本発明について、好適な実施形態を掲げ、添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
[第1実施形態に係る電子回路接続構造の説明]
第1実施形態に係る電子回路接続構造10Aについて、図1〜図4を参照しながら説明する。
電子回路接続構造10Aは、電子回路装置12及び電子回路接続装置14を具備する。
電子回路装置12は、例えば、自動二輪車等の車両の電装品としてのECU(Electronic Control Unit)である。電子回路装置12は、各種の電子部品16が搭載されたプリント基板等の回路基板18を有する。
矩形状の回路基板18におけるY1方向側の箇所には、いわゆるカードエッジコネクタとして機能する凸型端子部20が設けられている。凸型端子部20は、回路基板18におけるY1方向の箇所の表面及び裏面(Z1方向及びZ2方向の面)に、導体箔等の接続端子22を所定間隔で複数個配置することにより形成される。
回路基板18のうち凸型端子部20以外の部分と、各電子部品16とは、樹脂封止部24によって封止される。すなわち、各電子部品16が搭載された回路基板18を図示しない上下の金型に入れ、加熱された樹脂を当該金型の内部に流し込んで硬化させるトランスファー成形を用いることにより、樹脂封止部24を形成することができる。
そのため、樹脂封止部24の4つの側面のうち、Y1方向の側面には、樹脂封止部24からY1方向に凸型端子部20が延出して外部に露出している。また、上下の金型による割線に起因して、樹脂封止部24の各側面には、X方向又はY方向に延在するパーティングライン26が形成されている。さらに、樹脂封止部24の上面(Z1方向の表面)における略中央には、凸部28(第4係合部)が設けられている。
凸型端子部20は、樹脂製の保護カバー30で覆われることにより外部から保護される。保護カバー30には、凸型端子部20を覆い、且つ、樹脂封止部24と嵌合可能な凹部32(保護凹部)がY方向に沿って形成されている。
保護カバー30における凹部32の底34側には、X方向及びZ方向に延出するフランジ部36が形成されている。また、保護カバー30の外周面には、Oリング等のシール部材38がフランジ部36に接触するように装着されている。さらに、保護カバー30の上面には、凸部28に係合する係合孔40(第5係合部)が設けられている。
ここで、保護カバー30により凸型端子部20を保護する場合、凸型端子部20と凹部32とを対向させた状態で、保護カバー30をY2方向に移動させる。これにより、先ず、凹部32と樹脂封止部24とが嵌合する。保護カバー30をY2方向にさらに移動させると、凸部28と係合孔40とが係合すると共に、凸型端子部20の先端が凹部32の底34に突き当たる。
この結果、凸型端子部20は、図2に示すように、保護カバー30で覆われて保護されると共に、凹部32内の所定位置に位置決め固定される。また、樹脂封止部24(で覆われる回路基板18)の一部は、図1及び図2に示すように、保護カバー30からY2方向に突出した状態となる。従って、ユーザ又は作業者は、図1及び図2に示す状態となった電子回路装置12を容易に搬送することが可能となる。
また、図1及び図2に示す状態において、ユーザ又は作業者がY2方向に突出した樹脂封止部24の一部を押さえながら、保護カバー30をY1方向に引っ張ると、凸部28と係合孔40との係合状態が解除され、樹脂封止部24から保護カバー30を取り外すことができる。これにより、凸型端子部20は、外部に露出することになる。
そして、図3及び図4に示すように、保護カバー30を図1及び図2の状態からY方向に沿って反転させると、反転させた保護カバー30の凹部32と樹脂封止部24のY2方向の側面(凸型端子部20が設けられる側面とは反対側の側面)とが対向した状態となる。この状態で保護カバー30をY1方向に移動させると、凹部32と樹脂封止部24のY2方向の部分とが嵌合する。保護カバー30をY1方向にさらに移動させると、凸部28が係合孔40に係合すると共に、樹脂封止部24のY2方向の側面が凹部32の底34に突き当たる。
この結果、樹脂封止部24のY2方向の部分が保護カバー30で覆われると共に、凸型端子部20及び樹脂封止部24のY1方向の部分が、保護カバー30からY1方向に沿って外部に露出した状態となる。
一方、電子回路接続装置14は、矩形状で且つ樹脂製のハウジング42を有する。該ハウジング42には、電子回路装置12のうち、フランジ部36以外の部分を収容する凹部44(収容凹部)がY方向に沿って形成されている。
凹部44の底46には、雄型端子としての凸型端子部20と嵌合可能な雌型端子の凹型端子部48が設けられている。すなわち、凹型端子部48は、底46からY方向(図4ではY2方向)に沿って延出する延出部50と、延出部50で互いに対向するように設けられた導体箔等の複数の接続端子52とを有する。この場合、凹型端子部48は、凸型端子部20の接続端子22と同数の接続端子52を有する。
ハウジング42のY1方向の側面には、Y1方向に膨出する膨出部54が設けられ、該膨出部54には、Y方向に沿って凹部56が形成されている。凹部56には、図示しないワイヤハーネスから分岐した配線部58のコネクタ60が挿入される。
配線部58は、振動や衝撃を吸収するゴムシートを含み構成されたコネクタ60と、該コネクタ60から引き出され且つ接続端子22、52と同じ本数の電線62とを有する。コネクタ60が凹部56に挿入されている場合、各電線62は、ハウジング42内をY方向に沿って延在して凹部56に露出する接続端子52と電気的に接続される。また、各電線62は、絶縁被覆64で被覆され、ワイヤハーネスで束としてまとめられる。
ここで、凸型端子部20が外部に露出し、且つ、樹脂封止部24のY2方向の部分が保護カバー30の凹部32に嵌合している場合、凸型端子部20とハウジング42の凹部44とを対向させた状態で、ハウジング42をY2方向に移動させると、凸型端子部20及び樹脂封止部24のY1方向の部分が凹部44に収容されると共に、凹部44と保護カバー30の外周面とが嵌合する。この状態でハウジング42をY2方向にさらに移動させると、ハウジング42のY2方向の先端がフランジ部36に突き当たると共に、凸型端子部20と凹型端子部48とが嵌合する。
この場合、保護カバー30の外周面のフランジ部36側には、シール部材38が配設され、一方で、ハウジング42の先端には、シール部材38を受容する溝66が形成されている。そのため、フランジ部36に対するハウジング42の突き当てによって、シール部材38は、溝66に収容されると共に、フランジ部36及び保護カバー30の外周面とハウジング42との隙間をシールする。このように、フランジ部36とハウジング42とがカップリングして、シール部材38が前記隙間をシールすることにより、外部から前記隙間を介して電子回路接続構造10Aの内部に水や泥が侵入することを阻止することができる。
一方、凸型端子部20と凹型端子部48とが嵌合することにより、凸型端子部20の各接続端子22と凹型端子部48の各接続端子52とは、それぞれ、電気的に接続される。膨出部54の凹部56にコネクタ60が挿入されていれば、凸型端子部20の各接続端子22は、凹型端子部48の各接続端子52を介して、それぞれ、各電線62と電気的に接続されることになる。
また、凸型端子部20と凹型端子部48とが嵌合した際、延出部50のY2方向の先端は、樹脂封止部24のY1方向の側面に突き当たる。さらに、前述のように、凸型端子部20と凹型端子部48とが嵌合した場合、ハウジング42の凹部44と保護カバー30の外周面とが嵌合すると共に、ハウジング42の先端がフランジ部36に突き当たり、ハウジング42とフランジ部36及び保護カバー30の外周面との隙間がシール部材38によりシールされる。従って、電子回路装置12は、電子回路接続装置14及び保護カバー30によって形成される電子回路接続構造10Aの内部空間の所定位置に位置決め固定されることになる。
以上説明したように、第1実施形態に係る電子回路接続構造10Aによれば、電子回路装置12の搬送時のように、凸型端子部20と凹型端子部48とが接続(嵌合)されていない状態において、保護カバー30は、凸型端子部20を凹部32に収容して保護する。一方、凸型端子部20と凹型端子部48とが嵌合された状態において、保護カバー30は、ハウジング42と嵌合する接続部材として利用される。
これにより、凸型端子部20と凹型端子部48との嵌合時に不要となる保護カバー30を有効に利用しつつ、電子回路装置12を含めた電子回路接続構造10A全体の簡素化を図ることができる。
また、保護カバー30の製造過程においては、シール部材38が配設される保護カバー30の外周面にパーティングラインを形成させないようにすることが容易である。そのため、保護カバー30では、シール部材38が配設される外周面を平坦に形成することができる。これにより、凸型端子部20と凹型端子部48との嵌合時に、保護カバー30とハウジング42とが嵌合すると、保護カバー30とハウジング42との隙間がシール部材38によって確実にシールされる。この結果、電子回路接続構造10Aの防水性を向上させることができる。
このように、シール部材38によって前記隙間が確実にシールされるので、ECU等の電子回路装置12に対する樹脂モールド(樹脂封止部24)に頼ることなく電子回路接続構造10Aの防水性を確保することができる。また、電子回路装置12(を構成する各電子部品16及び回路基板18)が電子回路接続構造10Aの内部空間に確実に収容されるため、耐振動性も確保することができる。
つまり、電子回路接続構造10Aにおいては、電子回路装置12を搬送するために使用される保護カバー30を樹脂封止部24と嵌合し且つハウジング42とカップリングすることにより、電子回路装置12の防水性及び耐振動性を確保すると共に、回路基板18を保護するための保護カバーとして有効活用することができる。
なお、第1実施形態では、シール部材38を保護カバー30の外周面に設けた場合について説明したが、保護カバー30とハウジング42との隙間を確実にシールすることができるのであれば、ハウジング42の先端にシール部材38を設けてもよいことは勿論である。
さらに、保護カバー30は、常時、電子回路装置12を構成する回路基板18及び樹脂封止部24と結合している。そのため、保護カバー30を紛失する心配がない。また、電子回路装置12のメンテナンス時には、保護カバー30で凸型端子部20を覆うことにより、該凸型端子部20を確実に保護することができる。
このように、第1実施形態によれば、電子回路接続構造10Aを上記の構成とすることにより、樹脂封止部24にパーティングライン26が形成されていても防水性を確保することができると共に、保護カバー30を容易に保管及び管理することができる。
また、凸型端子部20と凹型端子部48とが嵌合する際に、ハウジング42がフランジ部36に突き当たることで、回路基板18及び樹脂封止部24が凹部44及び保護カバー30によって形成される電子回路接続構造10Aの内部空間で位置決め固定される。これにより、ハウジング42及び保護カバー30の形状を簡素化することができる。
また、凸型端子部20を保護カバー30で保護する場合、及び、凸型端子部20と凹型端子部48とを嵌合する場合、どちらの場合でも、樹脂封止部24に設けられた凸部28と保護カバー30に形成された係合孔40とが係合するので、保護カバー30と回路基板18及び樹脂封止部24との位置決め構造を簡素化することができる。
さらに、凸型端子部20は、回路基板18の縁部に接続端子22が形成された、いわゆるカードエッジコネクタとして構成されているので、凸型端子部20が薄型化され、電子回路装置12全体を小型化することができる。
[第2実施形態に係る電子回路接続構造の説明]
次に、第2実施形態に係る電子回路接続構造10Bについて、図5〜図12を参照しながら説明する。なお、第2実施形態に係る電子回路接続構造10Bにおいて、第1実施形態に係る電子回路接続構造10A(図1〜図4参照)と同じ構成要素については、同じ参照符号を付けて、その詳細な説明を省略し、以下同様とする。
第2実施形態に係る電子回路接続構造10Bは、凸型端子部20と凹型端子部48とを嵌合する際、保護カバー30が回路基板18及び樹脂封止部24を全体的に凹部32に収容する点で、第1実施形態に係る電子回路接続構造10Aとは異なる。そのため、第2実施形態では、電子回路装置12と電子回路接続装置14とが分離した状態で保護カバー30により凸型端子部20を保護する場合や、凸型端子部20と凹型端子部48とを嵌合する場合、いずれの場合であっても、凸型端子部20は、保護カバー30で覆われて保護される。
図5〜図7に示すように、樹脂封止部24のX1方向及びX2方向の各側面には、Y方向に沿って延在する突出部70(第3係合部)が、パーティングライン26とは異なる高さ位置に設けられている。また、樹脂封止部24において、凸型端子部20が設けられる側面とは反対側の側面(図5及び図6ではY2方向の側面)の中心には、凹部72(嵌合凹部)が形成されている。
一方、保護カバー30の凹部32において、X1方向及びX2方向の各内壁には、同じ高さ位置において、2つの溝74(第1係合部)がY方向に沿ってそれぞれ形成されている。また、凹部32のX1方向及びX2方向の各内壁には、2つの溝74よりも低い高さ位置において、他の2つの溝76(第2係合部)がY方向に沿ってそれぞれ形成されている。
この場合、前記各内壁の高い位置(Z1方向側の高さ位置)に設けられた2つの溝74は、凹部32に対する回路基板18及び樹脂封止部24の挿入方向としてのY1方向に沿った比較的浅い溝として形成されている。一方、前記各内壁の低い位置(Z2方向側の高さ位置)に設けられた他の2つの溝76は、前記挿入方向としてのY1方向に沿った比較的深い溝として形成されている。すなわち、2つの溝76は、2つの溝74と比較して、凹部32の底34近傍まで延在している。
さらに、凹部32の底34の中心には、Y2方向に突出する突起部78が形成されている。
ここで、保護カバー30により凸型端子部20を保護する場合、図6に示すように、凸型端子部20と凹部32とを対向させ、且つ、突出部70がパーティングライン26よりもZ1方向の位置となるように回路基板18及び樹脂封止部24を配置した状態で、保護カバー30をY2方向に移動させる。これにより、2つの突出部70が前記内壁のZ1方向側に形成された2つの溝74に係合し、回路基板18及び樹脂封止部24は、X方向及びZ方向に位置決めされる。
この状態で、保護カバー30をY2方向にさらに移動させると、各突出部70が各溝74に沿ってスライドするため、保護カバー30をY2方向にスムーズに移動させることができる。そして、図5に示すように、各突出部70が各溝74のY1方向の底に突き当たることにより、凸型端子部20及び樹脂封止部24のY1方向の部分が凹部32に収容されると共に、回路基板18及び樹脂封止部24は、Y方向に位置決めされる。また、樹脂封止部24のY2方向の部分は、保護カバー30からY2方向に突出して外部に露出することになる。
なお、図5に示す状態において、ユーザ又は作業者がY2方向に突出した樹脂封止部24の一部を押さえながら、保護カバー30をY1方向に引っ張ると、図6に示すように、回路基板18及び樹脂封止部24から保護カバー30を取り外すことができ、凸型端子部20は、外部に露出することになる。
また、図6の状態において、回路基板18及び樹脂封止部24を上下反転させると共に、Y方向に沿って左右反転させると、図8に示すように、樹脂封止部24の凹部72と保護カバー30の凹部32とが対向すると共に、突出部70がパーティングライン26よりも低い位置となる。
この状態で保護カバー30をY2方向に移動させると、各突出部70が前記内壁のZ2方向側に形成された他の2つの溝76に係合する。これにより、回路基板18及び樹脂封止部24は、X方向及びZ方向に位置決めされる。
そして、保護カバー30をY2方向にさらに移動させると、各突出部70が各溝76に沿ってスライドするため、保護カバー30をY2方向にスムーズに移動させることができる。前述のように、他の2つの溝76は、2つの溝74よりもY1方向に深く形成されているため、図9に示すように、各突出部70が各溝76のY1方向の底に突き当たると、凹部72と突起部78とが嵌合すると共に、樹脂封止部24の凹部72側の側面が凹部32の底34に突き当たる。
これにより、回路基板18及び樹脂封止部24は、凹部32において、X方向及びZ方向の平面の中心位置に位置決めされる。また、各突出部70が各溝76のY1方向の底に突き当たることで、回路基板18及び樹脂封止部24は、全体的に凹部32内に収容されることになる。
なお、図10に示すように、樹脂封止部24の外周面に凹部80を設け、凹部32の内壁に該凹部80と係合する突起部82を設けておけば、凹部72と突起部78とが嵌合すると共に、樹脂封止部24の凹部72側の側面が凹部32の底34に突き当たったときに、突起部82と凹部80とが係合する。これにより、突起部82及び凹部80は、凹部32から回路基板18及び樹脂封止部24が抜けることを阻止するためのロック機構として機能する。
一方、第2実施形態において、電子回路接続装置14では、ハウジング42とコネクタ60とが一体的に構成されている。すなわち、ハウジング42の膨出部54がコネクタ60として構成されている。但し、第2実施形態では、コネクタ60である膨出部54がハウジング42に対してZ方向に膨出したフランジ部として構成されており、ハウジング42と膨出部54との間には段差が形成されている。
ハウジング42の底46側の箇所は、凹型端子部48を構成する延出部50として機能する。また、接続端子52における凹部44の部分は、ハウジング42の内壁に沿い且つ凸型端子部20に接触可能な板ばね状に形成されている。さらに、シール部材38を収容する溝66は、ハウジング42の外周面におけるY2方向側に形成され、該溝66にシール部材38が予め収容されている。
ここで、図9に示すように回路基板18、凸型端子部20及び樹脂封止部24が全体的に保護カバー30の凹部32で覆われて保護されている場合、図10に示すように、ハウジング42と保護カバー30の凹部32とを対向させた状態で、ハウジング42をY2方向に移動させると、凹部32とハウジング42の外周面とが嵌合する。
この場合、ハウジング42の外周面の溝66にシール部材38が配設されているので、ハウジング42の外周面と凹部32とが嵌合することで、シール部材38は、保護カバー30とハウジング42との隙間をシールする。これにより、外部から前記隙間を介して電子回路接続構造10Bの内部に水や泥が侵入することを阻止することができる。
ハウジング42をY2方向にさらに移動させると、ハウジング42の凹部44と樹脂封止部24の外周面とが嵌合する。すなわち、ハウジング42は、凹部32の内壁と樹脂封止部24の外周面とに狭持された状態となる。これにより、シール部材38による保護カバー30とハウジング42との隙間に対するシール性能を向上させることができる。
この状態でハウジング42をY2方向にさらに移動させると、膨出部54(コネクタ60)が保護カバー30のY1方向の先端に突き当たると共に、凸型端子部20と凹型端子部48とが嵌合する。これにより、凸型端子部20の各接続端子22と凹型端子部48の各接続端子52とは、それぞれ、電気的に接続される。すなわち、各接続端子22は、各接続端子52を介して、それぞれ、各電線62と電気的に接続される。また、膨出部54と保護カバー30とがカップリングすることで、シール部材38が前記隙間を確実にシールすることになるので、外部から前記隙間を介した電子回路接続構造10Bの内部への水や泥の侵入を効果的に阻止することができる。
また、凸型端子部20と凹型端子部48とが嵌合すると共に、膨出部54(コネクタ60)が保護カバー30のY1方向の先端に突き当たるので、電子回路装置12は、電子回路接続装置14及び保護カバー30によって形成される電子回路接続構造10Bの内部空間の所定位置に位置決め固定される。
以上説明したように、第2実施形態に係る電子回路接続構造10Bによれば、凸型端子部20を保護するときには、樹脂封止部24の一部が保護カバー30から突出する。これにより、保護カバー30から回路基板18及び樹脂封止部24を取り出しやすくなり、作業性が向上する。一方、凸型端子部20と凹型端子部48とを嵌合するときには、凸型端子部20が保護カバー30から突出していないため、凸型端子部20を確実に保護することができる。
また、凸型端子部20を保護するときには、保護カバー30の凹部32に対する回路基板18及び樹脂封止部24の挿入方向(図5及び図6ではY1方向)に沿った比較的浅い位置で、樹脂封止部24に設けられた突出部70と凹部32の内壁に形成された溝74とを係合させることにより、樹脂封止部24の一部を保護カバー30から外部に突出させることができる。
一方、凸型端子部20と凹型端子部48とを嵌合するときには、前記挿入方向に沿った比較的深い位置で、突出部70と溝76とを係合させることにより、回路基板18、凸型端子部20及び樹脂封止部24を全体的に保護カバー30から突出させないようにすることができる。この結果、電子回路接続構造10Bをより簡単な構成とすることができる。
このように、凸型端子部20を保護する場合と、凸型端子部20と凹型端子部48とを嵌合する場合とで、深さの異なる溝74、76に突出部70を差し込むようにしたので、違う溝に誤って突出部70を挿入することを回避する逆組み防止効果を実現することが可能となる。また、いずれの場合であっても、溝74、76に突出部70が係合するため、保護カバー30に対する回路基板18及び樹脂封止部24のガタツキの発生を回避することができる。
さらに、凹部32の底34に設けられた突起部78と樹脂封止部24に設けられた凹部72とが嵌合すれば、回路基板18、凸型端子部20及び樹脂封止部24は、保護カバー30の前記挿入方向に沿った中心軸(Y方向に平行で且つX方向及びZ方向の平面の中心位置を通る軸)上に配置されることになる。これにより、凸型端子部20と凹型端子部48とを嵌合する際の保護カバー30とハウジング42との位置合わせ、及び、凸型端子部20と凹型端子部48との位置合わせを容易に行うことができる。
また、凸型端子部20と凹型端子部48とが嵌合する際に、保護カバー30の先端がハウジング42の膨出部54(コネクタ60)に突き当たることにより、回路基板18、凸型端子部20及び樹脂封止部24が凹部44内で位置決め固定されるので、ハウジング42及び保護カバー30の形状を一層簡素化することができる。
さらに、凹部80及び突起部82で構成されるロック機構を用いて、回路基板18及び樹脂封止部24を保護カバー30にロックすることで、保護カバー30から回路基板18及び樹脂封止部24が外れないようにすることができる。従って、回路基板18に不具合等が発生した場合には、保護カバー30ごと交換すればよい。
なお、第2実施形態に係る電子回路接続構造10Bは、上述した点以外の構成は、第1実施形態に係る電子回路接続構造10Aと同じ構成であるため、当該同じ構成については、電子回路接続構造10Aと同様の効果が得られることは勿論である。
また、第2実施形態に係る電子回路接続構造10Bは、上記の説明に限定されることはなく、図11の第1変形例及び図12の第2変形例のように構成されてもよい。
図11に示す第1変形例では、ハウジング42が薄肉に形成され、凹部32の内壁及び樹脂封止部24の外周面から離間している。また、薄肉のハウジング42のY2方向の先端にはシール部材38が装着され、該シール部材38は、凹部32の内壁及び樹脂封止部24の外周面と接触している。従って、第1変形例において、薄肉のハウジング42は、シール部材38を介して、凹部32の内壁及び樹脂封止部24の外周面に間接的に係合することになる。
この場合、ハウジング42をY2方向に移動させると、ハウジング42の先端がシール部材38をY2方向に押圧することになる。これにより、ハウジング42の先端において、保護カバー30とハウジング42との隙間がシールされ、外部から前記隙間を介して電子回路接続構造10Bの内部に水や泥が侵入することを阻止することができる。また、薄肉のハウジング42は、シール部材38を介して、凹部32の内壁及び樹脂封止部24の外周面に間接的に係合しているので、この場合でも、電子回路接続構造10Bの内部空間で電子回路装置12を位置決め固定することが可能である。
図12に示す第2変形例では、凹部32の底34側にシール部材38が配置され、凹部80及び突起部82(図10参照)は設けられていない。この場合、ハウジング42をY2方向に移動させると、ハウジング42の先端がシール部材38をY2方向に押圧する。これにより、ハウジング42の先端において、保護カバー30とハウジング42との隙間がシールされる。この結果、外部から前記隙間を介して電子回路接続構造10Bの内部に水や泥が侵入することを阻止することができる。この場合でも、薄肉のハウジング42は、シール部材38を介して、凹部32の内壁、底34及び樹脂封止部24の外周面に間接的に係合することになるので、電子回路接続構造10Bの内部空間で電子回路装置12を位置決め固定することが可能となる。
また、図11及び図12の第1及び第2変形例では、回路基板18及び樹脂封止部24がシール部材38によってタイトな状態で保護カバー30に保持されるので、保護カバー30から回路基板18及び樹脂封止部24が外れないようにすることができる。この場合でも、回路基板18に不具合等が発生した場合には、保護カバー30ごと交換すればよい。
[第3実施形態に係る電子回路接続構造(本実施形態に係る電装品配置構造)の説明]
次に、第3実施形態に係る電子回路接続構造10Cでもある本実施形態に係る電装品配置構造90について、図13〜図18を参照しながら説明する。
本実施形態に係る電装品配置構造90(電子回路接続構造10C)は、自動二輪車92に適用される。この電装品配置構造90では、保護カバー30を省略してもよい。
ここで、電装品配置構造90が搭載される自動二輪車92について、図13を参照しながら説明する。なお、図13では、特に指示のない限り、車体に着座した乗員である運転者から見た方向に従って、矢印に示す前後及び左右の方向を説明する。
図13に示すスクータ型の自動二輪車92は、車体フレーム94を有する。車体フレーム94は、前端のヘッドパイプ96と、該ヘッドパイプ96に結合される左右一対のメインフレーム98と、車幅方向(左右方向)に延びてメインフレーム98の後部に設けられるクロスパイプ100と、該クロスパイプ100に連設される左右一対のリヤフレーム102とを有する。
ヘッドパイプ96には、前輪WFを支持するフロントフォーク104と、ハンドル106とが操向可能に支承される。メインフレーム98は、ヘッドパイプ96から後下がりに傾斜したダウンフレーム部108と、該ダウンフレーム部108の後端から略水平に後方に延びるロアフレーム部110とを有する。リヤフレーム102は、クロスパイプ100から後ろ上がりに傾斜して上方に延びる立ち上がりフレーム部112と、該立ち上がりフレーム部112の上端から該立ち上がりフレーム部112よりも緩やかな傾斜角度で後ろ上がりに傾斜しつつ後方に延びるシートレール部114とを有する。
立ち上がりフレーム部112の下部には、ブラケット116が設けられ、該ブラケット116には、軸118を介してリンク120の一端が連結される。リンク120の他端は、軸122を介してハンガ部124に連結され、該ハンガ部124は、ユニットスイング式のパワーユニット126に連結される。これにより、パワーユニット126は、上下に揺動することを可能としつつ、車体フレーム94に揺動可能に支承される。後輪WRは、パワーユニット126の後部に軸支される。また、左右一対のリヤフレーム102のうち、左側のリヤフレーム102のシートレール部114の後部及びパワーユニット126の後部間には、リヤクッションユニット128が設けられる。
左右一対のリヤフレーム102の前部間には、収納ボックス130(収容部)が支持されている。収納ボックス130を上方から覆うタンデム型の乗車用シート132は、収納ボックス130の前側上部で開閉可能に支持される。収納ボックス130の後方には、リヤフレーム102で支持される燃料タンク134が乗車用シート132で覆われるようにして配置される。
車体フレーム94、パワーユニット126の一部、収納ボックス130及び燃料タンク134は、車体カバー136で覆われている。すなわち、車体カバー136は、乗車用シート132に着座した乗員の足を前方から覆うレッグシールド138を有する。レッグシールド138の下部とパワーユニット126との間には、乗車用シート132に座った乗員が足を載せるステップフロア140が配置されている。ステップフロア140の左右両側から下方には左右一対のスカート部142が垂下している。これにより、メインフレーム98におけるロアフレーム部110は、スカート部142を含むアンダーカウル144で側方及び下方から覆われる。
また、車体フレーム94のリヤフレーム102(を構成する立ち上がりフレーム部112及びシートレール部114)に沿ってワイヤハーネス146が延在している。ワイヤハーネス146は、図13〜図16に示すように、自動二輪車92の図示しないバッテリやパワーユニット126等を電気的に接続するものであり、絶縁被覆64で被覆された複数の電線62の束を、電気絶縁性を有する粘着テープ又はラバーからなるチューブ148に挿通させて構成される。従って、ワイヤハーネス146は、柔軟性を有している。
そして、ワイヤハーネス146は、結束バンドとして機能する複数のクランプ部材150で締め付けられることにより、立ち上がりフレーム部112及びシートレール部114の所定位置に支持されている。なお、図15及び図16では、チューブ148を挿通する各電線62を被覆する絶縁被覆64の図示を省略している。
そして、本実施形態に係る電装品配置構造90は、図13〜図15に示すように、立ち上がりフレーム部112及びシートレール部114に支持されたワイヤハーネス146に固定されている。この場合、図17に示すように、立ち上がりフレーム部112及びシートレール部114は、収納ボックス130と車体カバー136とで覆われた空間内に配置されている。従って、立ち上がりフレーム部112及びシートレール部114に支持されるワイヤハーネス146や、当該ワイヤハーネス146に固定される電装品配置構造90も、収納ボックス130と車体カバー136とで覆われた空間内に配置されている。
具体的に、電装品配置構造90は、ワイヤハーネス146に装着された結束部材152(係合部)と、結束部材152に連結された電子回路接続装置14と、電子回路接続装置14に接続されたECU等の電装品である電子回路装置12とを有する。
結束部材152は、ワイヤハーネス146を締め付ける結束バンドとして機能するバンド部154と、該バンド部154に連接された差し込み部156とから構成される。
電子回路接続装置14は、第1及び第2実施形態に係る電子回路接続構造10A、10Bの電子回路接続装置14(図1〜図12参照)と比較して、下記の点で異なる。すなわち、電子回路接続装置14を構成するハウジング42の左側部には、差し込み部156が挿入される凹部158(差し込み凹部)が形成されている。また、ハウジング42は、凹部44が下方向に開口するように、上下方向に沿って配置された雌型のハウジングである。さらに、凹部44の内壁の下側にシール部材38が配置されている。さらにまた、配線部58は、ワイヤハーネス146から分岐し、ハウジング42の上部に接続されている。従って、ハウジング42の上部に設けられた凹型端子部48の接続端子52は、ワイヤハーネス146から分岐した複数の電線62とコネクタ60を介して電気的に接続されることになる。
電子回路装置12は、前述のように、第1及び第2実施形態に係る電子回路接続構造10A、10Bの電子回路装置12と比較して、保護カバー30を有していない点で異なる。
この場合、雄型端子としての凸型端子部20を上向きにしてハウジング42の凹部44と対向させた状態で、電子回路装置12を上方向に移動させて凹部44に挿入すると、凸型端子部20と凹型端子部48とが嵌合すると共に、樹脂封止部24がシール部材38を介してハウジング42に狭持される。これにより、凸型端子部20の各接続端子22は、凹型端子部48の各接続端子52を介して、ワイヤハーネス146の各電線62とそれぞれ電気的に接続される。また、シール部材38は、該シール部材38と樹脂封止部24との隙間をシールするため、外部から凹部44内への水や泥の侵入を阻止することができる。
立ち上がりフレーム部112及びシートレール部114に対するワイヤハーネス146及び電装品配置構造90(電子回路接続構造10C)の配置位置は、図13〜図15及び図17に示す位置に限定されることはなく、水や泥の侵入を回避できるのであれば、図18に示す位置に配置してもよい。図18では、立ち上がりフレーム部112及びシートレール部114の底部にワイヤハーネス146及び電装品配置構造90を配置した場合を図示している。
なお、本実施形態に係る電装品配置構造90では、水や泥がたまりにくいように、ハウジング42の凹部44が下向きに開口し、下方から電子回路装置12を挿入している。また、凹部44は、電子回路装置12と比較して、ある程度の幅を有している。そのため、電子回路装置12の樹脂封止部24が上下方向に沿ってテーパ状に形成されていても、ハウジング42は、電子回路装置12を保持することが可能である。
以上説明したように、本実施形態に係る電装品配置構造90(第3実施形態に係る電子回路接続構造10C)によれば、電子回路装置12の凸型端子部20は、回路基板18の縁部に接続端子22が形成された、いわゆるカードエッジコネクタとして構成されている。これにより、凸型端子部20が薄型化され、電子回路装置12全体を小型化することができる。この結果、電子回路接続装置14及び結束部材152を介して、電子回路装置12をワイヤハーネス146に固定することが可能となる。
また、ワイヤハーネス146は、柔軟性を有するため、ワイヤハーネス146を車体フレーム94のリヤフレーム102に支持することで、該ワイヤハーネス146に発生する振動をリヤフレーム102で吸収することができる。従って、電子回路装置12をワイヤハーネス146に固定すれば、該ワイヤハーネス146の防振効果によって電子回路装置12に伝わる振動を低減することができる。
このように、本実施形態に係る電装品配置構造90によれば、ECU等の電子回路装置12に発生する振動を低減しつつ、該電子回路装置12の配置スペースを確保することができ、電子回路装置12のレイアウトの自由度を高めることができる。
また、従来は、雌型のハウジングが比較的小さく、一方で、ECUやコネクタが大きく且つ重いので、防振効果を有するワイヤハーネス146に雌型のハウジング、ECU及びコネクタを固定することができなかった。
これに対して、本実施形態に係る電装品配置構造90において、ハウジング42は、凹部44に電子回路装置12を収容するため、該電子回路装置12よりもサイズが大きくなっている。そのため、ハウジング42に対して結束部材152の取付スペースが確保しやすくなる。また、前述のように、電子回路装置12が薄型化されるので、電子回路装置12及びコネクタ60を軽量化することができる。この結果、電子回路接続装置14及び結束部材152を介してワイヤハーネス146に容易に固定することができる。
また、配線部58は、ワイヤハーネス146から分岐してハウジング42に接続されるので、各電線62は、凹型端子部48の接続端子52と電気的に接続される。これにより、コンパクトなスペースで電子回路装置12をハウジング42及び結束部材152を介してワイヤハーネス146に固定することができる。
さらに、ハウジング42の凹部158に結束部材152の差し込み部156を挿入することにより、ハウジング42と結束部材152とが連結されるので、ワイヤハーネス146に対して電子回路装置12を簡易に取り付けることができる。
さらにまた、ワイヤハーネス146が複数のクランプ部材150によってリヤフレーム102に固定されるので、防振効果をさらに高めることができる。
また、収納ボックス130と車体カバー136との間のデッドスペースを、電装品配置構造90(電子回路装置12、電子回路接続装置14、結束部材152)やワイヤハーネス146の配置スペースとして有効活用している。この空間は、自動二輪車92において、水や泥はねがかかりにくい。従って、このような空間に電装品配置構造90を配置することで、電子回路装置12に水や泥がかかることを防止することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態の記載範囲に限定されることはない。上記の実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは、当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、特許請求の範囲に記載された括弧書きの符号は、本発明の理解の容易化のために添付図面中の符号に倣って付したものであり、本発明がその符号をつけた要素に限定されて解釈されるものではない。