<実施形態>
図1〜図7を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1、2に示す通り、本実施形態の面状照明装置100は、LED光源LS、第1光学素子1、第2光学素子2、第3光学素子3、拡散板4、及びこれらを保持する筐体90を主に有する。
筐体90は直方体状であり、断面形状が矩形である筒部91と、筒部91の一方の開口を塞ぐ底部92とを有する。LED光源LSは筐体90の底部92の中央に配置されている。第1光学素子1、第2光学素子2、第3光学素子3、拡散板4は、LED光源LSからの光の光路に沿って、この順番で、筐体90の筒部91に保持されている。拡散板4は、筒部91の他方の開口を塞いでいる。拡散板4の外面は、LED光源LSからの光を面状照明装置100の外部に出射する発光面ESである。
以下の説明においては、LED光源LSを通り且つ筒部91の回転対称軸(中心軸)を通る軸を面状照明装置100の光軸OAとする。第1光学素子1、第2光学素子2、第3光学素子3、拡散板4はいずれも直方形の板状であり、その長辺方向を長手方向、短辺方向を短手方向という。
第1光学素子1は、一方の面に複合フレネルレンズ11が、他方の面に複数の線状プリズム(リニアプリズム)12(第1プリズム)を有するプリズムアレイ120(第1プリズムアレイ)が形成された矩形板状の光学素子である。換言すれば、第1光学素子1は、複合フレネルレンズ11とプリズムアレイ120とが合体された光学素子である。第1光学素子1は、筐体90の筒部91によって、第1光学素子1の表面(光入射面)が光軸OAと直交し且つ第1光学素子1の光軸が光軸OAと一致するように保持されている。また、第1光学素子1は、複合フレネルレンズ11がLED光源LSと対向するように配置されている。
複合フレネルレンズ11は、第1光学素子1の中心C1を中心とした円環状の複数の屈折プリズム11aと、中心C1を中心とした円環状の複数の反射プリズム11bとを有する。屈折プリズム11aは中心C1に近い位置に設けられており、反射プリズム11bは屈折プリズム11aの外側に設けられている。
円環状の複数の屈折プリズム11aのそれぞれの頂角α11aは、複合フレネルレンズ11の焦点距離f、屈折プリズム11aの屈折率、及び屈折プリズム11aの環の半径に基づいて定めることができる。また、円環状の複数の反射プリズム11bのそれぞれの頂角α11bも、複合フレネルレンズ11の焦点距離f、反射プリズム11bの屈折率、及び反射プリズム11bの環の半径に基づいて定めることができる。複合フレネルレンズは知られた光学部材であり、その詳細は、例えば特開2002−221605号に開示されている。
複合フレネルレンズ11は、その焦点位置にLED光源LSが位置するように、LED光源LSに対して配置されている。したがって、複合フレネルレンズ11とLED光源LSとは、光軸方向において、複合フレネルレンズ11の焦点距離fだけ離間している(図2)。本実施形態では、複合フレネルレンズ11の焦点距離fは、第1光学素子1の長手方向の寸法W1の1/2である。
第1光学素子1の他方の面(複合フレネルレンズ11の光出射面)には、第1光学素子1の短手方向に延在する線状プリズム12が第1光学素子1の長手方向に一定のピッチで複数形成されたプリズムアレイ120が設けられている。各線状プリズム12の断面形状は二等辺三角形であり、その傾斜角α12は、52°〜68°程度にすることができる。線状プリズム12間のピッチは、例えば20μm〜200μm程度にすることができる。なお、本願において、線状プリズムが線状に延在する方向を第1方向と呼び、第1方向と直交する方向を第2方向と呼ぶことがある。
第1光学素子1は、一例としてポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の光透過性樹脂材料を用いて成形することができる。
第2光学素子2は、一方の面に短手方向に延在する複数の線状プリズム21(第2プリズム)を有するプリズムアレイ210(第2プリズムアレイ)が形成され、他方の面に長手方向に延在する複数の線状プリズム22(第3プリズム)を有するプリズムアレイ220(第3プリズムアレイ)が形成された矩形板状の光学素子である。換言すれば、第2光学素子2は、プリズムアレイ210とプリズムアレイ220とが合体された光学素子である。第2光学素子2は、筐体90の筒部91によって、第2光学素子2の表面(光入射面)が光軸OAと直交し且つ第2光学素子2の光軸が光軸OAと一致するように保持されている。また第2光学素子2は、第1光学素子1の、LED光源LSとは反対側に配置されている。即ち、LED光源LSが光軸OAの方向において第1光学素子1の光入射側に位置するのに対して、第2光学素子2は光軸OAの方向において第1光学素子1の光出射側に位置する。プリズムアレイ210は、第1光学素子1のプリズムアレイ120と対向するように配置されている。したがって、第2光学素子2のプリズムアレイ210が設けられている面が光入射面であり、プリズムアレイ220が設けられている面が光出射面である。
プリズムアレイ210の複数の線状プリズム21は、それぞれが第2光学素子2の短手方向に延在し、且つ第2光学素子2の長手方向に一定のピッチで配置されている。各線状プリズム21の断面形状は二等辺三角形であり、その傾斜角α21は線状プリズム12の傾斜角α12に等しい。即ち、線状プリズム21は線状プリズム12と同一形状であり且つ同一のサイズである。また、複数の線状プリズム21間のピッチは複数の線状プリズム12間のピッチに等しい。
第2光学素子2の光出射面に形成されたプリズムアレイ220の複数の線状プリズム22は、それぞれが第2光学素子2の長手方向に延在し、且つ第2光学素子2の短手方向に一定のピッチで配置されている。各線状プリズム22の断面形状は二等辺三角形であり、その傾斜角α22(図2(b))は、例えば52°〜68°程度にすることができる。線状プリズム22間のピッチは、一例として20μm〜200μm程度にすることができる。
第2光学素子2は、一例としてポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の光透過性樹脂材料を用いて成形することができる。線状プリズム21と線状プリズム12は、製造及び光学設計の観点から同じ材料で形成することが望ましい。
第3光学素子3は、一方の面に長手方向に延在する複数の線状プリズム31(第4プリズム)を有するプリズムアレイ310(第4プリズムアレイ)が形成され、他方の面に短手方向に延在する複数のシリンドリカルレンズ32がアレイ状に形成された矩形板状の光学素子である。換言すれば、第3光学素子3は、プリズムアレイ310とアレイ状のシリンドリカルレンズ32とが合体された光学素子である。第3光学素子3は、筐体90の筒部91によって、光軸OAと直交し且つ第3光学素子3の光軸が光軸OAと一致するように保持されている。また第3光学素子3は、第2光学素子2の、LED光源LSとは反対側に配置され、プリズムアレイ310が第2光学素子2のプリズムアレイ220と対向するように配置されている。したがって、プリズムアレイ310が形成されている面が第3光学素子3の光入射面となり、シリンドリカルレンズ32が形成された面が光出射面となる。
第3光学素子3のプリズムアレイ310が有する複数の線状プリズム31は、それぞれが第3光学素子3の長手方向に延在し、且つ第3光学素子3の短手方向に一定のピッチで配置されている。各線状プリズム31の断面形状は二等辺三角形であり、その傾斜角α31は線状プリズム22の傾斜角α22に等しい。即ち、線状プリズム31は線状プリズム22と同一形状であり且つ同一のサイズである。また、複数の線状プリズム31間のピッチは複数の線状プリズム22間のピッチに等しい。
第3光学素子3の光出射面に形成された複数のシリンドリカルレンズ32は、それぞれが第3光学素子3の短手方向に延在し、且つ第3光学素子3の長手方向に一定のピッチで配置されている。
第3光学素子3は、一例としてポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の光透過性樹脂材料により形成することができる。なお、線状プリズム31と線状プリズム22とは、製造及び光学設計の観点から、同じ材料で形成することが望ましい。
拡散板4は、一方の面に入射した光を他方の面から拡散して出射する光学素子である。拡散板4は矩形板状であり、筐体90の筒部91によって、光軸OAと直交し且つ拡散板4の光軸が光軸OAと一致するように保持されている。
拡散板4の、第3光学素子3と対向する面とは反対側の面には光出射面である発光面ESが画成されている。拡散板4の光入射面と第3光学素子3の光出射面との間の距離は任意に設定することができる。
筐体90の筒部91の内周面91iのうち、光軸方向において第1光学素子1と拡散板4とに挟まれた領域にはリフレクタR(反射面)が形成されている。即ち、リフレクタRは、第1光学素子1の外周縁(端部)と第2光学素子2の外周縁(端部)、第2光学素子2の外周縁(端部)と第3光学素子3の外周縁(端部)、第3光学素子3の外周縁(端部)と拡散板4の外周縁(端部)をそれぞれ光軸方向につなぐように、筐体90の筒部91の内周面91iに形成されている。リフレクタRは、第1光学素子1、第2光学素子2、第3光学素子3から出射した光のうち、各光学素子の外周縁を超えて光軸OAから離間する方向に進む光を光軸OA側に向けて鏡面反射する。リフレクタRは、ポリエステル系樹脂等の任意の反射性材料から構成し得る。
次に、面状照明装置100における光路及び輝度分布などについて説明する。
図3(b)に示す通り、LED光源LSから出射された光は、第1光学素子1の光入射面上の複合フレネルレンズ11に入射する。LED光源LSから出射された光のうち、光軸OA近傍の光は、複合フレネルレンズ11の屈折プリズム11aに入射し、光軸OAから離れた光は、複合フレネルレンズ11の反射プリズム11bに入射する。
本実施形態では、LED光源LSは複合フレネルレンズ11の焦点位置に配置されており、複合フレネルレンズ11の焦点距離fは、第1光学素子1の長手方向の寸法W1の1/2である。したがって、LED光源LSから複合フレネルレンズ11に入射する光線の光軸OAに対する最大拡がり角度θmaxは45°である。
LED光源LSが複合フレネルレンズ11の焦点位置に配置されているため、複合フレネルレンズ11から出射される光は、光軸OA方向に進む平行光となる。LED光源LSから出射された光は指向性(ランバート配光)を有するため、光軸OA方向に出射される光の強度(光度)は、光軸OAから離間した方向に出射される光の強度(光度)よりも大きい。したがってフレネルレンズ11からの輝度分布は、図3(a)に示すように、光軸OA近傍にピークを有する。
複合フレネルレンズ11を通過した光は、第1光学素子1の光出射面上のプリズムアレイ120に入射し、プリズムアレイ120の線状プリズム12によって長手方向の両側に分岐される。即ち、複合フレネルレンズ11からの光は、図4(b)に示すように、線状プリズム12での反射及び屈折により、長手方向において稜線(又は谷線)を挟んで形成された2つのプリズム面から光軸OAに対して所定の角度θ12(出射角)だけ傾斜して出射する。
プリズムアレイ120からの輝度分布は、図4(a)に実線で示す通り、長手方向において、光軸OAの一方側と他方側にそれぞれ1つのなだらかなピークを有する。すなわちプリズムアレイ120から出射された光は二峰性の輝度分布を有する。これは、複合フレネルレンズ11から出射された光の輝度分布(図3(a))において光軸OA近傍に位置していた輝度ピークが、図4(a)に点線で示す通り、長手方向において光軸OAの一方側と他方側とに分散されるためである。なお、図4(a)においては、説明の都合上、点線で示す輝度分布を実線で示す輝度分布より下方に表した。
第1光学素子1のプリズムアレイ120によって二峰化された輝度分布を持つ光束は、第2光学素子2のプリズムアレイ210に入射する。プリズムアレイ120の複数の線状プリズム12と、プリズムアレイ210の複数の線状プリズム21とは、上述の通り、同一の形状を有し、且つ同一のピッチで配置されている。したがってプリズムアレイ210に入射した光は、同一の輝度分布を維持しつつ、再び光軸OAに平行な光に偏向される。このようにプリズムアレイ210は、プリズムアレイ120によって分岐された光(分岐光)を偏向して光軸OAの方向に戻す作用がある。但し、プリズムアレイ210は、必ずしも分岐光を偏向して光軸OAと平行な方向に偏向しなくてもよく、分岐光の進行方向をより光軸OAに近づけるように偏向すればよい。すなわち、分岐光のプリズムアレイ210への入射角θinに対して、プリズムアレイ210を通過した光、即ち、プリズムアレイ210からの出射光の出射角θoutが小さく(θin>θout)なればよい。
ここで、線状プリズム12の傾斜角α12、及び線状プリズム21の傾斜角α21は、52°よりも大きく68°未満であることが望ましい。傾斜角α12、α21が52°以下である場合には、線状プリズム12の材料によっては、例えばポリカーボネート(屈折率1.59)やPMMA(屈折率1.49)などでは、線状プリズム12からの光と光軸OAとの間の角度θ12が90°以上となり、第2光学素子2に向かう光の効率が低下するおそれがある。傾斜角α12、α21が68°以上となれば、上記のような材料の線状プリズム12では、線状プリズム12からの光と光軸OAとの間の角度θ12が30°以下となり、光の分岐による輝度分布の均一化が十分に果たせなくなる可能性がある。
次に、第2光学素子2のプリズムアレイ210から出射された光は、第2光学素子2の光出射面上のプリズムアレイ220に入射し、プリズムアレイ220の線状プリズム22によって短手方向の両側に分岐される。即ち、第2光学素子2のプリズムアレイ210から出射された光は、図5に示すように、線状プリズム22での反射及び屈折により、短手方向において稜線(又は谷線)を挟んで形成された2つのプリズム面から、光軸OAに対して所定の角度θ22だけ傾斜して出射する。
第2光学素子2のプリズムアレイ220からの光の輝度分布は、プリズムアレイ210から出射された光の輝度分布が有する2つのなだらかなピークがそれぞれ短手方向に分割された四峰性を有する。具体的には輝度分布は、第2光学素子2を長手方向及び短手方向に2分割して得られる4つの矩形領域の各中央部に対応する位置に、合計4つのなだらかなピークを有する。従って、図3(a)に示すような輝度分布における中央の単一のピークは4つの領域におけるなだらかなピークに分散され、全体として輝度は均一化される。
第2光学素子2のプリズムアレイ220によって短手方向の両側に分岐された光は、第3光学素子3のプリズムアレイ310に入射する。プリズムアレイ220の複数の線状プリズム22と、プリズムアレイ310の複数の線状プリズム31とは、上述の通り、同一の形状を有し、且つ同一のピッチで配置されている。したがって複数の線状プリズム31を出射する光は、同一の輝度分布を維持しつつ再び光軸OAに平行な光に偏向される。なお、プリズムアレイ310も、プリズムアレイ210と同様に、必ずしも分岐光を偏向して光軸OAと平行な方向に偏向しなくてもよく、分岐光の進行方向をより光軸OAに近づけるように偏向すればよい。
ここで、線状プリズム22の傾斜角α22、及び線状プリズム31の傾斜角α31は、52°よりも大きく、68°よりも小さいことが望ましい。その理由は、線状プリズム12の傾斜角α12、及び線状プリズム21の傾斜角α21が52°よりも大きく、68°よりも小さいことが望ましい理由と同じである。
次に、第3光学素子3の光入射面に形成されたプリズムアレイ310から出射された光は、第3光学素子3の光出射面に形成された複数のシリンドリカルレンズ32に入射して長手方向に拡散される。これにより、光の配向分布が調整される。
次に、複数のシリンドリカルレンズ32から出射された光は拡散板4によって全方向に拡散され、拡散板4の外面に画成された発光面ESより、面状照明装置100の外部に放射される。拡散板4により光を全方向に拡散することにより、輝度分布が更に均一化される。
ここで、第1光学素子1の光出射面(プリズムアレイ120が形成された面)と第2光学素子2の光入射面(プリズムアレイ210が形成された面)との間の光軸方向の距離L1(図2)について説明する。
第1光学素子1の光出射面と、第2光学素子2の光入射面との間の光軸OA方向の距離L1は、線状プリズム12から出射される光の光軸OAに対する角度をθ
12(図4)、第2光学素子2の長手方向の寸法をW1として、
の関係を満たすことが望ましい。ここで、角度θ
12は、線状プリズム12の傾斜角α
12と、線状プリズム12の屈折率n
12とを用いて
と表される。
これは、距離L1をこのような範囲内の値とすれば、第1光学素子1で分岐されて第2光学素子2に入射する光の、第2光学素子2の入射面での輝度分布が、第2光学素子2を長手方向に二分割して得られる領域RA1、RA2(図6(a))の各中央部近傍にピークを有する形状となるためである。輝度分布のピークをこのように調整することで、第2光学素子2から出射される光の輝度分布をより均一にすることができる。
次に、第2光学素子2の光出射面(プリズムアレイ220が形成された面)と第3光学素子3の光入射面(プリズムアレイ310が形成された面)との間の光軸方向の距離L2(図2)について説明する。
第2光学素子2の光出射面と、第3光学素子3の光入射面との間の光軸OA方向の距離L2は、線状プリズム22から出射される光の光軸OAに対する角度をθ
22(図5)、第3光学素子3の短手方向の寸法をW2として、
の関係を満たすことが好ましい。ここで、角度θ
22は、線状プリズム22の傾斜角α
22と、線状プリズム22の屈折率n
22とを用いて
と表される。
これは、距離L2をこのような範囲内の値とすれば、第2光学素子2で分岐されて第3光学素子3に入射する光の、第3光学素子3の入射面での輝度分布が、第3光学素子3を長手方向及び短手方向に四分割して得られる領域RA3、RA4、RA5、RA6(図6(b))の各中央部近傍にピークを有する形状となるためである。輝度分布のピークをこのように調整することで、第3光学素子3から出射される光の輝度分布をより均一にすることができる。
本実施形態の面状照明装置100は、一例としてヘッドアップディスプレイ(HUD)用の光源として使用することができる。図7に示す通り、面状照明装置100を光源として使用するヘッドアップディスプレイHにおいては、面状照明装置100は透過型の液晶パネルPの背後に設置される。透過型の液晶パネルPに生成された画像は、面状照明装置100に照らされて、凹面ミラーMを介してウィンドシールドWSに投影される。運転者Dは、ウィンドシールドWSに投影された画像の虚像画像Iを視認して速度等の情報を得る。
本実施形態の面状照明装置100の効果は次の通りである。
本実施形態の面状照明装置100は、複合フレネルレンズ11を通過した平行光を、プリズムアレイ120により光軸OAに対して傾斜するように長手方向に分岐した後に、プリズムアレイ120に対向して配置された、プリズムアレイ120と同一のプリズムアレイ210に入射して再び平行光に偏向している。本実施形態の面状照明装置100においては、このようにして複合フレネルレンズ11からの光の輝度分布に二峰性が与えられ、これにより輝度分布の均一化が行われるため、発光面ESから発光される光の輝度分布の均一性が高い。
本実施形態の面状照明装置100は、プリズムアレイ210から出射された平行光を、プリズムアレイ220により光軸OAに対して傾斜するように短手方向に分岐した後に、プリズムアレイ220に対向して配置された、プリズムアレイ220と同一のプリズムアレイ310に入射して再び平行光に偏向している。本実施形態の面状照明装置100においては、このようにしてプリズムアレイ220からの光の輝度分布に四峰性が与えられ、これにより輝度分布の均一化が行われるため、発光面ESから発光される光の輝度分布の均一性が高い。
本実施形態の面状照明装置100においては、複合フレネルレンズ11の焦点距離fは、第1光学素子1の長手方向の寸法W1の1/2であり、LED光源LSから出射されて複合フレネルレンズ11に入射する光線の光軸OAに対する最大拡がり角度θmaxは45°である。すなわちLED光源LSと第1光学素子1との光軸方向の距離が小さく、面状照明装置100をより薄型化することができる。さらに、本実施形態の面状照明装置100によれば、単一のLED光源で60mm×40mm以上の大面積の面状照明エリアを提供できる。
本実施形態の面状照明装置100は、筐体90の筒部91の内周面91iにリフレクタRが形成されている。したがって、第1光学素子1、第2光学素子2、第3光学素子3の外周縁を超えて光軸OAから離れる光を光軸OA側に戻すことができ、LED光源LSからの光を効率良く発光面ESから出射することができる。
<実施例>
次に面状照明装置100の実施例を示す。
実施例の面状照明装置100は、第1光学素子1、第2光学素子2、第3光学素子3、拡散板4の長手方向の寸法W1が68mm、短手方向の寸法W2が42mmである。また、複合フレネルレンズ11の焦点距離fは21mmであり、LED光源LSは複合フレネルレンズ11の焦点位置に配置されている。第1光学素子1と第2光学素子2との間の光軸方向の距離L1は10mmであり、第2光学素子2と第3光学素子3との間の光軸方向の距離L2は6mmであり、第3光学素子3と拡散板4との間の距離は4mmである。第1光学素子1の材料はポリカーボネート(屈折率1.59)とした。
LED光源LSは、日亜化学工業株式会社のNFCWL036B(1440lm)を使用した。またリフレクタRの反射率は90%とし、線状プリズム12、21、22、31の傾斜角はいずれも60°とし、プリズムアレイ120、210、220、310が有する線状プリズム12、21、22、31の配列のピッチはいずれも25μmとした。
拡散板4としては、拡散板4に入射した平行光の拡散板透過後の光度分布の半値全幅が10°となるものを使用した。なお、第3光学素子3の光出射面にはシリンドリカルレンズ32を設けなかった。
このような仕様を有する面状照明装置100の発光面ESから出射される光の輝度分布をシミュレーションにより求めた結果を図8に示す。図8において、色の濃度が異なる位置は輝度が異なることを示している。この輝度分布における輝度均一性((最小輝度/最大輝度)×100)は、75.6%であった。したがって、発光面ESから出射される光の輝度は、発光面全域においてほぼ均一となっていることがわかる。
また、上記仕様の面状照明装置100の実機を作成し、発光面ESから出射される光の輝度を測定したところ、発光面ES内の15点で測定した輝度の平均値は129万cd/m2であり、輝度均一性は79.8%であった。
<比較例>
次に比較例の面状照明装置について説明する。
比較例の面状照明装置500は、図9に示す通り、筐体80の内部に、LED光源LS、複合フレネルレンズ51と拡散板4のみが設けられた構造を有するものを想定した。
すなわち比較例の面状照明装置500は、上記実施例の面状照明装置100から、第1光学素子1に形成されたプリズムアレイ120、第2光学素子2、第3光学素子3を取り除き、拡散板4と複合フレネルレンズ11との間の距離を小さくしたものに等しい。
比較例の面状照明装置500においても、上記実施例と同様に、複合フレネルレンズ51の焦点距離fは21mmであり、LED光源LSは複合フレネルレンズ51の焦点位置に配置されている。また、複合フレネルレンズ51と拡散板4との間の距離は4mmである。複合フレネルレンズ51及び拡散板4の長手方向の寸法W1、短手方向の寸法W2は、それぞれ実施例の面状照明装置におけるそれらの値と同じである。複合フレネルレンズ51の材料はポリカーボネート(屈折率1.59)である。また、LED光源LS、リフレクタR、拡散板4も実施例の面状照明装置と同じものを使用した。
このような比較例の面状照明装置500の発光面ESから出射される光の輝度分布をシミュレーションにより求めた結果を図10に示す。図10において、色の濃度が異なる位置は輝度が異なることを示している。この輝度分布における輝度均一性((最小輝度/最大輝度)×100)は、12.0%であった。従って、比較例の面状照明装置500の発光面ESから出射される光は輝度ムラが大きく、光軸OA近傍における輝度がその周囲の輝度に比べて著しく大きいことが分かる。
上記実施形態の面状照明装置100において、以下に述べるような変形を行ってもよい。
上記実施形態の面状照明装置100においては、複合フレネルレンズ11の焦点距離fは、第1光学素子1(複合フレネルレンズ11)の長手方向の寸法W1の1/2であった。しかしながら、複合フレネルレンズ11の焦点距離fは任意に設定してよい。但し、複合フレネルレンズ11の焦点距離fを、第1光学素子1(複合フレネルレンズ11)の長手方向の寸法W1の1/2以下とすることが望ましい。こうすることで、LED光源LSから出射されて複合フレネルレンズ11に入射する光線の光軸OAに対する最大角度θmax(図3(b))は45°以上かつ90°未満となり、第1光学素子1(複合フレネルレンズ11)とLED光源LSとの間の光軸方向の距離を小さくすることができ、ひいては面状照明装置100を薄型化することができる。
このように焦点距離fを小さくして、複合フレネルレンズ11に入射する光線の光軸OAに対する最大拡がり角度θmaxを大きくすれば、LED光源LSから出射される光のうち、光軸OAに対して大きな角度を有して出射される光も複合フレネルレンズ11に入射する。これはLED光源LSから出射された光を効率良く発光面ESから出射するうえでは有利である。しかし一方で、LED光源LSから出射される光のうち光軸OAに対して大きな角度を有して出射される光は強度(光度)が小さいため、焦点距離を小さくすることで、複合フレネルレンズ51から出射される光の輝度ムラは大きくなる。このような問題は、上記の比較例の面状照明装置500に顕著に表れている。ここで本実施形態の面状照明装置100は、上述の通り、複合フレネルレンズ11から出射された光をプリズムアレイ120等により分岐して輝度をより均一にしているため、複合フレネルレンズ11の焦点距離fを小さくし、その焦点位置にLED光源LSを配置しても、発光面ESの輝度分布の均一性を高くできる。
上記実施形態の面状照明装置100の第1光学素子1には、複合フレネルレンズ11に代えて屈折プリズムのみからなるフレネルレンズを形成してもよい。
上記実施形態の面状照明装置100においては、線状プリズム12と線状プリズム21が同一形状で且つ同一サイズであったが、これに限らず、相似形のように同一形状でサイズが異なってもよい。あるいは、線状プリズム12と線状プリズム21の形状が多少異なっていてもよい。すなわち、線状プリズム12によって分岐された光が線状プリズム21を通過することによって光軸OAと平行にならなくてもよく、線状プリズム21からの光の出射角が線状プリズム21に入射する光の入射角より小さくなるように線状プリズム21が形状化されていてもよい。線状プリズム22と線状プリズム31の形状の関係についても同様である。
上記実施形態の面状照明装置100においては、線状プリズム12、21、22、31の断面形状はいずれも二等辺三角形であったが、これには限られない。線状プリズム12、21、22、31の断面形状は、稜線の両側に形成されるプリズム面の傾斜角が互いに異なる形状や、稜線と谷線の間に画成される1つのプリズム面が、異なる傾斜角を有する複数のプリズム面で構成された形状であってもよい。または、線状プリズム12、21、22、31のプリズム面は、稜線と谷線との間で湾曲していてもよい。線状プリズム12、21、22、31をこのような形状とすることにより、線状プリズム12、21、22、31にシリンドリカルレンズ32と同様の配向分布調整機能を与えることができる。なお、本願において、「三角形」とは、完全な三角形状のもののみならず、一般的に三角形状とみなすことができるものを含み、例えば、頂部が多少丸みを帯びているもの等を含む。
上記実施形態の面状照明装置100において、第2光学素子2のプリズムアレイ220と第3光学素子3のプリズムアレイ310とを省略してもよい。又は第1光学素子1のプリズムアレイ120と第2光学素子2のプリズムアレイ210とを省略してもよい。これらのプリズムアレイを有さない構成によっても、発光面ESからの出射される光の輝度を長手方向又は短手方向において均一化できる。
上記実施形態の面状照明装置100において、第3光学素子3は複数のシリンドリカルレンズ32を有さなくてもよい。シリンドリカルレンズ32を有さない構成によっても、発光面ESからの出射される光の輝度を均一化できる。
上記実施形態の面状照明装置100は、拡散板4を有さなくても良い。拡散板4を有さない構成によっても、発光面ESからの出射される光の輝度を均一化できる。
上記実施形態の面状照明装置100において、筐体90の筒部91の内周面91iにリフレクタRが形成されていなくてもよい。なお、リフレクタRが形成されていない場合には、第1光学素子1に形成されたプリズムアレイ120と第2光学素子2に形成されたプリズムアレイ210との間の光軸方向の距離L1は、
とすることが望ましく、第2光学素子2に形成されたプリズムアレイ220と第3光学素子3に形成されたプリズムアレイ310との間の光軸方向の距離L2は、
とすることが望ましい。
数式1、3、5、6をまとめると次の通りである。筐体90に所定方向の寸法がWのある光学素子と、所定方向の寸法がWの他の光学素子が保持されており、ある光学素子にLED光源LSからの光を所定方向に分岐するあるプリズムアレイが形成されており、他の光学素子のある光学素子と対向する面に、あるプリズムアレイによって所定方向に分岐された光線をより光軸OAに近づけるように偏向するための他のプリズムアレイが形成されている状況においては、ある光学素子と他の光学素子との間の光軸方向の距離Lは以下であることが望ましい。なお、θはあるプリズムアレイのある線状プリズムから出射される光と光軸OAとの間の角度であり、ある線状プリズムの傾斜角をα、屈折率をnとして、
で表される。
すなわち、筐体90の筒部91の内周面91iにリフレクタRが形成されている場合には、距離Lは
の関係を満たす値であることが望ましく、筐体90の筒部91の内周面91iにリフレクタRが形成されていない場合には、距離Lは、
の関係を満たす値であることが望ましく、リフレクタRの有無に関わらず、距離Lは、
の関係を満たす値であることが望ましい。
上記実施形態では面状照明装置100の光源として単一のLED光源を用いたが、複数のLED光源を用いても良い。例えばプリズムアレイへの平行光の入射を、所定方向に並ぶ複数の複合フレネルレンズと、各複合フレネルレンズの焦点位置に配置される複数のLED光源を用いて行っても良い。より具体的には、図11に示す通り長手方向に並ぶ2つの複合フレネルレンズ13、14を形成して複合フレネルレンズ13、14の焦点位置のそれぞれに、LED光源LSを配置し、これによりプリズムアレイに平行光を入射させてもよい。
このような場合には数式8〜10は次のようになる。すなわち、プリズムアレイによって光が分岐される所定方向に複数(N個)のLED光源LSが配置されている場合には、ある光学素子と他の光学素子との間の光軸方向の距離Lは以下であることが望ましい。
筐体90の筒部91の内周面91iにリフレクタRが形成されている場合には、距離Lは、
の関係を満たす値であることが望ましく、筐体90の筒部91の内周面91iにリフレクタRが形成されていない場合には、距離Lは、
の関係を満たす値であることが望ましく、リフレクタRの有無に関わらず、距離Lは、
の関係を満たす値であることが望ましい。
上記実施形態の面状照明装置100においては、第1光学素子1の光入射面に複合フレネルレンズ11が形成されており、光出射面にプリズムアレイ120が形成されていた。しかしながら、複合フレネルレンズ11とプリズムアレイ120は別個の光学素子に形成してもよい。具体的には例えば、第1光学素子1に代えて、一方の面に複合フレネルレンズ11が形成され他方の面が平坦面とされた光学素子(フレネルレンズ)と、一方の面が平坦面であり他方の面にプリズムアレイ120が形成された光学素子(第1プリズムアレイ)とを、平坦面同士を対向させた状態で配置してもよい。
上記実施形態の面状照明装置100においては、第2光学素子2の光入射面にプリズムアレイ210が形成されており、光出射面にプリズムアレイ220が形成されていた。しかしながら、第1光学素子1について上述したのと同様に、プリズムアレイ210とプリズムアレイ220とは別個の光学素子に形成されていてもよい。第3光学素子3に形成されたプリズムアレイ310と複数のシリンドリカルレンズ32についても同様である。
上記実施形態の面状照明装置100においては、第1光学素子1の光出射面にプリズムアレイ120が形成されており、第2光学素子2の光入射面にはプリズムアレイ120に対向するプリズムアレイ210が形成されていた。しかしながら、これに代えて、第1光学素子1の他方の面及びこれに対向する第2光学素子2の一方の面に、複数の四角錐状のプリズム(第1プリズム、第2プリズム)のアレイを長手方向及び短手方向に一定のピッチで設けてもよい。第1光学素子1に設けられるプリズムと第2光学素子2に設けられるプリズムの形状及びピッチは同一とする。このような四角錐状のプリズムを用いることで、長手方向の光線の分岐と短手方向の光線の分岐とを同時に実現することができる。そのため光軸方向に配置する光学素子の数を低減することができ、面状照明装置100の光軸方向の寸法を小さくすることができる。なお、第2光学素子2に設けられる四角錐状のプリズムは、第1光学素子1からの分岐光の進行方向をより光軸OAに近づける形状であれば、第1光学素子1に設けられる四角錐状のプリズムと異なる形状及び/又は寸法であってもよい。
上記実施形態の面状照明装置100は、長手方向に延在し、短手方向に一定のピッチで配列された複数のシリンドリカルレンズが形成された光学素子を有してもよい。このような光学素子を備えることで短手方向の配向分布も調整することができる。また、上記実施形態の面状照明装置100は、複数のトロイダル面が形成された光学素子を有しても良い。このような光学素子を備えることで、長手方向の配向分布と短手方向の配向分布を同時に調整することができる。
上記実施形態の面状照明装置100においては、LED光源LSは点光源であったが、これに代えて、長手方向又は短手方向に延在する線状のLED光源LSを用いることもできる。この場合は、複合フレネルレンズ11の屈折プリズム11a、反射プリズム11bもそれぞれ、LED光源LSの延在方向と同一の方向に延在する線状とする。このような線状の屈折プリズムと反射プリズムを有する複合フレネルレンズ11は、例えば特開2002−221605号に開示されている。
この時、例えば長手方向に延在する線状のLED光源LSを用いた場合には、LED光源LSからの光の長手方向の輝度分布は一定である。したがってこの場合には、面状照明装置100は、LED光源LSからの光を長手方向に分岐し、長手方向において輝度の均一化を図るための構造、即ちプリズムアレイ120とプリズムアレイ210とを有さなくても良い。
上記実施形態の面状照明装置100においては光源としてLED光源を用いたが、LED光源に代えてレーザーダイオード(LD)などの他の光源を用いても良い。
上記実施形態の面状照明装置100をヘッドアップディスプレイの光源以外の用途に使用することもできる。例えば上記実施形態の面状照明装置100を様々な光学機器、例えば、室内用あるいは室外用の照明器具、医療用や産業用などの作業用照明、植物工場で植物の光合成を促進するために使用される植物育成用照明、プロジェクター等に使用することができる。
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。