JP6213952B2 - 伝達シャフト - Google Patents
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Description
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
例えば、請求項2記載の発明のようにシャフト本体とヨークとが溶接によって相対回転しないように接合されている場合、シャフト本体とヨークとの間では、溶接部分において操舵部材の回転力を伝達することができる。しかし、シャフト本体とヨークとの連結部分(請求項2の場合は溶接部分)が破損すると、シャフト本体とヨークとは、予見性なく(突然)分離し、回転力を伝達できなくなる虞がある。
また、ピンとピン孔との間には、伝達シャフトの回転方向に遊びが設けられているため、前述した連結部分に不具合が生じたときには、操舵部材の動きに、遊びが生じる。そのため、ユーザは、操舵部材に遊びが生じたことによって、伝達シャフトにおける不具合の発生に気付くことができる。
また、2次衝突の際、シャフト本体では、2次衝突の衝撃を吸収するために軸部がスリーブ内で移動するのだが、ピンは軸部の移動軌跡から離れた位置に配置されているので、軸部はピンと干渉することなく軸方向に移動可能である。そのため、2次衝突の衝撃を吸収するため軸部の移動量(ストローク量)を大きく確保できる。
図1は、本発明の一実施形態のステアリング装置1の概略平面図である。
図1を参照して、ステアリング装置1は、操舵部材2と、ステアリングシャフト3と、自在継手4と、伝達シャフト5と、自在継手6と、ピニオン軸7と、ラックバー8と、ラックハウジング9とを主に含んでいる。
ラックハウジング9は、車幅方向に長手の中空体であり、車体(図示せず)に固定されている。ラックバー8は、ラックハウジング9内に挿通され、ラックハウジング9によって、軸受等(図示せず)を介して支持されている。この状態で、ラックバー8は、車幅方向にスライド可能である。ラックバー8の両端部は、ラックハウジング9の両外側へ突出しており、ラックバー8の各端部には、タイロッド10が連結されている。タイロッド10は、ナックルアーム(図示せず)を介して転舵輪11に連結されている。
図2は、伝達シャフト5の要部の部分断面図である。図3は、伝達シャフト5に含まれる第1ヨーク12およびスリーブ部28の分解斜視図である。
伝達シャフト5は、円筒状のシャフト本体22と、自在継手6の一部とを含んでいる。ここで、シャフト本体22が延びる方向を軸方向Xとする。また、図2において、軸方向Xに垂直な方向のうち図2の紙面に向かって延びる方向を左右方向Yとし、軸方向Xに垂直な方向のうち図2の上下に延びる方向を上下方向Zとする。左右方向Yは、ステアリング装置1が備えられる車両の左右方向と同じであり、上下方向Zは、車両の上下方向とほぼ同じである。また、シャフト本体22の径方向には、符号「R」を付することにし(後述する図4参照)、シャフト本体22の周方向には、符号「C」を付することにする。
図2を参照して、自在継手6は、1対のヨーク(第1ヨーク12および第2ヨーク13)と、十字軸14とを含んでいる。
第1ヨーク12は、図2では第2ヨーク13より左側に位置し、円筒状の嵌合筒15と一対の腕部16とを含んでいる。また、嵌合筒15は、図2では、腕部16よりも左側(伝達シャフト5側)に位置している。図3も参照して、嵌合筒15の中心軸は、軸方向Xに沿っている。嵌合筒15には、軸方向Xから見て円形状の嵌合穴15Aが嵌合筒15の一端部15B(図3では左手前側の端部)を貫通して形成されている。嵌合穴15Aは、嵌合筒15の他端部15C(図3では右奥側の端部)を貫通していない。そのため、嵌合筒15の他端部15Cには、嵌合穴15Aの底面をなす奥面15Dが形成されている。
十字軸14は、ブロック状の中心部(図示しない)と、中心部から放射状に延びた4つの円柱部21とを一体的に含んでいる。各円柱部21のうち、一対の円柱部21Aは、同一直線状にあり、残りの一対の円柱部21Bは、円柱部21Aと直交する方向に延びる同一直線状にある。そのため、4つの円柱部21は、全体で十字をなしている。
次に、シャフト本体22について詳説する。
シャフト本体22は、筒状のスリーブ部28と、軸部29とを含んでいる。
スリーブ部28は、第1ヨーク12の嵌合筒15と同軸状に配置されている。そのため、第1ヨーク12の嵌合筒15の周方向は、シャフト本体22の周方向Cと一致している。スリーブ部28の一端部28Aは、嵌合筒15の嵌合穴15Aに軸方向Xにおける外側(図2では左側)から挿通されている。言い換えると、嵌合筒15には、軸方向Xにおけるシャフト本体22の一端部(図2では右側の端部)22Aが挿入されている。この状態で、スリーブ部28と第1ヨーク12とは、周方向Cに一体回転可能である。
ちなみに、空転を防止するために、スリーブ部28と第1ヨーク12との互いの対向面にセレーションを設けることも考えられるが、スリーブ部28は、薄肉円筒状であることから、スリーブ部28にセレーションを設ける加工が困難である。
空転防止機構24は、スリーブ部28の外周面28B(シャフト本体22の外周面22B)に形成されたピン孔25と、嵌合筒15の外周面15Gに設けられた挿通孔26と、ピン孔25に対して嵌め込まれるピン27とを含んでいる。
ピン27は、全体として円柱状である。ピン27は、円板状の第1部分27Aと、第1部分27Aよりも小径で円柱状をなす第2部分27Bとを一体的に含んでいる。図2の姿勢を基準として、第1部分27Aにおいて径方向Rの内側における部分が、第2部分27Bと接続されている。また、第1部分27Aと第2部分27Bとは、同軸状に配置されている。
図2に示すようにシャフト本体22と第1ヨーク12とが組み付けられた状態では、ピン27は、第2部分27Bを上下方向Zの下側に向けて(図3においては、径方向Rの内側に向けて)挿通孔26に挿通されている。この状態で、ピン27の第1部分27Aは、挿通孔26の第1空間26Aに対して圧入などによって固定されている。また、ピン27の第2部分27Bは、挿通孔26の第2空間26Bに対して圧入などによって固定されている。また、第2部分27Bは、周方向Cへの移動が規制されない程度に軸方向Xおよび周方向Cの両方において遊びを持って、ピン孔25に挿通されている。このように、ピン27は、嵌合筒15の内周面15Eからシャフト本体22側へ突出している。
以下では、図1〜図3に加えて図4も参照して説明する。
以下では、図1〜図4に加えて図5も参照して説明する。
図5を参照して、ステアリング装置1は、いわゆる2次衝突の際には、操舵部材2から伝達される衝撃を吸収する(図1参照)。伝達シャフト5は、シャフト本体22が縮むことによって2次衝突の衝撃を吸収する。詳述すると、2次衝突により、軸部29は、スリーブ部28に対して右側(車体の前側)に移動しながら衝撃を吸収する。そして、軸部29の一端部29Aが嵌合筒15の奥面15Dと当接するまで、軸部29は、スリーブ部28内を軸方向Xに移動する。ここで、ピン27(詳しくは、ピン27の先端部27C)は、軸部29の移動軌跡(図5の軸部29の輪郭と同じ)から径方向Rの外側へ離れた位置に配置されているので、軸部29はピン27と干渉することなく軸方向Xに移動可能である。そのため、2次衝突の衝撃を吸収するため軸部29の移動量(ストローク量)を大きく確保できる。なお、ピン27が軸部29の移動軌跡から離れているのであれば、ピン27の先端部27Cは、スリーブ部28の内周面28Cよりも径方向Rの内側にはみ出していてもよい。
例えば、本実施例において、第1ヨーク12および第2ヨーク13は、自在継手6を構成しているとしたが、第1ヨーク12および第2ヨーク13は、自在継手4を構成していてもよい。この場合、伝達シャフト5は、シャフト本体22と、自在継手4を構成する第1ヨーク12と、空転防止機構24とを含むことになる。また、本実施例において、シャフト本体22のスリーブ部28は、軸部29よりも自在継手6側に配置されているが、第1ヨーク12が自在継手4を構成する場合は、スリーブ部28は、軸部29よりも自在継手4側に配置されることになる。この場合においても、スリーブ部28と第1ヨーク12とは、空転防止機構24(ピン孔25、挿通孔26およびピン27)によって機械的に接続された状態となっている。
また、ピン27は、挿通孔26に挿入されてから嵌合筒15とかしめられることによって、嵌合筒15に固定されていてもよい。この場合、ピン27が、挿通孔26に対して、より強固に固定されるため、シャフト本体22と第1ヨーク12との機械的接続を確実に維持することができる。
Claims (3)
- ステアリング装置に用いられ、操舵部材に連結されていて、軸周りに回転することで操舵部材の回転力を伝達する伝達シャフトであって、
軸方向に延びるシャフト本体と、
前記軸方向における前記シャフト本体の端部が挿入される嵌合筒を含み、自在継手を構成するヨークと、
前記ヨークに対する前記シャフト本体の軸周りにおける空転を防止する空転防止機構とを含み、
前記空転防止機構は、
前記シャフト本体の外周面に形成され、前記伝達シャフトの回転方向に延びるピン孔と、
前記嵌合筒の内周面から前記シャフト本体側へ突出し、前記回転方向に遊びを持って前記ピン孔に嵌め込まれるように、前記嵌合筒に取り付けられたピンと、を含み、
前記シャフト本体が、前記ピン孔が貫通して形成された筒状のスリーブ部と、前記スリーブ部に対して挿入され、前記軸方向に移動可能な軸部とを含み、
前記ピンが、前記軸部の移動軌跡から離れた位置に配置されていることを特徴とする、伝達シャフト。 - 前記シャフト本体と前記ヨークとは、溶接によって接合されていることを特徴とする、請求項1記載の伝達シャフト。
- 前記空転防止機構は、前記回転方向に複数設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の伝達シャフト。
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