JP6222468B2 - 振動解析装置、及び振動解析方法 - Google Patents
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Description
すなわち、車体のフロアパネル構造の振動解析に基づいて防振及び防音対策を効果的に行なうためには、振動解析により出力されたフロアパネルの各振動モードが、上述した2種類のモードの何れのモードであるのかを特定し、それぞれのモードに応じた適切な対策を講じる必要がある。
また、振動解析方法は、コンピュータが、フレーム部材とこのフレーム部材に固定されたフロアパネルとを有する車体のフロアパネル構造の振動解析を実行する振動解析方法であって、ベースモデル作成手段が、フロアパネル構造を有限要素に分割したベースモデルを作成するステップと、縮約モデル作成手段が、ベースモデルに基づき、フロアパネル構造におけるフロアパネルの質量をこのフロアパネルとフレーム部材との境界位置に縮約した縮約モデルを作成するステップと、振動解析手段が、ベースモデル及び縮約モデルに基づき、有限要素法によりフロアパネル構造の振動解析を実行するステップと、出力手段が、振動解析手段によるベースモデルの解析結果と縮約モデルの解析結果とを、共通の座標軸を用いて表示出力するステップと、を有することを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、フロアパネル構造を有限要素に分割したベースモデルを作成すると共に、ベースモデルに基づき、フロアパネル構造におけるフロアパネルの質量をこのフロアパネルとフレーム部材との境界位置に縮約した縮約モデルを作成し、これらのベースモデル及び縮約モデルに基づいてフロアパネル構造の振動解析を実行し、ベースモデルと縮約モデルとのそれぞれの解析結果を共通の座標軸を用いて表示出力するので、フロアパネル自体の共振に起因するモードとフレーム部材の共振に起因するモードとの両方の振動モードを含むベースモデルの解析結果と、フロアパネル自体の共振に起因するモードを含まない縮約モデルの解析結果とを容易に比較することができる。即ち、フロアパネルの各振動モードを、フロアパネル自体の共振に起因するモードとフレーム部材の共振に起因するモードとに正確且つ容易に区別可能な態様で、フロアパネル構造の振動解析結果を出力することができる。
このように構成された本発明によれば、出力部は、フロアパネルから放射される音響パワーに対応する等価放射エネルギーを指標として、フロアパネル全体の等価放射エネルギーに対してフロアパネル自体の共振が寄与する範囲を明確に区別可能な態様で、フロアパネル構造の振動解析結果を出力することができる。
これらの各構成要素は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
例えば、フロアパネル構造の形状データとして図2に示した簡易モデル14を取得した場合、ベースモデル作成部10は、四角形要素からなるシェル要素として、簡易モデル14からベースモデルを作成する。
さらに、周波数応答解析の結果を評価するための評価指標としては各種の指標を用いることができるが、本実施形態による振動解析部4は、パネル18が発生させる騒音の大きさを評価する指標として、パネル18から放射される音響パワーに対応する等価放射エネルギー(ERP:Equivalent Radiation Energy)を、ベースモデルの各節点の変位から算出する。
ここで図4を参照して、図2に示した簡易モデル14のベースモデル及び縮約モデルにおける質量の設定状態を説明する。この図4では、パネル18を構成する各要素の節点の内、所定の密度が設定されている節点を丸印で示している。なお、フレーム16については、ベースモデルと縮約モデルとの間に差が無いので、メッシュ及び節点を省略している。
なお、このステップS3における縮約モデル22作成の詳細については後述する。
図5に示すように、ベースモデル20の周波数応答には、パネル18自体の共振とフレーム16の共振のそれぞれに起因するモードが含まれるので、幅広い周波数帯域にわたって複数のERPのピークが存在している。一方、上述したように、縮約モデル22においてはパネル18自体の共振は発生しないので、この縮約モデル22の周波数応答には、フレーム16の共振に起因するモードしか含まれず、図5では1つのERPのピークしか存在しない。
言い換えれば、ベースモデル20の周波数応答と縮約モデル22の周波数応答との間に差が生じている範囲(図5でハッチングにより示す)が、パネル18全体のERPに対してパネル18自体の共振が寄与する範囲を示している。
図8は車体のフロアパネル構造の一部を示す平面図、図9は本発明の実施形態による振動解析モデル作成装置2が実行する縮約モデル作成処理のフローチャートであり、図10は車体のフロアパネル構造のベースモデルから抽出されたパネルを示す平面図であり、図11は図10のパネル全体の質量をパネルとフレームとの境界に縮約した縮約パネルを示す平面図であり、図12は図11の縮約パネルを組み込んだフロアパネル構造の縮約モデルの平面図である。
図13に示した線図によれば、周波数F1以下の範囲では、ベースモデルの周波数応答と縮約モデル34の周波数応答とがほぼ重なっているので、この範囲におけるフロアパネル構造24の振動モードはフレームの共振に起因する振動モードであることが分かる。一方、周波数F1以上の範囲では、ベースモデルの周波数応答においてのみERPのピークが生じているので、この範囲におけるフロアパネル構造24の振動モードはフロアパネル28自体の共振に起因する振動モードであることがわかる。言い換えれば、周波数F1以上の範囲では、ベースモデルの周波数応答と縮約モデル34の周波数応答との間に差が生じているので、この周波数帯域ではフロアパネル構造24のERPに対してフロアパネル28自体の共振が寄与していることが分かる。
即ち、周波数F1以下の範囲におけるERPを低減するためには、フレーム部材26の共振を抑制するようにフレーム部材26に対策を施せばよく、周波数F1以上の範囲におけるERPを低減するためには、フロアパネル28自体の共振を抑制するようにフロアパネル28に対策を施せばよいことが分かる。
2 振動解析モデル作成装置
4 振動解析部
6 ディスプレイ
8 出力部
10 ベースモデル作成部
12 縮約モデル作成部
14 簡易モデル
16 フレーム
18 パネル
20 ベースモデル
22 縮約モデル
24 フロアパネル構造
26 フレーム部材
28 フロアパネル
30 パネル部分モデル
32 境界節点集合
34 縮約モデル
Claims (3)
- フレーム部材とこのフレーム部材に固定されたフロアパネルとを有する車体のフロアパネル構造の振動解析を実行する振動解析装置であって、
上記フロアパネル構造を有限要素に分割したベースモデルを作成するベースモデル作成手段と、
上記ベースモデルに基づき、上記フロアパネル構造における上記フロアパネルの質量をこのフロアパネルと上記フレーム部材との境界位置に縮約した縮約モデルを作成する縮約モデル作成手段と、
上記ベースモデル及び上記縮約モデルに基づき、有限要素法により上記フロアパネル構造の振動解析を実行する振動解析手段と、
上記振動解析手段による上記ベースモデルの解析結果と上記縮約モデルの解析結果とを、共通の座標軸を用いて表示出力する出力手段と、を有することを特徴とする振動解析装置。 - 上記振動解析手段は、所定の周波数範囲で上記ベースモデルに振動を加えた場合における、このベースモデルのフロアパネルから放射される音響パワーに対応する等価放射エネルギーの周波数応答を算出し、さらに、上記所定の周波数範囲で上記縮約モデルに振動を加えた場合における、この縮約モデルのフロアパネルから放射される音響パワーに対応する等価放射エネルギーの周波数応答を算出し、
上記出力手段は、上記ベースモデルの上記等価放射エネルギーの周波数応答と、上記縮約モデルの等価放射エネルギーの周波数応答とを、共通の座標軸を用いて表示出力する請求項1に記載の振動解析装置。 - コンピュータが、フレーム部材とこのフレーム部材に固定されたフロアパネルとを有する車体のフロアパネル構造の振動解析を実行する振動解析方法であって、
ベースモデル作成手段が、上記フロアパネル構造を有限要素に分割したベースモデルを作成するステップと、
縮約モデル作成手段が、上記ベースモデルに基づき、上記フロアパネル構造における上記フロアパネルの質量をこのフロアパネルと上記フレーム部材との境界位置に縮約した縮約モデルを作成するステップと、
振動解析手段が、上記ベースモデル及び上記縮約モデルに基づき、有限要素法により上記フロアパネル構造の振動解析を実行するステップと、
出力手段が、上記振動解析手段による上記ベースモデルの解析結果と上記縮約モデルの解析結果とを、共通の座標軸を用いて表示出力するステップと、を有することを特徴とする振動解析方法。
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