JP6218307B2 - 起立動作誘導システム - Google Patents

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Description

本発明は、腰掛けた状態の対象者が起立状態となるための支援を行う起立動作誘導システムに係り、更に詳細には、例えば、リハビリテーション分野や健康支援分野において、対象者の能力を利用した起立動作を容易にするための起立動作誘導システムに関する。
椅子からの起立動作は、屈曲相(上体を前に倒す傾斜動作)と伸展相(上体を上に移動させる上昇動作)の二つの相が組み合わされて行われる。
起立できない人の中には、伸展相は可能であるが、転倒の恐怖により、屈曲相を行えない人がいる。このような人に対して、病院や施設等では、療法士や介護士が、屈曲相を支援、即ち背中を前に押して屈曲相を実現することで、起立させる訓練を行っている。
この屈曲相に着目した技術として、例えば、特許文献1の技術が挙げられる。
この技術は、身体の外側にリンク機構を用いた外骨格型装置を装着することで、屈曲相の動きを実現し、起立動作を容易にしている。
また、起立動作の支援に関する研究例として、以下のものがある。
非特許文献1には、椅子の手摺りを動かすことで、椅子からの立ち上がりを容易にする機構が開示されている。なお、同様の考え方で、椅子等に支持機構を付け加えることにより、起立動作を実現する研究事例は数多く存在する。
非特許文献2には、身体の外側に骨格を付ける外骨格型のパワーアシスト装置に関するもので、外部動力により、起立動作を実現する技術が開示されている。なお、類似の装置としては、サイバーダイン(株)のHAL(登録商標)が有名である。
特開2010−246626号公報
坂東直行、山田宏尚、森田啓之、田中邦彦、「上肢支援型起立動作補助装置の開発(第4報)起立補助椅子からの立ち上がりと肘掛け位置の関係」、岐阜県生活技術研究所研究報告、No.11、2009年11月、p.52−56 後藤謙治、香川高弘、宇野洋二、阪口豊、「床反力情報に基づく装着型ロボットによる起立補助」、電子情報通信学会技術研究報告、No.111 No.482、2012年3月、p.89−94
しかしながら、前記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1と非特許文献2の技術はいずれも、装置を身体の外側に取り付ける必要があり、簡単に使用しづらいという問題がある。特に、非特許文献2の技術は、装置構成が大掛かりで高価という問題もある。
また、非特許文献1の技術は、起立動作を行うに際し、支持機構が必要であり、利用場所が限定されるという問題がある。
なお、前記したように、起立できない人でも、伸展相を行うことができる場合は、例えば、療法士や介護士が背中を前に押して屈曲相を実現することで、自分の能力で起立動作が可能となる。この場合、上記した技術を用いる必要がない。
しかし、療法士や介護士の人材確保の観点から、起立動作を支援するためだけに、多くの人材を投入することができないという問題がある。また、在宅者の場合は、療法士や介護士が不在であるため、起立動作を行うことができないという問題もある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、利用場所が限定されることなく、簡単に使用でき、例えば、療法士や介護士が不在の状況下でも、独力で起立動作を実現可能な起立動作誘導システムを提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る起立動作誘導システムは、椅子、階段、台、縁石、又は、花壇の縁からなる腰掛に腰掛け状態の対象者が、上体を前に倒す傾斜動作と、前記上体を上に移動させる上昇動作を順次経て、起立状態となるための支援を行う起立動作誘導システムであって、
前記対象者の前記上体に装着し、前記傾斜動作時の加速度及び角速度を計測する慣性センサと、
前記対象者の体格データ、前記腰掛の高さ、及び、前記慣性センサで計測したデータを用いて、前記傾斜動作時における前記対象者の水平方向の重心位置を計算し、前記起立状態が可能となる設定領域まで前記重心位置が移動したか否かを判断する演算手段と、
前記重心位置が前記設定領域に移動したことを条件として、前記対象者に前記上昇動作の開始時期を呈示する情報出力手段とを有する。
本発明に係る起立動作誘導システムにおいて、前記設定領域は、前記対象者の足部、又は、該足部を含み、該足部の踵を起点として後方へ15cmの位置から、該足部のつま先を起点として前方へ15cmの位置までの範囲の領域にすることができる。
本発明に係る起立動作誘導システムにおいて、前記情報出力手段は、画像、光、音声、音、及び、触覚刺激のいずれか1又は2以上を出力して、前記上昇動作の開始時期を呈示することが好ましい。
本発明に係る起立動作誘導システムは、慣性センサと演算手段を有するので、対象者の傾斜動作時に計測した加速度及び角速度のデータ、対象者の体格データ、及び、腰掛の高さを用いて、傾斜動作時における対象者の重心位置を計算し、起立状態が可能となる設定領域まで重心位置が移動したか否かを判断できる。また、情報出力手段を有するので、対象者に上昇動作の開始時期を知らせることができる。
これにより、起立動作を容易にするタイミング、即ち、傾斜動作から上昇動作へ移行するタイミングを、対象者に知らせることができる。
従って、利用場所が限定されることなく、簡単に使用でき、例えば、療法士や介護士が不在の状況下でも、独力で起立動作を実現できる。
また、情報出力手段が、画像、光、音声、音、及び、触覚刺激のいずれか1又は2以上を出力して、上昇動作の開始時期を呈示する場合、対象者は容易に上昇動作へ移行するタイミングを知ることができる。
本発明の一実施の形態に係る起立動作誘導システムの説明図である。 (A)、(B)はそれぞれ同起立動作誘導システムに適用した人体モデルの説明図、同人体モデルにおいて椅子部に発生する反力を求めるための説明図である。 同人体モデルにおいて身体全体の重心位置を求めるための説明図である。 (A)は健常者の通常の立ち上がり動作における重心位置の計算結果の代表的なグラフ、(B)は高齢者を模擬したゆっくりとした立ち上がり動作における重心位置の計算結果の代表的なグラフである。 (A)、(B)はそれぞれ各動作パターン時の前脛骨筋の筋活動を比較したグラフ、大腿直筋の筋活動を比較したグラフである。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る起立動作誘導システム10は、椅子11に腰掛けた状態の対象者12が、上体13を前に倒す傾斜動作(以下、屈曲相ともいう)と、上体13を上に移動させる上昇動作(以下、伸展相ともいう)を順次経て、起立状態となるための支援を行う装置である。なお、対象者12は、上昇動作の開始時期がわかれば独力で起立動作を実現できる者であり、例えば、リハビリテーション分野や健康支援分野で支援を受ける必要がある者(被介護者や高齢者)等である。
以下、詳しく説明する。
起立動作誘導システム10は、対象者12の上体13に装着する慣性センサ14を有している。ここで、上体13とは、体幹ともいい、胸部15から腹部16にかけての身体を意味する。
慣性センサ14は、対象者12の上体13、特に胸部15や背中部17に装着できるものであり、3軸の加速度センサ及び3軸の角速度センサ(ジャイロセンサ)を内蔵した従来公知の小型のセンサであるが、これに限定されるものではない。また、慣性センサには他のセンサが内蔵されてもよい。
これにより、対象者12が傾斜動作(前傾動作)を行うに際し、この動作時の上体13の加速度及び角速度を計測して、上体13の動きを推定できる。
また、起立動作誘導システム10は、コンピュータ18を有している。なお、コンピュータ18は、RAM、CPU、ROM、I/O、及びこれらの要素を接続するバスを備えた従来公知のものであるが、これに限定されるものではない。
コンピュータ18は、例えば、対象者12の体格データ(例えば、身長や体重)や椅子11の高さ、また、上記した慣性センサ14で計測したデータを用いて、傾斜動作時における対象者12の身体全体の水平方向(x方向)の重心位置Xg(以下、単に重心位置Xgともいう)を計算(演算)し、起立状態が可能となる設定領域まで重心位置Xgが移動したか否か(ここでは、重心位置Xgが対象者12の足部19の領域に入ったか否か)を判断するプログラム(演算手段の一例)を有している。なお、体格データは、例えば、キーボード等の外部入力手段を用いて、また、慣性センサ14で計測したデータは、無線で送信することにより(有線で送信してもよい)、それぞれコンピュータ18に入力する。
以下、対象者12の重心位置Xgの計算方法について説明するが、この計算は、前記したコンピュータ18内のプログラムにより行われる。
起立動作中の傾斜動作時においては、体幹のみが移動する。
このことから、慣性センサ14を用いて体幹の動きのみを計測し、傾斜動作時の姿勢情報を得ることができれば、これを図2(A)に示す人体モデル20に適用することで、重心位置Xgを計算できると考えた。なお、ここでは、対象者12について、左右のバランスの崩れがない人を想定し、前後方向の運動のみに着目したが、左右のバランスに崩れがある人を想定し、左右方向の運動も考慮に入れることは、勿論可能である。
そこで、慣性センサ14によって体幹の傾斜角度を取得し、この傾斜角度を用いて対象者12の水平方向の重心位置Xgを計算する方法について、図2(A)、(B)、図3を参照しながら説明する。
まず、モデル単純化のため、図2(A)に示すように、人体モデル20(対象者12)の身体を、体幹部、大腿部、下腿部の計3つに分かれた剛体リンクモデルとした。この各リンクの身体パラメータは、過去の研究結果を参考にした。また、頭部と上肢の重さは体幹部に含めた。
そして、足部19の荷重R(足部に発生する反力R)と椅子部(椅子11)への荷重R(椅子部に発生する反力R)を計算し、これら2つの荷重を用いて、式(1)により、踝からの水平方向の重心位置Xg(踝を起点とする身体全体の重心位置(x方向))を計算した。
Xg=R(Lcosθ−Lcosθ)/(R+R) ・・・(1)
以下、式(1)の導出方法について説明する。
まず、図2(A)、(B)より、足部19に発生する反力Rを支点としたとき、力の釣り合いの式は、以下のようになる。
+P=P+P ・・・(2)
ここで、各記号の意味を、以下に示す。
:下腿部の重心に作用する力
:大腿部の重心に作用する力
:体幹部の重心に作用する力
:踝を起点とする下腿部の重心位置(x方向)
:踝を起点とする大腿部の重心位置(x方向)
:踝を起点とする体幹部の重心位置(x方向)
:踝を起点とする臀部の位置(x方向)
また、上記した式(2)中のP〜P、及び、X〜Xは、それぞれ以下に示す通りである。
=M
=M
=M(g+αZM3
=Lcosθ×a
=Lcosθ×a−X
=Lcosθ−Lcosθ−Lcos{θ−(2π−θ−θ)}
=Lcosθ−Lcosθ
ここで、各記号の意味を、以下に示す。
:下腿部の質量
:大腿部の質量
:体幹部の質量
g:重力加速度
θ:足関節の角度
θ:膝関節の角度
θ:股関節の角度
:下腿部の長さ
:大腿部の長さ
:体幹部の長さ
αZM3:体幹部の重心の加速度(z方向)
:下腿部の重心位置(下腿部の長さを100%としたときの下腿部下端からの位置を「%」で換算)
:大腿部の重心位置(大腿部の長さを100%としたときの大腿部下端からの位置を「%」で換算)
:体幹部の重心位置(体幹部の長さを100%としたときの体幹部下端からの位置を「%」で換算)
上記したP〜P、及び、X〜Xの各式を、前記した式(2)に代入して、椅子11部への荷重Rを求める。
また、図3より、足部19の荷重Rを支点としたとき、力の釣り合いの式は、以下のようになる。
PXg=R ・・・(3)
ここで、式(3)中のPは、以下のようになる。
P=P+P+P=R+R
従って、式(3)に、前記したXの式と、上記したPの式を代入することで、前記した式(1)が得られる。
これにより、コンピュータ18(プログラム)を用いて、式(1)から得られる水平方向の重心位置Xgが、起立状態が可能となる設定領域まで移動したか否かを判断できる。
ここで、起立状態が可能となる設定領域まで重心位置Xgが移動するとは、上体13を、傾斜動作から上昇動作へ移行させようとする対象者12が、立ち上がれずに、再度、椅子11に座り込むことのない領域を意味する。
この設定領域は、例えば、対象者12の足部19又は足部19を含む周囲近傍の領域を意味する。ここで、足部19を含む周囲近傍の領域は、対象者12の傾斜動作が速い場合等を考慮し、足部19の踵を起点として後方へ例えば15cm(好ましくは10cm、更に好ましくは5cm)の位置から、対象者12の傾斜動作が遅い場合等を考慮し、足部19のつま先を起点として前方へ例えば15cm(好ましくは10cm、更に好ましくは5cm)の位置までの範囲に設定できる。
ここで、上記した計算方法の有効性を、シミュレーションによって評価した結果について説明する。
ここでは、シミュレーションに使用するための立ち上がり動作を計測した。なお、被験者(対象者)は、健常男性5名である。
被験者には、肩峰、腸骨稜、大転子、膝、踝、中足骨の左右の全12点に赤外線反射マーカを貼り付け、赤外線カメラ8台を用いた3次元動作解析装置ViconMX(Vicon−Peak社製)と、4枚の床反力計(AMTI社製)を用いて、立ち上がり動作の計測を行った。計測は、サンプリング周波数100Hzで行った。
また、被験者には、1)通常の立ち上がり動作、2)高齢者の動きを想定した通常よりもゆっくりとした立ち上がり動作、の2パターンの立ち上がり動作を、各5試行ずつ行ってもらった。
なお、椅子11の高さは0.42m、動作開始時の足部19の位置は、事前に被験者の立ち上がり易い位置を決定してもらい、各被験者を毎回同じ位置に座らせるため、臀部と足部19の位置にはテープを貼り、これを目印とした。
そして、計測した立ち上がり動作時の慣性センサ14のデータを用いて、水平方向の重心位置Xgを計算した。
まず、健常者の通常の立ち上がり、高齢者の動きを想定したゆっくりとした立ち上がりの各水平方向の重心位置Xgの計算結果の代表例を、図4(A)、(B)にそれぞれ示す。
ここで、図4(A)、(B)の縦軸は、身体全体の水平方向の重心位置(踝を原点として前方を正の値とする)を、横軸は時間を、それぞれ示す。また、図4(A)、(B)中の実線は実測値、一点鎖線は前記した式(1)により得られる計算値、短破線の縦線は臀部離床のタイミング、長破線の横線は足部19の領域(基底面)の境界を、それぞれ表す。なお、足部19の領域の境界は、踝からの距離が「−0.053±0.0057(m)」の位置に規定している。また、身体全体の水平方向の重心位置のRMSE(平均二乗誤差)値(m)を、表1に示す。
Figure 0006218307
表1に示すように、RMSE値は、通常の立ち上がりで「0.021±0.011(m)」、ゆっくりとした立ち上がりで「0.019±0.013(m)」であり、2パターンとも、比較的誤差は小さかった。また、図4(A)、(B)中の点線丸印の箇所に示すように、臀部の離床直前から、計算値と実測値との間に、差が開いていくことがわかる。
今回の試験では、椅子の下部に設置した床反力計の計測値が「0」になった瞬間を、臀部の離床と定義している。しかし、人体モデルの臀部と椅子部は接地していると仮定しているため、臀部の離床に向けて臀部が浮き始めると、計算値と実測値に差が生じることとなった。
一方、本発明では、重心位置が足部19の領域に入っているか否かを判断することが重要となるため、重心位置が領域の境界に入るまでは、正確な重心位置の計算が必要となる。
ここで、図4(B)に示すように、ゆっくりとした立ち上がり動作では、重心位置が足部19の領域に充分に入るまで、臀部が離床しないため、領域の境界まで正確な重心位置の計算ができていることがわかる。
特に、リハビリ現場では、起立動作訓練の最初に、ゆっくりとした動作で、足部に重心をのせることを指導する。これは、椅子からの立ち上がり時の転倒を防止するための安全な立ち上がり法として、臀部の離床前の座面においては、身体の重心位置を前方に移動させた上で、まず膝を伸ばし、次に体を伸ばすことが知られているからである。
従って、このような訓練の際、本発明は、対象者にとっても介助者にとっても、指標となると考えられる。
図1に示すように、起立動作誘導システム10のコンピュータ18は、画像を出力するディスプレイ(情報出力手段の一例)21と、音を出力するスピーカ(情報出力手段の一例)も有している。
このディスプレイ21とスピーカは、重心位置が対象者12の足部19の領域に入ったことを条件として、対象者12に上昇動作の開始時期を、それぞれ画像と音により呈示するものである。なお、画像と音の出力は、コンピュータ18内のプログラムにより行われる。
ディスプレイ21は、椅子11に腰掛けた状態の対象者12が上昇動作へ移行するまで、上体13の傾斜状態をレベル表示するものである。具体的には、上体13を大きく傾けてよい時期(表示:「体幹を傾けてください。」)、上体13を慎重に傾ける時期(表示:「もう少し」)、及び、上昇動作を行ってよい時期(表示:「立ち上がってください。」)に、それぞれ色分けされた複数のバーが、画像として表示されるものである。
また、スピーカは、対象者12が傾斜動作から上昇動作へ移行する際に、ビープ音(ブザー音や音楽、また、音声でもよい)を鳴らすものである。
なお、上昇動作の開始時期を呈示する情報出力手段は、上記した構成に限定されるものではなく、例えば、光を出力する発光素子や、触覚刺激(振動)を出力するバイブレーション機能でもよい。
また、例えば、以上に示したディプレイ、発光素子、スピーカ、及びバイブレーション機能のいずれか1又は2以上を組み合わせ、これに対応して、画像、光、音声、音、及び、触覚刺激のいずれか1又は2以上を出力することも可能である。
ここで、前記した重心位置の計算方法を基に、Visual C#を用いて、図1に示すディスプレイ21の画像を出力するシステムを作成し、その有用性を検証した。
このシステムは、被験者(対象者)が体幹を傾け重心を移動させるにつれ、図1中の枠で囲まれた画像のように、矢印に従ってバーが左から順に点灯していくものである。このバーは、重心位置が、足部19の領域の境界より6〜12cm離れている領域では赤色に点灯し、0〜6cm離れている領域では黄色に点灯し、領域内に入ると青色に点灯するものであり、青色の点灯時にはビープ音も鳴ることで、重心位置が領域に入っていることを知らせている。
また、上記したそれぞれの領域では、「体幹を傾けてください。」、「あと少し」、「立ち上がってください。」と、コメントが表示され、使用者の動作を誘導する。
この有用性の検証に際しては、健常者の筋活動を用いた。被験者は健常男性2名(被験者a、被験者b)である。なお、被験者の体幹角度を計測するため、9軸ワイヤレスモーションセンサ(LOGICAL PRODUCT、300(deg/s)、5(G))を、胸部に装着した。
ここで、動作パターンは、1)システムによって重心位置が領域内に入っていないと判断された箇所で立ち上がる動作、2)システムによって重心位置が領域の境界上(領域外)と判断された箇所で立ち上がる動作、3)システムによって重心位置が領域内に十分に入っていると判断された箇所で立ち上がる動作、4)システムを使用せずに通常通りに立ち上がる動作、の4つであり、各パターンを5試行ずつ行ってもらった。
立ち上がり動作中の主動筋となる4つの筋の筋活動は、表面筋電計(EMGマスター Km−818、(株)メディカメント)で測定した。また、測定筋は、前脛骨筋(TA)、大腿直筋(RF)、大臀筋(GMA)、脊柱起立筋(ES)である。
なお、立ち上がり動作が矢状面に対して対称であると仮定し、右側の筋の筋電図を測定した。また、各筋の最大随意収縮時の筋活動(Maximum Voluntary Contraction;MVC)を測定し、各パターンでの立ち上がりに要した筋活動を、平均%MVCとして求めた。
この測定結果のうち、前脛骨筋(TA)と大腿直筋(RF)の各測定結果を、図5(A)、(B)にそれぞれ示す。ここで、図5(A)、(B)中の縦軸は%MVCを、横軸は各条件(動作パターン1〜4)を、それぞれ表している。
まず、パターン1では、被験者2名とも全試行で臀部は離床したものの、立ち上がることはできなかった。
また、全体を通して比較すると、図5(A)、(B)に示すように、前脛骨筋、大腿直筋の2筋に共通して、パターン1とパターン2が、パターン3とパターン4に比べて、比較的筋活動が大きくなった。
なお、大臀筋に関しては、過去の知見に比べ、%MVCの値が小さくほぼ変動がなかったため、実際の筋活動を測定できていない可能性がある。
また、パターン1はパターン2に比べ、図5(A)に示す前脛骨筋の筋活動が大きくなり、図5(B)に示す大腿直筋や、脊柱起立筋の筋活動は小さくなった。これは、重心が後方に残ったまま立ち上がろうとするため、前脛骨筋の筋活動が大きくなったが、体幹と膝関節を伸展する前に立ち上がれなかったため、大腿直筋や脊柱起立筋の筋活動が小さくなったためと考えられる。
そして、図5(A)、(B)に示すように、パターン3の値は、立ち上がることのできたパターン2に比べ、パターン4に近く、無理せず立ち上がりを行えていることがわかる。
上記した結果から、本発明の起立誘導支援システムを使用することにより、重心位置が後方にあって大きな筋活動を必要とするような立ち上がり動作ではなく、使用者が無理なく立ち上がれる動作を誘導できる。これは、介護者にとっても立ち上がりの目安となり、また介護の経験がない者でも、適切な立ち上がり動作を、被介護者に指示することができることを意味する。
次に、本発明の一実施の形態に係る起立動作誘導システム10の使用方法について、図1を参照しながら説明する。
まず、伸展相を行うことはできるが、起立できない対象者12を椅子11に座らせ、その上体13(ここでは胸部15)に、慣性センサ14を装着する。なお、慣性センサ14の装着は、例えば、バンド等で行うことができる。
次に、例えば、キーボードを用いて、起動させたコンピュータ18に、対象者12の体格データ(例えば、身長や体重)や椅子11の高さを入力する。また、このとき、起立状態が可能となる設定領域(ここでは、足部19の領域とする)も、予め入力しておく。
なお、慣性センサ14で計測した加速度及び角速度は、無線により、コンピュータ18に入力される。
上記した準備が終了した後、椅子11に腰掛けた状態の対象者12に、まず傾斜動作を行ってもらう。
この傾斜動作時に得られる対象者12の上体13の動作、即ち加速度及び角速度は、逐次コンピュータ18に送信され、コンピュータ18は予め設定されたプログラムにより、対象者12の重心位置Xgを算出し、対象者12の動作を推定して、この重心位置Xgが足部19の領域に入っているか否かを判断する。
このとき、ディスプレイ21には、バーが点灯されると共に、体幹の傾斜指示が表示されるため、対象者12は、例えば、体幹を傾ける速度を調整しながら、上昇動作へ移行する時期を確認できる。
そして、コンピュータ18から対象者12に、上昇動作の開始時期が呈示、即ち、ディスプレイ21に表示されるバーが、重心位置が足部19の領域内に入ったことを示し、「立ち上がってください。」とのコメントが表示され、更にビープ音も鳴ることで、対象者12は、傾斜動作から上昇動作へと移行する。
これにより、利用場所が限定されることなく、簡単に使用でき、例えば、療法士や介護士が不在の状況下でも、独力で起立動作を実現できる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の起立動作誘導システムを構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、演算手段及び情報出力手段と、慣性センサとを、別々に設けた起立動作誘導システムについて説明したが、演算手段、情報出力手段、慣性センサを一体構造とした起立動作誘導システムとすることもできる。この場合、このシステムを対象者の上体に装着するだけで、対象者に上昇動作の開始時期を知らせることができる。
従って、この場合は、使用し易く、しかも、コンパクト化が図れた起立動作誘導システムを提供できる。
また、前記実施の形態においては、対象者が椅子に腰掛けた状態から起立状態となるための支援を行った場合について説明したが、対象者が腰掛けることができれば、椅子に限定されるものではなく、例えば、階段や台、縁石、花壇の縁等でもよい。
更に、前記実施の形態においては、傾斜動作時における対象者の水平方向の重心位置を、式(1)を用いて計算した場合について説明したが、重心位置が計算できれば、式(1)に限定されるものではなく、例えば、更に詳細な条件を設定した人体モデルや、予め対象者に傾斜動作を行ってもらったときの実績データ等を用いることもできる。
10:起立動作誘導システム、11:椅子、12:対象者、13:上体、14:慣性センサ、15:胸部、16:腹部、17:背中部、18:コンピュータ、19:足部、20:人体モデル、21:ディスプレイ(情報出力手段)

Claims (3)

  1. 椅子、階段、台、縁石、又は、花壇の縁からなる腰掛に腰掛け状態の対象者が、上体を前に倒す傾斜動作と、前記上体を上に移動させる上昇動作を順次経て、起立状態となるための支援を行う起立動作誘導システムであって、
    前記対象者の前記上体に装着し、前記傾斜動作時の加速度及び角速度を計測する慣性センサと、
    前記対象者の体格データ、前記腰掛の高さ、及び、前記慣性センサで計測したデータを用いて、前記傾斜動作時における前記対象者の水平方向の重心位置を計算し、前記起立状態が可能となる設定領域まで前記重心位置が移動したか否かを判断する演算手段と、
    前記重心位置が前記設定領域に移動したことを条件として、前記対象者に前記上昇動作の開始時期を呈示する情報出力手段とを有することを特徴とする起立動作誘導システム。
  2. 請求項1記載の起立動作誘導システムにおいて、前記設定領域は、前記対象者の足部、又は、該足部を含み、該足部の踵を起点として後方へ15cmの位置から、該足部のつま先を起点として前方へ15cmの位置までの範囲の領域であることを特徴とする起立動作誘導システム。
  3. 請求項1又は2記載の起立動作誘導システムにおいて、前記情報出力手段は、画像、光、音声、音、及び、触覚刺激のいずれか1又は2以上を出力して、前記上昇動作の開始時期を呈示することを特徴とする起立動作誘導システム。
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