以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、媒体としての帳票、本実施の形態においては、通帳に対して印字を行うための印刷装置としてのシリアルプリンタについて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの給紙待機時の状態を示す正面図、図2は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの給紙開始時の状態を示す側面図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるガイドの揺動機構を示す斜視図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるガイドの状態を説明するための第1の図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるガイドの状態を説明するための第2の図である。
図において、10はシリアルプリンタ、Pは通帳、Stは該通帳Pをセット(載置)するためのテーブル(載置台)、FLは、シリアルプリンタ10の正面側(テーブルStが配設される側)、すなわち、フロント側から見て左側に配設された第1のフレームとしてのサイドフレーム、FRはシリアルプリンタ10のフロント側から見て右側に配設された第2のフレームとしてのサイドフレーム、SHはサイドフレームFL、FR間に架設されたキャリッジシャフト、11は該キャリッジシャフトSHに沿って、シリアルプリンタ10の左右方向に移動自在に配設されたキャリッジ、13は該キャリッジ11に実装され、走査方向に移動自在に配設され、通帳Pに対して印字を行う印字ヘッド、16は、該印字ヘッド13より下方において、サイドフレームFL、FR間に延在させて、かつ、シリアルプリンタ10の高さ方向において移動自在(印字ヘッド13に対して進退自在)に配設され、通帳Pを保持する媒体保持部としてのプラテン、Ar1は前記印字ヘッド13とプラテン16との間に形成される印字部、u1は該印字部Ar1よりフロント側において通帳Pを搬送する第1の媒体搬送装置、u2は前記印字部Ar1よりシリアルプリンタ10の背面側(テーブルStが配設される側とは反対側)、すなわち、リヤ側において通帳Pを搬送する第2の媒体搬送装置である。
本実施の形態において、前記シリアルプリンタ10は、セットフリーのプリンタであり、操作者がテーブルSt上の任意の位置に通帳Pをセットすると、通帳Pは、第1の媒体搬送装置u1によって矢印A方向に取り込まれ、第1、第2の媒体搬送装置u1、u2によって印字部Ar1に送られ、該印字部Ar1において、印字ヘッド13によって印字が行われ、印字が終了すると、第1、第2の媒体搬送装置u1、u2によってテーブルSt上に戻され(排出され)る。
前記キャリッジ11は、後述される走行用の駆動部としてのキャリッジモータ71(図6)を駆動することによってキャリッジシャフトSHに沿って走行させられ、前記印字ヘッド13は、キャリッジ11の走行に伴って走査方向に移動(走査)させられる。なお、キャリッジ11のリヤ側に貫通穴11hが形成され、該貫通穴11hに前記キャリッジシャフトSHが嵌入させられる。
前記印字ヘッド13は、図示されない複数の印字ワイヤを備え、該各印字ワイヤを選択的に前進させてガイドノーズ13aの先端面Saから突出させ、図示されないインクリボンに打ち付け、インクリボンのインクを前記通帳Pに転写することによって通帳P上にドットを形成し、印字を行う。なお、印字ヘッド13による印字が行われない状態、すなわち、印字待機状態において、印字ヘッド13は、図1に示される、サイドフレームFRに隣接する位置、すなわち、ホームポジションに置かれる。
また、14は、前記印字ヘッド13の所定の箇所、本実施の形態においては、ガイドノーズ13aにおけるフロント側の下端の近傍に、前記ガイドノーズ13aの先端面Saよりプラテン16側に所定の量突出させて回転自在に取り付けられた押え部材としてのメディアフォローローラ、15は、印字ヘッド13よりフロント側において、前記サイドフレームFL、FR間に、前記キャリッジシャフトSHと平行に延在させて配設された押え部材案内装置としてのガイドである。
前記メディアフォローローラ14は、前記ガイドノーズ13aに近接させて形成された円柱体部14a、及び該円柱体部14aよりフロント側に形成された切頭円錐体部14bから成る。
そして、前記ガイド15は、弾性を有する帯状の薄板から成り、幅方向において所定の形状に曲折させて形成されたプレート部101、及び該プレート部101の一方の縁部を保持する保持部材102を備える。そして、前記プレート部101は、他方の縁部において、所定の幅で印字ヘッド13の走査方向(長手方向)に延在させて形成され、前記メディアフォローローラ14を受けて案内する押え部材受け部としての、かつ、媒体当接部としてのローラ受け部103、該ローラ受け部103に対して所定の角度を成すように形成された第1の板状部104、及び該第1の板状部104に対して所定の角度を成すように形成された第2の板状部105を備え、前記ローラ受け部103と第1の板状部104との間に第1の曲折部としての谷部q1が、第1、第2の板状部104、105間に第2の曲折部としての山部q2が形成される。
また、前記ガイド15は、前記キャリッジシャフトSHと平行に延在する揺動シャフト108を揺動中心にして矢印a、b方向に揺動自在に配設され、印字ヘッド13がホームポジションに置かれている間は、図1〜4に示される第1の状態としてのオープン状態に置かれ、印字ヘッド13がホームポジションから離れ、走査方向に移動させられている間は、図5に示される第2の状態としてのクローズ状態に置かれる。そして、前記ガイド15は、前記オープン状態においてプラテン16から退避させられ、前記クローズ状態において、ローラ受け部103をプラテン16上の通帳Pに当接させる。
そのために、図1及び3に示されるように、前記キャリッジ11におけるサイドフレームFRと対向する面に、サイドフレームFRに向けて突出させて第1の係合要素としての凸部11aが、サイドフレームFRに、第1の被係合要素としてのレバー28が揺動軸sh1を揺動中心として揺動自在に配設される。また、前記ガイド15の揺動シャフト108のサイドフレームFR側の端部に、径方向外方に向けて延在させてガイドアームGaが形成される。
前記レバー28は、揺動軸sh1から径方向外方に向けて形成された第1、第2のレバーアームLa1、La2を備え、第1のレバーアームLa1と前記キャリッジ11の凸部11aとが選択的に係合させられ、第2のレバーアームLa2と前記ガイドアームGaとが選択的に係合させられる。
また、該ガイドアームGaの下方には、ガイドアームGaを、上方に向けて押し上げ、ガイド15がオープン状態に置かれるように付勢する第1の付勢部材としてのスプリング112が配設され、前記揺動軸sh1には、第1のレバーアームLa1を上方に向けて押し上げ、第2のレバーアームLa2を下方に向けて押し下げ、ガイド15がクローズ状態に置かれるように付勢する第2の付勢部材としての図示されないスプリングが配設される。
そして、前記凸部11aの下面には、キャリッジ11の本体から離れる方向に斜め上方に向けて傾斜させられた係合面Sg1が形成され、第1のレバーアームLa1の上面には、前記係合面Sg1と対応させて、水平方向に延びる被係合面Sg2が形成される。
したがって、印字ヘッド13がホームポジションに置かれると、前記キャリッジ11の凸部11aと第1のレバーアームLa1とが係合させられ、係合面Sg1が被係合面Sg2を押し、第1のレバーアームLa1は、揺動軸sh1に配設されたスプリングの付勢力に抗して押し下げられ、それに伴って、第2のレバーアームLa2は押し上げられる。その結果、ガイドアームGaがスプリング112の付勢力によって押し上げられ、ガイド15がオープン状態に置かれる。
また、印字ヘッド13がホームポジションから離れると、前記キャリッジ11の凸部11aと第1のレバーアームLa1との係合が解除され、係合面Sg1が被係合面Sg2から離れ、第1のレバーアームLa1は、揺動軸sh1に配設されたスプリングの付勢力によって押し上げられ、それに伴って、第2のレバーアームLa2は押し下げられる。その結果、第2のレバーアームLa2と前記ガイドアームGaとが係合させられ、ガイドアームGaがスプリング112の付勢力に抗して押し下げられ、ガイド15がクローズ状態に置かれる。
なお、前記凸部11a、レバー28、ガイドアームGa、スプリング112、揺動軸sh1に配設されたスプリング等によって、案内装置作動機構Mが構成される。
そして、前記印字ヘッド13が走査方向に移動させられる間、前記ガイド15はクローズ状態に置かれ、メディアフォローローラ14は回転しながら、円柱体部14aの外周面をガイド15のローラ受け部103に当接させ、ローラ受け部103上を移動させられる。これにより、ガイドノーズ13aの先端面Saと通帳Pの印字面との距離であるヘッドギャップが一定に保持される。
なお、本実施の形態において、ヘッドギャップは、メディアフォローローラ14が前記ガイドノーズ13aの先端面Saよりプラテン16側に突出する量、すなわち、突出量をε1とし、ローラ受け部103の厚さをε2としたとき、突出量ε1と厚さε2とを加算した値になる。
また、前記プレート部101は、幅方向において曲折させて形成されるので、十分な弾性を有する。したがって、ローラ受け部103をプラテン16上の通帳Pに十分に密着させることができる。
しかも、仮に、メディアフォローローラ14を直接通帳P上で移動させると、メディアフォローローラ14と通帳Pとは線接触させられるので、メディアフォローローラ14が中綴じ部上を移動する際に、通帳Pの厚さの変化に追随することができず、例えば、印字ヘッド13が通帳Pに引っ掛かり、通帳Pが斜行してしまうことがあるが、本実施の形態においては、メディアフォローローラ14が、ローラ受け部103を介して通帳P上を移動させられるので、ローラ受け部103と通帳Pとは面接触させられ、メディアフォローローラ14が中綴じ部上を移動する際に、通帳Pの厚さの変化に追随することができ、印字ヘッド13が通帳Pに引っ掛かることがない。したがって、通帳Pが斜行することがない。
このように、メディアフォローローラ14と通帳Pとが直接接触することがないので、印字ヘッド13に負荷が加わることがない。その結果、通帳Pを開いたときに、中綴じ部で厚さが異なる場合でも、ヘッドギャップが変化しないので、適正な印字を行うことができる。
前記プラテン16は、サイドフレームFL、FR間において長手方向に延在させられる本体部16a、及び該本体部16aの両端部、すなわち、サイドフレームFL、FRに隣接する部分において、下方に垂下させて形成されたブラケット17L、17Rを備える。そして、該ブラケット17L、17Rの各外側(非対向側)の端部には、サイドフレームFL、FRに向けて突出させて第1の被係合要素としての受け板部18が形成される。
また、前記プラテン16の両端より外側には第1の昇降機構としてのアップダウン機構20L、20Rが配設され、該アップダウン機構20L、20Rによってプラテン16は上下方向に移動させられ、上位置及び下位置に置かれる。アップダウン機構20L、20Rは、後述されるアップダウン用の駆動部としての昇降用モータ72(図6)、該昇降用モータ72によって回転させられる原動節としてのカム22、及び該カム22の回転に伴って揺動させられる従動節としてのアーム部材23を備える。
前記カム22は、径の小さい円弧から成る凹部形状を有する第1のカム面Ca、及び該第1のカム面Ca以外の部分に形成され、凸部形状を有する第2のカム面Cbを備える。また、前記アーム部材23は、揺動中心を形成する支持部pa、該支持部paの周方向における所定の箇所からカム22側に向けて突出させて形成された第1のアームm1、及び前記支持部paの円周方向における他の所定の箇所から受け板部18側に向けて突出させて形成された第1の係合要素としての第2のアームm2を備え、前記第1のアームm1は、カム22の第1、第2のカム面Ca、Cbと選択的に係合させられ、第2のアームm2は、受け板部18と選択的に係合させられる。
また、前記プラテン16より下方に、プラテン16をシリアルプリンタ10の高さ方向において移動自在に支持する媒体保持部支持機構としてのプラテン支持機構24が配設される。該プラテン支持機構24は、前記受け板部18の下方に配設され、前記プラテン16の両端部において、前記ブラケット17L、17Rに対して、連結ピンpn1、pn2を揺動中心にして揺動自在に連結され、かつ、プラテン16の長手方向における所定の箇所、本実施の形態においては、中央部において連結ピンpn3を揺動中心にして互いに揺動自在に連結される連結部材としてのリンク19L、19R、該各リンク19L、19Rの中央部を下方から支持し、プラテン16を上方に向けて付勢する第3の付勢部材としてのスプリング25、及び各リンク19L、19Rを中央部において揺動自在に支持する揺動支持部材としての軸受け部26を備える。
前記スプリング25は、上端が各リンク19L、19Rに、下端がシリアルプリンタ10の本体、すなわち、装置本体の所定のフレーム、本実施の形態においては、ボトムフレームfrに取り付けられる。また、前記軸受け部26は、ボトムフレームfrに固定された支持部材29、及び該支持部材29に取り付けられた軸受け30を備え、該軸受け30内に、各リンク19L、19Rの中央部において側面から突出させて形成されたポストpsが嵌入される。
次に、前記第1、第2の媒体搬送装置u1、u2について説明する。
前記第1の媒体搬送装置u1は、第1の上側ガイドとしてのフロントアッパガイド33、該フロントアッパガイド33の中央部において、下端部を下方に突出させて回転自在に配設された第1の上側ローラとしてのフロントアッパローラ34、前記フロントアッパガイド33より下方において、フロントアッパガイド33と対向させて配設された第1の下側ガイドとしてのフロントロワガイド35、該フロントロワガイド35の中央部において、上端部を上方に突出させて回転自在に配設された第1の下側ローラとしてのフロントロワローラ36、及び前記フロントロワガイド35をフロントアッパガイド33に向けて付勢し、所定の付勢力でフロントロワローラ36をフロントアッパローラ34に押し付ける第4の付勢部材としてのスプリング37を備える。該スプリング37は、下端が前記ボトムフレームfrに、上端がフロントロワガイド35に取り付けられる。
前記フロントアッパガイド33は、シリアルプリンタ10の高さ方向において、所定の位置に固定される。また、前記フロントロワガイド35は、シリアルプリンタ10の高さ方向に移動自在に配設され、第2の昇降機構としての図示されないアップダウン機構によって、フロントロワローラ36をフロントアッパローラ34と当接させる上位置、及びフロントロワローラ36をフロントアッパローラ34から離す下位置に置かれる。前記アップダウン機構は、後述される第1のモード切換用の駆動部としての第1のモードモータ73(図6)を駆動することによって動作させられる。
また、前記フロントアッパローラ34は、後述される第1の搬送用の駆動部としての第1の搬送モータ74(図6)と連結され、該第1の搬送モータ74を駆動することによって回転させられ、前記フロントロワローラ36は、上位置に置かれたときに、前記フロントアッパローラ34の回転に対して連れ回りで回転させられる。
そして、前記フロントアッパローラ34とフロントロワローラ36とが当接する位置よりフロント側に第1の媒体検出部としてのテーブルセンサ31が、前記フロントアッパローラ34とフロントロワローラ36とが当接する位置よりリヤ側に、第2の媒体検出部としてのエンドセンサ32が配設される。本実施の形態において、前記テーブルセンサ31及びエンドセンサ32は、いずれもホトセンサから成り、第1の検出素子としての発光素子、及び第2の検出素子としての受光素子を備え、発光素子から発生させられた光を受光素子が受光するかどうかによって、発光素子と受光素子との間を通過する通帳Pを検出する。前述されたように、シリアルプリンタ10はセットフリーのプリンタであるので、操作者はテーブルSt上の任意の位置に通帳Pをセットすることができる。したがって、通帳PがテーブルSt上のどの位置にセットされても通帳Pを検出することができるように、前記テーブルセンサ31及びエンドセンサ32は、テーブルStの幅方向における複数箇所に配設される。
また、前記第2の媒体搬送装置u2は、第2の上側ガイドとしてのリヤアッパガイド43、該リヤアッパガイド43の中央部において、下端部を下方に突出させて回転自在に配設された第2の上側ローラとしてのリヤアッパローラ44、前記リヤアッパガイド43より下方において、リヤアッパガイド43と対向させて配設された第2の下側ガイドとしてのリヤロワガイド45、該リヤロワガイド45の中央部において、上端部を上方に突出させて回転自在に配設された第2の下側ローラとしてのリヤロワローラ46、及び前記リヤロワガイド45をリヤアッパガイド43に向けて付勢し、所定の付勢力でリヤロワローラ46をリヤアッパローラ44に押し付けるスプリング37を備える。該スプリング37は、下端が前記ボトムフレームfrに、上端がリヤロワローラ45に取り付けられる。
前記リヤアッパガイド43は、シリアルプリンタ10の高さ方向において、所定の位置に固定される。また、前記リヤロワガイド45は、シリアルプリンタ10の高さ方向において移動自在に配設され、第3の昇降機構としての図示されないアップダウン機構によってリヤロワローラ46をリヤアッパローラ44と当接させる上位置、及びリヤロワローラ46をリヤアッパローラ44から離す下位置に置かれる。前記アップダウン機構は、後述される第2のモード切換用の駆動部としての第2のモードモータ75(図6)を駆動することによって動作させられる。
また、前記リヤアッパローラ44は、後述される第2の搬送用の駆動部としての第2の搬送モータ76(図6)と連結され、該第2の搬送モータ76を駆動することによって回転させられ、前記リヤロワローラ46は、上位置に置かれたときに、前記リヤアッパローラ44の回転に対して連れ回りで回転させられる。
なお、本実施の形態においては、前記第1の媒体搬送装置u1において、フロントロワガイド35がシリアルプリンタ10の高さ方向において移動自在に配設され、前記スプリング37によって、フロントロワガイド35がフロントアッパガイド33に向けて付勢され、フロントロワローラ36がフロントアッパローラ34に押し付けられ、前記第2の媒体搬送装置u2において、リヤロワガイド45がシリアルプリンタ10の高さ方向において移動自在に配設され、前記スプリング37によって、前記リヤロワガイド45がリヤアッパガイド43に向けて付勢され、リヤロワローラ46がリヤアッパローラ44に押し付けられるようになっているが、前記第1の媒体搬送装置u1において、フロントアッパガイド33をシリアルプリンタ10の高さ方向において移動自在に配設し、スプリングによって、フロントアッパガイド33をフロントロワガイド35に向けて付勢し、フロントアッパローラ34をフロントロワローラ36に押し付け、前記第2の媒体搬送装置u2において、リヤアッパガイド43をシリアルプリンタ10の高さ方向において移動自在に配設し、スプリングによって、リヤアッパガイド43をリヤロワガイド45に向けて付勢し、リヤアッパローラ44をリヤロワローラ46に押し付けるようにすることができる。
次に、前記シリアルプリンタ10の動作について説明する。
図6は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの制御ブロック図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの給紙待機時の制御要素の状態を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの給紙開始時の制御要素の状態を示す図、図9は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの印字開始時の状態を示す正面図、図10は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの印字開始時の状態を示す側面図、図11は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの印字開始時の制御要素の状態を示す図、図12は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの印字動作時の状態を示す側面図、図13は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの印字動作時の制御要素の状態を示す図、図14は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの印字終了時の状態を示す側面図、図15は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの印字終了時の制御要素の状態を示す図、図16は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの排紙時の状態を示す側面図、図17は本発明の第1の実施の形態におけるシリアルプリンタの排紙時の制御要素の状態を示す図である。
図6において、60はシリアルプリンタ10(図1)の全体の制御を行う制御部、13は印字ヘッド、31はテーブルセンサ、32はエンドセンサ、61は第1の記憶装置としてのRAM、62は第2の記憶装置としてのROM、63は上位装置としてのホストコンピュータ、71はキャリッジモータ、72は昇降用モータ、73は第1のモードモータ、75は第2のモードモータ、74は第1の搬送モータ、76は第2の搬送モータである。
まず、ホストコンピュータ63から印字データが送られると、制御部60は印字データを読み込み、編集してRAM61に記録する。
そして、図1に示されるシリアルプリンタ10の給紙待機時の状態において、通帳PはテーブルStにセットされておらず、テーブルセンサ31及びエンドセンサ32はオフにされ、初期状態においてフロントロワローラ36が上位置に、リヤロワローラ46が下位置に置かれる。
また、初期状態において、印字ヘッド13はホームポジションに置かれ、ガイド15はオープン状態に置かれる。そして、カム22の第2のカム面Cbとアーム部材23の第1のアームm1とが係合させられ、第2のアームm2と受け板部18とが係合させられ、これにより、第2のアームm2によって受け板部18が押し下げられ、プラテン16が下位置に置かれる。
次に、操作者が、通帳Pの前端(シリアルプリンタ10のリヤ側の端部)をフロントアッパローラ34及びロフロントロワガイド35に当てて、テーブルStに通帳Pをセットすると、シリアルプリンタ10が図2に示される給紙開始時の状態に置かれ、複数のテーブルセンサ31のうちの所定のテーブルセンサ31が通帳Pを検出し、オンになる。
これにより、制御部60は、第1の搬送モータ74を駆動し、フロントアッパローラ34を回転させる。そして、フロントアッパローラ34の回転に伴ってフロントロワローラ36が連れ回りで回転させられ、通帳Pは図2の矢印A方向に取り込まれ、印字部Ar1に向けて搬送される。
なお、シリアルプリンタ10の給紙開始時において、エンドセンサ32はオフにされ、リヤロワローラ46は下位置に置かれる。また、ガイド15はオープン状態に、プラテン16は下位置に置かれる。
続いて、複数のエンドセンサ32のうちの所定のエンドセンサ32が通帳Pを検出し、オンになると、制御部60はキャリッジモータ71を駆動し、印字ヘッド13をサイドフレームFL側に向けて移動させる。これにより、シリアルプリンタ10は、図9及び10に示される印字開始時の状態に置かれる。
このとき、エンドセンサ32はオンにされ、フロントロワローラ36は上位置に、リヤロワローラ46は下位置に置かれる。
また、印字ヘッド13がホームポジションから離れるので、第1のレバーアームLa1と前記キャリッジ11の凸部11aとの係合が解除され、ガイド15がクローズ状態に置かれる。
そして、前記制御部60は、昇降用モータ72を駆動し、カム22を回転させ、アーム部材23を回動させ、第1のカム面Caと第1のアームm1とを係合させることによって、第2のアームm2と受け板部18との係合を解除する。これにより、第2のアームm2は受け板部18から離れ、プラテン16が上位置に置かれる。
そして、複数のエンドセンサ32のうちの、通帳Pを検出した各エンドセンサ32が配設された領域の中央の位置、すなわち、図9に示されるように、通帳Pの幅方向における中央の位置に印字ヘッド13が到達すると、制御部60はキャリッジモータ71の駆動を停止し、キャリッジ11及び印字ヘッド13を停止させる。また、図10に示されるように、通帳Pの印字を開始する行が印字部Ar1に到達すると、制御部60は第1の搬送モータ74の駆動を停止し、通帳Pを停止させる。このようにして、印字を開始するための通帳Pの頭出しが行われる。
続いて、印字を開始したシリアルプリンタ10の印字動作時の状態において、テーブルセンサ31及びエンドセンサ32はいずれもオンにされ、フロントロワローラ36は上位置に、リヤロワローラ46は上位置に、ガイド15はクローズ状態に、プラテン16は上位置に置かれる。
このとき、前記制御部60は、第1のカム面Caと第1のアームm1とを係合させることによって、第2のアームm2を受け板部18から離した状態を維持し、プラテン16は上位置に置かれたままにされる。そして、ガイド15がクローズ状態に置かれるので、印字ヘッド13が走査させられる間、メディアフォローローラ14は回転しながらガイド15のローラ受け部103上を移動させられる。
続いて、制御部60は、RAM61から印字データを読み出し、印字ヘッド13に送るとともに、キャリッジモータ71を駆動してキャリッジ11を走行させ、印字ヘッド13を走査方向に移動させて通帳Pに対して印字を行う。このとき、メディアフォローローラ14は回転しながらガイド15のローラ受け部103上を移動させられる。
そして、制御部60は、1行分の印字データについて印字を行うと、第1の搬送モータ74を駆動し、副走査方向に通帳Pを1行分搬送することによって改行を行う。このとき、メディアフォローローラ14はローラ受け部103上に置かれたままにされ、メディアフォローローラ14と通帳Pとが直接接触することはない。
そして、通帳Pが、矢印A方向に更に搬送され、印字部Ar1から第2の媒体搬送装置u2に送られると、制御部60は、第2のモードモータ75及び第2の搬送モータ76を駆動し、リヤロワローラ46を上位置に置くとともに、リヤアッパローラ44を回転させる。そして、リヤアッパローラ44の回転に伴って、リヤロワローラ46が連れ回りで回転させられる。
その後、フロントアッパローラ34及びフロントロワローラ36、並びにリヤアッパローラ44及びリヤロワローラ46が回転させられて通帳Pが搬送される。このようにして、通帳Pは第1、第2の媒体搬送装置u1、u2によって搬送される。
そして、通帳Pの後端(シリアルプリンタ10のフロント側の端部)がエンドセンサ32を通過し、テーブルセンサ31及びエンドセンサ32がいずれも通帳Pを検出しなくなり、オフにされると、制御部60は、第2の搬送モータ76だけを駆動し、リヤアッパローラ44及びリヤロワローラ46を回転させて通帳PをP’で示される位置まで矢印A方向に搬送し、印字ヘッド13によって、通帳Pの印字可能範囲の末行まで印字を行った後、印字ヘッド13及び第2の搬送モータ76の駆動を停止させ、印字ヘッド13による印字を終了するとともに、通帳Pの搬送を停止させる。
このようにして、シリアルプリンタ10は、図14に示されるような印字終了時の状態に置かれる。このとき、フロントロワローラ36及びリヤロワローラ46は上位置に置かれ、ガイド15はクローズ状態に置かれ、プラテン16は上位置に置かれる。
続いて、制御部60は、キャリッジモータ71を駆動することによって、キャリッジ11及び印字ヘッド13を移動させ、印字ヘッド13をホームポジションに置く。これにより、第1のレバーアームLa1(図3)と前記キャリッジ11の凸部11aとが係合させられ、第2のレバーアームLa2と前記ガイドアームGaとが係合させられ、図16に示されるように、ガイド15がオープン状態に置かれる。
また、前記制御部60は、昇降用モータ72を駆動し、カム22を回転させ、アーム部材23を回動させ、第2のカム面Cbと第1のアームm1とを係合させ、第2のアームm2と受け板部18とを係合させる。これにより、第2のアームm2によって受け板部18が押し下げられ、プラテン16が下位置に置かれる。
続いて、前記制御部60は、第1、第2の搬送モータ74、76を逆方向に駆動し、フロントアッパローラ34及びリヤアッパローラ44を逆方向に回転させ、通帳Pを矢印B方向に搬送し、テーブルStに排出する。
なお、シリアルプリンタ10が図16に示されるような排紙時の状態に置かれ、通帳Pが印字部Ar1を通過し、後端(リヤ側の端部)がエンドセンサ32を通過すると、エンドセンサ32がオフにされ、テーブルセンサ31を通過すると、テーブルセンサ31がオフにされる。その間、フロントロワローラ36及びリヤロワローラ46は、いずれも上位置に置かれる。
このように、本実施の形態において、ガイド15は、オープン状態及びクローズ状態に置かれ、オープン状態においてプラテン16から退避させられ、クローズ状態においてメディアフォローローラ14を受けて案内し、ヘッドギャップを一定に保持する。
したがって、メディアフォローローラ14と通帳Pとは、ローラ受け部103を介して当接させられ、直接接触することがないので、通帳Pを開いたときに、印字ヘッド13の走査方向における中綴じ部で厚さが異なる場合でも、ヘッドギャップが変化しない。その結果、適正な印字を行うことができる。
また、メディアフォローローラ14が中綴じ部に位置するときに改行が行われる場合においても、メディアフォローローラ14と通帳Pとが直接接触することがないので、印字ヘッド13に負荷が加わることがない。
したがって、改行を円滑に行うことができるので、メディアフォローローラ14を印字領域外に退避させて改行を行う必要がない。その結果、シリアルプリンタ10のスループットを良くすることができる。
ところで、本実施の形態においては、通帳PがサイドフレームFL、FRのうちの一方側(プラテン16の一端側)に寄せてセットされたときに、前記プラテン16より下方に配設されたプラテン支持機構24によって、プラテン16が傾くのを防止するようになっている。
次に、プラテン支持機構24について説明する。
図18は本発明の第1の実施の形態におけるプラテン支持機構の動作を示す図である。
図に示されるように、通帳PがサイドフレームFL、FRのうちの一方側、例えば、サイドフレームFL側に寄せてセットされると、プラテン16は、長手方向における2箇所でスプリング25によって支持されるので、サイドフレームFL側が低く、サイドフレームFR側が高くなるように傾く。
ところが、この場合、プラテン16が傾くと、ブラケット17Lが下方に向けて矢印C方向に移動させられ、リンク19Lが軸受け30を中心に矢印D方向(反時計回り方向)に回動させられ、リンク19L、19Rの連結部が上方向に向けて矢印E方向に移動させられる。これに伴って、リンク19Rが軸受け30を中心に矢印F方向(時計回り方向)に回動させられ、ブラケット17Rが下方に向けて矢印G方向に移動させられる。このように、サイドフレームFL側が低くなるのに伴って、サイドフレームFR側も低くなるので、プラテン16が一端側に傾かなくなる。
このように、本実施の形態においては、プラテン16がプラテン支持機構24によって支持されるので、通帳Pがプラテン16の一端側に寄せてセットされても、プラテン16が一端側に傾くのを防止することができる。
したがって、通帳Pとプラテン16との間に隙間が形成されることがなくなるので、印字濃度が低くなることがなく、ライトプリントが発生するのを防止することができる。
また、メディアフォローローラ14とプラテン16との間に挟まれた通帳Pに加わる負荷が、プラテン16の一端側と他端側とで異なることがなくなるので、通帳Pを搬送する際にスキュー(斜行)が発生するのを防止することができる。
次に、通帳PがサイドフレームFL、FRのうちの一方側、例えば、フロントロワガイド35及びリヤロワガイド45の一端側に寄せてセットされたときに、フロントロワガイド35及びリヤロワガイド45が傾くのを防止することができるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。この場合、フロントロワガイド35及びリヤロワガイド45に、それぞれ下側ガイド支持機構が配設されるが、各下側ガイド支持機構の構造は互いに等しいので、フロントロワガイド35側の下側ガイド支持機構についてだけ説明する。
図19は本発明の第2の実施の形態におけるシリアルプリンタの給紙開始時の状態を示す側面図、図20は本発明の第2の実施の形態におけるシリアルプリンタの下側ガイド支持機構を示す側面図、図21は本発明の第2の実施の形態におけるシリアルプリンタの給紙開始時の制御要素の状態を示す図である。
図において、u1は第1の媒体搬送装置であり、該第1の媒体搬送装置u1は、第1の上側ガイドとしてのフロントアッパガイド33、該フロントアッパガイド33の中央部において、所定の量下方に突出させて回転自在に配設された第1の上側ローラとしてのフロントアッパローラ34、前記フロントアッパガイド33より下方において、フロントアッパガイド33と対向させて配設された第1の下側ガイドとしてのフロントロワガイド35、該フロントロワガイド35の中央部において、所定の量上方に突出させて回転自在に配設された第1の下側ローラとしてのフロントロワローラ36、及び前記フロントロワガイド35を下方から支持し、フロントアッパガイド33に向けて付勢し、所定の付勢力でフロントロワローラ36をフロントアッパローラ34に押し付ける第4の付勢部材としてのスプリング37を備える。該スプリング37は、フロントロワガイド35の長手方向における2箇所に配設され、下端がボトムフレームfrに、上端がフロントロワガイド35に取り付けられる。
該フロントロワガイド35は、第1、第2のフレームとしてのサイドフレームFL、FR(図1)間において長手方向に延在させられる本体部35a、及び該本体部35aの両端部、すなわち、サイドフレームFL、FRに隣接する部分において、下方に垂下させて形成されたブラケット117L、117Rを備える。
そして、前記フロントロワガイド35より下方に、フロントロワガイド35を支持するガイド支持機構としての下側ガイド支持機構124が配設される。該下側ガイド支持機構124は、前記フロントロワガイド35の両端部において、前記ブラケット117L、117Rに対して、連結ピンpn11、pn12を揺動中心にして揺動自在に連結され、かつ、フロントロワガイド35の長手方向における所定の箇所、本実施の形態においては、中央部において連結ピンpn13を揺動中心にして互いに揺動自在に連結される連結部材としてのリンク119L、119R、及び該各リンク119L、119Rを中央部において揺動自在に支持する揺動支持部材としての軸受け部126を備える。
該軸受け部126は、ボトムフレームfrに固定された支持部材129、及び該支持部材129に取り付けられた軸受け130を備え、該軸受け130内に、各リンク119L、119Rの中央部において側面から突出させて形成されたポストps1が嵌入される。
次に、媒体としての通帳PがサイドフレームFL、FRのうちの一方側に寄せてセットされたときの下側ガイド支持機構124の動作について説明する。
図20に示されるように、通帳PがサイドフレームFL、FRのうちの一方側、例えば、サイドフレームFL側に寄せてセットされると、フロントロワガイド35は、長手方向における2箇所でスプリング37によって支持されるので、サイドフレームFL側が低く、サイドフレームFR側が高くなるように傾く。
ところが、フロントロワガイド35が傾くと、ブラケット117Lが下方に向けて矢印C’方向に移動させられ、リンク119Lが軸受け130を中心に矢印D’方向(反時計回り方向)に回動させられ、リンク119L、119Rの連結部が上方向に向けて矢印E’方向に移動させられる。これに伴って、リンク119Rが軸受け130を中心に矢印F’方向(時計回り方向)に回動させられ、ブラケット117Rが下方に向けて矢印G’方向に移動させられる。したがって、サイドフレームFL側が低くなるのに伴って、サイドフレームFR側も低くなるので、フロントロワガイド35が一端側に傾かなくなる。
なお、図19に示されるように、印刷装置としてのシリアルプリンタ10が給紙開始時の状態に置かれている場合、第1の媒体検出部としてのテーブルセンサ31、及び第2の媒体検出部としてのエンドセンサ32はオンにされ、フロントロワローラ36は上位置に、押え部材案内装置としてのガイド15はオープン状態に、媒体保持部としてのプラテン16及び第2の下側ローラとしてのリヤロワローラ46は下位置に置かれる。
このように、本実施の形態においては、フロントロワガイド35が下側ガイド支持機構124によって支持されるので、通帳Pがフロントロワガイド35の一端側に寄せてセットされても、フロントロワガイド35が一端側に傾くのを防止することができる。
したがって、フロントアッパローラ34とフロントロワローラ36との間に挟まれた通帳Pに加わる負荷が、フロントロワガイド35の一端側と他端側とで異なることがなくなるので、通帳Pを搬送する際にスキューが発生するのを防止することができる。
前記各実施の形態においては、シリアルプリンタ10について説明したが、本発明を、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。