JP6223203B2 - アルカリ分散型ホットメルト粘着剤 - Google Patents
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熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(S−B、ジブロック)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S−B−S、トリブロック)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(S−I、ジブロック)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(S−I−S、トリブロック)、スチレン−ブタジエン/イソプレンブロック共重合体(S−B/I、ジブロック)、スチレン−ブタジエン/イソプレン−スチレンブロック共重合体(S−B/I−B、トリブロック)、及びこれらブロック共重合体の水添物やなどが挙げられる。水添物としては、スチレン−ブタジエン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、及びスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。また、スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレンとα―メチルスチレンなどの芳香族系ビニル化合物との共重合体も挙げられる。これらの共重合体は、カルボン酸変性されていてもよい。スチレン系熱可塑性エラストマーは、一種単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
本発明のアルカリ分散型ホットメルト粘着剤は、酸価が100〜300mgKOH/gである粘着付与剤を含有している。粘着付与剤は、酸価が100〜300mgKOH/gである粘着付与剤を含んでおれば、酸価が100mgKOH/g未満又は酸価が300mgKOH/gを超える粘着付与剤を含んでいてもよい。
酸価=[0.1N水酸化カリウム水溶液の消費量(mL)×5.611)]/[粘着付与剤重量(g)]
本発明のアルカリ分散型ホットメルト粘着剤は、脂肪酸グリセリドを含んでいる。脂肪酸グリセリドとは脂肪酸とポリグリセリンとのエステルである。脂肪酸の炭素数は、6〜18が好ましく、10〜18がより好ましく、14〜18がより好ましい。脂肪酸の炭素数が低過ぎると、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤の粘度や接着力が低下する虞れがある。脂肪酸の炭素数が高過ぎると、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤の表面にグリセリドが経時的にブリードアウトする虞れがある。
本発明のアルカリ分散型ホットメルト粘着剤は、融点と再結晶化温度との差が10℃以上であるワックスを含んでいる。このようなワックスを用いることによって、加熱溶融された後に塗工されたアルカリ分散型ホットメルト粘着剤が、塗工後の温度の低下に伴って急激に硬化せずに緩やかに硬化することができ、オープンタイムが長くなる。そのため、塗工後のアルカリ分散型ホットメルト粘着剤にラベルが貼り合わされる際に、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤がラベル表面の細孔内や凹凸部内に浸入し易くなり、これによりアンカー効果によるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤とラベルとの密着性が向上する。また、硬化後はワックスによってアルカリ分散型ホットメルト粘着剤が硬くなり、高温保管時のラベル浮きを低減することができる。したがって、本発明のアルカリ分散型ホットメルト粘着剤によって接着されたラベルが高温環境下に長期間に亘って放置されたとしても、接着状態を保持して、ラベル接着部分において浮きが発生することを高く低減することが可能となる。また、浮きが発生したとしても、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤のベタツキが少なくなるため、輸送時などにおいて隣接する他のボトルにラベルが再付着して、ラベルの剥がれを促進させることを防止することができる。
本発明のアルカリ分散型ホットメルト粘着剤は、軟化剤をさらに含んでいることが好ましい。
・スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体1(25℃のトルエン溶液中における粘度30mPa・s、クレイトン社製 商品名「クレイトン G1652」)
・スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体2(25℃のトルエン溶液中における粘度50mPa・s、クレイトン社製 商品名「クレイトン G1650」)
・スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体3(25℃のトルエン溶液中における粘度10mPa・s、クレイトン 社製 商品名「クレイトン G1726」)
・スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)ブロック共重合体(25℃のトルエン溶液中における粘度17mPa・s、クラレ社製 商品名「セプトン 2007」)
・ロジン誘導体1(水添酸変性ロジン、酸価180gKOH/g、軟化点72℃、ハリマ化成社製 商品名「ハリタックF」)
・ロジン誘導体2(水添酸変性ロジン、酸価230gKOH/g、軟化点129℃、荒川化学社製 商品名「パインクリスタル KE−604」)
・ロジンエステル(ロジン変性グリセリンエステル、酸価8mgKOH/g、軟化点80℃、ハリマ化成社製 商品名「ハリエスターTF」)
・水添石油樹脂(酸価0mgKOH/g、軟化点100℃、出光石油化学社製 商品名「アイマーブP100」)
・ひまし油(リノール酸、オレイン酸、リシノレイン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸とトリグリセリンとのエステル、凝固点−10〜−18℃、伊藤製油社製 商品名「精製ひまし油」)
・大豆油(リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びリノレン酸とのトリグリセリンとのエステル、凝固点−7〜−8℃、J-オイルミルズ社製 商品名「大豆白絞油」)
・ヤシ油(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、カプリン酸、カプリル酸、カプロン酸、オレイン酸とトリグリセリンとのエステル、凝固点20〜28℃、不二製油社製 商品名「ヤシ油」)
・亜麻仁油(リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸とのトリグリセリンとのエステル、凝固点−17〜−18℃、日本製粉社製 商品名「業務用アマニ油S」)
・菜種油(パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びエルシン酸とトリグリセリンとのエステル、凝固点0〜−12℃、J-オイルミルズ社製 商品名「菜種白絞油」)
・ポリプロピレンワックス1(粘度(150℃)350mPa・s、融点(Mp)82℃、再結晶化温度(Mr)55℃、差(Mp−Mr)27℃、クラリアント社製 商品名「リコセンPP 1302」)
・ポリプロピレンワックス2(粘度(150℃)3000mPa・s、融点(Mp)76℃、再結晶化温度(Mr)50℃、差(Mp−Mr)26℃、クラリアント社製 商品名「リコセンPP 1502」)
・ポリプロピレンワックス3(粘度(150℃)110mPa・s、融点(Mp)134℃、再結晶化温度(Mr)102℃、差(Mp−Mr)32℃、クラリアント社製 商品名「リコセンPP 6102」)
・ポリプロピレンワックス4(粘度(150℃)3600mPa・s、融点(Mp)153℃、再結晶化温度(Mr)106℃、差(Mp−Mr)47℃、レックスタック社製 商品名「RT−2115」)
・ポリエチレンワックス1(粘度(150℃)50mPa・s、融点(Mp)124℃、再結晶化温度(Mr)112℃、差(Mp−Mr)12℃、クラリアント社製 商品名「リコセンPE 4102」)
・ポリエチレンワックス2(粘度(150℃)10mPa・s、融点(Mp)94℃、再結晶化温度(Mr)91℃、差(Mp−Mr)3℃、日詳社製 商品名「CPW−120」)
・ポリエチレンワックス3(粘度(150℃)25mPa・s、融点(Mp)114℃、再結晶化温度(Mr)100℃、差(Mp−Mr)14℃、三井化学社製 商品名「ハイワックス110P」)
・フィッシャートロプッシュワックス(FTワックス、粘度(150℃)10mPa・s、融点(Mp)79℃、再結晶化温度(Mr)79℃、差(Mp−Mr)0℃、サゾールワックス社製 商品名「サゾール C80」)
・パラフィンワックス(粘度(150℃)3mPa・s、融点(Mp)75℃、再結晶化温度(Mr)71℃、差(Mp−Mr)4℃、日本精蝋社製 商品名「HNP9」)
・パラフィン系プロセスオイル(出光興産社製 商品名「ダイナフレシア PS90」)
・ナフテン系プロセスオイル(出光興産社製 商品名「ダイナフレシア N90」)
SEBSブロック共重合体1、SEBSブロック共重合体2、SEBSブロック共重合体3、SEPSブロック共重合体、ロジン誘導体1、ロジン誘導体2、ロジンエステル、水添石油樹脂、ひまし油、大豆油、ヤシ油、亜麻仁油、菜種油、ポリプロピレンワックス1〜4、ポリエチレンワックス1〜3、FTワックス、パラフィンワックス、パラフィン系プロセスオイル、及びナフテン系プロセスオイルを、それぞれ表1〜9に示した配合量で、加熱装置を備えた攪拌混練機中に投入した後、160℃で2時間に亘って加熱しながら混練することにより、ホットメルト粘着剤を得た。
ホットメルト粘着剤について、アルカリ分散性、ラベル浮き、及び40℃剥離強度を以下の手順に従って評価した。結果を表1〜9に示す。
PETボトルの外表面にホットメルト粘着剤を塗布した後、これを8mm×8mmの正方形状に裁断することによりペレットを得た。このペレット10g、及び85℃の1.5重量%の水酸化ナトリウム溶液100gを300mLのステンレスビーカーに投入して、これらを100rpmで5分間撹拌して混合物を得た。その後、混合物をろ過することにより濾取したペレットについて糊残り状態を目視観察した。目視観察の結果、ペレットに糊残りがなかった場合は測定を終了した。
帯状の延伸ポリプロピレン(OPP)ラベル10を用意した。このOPPラベル10は、その裏面に印刷が施されてバインダー樹脂がコーティングされているが、表面には印刷やバインダー樹脂のコーティングが施されていない。ホットメルト粘着剤をバーコーターにより幅2cm、塗工量30g/m2で、OPPラベル裏面10の長さ方向における始端部11A及び終端部11Bにそれぞれ塗工した。次に、OPPラベル10の始端部11Aを塗工したホットメルト粘着剤を介してPETボトル20の表面に貼り付けた後、OPPラベル10をPETボトル20に巻き付けた。そして、OPPラベル10の終端部11Bをラベル10の始端部11A上にホットメルト粘着剤を介して貼り付けた。その後、ラベル上に2kgのゴムローラーを1往復させて荷重をかけた後、ホットメルト粘着剤を冷却固化させることによって、図2に示すように、OPPラベル10が接着されたPETボトル20を得た。ラベル10が接着されたPETボトル20を60℃の環境下に1ヶ月間保管した。1ヶ月経過後、ラベルの重なり部分を観察し、剥がれた幅を1mm単位で計測した。表1及び2において、「◎」、「○」、「△」、及び「×」は、それぞれ次の通りである。
◎:剥がれた幅が0mmであった。
○:剥がれた幅が1mmであった(実用上問題なし)。
△:剥がれた幅が2〜4mmであった。
×:剥がれた幅が5mm以上であった。
ホットメルト粘着剤を、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚み25μm)に塗工量30g/m2で塗工した後、このOPPフィルムのホットメルト粘着剤を塗工した面上にPETフィルム(厚み50μm)を重ねて貼り合せた。その後、40℃環境下において、OPPフィルムとPETフィルムとの剥離強度(N/15mm)を剥離速度300mm/分で測定した。
ホットメルト粘着剤を、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚み25μm)に塗工量50g/m2で塗工した後、このOPPフィルムのホットメルト粘着剤を塗工した面上にPETフィルム(厚み50μm)を重ねて貼り合せた。その後、45℃環境下において、OPPフィルムとPETフィルムとの剥離強度(N/15mm)を剥離速度300mm/分で測定した。
ホットメルト粘着剤を、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚み25μm)に塗工量40g/m2で塗工した後、このOPPフィルムのホットメルト粘着剤を塗工した面上にPETフィルム(厚み50μm)を重ねて貼り合せた。その後、5℃環境下において、OPPフィルムとPETフィルムとの剥離強度(N/15mm)を剥離速度300mm/分で測定した。表1及び2において、「◎」、「○」、及び「△」は、それぞれ次の通りである。
◎:剥離強度が3N/15mm以上。
○:剥離強度が0.3N/15mm以上3N/15mm未満。
△:剥離強度が0.3N/15mm未満。
×:OPPフィルム又はPETフィルムが破壊した。
11A 始端部
12B 終端部
20 容器
Claims (3)
- 熱可塑性エラストマー100重量部、酸価が100〜300mgKOH/gである粘着付与剤50〜500重量部、脂肪酸グリセリド10〜150重量部、及び融点と再結晶化温度との差が10℃以上であるワックス40〜150重量部を含むことを特徴とするアルカリ分散型ホットメルト粘着剤。
- 脂肪酸グリセリドの凝固点が、0℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ分散型ホットメルト粘着剤。
- ワックスの融点と再結晶化温度との差が20〜50℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ分散型ホットメルト粘着剤。
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