JP6219497B2 - 手持ち式臭いテスト - Google Patents

Description

本発明は、嗅覚の、または臭いのテストを実施するときに用いられる装置に関する。装置は手持ち式（hand held）かつ手動式（hand operated）であり、閾値テスト、弁別テスト、および同定テストにおいて使用することができる。

さまざまな芳香を嗅ぎ、芳香を互いに識別する能力は、我々の日常生活において明らかに重要である。食物の風味に大きな影響を与える臭いの感覚は、感情、栄養、生活の質、および腐敗した食物、ガス漏れ、火災その他の危険な状況から守られることに関連付けられる。それゆえ、嗅覚の喪失、または臭いを嗅ぐ能力の減退は、日常生活に重大なインパクトを与える。臭いを嗅ぐ能力を失った人々は、彼らの生活の多くの要素で妥協を余儀なくされ、しばしば心理的に落ち込んでしまう。

臭いの感覚の定量的なテストは、診断ツールとしても有用でありうる。例えば、嗅覚の閾値の測定は、数多くの疾患および障害を早期発見し、対策を立てるために有益である。それらの中には、頭部外傷、アルツハイマー病およびパーキンソン病のような神経変性疾患、ウイルスおよび／または細菌への急性感染、有毒ガスおよび有毒化学薬品への被曝、頭部への放射線治療の副作用などによる、嗅神経または嗅球のような嗅覚系へのダメージが含まれる。それゆえ、嗅覚の閾値その他の嗅覚機能の指標を、正確な仕方で、迅速に、かつ比較的低コストで測定できる医療診断用の道具は有益であろう。このような道具は、患者の一度の評価として用いられうるだけではなく、特定の症状の兆候を監視するために経時的に患者の経過を追跡するために用いることもできる。

嗅覚機能の測定は、さまざまな手段によって実現される。嗅覚計は、臭いのテストを実施するために過去において開発されてきた。そのような装置の１つは、オハイオ州シンシナティのオズミック社（株）から商業的に入手可能であり、芳香の閾値、同定、弁別、および記憶を評価するために有用であったといわれている。より小さく、複雑でない嗅覚計も、さまざまな特許文献の中には記述されている。例えば、以下の発行された米国特許、チュイトンらの４，２６５，２４８号、ペント・フェダグラスＪｒ．の５，５６５，１４８号、フレデリクソンらの６，３９０，４５３号ならびに６，６７２，１２９号、およびファツィオらの７，１５２，７５８号は、嗅覚計を改良したとしている。

本件出願人の米国特許出願１２／７９９，０３４号に記載された嗅覚計、または芳香発生器は、他の先行技術の嗅覚計に関する問題の多くを解決し、最も効果的であるとともに装置が利用可能であるものと信じられている。しかしながら、それは比較的高価であり、主に研究設備などで使用されるものである。

診察室で実施できる、より簡便なテストおよび装置も提案されている。１つの方法は、スクラッチ＆スニフパッドを用いるものであり、テストの実施者はその表面を掻いて芳香を放散させ、それを患者の鼻先に近づけ、反応を依頼する。別のテスト方法は、スクイーズボトルまたはスニフボトルによる臭いのテストキットを用いるものである。閾値テストの場合、蒸気の濃度が次第に高くなっていく一揃いのボトルが使用される。

さらに利用可能であるのは、Ｓｎｉｆｆｉｎ’ Ｓｔｉｃｋｓの名前で販売されるテストであり、芳香物質を中に有する多数のチューブ状コンテナと、チューブの端から延びるがエンドキャップで覆われているウィッキング部材とを含む。一方の手でチューブを保持しながら他方の手でエンドキャップを外さなければならないため、テストの実施には両方の手が必要である。その上、エンドキャップが元に戻されなければ、チューブの中の芳香物質は干上がってしまう。

そのため、効果的で、比較的高価でなく、また実施することが容易な、改善された手持ち式嗅覚テストが必要とされる。

本発明は、上記で説明された先行技術の問題点を克服するためになされたものである。本発明によれば、手持ち式嗅覚テスト装置は、その前端に開口を有する細長のハウジングを含む。ハウジング内に位置するのは、その前進位置と後退位置との間で軸方向に移動可能な芳香物質チャンバである。ウィックが、芳香物質チャンバから前方に、チャンバの前端で搬送されるノズルへと延びる。ハウジングの外側を囲んで位置するサム（親指）カラーは、人が芳香物質チャンバおよびノズルを前方に移動させることを可能にする。患者が芳香物質からの蒸気を嗅ぐことができるように、ウィックの前端は、前進したときにハウジングの開口を通して外部に露出される。Ｏリングは、ノズルが後退位置にあるときにはそれを外部からシールし、蒸気の漏出を防ぐ。サムカラーが解放されると、細長のバネが、芳香物質チャンバおよびノズルを、後方のシールされる位置へと後向きに付勢する。

本発明を説明する目的で、現時点で好ましい形態が添付図面に示されている。本発明が図示された細かい構成および手段に限定されることを意図されていないことが理解されるであろう。

本発明の手持ち式嗅覚テスト装置の斜視図であり、閉位置で示されている。 図１と同様の斜視図であるが、テスト装置が開位置またはテスト位置で示されている。 図２のテスト装置のテストをする方の端部を詳細に示す図である。 図２に示されたテスト装置の開位置での内部を示す断面図である。 図２に示されたテスト装置の閉位置での内部を示す断面図である。 芳香物質を搬送する本発明のウィックおよびニブの斜視図である。 本発明の嗅覚テスト装置の代替的な実施形態の断面図である。 本発明の嗅覚テスト装置の代替的な実施形態の斜視図である。

次に、各図を詳細に参照すると、同様の要素にはそれぞれの図を通じて同様の参照符号が用いられている。本発明の原理に従って構成され、通常は符号１０を割り当てられる手持ち式嗅覚テスト装置が、図１〜図６に示されている。図面にはこのような装置が１つだけ示されているが、当業者には、臭いテストを実施するために数多くの同様の装置が提供されることが理解されるであろう。いくつかの装置は、各々で異なる芳香物質をその中に有するか、同じまたは異なる芳香物質の異なる濃度を有してもよい。

テスト装置１０は、主に、円筒面１４を有する円筒形のハウジング１２、および内部キャビティ１６を含む。装置１０の全体的な形状および外観は筆記用のペンに似ており、医師または他の臭いテストの実施者の片手だけで保持および操作することができるように構成および配置されている。

内部キャビティ１６の前端１８に位置するのは、チャンバ２２をその中に有する芳香物質シリンダ２０である。液体の芳香物質（図示せず）が、チャンバ２２内に収容される。液体としたのは、もちろん、例としてにすぎない。固体または気体の芳香物質も可能である。液体を保持するために、チャンバ２２を吸収性物質で満たすこともまた可能である。

いずれにしても、シリンダ２０は、内部キャビティ１６の中で軸方向に移動可能である。それはカラー２４を押すことによって前方、すなわち図１〜図３の左側に移動することができる。これは、好ましくは、ハウジング１２の後端２６で外側円筒面１４を保持している人が、彼または彼女の親指でカラー２４を押すことによってなされる。カラーを押す代わりに、側面ボタンのようなものを使用することも可能である。ネジまたは螺旋構造を取り入れ、それによって前端１８を旋回させることが芳香物質シリンダ２０を前方に移動させることも、本発明の範囲の外にあるものではない。さらにはまた、小型の電動モータまたは電動ソレノイドを使用し、スイッチまたはボタンが押下されたときに芳香物質シリンダ２０を移動させてもよい。

カラー２４を前方に押すことが、バネ２８の力に逆らって芳香物質シリンダ２０を前方に移動させるであろう。好ましくは、音声による合図、またはアラートが、カラーがその正しい位置へと前進した時を示すであろう。これは、スナップワッシャーなどのような各種の既知の装置を使用して実現できる。カラー２４から親指が離れると、バネ２８の力が芳香カートリッジ２０をその元の位置まで後退させるであろう。

ハウジング１２の最前端３０は、好ましくは、断面がより小さくなるようにテーパーがつけられている。同様に、芳香シリンダ２０の前端は、ハウジングの前端３０に実質的に相補的な形状へとテーパーがつけられて小さくなり、ノズル３２として機能する。当業者には明らかであるように、ノズル３２は、シリンダ２０に既知の仕方で固定された別個の装置であってもよい。

芳香チャンバの内部２２とノズル３２の内部との間に延びるのは、ウィック（wick）３４である。ウィック３４は、主に、さまざまな圧縮繊維または多孔性樹脂などのような、各種の既知のウィッキング材料で作ることができる。ウィック３４は、液体の芳香物質をチャンバ２２からノズル３２の内部へと送達し、一般にニブと呼ばれる、図３の符号３６で最も明確に示されている部分で終わる。

図２および図３に示されているように、ノズル３２は、その周面に複数の開口３８を有する。これによって、図３に示されるようにノズルがハウジングから外へと延びたときに、ニブ３６から芳香物質が放散されることが可能になる。この位置において、ノズルは患者の鼻の下に置かれうるが、ニブはノズル３２の内部にあるため患者の鼻に物理的に接触することはない。

ノズルが閉じられたときに芳香物質が放散されないようにし、芳香物質を保存して無駄にしないために、ノズル３２には１対のＯリング４０，４２が設けられ、これらは開口３８の両側に位置する。Ｏリング４０，４２は、ハウジング１２の前端の内表面との間をシールする。

十分な芳香物質の蒸気がニブ３６から放出されることを確実にするために、ニブには、図６に符号４４で示されるような複数の細長の溝が設けられる。あるいは、ニブは、それを通るリブまたは孔を有してもよい。ニブの露出される表面積を増大させる実質的に任意の構成を利用することができる。

図７Ａおよび図７Ｂに示された本発明の実施形態１１０は、上記の実施形態の特徴の多くを共有している。しかしながら、図７Ａおよび図７Ｂでは、ノズル１３２が通常はハウジングの前端１１８によって覆われ、エンドキャップ１５０の中にある。エンドキャップ１５０が前進させられたとき、ノズル１３２に加えて芳香物質シリンダ１２０も前端１１８の端部を越えて前進する。この位置において、ノズル１３２はもはや前端１１８によって覆われておらず、ニブ１３６からの蒸気は、装置の外側に向けて、エンドキャップ１５０の複数の開口１５２を自由に通過する。

さらに、放散される芳香物質の蒸気の量を増大させるために、貯蔵部分の周りの領域に空気圧をかけることは有益でありうる。これは、装置内に配置される小型のファンを用いることによって実現されうる。ファンは手動で起動されてもよいし、カラー２４またはエンドキャップ１５０が前進したときに起動されてもよい。

本発明は、その精神および本質的な特性から逸脱することなく、他の具体的な形でも実施することができる。従って、本発明の範囲を示すものとしては、これまでの詳細な説明よりもむしろ、添付の請求の範囲が参照されるべきである。

Claims (8)

1. 手持ち式嗅覚テスト装置であって、
   前部および後部を有する細長のハウジングであって、前記前部が実質的に中空でその最前端に隣接して開口を有するハウジングと、
   前記前部内に位置して中に芳香物質を収容する単一の芳香物質チャンバであって、前端にノズルを有し、前記ハウジング内の前進位置と後退位置との間で軸方向に移動可能である単一の芳香物質チャンバと、
   前記芳香物質チャンバ内に位置する後端と、そこから前記ノズルへと前方に延びる前端とを有するウィックと、
   前記芳香物質チャンバを前記ウィックとともに前記前進位置と前記後退位置との間で移動させる手段であって、前記ハウジングの両端の中間でその外側に位置し前記ハウジングを保持する人が扱うことができる親指で操作可能な部材を含む手段と、
   前記芳香物質チャンバをその後退位置へと後向きに付勢するバネ手段と、
   蒸気が前記ハウジングから漏出することを防止するために、前記ウィックがその後退位置にあるときに前記ウィックの前端を前記ハウジングの外部からシールする手段であって、前記ノズルの前端と前記ハウジングの前記最前端との間に位置するＯリングを含む手段と
   を備え、
   患者が前記ウィックの前端へと導かれた前記芳香物質からの蒸気を嗅ぐことができるように、前記ウィックの前端が、前記芳香物質チャンバおよび前記ウィックがそれらの前進位置に移動されたときに、前記ノズルを通してかつ前記ハウジングの開口を通して前記ハウジングの外部に露出される、手持ち式嗅覚テスト装置。
2. 前記ノズルは、外側の円筒形の壁と、前記円筒形の壁に形成される複数の開口とを含む、請求項１に記載の手持ち式嗅覚テスト装置。
3. 前記Ｏリングは、前記ノズルによって搬送される、請求項２に記載の手持ち式嗅覚テスト装置。
4. 前記ノズルによって搬送される、さらなるＯリングを含み、
   前記各Ｏリングの一方は前記複数の開口の前方に位置し、前記各Ｏリングの他方は前記複数の開口の後方に位置する、請求項３に記載の手持ち式嗅覚テスト装置。
5. 前記バネ手段は、初期には前記ハウジングの前記後部に位置する細長のバネを含む、請求項１に記載の手持ち式嗅覚テスト装置。
6. 前記親指で操作可能な部材は、前記ハウジングを囲むカラーを含む、請求項１に記載の手持ち式嗅覚テスト装置。
7. 前記ウィックの前記前端は、十分な芳香蒸気が放散されることを確実にするために表面積を増大させる手段を含む、請求項１に記載の手持ち式嗅覚テスト装置。
8. 前記増大させる手段は、前記ウィックの前記前端に形成される複数の溝を含む、請求項７に記載の手持ち式嗅覚テスト装置。

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