JP6217196B2 - 半導体材料、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

半導体材料、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6217196B2
JP6217196B2 JP2013145101A JP2013145101A JP6217196B2 JP 6217196 B2 JP6217196 B2 JP 6217196B2 JP 2013145101 A JP2013145101 A JP 2013145101A JP 2013145101 A JP2013145101 A JP 2013145101A JP 6217196 B2 JP6217196 B2 JP 6217196B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
oxide
film transistor
thin film
gallium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013145101A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015018929A (ja
Inventor
太郎 吉野
太郎 吉野
中川 直紀
直紀 中川
井上 和式
和式 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2013145101A priority Critical patent/JP6217196B2/ja
Publication of JP2015018929A publication Critical patent/JP2015018929A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6217196B2 publication Critical patent/JP6217196B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Thin Film Transistor (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Description

本発明は、薄膜トランジスタに使用される半導体材料、当該半導体材料を使用した薄膜トランジスタ、当該薄膜トランジスタの製造方法に関する。
近年、金属の酸化物による半導体(以下、金属酸化物半導体という)が注目されている。多くの金属酸化物は、酸素欠陥と適切なドーパントの添加により半導体の性質を示す。特に、亜鉛・インジウム・ガリウムなどを主成分とした金属酸化物半導体は、価電子帯と伝導帯とのバンドギャップが3eV以上であり、可視光で透明であるという特徴を有している。ここで、主成分とは、非主成分よりも全体に対して存在する割合が突出した成分のことをいい、例えば非主成分よりも数十倍以上の割合で存在する成分のことをいう。
また、このような金属酸化物半導体は、原子間の結合が不秩序なアモルファス状態であっても移動度が比較的高いという特徴を有し、低温でのスパッタ法で成膜することができるという特徴を有している。
上記の特徴を生かして、金属酸化物半導体、特に酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛系金属酸化物半導体は、表示ディスプレイ用の薄膜トランジスタへの適用が試みられている。しかし、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛系金属酸化物半導体を薄膜トランジスタに適用した場合、以下の(1)〜(3)に示す問題があった。
(1)薄膜トランジスタの動作に伴う発熱によって、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛系金属酸化物半導体から酸素が脱離しやすくなり、酸素が脱離するとトランジスタの特性、特に閾値が大きく変動する。
(2)薄膜トランジスタ同士を結合するソース・ドレイン配線には、金属が使用されている。特に、最近ではアルミニウム合金による配線が多用されている。アルミニウムの酸化物はAlであり、不導体で電気を通さない。従って、アルミニウムに代表される不導体酸化物を形成する金属でソース・ドレイン電極を形成すると、金属酸化物半導体中の酸素がソース・ドレイン配線に移動し、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛系金属酸化物半導体とソース・ドレイン配線との界面に不導体を形成しトランジスタとして動作しない。
(3)金属酸化物半導体では、各金属と酸素との間の電気陰性度の差が大きく、金属原子は陽電荷に、酸素原子は陰電荷に分極して結合し、最外殻電子が伝導帯や価電子帯といったバンドを形成している。このようなバンドの中を電子や正孔が通過すると、分極している各金属原子と酸素原子とがクーロン力を受け、結合が歪んでバンド構造に変化をもたらす。すなわち、金属酸化物半導体は、特にアモルファス状態において、電気的特性と非晶質状態での原子秩序との関係が非常に敏感であり、成膜条件や成膜装置によって簡単に電気的特性が変化して所望の性能が得られない。
上記の問題(1)に対しては、ゲート絶縁膜にフッ素を含有させ、チャネル部での酸素脱離によって発生した格子欠陥をフッ素で終端化する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、上記の問題(2)に対しては、金属酸化物と配線との間に、酸化反応を起こしにくい金属をバリアメタルとして挟み込み、アルミニウム配線の上面と側面とをOプラズマで酸化させ、バリアメタルとアルミニウムとの間で発生する電気化学反応を抑制し配線の信頼性を確保する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、上記の問題(3)に対しては、金属酸化物半導体が持つ本質的な欠点であるため、解決方法は提示されていない。
特開2011‐119355号公報 特開2011‐91352号公報
Hideo Hosono, "Ionic amorphous oxide semiconductors: Material design, carrier transport, and device application", Journal of Non-Crystalline Solids 352, 2006, 851-858
しかし、特許文献1では、発生した酸素欠損を別の元素で補っており、金属酸化物半導体の化学組成が変化するため、トランジスタ特性が変動するという問題があった。
また、特許文献2では、バリアメタルに酸化反応を起こしにくい金属を使用した場合であっても、金属酸化物半導体による薄膜トランジスタが飽和領域付近で使用されると、ドレイン端で発生する発熱によって、金属酸化物半導体の酸素とバリアメタルとが反応を起こし、不導体になってしまうという問題があった。
また、上記の問題(3)については、金属酸化物半導体の本質的な問題として放置されている。
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、アモルファス状態での安定性が向上し、トランジスタ動作時の酸素欠損を防止し、トランジスタの信頼性を向上させることが可能な半導体材料、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明による半導体材料は、金属元素の主成分にインジウム、ガリウム、および亜鉛を含む金属酸化窒化物からなり、金属酸化窒化物は、アモルファス状態であって、化学組成がIn3Ga3Zn3O((12−1.5α)−x)Nα(0<α≦8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)である。
本発明において、上記のように構成したことにより、アモルファス状態での安定性が向上し、トランジスタ動作時の酸素欠損を防止し、トランジスタの信頼性を向上させることが可能となる。
本発明の実施の形態1による薄膜トランジスタの構成の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2による薄膜トランジスタの構成の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3による薄膜トランジスタの構成の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4による薄膜トランジスタの構成の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4による薄膜トランジスタの製造工程の一例を示す図である。 金属酸化物半導体の原子配列の模式図である。 孤立している状態におけるZn原子およびO原子の電子配置を示す図である。 ZnOをイオン結合とみなした場合における電子配置を示す図である。 ZnOを共有結合とみなした場合における、形式荷電で解釈したときのZn原子およびO原子の電子配置を示す図である。 形式荷電の概念によってInGaZnOを共有結合とみなした場合における各原子の結合様式を示す図である。 AlN−GaN−InNを形式荷電で解釈したときの各原子の結合様式を示す図である。
本発明の実施の形態について、図面に基づいて以下に説明する。
<前提技術>
まず、本発明の前提となる技術について説明する。
アモルファス状態の酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛系金属酸化物半導体が高性能を示すメカニズムについては、例えば図37に示すような模式図とともに、以下の原理(1)〜(3)によって所定の性能が達成できると説明されてきた。なお、図37は、非特許文献1のFig.3に対応している。
(1)金属酸化物半導体のうち、特に酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛の系では、金属と酸素とはイオン結合をしており、酸素イオンは非常に半径が小さく、4つの花弁のような形をした2p軌道が最外殻である。それに対して金属イオンは非常に半径が大きく、球形の4s軌道と5s軌道が最外殻である。
(2)電子の主な伝導経路は、インジウム原子の5s軌道が担っている。
(3)インジウムイオンの5s軌道は、酸素イオンの2p軌道と比較して相対的に非常に大きい。従って、原子間の結合はインジウムイオンの5s軌道が担っており、球形の形状をしたイオン同士の結合であるため、アモルファス状態でも良好な伝導特性を確保できる。
発明者は、酸化インジウム・酸化亜鉛・酸化ガリウムをはじめ、様々な無機化合物について、その結合様式を原子のもつ電子状態から考察することによって、より詳細に無機化合物の結合と導電機構とについて説明することを可能とした。
まず、結晶状態での酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛系金属酸化物半導体
の結合機構について詳細に説明する。
一般に、イオン結合結晶は、お互いの電荷をやり取りすることによって閉殻となり、陽イオンと陰イオンとはクーロン力で結合するものである。従って、イオン結合物質の結晶構造は、イオン半径の比率によって決まる幾何学的な配位数と、その原子が周囲の原子から受けるクーロン力(マーデルングエネルギー)が最小になるようにして決定される。イオン半径の比率と、比率に応じてパッキングが充填される適性値を示すと、陽イオン/陰イオンの半径比が0.155〜0.225では陽イオンは3配位となり、半径比が0.225〜0.414では陽イオンは4配位となる。また、イオンの半径比が0.414〜0.732では陽イオンは6配位となり、0.732〜1では陽イオンは8配位となる。
ここで、酸化亜鉛(ZnO)が完全なイオン結合で結晶構造を成立せしめていると考えた場合、ライナス・ポーリングの提唱した値によれば、亜鉛イオンのイオン半径は0.74Åであり、酸素イオンのイオン半径は1.40Åである。この場合、陽イオン/陰イオンのイオン半径比は0.528で6配位となり、かつマーデルングエネルギーが最小となる塩化ナトリウム(NaCl)型結晶構造を取ることになる。
ところが、実際の酸化亜鉛では、4配位のウルツ鉱型であり、イオン結合から想定される幾何学的な配位数と一致しない。これは、実際の無機化合物の大半が、程度の差こそあれイオン結合と共有結合との両者が混合した結合様式であること、そして、酸化亜鉛の原子間の結合様式が主として共有結合によって支配されていることで説明することができる。
ここで、共有結合の無機化合物について考察する際に、「形式荷電」という概念を導入する。
共有結合は、結合を行っている原子同士が電子を共有し、各原子が安定な電子配置を取ることによって成立する。このとき、安定な電子配置を取るように各原子間で電子の分配授受が生じると想定する。この授受される電子の数が「形式荷電」である。実際の共有結合では、このような電子の授受は存在し得ないが、共有結合物質の構造と電子配置との関係を考える際に、形式荷電を想定すると現象を容易に理解することができる。
安定相であるウルツ鉱型ZnOの結晶構造について考える。
原子として孤立している状態における亜鉛および酸素原子の電子配置を図38に示す。この物質の結晶構造がイオン結合で説明できないことは上記の通りである。図39に示すように、ZnOがイオン結合であると仮定すると、亜鉛(Zn)原子の電子配置は、K殻、L殻およびM殻に電子が充填されて閉殻である。そして、N殻に4s軌道に2個の電子が存在している。一方、酸素(O)原子の電子配置は、K殻に電子が充填されて閉殻であり、L殻の2s軌道に2個、2p軌道に4個の電子が存在している。
ここで、ZnOが共有結合していると考え、形式荷電の概念を用いて、共有結合しているZnOの亜鉛原子が酸素原子から2個の電子をもらってZn2e(Zn2+と表記しないのはイオン結合と区別するためである)となり、酸素原子は亜鉛原子に2個の電子を供給してO2h(亜鉛の場合と同様にイオン結合と区別するためである)といった形式荷電を保有している状態であると考える。
ZnOについて上記の形式荷電を想定すると、亜鉛原子は、N殻の4s軌道に2個、4p軌道に2個の電子が存在することになる。また、同様に、酸素原子は、L殻の2s軌道に2個、2p軌道に2個の電子が存在することになる。
配位子場理論によると、このような電子配置を取った原子は、電子雲が周囲のクーロン力と熱エネルギーによって容易に分裂・励起され、図40に示すように、各々の原子の最外殻のs軌道に1個、p軌道に3個の電子配置を取って安定状態になる。この場合、s軌道に存在する1個の電子とp軌道に存在する3個の電子とは、お互いのエネルギー準位が近いため等価となって共鳴し、4面体中に4配位の結合手を持つsp混成軌道を作る。すなわち、共有結合を想定した場合、ZnOは亜鉛原子も酸素原子もお互いに4面体4配位の結合状態を作る。
陽イオンおよび陰イオンがともに4面体4配位の結合状態であることを想定した場合、一般的に考えられる結晶構造は閃亜鉛鉱型かウルツ鉱型である。ところが、ZnOは形式荷電の概念で説明できるように共有結合で原子が結合していながら、亜鉛原子の電気陰性度が1.6、酸素原子の電気的陰性度が3.5であり、各原子の電気陰性度の差はイオン結合の物質並みに大きい。すなわち、ZnOは共有結合の寄与が大きい物質であるが、亜鉛原子と酸素原子の分極が非常に大きいことを意味する。
ここで、閃亜鉛鉱型構造とウルツ鉱型構造とを比較した場合、ウルツ鉱型構造には陽イオンだけのレイヤーと陰イオンだけのレイヤーとがそれぞれ存在しており、金属原子と酸素原子との間で分極が大きい物質にとって好適であることが分かる。
このように、形式荷電の概念を用いると、複雑な計算をすることなく、原子の電子配置から共有結合物質の結合状態を容易に説明することができる。
ここで、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛の系、例えばInGaZnOにおいて、各原子が共有結合で結合していることを想定し、形式荷電の概念を用いて原子の結合状態を図41に示すように考察する。
図41に示すように、In原子の電子配置は、M殻までが閉殻であり、N殻の4s軌道に2個、4p軌道に6個、4d軌道に10個、4f軌道に零個、O殻の5s軌道に2個、5p軌道に1個の電子がそれぞれ存在している。
また、Ga電子の電子配置は、L殻までは閉殻であり、M殻の3s軌道に2個、3p軌道に6個、3d軌道に10個、N殻の4s軌道に2個、4p軌道に1個の電子がそれぞれ存在している。
上記のZnOの結晶構造を考察した際に、亜鉛原子にZn2eの形式荷電、酸素原子にO2hの形式荷電を想定した。InGaZnOの場合では、物質が1つの系の中にある以上、どの酸素原子も同じ形式荷電を持っていると考えるのが妥当である。従って、InGaZnOについて考察する場合も、InGaZnOに含まれているZnOの結合を説明できるように、ウルツ鉱型ZnOを考察したときと同様に全ての酸素原子はO2h、全ての亜鉛原子はZn2eの形式荷電を持っていると考える。この場合、インジウム原子はIn3eの形式荷電、ガリウム原子はGa3eの形式荷電を持っていると考えるのが妥当である。
上記のインジウム原子・ガリウム原子の電子状態で、酸素原子群から各々3個の電子の供給を受けたと考えると、インジウム原子の電子配列は、N殻の4s軌道に2個、4p軌道に6個、4d軌道に10個、4f軌道に零個、5s軌道に2個、5d軌道に4個の電子が存在することになる。同様に、ガリウム原子は、M殻の3s軌道に2個、3p軌道に6個、3d軌道に10個、N殻の4s軌道に2個、4d軌道に4個の電子が存在することになる。
実際の無機化合物の電子配列状態を参照すると理解することができるが、このような電子配列をとる原子の場合、配位子場理論により、周囲の原子のクーロン力と熱エネルギーを得て電子雲が分裂・励起され、最外殻のs軌道の電子が1個、p軌道の電子が3個、d軌道の電子が2個となる。このような電子配置は、s軌道、p軌道、d軌道がそれぞれ等価のものとして混成軌道を形成し、8面体の中に6配位を持つsp混成軌道を作る。
この理論が現実の事象を正確に説明できていることは、実際の酸化インジウムの結晶構造と、複数の多形のうち、安定相であるβ−酸化ガリウムの結晶構造において、金属イオンは8面体6配位、酸素イオンは4配位の構造を取ることから自明である。
上記より、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛の系がアモルファス構造を容易に取ることは、次の(1)、(2)によるところが大きい。
(1)sp混成軌道を持つ6配位の金属原子と、sp混成軌道を持つ4配位の金属原子とが適切な割合で混合され、sp混成軌道を持つ4配位の酸素原子に対して非晶質構造の結合を形成する許容度が大きいこと。
(2)原子結合において、原子の位置がイオン半径とクーロン力によって決定され、原子の存在位置の許容範囲が狭いイオン結合の寄与だけではなく、結合角や結合距離の許容範囲が広い共有結合の寄与があること(特に酸化亜鉛)。
これまで述べた通り、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛系金属酸化物半導体は、イオン結合に加えて、配位子場理論と形式荷電の概念を使用した共有結合とによって、実際の結合様式を説明することができる。
次に、配位子場理論と形式荷電の概念とを用いて、後述の実施の形態1〜4による本発明の成果である、「酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛の系を元に、スパッタリング法によるアモルファス成膜が可能で、陰イオンの脱落が少なく、信頼性に優れ、原子間秩序の僅かな差異が電気的特性に与える影響を最小限に抑制した材料(半導体材料)」を設計した過程について述べる。
上記では、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛の系に於いて、低温のスパッタ成膜でアモルファス相を成膜することができる主因は、金属原子の最外殻電子軌道に、8面体6配位のsp混成軌道と4面体4配位のsp混成軌道とが適宜な状態で混合され、それがsp混成軌道を取る酸素と結合することであることを述べた。
また、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛の系を考えた場合、酸素欠損の主因となるのは、イオン結合と共有結合とが中途半端な割合で混合状態にあり、sp混成軌道で結合を説明することは可能であるが、金属原子と酸素原子とのパッキングに隙間があり、かつイオン結合の観点から見た場合、酸素原子が非常に欠落しやすい構造である酸化亜鉛である。
従って、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛の系からなる金属酸化物半導体に、最隣接原子間距離とバンドギャップが適切であり、金属原子および金属化合原子の両者がsp混成軌道で結合している共有結合性の高い化合物を適宜固溶させると、その物質は低温でスパッタリングすることによってアモルファス状態を取り、かつ透明で高移動度の特性を確保したうえで、非晶質状態での原子秩序変化に対するロバスト性を獲得できることが分かる。
ここで、仮に適切な物質が存在するなら、信頼性の観点で最も問題となる酸化亜鉛の部分を、sp混成軌道で結合している共有結合の金属化合物半導体に完全置換してもよい。
また、酸化亜鉛ほどではないが、酸化インジウムや酸化ガリウムも酸素欠損を発生させやすい。これは、一般的にイオン結合の方が共有結合よりも結合エネルギーが小さいことに起因する。そこで、必要であれば、そのうえで酸化インジウムや酸化ガリウムを部分的にsp混成軌道で結合している共有結合の金属化合物半導体物質と置換すると、アモルファス状態のままでさらに信頼性が確保できることになる。
さらに、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛の各化合物のいずれにおいても、金属酸化物の一部を電気的陰性度の差が小さい金属窒化物に置換することは、金属原子と非金属原子との分極を小さくして、電子や正孔の通過に伴う原子の結合歪を低減させる。これは、原子間秩序に対する電気的特性の関係について、ロバスト性を確保し、成膜条件や成膜装置の変化に対しても、電気的特性の変動が少なく、広いプロセスウインドウを獲得することができることを意味する。
ここで、インジウム・ガリウム系の窒化物半導体として一般的な窒化インジウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウムを考える。これら3つの物質は、図42に示す形式荷電の図から説明できるように、いずれも金属原子および窒素原子の両者がsp混成軌道で結合しており、ZnOと同様にウルツ鉱型結晶構造を取る共有性結合物質である。しかも、これらの物質の最隣接原子間距離は、ZnOが1.97Åであるのに対し、窒化インジウムが2.17Å、窒化ガリウムが1.96Å、窒化アルミニウムが1.96Åであり、これらの物質は少なくとも酸化亜鉛を置換してほとんど完全な領域に渡って固溶体を形成することを示唆している。これら金属窒化物のバンドギャップはそれぞれ、窒化インジウムが0.7eV、窒化ガリウムが3.43eV、窒化アルミニウムが約6eVであり、これらの物質の配合によって、ナローギャップからワイドギャップまで、自由自在にバンドギャップを制御することができる可能性がある。これは、単純な金属酸化物半導体と比較して、バンドギャップのコントロール範囲が広く、材料の用途が多岐に渡ることを示唆している。
端的な例を示せば、これまで述べた理由によって、InGaZnO(4−x)(xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)がアモルファスに成りやすい理由の主因は、sp混成軌道の4配位で、比較的強い共有結合性を持っているZnOの存在である。しかし、ZnOは、イオン結合とも共有結合ともつかない中途半端な結合様式を取る物質であるが故に、酸素欠損を招きやすく、信頼性低下の原因となっている。
そこで、InGaZnO(4−x)(xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)のZnOを、バンドギャップと原子間距離がほとんど同じで、かつ同じウルツ鉱型であり、格子定数もほとんど同じであるうえ、ZnOと比較して非常に共有結合性が強く、各原子の共有結合時の原子半径がほとんど同じであるGaNに置換したInGaNとすると、アモルファス状態での安定性を確保したうえで大幅な信頼性の向上と非晶質構造での構造変化に対するロバスト性が期待できる。
また、酸素欠損の主因子であるZnOを置換せず、InやGaの一部をInNやGaNに置換した場合であっても、酸素欠損、換言するとストイキオメトリ逸脱の副因となるInやGaのストイキオメトリ逸脱を最小に保ち、また、物質全体の共有結合性を高めることによって、アモルファス状態での安定性を高め、バンド内を電子や正孔が通過する際の原子間結合の歪を低減し、信頼性が強く、非晶状質状態での原子秩序変化に対するロバスト性が強い薄膜トランジスタを実現することができる。
また、これらの金属酸化窒化物半導体に接続する電極として、窒化アルミニウムや窒化モリブデンなどに代表される金属窒化物半導体ないしは良導体を使用すると、安定して良好なコンタクト特性を確保することができる。
以下の各実施の形態1〜4では、上記の半導体材料をチャネル層として用いた薄膜トランジスタについて説明する。
概要としては、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛系の金属酸化物半導体に含まれている酸素の一部を窒素で置換して金属酸化窒化物とする。また、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛系の金属酸化物半導体での酸化亜鉛・酸化インジウム・酸化ガリウムの組み合わせから酸化亜鉛を窒化ガリウムで置換した金属酸化窒化物とする。また、他の金属窒化物を固溶させた金属酸化窒化物とする。
上記より、成膜条件や成膜装置の差に起因する原子間秩序の僅かな差異が電気的特性に与える影響を僅少に抑えた半導体材料を提供することができる。また、当該半導体材料をチャネルに使用し、金属酸化窒化物半導体とソース・ドレイン電極との界面において、ソース・ドレイン電極を金属の窒化物半導体あるいは窒化物良導体とすることによって、低温でのスパッタ成膜によるアモルファス状態であっても高性能を発揮し、閾値シフトなどの信頼性の問題が生じることなく、コンタクト特性の良好な薄膜トランジスタを提供することができる。
<実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1による薄膜トランジスタの構成について説明する。
図1は、本実施の形態1による薄膜トランジスタの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、薄膜トランジスタは、ガラスなどの透明絶縁性基板10と、ゲート電極20と、SiOからなるゲート絶縁膜30と、チャネル層40と、第1のソース・ドレイン電極50と、第2のソース・ドレイン電極60とを備えている。
チャネル層40は、酸化物半導体InGaZnOが、InN、GaN、AlN、Znなどの窒化物半導体によって少なくとも一種類の金属元素が固溶あるいは置換された物質、例えばInGaZnOのZnOをGaNで置換した物質であるInGa(3−x)N(xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損 )で構成されている半導体膜である。なお、xは、一般的に酸素の原子量の20%未満、すなわち今回は0.8未満である。
第1のソース・ドレイン電極50は、半導体あるいは良導体の特性を示す金属窒化物、例えば窒化アルミニウム(AlN)で構成されている。
第2のソース・ドレイン電極60は、アルミニウムなどの金属で構成されている。
次に、本実施の形態1による薄膜トランジスタの製造方法について、図2〜8を用いて説明する。
図2において、透明絶縁性基板10を洗浄液または純水を用いて洗浄し、金属膜21を成膜する。金属膜としては、例えばCr、Mo、Ti、W、Alやこれらに他の物質を微量に添加した合金等を用いる。このうち、Al系の合金は、他の金属に比べて比抵抗値が低いため配線抵抗を低くすることができる。従って、Al系の合金は、液晶表示装置用のTFT(Thin Film Transistor、薄膜トランジスタ)基板への用途として好ましい。
本実施の形態1では、金属膜21として3at%のNiを添加したAl−3at%Ni合金を、公知のアルゴン(Ar)ガスを用いたスパッタリング法によって200nmの厚さで成膜する。その後、第1回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとして公知のリン酸+硝酸+酢酸を含む溶液でウェットエッチングした後にフォトレジストパターンを除去し、図3に示すようなゲート電極20を形成する。
図4において、化学的気相成膜(CVD)法を用い、約450℃(摂氏、以下同様)の基板加熱条件下で、ゲート絶縁膜30としてSiO膜を300nm成膜する。
図5において、酸化インジウム(In)、酸化ガリウム(β‐Ga)、および窒化ガリウム(GaN)の微粉末をモル比で1:1:2となるように調製後、有機系バインダーを混ぜて圧縮整形後、仮焼成と本焼成を経ることによって得られたスパッタリングターゲットを用い、Arに少量の酸素を混合したガスを用いてDCスパッタリングすることによってInGaNからなる薄膜41を200nm成膜する。
なお、図5に示す工程において、例えば、成膜にはInGaターゲットを用い、アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガスをスパッタガスに使用して、スパッタリングにより所望の膜を成膜するようにしてもよい。
図6において、第2回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成後、80℃に加熱したリン酸と硝酸と酢酸でエッチングを行い、その後フォトレジストを剥離することによって、逆スタガ型薄膜トランジスタのチャネルとなるチャネル層40を形成する。
図7において、アルミニウム合金によるターゲットを用い、DCスパッタリング法によって窒化アルミニウム膜51およびアルミニウム合金膜61の2層からなる配線膜を成膜する。窒化アルミニウム膜51の成膜にはスパッタガスとしてアルゴンと窒素との混合ガスを用いることによって反応性スパッタで成膜し、アルミニウム合金膜61の成膜には99・99%の純度を有するアルゴンガスを使用することによってターゲットと同じ組成の金属膜を成膜する。
図8において、第3回目の写真製版工程によりフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとしてリン酸などをエッチング溶液に用いたウェットエッチング法で窒化アルミニウム膜51およびアルミニウム合金膜61をエッチングし、その後、レジスト剥離工程を行うことによって、第1のソース・ドレイン電極50および第2のソース・ドレイン電極60を形成する。
このとき、第1のソース・ドレイン電極50および第2のソース・ドレイン電極60にAl系金属を用いる場合には、パターン不良や歩留りの低下の原因となるヒロックと呼ばれる突起が配線上面方向に発生するのを防止するため、Fe、Co、Niの8族遷移元素や、La、Nd、Sm、Gd等の希土類元素を添加した合金を用いることが好ましい。また、これらの添加元素の組成範囲は0.2〜6at%が好ましい。0.2at%未満である場合は上面方向へのヒロック防止効果が不充分となり、6at%を越える場合は比抵抗値が増大してCr、Mo、Tiに対する低抵抗の優位性が低くなるためである。
以降、保護膜形成、コンタクトホール穿孔、画素電極形成などの工程が続くが、これらは通常のTFT形成プロセスと同じであるので省略する。
以上のことから、本実施の形態1によれば、薄膜トランジスタのチャネル部分(チャネル層40)では、インジウム原子と一部のガリウム原子はインジウムとガリウムの電子軌道が酸素と共鳴混成することによって形成されたsp軌道による8面体6配位の結合子を持つ。そして、残りのガリウム原子と窒素原子の電子軌道がsp共鳴混成軌道を作ることによって酸化亜鉛同様に4配位の結合を供給する。また、窒化ガリウムの最隣接原子間距離は、酸化インジウムの最隣接原子距離とほぼ同等である。これは、InGaZnOが容易にアモルファス化する性質と同等に、InGaNがスパッタリング法で容易にアモルファス化することを意味している。すなわち、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛による金属酸化物半導体のうち、金属と酸素の結合が弱く酸素欠損の主因となる酸化亜鉛が、同じsp混成軌道による4配位を取り隣接原子間距離が同等、かつ金属と窒素の結合が強固な共有結合による窒化インジウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウムなど窒化物半導体によって固溶あるいは置換されるため、アモルファス状態での安定性が向上し、トランジスタ動作時の酸素欠損を防止し、トランジスタの閾値シフトなどの信頼性低下を回避することができる。
また、酸化亜鉛のバンドギャップが3.37eVであり、窒化ガリウムのバンドギャップが3.43eとほとんど変わらない。一方、酸化亜鉛の電界効果移動度が3.2cm /V・sであるのに対し、窒化ガリウムの電界効果移動度は約1200cm /V・sである。従って、InGaNは、InGaZnOと比較して、ほぼ同じ光学特性であるにもかかわらず、非常に高い電界効果移動度が期待できる。

また、酸化インジウムや酸化ガリウムの一部分に窒化インジウム、窒化ガリウム、窒化アルミニウムを固溶させることによって、更なる信頼性を確保することができ、かつバンドギャップの制御が容易になり、薄膜トランジスタの他にも大面積発光体などの多岐にわたる用途が期待できる。
また、共有結合が支配的な4配位の化合物としての役割の他にも、酸化亜鉛にはドーパントとして、金属酸化物半導体のキャリア密度を増加させる役割もある。
また、キャリア制御の都合上、酸化亜鉛の一部または全部を窒化ガリウムで置換できない状況においても、酸化インジウムと酸化ガリウムに共有結合性の強い金属窒化物を固溶させることは、酸化インジウムや酸化ガリウムのストイキオメトリ逸脱を最小に抑制することが可能であり、物質がアモルファス状態で安定に存在することに寄与し、デバイスの信頼性向上に貢献する。
また、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛の各化合物のいずれにおいても、金属酸化物の一部を電気的陰性度の差が小さい金属窒化物に置換することは、金属原子と非金属原子との分極を小さくして、電子や正孔の通過に伴う原子の結合歪を低減させる。これは、非晶質状態における原子秩序変化に対する電気的特性の関係について、ロバスト性を確保し、成膜条件や成膜装置の変化に対しても特性変動の少ない材料となる。
なお、バンドギャップの制御が必要な場合には、スパッタリングターゲットに、バンドギャップが0.7eVであるInNや、バンドギャップが6eVであるAlNを混合するなどの方法によって、In−NやAlNを含んだ化合物InαGa(1+β)Alγ(3−x)N(0<α、0≦β、0<γ、α+β+γ=3、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)としてもよい。
ここで、InGaZnO(4-x)(xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)をチャネルに用いた薄膜トランジスタを考える。特に、薄膜トランジスタが飽和領域で作動しているとき、トランジスタを流れる電流は非常に狭い領域のドレイン端に集中して発熱する。発熱温度については使用条件にもよるが、電流密度とInGaZnO(4-x)の比抵抗値から考えて、数百度のオーダーで発熱することが想定される。この場合、酸素原子と亜鉛原子とのパッキングに隙間がある酸化亜鉛から熱振動により酸素原子が欠落してトランジスタ特性が劣化していくのは自明である。従来、金属酸化物半導体の成膜後に様々な雰囲気下・温度でアニールを加えることによって、この欠点を解決しようとしている試みもあるが、プロセス中のアニール温度はせいぜい200℃程度であり、ドレイン端の発熱にはそれ以上の温度も想定されることから、これらの効果が決定的に金属酸化物半導体薄膜トランジスタの信頼性を向上させるとは考えにくい。さらに、200℃程度のアニールで特性が改善されるということは、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛の系による金属酸化物薄膜トランジスタが200℃程度の温度によって容易に特性変動を起こし、実用に供し得ないことを意味している。
ここで、InGa(3−x)N(xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)をチャネルに用いた薄膜トランジスタを考える。4配位を担っている窒化ガリウムでは、窒素原子とガリウム原子との共有結合性が強いため、結合エネルギーも強力である。従って、ドレイン端の発熱による数百度程度の発熱で原子の欠落を生じることはなく、トランジスタの使用条件に関わらず、初期の良好な特性を維持し続けることが期待できる。また、酸化亜鉛を電気陰性度の差が小さい窒化ガリウムに置換することは、金属原子と非金属原子との分極を小さくして、電子や正孔通過に伴う原子の結合歪を低減させる。これは、非晶質状態における原子秩序の変化に起因する電気的特性変動について、ロバスト性を獲得できる。
また、InGa(3−x)N(xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)と接触するソース・ドレインの電極配線に窒化アルミニウム(AlN)を使用すると、窒化アルミニウムは半導体であり、容易に酸素と結合しない。このため、アルミニウムと金属酸化窒化物との界面で不導体の酸化アルミニウム(Al)を形成することなく、良好なコンタクト特性を確保することができる。
なお、上記の効果は、窒素化合物の共有結合性の強さと、ZnOおよびInN、GaN、AlNの結晶学的性質とが非常に似ていることに起因している、従って、InαGa(1+β)Alγ(3−x)N(0<α、0≦β、0<γ、α+β+γ=3、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)としてもよい。
なお、金属窒化物半導体をスパッタ法で成膜することは従来何度も試されてきたが、窒化物の共有結合性に起因する焼結困難性によって大面積のスパッタリングターゲットの作成が困難であった。本実施の形態1のような金属酸化窒化物は、原子結合が共有結合とイオン結合の混合状態であるため、焼結が比較的に容易である。従って、大面積のスパッタリングターゲットを作成し易く、生産技術の見地からも効果が期待できる。
<実施の形態2>
まず、本発明の実施の形態2による薄膜トランジスタの構成について説明する。
図9は、本実施の形態2による薄膜トランジスタの構成の一例を示す図である。
図9に示すように、薄膜トランジスタは、ガラスなどの透明絶縁性基板10と、ゲート電極20と、SiOからなるゲート絶縁膜30と、チャネル層42と、第1のソース・ドレイン電極50と、第2のソース・ドレイン電極60とを備えている。
チャネル層42は、例えば、アモルファス状態のInGaZnO(1+(3−1.5α)−x)α(0<α≦2、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)で構成されている金属酸化窒化物半導体からなる。
第1のソース・ドレイン電極50は、半導体あるいは良導体の特性を示す金属窒化物、例えば窒化アルミニウム(AlN)で構成されている。
第2のソース・ドレイン電極60は、アルミニウムなどの金属で構成されている。
次に、本実施の形態2による薄膜トランジスタの製造方法について、図10〜17を用いて説明する。
図10において、透明絶縁性基板10を洗浄液または純水を用いて洗浄し、金属膜21を成膜する。
本実施の形態2では、金属膜21として3at%のNiを添加したAl−3at%Ni合金を、公知のアルゴン(Ar)ガスを用いたスパッタリング法によって200nmの厚さで成膜する。その後、第1回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとして公知のリン酸+硝酸+酢酸を含む溶液でウェットエッチングした後にフォトレジストパターンを除去し、図11に示すようなゲート電極20を形成する。
図12において、化学的気相成膜(CVD)法を用い、約300℃の基板加熱条件下で、ゲート絶縁膜30としてSiO膜を200nm成膜する。
図13において、インジウム・ガリウム・亜鉛系の金属酸化窒化物半導体膜43を250nm成膜する。成膜にはInGaZnOターゲットを用い、アルゴンガスと窒素ガスとの混合ガスをスパッタガスに使用して、ターゲットの温度、成膜チャンバー内の圧力と投入するDC出力を適切に設定することによって、基板全面に渡って均一な膜を成膜する。成膜後の金属酸化窒化物半導体膜43は酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛と窒化インジウム・窒化ガリウム・窒化亜鉛との固溶体InGaZn((12−1.5α)−x)α(0<α≦8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)で構成された金属酸化窒化物半導体になる。
ここで、窒化亜鉛(Zn)は、バンドギャップが1.06eVであるため、薄膜トランジスタのオフ電流が過大になる可能性がある。従って、スパッタした膜を、図14に示すように水蒸気雰囲気下で例えば450℃にて3時間アニールする。水蒸気アニールによって、スパッタしたInGaZn((12−1.5α)−x)α(0≦α<8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)に含まれていた窒化亜鉛は大気中の水分によって分解され、以下の反応式(1)によって、バンドギャップが3.4eVのZnOに戻る。
Zn+3HO→3ZnO+2NH ・・・(1)
すなわち、本実施の形態2における金属酸化窒化物半導体膜43はInおよびGaとInNおよびGaNの固溶体に、ZnOが加わったInGaZnO(1+(3−1.5α)−x)α(0<α≦2、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)という組成となる。
図15において、第2回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成後、燐酸、硝酸、および酢酸の混酸溶液によってエッチングを行い、その後、フォトレジストを剥離することによって、逆スタガ型薄膜トランジスタのチャネル層42を形成する。
なお、薄膜トランジスタのオフ電流などに支障をきたさない場合は、水蒸気アニールを施さずに、InGaZn((12−1.5α)−x)α(0<α≦8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)のままで薄膜トランジスタのチャネル層として使用してよい。
また、水蒸気アニールを短時間にして、InGaZnO(1+(3−1.5α)−x)α(0<α≦2、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)と、InGaZn((12−1.5α)−x)α(0<α≦8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)との固溶体をチャネル層42に使用してもよい。
図16において、アルミニウム合金によるターゲットを用い、DCスパッタリング法によって窒化アルミニウム膜51およびアルミニウム合金膜61の2層からなる配線膜を成膜する。窒化アルミニウム膜51の成膜にはスパッタガスとしてアルゴンと窒素との混合ガスを用いることによって反応性スパッタで成膜し、アルミニウム合金膜61の成膜には99・99%の純度を有するアルゴンガスを使用することによってターゲットと同じ組成の金属膜を成膜する。
図17において、第3回目の写真製版工程によりフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとしてリン酸などをエッチング溶液に用いたウェットエッチング法で窒化アルミニウム膜51およびアルミニウム合金膜61をエッチングし、その後、レジスト剥離工程を行うことによって、第1のソース・ドレイン電極50および第2のソース・ドレイン電極60を形成する。
以降、保護膜形成、コンタクトホール穿孔、画素電極形成などの工程が続くが、これらは通常のTFT形成プロセスと同じであるので省略する。
以上のことから、本実施の形態2によれば、チャネル層42は、InGaZn((12−1.5α)−x)α(0<α≦8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)、またはInGaZnO(1+(3−1.5α)−x)α(0<α≦2、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)、もしくは両者の固溶体であるという特徴を有している。このうち、InGaZnO(1+(3−1.5α)−x)α(0<α≦2、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)において、酸素欠損の主因を担うZnOの大半は酸化物の状態であるが、立方晶系のZnとは異なり、他の金属窒化物が作るウルツ鉱型の結晶構造であり、格子常数が非常に似ているため、物質がより安定であることに寄与する可能性がある。
また、酸素欠損の副要因であるInおよびGaの一部が共有結合性の強いInNおよびGaNに置換されているため、酸素欠損の防止にもある程度の貢献が可能である。
また、物質全体から見ても、アモルファス状態を阻害するイオン結合性が減少し、共有結合性が増大していることにより、チャネルを構成している物質がアモルファス状態で安定であることに寄与しており、原子間の結合も強固になっている。従って、トランジスタの使用に伴う特性変動の防止に貢献している。
また、GaNの電界効果移動度は約1200cm/V・sと、金属酸化物半導体とは比較にならない程度に高い。これは、本実施の形態2による金属酸化窒化物薄膜トランジスタの電気的特性が金属酸化物系薄膜トランジスタより良好であることを意味している。
また、金属原子と非金属原子との電気陰性度の差を小さくすることは、金属原子と非金属原子との分極を小さくして、電子や正孔の通過に伴う原子の結合歪を低減させ、非晶質状態における原子秩序変化に起因する電気的特性の関係について、ロバスト性を獲得できる。
また、ソース・ドレイン電極の下層膜を受け持つ金属窒化物(第1のソースドレイン電極50)とチャネル層42である金属酸化窒化物半導体とが良好な界面反応を起こし、低くかつ安定なコンタクト抵抗を確保することができる。
<実施の形態3>
まず、本発明の実施の形態3による薄膜トランジスタの構成について説明する。
図18は、本実施の形態3による薄膜トランジスタの構成の一例を示す図である。
図18に示すように、薄膜トランジスタは、ガラスなどの透明絶縁性基板10と、ゲート電極20と、SiOからなるゲート絶縁膜30と、第1のチャネル層44と、第2のチャネル層45と、第1のソース・ドレイン電極50と、第2のソース・ドレイン電極60とを備えている。
第1のチャネル層44は、アモルファス状態のInGaZnO(4−y)(yは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損 )から構成される金属酸化物半導体からなる薄膜トランジスタのチャネル内奥部(内層)である。
第2のチャネル層45は、例えば、アモルファス状態のInGaZn((12−1.5α)−x)α(0<α≦8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)で構成されている金属酸化窒化物半導体からなる薄膜トランジスタのチャネル表層部(最表層)である。
第1のソース・ドレイン電極50は、半導体あるいは良導体の特性を示す金属窒化物、例えば窒化アルミニウム(AlN)で構成されている。
第2のソース・ドレイン電極60は、アルミニウムなどの金属で構成されている。
次に、本実施の形態3による薄膜トランジスタの製造方法について、図19〜25を用いて説明する。
図19において、透明絶縁性基板10を洗浄液または純水を用いて洗浄し、金属膜21を成膜する。
本実施の形態3では、金属膜21として3at%のNiを添加したAl−3at%Ni合金を、公知のアルゴン(Ar)ガスを用いたスパッタリング法によって200nmの厚さで成膜する。その後、第1回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとして公知のリン酸+硝酸+酢酸を含む溶液でウェットエッチングした後にフォトレジストパターンを除去し、図20に示すようなゲート電極20を形成する。
図21において、化学的気相成膜(CVD)法を用い、約200℃の基板加熱条件下で、ゲート絶縁膜30としてSiO膜を200nm成膜する。
図22において、InGaZnO(4−y)(yは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損 )である金属酸化物半導体膜46を250nm成膜する。成膜にはInGaZnOターゲットを用い、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスをスパッタガスに使用して、圧力とDC出力を適切に設定することによって基板全面に渡って、組成・膜厚ともに均一な膜を成膜する。
図23において、図22にて成幕した金属酸化物半導体膜46に対して、第2回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成後、燐酸、硝酸、および酢酸の混酸溶液によりエッチングを行い、その後、フォトレジストを剥離することによって、逆スタガ型薄膜トランジスタの第1のチャネル層44を形成する。
図24において、InGaZnO(4−x)で構成された第1のチャネル層44に対して、Nガスによるプラズマ照射を行うことにより、図25に示すような、第1のチャネル層44の表面から深さ約50nmの領域で、InGaZnO(4−y)の酸素原子を窒素原子に一部置換し、その後、窒素雰囲気下において300℃で90分間アニールして原子同士を強固に結合させることによって、第1のチャネル層44の表面部から深さ約50nmの領域を、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛からなるInGaZnOと、窒化インジウム・窒化ガリウム・窒化亜鉛の固溶体であるInGaZnとの固溶体InGaZn((12−1.5α)−x)α(0<α≦8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)である第2のチャネル層45とした。
なお、プラズマ処理にはドライエッチング装置を流用し、InGaZnO中の酸素をイオン衝撃で叩き出し、窒素原子に置換する目的でRIE(Reactive Ion Etching)モードを用いた。また、プラズマ処理ガスには窒素(N)とヘリウム(He)との混合ガスを用い、圧力50Paで適切なRF(Radio Frequency)電力にてチャンバー内で放電させることにより、酸素原子と窒素原子との置換を行った。
上記より、本実施の形態3による半導体チャネル層は、デバイスが完成した状態では2層(第1のチャネル層44、第2のチャネル層45)である。第1のチャネル層44の上面部と側面部とを覆う最表層である第2のチャネル層45はInGaZn((12−1.5α)−x)α(0<α≦8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)であり、その下層部(内層)として第1のチャネル層44であるInGaZnO(4−y)(yは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)が存在する構造となる。
図26において、アルミニウム合金によるターゲットを用い、DCスパッタリング法によって窒化アルミニウム膜51およびアルミニウム合金膜61の2層からなる配線膜を成膜する。窒化アルミニウム膜51の成膜にはスパッタガスとしてアルゴンと窒素との混合ガスを用いることによって反応性スパッタで成膜し、アルミニウム合金膜61の成膜には99・99%の純度を有するアルゴンガスを使用することによってターゲットと同じ組成の金属膜を成膜する。
図27において、第3回目の写真製版工程によりフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとしてリン酸などをエッチング溶液に用いたウェットエッチング法で窒化アルミニウム膜51およびアルミニウム合金膜61をエッチングし、その後、レジスト剥離工程を行うことによって、第1のソース・ドレイン電極50および第2のソース・ドレイン電極60を形成する。
以降、保護膜形成、コンタクトホール穿孔、画素電極形成などの工程が続くが、これらは通常のTFT形成プロセスと同じであるので省略する。
以上のことから、本実施の形態3によれば、本実施例では、チャネル表面層に存在するInGaZn((12−1.5α)−x)α(0<α≦8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)のうち、酸化インジウム・酸化ガリウム・酸化亜鉛の酸素の一部を窒素が置換している。これら酸化インジウムや酸化ガリウム、酸化亜鉛の一部が化学的に安定な窒化インジウムや窒化ガリウム、窒化亜鉛になると、薄膜トランジスタの使用に伴うこれらの物質のストイキオメトリ抑制に効果的である。
また、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛と比較して、窒化インジウム、窒化ガリウム、窒化亜鉛は共有結合性が強いため、物質全体がアモルファス化で安定することに寄与し、その後の工程に対するチャネル部分の耐食性を向上させ、ソース・ドレイン電極に対するエッチング条件のプロセスウインドウを広くすることを意味する。
また、第2のチャネル層45である金属酸化窒化物半導体層は共有結合性が強く、膜が緻密であるため、チャネル下部(内層)に存在する第1のチャネル層44であるInGaZnO(4−x)(xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)膜からのさらなる酸素の脱離と、チャネル上に存在する保護膜(図示せず)からの水素原子や水酸基の浸入をある程度抑制することが可能であり、デバイスの長寿命化・高信頼性化に対して若干の寄与が期待できる。
また、ソース・ドレイン電極の下層膜(第1のソース・ドレイン電極50)を受け持つチャネル部の金属酸化窒化物半導体(第2のチャネル層45)と第1のチャネル層44とが良好な界面反応を起こし、低くかつ安定なコンタクト抵抗を確保することができる。
また、第1のチャネル層44をInGaZnO(4−y)(yは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)とし、第2のチャネル層45をInGaZnO(1+(3−1.5α)−x)α(0<α≦2、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)としても、上記と同様の効果が得られる。
また、第1のチャネル層44をInGaZnO(4−y)(yは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)とし、第2のチャネル層45をInαGa(1+β)Alγ(3−x)N(0<α、0≦β、0<γ、α+β+γ=3、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)としても、上記と同様の効果が得られる。
また、第1のチャネル層44をInGaZnO(4−y)(yは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)とし、第2のチャネル層45をInGa(3−x)N(xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)としても、上記と同様の効果が得られる。
<実施の形態4>
まず、本発明の実施の形態4による薄膜トランジスタの構成について説明する。
図28は、本実施の形態4による薄膜トランジスタの構成の一例を示す図である。
図28に示すように、薄膜トランジスタは、ガラスなどの透明絶縁性基板10と、ゲート電極20と、SiOからなるゲート絶縁膜30と、チャネル層47と、金属酸化窒化膜48と、第1のソース・ドレイン電極50と、第2のソース・ドレイン電極60とを備えている。
チャネル層47は、アモルファス状態のInGaZnO(4−x)(xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)から構成される金属酸化物半導体からなる。
金属酸化窒化膜48は、第1のソース・ドレイン電極50とチャネル層47との界面からチャネル層47側に広がって形成される、例えばInGaZnOとInGaZnとの固溶体などの金属酸化窒化物からなる。
第1のソース・ドレイン電極50は、半導体あるいは良導体の特性を示す金属窒化物、例えば窒化アルミニウム(AlN)で構成されている。
第2のソース・ドレイン電極60は、アルミニウムなどの金属で構成されている。
次に、本実施の形態4による薄膜トランジスタの製造方法について、図29〜36を用いて説明する。
図29において、透明絶縁性基板10を洗浄液または純水を用いて洗浄し、金属膜21を成膜する。
本実施の形態4では、金属膜21として3at%のNiを添加したAl−3at%Ni合金を、公知のアルゴン(Ar)ガスを用いたスパッタリング法によって200nmの厚さで成膜する。その後、第1回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとして公知のリン酸+硝酸+酢酸を含む溶液でウェットエッチングした後にフォトレジストパターンを除去し、図30に示すようなゲート電極20を形成する。
図31において、化学的気相成膜(CVD)法を用い、約300℃の基板加熱条件下で、ゲート絶縁膜30としてSiO膜を200nm成膜する。
図32において、InGaZnO(4−x)(xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損 )である金属酸化物半導体膜49を250nm成膜する。成膜にはInGaZnOターゲットを用い、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスをスパッタガスに使用して、ターゲットの温度、成膜チャンバー内の圧力、およびDC出力を適切に設定することによって基板全面に渡って均一な膜を成膜する。
図33において、図32にて成膜した金属酸化物半導体膜49に対して、第2回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成後、燐酸、硝酸、および酢酸の混酸溶液によりエッチングを行い、その後、フォトレジストを剥離することによって、逆スタガ型薄膜トランジスタのチャネル層47を形成する。
図34において、アルミニウム合金によるターゲットを用い、DCスパッタリング法によって窒化アルミニウム膜51およびアルミニウム合金膜61の2層からなる配線膜を成膜する。窒化アルミニウム膜51の成膜にはスパッタガスとしてアルゴンと窒素との混合ガスを用いることによって反応性スパッタで成膜し、アルミニウム合金膜61の成膜には99・99%の純度を有するアルゴンガスを使用することによってターゲットと同じ組成の金属膜を成膜する。
図35において、第3回目の写真製版工程によりフォトレジストパターンを形成し、これをマスクとしてリン酸などをエッチング溶液に用いたウェットエッチング法で窒化アルミニウム膜51およびアルミニウム合金膜61をエッチングし、その後、レジスト剥離工程を行うことによって、第1のソース・ドレイン電極50および第2のソース・ドレイン電極60を形成する。
図36において、その後、チャネル層47、第1のソース・ドレイン電極50、および第2のソース・ドレイン電極60を含んだ透明絶縁性基板10を、窒素雰囲気下において550℃で6時間アニールし、第1ソース・ドレイン電極50の窒化アルミニウムに含まれている過剰な窒素をチャネル層47に拡散させることによって、第1のソース・ドレイン電極50とチャネル層47との界面に金属酸化窒化膜48を形成する。
以降、保護膜形成、コンタクトホール穿孔、画素電極形成などの工程が続くが、これらは通常のTFT形成プロセスと同じであるので省略する。
以上のことから、本実施の形態4によれば、ソース・ドレイン電極の下層膜(第1のソース・ドレイン電極50)を受け持つチャネル部の金属酸化窒化物半導体(金属酸化窒化膜48)とチャネル層47とが良好な界面反応を起こし、低くかつ安定なコンタクト抵抗を確保することができる。また、インジウムに僅かでも窒素が化合して窒化インジウムを形成していたとすると、窒化インジウムのバンドギャップは0.7eVと狭いために、金属酸化窒化膜48のバンドギャップはチャネル層47より狭い。これは、チャネル層47と第1のソース・ドレイン電極50との間にオーミックコンタクトが取れることを意味しており、特にソース・ドレイン間で微小電流を流す時に、電流と電圧との間に線形の関係が成り立つため、回路設計上有利である。また、第1のソース・ドレイン電極50に金属窒化物を用いることによって、金属の酸化反応を部分的な範囲に抑制し、安定かつ良好なコンタクト特性を得ることができる。
なお、金属酸化窒化膜48を、InGaZn((12−1.5α)−x)α(0<α≦8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損、InGaZnO(1+(3−1.5α)−x)α(0<α≦2、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)、InαGa(1+β)Alγ(3−x)N(0<α、0≦β、0<γ、α+β+γ=3、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)としても、上記と同様の効果が得られる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
10 透明絶縁性基板、20 ゲート電極、21 金属膜、30 ゲート絶縁膜、40 チャネル層、41 薄膜、42 チャネル層、43 金属酸化窒化物半導体膜、44 第1のチャネル層、45 第2のチャネル層、46 金属酸化物半導体膜、47 チャネル層、48 金属酸化窒化膜、49 金属酸化物半導体膜、50 第1のソース・ドレイン電極、51 窒化アルミニウム膜、60 第2のソース・ドレイン電極、61 アルミニウム合金膜。

Claims (15)

  1. 金属元素の主成分にインジウム、ガリウム、および亜鉛を含む金属酸化窒化物からなり、
    前記金属酸化窒化物は、アモルファス状態であって、化学組成がInGaZn((12−1.5α)−x)α(0<α≦8、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)であることを特徴とす半導体材料。
  2. 金属元素の主成分にインジウム、ガリウム、および亜鉛を含む金属酸化窒化物からなり、
    前記金属酸化窒化物は、アモルファス状態であって、化学組成がInGaZnO(1+(3−1.5α)−x)α(0<α≦2、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)であることを特徴とす半導体材料。
  3. 金属元素の主成分にインジウムおよびガリウムを含む金属酸化窒化物からなり、
    前記金属酸化窒化物は、アモルファス状態であって、前記金属元素の主成分としてアルミニウムをさらに含み、
    前記金属酸化窒化物は、化学組成がInαGa(1+β)Alγ(3−x)N(0<α、0≦β、0<γ、α+β+γ=3、xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)であることを特徴とす半導体材料。
  4. 金属元素の主成分にインジウムおよびガリウムを含む金属酸化窒化物からなり、
    前記金属酸化窒化物は、アモルファス状態であって、化学組成がInGa(3−x)N(xは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)であることを特徴とす半導体材料。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の半導体材料をチャネル層として用いることを特徴とする、薄膜トランジスタ。
  6. 金属元素の主成分にインジウム、ガリウム、および亜鉛を含む金属酸化窒化物からなり、前記金属酸化窒化物アモルファス状態であることを特徴とす半導体材料をチャネル層として用いる薄膜トランジスタであって、
    前記チャネル層は、少なくとも1以上の内層と当該内層の表面全体を覆うように形成された最表層とを含む複数層を有し、
    前記最表層は前記金属酸化窒化物からなり、
    前記内層は、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛を含む金属酸化物からなることを特徴とする、薄膜トランジスタ。
  7. 金属元素の主成分にインジウムおよびガリウムを含む金属酸化窒化物からなり前記金属酸化窒化物アモルファス状態であることを特徴とす半導体材料をチャネル層として用いる薄膜トランジスタであって、
    前記チャネル層は、少なくとも1以上の内層と当該内層の表面全体を覆うように形成された最表層とを含む複数層を有し、
    前記最表層は前記金属酸化窒化物からなり、
    前記内層は、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛を含む金属酸化物からなることを特徴とする、薄膜トランジスタ。
  8. 金属元素の主成分にインジウム、ガリウム、および亜鉛を含む金属酸化窒化物からなり、前記金属酸化窒化物アモルファス状態であり、酸化インジウム、酸化ガリウム、および窒化ガリウムの固溶体を含半導体材料をチャネル層として用いる薄膜トランジスタであって、
    前記チャネル層は、少なくとも1以上の内層と当該内層の表面全体を覆うように形成された最表層とを含む複数層を有し、
    前記最表層は前記金属酸化窒化物からなり、
    前記内層は、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛を含む金属酸化物からなることを特徴とする、薄膜トランジスタ。
  9. 金属元素の主成分にインジウムおよびガリウムを含む金属酸化窒化物からなり、前記金属酸化窒化物アモルファス状態であり、酸化インジウム、酸化ガリウム、および窒化ガリウムの固溶体を含半導体材料をチャネル層として用いる薄膜トランジスタであって、
    前記チャネル層は、少なくとも1以上の内層と当該内層の表面全体を覆うように形成された最表層とを含む複数層を有し、
    前記最表層は前記金属酸化窒化物からなり、
    前記内層は、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛を含む金属酸化物からなることを特徴とする、薄膜トランジスタ。
  10. 請求項に記載の半導体材料をチャネル層として用いる薄膜トランジスタであって、
    前記チャネル層は、少なくとも1以上の内層と当該内層の表面全体を覆うように形成された最表層とを含む複数層を有し、
    前記最表層は、請求項に記載の前記金属酸化窒化物からなり、
    前記内層は、化学組成がInGaZnO(4−y)(yは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)である金属酸化物からなることを特徴とする、薄膜トランジスタ。
  11. 請求項に記載の半導体材料をチャネル層として用いる薄膜トランジスタであって、
    前記チャネル層は、少なくとも1以上の内層と当該内層の表面全体を覆うように形成された最表層とを含む複数層を有し、
    前記最表層は、請求項に記載の前記金属酸化窒化物からなり、
    前記内層は、化学組成がInGaZnO(4−y)(yは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)である金属酸化物からなることを特徴とする、薄膜トランジスタ。
  12. 請求項に記載の半導体材料をチャネル層として用いる薄膜トランジスタであって、
    前記チャネル層は、少なくとも1以上の内層と当該内層の表面全体を覆うように形成された最表層とを含む複数層を有し、
    前記最表層は、請求項に記載の前記金属酸化窒化物からなり、
    前記内層は、化学組成がInGaZnO(4−y)(yは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)である金属酸化物からなることを特徴とする、薄膜トランジスタ。
  13. 請求項に記載の半導体材料をチャネル層として用いる薄膜トランジスタであって、
    前記チャネル層は、少なくとも1以上の内層と当該内層の表面全体を覆うように形成された最表層とを含む複数層を有し、
    前記最表層は、請求項に記載の前記金属酸化窒化物からなり、
    前記内層は、化学組成がInGaZnO(4−y)(yは金属酸化物がノンストイキオメトリになりやすい性質に起因した微量の酸素欠損)である金属酸化物からなることを特徴とする、薄膜トランジスタ。
  14. チャネル層と当該チャネル層に接合して形成されるソース・ドレイン電極との接合界面において、
    前記チャネル層は、請求項1ないしのいずれかに記載の前記金属酸化窒化物からなり、
    前記ソース・ドレイン電極は、金属窒化物からなることを特徴とする、薄膜トランジスタ。
  15. 請求項1ないしのいずれかに記載の半導体材料をチャネル層として形成する工程を備える、薄膜トランジスタの製造方法。
JP2013145101A 2013-07-11 2013-07-11 半導体材料、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法 Active JP6217196B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013145101A JP6217196B2 (ja) 2013-07-11 2013-07-11 半導体材料、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013145101A JP6217196B2 (ja) 2013-07-11 2013-07-11 半導体材料、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015018929A JP2015018929A (ja) 2015-01-29
JP6217196B2 true JP6217196B2 (ja) 2017-10-25

Family

ID=52439682

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013145101A Active JP6217196B2 (ja) 2013-07-11 2013-07-11 半導体材料、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6217196B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104916546B (zh) * 2015-05-12 2018-03-09 京东方科技集团股份有限公司 阵列基板的制作方法及阵列基板和显示装置
JP6930885B2 (ja) * 2017-09-21 2021-09-01 株式会社東芝 半導体装置
JP7296381B2 (ja) 2018-07-06 2023-06-22 株式会社半導体エネルギー研究所 金属酸窒化物膜の作製方法
JP2021057461A (ja) * 2019-09-30 2021-04-08 株式会社ジャパンディスプレイ 半導体装置及び半導体装置の製造方法
CN114762132A (zh) 2019-12-20 2022-07-15 株式会社半导体能源研究所 无机发光元件、半导体装置、无机发光元件的制造方法
CN112086362A (zh) * 2020-08-13 2020-12-15 深圳大学 一种氮化镓增强型hemt器件及其制备方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008133345A1 (en) * 2007-04-25 2008-11-06 Canon Kabushiki Kaisha Oxynitride semiconductor
US7994508B2 (en) * 2007-08-02 2011-08-09 Applied Materials, Inc. Thin film transistors using thin film semiconductor materials
US9082857B2 (en) * 2008-09-01 2015-07-14 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Semiconductor device comprising an oxide semiconductor layer
JPWO2010032422A1 (ja) * 2008-09-19 2012-02-02 出光興産株式会社 酸化物焼結体及びスパッタリングターゲット
JP5430113B2 (ja) * 2008-10-08 2014-02-26 キヤノン株式会社 電界効果型トランジスタ及びその製造方法
JP2012015436A (ja) * 2010-07-05 2012-01-19 Sony Corp 薄膜トランジスタおよび表示装置
TWI555205B (zh) * 2010-11-05 2016-10-21 半導體能源研究所股份有限公司 半導體裝置及半導體裝置的製造方法
US8894825B2 (en) * 2010-12-17 2014-11-25 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Sputtering target, method for manufacturing the same, manufacturing semiconductor device

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015018929A (ja) 2015-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7329581B2 (ja) 半導体装置
JP6217196B2 (ja) 半導体材料、薄膜トランジスタ、および薄膜トランジスタの製造方法
JP6296463B2 (ja) 薄膜トランジスタおよびその製造方法
CN101814529B (zh) 薄膜晶体管及其制造方法,以及半导体装置
JP6290577B2 (ja) 半導体装置の作製方法
JP5966840B2 (ja) 酸化物半導体薄膜および薄膜トランジスタ
JP2016192567A (ja) 酸化物層及び半導体装置
US9378981B2 (en) Thin film device and manufacturing method thereof
TW201234593A (en) Semiconductor device
WO2022105174A1 (zh) 一种金属氧化物半导体及薄膜晶体管与应用
JP6107085B2 (ja) 酸化物半導体薄膜および薄膜トランジスタ
JP2012238763A (ja) 半導体装置及び半導体装置の製造方法
Wang et al. Impurity level properties in transition metal doped α-Ga2O3 for optoelectronic applications
Gai et al. Formation of shallow acceptors in ZnO doped by lithium with the addition of nitrogen
WO2015115330A1 (ja) 薄膜トランジスタ、酸化物半導体、およびその製造方法
TW201501211A (zh) 氧氮化物半導體薄膜及其製造方法,及薄膜電晶體
TW201526118A (zh) 半導體裝置及半導體裝置之製造方法
JP6252903B2 (ja) 薄膜トランジスタおよびその製造方法
JP6087668B2 (ja) 半導体装置の作製方法
WO2020116499A1 (ja) 薄膜トランジスタ及びその製造方法
JP6252904B2 (ja) 酸化物半導体およびその製法
Kim et al. Effects of Li doping on the negative bias stress stability of solution-processed ZnO thin film transistors
JP6173246B2 (ja) 薄膜トランジスタおよびその製造方法
JP6261125B2 (ja) 酸化物薄膜トランジスタおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151015

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161212

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170801

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20170809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170911

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6217196

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250