JP6221686B2 - エレクトロクロミック化合物及び表示素子 - Google Patents
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Description
電子ペーパーは、表示装置が紙のように用いられるところに特徴があるため、CRTや液晶ディスプレイといった従来の表示装置とは異なった特性が要求される。
例えば、反射型表示装置であり、かつ、高い白反射率・高いコントラスト比を有すること、高精細な表示ができること、表示にメモリ効果があること、低電圧でも駆動できること、薄くて軽いこと、安価であること、などの特性が要求される。
このうち特に、表示の品質に関わる特性として、紙と同等な白反射率・コントラスト比、さらにカラー表示についての要求度が高い。
しかしながら、上記のいずれの方式も白反射率・コントラスト比を確保しながら多色表示を行うことは大変困難である。
さらに、カラーフィルタは、一画素をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)に3分割するため、表示装置の反射率が低下し、それに伴ってコントラスト比が低下する。
白反射率・コントラスト比が大幅に低下した場合は、視認性が非常に悪くなり、電子ペーパーとして用いることが困難である。
このエレクトロクロミズム現象を引き起こすエレクトロクロミック化合物の発色/消色(以下、発消色ということがある)を利用した表示装置が、エレクトロクロミック表示装置である。
しかし、エレクトロクロミック表示装置には、酸化還元反応を利用して発消色を行う原理ゆえに、発消色の応答速度が遅いという欠点がある。
しかし、これで十分というわけではなく、エレクトロクロミック表示装置の研究開発に際しては、さらなる発消色の応答速度の向上が必要である。
積層構成でのカラー表示では、従来技術のように一画素をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)に3分割する必要がないため、表示装置の反射率、コントラスト比が低下しない。
例えば、特許文献6では、複数種のエレクトロクロミック化合物の微粒子を積層したエレクトロクロミック化合物を用いた多色表示装置が開示されている。具体的には、発色を示す電圧の異なる複数の機能性官能基を有する高分子化合物であるエレクトロクロミック化合物を複数積層し、多色表示エレクトロクロミック化合物とした多色表示装置の例が記載されている。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、発色の色調整が容易なエレクトロクロミック材料、および該エレクトロクロミック材料を用いた表示素子を提供することを目的とする。
(1)主鎖中に連結基を介して結合する複数種の発色団を有する重合体であることを特徴とするエレクトロクロミック材料。
(2)下記一般式(I)で表される構成単位からなる重合体であり、該重合体中のAが異なる複数種のユニットであることを特徴とする前記(1)項に記載のエレクトロクロミック材料;
(3)下記一般式(II)または(III)で表される重合体であることを特徴とする前記(1)項または前記(2)項に記載のエレクトロクロミック材料;
(4)表示電極と、該表示電極に対向した状態で間隔をおいて設けられた対向電極と、前記表示電極と前記対向電極との間に配置された電解質とを備え、
前記表示電極における前記対向電極との対向面に表示層を有する表示素子であって、
前記表示層は、少なくとも前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載のエレクトロクロミック材料を含むことを特徴とする表示素子。
本発明のエレクトロミック材料について詳細に説明する。
本発明に係るエレクトロクロミック重合体は、主鎖中に、連結基を介して複数種の発色団を有する重合体である。
具体的には、下記一般式(I)で表される構成単位を有するものであり、Aで表わされるユニットとして異なる複数種のユニットを有する。
(一般式(I)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子または一価の置換基であり、a及びbはそれぞれ独立に0から4の整数を表し、Rは二価の置換基を表し、Aは単結合または共役ユニットから選択される二価の置換基を表す。)
共役ユニットとしては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、アミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノカルボニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノカルボニル基、スルホン酸基、置換基を有していてもよいアルコキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールオキシスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、スルホンアミド基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいモノアリールアミノスルホニル基、置換基を有していてもよいジアリールアミノスルホニル基、アミノ基、置換基を有していてもよいモノアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい複素環基などが挙げられる。
ピリジニウム構造は一価のカチオンであるため、一般式(I)で表わされる本発明の重合体には、対アニオンが存在している。対アニオンは、ピリジニウム構造のカチオン部と安定に対を成すものであれば特に限定されるものではないが、アニオンの一例を挙げると、Brイオン、Clイオン、ClO4イオン、PF6イオン、BF4イオン、CF3SO3イオン等が挙げられる。
さらに、一般式(III)に示すように、さらに、A部分の種類を増加させることも可能である。
本発明に係るエレクトロクロミック重合体の分子量としては、5000以上であることが好ましい。
次に、本発明に係るエレクトロクロミック重合体の製造方法について説明する。
本発明に係るエレクトロクロミック重合体は、例えば、下記の反応式に示すように、二つのピリジン環の間にA1で表わされる共役ユニットを有するビピリジン化合物と、二つのピリジン環の間にA2で表わされる共役ユニットを有するビピリジン化合物とを、Rで連結させることにより製造することができ、前記A1を含むモノマーと前記A2を含むモノマーとをあわせたモル数と同量のRを含むモノマーを使用することにより合成することができる。
次に、本発明に係る表示素子について説明する。
図1に、本発明のエレクトロクロミック化合物を用いた一般的な表示素子の構成例を示す。
図1(a)の表示素子において、表示層は、本発明のエレクトロクロミック化合物を用いて表示電極の対向電極側の面に形成される。
その形成方法は、浸漬、ディッピング法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法等のどのような方法を用いても構わない。
この場合、エレクトロクロミック化合物は電極表面でのみ酸化還元反応により発消色する。即ち、エレクトロクロミック化合物を含む溶液のうち、表示電極の対向電極との対向面側の表面が表示層として機能する。
この場合、エレクトロクロミック反応により白地に着色した像を表示することが可能となる。
前記表示電極としては、透明導電基板を用いることが望ましい。透明導電基板としてはガラス、あるいはプラスチックフィルムに透明導電薄膜をコーティングしたものが望ましい。プラスチックフィルムを用いれば軽量でフレキシブルな表示素子を作製することができる。
In酸化物、Sn酸化物及びZn酸化物は、スパッタ法により、容易に成膜が可能な材料であると共に、良好な透明性と電気伝導度が得られる材料である。また、特に好ましい材料は、InSnO、GaZnO、SnO、In2O3、ZnOである。
対向電極として、亜鉛等の金属板が用いられる場合、対向電極が基板を兼ねる。
すなわち、エレクトロクロミック組成物が酸化により発色する場合は還元反応を起こし、エレクトロクロミック組成物が還元により発色する場合は酸化反応を起こす材料を対向電極として用いると、エレクトロクロミック組成物を含む表示層における発消色の反応がより安定となる。
支持塩として、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩を用いることができる。
具体的には、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、CF3SO3Li、CF3COOLi、KCl、NaClO3、NaCl、NaBF4、NaSCN、KBF4、Mg(ClO4)2、Mg(BF4)2等を用いることができる。
その他、支持塩を溶媒に溶解させた液体状の電解質に特に限定されるものではないため、ゲル状の電解質や、ポリマー電解質等の固体電解質も用いられる。
例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子膜などの固体系などがある。溶液系はイオン伝導度が高いという利点があり、固体系は劣化がなく高耐久性の素子を作製することに適している。
白色反射層としては、白色顔料微粒子を樹脂に分散させ対向電極上に塗布することが最も簡便な作製方法である。
また、ポリマー電解質に白色顔料粒子を混合することによって、白色反射層を兼ねることもできる。
パッシブ駆動方法を用いれば安価な表示素子を作製することができる。また、アクティブ駆動方法を用いれば高精細、かつ高速な表示をおこなうことができる。対向基板上にアクティブ駆動素子を設けることで容易にアクティブ駆動ができる。
(エレクトロクロミック重合体(P−1)の合成)
以下のスキームに従い、エレクトロクロミック化合物(P−1)を合成した。
室温に戻した後、反応溶液を2−プロパノールに滴下し、析出した固体を濾取した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄した後、真空乾燥し、目的の共重合体(P−1)を0.371g得た。収率79%。
IR(NaCl)ν/cm-1;3391,3035,2927,2466,1633,1597,1556,1532,1513,1493,1464,1418,1227,1163,1027,841,822,751.
(エレクトロクロミック表示素子の作製)
まず、30mm×30mmのガラス基板を準備し、その上面の16mm×23mmの領域に、ITO膜をスパッタ法により約100nmの厚さになるように成膜することによって、表示電極を形成した。この表示電極の電極端部間のシート抵抗を測定したところ、約200Ωであった。
次に、実施例1にて合成したエレクトロクロミック重合体(P−1)の2,2,3,3−テトラフロロプロパノール溶液をキャストし乾燥することによって、ITO膜上にエレクトロクロミック表示層を形成した。
(作製したエレクトロクロミック表示素子の発消色試験)
実施例2で作製したエレクトロクロミック表示素子について、発消色の比較評価を実施した。
表示素子の表示電極に負極を、対向電極に正極を繋ぎ、0Vから-2Vまでの電圧印加に伴う吸収スペクトルを測定した。結果を図2に示す。
電圧印加に伴い、N−フェニルピロールを含むピリジニウムユニットのエレクトクロミック反応に由来する、550nm付近のシャープな吸収帯、ジフェニルオキサジアゾールを含むピリジニウムユニットのエレクトクロミック反応に由来する、600から800nmと400から500nmにかけてのブロードな吸収帯が同時に出現した。
(エレクトロクロミック重合体(P−2)の合成)
以下のスキームに従い、エレクトロクロミック化合物(P−2)を合成した。
50mlフラスコに、モノマー(m−2)36.2mg(96.2μmol)、モノマー(m−4)22.4mg(96.2μmol)、モノマー(m−5)47.6mg(96.2μmol)を入れ、アルゴン置換した。
脱水DMF 8ml及びトルエン2mlを加え、100℃で10分撹拌した。この溶液に、モノマー(m−6) 94.7mg (288.7μmol)を引き続き100℃で27時間撹拌した。
室温に戻した後、反応溶液を2−プロパノールに滴下し、析出した固体を濾取した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄した後、真空乾燥し、目的の共重合体(P−2)を190mg得た。収率95%。
IR(NaCl)ν/cm-1;2925,2863,1712,1634,1598,1559,1489,1463,1409,1292,1247,1176,1010,829,750,666.
Claims (4)
- 下記一般式(1)、及び下記一般式(2)の少なくともいずれかで表される構成単位を含む重合体であることを特徴とするエレクトロクロミック材料。
R及びR’は、それぞれ独立に、アルキル基、及びアルコキシ基のいずれかを示し、
x、y、及びzは、繰り返し単位の組成比を表し、前記x、前記y、及び前記zの合計は、1である) - 前記アルコシキ基が、メトキシ基、及び下記構造式(1)で表される置換基のいずれかである請求項1に記載のエレクトロクロミック材料。
- 前記一般式(1)で表される構造単位が、下記構造式(P−1)で表される構成単位であり、
前記一般式(2)で表される構造単位が、下記構造式(P−2)で表される構成単位である請求項1から2のいずれかに記載のエレクトロクロミック材料。
- 表示電極と、該表示電極に対向した状態で間隔をおいて設けられた対向電極と、前記表示電極と前記対向電極との間に配置された電解質とを備え、
前記表示電極における前記対向電極との対向面に表示層を有する表示素子であって、
前記表示層は、少なくとも請求項1から3のいずれかに記載のエレクトロクロミック材料を含むことを特徴とする表示素子。
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