JP6224900B2 - スクライビングホイール、スクライブ装置、スクライブ方法及び表示用パネルの製造方法 - Google Patents

スクライビングホイール、スクライブ装置、スクライブ方法及び表示用パネルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、脆性材料基板の表面にスクライブラインを形成する際のスクライビングホイール、スクライブ装置、脆性材料基板のスクライブ方法及び表示用パネルの製造方法に関し、特にスクライビングホイールの稜線部に複数の溝が形成されたスクライビングホイール、このような溝が形成されたスクライビングホイールを用いたスクライブ装置、スクライブ方法及び表示用パネルの製造方法に関する。
液晶パネル等の製造においてガラス基板を分断する際には、一般的にスクライブ装置が用いられ、このスクライブ装置のスクライビングホイールによって、基板平面に対して直角な方向にクラックが形成される。
このようなスクライビングホイールとして、超硬合金製或いは焼結ダイヤモンド製の円板を外周面に沿って両面から研磨することで、外周縁に断面略V字状となる刃を形成し、刃先となる稜線が形成されたものが一般的に知られている。
一方、特許文献1に記載されているように、刃先となる稜線に一定間隔で溝を形成することで、より深いクラックを形成することが可能な溝付きのスクライビングホイールも知られている。
この溝付きのスクライビングホイールは、突起状の刃先部分と溝部分とが基板上に交互に接近することにより、刃先部分が間欠的に基板に当たるようになる。その結果、基板に打点衝撃を与えつつ基板表面にスクライブラインが形成されるので、スクライブラインに沿って伸展する垂直クラックの深さが、上述した溝のないスクライビングホイールにより形成されるクラックの深さよりもはるかに深くなる。なお、スクライブラインとは脆性材料基板の表面に形成されたスクライブの痕のことであり、スクライビングホイールが脆性材料基板に与える塑性変形部分や、基板表面に水平方向へ生じる微小なクラックを含むものである。
また、溝付きのスクライビングホイールによれば、刃先部分に集中的に圧接の荷重が加わるようになり、これによっても垂直クラックの深さがより深くなるので、溝のないスクライビングホイールよりも高い浸透性を備えている。
特許第3074143号公報
上記のような高い浸透性を備えた溝付きのスクライビングホイールについて、この溝の深さと溝の幅(稜線の延在方向における長さ)が様々なものを用いて、ガラス基板の分断を行ったところ、ガラス基板等の脆性材料基板を分断する上で、溝の深さと溝の幅との関係が重要であることが判明した。
つまり、溝の深さに対して溝の幅があまり大きいと、溝と溝との間の刃先部分のエッジ角度が鈍角になり過ぎてしまい、脆性材料基板に対する食いつき(掛かり)が悪くなる。また、溝付きのスクライビングホイールを用いてスクライブすると、スクライブ後に時間経過によって溝部分の形状に対応したガラス片がガラス基板から剥離し、比較的大きいカレットとなる。溝の形状及びスクライビングホイールのサイズによっては、脆性材料基板に垂直クラックを形成した際にガラス片が剥離してカレットが生じやすく、しかも生じるカレットが大きくなってしまい、脆性材料基板で発生した大きなカレットが分断工程や分断工程以降の工程で悪影響を与えてしまう。
また、溝付きのスクライビングホイールは、打点衝撃によって、深い垂直クラックを形成することが可能である反面、水平方向への微小なクラックも発生するため、溝のないスクライビングホイールに比べ、スクライブラインのライン幅が広くなってしまう傾向にある。
そして、スクライビングホイールによって形成されるスクライブラインは、通常、脆性材料基板を分断した後も、基板の端部表面に残ってしまうものであるため、スクライブラインのライン幅が広くなってしまうと、様々な問題が発生するおそれがある。
例えば、表示装置に用いられる液晶パネル等の表示用パネルは、小型化、デザイン性向上、複数のパネルをつないだ超大型パネルの実現等の目的のために、狭額縁化が望まれている。スクライブラインが額縁領域に残っていても、額縁領域の幅に十分な余裕があれば問題はないが、狭額縁化が進んで額縁領域の幅に余裕がなくなると、表示用パネルを用いて表示装置を組み立てた後、表示装置の外枠からスクライブラインが見えてしまう、という問題がある。
また、基板の表面に残っているスクライブラインからガラス小片が剥がれ落ち、このガラス小片が基板表面に付着したり、表示用パネルの配線を傷つけたりする等の問題が生じる。
そして、高い浸透性を備えた溝付きのスクライビングホイールについて、この溝の深さと溝の幅(稜線の延在方向における溝の長さ)が様々なものを用いて、ガラス基板の分断を行ったところ、スクライブラインのライン幅に関しても、溝の深さと溝の幅との関係が重要であることが判明した。
つまり、溝の深さに対して溝の幅が大きすぎると、垂直クラックが伸展するだけでなく、水平方向にもクラックが大きく伸展してしまい、スクライブラインのライン幅が広がってしまうことがわかった。
そこで、本発明者はこの問題を解消すべく種々検討を重ねた結果、稜線に溝が複数形成されたスクライビングホイールにおいて、溝の深さに対して溝の幅が所定の範囲となるようにすることで、この問題を解消し得ることに想到し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、上記問題を解消することを課題とし、脆性材料基板を分断するのに最適な高い浸透性を備えた溝付きのスクライビングホイール、スクライブ装置、スクライブ方法及び表示用パネルの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一つの態様に係るスクライビングホイールは、円板の円周部に沿って、稜線と、前記稜線の両側の傾斜面からなる刃と、を有し、前記稜線に複数の溝が形成されたスクライビングホイールであって、前記溝は深さが2μm以上であり、側面視の方向における前記溝の幅が35μm以下であって、前記溝の深さの3.2倍以下であり、前記稜線の幅の1.0〜3.2倍であることを特徴とする。
このようなスクライビングホイールは、少ない切断荷重で脆性材料基板に深いクラックを形成でき、スクライビングホイールの溝に起因するカレットの発生を抑制することができる。また、このようなスクライビングホイールは、脆性材料基板の表面に形成されたスクライブラインのライン幅の広がりを抑えことができる。
本発明の他の態様に係るスクライブ装置は、円板の円周部に沿って、稜線と、前記稜線の両側の傾斜面からなる刃と、を有し、前記稜線に複数の溝が形成されたスクライビングホイールであって、前記溝は深さが2μm以上であり、側面視の方向における前記溝の幅が35μm以下であって、前記溝の深さの3.2倍以下であり、前記稜線の幅の1.0〜3.2倍であるスクライビングホイールと、スクライビングホイールを回転自在に保持するホルダーと、前記ホルダーが取り付けられたスクライブヘッドと、を有することを特徴とする。
このようなスクライブ装置は、少ない切断荷重で脆性材料基板に深いクラックを形成でき、スクライビングホイールの溝に起因するカレットの発生を抑制することができるため、脆性材料基板を分断するのに最適な高い浸透性を備えたものとなる。また、このようなスクライブ装置は、脆性材料基板の表面に形成されたスクライブラインのライン幅の広がりを抑えことができる。
本発明の他の態様に係るスクライブ方法は、スクライビングホイールを用いて脆性材料基板にスクライブラインを形成する脆性材料基板のスクライブ方法であって、スクライビングホイールとして、円板の円周部に沿って、稜線と、前記稜線の両側の傾斜面からなる刃と、を有し、前記稜線に複数の溝が形成され、前記溝は、深さが2μm以上であり、側面視の方向における前記溝の幅が35μm以下であって前記溝の深さの3.2倍以下であり、前記稜線の幅の1.0〜3.2倍であるものを用い、前記スクライビングホイールに荷重を加え前記脆性材料基板の表面上を回転させながらスクライブラインを形成することを特徴とする。
このようなスクライブ方法は、少ない切断荷重で脆性材料基板に深いクラックを形成でき、スクライビングホイールの溝に起因するカレットの発生を抑制することができる。また、このような脆性材料基板のスクライブ方法は、脆性材料基板の表面に形成されたスクライブラインのライン幅の広がりを抑えことができる。
本発明の他の態様に係る表示用パネルの製造方法は、スクライビングホイールを用いた表示用パネルの製造方法であって、スクライビングホイールとして、円板の円周部に沿って、稜線と、前記稜線の両側の傾斜面からなる刃と、を有し、前記稜線に複数の溝が形成され、前記溝は、深さが2μm以上であり、側面視の方向における前記溝の幅が35μm以下であって前記溝の深さの3.2倍以下であり、前記稜線の幅の1.0〜3.2倍であるものを用い、前記スクライビングホイールに荷重を加えてマザー基板の表面上を回転させながらスクライブラインを形成し、前記マザー基板を分断して前記表示用パネルを得ることを特徴とする。
このような表示用パネルの製造方法によって、スクライブラインのライン幅の広がりを抑え、基板端部に残るスクライブラインの幅を小さくすることができる。
実施形態におけるスクライブ装置の概略図である。 実施形態におけるスクライブ装置が有するホルダージョイントの正面図である。 実施形態におけるホルダーの斜視図である。 実施形態におけるホルダーの一部拡大図である。 図5(a)は実施形態におけるスクライビングホイールの側面図であり、図5(b)はスクライビングホイールの正面図であり、図5(c)はスクライビングホイールの一部拡大図である。 図6(a)はマザー基板の平面図と拡大図であり、図6(b)は図6(a)におけるC−Cの断面図であり、図6(c)は図6(b)におけるマザー基板を分断した断面図である。 表示装置の断面図である。 実験例1〜8のスクライビングホイールに関する表である。 実験例1〜8のスクライビングホイールのスクライブ結果に関する表である。 実験例1〜8のスクライビングホイールによって形成したスクライブラインのライン幅に関するグラフである。 実験例1、実験例4、実験例6のスクライビングホイールを用いて形成したスクライブラインの写真である。 実験例1〜8のスクライビングホイールによって形成したスクライブラインのクラックの長さに関するグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための一例を示すものであって、本発明をこの実施形態に特定することを意図するものではない。本発明は特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも適応し得るものである。
実施形態に係るスクライブ装置10の概略図を図1に示す。スクライブ装置10は、移動台11を備えている。そして、この移動台11は、ボールネジ13と螺合されており、モータ14の駆動によりこのボールネジ13が回転することで、一対の案内レール12a、12bに沿ってy軸方向に移動できるようになっている。
移動台11の上面には、モータ15が設置されている。このモータ15は、上部に位置するテーブル16をxy平面で回転させて所定角度に位置決めするためのものである。脆性材料基板17は、このテーブル16上に載置され、図示しない真空吸引手段などによって保持される。なお、スクライブの対象となる脆性材料基板17は、ガラス基板、セラミック基板、サファイア基板、シリコン基板等の脆性材料基板である。
スクライブ装置10は、脆性材料基板17の上方に、脆性材料基板17の表面に形成されたアライメントマークを撮像する2台のCCDカメラ18を備えている。そして、スクライブ装置10には、移動台11とその上部のテーブル16を跨ぐように、x軸方向に沿ってブリッジ19が、支柱20a、20bによって架設されている。
このブリッジ19には、ガイド22が取り付けられており、スクライブヘッド21がガイド22に沿ってx軸方向に移動可能に設置されている。そして、スクライブヘッド21には、ホルダージョイント23を介して、ホルダー30が取り付けられている。
図2はホルダー30が取り付けられたホルダージョイント23の正面図である。また、図3はホルダー30の斜視図である。また、図4は図3のA方向から観察したホルダー30の側面の一部を拡大した図である。
ホルダージョイント23は略円柱状をしており、回転軸部23aと、ジョイント部23bを備えている。スクライブヘッド21にホルダージョイント23が装着された状態で、この回転軸部23aには、ホルダージョイント23を回動自在に保持するための二つのベアリング24a、24bが、円筒形のスペーサ24cを介して取り付けられている。なお、図2には、ホルダージョイント23の正面図が示されるとともに、回転軸部23aに取り付けられたベアリング24a、24bとスペーサ24cの断面図が併せて示されている。
円柱形のジョイント部23bには、下端側に円形の開口25を備えた内部空間26が設けられている。この内部空間26の上部にマグネット27が埋設されている。そして、マグネット27によって着脱自在なホルダー30が、この内部空間26に挿入されて取り付けられている。
このホルダー30は、図3に示すように略円柱形をしており、磁性体金属で形成されている。そして、ホルダー30の上部には、位置決め用の取付部31が設けられている。この取付部31は、ホルダー30の上部を切り欠いて形成されており、傾斜部31aと平坦部31bを備えている。
そして、ホルダー30の取付部31側を、開口25を介して内部空間26へ挿入する。その際、ホルダー30の上端側がマグネット27によって引き寄せられ、取付部31の傾斜部31aが内部空間26を通る平行ピン28と接触することで、ホルダージョイント23に対するホルダー30の位置決めと固定が行われる。また、ホルダージョイント23からホルダー30を取り外す際には、ホルダー30を下方へ引くことで、容易に外すことができる。
ホルダー30の下部には、ホルダー30を切り欠いて形成された保持溝32が設けられている。そして、保持溝32を設けるために切り欠いたホルダー30の下部に、保持溝31を挟んで支持部33a、33bが位置している。この保持溝32には、スクライビングホイール40が回転自在に配置されている。また、支持部33a、33bには、スクライビングホイール40を回転時自在に保持するためのピン50を支持しておく支持孔34a、34bがそれぞれ形成されている。
そして、図4に示すように、スクライビングホイール40のピン孔45にピン50を貫通させるとともに、支持孔34a、34bにピン50の両端を設置することにより、スクライビングホイール40は、ホルダー30に対して回転自在に取り付けられることになる。なお、支持孔34aは、内部に段部を有しており、保持溝32側の開口の孔径が、他方側の開口の孔径よりも大きくなっている。
次に、スクライビングホイール40の詳細について説明を行う。図5(a)はスクライビングホイール40の側面図であり、図5(b)はスクライビングホイール40の正面図であり、図5(c)は図5(a)の円Bで示した部分の拡大図である。
スクライビングホイール40は、主として、本体部41と、刃42と、刃先43と、溝44と、を有している。
本体部41は円板状をしている。本体部41の中心付近には、回転軸に沿って本体部41を貫通する貫通孔45が設けられている。この貫通孔45にピン50が挿入されており、スクライビングホイール40は、このピン50を介してホルダー30に回転自在に保持されている。そして、この本体部41の外周には、円環状の刃42が形成されている。
刃42は、回転軸を中心とした同心円状の内周及び外周により形成される円環状体である。また、刃42は正面視で略V字状となっており、回転軸に沿った刃42の厚さは稜線部となる刃先43に向かうに従って徐々に小さくなっている。つまり、刃42は、刃先43となる稜線の両側の傾斜面で構成されている。
刃先43は刃42の最外周部に沿って設けられている。そして刃42の最外周部には、刃先43と溝44が交互に形成されている。なお、この溝44に関しては詳細を後述する。
このスクライビングホイール40は、超硬合金や焼結ダイヤモンドから形成される。また、スクライビングホイール40は、超硬合金等の基材にダイヤモンド等の硬質材料の膜をコーティングしたものを用いても良い。
例えば、この焼結ダイヤモンド製のスクライビングホイール40は主としてダイヤモンド粒子と、残部の添加剤及び結合材からなる結合相と、から作られている。このダイヤモンド粒子の平均粒子径は1.5μm以下のものが用いられている。そして、焼結ダイヤモンド中におけるダイヤモンドの含有量は75.0〜90.0vol%の範囲である。
添加剤としては例えば、タングステン、チタン、ニオブ、タンタルより選ばれる少なくとも1種以上の元素の超微粒子炭化物が好適に使用される。焼結ダイヤモンド中における超微粒子炭化物の含有量は3.0〜10.0vol%の範囲であり、この超微粒子炭化物は1.0〜4.0vol%の炭化チタンと、残部の炭化タングステンと、を含む。
結合材としては、通常、鉄族元素が好適に使用される。鉄族元素としては、例えばコバルト、ニッケル、鉄等が挙げられ、この中でもコバルトが好適である。また、焼結ダイヤモンド中における結合材の含有量は好ましくはダイヤモンド及び超微粒子炭化物の残部であり、更に好ましくは3.0〜20.5vol%の範囲である。
次に、このスクライビングホイール40の製造方法について説明する。まず、上述のダイヤモンド粒子、添加剤、結合材を混合し、ダイヤモンドが熱力学的に安定となる高温及び超高圧下において、これら混合物を焼結させる。これにより焼結ダイヤモンドが製造される。この焼結時において、超高圧発生装置の金型内の圧力は5.0〜8.0GPaの範囲であり、金型内の温度は1500〜1900℃の範囲である。
次に、製造された焼結ダイヤモンドから所望の半径となる円板が切り取られる。そして、この円板の周縁部において、両面側それぞれを削ることで傾斜面を形成し、断面V字状の刃42を有するスクライビングホイール40ができる。
そして、このスクライビングホイール40の稜線となる刃先43に対し、直交するようにして円板状の砥石を当接させることで、刃先43に図5(C)に示すようなU字状の溝44が形成される。この時、一つの溝44を形成するごとに、砥石は退避させる。そして、スクライビングホイール40を所定のピッチに相当する回転角だけ回転させた後、また砥石を当接させることで、次の溝44が形成される。このようにしてスクライビングホイール40の刃42の先端には、刃先43と溝44とが交互に等ピッチで設けられる。
次に、このスクライビングホイール40の寸法について説明する。スクライビングホイール40の外径Dmは、1.0〜10.0mmであり、好ましくは1.0〜7.0mm、特に好ましくは1.0〜5.0mmの範囲である。スクライビングホイール40の外径Dmが1.0mmより小さい場合には、スクライビングホイール40の取り扱い性が低下する。一方、スクライビングホイール40の外径Dmが10.0mmより大きい場合には、スクライブ時の垂直クラックが脆性材料基板17に対して深く形成されないことがある。
また、スクライビングホイール40の厚さThは、0.4〜1.2mm、好ましくは0.4〜1.1mmの範囲である。スクライビングホイール40の厚さThが0.4mmより小さい場合には、加工性及び取り扱い性が低下することがある。一方、スクライビングホイール40の厚さThが1.2mmより大きい場合には、スクライビングホイール40の材料及び製造のためのコストが高くなる。
また、刃42の刃先角θ1は、通常鈍角であり、90≦θ1≦160(deg)、好ましくは90≦θ1≦140(deg)の範囲である。なお、刃先角θ1の具体的角度は、切断する脆性材料基板17の材質、厚さ等から適宜設定される。
また、溝44は、溝の深さHに対して溝の幅Lが、2.0〜3.2倍の長さとなるように形成されている。なお、図5(c)において破線で示されているのは、スクライビングホイール40に溝44を形成する前の刃先43を示した線である。そして、溝の深さHはこの仮想の線から最も深くなった距離である。また、溝の幅Lは溝の端部つなぐ仮想の直線の長さのことである。また、稜線の幅Wは刃先43の長さのことである。
ここで、溝の深さHは、スクライビングホイール40の外径及び切断される脆性材料基板17の材質、厚さ等に応じて設定される。そして溝の深さHは、2.0〜14μmの範囲で設定されており、好ましくは3.0〜11.0μmの範囲であり、さらに好ましくは5.0〜11.0μmの範囲である。溝の深さHが2.0μmより小さい場合には、脆性材料基板に深い垂直クラックを形成することが困難になる。また、溝の深さHが14μmより大きい場合には、溝の体積が大きくなるため、垂直方向のクラックだけでなく、水平方向へもクラックが伸展して、スクライブによるライン幅が広くなってしまう。また、水平方向のクラックは時間の経過によりさらに伸展し、複数の水平クラックが結合することで、比較的大きなカレットの発生が避けられなくなってしまう。また、水平方向のクラックの長さは、溝の体積に依存することから、溝の幅Lを溝の深さHに対して2.0〜3.2倍とすることの効果は、溝の深さHが5.0μm以上の場合に特に大きくなる。
また、溝の幅Lは、5.0〜35μmの範囲で設定されており、好ましくは7.0〜30μmの範囲である。溝の幅が35μmを超える場合には、同様に溝の体積が大きくなるため、スクライブラインの幅が広くなるとともに大きなカレットの発生が避けられなくなってしまう。
また、稜線の幅Wは10〜30μmであることが好ましい。稜線の幅が10μmより小さい場合には荷重を十分に基板へ伝えることができず、垂直クラックが十分に浸透しない。一方、稜線の幅が30μmより大きい場合には水平クラックが生じやすくなる。
さらに、溝の幅Lは稜線の幅Wに対して1.0〜3.2倍の長さであることが好ましく、特に1.0〜1.8倍であることが好ましい。1.0倍よりも小さい場合には垂直クラック十分伸展せず、一方、3.2倍よりも大きい場合スクライブラインの幅が広く、またカレットが大きくなってしまう。
なお、溝の形状は上記の溝の深さ及び溝の幅の大きさを満たすものであれば、U字状、V字状、台形状など種々の形状をとることができる。
また、図5(c)のθ2で示された、溝44と刃先43の交点xを通過する溝側からの接線と刃先側からの接線の交差角で表される、刃先43のエッジ角度θ2は115≦θ2≦135(deg)の範囲であることが好ましい。これは、エッジ角度が大きくなりすぎると、脆性材料基板に対する食いつき(掛かり)が悪くなってしまうためである。また、溝44における、溝44と刃先43の交点xを通過する二つの接線が交差する角(接線交差角)θ3は、60≦θ3≦90(deg)の範囲であることが好ましい。
ここで、スクライビングホイールを用いて脆性材料基板を分断する際、脆性材料基板の表面に形成されたスクライブラインのライン幅LWによる影響について具体例を用いて説明する。図6(a)は脆性材料基板であるマザー基板の平面図と拡大図であり、図6(b)は図6(a)におけるC−Cの断面図であり、図6(c)は図6(b)におけるマザー基板を分断した断面図である。また、図7は表示装置の断面図である。
スクライビングホイールによって基板表面にスクライブラインが形成される脆性材料基板は、液晶パネル等の表示用パネル60を製造するための大型のガラス基板である。このガラス基板はマザー基板70とも呼ばれている。通常このマザー基板70を用いて複数の表示用パネル60が一度に製造される。なお、図6の(a)に示すマザー基板の平面図は、マザー基板全体ではなく一部のみである。
まず、図6(a)に示すように、マザー基板70上には、表示用パネル60毎に画素等が形成される。具体的には、表示用パネル60は、表示領域61と、表示領域61周辺の額縁領域62とで構成され、この表示領域61にはスイッチング素子やカラーフィルタ等で構成される画素が複数形成され、額縁領域62には表示領域61の各画素に各種の信号を送るための配線や外部接続端子等が形成される。
つぎに、図6(a)、(b)に示すように、表示用パネル60毎に画素等が形成されたマザー基板70において、表示用パネル60の境界に沿って、荷重を加えたスクライビングホイール40を回転移動させる。これにより、マザー基板70の表面にスクライブライン71が形成される。なお、このスクライブライン71は、マザー基板70の表面におけるスクライビングホイール40の荷重による塑性変形領域及び水平方向のクラックからなるものである。
そして、図6(b)に示すように、このスクライブライン71を形成することによって、スクライブライン71に沿って、スクライブライン71の略中央からマザー基板70の垂直方向に垂直クラック72が伸展する。
つぎに、スクライブライン71と垂直クラック72が形成されたマザー基板70に応力を加えることによって、図6(c)に示すように、マザー基板70はパネルごとに分断され、表示用パネル60が完成する。
そして、図7に示すように、表示用パネル60の額縁領域62を額縁状の外枠73で覆い、図示していない制御用基板等を表示用パネル60へ接続することによって、表示装置74が製造される。
ここで、マザー基板70に形成されたスクライブライン71のライン幅LWが広くなってしまうと、次のような問題が生じるおそれがある。
まず、図6(c)に示すように、スクライブライン71は、表示用パネル60に分断された後も、ライン幅LWの半分程度の割合で、表示用パネル60の基板端部表面にスクライブ痕71aとして残存してしまう。額縁領域62の額縁幅aが十分に広ければ問題はないが、狭額縁化により額縁幅aが狭くなってくると、額縁幅aの中でスクライブ痕71aの占める割合が増すことになる。このため、正面方向からは外枠73によってスクライブ痕71aが完全に覆われていたとしても、斜め方向から表示装置74を観察すると、スクライブ痕71aが直接見えたり、スクライブ痕71aで乱反射が生じ、スクライブ痕71aが目立ってしまったりする、という問題が生じることがある。
また、スクライブ痕71aが観察されてしまうことを防ぐため、額縁幅aを広くすると、マザー基板70により製造される表示パネル60の数が減ってしまう等の問題が生じる。また、外枠73の幅を広くしたりすると、コストの増加や、外枠73が表示領域61に重なってしまう等の問題が生じる。
また、表示装置74となった後にも、表示用パネル60の基板端部表面にスクライブライン71からなるスクライブ痕71aが多く残っていると、やがて振動等で水平クラック同士が接続し、小片のカレットが発生し、このカレットによって配線等が傷つくおそれがある。そのため、表示用パネル60に残存するスクライブ痕71aを完全に取り除こうとすると、研磨等の別の工程が必要になり、コストの増加を招いてしまう。
また、表示用パネル60が、液晶パネルのように二枚のマザー基板70を貼り合わせて作られるものであれば、スクライブライン71が形成される面と同一の面に配線等が形成されることは少ないため、スクライブライン71の形成によって、配線等が切断されるおそれも少ない。しかしながら、用いるマザー基板70が一枚で、スクライブライン71が形成されるマザー基板70の表面と同一の面に配線等が直接形成されるような構成の表示用パネル60であれば、スクライブライン71の形成によって、配線等が切断されてしまうおそれもある。
以上のような問題は、マザー基板70の表面に形成されるスクライブライン71のライン幅LWの広がりを抑制し、ライン幅LWをできるだけ狭くすることによって、解決することが可能になる。そこで、スクライブラインのライン幅の広がりを抑制するスクライブ方法として、本実施形態では、溝44の深さHが2μm以上であり、溝44の幅Lが35μm以下であって深さHの3.2倍以下となるようなスクライビングホイール40を用い、このスクライビングホイール40に荷重を加えて脆性材料基板17の表面上を回転させてスクライブラインを形成するスクライブ方法を行った。そして、このスクライブ方法によって、スクライブラインのライン幅の広がりを抑制でき、ライン幅の狭いスクライブラインを実現することができた。
本実施形態のスクライブ方法によって脆性材料基板17の分断を行った具体的な結果について説明する。まず、本実施形態のスクライブ方法における溝44の深さHが2μm以上であり、溝44の幅Lが35μm以下であって深さHの3.2倍以下となるようなスクライビングホイール40として、実施例1、2、3の3つのスクライビングホイールを用いた。
具体的には、実施例1のスクライビングホイールは、
外径Dm 2.0mm
厚さTh 0.65mm
刃先角θ1 115°
溝の深さH 10.7μm
溝の幅L 28.0μm
L/H 2.6
突起数 170個
である。
また、実施例2のスクライビングホイールは、
外径Dm 2.0mm
厚さTh 0.65mm
刃先角θ1 115°
溝の深さH 9.3μm
溝の幅L 26.0μm
L/H 2.8
突起数 180個
である。
また、実施例3のスクライビングホイールは、
外径Dm 2.0mm
厚さTh 0.65mm
刃先角θ1 115°
溝の深さH 7.7μm
溝の幅L 24.0μm
L/H 3.1
突起数 190個
である。
また、実施例1、2、3のスクライビングホイールと比較するため、比較例1、2の二つのスクライビングホイールを用いて脆性材料基板17の分断も行った。
比較例1のスクライビングホイールは、
外径Dm 2.0mm
厚さTh 0.65mm
刃先角θ1 115°
溝の深さH 10.7μm
溝の幅L 38.0μm
L/H 3.6
突起数 135個
である。
また、比較例2のスクライビングホイールは、
外径Dm 2.0mm
厚さTh 0.65mm
刃先角θ1 115°
溝の深さH 7.7μm
溝の幅L 37.0μm
L/H 4.8
突起数 140個
である。
このように、5つのスクライビングホイールを用いて、0.7mm厚のガラス基板の分断を行った。そして、形成されたスクライブラインのライン幅を観察したところ、溝の深さHに対する溝の幅Lが大きな比較例1、2に比べて、実施例1、2、3のライン幅が狭くなっていた。これは、例えば、同じ溝の深さHである実施例1と比較例1の場合、溝の幅が広い比較例1は、スクライブの際に、水平方向(ガラス基板面と平行な方向)にもクラックが発生し、このクラックが時間経過とともに伸展したためと思われる。その結果、比較例1のスクライビングホイール1はライン幅が広がり、反対に実施例1のスクライビングホイールはライン幅の広がりが抑制されていた。さらに、水平方向へのクラックの伸展に伴い、溝の体積程度の比較的大きなガラス片(カレット)が発生していた。また、同じ溝の深さHである実施例3と比較例2の場合も同様の結果であった。
また、同じ溝の深さHである実施例1と比較例1の場合、溝の幅Lが広い比較例1の方はスクライブの際に、溝と対応した形状のガラス片(カレット)が多量に発生してしまった。つまり、水平方向へのクラックの伸展に伴い、溝の体積程度の比較的大きなカレットが発生していた。溝の体積程度の比較的大きなカレットは、ガラス基板に付着すると取り除くことが困難であり、分断工程やその後の工程で悪影響(例えばガラス基板表面への傷の形成)を与えてしまう可能性が高く、このようなカレットの発生は好ましくない。一方、溝の幅Lが小さい実施例1ではスクライブ後もガラス片が剥離し難い。これは、溝の幅Lが小さいことにより、突起に相当する稜線に対応してガラス基板表面に形成され、スクライブラインを構成する破線が長くなり、溝に対応する破線の破断部分の割合が小さくなることにより、小さいスクライブ荷重でのスクライブラインの形成が可能となり、結果として、ガラス表面から溝に対応する形状のガラス片を剥離させるような応力の発生を抑制することができるためと考えられる。また溝の幅Lが小さいため、生じたカレットの大きさも比較例1に比べ小さなものであり、カレットによる影響は比較例1に比べ非常に低い。このような結果は、溝の深さが同じ実施例3と比較例2においても同様である。
また、実施例1、2、3に比べ、溝の深さHに対する溝の幅Lが大きな比較例1、2の場合は、垂直クラックが浸透するのに必要な荷重が大きくなる傾向があった。例えば、0.7mm厚のガラス基板を分断する場合、垂直クラックの深さである浸透量として400μm以上の垂直クラックが形成された時の切断荷重を比べてみたところ、実施例1、2、3では切断荷重が7.5kgf(⇒73.5N)で400μm以上の垂直クラックが生じたのに対し、比較例1、2では切断荷重10kgf(⇒98.0N)で400μm以上の垂直クラックが生じた。
この理由として、溝の深さHに対して溝の幅Lが大きくなり過ぎてしまうと、図5(c)のθ2で示された刃先43のエッジ角度が大きくなってしまい、脆性材料基板に対する食いつき(掛かり)が悪くなってしまったためと思われる。上記の結果のように、溝の深さHに対して溝の幅Lが3.2倍以下となるように溝44を形成しておくことで、脆性材料基板17に対して同じ量の垂直クラックを形成しようとした場合に、切断荷重が小さくできる。したがって、少ない切断荷重で効率的に垂直クラックを発生させることができるので、さらにカレットの発生が低減できる。
次に、実施例1、2、3とは異なるスクライビングホイールを用いて本実施形態のスクライブ方法による脆性材料基板17の分断を行った結果について説明する。用いたスクライビングホイールは、実験例1〜8のものであった。実験例1〜8のスクライビングホイールは、何れも外径Dmが2.0mm、厚さThが0.65mm、刃先角θ1が100°であった。また、図8は、実験例1〜8の他の要素について記載した表である。図8には、実験例1〜8の溝の深さH、溝の幅L、稜線の幅W、突起数、L/H、L/W、を示している。
図8に示すように、溝の深さHに対して溝の幅Lが2.0〜3.2倍の長さとなるスクライビングホイールは実験例2〜8のスクライビングホイールであり、実験例1のスクライビングホイールはL/Hが3.8になっている。
そして、実験例1〜8のスクライビングホイールを用いて、これらスクライビングホイールに荷重を加え脆性材料基板の表面上を回転させながらスクライブラインを形成するようにスクライブを行った。図9は、実験例1〜8のスクライビングホイールを用いたスクライブ結果の表である。図9には、実験例1〜8のスクライビングホイールの切断領域と、脆性材料基板にできたスクライブラインのライン幅LWと、クラックの長さ、を示している。
この切断領域は、脆性材料基板を切断する上で良好なスクライブラインを形成できる荷重域のことである。この荷重域は、リブマークと呼ばれる肋骨状のスジの発生を基準に最低荷重を測定し、この最低荷重から、水平クラックの増加や基板の割れ等により良好なスクライブラインが形成できなくなる最大荷重までを測定した値である。図9に示すように、切断領域は実験例1〜8のスクライビングホイールによって異なっており、また、実験例2〜8のスクライビングホイールは実験例1に比べて切断領域における最低荷重が低かった。
なお、図9に示すように、ライン幅LW測定のためにスクライブラインを形成した荷重は、切断領域の最低荷重(Min)に1Nを加えた荷重(したがって、スクライビングホイール毎で荷重は異なる)、10Nの荷重、15Nの荷重、の3パターンであった。
ライン幅LWは、脆性材料基板表面にできた水平方向のクラックの最大値である。そして、3つの荷重それぞれで、ライン幅LWを測定した。なお、図10は測定したライン幅LWをグラフにしたものである。また、図11は、実験例1、実験例4、実験例6のスクライビングホイールを用いて形成したスクライブラインの実際の写真である。
クラックの長さは、脆性材料基板にできた垂直方向のクラックの最大値である。クラックの長さについても、3つの荷重それぞれで測定を行った。なお、図12は測定したクラックの長さをグラフにしたものである。
なお、実験例1〜8のスクライビングホイールを用いてスクライブを行った時のその他の条件は以下である。
脆性材料基板:0.7mmのガラス基板(単板、素ガラス)
スクライブ装置:三星ダイヤモンド工業株式会社製スクライブ装置(MSタイプ)
スクライブ速度:300mm/sec
図8〜図12に示すように、L/Hが3.2以下ではない実験例1のスクライビングホイール(L/H 3.8)を用いてスクライブを行った場合、L/Hが3.2以下の実験例2〜8のスクライビングホイールに比べ、ライン幅が広くなっている。
特に、パネル用のガラス基板を分断する場合、スクライブラインのライン幅LWは、30μm程度までが好ましい。これは、ライン幅LWが30μmであれば、図7で示したスクライブライン71によるスクライブ痕71aが15μm程度になり、この程度のスクライブ痕71aであれば、狭額縁化においても、スクライブ痕71aが視認される等の問題も生じにくいからである。そして、実験例2〜8のスクライビングホイールでは、切断領域の中でも実際の切断荷重として設定されることの多い低荷重(図9の、Min+1Nの荷重や、10Nの荷重)において、ライン幅LWが略30μmであったり、30μmよりも大幅に狭くなっている。
また、図12に示すように、実験例2〜8のスクライビングホイールについては、基板の厚みに対して70〜80%程度の浸透量があり、特に10Nの荷重においては何れも600μm以上というクラックが生じ、高い浸透性も備えていることがわかる。また、実験例2、3については、ライン幅の広がりを抑えながら、実験例1と変わらない浸透性を備えている。
また、図8に示すように、溝の幅Lと稜線の幅Wの関係について、実験例1のスクライビングホイールのL/Wは3.3であるのに対し、実験例2〜8のスクライビングホイールは、L/Wが何れも3.2以下になっている。また、図8や図10に示すように、スクライビングホイールのL/Wは、ライン幅の広がりを抑制する上で1.8以下がより好ましい。
このように、溝の深さHが2μm以上であり、溝の幅Lが35μm以下であってL/Hが3.2以下となるような実験例2〜8のスクライビングホイールを用い、このスクライビングホイールに荷重を加えて脆性材料基板の表面上を回転させてスクライブラインを形成することによって、実施例1、2、3のスクライビングホイールと同様、少ない切断荷重で効率的に垂直クラックを発生させることができるので、さらにカレットの発生が低減できる。また、溝の深さHが2μm以上であり、溝の幅Lが35μm以下であってL/Hが3.2以下となるような実験例2〜8のスクライビングホイールを用い、このスクライビングホイールに荷重を加えて脆性材料基板の表面上を回転させてスクライブラインを形成することによって、実施例1、2、3のスクライビングホイールと同様、高い浸透性を備えたまま、スクライブラインのライン幅LWの広がりを抑制することができ、ライン幅の狭いスクライブラインを実現することができる。
これは、溝の深さHに対して溝の幅Lが大きくなり過ぎてしまうと、図5(c)のθ2で示された刃先43のエッジ角度が大きくなってしまい、脆性材料基板に対する食いつき(掛かり)が悪くなってしまうからである。したがって、上記のように、溝の深さHに対して溝の幅Lが3.2倍以下となるようにすることで、脆性材料基板に対する掛かりがよくなり、水平方向へのクラックの伸展を抑え、垂直方向へ効率よくクラックを伸展させることになった。
また、溝の幅Lが大きくなり過ぎてしまうと、先に基板に食い込んだ刃先43と次に基板に食い込んだ刃先43との間隔が広くなり、打点衝撃によって、溝の位置に大きなカレットが発生してしまう。したがって、この時水平方向のクラックが大きく伸展してしまうことになる。一方、上記のように、溝の深さHに対して溝の幅Lが3.2倍以下となるようにすることで、刃先43と刃先43の間隔も狭くなり、そこに発生するカレットも小さくなって、水平方向へのクラックの伸展を抑えながら、垂直方向のクラックを伸展させることができる。
一方、実施例1、2、3や実験例2〜8に比べ、溝の深さHに対する溝の幅Lが更に小さくなってしまう場合、特に具体的な比較例を記載していないが、例えばL/Hが1.9になってしまうと、スクライブの際に生じたより微細なガラス粒子からなるカレットが溝に入り込んでしまい、分断を行う度に溝内にカレットが溜まってしまうため、徐々に浸透量が低下してしまって好ましくない。
そこで、本実施形態のように、溝44の深さに対して溝44の幅が2.0〜3.2倍の範囲となるようにスクライビングホイール40の溝44を形成することによって、脆性材料基板17を分断するのに最適で浸透性の高く、スクライブラインのライン幅の広がりを抑制することができるスクライビングホイール40を実現することができる。また、このようなスクライビングホイール40をスクライブ装置10に用いることで、上述の効果を奏するスクライブ装置10となる。
なお、本実施形態においては、スクライビングホイール40の刃42に溝44を形成する方法として、円板状の砥石を使った研磨による方法について説明したが、例えばレーザ加工による方法等他の方法で溝が形成されたスクライビングホイールでも構わない。
また、本実施形態においてスクライブ装置10はスクライビングホイール40を保持す
るホルダー30をスクライブヘッド21に取り付ける際に、ホルダージョイント23を介して取り付ける構成となっている。しかしながら、スクライブ装置10はスクライブヘッド21に直接ホルダー30を取り付ける構成であっても構わない。
また、本実施形態においては、スクライブ装置10として、スクライブヘッド21を移動させためのガイド22やブリッジ19が設けられていたり、脆性材料基板17が載置されるテーブル16を回転させる移動台11が備わっていたりするものを示したが、このようなスクライブ装置10に限定されるものではない。例えば、ホルダー30が取り付けられたスクライブヘッド21をユーザーが握れるようにするために、スクライブヘッド21の一部形状が柄の形状をしており、ユーザーがこの柄を持って移動させることで脆性材料基板17の分断を行うような、所謂手動式のスクライブ装置であっても適用可能である。
10・・・スクライブ装置
11・・・移動台
12a、12b・・・案内レール
13・・・ホールネジ
14、15・・・モータ
16・・・テーブル
17・・・脆性材料基板
18・・・CCDカメラ
19・・・ブリッジ
20a、20b・・・支柱
21・・・スクライブヘッド
22・・・ガイド
23・・・ホルダージョイント
23a・・・回転軸部
23b・・・ジョイント部
24a、24b・・・ベアリング
24c・・・スペーサ
25・・・開口
26・・・内部空間
27・・・マグネット
28・・・平行ピン
30・・・ホルダー
31・・・取付部
31a・・・傾斜部
31b・・・平坦部
32・・・保持溝
33a、33b・・・支持部
34a、34b・・・支持孔
40・・・スクライビングホイール
41、41a・・・基材
41・・・本体部
42・・・刃
43・・・刃先
44・・・溝
45・・・貫通孔
50・・・ピン
60・・・表示用パネル
61・・・表示領域
62・・・額縁領域
70・・・マザー基板
71・・・スクライブライン
71a・・・スクライブ痕
72・・・垂直クラック
73・・・外枠
74・・・表示装置

Claims (7)

  1. 円板の円周部に沿って、稜線と、前記稜線の両側の傾斜面からなる刃と、を有し、前記稜線に複数の溝が形成されたスクライビングホイールであって、
    前記溝は深さが2μm以上であり、側面視の方向における前記溝の幅が35μm以下であって、前記溝の深さの3.2倍以下であり、前記稜線の幅の1.0〜3.2倍であることを特徴とするスクライビングホイール。
  2. 前記溝は前記溝の幅が前記溝の深さの2.0倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のスクライビングホイール。
  3. 請求項1または2に記載のスクライビングホイールを回転自在に保持するホルダーと、
    前記ホルダーが取り付けられたスクライブヘッドと、を有することを特徴とするスクライブ装置。
  4. スクライビングホイールを用いて脆性材料基板にスクライブラインを形成する脆性材料基板のスクライブ方法であって、
    スクライビングホイールとして、
    円板の円周部に沿って、稜線と、前記稜線の両側の傾斜面からなる刃と、を有し、前記稜線に複数の溝が形成され、
    前記溝は、深さが2μm以上であり、側面視の方向における前記溝の幅が35μm以下であって前記溝の深さの3.2倍以下であり、前記稜線の幅の1.0〜3.2倍であるものを用い、
    前記スクライビングホイールに荷重を加え前記脆性材料基板の表面上を回転させながらスクライブラインを形成することを特徴とする脆性材料基板のスクライブ方法。
  5. 前記スクライビングホイールとして、前記溝の幅が前記溝の深さの2.0倍以上のものを用いることを特徴とする請求項4に記載の脆性材料基板のスクライブ方法。
  6. 前記脆性材料基板を用いた表示用パネルの製造において行われる請求項4または5に記載の脆性材料基板のスクライブ方法。
  7. スクライビングホイールを用いた表示用パネルの製造方法であって、
    スクライビングホイールとして、
    円板の円周部に沿って、稜線と、前記稜線の両側の傾斜面からなる刃と、を有し、前記稜線に複数の溝が形成され、
    前記溝は、深さが2μm以上であり、側面視の方向における前記溝の幅が35μm以下であって前記溝の深さの3.2倍以下であり、前記稜線の幅の1.0〜3.2倍であるものを用い、
    前記スクライビングホイールに荷重を加えてマザー基板の表面上を回転させながらスクライブラインを形成し、
    前記マザー基板を分断して前記表示用パネルを得ることを特徴とする表示用パネルの製造方法。
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