JP6215272B2 - 蒸留酒廃液を用いて製造された植物改良組成物およびその製造方法 - Google Patents

蒸留酒廃液を用いて製造された植物改良組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、蒸留酒廃液を発酵させることによる植物改良組成物の製造方法と、そのような製造方法によって得られる植物改良組成物とに関する。
焼酎製造の蒸留工程で大量に発生する焼酎廃液は、従前、海洋投棄によって処理されていた。また、中国などの内陸部では、蒸留酒廃液を土中に埋めて廃棄しているようである。しかしながら近年、海洋汚染防止や環境保護の観点から、これらの海洋投棄や土中廃棄に代わる他の処理方法が求められていた。
特許文献1は、焼酎廃液の処理方法の一つとして、焼酎廃液と廃糖蜜との混合液を発酵させ、その発酵液を液体肥料とすることを記載している。特許文献1はさらに、その混合液中に廃糖蜜を2〜4容量部と大量に含めることを記載している。
特開2013−43800号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法には、意図した発酵が進行せず、混合液が腐敗してしまって効果的な液体肥料が得られない頻度が高いという問題点がある。特に大量の焼酎廃液を産業規模のプラントで処理する場合には、このような腐敗頻度が高いという問題は大きな経済的損失に直結するため、重大な問題である。また、特許文献1の方法によって製造された液体肥料の植物改良効果についても、十分なものではない。
そこで、低コストで焼酎廃液などの蒸留酒廃液を効率的に処理すると同時に、優れた植物改良組成物を製造するための方法や、同方法により製造され、かつ、高い植物改良効果を奏する植物改良組成物を提供することが強く望まれている。
本発明の発明者らは、焼酎廃液などの蒸留酒廃液の処理において、廃液と廃糖蜜などの炭素源とにさらに乳酸菌を添加して混合液とし、かつ、乳酸菌が増殖する条件下でこの混合液の発酵を行うことによって、得られる発酵液が植物に直接適用された場合に予想外に顕著な植物改良効果を奏することを発見し、本発明を完成させた。理論に拘束されることを意図しないが、この顕著な植物改良効果は、混合液に乳酸菌を添加して発酵を行うこと、特に乳酸菌が増殖する条件下で混合液の発酵を行うことに起因していると考えられる。
さらに、上記のように蒸留酒廃液と炭素源との混合液に乳酸菌を添加し、かつ、乳酸菌の増殖に適した塩濃度でこの混合液の発酵を行うことによって、混合液が腐敗する頻度が極めて低くなり、植物改良組成物として意図した発酵液を、従来技術(例えば、特許文献1に記載された方法)と比較して高頻度で得ることができることも見出された。
加えて、本発明の製造方法の炭素源として廃糖蜜を使用する実施形態においては、発酵させる混合液中の廃糖蜜の量が、従来技術(例えば、特許文献1に記載された方法)と比較して極めて低いため、上記の腐敗する頻度が極めて低いこととも相俟って、低コストで植物改良剤を提供することができる。
例えば、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
植物改良組成物の製造方法であって、
(1)乳酸菌を含む乳酸菌液を提供する工程と、
(2)蒸留酒廃液、炭素源、および該乳酸菌液を含む混合液を提供する工程と、
(3)該乳酸菌の増殖に適した条件下で該混合液を発酵させて、発酵液を得る工程と、
(4)該発酵液から繊維を除去して植物改良組成物を提供する工程と
を包含する製造方法。
(項目2)
前記発酵液のpHが4.0未満である、項目1に記載の製造方法。
(項目3)
前記pHが3.5以下である、項目2に記載の製造方法。
(項目4)
前記混合物中の塩濃度が約0.3(w/w)%以上である、項目1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目5)
前記塩濃度が約0.35〜約5(w/w)%である、項目4に記載の製造方法。
(項目6)
前記塩濃度が塩を添加することによって達成される、項目4または5に記載の製造方法。
(項目7)
前記蒸留酒が焼酎である、項目1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目8)
前記炭素源が廃糖蜜である、項目1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目9)
前記炭素源の糖度が約10〜約40%である、項目8に記載の製造方法。
(項目10)
前記混合物中の前記炭素源の濃度が約2(v/v)%〜約6(v/v)%である、項目1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目11)
前記植物改良組成物中の乳酸菌数が1mL当たり約10個以上である、項目1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目12)
前記乳酸菌液が、乳酸菌、炭素源、および塩を含む溶液を発酵して得られる溶液である、項目1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目13)
前記植物改良組成物が植物に直接適用されることを特徴とする、項目1〜12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
蒸留酒廃液、炭素源、および乳酸菌を含む混合液を発酵させて得られる植物改良組成物であって、前記混合液が約0.3(w/w)%以上の塩濃度を有し、該組成物のpHが4.0未満である、組成物。
(項目15)
前記pHが3.5以下である、項目14に記載の組成物。
(項目16)
前記蒸留酒が焼酎である、項目14に記載の組成物。
(項目17)
前記炭素源が廃糖蜜である、項目14〜16のいずれか1項に記載の組成物。
(項目18)
前記植物改良組成物中の乳酸菌数が1mL当たり約10個以上である、項目14〜17のいずれか1項に記載の組成物。
(項目19)
植物に直接適用されるものである、項目14〜18のいずれか1項に記載の組成物。
本発明によって、蒸留酒廃液を利用して、植物に直接適用された場合に予想外に優れた植物改善効果を有する植物改良組成物を製造するための方法や、同方法により製造され、かつ、高い植物改良効果を奏する植物改良組成物が提供される。さらに、本発明の製造方法においては、蒸留酒廃液と炭素源と乳酸菌との混合液が発酵過程において腐敗する頻度が極めて低く、植物改良組成物として意図した発酵液を、高頻度で得ることができる。
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。また、本明細書において特に限定しない限り、廃糖蜜などの液体の濃度は容量パーセント濃度(v/v%)であり、塩などの個体の濃度は重量パーセント濃度(w/w%)である。
(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において使用される用語「植物改良」または「植物の改良」とは、植物の育成および/または栽培における任意の好ましい改良をいう。この場合の改良としては、例えば、樹勢の回復、成長促進、葉色および/またはうまみ成分の増量、収量の増加、耐病性の改善、害虫耐性の改善、およびこれらの任意の組み合わせなどが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において使用される用語「植物改良組成物」とは、上記植物改良の効果を奏する組成物をいう。
本明細書において使用される、植物への「直接適用」との用語は、植物の葉、茎、花、果実など任意の地上に現れている植物の表面に適用することをいう。本明細書における植物への「直接適用」は、肥料または堆肥としての土壌への混入や、土壌への散布を含まない。
本明細書において使用される用語「肥料」とは、植物の栽培のために土壌に混入または散布される物質をいう。
本明細書において使用される用語「蒸留酒」とは、醸造酒を蒸留することによって製造される任意の酒類をいう。本発明において使用される蒸留酒としては、焼酎、泡盛、ウイスキー、白酒、ウォッカ、ジン、スピリタス、テキーラ、ブランデーなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明における蒸留酒としては、焼酎、泡盛、白酒が好ましく、焼酎が特に好ましい。
本明細書において使用される用語「蒸留酒廃液」とは、醸造酒製造において生じる残渣をいう。例えば本明細書において「焼酎廃液」という場合は、焼酎製造において生じる残渣(液状の焼酎粕)をいう。焼酎の製造工程は、製麹、一次仕込み、二次仕込み、蒸留の各工程からなる。通常、蒸煮した米、麦、サツマイモ等の糖質原料に麹菌を加えて培養(製麹)して麹を作る。次いで一次仕込み(麹、糖質材料、酵母、水、クエン酸からなる仕込み)で一次醪をつくる。次いで二次仕込み(一次醪、糖質材料、水からなる仕込み)でアルコール発酵を行わせて二次醪を得る。前記各仕込みに用いられる糖質材料には、例えば、蒸煮した澱粉質材料、例えば、代表的には米、麦等の穀類、芋類があげられる。得られた二次醪(本明細書において、単に「醪」、「焼酎醪」と呼ぶときは、焼酎製造のための二次醪のことを意味する)を蒸留することによって焼酎が製造される。醪を蒸留した後の残渣はアルコール蒸留した残りの液体と固形物の混合体からなる。この残渣を本明細書中では「焼酎廃液」という。好ましくは、本発明において「焼酎廃液」は、加熱処理をしていないものを使用する。
本明細書において使用される用語「炭素源」とは、発酵において乳酸菌が炭素源とし得る任意の物質をいう。このような炭素源としては、グルコース、ラクトース、マルトース、フルクトース、キシロースなどの糖類が挙げられるが、これらに限定されない。本発明においては、炭素源として、これらの糖類を含む廃糖蜜を用いてもよい。
本明細書において使用される用語「廃糖蜜」とは、「糖蜜」ともいい、サトウキビやてん菜から蔗糖を生産する際に副成する、粘調質で黒褐色の液体をいう。蔗糖製造の際の副産物ではあるが、液体中にはスクロースを主とする約30%の糖分をはじめ、アミノ酸やビタミン類、ミネラルなどの栄養素を多く含む。本発明における廃糖蜜は、代表的には糖度約10〜約40%のものであり、好ましくは糖度約20〜約35%のものであり、より好ましくは糖度約25〜約30%のものである。また、本発明の廃糖蜜としてはアルコール発酵後のものを使用することもできる。アルコール発酵後の廃糖蜜を、アルコール発酵前の廃糖蜜と一緒に使用することもできる。アルコール発酵後の廃糖蜜の糖度は約2%〜約10%であり、好ましくは約3%〜約5%である。
本明細書において使用される用語「糖度」とは、スクロースの含有量を重量百分率で表したものである。糖度は、当該分野で公知の任意の方法で測定することができ、例えば検糖計法によって測定することができる。検糖計としては、例えば、屈折検糖計、旋光検糖計などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される用語「乳酸菌」とは、乳酸発酵をする任意の細菌をいい、例えば、(lactic acid bacteria)と呼ばれる微生物グループの多くの部分に存在するグラム陽性通性嫌気性菌を含む。ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)などの多くの種が同定されており、本発明において使用する乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス(L.acidophilus)、ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricus)、ラクトバチルス・カゼイ(L.casei)、ラクトバチルス・デルブルキー(L.delbrueckii)、ラクトバチルス・フェルメンタム(L.fermentum)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(L.reuteri)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(P.acidilactici)、ペディオコッカス・ペントサセウス(P.pentosaceus)、ペディオコッカス・ハロフィラス(P.halophilus)、ペディオコッカス・パルブルス(P.parvulus)、ペディオコッカス・ダムノサス(P.damnosus)リューコノストック・クレモリス(L.cremoris)、リューコノストック・デクストラニカム(L.dextranicum)、リューコノストック・ラクティス(L.lactic)、リューコノストック・メゼンテロイデス(L.mesenteroides)、リューコノストック・エノス(L.oenos)等が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において使用される用語「塩」とは、乳酸菌などの細菌の増殖に利用可能な任意の塩をいう。塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、および、塩化カルシウムが挙げられるがこれらに限定されない。なお、本発明における塩濃度の測定は、当該分野で周知の任意の方法によって行うことができ、例えばモール法によって行うことができる。
本明細書において使用される用語「酵母」とは、「大部分の生活環を単細胞で経過する真菌類」をいう。代表的な酵母としては、Saccharomyces属、Schizosaccharomyces属に属する酵母、特にSaccharomyces cerevisiae、Saccharomyces ludwigii、およびSchizosaccharomyces pombeが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において使用される用語「腐敗」とは、発酵過程において、植物改良組成物を得ることができる意図された発酵が起こらず、最終的に植物改良組成物を得ることができないことをいう。本発明における発酵液の「腐敗」は、発酵液のpH4.5以上、発酵液からの腐敗臭、発酵液表層の適切な膜の不形成(膜がない、またはごつごつした膜が形成されること)のうちの1または複数を指標に判断され得る。
本明細書において使用される用語「約」とは、後に続く数値の±10%の範囲を意味する。
(乳酸菌液の調製)
好ましくは、本発明において使用する乳酸菌液は、炭素源(例えば、廃糖蜜)および塩の存在下で増殖させた乳酸菌を含む培養培地、あるいはその希釈液もしくは濃縮液である。例えば炭素源として糖度が約30%の廃糖蜜を使用する場合、培養液に使用する廃糖蜜の濃度は、乳酸菌の増殖に適切なように当業者が適宜決定することができ、好ましくは約0.02(v/v)%〜約2(v/v)%、より好ましくは約0.05(v/v)%〜約1(v/v)%、さらにより好ましくは約0.1(v/v)%〜約0.2(v/v)%、最も好ましくは約0.2(v/v)%である。培養液に使用する塩は、好ましくは塩化ナトリウムである。乳酸菌液の調製のための塩濃度は、乳酸菌の増殖に適切なように当業者が適宜決定することができ、好ましくは約0.05(w/w)%〜約5(w/w)%、より好ましくは約0.1(w/w)%〜約2.5(w/w)%、さらにより好ましくは約0.2(w/w)%〜約1(w/w)%、最も好ましくは約0.4〜約0.7(w/w)%である。
培養は、通常約20℃〜約40℃で行われ、好ましくは、約37℃で行われる。培養時間は、所望の乳酸菌濃度が得られれば任意の時間でよいが、通常1週間以上、好ましくは2週間以上、行われる。乳酸菌液における所望の乳酸菌濃度は、約1×10個/ml以上、好ましくは約1×10個/ml以上、より好ましくは約1×10個/ml以上、特に好ましくは約1×10個/ml以上である。培養スケールは特に制限がないが、典型的には、5トンのタンクで行われる。曝気をすると、好気性菌(例えば、酢酸発酵菌)の増殖が盛んになり、乳酸菌の増殖を阻害するため、曝気は好ましくない。培養培地には、当該分野で公知の任意の他の栄養素を添加してもよい。
使用することによって乳酸菌液の容量が低下した場合には、必要に応じて炭素源(例えば、廃糖蜜)および塩(および必要であれば、当該分野で公知の任意の他の栄養素)を添加して、さらに培養を続けることができる。例えば、乳酸菌液の容量が初期の容量の5分の1程度になった時点で、炭素源(例えば、廃糖蜜)および塩(および必要であれば、当該分野で公知の任意の他の栄養素)を添加する。
(混合液の発酵)
本発明の製造方法における発酵では、蒸留酒廃液と炭素源と上記乳酸菌液とを混合し、必要に応じて水や海水で希釈して得られる混合液を乳酸菌発酵させる。
1つの実施形態において、蒸留酒廃液は焼酎廃液である。別の実施形態において、蒸留酒廃液は白酒廃液である。さらに別の実施形態において、蒸留酒廃液は茅台酒廃液である。
本発明の好ましい実施形態において、蒸留酒廃液としては焼酎廃液が使用される。本発明で使用する焼酎廃液は、いかなる焼酎由来の廃液であってもよいが、代表的には芋焼酎の廃液である。発酵に供するまで、好ましくは、焼酎廃液は密閉して保管する。焼酎廃液の混合液中の濃度は、好ましくは約75(v/v)%〜約95(v/v)%、より好ましくは約80(v/v)%〜約90(v/v)%、最も好ましくは約85(v/v)%である。
本発明の好ましい実施形態において、炭素源としては廃糖蜜が使用される。糖度が約30%の廃糖蜜を使用する場合、廃糖蜜の混合液中の濃度は、好ましくは約2(v/v)%〜約6(v/v)%、より好ましくは約3(v/v)%〜約5(v/v)%、最も好ましくは約4(v/v)%である。例えば特許文献1に記載される廃糖蜜の量よりも顕著に低い点に留意されたい。上記乳酸菌液における乳酸菌の増殖において使用される炭素源と、混合液の発酵において使用される炭素源とは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
使用する乳酸菌液における乳酸菌の濃度は、約1×10個/ml以上、好ましくは約1×10個/ml以上、より好ましくは約1×10個/ml以上、特に好ましくは約1×10個/ml以上である。乳酸菌液の混合液中の濃度は、好ましくは約2(v/v)%〜約6(v/v)%、より好ましくは約3(v/v)%〜約5(v/v)%、最も好ましくは約4(v/v)%である。
混合液における蒸留酒廃液、炭素源および乳酸菌液の濃度の調整は、乳酸菌の発酵を阻害しない任意の液体によって行うことができる。この液体としては、水、海水などが挙げられるが、これらに限定されない。
混合液への各成分の添加は、必ずしも一度に行う必要はない。また、複数に分けて添加する場合、異なるバッチの成分を添加してもよい。例えば、廃糖蜜を添加して混合物とする場合、第一のバッチ(例えば、より安価なアルコール発酵後のバッチ)の廃糖蜜と第二のバッチ(例えば、アルコール発酵を経ていないバッチ)の廃糖蜜とを用い、これらを順次添加して混合液としてもよい。
混合液の発酵後、必要に応じて、1ヶ月〜12ヶ月程度密封して保存する。必要に応じて、2〜3ヶ月毎に、pHを確認する。本発明において首尾のよい発酵の指標としては、4.0未満のpHが挙げられるが、これに限定されない。pHに加えて、例えば、表層への適切な膜(例えば、白く薄い膜)の形成、甘いにおい、オレンジ色なども首尾のよい発酵の指標にしてもよい。理論に拘束されることを意図しないが、この表層への膜の形成は、産膜酵母によるものであり得る。産膜酵母とは、酵母を液体培養した際に培養容器の壁に登はん性の乾燥した感じの薄い皮膜を形成する性質の酵母をいい、代表的には、Pichia属、Hansenula属(KNO資化性)、Candida属、および、Saccharomyces属の酵母が挙げられるがこれらに限定されない。産膜酵母は、蒸留酒廃液および/または乳酸菌液中に含まれている。産膜酵母による表層への膜の形成が行われると、発酵過程にある混合液の嫌気状態が維持され、乳酸菌の増殖に適した条件が形成される。
本発明において、発酵において発酵液がpH4.5以上になった場合には、蒸留酒廃液を含む混合液が腐敗したとみなす。混合液が腐敗すると、植物改良組成物を得ることはできない。1つの実施形態においては、表層への膜の不形成、または腐敗臭の状態が生じた場合にも、腐敗したとみなしてもよい。
上記の発酵開始後3〜6ヶ月での乳酸菌の濃度は、発酵液1mL当たり約10個以上、1mL当たり約10個以上、1mL当たり約10個以上、1mL当たり約10個以上、または1mL当たり約10個以上である。好ましい実施形態においては、発酵開始後3〜6ヶ月での乳酸菌の濃度は、発酵液1mL当たり約10個以上である。より好ましい実施形態においては、発酵開始後3〜6ヶ月での乳酸菌の濃度は、1mL当たり約10個以上である。より好ましい実施形態においては、発酵開始後3〜6ヶ月での乳酸菌の濃度は、1mL当たり約10個以上である。
上記の発酵後、ないし、さらなる密封保存後の発酵液のpHは、4.0未満、3.9未満、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、または、2.5未満である。好ましい実施形態においては、発酵液のpHは3.6以下であり、特に好ましい実施形態においては、発酵液のpHは3.0〜3.6である。
(乳酸菌の増殖に適した条件)
理論に拘束されることを意図しないが、本発明の製造方法においては、蒸留酒廃液と炭素源との混合液を発酵させるにあたり、そこに上記乳酸菌液を添加して、乳酸菌の増殖に適した条件下で発酵させることによって、植物に直接適用した場合に顕著な植物改良組成物を得ることができる。
乳酸菌の増殖に適した条件下での発酵は、通常約20℃〜約40℃で行われ、好ましくは、約37℃で行われる。発酵時間は、発酵後の上記乳酸菌濃度を達成できるものでればどのようなものでもよく、特に制限がないが、通常3ヶ月以上、好ましくは半年以上である。発酵スケールは特に制限がないが、典型的には、10トンのタンクで行われる。乳酸発酵は、嫌気性発酵であるため、曝気は行わない。曝気をすると、好気性菌(例えば、酢酸発酵菌)の増殖が盛んになり、乳酸菌の増殖を阻害するため、曝気は好ましくない。培養培地には、他の栄養素を添加してもよい。好ましくは、産膜酵母による表層への膜形成の状態を維持する。
本発明における乳酸菌の増殖に適した塩濃度の条件は、約0.25(w/w)%以上であり、代表的には約0.3(w/w)%以上である。例示的な塩濃度の条件は、約0.25(w/w)%〜約15(w/w)%、約0.25(w/w)%〜約10(w/w)%、約0.25(w/w)%〜約5(w/w)%、約0.25(w/w)%〜約0.7(w/w)%、約0.25(w/w)%〜約0.5(w/w)%、約0.3(w/w)%〜約15(w/w)%、約0.3(w/w)%〜約10(w/w)%、約0.3(w/w)%〜約5(w/w)%、約0.3(w/w)%〜約0.7(w/w)%、約0.3(w/w)%〜約0.5(w/w)%、約0.35(w/w)%〜約15(w/w)%、約0.35(w/w)%〜約10(w/w)%、約0.35(w/w)%〜約5(w/w)%、約0.35(w/w)%〜約0.7(w/w)%、約0.35(w/w)%〜約0.5(w/w)%、約0.4(w/w)%〜約15(w/w)%、約0.4(w/w)%〜約10(w/w)%、約0.4(w/w)%〜約5(w/w)%、約0.4(w/w)%〜約0.7(w/w)%、または約0.4(w/w)%〜約0.5(w/w)%である。好ましい実施形態において、乳酸菌の増殖に適した塩濃度は、約0.35(w/w)%〜約0.5(w/w)%、より好ましくは約0.4(w/w)%〜約0.5(w/w)%、特に好ましくは約0.44〜0.49(w/w)%である。
本発明における塩濃度の調整は、当該分野で公知の任意の手段によって行うことができる。例えば、本発明の塩濃度の調整手段としては、塩を添加すること、上記混合液の希釈に水、海水などを用いること、炭素源として使用される物質に塩が含まれる場合には、その炭素源(例えば、廃糖蜜)の濃度を調整すること、これらの任意の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明は、発酵時の塩濃度を乳酸菌の増殖に適したものとすることによって、下記に詳述するように優れた植物改良組成物が得られるという発見に基づくものであり、具体的な塩濃度の調整手段に限定されるものではないことが理解されるべきである。
1つの実施形態において、混合液の発酵のための、乳酸菌の増殖に適した条件は、塩を添加することによって達成され得る。塩濃度の調整のために添加される塩としては、乳酸菌の増殖に利用可能な当該分野で公知の任意の塩をいう。好ましい塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施形態において、混合液の発酵のための、乳酸菌の増殖に適した条件は、上記混合液を水で希釈して、混合液の塩濃度を所望の塩濃度に調整することによって達成され得る。
別の実施形態において、混合液の発酵のための、乳酸菌の増殖に適した条件は、上記混合液の希釈に海水を用いることによって達成され得る。最終的に所望の塩濃度を達成するための海水の添加は、当業者が容易に行うことができる。例えば、海水の塩分濃度は約3.5%であるから、それに基づいて上記の好ましい塩濃度を達成するための添加量を決定することができる。海水を利用した溶液を利用する場合、代表的には、その全混合液に対する容量比は、好ましくは約1(v/v)%〜約15(v/v)%、より好ましくは約5(v/v)%〜約10(v/v)%、最も好ましくは約7(v/v)%である。例えば、10トンタンクにおいて、蒸留酒(例えば焼酎)廃液約10トン、炭素源(例えば廃糖蜜)約500L、乳酸菌液約500Lからなる混合液に約800Lの海水を添加することによって、約0.4〜0.5%の塩濃度を達成することができる。
別の実施形態において、混合液の発酵のための、乳酸菌の増殖に適した条件は、塩を含む炭素源(例えば、廃糖蜜)の濃度を調整することによって達成され得る。最終的に所望の塩濃度を達成するための炭素源の濃度調整は、当業者が容易に行うことができる。
さらに別の実施形態において、乳酸菌の増殖に適した条件としての塩濃度の調整は、塩を添加すること、上記混合液の希釈に海水を用いること、および炭素源(例えば、廃糖蜜)の濃度を調整することの任意の組み合わせによって達成され得る。例えば、塩の添加と廃糖蜜の濃度調整との組み合わせを例に以下に簡単に説明する。
添加する塩の量は、添加する廃糖蜜濃度に依存して調整することが可能である。例えば、廃糖蜜濃度を上昇させた場合には、添加する塩の濃度を低減することが可能である。または、廃糖蜜濃度を、発酵のための最低限の炭素源を維持しつつ、添加する塩の量に依存して調整することも可能である。例えば、添加する塩の量を上昇させた場合には、廃糖蜜濃度を低減することも可能である。
このように混合液の塩濃度を乳酸菌の増殖に適した条件にすることによって、得られる発酵液が、植物に直接適用した場合に、予想外に顕著な植物改良効果を奏するものとなることが予想外に発見された。加えて、蒸留酒廃液(例えば、焼酎廃液)の発酵の安定性が高まり、再現性がより良好になることを、発明者らは見出した。蒸留酒廃液の処理は、10トンタンクのような産業スケールで行われるため、このような歩留りの向上は本発明の顕著な効果の1つである。
(植物改良組成物の植物への適用)
本発明の製造方法によって得られる発酵液は、そのまま、あるいは、ろ過によって繊維等を除去し、さらに必要に応じて希釈することによって植物改良組成物とすることができる。一般的には、作物の生育段階において、300倍〜1000倍程度に希釈して適用する。
本発明の植物改良組成物は、植物に直接適用することによって優れた効果を奏するが、必ずしも直接適用する必要はない。例えば、本発明の植物改良組成物は、植物の生長に使用する土壌ないし水に添加してもよい。好ましくは、本発明の植物改良組成物は、植物に直接適用されるものである。より好ましくは、本発明の植物改良組成物は葉面散布されるものである。例えば、以下の手法によって植物に本発明の植物改良組成物を適用することが可能である:
・灌水チューブまたはスプリンクラーでの散布(例えば、露地キャベツ)
・背負型噴霧器による散布(例えば、露地作物全般)
・乗用散布機による散布(例えば、露地作物全般)
・噴霧器・灌水による散布(例えば、露地作物全般)
直接適用する場合、栽培する植物の種類や乳酸菌濃度にもよるが、典型的には、焼酎廃液の発酵によって生成された高乳酸菌濃度の植物改良組成物を、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、または、1000倍に希釈して使用する。このような希釈倍率は、栽培する植物の種類に基づいて、当業者が容易に決定することができる。
好ましい実施形態において、本発明の植物改良組成物は、植物に直接適用されるものである。理論に拘束されることを意図しないが、本発明の植物改良組成物は、従来技術と比べて大量の乳酸菌と、その乳酸菌による産物(例えば、酢酸、ギ酸、乳酸、ナイシン、過酸化水素、ディプロコクシン、ラクトサイシン、アンドフィリンなどが挙げられるが、これに限定されない)と、各種アミノ酸とを含むことによって、植物に直接適用された場合に優れた植物改良効果を奏するものであり得る。あるいは、本発明の植物改良組成物は、混合液に乳酸菌を添加して発酵を行うこと、特に乳酸菌が増殖する条件下(例えば、好ましい塩濃度条件下)で混合液の発酵を行うことに起因して、植物に直接適用された場合に優れた植物改良効果を奏するものであり得る。
理論に拘束されることを意図しないが、本発明の植物改良組成物は、乳酸菌が増殖する条件下で混合液の発酵を行うことに起因して、植物改良組成物中の乳酸菌によって産生される酢酸、ギ酸、乳酸などが植物の表皮を強化し得る。あるいは、または加えて、乳酸菌によって産生されるナイシン、過酸化水素、ディプロコクシン、ラクトサイシン、アンドフィリンなどが植物における病原菌の繁殖を抑制し得る。
本発明においては、植物改良組成物とする発酵液のpHは4.0未満、特に3.5未満が好ましい。これは部分的には、pH4.0以上(特にpH4.5以上)の発酵液と比較して、酢酸、ギ酸、乳酸などの乳酸菌産物が多く含まれていると考えられるからである。また、pH4.0以上(特にpH4.5以上)の発酵液は、保管の間に腐敗臭が発生する傾向があるため、好ましくない。
(菌数の計測)
本発明において使用する培養液および植物改良組成物中の菌数の測定は、周知の方法によって行うことが可能である。例えば、乳酸菌数の測定にはBCP培地法を用いることができる。酵母やカビ(Aspergillus属のものなど)の菌数の測定にはPDA培地法を用いることができる。
以下に実施例等により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1:乳酸菌液の調製)
本発明の混合液の発酵に使用する乳酸菌液を以下のとおり調製した。
・以下を含む混合物を調製する:
水 5t
糖蜜(廃糖蜜) 10L
塩(赤穂塩) 25kg
乳酸菌 2.5kg
・上記混合物を、5トンのポリエチレンタンクに仕込み、曝気することなく、2週間培養した。
・pH4.0未満であることを指標として、首尾よく乳酸菌が増殖されたことを確認する。そこで、実際にpHを測定したところ3.6であった。乳酸菌液の塩分量は0.61(w/w)%であった。このようにして得られた乳酸菌液中の乳酸菌の量は、発酵開始から約2週間の時点で2.0×10個/mlであった。
(実施例2:塩濃度を調整した焼酎廃液の発酵(1))
以下のとおり、実施例1で調製した乳酸菌液を用いて、蒸留酒廃液として焼酎廃液を用い、炭素源として廃糖蜜(糖度約20%)を用いて、約100基の10トンタンクにおいてそれぞれ混合液の発酵を行った。
・以下を含む混合物を調製する:
焼酎廃液 10トン
廃糖蜜 500L
乳酸菌液 500L
これに800Lの水分および塩分を添加して、塩濃度を乳酸菌の増殖に適した範囲に調整した。具体的には、当該混合物の塩濃度は0.44(w/w%)〜0.49(w/w)%であった。なお、塩濃度は、当該分野で公知の任意の塩濃度調整手段を用いて調整できることは、上記のとおりである。
上記の混合物(11.8トン)を撹拌し、10トンのポリエチレンタンクへ仕込み、半年〜1年間発酵させた。仕込みに使用しなかった残りの約1.8トンは、次の発酵のために次のポリエチレンタンクに入れた。2〜3ヶ月ごとにpH4.0未満であることを確認した。pH4.0を上回った場合には発酵は失敗と判断した。加えて、発酵液の色がオレンジ色であること、腐敗臭がしないこと、発酵液表面の膜の形成が適切に行われていることも確認した。
10トンタンク約100基での発酵において、8〜9割の割合でpH3.0〜3.5の甘い香りのする発酵液が得られた。なお、実施例5に記載するように、4.0未満の発酵液において高い植物改良効果が観察され、特にpH3.5以下の発酵液においては顕著に優れた高い植物改良効果が観察された。下記比較例1にも記載するとおり、高い植物改良効果を奏するpH3.0〜3.5の発酵液が得られる割合が8〜9割であるというのは、従来技術と比較して顕著に高いものである。本発明のように産業スケールで蒸留酒廃液の発酵および植物改良剤の製造を行う場合には、このような割合の改善は極めて重要であることが当業者には直ちに理解される。
発酵後、ろ過によって繊維質を除去した。出荷まで、必要に応じて、半年間程度、屋外で直射日光を避けて熟成させて植物改良組成物を得た。熟成後の溶液中のアミノ酸含量を社団法人長崎県食品衛生協会 食品環境検査センターによって測定した結果を以下の表1に示す。なお、測定は、飼料分析基準研究会編 飼料分析法・解説(2004)に従った。
各種微生物の含量は、以下のとおりであった。
・乳酸菌 1.2×10個/ml
・酵母 1.0×10 個/ml以下
・カビ 1.5×10個/ml。
(実施例3:塩濃度を調整しない焼酎廃液の発酵(1))
焼酎廃液:廃糖蜜を、8:2ないし9:1の割合で混合(計10トン)した。
このような混合物を複数作成し、発酵を行った。本実施例の混合液については、乳酸菌液の添加も塩濃度の調整も行わず、廃糖蜜としてはアルコール発酵後の糖度約5%のものを用いた。発酵については実施例2と同様に行った。混合液の塩濃度は、0.20〜0.23(w/w)%であった。
その結果、特に高い植物改良効果を奏するpH3.0〜3.5の発酵液の割合は4〜5割程度であったが、その4〜5割のものについては植物改良組成物として使用できるものであった。理論に拘束されることを意図しないが、これは使用したアルコール発酵後の廃糖蜜に乳酸菌が多く含有されていることに部分的に起因していると考えられる。
(実施例4:塩濃度を調整しない焼酎廃液の発酵(2))
塩濃度の調整を行わないこと以外は実施例2と同様に、焼酎廃液の発酵による植物改良組成物の製造を行った。当該混合物の塩濃度は0.20(w/w%)〜0.23(w/w)%であった。
その結果、特に高い植物改良効果を奏するpH3.0〜3.5の発酵液の割合は4〜5割程度であった。
(実施例5:種々の植物への適用)
実施例2において得られた植物改良組成物を実際に植物に直接適用した場合の効果を以下に記載する。以下の実施例は、本発明の組成物の優れた植物改良効果を実証する実施例である。なお、4.0未満、特にpH3.0〜3.5の発酵液が特に植物改良効果が高かった。
(1)施設園芸、イチゴ→トマト・にがうりの輪作
植物改良組成物を3日に1回程度、5L/反、2トンの水で灌水チューブ及びスプリンクラーで散布することによって直接適用した:
その結果、毎年収量が増収した。トマトは、実がしまり、重く、歩留まりも上がった。さらに、成長が進んでも下葉も枯れずに、根が生きて収穫期間が伸びてきた。
(2)露地栽培のピーマン
植物改良組成物を500倍希釈し、動力噴霧器を用い、300L/反を葉に散布した。値付け後に1回、1カ月後に1回、その後、2週間に1回散布した。その結果、アブラムシが防除された。さらに、花〜実への回転が早く、収量が増加した。
(3)イネ育苗
植物改良組成物5ccを5Lの水で希釈し、1000倍希釈液を調製した。これをジョロなどで散布したて直接適用した。散布間隔は、1回/1週間程度であった。イネの植えつけまでに3〜4回の散布を行った。根の張りが明らかに改善された。
(4)イチゴ
植物改良組成物を500倍〜1000倍に水で希釈し、5L/反程度を灌水して直接適用した。毎日〜1回/週の間隔で流し込んだ。また、育苗期には、植物改良組成物を1000倍希釈し150cc/株程度を直接適用した。その結果、植物改良組成物を直接適用して約10日で葉色の改善(葉色が鮮やかになった)が確認された。イチゴの色艶、糖度、実のしまり、傷のつきにくさ、たなもちのいずれもが改善された。
(5)竹の子
植物改良組成物を水で250倍に希釈し、1L/mで、収穫前および収穫時期に数回、灌水によって直接適用した。その結果、収量がおよそ2倍となった。
(6)カボチャ
植えつけ前に、種を1000倍希釈した植物改良組成物に7時間漬した後に植え付けした。育苗ポットへ植え付け後の灌水時に、同じく1000倍希釈液を散布によって直接適用した。畑への植え付け後は、1000倍希釈液を約500L/反程度で一週間に1回程度葉面散布した。その結果、例年に比べて実がぎっしり詰まって、歩留まりが上がり、食味の良いカボチャが調製された。
(7)オクラ
灌水チューブで、水やりの度(晴れの日は毎日)に5L/反あたりの植物改良組成物を流し込んで直接適用した。その結果、3〜5割収量が増加した。
(8)スナップエンドウ
発芽後から2週間に1回程度の間隔で葉面散布した。植物改良組成物の希釈倍率は、200倍程度で、1反当たり300Lの希釈液を使用した。その結果、例年発生したウドンコ病が発生しなくなった。
(9)お茶
薬剤散布機にて、10倍希釈した植物改良組成物を1000L(植物改良組成物原液100Lを1反に利用することを目安とする)、一番茶目出し前に2〜3回散布することによって直接適用した。その結果、一番茶収穫時期が数日早くなった。
(10)サツマイモ苗床
サツマイモの苗を刈った後、直ぐに1回、200倍希釈した植物改良組成物を葉面散布した。その結果、通常10日に一回苗をとるところ、これを6日に短縮できた。
(11)グリーンセロリ
苗づくりの時期に、灌水の度に、1000倍希釈した植物改良組成物を散布によって直接適用した。畑に定値した時も、同様に、1000倍希釈した植物改良組成物を散布によって直接適用した。その結果、発根状態が大きく改善された。そのため、1週間早く畑に定植することができた。
(12)ニラ
週に1回程度、1反あたり1Lの植物改良組成物を灌水チューブで流し込んで直接適用した。葉先が青々とし、全体にシャキッとして、商品価値がさらに上がった。
上記実施例5に記載したような、植物に直接適用した場合の優れた植物改良効果は、特に発酵液のpH4.0未満の場合に奏され、特にpH3.0〜3.5の場合に顕著な効果が奏されることが多いが、そのような好ましいpHの発酵液は3割程度の割合でしか得ることができなかった。上記のとおり、本発明の製造方法では、pH4.0未満の場合、例えば、pH3〜3.5の好ましいpHの発酵液は8割〜9割の割合で得ることができた。本発明のように産業スケールで蒸留酒廃液の発酵および植物改良剤の製造を行う場合には、このような割合の改善は極めて重要であり、本発明の顕著な効果である。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみ、その範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本明細書中に記載された蒸留酒廃液、炭素源、乳酸菌液、塩濃度、糖度およびpHについての任意の数値範囲については、その全ての組み合わせが本明細書中に明示的に記載されたものとみなされるべきである。
本発明によって、蒸留酒廃液の効果的な処理方法とともに、植物に直接適用した場合に優れた植物改良効果を奏する植物改良組成物が提供される。したがって、本発明は、蒸留酒廃液の廃棄物処理の分野と、植物栽培の分野とにおいて有用である。

Claims (12)

  1. 植物改良組成物の製造方法であって、
    (1)乳酸菌を含む乳酸菌液を提供する工程と、
    (2)蒸留酒廃液、炭素源、および該乳酸菌液を含む混合液を提供する工程と、
    (3)該乳酸菌の増殖に適した条件下で該混合液を発酵させて、発酵液を得る工程と、
    (4)該発酵液から繊維を除去して植物改良組成物を提供する工程と
    を包含し、該混合物中の塩濃度が約0.25(w/w)%以上である、製造方法。
  2. 前記発酵液のpHが4.0未満である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記pHが3.5以下である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記塩濃度が約0.3〜約5(w/w)%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記塩濃度が塩を添加することによって達成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記蒸留酒が焼酎である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記炭素源が廃糖蜜である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記炭素源の糖度が約10〜約40%である、請求項に記載の製造方法。
  9. 前記混合物中の前記炭素源の濃度が約2(v/v)%〜約6(v/v)%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記植物改良組成物中の乳酸菌数が1mL当たり約10個以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記乳酸菌液が、乳酸菌、炭素源、および塩を含む溶液を発酵して得られる溶液である、請求項1〜1のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記植物改良組成物が植物に直接適用されることを特徴とする、請求項1〜1のいずれか1項に記載の製造方法。
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