JP6574818B2 - 波長フィルタ - Google Patents

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Description

この発明は、波長フィルタに関する。
近年、小型化や量産性に有利な光デバイスの開発に当たり、Si(シリコン)を導波路の材料として用いるSi導波路が注目を集めている。
Si導波路では、実質的に光の伝送路となる光導波路コアを、Siを材料として形成する。そして、Siよりも屈折率の低い例えばシリカ等を材料としたクラッドで、光導波路コアの周囲を覆う。このような構成により、光導波路コアとクラッドとの屈折率差が極めて大きくなるため、光導波路コア内に光を強く閉じ込めることができる。その結果、曲げ半径を例えば1μm程度まで小さくした、小型の曲線導波路を実現することができる。そのため、電子回路と同程度の大きさの光回路を作成することが可能であり、光デバイス全体の小型化に有利である。
また、Si導波路では、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の半導体装置の製造過程を流用することが可能である。そのため、チップ上に電子機能回路と光機能回路とを一括形成する光電融合(シリコンフォトニクス)の実現が期待されている。
ところで、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplex)方式を利用した受動型光加入者ネットワーク(PON:Passive Optical Network)では、加入者側装置(ONU:Optical Network Unit)毎に異なる受信波長が割り当てられる。局側装置(OLT:Optical Line Terminal)は、各ONUへの下り光信号を、送り先の受信波長に対応した送信波長でそれぞれ生成し、これらを多重して送信する。各ONUは、複数の波長で多重された下り光信号から、自身に割り当てられた受信波長の光信号を選択的に受信する。ONUでは、各々の受信波長の下り光信号を選択的に受信するために、波長フィルタが使用される。そして、波長フィルタを、上述したSi導波路によって構成する技術が実現されている。
Si導波路を用いる波長フィルタとしては、例えば、マッハツェンダー干渉器を用いたものやアレイ導波路グレーティングを用いたものがある。また、Si導波路を用いる波長フィルタとして、リング共振器(例えば特許文献1〜3参照)や、グレーティング型(例えば特許文献4参照)又は方向性結合器型(例えば特許文献5参照)の波長フィルタがある。これらの波長フィルタは、電極を設け、電極の発熱を利用することによって、出力波長を可変にできるという利点がある。
ここで、グレーティング型又は方向性結合器型の波長フィルタでは、出力光の波長ピークが単峰性である。これに対し、リング共振器は、出力光の波長ピークが多峰性である。そのため、リング共振器では、出力光の複数の波長ピークを利用したバーニア効果によって、波長可変域を拡大することができるという利点がある。
特開2003−215515号公報 特開2013−093627号公報 特開2006−278770号公報 特開2006−330104号公報 特開2002−353556号公報
Si導波路を用いるリング共振器は、Siを材料としたリング導波路部分及び方向性結合器部分を含んで構成される。
そして、リング共振器は、方向性結合器部分において、作製誤差の影響を受けやすいという欠点がある。方向性結合器部分では、作製誤差に起因して、所望の分岐比からのずれが生じやすい。従って、リング共振器では、所望の波長の光を高い消光比で取り出すことが難しい。
そこで、この発明の目的は、電極を設けることによって、出力波長を可変にできる波長フィルタであって、作製誤差の影響を受けにくく、かつ出力光の波長ピークが多峰性である波長フィルタを提供することにある。
上述した目的を達成するために、この発明による第1の波長フィルタは、交互に直列に接続された、n個(nは2以上の整数)のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む光導波路コアと、光導波路コアを包含するクラッドとを備える。モード変換部は、p次モード(pはp≧0の整数)の特定の波長の光を、偏波を変換せずにq次モード(qはq>pの整数)に変換して反射する。キャビティ部は、当該キャビティ部を伝播する、p次モードの特定の波長の光の位相を整合させる。
モード変換部には、グレーティングが形成されている。グレーティングが形成されたモード変換部は、モード変換部の光伝播方向に延在して形成された基部と、基部の両側面に、基部を挟んで反対称となる位置に周期的に複数形成された突出部とを含んで構成されている。基部の幅が、光伝播方向の両端から中央に向かって連続的に縮小することによって、突出部はそれぞれ固有の突出量を持ち、突出量には少なくとも2以上の値があり、かつモード変換部は、光伝播方向の各位置における等価屈折率が一定となる。グレーティングは、特定の波長λに対し、グレーティング周期をΛ、p次モードに対する等価屈折率をn、q次モードに対する等価屈折率をnとして、2π/Λ=2π(n+n)/λを満たす。
また、この発明による第2の波長フィルタは、上述した第1の波長フィルタに追加して、さらにスラブ導波路部が設けられている。スラブ導波路部は、光導波路コアの少なくとも各モード変換部に、モード変換部よりも小さい厚さで、かつモード変換部の光伝播方向に沿った両側面に、それぞれモード変換部と一体的に形成されている。モード変換部は、p次モード(pはp≧0の整数)の一方の偏波の特定の波長の光を、q次モード(qはq>pの整数)の他方の偏波に変換して反射する。モード変換部のグレーティングは、特定の波長λに対し、グレーティング周期をΛ、p次モードのTE偏波に対する等価屈折率をnTEp、q次モードのTM偏波に対する等価屈折率をnTMq、p次モードのTM偏波に対する等価屈折率をnTMp、q次モードのTE偏波に対する等価屈折率をnTEqとして、2π/Λ=2π(nTEp+nTMq)/λ又は2π/Λ=2π(nTMp+nTEq)/λを満たす。
この発明による波長フィルタは、キャビティ部の長さに応じて位相が整合する波長の光を出力する、波長フィルタとして使用することができる。また、この発明による波長フィルタは、キャビティ部に電圧・電流を印加する電極を設ける場合、モード変換部からの透過光に対し、キャビティ部によって位相整合させる波長を変化させることができる。また、この発明による波長フィルタは、方向性結合器を構成として含まないため、リング共振器と等価な機能を有しつつ、リング共振器と比べて作製誤差の影響を受けにくい。さらに、この発明による波長フィルタでは、上述したモード変換部の構成により、グレーティングを透過する光のピークの形状が崩れるのを防止することができる。
(A)は、第1の波長フィルタを示す概略的平面図であり、(B)は、第1の波長フィルタを示す概略的端面図である。 グレーティングの変形例を示す概略的平面図である。 第1の波長フィルタを示す概略的平面図である。 第1の波長フィルタを示す概略的平面図である。 (A)及び(B)は、第1の波長フィルタの特性を評価するシミュレーションの結果を示す図である。 第2の波長フィルタを示す概略的平面図である。 シミュレーションに用いた比較用波長フィルタを示す概略的平面図である。 (A)、(B)及び(C)は、第2の波長フィルタの特性を評価するシミュレーションの結果を示す図である。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
(第1の波長フィルタ)
図1を参照して、この発明の第1の実施の形態による波長フィルタ(以下、第1の波長フィルタとも称する)について説明する。図1(A)は、第1の波長フィルタを示す概略的平面図である。図1(B)は、図1(A)に示す第1の波長フィルタをI−I線で切り取った概略的端面図である。なお、図1(A)では、後述する光導波路コアのみを示してあり、クラッド及び支持基板を省略している。
なお、以下の説明では、各構成要素について、光の伝播方向に沿った方向を長さ方向とする。また、支持基板の厚さに沿った方向を厚さ方向とする。また、長さ方向及び厚さ方向に直交する方向を幅方向とする。
第1の波長フィルタ100は、支持基板10、クラッド20、光導波路コア30及び電極40を備えて構成されている。
支持基板10は、例えば単結晶Siを材料とした平板状体で構成されている。
クラッド20は、支持基板10上に、支持基板10の上面10aを被覆し、かつ光導波路コア30を包含して形成されている。クラッド20は、例えばSiOを材料として形成されている。
光導波路コア30は、クラッド20よりも高い屈折率を有する例えばSiを材料として形成されている。その結果、光導波路コア30は、実質的な光の伝送路として機能し、入力された光が光導波路コア30の平面形状に応じた伝播方向に伝播する。また、光導波路コア30は、伝播する光が支持基板10へ逃げるのを防止するために、支持基板10から例えば少なくとも1μm以上離間して形成されているのが好ましい。
また、ここでは、光導波路コア30の厚さは、厚さ方向においてシングルモード条件を達成すべく、例えば200〜500nmの範囲内の値とするのが好ましい。例えば波長1550nmの光を想定する場合には、光導波路コア30の厚さを例えば200〜300nmの範囲内の値とすることができる。
また、光導波路コア30は、入力導波路部50、入力側テーパ部55、入力側モード変換部60、キャビティ部65、出力側モード変換部70、出力側テーパ部75及び出力導波路部80がこの順に直列に接続されて構成されている。
入力導波路部50は、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成する幅に設定されている。従って、入力導波路部50は、基本モードの光を伝播させる。
入力側テーパ部55は、入力導波路部50と接続された一端55aから、入力側モード変換部60と接続された他端55bへ、連続的に幅が拡大する。そして、入力側テーパ部55の一端55aの幅は、入力導波路部50の幅と等しく設定されている。従って、入力側テーパ部55は、一端55aにおいて、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成するように設定されている。
入力側モード変換部60には、全長に渡ってグレーティングが形成されている。このグレーティングにより、入力側モード変換部60は、入力される特定の波長のTE偏波の伝播光を、基本モードから1次モードに変換して反射する。また、入力側モード変換部60は、その他の波長の伝播光を、基本モードのままで透過させる。
グレーティングにおける位相整合条件は、グレーティング周期をΛ、基本モードのTE偏波に対する等価屈折率をn、1次モードのTE偏波に対する等価屈折率nとして、下式(1)で表される。
2π/Λ=2π(n+n)/λ ・・・(1)
グレーティングでは、上式(1)が成立する波長λ、すなわちブラッグ波長のTE偏波がブラッグ反射される。
グレーティングは、所謂ハイパボリックタンジェント型アポダイズ(tanh型apodize)構造である。グレーティングが形成された入力側モード変換部60は、基部61と突出部63a及び63bとを一体的に含んで構成されている。基部61は、入力側モード変換部60の長さ方向に延在して形成されている。また、基部61は、長さ方向の両端61a及び61bから中央に向かって連続的に幅が縮小する。従って、基部61は、両端61a及び61bにおいて2つの最大幅、及び中央において1つの最小幅を有する。換言すれば、基部61は、連続的に幅が縮小する部分と連続的に幅が拡大する部分とが、1つずつ長さ方向に沿ってこの順に連結されて構成されている。
突出部63aは、基部61の一方の側面に周期的に複数形成されている。突出部63bは、基部61の他方の側面に、周期的に複数形成されている。これら突出部63a及び63bは、基部61を挟んで反対称となる位置に形成されている。突出部63a及び63bの周期Λは、反射すべき波長λに対して上式(1)が成立するように設計される。
また、突出部63a及び63bはそれぞれ固有の突出量(突出部63a及び63bの幅方向の寸法)Dを持ち、突出量Dには少なくとも2以上の値がある。ここでは、各突出部63aの基部61と対向する側端63aaは、基部61の長さ方向における中央付近に形成されている突出部63aほど、基部61と反対側に突出して位置する。同様に、各突出部63bの基部61と対向する側端63baは、基部61の長さ方向における中央付近に形成されている突出部63bほど、基部61と反対側に突出して位置する。さらに、上述したように、基部61は、両端61a及び61bから中央に向かって連続的に幅が縮小する。このため、突出部63a及び63bの突出量Dは、周期毎に変化する。突出量Dは、基部61の幅が最小となり、かつ側端63aa及び63baが、最も基部61と反対側に突出する、中央付近の突出部63a及び63bで最大となる。突出量Dが最大となる中央付近の突出部63a及び63bに対し、基部61の一端61a側に配置された突出部63a及び63bでは、周期毎に突出量Dが増加する。また、突出量Dが最大となる中央付近の突出部63a及び63bに対し、基部61の他端61b側に配置された突出部63a及び63bでは、周期毎に突出量Dが減少する。
このように、基部61の幅を中央に向かって縮小させ、かつ側端63aa及び63baの位置を、中央に形成する突出部63a及び63bほど基部61と反対側に突出させることによって、突出部63a及び63bの突出量Dが異なる値を持つ。その結果、グレーティングが形成された入力側モード変換部60は、長さ方向(光伝播方向)の各位置における等価屈折率が一定となる。これによって、グレーティングを透過する光のピークの形状が崩れるのを防止することができる。なお、突出量Dの変化量(すなわち基部61の幅の変化量)は、反射すべき波長λ及び所望する透過特性に応じて設計される。
ここで、グレーティングの変形例として、所謂チャープ構造を採用することができる。図2を参照して、グレーティングの変形例について説明する。図2は、グレーティングの変形例を説明するための概略的平面図である。なお、図2では、支持基板及びクラッドを省略して示してある。
チャープ構造のグレーティングでは、デューティ比を一定として、光の伝播方向に沿って隣り合う突出部63a間の各離間距離及び隣り合う突出部63b間の各周期が、光の伝播方向に沿って一定の変化量で変化する。従って、各隣り合う突出部間には、それぞれ固有のグレーティング周期があり、この固有のグレーティング周期は、光の伝播方向に沿って一定の変化量で変化する。
図2に示す構成例では、第1周期目の周期Λ=Λに対して、周期毎に周期Λが一定の変化量でΔΛずつ増加する。従って、第n周期では、周期ΛがΛ+ΔΛ(n−1)となる。
周期Λが変化することによって、上式(1)を満足するブラッグ波長λが変化し、それに伴い等価屈折率が変化する。従って、周期Λを変化させることで、グレーティングにおいてブラッグ反射帯域を拡大することができる。周期毎のブラッグ波長のシフト量Δλは、周期Λの変化量ΔΛを用いて、下式(2)で表すことができる。なお、ngは、基本モードのTE偏波に対する群屈折率を、また、ngは、1次モードのTE偏波に対する群屈折率を、それぞれ示す。
Δλ=λΔΛ(n+n)/{Λ(ng+ng)} ・・・(2)
ΔΛを調整し、各周期のブラッグ波長がオーバーラップするようにΔλを設定することによって、ブラッグ反射帯域を拡大することができる。その結果、ブラッグ反射の波長依存性を緩和することができる。
キャビティ部65は、一定幅で形成される。キャビティ部65の幅は、基本モード及び1次モードのTE偏波を伝播させることができるように設定される。
キャビティ部65は、このキャビティ部65を伝播する光のうち、特定の波長の光の位相を整合させる。キャビティ部65の長さは、位相整合させる波長に応じて設計される。
出力側モード変換部70には、入力側モード変換部60と同様のグレーティングが全長に渡って形成されている。このグレーティングにより、出力側モード変換部70は、入力される特定の波長のTE偏波の伝播光を、基本モードから1次モードに変換して反射する。また、出力側モード変換部70は、その他の波長の伝播光を、基本モードのままで透過させる。
グレーティングが形成された出力側モード変換部70の基部71や突出部73a及び73bの設計は、入力側モード変換部60のグレーティングと同じ条件で、反射すべき波長λに対して上式(1)を満たすように設計される。
なお、出力側モード変換部70のグレーティングの長さ(すなわち出力側モード変換部70の長さ)は、入力側モード変換部60のグレーティングの長さ(入力側モード変換部60の長さ)と異なるように設定することができる。入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングを異なる長さとすることによって、透過光の波長ピークのフラットトップ特性を向上させることができる。
出力側テーパ部75は、出力側モード変換部70と接続された一端75aから、出力導波路部80と接続された他端75bへ、連続的に幅が縮小する。そして、出力側テーパ部75の他端75bの幅は、出力導波路部80の幅と等しく設定されている。出力側テーパ部75は、他端75bにおいて、TE偏波の伝播光に対してシングルモード条件を達成するように設定されている。
出力導波路部80は、TE偏波に対してシングルモード条件を達成する幅に設定されている。従って、出力導波路部80は、基本モードの光を伝播させる。
電極40は、クラッド20を介して、キャビティ部65を被覆する位置に形成される。電極40に電流を流すことでジュール熱を発生させることができる。そして、この発熱による熱光学効果によって、キャビティ部65の屈折率を変化させることができる。その結果、キャビティ部65によって位相整合させる波長を変化させることができる。
第1の波長フィルタ100では、入力導波路部50から入力され、入力側モード変換部60を透過するTE偏波、及び出力側モード変換部70で反射され、さらに入力側モード変換部60で反射されるTE偏波のうち、キャビティ部65の長さに応じて位相が整合する波長の基本モードの光が、出力導波路部80から出力される。
一方、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングによってモード変換されつつ反射された1次モードのTE偏波の伝播光のうち、キャビティ部65の長さに応じて位相が整合する波長の光が、入力側テーパ部55に入力される。反射光は、入力側テーパ部55を、入力導波路部50に向かって伝播する。しかし、上述したように、入力側テーパ部55の一端55aの幅は、TE偏波に対してシングルモード条件を満たすように設定されている。そのため、反射光は、入力導波路部50に移行することなく放射される。
従って、第1の波長フィルタ100は、キャビティ部65によって位相整合する、特定の波長の光を取り出す波長フィルタとして使用することができる。
また、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングを、tanh型apodize構造とし、突出部63a及び63b並びに突出部73a及び73bが各グレーティングにおいて異なる突出量を持つことによって、透過する光のピークの形状が崩れるのを防止することができる。
また、キャビティ部65を、基本モードの光に対してπの整数倍の位相が生じる長さとすることによって、キャビティ部65を伝播する基本モードの光に対して、複数の波長の位相を整合させることができる。従って、第1の波長フィルタ100は、出力光の波長ピークを多峰性とすることができる。
また、第1の波長フィルタ100では、電極40を用いてキャビティ部65に熱を与えることができる。そのため、キャビティ部65によって位相整合させる波長を変化させることができる。従って、第1の波長フィルタ100は、出力波長が可変である。
また、第1の波長フィルタ100は、リング共振器と等価な波長フィルタと見なすことができる。この場合、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングが、リング共振器の方向性結合器部分に対応する。また、キャビティ部65が、リング共振器のリング導波路部分に対応する。ここで、既に説明したように、リング共振器は、方向性結合器部分において作製誤差の影響を受けやすい。これに対し、第1の波長フィルタ100は、方向性結合器を構成として含まない。従って、第1の波長フィルタ100は、リング共振器と等価な機能を有しつつ、リング共振器と比べて作製誤差の影響を受けにくい。
なお、この実施の形態では、第1の波長フィルタ100が、TE偏波の入力光に対して、特定の波長のTE偏波の出力光を出力する構成について説明した。しかし、第1の波長フィルタ100は、TM偏波の入力光に対して、特定の波長のTM偏波の出力光を出力する構成とすることもできる。その場合には、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングを、反射すべき波長λに応じ、TM偏波に対して上式(1)が成立するように設計する。そして、キャビティ部65を伝播するTM偏波のうち、出力導波路部80から出力させる波長が位相整合するように、キャビティ部65の長さを設定する。
また、この実施の形態では、第1の波長フィルタ100が、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングにおいて、特定の波長の伝播光を、基本モードから1次モードに変換して反射する構成について説明した。しかし、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングが、p次モード(pはp≧0の整数)の特定の波長の光を、q次モード(qはq>pの整数)に変換して反射する構成とすることもできる。その場合には、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングにおける位相整合条件は、グレーティング周期をΛ、p次モードの光に対する等価屈折率をn、q次モードの光に対する等価屈折率nとして、下式(3)で表される。
2π/Λ=2π(n+n)/λ ・・・(3)
グレーティングでは、上式(3)が成立する波長λ、すなわちブラッグ波長の光がブラッグ反射される。グレーティングは、TE偏波又はTM偏波について、反射すべき波長λに対して上式(3)が成立するように設計される。そして、キャビティ部65を伝播するp次モードの光のうち、出力導波路部80から出力させる波長が位相整合するように、キャビティ部65の長さを設定する。さらに、入力側テーパ部55の一端55aの幅を、p次モードに対応する幅に設定することによって、q次モードの反射光を、入力導波路部50に移行することなく放射させることができる。
また、この実施の形態では、光導波路コア30が、2つのモード変換部(入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70)と1つのキャビティ部65を含む構成について説明した。しかし、光導波路コア30が、n個(nは2以上の整数)のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む構成とすることもできる。図3を参照して、第1の波長フィルタが、n個のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む場合の構成について説明する。図3は、n個のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む第1の波長フィルタ(波長フィルタ150)の概略的平面図である。なお、図3では、支持基板及びクラッドを省略して示してある。
n個のモード変換部160とn−1個のキャビティ部165とは、入力側テーパ部55及び出力側テーパ部75間で、交互に直列に接続される。
各モード変換部160には、上述した入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70と同様のグレーティングが全域に渡って形成されている。このグレーティングにより、各モード変換部160は、入力される特定の波長の伝播光を、基本モードから1次モードに変換して反射する。また、各モード変換部160は、その他の波長の伝播光を、基本モードのままで透過させる。各モード変換部160のグレーティングの突出部163a及び163bの周期は、入力側モード変換部60のグレーティングと同じ条件で、反射すべき波長λに対して上式(1)を満たすように設計される。
なお、各モード変換部160のグレーティングの長さ(すなわちモード変換部の長さ)は、一部又は全部が異なるように設定することができる。異なる長さのグレーティングを含むことによって、透過光の波長ピークのフラットトップ特性を向上させることができる。また、上述したチャープ構造(図2参照)を採用する場合には、グレーティング周期の変化量(上式(2)におけるΔΛ)を、各モード変換部160で共通とすることができる。
各キャビティ部165は、これら各キャビティ部165を伝播するTE偏波のうち、キャビティ部165の長さに応じた特定の波長の光の位相を整合させる。
このように、モード変換部160及びキャビティ部165を多段に接続することによって、出力導波路部80から出力される光の波長ピークのフラットトップ特性を向上させることができる。
ここで、フラットトップ特性を向上させるための、最適な各モード変換部160の長さ(すなわちグレーティングの長さ)の関係は、設けるモード変換部160及びキャビティ部165の数によって異なる。例えば、図4は、3個のモード変換部と2個のキャビティ部とを含む第1の波長フィルタ(波長フィルタ170)の概略的平面図である。なお、図4では、支持基板及びクラッドを省略して示してある。光導波路コア30が、3個のモード変換部160−1〜3と2個のキャビティ部165−1及び165−2を含む波長フィルタ170であって、上述したチャープ構造を採用する場合には、中央のモード変換部160−2の長さを、両端のモード変換部160−1及び160−3の長さの2倍程度とする。これによって、フラットトップ特性を向上させることができる。各モード変換部160の長さは、例えばFDTD(Finite Differential Time Domain)を用いたシミュレーションにより、モード変換部160及びキャビティ部165の数に応じて適宜決定することができる。
(第1の波長フィルタの特性評価)
発明者は、FDTDを用いて、第1の波長フィルタの特性を評価するシミュレーションを行った。
このシミュレーションでは、3つのモード変換部と2つのキャビティ部を備える第1の波長フィルタ(すなわち図4に示す波長フィルタ170)について、モード変換部160−1に基本モードのTE偏波を入力し、各モード変換部160−1〜3を透過して出力される出力光(透過光)、及び各モード変換部160−1〜3で反射されて出力される出力光(反射光)の強度を解析した。また、このシミュレーションでは、比較用波長フィルタを用意し、波長フィルタ170と同様の解析を行った。そして、波長フィルタ170と比較用波長フィルタとで特性を比較した。
このシミュレーションでは、以下のように第1の波長フィルタ(波長フィルタ170)を設計した。すなわち、光導波路コア30は、全体的に厚さを200nmとした。3つのモード変換部160−1〜3のうち両端に位置するモード変換部160−1及び160−3は、それぞれ長さを13055nmとした。また、3つのモード変換部160−1〜3のうち中央に位置するモード変換部160−2は、長さを20888nmとした。また、モード変換部160−1〜3のグレーティングでは、基部の幅が最大となる基部両端の幅W1(図4参照)を1000nm、及び基部の幅が最小となる基部中央の幅W2(図4参照)を850nmとした。また、突出部は、基部の幅が最大となる基部両端における幅方向の側端61c及び61dを基準として、側端61c及び61dよりも外側部分の最大突出量W3(図4参照)を75nmとした。また、グレーティングは、突出部の周期が368.7nmから377.3nmまで変化するチャープ構造(図2参照)とした。また、2つのキャビティ部165−1及び165−2は、それぞれ長さを27415.5nm及び幅を1000nmとした。
また、比較用波長フィルタは、各モード変換部の基部の幅を850nmの一定とし(すなわち突出部の突出量を75nmの一定とし)、その他の設計条件を上述した波長フィルタ170と共通とした。
シミュレーションの結果を、図5(A)及び(B)に示す。図5(A)及び(B)では、縦軸に、出力光の強度を任意単位で、また、横軸に波長をμm単位でとって示してある。図5(A)は、波長フィルタ170における出力光の強度を、また、図5(B)は、比較用波長フィルタにおける出力光の強度を、それぞれ示している。図5(A)における曲線601、及び図5(B)における曲線701は、基本モードのTE偏波の透過光の強度を示している。また、図5(A)における曲線603、及び図5(B)における曲線703は、1次モードのTE偏波の反射光の強度を示している。
図5(A)に示すように、第1の波長フィルタ(波長フィルタ170)では、基本モードのTE偏波の透過光として、複数のフラットトップの波長ピークが確認できる。これら透過光の波長ピークは、シャープな形状であり、かつ高さが揃っている。また、図5(A)に示すように、およそ1.50〜1.52μmの波長範囲に渡って、十分に波長分離できることが確認された。
一方、図5(B)に示すように、比較用波長フィルタでは、波長フィルタ170と比較して、透過光の波長ピークの高さが不揃いとなった。
この結果より、tanh型apodize構造のグレーティングを採用することによって、シャープかつ高さの揃った出力される透過光の波長ピークが得られることが確認された。
(第2の波長フィルタ)
図6を参照して、この発明の第2の実施の形態による波長フィルタ(以下、第2の波長フィルタとも称する)について説明する。図6(A)は、第2の波長フィルタを示す概略的平面図である。図6(B)は、図6(A)に示す第2の波長フィルタをII−II線で切り取った概略的端面図である。図6(A)では、光導波路コアのみを示してあり、クラッド及び支持基板を省略している。なお、第2の波長フィルタは、光導波路コアの少なくともモード変換部がスラブ導波路部を含んでいる点で、上述した第1の波長フィルタと相違する。第1の波長フィルタと共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2の波長フィルタ200では、光導波路コア230の少なくともモード変換部(入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70)に、スラブ導波路部235a及び235bが形成されている。なお、図6に示す構成例では、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のみでなく、キャビティ部65にもスラブ導波路部235a及び235bが形成されている。モード変換部60及び70並びにキャビティ部65に渡って、スラブ導波路部235a及び235bを形成することによって、モード変換部60及び70とキャビティ部65との間を伝播する光の損失を抑えることができる。
スラブ導波路部235a及び235bは、入力側モード変換部60、キャビティ部65及び出力側モード変換部70よりも小さい厚さで、かつこれら入力側モード変換部60、キャビティ部65及び出力側モード変換部70の長さ方向(光伝播方向)に沿った両側面に、入力側モード変換部60、キャビティ部65及び出力側モード変換部70と一体的に形成されている。
入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70には、全長に渡ってグレーティングが形成されている。このグレーティングにより、入力側モード変換部60は、入力される特定の波長の基本モードのTE偏波の伝播光を、基本モードのTM偏波に変換して反射する。また、入力側モード変換部60は、その他の波長の伝播光を偏波変換せずに透過させる。
グレーティングにおける位相整合条件は、グレーティング周期をΛ、基本モードのTE偏波に対する等価屈折率をnTE0、基本モードのTM偏波に対する等価屈折率nTM0として、下式(4)で表される。
2π/Λ=2π(nTE0+nTM0)/λ ・・・(4)
グレーティングでは、上式(4)が成立する波長λ、すなわちブラッグ波長のTE偏波がTM偏波に変換されつつブラッグ反射される。
入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70に、スラブ導波路部235a及び235bが形成されることによって、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70を伝播する光の電界分布は厚さ方向で偏心し、上下で非対称となる。このような入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70において上式(4)が成立することによって、グレーティングは、入力される光の偏波を変換して反射することができる。
また、第2の波長フィルタ200の入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70においても、上述したチャープ構造のグレーティング(図2参照)を採用することができる。この場合の周期毎のブラッグ波長のシフト量Δλは、周期Λの変化量ΔΛを用いて、下式(5)で表すことができる。なお、ngTE0は、基本モードのTE偏波に対する群屈折率を、また、ngTM0は、基本モードのTM偏波に対する群屈折率を、それぞれ示す。
Δλ=λΔΛ(nTE0+nTM0)/{Λ(ngTE0+ngTM0)} ・・・(5)
ΔΛを調整し、各周期のブラッグ波長がオーバーラップするようにΔλを設定することによって、ブラッグ反射帯域を拡大することができる。例えばn周期のグレーティングを形成する場合には、周期Λが一定である場合と比して、ブラッグ反射帯域をΔλ×n程度拡大することができる。その結果、ブラッグ反射の波長依存性を緩和することができる。
第2の波長フィルタ200では、入力導波路部50から入力され、入力側モード変換部60を透過するTE偏波、及び出力側モード変換部70でTM偏波に変換されて反射され、さらに入力側モード変換部60で偏波変換されて反射されるTE偏波のうち、キャビティ部65の長さに応じて位相が整合する波長の光が、出力導波路部80から出力される。
一方、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングによってモード変換されつつ反射された基本モードのTM偏波の伝播光のうち、キャビティ部65の長さに応じて位相が整合する波長の光が、入力側テーパ部55に入力される。この基本モードのTM偏波の反射光は、入力側テーパ部55を伝播し、入力導波路部50から出力される。入力導波路部50から出力される基本モードのTM偏波は、図示しない例えば偏波分離素子等を設けることにより、分離することができる。
従って、第2の波長フィルタ200は、キャビティ部65によって位相整合する、特定の波長の光を取り出す波長フィルタとして使用することができる。
また、第1の波長フィルタ100と同様に、第2の波長フィルタ200においても、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングを、tanh型apodize構造とし、突出部63a及び63b並びに突出部73a及び73bが各グレーティングにおいて異なる突出量を持つことによって、透過する光のピークの形状が崩れるのを防止することができる。なお、他の効果についても、第1の波長フィルタ100と同様である。
また、この実施の形態では、第2の波長フィルタ200が、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングにおいて、特定の波長の伝播光を、基本モードのTE偏波から基本モードのTM偏波に変換して反射する構成について説明した。しかし、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングが、p次モード(pはp≧0の整数)の一方の偏波の特定の波長の光を、q次モード(qはq>pの整数)の他方の偏波に変換して反射する構成とすることもできる。その場合には、入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70のグレーティングを、グレーティング周期をΛ、p次モードのTE偏波に対する等価屈折率をnTEp、q次モードのTM偏波に対する等価屈折率をnTMq、p次モードのTM偏波に対する等価屈折率をnTMp、q次モードのTE偏波に対する等価屈折率をnTEqとして、下式(6)又は(7)を満たすように設計する。
2π/Λ=2π(nTEp+nTMq)/λ ・・・(6)
2π/Λ=2π(nTMp+nTEq)/λ ・・・(7)
グレーティングでは、上式(6)又は(7)が成立する波長λ、すなわちブラッグ波長の光がブラッグ反射される。グレーティングは、TE偏波又はTM偏波について、反射すべき波長λに対して上式(6)又は(7)が成立するように設計される。そして、キャビティ部65を伝播するp次モードの光のうち、出力導波路部80から出力させる波長が位相整合するように、キャビティ部65の長さを設定する。
また、第2の波長フィルタ200においても、第1の波長フィルタ100と同様に、光導波路コア230が、2つのモード変換部(入力側モード変換部60及び出力側モード変換部70)と1つのキャビティ部65を含む構成について説明した。しかし、光導波路コア230が、n個(nは2以上の整数)のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む構成とすることもできる(図3参照)。
(第2の波長フィルタの特性評価)
発明者は、FDTDを用いて、第2の波長フィルタの特性を評価するシミュレーションを行った。
このシミュレーションでは、3つのモード変換部と2つのキャビティ部を備える第2の波長フィルタ(すなわち図4に示す波長フィルタ170にスラブ導波路部を追加した波長フィルタ)について、モード変換部に基本モードのTE偏波を入力し、モード変換部を透過して出力される出力光(透過光)、及び各モード変換部で偏波変換されつつ反射されて出力される出力光(反射光)の強度を解析した。また、このシミュレーションでは、第1比較用波長フィルタ及び第2比較用波長フィルタを用意し、第2の波長フィルタと同様の解析を行った。そして、第2の波長フィルタと第1比較用波長フィルタ及び第2比較用波長フィルタとで特性を比較した。
このシミュレーションでは、以下のように第2の波長フィルタを設計した。すなわち、各モード変換部及び各キャビティ部は、全体的に厚さを300nmとした。また、各スラブ導波路部は、厚さを220nm及び幅をそれぞれ100nmとした。また、3つのモード変換部のうち両端に位置するモード変換部は、それぞれ長さを11560nmとした。また、3つのモード変換部のうち中央に位置するモード変換部は、長さを18496nmとした。また、モード変換部のグレーティングでは、基部の幅が最大となる基部両端の幅を400nm、及び基部の幅が最小となる基部中央の幅を200nmとした。また、突出部は、基部の幅が最大となる基部両端における幅方向の側端61c及び61dを基準として、側端61c及び61dよりも外側部分の最大突出量W3(図4参照)を100nmとした。また、グレーティングは、突出部の周期が285.5nmから292.5nmまで変化するチャープ構造(図2参照)とした。また、2つのキャビティ部は、それぞれ長さを25432nm及び幅を400nmとした。
また、第1比較用波長フィルタは、各モード変換部の基部の幅を400nmの一定とし(すなわち突出部の突出量を200nmの一定とし)、その他の設計条件を上述した第2の波長フィルタと共通とした。
また、第2比較用波長フィルタ300は、図7に示すように、3つのモード変換部260−1〜3のうち中央に位置するモード変換部260−2の設計を第2の波長フィルタとは変更した。図7は、第2比較用波長フィルタ300の概略的平面図であり、支持基板及びクラッドを省略して示してある。第2比較用波長フィルタ300では、モード変換部260−2は、tanh型apodize構造のグレーティングが長さ方向に2つ連結されて構成されている。従って、第2比較用波長フィルタ300におけるモード変換部260−2の基部は、連続的に幅が縮小する部分と連続的に幅が拡大する部分とが、2つずつ交互に長さ方向に沿って連結されて構成されている。第2比較用波長フィルタ300におけるモード変換部260−2の全長は、上述した第2の波長フィルタにおける中央のモード変換部と共通である。また、その他の設計条件についても、上述した第2の波長フィルタと共通とした。
シミュレーションの結果を、図8(A)、(B)及び(C)に示す。図8(A)、(B)及び(C)では、縦軸に、出力光の強度を任意単位で、また、横軸に波長をμm単位でとって示してある。図8(A)は、第2の波長フィルタにおける出力光の強度を、また、図8(B)は、第1比較用波長フィルタにおける出力光の強度を、また、図8(C)は、第2比較用波長フィルタにおける出力光の強度を、それぞれ示している。図8(A)における曲線605、図8(B)における曲線705及び図8(C)における曲線805は、基本モードのTE偏波の透過光の強度を示している。また、図8(A)における曲線607、図8(B)における曲線707及び図8(C)における曲線807は、基本モードのTM偏波の反射光の強度を示している。
図8(A)に示すように、第2の波長フィルタでは、基本モードのTE偏波の透過光として、複数のフラットトップの波長ピークが確認できる。これら透過光の波長ピークは、シャープな形状であり、かつ高さが揃っている。また、図8(A)に示すように、およそ1.60〜1.62μmの波長範囲に渡って、十分に波長分離できることが確認された。
一方、図8(B)に示すように、第1比較用波長フィルタでは、第2の波長フィルタと比較して、透過光の波長ピークの高さが不揃いとなった。また、図8(C)に示すように、第2比較用波長フィルタでは、第2の波長フィルタと比較して、透過光の波長ピークの高さが不揃いであり、波長ピークの形状が崩れていた。
この結果より、tanh型apodize構造のグレーティングを採用することによって、シャープかつ高さの揃った出力される透過光の波長ピークが得られることが確認された。また、グレーティングの基部を、両端における2つの最大幅、及び中央における1つの最小幅を有する形状とすることによって、波長ピークの形状が崩れるのを防止できることが確認された。
(製造方法)
上述した第1の波長フィルタ100及び第2の波長フィルタ200は、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板を利用することによって、簡易に製造することができる。以下、一例として第1の波長フィルタ100の製造方法について説明する。
すなわち、まず、支持基板層、SiO層、及びSi層が順次積層されて構成されたSOI基板を用意する。次に、例えばエッチング技術を用い、Si層をパターニングすることによって、光導波路コア30を形成する。その結果、支持基板10としての支持基板層上にSiO層が積層され、さらにSiO層上に光導波路コア30が形成された構造体を得ることができる。次に、例えばCVD法を用いて、SiO層上に、SiOを、光導波路コア30を被覆して形成する。その結果、SiOのクラッド20によって光導波路コア30が包含される。次に、クラッド20上に電極40を形成して、第1の波長フィルタ100を製造することができる。なお、第2の波長フィルタ200を製造する場合には、Si層をパターニングする工程において、2段階のエッチングを行うことによりスラブ導波路部235a及び235bを含む光導波路コア230を形成することができる。
10:支持基板
20:クラッド
30、230:光導波路コア
40:電極
50:入力導波路部
55:入力側テーパ部
60:入力側モード変換部
61、71:基部
63a、63b、73a、73b:突出部
65:キャビティ部
70:出力側モード変換部
75:出力側テーパ部
80:出力導波路部
100、150、170、200:波長フィルタ

Claims (7)

  1. 交互に直列に接続された、n個(nは2以上の整数)のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む光導波路コアと、
    前記光導波路コアを包含するクラッドと
    を備え、
    前記モード変換部は、p次モード(pはp≧0の整数)の特定の波長の光を、偏波を変換せずにq次モード(qはq>pの整数)に変換して反射し、
    前記キャビティ部は、当該キャビティ部を伝播する、p次モードの特定の波長の光の位相を整合させ、
    前記モード変換部には、グレーティングが形成されており、
    前記グレーティングが形成された前記モード変換部は、該モード変換部の光伝播方向に延在して形成された基部と、該基部の両側面に、前記基部を挟んで反対称となる位置に周期的に複数形成された突出部とを含んで構成されており、
    前記基部の幅が、光伝播方向の両端から中央に向かって連続的に縮小することによって、前記突出部はそれぞれ固有の突出量を持ち、前記突出量には、少なくとも2以上の値があり、かつ前記モード変換部は、光伝播方向の各位置における等価屈折率が一定となり、
    前記グレーティングは、特定の波長λに対し、グレーティング周期をΛ、p次モードに対する等価屈折率をn、q次モードに対する等価屈折率をnとして、2π/Λ=2π(n+n)/λを満たす
    ことを特徴とする波長フィルタ。
  2. 交互に直列に接続された、n個(nは2以上の整数)のモード変換部とn−1個のキャビティ部とを含む光導波路コアと、
    前記光導波路コアを包含するクラッドと
    を備え、
    前記モード変換部は、p次モード(pはp≧0の整数)の一方の偏波の特定の波長の光を、q次モード(qはq>pの整数)の他方の偏波に変換して反射し、
    前記キャビティ部は、当該キャビティ部を伝播する、p次モードの特定の波長の光の位相を整合させ、
    前記モード変換部には、グレーティングが形成されており、
    前記グレーティングが形成された前記モード変換部は、該モード変換部の光伝播方向に延在して形成された基部と、該基部の両側面に、前記基部を挟んで反対称となる位置に周期的に複数形成された突出部とを含んで構成されており、
    前記基部の幅が、光伝播方向の両端から中央に向かって連続的に縮小することによって、前記突出部はそれぞれ固有の突出量を持ち、前記突出量には、少なくとも2以上の値があり、かつ前記モード変換部は、光伝播方向の各位置における等価屈折率が一定となり、
    前記グレーティングは、特定の波長λに対し、グレーティング周期をΛ、p次モードのTE偏波に対する等価屈折率をnTEp、q次モードのTM偏波に対する等価屈折率をnTMq、p次モードのTM偏波に対する等価屈折率をnTMp、q次モードのTE偏波に対する等価屈折率をnTEqとして、2π/Λ=2π(nTEp+nTMq)/λ又は2π/Λ=2π(nTMp+nTEq)/λを満たし、
    前記光導波路コアの少なくとも各前記モード変換部に、前記モード変換部よりも小さい厚さで、かつ前記モード変換部の光伝播方向に沿った両側面に、それぞれ前記モード変換部と一体的に形成されたスラブ導波路部が設けられている
    ことを特徴とする波長フィルタ。
  3. 前記突出部の前記基部と対向する側端は、前記基部の光伝播方向における中央付近に形成されている前記突出部ほど、前記基部と反対側に突出して位置する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の波長フィルタ
  4. 各隣り合う前記突出部間には、それぞれ固有のグレーティング周期があり、該固有のグレーティング周期は、光の伝播方向に沿って一定の変化量で変化する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の波長フィルタ。
  5. 前記固有のグレーティング周期の変化量が、各前記モード変換部で共通である
    ことを特徴とする請求項4に記載の波長フィルタ。
  6. 前記光導波路コアは、最端に配置された前記モード変換部に直列に接続された入力側テーパ部をさらに含み、
    前記入力側テーパ部は、一端からモード変換部と接続された他端へ、連続的に幅が拡大し、
    前記入力側テーパ部の一端は、p次モードに対応する幅に設定されている
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の波長フィルタ。
  7. 前記クラッドを介して前記キャビティ部を被覆する位置に、前記キャビティ部に熱を与えるための電極が形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の波長フィルタ。
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