JP6215834B2 - 成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品の製造方法に関する。
近年、関節リウマチや変形性関節症などの疾患により損傷した関節を、人工関節により置換する治療が広く行われている。そのような人工関節の摺動部材として主に用いられている材料が、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)であり、金属材料と組み合わせて用いられている。超高分子量ポリエチレンからなる摺動部材は、耐摩耗性、耐衝撃性、自己潤滑性及び耐薬品性に優れているが、その耐久性については未だ不十分な面があり、改善が求められている。
特に、長期間にわたって使用する際の耐摩耗性は重要である。関節内に超高分子量ポリエチレン製の摺動部材を埋め込んだ場合、長期間の使用によって、摩耗粉が発生することが避けられない。ところがこの摩耗粉は、生体内でマクロファージに貪食されて、炎症性のサイトカインの産出を引き起こすとされている。そして、そのようなサイトカインによって活性化された破骨細胞が骨吸収を促進させる結果、インプラントが緩むという問題が生じている。
特許文献1及び2、並びに非特許文献1及び2には、超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含む人工関節用摺動部材が記載されている。超高分子量ポリエチレンにビタミンEを配合することにより、成形品の耐酸化性が改善されるとともに耐摩耗性も改善され、結果として成形品の生体反応性が抑制される。このとき、ポリエチレン結晶の粒界にビタミンEが存在することによって成形性が改善され、デラミネーション破壊が抑制できるとされている。そして、これらの文献には、ビタミンEが配合された超高分子量ポリエチレンに対して、ガンマ線や電子線などの放射線を照射することにより、ポリエチレンを架橋させたり、滅菌処理を施したりすることが記載されている。ポリエチレンを架橋させることによって、硬度が上昇し、クリープ量が低減するなど、成形品の力学特性が改善される。そして、耐摩耗性がさらに改善され、長期間の耐久性に優れた人工関節用摺動部材が得られるとされている。
しかしながら、ビタミンEを含む成形品に放射線を照射すると、ビタミンEの水酸基の水素ラジカルが引き抜かれ、ビタミンEラジカル(トコフェロール又はその誘導体のラジカル)が発生することが避けられない。そして、ビタミンEラジカルは、その後の反応によって、二量体、三量体あるいはキノン体などに変化することが知られている。このようにして生成する副生物は、ビタミンEが本来有する効果を奏さないため、その添加効果である抗酸化作用や生体反応性抑制効果が低減してしまう。さらに、放射線のエネルギーがビタミンEのラジカル化に消費されたり、ポリエチレン鎖に生じたラジカルがビタミンEラジカルと反応して消費されることによって、ポリエチレン鎖同士の架橋反応が進行しにくくなるという問題もあった。現在、γ−トコフェロールのキノン体は生体毒性を有することが知られており、それが成形品に含まれることは望ましくない。また、α−トコフェロールキノンやそのヒドロキノン体についても、その関節内における生理作用は未だ不明であり、安全性に不安が残っている状況にある。このようなトコフェロールキノンは、ビタミンEラジカルが分子内で転位して生成するものである。
一方、特許文献3には、予め架橋された超高分子量ポリエチレンの成形品に対して、ビタミンEを拡散させる方法が記載されている。しかしながら、滅菌などの目的で放射線を照射する場合にも、ビタミンEラジカルが発生し、その後の反応によって、二量体、三量体あるいはキノン体などに変化する。
特開平11−239611号公報 特表2009−504283号公報 特表2007−500773号公報
N.Tomita外、J.Biomed.Mater.Res.48、1999年、p.474−478 N.Shibata外、Biomaterials、26、2005年、p.5755−5762
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品に放射線を照射する際に発生するラジカルの制御を行って、耐酸化性に優れ、かつ生体に対する安全性にも優れた成形品を提供することを目的とするものである。
上記課題は、超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品に、0℃以下の温度で放射線を照射することを特徴とする成形品の製造方法を提供することによって解決される。このとき、ドライアイスを用いて冷却しながら放射線を照射することが好ましい。また、放射線を照射した後に、0℃以下の温度で1日以上保存することも好ましい。
また上記課題は、超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品に、放射線を照射した後に、0℃以下の温度で1日以上保存する成形品の製造方法を提供することによっても解決される。
上記各製造方法において、超高分子量ポリエチレンを97〜99.99質量%、及びビタミンEを0.01〜3質量%含有する成形品に放射線を照射することが好ましい。照射する放射線が電子線であること、あるいは放射線の照射量が2〜1000kGyであることも好ましい。また、前記成形品が医療用インプラントであることも好ましい。
本発明の製造方法によれば、超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品に放射線を照射する際に発生するラジカルの制御を行うことができる。これによって、放射線照射直後に成形品に含まれるビタミンEラジカルを減少させることができるので、その後にそれが分子内で転位することによって生成するトコフェロールキノンの量を低減することができ、成形品の生体に対する安全性を向上させることができる。すなわち、耐酸化性に優れ、かつ生体に対する安全性にも優れた成形品を提供することができる。
試料「VE03」及び試料「Vir」の、室温での電子線照射直後のESR波形である。 試料「VE03」に紫外線を照射した試料のESR波形と、試料「VE03」の電子線照射直後のESR波形から信号強度比を補正した試料「Vir」の電子線照射直後のESR波形を引いた差分のESR波形である。 室温下及び冷凍環境下で電子線照射した試料「Vir」のESR波形である。 冷凍環境下で照射した試料「Vir」の信号強度比を補正した波形から、室温下で照射した試料「Vir」の波形を差し引いた波形である。 冷凍環境下での照射に特有の主鎖ラジカルの波形を同定するための線幅の解析結果である。 アリルラジカルのESR波形である。 アルキルラジカルのESR波形である。 室温下及び冷凍環境下で電子線照射した直後の試料「VE03」中の総ラジカル量である。 室温下及び冷凍環境下で電子線照射した試料「Vir」中の総ラジカル量である。 室温下及び冷凍環境下で電子線照射した試料「VE03」を、室温下及び冷凍環境下で保存したときのビタミンEラジカル含有量の経時変化である。 室温下及び冷凍環境下で電子線照射した試料「Vir」を、室温下及び冷凍環境下で保存したときのポリエチレンの主鎖ラジカルの含有量の経時変化である。 室温下及び冷凍環境下で電子線照射した試料「VE03」を、室温下及び冷凍環境下で保存したときのポリエチレンの主鎖ラジカルの含有量の経時変化である。 室温下及び冷凍環境下で電子線照射した直後の試料「VE03」中における炭素間二重結合度である。
本発明の成形品の製造方法においては、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)とビタミンEを含有する成形品に、放射線を照射する。
本発明の製造方法において用いられる超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量は、100万以上であり、好ましくは200万以上である。重量平均分子量は、通常1000万以下である。このような高い分子量を有するポリエチレンを使用することで、成形品の耐摩耗性や耐疲労性に優れた成形品が得られる。原料の超高分子量ポリエチレンの形態は特に限定されないが、ビタミンEとの均一な混合が容易である点などから、粉末状であることが好ましい。医療用インプラント製造の原料として使用する場合には、医療用銘柄を用いることが望ましい。
本発明の製造方法において用いられるビタミンEは、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール又はこれらの誘導体であり、d体であっても、l体であっても、dl体であっても構わない。また、これらの混合物を使用することもできる。
超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含む成形品の製造方法は特に限定されないが、超高分子量ポリエチレンの粉体とビタミンEを混合してから加熱圧縮する方法が好適に採用される。このときビタミンEは、そのまま超高分子量ポリエチレンの粉体に混合してもよいし、アルコールなどの溶媒に溶解させて溶液にしてから混合してもよい。溶液を混合する場合には均一に配合しやすいが、加熱圧縮する前に溶媒を除去する必要がある。混合に際しては、十分に攪拌することによって、ビタミンEの分布が均一な成形品を得ることができる。
加熱圧縮して成形する際の温度は、200〜250℃が好適である。超高分子量ポリエチレンを溶融させるためには200℃以上であることが好ましく、一方でビタミンEを熱劣化させないためには250℃以下であることが好ましい。成形する時の圧力は1〜100MPaであることが好適である。気泡などの欠陥をなくし、高強度の成形品を得るためには、1MPa以上であることが好ましく、5MPa以上であることがより好ましい。設備コストの観点からは100MPa以下であることが好ましく、50MPa以下であることがより好ましい。また、金型内を減圧して空気を排出してから成形すること、あるいは不活性ガス雰囲気下で成形することが、ビタミンEの酸化劣化を防止する観点から好ましい。
また、超高分子量ポリエチレンのみからなる成形品を先に成形してから、当該成形品中にビタミンEを拡散させてもよい。この場合、液状のビタミンEの中に成形品を浸漬して拡散させる。成形品中にビタミンEを効率良く拡散させるためには、圧力をかけたり、温度を上昇させることが望ましい。しかしながら、成形品の中心部まで均一にビタミンEを拡散させることは、必ずしも容易ではないので、上述のように、予め超高分子量ポリエチレンとビタミンEを混合してから成形する方が好ましい。
超高分子量ポリエチレンとビタミンEを、超高分子量ポリエチレンが97〜99.99質量%でビタミンEが0.01〜3質量%となるような割合で配合することが好ましい。ビタミンEの含有量が0.01質量%未満の場合、ビタミンEの添加効果が不十分となるおそれがあり、より好適には0.1質量%以上である。このときの超高分子量ポリエチレンの含有量は99.9質量%以下である。一方、ビタミンEの含有量が3質量%を超えると、強度が低下するおそれがあり、より好適には1質量%以下である。このときの超高分子量ポリエチレンの含有量は99質量%以上である。
こうして得られた、超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品に対して、放射線を照射する。これによって超高分子量ポリエチレンを架橋させることができ、成形品の耐摩耗性が改善されるとともに、長期間の耐疲労性に優れた成形品を得ることができる。また、当該成形品に放射線を照射することによって滅菌することもできる。このとき、0℃以下の温度で放射線を照射することが重要である。こうすることによって、放射線照射直後に成形品中に含まれるビタミンEラジカルの量を減少させることができる。また、架橋反応に有利なアルキルラジカルを残存させて、二重結合の形成を抑制することもできる。なお、放射線を照射することによって滅菌する工程は、超高分子量ポリエチレンにビタミンEを含有させた後、架橋させ、その後行ってもよいし、また架橋後の超高分子量ポリエチレンにビタミンEを含有させた後行ってもよい。更には、架橋工程と滅菌工程とを同時に行ってもよい。
放射線を照射することによって、ビタミンE(α−トコフェロール:下記式(1))の一部は、そのフェノール性水酸基から水素ラジカルが引き抜かれた形のビタミンEラジカル(下記式(2))になる。このビタミンEラジカルは、超高分子量ポリエチレン中では比較的安定であるが、長期的には、ビタミンEラジカル同士が結合して、その二量体(例えば下記式(3))や三量体(例えば下記式(4))を形成する。しかしながら、これらの多量体はビタミンEが本来有する酸化防止機能を失っているので、ビタミンEの添加効果が損なわれることになる。また、分子内でラジカルが転位して、ビタミンEラジカルがキノン体(α−トコフェリルキノン:下記式(5))に変化することもあるが、この化合物の生体内、特に関節内における生理作用は未だ不明であり、その安全性には不安が残っている。なお、下記の化学式は、全てα−トコフェロールとその誘導体を示しているが、β−、γ−あるいはδ−トコフェロールであっても同様である。そして、γ−トコフェロールのキノン体は生体毒性を有することが知られており、それが成形品に含まれることは望ましくない。放射線照射直後のビタミンEラジカルの量を減少させることによって、その後に分子内のラジカル転移によって生成するキノン体の量も減少することになるので、得られる成形品の生体に対する安全性が向上する。
Figure 0006215834
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また、放射線を照射することによって超高分子量ポリエチレンにもラジカルが発生する。まず、ポリエチレン鎖から水素原子が引き抜かれてアルキルラジカル(下記式(6))が形成される。ここから水素分子が脱離するとアリルラジカル(下記式(7))やポリエニルラジカル(下記式(8))が形成される。一般に、アルキルラジカルは反応性が高く、不安定であるが、アリルラジカルは反応性が低下し、ポリエニルラジカルは反応性がさらに低下する。したがって、架橋反応を効率的に進行させ、二重結合の生成を抑制するという観点からは、放射線照射後にアルキルラジカルを残存させることが好ましい。
Figure 0006215834
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照射する放射線の種類は特に限定されるものではなく、電子線、ガンマ線などを照射することができるが、生産効率やコストの面からは、電子線を照射することが好ましい。放射線を照射する際の照射量は2〜1000kGyであることが好ましく、10〜700kGyであることがより好ましく、50〜500kGyであることがさらに好ましい。
放射線を照射する際の成形品の温度が0℃以下であることが重要である。成形品の温度は好適には−20℃以下であり、より好適には−50℃以下、さらに好適には−70℃以下である。後の実施例でも示されているように、低温で放射線を照射することによって、放射線照射直後の成形品中に含まれるビタミンEラジカルの量を減少させることができる。ここで、照射直後のビタミンEラジカルの量が減少しているのは、放射線照射によって一旦生成したビタミンEラジカルが、アルキルラジカルなどの反応性の高いラジカルと反応して速やかに消滅したためであり、キノン体生成によって消滅したものではないと考えられる。また同時に、二重結合の生成を抑制しながらアルキルラジカルを発生させることもできる。一方、冷却手段の容易さを考慮すれば、放射線を照射する際の成形品の温度は、通常−200℃以上である。ここで、放射線を照射する際の成形品の温度とは、照射を開始する時の温度のことをいう。したがって、照射を開始した後に成形品の温度が上昇して、上記範囲を一時的に超えても構わない。
放射線を照射する際の温度を上記範囲に調整する方法は特に限定されず、公知の手法を採用することができる。成形品を囲む雰囲気を冷却することもできるし、冷却板や冷却ブロックなどを用いて直接伝熱によって成形品を冷却することもできる。また、冷媒を用いて成形品を冷却することも可能であり、その場合には、目的温度に応じて、氷、氷−塩化カルシウム混合物、氷−塩化カリウム混合物、コールドブライン冷却材(例えばギ酸カリウム水溶液)、ドライアイス(固体二酸化炭素)、液体窒素などの冷媒から適宜選択することができる。なかでも、ドライアイスを用いて成形品を冷却することが、簡便に温度を制御できるとともに放射線照射装置への適用も容易なので好適である。この場合、十分に冷却すればドライアイスの昇華温度で放射線を照射することができる。
放射線を照射する際の雰囲気は、減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下など、酸素を含まない雰囲気であることが、超高分子量ポリエチレンやビタミンEの酸化劣化を防止する観点から望ましい。例えば、真空排気することによって空気を除去して密封した袋の中に成形品を収容して照射することができる。
放射線を照射した後の成形品は、すぐに使用しても構わないし、一定期間保存してから使用しても構わないが、放射線を照射して超高分子量ポリエチレンを架橋させた後に、0℃以下の温度で1日以上保存することが好ましい。こうすることによって、放射線照射で発生したビタミンEラジカルが、保存中に多量体やキノン体に変わるのを防ぐことができる。また、ポリエチレンの架橋反応の役に立つアルキルラジカルが失活するのを防ぐこともできる。
放射線照射で発生したビタミンEラジカルが多量体やキノン体に変わるのを防ぐことや、放射線照射で発生したアルキルラジカルが失活するのを防ぐことは、室温で放射線照射した場合であっても可能である。したがって、成形品を低温にせずに放射線を照射した後に、0℃以下の温度で1日以上保存することによっても、放射線照射で発生したビタミンEラジカルやアルキルラジカルの減少速度を低下させることができる。
放射線照射する際の温度にかかわらず、保存温度は、好適には−20℃以下であり、より好適には−50℃以下、さらに好適には−70℃以下である。一方、冷却手段の容易さを考慮すれば、保存温度は、通常−200℃以上である。低温に保つ保存日数は特に限定されないが、1週間を超えても、かなりの量のラジカルが残存することが後の実施例で確かめられていて、不安定なアルキルラジカルも相当量が残存する。保存日数は、好適には50日以下である。ビタミンEラジカルは生体内でビタミンCなどによってビタミンEに還元されることが知られているので、低温で保存することによって、生体内でビタミンEに戻すことが期待できる。また、反応性の高いアルキルラジカルを長期間残存させることができるので、その後にこのラジカルを化学反応に用いる場合や、架橋反応を進行させる場合などの役に立つと考えられる。保存温度を上記範囲に調整する方法は特に限定されず、公知の手法を採用することができる。例えば、放射線照射時と同様の手法を採用することができる。放射線照射後の成形品を保存する際の雰囲気は、放射線照射する際と同様に、酸素を含まない雰囲気であることが好ましい。
こうして得られた本発明の成形品の好適な用途は、医療用インプラントであり、特に、人工関節用の摺動部材として使用することが好ましい。当該摺動部材は金属部材を介して一方の骨に固定され、他方の骨に固定された金属部材と摺動可能に組み合わせて、人工関節として使用される。人工関節は、体内に埋め込んでから、長期間にわたって摺動しながら使用できることが重要であるので、二重結合の発生を抑制しながら架橋反応を進行させることができ、摩耗粉の発生を効果的に抑制できる本発明の製造方法を採用する意義は大きい。中でも、耐摩耗性や耐疲労性が厳しく要求される、人工股関節用の摺動部材として特に適している。
[試料の作製]
医療用グレードの超高分子量ポリエチレンの粉末「GUR1050」(Ticona社製)に、0.3質量%のビタミンE(日本薬局方トコフェロール(dl−α−Tocopherol):エーザイ株式会社製)を攪拌して混合し、真空直接圧縮成型(圧力:25MPa、温度:220℃、時間:30分)によってバルク成形品「VE03」を作製した。また、ビタミンEを混合せず、超高分子量ポリエチレンのみを用いた点以外は上記と同様にしてバルク成形品「Vir」を作成した。
次に、旋盤を用いて、上記バルク成形品「VE03」及び「Vir」を削り、長さ40mm、直径3.5mmの円柱形状の試料を作成した。この試料を、プラスチックフィルム製の袋に入れて、真空包装して開口部をヒートシールした。こうして得られた包装体に対して、電子加速器を用いて電子線を照射した。運転条件は、加速電圧10MeV、出力200kW、照射量300kGyであった。このとき、室温下(25℃)と冷凍環境下の2条件における電子線照射を行った。冷凍環境下での照射においては、発泡スチロールケースに砕いたドライアイスを敷き詰めてから、試料入りの包装体を載せ、その上を砕いたドライアイスで覆い、試料温度が一定になるまで待ってから照射した。したがって冷凍環境下では、ドライアイスの1気圧における昇華温度である−79℃で電子線照射をしたことになる。室温下と冷凍環境下の2条件における電子線照射を行った後、各試料を、上記包装体のまま、室温下(25℃)及び冷凍環境下(−79℃)で所定時間保存した。
[ESR測定方法]
試料「VE03」及び試料「Vir」のそれぞれについて、室温下で電子線照射した試料と、冷凍環境下で電子線照射した試料の両方について、ESR法によってESR波形を得た。また、これらの試料を保存した試料についても、同様にESR波形を得た。実験装置には、日本電子株式会社製電子スピン共鳴装置「TE−100」を用いた。エタノールを浸透させた布で試料を拭った後、石英試料管に入れて装置のキャビティーに設置した。マイクロ波出力0.1mW、マイクロ波振動数9.44GHz、中心磁場336.5mT、掃引幅15mT、掃引時間1min、磁場変調幅0.1mT、時定数30msec、室温25℃、湿度40%、大気中の条件でラジカル測定を行った。標準試料としてMn2+/MnOのESR信号も測定した。
[ビタミンEラジカルの分析]
図1に、試料「VE03」及び試料「Vir」の、室温での電子線照射直後のESR波形を示す。グラフの縦軸は波形の信号強度を、横軸は磁場強度を、それぞれ示している。磁場強度336mT付近において、試料「VE03」に特有のピークが発現していることがわかる。
試料「VE03」に対し、電子線を照射する代わりに紫外線を照射した試料のESR波形(VE radical)を、UHMWPE中におけるビタミンEラジカルの波形を示すモデルとして図2中に示した。また、試料「VE03」の電子線照射直後のESR波形から、信号強度比を補正した試料「Vir」の電子線照射直後のESR波形を引いた差分の波形(VE03−Vir補正)を併せて図2中に示した。その結果、前記差分から得られた波形のg値(図2中の縦線で示される)、及び線幅(図中の両矢印で示されるpeak to peak幅)は、紫外線照射した試料のESR波形におけるビタミンEラジカルのg値及び線幅と一致した。これにより、磁場強度336mT付近に観測された試料「VE03」に特有のピークがビタミンEラジカルであると同定された。
こうして得られたESR波形に基づいて、試料中に存在するビタミンEラジカル量を定量した。具体的には、試料「Vir」のESR波形と、ビタミンEラジカルのESR波形を、それぞれ信号強度を補正して足し合わせた。そして、足し合わせによって観測された波形のg値、線幅及び信号強度の3点について、測定対象の試料「VE03」のESR波形と一致させた。このときのビタミンEラジカルの信号強度補正値が、試料「VE03」内におけるビタミンEラジカルの量を示している。ビタミンEラジカルのESR波形としては、紫外線照射した試料「VE03」におけるESR波形を用いた。
[主鎖ラジカルの分析]
図3に、室温下(RT irradiation)及び冷凍環境下(Cold irradiation)で電子線照射した試料「Vir」のESR波形を併せて示す。照射温度の違いによって生成するポリエチレンの主鎖ラジカルの種類の違いを検討するために、冷凍環境下で照射した試料「Vir」の信号強度比を補正した波形(Gain−adjusted Cold irradiation)から、室温下で照射した試料「Vir」の波形(RT irradiation)を差し引いた差分波形(Ga−Cold−RT irradiation)を図4に示す。その結果、中心磁場付近に冷凍環境下での照射に特有のラジカルと思われる左右対称性を有する波形が観測された。得られた波形が、どの種類の主鎖ラジカルの波形かを同定するために、線幅の解析を行った。その結果を図5に示す。図中、「Subtracted radical」が、上記差分波形から得られた線幅に対応するものである。ここで、縦軸は線幅(Linewidth)、横軸は測定磁場が小さい方からの線幅の通し番号を示している。この結果から、冷凍環境下で照射した試料において観測された波形が、アリルラジカルの波形(図6)ではなく、アルキルラジカルの波形(図7)に類似するものであることが認められた。試料内における主鎖ラジカル量を評価するために、上記[ビタミンEラジカルの分析]で用いた足し合わせの波形を用いた。すなわち、信号強度比を補正した試料「Vir」におけるESR波形が、各試料内における主鎖ラジカル波形に相当するため、それらの波形の二回積分値を主鎖ラジカル量として相対的な定量評価を行った。
[電子線照射直後の総ラジカル量]
図8に、室温下及び冷凍環境下で電子線照射した直後の試料「VE03」中の総ラジカル量を示す。また、図9に、室温下及び冷凍環境下で電子線照射した直後の試料「Vir」中の総ラジカル量を示す。ここで、縦軸は総ラジカル量の相対値を示していて、冷凍環境下で照射したときの試料「VE03」の総ラジカル量の平均値を100として、相対比較を行った。その結果、冷凍環境下で電子線照射した試料中の総ラジカル量は、試料「VE03」においても、試料「Vir」においても、常温下で電子線照射した試料と比べて大きかった。また、常温で電子線照射した場合の総ラジカル量は、ビタミンE配合の有無によって大きく変わらないが、冷凍環境下で電子線照射した場合の総ラジカル量は、ビタミンEを配合した方が大きくなった。
[ビタミンEラジカル含有量の経時変化]
室温下及び冷凍環境下で電子線照射した試料「VE03」を、室温下及び冷凍環境下で保存したときのビタミンEラジカル含有量の経時変化を図10に示す。図10では、室温下照射・冷凍環境下保存(Normal,frozen)、室温下照射・室温下保存(Normal,RT)、冷凍環境下照射・冷凍環境下保存(Dryice,frozen)、冷凍環境下照射・室温下保存(Dryice,RT)の4データを同時にプロットした。縦軸はビタミンEラジカル含有量の相対値を示していて、室温下で電子線照射直後の値を1としている。図10からわかるように、電子線照射直後のビタミンEラジカル含有量は、室温下で照射した方が冷凍環境下で照射するよりも大きくなった。そして、電子線照射時の温度にかかわらず、冷凍環境下で保存することによって、経時的なラジカル量の減少は抑制された。
[主鎖ラジカル含有量の経時変化]
室温下及び冷凍環境下で電子線照射した試料「Vir」を、室温下及び冷凍環境下で保存したときのポリエチレンの主鎖ラジカルの含有量の経時変化を図11に示す。図11では、室温下照射・冷凍環境下保存(RT irra,frozen)、室温下照射・室温下保存(RT irra,RT)、冷凍環境下照射・冷凍環境下保存(Cold irra,frozen)、冷凍環境下照射・室温下保存(Cold irra,RT)の4データを同時にプロットした。また、室温下及び冷凍環境下で電子線照射した試料「VE03」を、室温下及び冷凍環境下で保存したときのポリエチレンの主鎖ラジカルの含有量の経時変化を図12に示す。ここで、冷凍環境下で電子線照射した試料「Vir」における主鎖ラジカル量を100として相対比較を行った。その結果、冷凍環境下で電子線を照射した直後の各試料内における主鎖ラジカル量は常温照射の試料と比べて大きかった。また、電子線照射時の温度にかかわらず、冷凍環境下で保存することによって、経時的なラジカル量の減少は抑制された。
[炭素間二重結合度]
FT−IR測定(フーリエ変換赤外分光測定)によって、炭素間二重結合度を測定した。測定装置として、パーキン・エルマー社製FT−IR「Microscope Spectrum Spotlight 200」を用いた。上記円柱形状の成形品から、ミクロトームを用いて、直径3.5mm、厚さ50μmの円盤状の薄片試料を得た。得られた薄片試料を装置に設置して赤外線を照射し、200μm間隔でライン分析を行い、波数750〜4000cm−1の範囲で透過光を測定した。超高分子量ポリエチレンのメチル基及びメチレン基に由来する1320〜1390cm−1の吸収帯の吸光度(a)に対する、炭素間二重結合に由来する930〜1000cm−1の吸収帯の吸光度(b)の比(b/a)を炭素間二重結合度(Double Bond Index)と定義した。
図13に、室温下及び冷凍環境下で電子線照射した直後の試料「VE03」中における炭素間二重結合度を示す。冷凍環境下で電子線照射することによって、室温下で電子線照射するよりも炭素間二重結合度が小さくなることがわかった。
[考察]
図10に示されるように、低温下で電子線を照射することによって、常温下で電子線を照射した場合に比べて、照射直後のビタミンEラジカル量が低値を示した。このとき、照射した電子線のエネルギーは照射温度に左右されないため、電子線照射によって生成する主鎖ラジカル量及びビタミンEラジカル量は照射温度に依存せず、一定であると考えられる。したがって、低温下で電子線照射した後速やかにビタミンEラジカルが消滅した可能性が考えられる。一方、図12に示されるように、低温下で電子線を照射することによって、常温下で電子線を照射した場合に比べて、照射直後の主鎖ラジカル量が高値を示した。この理由として、室温で照射した場合に比べ、低温で照射した場合には、主鎖ラジカルの消滅が抑制できた可能性が考えられる。
各試料は電子線照射前から真空中で保存されているため、各ラジカルが酸素と反応する可能性は低い。したがって、ビタミンEラジカルの消滅反応としては、ビタミンEラジカル同士の反応、又は近傍に存在する主鎖ラジカルとの反応が考えられる。しかしながら、−79℃という低温下において、常温下に比べてビタミンEラジカル同士の反応が促進される可能性は考えにくい。低温下では、ビタミンEラジカル分子自体が有する運動エネルギーも低いし、ポリエチレンの分子鎖の運動性もが抑制されているので、ビタミンEラジカル同士の接触が促進される可能性が低いからである。
図4及び図5に示されるように、ESR測定波形の差分をとることによって、低温下で電子線照射された超高分子量ポリエチレン中において、左右対称性を有する特有のラジカル波形が観測され、これが、アルキルラジカルのESR測定波形と類似することが確認された。このことから、常温下での照射に比べ低温下で電子線を照射することによって超高分子量ポリエチレン中にアルキルラジカルが残存しやすくなると考えられる。一般に、アルキルラジカルは、アリルラジカルやポリエンラジカルに比べて反応性が高いことが知られている。常温での照射に比べ低温下で電子線を照射することによって、試料「VE03」における主鎖ラジカル量が高値であると図12が示していることから、電子線照射時の温度上昇を抑制することによって、常温では速やかに消滅するアルキルラジカルがポリエチレン中に残存すると考えられる。そして、低温下で照射した後速やかにビタミンEラジカルが消滅したことは、近傍に存在する高反応性のアルキルラジカルと反応したためであると考えられる。
一方、図11に示されるように、常温照射に比べ低温下で電子線を照射することによって、試料「Vir」における主鎖ラジカル量が高値を示したことから、超高分子量ポリエチレン中において、主鎖ラジカルのみでラジカルが消滅する反応が起こったと考えられる。また、図13に示されるように、試料「VE03」において、超高分子量ポリエチレン中の炭素間二重結合度は、室温下で照射した場合に、低温化で照射した場合よりも高値を示した。つまり、低温下で照射することにより、常温下で照射する場合に比べて、反応性の高いアルキルラジカルが多く残存し、ポリエチレン鎖内で二重結合を形成しにくくなったと考えられる。
以上のように、ビタミンEを含有する超高分子量ポリエチレンに対して低温で電子線を照射した場合には、電子線照射直後のビタミンEラジカル量が低値を示した。この理由としては、低温下においてはビタミンEラジカル同士の反応よりも、その近傍に存在するアルキルラジカルとの反応の方が優先的に起こって、ビタミンEラジカルが速やかに消滅したと考えられる。照射直後の成形品に含まれるビタミンEラジカルの量を減少させることによって、その後にそれが分子内で転位することによって生成するトコフェロールキノンの量を低減できるので、成形品の生体に対する安全性を向上させることができる。また、低温下で電子線を照射することによって、照射時における温度上昇が抑制されるため、超高分子量ポリエチレン内における二重結合生成反応が抑制されて、アルキルラジカルが残存することが判明した。そして、超高分子量ポリエチレン内の各種のラジカルは、低温下で保存することによって、その減少を抑制できることが明らかになった。残存したアルキルラジカルは架橋反応をはじめ各種の反応に活用できる可能性がある。

Claims (8)

  1. 超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品に、0℃以下の温度で放射線を照射することを特徴とする成形品の製造方法。
  2. ドライアイスを用いて冷却しながら放射線を照射する請求項1に記載の成形品の製造方法。
  3. 放射線を照射した後に、0℃以下の温度で1日以上保存する請求項1又は2に記載の成形品の製造方法。
  4. 超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品に、放射線を照射した後に、0℃以下の温度で1日以上保存する成形品の製造方法。
  5. 超高分子量ポリエチレンを97〜99.99質量%、及びビタミンEを0.01〜3質量%含有する成形品に放射線を照射する請求項1〜4のいずれかに記載の成形品の製造方法。
  6. 照射する放射線が電子線である請求項1〜5のいずれかに記載の成形品の製造方法。
  7. 放射線の照射量が2〜1000kGyである請求項1〜6のいずれかに記載の成形品の製造方法。
  8. 前記成形品が医療用インプラントである請求項1〜7のいずれかに記載の成形品の製造方法。
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