JP6221374B2 - 熱安定性が向上したトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素 - Google Patents

熱安定性が向上したトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素 Download PDF

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Description

本発明は、RNAからDNAを複製するトリ骨髄芽細胞腫(AMV)ウイルス逆転写酵素およびその製造方法に関するものである。より詳しくは、熱に対する安定性を向上させたAMV逆転写酵素に関するものである。
レトロウイルスの増殖に必須の因子として発見された逆転写酵素は、一本鎖RNAを鋳型としてDNAを合成(逆転写)する、RNA依存型DNAポリメラーゼ活性を有しており、cDNA合成等に必須な遺伝子工学試薬や遺伝子診断試薬に利用されている。
逆転写酵素を利用した逆転写反応の効率に影響を及ぼす要因のひとつに、RNAの二次構造があげられる。例えば、RNA分子の領域がハイブリダイズするのに十分な相補性を有し、二本鎖RNAを形成する場合に、このような二次構造が形成されることがある。一般的に、RNA分子を含む溶液の温度を上げることによって、RNAの二次構造の形成を減らすことができる。従って、多くの場合、37℃を超える温度でRNAを逆転写することが望ましい。しかしながら、当技術分野で既知の逆転写酵素は、37℃よりかなり上の温度、例えば50℃でインキュベートされると一般的に活性を失ってしまう。
逆転写酵素の一つである、トリ骨髄芽球腫ウイルス(AMV)逆転写酵素は、分子量約63kDaのα鎖および分子量約95kDaのβ鎖からなるヘテロ複合体であり、ASLVファミリーとして知られている。このうちα鎖は、タンパク質分解性プロセシングによりβ鎖から形成される(非特許文献1)。AMV逆転写酵素のヘテロ複合体は、α鎖のみの場合またはβ鎖のみの場合と比較して安定であり、遺伝子工学試薬や遺伝子診断試薬に利用する逆転写酵素として有用であることが知られている(特許文献1)。また熱安定性が向上したAMV逆転写酵素としてα鎖の変異体が知られている(非特許文献2)。しかしながら熱安定性が向上したヘテロ複合体、およびβ鎖の変異体の報告はない。
特開2003−334095号公報 特開2012−120506号公報 特開2006−014632号公報 特開2012−075418号公報
Le Grice S.F.J.,Reverse Transcriptase,Cold Spring Harbor,New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press,163(1993) Konishi A,Yasukawa K,Inouye K.Improving the thermal stability of avian myeloblastosis virus reverse transcriptase α−subunit by site−directed mutagenesis.Biotechnol Lett.,Jul;34(7):1209−1215(2012)
逆転写酵素を用いた反応ではその増幅の効率と正確性の向上のため、より高い温度で逆転写反応が可能な酵素が望まれている。本発明の目的は、熱安定性が向上したトリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、トリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素をコードするポリヌクレオチドを一部改変したポリヌクレオチドを作製し、作製したポリヌクレオチドを含むベクターで大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体を用いて発現させたAMV逆転写酵素変異体を選抜した結果、本願発明を完成するに至った。
すなわち、本願は以下の(A)から(N)に記載の態様を包含する:
(A)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素において、以下の(1)から(15)のうち少なくともいずれか一箇所が他のアミノ酸に置換している、前記逆転写酵素。
(1)配列番号1の658番目のセリン
(2)配列番号1の813番目のバリン
(3)配列番号1の192番目のアスパラギン酸
(4)配列番号1の715番目のトレオニン
(5)配列番号1の583番目のアラニン
(6)配列番号1の65番目のセリン
(7)配列番号1の113番目のフェニルアラニン
(8)配列番号1の689番目のアラニン
(9)配列番号1の718番目のイソロイシン
(10)配列番号1の174番目のセリン
(11)配列番号1の660番目のイソロイシン
(12)配列番号1の402番目のグリシン
(13)配列番号1の732番目のアスパラギン
(14)配列番号1の856番目のロイシン
(15)配列番号1の626番目のグリシン
(B)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素において、以下の(1)から(15)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、前記逆転写酵素。
(1)配列番号1の658番目のセリンがグリシンに置換
(2)配列番号1の813番目のバリンがアラニンに置換
(3)配列番号1の192番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(4)配列番号1の715番目のトレオニンがメチオニンに置換
(5)配列番号1の583番目のアラニンがトレオニンに置換
(6)配列番号1の65番目のセリンがグリシンに置換
(7)配列番号1の113番目のフェニルアラニンがセリンに置換
(8)配列番号1の689番目のアラニンがバリンに置換
(9)配列番号1の718番目のイソロイシンがトレオニンに置換
(10)配列番号1の174番目のセリンがシステインに置換
(11)配列番号1の660番目のイソロイシンがバリンに置換
(12)配列番号1の402番目のグリシンがシステインに置換
(13)配列番号1の732番目のアスパラギンがセリンに置換
(14)配列番号1の856番目のロイシンがプロリンに置換
(15)配列番号1の626番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
(C)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素において、配列番号1の689番目のアラニンがバリンに置換されており、かつ以下の(1)から(5)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、前記逆転写酵素。
(1)配列番号1の718番目のイソロイシンがトレオニンに置換
(2)配列番号1の174番目のセリンがシステインに置換
(3)配列番号1の660番目のイソロイシンがバリンに置換
(4)配列番号1の402番目のグリシンがシステインに置換
(5)配列番号1の732番目のアスパラギンがセリンに置換
(D)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素において、少なくとも以下の(1)から(3)のアミノ酸置換が生じている、前記逆転写酵素。
(1)配列番号1の65番目のセリンがグリシンに置換
(2)配列番号1の113番目のフェニルアラニンがセリンに置換
(3)配列番号1の689番目のアラニンがバリンに置換
(E)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素において、少なくとも以下の(1)から(3)のアミノ酸置換が生じている、前記逆転写酵素。
(1)配列番号1の65番目のセリンがグリシンに置換
(2)配列番号1の689番目のアラニンがバリンに置換
(3)配列番号1の856番目のロイシンがプロリンに置換
(F)配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素において、少なくとも以下の(1)から(4)のアミノ酸置換が生じている、前記逆転写酵素。
(1)配列番号1の65番目のセリンがグリシンに置換
(2)配列番号1の583番目のアラニンがトレオニンに置換
(3)配列番号1の626番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
(4)配列番号1の689番目のアラニンがバリンに置換
(G)配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、および配列番号76のうちいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、トリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素。
(H)野生型のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素と比較して、37℃より高い温度で、より長い半減期を伴う酵素活性を有する、(A)から(G)のいずれかに記載の逆転写酵素。
(I)野生型のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素と比較して、37℃より高い温度で保持した場合に、より高い残存活性を有する、(A)から(G)のいずれかに記載の逆転写酵素。
(J)(A)から(G)のいずれかに記載のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素をコードするポリヌクレオチド。
(K)(J)に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
(L)(K)に記載の発現ベクターで宿主を形質転換して得られる形質転換体。
(M)宿主が大腸菌である、(L)記載の形質転換体。
(N)(L)または(M)に記載の形質転換体を培養することで前記形質転換体からトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素を発現させる工程と、前記形質転換体から当該逆転写酵素を単離する工程とを含む、トリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、野生型のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素とは、配列番号1記載のアミノ酸配列からなるAMV逆転写酵素β鎖、または配列番号2記載のアミノ酸配列からなるAMV逆転写酵素α鎖のことをいう。なお、野生型のAMV逆転写酵素は、AMV逆転写酵素β鎖単独でもよく、AMV逆転写酵素α鎖単独でもよく、さらには両者からなる任意の複合体やそれらの混合物であってもよい。
本発明にかかるトリ骨髄芽細胞種ウイルス逆転写酵素は、配列番号1に記載のアミノ酸配列であって、658番目のセリン、813番目のバリン、192番目のアスパラギン酸、715番目のトレオニン、583番目のアラニン、65番目のセリン、113番目のフェニルアラニン、689番目のアラニン、718番目のイソロイシン、174番目のセリン、660番目のイソロイシン、402番目のグリシン、732番目のアスパラギン、856番目のロイシン、および626番目のグリシンからなる群から選ばれる少なくとも1以上の位置にてアミノ酸置換を有する配列を含む。
本発明に係るアミノ酸置換は、各置換位置において、特定の性質を有するアミノ酸群から選ばれるアミノ酸に置換されてもよい。例えば、658番目および65番目の位置は、小側鎖のアミノ酸、例えばグリシンに置換される。813番目の位置は、疎水性炭化水素鎖を有するアミノ酸、例えばアラニンに置換される。192番目の位置は、酸性アミノ酸、例えばグルタミン酸に置換される。715番目の位置は、含硫黄アミノ酸、例えばメチオニンに置換される。583番目および第718番目の位置は、水酸基又はチオール基を有するアミノ酸、例えばトレオニンに置換される。113番目および732番目の位置は、水酸基又はチオール基を有するアミノ酸、例えばセリンに置換される。689番目および660番目は、炭化水素基を有するアミノ酸、例えばバリンに置換される。174番目および402番目は、水酸基又はチオール基を有するアミノ酸、例えばシステインに置換される。856番目の位置は、疎水性アミノ酸、例えばプロリンに置換される。626番目の位置は、酸性アミノ酸、例えばアスパラギン酸に置換される。図1に本発明のAMV逆転写酵素におけるアミノ酸置換部位を示す。
本発明に係るトリ骨髄芽細胞種ウイルス逆転写酵素は、上記の1以上、好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上の位置でアミノ酸置換を含んでいる。アミノ酸置換位置の組合せは、野生型のトリ骨髄芽細胞種ウイルス逆転写酵素に比較して、高温で残存活性又は半減期の点で優れていれば、任意の組合せを選択することができる。2の位置で置換が生じる場合、優れた残存活性又は半減期を有する逆転写酵素を取得する観点から、689番目の位置における置換と、その他の位置における置換の組合せが好ましく、例えば689番目の位置における置換と、718番目、174番目、660番目、402番目、又は732番目との組合せが選択されるが、これらの組合せに限定されることを意図するものではない。3の位置で置換が生じる場合、優れた残存活性又は半減期を有する逆転写酵素を取得する観点から、689番目の位置における置換と、その他の2の位置における置換の組合せが好ましく、例えば689番目の位置における置換と、65番目と113番目との組合せや、689番目の位置における置換と、65番目と856番目との組合せが選択されるが、この組合せに限定されることを意図するものではない。4の位置で置換が生じる場合、優れた残存活性又は半減期を有する逆転写酵素を取得する観点から、65番目における置換と689番目の位置における置換と、その他の2の位置における置換の組合せが好ましく、例えば、65番目における置換と689番目の位置における置換と、583番目と626番目との組み合わせが選択されるが、この組合せに限定されることを意図するものではない。
本発明に係るトリ骨髄芽細胞種ウイルス逆転写酵素は、特定されたアミノ酸配列のみからなってもよいし、その他活性に影響を与えない範囲で任意の配列を含んでもよい。そのような配列の例として、例えば精製を容易にするタグ配列や分泌シグナルなどのシグナルペプチド配列がN末端又はC末端、または両方の末端に付加されていてもよい。タグ配列は、数残基程度の特定のアミノ酸配列を含んでおり、特異的抗体や特異的結合担体を用いることによりにより発現したタンパク質の精製が容易になる。タグ配列の例として、Hisタグ、Mycタグ、FLAGタグなど、遺伝子工学の分野で用いられる配列であれば任意の配列を用いることができる。これらの配列は、精製後に、所定の制限酵素を用いることにより取り除かれてもよいし、そのまま転写酵素として用いられてもよい。また制限酵素を用いて付加配列を除去した場合も、数残基程度のアミノ酸配列がN末端又はC末端に存在してもよい。
本発明において言及されるAMV逆転写酵素のアミノ酸配列におけるアミノ酸の位置は、AMV逆転写酵素β鎖のアミノ酸配列を表す配列番号1を基準として表されるが、配列番号1のアミノ酸配列の所定の位置のみを指すことを意図するものではなく、配列番号1に対応するアミノ酸配列における対応する位置を指すこともある。配列番号1に対応するアミノ酸配列とは、配列番号1の配列の1又は複数の領域において欠失又は追加がされた結果、アミノ酸の位置にずれが生じている配列をいい、より具体的には、配列番号2などのアミノ酸配列をいう。配列番号2のアミノ酸配列は、AMV逆転写酵素β鎖がタンパク質分解性プロセシングを受けて生じたAMV逆転写酵素α鎖であり、配列番号1のアミノ酸配列の1から572番目に対応している。
したがって、配列番号1の192番目のアスパラギン酸、とは配列番号1に記載のAMV逆転写酵素β鎖のアミノ酸配列によって定義される192番目のアミノ酸であるアスパラギン酸を指すが、対応するアミノ酸配列である配列番号2における対応するアミノ酸を指すこともある。ここで、AMV逆転写酵素α鎖は、AMV逆転写酵素β鎖の573番目以降のアミノ酸がプロセシングを受けるため、配列番号1の573番目以降のアミノ酸については、AMV逆転写酵素α鎖に対応するアミノ酸は存在することはない。なお1から572番目の他のアミノ酸についても同様である。
本発明において、37℃より高い温度で、より長い半減期を伴う、とは、ある態様において高い温度で、すなわち、37℃より高い温度、好ましくは45℃より高い温度、より好ましくは50℃より高い温度、より好ましくは55℃より高い温度において、野生型のAMV逆転写酵素よりも長い半減期、すなわちある態様において5分間よりも長く、好ましくは10分間より長い半減期であり得る。
本発明において、酵素活性を有するとは、野生型のAMV逆転写酵素が有する酵素活性であって、RNA依存型DNAポリメラーゼ活性、DNA依存型DNAポリメラーゼ活性、RNaseH活性、が例示できる。さらに、本発明における酵素活性は任意の1つ、または任意の組み合わせの複数の酵素活性であってもよく、より好ましくはRNA依存型DNAポリメラーゼ活性であり、さらに好ましくはRNA依存型DNAポリメラーゼ活性とDNA依存型DNAポリメラーゼ活性の組み合わせ、またはRNA依存型DNAポリメラーゼ活性とRNaseH活性の組み合わせであり、より好ましくはRNA依存型DNAポリメラーゼ活性とDNA依存型DNAポリメラーゼ活性とRNaseH活性の組み合わせである。
本発明において、37℃より高い温度で保持した場合とは、ある態様において高い温度で、すなわち、37℃より高い温度、好ましくは45℃より高い温度、より好ましくは50℃より高い温度、より好ましくは55℃より高い温度において、AMV逆転写酵素が働くために充分に長い時間保持した場合をいい、例えば、1分よりも長い時間、好ましくは5分より長い時間、より好ましくは10分より長い時間、より好ましくは20分より長い時間、より好ましくは30分より長い時間保持される。
本発明において、残存活性は、加熱前の酵素が有する活性に対する加熱後の酵素が有する活性の割合を指す。野生型のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素と比較してより高い残存活性を有するとは、AMV逆転写酵素が働くために充分に長い時間、所定の温度で保持した場合の酵素活性を、同時間4℃で保持した場合の酵素活性で除した残存活性が、野生型のAMV逆転写酵素について同条件で測定した残存活性と比較して高いことをいう。残存活性比が、野生型のAMV逆転写酵素の残存活性比よりも高いとは、すなわち、野生型AMV逆転写酵素の残存活性と比較して3%以上、好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上、さらに好ましくは25%以上高い残存活性が観察されることであり得る。
本発明において、AMV逆転写酵素をコードするポリヌクレオチドとは、mRNAへの転写と転写されたmRNAの翻訳によって、本発明のAMV逆転写酵素を製造し得るポリヌクレオチドのことをいう。前記ポリヌクレオチドは、野生型のAMV逆転写酵素をコードするポリヌクレオチド(例えば、配列番号3から6のいずれかに記載の配列からなるポリヌクレオチド)を改変または変異を導入することで作製することができる。所定の核酸配列に所望の変異を導入する方法は当業者に公知である。例えば、部位特異的変異誘発法、縮重オリゴヌクレオチドを用いるPCR、核酸を含む細胞の変異誘発剤または放射線への露出といった公知の技術を適宜使用することによって、変異を有するDNAを構築することができる。当業者はこのような任意の改変または変異を有する遺伝子を、従来公知の変異導入法を利用して作製することができ、例えばSite−directed mutagenesis法が例示できる。このようにして作製したポリヌクレオチドとして配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73および配列番号75に記載の配列を含むポリヌクレオチドが例示でき、さらにはこれらのポリヌクレオチドに、アミノ酸の変化をもたらさないサイレント変異が入ったポリヌクレオチドが例示できる。
本発明において発現ベクターとは、本発明のAMV逆転写酵素をコードするポリヌクレオチドを挿入したベクターである。発現ベクターは、AMV逆転写酵素を発現させる宿主を基にして適宜選択すればよく、大腸菌においてはpUC、pET、pTrc99a、pBluescript、pBBR、pBR322などを例示することができる。その中でもtrcプロモータを有する点で、pTrc99aベクターが好ましいプラスミドベクターとして例示できる。AMV逆転写酵素遺伝子をコードするポリヌクレオチドのベクターへの挿入は、挿入するベクターの適切な位置に遺伝子工学的に挿入すればよい。ここでいう適切な位置とは、ベクターの複製機能、所望の抗生物質マーカー、あるいは伝達性に関わる領域を破壊しない範囲で自由に決定してよい。またベクターに挿入する場合、例えばプロモータ機能を有するオリゴヌクレオチドを付加してもよい。機能するプロモータの一例として、大腸菌で機能するlacプロモータ、trcプロモータまたはT7プロモータが例示できる。その中でもtrcプロモータは、転写活性の調節が容易なため好ましい。挿入するベクターは、形質転換する宿主内で充分な期間安定に存在し、複製することができるものであれば特に制限はない。
本発明における宿主としては、AMV逆転写酵素を発現できる細胞であればよく、原核細胞においては大腸菌Escherichia coli、バチルス(Bacillus)属に属する菌、ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する菌、ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属する菌、スタフィロコッカス(Staphyrococcus)属に属する菌、真核細胞としては酵母のサッカロマイセス(Saccharomyces)に属する菌、キャンジダ(Candida)属に属する菌、ポンベ(Pombe)属に属する菌、糸状菌のアスペルギルス(Aspergillus)属に属する菌などを例示することができ、さらには、昆虫細胞や動物細胞を例示することができる。好ましい宿主の一例として培養や取り扱いが容易な大腸菌があげられる。さらに好ましくは大腸菌MV1184株、大腸菌GM31株、大腸菌HB101株、大腸菌JM101株、大腸菌W3110株であり、より好ましくは大腸菌W3110株である。なお前述した大腸菌に対し、ニトロソグアニジンやメタンスルホン酸エチル等の化学物質、紫外線、放射線等の従来公知の手段により変異処理した大腸菌変異株を使用してもよい。
発現ベクターを用いて大腸菌を形質転換する方法については、本技術分野に知られている任意の方法を使用することができ、例えば、Method in Enzymology,216,p.469−631,1992,Academic PressやMethod in Enzymology,204,p.305−636,1991,Academic Pressに記載された方法により行なえばよい。
本発明の形質転換体を培養するには、前述した方法で得られた形質転換体を、例えば必要な栄養源を補ったLB(Luria−Bertani)培地により培養すればよい。なお、本発明の形質転換体を選択して培養することを目的に、前記ベクターの構成を基にした選抜剤を培地に添加するとよい。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を有するプラスミドベクターを使用する場合には、培地にアンピシリンやカルベニシリンを添加すればよい。また培地には、炭素、窒素、無機塩供給源の他に、適当な栄養源を添加してもよい。さらにグルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオスレイトールからなる群から選択される一種類以上の還元剤を添加しても良い。培養温度は、例えば約20℃から40℃までの範囲であればよく、好ましくは35℃から38℃までの範囲、より好ましくは37℃付近である。pHは5.9から8.1までの範囲であればよく、好ましくは5.9から7.1までの範囲である。
本発明の形質転換体を培養する際、当該形質転換体に含まれる発現ベクターにtrcプロモータといった誘導性のプロモータが含まれている場合は、培養開始時に誘導剤を添加してAMV逆転写酵素の発現を誘導してもよいし、良好なAMV逆転写酵素の生産性が得られる程度まで培養を行なった後に誘導剤を添加し、AMV逆転写酵素を発現させてもよい。好ましくは、培養液の濁度(660nmにおける吸光度)が約0.5から20.0を示す増殖期間、より好ましくは濁度が1.0から10.0を示す増殖期間に、誘導剤を添加する誘導操作を行ない、引き続き培養する方法が例示できる。添加する誘導剤は、使用するプロモータに応じて適宜選択して使用すればよい。例えば、誘導性のプロモータがtrcプロモータの場合、添加する誘導剤としてIPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)を例示することができる。IPTGの添加濃度は終濃度で約0.1から10.0mMまでの範囲の中から適宜選択すればよいが、好ましくは1.0mMから10.0mMまでの範囲、より好ましくは5.0mM付近である。なお、誘導操作後に培養温度を大腸菌の至適培養温度よりも低い温度まで下げてもよく、好ましくは10℃から30℃までの範囲、より好ましくは15℃から25℃までの範囲、さらに好ましくは25℃付近である。
本発明の形質転換体の培養時間は、一般的な大腸菌の培養時間よりも長時間であり、好ましくは24時間以上、より好ましくは50時間以上、さらに好ましくは100時間以上、さらに好ましくは100時間から170時間、さらに好ましくは100時間から150時間である。
本発明の形質転換体から逆転写酵素を単離するには、前述した方法で得られた形質転換体の培養液からAMV逆転写酵素を抽出すればよく、発現の形態によって適宜抽出方法を選択すればよい。例えば、発現したAMV逆転写酵素が大腸菌内に蓄積する場合は遠心分離操作等により菌体を集めた後、酵素処理剤や超音波破砕等により菌体を破砕して抽出すればよい。なお前記抽出段階では種々の蛋白質が混在しているが、ストレプトマイシン塩酸塩やポリミンP(商品名)を添加することで核酸と共沈させることにより効率的にAMV逆転写酵素を沈澱回収することができる。さらに、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーといったクロマトグラフィーを単独または組み合わせて適用することにより、AMV逆転写酵素を高純度に精製することができる。クロマトグラフィーを用いたAMV逆転写酵素精製の一例として、ポリプロピレングリコール基を導入した疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いてAMV逆転写酵素を精製後、ホスホセルロース担体を用いたイオン交換クロマトグラフィーを用いてさらに精製することで、AMV逆転写酵素α鎖、AMV逆転写酵素β鎖、およびAMV逆転写酵素α鎖β鎖ヘテロ複合体を、分離精製することができる。
本発明は、野生型のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素と比較して、より高い温度で、より長い半減期を伴う酵素活性を有していることを特徴としている。このため、遺伝子工学試薬や遺伝子診断試薬で用いる酵素として有用といえる。
野生型のAMV逆転写酵素β鎖のアミノ酸配列(配列番号1、上段)と、本発明のAMV逆転写酵素におけるアミノ酸置換部位を示す図である。 プラスミドベクターpTrcAMVBの構造を示す図である。 蛍光強度が初期値の1.2倍になる時間から逆転写酵素のユニット数を見積もる検量線を示す図である。 野生型のAMV逆転写酵素と本発明のAMV逆転写酵素とで耐熱性を評価した結果を示す図である。 A689V変異体と当該変異体にさらにアミノ酸置換を導入したAMV逆転写酵素とで耐熱性を評価した結果を示す図である。 野生型のAMV逆転写酵素と、A689V変異体と、(S65G、F113S、A689V)三重変異体とで耐熱性を評価した結果を示す図である。 野生型のAMV逆転写酵素と、(S65G、F113S、A689V)三重変異体と、(S65G、A689V、L856P)三重変異体とで耐熱性を評価した結果を示す図である。 (S65G、A689V)二重変異体のホスホセルロースカラム溶出パターンを示す図である。 (S65G、A689V、L856P)三重変異体のホスホセルロースカラム溶出パターンを示す図である。 ホスホセルロースカラムから溶出した(S65G、A689V、L856P)三重変異体のヘテロ複合体を含む画分(a)とβ鎖を含む画分(b)をSDS−PAGEで分離後、CBBで染色した電気泳動写真を示す図である。 (S65G、F113S、A689V)三重変異体と、(S65G、A689V)二重変異体とで耐熱性を評価した結果を示す図である。 (S65G、A689V)二重変異体と、(S65G、G626D、A689V)三重変異体とで耐熱性を評価した結果を示す図である。 野生型AMV逆転写酵素のヘテロ複合体と、(S65G、A689V)二重変異体のヘテロ複合体と、(S65G、A528T、G626D、A689V)四重変異体のヘテロ複合体とで、耐熱性を評価した結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用いて詳細に説明するが、本実施例は本発明の実施の一形態を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
実施例1 トリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素遺伝子の変異体ライブラリーの作製
特許文献2に記載の方法で大腸菌コドン型のAMV逆転写酵素遺伝子(配列番号5)を持つプラスミドベクターpTrcAMVB(図2)を作製した。プラスミドベクターpTrcAMVBの塩基配列情報を配列番号7に示す。作製したプラスミドベクターpTrcAMVBのAMV逆転写酵素遺伝子に以下の手順で変異を導入した。
(1)プラスミドベクターpTrcAMVBを鋳型プラスミドとして、表1に示した反応液組成に基づいてエラープローンPCR反応を行なった。
Figure 0006221374
PCR反応は、サーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用い、95℃で2分加熱後、95℃・30秒、55.7℃・30秒、72℃・3.5分の温度サイクルを40回繰り返した。
(2)PCR産物を、1%アガロース電気泳動で泳動後、エチジウムブロマイド染色を行ない、染色後のゲルから目的産物のバンドを切り出すことで精製した。
(3)精製されたAMV逆転写酵素遺伝子を含むDNAを制限酵素EcoRIおよびHindIIIで消化後、同酵素で消化したpTrc99aプラスミドにT4リガーゼを用いて4℃で30分反応させ、反応後のDNA溶液をAMV逆転写酵素遺伝子変異体ライブラリーとした。
(4)さらに作製したライブラリーを定法に従い大腸菌HB101株に形質転換し、37℃のLB/Crb寒天培地(10g/L ポリペプトン、5g/L 酵母エキス、10g/L NaCl、15g/L 精製寒天、0.1mg/mL カルベニシリンナトリウム(pH7.4))で一晩培養し変異体候補株を得た。
実施例2 変異体候補株の培養
96穴プレート(グライナー・ジャパン社製)に2×YT−Pna培地(pH6.0)(16g/L トリプトン、10g/L 酵母エキス、5g/L 塩化ナトリウム、14.5g/L 第一リン酸ナトリウム・二水和物、2.5g/L 第二リン酸ナトリウム・十二水和物、0.1mg/mL カルベニシリンナトリウム)200μL/well分注し、実施例1で作製した変異体候補株を1コロニーずつ植菌し、37℃・2000rpmで一晩振とう培養を行なうことで前培養を行なった。前培養液の一部はグリセロールストックとし−80℃で保存した。
次に96穴ディープウェルプレート(グライナー・ジャパン社製)に2×YT−Pna培地(pH6.0)(16g/L トリプトン、10g/L 酵母エキス、5g/L 塩化ナトリウム、14.5g/L 第一リン酸ナトリウム・二水和物、2.5g/L 第二リン酸二ナトリウム・十二水和物、0.1mg/mL カルベニシリンナトリウム)500μL/well分注し、前培養液を50μLずつ植菌し、37℃・1500rpmで3時間振とう培養を行なった。さらに各ウェルに5mMになるようにIPTGを添加し、25℃・2000rpmで三晩振とう培養を行なうことでトリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素の発現を促した。
その後、培養菌体を4℃・2500rpmで30分間遠心分離を行ない、上清を捨てることで菌体を回収し、−30℃で保存した。
実施例3 トリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素抽出液の酵素活性評価
(1)実施例2で回収した菌体に抽出液(BugBuster(商品名)(メルク社製)溶液、50mM Tris−HCl(pH7.2)、0.2mg/mL 卵白リゾチーム、25U/mL Benzonase(商品名)(メルク社製)、10mM DTT)を100μL/well加え、25℃・1500rpmで一時間振とうし、続いて4℃・2500rpmで20分間遠心分離を行ない、上清を回収し抽出液とした。
(2)酵素活性の測定を、特許文献3記載の核酸増幅法をもとに行なった。表2に記載した組成の反応液(ミックス試薬とする)15μLをPCR用96穴プレート(ABI社製)に分注し、前記抽出液を10mM DTT水溶液で10倍に希釈しものを5μL加えた。
Figure 0006221374
続いて各ウェルに開始溶液(18mM MgCl、100mM KCl、3.8%(w/v) グリセロール、10.4%(v/v) DMSO)を10μL混合し、ABI7300RealTime−PCR装置(商品名)(Applied Biosystems社製)を用いて、46℃・15秒、47℃・30秒、46℃・15秒の温度サイクルを30回繰り返し、サイクルごとに蛍光強度を測定した。
(3)野生型のAMV逆転写酵素と比較し蛍光強度の増加が早いサイクルで観察される変異体を耐熱性変異株として取得した。
実施例4 トリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素の調製(その1)
実施例3で選択した耐熱性変異株について耐熱性の評価を行なうために、耐熱性変異株の培養と精製を行なった。
(1)試験管に2×YT−Pna培地(pH6.0)(16g/L トリプトン、10g/L 酵母エキス、5g/L 塩化ナトリウム、14.5g/L 第一リン酸ナトリウム・二水和物、2.5g/L 第二リン酸ナトリウム・十二水和物、0.1mg/mL カルベニシリンナトリウム)2mL分注し、実施例2で作製したグリセロールストックを20μL植菌し、37℃・160rpmで一晩振とう培養を行なうことで前培養を行なった。
(2)100mLフラスコに2×YT−Pna培地(pH6.0)(16g/L トリプトン、10g/L 酵母エキス、5g/L 塩化ナトリウム、14.5g/L 第一リン酸ナトリウム・二水和物、2.5g/L 第二リン酸ナトリウム・十二水和物、0.1mg/mL カルベニシリンナトリウム)20mL分注し、前培養液を200μL植菌し、37℃・160rpmで3時間振とう培養を行なった。さらに培養液に5mMになるようにIPTGを添加し、25℃・160rpmで三晩振とう培養を行なうことでトリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素の発現を促した。その後、培養液を4℃・8000rpmで30分間遠心分離することで菌体を回収し、−30℃で凍結保存した。
(3)凍結菌体を5mL/湿菌体質量のバッファーA(20mM Tris−HCl(pH7.2)、10%(w/v)グリセロール、4mM DTT)に懸濁し、ソニケーター(Insonator 201M、久保田製作所社製)を使用して150W、4℃の条件で超音波破砕を行なった後、4℃・8000rpmで30分間遠心分離することで未破砕の菌体を取り除き抽出液を得た。
(4)得られた抽出液に0.83%(w/v)になるようにストレプトマイシン塩酸塩(和光純薬社製)を溶解し、4℃で30分間撹拌した。その後、4℃・8000rpmで30分間遠心分離することでAMV逆転写酵素を沈澱として回収し、取り除いた上清と等量のバッファーAへ再度懸濁した。この再懸濁液をさらに4℃・8000rpmで30分間遠心分離した上清を回収した。この上清500μLとバッファーB(20mM Tris−HCl(pH7.2)、10%(w/v)グリセロール、4mM DTT、170g/L 硫酸アンモニウム)500μLを混和した後、バッファーC(20mM Tris−HCl(pH7.2)、10%(w/v)グリセロール、4mM DTT、85g/L 硫酸アンモニウム)で平衡化したTOYOPEARL PPG−600M(東ソー社製)の50%スラリー500μLと混和し、4℃で10分間転倒撹拌することで吸着を行なった。4℃・5000rpmで1分間遠心分離することで、未吸着分を取り除いた。
(5)吸着させたゲルへ1.7mLのバッファーD(バッファーAとバッファーCを2:8で混和したバッファー)を加え、数回転倒撹拌した後4℃・5000rpmで1分間遠心分離を行ない、上清を取り除くことでゲルを洗浄した。さらにこの洗浄をさらにもう一度繰り返し、洗浄したゲルにバッファーAを250μL加え、4℃で10分間転倒撹拌しゲルから溶出させた後、4℃・5000rpmで1分間遠心分離を行ない、ゲルを取り除いた上清を各耐熱性変異株のAMV逆転写酵素液として回収し4℃で保存した。
実施例5 トリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素の耐熱性評価(その1)
実施例4で調製した各耐熱性変異株由来のAMV逆転写酵素の耐熱性評価を行なった。
(1)AMV逆転写酵素液3.2μLに対し40.3μLの滅菌水を加え、さらに5.2μLのDMSO(終濃度10.4%(v/v))を加え混和することで非加熱酵素反応液を調製し、4℃に保持した。
(2)(1)の非加熱酵素反応液の一部をサーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、46℃で10分加熱後、4℃で3分冷却することで加熱酵素反応液を調製した。
(3)実施例3に記載した組成でミックス試薬を調製し15μLを0.5mL容PCR用チューブ(GeneAmp Thin−Walled Reaction Tubes、パーキンエルマー社製)に分注し、前記非加熱酵素反応液もしくは前記加熱酵素反応液を5μL加え、46℃で2分保温した。
(4)各PCRチューブに開始溶液(18mM MgCl、100mM KCl、3.8%(w/v) グリセロール、10.4%(v/v) DMSO)を10μL混合し、TRCRリアルタイムモニターTRCRapid−160(東ソー社製)を用いて蛍光強度の変化を測定した。
(5)適宜バッファーA(20mM Tris−HCl(pH7.2)、10%(w/v)グリセロール、4mM DTT)で希釈したAMV逆転写酵素(Life Technology社製)を用いて同様の方法で蛍光強度の変化を測定し、蛍光強度が初期蛍光強度の1.2倍になる時間から逆転写酵素のユニット数を見積もる検量線を作成した(図3)。
(6)(5)で作成した検量線を用いて非加熱酵素反応液と加熱酵素反応液それぞれのAMV逆転写酵素の活性を見積もり、加熱酵素反応液の活性を、非加熱酵素反応液の活性で除することで残存活性を算出した。
残存活性を野生型由来と各耐熱性変異株由来のAMV逆転写酵素反応液とで比較した結果、各耐熱性変異株由来の酵素は野生型由来と比較して耐熱性が向上していることが判った(図4)。
実施例6 トリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素遺伝子の塩基配列決定
実施例4で培養した菌体の一部から、定法によりプラスミドを抽出し、抽出したプラスミドに含まれるAMV逆転写酵素遺伝子の塩基配列決定を以下の方法で行なった。
(1)Big Dye Terminator v3.1 cycle Sequencing Kit(商品名)(Applied Biosystems社製)を用いて、添付のバッファー2.0μL、プレミックス4.0μL、合成DNAプライマー3.2pmol、鋳型プラスミド500ngを滅菌水にて20μLに調製し、サーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用い、96℃で1分加熱後、96℃・10秒、50℃・5秒、60℃・4分の温度サイクルを25回繰り返した。
(2)(1)で調製した塩基配列決定用サンプルをCentri−Sepスピンカラム(商品名)(Applied Biosystems社製)を用いて、以下に示す方法で精製した。
(2−1)Centri−Sepスピンカラムに滅菌水を800μL加え、ボルテックスにより乾燥したゲルを十分に水和させた。
(2−2)カラムに気泡がないことを確認後、室温にて2時間以上放置した。
(2−3)上のキャップ、下のストッパーを順に外しカラム内の滅菌水をゲル表面まで自然落下させた後、730×gで2分間遠心分離を行なった。
(2−4)(2−1)から(2−3)により作製したスピンカラムの中央に塩基配列決定用サンプルをアプライし、730×gで2分間遠心分離によりサンプルをチューブに回収した。
(2−5)回収したサンプルについて減圧乾燥を行なった後、ホルムアミドに溶解した。
(3)(2)で調製した塩基配列決定用サンプルを95℃で2分間処理し、氷上で急冷後、ABI PRISM310−DNA Analyzer(商品名)(Applied Biosystems社製)で解析することで、塩基配列を決定した。塩基配列決定に使用した合成DNAプライマーは、配列番号15から22に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを必要に応じて選択し使用した。
(4)決定した塩基配列はGENETYX ver.11.0.1(商品名)(ゼネティクス製)を使用して解析を行なった。
解析の結果、耐熱性変異株から以下に示す7株の変異体がそれぞれ同定された。
(A)配列番号1に記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の658番目のセリンがグリシンに置換されている変異体。この変異を有するAMV逆転写酵素をS658G変異体とし、その遺伝子配列を配列番号23に、アミノ酸配列を配列番号24にそれぞれ示す。
(B)配列番号1に記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の813番目のバリンがアラニンに置換されている変異体。この変異を有するAMV逆転写酵素をV813A変異体とし、その遺伝子配列を配列番号25に、アミノ酸配列を配列番号26にそれぞれ示す。
(C)配列番号1に記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の192番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換された変異と、715番目のトレオニンがメチオニンに置換された変異を持つ変異体。この変異を有するAMV逆転写酵素を(D192E、T715M)変異体とし、その遺伝子配列を配列番号27に、アミノ酸配列を配列番号28にそれぞれ示す。また、192番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換された変異を有するAMV逆転写酵素をD192E変異体とし、その遺伝子配列を配列番号29に、アミノ酸配列を配列番号30にそれぞれ示し、715番目のトレオニンがメチオニンに置換された変異を有するAMV逆転写酵素をT715M変異体とし、その遺伝子配列を配列番号31に、アミノ酸配列を配列番号32にそれぞれ示す。
(D)配列番号1に記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の583番目のアラニンがトレオニンに置換されている変異体。この変異を有するAMV逆転写酵素をA583T変異体とし、その遺伝子配列を配列番号33に、アミノ酸配列を配列番号34にそれぞれ示す。
(E)配列番号1記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の65番目のセリンがグリシンに置換されている変異体。この変異を有するAMV逆転写酵素をS65G変異体とし、その遺伝子配列を配列番号35に、アミノ酸配列を配列番号36にそれぞれ示す。
(F)配列番号1に記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の113番目のフェニルアラニンがセリンに置換されている変異体。この変異を有するAMV逆転写酵素をF113S変異体とし、その遺伝子配列を配列番号37に、アミノ酸配列を配列番号38にそれぞれ示す。
(G)配列番号1に記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の689番目のアラニンがバリンに置換されている変異体。この変異を有するAMV逆転写酵素をA689V変異体とし、その遺伝子配列を配列番号39に、アミノ酸配列を配列番号40にそれぞれ示す。
実施例7 A689V変異体への変異導入とスクリーニング
実施例1に記載した方法でA689V変異体プラスミドを鋳型プラスミドとして、エラープローンPCR反応により変異体ライブラリーを作製し、実施例2および3に記載した方法で変異体候補株の培養と評価を行ない、実施例4および5に記載した方法で耐熱性評価を行なった。さらに実施例6に記載した方法で塩基配列を決定し、A689V変異体を鋳型とした耐熱性変異株から以下に示す4株の変異体がそれぞれ同定された。
それぞれの残存活性をA689V変異体由来のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素反応液と比較した結果、耐熱性が向上していることが判った(図5)。
(A)配列番号1記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の689番目のアラニンがバリンに、718番目のイソロイシンがトレオニンに置換されている変異体。この変異を有するAMV逆転写酵素を(A689V、I718T)変異体とし、その遺伝子配列を配列番号41に、アミノ酸配列を配列番号42にそれぞれ示す。また、配列番号1記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の718番目のイソロイシンがトレオニンに置換された変異を有するAMV逆転写酵素をI718T変異体とし、その遺伝子配列を配列番号43に、アミノ酸配列を配列番号44にそれぞれ示す。
(B)配列番号1に記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の689番目のアラニンがバリンに、174番目のセリンがシステインに、660番目のイソロイシンがバリンに置換されている変異体。この変異を有するAMV逆転写酵素を(A689V、S174C、I660V)変異体とし、その遺伝子配列を配列番号45に、アミノ酸配列を配列番号46にそれぞれ示す。また、配列番号1記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の174番目のセリンがシステインに置換された変異を有するAMV逆転写酵素をS174C変異体とし、その遺伝子配列を配列番号47に、アミノ酸配列を配列番号48にそれぞれ示し、配列番号1記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の660番目のイソロイシンがバリンに置換された変異を有するAMV逆転写酵素をI660V変異体とし、その遺伝子配列を配列番号49に、アミノ酸配列を配列番号50にそれぞれ示す。
(C)配列番号1に記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の689番目のアラニンがバリンに、402番目のグリシンがシステインに置換されている変異体。この変異を有するAMV逆転写酵素を(A689V、G402C)変異体とし、その遺伝子配列を配列番号51に、アミノ酸配列を配列番号52にそれぞれ示す。また、配列番号1記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の402番目のグリシンがシステインに置換された変異を有するトリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素をG402C変異体とし、その遺伝子配列を配列番号53に、アミノ酸配列を配列番号54にそれぞれ示す。
(D)配列番号1に記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の689番目のアラニンがバリンに、732番目のアスパラギンがセリンに置換されている変異体。この変異を有するAMV逆転写酵素を(A689V、N732S)変異体とし、その遺伝子配列を配列番号55に、アミノ酸配列を配列番号56にそれぞれ示す。また、配列番号1記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の732番目のアスパラギンがセリンに置換された変異を有するトリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素をN732S変異体とし、その遺伝子配列を配列番号57に、アミノ酸配列を配列番号58にそれぞれ示す。
実施例8 (S65G、F113S、A689V)三重変異体の作製と評価
S65G変異体、F113S変異体、A689V変異体を基に、S65GとF113SとA689Vの三つの変異を持った三重変異体を作製した。
(1)S65G変異体、F113S変異体、A689V変異体、それぞれからミニプレップ法を用いてプラスミドを調製した。
(2)S65G変異体から調製したプラスミドを鋳型として、表3の試薬組成および下記の反応条件にて、PCR反応を行なった。
Figure 0006221374
反応条件はサーマルサイクラー(Perkin−Elmer製)を用い、94℃で2分加熱後、94℃・1分、58℃・30秒、72℃・2分40秒の温度サイクルを25回繰り返した。
(3)反応液を1%アガロース電気泳動で泳動後、エチジウムブロマイド染色を行ない、染色後のゲルから目的産物のバンドを切り出すことで精製した。
(4)F113S変異体から調製したプラスミドを鋳型に、合成プライマーとしてFプライマー(配列番号60)とRプライマー(配列番号61)の組み合わせを使用した他は(2)から(3)と同じ条件でPCR反応と精製を行なった。
(5)A689V変異体から調製したプラスミドを鋳型に、合成プライマーとしてFプライマー(配列番号62)とRプライマー(配列番号9)の組み合わせを使用した他は(2)から(3)と同じ条件で、PCR反応と精製を行なった。
(6)(3)から(5)で得られた、3種類の精製PCR産物を鋳型として、さらにPCR反応を行ない、三重変異体遺伝子を作製した。なお、PCR反応における試薬組成、反応条件、および精製操作は、合成DNAプライマーとしてFプライマー(配列番号8)とRプライマー(配列番号9)の組み合わせを使用した他は(2)から(3)と同じ条件で行なった。
(7)(6)で得られた、精製二重変異体遺伝子は制限酵素EcoRIおよびHindIIIで消化後、同酵素で消化したpTrc99aベクターにT4リガーゼを用いて4℃で30分反応させた。
(8)(7)の反応液を大腸菌HB101株に形質転換させ、LB/Crb寒天培地(1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、1% NaCl、1% 寒天、50μg/mL カルベニシリンナトリウム(pH7.4))上で選択を行ない、37℃で一晩培養後に生育してきたコロニーを三重変異体とした。さらに三重変異体は実施例6に示す塩基配列決定法により変異の導入を確認し、(S65G、F113S、A689V)三重変異体とした。その遺伝子配列を配列番号63に、アミノ酸配列を配列番号64に示す。
(9)作製した(S65G、F113S、A689V)三重変異体を用いて実施例4および実施例5で示した方法で培養と精製を行ない、耐熱性を評価した。
その結果、(S65G、F113S、A689V)三重変異体由来の酵素は野生型由来およびA689V変異体由来と比較して耐熱性が向上していることが判った(図6)。
実施例9 (S65G、A689V)二重変異体の作製
pTrcAMVBを鋳型とし、合成プライマーとしてFプライマー(配列番号60)とRプライマー(配列番号61)の組み合わせを使用した他は、実施例8に記載した方法で(S65G、A689V)二重変異体を作製した。詳細を以下に示す。
(1)S65G変異体、A689V変異体、それぞれからミニプレップ法を用いてプラスミドを調製した。
(2)S65G変異体から調製したプラスミドを鋳型として、PCR反応を行なった。なお、試薬組成は表3に示す組成であり、PCR反応はサーマルサイクラー(Perkin−Elmer製)を用いて94℃で2分加熱後、94℃・1分、58℃・30秒、72℃・2分40秒の温度サイクルを25回繰り返す条件で行なった。
(3)反応液を1%アガロース電気泳動で泳動後、エチジウムブロマイド染色を行ない、染色後のゲルから目的産物のバンドを切り出すことで精製した。
(4)プラスミドpTrcAMVBを鋳型とし、合成プライマーとしてFプライマー(配列番号60)とRプライマー(配列番号61)の組み合わせを使用した他は(2)から(3)と同じ条件で、PCR反応と精製を行なった。
(5)A689V変異体を発現可能なプラスミドを鋳型とし、合成プライマーとしてFプライマー(配列番号62)とRプライマー(配列番号9)の組み合わせを使用した他は(2)から(3)と同じ条件で、PCR反応と精製を行なった。
(6)(3)から(5)で得られた、3種類の精製PCR産物を鋳型として、さらにPCR反応を行ない、二重変異体遺伝子を作製した。なお、PCR反応における試薬組成、反応条件、および精製操作は、合成DNAプライマーとしてFプライマー(配列番号8)とRプライマー(配列番号9)の組み合わせを使用した他は(2)から(3)と同じ条件で行なった。
(7)(6)で得られた、精製二重変異体遺伝子は制限酵素EcoRIおよびHindIIIで消化後、同酵素で消化したpTrc99aベクターにT4リガーゼを用いて4℃で30分反応させた。
(8)(7)の反応液を用いて大腸菌HB101株を形質転換させ、LB/Crb寒天培地(1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、1% NaCl、1% 寒天、50μg/mL カルベニシリンナトリウム(pH7.4))上で選択を行ない、37℃で一晩培養後に生育してきたコロニーを二重変異体とした。
(9)得られた二重変異体を実施例6に示す塩基配列決定法により変異の導入を確認した。得られた(S65G、A689V)二重変異体の遺伝子配列を配列番号65に、アミノ酸配列を配列番号66に示す。
(10)作製した(S65G、A689V)二重変異体を用いて実施例4および実施例5で示した方法で培養と精製を行ない、耐熱性を評価した。
その結果、(S65G、A689V)二重変異体由来の酵素は、実施例8で作製した(S65G、F113S、A689V)三重変異体由来の酵素と比較して耐熱性が向上していることが判った(図11)。
実施例10 (S65G、A689V)二重変異体に対する変異導入およびスクリーニング(その1)
実施例9で得られた(S65G、A689V)二重変異体を発現可能なプラスミドを鋳型プラスミドとして、実施例1に記載した方法でエラープローンPCR反応を行なうことで、変異体ライブラリーを作製し、実施例2および3に記載した方法で変異体候補株の培養と評価を行ない、実施例4および5に記載した方法で耐熱性評価を行なった。さらに実施例6に記載した方法で塩基配列を決定した。
(S65G、A689V)二重変異体を鋳型とした耐熱性変異株から(S65G、A689V、L856P)三重変異体を取得した。なお(S65G、A689V、L856P)三重変異体は、配列番号1記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の65番目のセリンがグリシンに、689番目のアラニンがバリンに、856番目のロイシンがプロリンに置換されている変異体であり、その遺伝子配列を配列番号67に、アミノ酸配列を配列番号68にそれぞれ示す。また、配列番号1記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の856番目のロイシンがプロリンに置換された変異を有するAMV逆転写酵素をL856P変異体とし、その遺伝子配列を配列番号69に、アミノ酸配列を配列番号70にそれぞれ示す。
(S65G、A689V、L856P)三重変異体の残存活性を野生型および(S65G、F113S、A689V)三重変異体由来のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素反応液と比較した結果、耐熱性が向上していることが判った(図7)。
実施例11 トリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素の調製(その2)
実施例9で得られた(S65G、A689V)二重変異体を発現可能なプラスミド、および実施例10で得られた(S65G、A689V、L856P)三重変異体を発現可能なプラスミドを用いて、大腸菌W3110株を、それぞれヒートショック法にて形質転換することで形質転換体を得た後、以下の方法でAMV逆転写酵素を発現させ、精製を行なった。
(1)2×YT培地(16g/Lトリプトン、10g/L酵母エキス、5g/L NaCl、0.1mg/mLカルベニシリンナトリウム)100mLに、形質転換体を植菌し、500mLバッフル付三角フラスコ中、30℃・130rpmで一晩振とう培養を行なうことで前培養を行なった。
(2)表4に示す組成からなる培地2.1Lを全容3.0L発酵槽(サクラ精機社、TFLC−3)に入れ、121℃で20分間で滅菌後、(1)で得られた前培養液を21mL植菌し、本培養を開始した。発酵槽の培養温度は37℃に、撹拌速度は500rpmに、pHは6.9から7.1に、それぞれ設定し、50%のリン酸水溶液を用いてpHの調整を行なった。
Figure 0006221374
(3)培養開始から3時間後に発酵槽の培養温度を25℃に下げ、0.5MのIPTG水溶液を21mL添加した。
(4)約140時間培養後、培養液を4℃・8000rpmで30分間遠心分離することで、菌体を回収し−30℃で凍結保存した。
(5)凍結菌体を5mL/湿菌体質量のバッファーB(20mM Tris−HCl(pH7.4)、10%(w/v)グリセロール、1mM DTT)に懸濁し、超音波破砕後、4℃・8000rpmで30分間遠心分離することで未破砕菌体を除き抽出液を得た。
(6)抽出液に0.83%のストレプトマイシン(和光純薬社製)を添加し、4℃で30分間撹拌後、4℃・10000rpmで30分間遠心分離することで沈澱を回収した。
(7)等量のバッファーBに沈殿を再溶解し、粗精製溶液とした。
(8)粗精製溶液200mLに硫酸アンモニウム(和光純薬社)を15%飽和になるになるまで少量ずつ添加した。さらに当該粗精製溶液を、あらかじめバッファーC(20mM Tris−HCl(pH7.4)、10%(w/v)グリセロール、1mM DTT、15%飽和硫酸アンモニウム)で平衡化したTOYOPEARL PPG−600M(東ソー社)ゲルを充填したカラム(10mmI.D.×20cm)に添加した。
(9)十分量のバッファーCをカラムに通液することで、ゲルに結合した非特異結合成分を洗浄後、10カラムボリューム(CV)でバッファーBが100%となるようなリニアグラジエント溶出法により、AMV逆転写酵素を溶出させた(流速5mL/分)。
(10)カラムからの溶出液を、10mL毎に試験管に分注し、SDS−PAGEとCBB染色によりAMV逆転写酵素の画分を決定した。
(11)(10)で決定したAMV逆転写酵素の活性フラクションをバッファーAで透析後、あらかじめバッファーAで平衡化したホスホセルロース(Phosphocellulose P11、Whatman社製)ゲルを充填したカラム(10mmI.D.×5cm)に添加した。
(12)十分量のバッファーAをカラムに通液することで、ゲルに結合した非特異結合成分を洗浄後、10CVでバッファーD(1M KClを含むバッファーA)が100%となるようなリニアグラジエント溶出法により、AMV逆転写酵素を溶出させた(流速0.5mL/分)。
(13)カラムからの溶出液を、1mL毎に試験管に分注し、SDS−PAGEとCBB染色によりAMV逆転写酵素の画分を決定した。
ホスホセルロースカラムからの溶出パターンを図8((S65G、A689V)二重変異体)および9((S65G、A689V、L856P)三重変異体)にそれぞれ示す。また、ホスホセルロースカラムから溶出した(S65G、A689V、L856P)三重変異体のヘテロ複合体を含む画分とβ鎖を含む画分のSDS−PAGEの結果を図10に、それぞれ示す。(S65G、A689V)二重変異体のホスホセルロースカラムからの溶出パターン(図8)ではグラジエント50%付近にα鎖とβ鎖とのヘテロ複合体のピーク(図8中のαβ)が確認できた。一方、(S65G、A689V、L856P)三重変異体の溶出パターン(図9)ではグラジエント50%付近のヘテロ複合体のピーク(図9中のαβ)が少なくなり、グラジエント80%付近のβ鎖のピーク(図9中のβ)が大きくなることが判った。これは856番目のアミノ酸が置換(L856Pの置換)されることにより、AMV逆転写酵素のβ鎖が大腸菌内でのタンパク質分解性プロセシングに抵抗性を示し、α鎖へ分解され難くなったためと考えられる。
実施例12 トリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素の耐熱性評価(その2)
実施例11で得られた(S65G、A689V、L856P)三重変異体のヘテロ複合体とβ鎖をそれぞれ以下に示す方法で耐熱性を評価した。
(1)(S65G、A689V、L856P)三重変異体のヘテロ複合体を含む画分とβ鎖を含む画分を滅菌水で適宜希釈しDMSO(終濃度5.2%(v/v))を加え混和することで非加熱酵素反応液を調製し、4℃に保持した。
(2)(1)の非加熱酵素反応液の一部をサーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、46℃で10分加熱した(プレヒート)。
(3)表3に記載した組成からなる反応液を調製し、その15μLを0.5mL容PCR用チューブ(GeneAmp Thin−Walled Reaction Tubes、パーキンエルマー社製)に分注した。
(4)(2)のプレヒートを行なった酵素反応液と非加熱酵素反応液をそれぞれ、46℃で2分保温した。
(5)(4)の酵素液5μLと、開始溶液(18mM MgCl、100mM KCl、3.8%(w/v) グリセロール、5.2%(v/v) DMSO)10μLをそれぞれPCRチューブに混合し、TRCRリアルタイムモニターTRCRapid−160(東ソー社製)を用いて蛍光強度の変化を測定した。
酵素反応液のプレヒートを行なった場合と行なわなかった場合とで検出時間(蛍光強度が初期蛍光値の1.2倍になった時間)を比較した結果を表5に示す。
Figure 0006221374
表5の結果より、(S65G、A689V、L856P)三重変異体のヘテロ複合体はプレヒートにより検出時間の延長すなわち酵素の活性の低下が確認できる一方、β鎖はプレヒートの前後で活性の低下がほとんどなく耐熱性が高いことが判る。この結果からL856Pは主にβ鎖の量を相対的に増加させることで耐熱性を向上させていることが明らかとなった。
実施例13 (S65G、A689V)二重変異体に対する変異導入およびスクリーニング(その2)
実施例9で得られた(S65G、A689V)二重変異体を発現可能なプラスミドを鋳型プラスミドとして、実施例1に記載した方法でエラープローンPCR反応を行なうことで、変異体ライブラリーを作製し、実施例2および3に記載した方法で変異体候補株の培養と評価を行ない、実施例4および5に記載した方法で耐熱性評価を行なった。さらに実施例6に記載した方法で塩基配列を決定した。
(S65G、A689V)二重変異体を鋳型とした耐熱性変異株から(S65G、G626D、A689V)三重変異体を取得した。なお(S65G、G626D、A689V)三重変異体は、配列番号1記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の65番目のセリンがグリシンに、626番目のグリシンがアスパラギン酸に、689番目のアラニンがバリンにそれぞれ置換されている変異体であり、その遺伝子配列を配列番号71に、アミノ酸配列を配列番号72にそれぞれ示す。また、配列番号1記載の当該逆転写酵素アミノ酸配列の626番目のグリシンがアスパラギン酸に置換された変異を有するAMV逆転写酵素をG626D変異体とし、その遺伝子配列を配列番号73に、アミノ酸配列を配列番号74にそれぞれ示す。
(S65G、G626D、A689V)三重変異体由来の酵素の酵素の残存活性を(S65G、A689V)二重変異体由来のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素反応液と比較した結果、耐熱性が向上していることが判った(図12)。
実施例14 (S65G、A583T、G626D、A689V)四重変異体の作製と評価
(S65G、G626D、A689V)三重変異体とA583T変異体を基に、S65GとA583TとG626DとA689Vの四つの変異を持った四重変異体を作製した。詳細を以下に示す。
(1)(S65G、G626D、A689V)三重変異体とA583T変異体、それぞれからミニプレップ法を用いてプラスミドを調製した。
(2)(S65G、G626D、A689V)三重変異体を発現可能なプラスミドを鋳型として、PCR反応を行なった。なお、試薬組成は表3に示す組成であり、合成プライマーとしてFプライマー(配列番号8)とRプライマー(配列番号77)の組合せを使用した他は、実施例8(2)と同じ条件で行なった。
(3)反応液を1%アガロース電気泳動で泳動後、エチジウムブロマイド染色を行ない、染色後のゲルから目的産物のバンドを切り出すことで精製した。
(4)(S65G、G626D、A689V)三重変異体を発現可能なプラスミドを鋳型とし、合成プライマーとしてFプライマー(配列番号78)とRプライマー(配列番号79)の組み合わせを使用した他は(2)から(3)と同じ条件で、PCR反応と精製を行なった。
(5)A583T変異体から調製したプラスミドを鋳型とし、合成プライマーとしてFプライマー(配列番号80)とRプライマー(配列番号9)の組み合わせを使用した他は(2)から(3)と同じ条件で、PCR反応と精製を行なった。
(6)(3)から(5)で得られた、3種類の精製PCR産物を鋳型として、さらにPCR反応を行ない、四重変異体遺伝子を作製した。なお、PCR反応における試薬組成、反応条件、および精製操作は、合成DNAプライマーとしてFプライマー(配列番号8)とRプライマー(配列番号9)の組み合わせを使用した他は(2)から(3)と同じ条件で行なった。
(7)(6)で得られた精製四重変異体遺伝子を、制限酵素EcoRIおよびHindIIIで消化後、同酵素で消化したpTrc99aベクターにT4リガーゼを用いて4℃で30分反応させた。
(8)(7)の反応液を用いて大腸菌HB101株を形質転換させ、LB/Crb寒天培地(1% ポリペプトン、0.5% 酵母エキス、1% NaCl、1% 寒天、50μg/mL カルベニシリンナトリウム(pH7.4))上で選択を行ない、37℃で一晩培養後に生育してきたコロニーを四重変異体とした。
(9)得られた四重変異体を実施例6に示す塩基配列決定法により変異の導入を確認した。得られた(S65G、A583T、G626D、A689V)変異体の遺伝子配列を配列番号75に、アミノ酸配列を配列番号76に示す。
実施例15 トリ骨髄芽細胞腫ウイルス(AMV)逆転写酵素ヘテロ複合体の耐熱性評価
(1)実施例11に示した方法に従い、野生型のヘテロ複合体および(S65G、A583T、G626D、A689V)四重変異体のヘテロ複合体を精製した。
(2)(1)で得られたヘテロ複合体と、実施例11で得られた(S65G、A689V)二重変異体のヘテロ複合体をそれぞれ実施例12に示す方法で耐熱性を評価した。
(3)酵素反応液のプレヒートを行なった場合と行なわなかった場合とで検出時間(蛍光強度が初期蛍光値の1.2倍になった時間)から、図3に示した検量線を用いて非加熱酵素反応液と加熱酵素反応液それぞれのAMV逆転写酵素の活性を見積もり、加熱酵素反応液の活性を、非加熱酵素反応液の活性で除することで残存活性を算出した。
各酵素の残存活性を比較した結果を図13に示す。野生型のヘテロ複合体と比較して(S65G、A689V)二重変異体のヘテロ複合体は耐熱性が高く、(S65G、A583T、G626D、A689V)四重変異体のヘテロ複合体の耐熱性はさらに高いことが判った。

Claims (12)

  1. 配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素において、以下の(1)から(15)のうち少なくとも(8)を含むアミノ酸置換が生じている、前記逆転写酵素であって、野生型のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素と比較して、37℃より高い温度で、より長い半減期を伴う酵素活性を有する、前記逆転写酵素
    (1)配列番号1の658番目のセリンがグリシンに置換
    (2)配列番号1の813番目のバリンがアラニンに置換
    (3)配列番号1の192番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
    (4)配列番号1の715番目のトレオニンがメチオニンに置換
    (5)配列番号1の583番目のアラニンがトレオニンに置換
    (6)配列番号1の65番目のセリンがグリシンに置換
    (7)配列番号1の113番目のフェニルアラニンがセリンに置換
    (8)配列番号1の689番目のアラニンがバリンに置換
    (9)配列番号1の718番目のイソロイシンがトレオニンに置換
    (10)配列番号1の174番目のセリンがシステインに置換
    (11)配列番号1の660番目のイソロイシンがバリンに置換
    (12)配列番号1の402番目のグリシンがシステインに置換
    (13)配列番号1の732番目のアスパラギンがセリンに置換
    (14)配列番号1の856番目のロイシンがプロリンに置換
    (15)配列番号1の626番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
  2. 配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素において、以下の(1)から(15)のうち少なくとも(8)を含むアミノ酸置換が生じている、前記逆転写酵素であって、野生型のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素と比較して、37℃より高い温度で保持した場合に、より高い残存活性を有する、前記逆転写酵素。
    (1)配列番号1の658番目のセリンがグリシンに置換
    (2)配列番号1の813番目のバリンがアラニンに置換
    (3)配列番号1の192番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
    (4)配列番号1の715番目のトレオニンがメチオニンに置換
    (5)配列番号1の583番目のアラニンがトレオニンに置換
    (6)配列番号1の65番目のセリンがグリシンに置換
    (7)配列番号1の113番目のフェニルアラニンがセリンに置換
    (8)配列番号1の689番目のアラニンがバリンに置換
    (9)配列番号1の718番目のイソロイシンがトレオニンに置換
    (10)配列番号1の174番目のセリンがシステインに置換
    (11)配列番号1の660番目のイソロイシンがバリンに置換
    (12)配列番号1の402番目のグリシンがシステインに置換
    (13)配列番号1の732番目のアスパラギンがセリンに置換
    (14)配列番号1の856番目のロイシンがプロリンに置換
    (15)配列番号1の626番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
  3. さらに、以下の(1)から(5)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、請求項1または2に記載の逆転写酵素。
    (1)配列番号1の718番目のイソロイシンがトレオニンに置換
    (2)配列番号1の174番目のセリンがシステインに置換
    (3)配列番号1の660番目のイソロイシンがバリンに置換
    (4)配列番号1の402番目のグリシンがシステインに置換
    (5)配列番号1の732番目のアスパラギンがセリンに置換
  4. さらに、少なくとも以下の(1)および(2)のアミノ酸置換が生じている、請求項1または2に記載の逆転写酵素。
    (1)配列番号1の65番目のセリンがグリシンに置換
    (2)配列番号1の113番目のフェニルアラニンがセリンに置
  5. さらに、少なくとも以下の(1)および)のアミノ酸置換が生じている、請求項1または2に記載の逆転写酵素。
    (1)配列番号1の65番目のセリンがグリシンに置
    (2)配列番号1の856番目のロイシンがプロリンに置換
  6. さらに、少なくとも以下の(1)から()のアミノ酸置換が生じている、請求項1または2に記載の逆転写酵素。
    (1)配列番号1の65番目のセリンがグリシンに置換
    (2)配列番号1の583番目のアラニンがトレオニンに置換
    (3)配列番号1の626番目のグリシンがアスパラギン酸に置
  7. 配列番号40、配列番号42、配列番号46、配列番号52、配列番号56、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号72および配列番号76のうちいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、トリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素。
  8. 請求項1からのいずれかに記載のトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素をコードするポリヌクレオチド。
  9. 請求項に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  10. 請求項に記載の発現ベクターで宿主を形質転換して得られる形質転換体。
  11. 宿主が大腸菌である、請求項10記載の形質転換体。
  12. 請求項10または11に記載の形質転換体を培養することで前記形質転換体からトリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素を発現させる工程と、前記形質転換体から当該逆転写酵素を単離する工程とを含む、トリ骨髄芽細胞腫ウイルス逆転写酵素の製造方法。
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