以下、図示した実施例に基づいて本発明の粉体移送方法を説明する。実施例では、本発明の粉体移送方法を適用したガス化システムについて説明するが、本発明の適用先は、ガス化システムに限定されるものではなく、上下のホッパ間で粉体を移送する全ての粉体移送系に適用可能である。また、本実施例では、不活性ガスとして窒素を用いた場合で説明するが、二酸化炭素等を用いても構わず、本実施例と同様の移送方法で実施できる。
図1〜3を参照して、本発明に係る粉体移送方法を適用した、ガス化炉への石炭供給系統(石炭供給装置)について説明する。
最初に図1を参照して石炭供給系統の構成を説明する。図1に、ガス化炉46への石炭供給系統を示す。
ホッパ間の石炭移送、およびガス化炉への石炭搬送には窒素を用いる。ガス化炉は加圧した状態で運用され、本実施例では、石炭供給系統を、上から常圧ホッパ2、ロックホッパ11、フィードホッパ31の3つのホッパで構成している。本発明に係るホッパ内挿ノズルは、ロックホッパ11に設置する。
常圧ホッパ2のコーン部2aの下端(排出口)は常圧ホッパ移送管10によってロックホッパ11の上部に接続され、移送管10には常圧ホッパ移送弁9が設けられている。ロックホッパ11のコーン部11aの下端(排出口54)はロックホッパ移送管30によってフィードホッパ31の上部に接続され、移送管30にはロックホッパ移送弁29が設けられている。常圧ホッパ2とロックホッパ11との間には均圧管12が配管(接続)されており、均圧管12には均圧弁13が設けられている。ロックホッパ11とフィードホッパ31との間には均圧管14が配管されており、均圧管14には均圧弁15が設けられている。
常圧ホッパ2のコーン部2aには、常圧ホッパ上段内壁面ノズル49−2、常圧ホッパ中段内壁面ノズル50−2及び常圧ホッパ下段内壁面ノズル51−2が、常圧ホッパ中心軸2b方向に沿って、3段に配置されている。上段内壁面ノズル49−2、中段内壁面ノズル50−2及び下段内壁面ノズル51−2には、それぞれ常圧ホッパ上段内壁面ノズル窒素配管3、常圧ホッパ中段内壁面ノズル窒素配管5及び常圧ホッパ下段内壁面ノズル窒素配管7が配管されており、各配管を通じて低圧の窒素が供給される。上段内壁面ノズル窒素配管3、中段内壁面ノズル窒素配管5及び下段内壁面ノズル窒素配管7には、それぞれ常圧ホッパ上段内壁面ノズル窒素流量調整弁4、常圧ホッパ中段内壁面ノズル窒素流量調整弁6及び常圧ホッパ下段内壁面ノズル窒素流量調整弁8が設けられている。
ロックホッパ11のコーン部11aには、ロックホッパ上段内壁面ノズル49−11、ロックホッパ中段内壁面ノズル50−11及びロックホッパ下段内壁面ノズル51−11が、ロックホッパ中心軸11b(52)方向に沿って、3段に配置されている。ロックホッパ上段内壁面ノズル49−11、ロックホッパ中段内壁面ノズル50−11及びロックホッパ下段内壁面ノズル51−11には、それぞれロックホッパ上段内壁面ノズル窒素配管18、ロックホッパ中段内壁面ノズル窒素配管20及びロックホッパ下段内壁面ノズル窒素配管22が配管されており、各配管を通じて高圧の窒素が供給される。上段内壁面ノズル窒素配管18、中段内壁面ノズル窒素配管20及び下段内壁面ノズル窒素配管22には、それぞれロックホッパ上段内壁面ノズル窒素流量調整弁19、ロックホッパ中段内壁面ノズル窒素流量調整弁21及びロックホッパ下段内壁面ノズル窒素流量調整弁22が設けられている。ロックホッパ11には、ホッパ内部を加圧するためのロックホッパ加圧窒素配管16が配管されており、加圧窒素配管16にはロックホッパ加圧窒素流量調整弁17が設けられている。
ロックホッパ11にはロックホッパ内挿ノズル26が設けられており、ロックホッパ内挿ノズル26はロックホッパ内挿ノズル外筒26aとロックホッパ内挿ノズル内筒26bとで構成されている。外筒26a及び内筒26bにはそれぞれロックホッパ内挿ノズル外筒用窒素配管59及びロックホッパ内挿ノズル内筒用窒素配管24が配管され、高圧の窒素が供給されるように構成されている。外筒用窒素配管59及び内筒用窒素配管24にはそれぞれロックホッパ内挿ノズル外筒用窒素流量調整弁60及びロックホッパ内挿ノズル内筒用窒素流量調整弁25が設けられている。また、ロックホッパ内挿ノズル26には、ロックホッパ内挿ノズル内筒26bの先端位置を調整する調整装置(アクチュエータ)64が設けられている。
上述した構成により、本実施例では、下部にコーン部11a,31aを有する2つのホッパ11,31を上下に配置し、上下のホッパ11,31間で粉体を移送する粉体移送装置において、上側のホッパ11内部に、ホッパ11のコーン部11a内壁面から離れた位置で先端位置を高さ方向に調整可能に構成され、先端からホッパ排出口54(図2参照)方向に不活性ガスを噴射するホッパ内挿ノズル26と、コーン部11a内壁面に設けられコーン部11a内壁面からホッパ11内部に不活性ガスを噴射する内壁面ノズル49,50,51とを備えている。
尚、ホッパ内挿ノズル26は、上側のホッパ11に位置が固定された第1の管状部材26aと、第1の管状部材26aに少なくとも一部が挿入され、第1の管状部材26aの下端からの突出長さが変化することにより先端の高さ方向位置が変位する第2の管状部材26bとを備え、第2の管状部材26bの先端から不活性ガスを噴射する。
また、ロックホッパ11の上部にはロックホッパロードセル28が設けられており、ロックホッパロードセル28の検出信号はロックホッパロードセル演算装置62を介して制御装置61に送信されるように構成されている。
フィードホッパ31のコーン部31aには、フィードホッパ上段内壁面ノズル49−31、フィードホッパ中段内壁面ノズル50−31及びフィードホッパ下段内壁面ノズル51−31が、フィードホッパ中心軸31b方向に沿って、3段に配置されている。上段内壁面ノズル49−31、中段内壁面ノズル50−31及び下段内壁面ノズル51−31には、それぞれフィードホッパ上段内壁面ノズル窒素配管32、フィードホッパ中段内壁面ノズル窒素配管34及びフィードホッパ下段内壁面ノズル窒素配管36が配管されており、各配管を通じて高圧の窒素が供給される。上段内壁面ノズル窒素配管32、中段内壁面ノズル窒素配管34及び下段内壁面ノズル窒素配管36には、それぞれフィードホッパ上段内壁面ノズル窒素流量調整弁33、フィードホッパ中段内壁面ノズル窒素流量調整弁35及びフィードホッパ下段内壁面ノズル窒素流量調整弁37が設けられている。さらに、フィードホッパ31の底部には、フィードホッパ底部に窒素を噴射して微粉炭1の流動化を図るフィードホッパ底部流動化ノズル38aが設けられ、このノズル38aに窒素を供給するフィードホッパ底部流動化ノズル窒素配管38が配管されている。窒素配管38にはフィードホッパ底部流動化ノズル窒素流量調整弁39が設けられている。
また、フィードホッパ31の上部にはフィードホッパロードセル40が設けられており、フィードホッパロードセル40の検出信号はフィードホッパロードセル演算装置63を介して制御装置61に送信されるように構成されている。
フィードホッパ31とガス化炉46との間には微粉炭搬送管42が配管され、微粉炭搬送管42には微粉炭搬送流量調整弁41が設けられている。微粉炭搬送管42のガス化炉46側の端部は、ガス化炉46に設けられた微粉炭バーナ45に接続されている。
ガス化炉46の微粉炭バーナ45には微粉炭搬送管42の他に酸素含有ガス配管44が配管され、酸素含有ガス配管44には酸素含有ガス流量調整弁43が設けられている。ガス化炉46では生成ガス47が生成され、この生成過程でスラグ48が発生する。
次に、図1の石炭供給系統による粉体移送方法を説明する。
粉砕機で平均粒径100μm以下、かさ密度500〜600kg/m3程度に粉砕された微粉炭1は、まず常圧ホッパ2に貯留される。常圧ホッパ2の上部には、篩等が設置されており、微粉炭1中に混入した異物が取り除かれる。常圧ホッパ2に貯留された微粉炭1は、常圧ホッパ移送管10および常圧ホッパ移送弁9を介して重力落下し、直下のロックホッパ11に移送される。この際、常圧ホッパ2とロックホッパ11の均圧弁13を開けて、常圧ホッパ2とロックホッパ11の均圧管12を用いることで、微粉炭1は常圧下で移送される。また、移送速度を高めるために、常圧ホッパ2のコーン部2aに複数段設置された、常圧ホッパ内壁面ノズル49−2,50−2,51−2から窒素を噴射すると良い。本実施例では、ノズルを上段、中段、下段の3段設置した場合を示すが、段数や1段あたりのノズルの本数は、コーン部2aの大きさや移送する粉体物性(かさ密度、流動性指数など)を考慮して増減させても構わない。また、常に全てのノズル49−2,50−2,51−2から窒素を常時噴射する必要はなく、間欠で噴射したり、常圧ホッパ2内の微粉炭1の残量に応じ、間欠噴射の周期や使用するノズル本数を変えても構わない。
次に、常圧ホッパ移送弁9と常圧ホッパ2とロックホッパ11の均圧弁13が閉止された後、ロックホッパ11に貯留された微粉炭1は、フィードホッパ31と同じ圧力まで加圧される。ロックホッパ11の加圧後に、ロックホッパ11とフィードホッパ31の均圧弁15を開けて、ロックホッパ11とフィードホッパ31の圧力を均等にする。さらに、ロックホッパ移送弁29を開けて、ロックホッパ11内に貯留された微粉炭1を、ロックホッパ移送管30を介して重力落下させ、フィードホッパ31に移送する。
ロックホッパ11からの移送時に、ロックホッパ11の圧力をフィードホッパ31と均圧とする理由は、移送の有無に関係なく、所定量の微粉炭1を、搬送管42と微粉炭流量調整弁41と微粉炭バーナ45を介して、フィードホッパ31からガス化炉46に搬送継続しているためである。
特に、本実施例のように、フィードホッパ31内で微粉炭1を流動化させ、フィードホッパ31とガス化炉46の差圧で圧送する搬送方式では、微粉炭1の搬送量の変動抑制のためにフィードホッパ31圧力を一定とする運用が望ましい。フィードホッパ31の圧力を一定に保ち、かつ低コスト運用の観点から、移送時にロックホッパ11に投入する窒素流量を削減できる運用が好適である。窒素の使用量低減と移送の信頼性を高めうるロックホッパ11の運用方法については、後述する。
本実施例のように加圧下での石炭供給系統においては、微粉炭1をフィードホッパ31まで移送した後に、脱圧して微粉炭1をロックホッパ11に再充填し、フィードホッパ31内の微粉炭1が無くなる前に補充するバッチ式の移送となる。このため、各ホッパ間の移送を所定時間以内に終了させる必要がある。
微粉炭1の移送速度を高めるために、ロックホッパ11のコーン部11aに常圧ホッパ内壁面ノズル49−2,50−2,51−2を複数段に設置している。常圧ホッパ内壁面ノズル49−2,50−2,51−2から窒素を噴射することにより、微粉炭1の移送速度を高めることができる。
特に、ロックホッパ11からフィードホッパ31への移送は、加圧下で実施される。加圧下では、微粉炭1の粉体圧に加え、ロックホッパ11内の窒素の密度も常圧より高いことから、ロックホッパ11の排出口54(図2参照)付近の微粉炭1が圧密されてブリッジングを形成し、移送停滞が発生しやすくなることが懸念される。ロックホッパ内壁面ノズル49−11,50−11,51−11から窒素噴射しても、ブリッジング解消に時間を要し、所定時間以内に移送完了できないことも想定される。
そこで、ロックホッパ11の排出口54付近のブリッジングを解消および予防することで移送停滞を回避し、単位時間あたりの平均移送速度を所定値以上に保持するために、ロックホッパ内壁面ノズル49−11,50−11,51−11に加えて、ロックホッパ内挿ノズル26を設置している。ロックホッパ内挿ノズル26の先端から、ロックホッパ11の排出口54方向に向けて窒素を噴射し、ロックホッパ11の排出口54付近の微粉炭1を排出口54方向に押出すことで、ブリッジングを解消させる。
ロックホッパ内挿ノズル26の先端位置を可動式とし、コーン部11aの任意高さに設置することで、ロックホッパ11のコーン部11aの任意箇所で発生したブリッジングの近くから窒素を噴射し、微粉炭1を排出口54方向に押出すことができる。これにより、短時間でブリッジングを解消し、噴射する窒素ガス量も削減できる。
ロックホッパ内挿ノズル26は、同軸の複数の管で構成され、最外を除いた内側の管を抜き差しすることで、ノズル先端位置を任意高さに調整できる。本実施例では、ロックホッパ内挿ノズル26が、ロックホッパ内挿ノズル外筒26aとロックホッパ内挿ノズル内筒26bの2重管で構成された場合で説明する。この場合、ロックホッパ内挿入ノズル内筒26bを抜き差しすることで、先端の窒素噴射位置を可動式とできる。窒素はロックホッパ内挿ノズル内筒用窒素配管24を介して供給され、窒素流量はロックホッパ内挿ノズル内筒用窒素流量調整弁25で調整される。
ロックホッパ内挿ノズル中心軸53を、ロックホッパ11の排出口54に向けることで、ロックホッパ内挿入ノズル内筒27の先端から噴射された窒素は、ロックホッパ内挿ノズル内筒27の直下の微粉炭1をロックホッパ移送管30方向に押し出す。これにより、ロックホッパ11の排出口54付近のブリッジングを解消するとともに、ロックホッパ11の排出口54付近に空洞を形成する。ロックホッパ内挿入ノズル内筒27の先端からさらに窒素を噴射することで、窒素噴流への微粉炭1の同伴(エジェクタ)効果が期待できる。
さらに、ロックホッパ上段内壁面ノズル49−11、ロックホッパ中段内壁面ノズル50−11、ロックホッパ下段内壁面ノズル51−11といった壁面からの窒素噴射を併用し、壁面近傍で形成された微粉炭1のブリッジングが解消・崩壊されて、上記のロックホッパ11排出口54付近に形成された空洞に微粉炭1が落下することで、連続的な移送となる。ロックホッパ11の中心側と壁面側の微粉炭1にそれぞれ刺激を与えて、ブリッジングを解消する操作を継続することで、排出口54付近での新たなブリッジング形成を予防できる。これにより、単位時間あたりの平均移送速度を所定値以上に保持することが可能となる。
なお、単位時間あたりの平均移送速度は、ロックホッパロードセル28で計測したロックホッパ11内に貯留された微粉炭1の重量変化から求めると良い。ロックホッパロードセル28以外でも、粉体用のレベルセンサ等の別の計測手段を用いても構わない。
次に、ロックホッパ11のコーン部11aにおける内壁面ノズルとロックホッパ内挿ノズルの配置を図2に示す。ロックホッパ上段内壁面ノズル49−11、ロックホッパ中段内壁面ノズル50−11、ロックホッパ下段内壁面ノズル51−11を、それぞれ90度間隔で4本設置した場合を示す。
ロックホッパ11のコーン部11aの任意の箇所で形成されうるブリッジングを確実に解消するためには、内壁面ノズル49−11、50−11、51−11の段数や1段あたりのノズルの本数を増やす方が有利である。しかし、内壁面ノズル49−11、50−11、51−11の数を増やすと、噴射する窒素の使用量が増加し、ロックホッパ11とフィードホッパ31の圧力変動抑制にも不利である。このため、内壁面ノズル49−11、50−11、51−11の員数と配置は、コーン部11aの大きさ、ブリッジング形成位置、および移送する粉体物性(安息角、流動性指数、かさ密度、平均粒径、水分含有量など)を考慮して設計すると良い。ロックホッパロードセル28の重量変化から単位時間あたりの平均移送速度をモニタし、使用する内壁面ノズルの位置や員数を変える運用としても良い。
このように、内壁面ノズル49−11、50−11、51−11の設置目的は、ロックホッパ11のコーン部11aの内壁面付近の微粉炭1に刺激を与えてブリッジングを解消し、ロックホッパ排出口54方向に微粉炭1を移動する流れを作ることである。
ロックホッパ内挿ノズル26は、ロックホッパ内挿入ノズル中心軸53の延長線がロックホッパ排出口54の位置でロックホッパ中心軸52付近を通るように設置することを基本とする。理想的には、ロックホッパ内挿入ノズル中心軸53の延長線がロックホッパ排出口54の位置で中心軸52と交差するように、或いはロックホッパ排出口54の開口中心52aを通るようにする。これは、ロックホッパ内挿ノズル26の先端から噴射した窒素で、微粉炭1をロックホッパ排出口54方向に押出すためである。また、窒素や微粉炭1のロックホッパ11内壁面への衝突による磨耗も防ぐ。
本実施例では、ロックホッパ内挿ノズル26が、ロックホッパ内挿ノズル外筒26aとロックホッパ内挿ノズル内筒26bの2重管で構成された場合で説明する。この場合、ロックホッパ内挿入ノズル内筒26bを抜き差しすることで、先端の窒素噴射位置を可動式とすることができる。これにより、ロックホッパ11の内壁から離れたロックホッパ中心軸52付近の任意の高さの微粉炭1を排出口54方向に押出し、ブリッジングを解消してロックホッパ排出口54方向に微粉炭1を移動する流れを作ることができる。
なお、扱う粉体の物性や、ブリッジングの強度によっては、ロックホッパ内挿ノズル内筒26bから窒素を噴射せず、先端位置を変動(変位)させるだけで、ブリッジングを解消できる場合もある。この効果を高めるために本実施例では、ロックホッパ内挿ノズル内筒26bの先端にリブ57を設置している。リブ57は、ロックホッパ内挿ノズル内筒26bの外周面に、ノズルの中心軸53に沿って、延設されている。リブ57は、ロックホッパ内挿ノズル内筒26bの周方向に4つ配置している。リブ57の個数は4つに限定される訳ではないが、複数設ける方が大きな効果を期待できる。
また、リブ57の上端部には、ロックホッパ内挿ノズル内筒26bの上方に向かうに従って、ロックホッパ内挿ノズル内筒26bの外周面からの突き出し高さが低くなり、上流端で突き出し高さがゼロになる傾斜部57aが設けられている。
ロックホッパ内挿ノズル内筒26bの先端にリブ57を設置したことで、ノズルの可動時に周囲の粉体を刺激でき、ブリッジング解消を助ける。これにより、ロックホッパ内挿ノズル内筒先端から噴射された窒素56の流量低減効果も期待できる。また、リブ57に傾斜部57aを設けたことにより、リブ57の上端部に微粉炭1が堆積して圧密され、新たなブリッジング形成の起点となることを防ぐことができる。上方から落下してくる微粉炭1がリブ57の上端部に衝突することにより、ロックホッパ内挿ノズル内筒26bが受ける荷重を小さくすることもできる。
ロックホッパ内挿ノズル内筒26bの先端位置を変動させることによるブリッジング解消は、リブ57を設けない場合でも得られる場合がある。従って、ブリッジング解消のためにリブ57は必須の構成ではないが、リブ57を設けることによりブリッジング解消の効果を高めることができる。
また、本実施例では、ロックホッパ内挿ノズル外筒26aに窒素供給配管59を接続している。ロックホッパ内挿ノズル外筒26aの内周面とロックホッパ内挿ノズル内筒26bの外周面との間に窒素58の流れが形成され、ロックホッパ内挿ノズル外筒26aの先端から窒素58が噴射される。これにより、ロックホッパ内挿ノズル外筒26aとロックホッパ内挿ノズル内筒26bとの隙間をパージできるため、ロックホッパ内挿ノズル内筒27の変位動作の障害を取り除くことができる。
ロックホッパ内挿ノズル外筒26aに窒素供給配管59を接続して先端から窒素58を噴射する構成は、上記作用効果の必要性に応じて適宜設けるようにすれば良い。
最後に、図2のロックホッパ下段内壁面ノズル51−11が設けられた高さの断面図(III−III’断面)を図3に示す。図3ではノズル配置と窒素の噴射方向の一例を示している。ロックホッパ下段内壁面ノズル51−11を90度間隔で4本設置し、ロックホッパ内挿入ノズル内筒26bの先端を、III−III’断面まで伸ばした場合で説明する。
ロックホッパ下段内壁面ノズル51−11から噴射された窒素55は、壁面に沿って噴射すると良い。ロックホッパ下段内壁面ノズル51への微粉炭1の侵入によるノズル閉塞を防ぐため、窒素の噴射方向は、真横、斜め下方、鉛直下方のいずれでも構わない。ロックホッパ下段内壁面ノズル51−11は、壁面に沿って窒素55を噴射することにより、壁面近傍におけるブリッジングを解消する。ロックホッパ上段内壁面ノズル49−11及びロックホッパ中段内壁面ノズル50−11もロックホッパ下段内壁面ノズル51−11と同様にホッパの内壁面に沿って噴射するようにすればよいが、噴射方向はそれぞれで変えても構わない。
ロックホッパ内挿入ノズル内筒26bの先端をロックホッパ下段内壁面ノズル51−11の高さまで挿入すると、ロックホッパ排出口54の直上付近から窒素56を噴射することとなる。ロックホッパ内挿ノズル内筒26bの先端から噴射された窒素56は、ロックホッパ中心軸52に向けて斜め下方に噴射することを基本とする。
以上のように、ロックホッパ内挿ノズル26でホッパ中心軸52付近、特にホッパ排出口54直上付近の粉体を押出し、ホッパ排出口54付近で形成されたブリッジングを解消して、粉体が落下する流れを形成する。また、ロックホッパ内挿ノズル26の先端位置を可動式とすることで、ロックホッパのコーン部11aの任意の高さで形成されるブリッジングの発生位置近傍から窒素56を噴射することで、確実にブリッジングを解消し、かつ窒素56の使用量を抑えた低コスト運用を実現する。さらに、ロックホッパ内壁面ノズル49−11、50−11、51−11でホッパ壁面近傍でも形成されるブリッジングを解消することで、ホッパからの粉体の移送停滞を解消し、所定の移送速度を確保する。
また、本実施例によれば、ロックホッパ内挿ノズル26にホッパの中心軸52に対して垂直に突き出す突出面が設けられていないため、そのような突出面に粉体が堆積して圧密され、新たなブリッジング形成の起点となることを防ぐことができる。また、上方から落下してくる粉体により、ロックホッパ内挿ノズル26が受ける荷重を小さくすることもできる。
ロックホッパ内挿ノズル26の噴射口は下方を向いているため、上方から落下して周囲に堆積する粉体によって噴射口が閉塞するのを防ぐことができる。
上述したように、本実施例では、ブリッジング形成の起点となることを防ぎ、噴射口が閉塞するのを防ぐことができるので、ロックホッパ内挿ノズル内筒26bの先端部を頻繁に変動させる必要がなく、不要な不活性ガスを噴射する必要もない。
次に、図1、図4乃至図6を参照して、上述した石炭供給系統の実施例に適用される制御系と運用方法について説明する。
図1に示すように、各ホッパへの窒素供給配管に設けられた窒素の流量調整弁の開度は、全て制御装置61で調整される。
常圧ホッパ2からロックホッパ11への移送状況(平均移送速度、移送停滞の有無、移送した微粉炭1の重量)は、ロックホッパロードセル28の重量変化からロックホッパロードセル演算装置62で監視し、データを制御装置61に送って良否を判定する。平均移送速度の低下、移送停滞発生を検知した場合は、常圧ホッパ上段内壁面ノズル49−2の窒素流量調整弁4、常圧ホッパ中段内壁面ノズル50−2の窒素流量調整弁6、常圧ホッパ下段内壁面ノズル51−2の窒素流量調整弁8の開度を高め、窒素流量を増やすと良い。これら系統から窒素を間欠で噴射している場合には、制御装置61で噴射周期を調整しても良い。
ロックホッパ11からフィードホッパ31への移送状況(平均移送速度、移送停滞の有無、移送した微粉炭1の重量)は、ロックホッパロードセル28の重量変化からロックホッパロードセル演算装置62で監視し、データを制御装置61に送って良否を判定する。平均移送速度の低下、移送停滞発生を検知した場合は、ロックホッパ上段内壁面ノズル49−11の窒素流量調整弁19、ロックホッパ中段内壁面ノズル50−11の窒素流量調整弁21、ロックホッパ下段内壁面ノズル51−11の窒素流量調整弁23、ロックホッパ内挿ノズル内筒26b用の窒素流量調整弁25の開度を高め、窒素流量を増やすと良い。これら系統から窒素を間欠で噴射している場合には、制御装置61で噴射周期を調整しても良い。ロックホッパ内挿ノズル内筒26bの先端位置をロックホッパ内挿ノズル内筒26bの先端位置の調整装置64で調整しても良い。
また、通常移送時には一部のノズルから窒素を噴射し、平均移送速度の低下、移送停滞発生を検知した場合に、窒素を噴射するノズル数を増やしても構わない。例えば、通常移送時にはロックホッパ内壁面ノズル49−11、50−11、51−11を使用し、異常時にロックホッパ内挿ノズル26を使用する等である。
次に、ロックホッパ運用方法の一例を図4、図5及び図6に示す。図4は、図1に記載した制御系を用いた石炭供給系統において、ロックホッパの運用方法の一例を示す図である。図5は、図4に示す運用方法を実行するフローチャートである。図6は、図5に示すS700の粉体移送工程で実行する不活性ガスの噴射方法の一例を示すフローチャートである。
ロックホッパ11への粉体貯留は常圧で実施される。直上の常圧ホッパ2からの粉体移送(S100)により、ロックホッパ11の粉体貯留重量が所定値まで増加する(S100〜S300)。常圧ホッパ2からの粉体移送を行っている間、必要に応じてロックホッパ内壁面ノズル49−11、50−11、51−11とロックホッパ内挿ノズル26から窒素を噴射(S200)してロックホッパに貯留された粉体を刺激し、ブリッジングの形成を防ぐ。
次いで、ロックホッパ11の昇圧時には、ロックホッパ11内に窒素を供給して昇圧し(S400)、フィードホッパ31と同圧となるように加圧する。移送前の昇圧、待機時にロックホッパ11内の粉体が圧密され、ブリッジングが形成されやすい。移送前にブリッジングが形成されると、移送開始時の初期停滞に繋がる。
そこで、移送前のブリッジング形成を予防するために、移送前のロックホッパ11への粉体貯留時、ロックホッパ昇圧時、待機時にも、ロックホッパ内壁面ノズル49−11、50−11、51−11とロックホッパ内挿ノズル26から窒素を供給し、ホッパ底部の粉体に刺激を与えると良い(S200,S400)。これにより、移送前のブリッジング形成を予防でき、移送開始時の初期停滞を回避できるだけでなく、ノズルへの粉体浸入による閉塞も予防できる。尚、ロックホッパ11の昇圧時には、ロックホッパ内挿ノズル26とロックホッパ内壁面ノズル49−11、50−11、51−11とから窒素を連続噴射(S400)して昇圧時間を短縮するようにし、それ以外では窒素を間欠噴射(S200,S600)している。
ロックホッパ11の昇圧が終了すると、ロックホッパ内壁面ノズル49−11、50−11、51−11とロックホッパ内挿ノズル26とからの窒素噴射を間欠噴射に切り換える(S500)。
次いで、ロックホッパ11とフィードホッパ31の均圧弁15を開けて(S600)、両ホッパ11、31を均圧とした後に、ロックホッパ11からフィードホッパ31に粉体を移送する(S700)。本実施例では、ロックホッパ内壁面ノズル49−11、50−11、51−11とロックホッパ内挿ノズル26から窒素を間欠噴射する場合を示すが、窒素の流量や噴射周期、使用するノズル本数は、移送状況に応じ、制御装置61で適宜調整すると良い。
また、ロックホッパ内挿ノズル26の先端位置は、移送開始時はロックホッパ排出口54付近まで伸ばすと良い。これは、ロックホッパ排出口54付近の粉体の粉体圧が高く、特にブリッジングが発生しやすいためである。ロックホッパ11内の粉体貯留重量の減少に伴い、ロックホッパ内挿ノズル26の先端位置を上方に移動すると、より効果的と考えられる。
具体的には、図5のS700で粉体の移送が開始されると、図6に示すように、粉体の平均移送速度が所定速度以上であるかどうかを監視し(S710)、所定速度よりも小さくなると、ブリッジングが発生しているものと判断して、内壁面ノズル49,50,51と内挿ノズル26から不活性ガスを間欠噴射する(S720)。この場合、内壁面ノズル49,50,51と内挿ノズル26の両方から不活性ガスを間欠噴射してもよいし、いずれか一方から不活性ガスを間欠噴射し、粉体の移送速度が所定速度に回復しない場合に、他方から不活性ガスを間欠噴射するようにしてもよい。粉体の平均移送速度が所定速度以上である場合、或いはS730で不活性ガスを噴射した後、ロックホッパ11内の重量が所定重量mに減少したかどうかを判定する(S730)。ロックホッパ11内の重量が所定重量mに減少していなければ、平均移送速度の監視S710に戻る。ロックホッパ11内の重量が所定重量mに減少すると、内壁面ノズル26の位置を高めるように調整し(S740)、粉体の移送を継続する。
S730による粉体貯留重量の監視では、所定重量mを複数段階に設定し、内壁面ノズル26の高さ位置を複数段階に変位させてもよい。この場合、図6のフローが粉体の移送期間中に所定重量mの設定値を変更しながら繰り返し実行されるようにする。
上述したように、ロックホッパ内挿ノズル26の先端位置を上方に移動しても、ロックホッパ排出口54付近の粉体の粉体圧が低下傾向であるため、ロックホッパ排出口54から離れた箇所から窒素を噴射しても、十分な効果が得られる。平均移送速度が所定値以上であれば、移送前半のみ窒素噴射を実施し、後半は窒素噴射を止めても構わない。これらの流量、使用するノズル本数、先端位置などは、試運転時の調整結果を制御装置に入力しておくと、自動運転が可能である。
図7を参照して、本発明の粉体移送方法を適用した、ガス化炉への石炭およびチャーの供給系統(チャー供給装置)の実施例について説明する。図7は、ガス化炉46で微粉炭1を酸素でガス化して生成ガス47を製造し、生成ガス中に同伴されるチャーをチャー脱塵部105で脱塵し、チャーバーナ154からガス化炉46に再投入するガス化システムの系統を示す。以下の説明では、実施例1に追加した系統、運用方法について説明する。
最初にガス化炉46への石炭およびチャーの供給系統の構成を説明する。ガス化炉46への石炭供給系統については、図1と同様である。また、石炭供給系統の制御及び運用方法は実施例1と同様に実施できる。
本実施例では、チャーの供給系統を、上からチャー脱塵部105、チャーロックホッパ108、チャーフィードホッパ109の3つのホッパで構成している。チャーロックホッパ108に、実施例1で説明したホッパ内挿ノズル26と同様なチャーロックホッパ内挿ノズル134を設置している。
チャー脱塵部105のコーン部105aの下端(排出口)はチャー脱塵部移送管116によってチャーロックホッパ108の上部に接続され、移送管116にはチャー脱塵部移送弁117が設けられている。
チャーロックホッパ108のコーン部108aの下端(排出口)はチャーロックホッパ移送管141によってチャーフィードホッパ109の上部に接続され、移送管141にはチャーロックホッパ移送弁142が設けられている。チャー脱塵部105とチャーロックホッパ108との間には均圧管137が配管(接続)されており、均圧管137には均圧弁138が設けられている。チャーロックホッパ108とチャーフィードホッパ109との間には均圧管139が配管されており、均圧管139には均圧弁140が設けられている。
チャー脱塵部105のコーン部105aには、チャー脱塵部上段内壁面ノズル123−105、チャー脱塵部中段内壁面ノズル126−105及びチャー脱塵部下段内壁面ノズル129−105が、チャー脱塵部中心軸105b方向に沿って、3段に配置されている。上段内壁面ノズル123−105、中段内壁面ノズル126−105及び下段内壁面ノズル129−105には、それぞれチャー脱塵部上段内壁面ノズル窒素配管110、チャー脱塵部中段内壁面ノズル窒素配管112及びチャー脱塵部下段内壁面ノズル窒素配管114が配管されており、各配管を通じて高圧の窒素が供給される。上段内壁面ノズル窒素配管110、中段内壁面ノズル窒素配管112及び下段内壁面ノズル窒素配管114には、それぞれチャー脱塵部上段内壁面ノズル窒素流量調整弁111、チャー脱塵部中段内壁面ノズル窒素流量調整弁113及びチャー脱塵部下段内壁面ノズル窒素流量調整弁115が設けられている。
チャーロックホッパ108のコーン部108aには、チャーロックホッパ108上段内壁面ノズル123−108、チャーロックホッパ中段内壁面ノズル126−108及びチャーロックホッパ下段内壁面ノズル129−108が、チャーロックホッパ中心軸108b方向に沿って、3段に配置されている。チャーロックホッパ上段内壁面ノズル123−108、チャーロックホッパ中段内壁面ノズル126−108及びチャーロックホッパ下段内壁面ノズル129−108には、それぞれチャーロックホッパ上段内壁面ノズル窒素配管121、チャーロックホッパ中段内壁面ノズル窒素配管124及びチャーロックホッパ下段内壁面ノズル窒素配管127が配管されており、各配管を通じて高圧の窒素が供給される。上段内壁面ノズル窒素配管121、中段内壁面ノズル窒素配管124及び下段内壁面ノズル窒素配管127には、それぞれチャーロックホッパ上段内壁面ノズル窒素流量調整弁122、チャーロックホッパ中段内壁面ノズル窒素流量調整弁125及びチャーロックホッパ下段内壁面ノズル窒素流量調整弁128が設けられている。チャーロックホッパ108には、ホッパ内部を加圧するためのチャーロックホッパ加圧窒素配管119が配管されており、加圧窒素配管119にはチャーロックホッパ加圧窒素流量調整弁120が設けられている。
チャーロックホッパ11にはチャーロックホッパ内挿ノズル134が設けられており、内挿ノズル134はチャーロックホッパ内挿ノズル外筒134aとチャーロックホッパ内挿ノズル内筒134bとで構成されている。外筒134a及び内筒134bにはそれぞれチャーロックホッパ内挿ノズル外筒用窒素配管132及びチャーロックホッパ内挿ノズル内筒用窒素配管130が配管され、高圧の窒素が供給されるように構成されている。外筒用窒素配管132及び内筒用窒素配管130にはそれぞれチャーロックホッパ内挿ノズル外筒用窒素流量調整弁133及びチャーロックホッパ内挿ノズル内筒用窒素流量調整弁131が設けられている。内筒134bの先端部外周面には周方向に沿って複数のリブ136が設けられている。このリブ136はロックホッパ内挿ノズル26のリブ57と同様に設けられる。また、内挿ノズル134には、内筒134bの先端位置を調整する調整装置(図示省略)がロックホッパ内挿ノズル26と同様に設けられている。
また、チャーロックホッパ108の上部にはチャーロックホッパロードセル118が設けられており、チャーロックホッパロードセル118の検出信号はロックホッパロードセル28及びフィードホッパロードセル40と同様にロードセル演算装置(図示省略)を介して制御装置(図示省略)に送信されるように構成されている。制御装置は、石炭供給系統の制御装置61で兼用してもよいし、チャーの供給系統専用の制御装置を設けてもよい。チャーの供給系統専用の制御装置を設ける場合は、この制御装置又は制御装置61のいずれかでシステム全体を統括的に制御するようにするか、さらに上位の制御装置を設けてシステム全体を統括的に制御する。
チャーフィードホッパ109のコーン部109aには、チャーフィードホッパ上段内壁面ノズル123−109、チャーフィードホッパ中段内壁面ノズル126−109及びチャーフィードホッパ下段内壁面ノズル129−106が、チャーフィードホッパ中心軸109b方向に沿って、3段に配置されている。上段内壁面ノズル123−109、中段内壁面ノズル126−109及び下段内壁面ノズル129−109には、それぞれチャーフィードホッパ上段内壁面ノズル窒素配管144、チャーフィードホッパ中段内壁面ノズル窒素配管146及びチャーフィードホッパ下段内壁面ノズル窒素配管148が配管されており、各配管を通じて高圧の窒素が供給される。上段内壁面ノズル窒素配管144、中段内壁面ノズル窒素配管146及び下段内壁面ノズル窒素配管148には、それぞれチャーフィードホッパ上段内壁面ノズル窒素流量調整弁145、チャーフィードホッパ中段内壁面ノズル窒素流量調整弁147及びチャーフィードホッパ下段内壁面ノズル窒素流量調整弁149が設けられている。さらに、チャーフィードホッパ31の底部には、チャーフィードホッパ底部に窒素を噴射してチャーの流動化を図るチャーフィードホッパ底部流動化ノズル150aが設けられ、このノズル150aに窒素を供給するチャーフィードホッパ底部流動化ノズル窒素配管150が配管されている。窒素配管150にはチャーフィードホッパ底部流動化ノズル窒素流量調整弁155が設けられている。
また、チャーフィードホッパ109の上部にはチャーフィードホッパロードセル143が設けられており、チャーフィードホッパロードセル143の検出信号はロードセル118の検出信号と同様にロードセル演算装置(図示省略)を介してチャー供給系統の制御装置(図示省略)に送信されるように構成されている。
チャーフィードホッパ109とガス化炉46との間にはチャー搬送管152が配管され、チャー搬送管152にはチャー搬送流量調整弁153が設けられている。チャー搬送管152のガス化炉46側の端部は、ガス化炉46に設けられたチャーバーナ154に接続されている。
ガス化炉46のチャーバーナ154にはチャー搬送管152の他にチャー系酸素含有ガス配管156が配管され、チャー系酸素含有ガス配管156にはチャー系酸素含有ガス流量調整弁155が設けられている。
本実施例では、ガス化炉46で生成された生成ガス47を冷却する生成ガス冷却部104が設けられ、生成ガス冷却部104で冷却された生成ガスがチャー脱塵部105に送られる。このために、ガス化炉46と生成ガス冷却部104との間、生成ガス冷却部104とチャー脱塵部105との間がそれぞれ配管で接続されている。チャー脱塵部105に送られた生成ガスはチャー脱塵部105でチャーが脱塵され、チャーが除かれた生成ガス106が得られる。
本実施例では、コンプレッサ102で圧縮した空気101を空気分離設備103で、酸素と窒素とに分離する。酸素は酸素含有ガス配管44及びチャー系酸素含有ガス配管156によりガス化炉46に供給される。窒素は石炭供給系統及びチャー供給系統で使用される前述の窒素として供給される。
生成ガス47の温度は、生成ガス冷却部104の下流でも300度以上あり、水分も含むことからチャー脱塵部105、チャーロックホッパ108、チャーフィードホッパ109、チャー搬送管152といったチャー供給系は保温部107で保温される。チャー供給系の移送は、石炭供給系と同様の方式を適用するが、保温部107の設置のために外部からの機械的な振動(ハンマリング、攪拌器)によるブリッジング解消が難しく、本発明の移送方法の適用先としても好適である。
以上より、上述した各実施例の粉体移送方法は、ブリッジング解消とロックホッパ内挿ノズル保護を両立しており、石炭およびチャー供給系統の信頼性を高めることができる。
更に具体的には、ホッパ11内に設置した内挿ノズル26の先端位置を調整し、ホッパ11内部の任意の高さからホッパ排出口54方向に不活性ガスを噴射する。これにより、内挿ノズル26より下方の粉体をホッパ排出口54方向に押出す刺激を与え、ホッパ中心軸52付近で形成されたブリッジングを解消する。
内挿ノズル26で可動式となった、最外を除く内側の管26bの先端部外側に、それぞれリブ57を設置することで、内挿ノズル26の先端位置を変動させた場合に内挿ノズル26周囲の粉体にも刺激を与え、内挿ノズル26周囲のブリッジング解消と、内挿ノズル26の可動範囲を確保する。また、最内を除く管26bの先端部の外周部から不活性ガスを供給することで、変動時における同軸の複数の管の隙間への粉体の侵入を防ぎ、内挿ノズル26の駆動部の信頼性を確保する。
移送時には、内挿ノズル26と内壁面ノズル49−11、50−11、51−11の少なくとも一方から不活性ガスを噴射し、各ノズルから噴射する不活性ガスの流量や噴射周期、および内挿ノズル26の先端位置を、粉体の移送状況をもとに調整することで、所定時間以内に粉体移送を完了させる平均移送速度の確保と不活性ガスの使用量低減を両立させる。
また、移送前のホッパ11への粉体貯留時、圧力調整時、および移送開始までの待機時においても、内挿ノズル26と内壁面ノズル49−11、50−11、51−11の少なくとも一方から不活性ガスを噴射し、ホッパ11の底部の粉体に刺激を与え、移送前に形成されるブリッジングを解消する。これにより、移送開始時の移送停滞も予防する。
本発明は、ホッパ間で粉体を重力落下させる粉体移送系に適用できる。特に、ブリッジングを形成しやすい石炭およびチャーを加圧下で移送し、かつ一部の移送系を保温して運用するために、外部からの打撃や攪拌などの機械的な対策が困難な石炭ガス化システムが有望である。
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の制御装置61は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。或いは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。