JP6004225B2 - 成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品の製造方法に関する。
近年、関節リウマチや変形性関節症などの疾患により損傷した関節を、人工関節により置換する治療が広く行われている。そのような人工関節の摺動部材として主に用いられている材料が、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)であり、金属材料と組み合わせて用いられている。超高分子量ポリエチレンからなる摺動部材は、耐摩耗性、耐衝撃性、自己潤滑性及び耐薬品性に優れているが、その耐久性については未だ不十分な面があり、改善が求められている。
特に、長期間にわたって使用する際の耐摩耗性は重要である。関節内に超高分子量ポリエチレン製の摺動部材を埋め込んだ場合、長期間の使用によって、摩耗粉が発生することが避けられない。ところがこの摩耗粉は、生体内でマクロファージに貪食されて、炎症性のサイトカインの産出を引き起こすとされている。そして、そのようなサイトカインによって活性化された破骨細胞が骨吸収を促進させる結果、インプラントが緩むという問題が生じている。
特許文献1及び2、並びに非特許文献1及び2には、超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含む人工関節用摺動部材が記載されている。超高分子量ポリエチレンにビタミンEを配合することにより、成形品の耐酸化性が改善されるとともに、耐摩耗性も改善される。このとき、ポリエチレン結晶の粒界にビタミンEが存在することによってその硬度が低下し、デラミネーション破壊が抑制できるとされている。そして、これらの文献には、ビタミンEが配合された超高分子量ポリエチレンに対して、ガンマ線や電子線などの放射線を照射することにより、ポリエチレンを架橋させられることが記載されている。ポリエチレンを架橋させることによって、硬度が上昇し、クリープ量が低減するなど、成形品の力学特性が改善される。そして、耐摩耗性がさらに改善され、長期間の耐久性に優れた人工関節用摺動部材が得られるとされている。
しかしながら、ビタミンEを含む成形品に放射線を照射すると、ビタミンEの水酸基の水素ラジカルが引き抜かれ、ビタミンEラジカルが発生することが避けられない。そして、ビタミンEラジカルは、その後の反応によって、二量体、三量体あるいはキノン体などに変化することが知られている。このようにして生成する二量体や三量体はビタミンEのような効果を奏さないし、キノン体はその安全性が疑われている。放射線照射によって消失するビタミンEを補うために、放射線照射に先立って予めビタミンEを多く配合しておくことも考えられるが、この場合には力学特性が低下するおそれがある。
一方、特許文献3には、予め架橋された超高分子量ポリエチレンの成形品に対して、ビタミンEを拡散させる方法が記載されている。しかしながら、架橋した成形品の内部にビタミンEを拡散させるのは容易ではなく、十分な量を均一に含有させることは困難であった。しかも、100〜200℃の高温下で拡散させる必要があり、成形品の寸法精度が低下するおそれもあった。
特開平11−239611号公報 特表2009−504283号公報 特表2007−500773号公報
N.Tomita外、J.Biomed.Mater.Res.48、1999年、p.474−478 N.Shibata外、Biomaterials、26、2005年、p.5755−5762
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、耐摩耗性、耐酸化性及び力学特性に優れた成形品を提供することを目的とするものである。
上記課題は、超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品に放射線を照射して超高分子量ポリエチレンを架橋させてから、該成形品をラジカル捕捉剤溶液に浸漬してラジカル捕捉剤を成形品中に拡散させて、前記放射線の照射によって形成されたビタミンEラジカルを捕捉するに際し、前記ラジカル捕捉剤がL−アスコルビン酸の水酸基の少なくとも1つを炭素数が6〜30の脂肪酸でエステル化したものであり、かつ前記ラジカル捕捉剤溶液を10〜500MPaに加圧してラジカル捕捉剤を成形品中に拡散させることを特徴とする成形品の製造方法を提供することによって解決される。
このとき、超高分子量ポリエチレンの粉体とビタミンEを混合してから加熱圧縮して得られた成形品に放射線を照射することが好適である。照射する放射線が電子線であることも好適である。また、前記成形品の好適な実施態様は医療用インプラントの製造方法である。
本発明の製造方法によれば、耐摩耗性、耐酸化性及び力学特性に優れた成形品を提供することができる。
電子線照射直後の、試料「VE03」と試料「Vir」のESR波形である。 試料「VE03」とゲイン補正した試料「Vir」との差分のESR波形と、試料「UV−irradiated VE03」のESR波形である。 試料「Vir」を、ビタミンCエステル溶液とエタノールにそれぞれ7日間浸漬したときのESR波形である。 試料「Vir」を、ビタミンCエステル溶液とエタノールにそれぞれ14日間浸漬したときのESR波形である。 試料「Vir」を、ビタミンCエステル溶液とエタノールにそれぞれ21日間浸漬したときのESR波形である。 試料「VE03」を、ビタミンCエステル溶液とエタノールにそれぞれ7日間浸漬したときのESR波形である。 試料「VE03」を、ビタミンCエステル溶液とエタノールにそれぞれ14日間浸漬したときのESR波形である。 試料「VE03」を、ビタミンCエステル溶液とエタノールにそれぞれ21日間浸漬したときのESR波形である。 試料「Vir」を、エタノールに7日間浸漬したときのESR波形と、大気中に7日間放置したときのESR波形である。 試料「Vir」を、エタノールに14日間浸漬したときのESR波形と、大気中に14日間放置したときのESR波形である。 試料「Vir」を、エタノールに21日間浸漬したときのESR波形と、大気中に21日間放置したときのESR波形である。 試料「VE03」を、エタノールに7日間浸漬したときのESR波形と、大気中に7日間放置したときのESR波形である。 試料「VE03」を、エタノールに14日間浸漬したときのESR波形と、大気中に14日間放置したときのESR波形である。 試料「VE03」を、エタノールに21日間浸漬したときのESR波形と、大気中に21日間放置したときのESR波形である。 ビタミンEラジカルの残存量の経時変化を表すグラフである。
本発明の成形品の製造方法においては、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)とビタミンEを含有する成形品に放射線を照射して超高分子量ポリエチレンを架橋させてから、該成形品をラジカル捕捉剤溶液に浸漬してラジカル捕捉剤を成形品中に拡散させて、前記放射線の照射によって形成されたビタミンEラジカルを捕捉する。こうすることによって、放射線照射によって発生したビタミンEラジカルをビタミンEに還元することができ、ビタミンEの配合効果を回復させることができる。
本発明の製造方法において用いられる超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量は、100万以上であり、好ましくは200万以上である。重量平均分子量は、通常1000万以下である。このような高い分子量を有するポリエチレンを使用することで、成形品の耐摩耗性や耐疲労性に優れた成形品が得られる。原料の超高分子量ポリエチレンの形態は特に限定されないが、ビタミンEとの均一な混合が容易である点などから、粉末状であることが好ましい。医療用インプラント製造の原料として使用する場合には、医療用銘柄を用いることが望ましい。
本発明の製造方法において用いられるビタミンEは、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール又はこれらの誘導体であり、d体であっても、l体であっても、dl体であっても構わない。また、これらの混合物を使用することもできる。
超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含む成形品の製造方法は特に限定されないが、超高分子量ポリエチレンの粉体とビタミンEを混合してから加熱圧縮する方法が好適に採用される。このときビタミンEは、そのまま超高分子量ポリエチレンの粉体に混合してもよいし、アルコールなどの溶媒に溶解させて溶液にしてから混合してもよい。溶液を混合する場合には均一に配合しやすいが、加熱圧縮する前に溶媒を除去する必要がある。混合に際しては、十分に攪拌することによって、ビタミンEの分布が均一な成形品を得ることができる。
加熱圧縮して成形する際の温度は、200〜250℃が好適である。超高分子量ポリエチレンを溶融させるためには200℃以上であることが好ましく、一方でビタミンEを熱劣化させないためには250℃以下であることが好ましい。成形する時の圧力は1〜100MPaであることが好適である。気泡などの欠陥をなくし、高強度の成形品を得るためには、1MPa以上であることが好ましく、5MPa以上であることがより好ましい。設備コストの観点からは100MPa以下であることが好ましく、50MPa以上であることがより好ましい。また、金型内を減圧して空気を排出してから成形すること、あるいは不活性ガス雰囲気下で成形することが、ビタミンEの酸化劣化を防止する観点から好ましい。
また、超高分子量ポリエチレンのみからなる成形品を先に成形してから、当該成形品中にビタミンEを拡散させてもよい。この場合、液状のビタミンEの中に成形品を浸漬して拡散させる。成形品中にビタミンEを効率良く拡散させるためには、圧力をかけたり、温度を上昇させることが望ましい。しかしながら、成形品の中心部まで均一にビタミンEを拡散させることは、必ずしも容易ではないので、上述のように、予め超高分子量ポリエチレンとビタミンEを混合してから成形する方が好ましい。
超高分子量ポリエチレンとビタミンEを、超高分子量ポリエチレンが97〜99.99質量%でビタミンEが0.01〜3質量%となるような割合で配合することが好ましい。ビタミンEの含有量が0.01質量%未満の場合、ビタミンEの添加効果が不十分となるおそれがあり、より好適には0.1質量%以上である。このときの超高分子量ポリエチレンの含有量は99.9質量%以下である。一方、ビタミンEの含有量が3質量%を超えると、強度が低下するおそれがあり、より好適には1質量%以下である。このときの超高分子量ポリエチレンの含有量は99質量%以上である。
こうして得られた、超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品に対して、放射線を照射して超高分子量ポリエチレンを架橋させる。照射する放射線の種類は特に限定されるものではなく、電子線、ガンマ線などを照射することができるが、生産効率やコストの面からは、電子線を照射することが好ましい。放射線を照射する際の照射量は20〜1000kGyであることが好ましく、50〜500kGyであることがより好ましい。放射線を照射する際の雰囲気は、減圧下あるい不活性ガス雰囲気下であることが、超高分子量ポリエチレンやビタミンEの酸化劣化を防止する観点から望ましい。
成形品に放射線を照射することによって、超高分子量ポリエチレンを架橋させる。これにより、成形品の耐摩耗性がさらに改善されるとともに、長期間の耐疲労性に優れた成形品を得ることができる。このとき、ビタミンE(α−トコフェロール:下記式(1))の一部は、そのフェノール性水酸基から水素ラジカルが引き抜かれた形のビタミンEラジカル(下記式(2))になる。このビタミンEラジカルは、超高分子量ポリエチレン中では比較的安定であるが、長期的には、ビタミンEラジカル同士が結合して、その二量体(例えば下記式(3))や三量体(例えば下記式(4))を形成する。しかしながら、これらの多量体はビタミンEが本来有する酸化防止機能を失っているので、ビタミンEの添加効果が損なわれることになる。また、分子内でラジカルが転位して、ビタミンEラジカルがキノン体(α−トコフェリルキノン:下記式(5))に変化することもあるが、キノン体やその中間体であるキノン骨格を有するラジカルはその安全性が疑われている。なお、下記の化学式は、全てα−トコフェロールとその誘導体を示しているが、β−、γ−あるいはδ−トコフェロールであっても同様である。
Figure 0006004225
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したがって、二量体、三量体あるいはキノン体が生成しないようにすることによって、ビタミンEの配合効果を十分に発揮させることができる。本発明の製造方法によれば、ラジカル捕捉剤によってビタミンEラジカルを捕捉して還元することによって、ビタミンEに戻すことができる。具体的には、成形品をラジカル捕捉剤溶液に浸漬してラジカル捕捉剤を成形品中に拡散させて、放射線の照射によって形成されたビタミンEラジカルを捕捉する。
本発明で用いられるラジカル捕捉剤は特に限定されず、ビタミンEラジカルを捕捉してプロトンを供給して、ビタミンEに戻すことのできるものであれば特に限定されない。ただし、生体内で使用する場合には、安全性の高いものを使用することが好ましく、例えば、ビタミンC(L−アスコルビン酸)、ビタミンE、ユビキノール及びそれらの誘導体が好適に用いられる。
超高分子量ポリエチレンの中にラジカル捕捉剤を拡散させるためには、ラジカル捕捉剤が、脂溶性のものであることが好ましく、具体的には、水に溶解せず有機溶媒に溶解するものであることが好ましい。ここで、水に溶解しないとは、20℃の水100gに対する溶解度が1g未満であることをいい、有機溶媒に溶解するとは、20℃の有機溶媒100gに対する溶解度が1g以上であることをいう。例えば、L−アスコルビン酸の20℃の水に対する溶解度は、33g/100gであるから、これは水に溶解しないものではない。一方でL−アスコルビン酸の水酸基の少なくとも1つを脂肪酸でエステル化したものの多くは20℃の水に対する溶解度が1g/100g未満であり、本発明のラジカル捕捉剤として好適に使用される。ここで、エステル化に用いられる脂肪酸の炭素数は、好適には6以上であり、より好適には8以上であり、さらに好適には10以上である。また、当該炭素数は好適には30以下である。当該脂肪酸は、二重結合を有していても構わないし、分岐を有していても構わない。例えば、本願実施例で使用しているのは、L−アスコルビン酸のパルミチン酸エステル(L−アスコルビン酸−6−パルミテート)であるが、これは20℃の水に対する溶解度が1g/100g未満であって、20℃のエタノールに対する溶解度が1g/100g以上である。また、ビタミンE及びその誘導体は、そのほとんどが水に溶解せず有機溶媒に溶解するものである。
以上のようなラジカル捕捉剤を溶媒に溶かして溶液を調製してから、当該溶液に成形品を浸漬する。ここで用いられる溶媒は、ラジカル捕捉剤を溶解できるものであればよく、特に限定されないが、ポリエチレンとの親和性を考慮すれば、有機溶媒であることが好ましい。溶液の濃度も特に限定されず、溶媒100gに対して、1〜100gのラジカル捕捉剤を溶解させたものを用いることができる。
成形品をラジカル捕捉剤溶液に浸漬する際の条件は、ラジカル捕捉剤を成形品中に拡散させられる条件であればよく、特に限定されない。溶液の温度は、室温であっても構わないし、加熱したものであっても構わない。ラジカル捕捉剤を効率良く成形品内部に拡散させるためには、成形品を浸漬したラジカル捕捉剤溶液を加圧することが好ましい。当該圧力は、10〜500MPaであることが好適である。浸漬時間は特に限定されず、温度や圧力などに対応して適宜調整される。
以上のようにしてラジカル捕捉剤を成形品中に拡散させることによって、放射線の照射によって形成されたビタミンEラジカルを捕捉することができる。こうして得られた成形品は、放射線照射によって消失したビタミンEが再生するので、耐摩耗性や耐酸化性などに優れた成形品とすることができる。
こうして得られた本発明の成形品の好適な用途は、医療用インプラントであり、特に、人工関節用の摺動部材として使用することが好ましい。当該摺動部材は金属部材を介して一方の骨に固定され、他方の骨に固定された金属部材と摺動可能に組み合わせて、人工関節として使用される。人工関節は、体内に埋め込んでから、長期間にわたって摺動しながら使用できることが重要であるので、摩耗粉の発生を効果的に抑制できる本発明の製造方法を採用する意義は大きい。
医療用グレードの超高分子量ポリエチレンの粉末「GUR1050」(Ticona社製)に、0.3質量%のビタミンE(日本薬局方トコフェロール(dl−α−Tocopherol):エーザイ株式会社製)を攪拌して混合し、真空直接圧縮成型(圧力:25MPa、温度:220℃、時間:30分)によってバルク成形品「VE03」を作製した。また、ビタミンEを混合せず、超高分子量ポリエチレンのみを用いた点以外は上記と同様にしてバルク成形品「Vir」を作成した。
次に、旋盤を用いて、上記バルク成形品「VE03」及び「Vir」を削り、長さ40mm、直径3.5mmの円柱形状の試料を作成した。この試料を、プラスチックフィルム製の袋に入れて、真空包装して開口部をヒートシールした。こうして得られた包装体に対して、電子加速器を用いて電子線を照射した。このときの運転条件は、加速電圧10MeV、出力200kW、照射量300kGyであった。
L−アスコルビン酸−6−パルミテート(6−O−パルミトイル−L−アスコルビン酸:下記式(6):シグマ社製)0.5gをエタノール(99.5%:キシダ化学株式会社製)5mlに投入し、その大部分を溶解させて飽和溶液を作製した。こうして得られたエタノール溶液に、電子線照射後に包装袋から取り出した上記試料「VE03」及び「Vir」を浸漬し、圧力ポンプを用いて加圧し、圧力100MPa、温度25℃の条件下に、7日、14日及び21日間浸漬を継続した。また、アスコルビン酸−6−パルミテートを含まないエタノールに試験片を浸漬した以外は上記と同様にして試験片を作製し、その評価も併せて行った。
Figure 0006004225
ESR法によって、試料「VE03」及び「Vir」のそれぞれについて、ESR波形を得た。測定した試料を表1にまとめて示す。実験装置には、日本電子株式会社製電子スピン共鳴装置「TE−100」を用いた。エタノールを浸透させた布で試料を拭った後、石英試料管に入れて装置のキャビティーに設置した。マイクロ波出力0.1mW、マイクロ波振動数9.44GHz、中心磁場336.5mT、掃引幅15mT、掃引時間1min、磁場変調幅0.1mT、時定数30msec、室温25℃、湿度40%、大気中の条件でラジカル測定を行った。標準試料としてMn2+/MnOのESR信号も測定した。
図1に、試料「VE03」及び「Vir」の、電子線照射直後のESR波形を示す。グラフの縦軸は波形の信号強度を、横軸は磁場強度を、それぞれ示している。磁場強度336mT付近において、試料「VE03」に特有のピークが発現していることがわかる。
試料「VE03」に対し、電子線を照射する代わりに紫外線を照射した試料「UV−irradiated VE03」のESR波形を示す。これを、UHMWPE中におけるビタミンEラジカルの波形を示すモデルとして図2中に示した。また、試料「VE03」の電子線照射直後のESR波形から、ゲイン補正した試料「Vir」の電子線照射直後のESR波形を引いた差分の波形を併せて図2中に示した。その結果、前記差分から得られた波形のg値(図2中の縦線で示される)、及び線幅(図中の両矢印で示される幅)は、試料「UV−irradiated VE03」のESR波形におけるビタミンEラジカルのg値及び線幅と一致した。これにより、磁場強度336mT付近に観測された試料「VE03」に特有のピークがビタミンEラジカルであると同定された。
図3〜14に、試料へのビタミンEの配合の有無と、電子線照射後の雰囲気及び経過時間を変更した試料のESR波形を表1の通り示す。エタノールに浸漬した試料の波形がビタミンCエステル(ここではL−アスコルビン酸−6−パルミテート)溶液に浸漬した試料の波形に比べて歪む結果が観測された。そして、エタノールに浸漬した試料のESR波形が大気雰囲気下で放置した試料の波形と類似する傾向がみられた。大気雰囲気下に放置した試料ではラジカルの酸化が進行していると考えられるので、エタノール溶液へ浸漬した試料内におけるラジカルの経時変化は、酸化の影響であると考えられる。結果として、加圧条件下でビタミンCエステル溶液に試料を浸漬したときに酸素の影響が抑制されることが示唆された。
Figure 0006004225
また、こうして得られたESR波形に基づいて、試料中に残存するビタミンEラジカル量の経時変化について検討した。試料内におけるビタミンEラジカルの経時変化を評価するために、ビタミンCエステル溶液に浸漬した試料「Vir」のESR波形と、ビタミンEラジカルのESR波形を、それぞれゲイン補正して足し合わせた。そして、足し合わせによって観測された波形のg値、線幅及び信号強度の3点について、各浸漬時間における試料「VE03」のESR波形と一致させた。このときのビタミンEラジカルのゲイン補正値が、試料「VE03」内におけるビタミンEラジカルの変化割合を示している。このときのビタミンEラジカルのESR波形としては、電子線照射直後における試料「VE03」から試料「Vir」のESR波形を差分して得られた波形を用いた。
以上の結果を、図15に示した。また、試料「VE03」を、電子線照射後に室温で真空保存した試料についても、経時的なビタミンEラジカルの残存量を同様に求めて、図15に併せて示した。このとき、紫外線照射直後のビタミンEラジカルの量を1とした。図15からわかるように、真空保存した場合には、室温(25℃)において、超高分子量ポリエチレン中でビタミンEラジカルが安定に存在しているようである。したがって、そのような条件下では、ビタミンEラジカル同士の反応はほとんど起こっていないことが分かった。一方、加圧条件下でビタミンCエステル溶液に浸漬した試料「VE03」中では、ビタミンCエステルが成形品内部に拡散しているので、ビタミンEラジカルが還元されていると考えられる。

Claims (4)

  1. 超高分子量ポリエチレンとビタミンEを含有する成形品に放射線を照射して超高分子量ポリエチレンを架橋させてから、該成形品をラジカル捕捉剤溶液に浸漬してラジカル捕捉剤を成形品中に拡散させて、前記放射線の照射によって形成されたビタミンEラジカルを捕捉するに際し、前記ラジカル捕捉剤がL−アスコルビン酸の水酸基の少なくとも1つを炭素数が6〜30の脂肪酸でエステル化したものであり、かつ前記ラジカル捕捉剤溶液を10〜500MPaに加圧してラジカル捕捉剤を成形品中に拡散させることを特徴とする成形品の製造方法。
  2. 超高分子量ポリエチレンの粉体とビタミンEを混合してから加熱圧縮して得られた成形品に放射線を照射する請求項1記載の成形品の製造方法。
  3. 照射する放射線が電子線である請求項1又は2に記載の成形品の製造方法。
  4. 前記成形品が医療用インプラントである請求項1〜のいずれかに記載の成形品の製造方法。
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