以下、この発明の製本装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
この実施の形態の製本装置を、図1乃至図21に基づいて説明する。図1は製本装置の概略構成を示す図、図2は用紙の反転部を示す図、図3はバイパス搬送を示す図、図4は製本搬送を示す図、図5は手差しバインドを示す図、図6は入紙側の用紙詰まりの処理を示す図、図7はバイパス側の用紙詰まりの処理を示す図、図8は綴じ孔形成部の構成を示す斜視図、図9は綴じ孔形成部の駆動を示す図、図10は綴じ孔形成部のストッパーとパンチの作動を示す図、図11は用紙束を綴じて製本した状態を示す斜視図、図12はくし状リングを示す図、図13は綴じ孔を形成した用紙を示す図、図14はコンパイル部の用紙を揃える作動を説明する図、図15はバインド部のくし状リング受取位置の状態を示す図、図16はバインド部の用紙束受取位置の状態を示す図、図17はバインド部の平面図、図18はバインド部の正面図、図19はくし状リングのリング部を開くカム機構の構成を示す図、図20はくし状リングのリング部を開く作動を示す図、図21はくし状リング供給部を示す図である。
この実施の形態の製本装置10は、用紙搬送路20、綴じ孔形成部30、コンパイル部40、バインド部50、くし状リング供給部60、製本排出部70及び収納スタッカ80を包含して構成され、図11に示すように、用紙束100の用紙に形成された綴じ孔100aにくし状リング200のリング部200aを挿入して、用紙束100を綴じて製本する。くし状リング200は、図12に示すように、樹脂によってリング部200aが軸方向に所定間隔で一体形成され、リング部200aは基部に形成された切り欠き200bによって開閉可能になっている。
[用紙搬送路の構成]
この用紙搬送路20には、綴じ孔形成部30と、コンパイル部40と、バインド部50と、製本排出部70とを順に備え、装置本体の上方位置に配置されている用紙搬送路の左側には、搬入搬送路Aを搬入上側ガイド29a1と、搬入下側ガイド29a2で構成し、この搬入搬送路Aに搬送ローラ21が配置され、右側には搬出搬送路Bを、搬出上側ガイド29c1と、搬出下側ガイド29c2で構成し、この搬出搬送路Bに搬送ローラ22が配置されている。搬送ローラ21はローラ駆動手段23によって搬送駆動ベルト23aを介して駆動され、搬送ローラ22はローラ駆動手段24によって搬送駆動ベルト24aを介して駆動され、画像形成装置から送られる用紙を装置本体の左側から搬入可能にしている。左側の搬送ローラ21と、右側の搬送ローラ22との間には、反転部Dを構成する反転切替爪25、反転ローラ26、切替ガイド27が配置されている。装置本体の上部には、反転搬送路Cの一部を構成する反転路カバー29dが形成されている。このように、反転搬送路Cの一部を、装置本体の上部に設けた反転路カバー29dにより形成しており、装置本体を大型にすることなく、反転搬送路Cを確保することができる。
反転切替爪25は、中央に搬送ガイド部25gを有し、バネ25aで閉じる方向に付勢され、図2の実線で示す位置であり、用紙の通過時には用紙の搬送力で押されて図2の二点鎖線で示す位置に開かれ、用紙が通過すると閉じて用紙後端の方向性を決定する。反転ローラ26は、反転ローラ駆動モータ26aにより駆動ベルト26bを介して駆動され、用紙を正逆搬送する。切替ガイド27は、内部に搬送路27fを有し、ワンウェイ軸27aに設けられている。このワンウェイ軸27aは、切替駆動ベルト27bを介して搬送ローラ22に連動して回転する。
バイパス搬送時は、図3に示すように、搬送駆動ベルト24aの正回転し、この正回転時、搬送ローラ22が回転する。この搬送ローラ22に連動して切替駆動ベルト27bを介して切替ガイド27は、ワンウェイ軸27aのワンウェイクラッチによって時計方向に回転可能となり、バネ27cで引っ張られた切替ガイド27がバイパス搬送方向に回転する。搬送ローラ21により搬送される用紙は、その用紙先端部が反転切替爪25の搬送ガイド部25gを押しながら搬送され、さらに切替ガイド27の搬送路27fを通り、搬送ローラ22によりバイパス搬送される。
製本搬送時は、図4に示すように、搬送駆動ベルト24aを逆転させ切替ガイド27を回転させ、所定の位置で停止させる。搬送ローラ21により搬送される用紙は、その用紙先端部が反転切替爪25の搬送ガイド部25gを押しながら搬送され、さらに切替ガイド27により反転路カバー29d方向へ送り、反転ローラ26の正回転して搬送し、その後逆回転して製本搬送される。
反転切替爪25は、手差し用カバー28に支持されており、手差しバインド時には、図5に示すように、手差し用カバー28のみ開放すると反転切替爪25もともに開放される。この状態で、用紙を手差し製本搬送する。
また、入紙側の用紙詰まりの処理は、図6に示すように、搬入上側ガイド29a1を手差し用カバー28と一体で開放して行う。バイパス側の用紙詰まりの処理は、天カバー29bを開放後、搬出上側ガイド29c1を開放して行う。
このように、バインド部50の前段において、装置本体の上方位置に配置される用紙搬送路20を、装置本体の一方側の搬入搬送路Aと、装置本体の他方側の搬出搬送路Bと、用紙の搬送先端側を搬送後端側に変換する反転搬送路Cとで構成し、搬入搬送路Aに対して、搬出搬送路Bと反転搬送路Cを分岐可能に配置し、分岐位置に、画像形成装置から送られる用紙の搬送先端側を搬送後端側に変換する反転部Dを配置し、反転部Dに用紙を手差しにより搬入可能にする手差し用カバー28を、装置本体の上部に設けている。用紙を手差しする際には、手差し用カバー28を開いて反転部Dに用紙を手差しすることができ、容易に製本することができる。また、搬入搬送路Aに対して、搬出搬送路Bと反転搬送路Cを分岐可能に配置し、分岐位置に、画像形成装置から送られる用紙の搬送先端側を搬送後端側に変換する反転部Dが配置されており、この反転部Dを利用して用紙を手差しにより搬入可能にすることで、特別に手差し用経路を設ける必要がなく、簡単且つコンパクトな構造である。用紙の手差しは、異なる画像形成装置で画像形成した用紙を手差しで搬入し、用紙を揃えて用紙束として綴じて製本する場合に用いられるが、画像形成装置で画像形成された用紙を製本仕上げする際に、異なる印刷装置で準備した用紙を混在させて裏表紙、表表紙として製本する場合にも用いることができる。
用紙を手差しする反転部Dは、搬入搬送路Aから搬入される通過のみ可能にする反転切替爪25と、反転切替爪25を通過した用紙を、搬出搬送路Bと反転搬送路Cに切り替える切替ガイド27を有し、切替ガイド27は、搬出位置で、反転切替爪25を通過した用紙を、搬出搬送路Cに導き、反転位置で、反転切替爪25を通過した用紙を、反転搬送路Cに導き用紙の搬送先端側を搬送後端側に変換して綴じ孔形成部30、コンパイル部40を介してバインド部50へ送る構成であり、切替ガイド27と反転切替爪とを用いて、確実に搬出搬送路と、反転搬送路の切替を行い搬送することができる。
手差し用カバー28に、反転切替爪25を取り付けており、手差しバインド時には、手差し用カバー28を開放すると反転切替爪25もともに開放され、反転部Dに位置する反転切替爪25を退避させることで、反転部Dに手差しの空間が十分に確保され、反転切替爪25が障害物とならず円滑に用紙を手差しすることができる。
また、搬入搬送路Aを、搬入上側ガイド29a1と、搬入下側ガイド29a2で構成し、搬入上側ガイド29a1は、手差し用カバー28と一体で開放可能であり、搬入搬送路Aに用紙が目詰まりすると、手差し用カバー28と一体で搬入上側ガイド29a1が開放され、目詰まりした用紙を簡単に除去することができる。
また、搬出搬送路Bを、搬出上側ガイド29c1と、搬出下側ガイド29c2で構成し、搬出上側ガイド29c1は、開放可能であり、搬出搬送路Bに用紙が目詰まりすると、搬出上側ガイド29c1を開放することで目詰まりした用紙を簡単に除去することができる。
[綴じ孔形成部の構成]
この実施の形態の綴じ孔形成部30には、パンチユニット31が配置され、駆動機構32によって駆動される。パンチユニット31の上側には、上流側上排紙ローラ33a、上流側下排紙ローラ33bが配置され、下側には、下流側排紙ローラ対34が配置され、駆動モータ35により駆動ベルト35aを介して上流側下排紙ローラ33bと下流側排紙ローラ対34を駆動する。
上流側下排紙ローラ33bのローラ軸33cには、ギヤ36が設けられており、このギヤ36は、パドル軸37aに設けられたギヤ37bと噛み合い、パドル軸37aを連動して回転させる。パドル軸37aには、パドル37が設けられており、パドル37により用紙を整列させる。また、パドル軸37aにより搬送丸ベルト37cを介して上流側上排紙ローラ33aを駆動する。上流側上排紙ローラ33aは、パドル軸37aを支点として回転し、上流側下排紙ローラ33bに当接し、用紙を搬送するようになっている。
パンチユニット31には、ストッパー38とパンチ39が配置されている。上流側上排紙ローラ33aを上流側下排紙ローラ33bから離間させた状態で、搬送される用紙の先端をストッパー38に当接させ、パドル37を回転させながら所定枚数の用紙を揃え、パンチ39により図10に示すように、用紙の綴じ部に綴じ孔100aを形成する。その後、パドル軸37aを支点として回転し、上流側上排紙ローラ33aを上流側下排紙ローラ33bに当接し、綴じ孔100aを形成した用紙束を上流側上排紙ローラ33aと上流側下排紙ローラ33b、下流側排紙ローラ対34の駆動により搬送し、コンパイル部40に送る。
次に、綴じ孔形成部の構成を、図8乃至図10に基づいて詳細に説明する。この実施の形態の綴じ孔形成部30は、綴じ孔を形成するために用紙を積載して揃えるストッパー38と、積載して揃えた用紙に綴じ孔を形成するパンチ39と、ストッパー38とパンチ39を連動させて、ストッパー38により積載して揃えた用紙に、パンチ39で綴じ孔を形成するように作動させる連動機構310とを備える。
駆動機構32は、連動機構310を駆動する単一の駆動源320を備え、この駆動源320がモータ321であり、連動機構310の駆動機構32を簡単な構造にすることができる。
この連動機構310は、ストッパー38を揃える位置P11と待機位置P12間を移動させる一対のリンク311と、パンチ39を待機位置P21と綴じ孔を形成する位置P22間を移動させる一対のカム312とを有する。一対のカム312は回転軸313の両端部に一体回転可能に固定され、この回転軸313には駆動スプロケット314が固定されている。モータ321と駆動スプロケット314の間に減速機構315と動力伝達手段316が備えられ、モータ321によりカム312の回転軸313とを連動させる。一対のカム312には、回転軸心から変移した位置に駆動ピン317が設けられ、この駆動ピン317にリンク311の一方の端部311aが回転可能に連結されている。リンク311の他方の端部311bは、ストッパー38の支持ピン318に回転可能に連結されている。一対のカム312は、パンチ駆動板319aを介してパンチ39を作動させ、パンチ39は付勢手段を構成するスプリング319bにより常に待機位置方向へ付勢されている。このパンチ駆動板319aとパンチ39は、一体に組み付けてユニットになっている。
この実施の形態の綴じ孔形成部30には、綴じ孔を形成した用紙束の排出を行う上流側上排紙ローラ33aと、上流側下排紙ローラ33bが配置され、さらにカム312の基準位置を検知する基準位置検知センサS1と、綴じ孔形成部30に供給される用紙を検知する用紙通過検知センサS2と、綴じ孔形成部30から綴じ孔を形成した用紙束の排出を検知する用紙束排出検知センサS3と、モータ321の回転を制御する回転管理センサS4が備えられ、基準位置検知センサS1、用紙通過検知センサS2及び用紙束排出検知センサS3の検知情報に基づいて制御手段55は、モータ321の駆動制御と、上流側上排紙ローラ33a及び上流側下排紙ローラ33bの駆動制御を行う。
次に、連動機構310により用紙束に綴じ孔を形成する作動を、図9及び図10に基づいて説明する。図10(a)はホーム状態を示し、基準位置検知センサS1が回転基準位置を検知し、カム312の基準位置では上流側上排紙ローラ33a及び上流側下排紙ローラ33bが用紙を通過可能な状態で待機する。このホーム状態では、ストッパー38が待機位置P12で、パンチ39が待機位置P21である。
図10(b)は作業開始を示し、カム312の基準位置においてモータ321を駆動開始させ、このモータ321の駆動開始によりカム312が回転し、パンチ39を待機位置P21に維持しながらリンク311によりストッパー38を揃える位置P11に移動する。
図10(c)は用紙積載を示し、図10(b)に示すパンチ39が待機位置P21で、ストッパー38が揃える位置P11で用紙を1枚ずつ送り、用紙の先端がストッパー38に当接するように積載する(図9(a))。
図10(d)はパンチ作動開始を示し、ストッパー38が揃える位置P11で綴じ孔を形成するために用紙を積載し、用紙通過検知センサS2により最終用紙の通過を検知して揃えた後、モータ321を駆動させる。このモータ321の駆動によりカム312がパンチ駆動板319aを介してパンチ39を作動させ、パンチ38が綴じ孔を形成する位置P22に移動し、綴じ孔を形成する(図9(b),(c))。
図10(e)はパンチ復帰を示し、モータ321の駆動によりカム312が回転し、ストッパー38を待機位置P12に移動し、パンチ39を待機位置P21に移動して基準位置検知センサS1が回転基準位置を検知するとモータ321の駆動停止を行う。
図10(f)は用紙排紙を示し、上流側上排紙ローラ33a及び上流側下排紙ローラ33bの駆動により綴じ孔を形成した用紙束の排出を行う(図9(d))。
図10(g)は用紙排紙完了を示し、用紙束排出検知センサS3により用紙束の排出を検知した後、モータ321の駆動によりカム312が回転し、繰り返しカム312の基準位置においてモータ321を駆動開始させる(図10(a),(b))。
このように、綴じ孔形成部30において、連動機構310によりストッパー38が揃える位置P11では、パンチ39を待機位置P21にし、このパンチ39が綴じ孔を形成する位置P22に移動した後、待機位置P21に復帰すると同時にストッパー38が待機位置P12に移動するように作動させることで、ストッパー38を作動させる機構と、パンチ39を作動させる機構を独立して設ける必要がなく、簡単且つコンパクトな構造で用紙束に綴じ孔を形成し、画像形成装置などに接続してコピーされた用紙を短時間に大量に綴じて製本することができる。
また、連動機構310を駆動する単一の駆動源を備えることで、駆動機構を簡単な構造にすることができる。さらに、連動機構310は、カム312とリンク311とを、カム312の回転軸313に対して変位した位置で連結し、ストッパー38が揃える位置P11では、パンチ39が待機位置P21であり、パンチ39が綴じ孔を形成する位置P22に移動した後、待機位置P21に復帰すると同時にストッパー38が待機位置P12に移動するように作動させることで、簡単な連動機構310により用紙束に綴じ孔を形成することができる。
また、駆動源がモータ321であり、モータ321の動力を連動機構310のカム312の回転軸313に伝達し、基準位置検知センサS1、用紙通過検知センサS2及び用紙束排出検知センサS3の検知情報に基づいてモータ321の駆動制御と、上流側上排紙ローラ33a及び上流側下排紙ローラ33bの駆動制御を行うことで、簡単且つコンパクトな構造で用紙束に綴じ孔を形成することができる。
[コンパイル部の構成]
このコンパイル部40は、図14乃至図16に示すように、フロントジョガー41、リアジョガー42、エンドフェンス43及びパドルユニット44を有する。パドルユニット44には、パドル440が回転軸441に設けられ、回転軸441のプーリー442と駆動プーリー443との間にベルト444が掛け渡され、駆動プーリー443を減速機構、駆動モータで構成される駆動手段445で回転し、パドル440によりコンパイル部40に送られてくる用紙を整列させる。
用紙がコンパイル部40に搬送されるときには、フロントジョガー41とリアジョガー42が待機位置(図14(a))であり、用紙がコンパイル部40に収納されてエンドフェンス43に支持された状態で揃え位置(図14(b))へ移動し整合動作を行い、この繰り返しにより所定枚数の用紙を揃え、最終用紙の整合作動実施後にバインド位置(図14(c))に移動する。バインド実施後は、ホーム位置(図14(d))に移動する。バインド部50が整合した用紙束100の用紙に形成された綴じ孔100aにくし状リング200のリング部200aを挿入して綴じて製本排出部70へ送り出し、フロントジョガー41とリアジョガー42の両方が待機位置(図14(a))へ移動完了してから、次の用紙がコンパイル部40に送られる。
[バインド部の構成]
このバインド部50は、図15乃至図20に示すように、くし状リング供給部60から1個ずつ供給されるくし状リング200を受け取り、またコンパイル部40から用紙束100を受け取り、用紙の綴じ孔100aにくし状リング200のリング部200aを挿入して綴じて製本する。
バインド部50は、綴じ手段51、移動手段52を備える。綴じ手段51は、リングバインダ受取位置P1で供給されるくし状リング200を受け取り、用紙束受取位置P2へ移動してくし状リング200のリング部200aを開いた状態で用紙束100を受け取り、用紙束100の綴じ孔100aにくし状リング200のリング部200aを挿入して綴じ、移動手段52は、綴じ手段51をくし状リング受取位置P1と用紙束受取位置P2の間を往復移動させる。この綴じ手段51及び移動手段52の構成を詳細に説明する。
綴じ手段51は、保持爪部材510、開閉爪部材520、リング部開閉機構530を有する。保持爪部材510は、ホルダ体511の端部に沿って突出して一体に設けられ、保持爪部材510の間隔は、くし状リング200のリング部200a間に挿入可能に設定されている。保持爪部材510は、供給されるくし状リング200のリング部200a間に挿入されてくし状リング200を保持する。
開閉爪部材520は、可動プレート521の端部に沿って突出して一体に設けられ、開閉爪部材520の間隔は、くし状リング200のリング部200a間に挿入可能に設定されている。開閉爪部材520は、立ち上がり部520aと、曲がり部520bとを有し、曲がり部520bは保持爪部材510とほぼ同じ幅であり、保持爪部材510とともにくし状リング200のリング部200a間に挿入可能に設定されている。開閉爪部材520は、供給されるくし状リング200のリング部200a間に挿入されてリング部200aに係止する位置に移動してリング部200aを開くように作動する。
リング部開閉機構530は、可動プレート521、駆動プレート531、ガイドプレート532を有する。可動プレート521が、駆動プレート531の上に配置され、可動プレート521の上にガイドプレート532が配置されている。可動プレート521の端部に開閉爪部材520が一体に形成され、中央部にカム孔521aが3箇所に形成されている。駆動プレート531には、中央部にカムピン531aが3箇所に形成され、このカムピン531aにカム孔521aが接動可能に係合され、駆動プレート531を前進、後進させると可動プレート521が移動するようになっている。
ガイドプレート532には、ガイド溝532aが形成され、ガイド溝532aは広幅部532a1と細幅部532a2を有する。広幅部532a1は、保持爪部材510に対向して保持爪部材510の幅とほぼ同じ幅に形成され、細幅部532a2は広幅部532a1から保持爪部材510から離れる方向に延びている。可動プレート521が移動することで、開閉爪部材520がガイド溝532aに沿って移動する。
駆動プレート531の下側には、左右にラック533が形成され、このラック533にピニオン534が噛み合い、ピニオン534は駆動軸535に固定されている。駆動軸535の両端部はホルダ体511に回動可能に支持され、一方の端部には駆動ギヤ536が固定されている。駆動ギヤ536は減速機構537を介してウォームギヤ538に噛み合い、ウォームギヤ軸539に設けたプーリー540はベルト541を介して駆動モータ542に連結されている。駆動モータ542の駆動力が、ベルト541、プーリー540、ウォームギヤ軸539、ウォームギヤ538、減速機構537、駆動ギヤ536、駆動軸535に伝達してピニオン534を回転し、これによりラック533を介して駆動プレート531が前進または後進する。
開閉爪部材520は保持爪部材510と同じ位置の初期位置A(図20(a))にあり、駆動モータ542の駆動によって駆動プレート531が後進すると、カムピン531aがカム孔521aを接動し、これによって可動プレート521が開閉爪部材520をガイド溝532aの広幅部532a1に沿ってくし状リング200のリング部200aに係合する方向へ移動させる。開閉爪部材520がくし状リング200のリング部200aに係合する係合位置B(図20(b))からガイド溝532aの細幅部532a2に沿ってくし状リング200のリング部200aを開く方向に移動してリング部200aが開いた位置C(図20(c))で停止する。この開閉爪部材520の停止は、駆動プレート531に設けた検知フラグ543をセンサS11が検知すると駆動モータ542の駆動を停止することで行い、これにより開閉爪部材520がくし状リング200のリング部200aを開く。
この開閉爪部材520がくし状リング200のリング部200aを開いた位置C(図20(c))で、駆動モータ542の駆動によって駆動プレート531が前進してカムピン531aがカム孔521aを接動し、これによって可動プレート521が開閉爪部材520をガイド溝532aの細幅部532a2に沿って移動し、くし状リング200のリング部200aを閉じ、開閉爪部材520がくし状リング200のリング部200aに係合する係合位置B(図20(b))に戻る。さらに、駆動プレート531を前進させると、カムピン531aがカム孔521aを接動し、これによって可動プレート521が開閉爪部材520をガイド溝532aの広幅部532a1に沿ってくし状リング200のリング部200aから係合を解除する方向へ移動させ、開閉爪部材520が保持爪部材510と同じ位置の初期位置A(図20(a))に戻り、くし状リング200のリング部200aを閉じて停止する。この開閉爪部材520の停止は、駆動プレート531に設けた検知フラグ544をセンサS12が検知すると駆動モータ542の駆動を停止することで行う。このように、センサS11及びセンサS12の検知情報に基づき、制御手段55は駆動モータ542を制御し、開閉爪部材520をくし状リング200のリング部200a間に挿入される初期位置Aと、リング部200aを開いた位置C間を往復移動させ、これにより用紙の綴じ孔100aにくし状リング200のリング部200aを挿入して綴じる。
移動手段52は、左右一対の支持フレーム550の上部に、左右一対の従動ローラ521を回転可能に設け、下部に一対の駆動ローラ522を駆動軸523の両端に設けている。従動ローラ521と駆動ローラ522にベルト524を掛け渡し、駆動モータ525が動力伝達機構526を介して駆動軸523を回転させる。
左右一対のベルト524の間にはホルダ体511が配置され、このホルダ体511の両端部がベルト524に固定され、駆動モータ525の回転により動力伝達機構526を介して駆動軸523が回転することで、ベルト524により上昇または下降するように構成される。センサS21及びセンサS22の検知情報に基づき、制御手段55は駆動モータ525を制御し、綴じ手段51をくし状リング受取位置P1と用紙束受取位置P2の間を往復移動させる。
このように、移動手段52は、綴じ手段51をくし状リング受取位置P1と用紙束受取位置P2の間を往復移動させ、綴じ手段51はくし状リング受取位置P1で供給されるくし状リング200を受け取り、用紙束受取位置P2へ移動してくし状リング200のリング部200aを開いた状態で用紙束を受け取り、用紙束の綴じ孔100aにくし状リング200のリング部200aを挿入して綴じる。
綴じ手段51は、くし状リング受取位置P1で供給されるくし状リング200を受け取り、くし状リング200のリング部200aを開きながら用紙束受取位置P2へ移動してくし状リング200のリング部200aを開いた状態で用紙束を受け取るように構成すると、移動しながらくし状リング200のリング部200aを開くから開く時間を短縮でき製本効率が向上する。
また、綴じ手段51は、くし状リング受取位置P1で供給されるくし状リング200を受け取り、このくし状リング受取位置P1でくし状リング200のリング部200aを開いた後用紙束受取位置P2へ移動してくし状リング200のリング部200aを開いた状態で用紙束を受け取るように構成することができ、確実にくし状リング200を受け取り移動することが可能である。
[くし状リング供給部の構成]
この実施の形態のくし状リング供給部60は、綴じる用紙の用紙サイズと用紙枚数に応じたくし状リングを用意し、製本の用紙サイズと用紙枚数の情報に基づきくし状リングを選択し、選択されたくし状リングを、リング部200aを閉じた状態でバインド部50に1個ずつ供給する。この実施の形態を図21に基づいて説明する。図21はくし状リング供給部を示す図である。
この実施の形態では、くし状リング供給部60に、供給手段930を備え、制御手段55により用紙サイズと用紙枚数の情報に基づきカートリッジ61に積載されたくし状リング200を選択し、この選択されたくし状リング200を、リング部200aを閉じた状態でバインド部50に供給する。
このくし状リング200は、綴じる用紙サイズと用紙枚数の情報に基づき選択され、例えば、用紙サイズがA4の製本を行う場合には、長いくし状リングであり、かつ用紙枚数が40枚の場合には径が大きいくし状リングが選択され、用紙枚数が20枚の場合には径が小さいくし状リングが選択される。また、例えば、用紙サイズがB5の製本を行う場合には、短いくし状リングであり、かつ用紙枚数が40枚の場合には径が大きいくし状リングが選択され、用紙枚数が20枚の場合には径が小さいくし状リングが選択される。
くし状リング供給部60は、カートリッジ61に、綴じる用紙のサイズと枚数に応じたくし状リング200を、リング部200aを閉じた状態で複数列積載して収納する。図21において、例えば図面左側から用紙サイズがA4の場合で、長く径が大きいくし状リングが、長く径が小さいくし状リングが収納され、用紙サイズがB5の場合で、短く径が大きいくし状リングが、短く径が小さいくし状リングが収納され、縦4列に積載されている。
くし状リング供給部60には、供給手段930を構成する積載したくし状リング200の縦列に対応して昇降レール940がそれぞれ配置され、このそれぞれの昇降レール940に昇降リフト941が昇降可能に備えられている。綴じる用紙のサイズと枚数に応じたくし状リング200が選択され、この選択された長さ径のくし状リング200の積載列に対応して配置されている昇降リフト941を駆動し、くし状リング200を上昇させる。
くし状リング供給部60には、供給手段930を構成する送り出し手段950が備えられ、この送り出し手段950は、駆動モータ951、送り出しベルト952と、送り出しベルト952に設けられた摘みアーム953を有する。くし状リング受取位置P1の検出情報に基づき、制御手段55が駆動モータ951を駆動し、送り出しベルト952を回転して摘みアーム953により選択されて上昇しているくし状リング200を保持してリング部200aを閉じた状態でバインド部50に供給する。例えば、用紙サイズがB5の製本を行う場合であり、短いくし状リング200で、かつ用紙枚数が40枚の場合であるため、径が大きいくし状リング200が選択され、このくし状リング200に対応する昇降リフト941が上昇し、このくし状リング200がリング部200aを閉じた状態でバインド部50に供給される。
綴じ手段51は、くし状リング受取位置P1で供給されるくし状リング200を受け取り、用紙束受取位置P2へ移動してくし状リング200のリング部200aを開いた状態で用紙束を受け取り、用紙束の綴じ孔100aにくし状リング200のリング部200aを挿入して綴じて製本する。このように、カートリッジ61に、綴じる用紙の用紙サイズと用紙枚数に応じたくし状リング200をリング部200aを閉じた状態で複数列積載して収納し、用紙サイズと用紙枚数の情報に基づきカートリッジ61に積載されたくし状リング200の選択によりリング部200aを閉じた状態でバインド部50に供給することで、綴じる用紙の用紙サイズと用紙枚数に応じたくし状リング200により製本することができる。
なお、この実施の形態では、用紙サイズがA4の製本を行う場合には、長いくし状リングを用い、用紙サイズがB5の製本を行う場合には、短いくし状リングを用いているが、用紙サイズがB5の製本を行う場合にも長いくし状リングを用い、製本後に長い余分の部分を切断するようにしてもよい。
制御手段55は、その他に画像形成装置側との制御を行う。すなわち、バインド部50のセンサー(図示せず)の情報に基づき製本を行い、製本装置内の通紙における異常発生を検出したら、それを直ちに画像形成装置側に送信し、画像形成装置側では作動停止を指示する。また、例えば、製本装置側で用紙のジャムの発生、部品故障の発生、積載トレイ800の満杯などを画像形成装置側へ通知して、画像形成装置側で装置の停止、復帰の制御を行う。この場合、用紙のジャムの発生箇所、故障の発生した箇所では、以降の動作は不可能であり、積載トレイ800の満杯では、プリンター側から「動作停止」の指示が無い限り物理的に詰まるまで動作を継続する。
この実施の形態では、製本するための用紙に画像を形成する画像形成装置からの綴じる用紙サイズの情報と、綴じる用紙の用紙枚数の情報を受信し、制御手段55は、この情報に基づき、同様に供給手段930を制御し、カートリッジ61に積載されたくし状リング200を選択し、この選択されたくし状リング200を、リング部200aを閉じた状態でバインド部50に供給するようにしてもよい。
また、くし状リング供給部60に、綴じる用紙の用紙サイズと綴じ厚みに応じたくし状リングを用意し、製本の用紙サイズと綴じ厚みの情報に基づきくし状リングを選択し、選択されたくし状リングにより製本するようにしてもよい。さらに、くし状リング供給部60に、綴じる用紙の用紙サイズと綴じる用紙の用紙枚数に応じたくし状リングを用意し、製本の用紙サイズと綴じる用紙の用紙枚数の情報に基づきくし状リングを選択し、選択されたくし状リングにより製本するようにしてもよい。用紙サイズについては、A4の製本を行う場合と、用紙サイズがB5の製本を行う場合について説明したが、これに限定されず、例えば、レターサイズ及びリーガルサイズについても同様に実施することができる。
[製本排出部の構成]
製本排出部70は、押出手段71、搬送手段72を有し、バインド部50により製本した用紙束を押出手段71により搬送手段72に押出して収納スタッカ80へ搬送する。押出手段71は、支持台446に支持され、プッシュレバー710に一体化されたラック447とピニオン448により前進し、製本された用紙束を搬送手段72へ押し出した後、後退して待機位置に戻る。
搬送手段72は、くし状リング供給部60の上方で、収納スタッカ80とバインド部50との間に配置され、無端搬送手段であるベルト720、搬送爪721、駆動手段である駆動モータ722を有する。ベルト720は一対のプーリー723,723に掛け渡され、ベルト720には搬送爪721が設けられている。駆動モータ722によりベルト720を駆動することで、搬送爪721がバインド部50により製本された用紙束を収納スタッカ80へ搬送する。
収納スタッカ80には、積載トレイ800が昇降可能に設けられ、積載トレイ800に製本された用紙束を重ねながら積載トレイ800が下降し、大量の製本を行うことができる。
[他の実施の形態のバインド部の構成]
この実施の形態のバインド部は、図22乃至図31に示すように構成される。図22はスティプル装置の外観を示す斜視図、図23はスティプル装置の断面図、図24乃至図28は用紙束を閉じる動作を示す図、図29はステイプルする過程で孔が明けられた状態の用紙束を示す斜視図、図30はスティプルした状態の用紙束を示す斜視図、図31はスティプルした用紙束を示す図である。
この実施の形態のスティプル装置1040は、スティプル部1410と、紙粉カス収納部1440とを備える。スティプル部1410は、綴じ針を使用することなく画像形成済の用紙を綴じるものであれば、この実施の形態に限定されず、周知のものが用いられる。この実施の形態のスティプル部1410は、上型1411が下型1412に対して支持軸1413によって回動自在に支持される。押え板1414は、上型1411と下型1412との間に配置され、支持軸1413によって回動自在に支持される。上型1411と押え板1414との間には、圧縮コイルばね1415が配置され、押え板1414と上型1411との間には板ばね1416が配置される。
スティプル部1410には、上型1411を回動させる駆動装置1430が備えられる。この駆動装置1430は、例えば電磁ソレノイドで構成され、電源オンによりプランジャー1431が上型1411を押して圧縮コイルばね1415に抗して回動させ、電源オフにより上型1411が圧縮コイルばね1415により元の位置に復帰する。
上型1411には、切刃1417、ナイフ1418、カム1419が取り付けられる。切刃1417とナイフ1418との中間にカム1419が配置される。カム1419は上型1411に固定された切刃1417に回動自在に支持される。板ばね1420はカム1419の背面と係合する。切刃1417の刃面はU字型に、またナイフ418の断面は1字型にそれぞれ形成され、これらは組み合わされ、図29に示すようなU字状の切り込みべろ部91とI字状の切り込み孔92を形成する。ナイフ1418の中央部にはほぼ長方形の窓1418aが明けられている。切刃1417及びナイフ1418に対向して、押え板1414に略長方形の孔1414a,1414b及び下型1412に略長方形の孔1412aがそれぞれ明けられている。
次に、図24乃至図31を参照して、スティプル部1410の動作について説明する。まず、用紙束110を下型1412と押え板414との間に置く(図24)。次に、駆動装置1430の電源オンし、プランジャー1431により上型1411を所定位置まで押し下げると、切刃1417及びナイフ1418は、押え板1414の孔1414a,1414bをそれぞれ貫通し、そして用紙束110を突き抜けて、下型1412に設けられた孔1412aに入り込む。このとき、切刃1417によって用紙束110にU字状の切り込みべろ部91が形成されとともに、切刃1418によって用紙束110にI字状の切り込み孔92が形成され、この切られたU字状の切り込みべろ部91にカム1419の爪1419aが係合してU字状の切り込みべろ部91を押し上げる(図25)。
そして、さらに上型1411を押し下げると、押え板1414の孔1414a,1414bの間にある中間部分1414cを支点としてカム1419は、反時計方向に回転する。このとき、カム1419の爪1419aはU字状の切り込みべろ部91を押し曲げて、その先端をナイフ1418の窓1418aに入れる(図26)。
駆動装置1430の電源オフにより、上型1411は圧縮ばね1415の作用によって元の位置へ復帰する。これにより、カム1419は板ばね1420の作用によって時計方向に回転されて元の位置に戻される(図27)。このとき、切刃1417及びナイフ1418もともに上昇しつつあり、切刃1417はそのまま用紙束110から抜け出るが、ナイフ1418は用紙束110のU字状の切り込みべろ部91の先端を窓1418aに引っ掛けてナイフ1418が明けたI字状の切り込み孔92にU字状の切り込みべろ部91の先端を差し込んでから用紙束110より抜け出る(図28)。
これによって、用紙束110のスティプル動作は完了し、図30及び図31に示すように、I字状の切り込み孔92にU字状の切り込みべろ部91の先端を差し込んでおり、先端が露出する側が用紙束110の表側、すなわち、画像形成されている側である。
紙粉カス収納部1440は、スティプル部1410の下方位置に配置され、スティプル部1410において切込みによってU字状の切り込みべろ部91とI字状の切り込み孔92を形成する際に生じる紙粉カスを収納する。この紙粉カス収納部1440は、紙粉カスを導くダウストシュート1441と、紙粉カスを貯める収納箱1442と、紙粉カスを収納箱1442に集める集塵手段を構成するファン1443とを有する。この実施の形態では、集塵手段はファン1443で構成しているが、減圧装置を用いてもよい。この集塵手段は、スティプル装置がスティプル動作を行う間中駆動される。
ダウストシュート1441は、スティプル部1410から収納箱1442に連通しており、このダウストシュート1441にファン1443が配置され、ダウストシュート1441の上方位置には排気口1441aが形成されている。排気口1441aには、紙粉カスの漏れを防止するフィルタ1441bが配置される。ファン1443を駆動して紙粉カスをダウストシュート1441を介して導き、確実に紙粉カスを収納箱1442に溜めることができる。収納箱1442は、着脱可能であり、所定時期に取り外して交換したり、紙粉カスを排出する。
この実施の形態のバインド部は、用紙束に四角い孔を明けて、くし状リングのリング部をこの孔に挿入して用紙束を綴じるもの、またスティプルを用いないで用紙に形成される用紙片で綴じるものについて説明したが、スティプルにより綴じるもの、さらに接着剤を塗布して表紙シートでくるみ製本するものでもよく、特に限定されない。