以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
[実施形態1]
<現金入出金機の構成>
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態1に係る現金入出金機の構成につき説明する。図1は、実施形態1に係る現金入出金機の構成を示す図である。図2は、実施形態1に係る現金入出金機の機能構成を示す図である。
本実施形態1に係る現金入出金機1は、現金を管理するための装置である。以下、現金入出金機1を「装置」と称する場合もある。現金入出金機1は、例えば、旅行会社の事務所やバスの発着場等に設置され、従来、人(出納係や添乗員)を介して行われていたツアーの現金管理(例えば、ツアーナンバーの管理や、現金(持出金)の持ち出し、ツアー終了後の返済金の集計等)を行うことができる構成となっている。
現金入出金機1は、「出金取引」や、「入金取引」、「両替取引」、「計数取引」、「預入取引」、「抜取取引」、「締め上げ取引」、「売上回収取引」等(図7(c)参照)の取引を実行することができる。
「出金取引」とは、現金を現金入出金機1に予め収納しておき、その一部をツアーの経費等で使用される現金(持出金)として一時的に出金する取引である。
「入金取引」とは、ツアー終了後に添乗員の手元に残っている現金を返済金として現金入出金機1に入金する取引である。
「両替取引」とは、例えば、10枚の千円券を1枚の万円券に両替する場合のように、装置に投入された現金を現金入出金機1に収納されている他の金種の現金と交換する取引である。
「計数取引」とは、現金入出金機1に投入された現金を計数する取引である。
「預入取引」とは、ツアーの出発前に、ツアー客から旅行会社に預けられた預入金を現金入出金機1に入金する取引である。
「抜取取引」とは、現金入出金機1から現金を一時的に抜き取る取引である。
「締め上げ取引」とは、現金入出金機1に入金された全てのツアーの売上金の合計額を集計して、回収売上金額(売上の回収金として回収する回収売上金の金額)を確定する取引である。
「売上回収取引」とは、現金入出金機1に入金された回収売上金分の現金を操作者に回収させる取引である。
図1に示すように、現金入出金機1は、制御部2、記憶部3、カードリーダ部4、操作表示部5、紙幣搬送部6a、硬貨搬送部6b、レシートプリンタ7、紙幣部8a、及び、硬貨部8bを有している。
制御部2は、現金入出金機1の各部の動作を制御する機能手段である。制御部2は、CPUによって構成されている。
記憶部3は、取引の実行に用いる各種の制御プログラムやデータを格納する記憶手段である。記憶部3は、RAMやROM、HDD等によって構成されている。
カードリーダ部4は、操作者によって所持されるカードから情報を読み取る構成要素である。カードリーダ部4は、取引開始時に、操作者によって所持されるIDカード等から情報を読み取る。本実施形態1では、例えば、旅行会社の事務所で勤務している管理者や出納係等の事務所員、並びに、旅行会社のツアーの添乗員が、現金入出金機1の操作者となる。
操作表示部5は、操作者の操作を受け付けたり、操作に必要な様々な文字や画面を表示したりする構成要素である。ここでは、操作表示部5がタッチパネルと液晶ディスプレイ(LCD)とを組み合わせた構成になっている場合を想定して説明する。
紙幣搬送部6aは、紙幣を搬送する機構である。
硬貨搬送部6bは、硬貨を搬送する機構である。
レシートプリンタ7は、取引結果をロール紙等の紙媒体に印字して、レシートを発行する構成要素である。
紙幣部8aは、紙幣を取り扱う構成要素である。紙幣部8aは、内部が紙幣部フロント扉9a(以下、単に「扉9a」と称する場合もある)によって封鎖されており、扉9aを開けることで内部にアクセスすることができる。紙幣部8aは、前記した紙幣搬送部6a、紙幣投入口11、紙幣一時保留部12、紙幣鑑別部13、リサイクルカセット14、売上回収カセット17、及び、リジェクト部18を備えている。
紙幣投入口11は、紙幣が投入(入金)される入金部である。ここでは、紙幣投入口11が、出金紙幣、入金リジェクト紙幣、及び、返却紙幣を出金するための出金部も兼ねているものとして説明する。なお、「出金紙幣」は、操作者に出金する紙幣を意味している。「入金リジェクト紙幣」は、入金取引で正常紙幣(正券)として鑑別されなかったリサイクル不能な紙幣を意味している。「返却紙幣」は、入金取引時や計数取引時に、操作者の操作に基づいて返却される紙幣を意味している。
紙幣一時保留部12は、紙幣を一時的に保留する場所である。現金入出金機1は、例えば、計数取引時や売上回収取引時に、紙幣を一時的に紙幣一時保留部12に保留させる。
紙幣鑑別部13は、紙幣を鑑別する構成要素である。
リサイクルカセット14は、出金紙幣としてリサイクル可能な正常紙幣(正券)を収納する出金用現金収納部である。現金入出金機1は、出金取引時に、リサイクルカセット14に収納された紙幣を持出金として出金する。
本実施形態1では、現金入出金機1が3つのリサイクルカセット14を備えている場合を想定して説明する。以下、3つのリサイクルカセット14を区別する場合に、それぞれを、「リサイクルカセット14a」、「リサイクルカセット14b」、及び、「リサイクルカセット14c」と称する。ただし、リサイクルカセット14の数は、設計次第で、増減することができる。
本実施形態1では、リサイクルカセット14aが一万円券を収納する万円券カセットとして使用され、リサイクルカセット14bが五千円券を収納する五千円券カセットとして使用され、リサイクルカセット14cが千円券を収納する千円券カセットとして使用されるものとして説明する。以下、リサイクルカセット14aを「万円券カセット14a」と称し、リサイクルカセット14bを「五千円券カセット14b」と称し、リサイクルカセット14cを「千円券カセット14c」と称する場合もある。
現金入出金機1は、運用開始前に、装置内準備金として、装置毎に設定された金額分の一万円券、五千円券、及び、千円券を、それぞれに対応するリサイクルカセット14a,14b,14cに収納する。また、現金入出金機1は、入金取引時に、紙幣鑑別部13によってリサイクル可能な正常紙幣(正券)として鑑別された一万円券、五千円券、及び、千円券を、それぞれに対応するリサイクルカセット14a,14b,14cに収納する。そして、現金入出金機1は、出金取引時に、リサイクルカセット14a,14b,14cに収納された紙幣を持出金として出金する。
売上回収カセット17は、売上の回収金(回収売上金)として装置から回収する(抜き取る)紙幣を収納する売上回収庫である。以下、売上回収カセット17を「売上回収庫17」と称する場合もある。売上回収カセット17は、紙幣を内部に収納した状態で持ち運ぶことが可能なカセットとして構成されている。現金入出金機1は、入金取引時や売上回収取引時に、売上金としての紙幣をリサイクルカセット14a,14b,14cから売上回収カセット17に移送して、売上回収カセット17に収納する。
リジェクト部18は、紙幣鑑別部13によってリジェクトされたリジェクト紙幣を収納する場所である。本実施形態1では、リジェクト部18は、リジェクト紙幣を内部に収納した状態で持ち運ぶことが可能な金庫として構成されている。以下、リジェクト部18を「紙幣リジェクト庫」と称する場合もある。現金入出金機1は、出金取引でリサイクルカセット14から紙幣投入口11に紙幣を移送する際に発生したリジェクト紙幣、入金取引で紙幣一時保留部12からリサイクルカセット14に紙幣を移送する際に発生したリジェクト紙幣、及び、売上金回収取引でリサイクルカセット14から売上回収カセット17に紙幣を移送する際に発生したリジェクト紙幣をリジェクト部18に収納する。
硬貨部8bは、硬貨を取り扱う構成要素である。硬貨部8bは、内部が硬貨部フロント扉9b(以下、単に「扉9b」と称する場合もある)によって封鎖されており、扉9bを開けることで内部にアクセスすることができる。硬貨部8bは、前記した硬貨搬送部6b、硬貨投入口21、硬貨一時保留部22、硬貨鑑別部23、出金ホッパ24、硬貨出金箱25、硬貨回収庫27、硬貨リジェクト庫28、及び、硬貨返却箱29を備えている。
硬貨投入口21は、硬貨が投入(入金)される入金部である。
硬貨一時保留部22は、計数取引時に硬貨を一時的に収納する場所である。
硬貨鑑別部23は、硬貨を鑑別する構成要素である。
出金ホッパ24は、出金硬貨としてリサイクル可能な正常硬貨(正常貨)を収納する出金用現金収納部である。現金入出金機1は、出金取引時に、出金ホッパ24に収納された硬貨を持出金として出金する。
現金入出金機1は、運用開始前に、装置内準備金として、装置毎に設定された金額分の五百円硬貨、百円硬貨、五十円硬貨、十円硬貨、五円硬貨、及び、一円硬貨を、金種別に区分けして出金ホッパ24に収納する。また、現金入出金機1は、入金取引時に、硬貨鑑別部23によってリサイクル可能な正常硬貨(正常貨)として鑑別された五百円硬貨、百円硬貨、五十円硬貨、十円硬貨、五円硬貨、及び、一円硬貨を、金種別に区分けして出金ホッパ24に収納する。そして、現金入出金機1は、出金取引時に、出金ホッパ24に収納された硬貨を持出金として出金する。
硬貨出金箱25は、出金取引時に、出金硬貨を放出する場所である。なお、「出金硬貨」は、操作者に出金する硬貨を意味している。
硬貨回収庫27は、売上の回収金(回収売上金)として装置から回収する(抜き取る)硬貨を収納する売上回収庫である。以下、硬貨回収庫27を「売上回収庫27」と称する場合もある。本実施形態1では、硬貨回収庫27は、硬貨を内部に収納した状態で持ち運ぶことが可能な金庫として構成されている。現金入出金機1は、入金取引時や売上回収取引に、売上金としての硬貨を出金ホッパ24から硬貨回収庫27に移送して、硬貨回収庫27に収納する。
硬貨リジェクト庫28は、硬貨鑑別部23によってリジェクトされたリジェクト硬貨を収納する場所である。本実施形態1では、硬貨リジェクト庫28は、リジェクト硬貨を内部に収納した状態で持ち運ぶことが可能な金庫として構成されている。現金入出金機1は、出金取引で出金ホッパ24から硬貨出金箱25に硬貨を移送する際に発生したリジェクト硬貨、入金取引で硬貨一時保留部22から出金ホッパ24に硬貨を移送する際に発生したリジェクト硬貨、及び、売上金回収取引で出金ホッパ24から硬貨回収庫27に硬貨を移送する際に発生したリジェクト硬貨を硬貨リジェクト庫28に収納する。
硬貨返却箱29は、返却硬貨を放出する場所である。なお、「返却硬貨」は、入金取引や計数取引で、取引が取り消された場合に返却される硬貨を意味している。
図2に示すように、現金入出金機1の制御部2を構成するCPUは、記憶部3に予め格納された制御プログラム51を実行することにより、主制御部2a、搬送・鑑別制御部2b、入力制御部2c、表示制御部2d、取引実行部2e、扉監視部2f、及び、抜取監視部2gとして機能する。
主制御部2aは、現金入出金機1の全体の動作を制御する機能手段である。
搬送・鑑別制御部2bは、搬送部6a,6bや、鑑別部(紙幣鑑別部13及び硬貨鑑別部23)等の動作を制御する機能手段である。
入力制御部2cは、操作表示部5での入力を検知し、入力情報を取得する機能手段である。
表示制御部2dは、操作表示部5の表示を制御する機能手段である。
取引実行部2eは、前記した「出金取引」や、「入金取引」、「両替取引」、「計数取引」、「預入取引」、「抜取取引」、「締め上げ取引」、「売上回収取引」等(図7(c)参照)の取引を実行する機能手段である。取引実行部2eは、入力部(ここでは、操作表示部5)から各ツアーに付与されたツアーナンバーの入力を受け付け、受け付けられたツアーナンバーを記憶部3に登録し、登録されたツアーナンバー毎に、現金入出金機1に入金された各ツアーの売上金の金額(売上金額)を集計する構成になっている。
扉監視部2fは、フロント扉(紙幣部フロント扉9a及び硬貨部フロント扉9b(図1参照))の開閉状態を監視する機能手段である。
抜取監視部2gは、操作者による現金の抜き取りを監視する機能手段である。抜取監視部2gは、例えば、出金取引時に、紙幣投入口11に放出された出金紙幣の紙幣投入口11からの抜き取り及び硬貨出金箱25の装置からの脱着及び装置への装着を図示せぬセンサを用いて監視する。これによって、抜取監視部2gは、操作者による紙幣投入口11に放出された出金紙幣及び硬貨出金箱25に放出された出金硬貨の抜き取りを監視する。また、抜取監視部2gは、例えば、入金取引時や計数取引時に、紙幣投入口11に放出された返却紙幣の紙幣投入口11からの抜き取り及び硬貨返金箱29の装置からの脱着及び装置への装着を図示せぬセンサを用いて監視する。これによって、抜取監視部2gは、操作者による紙幣投入口11に放出された返却紙幣及び硬貨返金箱29に放出された返却硬貨の抜き取りを監視する。また、抜取監視部2gは、例えば、売上回収取引時に、売上回収庫(売上カセット17及び硬貨回収庫27)並びにリジェクト庫(紙幣リジェクト金庫18及び硬貨リジェクト庫28)の装置からの脱着及び装置への装着を図示せぬセンサを用いて監視する。これによって、抜取監視部2gは、操作者による売上金の回収を監視する。
また、現金入出金機1の記憶部3は、制御プログラム51、画面データ52、ツアー管理データD10、及び、売上金データD20を格納する。
制御プログラム51は、制御部2を構成するCPUを、主制御部2a、搬送・鑑別制御部2b、入力制御部2c、表示制御部2d、取引実行部2e、扉監視部2f、及び、抜取監視部2gとして機能させるプログラムである。
画面データ52は、取引の実行時に、各種の画面(例えば、図7〜図14参照)を操作表示部5に表示させるためのデータである。
ツアー管理データD10は、ツアーの売上金を管理するためのデータである。図3Aは、本実施形態1で用いるツアー管理データD10の一例を示す図である。図3Aに示す例では、ツアー管理データD10は、ツアーナンバー欄、及び、データ欄を含む構成になっている。
ツアーナンバー欄は、各ツアーに付されたツアーナンバーが登録される欄である。
データ欄は、各ツアーに関する諸データが登録される欄である。本実施形態1では、データ欄には、例えば、回収済みフラグや、預入金額データ、合計出金額データ、合計入金額データ、汚損金データ、支出申告額データ、収入申告額データ、過不足データ、現金売上計データ等が登録されている。
回収済みフラグは、ツアーの売上金が回収済みであるか否かを表すフラグである。
預入金額データは、ツアーの預入金の金額を表すデータである。
合計出金額データは、ツアーの合計の出金額を表すデータである。
合計入金額データは、ツアーの合計の入金額を表すデータである。
汚損金データは、入金取引で入金できなかった汚損金の金額を表すデータである。汚損金データは、添乗員によって手入力される。
支出申告額データは、経費等で使用(支出)された申告額を表すデータである。支出申告額データは、添乗員によって手入力される。
収入申告額データは、例えばツアー先で行われたOpツアーの追加代金等のように、添乗員がツアー客から徴収した収入分の申告額を表すデータである。収入申告額データは、添乗員によって手入力される。
過不足データは、過不足の金額を表すデータである。
現金売上計データは、ツアーの現金売上計の合計額(売上金額)を表すデータである。
売上金データD20は、売上金に関するデータである。図3Bは、本実施形態1で用いる売上金データD20の一例を示す図である。図3Bに示す例では、売上金データD20は、ツアーナンバー欄、1回目出金操作日欄、操作者欄、預入金額欄、出金額(持出金額)欄、入金額(返済金額)欄、手入力分収支金額欄、過不足金額欄、売上金額欄、精算欄、及び、締上欄を含む構成になっている。
ツアーナンバー欄は、各ツアーに付されたツアーナンバーが登録される欄である。
1回目出金操作日欄は、1回目の出金操作が行われた日付データが登録される欄である。
操作者欄は、持出金を出金した操作者(すなわち、出金取引を実行した添乗員)の氏名データが登録される欄である。
預入金額欄は、ツアーの預入金の金額データが登録される欄である。
出金額(持出金額)欄は、出金された持出金の金額データが登録される欄である。
入金額(返済金額)欄は、入金された返済金の金額データが登録される欄である。
手入力分収支金額欄は、手入力された各ツアーの申告額の収支金額データが登録される欄である。
過不足金額欄は、売上金の過不足金額データが登録される欄である。
売上金額欄は、売上金の金額データが登録される欄である。
精算欄は、売上金の精算が行われているか否かを表すデータが登録される欄である。「精算」とは、ツアー(単体)の売上金額を算出する処理を意味している。
締上欄は、締め上げ取引が行われているか否かを表すデータが登録される欄である。
<現金入出金機の動作>
以下、図4〜図14を参照して、現金入出金機1の売上回収取引に関連する動作につき説明する。図4は、本実施形態1に係る現金入出金機1の動作を示す説明図である。図5は、本実施形態1で用いる売上金の集計説明図である。図6は、本実施形態1に係る現金入出金機1の運用フローを示す説明図である。図7〜図14は、それぞれ、本実施形態1で用いる表示画面の一例を示す図である。
なお、図7〜図14に示す例では、表示画面に含まれている文章の画像欄の中に、「確認」や「訂正」、「取消」等の文言が表示されているものがある。ここで、「確認」とは、図示せぬテンキー部に設けられた「確認」ボタンを意味している。また、「訂正」とは、図示せぬテンキー部に設けられた「訂正」ボタンを意味している。また、「取消」とは、図示せぬテンキー部に設けられた「取消」ボタンを意味している。
現金入出金機1は、常時、商用電源に接続されており、操作者の操作に応じていつでも取引を実行することが可能な状態となっている。なお、現金入出金機1は、取引が一定の時間以上実行されない状態が続くと、操作表示部5の液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトを消灯させる省電力機能を有している。しかしながら、この場合も、現金入出金機1は、操作者が操作表示部5に触れることにより、操作表示部5の液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトを点灯させて、すぐに操作者の操作に応じて取引を実行することが可能な状態となる。
ここでは、預入取引や締上取引、売上回収取引時に、事務所の管理者が現金入出金機1の操作者となり、出金取引や入金取引時に、添乗員が現金入出金機1の操作者となるものとして説明する(図4参照)。ただし、管理者以外の事務所員(例えば、出納係)が預入取引や締上取引、売上回収取引等の取引を実行する権限が与えられている場合は、事務所員が、管理者に代わって操作者となり、これらの取引を実行するようにしてもよい。
なお、従来の小売り流通業で用いられている現金入出金機は、売上回収取引時に、警備会社や金融機関の警送員が操作者になるが、本実施形態1に係る現金入出金機1は、売上回収取引時に、事務所員(事務所の管理者や出納係等)が、操作者となる。
(ツアー準備時の現金入出金機の動作)
旅行会社は、事前に、ツアー客からツアーの代金としてツアーの預入金(例えば、200万円)を預かり、事務所で保管する。事務所の出納係は、預入金額を、ツアーナンバー毎にツアーの売上を管理する帳簿(管理台帳)に記載する。預入金は、ツアーが決行されて、ツアー客が参加した場合に、ツアーの売上金となる。なお、旅行業の現金管理では、営業日毎の売上集計という概念が無く、ツアーナンバー毎に売上集計を行う。
図4に示すように、事務所の管理者は、ツアーの準備時に、現金入出金機1の操作表示部5を操作して、預入取引操作を行う。このとき、管理者は、預入金を入金するツアーのツアーナンバーを入力し、預入金を現金入出金機1の入金部(紙幣投入口11及び硬貨投入口21)に投入する。
現金入出金機1は、ツアーナンバーに基づいて、現金管理を行う。ツアーナンバーは、各ツアーに付与された可変値である。したがって、ツアーナンバーは、レジナンバーのように、常に固有の固定値として存在しない。ツアーナンバーは、ツアー毎に異なっており、たとえ、同様のツアープランであっても、決行日時や時間帯によって異なっている。また、ツアーナンバーは、短期間に繰り返し再利用される場合がある。そこで、本実施形態1では、現金入出金機1は、ツアーナンバーを短期間で登録・抹消する機能を持ち、ツアーナンバー毎に売上金を管理する構成となっている。
例えば、現金入出金機1は、預入取引操作時に、ツアーナンバーが入力されることにより、入力されたツアーナンバーを記憶部3に格納されているツアー管理データD10(図2及び図3A参照)や売上金データD20(図2及び図3B参照)に登録して、売上金の集計管理を開始する。
このような預入取引操作は、以下のようにして行われる。
まず、管理者は、現金入出金機1の操作表示部5に触れる。これにより、現金入出金機1は、操作表示部5の液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトを点灯させて、例えば、装置情報を呼び出すための画面(以下、「装置情報画面」と称する)SC1(図7(a)参照)を操作表示部5に表示する。
図7(a)に示す例では、装置情報画面SC1は、「紙幣部」ボタン及び「レシート部」ボタンを含む構成になっている。「紙幣部」ボタンは、紙幣部8aに収納されている紙幣の枚数情報を呼び出すためのボタンである。「レシート部」ボタンは、レシートプリンタ7の印字可能枚数等の情報を呼び出すためのボタンである。図7(a)に示す例では、装置情報画面SC1は、操作者に、IDカードをカードリーダ部4に読み取らせることを促す文章の画像を含む構成になっている。
管理者は、装置情報画面SC1に従って、IDカードをカードリーダ部4に読み取らせる。すると、現金入出金機1は、例えば、装置情報画面SC2(図7(b)参照)を操作表示部5に表示する。装置情報画面SC2は、操作者に、暗証番号の入力を促す文章の画像を含む構成になっている。
管理者は、装置情報画面SC2に従って、装置情報画面SC2から暗証番号を入力する。すると、現金入出金機1は、IDカードから読み取った操作者の属性データで操作者の属性を特定し(ここでは、操作者が管理者であることを特定し)、暗証番号に基づいて操作者の正当性を認証する。そして、現金入出金機1は、操作者の属性に応じて、例えば、操作者が管理者であれば、管理者用のメニュー画面SC3(図7(c)参照)を操作表示部5に表示し、一方、操作者が添乗員であれば、添乗員用のメニュー画面SC4(図7(d)参照)を操作表示部5に表示する。メニュー画面SC3,SC4は、それぞれ、各種の取引の実行を指示するための画面である。
図7(c)に示す例では、管理者用のメニュー画面SC3は、「出金」ボタン、「入金」ボタン、「両替」ボタン、「計数」ボタン、「預入」ボタン、「抜取」ボタン、「締め上げ」ボタン、及び、「売上回収」ボタンを含む構成になっている。一方、図7(d)に示す例では、添乗員用のメニュー画面SC4は、「出金」ボタン及び「入金」ボタンのみを含む構成になっている。
「出金」ボタンは、出金取引の実行を指示するボタンである。「出金取引」とは、前記した通り、現金を現金入出金機1に予め収納しておき、その一部をツアーの経費等で使用される現金(持出金)として一時的に出金する取引である。出金された現金(持出金)は、ツアーの添乗員によってツアー先に持ち出されて、運転手代や駐車場代、施設入場料等の各種経費の支払いに使用される。「出金取引」は、現金入出金機1が出金用現金収納部(リサイクルカセット14及び出金ホッパ24(図1参照))に収納されている現金(装置内準備金)の一部を持出金として出金部(紙幣投入口11及び硬貨出金箱25(図1参照))に出金することによって、行われる。
「入金」ボタンは、入金取引の実行を指示するボタンである。「入金取引」とは、前記した通り、ツアー終了後に添乗員の手元に残っている現金を返済金として現金入出金機1に入金する取引である。「返済金」は、添乗員に持ち出された持出金の残金や、オプショナルツアー(Opツアー)の追加代金等である。「入金取引」は、操作者が売上金を入金部(紙幣投入口11及び硬貨投入口21(図1参照))に投入し、現金入出金機1が投入された売上金を金種別に出金用現金収納部(リサイクルカセット14又は出金ホッパ24(図1参照))に収納することによって、行われる。
「両替」ボタンは、両替取引の実行を指示するボタンである。「両替取引」とは、前記した通り、例えば、10枚の千円券を1枚の万円券に両替する場合のように、装置に投入された現金を現金入出金機1に収納されている他の金種の現金と交換する取引である。「両替取引」は、ツアーの売上金との関連性が低いため、詳細な説明を省略する。
「計数」ボタンは、計数取引の実行を指示するボタンである。「計数取引」とは、前記した通り、現金入出金機1に投入された現金を計数する取引である。「計数取引」は、操作者が現金を入金部(紙幣投入口11及び硬貨投入口21)に投入し、現金入出金機1が、投入された現金の鑑別及びその金額の計数を実行し、計数された金額を操作表示部5に表示したり、レシートプリンタ7で計数された金額をレシートに印字したりすることによって、行われる。なお、このとき投入された現金は、紙幣が紙幣投入口11から操作者に返却され、硬貨が硬貨返却箱29から操作者に返却される。「計数取引」は、ツアーの売上金との関連性が低いため、詳細な説明を省略する。
「預入」ボタンは、預入取引の実行を指示するボタンである。「預入取引」とは、前記した通り、ツアーの出発前に、ツアー客から旅行会社に預けられた預入金を現金入出金機1に入金する取引である。
「抜取」ボタンは、抜取取引の実行を指示するボタンである。「抜取取引」とは、前記した通り、現金入出金機1から現金を一時的に抜き取る取引である。「抜き取り取引」は、現金精査のために現金入出金機1の内部の全ての現金を出金する場合や、入金過多により、現金が出金用現金収納部(リサイクルカセット14又は出金ホッパ24)から溢れそうになっている場合に行われる。「抜取取引」は、ツアーの売上金との関連性が低いため、詳細な説明を省略する。
「締め上げ」ボタンは、締め上げ取引の実行を指示するボタンである。「締め上げ取引」とは、前記した通り、現金入出金機1に入金された全てのツアーの売上金の合計額を集計して、回収売上金額(売上の回収金として回収する回収売上金の金額)を確定する取引である。
「売上回収」ボタンは、売上回収取引の実行を指示するボタンである。「売上回収取引」とは、前記した通り、現金入出金機1に入金された回収売上金分の現金を操作者に回収させる取引である。「売上回収取引」は、出金用現金収納部(リサイクルカセット14及び出金ホッパ24)に収納されている売上金を出金用現金収納部(リサイクルカセット14及び出金ホッパ24)に収納し、旅行会社の事務所員(好ましくは、管理者)に回収させることによって、行われる。
ここでは、操作者が管理者であるため、現金入出金機1は、管理者用のメニュー画面SC3を操作表示部5に表示する。管理者は、預入取引操作を行うために、メニュー画面SC3に表示された各ボタンの中から「預入」ボタンを選択して押下する。すると、現金入出金機1は、預入取引を実行するための画面(以下、「預入取引画面」と称する)SC11(図8(a)参照)を操作表示部5に表示する。図8(a)に示す例では、預入取引画面SC11は、操作者(ここでは、管理者)に、ツアーナンバーの入力を促す文章の画像を含む構成になっている。
管理者は、装置情報画面SC11に従って、ツアーナンバーを入力する。すると、現金入出金機1は、預入取引画面SC12(図8(b)参照)を操作表示部5に表示する。預入取引画面SC12は、操作者(ここでは、管理者)に、ツアー客から預かった現金(預入金)の投入を促す文章の画像を含む構成になっている。
管理者は、装置情報画面SC12に従って、預入金を入金部(紙幣投入口11及び硬貨投入口21)に投入する。すると、現金入出金機1は、預入取引画面SC13(図8(c)参照)を操作表示部5に表示する。預入取引画面SC13は、操作者(ここでは、管理者)が投入した預入金の金額(預入金額)を表示する構成になっている。
管理者は、このようにして、預入取引操作を行う。
現金入出金機1は、図4に示すように、預入取引操作に合わせて、入力されたツアーナンバーをツアー管理データD10(図2及び図3A参照)や売上金データD20(図2及び図3B参照)に登録して、売上金の集計管理を開始する(S110)。そして、現金入出金機1は、入金部に投入された預入金を出金用現金収納(リサイクルカセット14及び出金ホッパ24)に収納して預入取引を実行する(S120)。
次に、現金入出金機1は、ツアー管理データD10や売上金データD20(特に、データD10,D20に含まれている預入金額データ)を更新し(S130)、また、ツアー管理データD10や売上金データD20に基づいて、レシートプリンタ7で、預入金の金額(預入金額)が印字されたレシート(以下、「ツアー預入レシート」と称する)R11(図15(a)参照)を発行する(S140)。ここでは、ツアー預入レシートR11が売上金データD20(図3B参照)に登録されているツアーナンバー「A21」のデータに基づいて作成されている場合を想定して説明する。
図15(a)に示す例では、ツアー預入レシートR11は、取引種別とレシート枚数とが1行目に印字され、取引日時が2〜3行目に印字され、操作者名が4行目に印字され、ツアーナンバーが5行目に印字されている。なお、図15(a)に示す例では、取引種別が「預入」となっており、レシート枚数が「(1/1)」となっており、ツアーナンバーが「A21」となっている。また、ツアー預入レシートR11は、預入金の金額(預入金額)が6行目以降に印字されている。
管理者は、ツアー預入レシートR11を受け取り、事務所に持ち帰って、事務所で保管する。事務所の出納係は、ツアー終了後に、売上金が回収されると、そのツアーに対し、S140で発行されたツアー預入レシートR11と、他の処理時に発行されるレシート(例えば、S230で発行されるツアー持出レシートR21(図15(b)参照)や、S330で発行されるツアー精算レシートR31(図15(c)参照)、S430で発行される精算済みツアー集計レシートR41(図16(a)参照)、S440で発行される未精算ツアー集計レシートR42(図16(b)参照)、S530で発行される売上回収レシートR51(図17参照))との各印字内容(特に金額データ)を突き合わせて、各レシートの印字内容を精査する。
(ツアー出発前の現金入出金機の動作)
図4に示すように、添乗員は、ツアー出発前(ツアーの決行前)に、事前に、現金入出金機1の操作表示部5を操作して、出金取引操作を行う。このとき、添乗員は、添乗するツアーのツアーナンバーを入力し、持出金の金額を指定して、持出金の出金を現金入出金機1に指示する。
このような出金取引操作は、以下のようにして行われる。
まず、添乗員は、現金入出金機1の操作表示部5に触れる。これにより、現金入出金機1は、操作表示部5の液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトを点灯させて、例えば、装置情報画面SC1(図7(a)参照)を操作表示部5に表示する。
添乗員は、装置情報画面SC1に従って、IDカードをカードリーダ部4に読み取らせる。すると、現金入出金機1は、装置情報画面SC2(図7(b)参照)を操作表示部5に表示する。
添乗員は、装置情報画面SC2に従って、装置情報画面SC2から暗証番号を入力する。すると、現金入出金機1は、IDカードから読み取った操作者の属性データで操作者の属性を特定し(ここでは、操作者が添乗員あることを特定し)、暗証番号に基づいて操作者の正当性を認証する。そして、現金入出金機1は、操作者の属性に応じて、添乗員用のメニュー画面SC4(図7(d)参照)を操作表示部5に表示する。
添乗員は、出金取引操作を行うために、メニュー画面SC4に表示された各ボタンの中から「出金」ボタンを選択して押下する。すると、現金入出金機1は、出金取引を実行するための画面(以下、「出金取引画面」と称する)SC21(図9(a)参照)を操作表示部5に表示する。図9(a)に示す例では、出金取引画面SC21は、操作者(ここでは、添乗員)に、ツアーナンバーの入力を促す文章の画像を含む構成になっている。
添乗員は、出金取引画面SC21に従って、ツアーナンバーを入力する。すると、現金入出金機1は、出金取引画面SC22(図9(b)参照)を操作表示部5に表示する。出金取引画面SC22は、操作者(ここでは、添乗員)に、現金(ここでは、持出金)の金額の入力を促す文章の画像を含む構成になっている。なお、現金入出金機1は、該当のツアーナンバーの預入金額以上の金額の持出金(すなわち、ツアー客から徴収されたツアーの預入金の金額以上の現金)を出金できないように、出金取引時の出金額(持出金額)を管理する。これによって、現金入出金機1は、添乗員が高額の現金を不正に持ち出すことを防止する。
添乗員は、出金取引画面SC22に従って、持出金の金額(持出金額)を入力する。すると、現金入出金機1は、出金取引画面SC23(図9(c)参照)を操作表示部5に表示する。出金取引画面SC23は、操作者(ここでは、添乗員)が入力した持出金の金額(持出金額)を表示し、表示された持出金額が正しい場合に、図示せぬテンキー部に設けられた確認ボタンの押下を操作者(ここでは、添乗員)に促す文章の画像を含む構成になっている。
現金入出金機1は、添乗員が確認ボタンを押下すると、出金取引画面SC24(図9(d)参照)を操作表示部5に表示する。出金取引画面SC24は、操作者(ここでは、添乗員)に、現金(ここでは、持出金)の受け取りを促す文章の画像やイラスト画像を含む構成になっている。
添乗員は、このようにして、出金取引操作を行う。
現金入出金機1は、図4に示すように、出金取引操作に合わせて、指定された金額分の現金を出金用現金収納部(リサイクルカセット14及び出金ホッパ24)から出金部(紙幣投入口11及び硬貨出金箱25)に搬送し、搬送された現金を持出金として出金部から放出して出金取引を実行する(S210)。
次に、現金入出金機1は、ツアー管理データD10や売上金データD20(特に、データD10,D20に含まれている持出金額データ)を更新し(S220)、また、ツアー管理データD10や売上金データD20に基づいて、レシートプリンタ7で、持出金の金額(持出金額)が印字されたレシート(以下、「ツアー持出レシート」と称する)R21(図15(b)参照)を発行する(S230)。
図15(b)に示す例では、ツアー持出レシートR21は、1〜5行目の形式がツアー預入レシートR11の1〜5行目の形式と同様になっている。また、ツアー持出レシートR21は、持出金の金額(持出金額)が6行目以降に印字されている。
添乗員は、持出金とツアー持出レシートR21とを受け取り、手元に保管する。その後、添乗員は、持出金とツアー持出レシートR21とを持ってツアーに出発する。
そして、添乗員は、ツアーの決行中に、持出金の中からツアーの経費分の現金を支払う。その際に、添乗員は、支払われたツアーの経費金額が記載された各種領収書を支払い先から取得する。
また、添乗員は、例えば、ツアーの決行中に、ツアー客がオプショナルツアー(Opツアー)に参加する場合に、ツアー客からOpツアーの追加代金(例えば、10万円)を徴収する。その際に、添乗員は、Opツアーの追加代金の金額(追加代金額)が記載された領収書をOpツアーに参加したツアー客に発行するとともに、領収書の写しを手元に残す。
そして、添乗員は、ツアー終了後に、現金入出金機1の操作表示部5を操作して、入金取引操作を行い、これによって、返済金(すなわち、ツアー終了後に添乗員の手元に残っている持出金の残金及びOpツアーの追加代金等)を現金入出金機1に入金する。また、添乗員は、S230で発行されたツアー持出レシートR21と各種領収書(写しを含む)とを事務所に提出する。
(ツアー終了後の現金入出金機の動作)
添乗員は、ツアー終了後(ツアーの決行後)に、現金入出金機1の操作表示部5を操作して、入金取引操作を行う。このとき、添乗員は、添乗したツアーのツアーナンバーを入力し、返済金を現金入出金機1の入金部(紙幣投入口11及び硬貨投入口21)に投入する。また、このとき、仮に、返済金の中に、現金入出金機1に入金不能な汚損金があれば、添乗員は、その汚損金を入金せずに、手元に残して保管する代わりに、現金入出金機1の操作表示部5を操作して、汚損金の金額を手入力する。そして、添乗員は、汚損金を事務所に持ち帰って、事務所に返却する。また、このとき、添乗員は、入出金機1の操作表示部5を操作して、ツアーで支払われたツアーの経費の金額(経費金額)を手入力する。また、このとき、添乗員は、Opツアーの追加代金があれば、現金入出金機1の操作表示部5を操作して、Opツアーの追加代金の金額(追加代金額)を手入力する。
このような入金取引操作は、以下のようにして行われる。
まず、添乗員は、出金取引操作時と同様の操作を行う。これによって、現金入出金機1は、装置情報画面SC1,SC2,SC4(図7参照)を順に操作表示部5に表示する。
添乗員は、入金取引操作を行うために、メニュー画面SC4に表示された各ボタンの中から「入金」ボタンを選択して押下する。すると、現金入出金機1は、入金取引を実行するための画面(以下、「入金取引画面」と称する)SC31(図10(a)参照)を操作表示部5に表示する。図10(a)に示す例では、入金取引画面SC31は、操作者(ここでは、添乗員)に、ツアーナンバーの入力を促す文章の画像を含む構成になっている。
添乗員は、入金取引画面SC31に従って、ツアーナンバーを入力する。すると、現金入出金機1は、入金取引画面SC32(図10(b)参照)を操作表示部5に表示する。入金取引画面SC32は、操作者(ここでは、添乗員)に、ツアー終了後に添乗員の手元に残っている現金(返済金)の投入を促す文章の画像及びイラスト画像を含む構成になっている。
添乗員は、入金取引画面SC32に従って、返済金を投入する。すると、現金入出金機1は、入金取引画面SC33(図10(c)参照)を操作表示部5に表示する。入金取引画面SC33は、操作者(ここでは、添乗員)に支出申請額としてツアーの経費の合計額の手入力を促す文章の画像と支出申請額の入力欄とを含む構成になっている。
添乗員は、入金取引画面SC33に従って、支出申請額(ツアーの経費の合計額)を入力する。すると、現金入出金機1は、入金取引画面SC34(図10(d)参照)を操作表示部5に表示する。入金取引画面SC34は、操作者(ここでは、添乗員)に収入申請額としてオプショナルツアーでの収入金額(Opツアーの追加代金の合計額)の手入力を促す文章の画像と収入申請額の入力欄とを含む構成になっている。
添乗員は、入金取引画面SC34に従って、収入申請額(Opツアーの追加代金の合計額)を入力する。すると、現金入出金機1は、入金取引画面SC35(図11(a)参照)を操作表示部5に表示する。入金取引画面SC35は、操作者(ここでは、添乗員)に汚損金の金額の手入力を促す文章の画像と汚損金の金額の入力欄とを含む構成になっている。なお、入金取引画面SC35は、「汚損金がない場合は『0円』を入力して下さい。」等の文章の画像を含む構成にしてもよい。
添乗員は、入金取引画面SC35に従って、汚損金がある場合に、汚損金の金額を入力し、一方、汚損金がない場合に、「0(ゼロ)」を入力する。すると、現金入出金機1は、入金取引画面SC36(図11(b)参照)を操作表示部5に表示する。入金取引画面SC36は、返済金の金額(返済金額)を表示し、表示された返済金額が正しい場合に、図示せぬテンキー部に設けられた確認ボタンの押下を、また、表示された返済金額を訂正する場合に、詳細ボタンの押下を、また、返済金を追加投入する場合に、追加投入ボタンの押下を、操作者(ここでは、添乗員)に促す文章の画像と、詳細ボタンと、追加入金ボタンとを含む構成になっている。
添乗員は、返済金額が誤っている場合に、詳細ボタン及び追加入金ボタンのいずれか一方を押下する。添乗員が詳細ボタンを押下した場合に、現金入出金機1は、入金取引画面SC37(図11(c)参照)を操作表示部5に表示する。入金取引画面SC37は、返済金額を訂正することができる構成になっている。添乗員は、返済金額が誤っている場合に、入金取引画面SC36(図11(b)参照)の詳細ボタンを押下して、入金取引画面SC36(図11(b)参照)を操作表示部5に表示させ、入金取引画面SC36で返済金額を訂正する。一方、添乗員が追加入金ボタンを押下した場合に、現金入出金機1は、入金部(紙幣投入口11及び硬貨投入口21)を開放する。添乗員は、返済金を入金部に追加投入する。これに応じて、現金入出金機1は、追加投入された返済金を入金する。
添乗員は、このようにして、入金取引操作を行う。
現金入出金機1は、図4に示すように、入金取引操作に合わせて、入金取引を実行する(S310)。このとき、現金入出金機1は、入金部に投入された返済金を鑑別部13,23(図1及び図2参照)で鑑別及び計数して(S311)、出金用現金収納部(リサイクルカセット14及び出金ホッパ24)に収納する。また、現金入出金機1は、汚損金の金額や、ツアーの経費金額(支出申告額)、Opツアーの追加代金額(収入申告額)の手入力を受け付ける(S312)。これらの金額は、「返済金の内訳の金額」を表している。そして、現金入出金機1は、手入力された「返済金の内訳の金額」の合計額を算出し(S313)、入金された「返済金の金額」と手入力された「返済金の内訳の金額」の合計額との過不足金額を算出する(S314)。これによって、現金入出金機1は、入力されたツアーナンバーに該当するツアーの売上金を精算する。
次に、現金入出金機1は、ツアー管理データD10や売上金データD20を更新し(S320)、また、ツアー管理データD10や売上金データD20に基づいて、レシートプリンタ7で、ツアーの売上金額が印字されたレシート(以下、「ツアー精算レシート」と称する)R31(図15(c)参照)を発行する(S330)。
図15(c)に示す例では、ツアー精算レシートR31は、1〜5行目の形式がツアー預入レシートR11の1〜5行目の形式と同様になっている。また、ツアー精算レシートR31は、返済金額や売上金額が6行目以降に印字されている。
添乗員は、ツアー精算レシートR31を受け取り、事務所に提出する。また、添乗員は、現金入出金機1に入金できなかった汚損金があれば、汚損金も事務所に提出する。
なお、ツアーが中止になった場合は、入金取引画面SC32の表示時に、添乗員が「現金なし」ボタンを押下する。「現金なし」ボタンは、最終的な入金額(当該中止になったツアーの総売上額)を「0円」とするデータ(以下、「売上ゼロデータ」と称する)を自動入力するためのボタンである。なお、入金取引画面SC32は、「ツアーが中止になった場合は『入金なし』を押して下さい。」等の文章の画像を含む構成にしてもよい。また、現金入出金機1は、添乗員が最終的な入金額(当該中止になったツアーの総売上額)としての値「0(ゼロ)」を図示せぬテンキー部等から手入力できる構成にしてもよい。
現金入出金機1は、入金取引画面SC32の表示時に、添乗員が「現金なし」ボタンを押下した場合に、該当ツアーナンバーに関するデータとして売上ゼロデータを売上金データD20やツアー管理データD10に登録する。図3Bに示す売上金データD20のツアーナンバーE31のデータは、中止になったツアーのデータであり、売上ゼロデータが登録されている。現金入出金機1は、売上ゼロデータが売上金データD20やツアー管理データD10に登録されることにより、そのツアーナンバーに該当するツアーが中止になったものとして識別し、そのツアーの売上金額を「0円」で精算する。
(任意のタイミングでの現金入出金機の動作)
管理者は、例えば、1日1回、任意のタイミングで、現金入出金機1の操作表示部5を操作して、締め上げ取引操作及び売上回収取引操作を行う。
締め上げ取引操作は、以下のようにして行われる。
まず、管理者は、預入取引操作時と同様の操作を行う。これによって、現金入出金機1は、装置情報画面SC1,SC2,SC3(図7参照)を順に操作表示部5に表示する。
管理者は、締め上げ取引操作を行うために、メニュー画面SC3に表示された各ボタンの中から「締め上げ」ボタンを選択して押下する。すると、現金入出金機1は、締め上げ取引を実行するための画面(以下、「締め上げ取引画面」と称する)SC41(図12(a)参照)を操作表示部5に表示する。図12(a)に示す例では、締め上げ取引画面SC41は、清算されていないツアーの確認を操作者に促す文章の画像と、清算されていないツアーを一覧表示する表示欄とを含む構成になっている。
なお、図12(a)に示す例では、締め上げ取引画面SC41は、出金日時と、ツアーナンバーと、出金額とを含む構成になっている。ここで、締め上げ取引画面SC41に含まれている「出金日時」は、好ましくは、添乗員が持出金をどれくらいの期間持ち出しているのかが分かるように、1回目の出金日を表示するとよい。また、締め上げ取引画面SC41に含まれている「出金額」は、該当ツアーナンバーの持出金の合計額を表示するとよい。これらのデータは、例えば、売上金データD20等から取得される。
現金入出金機1は、管理者が締め上げ取引画面SC41に従って操作すると、締め上げ取引画面SC42(図12(b)参照)を操作表示部5に表示する。締め上げ取引画面SC42は、各ツアーの売上の集計結果である総売上計を表示する構成になっている。管理者は、集計結果が正しい場合に、図示せぬテンキー部に設けられた確認ボタンを押下する。なお、管理者は、集計結果が誤っている場合に、図示せぬテンキー部に設けられた訂正ボタンを押下する。
管理者は、このようにして、締め上げ取引操作を行う。
現金入出金機1は、図4に示すように、締め上げ取引操作に合わせて、ツアー管理データD10や売上金データD20に基づいて、ツアーの売上金額を確定して、締め上げ取引を実行する(S410)。
次に、現金入出金機1は、ツアー管理データD10や売上金データD20を更新し(S420)、また、ツアー管理データD10や売上金データD20に基づいて、レシートプリンタ7で、その時点で精算が終了している精算済みツアーナンバーの売上金額が印字されたレシート(以下、「精算済みツアー集計レシート」と称する)R41(図16(a)参照)を発行し(S430)、さらに、その時点で精算が終了していない未精算ツアーナンバーの売上金額が印字されたレシート(以下、「未精算ツアー集計レシート」と称する)R42(図16(b)参照)を発行する(S440)。これにより、現金入出金機1は、売上金の集計管理を終了する。
図16(a)に示す例では、精算済みツアー集計レシートR41は、1〜4行目の形式がツアー預入レシートR11の1〜4行目の形式と同様になっている。また、精算済みツアー集計レシートR41は、「精算済みツアー一覧」と「合計」とが印字されている。「精算済みツアー一覧」は、精算済みツアーのツアーナンバーと売上金額とを表している。「合計」は、全ての精算済みツアーの売上金額の合計額を表している。
また、図16(b)に示す例では、未精算ツアー集計レシートR42は、1〜4行目の形式がツアー預入レシートR11の1〜4行目の形式と同様になっている。また、未精算ツアー集計レシートR42は、「未精算ツアー一覧」が印字されている。「未精算ツアー一覧」は、未精算ツアーのツアーナンバーと持出金額と1回目の出金日とを表している。本実施形態1では、1回目の出金日が未精算ツアー集計レシートR42の「未精算ツアー一覧」に印字されている。これにより、未精算ツアー集計レシートR42は、添乗員が持出金をどれくらいの期間持ち出しているのかを、管理者に知らせることができる。その結果、管理者は、持出金が長期間持ち出されている場合に、そのツアーで不正な処理が行われていないかを積極的に検証することができる。
管理者は、現金入出金機1から発行された精算済みツアー集計レシートR41と未精算ツアー集計レシートR42とを受け取り、事務所に持ち帰って、事務所で保管する。
また、売上回収取引操作は、以下のようにして行われる。
まず、管理者は、預入取引操作時と同様の操作を行う。これによって、現金入出金機1は、装置情報画面SC1,SC2,SC3(図7参照)を順に操作表示部5に表示する。
管理者は、売上回収取引操作を行うために、メニュー画面SC3に表示された各ボタンの中から「売上回収」ボタンを選択して押下する。すると、現金入出金機1は、売上回収取引を実行するための画面(以下、「売上回収取引画面」と称する)SC51(図13(a)参照)を操作表示部5に表示する。図13(a)に示す例では、売上回収取引画面SC51は、集計結果が正しい場合の確認ボタンの押下を操作者(ここでは、管理者)に促す文章の画像と、回収予定額を表す表示欄とを含む構成になっている。なお、管理者は、集計結果が誤っている場合に、図示せぬテンキー部の訂正ボタンを押下する。また、管理者は、売上回収取引を中止する場合に、図示せぬテンキー部の取消ボタンを押下する。
ここでは、管理者は、確認ボタンを押下するものとして説明する。すると、現金入出金機1は、売上回収取引画面SC52(図13(b)参照)を操作表示部5に表示する。図13(b)に示す例では、売上回収取引画面SC52は、出金用現金収納部(リサイクルカセット14及び出金ホッパ24)から売上回収庫(売上回収カセット17及び硬貨回収庫27)へ移動させる回収売上金の金種別の移動枚数の入力を操作者(ここでは、管理者)に促す文章の画像と、回収売上金の金種別の移動枚数の入力欄とを含む構成になっている。
現金入出金機1は、管理者が、回収売上金の金種別の移動枚数を入力して確認ボタンを押下すると、又は、回収売上金の金種別の移動枚数を入力することなく、そのまま確認ボタンを押下すると、売上回収取引画面SC53(図13(c)参照)を操作表示部5に表示する。図13(c)に示す例では、売上回収取引画面SC53は、回収売上金の金種別の移動枚数が正しい場合に、図示せぬテンキー部に設けられた確認ボタンの押下を操作者に促し、一方、回収売上金の金種別の移動枚数を訂正する場合に、図示せぬテンキー部に設けられた訂正ボタンの押下を操作者に促す文章の画像を含む構成になっている。ここでは、管理者が確認ボタンを押下するものとする。
管理者は、このようにして、売上回収取引操作を行う。
現金入出金機1は、図4に示すように、売上回収取引操作に合わせて、出金用現金収納部(リサイクルカセット14及び出金ホッパ24)に収納されている現金の中から各精算済みツアーナンバーのツアーの売上金(現金売上計)の合計金額分の現金を売上回収庫(売上回収カセット17及び硬貨回収庫27)に搬送し、搬送された現金を売上回収庫に収納する。そして、現金入出金機1は、売上回収庫に収納された売上金の回収を操作者に促す画像を操作表示部5に表示して、売上回収取引を実行する(S510)。ここでは、売上金の回収は、売上回収庫を現金入出金機1から一旦取り外して、売上回収庫から内部に収納されている現金(回収売上金)を抜き取り、空になった売上回収庫を現金入出金機1に装着することによって行われるものとして説明する。
次に、現金入出金機1は、ツアー管理データD10や売上金データD20を更新し(S520)、また、ツアー管理データD10や売上金データD20に基づいて、レシートプリンタ7で、回収された売上金額が印字されたレシート(以下、「売上回収レシート」と称する)R51(図17参照)を発行する(S530)。ここでは、締め上げ取引が行われていることを表す「済」データが売上金データD20(図3B参照)の締上欄に登録されている、ツアーナンバー「A21」とツアーナンバー「E31」のデータに基づいて、売上回収レシートR51が作成されている場合を想定して説明する。
図17に示す例では、売上回収レシートR51は、1〜4行目の形式がツアー預入レシートR11の1〜4行目の形式と同様になっている。また、売上回収レシートR51は、売上金として回収した金額を表す記載が5〜7行目に印字されている。また、売上回収レシートR51は、売上金が回収されたツアー(以下、「売上回収ツアー」と称する)の一覧が8行目以降に印字されている。
なお、S520では、現金入出金機1は、例えば、ツアー管理データD10の該当するツアーナンバーの回収済みフラグの値を、回収済みを表す値に更新する。これにより、ツアー管理データD10や売上金データD20における該当するツアーナンバーに関するデータが抹消可能な状態になる。現金入出金機1は、S530で売上回収レシートR51が発行されたときに、ツアー管理データD10や売上金データD20から該当するツアーナンバーに関するデータを抹消する。
管理者は、現金入出金機1から発行された売上回収レシートR51(図17参照)を受け取り、事務所に持ち帰って、事務所で保管する。事務所の出納係は、ツアーが終了して、売上金が回収されたツアーに対し、ツアーナンバー毎に、例えば、S140で発行されたツアー預入レシートR11(図15(a)参照)と、S230で発行されたツアー持出レシートR21(図15(b)参照)と、S330で発行されたツアー精算レシートR31(図15(c)参照)と、S430で発行された精算済みツアー集計レシートR41(図16(a)参照)と、S440で発行された未精算ツアー集計レシートR42(図16(b)参照)と、S530で発行された売上回収レシートR51(図17参照)との各印字内容(特に金額データ)を突き合わせて、各レシートの印字内容を精査する。
なお、各レシートに印字された金額は、例えば、図5に示す棒グラフの関係になっている。図5に示す例では、左端の棒の全高が預入金額を表している。また、中央の棒の点線部分の高さが出金額(持出金額)を表しており、実線部分の高さが預入金の残り額を表している。また、右端の棒の点線部分の高さが入金額(返済金額)を表しており、実線部分の高さが預入金の残り額を表している。そして、右端の棒の全高が、売上金の合計を集計した現金売上計(売上金額)となることを表している。
現金入出金機1は、例えば、図6に示す現金の運用フローを行うことができる。ここでは、一例として、日付が8月19日〜8月20日となっている期間の、現金入出金機1と事務所の管理者或いはツアーナンバー1のツアーに添乗する添乗員との間で移動する現金の流れについて説明する。
図6に示す例では、現金入出金機1は、8月19日に、F105で、預入取引が行われている。その結果、F105で、預入金が、管理者の手元(事務所)から現金入出金機1に移動している。また、現金入出金機1は、8月19日に、F110で、出金取引が行われている。その結果、F110で、現金入出金機1に収納されていた現金(準備金)が、持出金として現金入出金機1からツアーナンバー1のツアーの添乗員の手元に移動している。また、現金入出金機1は、8月20日に、F115で、入金取引が行われている。その結果、F115で、ツアーナンバー1のツアーの添乗員の手元に残っていた現金が、返済金として添乗員の手元から現金入出金機1に移動している。また、現金入出金機1は、F120で、締め上げ取引が行われ、その後に、F125で、売上回収取引が行われている。このような現金入出金機1は、集計営業日という概念がツアーにないため、従来の小売り流通業で用いられている現金入出金機と異なり、日を跨いでの(特に、数日間の比較的長い期間を跨いでの)出金取引と入金取引とを許容することができる。
<現金入出金機を旅行業の現金管理に適用するための考慮すべき事項>
現金入出金機1を旅行業の現金管理に適用するための考慮すべき事項としては、例えば、以下の事項がある。
(1)現金入出金機1を旅行業の現金管理に適用する場合に、現金入出金機1は、ツアーナンバー毎に、現金を管理する必要がある。そのツアーナンバーは、同様のツアープランであっても、決行日時や時間帯によって異なる。また、ツアーナンバーは、短期間に繰り返し再利用される場合がある。そこで、本実施形態1では、現金入出金機1は、ツアーナンバーを短期間で登録・抹消する機能を持ち、ツアーナンバー毎に売上金を管理する構成となっている。
例えば、本実施形態1では、現金入出金機1は、預入取引時に、ツアーナンバーが手入力され、そのツアーナンバーのツアー客から徴収したツアー代金が預入金として入金されることによって、そのツアーナンバーに関するデータがツアー管理データD10や売上金データD20に追加登録される。また、本実施形態1では、現金入出金機1は、売上回収取引時に、売上金が回収されると、そのツアーナンバーに関するデータがツアー管理データD10や売上金データD20から抹消される。
(2)旅行業の現金管理では、添乗員によって持ち出される持出金の中からツアーの経費(運転手代や駐車場代、施設入場料等)分の現金が支払われる。そこで、本実施形態1では、現金入出金機1は、持出金を出金取引で出金する構成になっている。ただし、現金入出金機1は、該当のツアーナンバーの預入金額以上の金額の持出金を出金できないように、出金取引時の出金額(持出金額)を管理する。これによって、現金入出金機1は、添乗員が高額の現金を不正に持ち出すことを防止する。
(3)現金入出金機1は、ツアー終了後の入金取引時に、ツアーナンバーを指定して、添乗員の手元に残っている現金(返済金)の入金を受け付ける。その際に、現金入出金機1は、売上金の金額(売上金額)を以下の式(1)による計算で集計する。
売上金額=(預入金額−持出金額+返済金額) …(1)
(4)現金入出金機1は、締め上げ取引時に、精算済みツアーと未精算ツアーの売上金の集計を行い、精算済みツアー集計レシートR41(図16(a)参照)と未精算ツアー集計レシートR42(図16(b)参照)との2種類の集計レシートを発行する。
(a)精算済みツアー集計レシートR41(図16(a)参照)
精算済みツアー集計レシートR41は、精算されているツアーの売上金の集計額を印字したレシートである。精算済みツアー集計レシートR41には、例えば、ツアーナンバー毎の、持出金額や売上金計等が印字される。
精算済みツアー集計レシートR41は、好ましくは、ツアーナンバー毎に、以下の項目が印字されるとよい。
・預入金額(ツアー全体の預入金額) …a(例えば、200万円)
・合計出金額(添乗員の持ち出し金額) …b(例えば、100万円)
・合計入金額(添乗員が返済した金額) …c(例えば、30万円)
・添乗員の手入力による支出申告額(ツアー経費金額) …d(例えば、80万円)
・添乗員の手入力による収入申告額(Opツアー代金) …e(例えば、10万円)
・過不足金額 …f=(c−b+d−e)
(例えば、f=(30万円−100万円+80万円−10万円)=0円)
・現金売上計 …g=(a−b+c)
(例えば、g=(200万円−100万円+30万円)=130万円)
ただし、上記の金額は、一例である。
(b)未精算ツアー集計レシートR42(図16(b)参照))
未精算ツアー集計レシートR42は、未精算な状態のツアーの売上金の集計額を印字したレシートである。未精算ツアー集計レシートR42は、不正防止のために、発行される。未精算ツアー集計レシートR42には、例えば、精算(すなわち、入金されていないツアーナンバー一覧や、1回目の持出日(出金日)(又は、1回目の持出日からの経過日数)等が、印字される。
係る構成において、現金入出金機1は、ツアーナンバーの入力を受け付け、ツアーナンバー毎に、出金用現金収納部(リサイクルカセット14及び出金ホッパ24)及び売上回収庫(売上回収カセット17及び硬貨回収庫27)に収納される売上金を集計する構成となっている。
現金入出金機1は、入力部から各ツアーに付与されたツアーナンバーの入力を受け付け、受け付けられたツアーナンバーを記憶部に登録する。そして、現金入出金機1は、登録されたツアーナンバー毎に、各ツアーの売上金額を算出する。現金入出金機1は、ツアー毎に、同様のツアープランであっても、決行日時や時間帯によって異なる、可変値であるツアーナンバーを受け付けることができるため、旅行業の現金管理に好適に適用することができる。
また、現金入出金機1は、ツアーナンバーの入力を受け付け、受け付けたツアーナンバーの売上金データを記憶部3に登録し、入金取引で売上金が入金されるか又はツアー中止により入金取引で売上金額としてゼロが手入力されるまで、ツアーナンバーの売上金データを抹消不能な状態にし、売上金の入金後又は売上金額としてのゼロの入力後にツアーナンバーの売上金データを抹消可能な状態にする構成となっている。
また、現金入出金機1は、各ツアーのツアーナンバーに対応付けて各ツアーの売上金を管理する売上金データD20を記憶部3に登録し、各ツアーナンバーに対し、入金取引で返済金が入金されるか又はツアー中止により入金取引でツアーの売上金額がゼロであることを表す売上ゼロデータが入力されるまで売上金データを抹消不能な状態にし、返済金の入金後又は売上ゼロデータD20の入力後に売上金データD20を抹消可能な状態にする構成となっている。
また、現金入出金機1は、売上金の回収を行う売上回収取引時に、その時点で精算が終了している精算済みツアーナンバーの売上金を売上回収庫(売上回収カセット17及び硬貨回収庫27)に収納し、売上回収庫に収納された売上金の回収を操作者に促す画像を表示部に表示させる構成となっている。
また、現金入出金機1は、売上回収取引時に、精算済みツアーナンバーの売上金に加え、その時点で精算が終了していない未精算ツアーナンバーの売上金も売上回収庫(売上回収カセット17及び硬貨回収庫27)に収納し、売上回収庫に収納された売上金の回収を操作者に促す画像を表示部に表示させる構成にしてもよい。
また、現金入出金機1は、売上金として回収する現金の金額(ツアーの売上金額)を確定する締め上げ取引時に、レシートプリンタ7に、その時点で精算が終了している精算済みツアーナンバーの売上金額が印字された精算済みツアー集計レシートR41(図16(a)参照)と、その時点で精算が終了していない未精算ツアーナンバーの売上金額が印字された未精算ツアー集計レシートR42(図16(b)参照)とを発行させる構成となっている。
また、現金入出金機1は、いずれかのツアーが中止された場合に、入金取引で、中止されたツアーの売上金額がゼロであることを表す売上ゼロデータの入力を受け付け、任意の取引時に、レシートプリンタ7に、売上金額がゼロであることが印字されたレシート(例えば、図16(a)に示す精算済みツアー集計レシートR41)を発行させる構成となっている。
(a)このような現金入出金機1は、ツアーナンバー毎に、ツアーの売上金を集計し管理することができる。また、現金入出金機1は、夜間金庫として活用することができるため、夜間終了するツアー等のように添乗員の帰りが遅くなる場合であっても、事務所員(管理者や出納係等)が深夜まで事務所に残らなくともよくなる。これにより、事務所の人員の負担を軽減することができる。つまり、ツアーにおける現金管理業務を、ツアー終了時間に関係なく、添乗員が単独で行うことができる。
(b)現金入出金機1は、添乗員によって持ち出される現金(持出金)に対して、マイナスの売上となる集計方法を取ることができる。
(c)現金入出金機1は、同様のツアープランであっても、決行日時や時間帯によって異なり、また、ツアー毎に、登録と抹消とが繰り返される、可変なツアーナンバーを用いて、ツアーナンバー毎に、売上金の集計等の現金を管理することができる。
(d)現金入出金機1は、添乗員がツアー終了後に手元に残っている現金を返済金として入金した時点で、ツアーナンバーを抹消することができる。また、現金入出金機1は、締め上げ取引の実行の有無に関係なく、また、集計営業日に関係なく、精算(返済)が終了しているツアー分の売上金だけを回収することができる。
以上の通り、本実施形態1に係る現金入出金機1によれば、旅行業に好適に用いることができる。
[実施形態2]
実施形態1のレシート(例えば、ツアー精算レシートR31(図15(c)参照))は、ツアーナンバー毎の売上金の集計結果を識別することができるが、添乗員によって入金された返済金の内訳が分からない。旅行会社では、ツアーナンバー毎に、管理台帳に記載されている添乗員が持ち出した「持出金額」と、添乗員が提出した「各種領収書」と、添乗員が返却した「返済金(すなわち、ツアー終了後に添乗員の手元に残っている現金)」とを突き合わせして、不正な処理がないかをチェックすることが望まれる。
そこで、本実施形態2は、ツアーナンバー毎の添乗員によって入金された返済金の内訳が分かるレシートを発行する構成(例えば、実施形態1のツアー精算レシートR31の代わりに、ツアー精算レシートR31a,R31b(図19参照)を発行する構成)を提供する。これにより、本実施形態2は、添乗員によって入金された返済金について、事務所員(管理者や出納係)が、「ツアー精算レシートR31a,R31b(図19参照)」と「各種領収書」とを突き合わせして、不正な処理がないかを容易にチェックできるようにする。
以下、図18及び図19を参照して、本実施形態2について説明する。図18は、本実施形態2で用いる売上金の集計説明図である。図19は、本実施形態2で発行するレシートの一例を示す図である。
図18は、図5に示す例と同様の棒グラフが示されている。そして、図18は、添乗員によって入金された返済金の内訳として、出金額(持出金額)分から支出申告額(ツアーの経費の金額)を差し引いた差額に、収入申告額(OPツアーの追加代金額)を加算した金額が返済金額となることを示している。なお、過不足金額は、その返済金額に対して発生する。
本実施形態2では、現金入出金機1は、添乗員によって入金された返済金の内訳が分かるように、図4に示すS330の処理時に、ツアー精算レシートR31a,R31b(図19参照)を発行する。
ツアー精算レシートR31a(図19(a)参照)は、ツアー精算レシートR31(図15(c)参照)と同様の構成になっている。ただし、ツアー精算レシートR31aは、ツアー精算レシートR31と比較すると、1行目に印字されたレシート枚数が「(1/2)」となっている点で相違している。
一方、ツアー精算レシートR31b(図19(b)参照)は、取引種別とレシート枚数とが1行目に印字され、ツアーナンバーが2行目に印字され、売上金額が3行目に印字されている。また、ツアー精算レシートR31bは、該当ツアーナンバーの売上の「内訳」として、合計預入金額と、合計出金額(持出金額)と、支出申告額(ツアーの経費の金額)と、収入申告額(Opツアーの追加台金額)と、汚損金額と、過不足金額とが4行目以降に印字されている。なお、前記した「返済金の内訳の金額」とは、これらのデータの中で、支出申告額(ツアーの経費の金額)と、収入申告額(Opツアーの追加台金額)と、汚損金額と、過不足金額とを意味している。
このような本実施形態2では、現金入出金機1は、返済金が入金される入金取引時に、ツアーナンバーの入力、並びに、返済金の入金及び返済金の内訳の金額(例えば、支出申告額(ツアーの経費金額)や収入申告額(Opツアーの追加代金額)、入金できない汚損金の金額等)の入力を受け付け、入金された返済金の金額と入力された返済金の内訳の金額との過不足金額を算出することによって、入力されたツアーナンバーに該当するツアーの売上金を精算し、レシートプリンタ7に、過不足金額が印字されたツアー精算レシートR31b(図19(b)参照)を発行させる構成となっている。
これにより、本実施形態2は、添乗員によって入金された返済金について、事務所員(管理者や出納係)が、「ツアー精算レシートR31a,R31b(図19参照)」と「各種領収書」とを突き合わせして、不正な処理がないかを容易にチェックすることができる。
以上の通り、本実施形態2によれば、実施形態1と同様に、現金入出金機1を旅行業に好適に用いることができる。
しかも、本実施形態2によれば、実施形態1に比べて、添乗員によって入金された返済金について、事務所員(管理者や出納係)が、「ツアー精算レシートR31a,R31b(図19参照)」と「各種領収書」とを突き合わせして、不正な処理がないかを容易にチェックすることができる。
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
例えば、現金入出金機1は、各種の取引時に、操作者が画面を見ずに操作することができるように、画像の表示だけでなく、音声による誘導も行うとよい。
また、例えば、現金入出金機1は、S530で売上回収レシートR51が発行されたときに、ツアー管理データD10や売上金データD20から該当するツアーナンバーに関するデータを抹消している。しかしながら、現金入出金機1は、任意の条件を満たす状態になったときに(例えば、売上金が回収されてから一定期間が経過したときに)、ツアー管理データD10や売上金データD20から該当するツアーナンバーに関するデータを抹消するようにしてもよい。