以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システムの概要>
図1は、本実施の形態に係る表示システム100の概要を示す図である。表示システム100は、自動車などの車両内において使用され、車室内のドライバなどのユーザに対して各種の情報を表示するものである。表示システム100は、自動車のインストルメントパネルのほぼ全面をスクリーン3として用い、複数のプロジェクタユニット2a〜2cがインストルメントパネルの内側に設けられている。このようにして、表示システム100は、インストルメントパネルとして構成されたスクリーン3に対して、ユーザの反対側から(つまり、インストルメントパネルの内部から)画像を投影することによって、インストルメントパネル上に画像を表示する。
表示システム100は、例えば、車両の走行速度を示す画像や地図画像、ナビゲーション画像などを表示したり、テレビや動画等のコンテンツを表示することができるようになっている。図2及び図3は、表示システム100が各種の情報を表示している例を示す図である。図2に示すように、表示システム100は、インストルメントパネルのほぼ全面に複数種類の画像を表示することが可能である。図2は車両の走行中における表示例であり、ドライバには車両の走行状態を示す画像(例えば、走行速度や地図画像)を表示し、助手席側の同乗者にはコンテンツ画像を表示している。また、図3に示すように、表示システム100は、インストルメントパネルのほぼ全面を一画面として画像を表示させることも可能である。図3は車両の停止中における表示例であり、インストルメントパネルのほぼ全面にコンテンツ画像を一画面で表示しており、ドライバや同乗者が同じ画像を大画面で視聴できるようになっている。
図4は、本実施の形態に係る表示システム100の概略構成を示すブロック図である。表示システム100は、入力した画像データを表示制御装置1が切り出して第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2cに分配し、移動機構4が各プロジェクタユニット2a〜2cを所定の位置に移動させた後に、各プロジェクタユニット2a〜2cが各々の画像データをスクリーン3に投影することにより画像を表示するシステムである。以下、各構成について詳細に説明する。
<1−2.システムの構成>
本実施の形態に係る表示システム100の構成について説明する。図5は、本実施の形態に係る表示システム100の概略構成を示すブロック図である。図5に示すように、表示システム100は、表示制御装置1、第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2c、スクリーン3、及び移動機構4を備えている。
表示制御装置1は、外部から入力した元の画像データに対して種々の制御を行い、各プロジェクタユニット2a〜2cに対して、画像データや表示に関する制御信号などを出力する。また、表示制御装置1は、各プロジェクタユニット2a〜2cの投影位置を決定する制御や、画像データを投影するタイミングを決定する制御も行う。
表示制御装置1は、表示制御用ビデオメモリ10、画像切出分配部11、記憶部12、タイミング制御部13、及び移動制御部14を備えている。
表示制御用ビデオメモリ10は、表示システム100に入力された元の画像データを保持するメモリである。そして、表示制御用ビデオメモリ10は、画像種別が認識可能な状態で画像データを記憶する。例えば、画像種別毎に記憶領域を定める方法や、画像データの記憶時に別途、画像種別と記憶領域とを関係付けて記憶する方法等により、画像種別が認識可能な状態で画像データを記憶する。
表示システム100にて表示する画像データは、まず表示制御用ビデオメモリ10に入力され、表示制御用ビデオメモリ10は、入力した画像データをバッファリングする。なお、表示制御用ビデオメモリ10は、車両の走行速度の画像データや地図の画像データ、コンテンツの画像データといった全ての種類(種別)の画像データが入力される。これら画像データは、各画像の表示タイミングに応じて入力されるため、別々に入力されることもあるし、同時に入力されることもある。また、表示制御用ビデオメモリ10は、バッファリングした画像データを画像切出分配部11に対して出力する。なお、表示制御用ビデオメモリ10としては、例えばRAMを用いることができる。
画像切出分配部11は、表示制御用ビデオメモリ10から入力された画像データの一部を切り出す(抽出する)処理を行うものである。また、画像切出分配部11は、切り出された画像データを所定のプロジェクタユニットに分配する処理も行う。つまり、画像切出分配部11は、元の画像データを投影する画像データに切り出すと共に、投影させるプロジェクタユニットを選択して画像データを出力する処理を行う。
具体的には、表示制御装置1には全ての種類の画像データが入力されるため、画像の種類毎に分離することが必要になる。また、画像の種類に応じてスクリーン3の表示領域が異なるため、表示領域に応じた大きさに切り出す必要がある。このため、画像切出分配部11は、画像の種類と表示領域とが対応付けられた表示パターンデータに基づいて、元の画像データを種類毎に分離すると共に、表示領域に対応する大きさの画像データに切り出す処理を行う。
また、画像切出分配部11は、切り出した画像データをいずれかのプロジェクタユニットに分配する。すなわち、画像切出分配部11は、切り出した画像データを投影させるプロジェクタユニットを選択する。具体的には、画像切出分配部11は、画像の種類と投影するプロジェクタユニットとが対応付けられた表示パターンデータに基づいて、画像の種類に応じて投影させるプロジェクタユニットを選択する。そして、画像切出分配部11は、切り出した画像データを投影対象のプロジェクタユニットに対して出力(分配)する。
記憶部12は、例えばフラッシュメモリなど、各種のデータを記憶可能な不揮発性の記憶媒体である。記憶部12には、表示制御装置1の動作に必要な各種のデータや、表示パターンデータ12a、及び異常時パターンデータ12bが記憶されている。
表示パターンデータ12aは、画像の種類と、その画像を表示する領域と、投影するプロジェクタユニットとが対応付けられたデータである。表示パターンデータ12aは、各プロジェクタユニット2a〜2cが画像を投影する際に用いられる投影制御用データである。表示パターンデータ12aは、例えば、走行速度の画像の場合には、スクリーン3の運転者側の位置の所定の領域に表示させることと、運転席側のプロジェクタユニットを用いて投影させることを示すデータとなる。また、地図の画像の場合には、スクリーン3の中央の位置の所定の領域に表示させることと、中央部分のプロジェクタユニットを用いて表示させることを示すデータとなる。
なお、プロジェクタユニットは、その表示可能範囲を走査するものであるため、プロジェクタユニットの位置及び向きを規定することによって、表示領域(当該プロジェクタユニットがその際に受け持つ表示領域)を設定することも可能である。したがって、表示パターンデータ12aとしては、画像の種類と、投影するプロジェクタユニットと、そのプロジェクタユニットの位置及び向きとが対応付けられたデータとしてもよい。また、ユーザの見た目には、プロジェクタユニットが投影した画像の周囲の黒色部分は無表示と同様になるので、その影響も含めた領域をユーザの見た目の表示領域としてもよい。
異常時パターンデータ12bは、第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2cに異常が発生した時に使用するパターンデータである。具体的には、異常時パターンデータ12bは、いずれかのプロジェクタユニットが故障などの理由により正常な投影ができない場合に使用するパターンデータであって、その故障したプロジェクタユニットで投影していた画像(投影する予定であった画像も含む)と、代わりに表示するプロジェクタユニットと、表示領域とを対応付けたデータである。すなわち、異常時パターンデータ12bは、いずれかのプロジェクタユニットに異常が生じた際に用いられる異常時用データである。
また、異常時パターンデータ12bは、画像の種類毎に表示する優先順位が付けられている。故障したプロジェクタユニットで投影していた画像と、他のプロジェクタユニットで投影していた画像との優先順位に応じて、故障したプロジェクタユニットで投影していた画像を他のプロジェクタユニットで代わりに表示するか否かが判断される。また、プロジェクタユニットの1つが故障し、2つが正常に投影している場合には、優先順位の最も高い画像を1つのプロジェクタユニットで表示し、残りの2種類の画像を残りの1つのプロジェクタユニットで表示する(例えば2分割表示など)といった判断も可能になる。
このように、本実施の形態では、第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2cが正常に投影している間は表示パターンデータ12aを使用し、いずれかのプロジェクタユニットが異常状態になった際には、異常時パターンデータ12bを使用する。
タイミング制御部13は、各プロジェクタユニット2a〜2cが画像を投影するタイミングを制御する。つまり、表示制御装置1は、画像切出分配部11が画像データを各プロジェクタユニット2a〜2cに出力すると共に、その画像が適切に表示されるように、タイミング制御部13が各プロジェクタユニット2a〜2cの投影タイミングを制御する。
特に、本実施の形態では、複数のプロジェクタユニットを用いて画像を表示するため、例えば、インストルメントパネルの全面を一画面として画像を表示する場合や、インストルメントパネルの右端から左端に流れるような画像を表示する場合には、各プロジェクタユニット2a〜2cの表示タイミングが合わないと正確な表示ができないことになる。そこで、このような場合も含めて常に適切な表示が可能となるように、タイミング制御部13が各プロジェクタユニット2a〜2cの投影タイミングを制御するようになっている。
移動制御部14は、各プロジェクタユニット2a〜2cを移動させる移動機構4を制御する。具体的には、移動制御部14は、各プロジェクタユニット2a〜2cが、所定の表示領域に画像データを表示するように移動機構4を制御する。
第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2cは、表示制御装置1から入力した画像データに所定の処理を施して、その画像をスクリーン3に投影するものである。なお、本実施の形態では、3つのプロジェクタユニットを備えた構成について説明するが、これに限定されるものではなく、複数のプロジェクタユニットを備えていれば、その数は任意でよい。また、本実施の形態では、プロジェクタユニットとしてレーザープロジェクタを用いて説明するが、これに限定されるものではなく、他の方式のプロジェクタを用いることもできる。また、本実施の形態では、第1プロジェクタユニット2aが運転席側に設けられ、第2プロジェクタユニット2bが中央部分に設けられ、第3プロジェクタユニット2cが助手席側に設けられている。これら第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2cは、全て同様の構成を有しているため、以下では第1プロジェクタユニット2aについて説明する。
第1プロジェクタユニット2aは、プロジェクタ用ビデオメモリ20、記憶部21、画像補正部22、発光部23、走査部24、及び投影制御部25を備えている。
プロジェクタ用ビデオメモリ20は、画像切出分配部11にて切り出して分配された画像データを保持するメモリである。プロジェクタ用ビデオメモリ20は、入力した画像データをバッファリングし、バッファリングした画像データを画像補正部22に対して出力する。なお、プロジェクタ用ビデオメモリ20としては、例えばRAMを用いることができる。
記憶部21は、例えばフラッシュメモリなど、各種のデータを記憶可能な不揮発性の記憶媒体である。記憶部21には、第1プロジェクタユニット2aの動作に必要な各種のデータや、補正テーブル21aが記憶されている。
補正テーブル21aは、切り出した画像をスクリーン3に表示する際に画像データを補正するための補正値を格納したテーブルである。本発明では、インストルメントパネルをスクリーン3として用いているが、インストルメントパネルは曲面形状を有しているため、通常の画像データをそのまま投影すると表示が歪んでしまう。このため、本実施の形態では画像データを補正する処理を行っており、補正テーブル21aは、そのための補正値を格納したテーブルである。したがって、補正値は、第1プロジェクタユニット2aが画像を投影する位置におけるスクリーン3の形状に対応付けられた値となっている。
画像補正部22は、切り出された画像データを補正する。上述のように、スクリーン3が曲面形状を有しているため、画像補正部22は、その曲面に対応した補正を行い投影用の画像データを生成する。画像補正部22は、プロジェクタ用ビデオメモリ20から画像データを入力すると、補正テーブル21aの中から対応する補正値を取得する。そして、その補正値に基づいて画像データを補正した後に、投影用の画像データとして投影制御部25に対して出力する。
発光部23は、レーザー光源であり、RGBの三色の光源を備えている。また、走査部24は、画像データに基づいてスクリーン3にレーザー光を走査するものであり、例えばMEMS(micro electro mechanical system)ミラーを用いることができる。すなわち、画像データに基づいて発光部23から照射されたレーザー光が走査部24にて反射されてスクリーン3を走査する。
投影制御部25は、発光部23及び走査部24を含む画像の投影に関する機能全般を制御する。投影制御部25は、画像補正部22から投影用の画像データを入力すると、この画像データに基づいて発光部23及び走査部24に対して駆動信号を送信して、駆動制御を行う。発光部23及び走査部24は、この駆動信号に基づいてスクリーン3に対する画像投影を実行する。また、投影制御部25は、移動機構4から第1プロジェクタユニット2aの移動の開始又は停止の情報を入力すると共に、タイミング制御部13から投影タイミングの制御に関する情報を入力し、これら各情報に基づいて投影制御を行う。
スクリーン3は、第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2cから投影された画像を映し出すものである。本実施の形態のスクリーン3は、インストルメントパネルの一部又は全部を構成している。すなわち、スクリーン3が配置された部分は、スクリーン3そのものがインストルメントパネルとして機能する。
スクリーン3は、ユーザの位置に対して反対側の位置に設けられた各プロジェクタユニット2a〜2cから投影された画像を映し出すことができるものであればよく、例えばプロジェクタ用の透過スクリーン等を用いることができる。すなわち、インストルメントパネルとして必要な強度を持つ半透明な樹脂材でスクリーン3を形成したり、透明樹脂材で整形して表面に半透明層を塗布等する方法によりスクリーン3を形成したりすることができる。例えば、インストルメントパネル表面側を構成する透明板材(有色・無色共に可、また通常表面の外来光の反射の防止等の表面加工有)の裏面に拡散透光層(例えば、透明シートの表面に視認できない微細な凹凸加工(乱反射層の生成)を施した構造)を設置すること等により実現できる。
このように、インストルメントパネル表面を、その表面に反射防止加工や傷防止加工等を施した透明材(有色・無色共に可)で覆うようにすれば、スクリーン面を保護する観点、また視認性を向上させる観点からより好ましい。なお、スクリーン3は、インストルメントパネルの一部又は全部を構成しており、平面形状ではなく曲面形状を有している。
移動機構4は、第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2cを移動させる機構であり、各プロジェクタユニット2a〜2cと機械的に接続されている。本実施の形態では、第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2cは、インストルメントパネルの内側に設けられ、車両に対して上下左右方向に移動及び揺動が可能となるように構成されている。また、第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2cは、レーザー光の光軸を中心として回動可能に構成されている。移動機構4は、これら移動や揺動や回動を機械的に実現する機構である。また、移動機構4には、機構部分の駆動を制御する駆動制御部(不図示)も含まれている。
ここで、移動機構4について図6を用いて説明する。図6は、移動機構の外観の概略を示す図である。図6に示すように、移動機構4は、主にモータや歯車、ガイド軸などによって構成されている。
第1プロジェクタユニット2aは、移動機構4と機械的に接続されており、モータの駆動により歯車が回転し、いわゆるラック・アンド・ピニオンで可動するようになっている。つまり、歯車の回転力が左右方向の直線力に変換されることで、第1プロジェクタユニット2aは、ガイド軸を基準にして直線的にスライド移動する。
また、本実施の形態では、第1プロジェクタユニット2aは、左右方向にスライド移動するのみならず、上下方向や前後方向に移動することも可能である。なお、これらの移動動作も、ラック・アンド・ピニオン機構等により実現可能である。これにより、第1プロジェクタユニット2aの高さを変えたり、スクリーン3との距離を変えたりすることができる。また、第1プロジェクタユニット2aは、上下方向や左右方向に揺動(いわゆる、首振り)することもできるため、第1プロジェクタユニット2aを移動させない場合においても、レーザー光の光軸の向きを変えることができる。また、第1プロジェクタユニット2aは、レーザー光の光軸を中心として回動することもできるため、スクリーン3に投影する画像を回転表示させることが可能になる。
なお、移動機構4は、本実施の形態に係る構成に限定されるものではなく、各プロジェクタユニット2a〜2cが移動、揺動及び回動できる機構を有していればよい。
本実施の形態では、さらに、隣り合うプロジェクタユニット同士が接触することの無いように、仕切り板7が設けられている。これにより、第1プロジェクタユニット2aは、仕切り板7を超えてスライド移動することがないため、第2プロジェクタユニット2bと接触して故障することを回避することができる。
なお、接触防止のための構成は、仕切り板に限定されるものではない。例えば、各プロジェクタユニット2a〜2cに位置を検出するセンサを設ける構成としてもよい。この構成の場合、例えば、第1プロジェクタユニット2aが、第2プロジェクタユニット2bと衝突する可能性のある位置に移動してしまった場合に、その旨を移動機構4に出力し、移動機構4が第1プロジェクタユニット2aの移動を停止させることで接触を防止することができる。
また、各プロジェクタユニット2a〜2cに隣接するプロジェクタユニットを検出するセンサを設ける構成としてもよい。この構成の場合、例えば、第1プロジェクタユニット2aが第2プロジェクタユニット2bに近づきすぎて、第2プロジェクタユニットを検出した場合に、その旨を移動機構4に出力し、移動機構4が第1プロジェクタユニット2aの移動を停止させることで接触を防止することができる。
また、各プロジェクタユニット2a〜2cが衝突してしまった際に、破損や故障しないように各プロジェクタユニット2a〜2cに緩衝部材などを設ける構成としてもよい。緩衝部材としては、例えばダンパーを用いることができる。これにより、仮に第1プロジェクタユニット2aが第2プロジェクタユニット2bに衝突したとしても、緩衝部材により衝撃が吸収されるため、破損や故障してしまうことを防止することができる。
<1−3.動作の流れ>
次に、表示システム100の動作の流れについて説明する。図7は、表示システム100が画像を表示する際の動作の流れを示すフローチャートである。この動作は、表示システム100の電源が入力されると開始される。
表示システム100が起動すると、表示制御装置1は、画像データの入力の有無を判断する(ステップS10)。例えば、表示制御装置1は、外部から地図等の画像データの入力があったか否かを判断する。表示制御装置1は、画像データの入力がないと判断した場合には(ステップS10でNo)、再度入力の有無を判断する。この判断は定期的に実行される。
一方、表示制御装置1は、画像データの入力があると判断した場合には(ステップS10でYes)、画像データを表示制御用ビデオメモリ10に記憶させた後に、画像切出分配処理を実行する(ステップS11)。これは、画像切出分配部11が、表示制御用ビデオメモリ10から読み出した画像データを切り出す(抽出する)処理と、投影するプロジェクタユニットに分配(選択して出力)する処理である。
具体的には、画像データの入力があると、画像切出分配部11は、表示制御用ビデオメモリ10から画像データを読み出すと共に、記憶部12から表示パターンデータ12aを読み出す。表示パターンデータ12aは、上述のように投影するプロジェクタユニットと、表示する領域(大きさや位置)とが画像の種類に対応付けられたデータである。画像切出分配部11は、その表示パターンデータ12aに基づいて、読み出した画像データを切り出す処理と投影するプロジェクタユニットに分配する処理とを行う。
例えば、走行速度を示す画像データと、地図を示す画像データとが同時に入力されて、読み出された場合には、画像切出分配部11は、各々の画像データを分離することの他に、表示する際の表示領域に合わせた大きさの画像データに抽出する処理を行う。そして、画像切出分配部11は、分離及び抽出後の走行速度に関する画像データを第1プロジェクタユニット2aに出力し、地図に関する画像データを第2プロジェクタユニット2bに出力する。
次に、各プロジェクタユニット2a〜2cが、入力した画像データに対して補正処理を行う(ステップS12)。以下では、第1プロジェクタユニット2aを例に説明するが、第2及び第3プロジェクタユニット2b・2cも同様である。具体的には、第1プロジェクタユニット2aの画像補正部22が、プロジェクタ用ビデオメモリ20から画像データを読み出すと共に、記憶部21から補正テーブル21aを読み出す。
ここで、補正テーブル21aについて説明する。図8は、補正テーブル21aの概要を示す図である。補正テーブルは、プロジェクタユニット2a〜2c毎に各々設けられている。図8では、説明の便宜上、第1プロジェクタユニット2aに対応する補正テーブル21aのみ記載しているが、他のプロジェクタユニットに対応する補正テーブルも同様である。
補正テーブル21aは、第1プロジェクタユニット2aが移動する範囲内における任意の位置と、その位置における仰角とに対応付けられた補正値が格納されたテーブルである。例えば、第1プロジェクタユニット2aが、車両の左右方向にスライド移動する場合に、停止する位置として位置A、位置B、位置C・・・があるとする。また、スクリーン3にレーザー光を照射する手段(例えば走査部24)が車両の上下方向に揺動する場合に、レーザー光を照射する角度(仰角)として仰角a、仰角b・・・があるとする。この場合、各位置と各仰角との組み合わせ毎に対応付けられた補正値が設定される。
これは、スクリーン3はインストルメントパネルとして設けられるが、上述のようにインストルメントパネルは平面形状ではなく曲面形状を有している。したがって、平面形状の表示パネルに表示することを前提としている画像データをそのままスクリーン3に投射しても画像が歪んでしまい正常な画像が表示されない。このため、曲面形状のスクリーン3に対して歪みのない画像を表示するために画像データを補正する必要がある。また、インストルメントパネル(スクリーン3)は、場所によっても湾曲の状況が異なる。すなわち、プロジェクタユニットが停止する位置とその仰角が異なれば、照射対象のスクリーン3の形状も異なる。このため、位置と仰角との組み合わせ毎に、スクリーン3に画像を投影した際に歪みのない表示を可能とする補正値が設定される。
図7に戻り、画像補正部22は、読み出した画像の種類に応じて第1プロジェクタユニット2aの停止位置及び仰角を判断し、補正テーブル21aから対応する補正値を読み出す。なお、画像補正部22は、画像の種類に応じて停止位置と仰角とを判断してもよいし、画像切出分配部11が、停止位置と仰角とに関する情報を付加した画像データを各プロジェクタユニット2a〜2cに出力してもよい。また、移動制御部14が、各プロジェクタユニット2a〜2cを移動させる制御に用いた停止位置と仰角とに関する情報を各プロジェクタユニット2a〜2cに出力してもよい。
そして、画像補正部22は、読み出した補正値に基づいて画像データを補正し、投影制御部25に出力する。例えば、画像データが車両の走行速度の画像データである場合には、インストルメントパネルの運転席側の中央部分の領域に表示するものとして、画像補正部22は、それに対応する位置A・仰角bの補正値Abを読み出す。そして、画像補正部22は、画像データをこの補正値Abを用いて補正する。この補正された画像データが投影用の画像データとして投影制御部25に出力される。
なお、スクリーン3にレーザー光を照射する手段(例えば走査部24)が車両の左右方向にも揺動する場合には、レーザー光を照射する横方向の角度(方位角)としての方位角a、方位角b・・・を、各位置や各仰角との組み合わせ毎に対応付けた補正値を設定すればよい。この場合、画像補正部22は、画像データに対応する位置と仰角と方位角とを読み出し、その補正値を用いて画像データを補正する。そして、この補正された画像データが投影用の画像データとして投影制御部25に出力されることとなる。
次に、第1プロジェクタユニット2aの移動処理を行う(ステップS13)。移動処理については、図9を用いて説明する。図9は、移動処理の流れを示すフローチャートである。表示制御装置1は、画像切出分配処理(ステップS11)にて読み出した画像の表示領域に基づいて、第1プロジェクタユニット2aの移動が必要であるか否かを判断する(ステップS20)。なお、表示制御装置1は、画像データが入力されると、画像切出分配処理とは別に、表示パターンデータ12aの中から表示領域に関するデータを読み出して、第1プロジェクタユニット2aの移動が必要であるか否かを判断してもよい。
移動は必要ないと判断した場合には(ステップS20でNo)、次の処理に進む。一方、移動が必要であると判断した場合には(ステップS20でYes)、表示制御装置1は、第1プロジェクタユニット2aが画像を投影中であるか否かを判断する(ステップS21)。これは、第1プロジェクタユニット2aから投影信号が出力されているか否かを判断することにより行うことができる。また、第1プロジェクタユニット2aに対して、投影中であるか否かを問い合わせる信号を出力し、それに対する返信信号により判断する構成としてもよい。
第1プロジェクタユニット2aが画像を投影中である場合には(ステップS21でYes)、表示制御装置1は、第1プロジェクタユニット2aに対して画像の投影の停止を指示し、第1プロジェクタユニット2aは、停止指示に基づいて画像の投影の停止処理を実行する(ステップS22)。これは、画像を投影した状態で第1プロジェクタユニット2aを移動させると、スクリーン3に表示される画像も移動してしまい、違和感のある画像が表示されてしまうこととなる。このため、第1プロジェクタユニット2aの移動中は画像の投影を停止することとしている。
一方、第1プロジェクタユニット2aが画像の投影中でない場合(ステップS21でNo)、又は、第1プロジェクタユニット2aが画像の投影を停止した後に、表示制御装置1は、第1プロジェクタユニット2aの移動処理を実行する(ステップS23)。すなわち、移動制御部14から移動機構4に対して移動指令が出力される。この場合の移動指令は、例えば、第1プロジェクタユニット2aを移動させる旨の信号と停止位置データなどである。移動機構4は、機構部分の駆動を制御する駆動制御部が、停止位置データに基づいて機構部分を駆動させ、第1プロジェクタユニット2aを移動させる。具体的には、駆動制御部は、現在の位置から移動先の位置までの距離を算出し、第1プロジェクタユニット2aをその距離だけ移動させる。
また、表示制御装置1は、第1プロジェクタユニット2aの仰角変更処理を実行する(ステップS24)。すなわち、移動制御部14から移動機構4に対して仰角変更指令が出力される。この場合の仰角変更指令は、例えば、第1プロジェクタユニット2aの仰角を変更させる旨の信号と変更後の角度データなどである。移動制御部14は、表示パターンデータ12a内の表示領域に対応するデータ等から角度データを導出する。この場合も移動機構4の駆動制御部が、角度データに基づいて機構部分を駆動し、第1プロジェクタユニット2の仰角を変更させる。
その他、移動機構4は、必要に応じて第1プロジェクタユニット2aの揺動や回動の制御を行う。なお、駆動制御部は、第1プロジェクタユニット2aの移動処理及び仰角変更処理を実行している間は、その旨を示す信号を第1プロジェクタユニット2aに送信する。これは、移動中などには画像の投影を行わないように、移動中又は仰角変更中であることを第1プロジェクタユニット2aに知らせるためである。
そして、図7に戻り、表示制御装置1は、投影タイミング制御を行う(ステップS14)。上述のように、各プロジェクタユニット2a〜2cは、所定の位置に移動した後に投影を開始することとしているため、表示制御装置1は、その投影を開始するタイミングを制御する。また、各プロジェクタユニット2a〜2cが移動しない場合であっても、各プロジェクタユニット2a〜2c同士で投影タイミングを合わせる必要がある場合には、表示制御装置1は、投影を開始するタイミングを制御する。
具体的には、表示制御装置1は、移動機構4から第1プロジェクタユニット2aの移動を停止した旨の情報を入力した後に、第1プロジェクタユニット2aに対して投影を開始する旨の指示を出力する。これにより、第1プロジェクタユニット2aが移動中に画像を投影してしまうことを回避することができる。
また、インストルメントパネルの全面を一画面として画像を表示する場合には、他のプロジェクタユニットの投影開始タイミングを考慮する必要がある。すなわち、プロジェクタユニット2a〜2cの各々は、画面のうちの一部分の画像を表示することになるため、ドライバ等のユーザが一画面であると認識できるようなタイミングで画像を投影する必要がある。したがって、このような場合には、タイミング制御部13は、プロジェクタユニットの移動の有無に関わらず、各プロジェクタユニット2a〜2cが、対応する画像をほぼ同じタイミングで投影するように制御する。
また、インストルメントパネルの右端から左端に流れるような画像を表示する場合には、タイミング制御部13は、各プロジェクタユニット2a〜2cに対して、対応する画像を連続的に表示するように制御する。つまり、このような場合にも、タイミング制御部13は、プロジェクタユニットの移動の有無に関わらず、投影するプロジェクタユニットを切り替える際に、画像が途切れることなく連続的に投影するように各プロジェクタユニット2a〜2cを制御する。
タイミング制御部13には、各プロジェクタユニット2a〜2cが投影する画像の種類や表示領域に関するデータが入力される。また、タイミング制御部13には、移動機構4から各プロジェクタユニット2a〜2cの移動情報(移動の開始情報や停止情報)も入力される。タイミング制御部13は、これら各情報に基づいて、画像を投影するタイミングを制御する。つまり、タイミング制御部13は、画像を投影するタイミングを制御する信号を各プロジェクタユニット2a〜2cに出力し、各プロジェクタユニット2a〜2cは、その制御信号に基づいて投影処理を行う。
次に、第1プロジェクタユニット2aは、投影処理を行う(ステップS15)。すなわち、第1プロジェクタユニット2aは、表示制御装置1から投影を開始する旨の制御信号を入力すると、補正後の画像データをスクリーン3に投影する。これは、第1プロジェクタユニット2aが、入力した補正後の画像データに基づいて、発光部23の発光制御と、走査部24への走査制御とを行うことにより実行される。これにより、スクリーン3に画像が表示される。
なお、本実施の形態では、表示制御装置1は、各プロジェクタユニット2a〜2cの異常の有無を常に監視しており、各プロジェクタユニット2a〜2cに異常が有った場合には、表示する画像や表示領域、その画像を投影するプロジェクタユニットを変えている。そこで、プロジェクタユニットの異常時の投影処理について説明する。図10は、各プロジェクタユニット2a〜2cの異常の有無の判断時のフローチャートである。
まず、表示制御装置1は、各プロジェクタユニット2a〜2cのいずれかに異常が発生しているか否かを判断する(ステップS30)。プロジェクタユニットの異常の有無の判断は、例えば、プロジェクタユニットから異常である旨の信号が出力され、表示制御装置1がそれを入力した場合に、異常が発生したと判断することができる。また、プロジェクタユニットから出力される投影データを表示制御装置1に入力させる構成とし、正常な投影データが入力されない場合や、投影データ自体が入力されない場合などにプロジェクタユニットが異常であると判断してもよい。
全てのプロジェクタユニットで異常が発生していない場合には(ステップS30でNo)、表示制御装置1は、異常時の処理は行わない。すなわち、表示制御装置1は、表示パターンデータ12aを用いた通常の投影制御を行う。一方、いずれかのプロジェクタユニットに異常が発生していると判断した場合には(ステップS30でYes)、表示制御装置1は、異常時の処理を行う。異常時の処理として、表示制御装置1は、まず異常データを取得する(ステップS31)。異常データとは、異常が発生したプロジェクタユニットを特定するためのデータや、異常が発生したプロジェクタユニットが投影していた画像データなどである。
そして、表示制御装置1は、取得した異常データに基づいて異常時投影制御を行う(ステップS32)。すなわち、表示制御装置1は、記憶部12に記憶されている異常時パターンデータ12bを用いてプロジェクタユニットによる投影処理を制御する。
具体的には、表示制御装置1は、取得した異常データから異常が発生したプロジェクタユニットと、投影していた画像の種類とを特定し、異常時パターンデータ12bに基づいて、その画像を他の正常なプロジェクタユニットで表示するか否かを判断する。すなわち、表示制御装置1は、異常が発生したプロジェクタユニットで投影していた画像(以下「異常画像」という)と、他の正常なプロジェクタユニットで投影していた画像(以下「正常画像」という)との優先順位を比較して、優先順位の高い方の画像を投影させる制御を行う。
例えば、表示制御装置1は、異常画像の優先順位の方が高い場合には、他の正常なプロジェクタユニットのいずれかを用いて異常画像を投影させ、残りの正常なプロジェクタユニットには、正常画像のいずれか一方又は双方を投影させる制御を行う。また、表示制御装置1は、正常画像の優先順位の方が高い場合には、その優先順位の高い画像を正常なプロジェクタユニットで継続して投影させ、他の正常なプロジェクタユニットには、異常画像及び残りの正常画像のいずれか一方又は双方を投影させる。
また、正常なプロジェクタユニットで異常画像を投影させる場合には、表示制御装置1は、投影させるプロジェクタユニットを移動、揺動又は回動させることが好ましい。これにより、できるだけ元の表示領域に近い箇所に表示させることができる。
なお、表示制御装置1は、異常時投影制御として、投影させる画像やプロジェクタユニット、表示領域を決定すると、その制御信号を対応するプロジェクタユニットや移動機構に出力する。そして、制御信号を入力したプロジェクタユニットや移動機構が、対応する画像を投影し、プロジェクタユニットを所定の位置に移動、揺動又は回動させる処理を実行する。
このように、プロジェクタユニットの異常発生時には、表示制御装置1は、正常なプロジェクタユニットに投影させる画像データを決定し、対応するプロジェクタユニットを投影制御することで、優先順位の高い画像などユーザにとって重要な画像の表示を継続させることができる。なお、この異常の有無の監視は一定の間隔で行ってもよく、監視は行わずに、表示制御装置1がプロジェクタユニットの異常データを入力したときに異常が有ったとして異常時の投影制御を実行してもよい。
また、本実施の形態では、表示制御装置1は、車両の異常の有無を常に監視しており、車両の異常の有無に応じて各プロジェクタユニット2a〜2cによる投影の許否を判断している。そこで、車両の異常時の投影処理について説明する。図11は、車両の異常の有無の判断時のフローチャートである。
まず、表示制御装置1は、起動すると車両の異常の有無を監視する(ステップS40)。車両に異常が有る場合とは、例えばエアバッグが展開した場合であり、この場合には、表示制御装置1は、エアバッグの展開情報を取得すると、車両に異常が有ると判断する。ただし、車両の異常は他のものであってもよく、これらの各異常の有無は、車両からの異常情報を取得することにより判断可能である。
車両に異常がない場合には(ステップS40でNo)、表示制御装置1は、異常時の処理は行わず、通常の投影制御を行う。一方、車両に異常が有る場合には(ステップS40でYes)、表示制御装置1は、全てのプロジェクタユニット2a〜2cの投影を停止させる制御を行う(ステップS41)。すなわち、表示制御装置1は、各プロジェクタユニット2a〜2cに対して、投影停止の指示信号を出力する。各プロジェクタユニット2a〜2cは、投影停止の指示信号を入力すると、投影を停止する。具体的には、各プロジェクタユニット2a〜2cは、各々のレーザー光の発光を停止する。
車両に異常が発生すると、各プロジェクタユニット2a〜2cにも異常が発生する場合がある。このため、車両の異常時にレーザー光の発光を継続すると、プロジェクタユニットにも異常が発生した場合に、レーザー光が外部に漏光してしまう可能性がある。これを防止するために、車両の異常時には、プロジェクタユニットの投影を停止してレーザー光の発光を停止することとしている。
以上のように、本実施の形態に係る表示システム100は、複数のプロジェクタユニットを用いて画像を投影し、かつ、そのタイミング制御なども適切に行うことで、インストルメントパネルの広い領域に高精度の画像を表示することが可能になる。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、複数のプロジェクタユニットを用いてインストルメントパネルの略全面をスクリーンとして画像を表示する構成について説明した。第1の実施の形態のようにインストルメントパネルのスクリーンにナビゲーション画像やコンテンツ画像を表示する場合には、目的地設定や経路選択、コンテンツ画像の再生又は停止などの操作を行う場合がある。このため、スクリーンをタッチパネルとして機能させ、ユーザがスクリーンを直接タッチすることで目的地設定等の操作を行うことができる構成とすることが好ましい。
ユーザがスクリーンをタッチすると、画像を投影するために走査したレーザー光が、スクリーンのタッチした位置にて反射するため、例えば、表示システムに受光部を設けておき、その反射光を受光部が受光する構成とすることが考えられる。この場合、表示システムは、受光部が反射光を受光したタイミングに基づいて、プロジェクタユニットがスクリーンを走査した位置を検出することができるため、ユーザが表示画像の中でタッチした位置を検出することが可能になる。これにより、タッチパネルと同様の操作が可能となる。
しかしながら、このようなタッチ位置の検出は、プロジェクタユニットが1つの場合には可能であるが、プロジェクタユニットが複数ある場合には、複数のレーザー光が走査用に照射されるため、受光部が受光した反射光がいずれのプロジェクタユニットから照射されたレーザー光であるかを判別することができず、ユーザがタッチした位置を検出することができない。そこで、第2の実施の形態では、複数のプロジェクタユニットを用いてスクリーンに画像を投影表示する場合であっても、スクリーンをタッチパネルとして用いることができる表示システムについて説明する。
<2−1.システムの概要>
図12は、第2の実施の形態に係る表示システム200の概要を示す図である。表示システム200は、第1の実施の形態の表示システム100と同様に、自動車などの車両内において使用され、車室内のドライバなどのユーザに対して各種の情報を表示するものである。すなわち、表示システム200は、自動車のインストルメントパネルのほぼ全面をスクリーン3として用い、複数のプロジェクタユニット2a〜2cがインストルメントパネルの内側に設けられている。そして、表示システム200は、インストルメントパネルとして構成されたスクリーン3に対して、ユーザの反対側から(つまり、インストルメントパネルの内部から)画像を投影することによって、インストルメントパネル上に画像を表示する。
また、表示システム200は、図2及び図3で説明した表示システム100と同様に、例えば、車両の走行速度を示す画像や地図画像、ナビゲーション画像などを表示したり、テレビや動画等のコンテンツを表示することができるようになっている。さらに、表示システム200は、ユーザがスクリーン3をタッチした位置を検出できるようになっており、タッチパネルと同様の機能を有している。すなわち、本実施の形態における表示システム200では、スクリーン3上に表示された画像をユーザがタッチして操作することができるようになっている。なお、図12は、ユーザがスクリーン3上に表示された画像をタッチして操作する例を示している。
<2−2.システムの構成>
次に、第2の実施の形態に係る表示システム200の構成について説明する。図13は、本実施の形態に係る表示システム200の概略構成を示すブロック図である。表示システム200は、第1の実施の形態の表示システム100と基本的な構成は同じであるが、スクリーンをタッチパネルとして用いるための構成を有する点で相違する。このため、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施の形態における表示システム100と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する場合がある。以下、表示システム200の構成について説明する。
図13に示すように、表示システム200は、第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2c、スクリーン3、移動機構4、受光部5、及び表示制御装置6を備えている。このうち、第1〜第3プロジェクタユニット2a〜2c、スクリーン3、及び移動機構4は、第1の実施の形態と同様の構成である。したがって、以下では受光部5及び表示制御装置6の構成について説明する。
受光部5は、各プロジェクタユニット2a〜2cの発光部23から照射された走査用のレーザー光が、スクリーン3で反射した際の反射光を受光するものである。受光部5は、ユーザがスクリーン3をタッチした際に、タッチした位置のスクリーン3で反射した反射光を受光できるものであればどのようなものでも用いることができる。
なお、レーザー光がスクリーン3で反射する角度は不確定であり、インストルメントパネル内のいずれの方向に反射するかはタッチした位置毎に異なる。これは、ユーザがスクリーン3をタッチした指の角度やユーザがタッチした位置におけるスクリーン3の形状に応じて反射する角度が異なるからである。このため、表示システム200では、レーザー光がインストルメントパネルのいずれの方向に反射されたとしても、その反射波を確実に受光できる位置に1つ又は複数の受光部5が配置されている。
表示制御装置6は、外部から入力した元の画像データに対して種々の制御を行い、各プロジェクタユニット2a〜2cに対して、画像データや表示に関する制御信号などを出力する。表示制御装置6は、表示制御用ビデオメモリ10、画像切出分配部11、記憶部12、タイミング制御部13、移動制御部14、タッチ位置判定部15、及び操作制御部16を備えている。本実施の形態における表示制御装置6は、タッチ位置判定部15及び操作制御部16を備えている点が第1の実施の形態における表示制御装置1と相違する。
タッチ位置判定部15は、ユーザがスクリーン3をタッチ操作した際の位置を判定する。すなわち、タッチ位置判定部15は、ユーザがスクリーン3に表示された画像中のどの位置をタッチしたかを判定するものである。タッチ位置判定部15は、受光部5から受光信号を入力する。受光信号とは、受光部5がレーザー光の反射光を受光したことと、受光したタイミングを示す信号である。また、タッチ位置判定部15は、各プロジェクタユニット2a〜2cから、走査位置情報を入力する。走査位置情報とは、各プロジェクタユニット2a〜2cがどのタイミングでどの位置を走査しているかを示す情報である。
タッチ位置判定部15は、これら各情報に基づいて、ユーザがスクリーン3をタッチした際にその位置を走査していたプロジェクタユニットを識別すると共に、そのプロジェクタユニットが走査していた位置を導出する。そして、タッチ位置判定部15は、導出した走査位置に基づいて、ユーザがタッチした表示画像中の位置を判定する。タッチ位置判定部15は、このユーザがタッチした表示画像中の位置に関する情報をタッチ位置の情報として操作制御部16に出力する。
操作制御部16は、ユーザがタッチした位置の画像に対応する機能の実行を制御する。すなわち、操作制御部16は、タッチ位置判定部15によって導出されたユーザのタッチ位置に表示されたボタン等に対応する機能を実行する。例えば、スクリーン3にナビゲーション画像が表示されている場合において、ユーザが目的地設定ボタンをタッチした場合には、タッチ位置判定部15は目的地設定ボタンが表示されている位置をタッチしたと判定し、操作制御部16は目的地設定画面に表示を切り替えるように制御する。この場合、操作制御部16は、切り替える画像に関する信号を画像切出分配部11に対して出力する。
なお、タイミング制御部13は、各プロジェクタユニット2a〜2cの画像投影タイミングを制御するものである。本実施の形態におけるタイミング制御部13は、第1の実施の形態と同様に、スクリーン3に表示する画像が適切な画像となるように投影タイミングを制御するものであると共に、ユーザがタッチした際に走査しているプロジェクタユニットを識別するための投影タイミング制御も行う。この制御の詳細は後述する。
<2−3.動作の流れ>
次に、表示システム200の動作の流れについて説明する。図14は、表示システム200が画像を表示する際の動作の流れを示すフローチャートである。この動作は、表示システム200の電源が入力されると開始される。なお、本実施の形態においても、第1プロジェクタユニット2aを例に説明するが、第2及び第3プロジェクタユニット2b・2cも同様である。
表示システム200が起動すると、表示制御装置6は、画像データの入力の有無を判断する(ステップS50)。表示制御装置6は、画像データの入力があると判断した場合には(ステップS50でYes)、画像データを表示制御用ビデオメモリ10に記憶させた後に、画像切出分配処理を実行する(ステップS51)。次に、各プロジェクタユニット2a〜2cが、入力した画像データに対して補正処理を行う(ステップS52)。そして、第1プロジェクタユニット2aの移動処理を行う(ステップS53)。これら各処理ステップS50〜ステップS53は、上述したステップS10〜ステップS13と同様の処理である。
次に、表示制御装置6は、投影タイミング制御を行う(ステップS54)。ここでは、上述したステップS14の処理と同様の処理を行うと共に、本実施の形態では、さらにタッチ操作された際に、画像を投影していたプロジェクタユニットを識別するためのタイミング制御も行う。そこで、プロジェクタユニット識別用のタイミング制御について説明する。
本実施の形態では、タイミング制御部13は、プロジェクタユニットを識別するために、各プロジェクタユニット2a〜2cの投影タイミングを各々異ならせている。具体的には、タイミング制御部13は、まず第1プロジェクタユニット2aのみに投影処理を実行させた後に、第2プロジェクタユニット2bのみに投影処理を実行させ、その後第3プロジェクタユニット2cのみに投影処理を実行させる。そしてこれらを繰り返す。すなわち、タイミング制御部13は、全てのプロジェクタユニットを同時に投影させることなく順番に投影させる。これは、投影対象のプロジェクタユニットに対して投影を開始する旨の制御信号を出力することにより行われる。このように、いずれか1つのプロジェクタユニットのみが投影するように制御することで、ユーザがスクリーン3をタッチ操作した際にその位置を投影しているプロジェクタユニットを識別することが可能になる。
なお、この投影タイミングの切り替えは、ユーザの視覚には認識できない程度の周波数で行われる。したがって、ユーザに対しては違和感のない正常な画像を表示させることができる。すなわち、タイミング制御部13は、各プロジェクタユニット2a〜2cで投影する画像が全体として正常な画像となるように投影タイミングを制御すると共に、プロジェクタユニットを識別するために投影タイミングを制御する。これにより、ユーザに対しては正常な画像を表示しながら、投影しているプロジェクタユニットを識別することが可能になる。
次に、第1プロジェクタユニット2aは、投影処理を行う(ステップS55)。すなわち、第1プロジェクタユニット2aは、表示制御装置6から投影を開始する旨の制御信号を入力すると、補正後の画像データをスクリーン3に投影する。この処理も上述したステップS15の処理と同様に、タイミング制御部13からの制御信号に基づいて、発光部23及び走査部24を制御することにより行われる。これにより、スクリーン3に画像が表示される。
その後、表示制御装置6は、タッチ操作処理を行う(ステップS56)。これは、ユーザのタッチ操作の有無や、操作内容の実行処理である。ここで、タッチ操作処理について、図15を用いて説明する。図15は、タッチ操作処理を示すフローチャートである。
表示制御装置6は、各プロジェクタユニット2a〜2cによる画像の投影処理が開始されると、ユーザによるタッチ操作の有無を判断する(ステップS60)。これは、受光部5による反射光の受光の有無に基づいて判断される。具体的には、受光部5は、各プロジェクタユニット2a〜2cから照射されたレーザー光のスクリーン3での反射光を受光した際には、その旨を示す信号を表示制御装置6に出力する。表示制御装置6は、受光部5から反射光を受光した旨の信号を入力すると、ユーザによるタッチ操作があったと判断する。
タッチ操作がないと判断した場合には(ステップS60でNo)、タッチ操作処理を終了する。一方、タッチ操作があったと判断した場合には(ステップS60でYes)、プロジェクタ識別処理を行う(ステップS61)。すなわち、タッチ位置判定部15が、ユーザがスクリーン3にタッチ操作をした際に、投影していたプロジェクタユニットを識別する処理を行う。
具体的には、各プロジェクタユニット2a〜2cは、投影処理を行う際に、自装置が投影している旨を示す信号をタッチ位置判定部15に出力する。タッチ位置判定部15は、受光部5から反射光を受光した旨の信号を入力した際(受光部5が反射光を受光したタイミングと略同じ)に、投影している旨を示す信号を出力しているプロジェクタユニットを特定することにより、ユーザがタッチ操作した際に、画像を投影しているプロジェクタユニットを識別する。
次に、タッチ位置判定部15は、タッチ位置判定処理を行う(ステップS62)。すなわち、実際にユーザがタッチしたスクリーン上の位置を判定する。具体的には、各プロジェクタユニット2a〜2cは、投影の際には一定の周期でレーザー光を走査しているため、どのタイミングでどの位置を走査しているかを特定することができるようになっている。このため、タッチ位置判定部15は、対象とするプロジェクタユニットが走査を開始してから、受光部5から反射光を受光した旨の信号を入力するまで時間に基づいて、ユーザがタッチ操作した時点において、プロジェクタユニットが走査していた位置を特定することができる。これにより、ユーザがタッチした位置を判定することができる。
そして、操作制御部16が、操作制御処理を実行する(ステップS63)。すなわち、ユーザがタッチした位置に表示された画像内容に基づいた処理を実行する。例えば、ナビゲーション画像が表示されている際に、ユーザが目的地設定ボタンの表示されている領域をタッチした場合には、操作制御部16は、目的地設定画面を表示するように制御する。この場合には、操作制御部16は、画像を切り替えて表示する旨の信号を画像切出分配部11に対して出力する。
また、オーディオ画像が表示されている際に、ユーザが再生ボタンや停止ボタンの表示されている領域をタッチした場合には、操作制御部16は、オーディオ機能を再生又は停止するように制御する。この場合には、操作制御部16は、再生や停止する旨の信号をオーディオ機能の制御部に対して出力する。このようにして、スクリーン3をタッチパネルとして機能させることが可能となる。
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、表示制御装置6は、各プロジェクタユニット2a〜2cの異常の有無を常に監視しており、各プロジェクタユニット2a〜2cに異常が有った場合には、表示する画像や表示領域、その画像を投影するプロジェクタユニットを変えている。つまり、表示制御装置6は、図10に示す処理と同様の処理を実行している。
また、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、表示制御装置6は、車両の異常の有無も常に監視しており、車両の異常の有無に応じて各プロジェクタユニット2a〜2cによる投影の許否を判断している。つまり、表示制御装置6は、図11に示す処理と同様の処理を実行している。
以上のように、本実施の形態に係る表示システム200は、複数のプロジェクタユニットを用いて画像を投影し、かつ、そのタイミング制御なども適切に行うことで、インストルメントパネルの広い領域に高精度の画像を表示することが可能になる。また、本実施の形態の表示システム200は、さらに、インストルメントパネル(スクリーン)をタッチパネルとして機能させることができるため、複数のプロジェクタユニットを用いて画像を投影する構成としながらタッチ操作をすることが可能になる。
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
上記各実施の形態では、画像補正処理の後に移動処理を実行する内容について説明したが、処理の順序はこれに限定されるものではない。例えば、移動処理の後に画像補正処理を実行してもよいし、画像切出処理の後に画像補正処理と移動処理とを同時に実行してもよい。
また、上記各実施の形態では、各プロジェクタユニット2a〜2cの移動処理において、各プロジェクタユニット2a〜2cを停止させる位置は任意であるものとして説明した。これにより、表示に適した位置に各プロジェクタユニット2a〜2cを停止させることができる。ただし、停止位置はこれに限定されるものではない。例えば、プロジェクタユニットの停止位置を予め数箇所に設定しておいてもよい。この場合、プロジェクタユニットの停止位置が予め決められているため、停止位置毎に設定される補正テーブルの数を抑制することができる。
また、各プロジェクタユニット2a〜2cが隣接する停止位置としては、そのプロジェクタユニットから投影された画像とそれに隣接するプロジェクタユニットから投影された画像との一部が重畳するような位置とすることが好ましい。このようにすると、画像の一部が重なり合うことで、移動後に表示された画像の認識が容易になると共に、表示領域の全面に表示することが可能となる(表示不可領域がない)。
また、上記各実施の形態においては、プロジェクタユニットの停止位置に、プロジェクタユニットの位置の検出値を補正するためのセンサを設置して、位置検出値を校正する構成としてもよい。これにより、プロジェクタユニットの停止位置をより正確な位置にすることができるため、画像補正をより適切に行うことが可能となり、より良好な画像表示を実現することができる。なお、このようなセンサとしては、例えば、当該位置でON又はOFFするスイッチ等を用いることができる。
また、インストルメントパネル内には、エアコンのダクト等、様々な構造物が配置されることがある。これに対応するため、プロジェクタユニットや、その移動機構の移動軌跡を制御することが好ましい。つまり、図示はしていないが、移動機構全体を移動させる機構をさらに設け、プロジェクタユニットの移動に合わせて構造物に接触しないように移動させたり、プロジェクタユニットの上下位置及び仰角等もプロジェクタユニットの移動に合わせて変化させて、インストルメントパネル内の構造物を回避するように移動させる。これにより、プロジェクタユニットや移動機構が、インストルメントパネル内の構造物に接触してしまうことを回避できる。なお、この移動軌跡制御は、移動機構についての位置に対応する制御データや、プロジェクタユニットの上下位置及び仰角に対応する制御データを記憶しておき、移動に伴いこれらを制御するような方法等により実現可能である。
また、上記各実施の形態では、プロジェクタユニットの移動中は画像の投影を中止する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、プロジェクタユニットの移動中に、移動中であることを示す画像を表示してもよい。移動中であることを示す画像は、ユーザにとって移動表示が気にならない画像であることが好ましい。このような画像としては、例えば、コントラストを落とした画像や、モザイク画像、単色画像等であり、スクリーンの曲面に表示しても画像の歪みが分かりにくい画像であることが好ましい。これにより、プロジェクタユニットが移動中であることをユーザに報知することが可能になると共に、違和感のある画像を表示することを防止することができる。
また、上記各実施の形態においては、複数のプロジェクタユニットを用いて画像を表示するため、各プロジェクタユニットで投影した画像の輝度や色にばらつきがあると、例えばインストルメントパネルの全面を一画面として画像を表示する場合などに違和感のある画像が表示されてしまう場合がある。このため、本発明では、プロジェクタユニット毎に輝度や色、画素位置などの投影する画像に関する各種パラメータを独立して調整可能な構成としてもよい。
この場合、例えば、表示制御装置に調整用画像データを格納しておき、各プロジェクタユニットには、各パラメータの調整値を保持すると共に、この調整値に基づいて表示画像の輝度等を調整する調整部を設けておく構成とする。そして、画像の調整時には、調整用画像をプロジェクタユニットから投影表示させ、その調整用画像にしたがってプロジェクタユニットの調整値を変更することで、適宜調整することが可能となる。この調整は、ユーザが調整用画像を見ながら行ってもよく、各プロジェクタユニットが他のプロジェクタユニットの調整値に基づいて自動で調整する構成としてもよい。また、この調整は、車両への搭載時又はユーザの使用時に、自動又は手動で行うことができる。
また、上記第2の実施の形態では、ユーザがタッチ操作した際に投影処理を実行しているプロジェクタユニットを識別するために、各プロジェクタユニット2a〜2cの投影タイミングを常に異ならせる構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ユーザがタッチ操作をしていないときには、各プロジェクタユニット2a〜2cの投影タイミングを異ならせることなく投影処理を実行し、ユーザのタッチ操作を検出した場合にのみ投影タイミングを異ならせる構成としてもよい。
この構成の場合、投影タイミング制御(ステップS54)においては、タイミング制御部13は、ステップS14と同様に正常な画面を表示するようなタイミング制御を行うが、ステップS54のようなプロジェクタユニットを識別するためのタイミング制御は行わない。プロジェクタユニットを識別するためのタイミング制御は、タッチ操作処理(ステップS56)にて行う。ここで、この構成について図16を用いて具体的に説明する。図16は、タッチ操作処理(ステップS56)を示すフローチャートである。
表示制御装置6は、各プロジェクタユニット2a〜2cによる画像の投影処理が開始されると、ユーザによるタッチ操作の有無を判断する(ステップS70)。これは、上述したステップS60と同様の処理である。そして、タッチ操作があると判断された場合には(ステップS70でYes)、タイミング制御部13は、各プロジェクタユニット2a〜2cの投影タイミングを変更する(ステップS71)。すなわち、タイミング制御部13は、ユーザがタッチ操作した際に走査しているプロジェクタユニットを識別するためのタイミング制御を行う。この場合のタイミング制御は、ステップS54と同様に、各プロジェクタユニット2a〜2cを順番に投影させる制御である。また、この投影タイミングの切り替えは、ユーザの視覚には認識できない程度の周波数で行われる。
そして、プロジェクタ識別処理と、タッチ位置判定処理と、操作制御処理とを実行する(ステップS72〜ステップS74)。これら各処理は、上述したステップS61〜ステップS63と同様の処理である。そして、操作制御処理が終了すると、表示制御装置6は、プロジェクタユニットを識別するための投影タイミング制御を終了し、通常の投影タイミング制御に復帰させる(ステップS75)。
このように、ユーザがタッチ操作した場合にのみ各プロジェクタユニット2a〜2cの投影タイミングをずらすことにより、タッチ操作時には投影しているプロジェクタユニットを識別することが可能になると共に、タッチ操作時以外には、投影画像の輝度が低下してしまうことを防止することが可能になる。
また、プロジェクタユニットを識別するための投影タイミングの制御を行うことなく、各プロジェクタユニットが同時に画像を投影している状態であっても、プロジェクタユニットを識別することができる構成としてもよい。
例えば、ユーザがタッチ操作した際に投影処理を実行しているプロジェクタユニットを識別するために近接センサを設ける構成としてもよい。具体的には、インストルメントパネル内に複数の近接センサを設けておき、ユーザがタッチ操作をした際には、近接センサがユーザのタッチ操作(近接)を検出する。そして、近接センサの検出結果に基づいて、ユーザがタッチ操作した画像を投影しているプロジェクタユニットを識別する構成である。例えば、ユーザの近接を検出した近接センサに最も近いプロジェクタユニットが投影処理を実行しているプロジェクタユニットであると識別するなどである。これにより、プロジェクタユニット識別用の投影タイミング制御を行うことなく、タッチ操作を検出した近接センサの位置に応じて、ユーザがタッチ操作した画像を投影しているプロジェクタユニットを識別することが可能になる。
また、表示画像の内容に応じてプロジェクタユニットを識別する構成としてもよい。具体的には、ユーザがタッチ操作を行う可能性のあるボタン等を含む画像を投影しているプロジェクタユニットを、ユーザがタッチ操作した画像を投影しているプロジェクタユニットであるとして識別する構成である。この場合には、各プロジェクタユニットで投影する画像の情報に基づいて判断すればよく、識別用のセンサ等を別途設けることなくソフト処理にて識別可能になる。
また、受光部の受光レベルに応じてプロジェクタユニットを識別する構成としてもよい。ユーザがスクリーン3をタッチ操作した際の反射光は、複数方向に反射する。インストルメントパネル内に複数の受光部が設けられている場合には、複数方向に反射した反射光は、各々複数の受光部にて受光される。この場合、タッチ位置からの距離に応じて受光部が受光する反射光の受光レベルが異なる。そこで、受光レベルの強い受光部が設けられた位置に近い箇所を投影しているプロジェクタユニットを、ユーザがタッチ操作した画像を投影しているプロジェクタユニットであるとして識別することができる。
また、プロジェクタユニットを識別するための光源を、画像を投影するための光源とは別に設ける構成としてもよい。プロジェクタユニットを識別するための光源としては赤外光レーザーなどを用いることができる。この場合、各プロジェクタユニットの発光部に、赤外光レーザーの発光手段をさらに設け、画像の投影処理の際に、プロジェクタユニット識別用の赤外光レーザーも併せて照射する。この際には、プロジェクタユニット毎で異なる変調方式(変調周波数)の赤外光レーザーを照射するようにする。すると、受光部が受光した反射光に含まれる赤外光の変調周波数を解析することで、いずれのプロジェクタユニットから照射された赤外光であるかを判別することができるようになる。これにより、ユーザがタッチ操作した画像を投影しているプロジェクタユニットを識別することが可能になる。なお、変調方式による識別方法としては、パルス変調におけるパルスパターンを変える等、変調内容を識別できる方法であれば他の方法であっても用いることができる。
また、プロジェクタユニットを識別するために光源として赤外光レーザーを用いる構成においては、プロジェクタユニット毎に変調方式を異ならせる構成の他に、各プロジェクタユニットから照射する赤外光レーザーの周波数(周波数帯域)を異ならせる構成としてもよい。この場合には、各プロジェクタユニットの発光部には、周波数の異なる赤外光レーザーの発光手段が設けられる。そして、画像の投影処理の際には、各プロジェクタユニットは、プロジェクタユニット識別用として、プロジェクタユニット毎に周波数の異なる赤外光レーザーを併せて照射する。すると、受光部が受光した反射光に含まれる赤外光の周波数を解析することで、いずれのプロジェクタユニットから照射された赤外光であるかを判別することができる。これにより、ユーザがタッチ操作した画像を投影しているプロジェクタユニットを識別することが可能になる。
なお、上記各実施の形態では、インストルメントパネルをスクリーンとして用いて画像を表示する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、家庭や会社などで使用される通常のプロジェクタ用スクリーンを用いることもできるし、壁や机上などの建築物や構造物などをスクリーンとして用いることもできる。本発明のスクリーンとしては、プロジェクタを用いて画像を投影することができるものであればどのようなものでも実現可能である。
また、上記各実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。