JP6220554B2 - 超電導コイルのクエンチ検出装置及びクエンチ検出方法 - Google Patents

超電導コイルのクエンチ検出装置及びクエンチ検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、超電導コイルが超電導状態から常電導状態へ移行するクエンチを速やかに検出して異常な事態に到ることを回避することができる超電導コイルのクエンチ検出装置及びクエンチ検出方法に関する。
超電導コイルが超電導状態を維持できず、常電導状態へ移行するクエンチを検出するための装置が種々提案されている。そのようなクエンチ検出装置として、例えば超電導コイルの両電極間における電圧(電位差)を検出し、一定以上の電圧が検出されたときにクエンチが発生したと判断する装置が知られている。
この種の超電導コイルのクエンチ検出装置としては、例えば特許文献1に記載されているクエンチ検出装置が知られている。すなわち、このクエンチ検出装置では、超電導コイルから2つの中間タップが導出され、その2つの中間タップ間に3端子可変抵抗器の固定端子が接続されるとともに、超電導コイルの両コイル端間に直列接続の2つのブリッジ抵抗が接続されている。
そして、超電導コイル及びブリッジ抵抗によりブリッジ回路が構成され、3端子可変抵抗器の可動端子と両ブリッジ抵抗の共通接続点とが検出出力端となっている。このクエンチ検出装置によれば、離れている任意のコイル部分に発生する超電導コイルのクエンチを検出することができる。
特開平7−174803号公報
前述した特許文献1に記載されている従来構成のクエンチ検出装置においては、超電導コイルの一部にクエンチが発生したとき、そのコイル部分に常電導抵抗成分が生じることにより、ブリッジ回路の平衡が崩れてクエンチが検出される。しかしながら、希土類系酸化物の超電導体では、クエンチによる電気抵抗発生の広がる速度が遅いことから、コイルには局部的な温度上昇が生じ、超電導線材が溶断されるおそれがある。さらに、電源から生ずるノイズにより、クエンチを判定する電圧値を小さくすることが難しく、そのためクエンチ検出の遅れが生じやすく、検出精度が低下するという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、電源からのノイズに影響されることなく、クエンチ検出を高感度かつ高速で行うことができ、超電導コイルの信頼性を向上させることができる超電導コイルのクエンチ検出装置及びクエンチ検出方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の超電導コイルのクエンチ検出装置は、基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材を巻回して構成された超電導コイルのクエンチ検出装置であって、前記超電導線材を複数枚重ね合せた状態で巻回して超電導コイルを形成するとともに、各超電導線材の両側縁の対向する位置に素線電流を計測して検知信号を発する電流検知素子を、遮蔽電流を相殺するために一対ずつ設け、それらの電流検知素子による複数の検知信号によりブリッジ回路を構成し、該ブリッジ回路において平衡が維持されないときにクエンチが生じたと判断可能に構成したことを特徴とする。
請求項2に記載の発明の超電導コイルのクエンチ検出装置は、請求項1に係る発明において、前記各超電導線材の電流検知素子は、超電導コイルの中心から半径方向に延びる線上に配置されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明の超電導コイルのクエンチ検出装置は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記超電導コイルは、超電導線材を4枚重ね合せた状態で巻回されて形成され、各超電導線材の両側縁の対向する位置に電流検知素子が遮蔽電流を相殺するために一対ずつ設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明の超電導コイルのクエンチ検出装置は、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明において、前記電流検知素子はホール素子であり、検知信号はホール電圧であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明の超電導コイルのクエンチ検出装置は、請求項1から請求項4のいずれか一項に係る発明において、前記複数の超電導線材は、内周側と外周側とが順に入れ替えて巻回されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明の超電導コイルのクエンチ検出方法は、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の超電導コイルのクエンチ検出装置を用いたクエンチ検出方法であって、前記各超電導線材に設けられた電流検知素子により素線電流を計測して検知信号を発し、それら複数の検知信号によりブリッジ回路を構成し、ブリッジ回路の平衡が維持されるか否かを検出することを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の超電導コイルのクエンチ検出装置では、超電導線材を複数枚重ね合せた状態で巻回して超電導コイルが形成されるとともに、超電導線材の両側縁の対向する位置に素線電流を計測して検知信号を発する電流検知素子が、遮蔽電流を相殺するために一対ずつ設けられている。そして、それらの電流検知素子による複数の検知信号によりブリッジ回路が構成されている。
このように、超電導コイルは超電導線材が複数枚重ね合せた状態で巻回され、各超電導線材に電流検知素子が設けられていることから、いずれかの超電導線材を流れる素線電流が減少した場合には、その減少した素線電流を補うよう転流が起きて他の超電導線材に流れる素線電流が増加する。この素線電流の増減が電流検知素子によって検知され、それらの検知信号に基づいてブリッジ回路で平衡が維持されなくなる。従って、その場合に超電導コイルにクエンチが生じたものと判断することができる。
この場合、ブリッジ回路では、複数の検知信号の比率等の相対値によって平衡が判断されるため、超電導コイルの電源からのノイズ等で検知信号の絶対値に変動があっても、その影響を回避することができる。
加えて、電流検知素子が超電導線材の両側縁の対向する位置に一対ずつ設けられていることから、電流検知素子が受ける遮蔽電流を相殺することができ、電流検知素子による検知精度を向上させることができる。
従って、本発明の超電導コイルのクエンチ検出装置によれば、電源からのノイズに影響されることなく、クエンチ検出を高感度かつ高速で行うことができ、超電導コイルの信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
本発明を具体化した実施形態の超電導コイルの一部を示す図であって、4枚の超電導線材の一側縁に電流検知素子を設けた状態を示す斜視図。 テープ状の超電導線材を示す断面図。 超電導コイルを示し、(a)は超電導コイル及びその一部を拡大した状態を示す平面図、(b)は超電導コイルを示す断面図。 ブリッジ回路を示す電気回路図。 超電導コイルとしてのダブルパンケーキコイルにおいて、テープ状の超電導線材を内周側から外周側へ入れ替える状態を示す部分斜視図。 ダブルパンケーキコイルにおいて、4枚の超電導線材の内周側と外周側との入れ替え状態を模式的に示す説明図。 4枚の超電導線材のうち、1枚の超電導線材にヒータを取付けてクエンチと同様の状態を起こしたときの時間と、各超電導線材に流れる素線電流の変化を示すグラフ。 4枚の超電導線材のうち、2枚の超電導線材にヒータを取付けてクエンチと同様の状態を起こしたときの時間と、各超電導線材に流れる素線電流の変化を示すグラフ。 4枚の超電導線材のうち、3枚の超電導線材にヒータを取付けてクエンチと同様の状態を起こしたときの時間と、各超電導線材に流れる素線電流の変化を示すグラフ。 本発明の別例を示し、4枚の超電導線材の両側縁の対応する位置に電流検知素子を設けた状態を示す斜視図。
以下、本発明の実施形態を図1〜図9に基づいて詳細に説明する。
図2に示すように、テープ状の超電導線材11は、基板12上に中間層13を介して超電導層14が形成され、その超電導層14上に第1安定化層15が形成されるとともに、それらの外周部に第2安定化層16が被覆され、第2安定化層16を覆うように絶縁被覆層17が形成されて構成されている。最外層に絶縁被覆層17が設けられていることにより、超電導線材11を渦巻き状に巻回したとき超電導線材11間の電気的絶縁を図ることができる。
前記基板12は、ニッケル合金(ハステロイ)、銀、銀合金等の金属により、例えば厚さ100μm、幅10mmに形成されている。中間層13は、ガドリニウム・ジルコニウム酸化物(Gd・Zr酸化物)、酸化マグネシウム(MgO)、イットリウム安定化ジルコニウム(YSZ)、バリウム・ジルコニウム酸化物(Ba・Zr酸化物)、酸化セリウム(CeO)等の化合物により、例えば厚さ500nm、幅10mmに形成されている。
超電導層14は、希土類系酸化物超電導体のCVD法(化学蒸着法)により、例えば厚さ約1μm、幅10mmに形成されている。希土類元素としては、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)等が挙げられる。希土類系酸化物としては、RE・Ba・Cu・O等が挙げられる。但し、REは希土類元素を表す。この超電導層14として具体的には、イットリウム・バリウム・銅酸化物、ランタン・バリウム・銅酸化物(La・Ba・Cu酸化物)等が挙げられる。
第1安定化層15は、銀等の金属のスパッタリング等により、例えば厚さ約15μm、幅10mmに形成されている。第2安定化層16は、銅等の金属のメッキ等により、例えば厚さ約50μmに形成されている。絶縁被覆層17は、エポキシ樹脂等の合成樹脂により形成されている。
図3(a),(b)に示すように、超電導コイル10は、前述したテープ状の超電導線材11をコイル状(渦巻状)に巻回して形成される。この超電導コイル10としては、シングルパンケーキコイル、ダブルパンケーキコイルのいずれであってもよい。ダブルパンケーキコイルは、テープ状の超電導線材11が巻回されて形成されたコイルが図示しない中間枠を介して上下2段に積層されて形成される。
前記テープ状の超電導線材11をコイル状に巻回する際には、超電導線材11は超電導層14が内周側で基板12が外周側に位置するように配置される。超電導層14を内周側に配置することにより、超電導層14の円弧が基板12の外周側の円弧に比べて小さくなることから、圧縮ひずみが大きくなり、超電導コイル10がフープ応力を受けたときに及ぼされる引張りひずみが緩和され、フープ応力に対する抵抗性が大きくなるため好ましい。
図1及び図3(a)に示すように、本実施形態では、この超電導コイル10は4枚の超電導線材11a,11b,11c,11dを重ね合せた状態で巻回して形成されている。各超電導線材11a〜11dの一側縁には、素線電流を計測して検知信号を発するための第1電流検知素子18a、第2電流検知素子18b、第3電流検知素子18c及び第4電流検知素子18dがそれぞれ取付けられている。これらの第1〜第4電流検知素子18a〜18dは、超電導コイル10の中心から半径方向に延びる線上に配置されている。
図4に示すように、超電導コイル10のクエンチ検出装置は、4枚の超電導線材11a〜11dの各一側縁に設けられた電流検知素子18a〜18dによって発せられる検知信号によりブリッジ回路(ホイーストンブリッジ回路)20が構成され、該ブリッジ回路20によって超電導コイル10のクエンチが検出されるようになっている。このブリッジ回路20は、各検流部21a,21b,21c,21dを有する接続線により菱形状に接続され、対向する第1接続点22aと第2接続点22bとの間に電池23が接続されるとともに、第1中間点24aと第2中間点24bとの間に検流計25が接続されて構成されている。
前記検流部21は第1検流部21a、第2検流部21b、第3検流部21c及び第4検流部21dにより構成され、各超電導線材11a〜11dに取付けられた第1電流検知素子18a、第2電流検知素子18b、第3電流検知素子18c及び第4電流検知素子18dが図示しない接続線によって各々接続されている。そして、第1〜第4電流検知素子18a〜18dにより検知された検知信号が各々第1〜第4検流部21a〜21dに伝達され、第1中間点24aと第2中間点24bとの間に微少電流が流れ、検流計25でその微少電流が検知されたとき、超電導コイル10にクエンチが生じたものと判断されるようになっている。言い換えれば、ブリッジ回路20の平衡が維持されなかったとき、超電導コイル10にクエンチが生じたものと判断されるようになっている。
一方、各超電導線材11a〜11dに流れる電流に変化がなく、第1〜第4電流検知素子18a〜18dで検知される電流が変動しない場合には、第1〜第4検流部21a〜21dでの検知信号に変化はないため、検流計25に電流は流れず、超電導コイル10にクエンチが生じなかったものと判断されるようになっている。すなわち、ブリッジ回路20の平衡が維持されたとき、超電導コイル10にクエンチが生じなかったものと判断されるようになっている。
前記電流検知素子18は例えばホール素子であり、その検知信号はホール電圧である。ホール素子は、電流に対する磁気作用を示すホール効果を応用したもので、超電導線材11に流れる電流に対して磁場を印加するとローレンツ力により超電導線材11内の電子が偏って電位差(出力電圧としてのホール電圧)が発生する。
図5に示すように、前記4枚の超電導線材11a〜11dは、内周側と外周側とが入れ替えて巻回されている。この状態を2枚の超電導線材11a,11bの場合について説明すると、一方のテープ状をなす超電導線材11aが所定位置において他方のテープ状をなす超電導線材11bの上に乗り上げるようにして、内周側位置と外周側位置とが入れ替えられるようになっている。従って、4枚の超電導線材11a〜11dの場合には、周方向の90度毎に順に内周側と外周側が入れ替えられることにより、一周毎に4枚の超電導線材11a〜11dの内外位置を均等に配置することができる。
図6に示すように、このような4枚の超電導線材11a〜11dの入れ替え状態を模式的に説明する。4枚の超電導線材11a〜11dを1、2、3及び4で表すと、ダブルパンケーキコイルの上段では内周側(図6の左側)から1、2、3及び4の順で巻回され、下段では内周側から4、3、2及び1の順で巻回される。このように、超電導コイル10において4枚の超電導線材11a〜11dの位置を図5に示した方法で内周側から外周側へと順に入れ替えることにより、各超電導線材11a〜11dに流れる素線電流の均一化を図ることができる。
本実施形態の超電導コイル10のクエンチ検出装置は、前記各超電導線材11a〜11dに取付けられた第1〜第4電流検知素子18a〜18d、それらの第1〜第4電流検知素子18a〜18dに接続された第1〜第4検流部21a〜21dにより形成されたブリッジ回路20等により構成されている。
図3(a)に示すように、前記超電導コイル10の外周部には、一対の電極26a、26bが銅等の導電性の良い金属により設けられている。一方の電極26aは4枚の超電導線材11a〜11dの内周端に束ねた状態でリード線を介して接続され、他方の電極26bは4枚の超電導線材11a〜11dの外周端に束ねた状態で接続されている。
次に、上記のように構成された超電導コイル10のクエンチ検出装置を用いたクエンチ検出方法を作用とともに説明する。
さて、本実施形態の超電導コイル10を常法に従い冷却して超電導状態とし、その超電導状態で超電導コイル10の電極26a,26b間に所定電流を通電することにより、電気抵抗のない状態で通電を継続することができ、所定の磁場を発生することができる。
この超電導状態において、超電導コイル10を構成する超電導線材11の一部が何らかの理由で超電導状態を逸脱して常電導状態に移行する事態に到り、クエンチが発生するおそれがある。このようなクエンチの発生を未然に検出するため、常に超電導コイル10がブリッジ回路20で監視されている。
図1及び図3(a)に示すように、本実施形態では、超電導コイル10は4枚の超電導線材11a〜11dを重ね合せた状態で巻回して形成されるとともに、各超電導線材11a〜11dの一側縁には第1〜第4電流検知素子18a〜18dがそれぞれ取付けられている。
このため、図4に示すように、第1〜第4電流検知素子18a〜18dで検知された各検知信号がブリッジ回路20の第1〜第4検流部21a〜21dに入力される。このブリッジ回路20においては、第1検流部21aを流れる電流と第2検流部21bを流れる電流との比率が、第3検流部21cを流れる電流と第4検流部21dを流れる電流との比率に等しくなり、その場合には第1中間点24aと第2中間点24bとの間に電流は流れず、検流計25の値はゼロを示す。このとき、超電導コイル10に異常はなく、超電導状態が維持されていると判断される。
しかしながら、第1〜第4電流検知素子18a〜18dからの検知信号が変動すると、第1検流部21aの電流と第2検流部21bの電流との比率が、第3検流部21cの電流と第4検流部21dの電流との比率とは異なり、第1中間点24aと第2中間点24bとの間に微少な電流が流れ、検流計25の値が一定値を示し、これを検出することができる。このとき、超電導コイル10の一部に超電導状態からの逸脱が始まり、クエンチに到るものと判断される。
このような超電導コイル10のクエンチ検出の可否を確認するために、次のような試験を行った。
すなわち、図7に示すように、4枚の超電導線材11a〜11dのうち、1枚の超電導線材(テープ1)11aにヒータを取付けて加熱し(ヒータの電力は0.6W)、常電導状態を強制的に引き起こして、そのときの各超電導線材(テープ1〜4)11a〜11dを流れる電流を測定し、時間と電流との関係として示した。
この図7に示したように、テープ1では常電導状態で電気抵抗が増大して電流値は大きく低下する一方、テープ2〜4では電流の転流によって電流値が増加した。電流の転流は、あるテープでクエンチが発生したとき、隣接するテープに電流が速やかに移る現象を意味する。この転流は、常電導領域発生直後、約1.4秒という短時間で起きた。従って、テープ1〜4に前記第1〜第4電流検知素子18a〜18dを設けて微少電流を計測し、それらの検知信号により、前記ブリッジ回路20で超電導コイル10のクエンチを検出可能であることが判明した。
この場合、超電導線材11の両端部に設けられている両電極26a,26b間における電位差(電圧)を検出することはできなかった。従って、両電極26a,26b間の電圧測定によって、超電導コイル10のクエンチ検出を行うことは困難であることがわかった。
また、図8に示すように、4枚の超電導線材11a〜11dのうち、2枚の超電導線材(テープ1及び4)11a,11dにヒータを取付けて加熱し(ヒータの電力は0.6W)、常電導状態を強制的に引き起こして、そのときの各超電導線材(テープ1〜4)11を流れる電流を測定し、時間と電流との関係として示した。
この図8に示したように、テープ1及び4では常電導状態で電気抵抗が増大して電流値は大きく低下する一方、テープ2及び3では電流の転流によって電流値が増加した。従って、テープ1〜4に前記第1〜第4電流検知素子18a〜18dを設け、それらの検知信号により、前記ブリッジ回路20で超電導コイル10のクエンチを検出可能であることが明らかになった。
この場合にも、超電導線材11の両端部の両電極26a,26b間における電圧を検出することはできなかった。従って、両電極26a,26b間の電圧測定によって、超電導コイル10のクエンチ検出を行うことは難しいことがわかった。
さらに、図9に示すように、4枚の超電導線材11a〜11dのうち、3枚の超電導線材(テープ1、2及び4)11a,11b,11dにヒータを取付けて加熱し(ヒータの電力は0.6W)、常電導状態を強制的に引き起こして、そのときの各超電導線材(テープ1〜4)11を流れる電流を測定し、時間と電流との関係として示した。
この図9に示したように、テープ1、2及び4では常電導状態で電気抵抗が増大して電流値はいずれも低下する一方、テープ3では電流の転流によって電流値が増加した。従って、テープ1〜4に前記第1〜第4電流検知素子18a〜18dを設け、それらの検知信号により、前記ブリッジ回路20で超電導コイル10のクエンチを検出可能であることが明白になった。
この場合にも、超電導線材11の両端部の両電極26a,26b間における電圧を検出することはできなかった。従って、両電極26a,26b間の電圧測定によって、超電導コイル10のクエンチ検出を行うことは困難であることがわかった。
以上詳述した実施形態によって得られる効果を以下にまとめて記載する。
(1)本実施形態の超電導コイル10のクエンチ検出装置では、超電導線材11を4枚重ね合せた状態で巻回して超電導コイル10が形成され、超電導線材11の一側縁に電流検知素子18a〜18dが設けられている。そして、それらの電流検知素子18a〜18dによって検知される複数の検知信号によりブリッジ回路20が構成されている。
このため、いずれかの超電導線材11を流れる素線電流が常電導によって減少した場合、その減少した素線電流を補うよう転流が迅速に起きて他の超電導線材11に流れる素線電流が増加する。従って、この微少な素線電流の増減が電流検知素子18a〜18dによって検知され、それらの検知信号に基づいてブリッジ回路20で平衡が維持されない場合に超電導コイル10にクエンチが生じたものと判断することができる。
この場合、ブリッジ回路では、複数の検知信号の比率等の相対値によって平衡が判断されるため、超電導コイル10の電源からのノイズ等で検知信号の絶対値に変動があっても、その影響を回避することができる。
よって、本実施形態の超電導コイル10のクエンチ検出装置によれば、電源からのノイズに影響されることなく、クエンチ検出を高感度かつ高速で行うことができ、超電導コイル10の信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
(2)前記各超電導線材11a〜11dの電流検知素子18a〜18dは、超電導コイル10の中心から半径方向に延びる線上に配置されている。このため、超電導コイル10に通電したとき、テープ状の超電導線材11が受ける磁場の方向に各電流検知素子18a〜18dが並んで設けられ、位置ずれによる補正を要することなく、クエンチ検出を容易かつ精度良く行うことができる。
(3)前記超電導コイル10は、超電導線材11を4枚重ね合せた状態で巻回されて形成され、各超電導線材11a〜11dの一側縁に電流検知素子18a〜18dが設けられている。従って、第1〜第4電流検知素子18a〜18dにより得られる4つの検知信号に基づいてブリッジ回路20を容易に構成することができ、超電導コイル10のクエンチ検出を効率良く行うことができる。
(4)前記電流検知素子18はホール素子であり、検知信号はホール電圧である。そのため、ホール素子によって各超電導線材11a〜11dのホール電圧を的確に検知することができ、ブリッジ回路20により超電導コイル10のクエンチ検出を精度良く行うことができる。
(5)前記複数の超電導線材11a〜11dは、内周側と外周側とが順に入れ替えて巻回されている。このため、複数の超電導線材11a〜11dについて内周側位置と外周側位置とを均等になるように配置することができ、各超電導線材11a〜11dの電流検知素子18a〜18dによる検知信号について、超電導線材11a〜11dの内外位置による変動を抑制することができる。
(6)前述のクエンチ検出装置を用いたクエンチ検出方法では、各超電導線材11a〜11dに設けられた電流検知素子18a〜18dにより素線電流を計測して検知信号を発し、それら複数の検知信号によりブリッジ回路20が構成される。従って、ブリッジ回路20の平衡が維持されるか否かを検出することにより、超電導コイル10のクエンチ検出を容易かつ感度良く行うことができる。
なお、前記各実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図10に示すように、前記電流検知素子18a,18b,18c,18dを、各超電導線材11a〜11dの両側縁の対向する位置に一対ずつ設けてもよい。この場合には、電流検知素子18が受ける遮蔽電流を、各一対の電流検知素子18a,18b,18c,18dによって相殺することができ、電流検知素子18による検知精度を向上させることができる。
・ 前記超電導コイル10を、2枚の超電導線材11を巻回して構成し、電流検知素子18を各超電導線材11に2個ずつ取付けるように構成してもよい。また、前記ブリッジ回路20の検流部21は4つであるため、電流検知素子18が取付けられる超電導線材11の枚数を2の倍数に設定することが好ましい。
・ 前記電流検知素子18として、ピックアップコイル、ロゴスキーコイル等を用いた検知素子を使用してもよい。
・ 前記検知信号として、電流検知素子18で検知された電流信号等を用いてもよい。
10…超電導コイル、11,11a,11b,11c,11d…超電導線材、12…基板、14…超電導層、18,18a,18b,18c,18d…電流検知素子、20…ブリッジ回路。

Claims (6)

  1. 基板上に希土類系酸化物超電導体による超電導層を形成したテープ状の超電導線材を巻回して構成された超電導コイルのクエンチ検出装置であって、
    前記超電導線材を複数枚重ね合せた状態で巻回して超電導コイルを形成するとともに、各超電導線材の両側縁の対向する位置に素線電流を計測して検知信号を発する電流検知素子を、遮蔽電流を相殺するために一対ずつ設け、それらの電流検知素子による複数の検知信号によりブリッジ回路を構成し、該ブリッジ回路において平衡が維持されないときにクエンチが生じたと判断可能に構成したことを特徴とする超電導コイルのクエンチ検出装置。
  2. 前記各超電導線材の電流検知素子は、超電導コイルの中心から半径方向に延びる線上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導コイルのクエンチ検出装置。
  3. 前記超電導コイルは、超電導線材を4枚重ね合せた状態で巻回されて形成され、各超電導線材の両側縁の対向する位置に電流検知素子が遮蔽電流を相殺するために一対ずつ設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超電導コイルのクエンチ検出装置。
  4. 前記電流検知素子はホール素子であり、検知信号はホール電圧であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の超電導コイルのクエンチ検出装置。
  5. 前記複数の超電導線材は、内周側と外周側とが順に入れ替えて巻回されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の超電導コイルのクエンチ検出装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の超電導コイルのクエンチ検出装置を用いたクエンチ検出方法であって、
    前記各超電導線材に設けられた電流検知素子により素線電流を計測して検知信号を発し、それら複数の検知信号によりブリッジ回路を構成し、ブリッジ回路の平衡が維持されるか否かを検出することを特徴とする超電導コイルのクエンチ検出方法。
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