JP6223863B2 - グリース組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、鉄鋼及び一般工業用など、あらゆる用途に適用できるグリース組成物に関する。
近年機械技術が益々発展する中で、機器は厳しい条件下で運転されるようになってきている。例えば自動車工業において、高性能化や小型、軽量化に伴い、等速ジョイント、軸受、歯車などに使用される潤滑剤には、極圧性や耐摩耗性、耐フレーキング性などの性能向上が強く求められている。
通常これらの対策としては、極圧剤や耐摩耗剤、固体潤滑剤などが使用されており、特に等速ジョイントや低速高負荷条件下で使用される転がり軸受に使用される潤滑グリースには、摩擦面の金属同士の接触を回避するため、フッ素樹脂粉末(例えば、PTFE)や硫化物(例えば、二硫化モリブデンや有機モリブテン)又はリンや亜鉛化合物を配合する技術によって、潤滑性や耐フレーキング性を確保している(特許文献1)。しかしながら、これらの添加剤は高価なものや化学活性の強いもの、或いは重金属を含む場合もあり、添加量の制限や、取扱いにも十分に注意する必要性が多い。また増ちょう剤としてPTFEを用い、基油にパーフルオロポリエーテル油を用いた高性能グリースの報告例もあるが、これも同様に非常に高価であるため、用途が限定されている(特許文献2)。そこで、これらの添加剤に替わる新たな材料が求められており、なかでも安全性や環境負荷の他、材料コストの点で優位性の高い、ポリフェノール系天然高分子が注目されている。
特開2009−138055号公報 特開2011−111569号公報 特表2013−518929号公報
ポリフェノール系天然高分子のなかでもセルロース、ヘミセルロースとともに植物細胞壁を構成する主要成分のひとつであるリグニンは、高い極圧性能を示し、硫黄−リン系添加剤を組み合わせることで更に極圧性が向上することが報告されている(特許文献2・3)。しかし、これらの報告例は極圧性の性能向上のみに着目されており、現に、硫黄−リン系添加剤との組み合わせにおいても極圧性以外の耐摩耗性や耐フレーキング性に必ずしも優れているとは言えない。グリース市場では極圧性以外にも耐摩耗性・耐フレーキング性の向上に対する要望は大きく、リグニンを添加したグリース組成物においても、同様の性能向上が望まれている。そこで、本発明は、安全性や環境負荷の他、材料コストの点で優位性の高いリグニンを用いた、極圧性・耐摩耗性・耐フレーキング性に優れたグリース組成物を提供することを課題とする。
本発明者等は、潤滑油及び半固体状潤滑剤に、リグニンと無灰硫黄化合物及び/又はジチオカルバミン酸塩とを含有させると、極圧性だけでなく、耐摩耗性や耐フレーキング性が大幅に向上することを見出し、この得られた知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
本発明は、(I)リグニンと、(II)無灰硫黄化合物及び/又は(III)ジチオカルバミン酸塩と、を含有するグリース組成物である。
ここで、前記グリース組成物全体を100質量%として、成分Iが0.1〜20質量%であってもよい。
また、前記グリース組成物全体を100質量%として、成分IIが0.1〜5質量%であってもよい。
また、前記グリース組成物全体を100質量%として、成分IIIが0.1〜10質量%であってもよい。
また、前記リグニンの数平均分子量が500〜3000であってもよい。
また、前記無灰硫黄化合物がメルカプタン類又は窒素・硫黄含有複素環式化合物であってもよい。
また、前記ジチオカルバミン酸塩の金属元素がモリブテン又は亜鉛であってもよい。
また、グリースの増ちょう剤がウレア系増ちょう剤であってもよい。
本発明のグリース組成物は、優良な極圧性、耐摩耗性、及び耐フレーキング性を得ることができる。更に、本発明のグリース組成物は、従来のグリース組成物と同等程度の添加物濃度において潤滑性能の向上が得られるのみならず、より少ない濃度の添加剤を用いながら、同等の性能が得られるという利点がある。このことはコストの削減(比較的高価な添加剤の使用量が少なくてすむこと)のほかに典型的な極圧添加剤の使用濃度のおいて起こる、例えば腐食、酸化の不安定性、高温での使用による製品の寿命の劣化等を伴う複数の問題を回避し、また減少したりすることができるという多くの利点をもたらす。
本発明に係るグリース組成物は、リグニンと、無灰硫黄化合物及び/又はジチオカルバミン酸塩と、が添加されてなる。以下、本発明に係るグリース組成物の、具体的な成分、各成分の配合量、製造方法、物性、用途に関して詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されない。
≪成分≫
<成分/基油>
本発明の潤滑剤組成物に用いられる基油には、通常の潤滑油に使用される鉱油、合成油、これらの混合油を適宜使用することができる。特に、API(American Petroleum Institute;米国石油協会)基油カテゴリーでグループ1、グループ2、グループ3、グループ4などに属する基油を、単独又は混合物として使用することができる。
グループ1基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、溶剤精製、水素化精製、脱ろうなどの精製手段を適宜組み合わせて適用することにより得られるパラフィン系鉱油がある。
グループ2基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、水素化分解、脱ろうなどの精製手段を適宜組み合わせて適用することにより得られたパラフィン系鉱油がある。ガルフ社法などの水素化精製法により精製されたグループ2基油は、全イオウ分が10ppm未満、アロマ分が5%以下であり、本発明において好適に用いることができる。
グループ3基油及びグループ2プラス基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、高度水素化精製により製造されるパラフィン系鉱油や、脱ろうプロセスにて生成されるワックスをイソパラフィンに変換・脱ろうするISODEWAXプロセスにより精製された基油や、モービルWAX異性化プロセスにより精製された基油があり、これらも本発明において好適に用いることができる。
合成油としては、例えば、アジピン酸ジオクチルやセバシン酸ジオクチルの如き二塩基酸のジエステル、トリメリット酸エステル、ポリオールエステル、ポリオレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーンなどが挙げられる。
上記ポリオレフィンには、各種オレフィンの重合物又はこれらの水素化物が含まれる。オレフィンとしては任意のものが用いられるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、炭素数5以上のα−オレフィンなどが挙げられる。ポリオレフィンの製造にあたっては、上記オレフィンの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特にポリα−オレフィン(PAO)と呼ばれているポリオレフィンが好適であり、これはグループ4基油である。
天然ガスの液体燃料化技術のフィッシャートロプッシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)は、原油から精製された鉱油基油と比較して、硫黄分や芳香族分が極めて低く、パラフィン構成比率が極めて高いため、酸化安定性に優れ、蒸発損失も非常に小さいため、本発明の基油として好適に用いることができる。
<成分/増ちょう剤>
本発明のグリース組成物には、増ちょう剤として第三リン酸カルシウム、アルカリ金属石けん、アルカリ金属複合石けん、アルカリ土類金属石けん、アルカリ土類金属複合石けん、アルカリ金属スルホネート、アルカリ土類金属スルホネート、その他の金属石けん、テレフタラメート金属塩、トリウレアモノウレタン、ジウレア、テトラウレア、これ以外のポリウレア、又は、クレイ、シリカエアロゲル等のシリカ(酸化ケイ素)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を併せて使用することができる。また、これら以外にも液状物質に粘ちょう効果を付与できるものはいずれも使用することができる。
この中で、本発明の添加剤コンポーネントとの組み合わせにおいて、優良な極圧性、耐摩耗性、及び耐フレーキング性の効果を最大に発揮しやすい増ちょう剤としては、ウレア系増ちょう剤(例えば、ジウレア、テトラウレア、これ以外のポリウレア)が最も効果的であり、増ちょう剤としてウレア系増ちょう剤単独、もしくは、ウレア系増ちょう剤を必須成分として、これ以外の上記増ちょう剤の1種又は2種以上を併せて使用することで、より高い効果が発揮できる。
<成分/リグニン>
前記(A)成分のリグニンは、セルロース、ヘミセルロースとともに、植物細胞壁を構成する主要成分のひとつであり、基本骨格であるフェニルプロパン単位(C6−C3単位)が酸素により不定形に酸化重合した高分子化合物である。例えば、前記(A)成分のリグニンは、原料植物からパルプを製造するためのパルプ化法において排液として排出された黒液中のリグニンを、イオン交換樹脂を用いて、イオン交換により脱塩処理して精製することにより得ることができる。この際、針葉樹や広葉樹である木本系植物、稲藁、麦藁等の草本系植物等の原料植物の違いやパルプ化方法により、最終的に得られるリグニンの構造が異なることが知られている。具体的には、まず、原料の違いに関しては、針葉樹リグニンは基本骨格が主としてグアイアシル型(G型)で構成され、広葉樹リグニンは基本骨格が主としてグアイアシル型(G型)とシリンギル型(S型)で構成され、草本系リグニンは基本骨格が主としてグアイアシル型(G型)、シリンギル型(S型)及びp−ヒドロキシフェニル型(H型)で構成されている。また、パルプ化方法の違いに関しては、クラフト法では水酸化Naや硫酸Naなどで高温高圧処理を行い、構造中にチオエーテル結合を有するクラフトリグニンが生成され、ソーダ法では水酸化Naで高温高圧処理を行い、構造中には硫黄を含まないソーダリグニンが生成される、また、亜硫酸法では、亜硫酸又は亜硫酸Caにて高温高圧処理を行う事により、リグニンスルフォン酸が生成され、構造中にスルホン酸基を有する。更に、生成されたリグニンは用途に応じて脱スルホン化や限外ろ過処理などにより精製される場合がある。例えばスルホン酸基を含有するリグニンをアルカリ条件下、高圧高温で酸化反応させることにより脱スルホン化が可能である。本発明に使用するリグニンは、上記原料や製造方法による構造の変化に限定されるものではなく、数平均分子量が500〜3000であることが好適である。ここで、数平均分子量は、特許5360516号に記載された方法にて測定された値である。また、本発明に使用するリグニンは、リグニン全組成物中のCaイオンの含有量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.15質量%以下であることが更に好ましい。また、本発明に使用するリグニンは、リグニン全組成物中のNaイオンの含有量が10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることが更に好ましい。更に、本発明に使用するリグニンは、リグニン全組成物中の硫黄含有量が9質量%以下であることが好ましく、7.5質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。リグニンの全組成物中のCaイオンの含有量が1質量%を超える場合、及び、Naイオンの含有量が10質量%を超える場合は、親水性が強くなり、基油並びにグリースとの分散性が悪く、潤滑界面への供給が不十分となり、極圧性、耐摩耗性、耐フレーキング性等の所望の潤滑性を得難くなる。また、硫黄含有量が9質量%を超える場合は、金属表面への活性が強くなり腐食摩耗の促進や、水分との共存で錆が発生し易い状態になる。
<成分/無灰硫黄化合物>
本発明に係る無灰硫黄化合物は、分子中に硫黄以外のヘテロ原子(OやN等の炭素及び水素以外の原子)を有し、かつ金属原子を含まない硫黄化合物であり、好適にはメルカプタン類又は窒素・硫黄含有複素環式化合物の硫黄化合物である。以下、好適であるメルカプタン類及び窒素・硫黄含有複素環式化合物を詳述する。
(成分/無灰硫黄化合物/メルカプタン類)
メルカプタン類化合物は、アルコールやフェノール類のヒドロキシ基をスルファニル基に置換した構造(−SH)を含む化合物であり、例えば、2−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、4−フルオロチオフェノール、2,4−ジフルオロチオフェノール、3,5−ジクロロチオフェノール、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、4−メトキシチオフェノール、3−メルカプト−4−メチル−1,2,4−トリアゾール、2,2’−ジチオビス(1,3,4−チアジアゾール−5−チオール)、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタン−1−チオール、4−ブロモチオフェノール、2−メルカプトベンズオキサゾールが挙げられる。
(成分/無灰硫黄化合物/窒素・硫黄含有複素環式化合物)
窒素・硫黄含有複素環式化合物は、窒素1又は2原子及び硫黄1原子と二重結合1又は2個とを骨格内に含む5員環構造(縮合環の場合には任意の環)をもつ複素環式化合物(例えば、チアゾール類、チアジアゾール類)である。ここで、例えば、チアゾール類としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(メチルチオ)ベンゾチアゾール、2−メチルベンゾチアゾール、2−クロロベンゾチアゾール、2−メチル−4,5,7−トリフルオロベンゾチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、2−アミノ−6−メチルベンゾチアゾール、2−アミノ−4−メトキシベンゾチアゾール、4−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、3−クロロ−1,2−ベンズイソチアゾール、(ベンゾチアゾール−2−イルチオ)こはく酸、ドデカンチオ酸 S−ベンゾチアゾール−2−イル エステル、ビス(2−エチルヘキシル)ジチオカルバミン酸 ベンゾチアゾール−2−イル エステル、ジベンジルジチオカルバミン酸 ベンゾチアゾール−2−イル エステル、1−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)ピペラジンなどを挙げることができる。また、チアジアゾール類としては、例えば、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール及びその重合体、2,5−ビス(アルキルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール ポリスルフィド、2,5−ビス(アルキルジチオカルバメート)−1,3,4−チアジアゾールを挙げることができる。また、チアゾリン類としては、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−(メチルチオ)−2−チアゾリンを挙げることができる。これらの内、チアゾール類及びチアジアゾール類が、極圧性、耐摩耗性、耐フレーキング性の向上の観点から特に好適である。
<成分/ジチオカルバミン酸塩>
本発明で使用するジチオカルバミン酸塩としては、ジチオカルバミン酸の金属塩又は非金属塩が挙げられる。
(成分/ジチオカルバミン酸塩/金属塩/好適金属塩)
ここで、ジチオカルバミン酸塩の金属塩は、好適には、下記式:
Figure 0006223863
{式中、R、Rは、相互に独立して、置換された又は非置換である炭素数1〜24の、分岐状若しくは直鎖状のアルキル基又はアリール基であり、Mは、Na、Zn、Mo(II)、Mo(IV)、Ba、Cu(II)、Ce(II)、Te(II)、Fe(II)、Niであり、ここで、前記の「置換された」とは、例えば、炭素数1〜24の、アルキル、アルケニル、アルキニル及びアリールから選択される1種以上の炭化水素基で置換されていることを意味する}で示される塩である。これらの内、亜鉛塩及びモリブデン塩(オキソモリブデン塩、硫化モリブデン塩を含む)が、特に好適である。以下、特に好適なこれらについて詳述する。
(成分/ジチオカルバミン酸塩/金属塩/好適金属塩/亜鉛塩)
ジチオカルバミン酸の亜鉛塩としては、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジオクチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジイソブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ(2−エチルヘキシル)ジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジオクチルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジイソブチルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジ(2−エチルヘキシル)ジチオカルバミン酸亜鉛及びこれらの混合物等が挙げられる。
(成分/ジチオカルバミン酸塩/金属塩/好適金属塩/モリブデン塩)
ジチオカルバミン酸のモリブテン塩としては、モリブデンジエチルジチオカーバメート、モリブデンジプロピルジチオカーバメート、モリブデンジブチルジチオカーバメート、モリブデンジペンチルジチオカーバメート、モリブデンジヘキシルジチオカーバメート、モリブデンジオクチルジチオカーバメート、モリブデンジデシルジチオカーバメート、モリブデンジドデシルジチオカーバメート、モリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオカーバメート、モリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオカーバメート、オキシモリブデンジエチルジチオカーバメート、オキシモリブデンジプロピルジチオカーバメート、オキシモリブデンジブチルジチオカーバメート、オキシモリブデンジペンチルジチオカーバメート、オキシモリブデンジヘキシルジチオカーバメート、オキシモリブデンジオクチルジチオカーバメート、オキシモリブデンジデシルジチオカーバメート、オキシモリブデンジドデシルジチオカーバメート、オキシモリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオカーバメート、オキシモリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオカーバメート、硫化モリブデンジエチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジプロピルジチオカーバメート、硫化モリブデンジブチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジペンチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジヘキシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジオクチルジチオカーバメート、硫化モリブデンジデシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジドデシルジチオカーバメート、硫化モリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオカーバメート、硫化モリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジエチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジプロピルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジブチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジペンチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジヘキシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジオクチルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジドデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(ブチルフェニル)ジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジ(ノニルフェニル)ジチオカーバメート及びこれらの混合物等が挙げられる。
(成分/ジチオカルバミン酸塩/金属塩/他の金属塩)
ジチオカルバミン酸の亜鉛及びモリブテン以外の金属塩としては、ジアルキルジチオカルバミン酸バリウム、ジアリルジチオカルバミン酸バリウム、ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジアリルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル及びこれら硫化物並びにこれらの混合物などを挙げることができる。
(成分/ジチオカルバミン酸塩/非金属塩)
ジチオカルバミン酸の非金属塩としては、例えば、ジチオカルバミン酸のアンモニウム塩、アルキレンビスジチオカーバメートなどが挙げられる。アルキレンビスジチオカーバメートの市販品としては、バンダービルド社製バンルーブ7723{メチレンビス(ジブチルジチオカーバメート)}が挙げられる。
<成分/任意の成分>
本発明に係るグリース組成物には、更に任意の酸化防止剤、防錆剤、油性剤、極圧剤、耐摩耗剤、固体潤滑剤、金属不活性剤、ポリマー、金属系清浄剤、非金属系清浄剤、着色剤、撥水剤等の添加剤を、グリース組成物全体を100質量%として、任意の成分全体で約0.1〜20質量%加えることができる。例えば、酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、N−フェニル−α−ナフチルアミン、フェノチアジン等がある。例えば、防錆剤としては、酸化パラフィン、カルボン酸金属塩、スルホン酸金属塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、サリチル酸エステル、コハク酸エステル、ソルビタンエステルや各種アミン塩等がある。例えば、油性剤や極圧剤並びに耐摩耗剤としては、硫化ジアルキルジチオリン酸亜鉛、硫化ジアリルジチオリン酸亜鉛、硫化ジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジアリルジチオカルバミン酸亜鉛、硫化ジアルキルジチオリン酸モリブテン、硫化ジアリルジチオリン酸モリブテン、硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブテン、硫化ジアリルジチオカルバミン酸モリブテン、有機モリブテン錯体、硫化オレフィン、トリフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフォロチオネート、トリクレジンフォスフェート、その他リン酸エステル類、硫化油脂類等がある。例えば、固体潤滑剤としては、二硫化モリブテン、グラファイト、窒化ホウ素、メラミンシアヌレート、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、二硫化タングステン、フッ化黒鉛等がある。例えば、金属不活性剤としては、N,N’ジサリチリデン−1,2−ジアミノプロパン等がある。例えば、ポリマーとしては、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリメタクリレート等が挙げられる。例えば、金属系清浄剤として、金属スルホネート、金属サリチレート、金属フィネート等を挙げることができる。例えば、非金属系清浄剤として、コハク酸イミド等を挙げることができる。
以下、本発明に係るグリース組成物における各成分の配合量(含有量)を説明する。
≪配合量≫
<配合量/リグニン>
グリース組成物全体を100質量%として、リグニンを、0.1〜20質量%とすることが好適であり、0.1〜10質量%とすることがより好適であり、0.1〜3質量%とすることが更に好適である。0.1質量%未満の場合には、極圧性、耐摩耗性、耐フレーキング性の向上が不十分であり、また20質量%を超えても効果の一層の増大が見られない。
<配合量/無灰硫黄化合物>
グリース組成物全体を100質量%として、無灰硫黄化合物を、0.1〜5質量%とすることが好適であり、0.1〜3質量%とすることがより好適であり、0.1〜1.5質量%とすることが更に好適である。0.1質量%未満の場合には、極圧性、耐摩耗性、耐フレーキング性の向上が不十分であり、また5質量%を超えても効果の一層の増大が見られないばかりか、摩耗が多くなる傾向がある。
<配合量/ジチオカルバミン酸塩>
グリース組成物全体を100質量%として、ジチオカルバミン酸塩を、0.1〜10質量%とすることが好適であり、0.1〜5質量%とすることがより好適であり、0.1〜1.5質量%とすることが更に好適である。0.1質量%未満の場合には、極圧性、耐摩耗性、耐フレーキング性の向上が不十分であり、また5質量%を超えると腐食性が悪化する傾向があり、効果の一層の増大が見られない。
<配合量/増ちょう剤>
グリース組成物全体を100質量%として、増ちょう剤を、3〜30質量%とすることが好適であり、3〜15質量%とすることがより好適であり、5〜10質量%とすることが更に好適である。3%未満の場合ではグリースとして充分な硬さのちょう度が得られず、また30%を超えるとグリースが硬く成りすぎて油分の供給が不充分となり潤滑性が悪化する傾向がある。
≪グリース組成物の物性≫
<滴点>
本発明のグリース組成物の滴点は、JIS K 2220 5.6の高荷重用グリース1種に規定している滴点の170℃以上であることが好適である。当該温度以上であれば、高温での粘性喪失やそれに伴う漏洩、焼付け等が生じる可能性を極力防止できるからである。ここで、滴点としては、JIS K 2220 8に従って測定された値を用いる。
<ちょう度>
本発明のグリースは、ちょう度試験において、好ましくは00号〜4号(175〜430)のちょう度であり、更に好ましくは1号〜2号(265〜340)のちょう度である。尚、ちょう度はグリースの物理的硬さを表す。ここで、ちょう度としては、JIS K 2220 7に従って測定された混和ちょう度の値を用いる。
<耐摩耗性>
本発明のグリース組成物は、剥離摩耗試験において、軸受の総重量減少量が150mg以下となるものが好ましく、100mg以下となるものがより好ましく、50mg以下となるものが更に好ましい。ここで、軸受の総重量減少量としては、実施例に記載の方法に従って測定された値を用いる。加えて、ボールと接触する保持器の最大摩耗深さが130μm以下となるものが好ましく、100μm以下となるものがより好ましく、75μm以下となるものが更に好ましい。ここで、最大摩耗深さとしては、実施例に記載の方法に従って測定された値を用いる。グリースの耐摩耗性とは、相対運動する金属接触面で発生する摩耗を抑制する性能を表す。尚、軸受の保持器の摩耗は転動体と保持器との相対運動乱れや摩耗粉の転送面への侵入による振動・劣化を生じさせ、更なる摩耗の促進や剥離現象を発生させる要因となる。つまり剥離摩耗試験後の保持器の最大摩耗深さは、転動体や摺動面の摩耗やフレーキングを誘発する起点となる事が考えられる。剥離摩耗試験における保持器の最大摩耗深さが120μm以下である本発明のグリース組成物は、例えば、等速ジョイントの台上試験において耐摩耗性、耐フレーキング性に優れていることを確認している。
<耐フレーキング性>
本発明のグリース組成物は、剥離摩耗試験において、総剥離面積が、14mm以下となるものが好ましく、10mm以下となるものがより好ましく、5mm以下となるものが更に好ましい。グリースの耐フレーキング性とは、転動面に繰り返し応力が加わった時に生じるうろこ状の疲れ破損、剥離現象を抑制する性能を表す。より詳細には、フレーキングとは転動による疲れ現象であり、過大荷重が加わるときに、軌道面にうろこ状の剥離が生じる。グリース潤滑においては、十分なグリースの供給、油膜の保持、ならびに、適切な添加剤の機能を十分に発揮できない事により、境界面での潤滑機能が不足し、繰り返し稼働される摩擦面においてフレーキング発生する。本発明に係るグリース組成物は、このようなフレーキング発生を有効に防止できる。ここで、耐フレーキング性としては、実施例に記載の方法に従って測定された値を用いる。実施例に記載された剥離摩耗試験では、過大のラジアル荷重と、スラスト荷重の合成荷重を掛けながら、軸受を揺動させる事により、保持器とボール間ではすべり摩擦が生じ、転動面には転がり摩擦に加えすべり摩擦が起こり、往路から復路に摺動する際に、最も油膜が生成し難い環境になる事から、摩耗だけでなく、フレーキング現象が発生し易い環境にて稼働できる試験装置である。従って、台上試験等の大掛かりな試験機を使用せずに容易に短時間で、実使用環境で発生するフレーキング現象を、本装置を使用する事に再現することができる。
<極圧性>
本発明のグリース組成物は、高速4球EP試験において、融着荷重が、200kgfから800kgfとなるものが好ましく、250kgfから800kgfとなるものがより好ましい。グリースの極圧性とは、摩擦面の接触圧力が高く、油膜の破断が起こりやすい潤滑状態における金属接触面間の摩擦・摩耗の減少や,焼付の防止性能を表す。ここで、融着荷重としては、ASTM D 2596(1770rpm、10s)に従って測定された値を用いる。
≪グリース組成物の製造方法≫
本発明に係るグリース組成物は、周知の手法にて製造し得る。ここで、本発明に係るグリース組成物の製造方法の一例を、ウレア増ちょう剤のみを用いる場合を一例として説明する。まず、ウレア増ちょう剤の原料(ジイソシアネート、一級モノアミン、或いはジアミン等)を適宜配合し、基油中で合成反応させた後、180℃程度の温度まで上昇させる、その後冷却し、80〜150℃の温度で、添加剤をそれぞれの融点以上で混入し、十分に撹拌混合させた後、室温まで冷却させる。得られた分散体を、混練機(例えば、三本ロールミル等)を使用して、均質化することで、グリース組成物を得る事が出来る。
≪グリース組成物の用途≫
このグリース組成物は、その用途として特に限定されるものではなく、一般に使用される機械、軸受、直動装置、歯車等などの各種産業機械の部品の潤滑及び自動車部品ならびに、鉄鋼産業、製紙工業、林業機械、農業機械、化学プラント、発電設備、乾燥炉、鉄道車両等の各種機械の潤滑箇所に好適であり、特に高荷重や変動荷重を常時受ける潤滑箇所に更に好適である。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
≪製造例≫
<原料>
(増ちょう剤)
・増ちょう剤A:潤滑油A〜Dの内1種又は任意の割合で混合した基油543g中で、ジフェニルメタン−4,4‘−ジイソシアネート28.1gとオクチルアミン28.9gを反応させ、生成したジウレア増ちょう剤(C8ウレア)。
・増ちょう剤B:潤滑油A〜Dの内1種又は任意の割合で混合した基油549g中で、ジフェニルメタン−4,4‘−ジイソシアネート24.3gとオクチルアミン23.3gとステアリルアミン3.4gを反応させ、生成したジウレア増ちょう剤(C8/C18ウレア)。
(基油)
・基油A:脱ろう溶剤精製により得られたパラフィン系鉱油で、グループ1に属するものであり、100℃動粘度が16.58mm/s、粘度指数が96のものである。
・基油B:脱ろう溶剤精製により得られたナフテン系鉱油で、グループ1に属するものであり、100℃動粘度が12.13mm/s、粘度指数が−7のものである。
・基油C:フィッシャートロプシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)で、グループ3に属するものであり、100℃動粘度が7.77mm/s、40℃動粘度が43.88mm/s、粘度指数が148のものである。
・基油D:ポリ−α−オレフィンで、グループ4に属するものであり、100℃動粘度が6.34mm/s、粘度指数が136のものである。
(添加剤)
・添加剤A:脱スルホン化処理リグニン(Caイオン=0.15質量%以下、Naイオン=6質量%以下、硫黄含有量=5質量%以下)
・添加剤B:脱アルカリ処理リグニン(Caイオン=0.15質量%以下、Naイオン=6質量%以下、硫黄含有量=5質量%以下)
・添加剤C:チアジアゾール(2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール)
・添加剤D:ベンゾチアゾール(2−(4‘−モルホリノジチオ)−ベンゾチアゾール)
・添加剤E:ZnDTC(R.T.VANDERBILT社製、バンルーブAZ)
・添加剤F:MoDTC (R.T.VANDERBILT社製、モリバンA)
・添加剤G:ZnDTP (アフトンケミカル社製、Hitec−E655)
・添加剤H:MoDTP (R.T.VANDERBILT社製、モリバンL)
・添加剤I:硫化油脂
<製造方法>
上記した基油A〜Dの1種もしくは混合した基油に、増ちょう剤A〜Bの1種類を含有したグリースに対し、表1A〜表1Cで示す各添加剤を所定の質量%を加えて混練した後、三本ロールミルで処理し、均一状態に仕上げて、実施例1〜24及び比較例1〜7に係る潤滑組成物を得た。
≪評価≫
得られたグリースについて、耐摩耗性、耐フレーキング性及び極圧性を評価した。
<評価項目1:耐摩耗性/評価項目2:耐フレーキング性>
(試験方法)
本発明のグリースの判定に用いた剥離摩耗試験は、下記条件によるものである。具体的には、試験ハウジング本体に軸受 No.7205のアンギュラ玉軸受を対面に2個組み込み、軸受内輪に嵌め込んだシャフトと共に設置される。シャフトの片側は、継ぎ手を介し、クランク機構にて動力モーターにより、試験軸受のピッチ円の軌道を揺動幅10mm、揺動速度400mm/秒にて制御し稼働される。この時の、軸に対すラジアル荷重は油圧制御により2,000Kgf(1軸受あたりは1,000Kg)を掛け、アキシアル荷重は、軸受内輪が嵌め込まれたシャフトのネジ部に、M22×ピッチ1.0のメートル細目ナットを600Kg・mのトルクにて内輪を閉め込む事により、軸方向の荷重を掛ける。試験時間は20時間とし、試験終了後に駆動側の軸受を分解点検し、軸受の重量減少量、ボールと接触する保持器の最大摩耗深さ並びに内輪・外輪のそれぞれの摺動面の剥離面積の大きさを計測し、判定基準に基づいて、潤滑状態の良否を評価するものである。尚、本剥離摩耗試験では、過大のラジアル荷重と、スラスト荷重の合成荷重を掛けながら、軸受を揺動させている。これにより、保持器とボール間ではすべり摩擦が生じ、転動面には転がり摩擦に加えすべり摩擦が起こり、往路から復路に摺動する際に、最も油膜が生成し難い環境になる。このように、今回の試験で使用した装置は、摩耗だけでなく、フレーキング現象が発生し易い環境にて稼働できる試験装置である。従って、台上試験等の大掛かりな試験機を使用せずに容易に短時間で、実使用環境で発生するフレーキング現象を、本装置を使用する事で再現することができる。ここで、試験条件は下記の通りである。
・試験軸受:軸受No.7205のアンギュラ玉軸受(内径25mm、外径52mm、幅15mm、接触角30°)
・荷重:ラジアル荷重:2,000Kgf
アキシアル荷重:600Kg・mのトルクでナットを締め込む事による。
・揺動幅:10mm
・揺動速度:400mm/秒
・グリース量:3g/1軸受
・試験時間:20時間
(評価内容)
・軸受の重量減少量(評価項目1の耐摩耗性)
・ボールと接触する保持器の最大摩耗深さ(評価項目1の耐摩耗性)
・内輪・外輪のそれぞれの摺動面の剥離の面積(評価項目2の耐フレーキング性)
尚、評価項目2の耐フレーキング性の判定基準は下記の通りである。具体的には、試験後軸受の内輪・外輪のそれぞれの摺動面の剥離面積の合計により5段階(1:0以上〜5mm未満;2:5以上〜10mm未満;3:10以上〜20mm未満;4:20以上〜30mm未満;5:30mm以上)の基準を設定し判定した。
<評価項目3:極圧性>
(試験方法)
明細書に記載の方法に従って実施した。
(評価内容)
・融着荷重
≪評価・考察≫
表2A〜表2Bに示す実施例から明らかなように、実施例のグリースは、剥離摩耗試験による軸受摩耗量が少なく、摩耗深が小さく、特に最大の効果であるフレーキング剥離面積が小さく、その判定は1以下で、非常に優れていることが判る。特に、実施例1〜実施例2のリグニンと無灰硫黄化合物との組み合わせや、実施例5〜実施例12のリグニンと無灰硫黄化合物及びジチオカルバミン酸塩との組み合わせは、剥離摩耗試験による良好な耐摩耗性や優れた耐フレーキング性に加え、高速四球による融着荷重も高く極圧性も向上している事が判る。また、実施例13〜実施例17の基油の種類並びに動粘度が異なるグリース、及び、実施例21〜実施例24の増ちょう剤の種類が異なるウレアグリースについても、耐摩耗性や耐フレーキング性ならびに極圧性が優れ、添加剤が各性能に有効に作用していることがわかり、基油の種類や粘度又は増ちょう剤の種類に限定されるものではないことがわかる。一方、表2Cに示す比較例1〜7から明らかなように、リグニン単体や無灰硫黄化合物単体、もしくは汎用の硫黄系添加剤とリグニンとを組み合わせても、耐摩耗性・耐フレーキング性が向上しない、もしくは悪化してしまう傾向にあることがわかる。つまり、リグニンと無灰硫黄化合物及び/又はジチオカルバミン酸塩との組み合わせにて相乗効果を発揮し良好な性能が得られることがわかる。
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Claims (8)

  1. (I)リグニンと、(II)メルカプタン類又は窒素・硫黄含有複素環式化合物と、を含有するグリース組成物。
  2. さらに(III)ジチオカルバミン酸塩を含有する請求項1に記載のグリース組成物。
  3. 前記グリース組成物全体を100質量%として、成分Iが0.1〜20質量%である、請求項1又は2記載のグリース組成物。
  4. 前記グリース組成物全体を100質量%として、成分IIが0.1〜5質量%である、請求項1〜3のいずれか一項記載のグリース組成物。
  5. 前記グリース組成物全体を100質量%として、成分IIIが0.1〜10質量%である、請求項2〜4のいずれか一項記載のグリース組成物。
  6. 前記リグニンの数平均分子量が500〜3000である、請求項1〜のいずれか一項記載のグリース組成物。
  7. 前記ジチオカルバミン酸塩の金属元素がモリブテン又は亜鉛である、請求項〜6のいずれか一項記載のグリース組成物。
  8. グリースの増ちょう剤がウレア系増ちょう剤である、請求項1〜7のいずれか一項記載のグリース組成物。
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