この発明を添付の図面を参照しながら説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示している。同符号の部分についての重複説明は適宜に簡略化あるいは省略する。
実施の形態1.
図1から図14は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は食器洗浄乾燥機の全体構成を示す縦断面透視図、図2は食器洗浄乾燥機が備える送風口及び水流口の正面図、図3は食器洗浄乾燥機の送風口からの空気流の噴出角度と水流口からの水流の噴出角度との関係の第1の設定例を説明する図、図4食器洗浄乾燥機の送風口からの空気流の噴出角度と水流口からの水流の噴出角度との関係の第2の設定例を説明する図、図5は食器洗浄乾燥機の制御系統の機能的な構成を示すブロック図、図6は食器洗浄乾燥機の各工程における水流及び空気流の有無の一例を示す図、図7は食器洗浄乾燥機の洗浄工程における状態を説明する縦断面透視図、図8は食器洗浄乾燥機が備える分岐弁の動作について説明する図、図9は食器洗浄乾燥機のすすぎ工程における状態を説明する縦断面透視図、図10は食器洗浄乾燥機の乾燥工程における状態を説明する縦断面透視図、図11は食器洗浄乾燥機の動作モードの例の一覧図、図12は食器洗浄乾燥機のつけ置き洗浄を可能にした構成を示す縦断面透視図、図13は食器洗浄乾燥機の第1の設置例を示す縦断面透視図、図14は食器洗浄乾燥機の第2の設置例を示す縦断面透視図、図15は食器洗浄乾燥機の制御動作を示すフロー図である。
図1に示すように、この発明に係る食器洗浄乾燥機は、箱状の筐体100を備えている。筐体100の内部には、洗浄室110が形成されている。洗浄室110は、開口111を介して、筐体100の外部と通じている。また、ここでは、洗浄室110の開口111は、筐体100の上部に形成されている。この開口111により、洗浄室110の上方が筐体100の外部へと開放されている。利用者は、被洗浄物400である食器を手に持ち、開口111から洗浄室110内に出し入れすることが可能である。なお、洗浄室110の開口111は、筐体100の上部に限られず、例えば、筐体100の側部に側方へと洗浄室110を開放するように設けてもよい。
筐体100の前面(手前側の面)に下寄りには、吸気口201が形成されている。吸気口201からは、筐体100の内部に通風路202が延びて形成されている。通風路202は洗浄室110の手前側と奥側の二手に分かれている。手前側の通風路202は洗浄室110の手前側面112に形成された送風口203に通じている。また、奥側の通風路202は洗浄室110の奥側面113に形成された送風口203に通じている。
通風路202が手前側と奥側とに分岐する箇所には、ブロワモータ204が取り付けられている。ブロワモータ204は、送風口203から空気流を噴出させる送風手段である。すなわち、ブロワモータ204が動作すると、通風路202に負圧が発生し吸気口201から通風路202へと空気が取り込まれる。そして、通風路202を通った空気は、手前側面112の送風口203及び奥側面113の送風口203から空気流となって洗浄室110内に噴出される。なお、送風口203からは、ブロワモータ204により生成された空気のみが噴出される。
また、ブロワモータ204よりも下流側の通風路202内には、風用ヒータ205が設置されている。風用ヒータ205は、通風路202内の空気を温め、送風口203から噴出される空気流を温風にするためのものである。なお、ここでは、ブロワモータ204の下流で通風路202が二手に分かれているため、風用ヒータ205はこの二手に分かれたそれぞれの通風路202内に設置されている。
筐体100の内部には、貯水タンク301が設けられている。貯水タンク301からは、筐体100の内部に通水路302が延びて形成されている。通水路302は洗浄室110の手前側と奥側の二手に分かれている。手前側の通水路302は洗浄室110の手前側面112に形成された水流口303に通じている。また、奥側の通水路302は洗浄室110の奥側面113に形成された水流口303に通じている。
貯水タンク301から通水路302へと通じる箇所には、ポンプ304が設けられている。貯水タンク301は、給水弁305を介して外部の水供給源と接続されている。外部の水供給源は例えば、家庭用の水道等である。ポンプ304及び給水弁305は、水流口303から水流を噴出させる送水手段である。すなわち、ポンプ304が動作すると、貯水タンク301内の水が通水路302を通り、手前側面112の送風口203及び奥側面113の送風口203から水流となって洗浄室110内に噴出される。また、給水弁305を開くことで、外部の水供給源の水圧により、貯水タンク301から通風路202を経由した水が、手前側面112の送風口203及び奥側面113の送風口203から水流となって洗浄室110内に噴出される。
洗浄室110の下部すなわち底面部114には、水戻り口が形成されている。そして、この水戻り口は、戻り水路306を介して貯水タンク301へと通じている。したがって、貯水タンク301は、水戻り口を介して洗浄室110から排出された水を貯めることができる。そして、送水手段であるポンプ304は、戻り水路306を介して洗浄室110から戻ってきた貯水タンク301内の水を水流口303から噴出可能である。水戻り口には、水戻り口フィルタ307が設置されている。水戻り口フィルタ307は、洗浄室110内から貯水タンク301へと戻される水に含まれる異物等を除去するためのものである。
貯水タンク301内には、水用ヒータ308が設置されている。水用ヒータ308は、貯水タンク301内の空気を温め、水流口303から噴出される水流を温水にするためのものである。貯水タンク301内の水は、排水弁309を介して外部へと排出することができる。なお、排水弁309に代えて排水ポンプを設けてもよい。
また、貯水タンク301とポンプ304との間には、給水フィルタ310が設置されている。給水フィルタ310は、貯水タンク301からポンプ304により通水路302へと送られる水に含まれる異物等を除去するためのものである。
給水弁305から貯水タンク301へと至る水路と、ポンプ304から水流口303へと至る通水路302との交わる箇所には、分岐弁311が設けられている。分岐弁311は、給水弁305に至る水路、貯水タンク301に至る水路、ポンプ304へと至る水路、及び、水流口303へと至る通水路302の4つの水路の接続状態を切り替えることができる。この分岐弁311により、後述するように、給水弁305から供給された水を通水路302に導いたり、給水弁305から供給された水を貯水タンク301へと導いたり、あるいは、ポンプ304からの水を、水流口303へと通じる通水路302へと導いたりすることが可能である。
貯水タンク301内には、水位センサ312が取り付けられている。水位センサ312は、貯水タンク301内の水位を検出する。特に、水位センサ312は、貯水タンク301が満水に近い一定範囲の水位を少なくとも検出することができるように設けられている。
図2は、洗浄室110の内壁面(手前側面112及び奥側面113)に形成された送風口203及び水流口303を正面から見た図である。図面に向かって上が開口111側、下が底面部114側である。この図2に示すように、送風口203及び水流口303は、開口111の開口面とほぼ平行に並んだ列を成している。なお、開口111の開口面とは、開口111の周縁を規定する周縁線が含まれる面であり、洗浄室110の内部と外部との境界をなす面である。そして、送風口203の列は、水流口303の列よりも開口111に近い側に配置されている。すなわち、送風口203は、洗浄室110の内壁面における、水流口303よりも開口111に近い箇所に形成されている。
次に、図3を参照しながら、以上のように形成された送風口203及び水流口303から噴出される空気流及び水流の噴出角度の関係の第1の設定例について説明する。送風口203及び水流口303は、空気流及び水流を、洗浄室110内の底面部114側、すなわち、洗浄室110内の開口111とは反対側へと向けて噴出するように形成されている。この際、送風口203は、開口111の開口面と空気流の噴出方向とがなす角度が予め定められた送風角度αとなるように形成されている。また、水流口303は、開口111の開口面と水流の噴出方向とがなす角度が予め定められた水流角度βとなるように形成されている。そして、送風角度αが、水流角度β以下となるように、送風口203及び水流口303の向きが調整されている。
前述したように、送風口203及び水流口303は、洗浄室110の内壁面(手前側面112及び奥側面113)に、送風口203が水流口303よりも開口111側になるように形成されている。そして、開口111の開口面に対する送風角度αが水流角度β以下となるように調整される。このため、送風口203から噴出される空気流は、常に、水流口303から噴出される水流よりも、洗浄室110内における開口111側にくることになる。
次に、図4を参照しながら、送風口203及び水流口303から噴出される空気流及び水流の噴出角度の関係の第2の設定例について説明する。前述した第1の設定例と同様に、送風口203及び水流口303は、空気流及び水流を、洗浄室110内の底面部114側、すなわち、洗浄室110内の開口111とは反対側へと向けて噴出するように形成されている。この際、送風口203は、開口111の開口面と空気流の噴出方向とがなす角度が予め定められた送風角度αとなるように形成されている。また、水流口303は、開口111の開口面と水流の噴出方向とがなす角度が予め定められた水流角度βとなるように形成されている。
今、洗浄室110内に皿等の略平板状の被洗浄物400が、開口111の開口面と任意の角θをなして挿入されている状況を考える。そして、開口111の開口面に垂直な方向に沿った、送風口203の位置と水流口303の位置との距離をhとする。また、開口111の開口面に垂直な方向に沿った、送風口203の位置と、送風口203から送風角度αで噴出された空気流が被洗浄物400に衝突する位置との距離をaとする。そして、開口111の開口面に垂直な方向に沿った、水流口303の位置と、水流口303から水流角度βで噴出された水流が被洗浄物400に衝突する位置との距離をbとする。
この第2の設定例においては、洗浄室110内における任意の位置に任意の向き(角度θ)で挿入された被洗浄物400に対し、以上のように定義される各距離h、a及びbについて、次の(1)式が成立する送風角度α及び水流角度βの組となるように、送風口203及び水流口303の向きが調整されている。
a−h<b ・・・ (1)
あるいは、開口111の開口面に平行な方向に沿った、送風口203の位置と、送風口203から送風角度αで噴出された空気流が被洗浄物400に衝突する位置との距離をcとする。また、開口111の開口面に平行な方向に沿った、水流口303の位置と、水流口303から水流角度βで噴出された水流が被洗浄物400に衝突する位置との距離をdとする。
このようにすると、a及びbはそれぞれ、a=c×tanα、b=d×tanβと表すことができる。そして、これらの関係式を(1)式に代入することで次の(2)式を得る。
c×tanα−h<d×tanβ ・・・ (2)
したがって、この第2の設定例における別表現では、洗浄室110内における任意の位置に任意の向きで挿入された被洗浄物400に対し、以上のように定義される各距離h、c及びd、並びに、送風角度α及び水流角度βについて、次の(2)式が成立するように、送風口203及び水流口303の向きが調整されている。
以上のような第2の設定例によれば、洗浄室110内に被洗浄物400が挿入された状態において、送風口203から噴出される空気流は、水流口303から噴出される水流よりも、洗浄室110内における開口111側にくることになる。
次に、以上のように構成された食器洗浄乾燥機の制御系統の構成について、図5を参照しながら説明する。なお、以下で説明する制御系統の各部は、例えば、筐体100内に収容される制御基板上の回路等により実装される。送風手段であるブロワモータ204、送水手段であるポンプ304及び給水弁305、並びに、風用ヒータ205、水用ヒータ308、排水弁309及び分岐弁311の動作は、制御部501により制御される。また、水位センサ312により検出された貯水タンク301の水位は、制御部501に入力される。
制御部501は、必要に応じて水位センサ312により検出された水位を参照し、ブロワモータ204、ポンプ304、給水弁305、風用ヒータ205、水用ヒータ308、排水弁309及び分岐弁311のそれぞれの動作を制御することにより、被洗浄物400についての洗浄工程、すすぎ工程及び乾燥工程の各工程を実行する。これらの工程のうち、どの工程をどのような順序・組み合わせで行うかは、モード設定部502により設定されるモードに応じて決定される。すなわち、制御部501は、モード設定部502により設定されるモードに従って、洗浄工程、すすぎ工程及び乾燥工程の各工程を実行する。
ここで特に、制御部501は、予め定められた場合において、水流口303からの水流の噴出と送風口203からの空気流の噴出とを同時に行わせるように送水手段であるポンプ304及び給水弁305並びに送風手段であるブロワモータ204を制御する。
図6は、各工程における送風口203及び水流口303からの空気流及び水流の噴出の有無の一例を示すものである。この図6に示すように、洗浄工程においては、水流口303から水流を噴出させ、送風口203からの空気流の噴出は停止させる。この際、水流口303から噴出させる水流の強度が調整可能である場合には、洗浄工程では弱水流とすることが好ましい。また、洗浄工程で水流口303から噴出させる水流中には食器用洗剤を混入させてもよい。
図7に示すのは、洗浄工程における各部の動作状態の一例である。洗浄工程の開始時には、制御部501は、給水弁305を開き、分岐弁311を図8の(a)の状態にする。この状態においては給水弁305から供給された水が分岐弁311を介して通水路302に送られる。そして、通水路302に送られた水は水流口303から噴出される。水流口303から噴出された水流は、開口111から洗浄室110内に挿入された被洗浄物400に衝突し、被洗浄物400の汚れを洗い流す。洗浄室110内の水は戻り水路306を通って貯水タンク301へと戻される。
排水弁309は閉じられているため、戻り水路306を通って貯水タンク301へと戻された水は貯水タンク301内に貯まっていく。そして、水位センサ312により貯水タンク301内の水位が一定以上となったことが検出されると、制御部501は、給水弁305を閉じ、分岐弁311を図8の(b)の状態にし、ポンプ304を作動させる。こうして、今度は、貯水タンク301内の水をポンプ304により循環させて水流口303より噴出させる。このようにすることで、洗浄工程で必要な水量を少なく抑え、節水効果を得ることができる。なお、この例では、ブロワモータ204は停止されており、送風口203から空気流は噴出されない。
この状態においては、利用者は手に持った被洗浄物400を洗浄室110内で上下させることにより、被洗浄物400の所望の箇所に水流を当てて洗浄することができる。
なお、洗浄工程の開始時に、給水弁305を開き、分岐弁311を図8の(c)の状態にすることで、洗浄室110を経由することなく給水弁305から直接に貯水タンク301に水を導入して貯水タンク301内に一定量の水を貯めるようにしてもよい。
図6に戻り、すすぎ工程においては、水流口303から水流を噴出させ、かつ、送風口203から空気流を噴出させる。すなわち、水流口303からの水流の噴出と送風口203からの空気流の噴出とが同時に行われる。水流口303から噴出させる水流の強度が調整可能である場合には、すすぎ工程では強水流とすることが好ましい。
図9に示すのは、すすぎ工程における各部の動作状態の一例である。すすぎ工程においては、給水弁305を開き、分岐弁311を図8の(a)の状態とし、ポンプ304を停止させて、給水弁305から供給される水の水圧を利用して水流口303から水流を噴出させる。水流口303から噴出された水流は、開口111から洗浄室110内に挿入された被洗浄物400に衝突し、被洗浄物400に残った洗剤及び軽微な汚れを洗い流す。すすぎ工程では、給水弁305から供給された水道水がそのまま水流口303から水流として噴出される。
洗浄室110内の水は戻り水路306を通って貯水タンク301へと戻される。排水弁309は開かれており、貯水タンク301内に貯まった汚水は排水弁309を通って外部へと排出される。また、ブロワモータ204を作動し、送風口203から空気流を噴出させる。
この状態においては、利用者は手に持った被洗浄物400を洗浄室110内で上下させることにより、被洗浄物400の所望の箇所に水流を当ててすすぐことができる。なお、この際、前述したように、送風口203から噴出される空気流は、水流口303から噴出される水流よりも、洗浄室110内における開口111側にある。このため、水流と空気流とを同時に噴出することで、水流が被洗浄物400に衝突して発生する水しぶきが開口111側へと飛散することを空気流により防ぐことができる。
再び図6に戻り、乾燥工程においては、水流口303からの水流の噴出を停止させ、送風口203からの空気流の噴出のみを行う。
図10に示すのは、乾燥工程における各部の動作状態の一例である。乾燥工程においては、ブロワモータ204を作動し、送風口203から空気流を噴出させる。そして、給水弁305を閉じ、ポンプ304を停止させて、水流口303からの水流の噴出を停止させる。送風口203から噴出された空気流を被洗浄物400に当てることにより、被洗浄物400に付着している水を飛ばし、あるいは、水を蒸発させて、被洗浄物400を乾燥させる。また、排水弁309は開かれており、貯水タンク301内に残っている汚水の排出が続けられる。
なお、この乾燥工程においては水流を噴出させないため、水用ヒータ308による加熱は停止させる。風用ヒータ205を動作させるか否かについては、利用者が適宜に選択できるようにしてもよい。また、洗浄工程及びすすぎ工程における風用ヒータ205及び水用ヒータ308の動作についても、利用者が適宜に選択できるようにしてもよい。
この状態においては、利用者は手に持った被洗浄物400を洗浄室110内で上下させることにより、被洗浄物400の所望の箇所に空気流を当てて乾燥させることができる。
次に、図11を参照しながら、モード設定部502により設定可能なモードのいくつかの例について説明する。まず、モード1においては、洗浄工程は、利用者が被洗浄物400を手で持ち(以下、単に「手持ち」という)、水流口303から水流が噴出される。送風口203からの空気流の噴出(以下、「風」という)の有無は、利用者が適宜に選択可能とする。
モード1においては、すすぎ工程と乾燥工程は、同時に行われる。このすすぎ工程と乾燥工程を同時に行う点について詳しく説明する。この場合には、制御部501は、水流口303からの水流の噴出と送風口203からの空気流の噴出とを同時に行わせるように送水手段である給水弁305及び送風手段であるブロワモータ204を制御して、被洗浄物400のすすぎ工程と乾燥工程とを同時に行う。
すなわち、図9を参照しながら説明したように、すすぎ工程においては、水流と空気流とが同時に噴出されている。このとき、洗浄室110内において空気流は常に水流よりも開口111側にあるため、被洗浄物400に空気流が当たっている箇所も被洗浄物400に水流が当たっている箇所よりも開口111側になる。
そこで、利用者が被洗浄物400を洗浄室110内から開口111側へと引き出すことで、被洗浄物400のどの箇所においても、水流によりすすがれた後に空気流により乾燥されることになる。このように、水流と空気流とを同時に噴出し、利用者が被洗浄物400を洗浄室110内から開口111側へとゆっくり引き出すことで、被洗浄物400のすすぎと乾燥を同時に行うことができる。すすぎと乾燥を同時に行うことができるため、工程の短時間化及び省労力化を図ることが可能である。
したがって、モード1においては、すすぎ工程と乾燥工程を同時に行うため、被洗浄物400は手持ちであって、すすぎ工程及び乾燥工程の両工程において風が有り、かつ、水流口303からの水流の噴出も有ることになる。
次に、モード1’は、このモード1において、すすぎ工程と乾燥工程とを別々に行うようにしたものである。したがって、洗浄工程はモード1と同様である。また、すすぎ工程では、被洗浄物400は手持ちで、水流口303から水流が噴出される。風の有無は、乾燥を同時に行う必要がないため、利用者が適宜に選択可能とする。そして、乾燥工程では、被洗浄物400は手持ちで、水流口303からの水流の噴出は停止され、風は有りとなる。
モード2は、モード1において洗浄工程で被洗浄物400を洗浄室110の底面部114に載置(以下、「底置き」という)するようにしたものである。この底置きする点について図12を参照しながら次に説明する。この図12に示すように、洗浄室110は、底面部114に被洗浄物400を載置することができるようになっている。そして、洗浄工程においては、底面部114に載置された被洗浄物400に直接的に水流を当てる、あるいは、被洗浄物400の下部に洗浄水を溜めることにより、被洗浄物400を洗浄する。後者のいわゆる漬け置き洗いの場合には、底面部114の水戻り口に開閉可能な弁を設ける等して、洗浄室110内の下部に水を溜めることができるようにする。
図11に戻って、モード2のすすぎ工程及び乾燥工程は、モード1の場合と同様である。すなわち、被洗浄物400を手持ちして、すすぎ工程及び乾燥工程の両工程において風が有り、かつ、水流口303からの水流の噴出も有ることになる。利用者は、洗浄室110の底面部114に置かれた洗浄が完了した被洗浄物400を手で掴み、被洗浄物400をゆっくり開口111から取り出すことにより、当該被洗浄物400のすすぎ及び乾燥を同時に行うことができる。
モード3は、モード2において、さらに、すすぎ工程も底置きとしたものである。すなわち、モード3の洗浄工程は、モード2の場合と同様に被洗浄物400を洗浄室110の底面部114に載置した状態で行われる。そして、すすぎ工程においても、そのまま被洗浄物400を洗浄室110の底面部114に載置した状態で、被洗浄物400に直接的に水流を当てる、あるいは、被洗浄物400の下部にすすぎ水を溜めることにより、被洗浄物400をすすぐ。
モード3の乾燥工程は、モード1’の場合と同じである。すなわち、被洗浄物400を手持ちして、水流口303からの水流の噴出は停止され、風は有りとなる。利用者は、洗浄室110の底面部114に置かれたすすぎが完了した被洗浄物400を手で持ち風に当てることで、当該被洗浄物400の乾燥を行う。
モード3’は、モード3において、さらに、乾燥工程も底置きとしたものである。すなわち、モード3’の洗浄工程、すすぎ工程及び乾燥工程は、全て被洗浄物400を洗浄室110の底面部114に載置した状態で行われる。乾燥工程においては、洗浄室110の底面部114に載置された被洗浄物400に対して送風口203から風が送られる。
以上で例示したような各モードは、利用者の操作により設定・切り替えることができる。例えば、利用者が足で踏むことで操作可能なフットスイッチを用いる、筐体100内に組み込まれたノックセンサを利用する、あるいは、音声センサを利用する等が考えられる。なお、ノックセンサとは、利用者の足、膝又は手等による筐体100への衝撃付与を検知して動作するセンサである。また、筐体100の上面に操作パネルを設けてもよい。これらのスイッチ、センサ、パネル等への操作に応じて、モード設定部502がモードを設定する。
なお、洗浄工程、すすぎ工程及び乾燥工程のうちの1つの工程のみを実施する単工程モードを設けることで、これらの工程のうちの1つを直接的に利用者が選択できるようにしてもよい。
また、洗浄室110の開口111の周縁に、被洗浄物400を検知する光学式センサ等を設けてもよい。このセンサにより、洗浄室110に被洗浄物400が挿入されたことを検知して、自動的に動作を開始する。また、動作中にこのセンサが開口111付近にある被洗浄物400を一定時間継続して検知しなかった場合には、自動的に動作を終了する。
次に、図13及び図14を参照しながら、以上のように構成された食器洗浄乾燥機の筐体100の設置方法を例を挙げて説明する。まず、図13に示すのは食器洗浄乾燥機の第1の設置例を示すものである。この第1の設置例においては、筐体100の底部に、支持部121を介して車輪122が取り付けられている。ここでは、車輪122は、筐体100の底部における手前側と奥側の左右にそれぞれ1つずつ、計4つ取り付けられている。
各車輪122は支持部121に対して回転可能に設けられている。筐体100は、この車輪122を介して例えば床面等の設置面に載置される。したがって、利用者は筐体100の設置位置を容易に動かすことができる。なお、各車輪122の支持部121を筐体100の底面に対し、当該底面に垂直な軸を中心に回転自在にすることで、筐体100の向きを容易に変えることができるようにしてもよい。
次に、図14に示すのは、食器洗浄乾燥機の第2の設置例を示すものである。この第2の設置例においては、筐体100の底部に足部131が取り付けられている。ここでは、足部131は、筐体100の底部における手前側と奥側の左右にそれぞれ1つずつ、計4つ取り付けられている。足部131は、左右それぞれに奥行き方向すなわち前後方向にわたって設けられた2本のレール132上に係合されている。
足部131は、レール132に案内されて、レール132上を自由にスライド移動させることができるようになっている。あるいは、レール132自体が前後に伸縮可能になっており、足部131が前方側のレール132に固定されていてもよい。このように、足部131とレール132とにより構成されたスライド機構により、筐体100を前後方向に容易に動かすことができる。
次に、図15を参照しながら、モード設定部502により設定されたモードに基づいて制御部501が各工程を実施する動作の流れを説明する。まず、ステップS1では、制御部501は、モード設定部502により設定されたモードにおいて、次に実行すべき工程が何であるのかを判断する。次に実行すべき工程が洗浄工程である場合には、ステップS2へと進む。
ステップS2においては、制御部501は、洗浄工程を実行する。そして、ステップS3へと進み、洗浄が終了したか否かを確認する。洗浄が終了していない場合には、ステップS2へと戻り洗浄を継続する。そして、ステップS3において洗浄が終了した場合には、ステップS4へと進む。
ステップS4では、制御部501は、モード設定部502により設定されたモードが、すすぎ工程と乾燥工程を同時に実施するものであるか否かを判断する。設定されたモードがすすぎ工程と乾燥工程を同時に実施するものでない場合には、ステップS5へと進む。
ステップS5においては、制御部501は、すすぎ工程を実行する。そして、すすぎ工程の終了後にステップS6へと進み、制御部501は、乾燥工程を実行する。乾燥工程が終了すれば、一連の動作フローも終了となる。
一方、ステップS4において、設定されたモードがすすぎ工程と乾燥工程を同時に実施するものである場合には、ステップS7へと進む。ステップS7においては、制御部501は、すすぎ工程と乾燥工程を同時に実行する。そして、このすすぎ・乾燥工程が終了すれば、一連の動作フローも終了となる。
また、ステップS1において、次に実行すべき工程がすすぎ工程である場合には、ステップS5へと進む。そして、ステップS5のすすぎ工程とステップS6の乾燥工程とを順に行って一連の動作フローを終了する。ステップS1において、次に実行すべき工程が乾燥工程である場合には、ステップS6へと進み、乾燥工程を行った後、一連の動作フローを終了する。そして、ステップS1において、次にすすぎ工程と乾燥工程とを同時に実施すべきである場合には、ステップS7へと進み、すすぎ工程と乾燥工程を同時に実行した後、一連の動作フローを終了する。
なお、以上においては、送風口203及び水流口303を、それぞれ手前側面112及び奥側面113に設け、これに合わせて、通風路202及び通水路302を手前側と奥側とに二手に分かれるように設けた場合について説明した。しかしながら、送風口203及び水流口303は、洗浄室110内の前後左右あるいは底面のいずれの内壁面に設けられてもよい。また、通風路202及び通水路302についても、必ずしも手前側と奥側とに二手に分かれるように設けることはない。通風路202及び通水路302は、送風口203及び水流口303の位置に合わせて適宜に配置すればよい。
以上のように構成された食器洗浄乾燥機は、開口111を介して外部と通じた洗浄室110が内部に形成された筐体100と、洗浄室110の内壁面に形成された水流口303から水流を噴出させる送水手段であるポンプ304及び給水弁305と、洗浄室110の内壁面における、水流口303よりも開口に近い箇所に形成された送風口203から空気流のみを噴出させる送風手段であるブロワモータ204と、水流口303からの水流の噴出と送風口203からの空気流の噴出とを同時に行わせるように送水手段及び送風手段を制御する制御部501と、を備えている。
このような構成を備えることにより、洗浄室110内の水流よりも開口111側に空気流が形成されるため、洗浄室110内で被洗浄物400が動かされても、被洗浄物400において水流が当たっている箇所の開口111側に常に空気流が当たっている状態とすることができる。したがって、洗浄中又はすすぎ中に利用者が手に持った被洗浄物を動かした際であっても、筐体外に水が飛散することを抑制することが可能である。
さらに、洗浄室110内で水流と空気流とを被洗浄物400に当てることができるため、洗浄、すすぎ及び乾燥の一連の工程を半自動化でき、かつ、すすぎと乾燥を同時に行うこともできる。
また、例えば特許文献1に示されたような従来技術では、洗浄した被洗浄物が濡れたまま本体(筐体)の外に出されるため、装置の周りが水浸しになってしまうおそれもある。これに対し、以上のように構成された食器洗浄乾燥機によれば、被洗浄物400において水流が当たっている箇所の開口111側に常に空気流が当たっている状態とすることができる。このため、被洗浄物400を開口111を通して洗浄室110から取り出したときには、仮に完全に乾燥できなくても被洗浄物400に残存する水を少なくすることが可能であり、装置の周りが濡れることの抑制を図ることがきる。
加えて、洗浄・すすぎ・乾燥にかける時間及び程度について、利用者本人の手でコントロールすることができ、被洗浄物400の特に汚れがひどい箇所等に集中して洗浄等を行うことが可能であるため、仕上がりについての個人的な満足度向上に寄与することができる。
実施の形態2.
図16から図23は、この発明の実施の形態2に係るもので、図16は食器洗浄乾燥機の全体構成を示す縦断面透視図、図17は食器洗浄乾燥機の要部拡大断面図、図18は食器洗浄乾燥機が備える送風口及び水流口の正面図、図19は図18のA−A断面図及びB−B断面図、図20は図18のC−C断面図、図21は図18のD−D断面図、図22は食器洗浄乾燥機が備える送風口及び水流口の他の例の正面図、図23は図22のE−E断面図である。
図16及び図17に示すように、この実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、送風口203及び水流口303が洗浄室110の内壁面である手前側面112及び奥側面113に形成されている。しかしながら、送風口203及び水流口303が配置される相対的な位置関係が実施の形態1とは異なっている。
すなわち、これらの図16及び図17に示すように、実施の形態1の場合とは逆に、水流口303が、洗浄室110の内壁面における、送風口203よりも開口111に近い箇所に形成されている。
ただし、実施の形態1では、図3に示した開口111の開口面と空気流の噴出方向とがなす角度が予め定められた送風角度αと、開口111の開口面と水流の噴出方向とがなす角度が予め定められた水流角度βとの関係について、送風角度αが水流角度β以下となるように、送風口203及び水流口303の向きが調整されていた。これに対し、この実施の形態2では、送風角度αが水流角度β未満となるように、送風口203及び水流口303の向きが調整されている。
すなわち、実施の形態1では、空気流の噴出方向と水流の噴出方向とが平行である場合も許容されていたが、実施の形態2では、空気流の噴出方向と水流の噴出方向とが平行である場合は許容されず、空気流の噴出方向と水流の噴出方向とは縦断面透視図において交わることになる。そして、この際、開口111の開口面を基準として送風角度αが水流角度β未満となることから、水流の噴出方向は、開口111側から底面部114側へと、空気流の噴出方向を縦断面透視図において横切ることになる。
ここで、図18に示すように、洗浄室110の内壁面(手前側面112及び奥側面113)に形成された送風口203及び水流口303を正面から見た場合、水流口303及び送風口203は、開口111の開口面に沿った方向について交互に配置されている。したがって、送風口203から噴出される空気流と、水流口303から噴出される水流とは、互いにぶつかることなくすれ違うことができる。
なお、図18は図2と同じく図面に向かって上が開口111側、下が底面部114側である。そして、送風口203及び水流口303は、開口111の開口面とほぼ平行に並んだ列を成しており、水流口303の列は、送風口203の列よりも開口111に近い側に配置されている。
図18中の断面A−Aによる断面図と断面B−Bによる断面図とを並べて示したのが図19である。このように、開口111に近い側の断面A−Aによる断面図では水流口303のみが現れ、開口111に遠い側の断面B−Bによる断面図では送風口203のみが現れる。そして、開口111の開口面に沿った方向について見ると、送風口203と水流口303とは交互に配置されている。
図18中の断面C−Cによる断面図を図20に、断面D−Dによる断面図を図21に示す。送風口203と水流口303とは交互に並んでいるため、図20には送風口203のみが、図21には水流口303のみが現れている。そして、これらの図を比較しながら見ると、図20に示すように、開口111から比較的に遠い送風口203からは開口111の開口面に対し比較的に浅い角度で空気流が噴出される。一方、図21に示すように、開口111から比較的に近い水流口303からは開口111の開口面に対し比較的に深い角度で水流が噴出される。
なお、図18に示したものでは、水流口303の下縁が送風口203の上縁よりも上方にあった。すなわち、水流口303と送風口203とは上下方向においても重なっていなかった。この点については、図22に示すように、水流口303と送風口203とが上下方向において一部重なり合うようにしてもよい。すなわち、水流口303の上縁が送風口203の上縁よりも上方にあり、かつ、水流口303の下縁が送風口203の下縁よりも上方にあるようにしてもよい。
この場合には、水流口303と送風口203とが上下方向においても重なる図22中の断面E−Eによる断面図(図23)では、水流口303と送風口203とが交互に並んで現れる。
さらには、水流口303及び送風口203を、洗浄室110の開口111から等距離の位置に、開口111の開口面に沿った方向について交互に配置するようにしてもよい。
なお、他の構成については実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
以上のように構成された食器洗浄乾燥機においても、特に被洗浄物400が挿入される洗浄室110の中央部付近においては、水流よりも開口111側に空気流を形成することができる。したがって、実施の形態1と同様に、洗浄室110内で被洗浄物400が動かされても、被洗浄物400において水流が当たっている箇所の開口111側に常に空気流が当たっている状態とすることができるため、洗浄中又はすすぎ中に利用者が手に持った被洗浄物を動かした際であっても、筐体外に水が飛散することを抑制することが可能である。
また、被洗浄物400を開口111を通して洗浄室110から取り出したときには、仮に完全に乾燥できなくても被洗浄物400に残存する水を少なくすることが可能であり、装置の周りが濡れることの抑制を図ることがきる。さらに、洗浄室110内で水流と空気流とを被洗浄物400に当てることができるため、洗浄、すすぎ及び乾燥の一連の工程を半自動化でき、かつ、すすぎと乾燥を同時に行うこともできる。
加えて、洗浄・すすぎ・乾燥にかける時間及び程度について、利用者本人の手でコントロールすることができ、被洗浄物400の特に汚れがひどい箇所等に集中して洗浄等を行うことが可能であるため、仕上がりについての個人的な満足度向上に寄与することができる。