以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。
図1は、本実施形態の冷蔵庫10の正面図である。図1に示す冷蔵庫10は、冷蔵庫本体1の正面に、冷蔵室左扉2と、冷蔵室右扉3と、製氷室扉4aと、急速冷凍室扉4bと、冷凍室扉5と、野菜室扉6とを備えている。冷蔵室左扉2は、上ヒンジ7a及び下ヒンジ8aにより、紙面手前方向に回動可能になっている。さらに、冷蔵室右扉3は、上ヒンジ7b及び下ヒンジ8bにより、紙面手前方向に回動可能になっている。即ち、冷蔵室左扉2及び冷蔵室右扉3は観音開き可能に備えられ、これらと冷蔵庫本体1とにより形成される空間に、冷蔵室(図示しない)が形成されている。
また、製氷室扉4a、急速冷凍室扉4b及び冷凍室扉5は、紙面手前方向に引き出し可能になっている。そして、これらと冷蔵庫本体1とにより形成される空間に、製氷室、急速冷凍室及び冷凍室(いずれも図示しない)がそれぞれ形成されている。野菜室扉6も同様に、紙面手前方向に引き出し可能になっている。さらに、これと冷蔵庫本体1とにより構成される空間に、野菜室100(図2参照)が形成されている。
図2は、本実施形態の冷蔵庫10における野菜室100(貯蔵室の一例)の上面斜視図である。野菜室100では、冷蔵庫本体1(図1参照)の内箱124が野菜室100の壁面(左壁、右壁及び底壁)を構成し、野菜室100と冷凍室との間に位置する断熱仕切壁が、野菜室100の上壁を構成している。この野菜室100では、下段容器101及び上段容器102が、前後方向に引出自在に収容されている。野菜室100の背面側には、圧縮機(図示せず)等を庫外に配置するための機械室が形成されている。そのため、底壁が正面側よりも背面側で高くなっている。また、下段容器101には、ガラス製の仕切り103が備えられている。これにより、下段容器101が二つの区画(正面側と背面側)に分割されている。そして、上段容器102は、下段容器101の二つの区画のうちの背面側の区画を覆うように、配置されている。
図3は、図2のA−A線断面図である。前記のように、下段容器101の内部は、仕切り103により、二つの区画、即ち後側空間101Aと前側空間101Bとに区画されている。仕切り103は、下段容器101の内壁において対向して設けられた一組の仕切り係止部104に挟持されている。
下段容器101は、前記のように、野菜室100内に収容されている。そして、下段容器101の側面に設けられたローラ(図示しない)が、野菜室100の左壁及び右壁を構成する内箱124の内壁に形成された引出レール127内を転がることで、野菜室100内に収容され、また、野菜室100から引き出される。また、野菜室100内から引き出された状態の上段容器102が野菜室100側に押されると、内箱124の内壁に形成された引出レール134により支持される。また、野菜室扉6を閉じた状態では、上段容器102が下段容器101の上端縁によって支持される。なお、上段容器102の正面側に設けられたハンドル106を操作することによって、上段容器101の押し込み、また、引き出しが容易となる。
下段容器101の内部の側壁には、後側空間101A内のエチレンガスを分解して二酸化炭素とするための光触媒を覆う、光を透過しないか、又は透過率を低減する樹脂製の遮蔽部材120が備えられている。この光触媒は、図16〜図19等を参照しながら後記する。また、下段容器101の内部の背面側側壁には、後側空間101A内の水分(水蒸気)を所定量以下に低減するための水分吸収放出装置112及びその前面を覆うカバー110が備えられている。蒸散カセット112の詳細も、図8〜図12等を参照しながら後記する。
図4は、図3のB部拡大図である。前記のように、上段容器102は、後側空間101Aを覆うように配置されている。このとき、上段容器102の正面側では、上段容器102の正面側底面に設けられた仕切り係合部102aが、仕切り103の上端面103aに接触するか、又は近接するように位置している。なお、仕切り係合部102aと仕切り103の上端面103aとの間には、隙間が形成されてもよい。また、本実施形態では上段容器102の正面側下面にパッキン等のシール部材は設けていないが、シール部材が部分的に設けられる構成であってもよい。
図5は、図3のC部拡大図である。上段容器102の背面側では、図5に示すように、上段容器102の後方下面に取り付けられたシール部材107と、下段容器101の後方上部とが接触している。そのため、上段容器102の背面側では、正面側と比べて、空気の通流が行われにくくなっている。
上段容器102の背面側下面に取り付けられたシール部材107は、上段容器102の左右方向(図2参照)の全域に亘って取り付けられているのではなく、上段容器102の左端部及び右端部に少し隙間を有して取り付けられている(図20も併せて参照)。即ち、本実施形態では、上段容器102の背面側の下面にシール部材107が備えられることで、後側空間101A内の密閉度が高められている。しかし、前記のように正面側にはシール部材は設けられておらず、また、背面側の左右双方でシール部材107が設けられていない部分があるため、後側空間101Aは、完全な密閉状態ではなく、略密閉状態になっている。なお、上段容器102と下段容器101との隙間から空気の流通が抑えられた構成であれば、必ずしもシール部材107を設けなくてもよい。例えば、上段容器102の下部に下方に延在するリブを設け、このリブで下段容器101上端との隙間を小さくするように構成してもよい。また、下段容器101の上部に上方に延在するリブを設け、このリブで上段容器102下端との隙間を小さくするように構成してもよい。
また、野菜室100の壁面、又は、野菜室100と冷凍室との間に位置する断熱仕切壁には、冷気の吹出口(図示しない)が形成されている。そして、この吹出口には、野菜室100を冷却する冷気の供給を制御可能な冷気供給調整手段(開閉ダンパ)141(図2参照)が設けられている。これにより、野菜室100に吹き出された冷気が、多少は後側空間101Aに入り込んで、また、正面側から抜けるようになっている。さらには、後側空間101A内の湿度が過度に上昇することを防止でき、意図しない部位での結露が防止される。なお、この点は、図20を参照しながらさらに詳述する。なお、必ずしも吹出口に冷気供給調整手段141を設ける構成でなくてもよい。
図6は、本実施形態の冷蔵庫10に備えられる下段容器101の正面側からの上面斜視図である。下段容器101の左側内壁には、前記の遮蔽部材120と、仕切り係止部104とが設けられている。また、下段容器101の右側内壁にも、前記左側内壁に設けられた仕切り係止部104とともに仕切り103を挟持する、仕切り係止部(図示しない)が設けられている。さらに、背面側内壁には、図6では図示しない水分吸収放出装置112を覆うように、空気が通り抜け可能な通気部110a,110b(図12参照)を有するカバー110が設けられている。
なお、カバー110に形成されている通気部110a,110bは、本実施形態では左右方向に延在したスリットで構成しているが、これに限らず、上下方向に延在したスリットで構成してもよい。また、通気部の構成としては、スリットに限らず空気が通ることができる隙間形状や孔形状等、公知の構成を採用することができる。
図7は、本実施形態の冷蔵庫10に備えられる下段容器101の背面側からの上面斜視図である。下段容器101の背面側の外部には、上下方向に対して傾斜を有して、水分吸収放出装置112が取り付けられている。下段容器101の背面側の側壁には、図7では図示しない開口が形成され、この開口に嵌るように、水分吸収放出装置112が取り付けられている。水分吸収放出装置112は、後側空間101A内の水蒸気を結露させて液体の水(結露水)にするとともに、当該液体の水を蒸散させて水蒸気として、後側空間101Aの外に排出するものである。水分吸収放出装置112の構成について、図8〜図12等を参照しながら説明する。
図8は、本実施形態の冷蔵庫10に備えられる水分吸収放出装置112の正面側からの斜視図である。図8に示すように、水分吸収放出装置112は、下段容器101に取り付けたときに、正面側に、平板状の金属板113が配置されるようにして構成されている。従って、水分吸収放出装置112を下段容器101の開口に取り付けると、金属板113は、後側空間101A内を臨むことになる。金属板113により、後側空間101A内の水蒸気が結露し液体の水(結露水)が得られる。枠114は、水分吸収放出装置112の各構成部品を支持固定可能な矩形形状の部材である。枠114のそれぞれの辺の部分は、独立して取り外し可能になっている。
図9は、図8に示す水分吸収放出装置112の背面側からの斜視図である。図9に示すように、水分吸収放出装置112は、背面側に第二フレーム115が配置されるようにして構成されている。この第二フレーム115は、開口(通気口)115aを備えている。開口115aは、本実施形態では複数の円形の孔を配列した構成としているが、孔の形状や大きさ、数等は特に限定されず、空気が通過する構成であればよい。これにより、水分吸収放出装置112の内部の水分吸収放出部材116(図10及び図11等を参照しながら後記する)が、空気と接触可能になっている。なお、使用者が開口115aから水分吸収放出装置112内部に直接触れられないようにすることと、外観意匠性を良好にすることを考慮して、開口115aの大きさや形状を設定することが好ましい。
図10は、図8に示す水分吸収放出装置112を開いたときの様子を示す図である。図10に示すように、金属板113の周囲は、第一フレーム151に支持されている。第一フレーム151と第二フレーム115の境界部は、互いに回動可能に接続されている(図10中の矢印d参照)。従って、この境界を基点に、第一フレーム151を第二フレーム115側に重なる位置まで回動させると、第一フレーム151の左右に所定間隔で複数設けた係合凹部152が、係合凹部152と対応する第二フレーム115の左右に位置する係合片153に係合する。これにより、第一フレーム151と第二フレーム115とが重なる状態で、これらが固定される。なお、この第一フレーム151と第二フレーム115とを重ねて固定した状態の組品は、前記のように枠114によって、周囲がさらに支持固定される。
水分吸収放出装置112には、金属板113と第二フレーム115との間に挟持されて、平板状の水分吸収放出部材116が内装されている。この水分吸収放出部材116は、下段容器101の背面側外部を通流する冷気と接触して、水分吸収放出部材116が保持する水分(液体)を冷気中に放出させるものである。水分吸収放出部材116は、金属板113に対して隙間を有して対向して配置されている。また、水分吸収放出部材11の下方には、吸収片部154が一体に設けられている。吸収片部154の詳細は、図12等を参照しながら後記する。
図11は、図10に示す水分吸収放出部材116の拡大図である。水分吸収放出部材116は、本実施形態では樹脂繊維で構成されている。樹脂繊維の一例としては、PE繊維やPET繊維が編み込まれて構成される。さらに一例の構成として、上下方向に向かって、PE繊維が編みこまれている。即ち、PE繊維の繊維方向が、上下方向になっている。これにより、上下方向への水の移動がより促進される。
水分吸収放出部材116は、金属板113と対向する(金属板113と並んで配置される)放出部116aと、水分吸収放出装置112を組み立てたときに金属板11の下端面が接触する吸収部116bとを備えている。これらのうち、放出部116aは、下段容器101の外部を通流する冷気が接触することになる。そして、吸収部116bは、金属板113において生じた結露水を受けるとともに、受けた結露水を放出部116aに供給するものである。
放出部116aと吸収部116bとは、一体に接続されている。具体的には、放出部116aは上下方向に延在しているとともに、放出部116aに接続された吸収部116bは、正面−背面方向に延在している。特に、吸収部116bは、放出部116aの下端から、正面側に向かって伸びるように形成されている。これにより、水分吸収放出部材116を用いて水分吸収放出装置112を組み立てるときに、水分吸収放出部材116の配置方向が一義的に決定され、誤組みが防止される。
なお、放出部116a及び吸収部116bは、一体に構成してもよく、別体に構成したものを互いに接触するか近接させて配置した構成であってもよい。また、放出部116aと吸収部116bの材料は、同種であっても異種であってもよい。また、放出部116a及び吸収部116bの延在方向は、必ずしも前記の方向に限定されず、放出部116a及び吸収部116bを同一方向又は異方向に延在させる構成であってもよく、それぞれ平面や曲面の組み合わせで構成してもよい。
また、放出部116aには、スリット116cが形成されている。従って、水分吸収放出装置112を下段容器101に取り付けた際、水分吸収放出装置112の開口115から水分吸収放出装置112内に入り込んだ冷気は、水分吸収放出部材116に加えて、金属板113にも接触することになる。これにより、後側空間101Aを臨む側とは反対側からも冷気が接触され、後側空間101A内での金属板113への結露が促進される。また、水分吸収放出部材116の両面に冷気が接触することになるので、水分吸収放出部材116からの結露水の放出が促進される。
また、放出部116aに形成されているスリット116cは、上下方向に延在している。これにより、スリットの数が多く確保され、放出部116aの両側により確実に冷気が接触される。なお、上下方向のスリット116cに限定されず、左右方向のスリット形状や、スリット形状以外にも孔形状等であってもよい。
図12を参照しながら、水分吸収放出装置112による、後側空間101A内の水分放出の方法を説明する。
図12は、本実施形態の冷蔵庫10における後側空間101A内での、水分吸収放出装置112近傍での空気の流れを示す図である。前記のように、水分吸収放出装置112が下段容器101に取り付けられると、金属板113は後側空間101Aを臨むことになる。従って、後側空間101A内の空気は、図12において実線矢印で示すように、カバー110に形成された上スリット110a又は下スリット110bを通って、金属板113に接触することになる。
ここで、下段容器101の背面側の外部には、野菜室100を冷却するための冷気が流れている。従って、この冷気は、金属板113の背面側にも、図12において破線で示すように流れることになる。そのため、この冷気によって金属板113も冷却される。これにより、金属板113に結露しやすくなり、金属板113以外での部位での結露が抑制される。そして、金属板113に結露した水は、水滴117として自重により流れ落ちて、水分吸収放出部材116の吸収部116bに到達することになる。
吸収部116bに到達した水滴117は、水分吸収放出部材116の内部を、毛細管現象によって拡散する。即ち、吸収部116bに流れ落ちた水滴117は、吸収部116bの全域に拡散する。そして、拡散した水は、金属板113に対向して配置された放出部116aを昇って、放出部116aを拡散することになる。特に、本実施形態では、樹脂繊維が上下方向に向かって編み込まれているため、上方向への水分の拡散が生じ易い。
そして、前記のように、金属板113と水分吸収放出部材116の放出部116aとは隙間を有して配置されている。また、水分吸収放出部材116には、スリット116cが形成されている。そのため、金属板113の背面側を流れる冷気は、放出部116aを包みこむようにして、流れていることになる。従って、放出部116aを拡散する水分は、冷気との接触により放出が促進される。このようにして、後側空間101A内の水分は、室外に移動した後、水分吸収放出部材116を介して野菜室100から冷凍サイクルを構成する熱交換器(図示せず)に送られるようになっている。即ち、後側空間101A内の水分が所定量以上の場合に水分の放出が促進される。
また、前記のように、カバー110には、上スリット110a及び下スリット110bが形成されている。上スリット110aは、空気の流れが上方向になるような傾斜を有するものである。カバー110の上側に上方向に向かう上スリット110aが設けられていることで、使用者が後側空間101A内を開けて使用するときに、金属板113を視認しにくくなる。これにより、意匠性が高められる。
また、下スリット110bは、空気の流れが下方向になるような傾斜を有するものである。カバー110の下側に下方向に向かう下スリット110bが設けられていることで、カバー110の壁面(後側空間101Aを臨む面)に水滴が付着して流れ落ちたときに、後側空間101Aの底面まで流れ落ちることを抑制することができる。即ち、カバー110の壁面を流れ落ちた水滴は、下スリット110bを通って、水分吸収放出部材116の吸収部116bに到達することになる。これにより、カバー110に付着した水滴も、水分吸収放出部材116によって吸収されて放出される。
特に、本実施形態では、水分吸収放出装置116は、上側が背面側に、下側が正面側に傾斜を有している。そのため、カバー110の表面を流れ落ちる水分は、直接底面に落下することを抑制でき、下スリット110bに入り込み易くなる。これにより、後側空間101A内の野菜等に水分が付着することがより抑制される。
また、枠114の内側底部には、図示のような水受け部114aが設けられている。水受け部114aの上方には、水分吸収放出部材116の吸収部116bが位置する。そして、水受け部114aには、上方に延在する支持部155が備えられている。支持部155が吸収部116bの前後方向の中間付近を下方から支持することで、水分を貯留する水受け部114aが吸収部116bの下方に形成されることになる。前記のように、金属板113を滴下した水分は吸収部116bに直接吸収されるが、もし吸収部116bに吸収されなかった場合でも、吸収されなかった水分は、水受け部114aに貯留されることになる。
さらに、水分吸収放出部材116は、図10及び図11に示したように、吸収部116bよりも部分的に下方に延出した吸収片部154を複数有する。この吸収片部154は、図12に示す組み立て状態において、枠114の内側底部の水受け部114aの空間内に位置する(図12では図示せず)。このため、吸収部116bで吸収されずに水受け部114aに貯留された水分は、吸収片部154を介して吸収されて、放出部116aへの移動が促される。即ち、この構成により、金属板113を滴下した水分が水分吸収放出装置112から下段容器101や野菜室100内に漏れることを抑制することができる。
図13は、本実施形態の冷蔵庫10における下段容器101内に備えられる仕切り103の斜視図である。仕切り103は、矩形状の樹脂製の枠部材103aと、枠部材103aで囲まれた矩形状のガラス板103bとを備えて構成されている。枠部材103bが図3等に示す仕切り係止部104に挿入されることで、仕切り103が下段容器101内に支持固定される。
また、枠部材103bの左右両側の下端には、背面方向に向かって凹部103cが形成されている。そのため、仕切り103が仕切り係止部104に挿入されるときに、仕切り103の向き(正面側と背面側との向き、及び、上下方向の向き)が決定されることになる。これにより、ガラス仕切り103の誤組みが防止される。この点を、図14及び図15を参照しながらさらに詳細に説明する。
図14は、本実施形態の冷蔵庫10においてガラス仕切り103が取り付けられた様子を示す図である。ガラス仕切り103は、下段容器104の左右両側面にそれぞれ設けられた、一組の仕切り係止部104の間に挟持されるようにして取り付けられる。即ち、この一組の仕切り係止部114の間に、上方向から仕切り板104が挿入されることで、仕切り板104が下段容器101内に取り付けられる。
図15は、図14のD−D線断面図である。前記のように、仕切り103の枠部材103bには、背面方向に向かって凹部103cが形成されている。一方で、図15に示すように仕切り103が取り付けられたときに、凹部103cに対向するように、一組の仕切り係止部104の内部に、凸面104aが形成されている。このようにすることで、仕切り103が取り付けられる際に、正面側と背面側とを反対にして仕切り103が取り付けられることが防止される。また、仕切り係止部104に対して、仕切り103が、上下方向及び正面−背面方向が逆になって挿入されることが防止される。
なお、仕切り103の構成は、凹部103cを有する構成に限定されない。従って、例えば、枠部103の左右又は前後の少なくともいずれかを、非対称又は異形の形状とすることにより、仕切り103の誤組みを防止できる。
また、仕切り103の枠部103aには、下方ほど幅が狭くなる傾斜が形成されている。一方で、下段容器101の仕切り係止部104の内壁には、挿入される枠部103aの幅に対応するように、下方ほど幅が狭くなる傾斜が形成されている。これらの構成により、仕切り103を上下反対にした状態で下段容器103に組み込もうとした場合に、仕切り103の幅が上側ほど広いため、下段容器101の所定高さ位置よりも下に仕切り103を組み込むことができない。これにより、仕切り103の上下の誤組みを防止できる。
図16は、本実施形態の冷蔵庫10の後側空間101A内のエチレンガスを分解する光触媒を含む部分を分解して示す斜視図である。前記のように、下段容器101の内壁には、光を不透過とするか、又は、透過率を低減した遮蔽部材120が取り付けられている。この遮蔽部材120は、図16に示すように、下段容器101の壁面に形成されたスリット101aを覆うように取り付けられている。なお、下段容器101の強度をより確実に確保する観点からは、スリット101aを形成することが好ましいが、スリット101aを設けずに開口を形成することでもよい。
一方で、スリット101aの外側(左側)の外枠156に嵌るように、ガラス板122が配置されている。このガラス板122には、後側空間101Aを臨む側(右側)に、酸化チタン等の光触媒材料が塗布されている。そして、ガラス板22を覆うように、光透過性の樹脂部材121が配置されている。この樹脂部材121は、ねじや係止爪等の締結部材123によって、下段容器101の外壁に固定されている。
図17は、本実施形態の冷蔵庫10の後側空間101A内のエチレンガスを分解する光触媒を含む部分の近傍を示す断面図である。遮蔽部材120は、下段容器101の内壁に対して、その長手方向が上下方向に向くように取り付けられているが、これに限らず、長手方向が左右方向に向くように取り付けられてもよい。
また、遮蔽部材120の正面側の端部と背面側の端部とには、気体流通部120aが形成されている。また、遮蔽カバー120とスリット101aとの間には隙間が形成されている。即ち、遮蔽カバー120と、スリット101aの外側(左側)に配置されるガラス板122(図17では図示しない、図16参照)との間には、隙間が形成されていることになる。このようにすることで、後側空間101A内の空気が、この隙間を通って、光触媒が塗布されたガラス板122に到達可能になる。
なお、気体流通部120aは、図17において、正面側の端部と背面側の端部のそれぞれに上下二箇所ずつ設けられているが、これに限らず、正面側の端部と背面側の端部の少なくともいずれかに1箇所設けた構成であってもよい。また、正面側の端部と背面側の端部以外にも、遮蔽部材120の後部空間101Aに対向する面に気体流通部120aが設けられてもよい
図18は、本実施形態の冷蔵庫10において下段容器101が収容される野菜室100を示す斜視図である。野菜室100の壁面を構成する内箱124の左側の内壁には、光照射部であるLED基板126(図18では図示しない、図19参照)を覆うLEDカバー125が配置されている。このLEDカバー125は光透過性の材料により構成され、前記の遮蔽カバー120と同様に、その長手方向が上下方向に向くように取り付けられている。LED基板126にはLED(図示しない)が実装されて、電圧がLEDに印加されることで、LEDが発光するようになっている。なお、図18では図示しないが、LED基板126は、内箱124の外側から収納部材128が取り付けられることで、後記するウレタンフォームとの接触が防止されている。
また、前記のように、内箱124の内部には、前記のように、下段容器101の端部を摺動可能に支持する引出レール127と、上段容器102の端部を摺動可能に支持する引出レール134とが形成されている。そして、引出レール127の下方にLED基板126等が配置されることで、引出レール127の下方に存在するデッドスペースが有効利用される。
なお、本実施形態では、引出レール127が内箱124面の上下方向で上方寄りに位置する場合に、引出レール127の下方にLED基板126等を配置しているが、これに限るものではない。例えば、引出レール127が内箱124面の上下方向で下方寄りに位置される場合、引出レール127の上方にLED基板126等が配置される構成でもよい。この構成により、引出レールの下方又は上方のデッドスペースを有効利用することができる。
図19は、下段容器101が野菜室100に収容された際のLED基板126とガラス板122との相対的な位置関係を示す図である。下段容器101が内箱124内に収容されると、下段容器101に取り付けられた光触媒等と、内箱124に取り付けられたLED基板126とが対向する。即ち、下段容器101は、LEDカバー125と樹脂部材121とが対向するように、内箱124に収容されることになる。
前記のように、LEDカバー125及び樹脂部材121はいずれも光透過性の材料により構成されている。従って、LED基板126上のLEDから発せられた光は、LEDカバー125及び樹脂部材121を透過して、光触媒が塗布されたガラス板122に到達するようになっている。ガラス板122の到達した光は、ガラス板122を透過して、後側空間101A側に塗布されている光触媒に照射される。これにより、光触媒が活性化して、後側空間101A内の空気に含まれるエチレンガスが二酸化炭素に分解されて、野菜等の鮮度が維持され、又は鮮度低下が抑制される。
また、LEDに対向する位置に光透過を抑制した遮蔽部材120が取り付けられているため、スリット101aを透過した光が後側空間101A内の野菜等に照射されることが抑制される。これにより、野菜等への光照射による野菜等の成長が抑制される。
図20は、本実施形態の冷蔵庫10の野菜室100における空気の流れを示す図である。図20において、空気は、一例として、太実線で示されるように流れる。具体的には、空気は、右上背面側に設けられた吹出口(冷気供給調整手段141)を通じて、野菜室100内に流入するようになっている。そして、流入した空気は、左下正面側に設けられた吸込口(図示しない)を通じて、野菜室100から冷凍サイクルを構成する熱交換器(図示せず)に送られるようになっている。
なお、吹出口、吸込口及び水分吸収放出装置116の相対的な配置は図示の例に限られないものの、水分吸収放出装置116は吹出口付近に配置されることが好ましい。例えば、水分吸収放出装置116は、下段容器101の後側空間101Aを構成する左壁、右壁、底壁のいずれか、又は仕切り103に設ける構成にしてもよい。また、前側空間101B上方を上段容器102で覆い比較的気密の空間とする場合、下段容器101の前壁に水分吸収放出装置116が配置される構成であってもよい。
ここで、吹出口から野菜室100に流入する冷気は低温である。従って、この影響で、吹出口付近で比較的気密とした後側空間101A(又は前側空間101B)を構成する下段容器101又は上段容器102の壁面は、結露しやすい条件となる。そこで、吹出口付近に水分吸収放出装置116を配置すれば、過冷却されることで結露しやすい後側空間101A(又は前側空間101B)の位置の水分を吸収することができるため、水分の吸収放出の効率が向上する。
前記したように、上段容器102の背面側下面には、シール部材107が固定されている(図5等参照)。従って、上段容器102と、下段容器101と、仕切り103との間に形成される空間(即ち後側空間101A)では、比較的気密性が高められている。しかし、気密性が高くなれば、室内の野菜等から発生した水蒸気等により、室内の湿度が上がり易い。そこで、本実施形態では、上段容器102の背面側下面に固定されたシール部材107は、上段容器102の下面における左右方向の全域に亘って延在させず、左右両端に設けない部位を設けている。
これにより、吹出口からの冷気は、冷気の吹出口の近傍のシール部材107が設けられていない部分から、後側空間101Aに入り込むことになる。ここで、後側空間101Aの正面側において、仕切り103と、その上の上段容器102との間には、シール部材は設けられていない。そのため、正面側では、背面側よりも冷気が比較的通りやすい構成である。また、上段容器102の右壁及び左壁と下段容器101との間、及び上段容器102の底面角部付近と下段容器101との間には、それぞれ隙間が形成されている。
これらの構成において、野菜室100の背面上側から吹出された冷気は、冷気の吹出される位置の前方である上段容器102の右側底面角部付近から、後側空間101A内に流入する。後側空間101Aに流入した冷気は、下段容器101の右壁上端付近から後側空間101Aの外側に抜けて、上段容器102又は下段容器191の右壁と内箱124の右壁との間を後方から前方に流れて、前方の吸込口から熱交換器(図示せず)に向かうことになる。
また、野菜室100の背面上側から吹出された冷気の一部は、上段容器102の背壁に沿って右側から左側に流れて、上段容器102の左側の底面角部付近から後側空間101A内に流入する。この冷気も、下段容器101の左壁上端付近から後側空間101Aの外側に抜けて、上段容器102又は下段容器191の左壁と内箱124の左壁との間を後方から前方に流れて、前方の吸込口から熱交換器(図示せず)に向かうことになる。
ここで、後側空間101A内のエチレンガスを二酸化炭素に分解する光触媒は、吹出口から離れた位置に設けられている。本実施形態では、吹出口が野菜室100の右側後方に配置されているとともに、光触媒が野菜室100の左側壁面に配置されている。吹出口から離れた位置の温度は、吹出口近傍の位置の温度よりも比較的高い。従って、後側区間101Aにおいて、温度が高い場所に置かれた野菜は、温度が低い場所に置かれた野菜と比べて、エチレンガスを比較的放出しやすい。そこで、このような温度の比較的温度の高い場所に光触媒を取り付けることで、エチレンガスがより効率的に分解される。例えば、吹出口を野菜室100後方の左右方向のいずれか寄りに設けて、吹出口が設けられた左右方向のいずれか寄りとは反対寄りの左右方向のいずれかの壁面に光照射部を設け、これに対向する下段容器101の壁面に光触媒を設ける。これにより、比較的温度の高い貯蔵空間の場所でエチレンガスの分解を効率的に行うことができる。
図21は、本実施形態の冷蔵庫10の側部にウレタンフォームを注入する際の様子を示す図である。図21は、冷蔵庫10の側面図であるが、説明の都合上、冷蔵庫本体1の外壁(外箱)を省略して示している。冷蔵庫10の側面には、ウレタンにより構成される断熱材が設けられている。
断熱材を構成するウレタンは、ウレタンフォームが固化されて形成される。具体的には、冷蔵庫10の正面側を鉛直下向きに倒した状態において、冷蔵庫10の背面側に形成され、硬質ウレタンフォームが充填発泡される空間と外部に連通する注入口131から、ウレタンフォームが当該空間内に注入される。このとき、ウレタンフォームは、図21に示す破線矢印の方向に向かって注入される。従って、注入口131から注入されたウレタンフォームは、鉛直下方向(冷蔵庫10の正面側に向かって)に流入する。そうすると、前記の空間内部において、ウレタンフォームが徐々に蓄積される。
ウレタンフォームが注入されている間、前記空間内のウレタンフォームの界面(液面)は徐々に上昇する。ここで、LED基板126を収容する収納部材128は、前記空間を臨むようにして、内箱124に取り付けられている。本実施形態では、LED基板126を収容する収納部材128は、ウレタンフォームの注入口131の前後方向の投影位置を避けて配置されている。そのため、ウレタンフォームの注入の際に、LED基板126を収容する収納部材128がウレタンフォームの流動を阻害することが抑制される。そのため、収納部材128の上側(背面側)にまで斑なく十分に、ウレタンフォームの充填発泡を行うことができる。
また、ウレタンフォーム(硬質ウレタンフォーム)が充填発泡される空間には、断熱材として、真空断熱材130が配置されている。一般的な真空断熱材130は、グラスウールや樹脂等の繊維積層体を外包材で覆い、外包材内部を減圧状態で密封して構成されるものである。そのため、断熱性能は、ウレタンフォームに比べて高い傾向にある。また、真空断熱材は高断熱性能であるため、真空断熱材とウレタンフォームとを併用することにより、ウレタンフォームを単独で用いる場合と比べて、断熱材の厚み及び充填量を低減することができる。
そこで、本実施形態では、LED基板126を収容する収納部材128に対向する位置に、真空断熱材130が配置されている。これにより、収納部材128の近傍では、ウレタンフォームの厚みは他の部分に比べて薄くなるものの(即ちウレタンフォームの流動空間が他の部分に比べて狭くなるものの)、真空断熱材130によって断熱性能の低下を抑制することができる。
図22は、本実施形態の冷蔵庫10に取り付けられる水分吸収放出装置112についての別の実施形態を示す正面側からの斜視図である。前記の実施形態では、水分吸収放出装置112は、金属板113と水分吸収放出部材116とが対向して構成されていた。しかし、水分吸収放出装置112についての別の実施形態では、正面視で、左右に金属板113と水分吸収放出部材116とが配置されている。具体的には、図22に示すように、金属板113は、後側空間101Aを臨んで、下段容器101の内側背面の右側に配置されている。
図23は、本実施形態の冷蔵庫10に取り付けられる水分吸収放出装置112についての別の実施形態を示す背面図である。図23に示すように、水分吸収放出部材116は、下段容器101の外側を臨んで、下段容器101の外側背面の右側に配置されている。
正面視で左右に配置された金属板113と水分吸収放出部材116とは、後側空間101Aの内外を連通する結露水流路(図示しない)を通じて接続されている。従って、金属板113の表面に発生した水滴117(図12参照)は、当該結露水流路を通って、後側空間101Aの外壁に取り付けられた水分吸収放出部材116に到達する。そして、水分吸収放出部材116に到達した結露水は水分吸収放出部材116内を拡散して、外部を通流する冷気に放出することになる。このようにしても、前記の後側空間101A内の湿度が良好に調節される。
以上、本実施形態について図面を参照しながら説明したが、本実施形態は前記の内容に何ら限定されるものではない。従って、本発明には、様々な変形例が含まれる。即ち、前記の実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。
例えば、後側空間101A内の水分を結露させて結露水とする高熱伝導部材として、前記の例では金属板(例えばアルミニウム、鉄、ステンレス等)を用いたが、金属板以外の材料でもよい。例えば、樹脂材料等が挙げられる。高熱伝導部材の形状も平板状に限定されず、どのようなものであってもよい。
また、例えば、保持する水分(結露水)を冷気に放出させる水分吸収放出部材として、前記の例では樹脂繊維を用いたが、これに限られない。例えば、多孔質の材料、スポンジ等を所望の形状にして、適用することができる。ただし、通常は、水分吸収放出部材の厚さを厚くすれば、保水量が増加するため、より効率よく水分を吸収して放出することができる。
さらに、前記の例では、金属板113と、水分吸収放出部材116を構成する吸収部116bとが接触して配置されているが、これらは接触しなくてもよい。即ち、金属板113の表面の結露水が吸収部116bに供給されれば、どのような形態であってもよい。
また、金属板113の表面に生じた結露水が自重により流れ落ちるように、金属板113は水平方向に対して傾斜を有して配置されているが、この傾斜の程度はどのような程度であってもよい。即ち、取付け場所と傾斜とを総合的に勘案すれば図示のように取り付けることが好ましいものの、例えば鉛直方向(水平方向に対して90°の傾斜)に取り付けられてもよい。また、金属板113の取付け位置も図示の場所に限られない。
さらに、金属板113と水分吸収放出部材116との間には、前記のように所定の隙間が設けられることが好ましいものの、その隙間の程度はどのようなものであってもよい。通常は、隙間が大きくなれば、より十分に水分を放出させることができる。また、金属板113に対してより十分な量の冷気を接触させることで、金属板113をより十分に冷却して、後側空間101A内の金属板113の表面への結露を促すことができる。また、隙間がなくても、水分吸収放出部材116には冷気が接触することから、水分吸収放出部材116と並んで配置される金属板113が冷却され、金属板113の表面に結露を生じさせることができる。
また、前記の例では、金属板113及び水分吸収放出部材116はいずれも平板状としたが、これらの形状は平板状が好ましいものの、平板状に限られない。また、これらは、対向して又は左右に配置されたようにしたが、配置の形態はこれらに限られない。
また、仕切り103として、前記の例ではガラスを用いたが、ガラス以外の材料でもよい。例えば、樹脂材料や金属材料が挙げられる。即ち、仕切り103は、所定の剛性を有する材料により構成すればよい。
さらに、前記の例では、湿度が調節される貯蔵室として野菜室100を挙げたが、他の貯蔵室であってもよい。
これらの他にも、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置換することが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらには、各実施形態の構成の一部について、他の構成を追加、削除、置換等することもできる。