折効率で特定の波長の光を反射させることができる。従って、高効率に波長分離及び経路切替を行うことができる。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
(光導波路素子)
図1を参照して、この発明の光導波路素子について説明する。図1(A)は、光導波路素子を示す概略的平面図である。図1(B)は、図1(A)に示す光導波路素子をI−I線で切り取った概略的端面図である。なお、図1(A)では、後述する光導波路コアのみを示してあり、クラッド及び支持基板を省略している。
図1を参照して、この発明の光導波路素子について説明する。図1(A)は、光導波路素子を示す概略的平面図である。図1(B)は、図1(A)に示す光導波路素子をI−I線で切り取った概略的端面図である。なお、図1(A)では、後述する光導波路コアのみを示してあり、クラッド及び支持基板を省略している。
なお、以下の説明では、各構成要素について、光の伝播方向に沿った方向を長さ方向とする。また、支持基板の厚さに沿った方向を厚さ方向とする。また、長さ方向及び厚さ方向に直交する方向を幅方向とする。
光導波路素子100は、支持基板10、クラッド20、光導波路コア30及び電極40を備えて構成されている。
支持基板10は、例えば単結晶Siを材料とした平板状体で構成されている。
クラッド20は、支持基板10上に、支持基板10の上面10aを被覆し、かつ光導波路コア30を包含して形成されている。クラッド20は、例えばSiO2を材料として形成されている。
光導波路コア30は、クラッド20よりも高い屈折率を有する例えばSiを材料として形成されている。その結果、光導波路コア30は、実質的な光の伝送路として機能し、入力された光が光導波路コア30の平面形状に応じた伝播方向に伝播する。また、光導波路コア30は、伝播する光が支持基板10へ逃げるのを防止するために、支持基板10から例えば少なくとも1μm以上離間して形成されているのが好ましい。
ここでは、光導波路コア30は、厚さ方向でシングルモード条件を達成すべく、厚さを例えば150〜500nmとするのが好ましい。
また、光導波路コア30は、第1点P1と第2点P2とを結ぶ第1仮想線分L1、第3点P3と第4点P4とを結ぶ第2仮想線分L2に沿い、かつこれら第1仮想線分L1及び第2仮想線分L2と重なる位置に設けられている。なお、第2仮想線分L2は、第1仮想線分L1と平行である。
さらに、光導波路コア30は、モード変換部31を含む。モード変換部31にはフォトニック結晶が形成されている。フォトニック結晶は、モード変換部31に、第1空孔群61及び第2空孔群62が形成されることによって構成される。
第1空孔群61は、第1仮想線分L1と重なる位置に配列して周期的に形成された複数の空孔51を含む。また、第2空孔群62は、第2仮想線分L2と重なる位置に配列して、第1空孔群61と同一周期で形成された複数の空孔52を含む。そして、第1空孔群61に含まれる空孔51と第2空孔群62に含まれる空孔52とは、互いに半周期ずれた位置に形成されている。
空孔51及び52は、モード変換部31を厚さ方向に貫通して形成される。また、ここでは、空孔51及び52は、厚さ方向に直交する断面形状が円形とされている。
フォトニック結晶は、入力される特定の波長のTE偏波の光を、基本モードから1次モードに変換して反射する。また、フォトニック結晶は、その他の波長の光を、基本モードのままで透過させる。
フォトニック結晶における位相整合条件は、空孔51及び52の形成周期をΛ、基本モードのTE偏波に対する等価屈折率をn0、1次モードのTE偏波に対する等価屈折率n1として、下式(1)で表される。
2π/Λ=2π(n0+n1)/λ ・・・(1)
フォトニック結晶では、上式(1)が成立する波長λ、すなわちブラッグ波長のTE偏波がブラッグ反射される。従って、モード変換部31の幅、空孔51及び52の周期、並びに空孔51及び52の直径は、所望の反射すべき波長λに対して上式(1)が成立するように設計される。
フォトニック結晶では、上式(1)が成立する波長λ、すなわちブラッグ波長のTE偏波がブラッグ反射される。従って、モード変換部31の幅、空孔51及び52の周期、並びに空孔51及び52の直径は、所望の反射すべき波長λに対して上式(1)が成立するように設計される。
ここで、フォトニック結晶の変形例として、空孔51及び52の直径が周期毎に変化する構成とすることができる。図2を参照して、フォトニック結晶の変形例について説明する。図2は、フォトニック結晶の変形例を説明するための概略的平面図である。なお、図2では、支持基板及びクラッドを省略して示してある。
図2に示す構成例では、第1周期目の空孔51及び52の直径に対して、周期毎に直径が増加する。空孔51及び52の直径は、モード変換部31の長さ方向における中心付近の空孔51及び52で最大となる。そして、空孔51及び52の直径は、最大となる空孔51及び52以降減少する。
このように、空孔51及び52の直径を周期毎に変化させることによって、フォトニック結晶における光の散乱を抑制することができる。なお、空孔51及び52の直径の変化量は、反射すべき波長λ及び回折効率に応じて設計される。
電極40は、クラッド20を介して、モード変換部31を被覆する位置に形成される。電極40に電流を流すことでジュール熱を発生させ、この発熱による熱光学効果によって、モード変換部31の屈折率を変化させる。その結果、モード変換部31による反射波長を変化させることができる。
以上に説明したように、光導波路素子100では、モード変換部31に、2列の空孔群(第1空孔群61及び第2空孔群62)を含むフォトニック結晶を形成することによって、特定の波長の基本モードのTE偏波を、1次モードに変換して反射することができる。
従って、光導波路素子100を用いることにより、フォトニック結晶を透過する特定の波長の光を取り出す波長フィルタを構成することができる。
また、光導波路素子100では、電極40を用いてモード変換部31に熱を与えることができる。そのため、フォトニック結晶が反射及び透過させる光の波長を変化させることができる。従って、光導波路素子100を用いることにより、出力波長が可変な波長フィルタを構成することができる。
なお、この実施の形態では、光導波路素子100が、TE偏波に対して特定の波長の光を出力する構成について説明した。しかし、光導波路素子100は、TM偏波に対して特定の波長の光を出力する構成とすることもできる。その場合には、モード変換部31のフォトニック結晶を、反射すべき波長λに応じ、TM偏波に対して上式(1)が成立するように設計する。これによって、フォトニック結晶により、特定の波長の基本モードのTM偏波を、1次モードに変換して反射することができる。
また、この実施の形態では、モード変換部31のフォトニック結晶において、特定の波長の光を、基本モードから1次モードに変換して反射する構成について説明した。しかし、モード変換部31のフォトニック結晶が、p次モード(pはp≧0の整数)の特定の波長の光を、q次モード(qはq≧0かつq≠pの整数)に変換して反射する構成とすることもできる。その場合には、モード変換部31のフォトニック結晶における位相整合条件は、空孔51及び52の形成周期をΛ、p次モードの光に対する等価屈折率をnp、q次モードの光に対する等価屈折率nqとして、下式(2)で表される。
2π/Λ=2π(np+nq)/λ ・・・(2)
フォトニック結晶では、上式(2)が成立する波長λ、すなわちブラッグ波長の光がブラッグ反射される。フォトニック結晶は、TE偏波又はTM偏波について、反射すべき波長λに対して上式(2)が成立するように設計される。
フォトニック結晶では、上式(2)が成立する波長λ、すなわちブラッグ波長の光がブラッグ反射される。フォトニック結晶は、TE偏波又はTM偏波について、反射すべき波長λに対して上式(2)が成立するように設計される。
そして、p次モード及びq次モードの一方が、振幅分布が対称である基本モード若しくは偶数次モードであり、かつ他方が、振幅分布が反対称である奇数次モードである場合には、空孔51と空孔52とが、互いに半周期ずれた位置に形成される。
また、p次モード及びq次モードの双方が、ともに基本モード若しくは偶数次モードである場合、又はともに奇数次モードである場合には、空孔51及び空孔52の形成位置を、周期をずらすことなく一致させる。すなわち空孔51と空孔52とが互いに対称となる位置に形成される。
(特性評価)
発明者は、FDTD(Finite Differential Time Domain)を用いて、光導波路素子100の特性を評価するシミュレーションを行った。
発明者は、FDTD(Finite Differential Time Domain)を用いて、光導波路素子100の特性を評価するシミュレーションを行った。
このシミュレーションでは、光導波路素子100について、光導波路コア30に基本モードのTE偏波を入力し、モード変換部31を透過した基本モードのTE偏波の出力光(透過光)、及びモード変換部31でモード変換されつつ反射された、1次モードのTE偏波の出力光(反射光)の強度を解析した。
このシミュレーションでは、以下のように光導波路素子100を設計した。すなわち、光導波路コア30の厚さは0.2μmとした。また、モード変換部31の幅は1μmとした。また、空孔51及び空孔52の形成周期は0.394μmとし、また、モード変換部31の長さ(すなわちフォトニック結晶の長さ)は、空孔51及び空孔52につき21周期分に対応する長さとした。また、フォトニック結晶は、空孔51及び空孔52の直径が周期毎に変化する構成(図2参照)とし、空孔51及び空孔52の最大の直径を0.2μmとした。そして、第1空孔群61及び第2空孔群62ともに、両端からそれぞれ5周期分の空孔51及び空孔52を、両端に向かって周期毎に直径が小さくなるように設計した。第1空孔群61及び第2空孔群62の、両端の空孔51及び空孔52の直径は0.1μmとした。
シミュレーションの結果を、図3に示す。図3では、縦軸に、出力光の強度をdB目盛で、また、横軸に波長をμm単位でとって示してある。図3において、曲線91は、モード変換部からの透過光の、また、曲線92は、モード変換部からの反射光の強度を示している。
図3に示すように、1.5〜1.75μm付近の波長帯において、30dB以上の消光比で、基本モードが1次モードに変換されつつ反射されたことが確認できる。従って、21周期分の空孔51及び空孔52(フォトニック結晶の長さにして約8μm程度)の長さで、極めて高い回折効率が得られることが確認された。
(波長フィルタ)
図4を参照して、上述した光導波路素子100(図1参照)を利用した波長フィルタについて説明する。図4は、波長フィルタを示す概略的平面図である。なお、図4では、光導波路コア及び後述する出力導波路コアのみを示してあり、クラッド及び支持基板を省略している。また、光導波路素子100と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4を参照して、上述した光導波路素子100(図1参照)を利用した波長フィルタについて説明する。図4は、波長フィルタを示す概略的平面図である。なお、図4では、光導波路コア及び後述する出力導波路コアのみを示してあり、クラッド及び支持基板を省略している。また、光導波路素子100と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
波長フィルタ200は、上述した光導波路素子100に、出力導波路コア70を追加して構成されている。また、光導波路コア30は、上述したモード変換部31に追加して、入力部32、入力側テーパ部33、多モード導波路部34、出力側テーパ部35及び第1出力部36を含んでいる。入力部32、入力側テーパ部33、多モード導波路部34、モード変換部31、出力側テーパ部35及び第1出力部36は、この順に直列に接続されている。
入力部32は、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成する幅に設定されている。
入力側テーパ部33は、入力部32と接続された一端33aから、多モード導波路部34と接続された他端33bへ、連続的に幅が拡大する。そして、入力側テーパ部33の一端33aの幅は、入力部32の幅と等しく設定されている。従って、入力側テーパ部33は、一端33aにおいて、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成するように設定されている。
多モード導波路部34は、基本モード及び1次モードのTE偏波を伝播させる。
モード変換部31には、特定の波長のTE偏波に対して上式(1)を満たすフォトニック結晶が形成されている。フォトニック結晶は、入力される特定の波長のTE偏波の光を、基本モードから1次モードに変換して反射する。また、フォトニック結晶は、その他の波長の光を、基本モードのままで透過させる。
出力側テーパ部35は、モード変換部31と接続された一端35aから、第1出力部36と接続された他端35bへ、連続的に幅が縮小する。そして、出力側テーパ部35の他端35bの幅は、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成するように設定されている。
第1出力部36は、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成する幅に設定されている。
出力導波路コア70は、光導波路コア30と同様に、クラッド20よりも高い屈折率を有する例えばSiを材料として形成されている。また、出力導波路コア70は、伝播する光が支持基板10へ逃げるのを防止するために、支持基板10から例えば少なくとも1μm以上離間して形成されているのが好ましい。
ここでは、出力導波路コア70の厚さは、伝播光のTE偏波に対してシングルモード条件を達成すべく、例えば150〜500nmとするのが好ましい。
また、出力導波路コア70は、結合部71と第2出力部72とを含んでいる。
結合部71は、光導波路コア30の多モード導波路部34と、互いに離間し、かつ並んで配置されている。そして、光導波路コア30の多モード導波路部34と、出力導波路コア70の結合部71とが、互いに離間しかつ並んで配置された結合領域80として設定されている。なお、第2出力部72は、結合領域80を挟んで、モード変換部31と反対側で結合部71と接続されている。
結合領域80において、多モード導波路部34及び結合部71は、それぞれの中心軸が平行となるように配設されている。
また、結合部71は、一端71aから第2出力部72と接続された他端71bへ、幅が連続的に拡大するテーパ形状とされている。結合部71の一端71a及び他端71bの幅は、基本モードのTE偏波を伝播可能な等価屈折率に対応して設定されている。そして、結合部71は、一端71aから他端71bまでの間に、多モード導波路部34を伝播する1次モードのTE偏波に対する等価屈折率と、結合部71を伝播する基本モードのTE偏波に対する等価屈折率とが一致する幅を含んでいる。
その結果、結合領域80では、多モード導波路部34を伝播する1次モードのTE偏波と、結合部71を伝播する基本モードのTE偏波とを結合することができる。
第2出力部72は、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成する幅に設定されている。
波長フィルタ200では、基本モードの光信号が、光導波路コア30の入力部32に入力され、入力側テーパ部33及び多モード導波路部34を経てモード変換部31に送られる。モード変換部31を伝播する特定の波長の基本モードのTE偏波は、フォトニック結晶によって、1次モードに変換されて反射され、再び多モード導波路部34に送られる。その他の光は、基本モードのまま、出力側テーパ部35を経て第1出力部36から出力される。フォトニック結晶で反射され、多モード導波路部34を伝播する1次モードのTE偏波は、結合領域80において、基本モードに変換されつつ、出力導波路コア70の結合部71へ移行する。結合部71へ移行した基本モードのTE偏波は、第2出力部72から出力される。
このように、波長フィルタ200は、上述した光導波路素子100を用いることによって、特定の波長とその他の波長とを分離し、経路を切り替えて取り出す波長フィルタとして使用することができる。そして、モード変換部31においてフォトニック結晶を利用することによって、高い回折効率で特定の波長の光を反射させることができる。従って、高効率に波長分離及び経路切替を行うことができる。
なお、この実施の形態では、波長フィルタ200が、TE偏波に対して特定の波長の経路を切り替える構成について説明した。しかし、波長フィルタ200は、TM偏波に対して特定の波長の光を出力する構成とすることもできる。その場合には、モード変換部31のフォトニック結晶を、反射すべき波長λに応じ、TM偏波に対して上式(1)が成立するように設計する。これによって、フォトニック結晶により、特定の波長の基本モードのTM偏波を、1次モードに変換して反射することができる。その場合には、波長フィルタ200を、TM偏波に対して、経路切替を行う波長フィルタとして使用することができる。
また、この実施の形態では、モード変換部31のフォトニック結晶において、特定の波長の光を、基本モードから1次モードに変換して反射する構成について説明した。しかし、上式(2)を満たすようにフォトニック結晶を形成することによって、フォトニック結晶が、p次モードの特定の波長の光を、q次モードに変換して反射する構成とすることもできる。
さらに、結合領域80において、多モード導波路部34及び結合部71間で結合する光についても、基本モードと1次モードとに限定されない。結合部71の一端71a及び他端71bの幅を、r(rはr≧0の整数)次モードの光を伝播可能な等価屈折率に対応して設定し、結合部71が、一端71aから他端71bまでの間に、多モード導波路部34を伝播するq次モードの光に対する等価屈折率と、結合部71を伝播するr次モードの光に対する等価屈折率とが一致する幅を含むように設計することもできる。その場合には、結合領域80において、多モード導波路部34を伝播するq次モードの光と、結合部71を伝播するr次モードの光とを結合することができる。
(製造方法)
この実施の形態による波長フィルタ200は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板を利用することによって、簡易に製造することができる。以下、波長フィルタ200の製造方法について説明する。
この実施の形態による波長フィルタ200は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板を利用することによって、簡易に製造することができる。以下、波長フィルタ200の製造方法について説明する。
すなわち、まず、支持基板層、SiO2層、及びSi層が順次積層されて構成されたSOI基板を用意する。次に、例えばエッチング技術を用い、Si層をパターニングすることによって、光導波路コア30及び出力導波路コア70を形成する。その結果、支持基板10としての支持基板層上にSiO2層が積層され、さらにSiO2層上に光導波路コア30及び出力導波路コア70が形成された構造体を得ることができる。次に、例えばCVD法を用いて、SiO2層上に、SiO2を、光導波路コア30及び出力導波路コア70を被覆して形成する。その結果、クラッド20によって光導波路コア30及び出力導波路コア70が包含される。次に、クラッド20上に電極40を形成して、波長フィルタ200を製造することができる。
10:支持基板
20:クラッド
30:光導波路コア
31:モード変換部
32:入力部
33:入力側テーパ部
34:多モード導波路部
35:出力側テーパ部
36:第1出力部
40:電極
51、52:空孔
61:第1空孔群
62:第2空孔群
70:出力導波路コア
71:結合部
72:第2出力部
80:結合領域
100:光導波路素子
200:波長フィルタ
20:クラッド
30:光導波路コア
31:モード変換部
32:入力部
33:入力側テーパ部
34:多モード導波路部
35:出力側テーパ部
36:第1出力部
40:電極
51、52:空孔
61:第1空孔群
62:第2空孔群
70:出力導波路コア
71:結合部
72:第2出力部
80:結合領域
100:光導波路素子
200:波長フィルタ
Claims (4)
- 第1仮想線分、及び前記第1仮想線分と平行な第2仮想線分に沿い、かつ前記第1仮想線分及び前記第2仮想線分と重なる位置に設けられた光導波路コアと、
前記光導波路コアを包含するクラッドと
を備え、
前記光導波路コアは、モード変換部を含み、
前記モード変換部には、前記第1仮想線分と重なる位置に配列して周期的に形成された複数の空孔を含む第1空孔群、及び前記第2仮想線分と重なる位置に配列して、前記第1空孔群と同一周期で形成された複数の空孔を含む第2空孔群を含むフォトニック結晶が形成されており、
前記フォトニック結晶は、特定の波長λに対し、前記第1空孔群及び前記第2空孔群の周期をΛ、p(pはp≧0の整数)次モードに対する等価屈折率をnp、q(qはq≧0かつq≠pの整数)次モードに対する等価屈折率をnqとして、2π/Λ=2π(np+nq)/λを満たす
ことを特徴とする光導波路素子。 - 前記第1空孔群に含まれる空孔と前記第2空孔群に含まれる空孔の直径が周期毎に変化する
ことを特徴とする請求項1に記載の光導波路素子。 - 前記クラッドを介して前記モード変換部を被覆する位置に、前記モード変換部に熱を与えるための電極が形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光導波路素子。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光導波路素子と、結合部を含む出力導波路コアとを備え、
前記光導波路コアは、前記モード変換部と直列に接続され、p次モード及びq次モードの光を伝播させる多モード導波路部をさらに含み、
前記クラッドは、前記光導波路コア及び前記出力導波路コアを包含し、
前記多モード導波路部と前記結合部とが、互いに離間しかつ並んで配置された結合領域が設定されており、
前記結合領域では、前記多モード導波路部を伝播するq次モードの光と、前記結合部を伝播するr(rはr≧0の整数)次モードの光とが結合される
ことを特徴とする波長フィルタ。
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