JP6222090B2 - 非水系電解液二次電池及びその使用方法 - Google Patents
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Description
一方、非水系電解液二次電池に用いる非水系電解液は、通常、主として電解質と非水系溶媒とから構成されている。非水系溶媒の主成分としては、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステルなどが用いられている。
本発明は、黒鉛などよりも貴な電位でリチウムの吸蔵・放出がおこる負極活物質を備えた非水系電解液二次電池において、高温保存時のガス発生を抑制し、良好な電池特性を有する非水系電解液二次電池を提供することを目的とする。
(1)リチウム塩と前記リチウム塩を溶解する非水系溶媒とを含む非水系電解液、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極、及び正極を含む非水系電解液二次電池であって、
前記負極が1.0V(vs.Li/Li+)より貴な電位においてリチウムイオンを吸蔵放出する負極活物質を含み、
前記非水系溶媒がジエチルカーボネートを含み、且つ
前記非水系電解液がさらに酸無水物を含む、非水系電解液二次電池。
(2)前記ジエチルカーボネートを前記非水系溶媒に対して5体積%以上80体積%以下含有する、上記(1)に記載の非水系電解液二次電池。
(3)前記非水系溶媒がさらに飽和環状カーボネート及び環状スルホン化合物のうち少なくとも一方を含有する、上記(1)または(2)に記載の非水系電解液二次電池。
(4)前記酸無水物がカルボン酸無水物及びスルホン酸無水物のうち少なくとも一方を含む、上記(1)ないし(3)のいずれか1に記載の非水系電解液二次電池。
(5)前記酸無水物の前記非水系電解液全体における含有量が0.01質量%以上10質量%以下である、上記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の非水系電解液二次電池。
(6)前記酸無水物の前記非水系電解液全体における含有量が0.1質量%以上1質量%以下である、上記(1)ないし(5)のいずれか1に記載の非水系電解液二次電池。
(7)前記酸無水物の前記非水系電解液全体における含有量が0.1質量%以上1質量%未満である、上記(1)ないし(6)のいずれか1に記載の非水系電解液二次電池。
(8)前記飽和環状カーボネートがエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートのうち少なくとも一方を含む、上記(3)ないし(7)のいずれか1に記載の非水系電解液二次電池。
(9)前記環状スルホン化合物がスルホラン及びスルホラン誘導体のうち少なくとも一方を含む、上記(3)ないし(8)のいずれか1に記載の非水系電解液二次電池。
(10)前記負極活物質がリチウムチタン複合酸化物である、上記(1)ないし(9)のいずれか1に記載の非水系電解液二次電池。
(11)前記正極がMnを含有する活物質を含む、上記(1)ないし(10)のいずれか1に記載の非水系電解液二次電池。
(12)上記(1)ないし(11)のいずれか1に記載の非水系電解液二次電池を定置型電池とする、非水系電解液二次電池の使用方法。
ここで“重量%”、“重量ppm”及び“重量部”と、“質量%”、“質量ppm”及び“質量部”とは、それぞれ同義である。また、単に“ppm”と記載した場合は、“重量ppm”のことを示す。
本発明の非水系電解液二次電池に用いる非水系電解液は、リチウム塩とこれを溶解する非水系溶媒とを含有する非水系電解液に関するものであり、前記非水系溶媒がジエチルカーボネートを含み、前記非水系電解液がさらに酸無水物を含有することを特徴とする。
本発明で使用するジエチルカーボネートは、製造方法に特に制限はなく、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
ジエチルカーボネートの含有量は、非水系溶媒100体積%中、その下限は、通常5体積%以上、好ましくは10体積%以上、より好ましくは30体積%以上であり、その上限は、通常80体積%以下、好ましくは70体積%以下である。この範囲であれば、ガス発生抑制効果が得られやすく、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやすい。また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することができることから、非水系電解液二次電池の充放電を高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
ジエチルカーボネートを後述のジエチルカーボネート以外の対称鎖状カーボネートや非対称カーボネートとを2種類以上で併用することも好ましい。
本発明で使用する酸無水物として、カルボン酸無水物、スルホン酸無水物、カルボン酸とスルホン酸との無水物が挙げられ、好ましくはカルボン酸無水物、スルホン酸無水物が挙げられる。
カルボン酸無水物の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸無水クロトン酸、無水トリフルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、フェニルコハク酸無水物、2−フェニルグルタル酸無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、フルオロコハク酸無水物、テトラフルオロコハク酸無水物等を挙げることができる。これらの中でも、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、フルオロコハク酸無水物、テトラフルオロコハク酸無水物が充放電効率の向上とガス発生抑制効果のバランスの点から好ましい。
また、本発明で使用する電解液における酸無水物の含有量は、非水系溶媒全体に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、特に好ましくは1質量%未満、特により好ましくは0.9質量%以下、最も好ましくは0.8質量%以下である。添加量が上記範囲内にあることにより、ガス発生抑制効果が十分となり、また、酸無水物由来のガス発生を抑制し、本発明の効果を十分に発現できる。
リチウムチタン複合酸化物などの金属酸化物は化学吸着水もしくは表面OH基が多く含まれ、これら化学吸着水もしくは表面OH基が非水系電解液と反応し、分解ガスが発生する。
非水系溶媒としては、上記のジエチルカーボネート以外に、飽和環状カーボネート、環状スルホン化合物、フッ素原子を有する環状カーボネート、ジエチルカーボネート以外の対称鎖状カーボネート、非対称鎖状カーボネート、環状又は鎖状カルボン酸エステル、エーテル化合物等を使用することが可能である。また、飽和環状カーボネート及び環状スルホン化合物のうち少なくとも一方を含有することが好ましい。
飽和環状カーボネートとしては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが挙げられる。
炭素数2〜4の飽和環状カーボネートとしては、具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられ、好ましくは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが挙げられる。
飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
更に、非水系溶媒全体に占めるエチレンカーボネートの量を、非水系溶媒100体積%中、通常40体積%以下、好ましくは30体積%未満で使用すると、エチレンカーボネートの分解が抑制され、高温保存時のガス発生が減少する場合があり好ましい態様である。また、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られえるため好ましい。
環状スルホン化合物は、環状部位がメチレン基とスルホニル基(−S(=O)2−)とによって構成される環状化合物であれば特に制限されず、任意の環状スルホン化合物を用いることができる。環状スルホン化合物は、場合により、置換基を有していてもよい。その中で、環状部位が3個以上のメチレン基と1個以上のスルホニル基とからなり、場合により置換基を有しており、かつ、分子量が500以下のものが好ましい。
置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子又は塩素原子であり、フッ素原子が特に好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜4個のアルキル基が挙げられ、1〜2個が好ましい。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子で置換された炭素原子数1〜4個のアルキル基が挙げられ、炭素原子数1〜2個のアルキル基が好ましい。置換基は、1個であっても、複数個であってもよく、本発明の効果の点から、好ましくは1〜3個である。
環状スルホン化合物は、本発明の非水系電解液中に、1種を単独で含有させてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して含有させてもよい。
環状スルホン化合物の含有量は、非水系溶媒100体積%中、0.01体積%以上、90体積%以下であることが好ましい。この範囲であれば、ガス発生抑制効果が得られやすく、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやすく、また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することができることから、非水系電解液二次電池の充放電を高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
フッ素原子を有する環状カーボネート(以下、「フッ素化環状カーボネート」と略記する場合がある。)としては、フッ素原子を有する環状カーボネートであれば、特に制限はない。
フッ素化環状カーボネートとしては、炭素原子数2〜6のアルキレン基を有する環状カーボネートの誘導体が挙げられ、例えばエチレンカーボネート誘導体である。エチレンカーボネート誘導体としては、例えば、エチレンカーボネート又はアルキル基(例えば、炭素原子数1〜4個のアルキル基)で置換されたエチレンカーボネートのフッ素化物が挙げられる。
フッ素化環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。また、上記の飽和環状カーボネートや環状スルホン系化合物と任意の組み合わせおよび比率で混合して使用しても良い。
本発明で使用するジエチルカーボネート以外の対称鎖状カーボネート(以下、単に「対称鎖状カーボネート」と略記する場合がある。)としては、炭素数3〜7のものおよびフッ素原子を有する対称鎖状カーボネート類が挙げられる。
本発明において対称鎖状カーボネートとは、カーボネート基に結合する2つの置換基が同一である鎖状のカーボネートである。例えば、炭素数が3〜7の対称鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート等が挙げられる。中でも、ジメチルカーボネートが好ましい。
フッ素化ジエチルカーボネート誘導体としては、ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。
また、製造方法にも特に制限はなく、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
対称鎖状カーボネートの含有量は、非水系溶媒100体積%中、その下限は、通常5体積%以上、好ましくは10体積%以上、より好ましくは30体積%以上であり、その上限は、通常80体積%以下、好ましくは70体積%以下である。この範囲であれば、ガス発生抑制効果が得られやすく、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやすい。また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することができることから、非水系電解液二次電池の充放電を高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
特定の対称鎖状カーボネートを後述の非対称カーボネートと2種類以上併用することも好ましい。
非対称鎖状カーボネートとしては、炭素数3〜7のものが好ましい。
具体的には、炭素数3〜7の非対称鎖状カーボネートとしてはn−プロピル−i−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、i−ブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、i−ブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。
中でも、n−プロピル−i−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネートが好ましく、特に好ましくはエチルメチルカーボネートである。
フッ素化エチルメチルカーボネート誘導体としては、(2−フルオロエチル)メチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、(2,2−ジフルオロエチル)メチルカーボネート、(2−フルオロエチル)フルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、(2,2,2−トリフルオロエチル)メチルカーボネート、(2,2−ジフルオロエチル)フルオロメチルカーボネート、(2−フルオロエチル)ジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。
非対称鎖状カーボネートの含有量は、非水系溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上である。このように下限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン伝導度の低下を抑制し、ひいては非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。また、非対称鎖状カーボネートは、非水系溶媒100体積%中、90体積%以下、より好ましくは85体積%以下であることが好ましい。このように上限を設定することにより、非水系電解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。
環状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素原子数が3〜12のものが挙げられる。
具体的には、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。中でも、非水系電解液二次電池がリチウムイオン二次電池である場合、γ−ブチロラクトンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
鎖状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素数が3〜7のものが挙げられる。
中でも、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル等が、粘度低下によるイオン伝導度の向上の点から好ましい。
エーテル系化合物としては、一部の水素原子がフッ素原子にて置換されていてもよい炭素数3〜10の鎖状エーテル、又は炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
炭素数3〜10の鎖状エーテルとしては、ジエチルエーテル、ビス(2−フルオロエチル)エーテル、ビス(2,2−ジフルオロエチル)エーテル、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(2−フルオロエチル)エーテル、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル−n−プロピルエーテル、エチル(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2−フルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2−フルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2,2,2−トリフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、n−プロピル(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、ジ−n−プロピルエーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)(n−プロピル)エーテル、ビス(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ビス(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、ビス(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタン、エトキシメトキシメタン、(2−フルオロエトキシ)メトキシメタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、メトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ビス(2−フルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、ビス(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、(2−フルオロエトキシ)メトキシエタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、メトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジエトキシエタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ビス(2−フルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、ビス(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
中でも、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、イオン解離性を向上させる点で好ましく、特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与えることから、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。
電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAlF4、LiSbF6、LiNbF6、LiTaF6、LiWF7等の無機リチウム塩;
LiPO3F、LiPO2F2等のフルオロリン酸リチウム類;
LiWOF5等のタングステン酸リチウム類;
HCO2Li、CH3CO2Li、CH2FCO2Li、CHF2CO2Li、CF3CO2Li、CF3CH2CO2Li、CF3CF2CO2Li、CF3CF2CF2CO2Li、CF3CF2CF2CF2CO2Li等のカルボン酸リチウム塩類;
LiN(FCO)2、LiN(FCO)(FSO2)、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のリチウムイミド塩類;
LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3等のリチウムメチド塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトフォスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート、リチウムトリス(オキサラト)フォスフェート等のリチウムオキサラトフォスフェート塩類;
その他、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩類;等が挙げられる。
本発明の非水系電解液二次電池において、酸無水物以外に目的に応じて適宜助剤を用いても良い。助剤としては、以下に示される不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素原子を有する不飽和環状カーボネート、炭素−炭素三重結合を有する化合物、環状スルホン酸エステル、シアノ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、過充電防止剤、その他の助剤等が挙げられる。
本発明の非水系電解液において、非水系電解液二次電池の負極表面に皮膜を形成し、電池の長寿命化を達成するために、不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「不飽和環状カーボネート」と略記する場合がある。)を用いることができる。
前記不飽和環状カーボネートとしては、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネート或いは後述する炭素−炭素三重結合を有する環状カーボネートであれば、特に制限はなく、任意の不飽和カーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有する環状カーボネートも、不飽和環状カーボネートに包含されることとする。
ビニレンカーボネート類としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5−ビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5−ジアリルビニレンカーボネート等が挙げられる。
また、不飽和環状カーボネートの含有量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。不飽和環状カーボネートの含有量は、非水系電解液100質量%中、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。この範囲であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。一方で少なすぎる場合は、本発明における効果が十分に発揮しない場合があり、また多すぎる場合は、抵抗が増加して出力や負荷特性が低下する場合がある。
フッ素化環状カーボネートとして、不飽和結合とフッ素原子とを有する環状カーボネート(以下、「フッ素化不飽和環状カーボネート」と略記する場合がある。)を用いることも好ましい。フッ素化不飽和環状カーボネートが有するフッ素原子の数は1以上があれば、特に制限されない。中でもフッ素原子の数は通常6以下、好ましくは4以下であり、1個又は2個のものが最も好ましい。
フッ素化ビニレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
また、フッ素化不飽和環状カーボネートの含有量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。フッ素化不飽和環状カーボネートの含有量は、通常、非水系電解液100質量%中、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。この範囲であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。一方で少なすぎる場合は、本発明における効果が十分に発揮しない場合があり、また多すぎる場合は、抵抗が増加して出力や負荷特性が低下する場合がある。
本発明の非水系電解液において、非水系電解液二次電池の負極表面に皮膜を形成し、電池の長寿命化を達成するために炭素−炭素三重結合を有する化合物を含有させることができる。炭素−炭素三重結合を有する化合物は、炭素−炭素三重結合を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、炭素−炭素三重結合を有する鎖状化合物と、炭素−炭素三重結合を有する環状化合物に分類される。
一般式(1)又は(2)であらわされる化合物の含有量は、非水系電解液100質量%中、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。この範囲であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。一方で少なすぎると、本発明における効果が十分に発揮しにくい場合があり、また多すぎると、抵抗が増加して出力や負荷特性が低下する場合がある。
R3は、一般式(4)に記載の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは、Li、置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素、置換基を有してもよい不飽和脂肪族炭化水素、又は置換基を有してもよい芳香族炭化水素・芳香族ヘテロ環があげられる。
好ましい芳香族炭化水素としては、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2、4−ジフルオロフェニル基、2、6−ジフルオロフェニル基、3、5−ジフルオロフェニル基、2、4、6−トリフルオロフェニル基が好ましい。
これらの中でも、メチル基、エチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、エテニル基、エチニル基、フェニル基が好ましい。
また、Rにおけるフッ素原子またはエチニル基の数は合わせて2つ以内で有ることが好ましい。これらの数が多すぎると、電解液との相溶性が悪化するおそれがあり、また、反応性が高すぎて副反応が増加するおそれが有る。
また、これらの中でも、m=1、l=0がより好ましい。lとmの双方が0である場合、環のひずみから安定性が悪化し、反応性が高くなりすぎて副反応が増加するおそれが有る。また、m=2以上である場合、またはm=1であっても、l=1以上で有る場合、環状より鎖状である方が安定となる場合があり、所期の特性を示さないおそれが有る。
さらに、式(4)中、X1とX3は、CR1 2またはOがより好ましい。これら以外の場合、反応性が高すぎて副反応が増加する場合が有る。
また、分子量は、より好ましくは100以上であり、また、より好ましくは200以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する一般式(4)の溶解性をさらに確保しやすく、本発明の効果が十分にさらに発現されやすい。
本発明の非水系電解液において、環状スルホン酸エステルを用いることも好ましい。環状スルホン酸エステル化合物の分子量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。分子量は、好ましくは100以上であり、また、250以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する環状スルホン酸エステル化合物の溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。環状スルホン酸エステル化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−メチル−1,3−プロパンスルトン、2−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、2−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、3−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、4−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、1−メチル−1,4−ブタンスルトン、2−メチル−1,4−ブタンスルトン、3−メチル−1,4−ブタンスルトン、4−メチル−1,4−ブタンスルトン、1,5−ペンタンスルトン、1−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、2−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、3−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、4−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、5−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、1−メチル−1,5−ペンタンスルトン、2−メチル−1,5−ペンタンスルトン、3−メチル−1,5−ペンタンスルトン、4−メチル−1,5−ペンタンスルトン、5−メチル−1,5−ペンタンスルトンなどのモノスルホン酸エステル化合物;
メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネート、エチレンエタンジスルホネートなどのジスルホン酸エステル化合物;等が挙げられる。
環状スルホン酸エステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
本発明の非水系電解液全体に対する環状スルホン酸エステル化合物の含有量に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下の濃度で含有させる。上記範囲を満たした場合は、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性、ガス発生抑制等の効果がより向上する。
本発明の非水系電解液において、シアノ基を有する化合物を用いることも好ましい。ここで、シアノ基を有する化合物としては、分子内にシアノ基を有している化合物であれば特にその種類は限定されないが、一般式(6)で表される化合物がより好ましい。
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、ラウロニトリル、2−メチルブチロニトリル、2,2−ジメチルブチロニトリル、ヘキサンニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3−メチルクロトノニトリル、2−メチル−2−ブテン二トリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−2−ペンテンニトリル、3−メチル−2−ペンテンニトリル、2−ヘキセンニトリル、フルオロアセトニトリル、ジフルオロアセトニトリル、トリフルオロアセトニトリル、2−フルオロプロピオニトリル、3−フルオロプロピオニトリル、2,2−ジフルオロプロピオニトリル、2,3−ジフルオロプロピオニトリル、3,3−ジフルオロプロピオニトリル、2,2,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、3,3’−チオジプロピオニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、ペンタフルオロプロピオニトリル等のシアノ基を1つ有する化合物;
1,2,3−トリス(2−シアノエトキシ)プロパン、トリス(2−シアノエチル)アミン等のシアノ基を3つ有する化合物;
メチルチオシアネート、エチルチオシアネート、プロピルチオシアネート、ブチルチオシアネート、ペンチルチオシアネート、ヘキシルチオシアネート、ヘプチルチオシアネート、メタンスルホニルシアニド、エタンスルホニルシアニド、プロパンスルホニルシアニド、ブタンスルホニルシアニド、ペンタンスルホニルシアニド、ヘキサンスルホニルシアニド、ヘプタンスルホニルシアニド、メチルスルフロシアニダート、エチルスルフロシアニダート、プロピルスルフロシアニダート、ブチルスルフロシアニダート、ペンチルスルフロシアニダート、ヘキシルスルフロシアニダート、ヘプチルスルフロシアニダートなどの含硫黄化合物;
本発明の非水系電解液全体に対するシアノ基を有する化合物の含有量に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下の濃度で含有させる。上記範囲を満たした場合は、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性、ガス発生等の効果がより向上する。
本発明の非水系電解液において、イソシアネート基を有する化合物を用いることも好ましい。ここで、イソシアネート基を有する化合物としては、一般式(7)又は(8)で表される化合物のように、分子内にイソシアネート基を有している化合物であれば特にその種類は限定されない。
エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート等の直鎖ポリメチレンジイソシアネート類;
1−メチルヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチルヘキサメチレンジイソシアネート、3−メチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,1−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,2,3−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の分岐アルキレンジイソシアネート類;
1,4−ジイソシアナト−2−ブテン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシアナト−3−ペンテン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−ヘキセン、1,8−ジイソシアナト−2−オクテン、1,8−ジイソシアナト−3−オクテン、1,8−ジイソシアナト−4−オクテン等のジイソシアナトアルケン類;
1,3−ジイソシアナト−2−フルオロプロパン、1,3−ジイソシアナト−2,2−ジフルオロプロパン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,2−ジフルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロブタン、1,6−ジイソシアナト−2−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,2−ジフルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,4−ジフルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,5−ジフルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,3−ジフルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、1,8−ジイソシアナト−2−フルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−3−フルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−4−フルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,2−ジフルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,4−ジフルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,5−ジフルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,6−ジフルオロオクタン、1,8−ジイソシアナト−2,7−ジフルオロオクタン等のフッ素置換ジイソシアナトアルカン類;
1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のシクロアルカン環含有ジイソシアネート類;
1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,3−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,5−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、トリレン−3,4−ジイソシアネート、トリレン−3,5−ジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、2,4−ジイソシアナトビフェニル、2,6−ジイソシアナトビフェニル、2,2’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジイソシアナトビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−2−メチルビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3−メチルビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−2−メチルジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3−メチルジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、1,5−ジイソシアナトナフタレン、1,8−ジイソシアナトナフタレン、2,3−ジイソシアナトナフタレン、1,5−ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、1,8−ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、2,3−ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン等の芳香環含有ジイソシアネート類;などが挙げられる。
エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート等の直鎖ポリメチレンジイソシアネート類;
1−メチルヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチルヘキサメチレンジイソシアネート、3−メチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,1−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ジメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,2,3−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の分岐アルキレンジイソシアネート類;
1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート等のシクロアルカン環含有ジイソシアネート類;が好ましい。
テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネートから選ばれる直鎖ポリメチレンジイソシアネート類;
1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートから選ばれるシクロアルカン環含有ジイソシアネート類;が特に好ましい。
本発明の非水系電解液において、ジイソシアネートを用いる場合にその含有量は、該非水系電解液の全体の質量に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。含有量が上記範囲内であると、サイクル特性、保存特性等の耐久性を向上でき、本発明の効果を十分に発揮できる。
イソシアネート基を有する化合物の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
本発明の非水系電解液において、非水系電解液二次電池が過充電等の状態になった際に電池の破裂・発火を効果的に抑制するために、過充電防止剤を用いることができる。
ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;
2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の上記芳香族化合物の部分フッ素化物;
2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物;等が挙げられる。
2種以上併用する場合は、特に、シクロヘキシルベンゼンとt−ブチルベンゼン又はt−アミルベンゼンとの組み合わせや、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン及びt−アミルベンゼン等の酸素を含有しない芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種と、ジフェニルエーテル及びジベンゾフラン等の含酸素芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種とを併用するのが過充電防止特性と高温保存特性のバランスの点から好ましい。
本発明の非水系電解液には、公知のその他の助剤を用いることができる。
その他の助剤としては、
エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;
エチレンサルファイト、フルオロスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、エタンスルホン酸メチル、エタンスルホン酸エチル、ブスルファン、スルホレン、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;
1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;
ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;
フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物;
メチルジメチルホスフィネート、エチルジメチルホスフィネート、エチルジエチルホスフィネート、トリメチルホスホノフォルメート、トリエチルホスホノフォルメート、トリメチルホスホノアセテート、トリエチルホスホノアセテート、トリメチル−3−ホスホノプロピオネート、トリエチル−3−ホスホノプロピオネート等の含リン化合物;等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。負極活物質としては、1.0V(vs.Li/Li+)より貴な電位においてリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。なお、本明細書において、以後電位の基準が明示されていない場合には、Li/Li+の平衡電位を基準とするものとする。
1.0Vより貴な電位においてリチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質としては、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、特に制限されないが、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、硫化鉄、硫化チタン、チタン酸リチウムなどを用いることができる。高電流密度充放電特性の点からチタン及びリチウムを含有する材料が好ましく、より好ましくはチタンを含むリチウム含有複合金属酸化物材料であり、さらに好ましくはリチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複合酸化物」と略記する場合がある。)である。即ちスピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物を、非水系電解液二次電池用負極活物質に含有させて用いると、出力抵抗が大きく低減するので特に好ましい。
LiαTiβMγO4・・・(A)
(一般式(A)中、Mは、Na、Mg、K、Al、Si、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Zr及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わす。)
(a)1.2≦α≦1.4、1.5≦β≦1.7、γ=0
(b)0.9≦α≦1.1、1.9≦β≦2.1、γ=0
(c)0.7≦α≦0.9、2.1≦β≦2.3、γ=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
上記化合物の特に好ましい代表的な組成は、(a)ではLi4/3Ti5/3O4、(b)ではLi1Ti2O4、(c)ではLi4/5Ti11/5O4である。また、Z≠0の構造については、例えば、Li4/3Ti4/3Al1/3O4が好ましいものとして挙げられる。
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、結着剤(バインダー)、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅、アルミニウムが好ましい。
集電体の厚さは、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。負極集電体の厚さが厚過ぎると、電池全体の容量が低下し過ぎることがあり、逆に薄過ぎると取り扱いが困難になることがあるためである。
集電体と負極活物質層の厚さの比は特に制限されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下がさらに好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上がさらに好ましく、1以上が特に好ましい。集電体と負極活物質層の厚さの比が、上記範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合がある。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、ポリイミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;
SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;
EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;
シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;
アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物;等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒としては、水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤と併せて分散剤等を含有させ、SBR等のラテックスを用いてスラリー化することが好ましい。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上がさらに好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ましく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下がさらに好ましく、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲を上回ると、負極活物質粒子が破壊され、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する場合がある。
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に制限されないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは280μm以下、より好ましくは250μm以下が望ましい。
また、上記負極板の表面に、負極板とは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
[1.正極活物質]
以下に正極に使用される正極活物質について述べる。
[1.1 組成]
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限されないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
また、上記正極活物質の表面に、正極活物質とは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
本発明においては、正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものも「正極活物質」に含まれる。
正極活物質の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が挙げられる。また、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成していてもよい。
正極活物質のタップ密度は、好ましくは0.5g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上、さらに好ましくは1.0g/cm3以上である。該正極活物質のタップ密度が上記下限を下回ると正極活物質層形成時に、必要な分散媒量が増加すると共に、導電材や結着剤の必要量が増加し、正極活物質層への正極活物質の充填率が制約され、電池容量が制約される場合がある。
タップ密度の高い複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成することができる。タップ密度は一般に大きいほど好ましく、特に上限はないが、大きすぎると、正極活物質層内における電解液を媒体としたリチウムイオンの拡散が律速となり、負荷特性が低下しやすくなる場合があるため、上限は、好ましくは4.0g/cm3以下、より好ましくは3.7g/cm3以下、さらに好ましくは3.5g/cm3以下である。
なお、本発明では、タップ密度は、正極活物質粉体5〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度(タップ密度)g/mLとして求める。
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上、最も好ましくは1.0μm以上であり、上限は、好ましくは30μm以下、より好ましくは27μm以下、さらに好ましくは25μm以下、最も好ましくは22μm以下である。上記下限を下回ると、高タップ密度品が得られなくなる場合があり、上限を超えると粒子内のリチウムの拡散に時間がかかるため、電池性能の低下をきたしたり、電池の正極作製時、即ち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリー化し、薄膜状に塗布する際に、スジを引く等の問題を生ずる場合がある。ここで、異なるメジアン径d50をもつ該正極活物質を2種類以上混合することで、正極作成時の充填性をさらに向上させることができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、該正極活物質の平均一次粒子径としては、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上であり、上限は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下である。上記上限を超えると球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下するために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合がある。逆に、上記下限を下回ると、通常、結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等の問題を生ずる場合がある。
正極活物質のBET比表面積は、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.2m2/g以上、さらに好ましくは0.3m2/g以上であり、上限は50m2/g以下、好ましくは40m2/g以下、さらに好ましくは30m2/g以下である。BET比表面積がこの範囲よりも小さいと電池性能が低下しやすく、大きいとタップ密度が上がりにくくなり、正極活物質層形成時の塗布性に問題が発生しやすい場合がある。
なお、本発明では、BET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用い、試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値で定義される。
正極活物質の製造法としては、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。特に球状ないし楕円球状の活物質を作製するには種々の方法が考えられるが、例えば、遷移金属の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作製回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、Li2CO3、LiNO3等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法等が挙げられる。
以下に、正極の構成について述べる。本発明において、正極は、正極活物質と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製することができる。正極活物質を用いる正極の製造は、常法により行うことができる。即ち、正極活物質と結着剤、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成させることにより正極を得ることができる。
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また上限は、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。含有量がこの範囲よりも低いと導電性が不十分となる場合がある。逆に、含有量がこの範囲よりも高いと電池容量が低下する場合がある。
正極活物質層の製造に用いる結着剤(バインダー)としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であればよい。具体例としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;
SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;
シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;
ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;
アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物;等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、正極活物質、導電材、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系媒体としては、例えば、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機系媒体としては、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン、ピリジン等の複素環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;ジエチルエーテル、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
さらに増粘剤を添加する場合には、活物質に対する増粘剤の割合は、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、上限としては5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の範囲である。この範囲を下回ると、著しく塗布性が低下する場合がある。上記範囲を上回ると、正極活物質層に占める活物質の割合が低下し、電池の容量が低下する場合や正極活物質間の抵抗が増大する場合がある。
正極集電体の材質としては特に制限されず、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(電解液注液直前の片面の正極活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)の値が20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、最も好ましくは10以下であり、下限は、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、最も好ましくは1以上の範囲である。この範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。この範囲を下回ると、正極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する場合がある。
本発明の非水系電解液を用いる場合、高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、二次電池の外装の表面積に対する正極の電極面積の総和が面積比で15倍以上とすることが好ましく、さらに40倍以上とすることがより好ましい。
外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
正極板の厚さは特に限定されないが、高容量かつ高出力の観点から、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは、集電体の片面に対して下限として、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上で、上限としては、好ましくは500μm以下、より好ましくは450μm以下である。
また、上記正極板の表面に、正極板とは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
本発明の非水系電解液二次電池において、正極と負極との間には、短絡を防止するために、セパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明においては、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、ポリオレフィン系樹脂や、無機物を分散させた樹脂、その他の樹脂、ガラス繊維等を構成成分として用いることが出来る。形状としては、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
本発明で用いるセパレータは、ポリオレフィン系樹脂を構成成分の一部として有してもよい。ここでポリオレフィン系樹脂として、具体的にポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂、1−ポリメチルペンテンなどが挙げられる。
ポリエチレン系樹脂の例としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及びエチレンを主成分とする共重合体、すなわち、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどの炭素数3〜10のα−オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;若しくは共役ジエンや非共役ジエンのような不飽和化合物;の中から選ばれる1種または2種以上のコモノマーとの共重合体または多元共重合体あるいはその混合組成物が挙げられる。エチレン系重合体のエチレン単位の含有量は、通常50質量%を超えるものである。
また、ポリエチレン系樹脂の重合触媒には特に制限はなく、チーグラー型触媒、フィリップス型触媒、カミンスキー型触媒等いずれのものでもよい。ポリエチレン系樹脂の重合方法として、一段重合、二段重合、もしくはそれ以上の多段重合等があり、いずれの方法のポリエチレン系樹脂も使用可能である。
次に、ポリプロピレン系樹脂の例について説明する。本発明におけるポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンと、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1―ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどのα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、電池用セパレータに用いる場合には機械的強度の観点からホモポリプロピレンがより好適に使用される。
アイソタクチックペンタッド分率とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambellietatal.(Macromol.8,687(1975))に準拠している。
無機物の形状としては特に制限はなく、球状、板状、繊維上、その他無定形状あるいはそれの混合物であってもかまわない。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;
SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;
シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;
ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;
アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物;等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
セパレータの厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、5μm以上が好ましく、8μm以上がさらに好ましく、また、通常50μm以下であり、40μm以下が好ましく、30μm以下がさらに好ましい。セパレータが、上記範囲より薄過ぎると、絶縁性や機械的強度が低下する場合がある。また、上記範囲より厚過ぎると、レート特性等の電池性能が低下する場合があるばかりでなく、非水系電解液二次電池全体としてのエネルギー密度が低下する場合がある。
上記の独立した薄膜形状以外に、樹脂製の結着剤を用いて上記無機物の粒子を含有する複合多孔層を正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径(平均粒径d90)が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着剤として多孔層を形成させることが挙げられる。
[1.電極群]
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、「電極群占有率」と称する。)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
集電構造は、特に制限されないが、本発明の非水系電解液による高電流密度の充放電特性の向上をより効果的に実現するには、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。この様に内部抵抗を低減させた場合、本発明の非水系電解液を使用した効果は特に良好に発揮される。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
シール性を上げるために、上記樹脂層の間にラミネートフィルムに用いられる樹脂と異なる樹脂を介在させてもよい。特に、集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする場合には、金属と樹脂との接合になるので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂や極性基を導入した変性樹脂が好適に用いられる。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。具体的に、外装体の材質は任意であるが、通常は、例えばニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
また、外装体の形状も任意であり、例えば円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
尚、下記実施例および比較例で得られたリチウム二次電池の各評価方法を以下に示す。
得られたリチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で慣らし運転を行った。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、2Cとはその2倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
上記慣らし運転を実施した後のリチウム二次電池を2.7Vに充電し、60℃にて1週間保存した。保存前後にアルキメデス法を用いて、体積測定を行い、[(保存後体積−保存前体積)÷保存前体積×100]の値を算出した。なお、表1〜3の評価結果は、それぞれ比較例A−1、参考例B−2、比較例C−1を100とした場合の数値である。
上記慣らし運転を実施した後のリチウム二次電池を2.7Vまで充電し、10Cにて放電し、そのときに得られた値を10C放電容量(mAh)とした。なお、作製したリチウム二次電池は0.2Cでの放電容量が約34mAhとなるように規格化した。
(実施例A−1)
[負極の製造]
負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を使用し、リチウムチタン複合酸化物:導電助剤:バインダーが91:4:5(質量比)からなる負極を上記明細書に示した方法で作製した。用いたリチウムチタン複合酸化物がリチウムイオンを吸蔵放出する電位は1.2〜2.0Vである。なお、実施例A−1〜A−7及び比較例A−1〜A−4で用いる負極はすべて同じものとした。
[正極の製造]
正極活物質としてのリチウムコバルトニッケルマンガン酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)92質量%と、導電材としてアセチレンブラック5質量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これをアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。なお、実施例A−1〜A−7及び比較例A−1〜A−4で用いる正極はすべて同じものとした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合物(容量比3:7)である溶媒に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解し、非水系電解液中の含有量が0.5質量%となるように無水コハク酸(SUC)を添加剤として混合して電解液とした。
負極、セパレータ、正極を積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウムの両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極と負極の端子を突設させながら挿入した後、上記で調製した電解液をそれぞれ袋内に注入し、真空封止を行い、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量および放電特性の評価として、上述した保存試験及び放電10Cレート試験をそれぞれ行った。評価結果を表1に示す。
実施例A−1の電解液において、SUCの含有量を1.0質量%とした以外は、実施例A−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量および放電特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例A−1の電解液において、SUCの含有量を2.0質量%とした以外は、実施例A−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量および放電特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例A−1の電解液において、添加剤をSUCに代えてマレイン酸無水物(MAL)0.5質量%を使用した以外は、実施例A−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量および放電特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例A−1の電解液において、SUC0.5質量%に加え、さらにジフルオロリン酸リチウム(MP1)を0.5質量%添加した以外は、実施例A−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量および放電特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例A−1の電解液において、SUC0.5質量%に加え、さらにビニレンカーボネート(VC)を0.5質量%添加した以外は、実施例A−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量および放電特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例A−1の電解液において、溶媒をECとDECとの混合物(容量比3:7)に代えてECとDECとエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物(容量比3:4:3)を使用した以外は、実施例A−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量の評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例A−1の電解液において、添加剤を一切混合しなかった以外は、実施例A−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量および放電特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例A−2)
実施例A−1の電解液において、溶媒をECとDECとの混合物(容量比3:7)に代えてECとEMCとの混合物(容量比3:7)を使用した以外は、実施例A−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例A−3)
実施例A−1の電解液において、溶媒をECとDECとの混合物(容量比3:7)に代えてECとジプロピルカーボネート(DPC)との混合物(3:7)を使用した以外は、実施例A−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量及び放電特性の評価は注液不可より測定不能であった。
(比較例A−4)
実施例A−1の電解液において、溶媒をECとDECとの混合物(容量比3:7)に代えてECとジメチルカーボネート(DMC)との混合物(容量比3:7)を使用した以外は、実施例A−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例B−1)
実施例A−1において、負極活物質をリチウムチタン複合酸化物に代えてグラファイト粉末98質量部とPVdF 2質量部とを混合し、水を加えてスラリー状にしたものを、銅からなる集電体の片面に塗布・乾燥して作製した負極を使用した以外は、実施例A−1と同様にして負極を作製し、正極及び非水系電解液と共にシート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量の評価を行った。評価結果を表2に示す。
なお、負極活物質として用いたグラファイト粉末は、0.005〜0.5Vにおいてリチウムイオンを吸蔵放出する。
(比較例B−2)
比較例B−1の電解液において、添加剤を一切混合しなかった以外は、比較例B−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例C−1)
[負極の製造]
負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を使用し、リチウムチタン複合酸化物:導電助剤:バインダーが91:4:5(質量比)からなる負極を上記明細書に示した方法で作製した。用いたリチウムチタン複合酸化物がリチウムイオンを吸蔵放出する電位は1.2〜2.0Vである。なお、実施例C−1〜C−4及び比較例C−1〜C−3で用いる負極はすべて同じものとした。
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルト含有酸化物(Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2)85質量%と、導電材としてアセチレンブラック7質量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)8質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これをアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。なお、実施例C−1〜C−4及び比較例C−1〜C−3で用いる負極はすべて同じものとした。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合物(容量比3:7)である溶媒に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解し、非水系電解液中の含有量が0.5質量%となるように無水コハク酸(SUC)を添加剤として混合して電解液とした。
負極、セパレータ、正極を積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウムの両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極と負極の端子を突設させながら挿入した後、上記で調製した電解液をそれぞれ袋内に注入し、真空封止を行い、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量および放電特性の評価として、上述した保存試験及び放電10Cレート試験を行った。評価結果を表3に示す。
実施例A−1の電解液において、SUCの含有量を3.0質量%とした以外は、実施例C−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量の評価を行った。評価結果を表3に示す。
実施例C−1の電解液において、溶媒をECとDECとの混合物(容量比3:7)に代えてプロピレンカーボネート(PC)とDECとの混合物(容量比3:7)を使用した以外は、実施例C−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量の評価を行った。評価結果を表3に示す。
実施例C−1の電解液において、溶媒をECとDECとの混合物(容量比3:7)に代えてスルホラン(SLF)とDECとの混合物(容量比3:7)を使用した以外は、実施例C−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量の評価を行った。評価結果を表3に示す。
(比較例C−1)
実施例C−1の電解液において、添加剤を一切混合しなかった以外は、実施例C−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量および放電特性の評価を行った。評価結果を表3に示す。
(比較例C−2)
比較例C−1の電解液において、溶媒をECとDECとの混合物(容量比3:7)に代えてECとEMCとの混合物(容量比3:7)を使用した以外は、比較例C−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量の評価を行った。評価結果を表3に示す。
(比較例C−3)
実施例C−1の電解液において、添加剤をSUCに代えてVCを0.5質量%添加した以外は、実施例C−1と同様にして非水系電解液を調製し、シート状電池を作製した。得られた非水系電解液二次電池のガス発生量の評価を行った。評価結果を表3に示す。
本出願は2012年6月15日出願の日本特許出願(特願2012−136080)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
Claims (12)
- リチウム塩と前記リチウム塩を溶解する非水系溶媒とを含む非水系電解液、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極、及び正極を含む非水系電解液二次電池であって、
前記負極が1.0V(vs.Li/Li+)より貴な電位においてリチウムイオンを吸蔵放出する負極活物質を含み、
前記非水系溶媒がジエチルカーボネートを含み、前記ジエチルカーボネートの含有量が前記非水系溶媒に対して70体積%以下であり、且つ、
前記非水系電解液がさらに酸無水物を含む、非水系電解液二次電池。 - 前記ジエチルカーボネートを前記非水系溶媒に対して5体積%以上含有する、請求項1に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記非水系溶媒がさらに飽和環状カーボネート及び環状スルホン化合物のうち少なくとも一方を含有する、請求項1または2に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記酸無水物がカルボン酸無水物及びスルホン酸無水物のうち少なくとも一方を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記酸無水物の前記非水系電解液全体における含有量が0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記酸無水物の前記非水系電解液全体における含有量が0.1質量%以上1質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記酸無水物の前記非水系電解液全体における含有量が0.1質量%以上1質量%未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記飽和環状カーボネートがエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートのうち少なくとも一方を含む、請求項3に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記環状スルホン化合物がスルホラン及びスルホラン誘導体のうち少なくとも一方を含む、請求項3に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記負極活物質がリチウムチタン複合酸化物である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記正極がMnを含有する活物質を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池を定置型電池とする、非水系電解液二次電池の使用方法。
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